JP2014064974A - 管洗浄用ピグ - Google Patents

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Abstract

【課題】ランチャー圧力が高くなることなくスムーズに通過でき、しかも、ピグ本体の密度を小さくしても、水圧や管径変化などによる損傷が起こらず、洗浄性に優れた管洗浄用ピグを提供する。
【解決手段】発泡密度が20kg/m3未満、40%圧縮硬さが110N/314cm2以下である軟質ポリウレタンフォームからなるピグ本体の外周面に、シリコーゴムからなる塗工膜を有し、アスカーゴム硬度計C型で測定した硬度が0〜1であることを特徴とする。このとき、塗工膜を設ける前のピグ本体と、塗工膜を設けた後のピグとの40%圧縮硬さが同一であることが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、損傷することなく、ランチャーはもとより管路全体をスムーズに通過でき、しかも、洗浄性に優れた管洗浄用ピグに関する。
従来、特許文献1に記載されるような、ガス管路や水道管路などの管内を洗浄するピグが提案されている。
このようなピグは、一般に、曲管や管径変化などにも対応できるよう圧縮性と復元性とを有し、投入・載置されたピグの発射部であるランチャー(launcher)から管内へと水圧や空気圧により送り込まれ、該管内の洗浄を行うものである。
ところが、管内壁面に堆積する付着物のそぎ落とし性を向上させる目的で、洗浄する管径の最大値よりサイズが大きいピグ(例えば、直径230mm程度)を使用すると、ランチャー(例えば、内径75mm程度)において、ピグを発射させるための給水の圧力が高まりピグ自体に損傷(亀裂、破れ、折れジワ、凹み)が生じたり、最悪の場合、ランチャーで詰まる(ランチャーから発射されない)といった不具合が発生していた。
そこで、ピグの大きさよりも通常小さい(径が細い)ランチャーにて、給水の圧力を高めることなく、スムーズに発射させるために、ピグ本体の密度を下げることで圧縮変形しやすくし該ランチャーの通過性を上げることが検討されている。
しかしながら、ピグ本体の密度を下げたものでは、上記給水の圧力によって、ピグが変形したり損傷してしまうことがあり、十分なそぎ落とし性(すなわち洗浄性)が得られないことがあった。
特許第3421012号公報
本発明は、以上のような現状を考慮し、ランチャーにおける給水の圧力(以下、これを「ランチャー圧力」とする)を高めることなくスムーズに通過でき、しかも、ピグ本体の密度を小さくしても、水圧や管径変化などによる損傷が起こらない管洗浄用ピグの提供を課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を行った結果、ピグ本体をシリコーンゴムからなる膜でコーティングすることで、
該ピグ本体が、従来より軽く柔らかい素材であっても、水圧や管径変化などによる損傷が生じることなく、また、ランチャー内径より3倍ほど大きくてもスムーズに通過できるので、ランチャー圧力を低く抑えられることを見出した。
本発明は、このような知見の下でなし得たものであり、以下を要旨とする。
(1)発泡密度が20kg/m3未満、40%圧縮硬さが110N/314cm2以下である軟質ポリウレタンフォームからなるピグ本体の外周面に、シリコーンゴムからなる塗工膜を有し、アスカーゴム硬度計C型で測定した硬度(以下、単に「C硬度」と記載することがある)が0〜1であることを特徴とする管洗浄用ピグ。
(2)塗工膜を設ける前のピグ本体と、塗工膜を設けた後のピグとの40%圧縮硬さが同一であることを特徴とする前記(1)に記載の管洗浄用ピグ。
(3)洗浄する管径の最大値をαとしたときに、ピグ本体の直径がα×1.05〜1.20であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の管洗浄用ピグ。
(4)塗工膜の目付が、ピグ本体の外周面の1m2あたり500〜600gとなるように形成されてなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の管洗浄用ピグ。
(5)塗工膜は、ピグ本体の外周面に開口するセルの頂辺および該頂辺近傍内壁面の少なくとも一部に形成されてなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の管洗浄用ピグ。
