JP2014069622A - 船舶係留方法とこの方法に用いられる係留装置 - Google Patents

船舶係留方法とこの方法に用いられる係留装置 Download PDF

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広明 谷
Koyo Nakatani
公洋 中谷
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Abstract

【課題】係留装置を安全に係止できる方法を提供する。
【解決手段】ベルトスリング状に形成されると共に、アイ8が設けられた係留装置1の前記アイ8を甲板9上に設けられたボラード10に、その上端から嵌め込んで直接に掛け、引き続き、アイ8から伸びるベルトスリング状の部分1Aを係留ロープ12の外周に、その撚りに沿って巻き付け、遊端を作業員が暫しの間把持することで、係留ロープ12を自船のボラード10に巻き付けるまでの間、係留ロープ12の加重を一時的にこの係留装置1に肩代わりさせるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、船舶を岸壁や隣り合う他の船舶に係留する場合に、ワーピングエンドやキャプスタンで巻き閉めた係留ロープを自船のクリートやボラードに巻返すに当って、この係留ロープを一時的に係止するために実施される船舶係留方法とこの方法に用いられる係留装置に関する。
更に詳しく説明すると、船舶には種々の形態があることは周知の通りであるが、中にウインチを装備していないタイプのものがある。主として小型船舶、更には艦船等である。このような船舶では、船を岸壁等へ係留したり、海上で隣り合う他の船舶に繋いでおく場合は、クリートやボラードに係留ロープを巻き付けるようにする。
巻き付けるに当っては、確かな係留を保つために、一端を岸壁側や隣り合う船舶のボラードに係留した係留ロープに適度の張力を持たせる必要がある。一般的には、自船に備え付けのワーピングエンドやキャプスタンで係留ロープを巻き締めてから、自船のクリートやボラードにこの係留ロープを巻返る。この時、係留ロープの張力をある程度保持しなければならないために、その負荷を一旦別のロープに肩代わりさせる。即ち、この別のロープをクリートやボラードのフックに係止している間に係留ロープをクリートやボラードに巻き付ける。このようにすることで一定の張力で係留作業が行える。
この別のロープの具体的な構造は、一端に甲板上のクリートやボラードの近傍に設けられたフックなどに係止するためのアイを備えたロープが採用される。素材はナイロンである。また、係留ロープにもナイロン素材が採用されている。
この別のロープは、アイを甲板上のフックに係止した後、係留ロープの周囲に対して、ワーピングエンドやキャプスタン側からこの係留ロープの一端側に向かってしっかりと巻き付け、端を人が把持することによって、この係留ロープの緩みを阻止する。そして、その間に急いで係留ロープをワーピングエンドやキャプスタンから解いて、クリートやボラードに巻返るのである。
また、前記別のロープを係留ロープに巻き付ける具体的な手法としては、例えば図5に示すように、係止する係留ロープの撚りに沿って一本のナイロンロープを巻き付けるやり方と、図12に示すように、予め1本のロープの中央にアイを入れた構造で、アイから伸びた二本のロープ部分を係留ロープに対してチドリ掛けとするやり方とがある。
更に、考慮すべきは、前記別のロープが適用される主として小型船舶或いは艦船等では、大型の船舶等と違って、舷側には安全を確保する手すりの類は殆ど見られない場合が多く、身体を預ける構造物などが殆ど無いことである。
ところで、従来のこの種別のロープは、前記のように係留ロープと同素材のナイロンであるために、第1点として伸びが大きく、併せてロープ間で滑りが生じることが分かっている。また、第2点として劣化の進行も早いという問題点があった。
