以下、本発明に係る電子機器について、実施形態を示して詳しく説明する。
(電子機器)
図1は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示す概略構成図である。図1(a)は、電子機器の斜視図であり、図1(b)は、電子機器の側面図である。図2は、本実施形態に係る電子機器の一構成例を示すブロック図である。ここでは、本発明に係る電子機器に対して、外部に設けられた充電装置(充電アダプタ)から電力を供給して、内蔵する充電用バッテリ(充電池)を充電する場合について実施形態を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、後述するように、本実施形態と同等の構成により、パーソナルコンピュータ等の外部機器との間で種々のデータを伝送する場合についても良好に適用することができる。
一実施形態に係る電子機器は、例えば図1(a)に示すように、腕時計型(または、リストバンド型)の外観形状を有し、大別して、ユーザ(機器使用者)に所定の情報を提供するための表示部131を備えた機器本体101と、ユーザの手首に巻き付けることにより機器本体101を手首に装着するためのベルト部102と、を備えている。
電子機器100は、具体的には、図2に示すように、大別して、センサ部110と、入力インターフェース部120と、出力インターフェース部130と、通信部140と、中央演算回路(以下、「CPU」と略記する)150と、メモリ160と、電源部170と、を備えている。
センサ部110は、例えば図2に示すように、加速度センサ111と、角速度センサ(ジャイロセンサ)112と、地磁気センサ(電子コンパス)113と、GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)アンテナを含むGPSモジュール114と、を有している。加速度センサ111は、ユーザの走行中の動作速度の変化の割合(加速度)を検出して加速度データとして出力する。角速度センサ(ジャイロセンサ)122は、ユーザの運動中の動作方向の変化(角速度)を検出して角速度データとしてする。地磁気センサ113は、地球の磁場(磁界)の方向を検出して地磁気データまたは電子機器100の水平方向の方向データとして出力する。また、GPSモジュール114は、複数のGPS衛星からの電波を、GPSアンテナを介して受信することにより、緯度経度からなる(地理的な)位置データを検出する。これらの各種センサにより検出されたセンサデータは、各センサの計測時間に関連付けられてメモリ160の所定の記憶領域に保存される。
入力インターフェース部120は、例えば図2に示すように、操作ボタン121、122と、タッチパネル123と、を有している。操作ボタン121、122は、例えば図1(a)、(b)に示すように、機器本体101の側面に突出するように設けられ、上述したセンサ部110に設けられた各種センサにおける検出や測定の開始や終了、一時停止等の動作(センシング動作)、表示部131に表示する項目の設定等の、各種機能の入力設定操作に用いられる。なお、操作ボタン121の詳細な構成および操作方法については後述する。
また、タッチパネル123は、後述する出力インターフェース部130に設けられる表示部131の前面(視野側)に配置、または、表示部131の前面に一体的に形成され、表示部131に表示された情報に応じた領域をタッチ操作することにより、当該情報に対応する機能が選択的に実行される。ここで、タッチパネル123により実現される機能は、上記の操作ボタン121、123により実現される機能と同等であってもよいし、タッチパネル123による操作特有の機能を有していてもよい。なお、本実施形態に係る入力インターフェース部120は、少なくとも操作ボタン121、122を備えていればよく、タッチパネル123を備えていない構成であってもよい。
出力インターフェース部130は、例えば図2に示すように、表示部131と、音響部132と、振動部133と、を有している。表示部131は、カラーやモノクロ表示が可能な液晶方式や有機EL方式の表示パネルを有し、少なくとも上述したセンサ部110の各種センサにより検出されたセンサデータや、当該センサデータに基づいて取得された各種の生体情報や運動情報、あるいは、時刻情報等を表示する。ここで、表示部131における各種の情報の表示形態は、上述した操作ボタン121、122やタッチパネル123を操作することにより任意に設定される。
