JP2014057529A - 酵素製剤およびそれを用いたフェルラ酸の製造方法 - Google Patents

酵素製剤およびそれを用いたフェルラ酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 植物性材料からフェルラ酸をより効率的かつ安全に遊離させることができる、酵素製剤およびそれを用いたフェルラ酸の製造方法を提供すること。
【解決手段】 植物性材料からフェルラ酸を効率的に遊離することができる酵素製剤およびそれを用いたフェルラ酸の製造方法を開示する。本発明の酵素製剤は、植物性材料からフェルラ酸を遊離するための酵素製剤であって、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1の酵素とを含有する。本発明によれば、所定量の植物性材料から、より効率的かつ多量のフェルラ酸を遊離させることができる。本発明の酵素製剤に含まれる酵素は、医薬品・食品等の分野においてすでに安全に使用されているため、当該得られたフェルラ酸もまた安全であり、医薬品・食品等の機能性素材として有用である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酵素製剤およびそれを用いたフェルラ酸の製造方法に関し、より詳細には、植物性材料から、より効率的にフェルラ酸を遊離させることができる酵素製剤およびそれを用いたフェルラ酸の製造方法に関する。
フェルラ酸は、植物の細胞壁等に存在し、細胞壁多糖間に架橋を形成することにより、植物の成長調節や病原微生物の侵入抑制に関わっている。植物の細胞壁中ではフェルラ酸はアラビノースなどの糖とエステル結合して存在しているが、フェルラ酸エステラーゼによりエステル結合が加水分解されて、フェルラ酸を遊離させ得る。
近年、フェルラ酸は機能性素材として種々の飲食物への配合が検討されており、かつフェルラ酸を植物性材料から得るために、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素とキシラナーゼ活性を有する酵素との組み合わせや、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素とセルラーゼ活性を有する酵素とキシラナーゼ活性を有する酵素の組み合わせのような酵素製剤が提案されている(特許文献1および2)。
所定のキシラナーゼ活性およびフェルラ酸エステラーゼ活性を有する麹菌を用いて、焼酎酵母を仕込んだもろみから、フェルラ酸を含有する穀類蒸留酒を製造するための方法が知られている(特許文献3)。
上記いずれの酵素処理も植物性材料から目的のフェルラ酸を遊離させることができている。しかし、植物性材料をアルカリ処理して得られるフェルラ酸量には遠く及ばず、フェルラ酸の製造法として実用的であるとは言い難い。また、このアルカリ処理では食品等としての安全性の面から得られるフェルラ酸の用途が限られてしまう。フェルラ酸の機能に対する注目と今後の工業的生産量の拡大に対するニーズを考慮すれば、植物性材料から、安全性に優れかつより効率的にフェルラ酸を製造する技術の開発が所望されている。
特開2007−202504号公報 特開2010−148485号公報 特開2004−236634号公報
本発明は上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、植物性材料から安全性の高いフェルラ酸をより効率的に遊離させることができる、酵素製剤およびそれを用いたフェルラ酸の製造方法を提供することにある。
本発明は、植物性材料からフェルラ酸を遊離するための酵素製剤であって、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素とを含有する、酵素製剤である。
1つの実施態様では、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と上記アラビノフラノシダーゼと前記キシラナーゼを含有する。
1つの実施態様では、上記キシラナーゼはストレプトマイセス属菌由来である。
1つの実施態様では、上記アラビノフラノシダーゼはストレプトマイセス属菌由来である。
1つの実施態様では、本発明の酵素製剤は、さらに、セルラーゼおよびアセチルキシランエステラーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素を含有する。
1つの実施態様では、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素はキシラナーゼ活性を複合的に有する。
1つの実施態様では、上記植物性材料は、米ぬか、米粕、小麦フスマ、コーンフスマ、および大豆フスマからなる群より選択される少なくとも1種の材料である。
本発明はまた、植物性材料をフェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素とで処理する工程を包含する、フェルラ酸含有組成物を製造する方法である。
本発明はまた、フェルラ酸の製造方法であって、
植物性材料をフェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素とで処理してフェルラ酸含有組成物を得る工程;および
該フェルラ酸含有組成物を精製してフェルラ酸を得る工程;
を包含する、方法である。
本発明はまた、植物性材料からフェルラ酸を遊離させるためのキットであって、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1の酵素とを含有する、キットである。
本発明によれば、所定量の植物性材料から、より効率的かつ多量のフェルラ酸を遊離させることができる。本発明の酵素製剤に含まれる酵素として、医薬品・食品等の分野においてすでに安全に使用されているものを使用すると、当該遊離したフェルラ酸もまた、安全性が高いので、後の精製工程の一部または全部を省略又は簡易化でき、得られたフェルラ酸を種々の分野における機能性素材として使用することができる。
