JP2014071622A - 広告等のシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】広告がユーザの注意を集めた可能性がある時間を基にした課金方式の実現を可能にするシステムを提供する。また,これに伴い,テレビ広告で用いられる効果指標や新たな効果指標を用いることができ,これらはオンラインディスプレイ広告のみならず,一般のWebコンテンツの広告指標として用いることができるシステムを提供する。
【解決手段】一定条件の充足によって定義されるWebコンテンツのユーザに対する視聴可能性とユーザの注意が向けられている可能性に基づいたコンテンツがユーザに対し有効である時間(viewable timeという。)を計測する。
【選択図】図1

Description

本発明はオンライン広告のためのシステムに関する。
現在のオンラインディスプレイ広告業界においては,広告枠を持つサイトから広告のリクエストが行われた回数 (インプレッション数) を基に課金が行われている。広告の表示された回数は,広告の効果を決める一つの重要な因子であるものの,広告の効果を全て捉えているとは言い難い。それ故,インプレッション数を元にした現在の課金方式はオンラインディスプレイ広告の課金方式として不十分であると考えられる。
本発明の目的は、広告がユーザの注意を集めた可能性がある時間を基にした課金方式を提案し,その課金方式の実現を可能にするシステムを提供することにある。また,これに伴い,テレビ広告で用いられる効果指標や新たな効果指標を用いることができ,これらはオンラインディスプレイ広告のみならず,一般の Web コンテンツの広告指標として用いることができるシステムを提供する。更に,本発明は上述の広告の表示時間に基づいた価格を用いたオンライン広告の市場を実現する方法の提供も目的とする。
すなわち、本発明は以下の広告表示等のシステムを含む。
[1]以下の条件の充足によって定義される Web コンテンツのユーザに対する視聴可能性とユーザの注意が向けられている可能性に基づいたコンテンツがユーザに対し有効である時間(以下、viewable timeという。)の計測方法:
1. Web コンテンツが十分に表示されていることに関する条件:ts
秒ごとにブラウザ内でのコンテンツの位置情報を取り,コンテンツの縦の長さ h と横の長さ w からユーザにとって可視であるコンテンツの表示領域の割合 rv = Sv /(h×w) を計測する。ここで、Sv はユーザに可視である部分の面積である。rv
< θvvは設定値)ならば可視でないと判定する。
2. ブラウザ (タブ) がフォーカスされていること:ユーザがブラウザ以外の場所をクリックしたときに,ユーザの注意がブラウザに向かっていないと判定する。また,コンテンツを表示しているブラウザタブがアクティブでなければユーザの注意がブラウザに向かっていないと判定する。
3.
ユーザの注意がブラウザに向かっていること:注目するユーザのブラウザ上でのアクションの集合を A とする。最後のユーザのブラウザ上でのアクション a ∈ A(Aはクリック,マウスオーバーなどを含む) から時間 tu の間にユーザが新たなアクションを起こさなかった場合,注意がブラウザに向かっていないと判定する。
[2]前記[1]の計測方法により計測される viewable time の需要に基づく広告の課金方法。
[3]広告に対するユーザの行動を考慮に入れて単位時間当たりの価格を時間変化させる前記[2に記載の課金方式。
[4]前記[1]の計測方法により計測される viewable time に基づいて決定されるWeb コンテンツの効果指標としての GRP の計測方法。
[5]前記[1]の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標として,マウスをコンテンツ上に乗せた回数と時間を計測する方法。
[6]前記[1の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標としての音声をオンにした回数とその時間を計測する方法。
[7]前記[1]の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツがユーザの注意をどれだけ引いたかの指標としての,音声をオンであった時間とマウスがコンテンツ上に乗っていた時間の和を計測する方法。
[8]前記[1]の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標としての,ユーザがクリックを行った時間と位置を計測する方法。
[9]前記[1]の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標としての,ユーザが
Facebook の Like ボタンに対するクリックを行った時間を計測する方法。
[10]前記[1]の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標としての巻き戻しの回数とタイミングの計測する方法。
[11]前記[10]の巻き戻し回数を以下の手順により計測する方法
1. ユーザがコンテンツの t 秒目を見ている際にユーザがインジゲータの長さ l の地点をクリックしたとする。
2. もし t/Ta ≦ l/L なら何も起きず,巻き戻し回数(Rewind の回数)としてカウントしない。
3. 上記以外の場合で,もし r1×Ta > t なら,現在配信されているコンテンツの 1 つ前のコンテンツ b の tb 秒目まで戻る。この際,一つ前のコンテンツの Rewind の回数を 1 増やす。
4. 上記以外の場合で,もし r2×Ta > t なら,現在配信されているコンテンツの最初まで戻り,Rewind の回数を 1 増やす。
5. 上記以外の場合で,もし t/Ta > l/L ならコンテンツの Ta×l/L 秒目まで戻し,Rewind の回数を 1 増やす。
[12]前記[2]の課金方法により料金が請求される広告配信システム。
[13]前記[2]の課金方法における,広告の時間的長さを考慮に入れた広告配信順序の決定方法。
[14]前記[13]において広告キャンペーンのゴールの達成度を考慮に入れた広告配信順序の決定方法。
[15]前記[13]において,広告を視聴しているユーザが Web ページ間を遷移した際に,広告の残余量を考慮に入れて継続的に広告を配信する方法。
[16]前記[15]における広告の配信順序の決定方法。
[17]前記[2]の課金方法に基づく広告配信機会の競売の方法。
[18]前記[2]の課金方法に基づく広告配信機会の競売の方法を用いた広告システム。
[19]広告配信の順序に依らず,広告配信の時間当たりの料金を一定とする課金方法を用いる前記[17]に記載の広告システム。
[20]入札要請の対象を入札者の入札履歴から選択する方法を用いる前記[17]に記載の広告システム。
[21]既存の広告価格を用いた入札の受け付けの方法を用いる前記[17]に記載の広告システム。
[22]前記[1]に記載の方法においてクリックのタイミングの計測を利用した,与えられた CPC 価格に対応する適当な配信時間の推定方法。
[23]前記[1]で計測される viewable time に基づいた,広告配信可能時間を増す広告配信機会の販売方法。
[24]既存の広告配信機会の市場と配信時間に応じて料金が加算される広告配信機会の市場を継ぎ目なく繋ぐ,前記[1]〜[23]のいずれかまたは全部に記載された方法及び/またはシステムを用いたシステム。
[25]前記[4]のGRPについて、複数のメディア・コンテンツを用いることを考慮し、テレビ広告の指標と比較可能にしたeGRPの計算方法。
[26]前記[25]のeGRPについて、広告主から得た入札額などの情報を基にそれを予測する方法。
[27]前記[17]の広告システムにおいて、1GRPを獲得する際のコストを用いて入札受け付けを行う方法。
[28]ユーザがweb コンテンツに注意を向けた時間であるviewable time を用いて,広告主の保有するサイトに対しユーザが注意を向けた時間(owned media viewable time, 以下OMVT と表記) を計測する方法。
[29][28]の方法において広告枠のうち,ユーザのブラウザに表示された部分の面積を考慮に入れた広告表示時間の計測方法。(以下,計測された時間をonline viewable time と表記)
[30][28]のOMVT と[29]の時間計測方法を用いた,テレビのGRP と比較可能な,オンライン広告キャンペーンに対するGRP(以下eGRP と表記) の計算方法。
[31][30]において,ユーザへの1 回の広告配信開始の事実に1 回未満の広告配信効果を認める方法。
[32]広告主からキャンペーン情報が与えられた際の請求項3 のeGRP の予測方法。
[33][29]のonline viewable time を用いた,全体の広告量に対する広告主の広告の比率を表す量である,Share of Voice の計算方法。
[34][30]のeGRP を与えられた際に時間に基づいたCPXs 形式の入札額を提案する方法。
1. 現在の広告をはじめとする Web コンテンツにおいては,ユーザがコンテンツに注意を向けているか否かを考慮に入れた有効な効果指標が存在しなかった。本発明によりコンテンツが注意を集めているかどうかを含めて,ユーザに対してコンテンツが有効であった時間を測ることができる。
2. 現在の広告をはじめとする Web コンテンツにおいては,ユーザがコンテンツに注意を向けているか否かを考慮に入れた有効な課金方式が存在しなかった。今回の発明によりコンテンツが注意を集めているかどうかを含めて,ユーザに対してコンテンツが有効であった時間に基づいて課金をすることができる。
3. 2 において,単位時間当たりの料金が一定である場合,これは広告の表示時間に基づいた料金となる。理想的には広告の料金はその広告の効果に対応すべきであり,この発明により広告の価格に広告の効果をより多く反映することができる。
4. Web 映像コンテンツの効果指標として,既存の映像コンテンツであるテレビ広告の指標はなじみやすく便利である。この発明により,既存のテレビ広告の効果指標では不可能である,実際のコンテンツの到達率を基にした効果指標が実現される。
5. Web コンテンツにおいてコンテンツ上にマウスカーソルが乗せられたことから,そのコンテンツがユーザにとって効果的であったことが示唆される。この発明と他の効果指標の組み合せにより,Web コンテンツの効果的な部分をより精緻に測定できる。
6. 映像コンテンツにおいて音声の有効化が行われたことは,そのコンテンツがユーザにとって効果的であったことが示唆される。この発明により,映像コンテンツの効果的な部分をより精緻に測定できる。
7. Web コンテンツにおいて,音声が有効となっていた時間とマウスカーソルがコンテンツ上に乗っていた時間は,Web コンテンツがユーザの注意をどれだけ引くことができたかを示す重要な指標となりうる。この発明により,この情報を広範なWeb コンテンツで利用可能になる。
8. ブラウザ上で時間毎に変化する Web コンテンツにおいて,どの時間にどの位置がクリックされたかという情報は,Web コンテンツの効果を測る際に非常に重要である。この発明を用いることで,映像コンテンツをはじめとした様々な Web コンテンツでこの情報を利用できるようになる。
9. Web コンテンツ上の