また、音響部132は、ブザーやスピーカ等の音響機器を有し、所定の音色や音パターン、音声メッセージ等の音情報を発生することにより、聴覚を通してユーザに各種の情報を提供または報知する。振動部133は、振動モータや振動子等の振動機器(バイブレータ)を有し、所定の振動パターンやその強弱等の振動情報を発生することにより、触覚を通してユーザに各種の情報を提供または報知する。なお、出力インターフェース部130は、少なくとも表示部131、音響部132、振動部133のいずれかを有していればよく、特に、数値情報等の具体的な情報をユーザに提供する場合には、少なくとも表示部131または音響部132のいずれか一方を備えた構成を有していることが好ましい。
通信部140は、電子機器100の外部に設けられた機器(外部機器;図示を省略)との間で所定の通信方式により種々のデータの伝送を行う。ここで、外部機器との間のデータの伝送方法については、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))やブルートゥースローエナジー(Bluetooth(登録商標) low energy)等の無線通信による方式や、通信ケーブルを介した有線通信による方式を適用することができる。なお、電子機器100が外部機器とのデータ伝送を行わない、もしくは、データ伝送を必要としない構成の場合には、通信部140を省略することができる。
メモリ160は、不揮発性メモリを有し、上述したセンサ部110から出力された各種のセンサデータや、これらのセンサデータに基づいて導出された生体情報や運動情報、通信部140を介して外部機器から伝送された各種データ等を、センサの計測時間や所定の動作時間に関連付けて保存する。また、メモリ160は、CPU150において所定の制御プログラムを実行する際に使用、または、生成される各種データを一時的に保存する。ここで、メモリ160は、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)やフラッシュメモリを有し、当該制御プログラムを保存するものであってもよい。なお、メモリ160を構成する不揮発性メモリ部分は、その一部または全部が、例えばメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、機器本体101に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
CPU150は、計時機能を備え、上記のメモリ160に保存された制御プログラムに従って処理を行うことにより、センサ部110の各種センサにおけるセンシング動作や、入力インターフェース部120における入力操作、出力インターフェース130における表示や振動等の動作、通信部140におけるデータ伝送動作、電源部170における充電動作等の、各構成における動作を制御して所定の機能を実現する。なお、CPU150において実行される制御プログラムは、予めCPU150内部に組み込まれているものであってもよい。
電源部170は、例えば図2に示すように、充電池171と、充電回路172と、を有している。充電池171は、電子機器100の外部から供給される電力を充電するとともに、電子機器100内部の各構成に駆動電力を供給する。充電池171は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池が適用される。充電回路172は、上記操作ボタン121、122に組み込まれた充電端子を介して、電子機器100の外部から供給される電力を充電池171に充電する制御を行う。なお、電源部170に外部から電力を供給するための充電端子や、電子機器100に接続される充電アダプタの構成については後述する。
(操作ボタンの具体構成)
次に、本実施形態に係る電子機器の入力インターフェース部に適用される操作ボタンの具体的な構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る電子機器の入力インターフェース部に適用される操作ボタン周辺の構成を示す概略図である。図3(a)は、操作ボタン周辺の構成を示す要部断面図であり、図3(b)は、図3(a)に示したIIIB−IIIB線に沿った断面構造を示す図である。なお、本明細書においては、図3に示したローマ数字の「3」に対応する記号として便宜的に「III」を用いる。また、図4は、本実施形態に係る入力インターフェース部に適用される操作ボタンの一構成例を示す概略図である。図4(a)は、操作ボタンの構成を示す側面図であり、図4(b)は、図4(a)に示したIVB−IVB線に沿った断面構造を示す図である。なお、本明細書においては、図4に示したローマ数字の「4」に対応する記号として便宜的に「IV」を用いる。また、図5は、本実施形態に係る操作ボタンの操作により可動する入力設定用バネ部材の一構成例を示す概略図である。図5(a)は、入力設定用バネ部材の要部を示す斜視図であり、図5(b)は、入力設定用バネ部材の要部を示す正面図であり、図5(c)は、入力設定用バネ部材の要部を示す側面図である。
