以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る撮像ユニット(撮像装置)10について説明する。なお以下の説明における前後、左右、及び、上下の各方向は図中に記載した矢線方向を基準としており、被写体(物体)側が前方となる。図1や図4に外観形状を示すように、撮像ユニット10は前後方向に薄く左右方向に長い横長形状をなしている。
図6や図12に示すように、撮像ユニット10の撮像光学系は、第1群(前方レンズ群)G1と第2群(後方レンズ群)G2と第3群(後方レンズ群)G3を有し、第1群G1に含まれる第1プリズムL11と第3群G3の右方に位置する第2プリズムL12でそれぞれ略直角に光束を反射させる屈曲光学系となっている。第1群G1は、第1プリズムL11の入射面L11−aの前方(被写体側)に位置する第1レンズ(前方レンズ)L1と、第1プリズムL11と、第1プリズムL11の出射面L11−bの右方(像面側)に位置する第2レンズL2及び第3レンズL3とから構成される。第1レンズL1は第1プリズムL11に向く出射面を凹面とした負レンズ(平凹レンズ)、第2レンズL2は入射面と出射面をそれぞれ凹面とした負レンズ(両凹レンズ)、第3レンズL3は入射面を凸面とした正レンズ(メニスカスレンズ)であり、第1群G1は全体として負のパワーを持っている。第2群G2は、入射面と出射面を凸面とした正レンズ(両凸レンズ)である第4レンズL4と、入射面が凸面で出射面が凹面の負レンズ(メニスカスレンズ)である第5レンズL5で構成され、第2群G2全体として正のパワーを持っている。第3群G3は、出射面を凸面とした正レンズ(平凸レンズ)である第6レンズL6で構成され、正のパワーを有する。
前方から後方に向かう第1光軸O1に沿って第1レンズL1に入射した被写体からの光束は、入射面L11−aを通して第1プリズムL11に入り、第1プリズムL11内の反射面L11−cによって第2光軸O2に沿う方向(左方から右方)に反射されて出射面L11−bから出射される。続いて光束は、第2光軸O2上に位置する第2レンズL2から第6レンズL6までの各レンズを通り、入射面L12−aを通して第2プリズムL12に入り、第2プリズムL12内の反射面L12−cによって第3光軸O3に沿う方向(後方から前方に向かう方向)に反射されて出射面L12−bから出射され、撮像センサISの撮像面上に結像される。第1光軸O1と第3光軸O3は略平行であり、第2光軸O2と共に同一の平面(図4、図5、図7及び図11に示す仮想平面P1)内に位置する。撮像ユニット10の撮像光学系は焦点距離可変であり、第2群G2と第3群G3を第2光軸O2に沿って移動させてズーミング(変倍)動作が行われる。また、第3群G3を第2光軸O2に沿って移動させてフォーカシング動作が行われる。すなわち撮像ユニット10の撮像光学系は物体側から順に負、正、正のパワーを有する3群構成のズームレンズであり、変倍に際して第1群G1の光軸方向位置は固定で、第2群G2と第3群G3が光軸方向に進退する可動レンズ群となっている。詳細は後述するが、撮像ユニット10は、手振れなどの振動を原因とする像面上での像振れを軽減させる防振(像振れ補正)機構を備えている。この防振機構は第1群G1中の第1レンズL1を第1光軸O1と直交する平面内で駆動させるものである。以下の説明及び図中における第1光軸O1は、第1レンズL1が防振機構による駆動範囲の中央に位置する状態(振れ補正動作を行なっていない光学設計上の初期位置にある状態)での、該第1レンズL1を通る光軸位置を示している。撮像ユニット10の撮像光学系全体では第3光軸O3上の撮像センサISの位置に像が形成されるが、第1光軸O1に沿う方向においては、撮像ユニット10の前方が物体側で後方が像面側となる。
図1、図2に示すように撮像ユニット10は大きな構成要素として本体モジュール11、1群ブロック12、基板モジュール13、前カバー14、後カバー15を具備している。
本体モジュール11は合成樹脂製のハウジング16を備えていて、撮像光学系を構成する第2群G2と第3群G3と第2プリズムL12がハウジング16内に保持されている。ハウジング16は、左右方向に長く前後方向の厚みが薄い箱状体であり、左端部に取付用凹部17を有し、ハウジング16の左右方向の大部分の領域に、前面が開口された断面略矩形の収納凹部18を有し、取付用凹部17と収納凹部18の間には両者を区切る隔壁19を備えている。隔壁19の中央部には取付用凹部17と収納凹部18を連通させるための連通孔20が穿設してある。収納凹部18の右方には正面視略方形をなす位置決め凹部22が前向きに形成されている。位置決め凹部22内には弾性変形可能な材質からなるパッキン23が支持されている。パッキン23は位置決め凹部22に嵌る方形の枠状をなし、底部に貫通孔24が形成されている。位置決め凹部22の内部には前面及び左側面が開口するプリズム用凹部25が凹設してある。収納凹部18の内周面の前縁部には、ハウジング16の前面より後方に一段後退しかつ前後方向に対して直交する基板支持面27が形成してあり、基板支持面27の2カ所には前向きに突出する係止突起28が設けてある。ハウジング16の上面や下面には係合凹部29A、係合凹部29B、係合凹部29C、係合突起30及び係合突起31が形成される。係合凹部29A、29B、29Cと係合突起30、31はいずれもハウジング16の上面と下面にそれぞれ1つずつ形成されている。さらにハウジング16の右側面には上下一対の係合突起32(図5)と1つの係合突起33(図6)が突設される。
プリズム用凹部25には第2プリズムL12が嵌合固定されている。第2プリズムL12は、第2光軸O2上に位置し左方を向く入射面L12−aと、第3光軸O3上に位置し前方を向く出射面L12−bと、入射面L12−aと出射面L12−bに対して約45度の角度で斜設される反射面L12−cとを備えている。第2プリズムL12をプリズム用凹部25に固定した状態で、パッキン23の貫通孔24を通して出射面L12−bが前方に露出される。
第2プリズムL12の入射面L12−aの左方の第2光軸O2上に、第2群G2と第3群G3が保持されている。ハウジング16の右側壁の内面と隔壁19には共に左右方向に直線的に延びる金属製の円柱部材である第1ロッド36と第2ロッド37の両端部が上下に並べた状態で固定してある。第1ロッド36には合成樹脂製の2群レンズ枠34の上部に形成した挿通孔が嵌合しており、第2ロッド37には2群レンズ枠34の下端部に形成した回転止め溝が係合している。このように回転止め溝が第2ロッド37に係合することにより2群レンズ枠34の第1ロッド36回りの回転を規制しているので、2群レンズ枠34は第1ロッド36及び第2ロッド37に沿って左右方向にスライド可能である。2群レンズ枠34を左右方向に貫通するレンズ保持孔には、第2群G2を構成する第4レンズL4と第5レンズL5が嵌合固定してある。また、2群レンズ枠34の上端部にはナット保持部34a(図5)が形成してあり、ナット保持部34aには軸線が左右方向に延びる雌ねじ孔を備えるドリブンナット38(図5)が嵌合固定してある(ナット保持部34aの一部がドリブンナット38の回転止めを構成している)。ナット保持部34aとドリブンナット38は、トーションバネ130によって弾性的に結合されている。ハウジング16内のプリズム用凹部25の上部のスペースにはステッピングモータからなる第1モータM1(図5)が固定してある。第1モータM1は左方に向かって直線的に延びる回転駆動軸M1aを備えており、回転駆動軸M1aに形成した雄ねじ溝がドリブンナット38の上記雌ねじ溝に螺合している。従って、第1モータM1を動作させることにより回転駆動軸M1aをその軸線回りに正逆回転させると、2群レンズ枠34(第2群G2)が第1ロッド36と第2ロッド37に沿って左右方向に直線移動する。
また第2ロッド37には2群レンズ枠34の右側に位置する合成樹脂製の3群レンズ枠35の下部に形成した挿通孔が嵌合しており、第1ロッド36には3群レンズ枠35の上端部に形成した回転止め溝が係合しているので、3群レンズ枠35は第1ロッド36及び第2ロッド37に沿って(第2ロッド37回りに回転を規制された状態で)左右方向にスライド可能である。3群レンズ枠35を左右方向に貫通するレンズ保持孔には第3群G2を構成する第6レンズL6が嵌合固定してあり、3群レンズ枠35の下端部にはナット保持部35a(図5)が形成してあり、ナット保持部35aにはドリブンナット39(図5)が嵌合固定してある(ナット保持部35aの一部がドリブンナット39の回転止めを構成している)。ナット保持部35aとドリブンナット39は、トーションバネ131によって弾性的に結合されている。ハウジング16内のプリズム用凹部25の下部のスペースには第1モータM1と同一仕様の第2モータM2(図5)が固定してあり、回転駆動軸M2a(回転駆動軸M1aと同一仕様)に形成した雄ねじ溝がドリブンナット39の上記雌ねじ溝に螺合している。従って、第2モータM2を動作させることにより回転駆動軸M2aをその軸線回りに正逆回転させると、3群レンズ枠39(第3群G)が第1ロッド36と第2ロッド37に沿って左右方向に直線移動する。
さらに第1ロッド36と第2ロッド37には遮光枠120と遮光枠121がスライド可能に支持されている。遮光枠120と遮光枠121は3群レンズ枠35(第3群G3)とプリズム用凹部25(第2プリズムL12)の間に位置し、遮光枠120と2群レンズ枠34の間には遮光枠120をスライド方向の適切な位置に保持させる圧縮バネ122が設けられ、遮光枠121と3群レンズ枠35の間には遮光枠121をスライド方向の適切な位置に保持させる圧縮バネ123が設けられている。遮光枠120と遮光枠121はそれぞれ左右方向に貫通する矩形の開口と該開口を囲む枠部を有し、開口によって第3群G3(第6レンズL6)から第2プリズムL12へ進む光束を通過させ、枠部によって不要な光を遮断する。