Facebook の Like ボタンがいつ押されたかという情報は,ユーザがコンテンツにいつ反応したかという情報の一つであり,コンテンツの効果を測る際に有用であると考えられる。この発明を用いることで,様々な Web コンテンツでこの情報を利用できるようになる。
10. 映像コンテンツにおいて巻き戻しが行われたことは,そのコンテンツがユーザにとって効果的であったことが示唆される。この発明により,映像コンテンツの効果的な部分をより精緻に測定できる。
11. 映像広告をはじめとする一部の映像コンテンツにおいて,現在は一度配信が終わったコンテンツを同一セッション中では見直すことができない。これは,ユーザにとっては有用な情報を得る機会を失っている可能性があり,コンテンツを配信する側にとっては興味を持っているユーザに訴求する機会を失っている可能性がある。この発明により,これらの機会損失を防ぐことができる。
12. 既存のオンライン広告の課金体系は 2 のようにはなっていない。この発明により,2 の課金体系で広告を配信できる。
13. 既存の広告配信システムでは,多くの場合広告の配信時間を考慮に入れず,1 つの広告配信機会では単一の広告を配信する。これにより 1 つの広告が広告主の希望する時間よりも長い時間配信されてしまうことがある。この発明により,広告主の希望する時間に応じた広告配信を行うことができる。
14. 広告配信の目的の 1 つは,広告主の希望する対象に希望するだけの量の広告を配信することである。この発明により各々の広告キャンペーンの目標に過不足なく到達しやすくなる。
15. ユーザがウェブサイト間の遷移を行う寸前に見た広告に興味を持っていた場合,この広告を見ることができないことは,ユーザと広告主の双方にとって機会損失である。この発明によりこういった機会損失を減らすことができる。
16. 15 において,仮にユーザがサイト間遷移を行うまでに配信途中の広告の大部分を見ていたとすれば,その広告の継続配信を行うことは,他の広告の広告主とユーザにとって機会損失となりうる。この発明によりこういった機会損失を減らすことができる。
17. 現状の広告配信機会の競売においては,単位時間当たりの価格を用いて入札を行うことができず,望んだ時間より長い,あるいは,短い時間しか表示できない広告配信機会を購入している。この発明により,広告主は単位時間当たりの価格を用いて広告配信機会を買うことができ,望むだけの時間の広告配信機会を得やすくなる。
18. この発明により,17 を実現できる。
19. 映像広告はテレビ広告と類似しており,その配信順序に依らずに配信の料金が発生するべきであると考えられる。この発明によりそれが実現される。
20. 広告配信機会の競売において,その機会の公正な価格付けがなされるためには,活発な競争が必要であると考えられる。この発明により入札者間での競争が活発化し,適正な価格付けがなされることが期待される。
21. 現在の広告配信機会の売買の方式から単位時間当たりの価格による売買の方式に移る際に,既存の方式と新方式を繋ぐ界面の存在が不可欠である。この発明により,既存の方式と新方式を繋ぐことができる。
22. CPC 価格による入札を行うことを希望する広告主が存在した場合に,適切な広告の表示時間を発見することは,CPXs で売買を行う市場並びに CPC 入札を行う広告主にとって必要不可欠なことである。この発明により,希望する CPC に応じて配信時間を決定することが可能になる。
23. 競売にかけられている広告配信機会の中には,ユーザから注意を得られる時間が長いものがある。これらの機会は広告主にとってユーザの認知を獲得する可能性が高いものである。この発明により,これらの質の高い機会を優先的に購入することで,広告の費用対効果が向上する。
24. 現在の広告配信機会の売買の方式から単位時間当たりの価格による売買の方式に移る際に,既存の方式と新方式を繋ぐ界面の存在が不可欠である。この発明により,既存の方式と新方式を繋ぐことができ,市場の価格決定の方法をより公正なものへと導くことが期待される。
25. 4のテレビ広告で用いられる指標について、テレビ広告の場合の指標と、Webコンテンツの場合の指標とが比較可能であれば便利である。この発明により、それらが比較可能になる。
26. 25の指標をキャンペーン開始時に予測することができれば、様々なメディアを用いたキャンペーンの効果を予測することができる。この発明により、25の指標を予測することができる。
27. 17の競売において、4の指標を基に入札できることは、テレビ広告に慣れている広告主にとって便利である。この発明により、4の指標を基に入札可能になる。
28. 現在のオンライン広告業界において,クリックの価値は比較的不明確である。この発明により,クリックの価値が広告主保有のサイトでの滞在時間として明確化される。
29. オンライン広告では,広告枠の形やサイズによりその広告効果が違っていると考えられる。この発明により,ユーザの注意のみならず広告の効果を考慮に入れた時間の計測が可能になる。
30. テレビは視聴することしかできない受動的なメディアであるのに対し,オンライン広告は相互作用可能な能動的なメディアであり,比較の際にはそれらを考慮に入れた指標が必要である。この発明により,テレビ広告とオンライン広告の比較が可能になる。
31. 請求項 30 の方式で計算を行う際に online viewable time を直接的にテレビの広告
表示時間と比較して
eGRP を計算することは,オンライン広告の効果を過小評価しがちである。この発明により,テレビの GRP と eGRP を比較可能にできる。
32. テレビ広告を主に用いる広告主にとっては,オンライン広告を利用する前にその効果を予測できれば便利である。この発明はそれを可能にする。
33. 同系統の広告の全体量と自身の広告の量を比較することは 広告の費用対効果を見る際に不可欠なことである。この発明により,この比較が可能になる。
34. テレビ広告を主に用いる広告主にとっては,オンライン広告を利用する際に,使い慣れた指標である GRP に類似の指標に基づいて入札額を決定できれば便利である。この発明により,テレビ広告を主に用いる広告主がオンライン広告を利用しやすくなる。
本発明によるviewable time 計測の概要を示す模式図である。 本発明によるviewable time 計測手順のフローチャートである。 本発明による一態様のシステムの構成例を示す模式図である。 本発明によるGRP指標計算方法の一例を示す模式図である。 本発明によるMouse Rollovers指標計算方法の一例を示す模式図である。 本発明によるSound−Ons指標計算方法の一例を示す模式図である。 本発明によるClicks指標計算方法の一例を示す模式図である。 本発明にFacebook Likes指標計算方法の一例を示す模式図である。 本発明によるRewind指標計算方法の一例を示す模式図である。 本発明によるスコア計算方法の一例を示す模式図である。 本発明によるスコア計算方法を用いたシステムの一例を示す模式図である。 本発明によるスコア計算方法を用いたシステムの別の例を示す模式図である。 本発明によるスコア計算方法を用いたシステムの別の例を示す模式図である。 本発明によるスコア計算方法を用いたシステムの別の例を示す模式図である。 本発明によるシステムの別の例を示す模式図である。 本発明で用い得る関数fの概形を示すグラフである。 本発明によるシステムの別の例を示す模式図である。 本発明によるシステムの連携例を示す模式図である。 本発明によるシステムの連携例を示す模式図である。 本発明によるシステムにより実現される市場の例を示す模式図である。 本発明によるeGRP指標計算方法の一例を示す模式図である。 本発明によるeGRP指標予測方法の一例を示す模式図である。 OMVT 測定方法の一例を示す模式図である。 サイトの広告枠とブラウザの関係の一例を示す模式図である。 TV の GRP と eGRP の比較の一例を示す模式図である。 計測のフローチャートの一例を示す模式図である。 MVT の計測を実現するシステムの一例を示す模式図である。 eGRP の計測を実現するシステムの一例を示す模式図である。 eGRPを推定するシステムの一例を示す模式図である。 入札額を提案するシステムの一例を示す模式図である。 4 つの例で考えられている状況と,その例で計算された eGRP の一例を示す模式図である。
次に、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
本発明の第一の特徴は、Web コンテンツがユーザのブラウザにダウンロードされ,コンテンツの配信が開始される。配信開始後,次のページに遷移する前に以下の 3 条件を満たしている時間を Webコンテンツの viewable time T と定め、これに着目した点である。
前記 3 条件は以下の通りである:
1. Web コンテンツが十分に表示されていること:ts 秒ごとにブラウザ内でのコンテンツの位置情報を取り,コンテンツの縦の長さ h と横の長さ w からユーザにとって可視であるコンテンツの表示領域の割合 rv = Sv /(h×w) を計測する。ここで、Sv はユーザに可視である部分の面積である。rv
< θv ならば可視でないと判定する。
2. ブラウザ (タブ) がフォーカスされていること:ユーザがブラウザ以外の場所をクリックしたときに,ユーザの注意がブラウザに向かっていないと判定する。また,コンテンツを表示しているブラウザタブがアクティブでなければユーザの注意がブラウザに向かっていないと判定する。
3. ユーザの注意がブラウザに向かっていること:注目するユーザのブラウザ上でのアクションの集合を A とする。最後のユーザのブラウザ上でのアクション a ∈ A(Aはクリック,マウスオーバーなどを含む) から時間 tu の間にユーザが新たなアクションを起こさなかった場合,注意がブラウザに向かっていないと判定する。
上記の 1〜3 どれか一つでも満たされなくなった場合には,計測を一時停止する。その後に上記の条件全てが再度満たされた場合には,測定を再開する。
viewable time 計測の様子を図1に示す。また,viewable time 計測手順のフローチャートを図2に示す。
図1において、点線で囲まれた部分がウェブサイトであり,4 つのコンテンツを持っている。ブラウザはウェブサイトの一部を見せている。先程の条件 2 と 3 が満たされていれば,θv = 0.5 のときにはコンテンツ 3 は viewable であり,それ以外は viewable でない。
この viewable time 計測により,従来の広告の効果指標に加えて新たな効果指標を導入することができる。これらの効果指標については後述する。
(1)viewable time に基づいたオンライン広告価格
最初に述べたように,現在のオンライン広告はインプレッションを単位としたCPM (cost per mille) 価格で販売されている。以下では,本発明で導入される viewable time を用いることで時間を単位とした価格づけを行う方法を説明する。
(1.1) CPS
ここでは、時間に基づく価格である CPS(cost per second) および CPXs(cost per 10000 second) を導入する。CPS はある広告枠で発生した広告の配信機会において,広告が viewable である状態を 1 秒間得る際の料金である。以下ではユーザがあるサイトを訪れたことを仮定し,そのサイトのある広告枠の CPS を計算する方法を述べる。