本実施形態に適用される操作ボタン121、122は、例えば図1、図3に示すように、機器本体101のケース103の側面から機器本体101の内部空間107に貫通するように設けられた段付き貫通穴104に挿通するように組み込まれている。具体的には、段付き貫通穴104は、図3(a)に示すように、機器本体101の内部空間107に連通し、開口径が小さい貫通穴部分104aと、ケース103の側面(図面右方側の面)側に設けられ、貫通穴部分104aよりも開口径が大きいザグリ穴部分104bと、を有している。一方、操作ボタン121、122は、図3(a)、図4(a)に示すように、円筒形状(または円柱形状)を有し、当該直径が小さい端子ピン本体121aと、端子ピン本体121aの一端側(図面右方側)に設けられ、当該端子ピン本体121aよりも直径が大きい、略円盤形状を有するフランジ部121bと、を有している。また、端子ピン本体121aの他端側(図面左方側)には、外周面に沿ってEリング溝が設けられ、当該Eリング溝にEリング177が係止されている。このように、操作ボタン121、122は、上記のフランジ部121bとEリング177により、段付き貫通穴104に挿通された状態が保持され、段付き貫通穴104から抜け落ちないように構成されている。
ここで、図3(a)に示すように、操作ボタン121、122の端子ピン本体121aの直径は、上記の段付き貫通穴104に設けられた貫通穴部分104aの開口径よりもわずかに小さくなるように設定され、当該貫通穴部分104aの内周面に対して、端子ピン本体121aの外周面がほぼ接して、図面左右方向(操作方向)に摺動するように形成されている。また、フランジ部121bの直径は、上記の段付き貫通穴104に設けられたザグリ穴部分104bの開口径よりもわずかに小さくなるように設定され、当該ザグリ穴部分104bの内周面に対して、フランジ部121bの外周面がほぼ接して摺動するように形成されている。
また、図3(a)、図4(a)に示すように、操作ボタン121、122の端子ピン本体121aの外周面と、ケース103の側面に設けられた段付き貫通穴104の内周面との間には、防水用のゴム製のパッキン(例えばOリング)178が両者に密着するように組み込まれている。これにより、段付き貫通穴104を介して機器本体101の外部から内部空間107への水分の侵入が防止され、電子機器100の防水性が確保される。また、端子ピン本体121aの外周面において、上記パッキン178とフランジ部121bとの間には、所定の弾性力(またはバネ定数)を有するコイルスプリング179が介挿されている。これにより、操作ボタン121、122はケース103に対して、常時図3(a)の右方向に付勢されて、ユーザにより操作ボタン121、122をケース103の内部空間107方向(図面左方向)に押圧する操作が行われた後には、所定の初期状態(初期位置)に復起する。この初期状態においては、端子ピン本体121aのEリング177は、機器本体101の内部空間107側のケース103壁面に当接した状態となる。
このような操作ボタン121、122は、後述するように、内部に導電性の充電端子173が組み込まれ、かつ、操作ボタン121、122の操作により、導電性の入力設定用バネ部材180に接触するものであるので、電流のリークやショートにより電子機器100の故障や破損が生じないように、樹脂材料等の絶縁性材料により形成された部材、または、それに準じた表面処理を施した部材が適用される。