種々の酵素組合せを脱脂米ぬかに添加した場合のフェルラ酸生成量を示すグラフである。 脱脂米ぬか、生米ぬか、またはトウモロコシに種々の酵素組合せを添加した場合のフェルラ酸生成量を示すグラフである。
以下、本発明について詳述する。
本発明の酵素製剤は、植物性材料からフェルラ酸を遊離するように機能し得る。
ここで、フェルラ酸は、植物の細胞壁中に存在する植物性化学物質(リグニン誘導体)であり、例えば、抗酸化剤として作用し、アレルギーやアルツハイマー疾患に起因すると考えられている酸化ストレスを緩和すると考えられている物質である。
本発明の酵素製剤は、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素を含有する。
フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素は、細胞壁を構成する多糖構造のうち、アラビノフラノースとフェルラ酸との間の結合に作用して当該結合を切断するエステラーゼであれば特に限定されない。
本発明における「フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素」は、フェルラ酸エステラーゼそれ自体、従来より他の酵素活性を有するものとして公知な酵素のうち、当該他の酵素活性以外にフェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素、ならびにこれらの組合せのいずれをも包含する。本発明において、後者の「従来より他の酵素活性を有するものとして公知な酵素のうち、当該他の酵素活性以外にフェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素」における、当該フェルラ酸エステラーゼ活性の程度は必ずしも限定されないが、例えば、1.0mMフェルラ酸エチルエステルを含む50mMクエン酸緩衝液(pH4.8)中で50℃、30分間作用させたのち、生成物のフェルラ酸を高速液体クロマトグラフィーにて定量する(酵素活性1ユニット(U)は1分間に1μmolのフェルラ酸を生成する酵素量と定義する)という方法により測定した場合のフェルラ酸エステラーゼ活性が、例えば、製品重量(mg)当たり0.001ユニット(U)以上、好ましくは0.003ユニット(U)以上、より好ましくは0.004ユニット(U)以上を示す酵素が、当該「フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素」の一例として挙げられる。
本発明において、植物性材料に対するフェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素の使用量は、例えば、植物性材料1gに対し、当該酵素の活性を基準として0.1ユニット(U)〜100ユニット(U)に相当する量に設定され得る。
フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素としては、市販のものであってもよいし、微生物、動物または植物から調製したものであってもよい。フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素の具体的な例としては、セルロシンHC100(エイチビィアイ株式会社製)、ウマミザイムG(天野エンザイム株式会社製)、セルラーゼXL531(ナガセケムテックス株式会社製)、およびスミチームACH(新日本化学工業株式会社製)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素の産生微生物としては、特に限定されないが、例えば、放線菌、糸状菌、および細菌が挙げられる。上記放線菌としては、例えば、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属菌およびストレプトマイセス(Streptomyces)属菌が挙げられる。上記アミコラトプシス属菌としては、例えば、アミコラトプシス・オリエンタリス(A. olientalis)が挙げられる。上記ストレプトマイセス属菌としては、例えば、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー(S. violaceoruber)、ストレプトマイセス・アベルミティリス(S. avermitilis)、ストレプトマイセス・コエリコラ(S. coelicolor)、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス(S. thermoviolaceus)、ストレプトマイセス・リビダンス(S. lividans)、およびストレプトマイセス・グリセウス(S. griseus)が挙げられる。上記糸状菌としては、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)属菌、アスペルギルス(Aspergillus)属菌、ペニシリウム(Penicillium)属菌が挙げられる。上記トリコデルマ属菌としては、例えば、トリコデルマ・ハルジアナム(T. harzianum)およびトリコデルマ・リーゼイ(T. reesei)が、アスペルギルス属菌としては、例えば、アスペルギルス・ニガー(A. niger)が、ペニシリウム属菌としては、例えば、ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculsom)が挙げられる。上記細菌としては、例えば、バチラス(Bacillus)属菌、ラクトバチラス(Lactobacillus)属菌が挙げられる。上記バチラス属菌としては、バチラス・サブチリス(Bacillus subtilis)が、ラクトバチラス属菌としては、ラクトバチラス・フェルメンタス(Lactobacillus fermentum)が挙げられる。好ましくは、ストレプトマイセス属菌、アスペルギルス属菌、より好ましくはアスペルギルス・ニガーである。上記産生微生物からフェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素を調製する方法としては、特に限定されないが、一般的な菌体培養法、遺伝子工学的手法など、当業者が通常用いる方法が挙げられる。