まず,ユーザ u が広告媒体のサイト m にアクセスしたと仮定する。このサイトにはオンライン広告の広告枠 fmj (j = 1, …, ns) があるとする。現在,この広告枠を購入する方法として,大きく分けて以下の 2 種類がある:
1. オンライン広告の広告枠を持つ広告媒体と交渉し直接購入する。
2. ユーザ u や広告枠 fmj の情報を基に広告枠のオークションである
RTB (real−time
bidding) に入札する。
ここでは 1 の状況下での CPS を導入する。2 の状況下でも同様のことを行うことができる。
この広告枠に表示できる広告の集合を Amj とする。また広告 a ∈ Amj が要求する表示時間 (あるいは,広告の時間的長さ) を l(a) とする。広告枠 fmj に対する時間的需要 dmj はΣa∈Amj wa = 1 となる適切な waを用いて
と表される。例えば,wa = 1/|Amj| である。仮に fmj の CPM 価格が pmj であったとすると,CPS 価格 ps mj はこれを用いて
と定められる。この枠の viewable time を Tmj とすると,Tmj > dmj であれば,それぞれの広告の表示時間の必要に応じて広告を流し,広告枠を現在よりも有効に活用することができる。また,CPS と CPM の比較を容易にするため,10000 秒当たりの価格 CPXs
pmj を pmj =
10000 ×ps mj で定める。
また,この CPS を用いて課金した際の広告媒体の収入を考えると以下のようになる。
まず,CPM 価格の下では,広告媒体が fmj での配信により得る収入は 1000インプレッション当たり pmj = (pmj/dmj)×dmj である。一方 CPS で価格付けを行えば同様にして 1000
インプレッション当たり 1000 × ps mj Tmj =pmj ×Tmj / dmjとなる。かくしてTmj
> dmjであれば広告媒体は現在より多くの収入を得る。
(1.2) 従来の課金方式との違い
インプレッションに対して視聴可能性の観念を導入したものは既に存在し,viewable impression と呼ばれている。これは以下のように定義される:
viewable impression とは,広告枠の一定以上の部分 (例えば 50% 以上) がユーザのアクティブなブラウザの可視領域に一定時間 (例えば 1 秒以上) 現れたものである。
現在これを用いた 1000 インプレッションごとの価格 (CPMv) は既に存在するものの,この CPMv と今回述べた CPS(CPXs) は全く異なる物である。というのも,CPMv はインプレッション単位で価格が与えられるのに対し,CPS は『1 秒当たり』という時間を
単位とした価格を考えているためである。例えば,CPMv が cv で CPS が c であるような広告枠に広告を配信し,時刻 t1 秒から t2 (t2 > t1, t2 − t1 >
1) 秒までの間と t3 からt4 (t4 > t3) までの間に広告枠が viewable であったとする。このとき,CPMv による価格は cvであり t2− t1 と t4− t3 の値に依存しないが,CPS による価格は c×(t2 + t4
− t1
− t3)となり,viewable time に依存する。
また、今回のCPXsに類似したもうひとつの課金方式として広告の表示時間に基づいて料金を決定する方式(ここではcost per time(CPT)と表記する)が存在する。CPXsとCPTの違いとして、後者は広告の表示時間に基づいて料金を決定するのに対し、前者はユーザが広告に対して注意を向けている時間に基づいて料金を決定していることが挙げられる。例えば、CPTの下では、ユーザが席を外していても広告が表示されていれば料金は増大していくが、CPXsの下では、ユーザの行動の間隔について適切な閾値tuを設定することで、料金の増大を避けることができる。
(1.3) 広告の効果に応じて変動する CPS 価格
以下では広告に対するアクション (クリック,巻き戻しなど) を考慮して広告クリエイティブごとに CPS を修正する方法について述べる。
ある広告主の広告の長さを L とし,これを CPS が α0であるような枠に掲載することを考える。広告に対するユーザのアクション ak の集合を A = {a1, a2, …, aK } とする。また,それぞれのアクション ak
の価値 (スコア) を sk とする。さらに,i < j ⇒ si
< sjを仮定する。(si = sj であるアクションを同一視する。) このとき,以下の手順で CPSを修正し,時間依存の CPS: c(t) を定めることができる:
1. L を J 個の同じ大きさの区間 Ij = [(j − 1)L/J, jL/J ) (j = 1, …, J ) に分割する。
2. それぞれの Ij においてアクション akが発生する確率 pk (j)を過去のデータから推定する。
3. それぞれの区間 Ij におけるスコアの期待値 Sj = Σk skpk (j)を計算する。
4. Sj から c(t) を決める。例えば,c(t) がそれぞれの Ij
の上で一定値
cj をとるとして、広告主にとってのCPIを変えないこと:
を満たし、それぞれの cj が Sj に比例するように cj を決定する。
これは,例えば以下のような手順で行うことができる。
上記2において、pk (i) はユーザのアクションとその時間のデータ
を得たとき,以下を用いて推定することができる:
(式中、njk は D の中で区間 Ij において起こった ak の数,n* kj はそれぞれの確率に関する事前知識を表す。また,Nj は次式で定義され,j 個目の区間以降で起こった総アクション数を表す)。
推定された確率 pk (j) を用いて,区間の評価 Sj を計算しこれを基にそれぞれの区間 Ij でのCPS:cj を以下のように計算できる:(ここでは Sj > 0 を仮定する。Sj ≦ 0 となりうる場合には別の方法を考える。例えば,Sj を底上げして Sj > 0 とするなど)
今回は,ある広告主の 1 つの広告について CPS を修正するということを行ったが,広告枠ごとにこの手法を適用することも可能である
(広告枠にくる平均的な広告についてこの手法を適用したと考えればよい。)
これを実現するシステムの構成例を図3に示す。
[2]Web コンテンツの効果指標
世には様々な Web コンテンツが存在しており,広告もその一つである。前節で計測方法を説明した viewable time や,既存の効果指標を参考にして,Web コンテンツについて下表のような指標を考えることができる。

これらの指標は広告に限らず一般の Web コンテンツに対して計測を行うことが可能である。例えば,viewable time は元々広告の効果指標であるものの,Web コンテンツの観点から見ればその Web コンテンツが視認され得た時間を表す指標として用いることができる。これらの効果指標を用いて広告のみならず一般の Web コンテンツを用いたキャンペーンの目標を定めることができ,Web コンテンツの効果を測る新たな方法を創出できる。以下では,これらの Web コンテンツの効果指標のうち新しい効果指標の幾つかについて記す。
(2.1) GRP に関する新しい考え方
GRP は主にテレビ広告で用いられる指標であり,広告が視聴された回数と広告の到達率を考慮したものであり,以下の式で与えられる:
GRP = 100 × (r /R)×f
ここで広告の R は潜在的な視聴者の総数であり,r は実際に広告が得た視聴者の数,そして f は広告の配信回数である。オンライン映像広告などの動画コンテンツでは,コンテンツ c の GRP として視聴時間を加味した以下のものを考えることができる。
ここで,Rc はコンテンツ c の潜在的な視聴者の総数,Uc は c を視聴したユーザの集合,Vu はユーザ u がコンテンツ c を視聴した日時の集合,tv はユーザが視聴機会 v を得たときに広告を見た時間,そして r(t) は時間 t だけ広告を見せたときの広告の効果である。ここで,0 ≦ r(t) ≦ 1 である。
この指標の計算を実現するシステムの概略図を図4に示す。図では、右のデータベースからデータを取り出し、GRPを計算している。また、企業サイトなどを含めた複数のメディアを用いて広告配信を行う際に、これらメディア全体としてのGRPを計算したいことがある。例えば、テレビは受動的なメディアであり、コンピュータやタッチパネルを搭載した携帯電話はインタラクティブなメディアであり、これらを比較する際にこの指標は便利である。この全体としてのGRPの計算方法の1つとして、以下のeffective GRP (eGRP)を考えることができる:
ここで、Mは広告が配信されたメディア、Umはメディアmに訪問したユーザの集合、Vuはユーザuがメディアmを訪問した時刻の集合、R(M)はM内のメディアを全て合わせたときのリーチである。あるいは、テレビ広告の潜在リーチ(広告の放送地域の住人数)をR(M)として用いてもよい。また、w(m,u)はm,uから決まる値であり、例えば、uがオンライン広告から自社サイトに訪問した際に0を取ることによって、広告のリーチを2重に数えることを防ぐことができる。さらに、テレビのw(m,u)を1にすることで、テレビ広告と比較した際のそのコンテンツの広告効果を考えることができる。
更に、広告主が以降の節で説明する、CPXsでの入札額bを与えたとする。このとき、以下の式を用いることで予測eGRP を計算することができる:
ここで、Tはコンテンツのターゲティング属性を表す。また、M(T)はTで指定される属性を持つメディアの集合である。Um(T)についても同様である。W(m,u,b)は入札額bで性質が(m,u)である枠を購入できる確率であり、f(u)はユーザuの予測訪問回数、r^(m,u)は(m,u)から予測される、広告を1度配信したときの広告の効果である。ここで、0≦r^≦1である。これにより、Webコンテンツによるキャンペーンの開始前にテレビ広告によるキャンペーンとの比較を行うことが可能になる。
(2.2) Mouse Rollovers
Mouse Rollovers はマウスが Web コンテンツの上に乗った回数と時間を数えるものである。具体的には以下の手順で行われる:
1. Web コンテンツ c の動作が始まったのち,マウスの位置 p0 を計測する。
2. 一定の時間間隔 i ごとに時刻 t でのマウスの位置 pt を計測する。pt と pt−i を比較して,pt−i でマウスが Web コンテンツに乗っておらず,pt でマウスが Web コンテンツに乗っている場合に Mouse Rollovers の回数を 1 増やす。また,pt−i と ptの双方でマウスが Web コンテンツに乗っている場合には,Mouse
Rollovers の時間を i だけ増加させる。
計測の様子を図5に示す。
(2.3) Sound−Ons
Sound−Ons は,音声を含む Web コンテンツが配信されている最中にコンテンツの音声をオンにした回数と時間を計測したものである。これは以下の手順で計測される:
1. ある Web コンテンツが動作を開始したとき,音声をオフにする。