図3に示すように、1群ブロック12は、第1レンズL1を保持する第1レンズ枠(可動枠)40と、第1プリズムL11と第2レンズL2と第3レンズL3を保持するベース枠(プリズムホルダ)41を有している。図6に示すように、ベース枠41には前面及び右側面が開口するプリズム用凹部42が形成され、プリズム用凹部42には第1プリズムL11が嵌合固定されている。第1プリズムL11は、第1光軸O1上に位置し前方を向く入射面L11−aと、第2光軸O2上に位置し右方を向く出射面L11−bと、入射面L11−aと出射面L11−bに対して約45度の角度で斜設される反射面L11−cと、入射面L11−a及び出射面L11−bに対して直交する一対の側面L11−dを備えている。ベース枠41にはさらに、プリズム用凹部42から右方に貫通するレンズ保持部43が形成され、このレンズ保持部43内に第2レンズL2と第3レンズL3が嵌合保持されている。
ベース枠41には上下方向へ一対のフランジ44が突設されている。それぞれのフランジ44は図5のように正面視してL字(逆L字)状をなしており、上下方向に延設される一辺部に左右方向へ貫通するネジ挿通孔45が形成され、左右方向に延設される一辺部の外面には係合突起46が突設されている。ネジ挿通孔45が開口するフランジ44の一辺部の右側面は平面状のスペーサ挟着面47となっており、スペーサ挟着面47の反対の左側面にネジ挿通孔45を囲むネジ当付座48が形成されている。ベース枠41の左側端部には外囲壁49が形成されている。またベース枠41の外囲壁49の近傍には、上下一対のセンサ支持部55、56が形成されている(図3、図7、図10、図11)。センサ支持部55とセンサ支持部56はベース枠41の後面側に向く略矩形の凹状部である。
図5、図8、図9に示すように、ベース枠41におけるフランジ44よりも右側の部分が、ハウジング16の取付用凹部17に嵌る形状を有している。ハウジング16の隔壁19から第1ロッド36と第2ロッド37の一端部が突出しており(図2に第1ロッド36が隔壁19から突出した状態が示されている)、ベース枠41を取付用凹部17に嵌合させると、第1ロッド36と第2ロッド37の突出端部がベース枠41に形成した位置決め孔57(図10)に挿入されて、ベース枠41の前後方向と上下方向の位置が定まる。またベース枠41のレンズ保持部43がハウジング16の連通孔20に嵌合し、第1群G1を構成する第3レンズL3の出射面が第2群G2を構成する第4レンズL4の入射面に対向する。
ハウジング16には取付用凹部17の上下に一対のフランジ支持座50が形成され、フランジ支持座50にはネジ螺合孔51が左右方向に軸線を向けて形成されている。一対のフランジ支持座50は、ベース枠41の一対のフランジ44のスペーサ挟着面47に対向しており、このスペーサ挟着面47とフランジ支持座50の間隔によって、ハウジング16に対するベース枠41の左右方向位置が決まる。一対のフランジ44(スペーサ挟着面47)と一対のフランジ支持座50の間にはそれぞれ、間隔調整用のスペーサ52が挟着される。スペーサ52は四角形の板状をなし、その一辺部から中央に向けてネジ挿通溝53が形成されている。スペーサ52は厚みの異なる複数種が準備されており、適切な厚みのスペーサ52を選択して挿入する。そして、固定ネジ54の軸部を、各フランジ44と各スペーサ52に形成したネジ挿通孔45とネジ挿通溝53を通して、フランジ支持座50のネジ螺合孔51に螺合させ、固定ネジ54の頭部がネジ当付座48に当接するまで締め付ける。これによりベース枠41がハウジング16に対して固定される。スペーサ52の厚さを異ならせることにより(厚さの異なるスペーサ52に換装することにより)、第2光軸O2に沿う方向における第1群G1と第2群G2の相対位置が変わる。より詳しくは、第3レンズL3と第4レンズL4の間隔が変化する。所定の屈折力(パワー)を持つ第1群G1の光軸方向位置が変化することにより、撮像光学系全体におけるフランジバック調整の効果が得られる。
撮像ユニット10は、手振れなどの振動を原因とする像面上での像振れを軽減させる防振(像振れ補正)機構を備えている。この防振機構は第1群G1中の第1レンズL1を第1光軸O1と直交する平面内で駆動させるものであり、より具体的にはベース枠41に対して第1レンズ枠40を駆動させる。ベース枠41のプリズム用凹部42の周囲に、前方へ突出する2つの移動制限突起60と、前方に向けて開口された有底の凹部である3つのボール支持孔61が形成されている。3つのボール支持孔61は第1光軸O1を中心とする周方向へ概ね等間隔で配置されている。ベース枠41にはさらに3つのバネ掛け突起62が設けられている。図8から図11に示すように、2つのバネ掛け突起62は、第1プリズムL11の入射面L11−aの長辺方向に離間させてプリズム用凹部42の上下方向に突出形成されており、残る1つのバネ掛け突起62は、プリズム用凹部42から左方に突出する支持凸部78の先端部に形成されている。
第1レンズ枠40には、第1レンズL1が嵌合固定される円筒状のレンズ保持部63の周囲に3つのフランジ64が突設されている。それぞれのフランジ64の後面にはボール当接面66(図6、図7)が形成され、このボール当接面66とボール支持孔61の底面との間にガイドボール(抵抗低減部材、球状転動体)67を挟持している。ボール当接面66とボール支持孔61の底面はそれぞれ第1光軸O1と略直交する平滑な平面である。ガイドボール67は第1光軸O1と直交する方向にはボール支持孔61に対して遊嵌しており、ガイドボール67はボール支持孔61内の中央付近に位置するときにはボール支持孔61の内側壁に当接しない。
第1レンズ枠40の外周部には周方向に位置を異ならせて3つのバネ掛け突起68が設けられ、各バネ掛け突起68とベース枠41に3つ設けたバネ掛け突起62との間に引張バネ(付勢手段、コイルバネ)69が張設されている。第1レンズ枠40は3つの引張バネ69の付勢力によってベース枠41に接近する方向(後方)に付勢され、ボール当接面66をガイドボール67に当接させることで第1レンズ枠40の後方への移動が規制される。この状態で3箇所のボール当接面66が3つのガイドボール67に対してそれぞれ点接触しており、この点接触部分を摺接させることで(もしくは、ガイドボール67がボール支持孔61の内側壁に当接していないときはガイドボール67を転動させながら)、第1レンズ枠40は第1光軸O1と直交する方向へ自在に移動可能になっている。ベース枠41のプリズム用凹部42やフランジ44や外囲壁49は、第1レンズ枠40の当該移動を妨げない形状に形成されている。
第1レンズ枠40にはまた、ベース枠41に設けた2つの移動制限突起60を挿入させる2つの移動制限孔70が形成されている。図4や図5に示すように、各移動制限孔70は、第1光軸O1と直交する平面内において概ね正方形をなす矩形内面形状を有している。第1光軸O1と直交する平面内における各移動制限孔70の内側壁の一方の対角線方向をX軸、他方の対角線方向をY軸と呼ぶ。X軸は撮像ユニット10の上下方向、Y軸は撮像ユニット10の左右方向に概ね一致する。第1レンズ枠40は、移動制限孔70の内面に移動制限突起60を当接させるまでの範囲でベース枠41に対して移動することができる。
図5や図11に示すように、ベース枠41内に支持された第1プリズムL11の入射面L11−aは2組の対辺によって囲まれる細長矩形であり、上下方向に長辺(1組の対辺)を向け、左右方向に短辺(別の1組の対辺)を向けて配置されている。以下、入射面L11−aの一対の長辺のうち出射面L11−bに隣接する(入射面L11−aと出射面L11−bの境界部分を構成する)側の長辺を出射側長辺(第1の辺)、これと反対の出射面L11−bから遠い(入射面L11−aと反射面L11−cの境界部分を構成する)側の長辺を先端側長辺(第2の辺)と呼ぶ。入射面L11−aの出射側長辺と先端側長辺を接続する一対の短辺(第3の辺と第4の辺)は、入射面L11−aと一対の側面L11−dの境界部分を構成している。3つのボール支持孔61のうち2つ(ボール支持孔61A、61Cとする)は、第1プリズムL11の入射面L11−aの一対の短辺に沿う位置にある。残る1つボール支持孔61(ボール支持孔61Bとする)は、第1プリズムL11の入射面L11−aの先端側長辺の中央付近に沿う位置にある。3つのバネ掛け突起62のうち2つは、第1プリズムL11の入射面L11−aの一対の短辺のそれぞれの中央付近に沿う位置にある。残る1つのバネ掛け突起62は、第1プリズムL11の入射面L11−aの先端側長辺の中央付近に沿う位置に、ボール支持孔61Bの左方に並んで位置している。また、移動制限突起60は、第1プリズムL11の入射面L11−aの出射側長辺と、この出射側長辺に続く入射面L11−aの一対の短辺との境界付近に配置されている。つまり、ベース枠41において、入射面L11−aのそれぞれの短辺に沿う領域では、先端側長辺に近い側(左方)から、バネ掛け突起62、ボール支持孔61(61A、61C)、移動制限突起60の順で配置されている。
第1レンズ枠40の3つのバネ掛け突起68は、ベース枠41の3つのバネ掛け突起62の前方に位置しており、第1レンズ枠40が防振駆動範囲の中央に位置するときは、図5のように正面から見て3つのバネ掛け突起68と3つのバネ掛け突起62が完全に重なった関係になる。そして、第1プリズムL11の入射面L11−aの一対の短辺を挟む上下位置に設けられる2つの引張バネ69(引張バネ69A、69Cとする)と、先端側長辺の左方に位置する1つの引張バネ69(引張バネ69Bとする)がそれぞれ、第1光軸O1と平行な方向に軸線を向けて延設される。