本発明の管洗浄用ピグは、ピグ本体が、軽く柔らかい素材であっても、水圧や管径変化などによる損傷が起こることなく、ランチャーはもとより管路全体をスムーズに通過(移動)できるものである。よって、ランチャー圧力の上昇を抑えられるので、ポンプを動かす電気や水の消費量を削減でき省エネに役立つ。
また、本発明の管洗浄用ピグは、塗工膜を設けてもピグの硬さが硬くならないので、洗浄対象の管の内径よりサイズを十分に大きくし、管内壁との接触面積を増やすことができる結果、そぎ落とし性(すなわち洗浄性)の飛躍的な向上が期待できるものである。
本発明の管洗浄用ピグの一実施態様例を説明する断面模式図である。 本発明の管洗浄用ピグの他の実施態様例を説明する断面模式図である。 本発明の管洗浄用ピグの表面状態の一例を示す拡大写真である。 図3に示した表面状態を説明する断面模式図である。
図1に、本発明の一実施態様例を説明する断面模式図を示す。図1に示すように、本発明の管洗浄用ピグ(以下、単に「ピグ」と記すことがある)10は、特定の物性を有する軟質ポリウレタンフォームからなるピグ本体1の外周面に、シリコーンゴムからなる塗工膜2を設けたものである。
図1にて、ピグ10は、管内での方向性をなくしたほうが好ましいので、球体の形状を例示しているが、球体以外、例えば、円柱体、反角柱体、双円錐体などの形状でもよい。
ピグ本体1は、JIS K7222に準拠して測定された発泡密度が20kg/m3未満、JIS K6400−2に準拠して測定された40%圧縮硬さが110N/314cm2以下である軟質ポリウレタンフォームからなる。
発泡密度が20kg/m3以上で40%圧縮硬さが110N/314cm2を超えるフォームは、圧縮されにくい(圧縮硬さが高い)ので、ピグを発射させるための給水の圧力が高くなり、その水の勢いで損傷(亀裂、破れ、折れジワ、凹み)が生じやすいばかりか、最悪の場合、ランチャーで詰まってしまい発射できないこともある。
発泡密度が小さく(軽量で)柔らかいものほど、通過(移動)性はよくなるが、あまりに軽すぎたり柔らかすぎると、損傷しやすいうえ、復元性が損なわれ、そぎ落とし(洗浄)性が低下してしまうので、下限値としては、発泡密度が16kg/m3程度、40%圧縮硬さが80N/314cm2程度とすればよい。
さらに、ピグ本体1は、JIS K6400−3に準拠して測定された反発弾性率が40%以上、ダウ式通気度が1.5dm3/s以上、セル数が30〜40個/inch程度の連通フォームであることが好ましい。
反発弾性率が小さすぎるものでは、ランチャーなどの細径部分を圧縮した状態で通過した後、管径が大きい箇所での復元性(収縮戻り性)が悪く、管内壁面との接触が不十分な箇所が生じる虞がある。
通気度が低すぎたり、セル数/inchが多すぎるものでは、後述のシリコーンゴムとの馴染み性(フォームへの浸透性)が悪く、塗工膜2を形成しにくいばかりか、実際の使用での圧縮(復元)性が悪い。一方、セル数/inchが少なすぎるものでは、通水性が良くなりすぎて、ピグへの水圧が低下してしまい、管内での走行不良を招く虞がある。
本発明のピグ10は、このようなピグ本体1の外周面に、シリコーンゴムからなる塗工膜2を有し、表面硬度を示すC硬度が0〜1であることが重要である。
ピグ10のC硬度が1を超えてしまうような塗工膜2では、管径の変化に伴い圧縮したり復元する際に、ピグ本体1との追随性に劣るので、圧縮変形を妨げやすく、結果として破損が生じやすいピグとなる。
図3は、塗工後のピグ10の表面状態の一例を示す拡大写真(顕微鏡「Nikon社製のSMZ660:20倍率」での画像を市販のデジタルカメラで撮影した写真)であり、図4は、図3の表面状態をよりわかりやすく示した断面模式図である。
図3,4に示すように、本発明では、塗工膜2を、ピグ本体の外周面に開口するセル4の頂辺および該頂辺近傍内壁面の少なくとも一部に形成されてなることが好ましい。すなわち、塗工膜2は、当該セルの頂辺と、その近傍内壁面の一部ないし全体に形成され得る。
このように、塗工後のピグ10の表面では、外周面に開口するセル4の内部がシリコーンゴムにより満たされた状態のものと満たされない状態のものとが混合した状態であってもよく、塗工後のピグ10内部への通水(浸水)も可能な状態ゆえ、ピグ本体がもつ硬度を、殆ど上げることなく(塗工膜2を設けた後も維持したまま)、引張強さや切断時伸びといった機械的強度を飛躍的に向上させることができ、この結果、ピグ本体1を、ランチャー内径より3倍ほど大きく、かつ20kg/m3未満の発泡密度としても、水圧や管径変化がもたらす損傷を確実に防止できるものである。