最も大きな問題として、係留ロープとこの別のロープとの伸びが大きく、甲板上でこの別のロープの端を把持する作業員の移行量が多くなり、結果として最悪の場合、作業者が舷側から海中へ落下しかねない危険があった。しかも、この別のロープが所定の巻き付け位置を保持できずに、係留ロープがずるずると緩んでしまうために、係留ロープの負荷を一時的に肩代わりすると言うこの別のロープ本来の機能が上手く働かない欠点があった。また、劣化の進行が早いと長日月にわたっての安全で確実な係留が損なわれる欠点があっ
た。
このような現状を踏まえ、近年では係留ロープにスーパー繊維(ダイニーマ、ケプラー: 何れも商品名など)が採用されるようになり、係留ロープの伸びに関する問題点は格段に改善された。
しかし、この別のロープは従前通りのナイロンロープが採用されているために、この別のロープの伸び更には早期の劣化による問題点は依然として改善されていないのが現状である。また、前記のスーパー繊維は滑り易い材質であるために、この別のロープによる張力の保持が出来難い問題もある。
そこで、本発明者は、先ず第1の目的である、この別のロープの伸びを可及的に少なくする手段を鋭意研究した。その研究の過程において、係留ロープがこの別のロープに対して張力が緩む方向にずるずると滑る現象は、互いのロープ構造そのものにあることを知見した。つまり、係留ロープも別のロープも共に繊維を撚り合わせて細いロープにし、それをまた必要な太さが得られるように複数本あるいは多数本を撚り合わせて得られるものであるから、表面が波打ち、つまりロープ特有の凹凸の激しい表面構造のために、互いの接触面積が大変少ないことが原因しているためであることが分かった。
更に研究を重ねる過程で、ベルトスリングを用いてみた。係留ロープへの巻き付け方は従来のナイロンロープと同様で、単に係留ロープの撚りに沿って巻き付けて試験をした結果、従来のナイロンロープに比べて格段の改善が見られた。その理由は、ロープとは全く異なるベルトスリングの平面的な表面構造にあると考えられる。つまり、係留ロープに対する接触面積が格段に増大する結果、摩擦抵抗が大幅に増大するためと考えられる。この新知見を基に更に改良を加えた結果、係留ロープにナイロン以外の前記のスーパー繊維などが用いられていても、的確な張力の保持が可能で満足のゆく係留装置を得た。
しかし、例えば5000t級或いはそれ以上の大型船舶などでは、係留ロープに掛かる張力が大きい。その結果、ベルトスリングを採用しても、これを係止する手法は、相変わらず、アイを甲板上のクリート、更にはボラードの近傍に設けられたフックなどに係止することには変わりがなく、フックが大きな張力に耐え切れずに、破損する事例が見られる。
「ロープ類の知識」 東京タンカー株式会社 海務部編 株式会社成山堂書店 平成元年10月28日初版発行
実用新案登録第3130000号公報
解決しようとする問題点は、この係留装置を安全に係止できない点である。
本発明は、係留装置を安全に係止するために、ベルトスリングを係留装置に適用し、併せて甲板上のボラードにこの係留装置を嵌め込んで係止することを最も主要な特徴とする。
請求項1に記載された船舶係留方法は、この基本的な考え方を具体化したもので、ベル
トスリング状に形成されると共に、アイが設けられた係留装置の前記アイを甲板上に設けられたボラードに、その上端から嵌め込んで直接に掛け、引き続き、アイから伸びるベルトスリング状の部分を係留ロープの外周に、その撚りに沿って巻き付け、遊端を作業員が暫しの間把持することで、係留ロープを自船のクリートやボラードに巻き付けるまでの間、係留ロープの加重を一時的にこの係留装置に肩代わりさせるようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の係留装置は、請求項1記載の船舶係留方法に用いられる係留装置であって、合成繊維の平織り組織からなる外層の鞘部と、その内方に超高強度繊維からなり多数本の糸条が鞘部の長さ方向に沿って実質的に互いに平行に、かつ無組織で配列されてなる芯部を備えて扁平な外形形状を呈するベルトスリング状に形成されると共に、アイが設けられていて、当該アイは船舶のボラード径よりも大径に形成されていることを特徴とする。