なお、本発明においては、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素がキシラナーゼ活性をも複合的に有することが好ましい。このようなフェルラ酸エステラーゼ活性とキシラナーゼ活性の両方を備える酵素を用いることにより、植物性材料からより効果的にフェルラ酸を遊離させることが可能となる。当該フェルラ酸エステラーゼ活性とキシラナーゼ活性の両方を備える酵素の例としては、セルロシンHC100(エイチビィアイ株式会社製)が挙げられる。
本発明の酵素製剤は、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素に加えて、アラビノフラノシダーゼおよび/またはキシラナーゼを含有する。
アラビノフラノシダーゼは、細胞壁を構成する多糖構造のうち、β−1,4−キシランとアラビノフラノースとの間の結合に作用して当該結合を切断するものであれば特に限定されない。アラビノフラノシダーゼとしては、市販のものであってもよいし、微生物、動物または植物から調製したものであってもよい。アラビノフラノシダーゼの具体的な例としては、α-L-Arabinofuranosidase from A. nigerおよびα-L-ARABINOFURANOSIDASE from Bifidobacterium sp.(メガザイム社製)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
アラビノフラノシダーゼの産生微生物としては、特に限定されないが、例えば、放線菌、糸状菌、および細菌が挙げられる。上記放線菌としては、例えば、アミコラトプシス属菌およびストレプトマイセス属菌が挙げられる。上記アミコラトプシス属菌としては、例えば、アミコラトプシス・オリエンタリスが挙げられる。上記ストレプトマイセス属菌としては、例えば、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス、ストレプトマイセス・リビダンス、およびストレプトマイセス・グリセウスが挙げられる。上記糸状菌としては、例えば、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌が挙げられる。上記トリコデルマ属菌としては、例えば、トリコデルマ・ハルジアナム、トリコデルマ・リーゼイ、およびトリコデルマ・ロンギブラキアタム(T. longibrachiatum)が、アスペルギルス属菌としては、例えば、アスペルギルス・ニガーが挙げられる。上記細菌としては、例えば、バチラス属菌、ラクトバチラス属菌、およびビフィドバクテリウム属菌が挙げられる。好ましくは、ストレプトマイセス属菌、アスペルギルス属菌、ビフィドバクテリウム属菌、より好ましくはストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー、アスペルギルス・ニガー、ビフィドバクテリウム属菌、より一層好ましくはストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・バイオラセオルバーである。上記産生微生物からアラビノフラノシダーゼを調製する方法としては、特に限定されないが、一般的な菌体培養法、遺伝子工学的手法など、当業者が通常用いる方法が挙げられる。
本発明の酵素製剤において、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素に対する、当該アラビノフラノシダーゼの割合としては、特に限定されないが、例えば、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素1ユニット(U)に対し、当該アラビノフラノシダーゼは、例えば、0.1ユニット(U)〜10ユニット(U)、好ましくは0.5ユニット(U)〜2ユニット(U)、より好ましくは0.8ユニット(U)〜1.2ユニット(U)である。当該アラビノフラノシダーゼが、本発明の酵素製剤においてこのような範囲で含まれていることにより、本発明の酵素製剤は、酵素を過剰に使用することなく、フェルラ酸を効率的に優れた収率で得ることができる。
キシラナーゼは、細胞壁を構成する多糖構造のうち、β−1,4−キシラン中のβ−1,4結合に作用して当該結合を切断するものであれば特に限定されない。キシラナーゼとしては、市販のものであってもよいし、微生物、動物または植物から調製したものであってもよい。キシラナーゼの具体的な例としては、スクラーゼX(三菱化学フーズ株式会社製)、スミチームX(新日本化学工業株式会社製)、ペントパン(ノボザイムズジャパン社製)、バリダーゼX(DSMジャパン株式会社製)、およびヘミセルラーゼ「アマノ」90(天野エンザイム株式会社製)ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