なお、ピグ本体1の直径としては、洗浄する管径の最大値をαとしたときに、α×1.05〜1.20であることが好ましい。ピグ本体1の直径が小さすぎると、管内で回転しやすく、そぎ落とし性(洗浄性)に劣るものとなる、一方、大きすぎても、洗浄性は飽和するうえ、通過(移動)性や取扱性が悪い。
したがって、本発明では、塗工膜2を設ける前のピグ本体1の40%圧縮硬さと、塗工膜2を設けた後のピグ10の40%圧縮硬さとを、同等ないしは同一とすることが好ましい。
塗工膜を設ける前に比べて、塗工膜を設けた後の40%圧縮硬さが上がってしまうものでは、圧縮変形しにくいピグとなり、ランチャー圧力が高くなるうえ、水圧や管径変化により破損しやすい。
シリコーンゴムとしては、JIS K6249に準拠して測定された硬化後の引張強さが20kgf/cm2以上、切断時伸びが400%以上であることが好ましい。
硬化後の引張強さや、切断時伸びが小さすぎると、塗工後のピグ10の機械的強度の向上が期待できないうえ、管内壁面への密着性(すなわち、そぎ落とし性)に劣る傾向がある。
上記シリコーンゴムには、塗工膜2としての上記物性を損ねない範囲で、着色剤、研磨剤などを添加してもよい。
塗工膜2は、目付量が多すぎると、塗工後のピグ10の表面硬度や40%圧縮硬さが硬くなり、ランチャー圧力が上昇する傾向があり、ピグ10の軽量化にとっても好ましくない。目付量が少なすぎれば、ピグの損傷が生じやすくなり、塗工膜を設ける技術的意義をなさないので、塗工膜2の目付は、ピグ本体の外周面の1m2あたり500〜600g程度とすることが好ましい。したがって、塗工膜の乾燥後の厚みは、1〜5mm、好ましくは1〜2mm程度とすればよい。
なお、塗工膜2は、図1に示すように、ピグ本体1の全外周面に有するものであってもよく、これまで述べたような塗工膜2を設ける技術的意義の支障とならない範囲内で略全周面としてもよい。また、部分的に、厚く形成することもできるし、その厚みの変化により、そぎ落とし性の向上を図ってもよい。
塗工膜2を設ける方法としては、特に限定されないが、刷毛塗り、スプレー塗装、ディッピングなどが挙げられ、中でも、塗工性や乾燥性の面でピグ本体1の形状に左右されにくいスプレー塗装が好適である。
図2に、本発明の他の実施態様例を説明する断面模式図を示す(図1,2において、共通あるいは同一の部分は同じ符号で示してある)。
図2に示すように、本発明のピグ20は、圧縮(復元)性を向上させるために塗工膜2やピグ本体1を貫通する孔3を形成してもよい。この貫通孔3の径は、3〜5mm程度とすればよく、孔3の内壁面にも塗工膜を形成することもできる。また、貫通孔3は、2本以上設けることもできるし、その際には貫通孔同士を交差させても、させなくてもよい。
実施例1
〔ピグ本体の成形〕
板状の軟質ポリウレタンフォーム(発泡密度:18kg/m3、40%圧縮硬さ:95N/314cm2、反発弾性率:45%、ダウ式通気度:2.0dm3/s、セル数:約30個/inch)から、熱線加工にて球状(直径223mm)のピグ本体を成形した。
〔塗工膜の形成〕
次いで、成形したピグ本体の外周面全体に、塗工膜として、1液タイプのシリコーンゴム(MOMENTIVE performance materials社製 “YE5505”。硬化後の引張強さ:20kgf/cm2、切断時伸び:400%)を、スプレー吹き付けにて、乾燥後の厚みが1mm(目付量がピグ本体の外周面1m2あたり500g)となるように設け、実施例1のピグ(直径225mm)を得た。なお、得られたピグの硬度(40%圧縮硬さとC硬度)は、表1に示すとおりであった。
比較例1
塗工膜として、2液タイプのウレタン系塗料(大日精化社製 “レザミンD−9087”と“レザミンD−52(架橋剤)”)を使用した以外は、実施例1と同じ方法にてピグ(直径225mm)を得た。得られたピグの硬度は、表1に示すとおりであった。
比較例2
塗工膜として、1液タイプのウレタン系塗料(大同塗料社製 “ボースイテックス#3000”)を使用した以外は、実施例1と同じ方法にてピグ(直径225mm)を得た。得られたピグの硬度は、表1に示すとおりであった。
比較例3