2. 音声のボタンをクリックすると音声がオンになり,Sound−Ons の回数が 1 増え,Sound−Ons の時間が計測開始される。
3. ユーザが音声をオフに切り替え,再度オンに戻した場合,回数は増加しない。
Sound−Ons の時間の計測は再開される。
計測方法のフローチャートを図6に示す。
(2.4) Total Dwell Time
Total Dwell Time は Mouse Rollover の時間と Sound−Ons の時間を足したものである。これらの時間はユーザが動画に向かって注意を向けていることが予想され,Web コンテンツがどれだけ注意を集めたかを示す指標の一つとして用いることができる。この指標は Web コンテンツの毎回の配信毎に計測できるほか,配信全体としての値を計算することも可能である。
(2.5) Clicks
Clicks は従来のクリック数に,クリックが行われた空間的位置と広告内における時間的位置とを加えたものである。これにより,より精密に広告のどの部分が効果的であったかを測ることができる。これは以下のようにして実現される。
1. ユーザがコンテンツをクリックすると,ユーザのブラウザはクリックの測定を行うサーバと通信を行う。この際,ユーザのブラウザはユーザによりコンテンツがクリックされた時間的・空間的位置と (もし存在すれば) クリックしたコンテンツのランディングページの URL を測定サーバに送る。
2. 測定サーバは、ユーザによりコンテンツがクリックされた時間的・空間的位置とコンテンツが配信されたコンテンツ枠の情報をコンテンツごとに保存し,(必要なら) ユーザをランディングページへとリダイレクトする。
これを行うシステムの構成例を図7に示す。
(2.6) Facebook Likes
Facebook Likes はクリエイティブ内の Facebook Like ボタンが押された回数である。この回数は以下のようにしてカウントされる。
1. ユーザがコンテンツ内の Facebook Like ボタンをクリックする。
2. Like ボタンから Facebook に情報が送信され,対応するページの
Like カウントが1 つ増える。
3. Like カウントが増加したことがコンテンツを包含するタグに伝達される。
4. コンテンツタグから測定サーバに,広告内で Like ボタンがクリックされた時間的位置と Like ボタンが持つ URL 情報,更に広告枠の情報が伝達される。
これを行うシステムの構成例を図8に示す。
(2.7) Rewind
Rewind は,ユーザが映像コンテンツを視聴している最中に巻き戻しを行った回数とそのタイミングを計測するものである。この指標は,映像のどの部分がユーザの注意を引いているかを示す指標の 1 つとなる。また,この指標を計測する際に用いる,以下で説明する巻き戻し機能は特に映像広告を配信する際に有用である。というのも,この機能を用いることでユーザは自分が興味を持った広告を繰り返し視聴することができるようになり,広告がそれを必要とする人々のもとに届きやすくなるためである。
ここから Rewind の計測と機能について説明する。映像コンテンツの枠には,そのコンテンツの視聴時間を表すインジゲータが付いており,そのインジゲータをクリックすることによってコンテンツを所望の位置まで巻き戻すことができる。インジゲータの長さを Lとし,現在配信されているコンテンツ a の長さを Ta 秒とする。定数 0 < r1 < r2 < 1 を定める。r1,
r2 はコンテンツによって異なってもよい。このとき,以下のようにして巻戻し回数を数える:
1. ユーザがコンテンツの t 秒目を見ている際にユーザがインジゲータの長さ l の地点をクリックしたとする。
2. もし t/Ta ≦ l/L なら何も起きず,Rewind の回数としてカウントしない。
3. 上記以外の場合で,もし r1×Ta > t なら,現在配信されているコンテンツの 1 つ前のコンテンツ b の tb 秒目まで戻る.この際,一つ前のコンテンツの Rewind の回数を 1 増やす。
4. 上記以外の場合で,もし r2×Ta > t なら,現在配信されているコンテンツの最初まで戻り,Rewind の回数を 1 増やす。
5. 上記以外の場合で,もし t/Ta > l/L ならコンテンツの Ta×l/L 秒目まで戻し,Rewind の回数を 1 増やす。
この流れをフローチャートに表すと図9のようになる。また擬似コードは以下のようになる。
(3)viewable time の割り振り
この節では,発生したインプレッションを RTB あるいは媒体社との交渉を通じて得たのちに,どのようにしてその viewable time を各々の広告に割り当てていくかについて説明する。
(3.1) 配信の順番の決定
今,ユーザ u が広告媒体のサイト m にアクセスしたと仮定する。このサイト m にある広告枠 fmj に広告を表示する権利を得たとき,以下の方法で fmj に配信可能な広告群Amj の配信順序を決める。
1.全ての a ∈ Amj について,広告,ユーザ,広告枠の性質 (a, u, fmj ) を考慮したスコア Sa = S(a, u, fmj ) を計算する。
2. Sa が高い広告 a が大きな広告の効果を得られるような順序で広告を配信する。例えば,連続して広告を見せる際に,最初に見せた広告の効果が大きいことが知られていれば Sa の降順で広告を配信する。
(a, u, fmj ) の持つ情報のいくつかの例として以下のものが挙げられる。
・ a の持つ情報
- a の属するキャンペーンの目標達成度
- a の属するキャンペーンの残予算
- a の属するキャンペーンの希望入札額
- a の広告クリエイティブの質
- a が継続配信の候補であるかどうか
- a がサイト m の他の枠 fml に出ているかどうか
・ u の持つ情報
- IP アドレス
- クッキー情報
- 使用している OS やブラウザの種類
- 使用言語
- 居住地域
- サイト m の前に居たサイトの URL
・ fmj の持つ情報 (サイト m の情報と広告枠自体の情報)
- 広告枠の価格の推定値 (CPM,CPS など)
- 広告枠の平均的な性質 (クリック率,コンバージョン率など)
- 平均の viewable time
- 単位時間当たりのインプレッション数
- ユーザの平均滞在時間
- 広告枠のサイズ (縦・横)
- fmj の属するサイトの URL
- サイトの種類
- サイト m の他の枠 fml を獲得できているかどうか
配信終了後,配信された広告が属するキャンペーンに対して課金を行う。配信された広告を a1, a2, …, an とし,それぞれの広告の配信時間を t1,
…, tn とする。このとき,akが属するキャンペーン C(ak) へ課す料金 p(ak) は,配信機会を得るためにオークションで支払った金額を pCPM として,次式で与えられる。
(式中,ps は配信を行ったことに対してシステムの運用者が受け取る報酬である)。
(3.1.1) スコア S の例
スコア関数 S の例としては以下が挙げられる。まず,スコアを入札価格部分 B とターゲティング部分 T に分け,
S(a, u, fmj ) = λB(a) + (1 − λ)T (a, u, fmj
)
と定める。ここで,0 < λ < 1 は定数である。こうして,B と T を別々に考える。
B については以下を考えることができる。広告主がキャンペーンゴールとして 4 節のGRP,total viewable time などから 1 つ指定したとする。時点 t での広告 a(に対応するキャンペーン) のゴールの達成度を 0 < ra(t) < 1 と書くことにし,また,同様に時点 t で期待される広告 a のゴール達成度を 0 < r^a(t)
< 1 と書く(様式上、正確に記載できていないが、r^はrの上にハット^を記載したものである。以下、同じ)。これらを基準に以下のようにして各々の広告 a について時刻 t でのビッドスコア ba(t) を計算し B(a) = ba(t) とすることができる。時刻 0 での広告 a の基本ビッドスコアを ba(0) とする。時刻 t での広告 aの目標達成度 ra (t) と目標達成度の予測 r^a(t) を比較して,以下の式を用いて次の時刻でのビッドスコア ba (t + 1) を決定する:
ここで,γはある定数であり,F : [0, ∞) → (0, 1) は適当な単調増加する関数である。こうすることで,a が予測よりも好調 (不調) であるならビッドスコアを減らす (増やす) ことができる。
T については以下を考えることができる。それぞれの広告 a がユーザ u に対する配信が完結する確率 (すなわち,広告 a の配信時間が広告の長さ l(a) 以上になる確率) を pauで表す。このとき,ユーザ u と広告枠 fmj を合わせた特徴ベクトルを Xumj とし,予め推定した広告 a の特徴ベクトルを βa として
と定める。ここで,C0 はある定数である。
この手順の流れを図に10に示す。また,これを実現するシステムの構成図を図11に示す。
(3.2) 広告の継続配信
サイト m1 を訪れていたユーザ u がページ遷移を行い,別のサイト m2 を訪れたとする。ページ遷移が行われた瞬間には m1 で広告 a0 が配信されており,a0 を完全には配信しきれなかったとする。このとき,m2 の広告枠 fm2j で a0 を配信可能なものが存在し,その枠での広告配信機会を得たとすれば,a0 を継続配信することができる。継続配信を行う際には,この広告を m2 で配信可能な広告であると考え,先程の小節のスコアを用いて,ページ遷移直後に配信することができる場合にのみ配信すればよい。
(3.2.1) 継続配信におけるスコア S の例
継続配信対象の広告 a のスコア Sa として,上記のスコア S に継続配信であることの補正を加えたものを用いることができる。例えば,0 ≦ ea(t) ≦ 1 を広告 a を時刻 0 から tまで見たときの a の効果とする。但し,a の全てが配信されたときの効果 ea(l(a)) について,ea(l(a)) = 1 とする。広告の効果がある定数 0 < e
≦ 1(様式上、正確に記載できていないが、eはeの上にバーを記載したものである。以下、同じ)を超えているかどうかを基準として,Sa を修正したスコア Sa′を算出する方法のひとつとして以下を考えることができる:
Sa′ = exp (−(ea(tv) − e)) Sa
ただし,tv は a が m1 で視聴された時間である。
この手順の流れを図12に示す。また,この機能を実現するシステムの構成例を図13に示す。
(4)CPXs(CPS) で入札を行う RTB
現在のところ,CPM で入札可能な RTB は存在するものの,CPXs で入札を行うことができる RTB は存在しない。本節では,CPXs で入札が可能なオークションの実現方法について述べる。また,これを実現するシステムの例を図 14 に示す。
(4.1) 入札希望者に対する入札要請
最初に,ユーザ u が広告枠 fmj を持つサイト m を訪れることにより広告の配信機会が発生し,ユーザが訪れたサイトに対応する広告媒体 (あるいは SSP など) からユーザの来訪が通知される。このとき,広告媒体からはユーザ,サイトの広告枠の組 (u, fmj ) とその枠に対する希望最低価格 b0 が与えられる,(b0 が与えられない場合はこちらで適切な値をb0 に付ける。)(u, fmj ) に対して配信できる広告を持つ広告主 (または DSP など) の集合を A とする。 |A| = N とする。以下の手順でこれらのうちから n ≦ N 個のキャンペーンに入札要請を行う:
1. それぞれの広告主 a ∈ A に対し,キャンペーンの入札履歴のスコア h(a) を計算する。
2. h(a) を基に n 個のキャンペーンを選び,それらに対し入札要請を行う。
広告主 a のスコア h(a) を算出する際に参考にするものの例として,以下が挙げられる:
・ 広告主 a に入札要請を行ったときの入札率
・ 広告主 a の過去の入札額
・ 広告主 a の入札時のオークションの勝率
・ 広告主 a の広告の長さ
h(a) を基に選ばれた広告主を a1, ..., an とする。これらの広告主に対して入札要請が行われるが,入札要請には (u, fmj
) と b0 の情報が含まれている。これらの広告主 a から入札要請に対して返送されるデータ Da は以下のものを含む:
・ CPXs 形式での入札額 ba
・ 配信する広告の長さ (希望視聴時間)la
・ 配信する広告自体
以下では ba ≧ b0 であるものとして扱う。あるいは,これが満たされない広告主 a を以下では落札者となりうる対象から除外する。
(4.2) 配信の順序と価格の決定
この小節では,配信の順序の決定と価格の決定について説明を行う。配信の順序は入札額の高低によって決定される。また,価格の決定方法は幾つかの方法が存在するものの,落札者にとって時間当たりの価格が一定となるようなやり方で価格を決定する。これは同一の時間帯,放送対象地域であれば,テレビ広告の価格がその配信順序に依らないことを参考にしたものである。
前小節で広告主 a1, …, an が返送してきたデータ Da を基にして以下のような手順で配信を行う:
1. 広告主a1, ..., an のデータ Da1 , ..., Dan
に基づいて配信の順序を決定し,その順序で広告配信を開始する。
2. 1 で広告の配信が行われた広告主の集合を Ad = {ai1, ..., aik } とする。このときDai1,
..., Daik を元に CPXs 価格 c を決定する。
1 の配信順序の決定方法として,入札額 bi1 , bi2, ..., bin の昇順で広告の効果が高くなるように配信するということが考えられる。例えば,最初の方に配信された方が広告の効果が高いということが事実であった場合,入札額
bi1 , bi2, ..., bin の高い順に配信を行うということが考えられる。また,入札額の高い順に配信を行った場合において,2 の価格決定方法の例として,以下の 3 つを挙げる:
・ k 番目に高い入札額を提示した広告主の広告まで配信が開始された場合,k + 1 番目に大きな入札額を価格とする。
・ k 番目に高い入札額を提示した広告主の広告まで配信が開始された場合,k 番目の入札額までの平均値を価格とする。但し,予め各々の広告主 a からは支払いうる価格の上限 pa を聞いておき,価格がこれを超えることが予測される場合には配信しない(様式上、正確に記載できていないが、pはpの上にバーを記載したものである。以下、同じ)。
・ 上記において l(≦ k) 番目の入札額を価格とする。
l = 2 として最後の決定方法を用いた場合,配信を行う前に価格を決めることができる。いずれの場合においても,広告主にとっての時間当たりの価格が一定となる。
(4.3) CPXs を用いた課金
今回提案するシステムでは前小節で決定された価格 c を用いてそれぞれの広告主に対し課金を行う。具体的には以下のように価格が決定される。まず,前小節で配信が行われた広告の広告主 ai1 ..., aikのそれぞれについて,広告の配信時間を ti1 ...,
tik とする。
このとき,広告主 il へ請求する料金 Pil は Pil = (c/10000)×til で与えられる。これらの総和 R = Σk l=1 Pil から RTB システムの利用料 F を引いた R − F が広告配信機会を提供した広告媒体 (または SSP,アドネットワークなど) に支払われる。あるいは,予め決定された料金があれば,それに準じて支払いが行われる。
(4.4) CPXs 以外の形式での入札
上記では CPXs 形式での入札を扱ったが,CPXs 以外の形式 (1 クリック当たりの価格(CPC) など) での入札も CPXs 形式の入札額に修正することによって,取り扱うことができる。以下では CPC 形式での入札を扱うが,それ以外の形式での入札に対しても同様のことを行うことで入札を受け付けることができる。以下ではまず,希望 CPC が与えられたときに配信時間を決定する方法を示す。その後に CPC 形式の入札額を CPXs 形式の入札額に修正する方法を示す。
(4.4.1)希望 CPC を元にした広告配信時間の決定
CPC 形式の場合,広告主の目標はクリックを得ることである。そのため,クリックを得られるような長さで広告を配信することを考える。配信する広告を a で表す。この広告を今までに k 回配信し,それぞれでのクリックの有無を (c1, ..., ck) という組で表し,それぞれのクリック時刻を (t1 ..., tk) で表す。但し,cl
= 0 はクリックが無いこと,cl = 1はクリックがあることを示し,クリックが無い場合は tl を配信時間とする。このとき時刻 t でクリックを行っていない確率 S(t) をこれらの情報を用いて推定する。例としては,以下の式を用いることができる。
ここで,nl は時刻 tl でクリックを行っていない,あるいは配信が完了していないデータの数であり,dl は時刻 tl でクリックを行ったデータの数である。どんな場合でも S(t) は単調に減少することに注意する。予めキャンペーンの残り期間やターゲティング属性などを用いて希望する CTR 値 0 ≦ r ≦ 1 を決定しておき,S(Tr) > 1 − r となるような最大の Tr をとる。この Tr を用いて a の毎回の配信時間 ta
ta = Tr + Ca
とする。但し,Ca はある分布からランダムに引き出すものとする。
この機能を実現するシステムの構成例を図 15 に示す。
(4.4.2) CPC 形式の入札額の CPXs 形式への変換
上記の RTB において CPC 形式で入札額を受け入れることは,以下のようにして可能になる。広告 a とユーザと広告枠の情報 (a, u, fmj ) と,訪問時間の情報から予想 CTR(クリック率)r を取り出すことができるようなデータベースを用意する。このとき,CPC 形式の入札額 b と上記の ta を用いて,CPXs 形式の入札額 bX を以下で定めることができる:
bX = (b×r×10000)/ ta
これを用いることによって,CPXs 以外の形式 (CPC) での入札を受け付けることができる。
(4.4.3) 希望GRP形式での入札
上記のRTBにおいて希望GRPコスト形式での入札も行うことができる。希望するGRPコストの値をGとする。広告主が希望する媒体の集合をMとし、Mに配信する広告の時間的長さをLとする。また、広告主のターゲティング属性をTとし、Mに訪れるユニークユーザのうちTに適合するものの数をRとする。これらから与えられるCPXs形式での入札額bは
b={(G×100)/(L×R)}×10000
で与えられる。広告主がbで入札したと考えることでGRPコストによる入札を受け付けることができる。
(5)広告配信機会獲得のための入札額決定
現在,viewable time を獲得する方法の 1 つとして CPM 価格で入札を行うオークション (RTB) でインプレッションを勝ちとる方法がある。この節では,請け負ったキャンペーンの入札額や予算などの情報,そして広告枠とサイトを訪問中のユーザの情報から,オークションへの入札額を決定し,同一の支出で広告の視聴可能時間を長くする方法について述べる。以下の議論は,システムが DSP, RTB のどちらとして稼働している場合にも適用できる。
まずオークションの開始時には 5 節と同様に,インプレッションが発生したサイト mの広告枠 fmj と訪問しているユーザ u の情報の一部が与えられる。また,(u, fmj ) に対応して今回のインプレッションで表示可能な広告の集合 Amj が定まる。これらの情報を用いてオークションへの入札額 B(Amj , u, fmj ) を決定する。B(Amj
, u, fmj ) の具体例を以下の小節で示す。
(5.1) 状況設定
まず,Sα = {(u, fml)|(u, fml) は共通のターゲティング属性 α を持つ } と定め,性質の似た広告枠の集合を定義する。Sα
は α に応じて様々なものが考えられる。ターゲティング属性を固定したものとして,以下では Sα
を S と書く。ターゲティング属性の例としては,以下のようなものが考えられる:
・ ユーザの情報 (居住地域,レファラなど)
・ 広告枠が属するサイトの種類 (スポーツ,経済など)
・ 訪問日時
S を適当に順序付けてそれぞれの (u, fml) を si と書く。即ち,S = {si}n i=1 とする。ここで S に属する広告枠については十分な情報が取られており,以下の情報が推定されているものとする:
・ 枠 si の平均視聴時間 Ti
・ 枠 si の eCPI mi
・ 枠 si から生成されるインプレッションの期待値 ni
ここで、siは, i<jであれば,mi/Ti≦mj/Tj となるように並べられているものとする。以下ではmi/Tiを枠 si の ePPS (estimated price per second) と呼ぶことにする。かくて,上記の条件を別の言い方で表せば,以下のようになる:i
< j なら si の ePPS は aj の ePPS以下である。
CS を S に載せることができる広告を持つキャンペーンの集合とする。ここで,違うターゲット属性で指定される広告の集合 S1 と S2 が存在したとき,S1 と S2 は排反であると仮定する。上記の仮定のもと,各々のキャンペーン c ∈ CS の目標 gc をできるだけ少ない費用で達成することを考える。ここで gc は視聴時間 (秒) で与えられているとする。仮にキャンペーン c の目標が目標インプレッション数 nc の形で与えられていたとしても広告の長さ lc を用いて gc = nc × lc とすればよい。
(5.2) 方法
以下では,実際に少ない費用で c ∈ CS の目標 gc を達成する具体的な方法を示す。まず,割高な枠をふるい分ける方法について記述し,次に入札額の値を定める方法について記す。最後に,ふるい分けの基準の調整について記す。
(5.2.1) 割高な枠のふるい分け
全てのキャンペーンのゴールを達成するためには,G = Σc∈CS gc 秒の視聴時間をオークションで獲得しなければならない。今,θ を Σi≦θ ni × Ti ≧ G を満たすような最小の添字とする。すると, ePPS が mθ/Tθ以下であるような枠から発生したインプレッションをすべて購入すれば,G 秒の視聴時間を獲得できると期待される。加えて,この条件が満たされていれば,各々のキャンペーン c は望んだインプレッション nc 以上のインプレッションを獲得できている。かくて,(理論上は)i ≦ θ であるような広告枠 si から発生したインプレッション全てを購入すればよいということになる(ここでは,キャンペーン c の配信が lc 秒行われたのち,視聴時間が残っている場合には,別のキャンペーン c′の広告が配信されることを仮定している)