更に、別の観点から、請求項3に記載の係留装置は、船舶係留方法に用いられる係留装置であって、合成繊維の平織り組織からなる外層の鞘部と、この外層の鞘部の内側に配置されていて、合成繊維からなる糸条を組織して構成された内層の鞘部と、この内層の鞘部の内方に超高強度繊維からなり多数本の糸条が鞘部の長さ方向に沿って実質的に互いに平行に、かつ無組織で配列されてなる芯部を備えてベルトスリング状に形成されると共に、アイが設けられていて、当該アイは船舶のボラード径よりも大径に形成されていることを特徴とする。
係留ロープに巻き付かせた係留装置は、扁平なベルトスリング状であるために、従来のナイロンロープなどと違って、係留ロープとの摩擦抵抗が大きく改善されていて、係留ロープをしっかりとこの係留装置で把持して所期の巻き付け位置を保持する。したがって、係留ロープの負荷を一時的に肩代わりすると言う係留装置本来の機能を上手く発揮させることができる。
しかも、甲板上のボラードにアイを嵌め込んで係止させることによって、従来のアイを甲板上のクリート、更にはボラードに設けられたフックなどに係止する手法と違って、例えば5000t級或いはそれ以上の大型船舶などを係留する際の大きな張力にもかかわらず、これにうまく対処して、係留装置を的確、且つ安全に係止でき、安全な係留作業が可能になり、作業者が甲板から不用意に海中に落下するようなおそれも少なくなり、長日月にわたっての安全で確実な係留作業並びに係留が可能になった。
更に、請求項2に記載の係留装置によると、基本的には係留装置の強度を改善できる。しかも、少なくとも芯部に超高強度繊維からなり多数本の糸条が鞘部の長さ方向に沿って実質的に互いに平行に、かつ無組織で配列することによって、この係留装置そのものの伸びも格段に少なく出来る。
以上説明した本発明の請求項1に記載の船舶係留方法によると、従前の小型船舶や5000t級以下の艦船などで採用されるアイを甲板上のクリート、更にはボラードに設けられたフックなどに係止する手法と違って、甲板上の強度上格段に強固なボラードにアイを嵌め込んで係止させることによって、例えば5000t級或いはそれ以上の大型船舶などを係留する際の大きな張力にもかかわらず、これにうまく対処でき、係留装置を的確、且つ安全に係止することを可能にした。
また、請求項2に記載の係留装置によれば、従来のようなナイロン製のロープを用いず、超高強度繊維からなるベルトスリング状の扁平な帯状体を用いたことによって、係留装
置の強度を格段に改善でき、併せて係留装置そのものの伸びも少なくできるので、安全な係留作業が可能になり、作業者が舷側から海中に不用意に落下するようなおそれも無くなく、長日月にわたっての安全で確実な係留が可能になった。
しかも、扁平な外形形状を備えたベルトスリング状に形成されているために、係留ロープとの相対的な摩擦係数が格段に高くなり、係留装置に対する係留ロープの滑りが、その素材の如何にかかわらず、美味く阻止でき、もってこの係留ロープの負荷を一時的に負担させるという係留装置の本来の機能が遺憾なく発揮され、確実、かつ、安全な係留が可能になった。
また、この発明は別の観点から、請求項3に記載のように、合成繊維の平織り組織からなる外層の鞘部と、この外層の鞘部の内側に配置されていて、合成繊維からなる糸条を組織して構成された内層の鞘部と、この内層の鞘部の内方に超高強度繊維からなり多数本の糸条が鞘部の長さ方向に沿って実質的に互いに平行に、かつ無組織で配列されてなる芯部を備えて三重構造にすることで、その強度と耐久性とをより一層高め、更に高付加価値の係留装置として提供できる。