キシラナーゼの産生微生物としては、特に限定されないが、例えば、放線菌、糸状菌、および細菌が挙げられる。上記放線菌としては、例えば、アミコラトプシス属菌およびストレプトマイセス属菌が挙げられる。上記アミコラトプシス属菌としては、例えば、アミコラトプシス・オリエンタリスが挙げられる。上記ストレプトマイセス属菌としては、例えば、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス、ストレプトマイセス・リビダンス、およびストレプトマイセス・グリセウスが挙げられる。上記糸状菌としては、例えば、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、ヒュミコラ(Humicola)属菌が挙げられる。上記トリコデルマ属菌としては、例えば、トリコデルマ・ハルジアナム、トリコデルマ・ロンギブラキアタムおよびトリコデルマ・リーゼイが、アスペルギルス属菌としては、例えば、アスペルギルス・ニガーが、ヒュミコラ属菌としてはヒュミコラ・インソレンス(H. insolens)が挙げられる。上記細菌としては、例えば、アエロモナス(Aeromonas)属菌、バチルス属菌が挙げられる。好ましくは、ストレプトマイセス属菌、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、より好ましくはストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー、トリコデルマ・ロンギブラキアタム、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、ヒュミコラ・インソレンス、より一層好ましくはストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス、ストレプトマイセス・バイオラセオルバーである。上記産生微生物からキシラナーゼを調製する方法としては、特に限定されないが、一般的な菌体培養法、遺伝子工学的手法など、当業者が通常用いる方法が挙げられる。
本発明の酵素製剤において、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素に対する、当該キシラナーゼの割合としては、特に限定されないが、例えば、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素1ユニット(U)に対し、当該キシラナーゼは、10ユニット(U)〜2000ユニット(U)、好ましくは20ユニット(U)〜1000ユニット(U)、より好ましくは30ユニット(U)〜500ユニット(U)である。当該キシラナーゼが、本発明の酵素製剤においてこのような範囲で含まれていることにより、本発明の酵素製剤は、酵素を過剰に使用することなく、フェルラ酸を効率的に優れた収率で得ることができる。
本発明においては、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼとキシラナーゼとの組合せを用いるとフェルラ酸の生産量が飛躍的に増大するので好ましい。
さらに、本発明の酵素製剤は、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよび/またはキシラナーゼとの組合せ以外に、第四の酵素を含有していてもよい。
このような第四の酵素の例としては、セルラーゼおよびアセチルキシランエステラーゼ、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。このような第四の酵素は、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよび/またはキシラナーゼとを併用した酵素製剤とすることにより、植物性材料に対し当該第四の酵素が作用して当該植物性材料から遊離されるフェルラ酸の量をさらに増大させることができる。
このようなセルラーゼは、β−1,4−グルカンに作用してβ−1,4結合を切断するものであれば特に限定されない。セルラーゼは、市販のものであってもよいし、微生物、動物または植物から調製したものであってもよい。セルラーゼの具体的な例としては、セルラーゼT「アマノ」4(天野エンザイム株式会社製)、セルクラスト(ダニスコジャパン株式会社製、GODO−TCF(合同酒精株式会社製)、セルロシンAL(エイチビィアイ株式会社製)、スミチームAC(新日本化学株式会社製)、およびシトラーゼCL(DSMジャパン株式会社製)ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
セルラーゼの産生微生物としては、特に限定されないが、例えば、放線菌、糸状菌、および細菌が挙げられる。上記放線菌としては、例えば、アミコラトプシス属菌およびストレプトマイセス属菌が挙げられる。上記アミコラトプシス属菌としては、例えば、アミコラトプシス・オリエンタリスが挙げられる。上記ストレプトマイセス属菌としては、例えば、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス、ストレプトマイセス・リビダンス、およびストレプトマイセス・グリセウスが挙げられる。上記糸状菌としては、例えば、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、ヒュミコラ属菌が挙げられる。上記トリコデルマ属菌としては、例えば、トリコデルマ・ハルジアナム、トリコデルマ・ロンギブラキアタムおよびトリコデルマ・リーゼイが、アスペルギルス属菌としては、例えば、アスペルギルス・ニガーが、ヒュミコラ属菌としてはヒュミコラ・インソレンスが挙げられる。上記細菌としては、例えば、アエロモナス属菌、バチルス属菌が挙げられる。好ましくは、ストレプトマイセス属菌、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、より好ましくはストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー、トリコデルマ・ロンギブラキアタム、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、ヒュミコラ・インソレンス、より一層好ましくはストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス、ストレプトマイセス・バイオラセオルバーである。上記産生微生物からセルラーゼを調製する方法としては、特に限定されないが、一般的な菌体培養法、遺伝子工学的手法など、当業者が通常用いる方法が挙げられる。