より詳しくは、第1光軸O1と第2光軸O2を含む仮想平面P1(図4、図5、図7、図11)と、この仮想平面P1に直交して第1光軸O1を含む仮想平面P2(図4、図5、図11)を設定すると、第1プリズムL11の入射面L11−aの先端側長辺に沿って配したそれぞれ1つのボール支持孔61Bと引張バネ69B(引張バネ69Bを支持するバネ掛け突起62、68)は、第1プリズムL11よりも左方の仮想平面P1上に位置している。第1プリズムL11の入射面L11−aの一対の短辺に沿って配した2つのボール支持孔61A、61Cは、仮想平面P1及び第1プリズムL11を挟んで対称の関係で、仮想平面P2よりも入射面L11−aの出射側長辺に近く位置している。第1プリズムL11の入射面L11−aの一対の短辺に沿って配した2つの引張バネ69A、69C(引張バネ69A、69Cを支持する2組のバネ掛け突起62、68)は、仮想平面P1及び第1プリズムL11を挟んで対称の関係で仮想平面P2上に位置している。仮想平面P2は第1プリズムL11の入射面L11−aの一対の短辺の略中央を通っている。換言すれば、引張バネ69Aと引張バネ69Cはそれぞれ、第1プリズムL11の入射面L11−aの短手方向(左右方向)における略中央に位置している。また、第1プリズムL11の入射面L11−aの長手方向(上下方向)において、第1光軸O1からの引張バネ69Aの距離と第1光軸O1からの引張バネ69Cの距離は略等しい。
第1レンズ枠40は電磁アクチュエータによって駆動される。この電磁アクチュエータは、第1レンズ枠40に支持される2つの永久磁石(駆動手段)71、72と、基板モジュール13を構成する回路基板73に支持される2つのコイル(駆動手段)74、75を有するボイスコイルモータである。永久磁石71と永久磁石72はそれぞれ、第1レンズ枠40に設けた磁石保持部76、77の支持凹部76a、77aに固定されている。磁石保持部76、77は、レンズ保持部63から外径方向に突出されたフランジ状の部位であり、支持凹部76a、77aは磁石保持部76、77の前方に向けて開口された有底の凹部である。磁石保持部76、77の後面は、第1レンズ枠40とベース枠41を組み合わせた状態でベース枠41側のセンサ支持部55、56の前面と重なる形状になっている(図7)。永久磁石71と永久磁石72の形状及び大きさは略同一であり、それぞれ細長矩形の薄板状をなし、前述の仮想平面P1に関して対称の関係で配置される。より詳しくは、永久磁石71と永久磁石72はそれぞれ、短手方向の略中央を通り長手方向に向く磁力境界線(長手方向線)Q1、Q2(図5)で分割される半割領域の一方がN極で他方がS極となっており、左方から右方に向かうにつれて磁力境界線Q1と磁力境界線Q2が徐々に離間するように、永久磁石71と永久磁石72が「ハ」の字状に配置されている。仮想平面P1に対する永久磁石71の磁力境界線Q1と永久磁石72の磁力境界線Q2の傾斜角は、正逆で約45度に設定されている。つまり、永久磁石71と永久磁石72は互いの長手方向(磁力境界線Q1、Q2)を略直交させる関係にある。なお、ハウジング16に対してベース枠41を固定させる2つの固定ネジ54が永久磁石71と永久磁石72の近傍に位置する関係で、電磁アクチュエータによる防振駆動に影響を及ぼさないように、それぞれの固定ネジ54は樹脂などの非金属材料や非磁性の(磁石につかない)金属で形成されている。
基板モジュール13は回路基板73を具備している。回路基板73は、正面形状がハウジング16の収納凹部18と1群ブロック12の外形形状に対応し前後方向に対して直交する平板からなる平面部79を有する。回路基板73の平面部79の後面にはプリント回路が形成してあり、プリント回路は回路基板73から右方に延出されるフレキシブル基板FLに接続している。回路基板73の平面部79の後面の右端部付近には撮像センサISが固定してあり、撮像センサISに設けた複数の端子(図示略)が上記プリント回路に半田付けにより固定状態で接続している。撮像センサISの後方を向く面が撮像面となっており、撮像面全体がカバーガラスで覆われている。図6では撮像センサISとカバーガラスを一体的に描いている。回路基板73の平面部79の角部の2カ所には円形孔80が穿設され、回路基板73の平面部79の左端近くには前後方向に貫通する撮影開口81が形成されている。
電磁アクチュエータを構成するコイル74、75は、回路基板73の平面部79の後面の左端部付近に固定されている。図4に示すように、コイル74、75は、略平行な一対の長辺部と該長辺部を接続する一対の湾曲部を有する空芯コイルであり、その形状及び大きさは略同一で、仮想平面P1に関して対称の関係で配置される。より詳しくは、コイル74、75は、それぞれの長辺部と平行で中央の空芯部を通る長軸(長手方向線)R1、R2(図4)の間隔が、左方から右方に向かうにつれて徐々に離間するように「ハ」の字状に配置されている。仮想平面P1に対するコイル74の長軸R1とコイル75の長軸R2の傾斜角は、正逆で約45度に設定されている。つまり、コイル74とコイル75は互いの長手方向(長軸R1、R2)を略直交させる関係にある。
回路基板73の左端部にはさらに、フレキシブル基板FLの一部として、2つのセンサ支持腕部82、83が設けられている。各センサ支持腕部82、83は、平面部79から後方に突出する延長部82a、83aと、延長部82a、83aの先端に位置し平面部79と略平行になるように曲げられた対向平面部82b、83bを有する片持ち形状の部位である。センサ支持腕部82の対向平面部82bの前面には磁気センサ84が支持され、磁気センサ84はコイル74の後方に対向している。センサ支持腕部83の対向平面部83bの前面には磁気センサ85が支持され、磁気センサ85はコイル75の後方に対向している。
1群ブロック12を組み付けた状態の本体モジュール11(ハウジング16)に対して基板モジュール13が組み付けられる。基板モジュール13の組み付けに際しては、回路基板73の2つの円形孔80をハウジング12の2つの係止突起28にそれぞれ嵌合させながら回路基板73の平面部79によって収納凹部18の前面開口を塞ぎ、回路基板73の平面部79の後面の周縁部を基板支持面27に面接触させる(回路基板73の平面部79の前面とハウジング16の前面は略同一平面上に位置する)。すると図6に示すように撮像センサIS(カバーガラス)がパッキン23に当接し、パッキン23によって撮像センサISの撮像面周辺が密封される。第2プリズムL12の出射面L12−bと撮像センサISの間の光路はパッキン23の貫通孔24によって確保される。また回路基板73の撮影開口81を通して第1レンズL1が前面側に露出し、撮影開口81周辺の回路基板73(平面部79)の板面によって第1レンズ枠40の前方への脱落が規制される。この状態で、回路基板73における平面部79と対向平面部82b、83bはそれぞれ第1光軸O1と略直交する平面として支持される。
以上の基板モジュール13の組み付け状態で、コイル74の長軸方向が永久磁石71の磁力境界線Q1と略平行になり、コイル75の長軸方向が永久磁石72の磁力境界線Q2と略平行になる。コイル74とコイル75は回路基板73の平面部79後面の上記プリント回路に接続され、図示を省略する制御回路によって通電制御が行われる。コイル74に通電すると、第1光軸O1と直交する平面内で永久磁石71の磁力境界線Q1(コイル74の長軸方向線)と略直交する方向への推力が作用する。この推力の作用方向を図4、図5及び図11に矢印F1で示した。コイル75に通電すると、第1光軸O1と直交する平面内で永久磁石72の磁力境界線Q2(コイル75の長軸方向線)と略直交する方向への推力が作用する。この推力の作用方向を図4、図5及び図11に矢印F2で示した。これら推力の作用方向F1、F2はいずれもX軸とY軸の両方に対して約45度の角度で交差する関係にある。これにより、各コイル74、75への通電制御によって、ベース枠41(及びベース枠41と固定関係にある本体モジュール11や基板モジュール13)に対して第1レンズ枠40を、第1光軸O1と直交する平面内で任意の位置に移動させることができる。前述の通り、その移動範囲は移動制限孔70が移動制限突起60の内面に当接することによって規制される。
図5に示す71u、72uは、第1光軸O1と直交する平面内における永久磁石71と永久磁石72の中心(外形形状に関する中心)であり、図4に示す74u、75uは、第1光軸O1と直交する平面内におけるコイル74とコイル75の中心(外形形状に関する中心)である。永久磁石71、72のそれぞれの中心71u、72uは、磁力境界線Q1、Q2に沿う長手方向の中心であり、かつ磁力境界線Q1、Q2に直交する短手方向の中心である。コイル74、75のそれぞれの中心74u、75uは、長軸R1、R2に沿う長手方向の中心であり、かつ長軸R1、R2に直交する短手方向の中心である。図4と図5は、第1レンズ枠40が移動制限突起60と移動制限孔70によって許される移動範囲の中央に位置する状態であり、このとき永久磁石71の中心71uとコイル74の中心74uの位置が一致し、永久磁石72の中心72uとコイル75の中心75uの位置が一致する。コイル74、75への通電によって第1レンズ枠40が移動すると、該第1レンズ枠40上の永久磁石71、72の中心71u、72uの位置が変化する。