(5.2.2 )入札額の生成
上記のインプレッションを獲得するためには,十分に高い入札額を生成してオークションに臨むことが必要である。ここで
α(t) を以下の条件を満たすようなパラメータとする:
・ 目標達成率が予測よりも低いキャンペーンが多い場合にはα(t) は高い値をとる
・ 目標達成率が予測よりも高いキャンペーンが多い場合にはα(t) は低い値をとる
例えば,今のところの目標を達成しているキャンペーンが目標を達成していないキャンペーンよりも多いときにα(t) = mi − 1,そうでないときにα(t) = mi + 1 とすることが考えられる。このα(t) が与えられたとき,以下の入札額 b を枠 si (i ≦ θ) のインプレッションに対して生成する:
b = λmi + (1 − λ)α(t)
ここで 0 ≦ λ ≦ 1 はある定数である。このとき,mi > α
なら b > mi
であり,α
< miなら b < mi である。
上記の入札額は eCPM を基に計算したが,同様の入札額を ePPS に基づいて計算できる:
b = Ti ×(λ (mi/Ti)+(1−λ)α(t))
ここで,α(t) は適当な値に変換されたものとした。
あるいは,システムが RTB として稼働している場合には広告主や DSP から送られてきた入札額 b1, …, bn を元にオークションへの入札額を決めることができる。例として,b1, …,bn は適切な方法を用いて CPM の形式に直されており,bi ≧ bj (i > j) が成立するように順序付けられている状況を考える。このとき,一つの方法としては b1 を用いて,オークションへ返送する入札額 b を b = rb1 とおくことが考えられる。但し,0 ≦ r ≦ 1はある定数である。
(5.2.3) 購買基準の調整
上記の議論では,i ≦ θであるような広告枠 si
を対象として購入することを考えた。しかし,θ は最小のものとして取ったので,RTB のオークションで競り負ける場合や,siが ni より少ないインプレッションしか生成しなかった場合を考慮していない。これらから生じるインプレッションの不足を回避するために以下の 2 つの方法が考えられる。
1. α0
> 1 とする。θ を Σi≦θ ni
×Ti
≧ α0 ・G となる最小の添字で定める。
2. θ は,前の小節で与えたものし,θ より大きな添字で指定される si
についても入札を行うことを許可する。
1 の方式の場合,入札を行う回数が増えるので競り負けを許すことができる。
もし 2 の方法を取る場合には,ePPS が大きな枠に対しては,低めの eCPM 値で入札を行いたい。この方法として以下の手順が考えられる。
1.
f を i ≦ θ
のとき f (mi)
は mi
と同程度であり,そうでないときには f (mi) < mi となるある関数とし,m^i = f (mi)
とする(様式上、正確に記載できていないが、m^はmの上にハット^を記載したものである。以下、同じ)。
2.
入札額の決定の際にm^i を用いる。すなわち、b = λm^i +(1−λ)αまたは,b = Ti×(λ(m^i /Ti)+(1−λ)αとする。
f の具体例としては,
がある。ここで,A, B, μ, s は定数である。もし A = 1, B
= −1/2,
μ= 5
> θ,
s = 0.5 とすれば,f (x) は図16の形となる。
また,これを実現するシステムの構成例を図17に示す。
(6)システムの連携
既存の広告配信機会の販売網と前述のシステムを組み合わせることにより,新たな広告配信機会の販売網を創出できる。図18は,前述のシステムを利用することができる環境を示しており,システムの実現例であるプラットフォームサーバ群は図19のようなモジュール・データベース群を含む。これを実現した場合の市場の例を図20に示す。図20において矢印は広告配信機会の授受の向きを示す。点線より上は従来の形式の市場であり,点線より下は CPXs での入札が可能な市場である。
(7)OMVTとそれに基づくeGRP
(7-1)目的
オンライン広告には様々な効果指標が存在するが,その中で疑問視されているもののう
ちの一つが広告がクリックされた回数である。例えば,クリック 1 回ごとに料金が発生す
る課金方式が存在するものの,click fraud などの無効なクリックを受けることで,この課
金方式は妥当なものでは無くなってしまう。
以下では,クリックの価値はランディングページへと誘導されたユーザがそこで消費した時間であると考え,広告主である企業が所有するサイトにおいて,ユーザが消費した時間として owned media viewable time(OMVT) を定める。さらに,この OMVT を考慮に入れた効果指標や OMVT に基づいた入札額の決定方法について述べる。
(7-2)ユーザの注意に基づいたクリックの効果
現在,オンライン広告業界において,1 回クリックが行われる度に料金が発生する課金体系が存在する。このとき,クリックがもたらす効果は何であるかを考えれば,クリックによって誘導されるランディングページを含む,広告主である企業のサイトにおいてユーザが時間を消費することであると結論づけることができる。以下では,広告主企業のサイトにおいてユーザが消費した時間として,owned media viewable time (OMVT) を定義する。この OMVT を用いて,今まで定かではなかったクリックの効果を測ることができる。
(7-2-1)
Owned Media Viewable Time の定義
ユーザが広告をクリック後に到達するランディングページは,主に広告主が保有するサイト (owned media) である。このランディングページの一部あるいは全てを web コンテンツとして捉え,viewable time を計測することを考える。viewable time は以下の 3 条件を満たす時間として計測される:
1.
Web コンテンツが十分に表示されていること:ts 秒ごとにブラウザ内でのコンテンツの位置情報を取り,コンテンツの縦の長さ h と横の長さ w からユーザにとって可視であるコンテンツの表示領域の割合 rv = Sv/(h×w)を計測する。但し、Svはユーザに可視である部分の面積である。この rv が予め定められた閾値
θv 未満 rv < θvならば可視でないと判定する。
2.
ブラウザ (タブ) がフォーカスされていること:ユーザがブラウザ以外の場所をクリックしたときに,ユーザの注意がブラウザに向かっていないと判定する。また,コンテンツを表示しているブラウザタブがアクティブでなければユーザの注意がブラウザに向かっていないと判定する。
3.
ユーザの注意がブラウザに向かっていること:注目するユーザのブラウザ上でのアクションの集合を A とする。最後のユーザのブラウザ上でのアクション a ∈ A(Aはクリック,マウスオーバーなどを含む) から時間 tu の間にユーザが新たなアクションを起こさなかった場合,注意がブラウザに向かっていないと判定する。
上記の 1-3 どれか一つでも満たされなくなった場合には,計測を一時停止する。その後に上記の条件全てが再度満たされた場合には,測定を再開する。
以上がページの viewable time の定義であったが,更に以下のようにしてページのviewable time を足し合わせることで,owned media viewable time (OMVT) を定める:

1.
ランディングページを p0 とする。ユーザが同一セッション内で,ページ p1, ..., pnを閲覧したとする。それぞれのページで測定された viewable time を t0, …, tn とする。
2.
これらの
viewable time の和 T = t0 + ・・・ + tn を OMVT として定める。
OMVT 測定方法の一例を図23に示す。図中、ユーザが広告主が保有するメディア(owned
media)に残っている際には計測を継続する。矢印はユーザの遷移を表す。viewable time が上記の定義で定められていることから,この OMVT は広告主所有の媒体がユーザの注意を集めた時間であると考えることができる。
(7-3) eGRP
GRP はテレビ広告において用いられる広告の効果指標であり,広告の潜在リーチと比較して,延べどれだけの人に広告を配信することができたかを表すものである。このGRP を模して作られたオンライン広告の GRP である eGRP は一般的に以下で与えられる:
ここで,M は広告が配信されたメディア,Um はメディア m に訪問したユーザの集合,Vu
はユーザ u
がメディア
m を訪問した時刻の集合,R(M) は M 内のメディアを全て合わせたときのリーチである。あるいは,テレビ広告の潜在リーチ (広告の放送地域の住人数) を R(M) として用いてもよい。また,w(m, u) は m, u から決まる値であり,例えば,u がオンライン広告から自社サイトに訪問した際に 0 を取ることによって,広告のリーチを 2 重に数えることを防ぐことができる。
また,上記の eGRP の推定は一般的には以下で行うことができる

ここで,T はコンテンツのターゲティング属性を表す。また,M (T ) は T で指定される属性を持つメディアの集合である。Um(T ) についても同様である。W (m, u, b) は入札額 b で性質が (m, u) である枠を購入できる確率であり,f (u) はユーザ u の予測訪問回数,r^(m, u) は (m, u) から予測される,広告を 1 度配信したときの広告の効果である。ここで,r^ (m, u) は (m, u) から予測される,広告を 1 度配信したときの広告の効果である。0 ≦ r^ ≦ 1 である。ここで,テレビ広告の潜在リーチ (広告の放送地域の住人数) をR(M (T)) として用いてもよい。
以下では,(7-1)節で述べた OMVT を用いてこれらを具体的に計算する方法を示す。
(7-3-1)eGRP
の計算
キャンペーン C の eGRP の計算において問題となるのは R(M
), w とr
の実際の形式である。というのも,eGRP の定義式を見れば,これは広告主の所有するメディアを含めた M に対する R(M) とユーザ u のメディア m(の広告枠) への訪問 v での実効リーチ re(m, u, v) = w(m, u)・r(tv) を定めればよいことがわかるからである。今回は R(M )として広告主から与えられたテレビ広告のリーチ RTV を用いる。ここで言うリーチとして,以下の 2 つの可能性を挙げるが,これらに限定されるものではない:
・ テレビを視聴している世帯数
・ 上記の世帯数から推定された視聴者数
また,w(m, u) として,キャンペーンに関連した広告を放送する広告枠がユーザのディスプレイに占める割合を用いる。また,r(tv) として,tv/LTV を用いる。但し,LTV は広告主から与えられるテレビ広告の長さである。元来の定義では 0 ≦ r(tv) ≦ 1 であるが,ここでは r(tv) > 1 を許す (あるいは,必要であれば r(tv) > 1 のときは r(tv) = 1 と考える。あるいは re(m, u, v) ≦ 1 とするなど) すると,以下により eGRP が与えられる:
1.