以上の構成において、超高強度繊維として、請求項4に記載されたように、全芳香族ポリエステル樹脂の高強度繊維、全芳香族ポリアミド樹脂の高強度繊維、超高強度ポリエチレン繊維の何れかが用いられるのが望ましい。
これらの超高強度繊維は何れもが負荷に対して大きな耐性を備え、一般の繊維ベルトに比べて、同等の負荷に対して、対応できるベルトの幅、厚さは共に格段に短く、薄いものを採用でき、取り扱いが容易で、コンパクトに収納できるからである。
また、請求項5に記載されたように、本発明に係る係留装置のアイは、長手方向の一端、若しくは中間部に取り付けられているのが望ましい。
係留ロープの撚りに沿って一本を巻き付ける場合と、大きな負荷が係る場合のチドリ掛けとする場合の二つの使用の態様に上手く対応できるからである。
本発明船舶係留方法の作用の説明図である。 本発明方法に用いられる係留装置の具体構造を示し、一部を切り出して拡大して示した拡大図を含む欠き概観図である。 図1に示される係留装置の長手方向の部分拡大断面図である。 図1に示される係留装置の幅方向の縦断説明面である。 図1に示される係留装置の幅方向の部分拡大縦断面図である。 図1に示される係留装置とボラードの関係を示す平面図である。 本発明係留装置の別の構造を示し、一部を切り出して拡大して示した拡大図を含む欠き概観図である。 図7に示される係留装置の長手方向の部分拡大断面図である。 図7に示される係留装置の幅方向の縦断説明面である。 図7に示される係留装置の幅方向の部分拡大縦断面図である。 本発明の係留装置の更に別の構造を示し、図1に対応する全体の概観図である。 図11に示される係留装置の作用の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を、先ず係留装置について、実施例1〜3の記載に従って説明する。
図2〜図6は、本発明方法に採用される係留装置の具体的な構造を示す。
この係留装置1は、図2に示すように、ポリエステル系合成樹脂繊維、具体的には、テトロン(商品名)の平組織からなる外層の鞘部2と、その内方の、多数本の全芳香族ポリエステルの高強度繊維(一例として「ベクトラン」: 商品名)の糸条3がこの係留装置1、つまりは外層の鞘部2の長さ方向に沿って無組織、かつ実質的に互いに平行に配列されて形成される芯部4とから構成されている。
図3〜5に示すように、上側Aの組織と下側Bの組織とは中間の芯部4を介して上下に区分されていて、上側Aの外層の鞘部2Aの経糸5はこの上側Aに位置している緯糸6と互いに交錯されるが、下側Bの経糸5´並びに緯糸6´とは交錯されない。逆に、下側Bの外層の鞘部2Bでは、その経糸5´はこの下側Bに位置している緯糸6´と互いに交錯されるが、上側Aの経糸5並びに緯糸6とは交錯されない。そして、この上側Aと下側Bとの中空部に芯部4が形成され、多数本の糸条3が配列されている。また、この芯部4を形成する糸条3は、前記外層の鞘部2を構成する経糸5,5´や緯糸6,6´とは全く交錯されない。
図中、7はポリエステル系合成樹脂の結節糸で、図示されるように、適宜の間隔を開けて配置され、上側Aの外層の鞘部2Aの経糸5と下側Bの外層の鞘部2Bの縦糸5´とに、この芯部4を突っ切りながら、交互に交錯されて上側Aの外層の鞘部2Aと下側Bの外層の鞘部2Bとが連結されている。
この第1の実施例の係留装置の理想的な組成を以下に示す。
外層の鞘部経糸の構成
ポリエステル1000d×2本合糸×232本
芯部の構成
ベクトラン1000d×2本合糸×58本
芯部両耳部の構成
ベクトラン1000d×2本合糸×8本
鞘部緯糸の構成
ポリエステル1000d×2本合糸×28本×25mm間隔