磁気センサ84と磁気センサ85はホールセンサからなり、回路基板73の平面部79後面の上記プリント回路に接続されている。図7に示すように、本体モジュール11と1群ブロック12に対して基板モジュール13が組み付けられると、磁気センサ84がベース枠41のセンサ支持部55に対して後方から進入して永久磁石71の後方に位置され、磁気センサ85がベース枠41のセンサ支持部56に対して後方から進入して永久磁石72の後方に位置される。第1光軸O1に沿って見ると磁気センサ84と磁気センサ85はそれぞれ概ね矩形をなしており、図11の84u、85uは、第1光軸O1と直交する平面内における磁気センサ84、85の中心位置を示している。図11に示すように、磁気センサ84の中心84uを通り、永久磁石71とコイル74による推力の作用方向F1に向く直線と、磁気センサ85の中心85uを通り、永久磁石72とコイル75による推力の作用方向F2に向く直線は、第1光軸O1上で交差する。この配置によって、電磁アクチュエータによる第1レンズ枠40の移動に応じて永久磁石71の位置が変化すると磁気センサ84の出力が変化し、永久磁石72の位置が変化すると磁気センサ85の出力が変化し、この2つの磁気センサ84、85の出力変化によって、第1レンズ枠40の駆動位置を検出することができる。
以上の本体モジュール11と1群ブロック12と基板モジュール13の結合体に対して、前カバー14と後カバー15を組み付けることで撮像ユニット10が完成する。前カバー14と後カバー15はそれぞれ金属製の板材のプレス成形品であり、電磁アクチュエータによる防振駆動に影響を及ぼさないように、非磁性体または弱磁性体の金属が材質として選択されている。前カバー14は、前後方向に対して直交する平板部である基部90と、基部90の上下両縁部から後方に向かって延びる上下一対の係合片91及び上下一対の係合片92と、基部90の右側縁部からそれぞれ後方に向かって延びる上下一対の側部係合片93を一体的に備えている。各係合片91と各係合片92と各側部係合片93には、方形をなす係合孔91aと係合孔92aと係合孔93aがそれぞれ穿設してある。基部90の右端には前後方向に弾性変形可能な3つの押圧片94を有している。各押圧片94は自由状態にあるときは基部90の他の部分と同一平面上に位置している。各押圧片94の先端付近には、前方から後方に向かって突出する押圧突起94aが形成されている。基部90の左端付近には、前後方向に貫通する撮影開口95が形成されている。
後カバー15は、前後方向に対して直交する平板部である基部100と、基部100の上下両縁部から前方に向かって延びる上下一対の係合片101及び上下一対の係合片102と、基部100の右側縁部からそれぞれ前方に向かって延びる側部係合片103と、基部100の左側縁部から突出する支持片104を一体的に備えている。各係合片101には方形をなす係合孔101aが穿設され、側部係合片103にも係合孔103aが穿設されている。図7に示すように、支持片104は、基部100に連続して左方に突出する底部105と、底部105の上下両縁から前方へ突出する一対の立壁部106と、各立壁部106の前縁から互いに上下に離間する方向に延設される一対のセンサ支持壁107を有する。各立壁部106には係合孔106aが穿設されている。1群ブロック12を構成するベース枠41には、センサ支持片104の底部105と一対の立壁部106に囲まれる部分に嵌合される支持凸部78が後方に突出され、支持凸部78の上下両側に係合孔106aに係合する係合突起78aが形成されている。
基板モジュール13の前部に、矩形状の遮光シート108を挟んで前カバー14が組み付けられる。なお遮光シート108を備えずにハウジング16内の十分な光密性が確保される場合は、遮光シート108を省略してもよい。前カバー14の基部90を回路基板73の平面部79の前方から被せて、前カバー14の上下の係合片91をハウジング16の上下の係合凹部29Aに係合させ、各係合片91の係合孔91aをハウジング16の上下の係合突起30に係合させ、さらに前カバー14の上下の側部係合片93の係合孔93aをハウジング16の上下の係合突起32に係合させて、前カバー14をハウジング16に固定する。また前カバー14の上下の係合片92をベース枠41の上下のフランジ44の上面と下面に当接させつつ、各係合片93の係合孔93aをベース枠41の上下の係合突起46に係合させて、前カバー14をベース枠41に固定する。前カバー14をハウジング16に固定すると、前カバー14の押圧片94の押圧突起94aが回路基板73の平面部79の前面に接触し、僅かに前方に弾性変形した押圧片94から回路基板73の平面部79の前面に後向きの押圧力(付勢力)が作用し、ハウジング16(本体モジュール11)に対して回路基板73(基板モジュール13)が前後方向の所定位置で正確に位置決めされて保持される。前カバー14に形成した撮影開口95は回路基板73の撮影開口81に対応する位置及び形状に形成されており、前カバー14を組み付けた状態で撮影開口95が撮影開口81と連通し、撮影開口81と撮影開口95を通して第1レンズL1が撮像ユニット10の前面側に露出する。
本体モジュール11と1群ブロック12の後部に後カバー15が組み付けられる。後カバー15の基部100をハウジング16の後方から被せて、後カバー15の上下の係合片101と上下の係合片102をそれぞれハウジング16の上下の係合凹部29Bと上下の係合凹部29Cに係合させ、各係合片101の係合孔101aをハウジング16の上下の係合突起31に係合させ、さらに後カバー15の側部係合片103の係合孔103aをハウジング16の右側面に形成した係合突起33(図6)に係合させて、後カバー15をハウジング16に固定する。また図7に示すように、後カバー15の基部100をベース枠41の後方から被せて、後カバー15の支持片104のうち底部105と一対の立壁部106によって形成される凹部にベース枠41の支持凸部78を嵌合させ、支持凸部78に設けた上下の係合突起78aを上下の係合孔106aに係合させて、後カバー15をベース枠41に固定する。すると上下のセンサ支持壁107が、回路基板73のセンサ支持腕部82の対向平面部82bとセンサ支持腕部83の対向平面部83bのそれぞれの後面に対向し、センサ支持腕部82とセンサ支持腕部83の後方への変形を規制する。上下のセンサ支持壁107は弾性変形してセンサ支持腕部82とセンサ支持腕部83を前方に軽く押圧し、磁気センサ84をセンサ支持部55内に保持させ、磁気センサ85をセンサ支持部56内に保持させる。これにより磁気センサ84と磁気センサ85が正確な位置に保持される。
以上のようにして完成された撮像ユニット10を前方に位置する被写体に向けると、該被写体の反射光(撮影光)は第1レンズL1を透過した後に入射面L11−aから第1プリズムL11の内部に入り、第1プリズムL11の反射面L11−cによって出射面L11−b側に進行方向を90°変換されながら反射される。第1プリズムL11の出射面L11−bを出た該反射光は、各レンズL2〜L6を透過した後に入射面L12−aから第2プリズムL12の内部に入り、第2プリズムL12の反射面L12−cによって出射面L12−b側に進行方向を90°変換されながら反射され、撮像センサISの撮像面によって撮像(受光)される。
第1モータM1と第2モータM2を利用して第2群G2(第4レンズL4と第5レンズL5)や第3群G3(第6レンズL6)を第1ロッド36及び第2ロッド37に沿って進退させることにより上記撮像光学系をズーミング動作及びフォーカシング動作させれば、被写体像を変倍及び合焦させた状態で撮像可能となる。ワイド端とテレ端とその中間焦点距離における撮像光学系の状態を図12に示している。ワイド端からテレ端にズーミングするとき、第1群G1と第2プリズムL12と撮像センサISは位置が変化せず、第1群G1と第2群G2の間隔(第2光軸O2に沿う方向の距離)が徐々に小さくなる。2群G2と第3群G3の間隔(第2光軸O2に沿う方向の距離)は、ワイド端から中間焦点距離までは大きくなり、中間焦点距離からテレ端までは小さくなる。
さらに撮像ユニット10では、第1群G1のうち第1プリズムL11の前方に位置する第1レンズL1を用いて防振(像振れ補正)動作を行う。前述の通り、防振機構はハウジング16に対して固定関係にあるベース枠41に対して第1レンズ枠40を第1光軸O1と直交する平面内で可動に支持し、電磁アクチュエータによって第1レンズ枠40を駆動させるものである。図6に示すように、第1レンズ枠40は撮像ユニット10の左端近傍の前面側に位置している。第1レンズ枠40の周囲にはハウジング16の隔壁19やフランジ支持座50が配置されているが、防振機構による可動範囲内で第1レンズ枠40が移動しても、該第1レンズ枠40に対して隔壁19やフランジ支持座50が干渉しないように所定のスペースを空けてハウジング16が形成されている。また図6に示すように、第1レンズ枠40のレンズ保持部63が回路基板73の撮影開口81と前カバー14の撮影開口95に挿入されて、第1レンズL1の入射面が前カバー14の基部90の前面と略面一になっているが、撮影開口81や撮影開口95についても、防振機構による可動範囲内で第1レンズ枠40が移動しても該第1レンズ枠40に対して干渉しない大きさに設定されている。従って撮像ユニット10の他の構成部材に妨げられることなく、第1レンズ枠40に防振用の動作を確実に行わせることができる。
防振時の第1レンズL1の移動方向は第1光軸O1と直交する方向である。すなわち第1レンズL1を保持する第1レンズ枠40は、撮像ユニット10の厚み方向である前後方向には移動しない。また、ベース枠41に対して第1レンズ枠40を移動させるための支持機構(移動制限突起60、ボール支持孔61、ボール当接面66、ガイドボール67、移動制限孔70など)や駆動手段(永久磁石71、72、コイル74、75など)は、第1光軸O1を中心として第1レンズL1を囲む位置に配されており、撮像ユニット10の前後方向に占める配置スペースが小さくて済む構成になっている。そのため第1レンズL1を防振用の光学要素として選択することで、防振機構を備えつつ撮像ユニット10を薄型に構成することができる。例えば本実施形態と異なり、第2群G2や第3群G3を第2光軸O2と直交する方向に移動させる防振機構を想定した場合、2群レンズ枠34や3群レンズ枠35の移動用のスペースを確保したり、2群レンズ枠34や3群レンズ枠35の駆動手段を配置したりすることによって、ハウジング16内に必要とされる前後方向のスペースが図示実施形態よりも広くなり、撮像ユニット10の厚みが増してしまう。