また、図3に示すように、操作ボタン121、122には、端子ピン本体121aの延在方向(図面左右方向)に段付き貫通穴124が設けられ、当該段付き貫通穴124に挿通するように充電端子173が組み込まれている。ここで、本実施形態においては、充電端子173は、操作ボタン121、122と操作方向が一致、または、操作ボタン121、122と充電端子173の操作方向の中心軸が一致する(同軸になる)ように組み込まれている。具体的には、段付き貫通穴124は、図3(b)、図4(b)に示すように、操作ボタン121、122の他端側(図面左方側)の端面に連通し、開口径が小さい貫通穴部分124aと、操作ボタン121、122のフランジ部121b側(図面右方側)に設けられ、貫通穴部分124aよりも開口径が大きいザグリ穴部分124bと、を有している。一方、充電端子173は、図3(b)、図4(b)に示すように、円柱形状を有し、当該直径が小さい端子ピン本体173aと、端子ピン本体173aの一端側(図面右方側)に設けられ、当該端子ピン本体173aよりも直径が大きく、略円盤形状を有するフランジ部173bと、を有している。また、端子ピン本体173aの他端側(図面左方側)には、外周面に沿ってEリング溝が設けられ、当該Eリング溝にEリング174が係止されている。このように、充電端子173は、上記のフランジ部173bとEリング174により、段付き貫通穴124に挿通された状態が保持され、段付き貫通穴124から抜け落ちないように構成されている。
ここで、図3(b)、図4(b)に示すように、充電端子173の端子ピン本体173aの直径は、上記の段付き貫通穴124に設けられた貫通穴部分124aの開口径よりもわずかに小さくなるように設定され、当該貫通穴部分124aの内周面に対して、端子ピン本体173aの外周面がほぼ接して、図面左右方向(操作方向)に摺動するように形成されている。また、フランジ部173bの直径は、上記の段付き貫通穴124に設けられたザグリ穴部分124bの開口径よりもわずかに小さくなるように設定され、当該ザグリ穴部分124bの内周面に対して、フランジ部173bの外周面がほぼ接して摺動するように形成されている。
また、図3(b)、図4(b)に示すように、充電端子173の端子ピン本体173aの外周面と、操作ボタン121、122に設けられた段付き貫通穴124の内周面との間には、防水用のゴム製のパッキン(例えばOリング)175が両者に密着するように組み込まれている。これにより、段付き貫通穴124を介して機器本体101の外部から内部空間107への水分の侵入が防止され、電子機器100の防水性が確保される。また、端子ピン本体173aの外周面において、上記パッキン175とフランジ部173b間には、所定の弾性力(またはバネ定数)を有するコイルスプリング176が介挿されている。ここで、コイルスプリング176は、操作ボタン121、122の端子ピン本体121aの外周面に介挿されるコイルスプリング179に比較して、弾性力が大きく(またはバネ定数が小さく)なるように設定されている。これにより、充電端子173は操作ボタン121、122に対して、常時図3(b)の右方向に付勢されて、ユーザにより充電端子173をケース103の内部空間107方向(図面左方向)に押圧する操作が行われた後には、所定の初期状態に復起する。この初期状態においては、充電端子173の端子ピン本体173aのEリング174は、操作ボタン121、122の端子ピン本体121aの他端側(図面左方側)の端面に当接した状態となるように設定されている。なお、本実施形態においては、この初期状態において、図3(b)に示すように、充電端子173の端子ピン本体173aのフランジ部173bの一端側(図面右方側)の端面が、操作ボタン121、122の端子ピン本体121aのフランジ部121bの一端側(図面右方側)の端面と面一となるように設定されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、充電端子173の端子ピン本体173aのフランジ部173bの一端側の端面が、操作ボタン121、122の端子ピン本体121aのフランジ部121bの一端側の端面よりも、段付き貫通穴124の内部方向(図面左方向)に位置するように設定されているものであってもよい。
このような充電端子173は、後述するように、電子機器100の外部からの充電用の電力を、内部空間107に収納された電源部170(充電池171)に供給するものであるので、金属材料等の導電性材料により形成された部材、または、それに準じた表面処理を施した部材が適用される。