なお、前記ポリエステル系繊維としては、代表例としてテトロン等を使用するが、その他いかなるものであっても良く、例えばポリアリレートやナイロン等のポリアミド系の合成繊維、更には他の合成繊維として、前記芯部4に採用された全芳香族ポリエステル樹脂の高強度繊維、全芳香族ポリアミド樹脂の高強度繊維、超高強度ポリエチレン繊維等も採用できる。強度、耐久性を一層高めることが出来る。更に具体的には、ケプラー、ペクトラン、ダイニーマ、テクノーラ、ザイロン(何れも商品名)などで、国産スーパー繊維に限らず、特許請求の範囲に記載の趣旨に反しない範囲でいかなる素材の繊維も採用できる。
このようなベルトスリング状に構成された係留装置1は、更にその一方の端部に図2に示すように、アイ8が形成されてなる。
前記アイ8は、図6に示すように、艦船の甲板9に設けられているそれ自体が強構造物であるボラード10の直径よりも大きな直径を有するように形成されている。その寸法は、適用される艦船の大きさによって適宜選択される。
出来上がった係留装置1は、扁平帯状の外形形状を呈し、外層の鞘部2の上下の表面は、従来のナイロンロープ製とは全く違って、共に平面となった、ベルトスリング状を呈す
る。
得られた係留装置1の仕様は以下の通りである。
本実施例 従来品
ベルト幅 50mm 40mm
ベルト自体の強度 75kN 45kN
形状強度 122kN 74kN
次に、この実施例1の係留装置1で艦船を係留する方法について以下説明する。
図1に示すように、一端が岸壁や隣り合う船舶のクリートやボラード11(図面はボラードを示す)に係止された係留ロープ12が、自船のワーピングエンド或いはキャプスタン13によって巻き取られ、所定の張力が掛けられる。次いで、アイ8を甲板9上のボラード10に、その上端から直接に嵌め込んで係止する。引き続き、アイ8から伸びる帯部分1Aを係留ロープ12の外周に、その撚りに沿って巻き付け、遊端を作業員が暫しの間把持しておく。このようにすることで、係留ロープ12を自船のクリートやボラード10(図面ではボラードを示す)に巻き付けるまでの間、係留ロープ12の加重を一時的にこの係留装置1に肩代わりさせる。この間に急いで、係留ロープ12を自船のボラード10に、一般的には8の字状にして、巻き付けて係留作業が完了する。
係留装置1は、前記のように、少なくとも芯部4が多数本の全芳香族ポリエステルの高強度繊維(一例として「ベクトラン」: 商品名)の糸条3をこの係留装置1の長さ方向に沿って無組織、かつ実質的に互いに平行に配列して形成してあるので、強度を改善できると共に、伸びが殆ど無い。その結果、安全な係留作業を可能にし、また、長日月にわたって確実な係留が可能になる。しかも、ベルトスリング状の扁平な外形形状を呈しているために、係留ロープ12との相対的な摩擦抵抗が、従来のロープを採用するものと全く違って、格段に高まる。その結果、係留ロープ12の素材がナイロンであっても、また、スーパー繊維であっても、それには係わり無く、係留ロープ12と係留装置1との相対的なスリップ現象が生じにくく、係留ロープ12の負荷を一時的に負担させるという係留装置1の本来の機能が遺憾なく発揮され、確実、かつ、安全な係留が可能になる。
しかも、この係留装置1は、艦船の甲板9に設けられているそれ自体が強構造物であるボラード10にアイ8を嵌め込んで係止するようにしてあるから、従前の小型船舶や5000t級以下の艦船などで採用されるアイを甲板上のクリート、更にはボラードの近傍に設けられたフックなどに係止する手法と違って、例えば5000t級或いはそれ以上の大型船舶などを係留する際の大きな張力にもかかわらず、これにうまく対処して、係留装置1を的確、且つ安全に係止できる。その結果、安全な係留作業が可能になり、作業者が甲板9から不用意に海中に落下するようなおそれも少なくなり、長日月にわたっての安全で確実な係留作業並びに係留を可能にする。
更に、図7〜10に、先に示した構造とはまた別の構造を備えた係留装置1を示す。 ここに示す構造は、主としてホーサ用等として更なる強度アップを図るために採用される具体例を示すものである。