また第1レンズ枠40が支持する第1レンズL1は、撮像センサISのような電気部品と異なり回路基板73と接続させる必要がないため、基板の取り回しで構造が複雑化したり、基板によって防振時の移動抵抗が作用したりするおそれがない。例えば本実施形態と異なり、撮像センサISを第3光軸O3と直交する方向に移動させる防振機構を想定した場合、回路基板73に対して撮像センサISを可動に支持させた上でフレキシブル基板によって両者を接続することになる。すると撮像センサISの移動に対して移動抵抗を与えない十分な長さをフレキシブル基板に持たせる必要があるが、撮像センサISの周囲にはスペースの余裕がなく、フレキシブル基板を長くすると他の部材と干渉してしまうおそれがある。これを避けるために撮像センサISと回路基板73の前後方向間隔を空けると、撮像ユニット10の薄型化が阻害されてしまう。
防振用の光学要素として第1レンズL1を選択したことにより、以上のような不具合を回避して、簡略な構成で撮像ユニット10の薄型化に寄与する防振機構を得ることができる。防振制御に際して駆動されるのが第1群G1の全体ではなく第1レンズL1のみであるから、可動部がコンパクトで駆動負荷が小さくて済むという利点もある。なお一般的な防振機構では、レンズ群を構成する一部のレンズのみを光軸直交方向に移動させると収差が悪化して実用的でなくなるおそれがある。これに関して本実施形態の第1群G1では、パワーを有する第1レンズL1と第2レンズL2の間に、光束の反射のみを行う第1プリズムL11が配されているため、第1レンズL1と第2レンズL2の間の距離が大きくなっており、第1レンズL1を単独で移動させて防振制御を行なっても収差劣化が少ない。つまり、ズームレンズの一部としては第1レンズL1から第3レンズL3までの第1群G1全体で収差が管理されるが、防振に関しては、第1プリズムL11を挟んで光軸方向間隔が大きくなっている第1レンズL1と第2レンズL2を実質的に別のレンズ群であるように扱っても光学性能を確保できることに着眼して、第1レンズL1のみを防振用の光学要素に設定している。
ズーミングや沈胴に際して光軸方向の長さ(最も物体側のレンズの像面からの距離)が変化するテレスコピック型のレンズ鏡筒と異なり、撮像ユニット10では第1レンズL1の入射面から像面(撮像センサISの撮像面)までの光路長が常に一定である。そのため、撮像ユニット10を携帯電子機器内に組み込んで第1レンズL1の前方を保護用のガラスなどで覆うことが可能であり、最前方の第1レンズL1に防振用の移動を行わせても実用上の問題は生じない。
本発明は、図13の撮像ユニット210のように可動レンズ群(第2群G2と第3群G3)と撮像センサISの間にプリズムなどの反射素子を備えないタイプの撮像光学系にも適用が可能である。図13の撮像ユニット210では、先の実施形態の撮像ユニット10におけるハウジング16内のプリズム用凹部25に相当する位置にセンサ支持空間225が形成され、このセンサ支持空間225内に撮像センサISが撮像面を左方に向けて配置されている。撮像センサISは第2光軸O2上に位置しており、第3群G3(第6レンズL6)から出射された光束が反射されずに撮像センサISの撮像面に入射する。このようなL字形の光路を有する撮像ユニット210においても、第1レンズL1を防振用の光学要素とさせることで前述の通りの効果が得られる。特に撮像ユニット210においては、撮像センサISを防振用の光学要素にさせると、第2群G2や第3群G3を防振用の光学要素にする場合と同様にハウジング16の前後方向サイズを増大させてしまうおそれが大きいため、撮像ユニット210の薄型化の観点から第1レンズL1を防振駆動させる構成が好適である。
先に述べたように、第1群G1のうち第1プリズムL11の前方に位置する第1レンズL1を単独で防振駆動させる構造は、群の一部を駆動させる形態としては収差などへの影響が生じにくいが、群全体を防振駆動させる形態の防振機構に比して第1レンズL1に関する動作精度の要求が高いため、第1レンズL1を保持する第1レンズ枠40を高精度に支持及び駆動して防振性能と光学性能の安定化を図ることが求められる。また、撮像光学系を構成するレンズの中で最大径の第1レンズL1を防振駆動させるにあたり、防振機構をできるだけコンパクトにして、撮像ユニットの小型化に寄与することが求められる。この防振機構の特徴を説明する。
説明の前提として、撮像ユニット10(210)は第2光軸O2に沿う方向に長い形状をなしており、第1レンズL1は撮像ユニット10(210)の長手方向の一端部に近い位置に寄せて配置されている。図4及び図5のように撮像ユニット10(210)を正面視して、第1レンズL1上の第1光軸O1と第2光軸O2を含み撮像ユニットの長手方向(左右方向)に延びる第1の仮想平面P1と、第1光軸O1を通り第1の仮想平面P1と直交して撮像ユニットの短手方向(上下方向)に延びる第2の仮想平面P2で分けられる4つの象限V1、V2、V3及びV4を設定すると、第1プリズムL11によって偏向された第2光軸O2に沿う光束の進行方向側に第1象限V1と第4象限V4が位置し、第2光軸O2が延びる側と反対側に第2象限V2と第3象限V3が位置する。
仮想平面P2を挟んだ左側領域と右側領域のうち、第1象限V1と第4象限V4が含まれる右側領域には、第2光軸O2に沿って第2レンズL2、第3レンズL3、第2群G2、第3群G3、第2プリズムL12などの光学要素が配置されている。第2群G2と第3群G3を第2光軸O2に沿って移動させるため進退駆動機構を構成する、第1ロッド36、第2ロッド37、ドリブンナット38及び39、圧縮バネ122及び123、第1モータM1、第2モータM2といった要素も仮想平面P2の右側領域に配されている。
一方、仮想平面P2を挟んで第2光軸O2の進行方向と反対の左側領域に位置する第2象限V2と第3象限V3には、第1レンズL1を防振駆動させる電磁アクチュエータ(ボイスコイルモータ)を構成する永久磁石71及び72とコイル74及び75や、第1レンズL1の駆動位置を検出する磁気センサ84及び85が配置されている。具体的には、永久磁石71とコイル74と磁気センサ84が第2象限V2に配置され、永久磁石72とコイル75と磁気センサ85が第3象限V3に配置されており、第2象限V2に配置される各要素と第3象限V3に配置される各要素は、仮想平面P1に関して互いに略対称な配置になっている。前述のように、永久磁石71と永久磁石72は、互いの磁力境界線Q1と磁力境界線Q2が仮想平面P1に対して正逆で約45度の関係をなす「ハ」の字状に配置されているが、その傾きの方向は、仮想平面P2から離れて左方に進むにつれて仮想平面P1に接近する(磁力境界線Q1と磁力境界線Q2の間隔を小さくする)ように設定されている。コイル74とコイル75も同様に、互いの長軸R1と長軸R2が仮想平面P1に対して正逆で約45度の関係をなす「ハ」の字状の配置であり、仮想平面P2から離れて左方に進むにつれて仮想平面P1に接近する(長軸R1と長軸R2の間隔を小さくする)傾き方向に設定されている。別言すれば、磁力境界線Q1と磁力境界線Q2に沿って延びる2つの直線の交点と、長軸R1と長軸R2に沿って延びる2つの直線の交点はそれぞれ、第2光軸O2が延びる側とは反対の仮想平面P2の左側領域に位置する。
第1レンズL1の防振機構を構成する永久磁石71、72やコイル74、75をこのように配置したことにより、以下の効果が得られる。まず、第2象限V2と第3象限V3は、第1プリズムL11により偏向された光束の進行方向と逆側の領域であり、撮像光学系を構成する光学要素のうち第1プリズムL11から先の光学要素が配置されていないため、電磁アクチュエータの配置に関してスペース的な制約を受けにくい。例えば、永久磁石71、72やコイル74、75を、図示実施形態における位置に対して仮想平面P2を挟んで対称となるように第1象限V1と第4象限V4内に配置しても、第1レンズL1を駆動させることは可能である。しかし、第1象限V1と第4象限V4には、第1プリズムL11の出射面L11−bに隣接する位置に第2レンズL2や第3レンズL3が位置しており、第2レンズL2や第3レンズL3と干渉させずに電磁アクチュエータの全体を配置するスペースを確保することが難しいという問題がある。これに対して、第2象限V2と第3象限V3への配置にはこのような制約がない。
一般的に、永久磁石とコイルを有するボイスコイルモータによって駆動対象を所定の平面に沿って駆動させるには、推力の作用方向が互いに異なる2組の永久磁石とコイルが用いられる。本実施形態では、互いの長手方向(磁力境界線Q1と長軸R1)が平行な永久磁石71とコイル74のセットと、互いの長手方向(磁力境界線Q2と長軸R2)が平行な永久磁石72とコイル75のセットを備え、前者のセットによる推力の作用方向F1と後者のセットによる推力の作用方向F2が互いに直交している。これによって第1レンズL1を第1光軸O1と直交する平面に沿って自在に移動させることが可能になっている。そして、永久磁石71とコイル74のセットと、永久磁石72とコイル75のセットが、第2光軸O2が延びる右方に進むにつれて互いの磁力境界線Q1、Q2や長軸R1、R2の間隔を大きくさせ、これと反対の左方に進むにつれて互いの磁力境界線Q1、Q2や長軸R1、R2の間隔を小さくさせる傾き方向に設定されている。この配置によると、第2象限V2と第3象限V3内で、第1レンズ枠40の円筒状をなすレンズ保持部63の周辺領域にスペース効率良く永久磁石71、72とコイル74、75を収めることができる。