また、図3(a)に示すように、機器本体101の内部空間107は、ケース103の視野側(図面上面側)がカバーガラス105により封止され、ケース103の背面側(図面下面側)が裏蓋106により封止されることにより形成されている。内部空間107には、図2に示したセンサ部110や入力インターフェース部120、出力インターフェース部130、通信部140、CPU150、メモリ160、電源部170が収納されている。これらの各構成は、例えば図示を省略した回路基板に搭載されている。また、図3(b)に示すように、内部空間107には、上述した操作ボタン121、122および充電端子173の他端側が突出するとともに、当該操作ボタン121、122および充電端子173の他端側に近接して操作入力用接点部材192と、充電用接点部材191が配置されている。操作入力用接点部材192は、回路基板に搭載されたCPU150に電気的に接続され、充電用接点部材191は、上述した電源部170の充電回路172に電気的に接続されている。また、図3(a)、(b)に示すように、内部空間107には、上記操作ボタン121、122および充電端子173の他端側と、操作入力用接点部材192および充電用接点部材191との間の空間に、入力設定用バネ部材180が配置されている。
入力設定用バネ部材180は、具体的には、例えば図5(a)〜(c)に示すように、バネ性を有する導電性の平板部材181が適用され、少なくとも当該平板部材181の一端側(図面上端側)に、R加工部182と、端子貫通穴183と、が設けられている。R加工部182は、入力設定用バネ部材180の一面側(例えば図5(c)の左面側)に突出するように曲げ加工して設けられている。また、端子貫通穴183は、上記R加工部182の近傍の平板部分に設けられ、充電端子173の端子ピン本体173aおよびその他端側に係止されたEリング174が挿通可能であって、かつ、操作ボタン121、122の端子ピン本体121aおよびその他端側に係止されたEリング177が挿通不可能な開口径に設定されている。そして、入力設定用バネ部材180は、図3(b)に示すように、R加工部182や端子貫通穴183が設けられた一端側が可動端となり、他端側(図5の下端側)が固定端となるように、当該他端側が内部空間107内のケース103等に固定されている。ここで、入力設定用バネ部材180は、操作ボタン121、122および充電端子173が操作されていない状態(初期状態)においては、充電用接点部材191および操作入力用接点部材192とは接触することなく、離間する位置に配置されている。また、入力設定用バネ部材180は、端子貫通穴183の中心軸が、上述した操作ボタン121、122に組み込まれた充電端子173の端子ピン本体173aの延在方向(図3(b)の左右方向;操作ボタン121、122および充電端子173の操作方向)の中心軸と一致、または、略一致するように配置されている。
このような入力設定用バネ部材180において、ユーザが操作ボタン121、122を押し込む操作(入力設定操作)を行うと、平板部材181が操作ボタン121、122の他端側に押圧されて湾曲し、可動端側のR加工部182が操作入力用接点部材192に電気的に接触することにより、所定の入力信号がCPU150に伝達される。また、ユーザが充電端子173を押し込む操作(充電操作)を行うと、当該充電端子173が入力設定用バネ部材180に接触することなく端子貫通穴183を挿通し、充電用接点部材191に電気的に接触することにより、充電端子173を介して供給される電力が電源部170に供給される。
なお、本実施形態に示した入力設定用バネ部材180の形状は、一例であって、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば平板部材181に設けられるR加工部182に替えて、入力設定用バネ部材180の一面側に突出するように導電性部材を接続したものであってもよい。
(操作方法)
次に、上述した構成を有する電子機器における入力設定操作および充電操作について説明する。
図6は、本実施形態に係る電子機器の操作方法を示す概略図である。図6(a)は、電子機器における入力設定操作を示す要部断面図であり、図6(b)は、電子機器における充電操作を示す要部断面図である。ここで、本実施形態に係る電子機器の初期状態(操作ボタンを操作していない状態)については、図3(b)を参照して説明する。
本実施形態に係る電子機器100に対するユーザの操作方法としては、入力設定操作と、充電操作と、に大別することができる。電子機器100の入力設定操作においては、まず、図3(b)に示したような初期状態において、図6(a)に示すように、ユーザが操作ボタン121、122のフランジ部121b全体を、指先250等により押圧して当該操作ボタン121、122全体を機器本体101の内部空間107方向(図中、矢印F1で表記)に押し込む操作を行う(押下する)。これにより、操作ボタン121、122の他端側が内部空間107に突出して、入力設定用バネ部材180の可動端側が図面左方向に押圧される。ここで、入力設定用バネ部材180に設けられた端子貫通穴183は、操作ボタン121、122の端子ピン本体121aや、端子ピン本体121aに係止されたEリング177が挿通不可能な開口径を有しているため、操作ボタン121、122の他端側の内部空間107への突出量に応じて、入力設定用バネ部材180の平板部材181が湾曲する。