芯部4と外層の鞘部2の外に、更に同様の鞘部14(最外層の鞘部という)を備えた構造にしたものである。
この場合の理想的な組成は以下の通りである。
最外層の鞘部経糸の構成
ポリエステル1000d×2本合糸×280本
内層の鞘部経糸の構成
ポリエステル1000d×2本合糸×232本
内層の鞘部両耳部の構成
ポリエステル1000d×2本合糸×32本
芯部の構成
ベクトラン1000d×2本合糸×58本
芯部両耳部の構成
ベクトラン1000d×2本合糸×8本
鞘部緯糸の構成
ポリエステル1000d×2本合糸×28本×25mm間隔
最外層の鞘部14に用いられる繊維は、実施例1に詳述した芯部4や外層の鞘部2に用いられたものと同様のものを適宜に採用できる。
その他の仕様、構造、形状などは実施例1とほぼ同様である。
次に、図11〜12に更に別の構成を備えた係留装置を示す。
係留ロープ12に対するこの係留装置1の巻き付き強度を更に高めるためのもので、得られた係留装置1の中央にアイ8が形成されている。したがって、アイ8からは2本の帯状部分1Aが延設されることになる。
このような構成の係留装置1は、図12に示すように、係留ロープ12に対してチドリ掛けするようにして用いられる。抱き付き強度が大幅に改善され、通常径の係留ロープ12でも所期の機能を十二分に発揮するが、特にホーサ用として有効である。
なお、係留装置1についての以上の各実施例において、図示しないが、係留ロープ12に対するこの係留装置1の把持力を更に高める意味から、係留装置1の係留ロープに接触する側、つまりは裏面側にゴムによる滑り止め構造を備えさせるのが望ましい。具体的な構造は、周知の各種の手法が採用される。
1…係留装置
2…外層の鞘部
3…糸条
4…芯部
8…アイ
9…甲板
10…ボラード
12…係留ロープ
13…ワーピングエンド
14…最外層の鞘部

Claims (5)

  1. ベルトスリング状に形成されると共に、アイが設けられた係留装置の前記アイを甲板上に設けられたボラードに、その上端から嵌め込んで直接に掛け、引き続き、アイから伸びるベルトスリング状の部分を係留ロープの外周に、その撚りに沿って巻き付け、遊端を作業員が暫しの間把持することで、係留ロープを自船のクリートやボラードに巻き付けるまでの間、係留ロープの加重を一時的にこの係留装置に肩代わりさせるようにしたことを特徴とする船舶係留方法。
  2. 請求項1記載の船舶係留方法に用いられる係留装置であって、合成繊維の平織り組織からなる外層の鞘部と、その内方に超高強度繊維からなり多数本の糸条が鞘部の長さ方向に沿って実質的に互いに平行に、かつ無組織で配列されてなる芯部を備えて扁平な外形形状を呈するベルトスリング状に形成されると共に、アイが設けられていて、当該アイは船舶のボラード径よりも大径に形成されていることを特徴とする係留装置。
  3. 請求項1記載の船舶係留方法に用いられる係留装置であって、合成繊維の平織り組織からなる外層の鞘部と、この外層の鞘部の内側に配置されていて、合成繊維からなる糸条を組織して構成された内層の鞘部と、この内層の鞘部の内方に超高強度繊維からなり多数本の糸条が鞘部の長さ方向に沿って実質的に互いに平行に、かつ無組織で配列されてなる芯部を備えてベルトスリング状に形成されると共に、アイが設けられていて、当該アイは船舶のボラード径よりも大径に形成されていることを特徴とする係留装置。
  4. 超高強度繊維は全芳香族ポリエステル樹脂の高強度繊維、全芳香族ポリアミド樹脂の高強度繊維、超高強度ポリエチレン繊維の何れかである請求項2又は3のいずれかに記載の係留装置。
  5. アイは、長手方向の一端、若しくは中間部に取り付けられている請求項2〜4のいずれかに記載の係留装置。
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