第1レンズL1を駆動させるという目的に限れば、仮想平面P1に対する永久磁石71、72やコイル74、75の傾き方向を、以上の構成とは異ならせることも可能である。例えば、磁力境界線Q1と長軸R1が仮想平面P1と仮想平面P2のいずれか一方と平行で、磁力境界線Q2と長軸R2が仮想平面P1と仮想平面P2の他方と平行となる配置であっても、第1レンズL1を第1光軸O1と直交する面内で駆動させることは可能である。しかしこの配置では、永久磁石71とコイル74のセットと、永久磁石72とコイル75のセットの少なくとも一方が、第1象限V1や第4象限V4内に大きく進入するため、スペース的な制約の少ない第2象限V2と第3象限V3を用いるという上記の利点が損なわれる。また、図4や図5における第1レンズL1の左方に、永久磁石71とコイル74のセットと、永久磁石72とコイル75のセットのいずれかが配置されるため、仮想平面P1に沿う方向の寸法が増大するというデメリットもある。
これに対して、図4や図5のように正面視した状態での永久磁石71、72やコイル74、75の傾き方向を図示実施形態のように設定することで、第2象限V2と第3象限V3に防振機構をスペース効率良く収めることができ、撮像ユニット10(210)の小型化を図ることができる。なお、図示実施形態では永久磁石71の磁力境界線Q1と永久磁石72の磁力境界線Q2や、コイル74の長軸R1とコイル75の長軸R2が、仮想平面P1に対して正逆で約45度の関係で対称的に設定されているが、以上に述べた省スペース化の効果は、仮想平面P1に対する磁力境界線Q1、Q2や長軸R1、R2の角度を若干変化させても得られる。具体的には、磁力境界線Q1、Q2の直交関係と長軸R1、R2の直交関係を維持しつつ、仮想平面P1に対する磁力境界線Q1と長軸R1の傾き角や磁力境界線Q2と長軸R2の傾き角を正逆に35度から55度の範囲内で定めると、防振機構の省スペースな配置を実現できる。
また、第1プリズムL11から先の光路上には、第2光軸O2に沿って可動の第2群G2や第3群G3が設けられており、第2群G2や第3群G3の駆動機構を構成する第1モータM1と第2モータM2には金属部分が含まれ、圧縮バネ122、123や第1ロッド36や第2ロッド37も金属製の部品である。このような金属部品が磁性体金属からなる場合、電磁アクチュエータに接近していると防振駆動に影響を及ぼすおそれがある。特に、可動の第1レンズ枠40上に永久磁石71、72を支持したムービングマグネットタイプの電磁アクチュエータでは、高精度な駆動制御を行わせるために、永久磁石71、72の磁界に対する外部の磁性体からの影響を排除することが求められる。第2象限V2と第3象限V3に配置した永久磁石71、72やコイル74、75は、第1象限V1や第4象限V4に配置した場合に比べて各モータM1、M2や各ロッド36、37や各圧縮バネ122、123からの距離が大きいため、これらの部材が磁性体金属を含んでいる場合も電磁アクチュエータの駆動に影響が及びにくい。これに加えて前述のように、ハウジング16に対してベース枠41を固定させるための固定ネジ54の材質として、樹脂などの非金属材料や非磁性金属を選択したことや、前カバー14や後カバー15を非磁性体または弱磁性体の金属材料で形成したことも、電磁アクチュエータによる高精度な駆動制御に寄与している。
以上のように、第1レンズL1を駆動する防振機構の配置において、第1プリズムL11により偏向された第2光軸O2と反対側の領域(第2象限V2と第3象限V3)に永久磁石71、72やコイル74、75を設け、さらに第2光軸O2の進行方向と反対方向に進むにつれて長手方向線の間隔を互いに小さくする傾き関係で永久磁石71、72とコイル74、75を配置したことで、スペース効率と駆動性能に優れた防振機構が得られる。
なお、以上の実施形態では永久磁石71、72とコイル74、75の全体が第2象限V2と第3象限V3に配置されているが、図22に示すように、永久磁石71、72やコイル74、75の一部が仮想平面P2を超えて第1象限V1と第4象限V4側に突出する構成としてもよい。この場合、防振機構のスペース効率と駆動性能に関する上記効果を得るための条件として、少なくとも、永久磁石71、72の中心71u、72uとコイル74、75の中心74u、75uを仮想平面P2の左方、すなわち第2象限V2と第3象限V3内に配置することが望ましい。図22の第1レンズ枠40は、磁石保持部176、177を第1象限V1と第4象限V4の方向に延長した形状になっている点以外は、先の実施形態と共通の形状を有しているが、磁石保持部176、177のうち永久磁石71、72を支持する支持凹部176a、177aよりも左方の領域を切除するなどして小型化を図ってもよい。
また、撮像ユニット10(210)の前後方向(奥行き方向)における防振機構の薄型化も実現されている。防振機構の駆動源を構成する永久磁石71、72は、第1レンズ枠40の磁石保持部76、77上の支持凹部76a、77aに固定されている。磁石保持部76、77は、第1レンズL1を保持する円筒状のレンズ保持部63から側方に突出するフランジ状部であり、第1光軸O1に沿う方向において、レンズ保持部63による第1レンズL1の支持位置(図6参照)よりも磁石保持部76、77の方が後方(奥側)にずれて位置している。その結果、磁石保持部76、77上に支持される永久磁石71、72の前後方向位置は、第1レンズL1よりも後方の第1プリズムL11と重なる位置(第1プリズムL11の左方のスペース)に設定されている。換言すれば、永久磁石71、72は、第1光軸O1が延びる方向での第1プリズムL11の厚みの範囲内に位置している。
永久磁石71、72と共に防振機構の駆動源を構成するコイル74、75と、第1レンズL1の位置を検出する磁気センサ84、85は、回路基板73に支持されている。回路基板73の平面部79の大部分は本体モジュール11のハウジング16の支持を受けているが、コイル74、75を支持する回路基板73の平面部79の左端部付近はベース枠41のフランジ44や外囲壁49の前面に当接支持され、コイル74、75の位置はベース枠41を基準として定められる。また、回路基板73のセンサ支持腕部82、83の対向平面部82b、83bに支持された磁気センサ84、85は、ベース枠41に形成したセンサ支持部55、56内に嵌合して位置が定まる。そして、ベース枠41を介して位置決めされた磁気センサ84、85は、永久磁石71、72と同様に、第1レンズL1よりも後方の第1プリズムL11と重なる前後方向位置(第1光軸O1が延びる方向での第1プリズムL11の厚みの範囲内)に保持される。ベース枠41を介して位置決めされたコイル74、75は、第1レンズL1及び第1プリズムL11の一部と重なる前後方向位置に保持されている。なお、永久磁石71、72や磁気センサ84、85と同様に、コイル74、75の全体を第1プリズムL11と重なる前後方向位置に配置してもよい。
図6、図12及び図13に示すように、第1プリズムL11は第1レンズL1に比して第1光軸O1に沿う前後方向の厚みが大きい。また、第1プリズムL11を囲む領域のうち該第1プリズムL11よる光の偏向方向と反対側に位置する第2象限V2と第3象限V3には、第2レンズL2から先の光学要素が設けられていない。よって、第2象限V2と第3象限V3における第1プリズムL11の側方領域には、第1プリズムL11の厚み分に応じたスペースを確保しやすい。この第1プリズムL11の側方スペースに、前後方向に積層する態様で永久磁石71、72とコイル74、75と磁気センサ84、85を配置したため(図7参照)、電磁アクチュエータを前後方向にスペース効率よく収めることができ、撮像ユニット10(210)の薄型化に寄与している。
撮像ユニット10(210)のような屈曲光学系では、光路を偏向させる反射素子と他の光学要素との相対的位置精度が極めて重要であり、第1群G1中の反射素子である第1プリズムL11を保持するベース枠41は精度良く構成される。また、図6や図13に示すように、防振駆動される第1レンズL1に対する第1プリズムL11の入射面L11−aの間隔が極めて近いため、第1レンズL1と第1プリズムL11の干渉防止の観点からもベース枠41は高精度に形成されている。加えて、ベース枠41は、全体的に内部を中空とした箱状のハウジング16に比べてプリズム用凹部42の周囲に壁部が多く、部材の大きさとしてもハウジング16より小型であるため、強度と精度を確保しやすい。撮像ユニット10(210)では、このように精度的に優れたベース枠41を基準として防振機構の構成要素を位置決めしているため、防振機構の位置精度や駆動精度において優れた効果が得られる。
具体的には、コイル74、75に関しては、回路基板73の平面部79のうちコイル74、75を支持する左端付近の一部領域が、ベース枠41におけるフランジ44や外囲壁49の前面に当接支持されることで位置決めされており、ベース枠41を介した高精度な位置管理が実現されている。磁気センサ84、85に関しては、図7や図9に示すように、センサ支持腕部82、83の対向平面部82b、83bが、ベース枠41におけるセンサ支持部55、56の周囲の後面に当接支持し、さらに磁気センサ84、85自体が凹状のセンサ支持部55、56に嵌合支持されることで位置決めされており、ベース枠41を介した高精度な位置管理が実現されている。加えて、センサ支持腕部82、83の対向平面部82b、83bが後カバー15のセンサ支持壁107(センサ支持片104)によって後方から押さえられるので、平面部79から延出された片持ち形状のセンサ支持腕部82、83であってもベース枠41に対して確実に支持させることができる。また、永久磁石71、72に関しては、磁石保持部76、77を有する第1レンズ枠40が、引張バネ69の付勢力を受けてベース枠41に当接支持(移動抵抗を小さくさせるためのガイドボール67を挟んだ支持)されることで位置管理されており、第1レンズ枠40がベース枠41以外の部位に支持される態様に比べて、永久磁石71、72の位置精度が高くなっている。なお、図示実施形態では永久磁石71、72が可動の第1レンズ枠40に支持されているが、第1レンズ枠40側にコイル74、75を支持し、ベース枠41側に永久磁石71、72を支持したムービングコイルタイプの電磁アクチュエータを備えた防振機構にも適用が可能であり、このタイプの防振機構においても、ベース枠41を各構成要素の位置決めの基準とすることで同様の効果が得られる。