塗工膜を設けずに、実施例1で成形したピグ本体そのものを、比較例3のピグとした(直径223mm)。該ピグの硬度は、表1に示すとおりであった。
比較例4,5
塗工膜を設けずに、板状の軟質ポリウレタンフォーム(発泡密度:25kg/m3、40%圧縮硬さ:115N/314cm2、反発弾性率:35%、ダウ式通気度:1.0dm3/s、セル数:約30個/inch)から、熱線加工にて球状(直径223mm)に成形したピグ本体そのものを、比較例4のピグとした。該ピグの硬度は、表1に示すとおりであった。
上記比較例4で成形したピグ本体を用いる以外は、実施例1と同じ方法にて塗工膜を形成したピグを比較例5(直径225mm)とした。得られたピグの硬度は、表1に示すとおりであった。
実施例2
板状の軟質ポリウレタンフォーム(発泡密度:16kg/m3、40%圧縮硬さ:50N/314cm2、反発弾性率:38%、ダウ式通気度:2.0dm3/s、セル数:約40個/inch)から、熱線加工にて球状(直径223mm)に成形したピグ本体を用いる以外は、実施例1と同じ方法にて塗工膜を形成したピグを実施例2(直径225mm)とした。得られたピグの硬度は、表1に示すとおりであった。
参考例1
B社市販品(ピグ本体の発泡密度、40%圧縮硬さ、反発弾性率、及び塗工膜の種類、並びにピグの直径、40%圧縮硬さ、C硬度は、表1に示すとおり)を、参考例1とした。
実施例1〜2、比較例1〜5、参考例1で得られたピグの(1)ランチャー圧力と(2)損傷について、下記の評価方法で評価した。結果を併せて表1に示す。
(1)ランチャー圧力:直径75mmのランチャーに各ピグをセットし、ポンプアップした地下水をランチャーへ600L/minで給水し、ランチャー内壁面に掛かる圧力(MPa)を山本計器製造(株)製の圧力計(普通形圧力計(Φ100 A形))にて測定した。なお、通常、0.30MPa未満のランチャー圧力であれば、ランチャーをスムーズに発射したとみなすことができる。
(2)ピグ損傷:上記ランチャーを通過した後の各ピグについて、目視にて損傷を確認した。
ピグに損傷が見られない場合を「○」、損傷が見られた場合を「×」とした。
なお、実施例2のピグについては、ランチャーを通過した後では損傷は全く見られなかったが、配管全体を洗浄させた後に折れジワ、凹みが見られ、実施例1に比べると洗浄性において若干劣るものであった。また、ランチャー通過後に凹みが見られた比較例5は、亀裂が生じた比較例4に比べれば損傷のダメージがやや抑えられていた。
本発明の管洗浄用ピグは、ランチャー圧力が高くなることなく、ランチャーをスムーズに通過し、曲管や管径変化にも対応できるうえ、そぎ落とし性(すなわち洗浄性)に優れたものである。
したがって、それほど熟練した技術や経験を必要とせずに、確かな洗浄効果が得られるものなので、ダクタイル鋳鉄管、鋳鉄管(粉体塗装・モルタルライニングなどの管内面塗装管)、鋼管(内面ライニング塗装管)、ステンレス管、塩化ビニル管など様々な管の洗浄に好適に使用され得る。
10,20 管洗浄用ピグ
1 ピグ本体
2 塗工膜
3 貫通孔
4 ピグ本体の外周面に開口するセル

Claims (5)

  1. 発泡密度が20kg/m3未満、40%圧縮硬さが110N/314cm2以下である軟質ポリウレタンフォームからなるピグ本体の外周面に、シリコーンゴムからなる塗工膜を有し、アスカーゴム硬度計C型で測定した硬度が0〜1であることを特徴とする管洗浄用ピグ。
  2. 塗工膜を設ける前のピグ本体と、塗工膜を設けた後のピグとの40%圧縮硬さが同一であることを特徴とする請求項1に記載の管洗浄用ピグ。
  3. 洗浄する管径の最大値をαとしたときに、ピグ本体の直径がα×1.05〜1.20であることを特徴とする請求項1または2に記載の管洗浄用ピグ。
  4. 塗工膜の目付が、ピグ本体の外周面の1m2あたり500〜600gとなるように形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の管洗浄用ピグ。
  5. 塗工膜は、ピグ本体の外周面に開口するセルの頂辺および該頂辺近傍内壁面の少なくとも一部に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の管洗浄用ピグ。
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