ユーザ u が訪問した m において,C に関連した広告が配信されている広告枠を{fmj
} k j=1 で表す。時刻 t でのユーザのブラウザのサイズを Sb(t) とする。
2.
時刻 t において広告枠 {fmj }
k j=1 の可視 (in view) である部分,あるいは可視であるそれぞれの枠全体のサイズの和を S(t) とおく。時刻 t から t + i(i は予め決めておく) での S(t) の時間内での平均値を S とする。すなわち
ここで平均としたのは,マウスオーバーにより拡大する広告枠が存在するためである。また,i を十分に小さくとれば,広告のサイズの平均値はその時間内での広告のサイズと一致することが期待される。同様にして計算したブラウザのサイズSb(t) の平均値を SB と書く。時刻 t = 0 での実効視聴時間 (コンテンツがユーザの注意を引く可能性があった時間) を ve(0) = 0 と定める。時刻 t + i での ve(t + i)を以下の式を用いて定める:
但し,ここでは時刻 t から t + i で {fmj }kj=1 のいずれかが viewable となっていることを仮定した。サイトの広告枠とブラウザの関係を図24に示す。図24は、あるサイトに1 つのキャンペーンに関連する複数の広告枠が存在している場合の例である。枠1〜4 には同一のキャンペーンに関する広告が配信されている。枠2 と枠3,4 の一部がブラウザの可視領域に入っているが,viewable の条件の一つが『枠の50% 以上が可視領域内』であった場合,枠3 はviewable でない。実際の計算の際には枠3 の面積を考慮に入れることも入れないこともできる。
3.
仮にユーザが枠 {fmj } k j=1 の広告のいずれかをクリックして広告主が所有するサイト ma へと遷移した場合,サイト m での ve(m, u, v) の計測を終了し,ve(ma, u,
v)の計測を開始する。このときの ve(ma, u, v) は OMVT を基に上記の更新式を用いて計算する。このとき,ma がブラウザを完全に占有するため,OMVT は画面占有率によって割引かれずに ve が増加していく。
4.
ユーザが m
あるいは
ma から離脱した際に得られる ve が今回の訪問 (m, u, v) あるいは (ma, u, v) により得られた,ユーザが注意を向けた時間 (online viewable time) ve(m, u, v) または ve(ma, u, v) となる。
5.
さらに,各々のユーザに広告が配信されたという事実に対し,一定のポイント Prを付加する。ここで,ユーザが広告をクリックして,広告主が所有するメディアへと遷移した場合にも Pr を付加することができる (但し,付加しないこともできる) 。 以下では表記の都合上ユーザがクリックにより広告主のページへ遷移した場合にも Pr が加算されるように書いてある。例えば Pr = 0.5 とすれば,これを以下のように解釈することができる:同一のユーザに 2 回広告を配信したとき,そのうち 1 回はユーザが広告に注意を払っていて広告の完全な配信が実現している。もう1 回はユーザは主に広告以外のコンテンツを見ており,広告の効果はその表示時間に比例するものの,枠の大きさにより割引かれる。
このようにして得られた ve(m, u, v) を用いて以下のように eGRP は計算される:

すなわち,得られた online viewable time の合計をテレビのリーチとテレビ広告の長さで割ったものに各々のユーザにリーチした効果を足したものとなる。オンライン広告の 1回の表示における表示時間がテレビ広告と同一であれば,テレビのリーチと比べてどれだけの人々に広告が配信されたかを示す指標となる。また,1 回の表示における表示時間がテレビと違っていたとしても,eGRP を適切に重み付けすることでテレビの GRP と比較可能となる。TV の GRP と eGRP の比較を図25に示す。また,これらの計測のフローチャートを図26に示す。また,OMVT の計測を実現するシステムの例を図27に示す。また,eGRP の計測を実現するシステムの例を図28に示す。
図25はTV のGRP とeGRP とを比較した図である。上がテレビのGRP,下がeGRP を表す。横軸がリーチの数,縦軸がGRP
の計算で用いられる広告への正味の接触回数のカウントを表す。白い箱は広告を1 回配信したことがそれぞれのリーチへの接触回数の増加へ寄与する量を表し。テレビの場合には1 回広告に接触したこととなるが,オンライン広告の場合には(この図では)0。5 回分の接触としてカウントする。灰色の箱が広告に対する接触時間の長さにより加算される量である。黒色の箱が広告主が所有するサイト(owned media) で消費した時間により加算される量である。テレビは世帯ごとに接触回数が計測されるが,オンライン広告においてはユーザごとに接触回数が計算される。
(7-3-2)
eGRP の予測
広告主から CPXs 形式の入札額 b が与えられたとき,これを用いて入札したときのeGRP を予測することを考える。上記の定義式から eGRP は以下で予測可能であると考えられる:
ここで,W, f, r^e はそれぞれ推定すべき量であり,以下でその計算方法について示す。また,<u> は,Um において共通のターゲティング属性を持つユーザの集合であり,<Um> はUm をターゲティング属性で分けた,<u> を要素とするような集合である。最終的に式は以下の形となる:
ここで,v^e(m, <u>) は (m, <u>) で得られる online viewable time の予測値である。
まず W を計算する方法について示す。まず,M ′を以下で与える:M (T ) を M (T ) =M′カップMa として2 つの集合に分ける。ここでMa は広告主により所有されているメディアであり,M′ はそれ以外のメディアである。また,M′キャップMa は空集合である。まず,M′ に含まれるm について,W を計算する。過去の情報を基に入札額b でターゲティングに合うユーザu へのインプレッションを獲得する確率W(m, <u>, b) を計算する。例えば,メディアm へ来訪した共通のターゲティング属性を持つユーザ集団<u> についてk インプレッション分のデータとして,それぞれの(最大) 入札額{bi}k i=1 とその入札によりインプレッションが得られたか否かを表す2 値{0, 1} のうちのどちらかをとる値{ai}k i=1が与えられたとする。ここで,ai =
1 がインプレッションの獲得を表すとする。(我々のシステムがネットワークから供給されるインプレッションを扱うオークション(RTB) を開催している場合,全てのai = 1 となる。) このとき,以下で勝率W(m, <u>, b) を定める:

但し,0≦ p(bi) ≦ 1 は bi に依存するある定数であり,1{b≧bi} は b ≧ bi のときに 1 をとり,それ以外の場合に 0 を取る関数である。ここでは,ユーザのターゲティング属性ごとに W を計算したが,<u> について平均を取ることも可能である。また,ここでは,ユーザやメディアに関して網羅的な検索ができることを仮定したが,現実的には現在考慮しているキャンペーン C に類似したキャンペーンを検索し,同様の手法を適用することで計算できる。
Ma については W, fm
の積を推定する。これについては後程説明する。
次に fm, v^e の計算である。前小節においてユーザごとに計測された ve を用いてこれらを推定する。
まず,fm(<u>) について,以下の推定方法が考えられる。ある一定期間 D(例えば,キャンペーン期間の長さ) における Um 中で共通のターゲティング属性を持つユーザ集団を
<u> とする。この中のユーザ u のサイト m への訪問回数 vu の平均値 Σu∈<u> vu/|Um|
と広告の最大配信数 (frequency cap)fc のうち小さいものを fm の推定値とする。(あるいは vu の中央値と。fc のうち小さいもの。)
また,v^e(m, <u>) の予測方法として以下が考えられる。ユーザ集団
<u> に属するユーザu ごとに計測された online viewable time ve(m, u) について,これを訪問回数で加重平均を取ったものを推定値として用いる:
ただし,V = Σu∈<u> vu であり,<u> に含まれるユーザの総訪問回数である。また,vu はユーザ u の訪問回数とユーザ u の訪問時刻の集合の 2 つの意味で用いた。
この fm, v^e についても,<u> に関して平均化した形式で与えることができる。また,こ
こでは,ユーザやメディアに関して網羅的な検索ができることを仮定したが,現実的には現在考慮しているキャンペーン C に類似したキャンペーンを検索し,同様の手法を適用することで計算できる。
最後に Ma に属するメディア ma について W と fm の積の推定値を得る方法を述べる。
以下で積を推定する。
ここで,メディア m のクリック率を cm とした。また,m に関する和は m の広告が maへのリンクとなっているものに対してのみとる。
W, fm, v^e の全てについて <u> に関して平均化した場合には,予測に用いる式は簡単になり,以下のようになる:
ここで,vm はメディア m の予想される総 online
viewable time,nm はメディア m を訪れる予想延べユーザ数である。図29にeGRPを推定するシステムの実現例を示す。
(7-3-3)
Share of Voice
Share of Voice は広告主の打ち出した広告の量が同カテゴリの商品の広告の量に占める割合であり,具体的には以下で定義される。ある広告主の広告 a が得た online viewable time を Ta とし,広告 a と同カテゴリの広告群 A が得た (と予想される)online viewable time を TA とする。ここで,2 つ広告が同カテゴリである基準は以下を含みうる:
・ 広告で扱う商品が類似している。
・ ターゲティング属性が類似している。
また,TA は上記小節の v^e や実際の配信結果を用いて計算できる。例えば,
とできる。ここで,UA, Ue は a を用いたキャンペーン期間中に
A に属する広告を見たと考えられるユーザの集合であり,以下で定められる。UA は我々が配信を行いデータを取得できたユーザの集合であり,Ue は我々が配信できなかったものの A に属する広告を見たと考えられるユーザの集合である。また,v(u) はそのユーザから得られた online viewable time であり,v^e(u) はユーザ u に期待される online viewable time の予測値である。この 2 つの online viewable time を用いて Share of Voice (SOV) はは以下で定義される:
但し,ここで用いられる eGRP は上記の具体化された eGRP である。すなわち,テレビのリーチとテレビ広告の広告長を用いて計算される。
(7-3-4)
目標
eGRP による入札
eGRP の一般的な推定式は

で与えられる。この式の中で b は CPXs 形式の入札額であり,これに依存する項は
W のみであること,そして,W は b に関して広義単調増加であることに注意する。(b を増加すれば,勝率 W は (m, u) に依らず一定であるか増加する。) また,この eGRP の式を bに依存する関数と見て eGRP(b) と書く。これに対して,b に関して 2 分探索を行うことで適切な b を提案できる。具体的には以下のようにする:
1. 予め b の上限 bu を定めておく。この bu は十分大きくとる。探索中の入札額をbs
= 0 とする。また,広告主の目標 eGRP を G とする。bl = 0 とする
2. bs := (bl + bu)/2
とし,eGRP(bs)
を計算する。eGRP(bs)
< G なら,bl := bs とする。そうでなければ,bu := bs とする。
3. 2 を繰り返し,予め決めた十分小さい d に対し,|eGRP(bs) − G| < d となったときに反復を終了する。このときの bs が推奨入札額となる。
上の小節で具体化された eGRP では RTV と LTV は定数であったので,この eGRP 入札は目標 online
viewable time 入札ともみなせる。また,上記の online viewable time予測の際に広告枠のサイズを考慮に入れなければ,広告主が所有するメディアでのviewable time(OMVT) と購入したメディアでの viewable time(paid media viewable time, PMVT) を合わせた目標 viewable
time 入札となる。
図30に入札額を提案するシステムの実現例を示す。eGRP の推定を入札額を変更しながら何度も行う。
(7-3-4)eGRP
計算の例
以下では eGRP を実際に計算する例を示す。以下が計算で用いる数値の説明と仮定で
ある。
・ テレビのリーチとしてテレビの視聴者数を用いる。この数値は (視聴世帯数)×(世帯当たりの視聴者数) で推定され,以下では視聴世帯数を
1500 万世帯 (関東地方の世帯数),今回は世帯当たりの視聴者数を 2。5 人としたため,推定視聴者数は 3750万人となる。
・ TV 広告の広告長を 15 秒とし,TV 広告の 1GRP 当たりの価格を 10 万円とした。かくて,TV 広告で広告主が 1000GRP を得たと仮定する。
・ オンライン広告の予算は 3000 万円とする。
・ 購入したインプレッションは各々のメディアに等分される。
・ Pr = 0。5 とする。
・ ユーザが広告のクリックによって広告主保有のメディアに遷移した場合には
Pr を加算しない。Pr が加算されるのは広告を配信した際のみである。
図31(表題は「表 1」)に,4 つの例で考えられている状況と,その例で計算された eGRP を示す。AVTは平均視聴時間 (average viewable time) を意味し,AOMVT は平均自社媒体滞在時間(average owned media viewable time) を意味する。
本発明はコンピュータや携帯電話などを含む機器が接続されたネットワークにおいて広汎に適用できる。

Claims (34)

  1. 以下の条件の充足によって定義される Web コンテンツのユーザに対する視聴可能性とユーザの注意が向けられている可能性に基づいたコンテンツがユーザに対し有効である時間(以下、viewable timeという。)の計測方法:
    1. Web コンテンツが十分に表示されていることに関する条件:ts
    秒ごとにブラウザ内でのコンテンツの位置情報を取り,コンテンツの縦の長さ h と横の長さ w からユーザにとって可視であるコンテンツの表示領域の割合 rv = Sv /(h×w) を計測する。ここで、Sv はユーザに可視である部分の面積である。rv
    < θvvは設定値)ならば可視でないと判定する。
    2. ブラウザ (タブ) がフォーカスされていること:ユーザがブラウザ以外の場所をクリックしたときに,ユーザの注意がブラウザに向かっていないと判定する。また,コンテンツを表示しているブラウザタブがアクティブでなければユーザの注意がブラウザに向かっていないと判定する。
    3.
    ユーザの注意がブラウザに向かっていること:注目するユーザのブラウザ上でのアクションの集合を A とする。最後のユーザのブラウザ上でのアクション a ∈ A(Aはクリック,マウスオーバーなどを含む) から時間 tu の間にユーザが新たなアクションを起こさなかった場合,注意がブラウザに向かっていないと判定する。
  2. 請求項1の計測方法により計測される viewable time の需要に基づく広告の課金方法。
  3. 広告に対するユーザの行動を考慮に入れて単位時間当たりの価格を時間変化させる請求項2に記載の課金方式。
  4. 請求項1の計測方法により計測される viewable time に基づいて決定されるWeb コンテンツの効果指標としての GRP の計測方法。
  5. 請求項1の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標として,マウスをコンテンツ上に乗せた回数と時間を計測する方法。
  6. 請求項1の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標としての音声をオンにした回数とその時間を計測する方法。
  7. 請求項1の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツがユーザの注意をどれだけ引いたかの指標としての,音声をオンであった時間とマウスがコンテンツ上に乗っていた時間の和を計測する方法。
  8. 請求項1の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標としての,ユーザがクリックを行った時間と位置を計測する方法。
  9. 請求項1の計測方法により計測される viewable time において、Web コンテンツの効果指標としての,ユーザが
    Facebook の Like ボタンに対するクリックを行った時間を計測する方法。
  10. 請求項1の計測方法により計測される viewable time
    において、Web
    コンテンツの効果指標としての巻き戻しの回数とタイミングの計測する方法。
  11. 請求項10の巻き戻し回数を以下の手順により計測する方法
    1. ユーザがコンテンツの t 秒目を見ている際にユーザがインジゲータの長さ l の地点をクリックしたとする。
    2. もし t/Ta ≦ l/L なら何も起きず,巻き戻し回数(Rewind の回数)としてカウントしない。
    3. 上記以外の場合で,もし r1×Ta > t なら,現在配信されているコンテンツの 1 つ前のコンテンツ b の tb 秒目まで戻る。この際,一つ前のコンテンツの Rewind の回数を 1 増やす。
    4. 上記以外の場合で,もし r2×Ta > t なら,現在配信されているコンテンツの最初まで戻り,Rewind の回数を 1 増やす。
    5. 上記以外の場合で,もし t/Ta > l/L ならコンテンツの Ta×l/L 秒目まで戻し,Rewind の回数を 1 増やす。
  12. 請求項2の課金方法により料金が請求される広告配信システム。
  13. 請求項2の課金方法における,広告の時間的長さを考慮に入れた広告配信順序の決定方法。
  14. 請求項13において広告キャンペーンのゴールの達成度を考慮に入れた広告配信順序の決定方法。
  15. 請求項13において,広告を視聴しているユーザが Web ページ間を遷移した際に,広告の残余量を考慮に入れて継続的に広告を配信する方法。
  16. 請求項15における広告の配信順序の決定方法。
  17. 請求項2の課金方法に基づく広告配信機会の競売の方法。
  18. 請求項2の課金方法に基づく広告配信機会の競売の方法を用いた広告システム。
  19. 広告配信の順序に依らず,広告配信の時間当たりの料金を一定とする課金方法を用いる請求項17に記載の広告システム。
  20. 入札要請の対象を入札者の入札履歴から選択する方法を用いる請求項17に記載の広告システム。
  21. 既存の広告価格を用いた入札の受け付けの方法を用いる請求項17に記載の広告システム。
  22. 請求項1に記載の方法においてクリックのタイミングの計測を利用した,与えられた CPC 価格に対応する適当な配信時間の推定方法。
  23. 請求項1で計測される viewable time に基づいた,広告配信可能時間を増す広告配信機会の販売方法。
  24. 既存の広告配信機会の市場と配信時間に応じて料金が加算される広告配信機会の市場を継ぎ目なく繋ぐ,請求項1〜23のいずれかまたは全部に記載された方法及び/またはシステムを用いたシステム。
  25. 請求項4のGRPについて、複数のメディア・コンテンツを用いることを考慮し、テレビ広告の指標と比較可能にしたeGRPの計算方法。
  26. 請求項25のeGRPについて、広告主から得た入札額などの情報を基にそれを予測する方法。
  27. 請求項17の広告システムにおいて、1GRPを獲得する際のコストを用いて入札受け付けを行う方法。
  28. ユーザがweb コンテンツに注意を向けた時間であるviewable time を用いて,広告主の保有するサイトに対しユーザが注意を向けた時間(owned media viewable time, 以下OMVT と表記) を計測する方法。
  29. 請求項28の方法において広告枠のうち,ユーザのブラウザに表示された部分の面積を考慮に入れた広告表示時間の計測方法。(以下,計測された時間をonline viewable time と表記)
  30. 請求項28のOMVT と請求項29の時間計測方法を用いた,テレビのGRP と比較可能な,オンライン広告キャンペーンに対するGRP(以下eGRP と表記) の計算方法。
  31. 請求項30において,ユーザへの1 回の広告配信開始の事実に1 回未満の広告配信効果を認める方法。
  32. 広告主からキャンペーン情報が与えられた際の請求項30のeGRP の予測方法。
  33. 請求項29のonline viewable time を用いた,全体の広告量に対する広告主の広告の比率を表す量である,Share of Voice の計算方法。
  34. 請求項30のeGRP を与えられた際に時間に基づいたCPXs 形式の入札額を提案する方法。


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