そして、操作ボタン121、122の他端側の内部空間107への突出量が所定値になる程度に操作ボタン121、122が押し込まれると、図6(a)に示すように、入力設定用バネ部材180の可動端側のR加工部182が、内部空間107に配置された操作入力用接点部材192に電気的に接触する。これにより、入力設定用バネ部材180に予め印加されていた信号電圧(例えば接地電位Vgnd)が操作入力用接点部材192を介して、CPU150に入力信号として伝達される。CPU150は、このようにして伝達された入力信号に基づいて、予め設定された機能(例えば、電子機器100における各種の設定や動作の選択、変更等)を実現する。
次いで、ユーザが操作ボタン121、122全体を機器本体101の内部空間107方向に押し込む操作を止めると、端子ピン本体121aの外周面に介挿されたコイルスプリング179の弾性力により、操作ボタン121、122はケース103に対して、図面右方向に付勢されて、図3(b)に示した初期状態に復起する。
一方、電子機器100の充電操作においては、まず、図3(b)に示したような初期状態において、図6(b)に示すように、ユーザが操作ボタン121、122に組み込まれた充電端子173のフランジ部173bを、充電アダプタ(図示を省略)の給電端子211、212により押圧して、操作ボタン121、122を移動させることなく、充電端子173のみを機器本体101の内部空間107方向(図中、矢印F2で表記)に押し込む操作を行う(押下する)。ここで、入力設定用バネ部材180に設けられた端子貫通穴183は、充電端子173の端子ピン本体173aや、端子ピン本体173aに係止されたEリング174が挿通可能な開口径を有しているため、充電端子173の他端側が入力設定用バネ部材180に接触することなく端子貫通穴183を挿通し、内部空間107に突出する。
そして、充電端子173の他端側の内部空間107への突出量が所定値になる程度に充電端子173が押し込まれると、図6(b)に示すように、充電端子173の他端側が、内部空間107に配置された充電用接点部材191に電気的に接触する。これにより、充電アダプタの給電端子211、212により充電端子173に供給される電力が充電用接点部材191を介して、電源部170の充電回路172に供給されて充電池171に充電される。
次いで、ユーザが給電端子211、212により充電端子173を機器本体101の内部空間107方向に押し込む操作を止めると、充電端子173の外周面に介挿されたコイルスプリング176の弾性力により、充電端子173は操作ボタン121、122に対して、図面右方向に付勢されて、図3(b)に示した初期状態に復起する。
上述したように、本実施形態においては、操作ボタン121、122の内部に充電端子173が組み込まれ、かつ、操作ボタン121、122と充電端子173の操作方向が同一方向になるように構成されているので、外観上、操作ボタン121、122と充電端子173を一体化することができる。これにより、充電用の端子や接点が機器筐体の外面に独立して露出する構成に比較して、デザイン性や設計自由度の向上、製品サイズの小型化を図ることができる。また、機器筐体の外面に接続端子や接点を設けることなく、非接触状態で内蔵バッテリの充電を行う構成に比較して、非接触充電の回路やコイル等を備える必要がないので、製品サイズの小型化やコストの削減を図ることができる。ここで、本実施形態によれば、充電用の端子構造を省スペース化することができるので、上記の製品サイズの小型化に替えて、内蔵する充電池を大容量化して電子機器の長寿命化を図ることもできる。
さらに、本実施形態においては、操作ボタン121、122および充電端子173の他端側(すなわち、操作方向側)に、充電端子173が挿通可能であって、かつ、操作ボタン121、122が挿通不可能な端子貫通穴183を有する入力設定用バネ部材180が配置された構成を有している。これにより、ユーザが充電端子173を操作した場合にのみ、充電端子173が入力設定用バネ部材180に接触することなく端子貫通穴183を挿通して、充電用接点部材191に電気的に接触するので、電子機器100の外部から充電端子173を介して電源部170に充電用の電力を供給して、充電池171を良好に充電することができる。
(適用例)