アセチルキシランエステラーゼは、細胞壁を構成する多糖構造のうち、アセチルアラビノキシラン中のアセチル基に作用してエステル結合を切断するものであれば特に限定されない。アセチルキシランエステラーゼは、市販のものであってもよいし、微生物、動物または植物から調製したものであってもよい。アセチルキシランエステラーゼの具体的な例としては、Acetyl xylan esterase from Clostridium thermocellum (PROZOMIX社製)が挙げられる。
アセチルキシランエステラーゼの産生微生物としては、特に限定されないが、例えば、放線菌、糸状菌、および細菌が挙げられる。上記放線菌としては、例えば、アミコラトプシス属菌およびストレプトマイセス属菌が挙げられる。上記アミコラトプシス属菌としては、例えば、アミコラトプシス・オリエンタリスが挙げられる。上記ストレプトマイセス属菌としては、例えば、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス、ストレプトマイセス・リビダンス、およびストレプトマイセス・グリセウスが挙げられる。上記糸状菌としては、例えば、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、ヒュミコラ属菌が挙げられる。上記トリコデルマ属菌としては、例えば、トリコデルマ・ハルジアナム、トリコデルマ・ロンギブラキアタムおよびトリコデルマ・リーゼイが、アスペルギルス属菌としては、例えば、アスペルギルス・ニガーが、ヒュミコラ属菌としてはヒュミコラ・インソレンスが挙げられる。上記細菌としては、例えば、アエロモナス属菌、バチルス属菌が挙げられる。好ましくは、ストレプトマイセス属菌、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、より好ましくはストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・バイオラセオルバー、トリコデルマ・ロンギブラキアタム、トリコデルマ属菌、アスペルギルス属菌、ヒュミコラ・インソレンス、より一層好ましくはストレプトマイセス・コエリコラ、ストレプトマイセス・アベルミティリス、ストレプトマイセス・サーモビオラセウス、ストレプトマイセス・バイオラセオルバーである。上記産生微生物からアセチルキシランエステラーゼを調製する方法としては、特に限定されないが、一般的な菌体培養法、遺伝子工学的手法など、当業者が通常用いる方法が挙げられる。
本発明の酵素製剤において、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素に対する、当該第四の酵素の割合としては、特に限定されないが、例えば、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素1ユニット(U)に対し、セルラーゼは、100ユニット(U)〜10000ユニット(U)、好ましくは500ユニット(U)〜5000ユニット(U)、より好ましくは1000ユニット(U)〜5000ユニット(U)であり、アセチルキシランエステラーゼは、0.1ユニット(U)〜50ユニット(U)、好ましくは0.1ユニット(U)〜5ユニット(U)、より好ましくは0.1ユニット(U)〜3ユニット(U)である。
本発明の酵素製剤において、上記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよび/またはキシラナーゼと、必要に応じて添加され得る第四の酵素とはそれぞれが所定量にて予め混合されていてもよく、あるいは別々に小分けされたキット製剤として提供され、上記キット製剤を使用の際に、各酵素が混合されるものであってもよい。混合方法の際の方法および手段は特に限定されず、当業者によって任意の方法および手段が採用され得る。
本発明の酵素製剤はまた、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、賦形剤など酵素製剤一般に用いられる任意量の他の成分を含有していてもよい。さらに本発明の酵素製剤の形態としては、特に限定されないが、例えば、粉末および液体が挙げられる。液体の場合、溶媒または分散媒は、酵素が機能する限り、特に限定されないが、好ましくは水である。溶媒または分散媒が水の場合、pHは酵素の働きが維持される限り限定されないが、公知のpH調整剤を用いて、例えば、pH4〜pH8、好ましくはpH4〜pH7、より好ましくはpH5〜pH6に調整される。
本発明の酵素製剤は、例えば、植物性材料における細胞壁を構成する多糖構造から、フェルラ酸をより効率的に遊離することができる。このようなフェルラ酸の遊離にあたり使用可能な植物性材料の例としては、特に限定されないが、イネ科、マメ科の植物が挙げられる。使用され得る植物の部位も特に限定されないが、例えば、全草、茎、葉、根、籾殻、果肉、種子が挙げられる。さらに、当該植物は予め乾燥させたものであっても、生のものであってもいずれでもよい。本発明の酵素製剤を使用することができる植物性材料は、例えば、農業分野、林業分野、海洋分野、または食品加工分野などで生じる各種バイオマスが使用され得、さらに具体的な例としては、必ずしもこれらに限定されないが、米ぬか、脱脂米ぬか、米粕、小麦フスマ、コーンフスマ、および大豆フスマが挙げられる。
次に、本発明の酵素製剤を用いて植物性材料からフェルラ酸を製造するための方法の一例について説明する。
本発明のフェルラ酸の製造方法においては、上記植物性材料が酵素製剤で処理される。