防振駆動される第1レンズL1を保持する第1レンズ枠40は、ベース枠41との間にガイドボール67を挟んで引張バネ69による付勢力を受けて支持されている。第1レンズL1のような円形の外形形状の可動部材をバネ付勢する場合、偏りがなく均等な付勢力を与えるための構造として、可動部材を囲んで3つ以上のバネを均等な間隔で配置することが考えられる。しかし前述のように、撮像ユニット10(210)では、第1プリズムL11により偏向された第2光軸O2の側(第1象限V1と第4象限V4)には第1プリズムL11から先の光学要素が設けられるため、スペース的な制約がある。第1プリズムL11の出射面L11−b(入射面L11−aの出射側長辺)に沿う位置に引張バネ69を配置しようとすると、第2レンズL2や第3レンズL3やその保持部と干渉してしまうおそれがある。また、第1レンズ枠40を可動に支持する部材が、矩形の入射面L11−aを持つ第1プリズムL11を保持しているベース枠41であるため、第1光軸O1を中心とする120度間隔で3つの引張バネ69を配置するとバランスが悪く、防振駆動時に防振性能や光学性能が安定しないおそれがある。また、ベース枠41においてバネ掛け突起62を設けることが可能な位置は、第1プリズムL11を保持するプリズム用凹部42の外側位置であるが、プリズムL11の矩形の入射面L11−aの対角線方向に離間させてバネ掛け突起62を設けるとスペース効率が悪く、ベース枠41が大型化してしまうおそれがある。
撮像ユニット10(210)では、図4及び図5に示すように、3つの引張バネ69が第1レンズ枠40の周囲に第1光軸O1を中心とする所定の間隔で配置されており、そのうち2つは第1レンズ枠40を挟んで仮想平面P2上に設けられた引張バネ69A、69Cであり、残る1つは、第1レンズ枠40に関して第2光軸O2が延びる方向と反対側の仮想平面P1上に設けられた引張バネ69Bである。引張バネ69Aと引張バネ69Cは第1プリズムL11の入射面L11−aの一対の短辺(一対の側面L11−d)を挟む位置に配され、引張バネ69Aは第1象限V1と第2象限V2の境界に位置し、引張バネ69Bが第2象限V2と第3象限V2の境界に位置する。引張バネ69Cは、第1プリズムL11の入射面L11−aの先端側長辺に沿う位置に配され、第3象限V3と第4象限V4の境界に位置する。
このように第1プリズムL11の入射面L11−aのうち出射側長辺を除く各辺に沿う位置に3つの引張バネ69を配置することで、前述の諸問題を回避してスペース効率と付勢力のバランスに優れた付勢構造を実現できる。まず、第1プリズムL11の入射面L11−aの出射側長辺(出射面L11−b)に沿う部分を引張バネ69の配置領域から外すことで、第2光軸O2上に位置する第2レンズL2や第3レンズL3などの光学要素と干渉せずに引張バネ69を設けることができる。また、第1プリズムL11の入射面L11−aの長辺方向に離間させて(一対の側面L11−dに沿って)2つの引張バネ69Aと引張バネ69Cを設けることで、第1レンズ枠40に対してバランスの良い付勢力を与えることができる。特に、引張バネ69Aと引張バネ69Cをそれぞれ第1プリズムL11の入射面L11−aの短手方向における略中央に位置させたことで、左右方向での付勢力のバランスが良い。さらに第1プリズムL11の入射面L11−aの長手方向において、第1光軸O1からの引張バネ69Aと引張バネ69Cの距離を略等しくさせたので、上下方向での付勢力のバランスも良い。第1レンズ枠40はベース枠41に対して3つのガイドボール67を介して支持されており、第1光軸O1と直交する平面内において、引張バネ69Aと引張バネ69Cを結ぶ直線(本実施形態では仮想平面P2上を通る)の中心(本実施形態では第1光軸O1に概ね一致する)が、3つのガイドボール67によって囲まれる三角形の領域内に位置している。この関係により、引張バネ69Aと引張バネ69Cによる付勢力が3つのガイドボール67にバランス良く作用し、第1レンズ枠40の高精度な支持と円滑な摺動が実現される。これに加えて第1プリズムL11の入射面L11−aの先端側長辺に沿う位置に第3の引張バネ69Bを設けることで、第1レンズ枠40の支持安定性をさらに高めることができる。また、第1プリズムL11の一対の側面L11−dや入射面L11−aの先端側長辺に沿う位置に引張バネ69を配置する構成は、入射面L11−aの対角線方向に離間させて引張バネ69を配置する構成に比べてバネ掛け突起62を第1光軸O1に近づけやすく、ベース枠41の小型化に寄与する。なお、実施形態の撮像ユニット10(210)では、図4や図5に示すように、第1プリズムL11の入射面L11−aの対角線方向に離間させて、第2象限V2と第3象限V3の側に永久磁石71、72とコイル74、75からなる電磁アクチュエータや磁気センサ84、85が設けられ、第1象限V1と第4象限V4の側に移動制限突起60と移動制限孔70が設けられており、これらの要素との関係で配置のスペース効率を高めるという観点からも、3つの引張バネ69A、69B及び69Cの配置が有効である。
第1プリズムL11の周囲では、入射面L11−aに対向する位置に第1レンズL1があり、出射面L11−bに対向する位置に第2レンズL2と第3レンズL3があるが、第1プリズムL11のそれ以外の面に対向する領域には他の光学要素が設けられていない。第1プリズムL11の一対の側面L11−bに沿う位置に設けた引張バネ69A、69Cと、第1プリズムL11の入射面L11−aの先端側長辺に沿う位置に設けた引張バネ69Bはいずれも、他の光学要素による制約を受けない領域にあるため、撮像ユニット10(210)の厚み(前後)方向に収まるサイズという条件を満たしていればよく、長さに関する制限が少ない。つまり、各引張バネ69におけるばね定数設定の自由度が高いという利点もある。
以上に述べた防振機構の特徴を備えた撮像ユニットの異なる実施形態を、図14以降を参照して説明する。図14の実施形態の撮像ユニット310は、第1レンズ枠40をベース枠41への接近方向に付勢する引張バネ69として、第1プリズムL11の一対の側面L11−bに沿って設けた一対の引張バネ69A、69Cが設けられており、先の実施形態の撮像ユニット10(210)で設けられていた引張バネ69Bが省略されている。一対の引張バネ69A、69Cは、第1光軸O1に関して略対称の位置関係で、第1プリズムL11の入射面L11−aの長手方向に離間して設けられている。また、個々の引張バネ69Aと引張バネ69Cは、入射面L11−aの短手方向の略中央に位置している。この一対の引張バネ69A、69Cの配置により、仮想平面P1を挟んだ両側で第1レンズ枠40に対して均等な付勢力を与えることができ、引張バネ69Bが省略されていても第1レンズ枠40に傾きや倒れを生じさせることなく保持できる。そして、引張バネ69の数を少なくしたことで、防振機構を小型軽量化させる効果が得られる。また、引張バネ69Bを支持する箇所を省略できるので、第1レンズ枠40やベース枠41の構成の簡略化にも寄与する。
引張バネ69Bを省略した構成は、図22に示す防振機構にも好適である。図22の防振機構は、第2象限V2と第3象限において仮想平面P2から離れる方向への永久磁石71、72とコイル74,75の突出量が小さく抑えられている。これに加えて、第2象限V2と第3象限のうち仮想平面P2から遠く位置する引張バネ69Bを省略することで、第2象限V2と第3象限で防振機構が占めるスペースをさらに小さくさせて、第2光軸O2に沿う方向での防振機構の小型化を図ることができる。
図15から図17の実施形態の撮像ユニット410は、ベース枠41に対して第1レンズ枠40を可動に支持させる構造が異なっている。先の各実施形態の撮像ユニット10、210及び310では、第1レンズ枠40とベース枠41の間に3つのガイドボール67を挟んでいるが、この撮像ユニット410では、第1レンズ枠40とベース枠41の間に滑りシート(抵抗低減部材、板状体)86が挟持されている。図17に示すように、第1レンズ枠40の3つのフランジ64のそれぞれから、ベース枠41に接近する後方に向けて、摺動突起87が突設されている。摺動突起87の先端は第1光軸O1と直交する面になっている。ベース枠41には、第1レンズ枠40の3つのフランジ64に対向する位置に、第1光軸O1と直交する面である支持面88が形成されている。支持面88は、先の実施形態の3つのボール支持孔61(61A、61B、61C)と同様に、第1プリズムL11の入射面L11−aの一対の短辺に沿う位置と、入射面L11−aの先端側長辺に沿う位置に形成されている。このうち入射面L11−aの一対の短辺に沿う2箇所の支持面88上には、位置決め突起89が突設されている。滑りシート86は、3箇所の当接部86aを枠状の接続部86bで接続したコ字状の正面形状を有する薄板状の部材であり、表面の摩擦抵抗を小さくする材質(ポリテトラフルオロエチレンなど)で形成されている。滑りシート86上には、ベース枠41の2つの位置決め突起89に係合する2つの位置決め孔86cが設けられている。位置決め突起89と位置決め孔86cで位置決めされた滑りシート86は、各当接部86aが摺動突起87と支持面88によって前後から挟まれ、引張バネ69の付勢力によって第1レンズ枠40とベース枠41の間に保持される。