次に、上述した実施形態に示した電子機器に適用される充電アダプタについて説明する。
図7は、本実施形態に係る電子機器に適用される充電アダプタの構成例を示す概念図である。ここで、上述した実施形態と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略化する。
上述した実施形態に係る電子機器100は、例えば図7に示すような充電アダプタ200を適用することにより、電源部170の充電池171が充電される。具体的には、充電アダプタ200は、例えば図7に示すように、充電用アタッチメント210と、充電ケーブル220と、アダプタ本体230と、を有している。充電用アタッチメント210は、充電ケーブル220の一端側に接続され、図6(b)に示したように、操作ボタン121、122に組み込まれた各充電端子173を、機器本体101の内部空間107方向に押し込むとともに、各充電端子173に電気的に接続され、所定の電圧(例えば高電位電圧Vdd、低電位電圧Vss)を印加する給電端子211、212を備えている。また、アダプタ本体230は、充電ケーブル220の他端側に接続され、商用電源のコンセント240を介して供給される交流電圧を、電子機器100への充電に適した所定の直流電圧に変換して、充電ケーブル220を介して、上記充電用アタッチメント210に供給する。
これにより、充電用アタッチメント210の給電端子211、212を、それぞれ操作ボタン121、122に組み込まれた各充電端子173に接触させて、押し込むように操作(充電操作)することにより、商用電源から充電アダプタ200を介して供給される電力が、電子機器100に内蔵された充電池171に良好に充電される。なお、本構成例に示した充電アダプタ200(特に、充電用アタッチメント210やアダプタ本体230)の形状は、一例であって、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成を有するものであってもよい。
(変形例)
次に、上述した実施形態に示した電子機器をデータ伝送操作に適用する場合の構成例(変形例)について説明する。
図8は、本実施形態に係る電子機器をデータ伝送操作に適用する場合の構成例を示す概念図である。ここで、上述した実施形態と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略化する。
上述した実施形態においては、操作ボタン121、122の内部に充電端子173を組み込んで一体化した構成において、外部から充電端子173を介して電力を供給して、電子機器100に内蔵する充電池171を充電する場合について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、以下に示すように、操作ボタン121、122の内部にデータ伝送用の接続端子(データ伝送端子)を組み込んで一体化した構成において、外部機器と当該データ伝送端子とを接続して、種々のデータを電子的に伝送する場合についても、同様の技術思想を適用することができる。なお、以下の説明においては、上述した実施形態における「充電端子」、「充電用」を、それぞれ「データ伝送端子」、「データ伝送用」と読み替えるものとする。
本構成例に係る電子機器100は、上述した実施形態(図1〜図5参照)と同様に、操作ボタン121、122の内部にデータ伝送端子(「充電端子173」を読み替え)が組み込まれ、かつ、操作ボタン121、122と当該データ伝送端子の操作方向が同一方向になるように構成されている。また、電子機器100の内部空間107には、操作ボタン121、122およびデータ伝送端子の操作方向に、データ伝送端子が挿通可能であって、かつ、操作ボタン121、122が挿通不可能な端子貫通穴183を有する入力設定用バネ部材180が配置されている。
このような構成を有する電子機器100において、ユーザが操作ボタン121、122を押し込む操作(入力設定操作)を行うと、図6(a)に示した場合と同様に、入力設定用バネ部材180が操作ボタン121、122の他端側に押圧されて湾曲し、可動端側のR加工部182が操作入力用接点部材192に電気的に接触することにより、所定の入力信号がCPU150に伝達される。また、ユーザがデータ伝送端子を押し込む操作(データ伝送操作)を行うと、図6(b)に示した場合と同様に、当該データ伝送端子が入力設定用バネ部材180に接触することなく端子貫通穴183を挿通し、通信部140に接続されたデータ伝送用接点(「充電用接点部材191」を読み替え)に電気的に接触することにより、データ伝送端子を介して電子機器100が外部機器と接続されて、種々のデータが送受信される。