より具体的な例としては、必要に応じ、所定の大きさまで粉砕または破砕した植物性材料が、上記酵素製剤を含有する水溶液に含浸またはスプレーされるか、当該植物性材料および水を含む容器内に、上記酵素製剤を仕込むことにより、酵素製剤が植物性材料と作用する。
なお、上記植物性材料の酵素製剤の処理においては、当該植物性材料と上記本発明の酵素製剤とを一度に合わせて行ってもよく(すなわち、上記各構成成分でなる各種酵素を合わせた本発明の酵素製剤を一旦調製し、このような酵素製剤で植物性材料を処理してもよく)、あるいは、本発明の酵素製剤を構成する上記酵素を個別に当該植物性材料と合わせて行ってもよい。
このような処理は、例えば、所定の温度に調整された条件で所定時間をかけて行われる。
この処理において採用され得る温度としては、必ずしも限定されるものではないが、例えば、20℃〜70℃、好ましくは30℃〜60℃、より好ましくは40℃〜60℃である。処理時間もまた適宜変更され得るが、例えば、120分〜1440分、好ましくは360分〜1320分である。
上記処理により、植物材料から遊離したフェルラ酸を含有する混合物(フェルラ酸含有組成物)を得ることができる。ここで、植物性材料の残渣は、ろ過または遠心分離等の当業者に周知の手段によって取り除かれ得る。その後、有機溶剤による抽出、イオン交換カラムを用いた分離、再結晶などの手法により精製が行われてもよい。例えば、フェルラ酸含有組成物を酸性条件としてフェルラ酸を析出し、ろ取した粗フェルラ酸を高温(約90℃〜100℃)の水に溶解させた後冷却してフェルラ酸を析出させることにより精製することができる。
このようにして、植物性材料から安全性の高いフェルラ酸を収率良く効率的に得ることができる。得られたフェルラ酸は、食品、医薬品等における安全な機能性材料として利用され得る。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下の例におけるフェルラ酸エステラーゼ活性の測定方法は上記のとおりであり、その他の酵素活性の測定方法はそれぞれ以下のとおりである。
(1)キシラナーゼ活性の測定
2%Azo−xylan(メガザイム社製)0.1mLと0.1Mのクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.3)0.08mL、酵素液0.02mLを混合し、50℃、30分間反応させたのち、エタノールを0.5mL加えよく混合した後、遠心分離(1500 g、10分間)した上清の吸光度590nmを測定した。生成物と同等の吸収スペクトルを持つ色素であるリマゾールブリリアントブルーR(シグマ社製)を用いて検量線を作成し、1分間に1μmolの青色色素(リマゾールブリリアントブルーR)を生成させる酵素量を1ユニットとした。
(2)アラビノフラノシダーゼ活性の測定
25mMのp−ニトロフェニルアラビノフラノシド(ナカライテスク株式会社製)0.01mL、0.1Mのクエン酸−リン酸緩衝液(pH6.2)0.05mL、蒸留水0.03mL、酵素液0.01mLを混合し、50℃、30分間反応した。10%炭酸ナトリウム水溶液0.1mLを加え反応を停止し、吸光度405nmを測定した。生成物の標品としてp−ニトロフェノール(ナカライ社製)を用いて、検量線を作成し、1分間に1μmoLのp−ニトロフェノールを生成させる酵素量を酵素活性1ユニットとした。
(3)セルラーゼ活性の測定
2%Azo−CMC0.1mLと0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で希釈した酵素液0.1mLを混合し、40℃、30分間反応させた後、0.5mLのエタノールを加えてよく混合した後、遠心分離(1500g、10分間)した上清の吸光度590nmを測定した。生成物と同等の吸収スペクトルを持つ色素であるリマゾールブリリアントブルーR(シグマ社製)を用いて検量線を作成し、1分間に1μmoLの青色色素(リマゾールブリリアントブルーR)を生成させる酵素量を1ユニットとした。
(4)アセチルキシランエステラーゼ活性の測定
50mMp−ニトロフェニル酢酸(アセトニトリルに溶解)0.02mLと0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)0.1mL、酵素液0.1mLを混合し、37℃、10分間反応させ、1分毎に吸光度405nmを測定した。1分間に1μmoLのp−ニトロフェノールを生成させる酵素量を1ユニットとした。
(調製例1:酵素の調製)
実施例で使用するセルロシンHC100(エイチビィアイ株式会社製)を除く酵素は特開2009−065837号公報の実施例1〜3に準じて調製した。すなわち、所望のPCR断片を接合型放線菌プラスミドpTONA5に導入し、ストレプトミセス・リビダンス1326株(NBRC番号:15675)で培養液中に酵素を発現させ、培養液から菌体を遠心分離した後、硫酸アンモニウムを添加して生成した沈殿物を回収し、水で沈殿物を溶解し、凍結乾燥して酵素粉末を調製した。なお、この調製において培養培地としては、当該公報の実施例3の基本培地に炭酸カルシウムを0.2%添加したカルシウム強化培地を使用した。
なお、この調製では、以下の配列に基づいたPCR断片およびプライマー対を用いた:
XGP420(キシラナーゼ)
GenBank accession number CAD55241(PCR断片の基礎となる配列;ストレプトマイセス・コエリコラ由来),ATGGGCTCCTACGCCCTTCCCAGATCAGGT(フォワードプライマー:配列番号1),TCAGGTGCGGGTCCAGCGTTGGTTGCTGCC(リバースプライマー:配列番号2);
XGP422(キシラナーゼ)
GenBank accession number BAC72696(PCR断片の基礎となる配列;ストレプトマイセス・アベルミティリス由来),ATGAGATCTCTGAAAAGATCAGGCTTATCC(フォワードプライマー:配列番号3),TTACCCCAGCGTCACTGTCGGCAGCGGGTT(リバースプライマー:配列番号4);