撮像ユニット410では、ガイドボール67と同様に摺動抵抗の小さい滑りシート86を挟むことによって、ベース枠41に対して第1レンズ枠40を円滑に防振駆動させることができる。滑りシート86は3つの当接部86aを接続部86bで接続した一部材からなるため、部品点数が少なく組み付けが容易である。滑りシート86は、当接部86aと接続部86bをいずれも、第1プリズムL11の入射面L11−aの出射側長辺(出射面L11−b)に沿う領域には配置させない形状であり、第2光軸O2側に延びる光路との関係で配置が制約されることがない。また、滑りシート86が薄板状であるため、撮像ユニット410の薄型化を図りやすい。また、摺動突起87と支持面88で滑りシート86を挟む構造は、第1レンズ枠40やベース枠41に複雑な形状加工を要さないという利点もある。
図18から図21の実施形態の撮像ユニット510は、防振機構を構成するコイル74、75と磁気センサ84、85の支持構造が異なっている。先に説明した各実施形態では、本体モジュール11側のハウジング16と1群ブロック12側のベース枠41に亘って基板モジュール13が支持されている。これに対して撮像ユニット510では、前カバー514や回路基板(図18と図19では前カバー514に覆われており表れていないが、先の実施形態の回路基板73と同様に撮像センサISなどが組み付けられている)で構成される基板モジュール513は、本体モジュール11側のハウジング16の前面だけをカバーしている。また、図18と図19に一部を示す後カバー515も、本体モジュール11側のハウジング16の後部だけをカバーしており、先の実施形態の後カバー15のセンサ支持片104に相当する部位を備えていない。本体モジュール11のフランジ支持座50には、組立時や検査時に本体モジュール11を固定させるための固定孔150が形成されている。
1群ブロック512には、基板モジュール513とは別体の支持基板140が組み付けられる。図21に示すように、支持基板140は、第1基板140aと第2基板140bを組みわせて構成される。第1基板140aは金属製の板状材からなり、第1レンズ枠40の磁石保持部76、77の前方を覆う平板状の前面部141と、前面部141の上下両縁部から後方に向かって延びる上下一対の係合片142を有する。第2基板140bはフレキシブル基板からなり、前面部141の裏面側に固定される平板状のコイル支持部143と、コイル支持部143に対して離間して対向する平板状のセンサ支持部144と、コイル支持部143とセンサ支持部144を接続するブリッジ部145と、ブリッジ部145から延設される延設部146を有する。前面部141には一対の位置決め孔141aと一対の位置決め孔141bが形成されており、コイル支持部143にはこれらと重なる位置に一対の位置決め孔143aと一対の位置決め孔143bが形成されている。一対の位置決め孔141a、143aに対して、コイル74を支持するコイル支持板147から突出する一対の位置決め突起147aが係合し、一対の位置決め孔141b、143bに対して、コイル75を支持するコイル支持板148から突出する一対の位置決め突起148aが係合し、コイル支持部143に対してコイル74とコイル75が固定的に支持される。センサ支持部144上には、コイル74とコイル75に対向する位置に磁気センサ84と磁気センサ85が固定されている。ベース枠41の上下のフランジ44の前面には、一対の位置決め突起149が設けられ、この一対の位置決め突起149に係合する一対の位置決め孔141cが第1基板140aの前面部141に形成されている。また、第1基板140aの一対の係合片142にはそれぞれ、ベース枠41の上下のフランジ44に形成した係合突起46に係合する一対の係合孔142aが形成されている。支持基板140は、第1基板140aの前面部141をベース枠41のフランジ44や外囲壁49の前面に当接させて一対の位置決め孔141cにそれぞれ位置決め突起149を係合させ、上下の係合片142をベース枠41の上下のフランジ44の上面と下面に当接させて一対の係合孔142aにそれぞれ係合突起46を係合させることで、ベース枠41に対して所定の位置で支持される。このように支持された支持基板140における前面部141とコイル支持部143とセンサ支持部144はそれぞれ、第1光軸O1と略直交する平面部となる。
支持基板140をベース枠41に取り付けた状態で、コイル74、75がそれぞれ第1レンズ枠40上の永久磁石71、72に対向する。また、支持基板140をベース枠41に取り付けることにより、センサ支持部144上の磁気センサ84、85がベース枠41のセンサ支持部55、56に嵌合する。ベース枠41にはさらに支持基板140とは別体の金属製のセンサ押さえ板139(図20)が取り付けられる。先の実施形態の後カバー15における支持片104と同様に、センサ押さえ板139は、後方からセンサ支持部144に当接して、センサ支持部55、56内に磁気センサ84、85を安定的に保持させる。支持基板140(特に第1基板140a)とセンサ押さえ板139は、永久磁石71、72の磁界に影響を及ぼさないように非磁性体または弱磁性体の金属で形成することが好ましい。支持基板140から延出される第2基板140bの延設部146を通じてコイル74、75と磁気センサ84、85が撮像ユニット510の制御回路に電気的に接続される。
以上のように支持基板140を介して1群ブロック512に組み付けられたコイル74、75と磁気センサ84、85は、先に説明した各実施形態の1群ブロック12と共通の位置に固定されている。よって、コイル74、75に通電制御することで第1レンズ枠40を第1光軸O1と直交する平面内で移動させることができる。この実施形態の撮像ユニット510では、第1レンズL1を駆動させる防振機構の構成要素が全て1群ブロック512に集約されているため、本体モジュール11から取り外した1群ブロック512単体の状態で防振機構の検査や調整を行うことが可能であり、作業性に優れている。
以上、図示実施形態を利用して本発明を説明したが、本発明は様々な変形を施しながら実施可能である。例えば、図示実施形態では、第1レンズ枠40とベース枠41の間に配する付勢手段として引張バネ69を用いているが、別種のコイルバネとして圧縮バネを用いることも可能である。第1レンズ枠40とベース枠41の間にガイドボール67や滑りシート86を保持する構成で圧縮バネを用いる場合は、第1レンズ枠40と回路基板73(図18ないし図21の形態では支持基板140)の間に圧縮バネを挿入すると、構造が簡略であり、スペース効率的にも好ましい。
また、図示実施形態は防振機構の駆動手段として、可動の第1レンズ枠40側に永久磁石71、72を支持し、移動しないベース枠41側にコイル74、75を支持したムービングコイルタイプのボイスコイルモータを用いているが、永久磁石とコイルの配置をこれと逆にしたムービングコイルタイプのボイスコイルモータを用いてもよい。さらに、防振機構の小型軽量化という点でボイスコイルモータが好ましいが、ボイスコイルモータ以外の駆動手段を用いることも可能である。
また、図示実施形態の防振機構では、永久磁石71、72が磁力境界線Q1、Q2に沿う方向に長い矩形の正面形状を有し、コイル74、75が長軸R1、R2に沿う方向に長い正面形状を有しているが、これらとは異なる形状の永久磁石やコイルを備えた防振機構に本発明を適用することも可能である。具体的には、正方形の永久磁石を用いるなどの変更が可能である。
また、図示実施形態では第2光軸O2上に可動に支持されるレンズ群が第2群G2と第3群G3であるが、第2光軸O2上のレンズ群をこれよりも多くした4群、5群といったタイプの撮像光学系にも本発明は適用が可能である。
さらに第1群G1において第1プリズムL11の入射面L11−aの前方の第1光軸O1上に配されるレンズや、第1プリズムL11の出射面L11−bの右方の第2光軸O2上に配されるレンズの数を異ならせることが可能である。例えば、図示実施形態の第1レンズL1に代えて、第1プリズムL11の前方に2つ以上のレンズを配置してもよい。この場合は、第1プリズムL11の前方の複数レンズの光軸方向間隔が狭くなるので、収差劣化を防ぐべく第1プリズムL11の前方の複数のレンズを全て第1光軸O1と直交する方向に移動させて防振制御を行うとよい。また図示実施形態では第1プリズムL11の右方に第2レンズL2と第3レンズL3が配されているが、第1群G1で第1プリズムL11に続く光路上に配置されるレンズの数を、1つまたは3つ以上とすることも可能である。さらには第1群G1で第1プリズムL11に続く光路上にレンズを設けない態様にすることも可能である。
前述のように各実施形態の撮像ユニットでは第1レンズL1の入射面から像面までの光路長が常に一定である。このタイプの撮像光学系では一般的に最も物体側の第1レンズL1が負レンズとなる。但し本発明の防振制御用のレンズ(前方レンズ)は正レンズであってもよい。正、負を問わず屈折力を有するレンズであれば前方レンズとして適用が可能である。
また各実施形態の撮像ユニットの撮像光学系は、第2群G2と第3群G3を第2光軸O2に沿って移動させて変倍動作を行うズームレンズであるが、変倍機能を備えない撮像光学系を搭載した撮像装置においても本発明は適用可能である。例えば、第2群G2と第3群G3がズーミング用の移動を行わないものとし、第2群G2または第3群G3がフォーカシング用の移動のみを行う態様にすることもできる。
また、図示実施形態の第1プリズムL11の入射面L11−aは横長矩形(長方形)であるが、プリズムの入射面が正方形、台形あるいはその他の形状をなすタイプの撮像装置にも本発明は適用可能である。
プリズムによる光軸の屈曲角度(反射角)は90°以外の値であってもよい。