そして、本構成例に係る電子機器100においては、例えば図8に示すようなデータ伝送アダプタ300を適用することにより、通信部140を介して外部機器330との間で種々のデータの伝送が行われる。具体的には、データ伝送アダプタ300は、例えば図8に示すように、データ伝送用アタッチメント310と、データ伝送ケーブル320と、を有している。データ伝送用アタッチメント310は、データ伝送ケーブル320の一端側に接続され、図6(b)に示した場合と同様に、操作ボタン121、122に組み込まれた各データ伝送端子を、機器本体101の内部空間107方向に押し込むとともに、各データ伝送端子に電気的に接続され、各種のデータを伝送する伝送用端子311、312を備えている。また、データ伝送ケーブル320の他端側には、パーソナルコンピュータ等の外部機器330が接続され、データ伝送ケーブル320を介して、各種のデータをデータ伝送用アタッチメント310に伝送する。
これにより、データ伝送用アタッチメント310の伝送用端子311、312を、それぞれ操作ボタン121、122に組み込まれた各データ伝送端子に接触させて、押し込むように操作(データ伝送操作)することにより、外部機器330からデータ伝送ケーブル320を介して各種のデータが良好に伝送されて、電子機器100に内蔵されたメモリ160の所定の記憶領域に保存されたり、あるいは、外部機器330の表示部において表示、閲覧される。なお、本構成例に示したデータ伝送アダプタ300(特に、データ伝送用アタッチメント310)の形状は、一例であって、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成を有するものであってもよい。
なお、上述した実施形態および構成例においては、電子機器100として、腕時計型の外観形状を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、機器本体の外面に、押しボタン型の操作ボタンやスイッチを有するとともに、充電用やデータ伝送用の接続端子、接点が露出する構造を有する電子機器であれば、本発明の技術思想を良好に適用することができる。すなわち、本発明に係る電子機器は、例えば携帯電話機やスマートフォン、メディアプレーヤ、心拍計、活動量計等の携帯型の電子機器であってもよいし、パーソナルコンピュータや音響映像機器、カーナビゲーションシステム等の据え置き型や据え付け型の電子機器に適用するものであってもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
[1]
機器本体の外面に露出して設けられた第1のボタンスイッチと、
前記第1のボタンスイッチと操作方向が同一方向に設定され、かつ、前記第1のボタンスイッチとは独立して前記操作方向に押下されるように、前記第1のボタンスイッチに組み込まれた第2のボタンスイッチと、
前記第1のボタンスイッチ及び前記第2のボタンスイッチに対して、前記第1のボタンスイッチ及び前記第2のボタンスイッチが押下される側に配置された導電性の弾性部材と、
前記第1のボタンスイッチを前記操作方向に押下することにより、前記弾性部材に接触する第1の接点と、
前記第2のボタンスイッチを前記操作方向に押下することにより、前記弾性部材に接触することなく、前記第2のボタンスイッチに接触する第2の接点と、
を有することを特徴とする電子機器である。
[2]
前記第1のボタンスイッチは、絶縁性の部材により構成され、前記操作方向に押下されることにより、前記弾性部材を押圧して、前記弾性部材と前記第1の接点とを電気的に接続させ、
前記第2のボタンスイッチは、導電性の部材により構成され、前記操作方向に押下されることにより、前記弾性部材に接触することなく、前記第2の接点に電気的に接続することを特徴とする[1]に記載の電子機器である。
[3]
前記第2のボタンスイッチは、前記機器本体の外部から所定の電力が供給され、前記操作方向に操作されることにより電気的に接触した前記第2の接点を介して、前記機器本体の内部に設けられた駆動用電源に前記電力を充電することを特徴とする[2]に記載の電子機器である。
[4]
前記第2のボタンスイッチは、前記機器本体の外部に設けられた外部機器に接続され、前記操作方向に操作されることにより電気的に接触した前記第2の接点を介して、前記外部機器との間で情報を電子的に伝送することを特徴とする[2]に記載の電子機器である。