XGP427(キシラナーゼ)
GenBank accession number BAD02382(PCR断片の基礎となる配列;ストレプトマイセス・バイオラセオルバー由来),ATGGGCTCTCACGCCCTTCCCAGACCGGCT(フォワードプライマー:配列番号5),TCAGGAGACGGTCCAGCGCTGGTTGTCGGC(リバースプライマー:配列番号6);
XGP438(アラビノフラノシダーゼ)
GenBank accession number BAD02381(PCR断片の基礎となる配列;ストレプトマイセス・バイオラセオルバー由来),ATGTCGTTCCACCGCTCGCTGCCGTTCCGT(フォワードプライマー:配列番号7),TCAGCGCTGCAGCGTCAGCAGGCCCGGACG(リバースプライマー:配列番号8);
XGP440(セルラーゼ)
GenBank accession number CAB61599(PCR断片の基礎となる配列;ストレプトマイセス・コエリコラ由来),ATGCGAACGTTACGGCCCCAGGCCCGCGCC(フォワードプライマー:配列番号9),TTACACCGTGGTGCAGGCGGTGCCGTTCAG(リバースプライマー:配列番号10);および
XGP450(アセチルキシランエステラーゼ)
GenBank accession number CAA20497(PCR断片の基礎となる配列;ストレプトマイセス・コエリコラ由来),ATGTTCGCGAACGTGCCCACCGTCCTCACC(フォワードプライマー:配列番号11),TCAGTCGCCGACCCTCAGCGCGCCCAGCAG(リバースプライマー:配列番号12)。
(調製例2:酵素の調製)
セルロシンHC100および調製例1で得た酵素の活性を測定したところ以下のとおりであった:
セルロシンHC100(エイチビィアイ株式会社製、アスペルギルス・ニガー由来のキシラナーゼ、キシラナーゼ活性0.321U/mgおよびフェルラ酸エステラーゼ活性0.01U/mg保有);
XGP420(キシラナーゼ活性1.4U/mg);
XGP422(キシラナーゼ活性1.4U/mg);
XGP427(キシラナーゼ活性1.6U/mg);
XGP438(アラビノフラノシダーゼ活性0.011U/mg);
XGP440(セルラーゼ活性23.5U/mg);
XGP450(アセチルキシランエステラーゼ活性0.0024U/mg)。
(実施例1:脱脂米ぬか(DRB)からのフェルラ酸生成)
脱脂米ぬか10mgを、スクリューキャップ付き1.5mL容量マイクロチューブに測り取り、50mMクエン酸緩衝液(pH5.7)で懸濁し、エッペンドルフ社製サーモミキサーコンフォートを用いて、99℃にて5分間静置した。
次いで、室温まで、サンプルチューブを冷却後、以下の表1に示す各酵素粉末(各5mg)を混合して混合粉末を得た。混合粉末を0.2mLの50mMクエン酸緩衝液(pH5.7)に添加し混合した液の全量を当該脱脂米ぬか入りのチューブに加え、ここにさらに緩衝液を添加し、総量0.5mLとした。これを、エッペンドルフ社製サーモミキサーコンフォートを用いて、1分間あたり1400回転の条件で撹拌しながら、45℃にて17時間酵素反応を行った。
反応終了後、サンプルのスクリューキャップ付き1.5mL量マイクロチューブを、遠心(1分間あたり15000回転、5分間)し、その上清を、0.1%ギ酸を含む蒸留水で10倍希釈し、定量用のサンプルとした。このうち10μLを高速液体クロマトグラフ装置(株式会社島津製作所製)に注入し、分析した。カラムは、日本ウォーターズ株式会社製のSymmetry C18 (粒子径3.5μm, カラム径2.1mm,カラム長50mm)を40℃で使用した。分析は、A液:0.1%ギ酸を含む蒸留水、B液:0.1%ギ酸を含むアセトニトリルの、2液からなるAからBへのグラジエントにより行った。分析開始時は、10%B液で行い、0〜5分、10%B液から60%B液へのリニア・グラジエント分析を、1分間あたり流速0.3mLで行い、322nmの吸光度でフェルラ酸を検出した。上記の条件で、フェルラ酸は、約2.3分付近に溶出した。別途、市販のフェルラ酸を適宜希釈することで、検量線を作成し、サンプルに含まれるフェルラ酸を定量した。得られた結果を表1に併せて示す。
Figure 2014057529
表1から明らかなように、フェルラ酸エステラーゼ活性を保有するセルロシンHC100単独と比較して、セルロシンHC100をXGP427(キシラナーゼ)またはXGP438(アラビノフラノシダーゼ)と併用した場合、フェルラ酸生成量に増大が見られた。さらに、セルロシンHC100、XGP427、およびXGP438の三者を組み合わせた場合、フェルラ酸生成量に顕著な増大が見られた。
(実施例2:生米ぬかからのフェルラ酸生成)
原料として脱脂米ぬか(DRB)に代えて生米ぬかを用いたこと以外は、実施例1と同様に酵素処理し、フェルラ酸生成量を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2014057529
表2から明らかなように、原料として生米ぬかを用いた場合もまた、セルロシンHC100単独と比較して、セルロシンHC100をXGP427(キシラナーゼ)またはXGP438(アラビノフラノシダーゼ)と併用した場合、フェルラ酸生成量に増大が見られ、さらに、セルロシンHC100、XGP427、およびXGP438の三者を組み合わせた場合、フェルラ酸生成量に顕著な増大が見られた。
(実施例3:種々の酵素組み合わせによる脱脂米ぬか(DRB)からのフェルラ酸生成)
