JP2014051987A - ダウンウインド型風車 - Google Patents

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Abstract

【課題】支柱又はナセルの内部に変圧器を収納するダウンウインド型風車を提供することを目的とする。
【解決手段】ダウンウインド型風車において、上記した課題を解決するためにローター1を支持し、内部に発電機を収納するナセル3と、ナセル3を支持する支柱4と、前記発電機9と電力系統8との間に配置される主変圧器5とを備えており、主変圧器5は、ナセル3または支柱4内に収納されることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は風下にローターを配置した状態で発電運転を行うダウンウインド型風車に係り、特に変電設備を構成する変圧器の配置に改良したダウンウインド型風車に関するものである。
風力発電は、太陽光発電と共に再生可能エネルギーとして知られており、CO2削減の観点から、そのニーズが高まり、風車の設置が急速に進められている。水平軸風車において風車を風向きに対するローターの配置で大別すると、風上にローターを配置するアップウインド型風車と風下にローターを配置するダウンウインド型風車とに大別される。現在、風力発電用に設置されている風車の大半はアップウインド型風車である。
上述のように、現在はアップウインド型風車が主流であるものの、風車の下側からの吹き上げ風が多くなる山岳地帯や洋上では、アップウインド型風車の場合、ローターの回転面を吹き上げ風に対して垂直に配置しようとすると、その形状上、風車を支える支柱にローターが衝突してしまうため、ローターの回転面を吹き上げ風に対して垂直に配置できず、結果として風のエネルギーを効率的にローターの回転に用いることができず、発電効率が低下してしまう。
一方、ダウンウインド型風車の場合、風下にローターを配置した状態で発電運転を行うことから、吹き上げ風に対してローターの回転面を垂直に配置しても支柱に衝突することはなく、風のエネルギーをアップウインド型風車と比較して効率的に発電運転に用いることができ、優位性がある。よって、洋上や吹き上げ風が優勢となる例えば山岳地帯においては、ダウンウインド型風車の設置が望まれる。
しかしながら、上述した山岳地帯や洋上は、そもそも風車の設置スペースが限られており、設置するには省スペースでも風車を設置できるようにする必要がある。具体的に省スペースを実現する手段としては、通常風車の外側に個別に設けている変圧器を収納する変圧器建屋をなくすことが考えられる。
ここで、一般に風車の内部に変圧器を収納し、省スペース化を図った公知技術として、例えば特許文献1に記載されたものがある。該特許文献1では、支柱内に収納室を有し、該収納室の内部には、変圧器と開閉装置とから成る変電開閉設備を備えている。
特開2006−9596号公報
しかし特許文献1に記載されている風車を始めとして、一般に変圧器を支柱内部やナセル内部に収納する技術自体は公知であるものの、設置スペースが非常に限られる例えば山岳地帯や洋上へ設置することが適したダウンウインド型風車において、変圧器を支柱や発電機等の積荷室であるナセル内に収納することについてまで言及した技術はない。これはそもそも現状の風車の主流があくまでアップウインド型風車であることから、ダウンウインド型風車特有の課題の認識がないことに基づく。
また、アップウインド型風車では、ナセルや支柱よりも風上にローターが位置する状態で発電されるため、支柱やナセルの大きさが発電効率に影響を与えることは少ないが、ダウンウインド型風車の場合、ナセルや支柱よりも風下にローターが位置する状態で発電運転が行われるため、発電効率を高めるにはナセルや支柱の面積を極力小さくすることが望ましく、ナセルや支柱内に大型の変圧器を収納しようとすることは通常ナセルや支柱の面積の大型化を招き、ひいては発電効率を低下させることに繋がってしまう。従って、ダウンウインド型風車において、あえてナセルや支柱内に変圧器を収納しようとするものではなく、アップウインド型風車と同様にして論ずることはできない。従って、ダウンウインド型風車において、ナセルや支柱内に変圧器を収納するという思想はなく、限られた設置スペースでダウンウインド型風車を設置することは困難であった。
本発明は、その新規な課題に着目したものであり、限られた設置スペースに設置できるダウンウインド型風車を提供することを目的とする。
本発明に係るダウンウインド型風車は、ローターを支持し、内部に発電機を収納する積荷室と、該積荷室を支持する支柱と、前記発電機と電力系統との間に配置され、前記発電機の発電電力の電圧を昇圧して前記電力系統の系統電圧に変換する主変圧器を備えており、前記主変圧器は、前記積荷室または前記支柱内に収納されていることを特徴とする。