実施例1と同様にして脱脂米ぬかを用いて調製したサンプルチューブを室温まで冷却後、以下の(1)〜(6)の組合わせによる各酵素粉末(各5mg)を50mMクエン酸緩衝液(pH5.7)に溶解し、総量0.8mLになるように、当該脱脂米ぬか入りのチューブに加えた。これを、エッペンドルフ社製サーモミキサーコンフォートを用いて、1分間あたり1400回転の条件で撹拌しながら、50℃、7時間後、45℃で15時間酵素反応を行った:
(1)セルロシンHC100+XGP420+XGP438;
(2)セルロシンHC100+XGP422+XGP438;
(3)セルロシンHC100+XGP427+XGP438(実施例1と同様の組合せ);
(4)セルロシンHC100+XGP420+XGP422+XGP427+XGP438;
(5)セルロシンHC100+XGP420+XGP422+XGP427+XGP438+XGP450;および
(6)セルロシンHC100+XGP420+XGP422+XGP427+XGP438+XGP440。
上記反応終了後、実施例1と同様の高速液体クロマトグラフ装置および当該クロマトグラフィー条件を用い、各サンプルに含まれるフェルラ酸を定量した。結果を図1に示す。
図1は、種々の酵素組合せを脱脂米ぬかに添加した場合のフェルラ酸生成量を示すグラフである。縦軸はフェルラ酸生成量(μg/mg脱脂米ぬか)を表し、横軸に、処理に用いた酵素組合せを示す。
図1に見られるように、実施例1の組合せに該当する(3)セルロシンHC100+XGP427+XGP438と比較して、XGP427の代わりに別のキシラナーゼ活性保有酵素XGP420またはXGP422を用いた場合((1)、(2))も、ほぼ同等のフェルラ酸生成量を示した。3種のキシラナーゼ活性保有酵素とセルロシンHC100とXGP438(アラビノフラノシダーゼ)との組合せ((4))は、1種のキシラナーゼ活性保有酵素とセルロシンHC100とXGP438との組合せと比較して、増大したフェルラ酸生成量を示した。(4)の組合せにさらにXGP450(アセチルキシランエステラーゼ)またはXGP440(セルラーゼ)を併用した場合((5)、(6))、(4)に比較して、フェルラ酸生成量のさらなる増大がみられた。
(実施例4:種々の原料からのフェルラ酸生成)
原料として脱脂米ぬか、生米ぬか、またはトウモロコシ穂軸を用い、処理酵素として、
(i)セルロシンHC100単独;
(ii)セルロシンHC100+XGP420+XGP422+XGP427+XGP438+XGP450;または
(iii)セルロシンHC100+XGP420+XGP422+XGP427+XGP438+XGP440
を用いたこと以外は、実施例1と同様に酵素処理し、フェルラ酸生成量を測定した。結果を図2に示す。
図2は、脱脂米ぬか、生米ぬか、またはトウモロコシに種々の酵素組合せを添加した場合のフェルラ酸生成量を示すグラフである。縦軸はフェルラ酸生成量(μg/mg原料)を表し、横軸に、処理した原料を示す。各原料におけるフェルラ酸生成量の結果を示す棒は、左から順に上記(i)、(ii)および(iii)の酵素処理である。
図2に見られるように、いずれの原料の場合も、セルロシンHC100にキシラナーゼおよびアラビノフラノシダーゼと、アセチルキシランエステラーゼまたはセルラーゼとを含む酵素を併用することにより((ii)、(iii))、セルロシンHC100単独の(i)と比較して顕著に高い量のフェルラ酸が生成されていた。
本発明によれば、所定量の植物性材料から、より効率的かつ多量のフェルラ酸を遊離させることができる。本発明の酵素製剤に含まれる酵素は、医薬品・食品等の分野においてすでに安全に使用されているため、当該得られたフェルラ酸もまた安全であり、医薬品・食品等の機能性素材として有用である。

Claims (10)

  1. 植物性材料からフェルラ酸を遊離するための酵素製剤であって、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素とを含有する、酵素製剤。
  2. 前記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と前記アラビノフラノシダーゼと前記キシラナーゼを含有する、請求項1に記載の酵素製剤。
  3. 前記キシラナーゼがストレプトマイセス属菌由来である、請求項1または2に記載の酵素製剤。
  4. 前記アラビノフラノシダーゼがストレプトマイセス属菌由来である、請求項1から3のいずれかに記載の酵素製剤。
  5. さらに、セルラーゼおよびアセチルキシランエステラーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の酵素製剤。
  6. 前記フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素がキシラナーゼ活性を複合的に有する、請求項1から5のいずれかに記載の酵素製剤。
  7. 前記植物性材料が、米ぬか、米粕、小麦フスマ、コーンフスマ、および大豆フスマからなる群より選択される少なくとも1種の材料である、請求項1から6のいずれかに記載の酵素製剤。
  8. 植物性材料をフェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素とで処理する工程を包含する、フェルラ酸含有組成物を製造する方法。
  9. フェルラ酸の製造方法であって、
    植物性材料をフェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素とで処理してフェルラ酸含有組成物を得る工程;および
    該フェルラ酸含有組成物を精製してフェルラ酸を得る工程;
    を包含する、方法。
  10. 植物性材料からフェルラ酸を遊離させるためのキットであって、フェルラ酸エステラーゼ活性を有する酵素と、アラビノフラノシダーゼおよびキシラナーゼからなる群から選択される少なくとも1の酵素とを含有する、キット。
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