本発明によれば、限られた設置スペースに設置できるダウンウインド型風車を提供することが可能となる。
実施例1に係るダウンウインド型風車を風上から見た時の図である。 実施例1に係るダウンウインド型風車及び電力系統の単線結線図である。 実施例1におけるナセルの内部を表す図である。 実施例2に係るダウンウインド型風車を風上から見た時の図である。 実施例3に係るダウンウインド型風車及び電力系統の単線結線図である。
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1について図1ないし図3を用いて説明する。図1に示す様に、本実施例に係るダウンウインド型風車は、風を受けて回転する3枚のブレード7とハブ(図示せず)からなるローター1と、ローター1を支持し、後述する発電機9や制御機器等を収納する積荷室(以後、ナセルという)3と、さらにナセル3を支持する支柱4とから概略構成される。
図3に示す様に、ナセル3内には、ローター1に接続されてローター1の回転により、回転子を駆動させて発電を行う発電機9と、支柱4に接続される歯車14と、該歯車14とかみ合い、ローター1を支柱4に対して垂直にヨー駆動させるヨー駆動装置13と、該ヨー駆動装置13の駆動を制御するヨー制御盤12と、風向き及び風速を計測し、ヨー制御盤12に計測データを送る風向風速計11とが収納される。
図1及び図2に示す様に、支柱4内には、発電機9及び風車外部の電力系統8との間に位置し、中電圧である発電電力の電圧を昇圧して高電圧である系統電圧に変換する主変圧器5と、発電機9の発電電力の一部を受け、低圧に降圧した上でナセル3内における上述した風向風速計11やヨー制御盤12等の補機10に電力を供給する補機変圧器6とが支柱4の下部に収納されている。尚、ここで補機10とは、風向き及び風速に応じて翼のピッチ角や翼の水平方向の回転角等の制御を始めとした風車の制御を行う制御装置を指す。発電機9から電力系統8側への電力の輸送には電源ケーブルが使用され、この電源ケーブルの周囲には磁気シールドが配置されており、電源ノイズが周囲に漏れることを防止している。また、補機10内の制御信号伝送用には光ケーブル(図示なし)を使用しており、電源ノイズの混入によりローター1が誤動作することを防止している。さらに、冷却性能を高める観点から、主変圧器5及び補機変圧器6にはアモルファス変圧器を使用している。主変圧器5と補機変圧器6は、大きな重量を有するため、支柱の下部に配置されることで風車の安定性を向上させている。
図2には本実施例の単線結線図を示している。本実施例では、発電機9によって発電された電力は支柱4内に設置された主変圧器5によって昇圧され、風車の外部の電力系統8側へと輸送される。
図3を用いて、風車のヨー制御及びブレード7のピッチ角制御の方法について述べる。正常に発電運転を行っている際、補機変圧器6側から電力の供給を受けてヨー制御盤12は、ローター1の回転面2が風下側において風向風速計11が検知した風向きに対して垂直になる様に、ヨー駆動装置13を制御する。この様に、風向きを検知して風向きに対してローター1の回転面2を制御することにより、風の運動エネルギーが充分に得られるようになる。
一方、ナセル3の振動が大きくなった場合、風速が規定値以上の値を示す場合、風速計が故障している場合、発電機9が過回転状態となっている場合等の異常時には、風車の安全性を鑑み、ローター1の回転を停止させる必要がある。係る場合には、ローター1を構成する1枚1枚のブレード7のピッチ角を調整し、各ブレード7が風向きと平行になる様に制御する。係る制御も補機10によって行うものであり、その電力についても補機変圧器6側から供給される。該制御により、各ブレード7は風から揚力を受けない様になり、ローター1は回転を停止する。
上記の異常状態が解消され、ローター1が回転を再開する際にはブレード7のピッチ角を調整し、風からの揚力を受けられるように補機10により制御する必要があるが、発電機9が運転をしていないため、発電機9側から補機10を動作させるための電力を受電することができない。
従って、回転の再開時においては主変圧器5を経由して電力系統8側から補機10を動作させるための電力を供給する。電力系統8側からの電力供給を受け、ブレード7のピッチ角を調整して、風からの揚力を受けられるようにすることで、ローター1は回転を再開し発電運転が再び行われる。
ここで本実施例の運転モードでは、発電機9によって発電された電力を直接補機変圧器6に印加しており、補機変圧器6が降圧して風向風速計11やヨー制御盤12等の補機10に電力を供給している。このように補機変圧器6に印加されて補機10に供給するための電力を高圧の系統側からではなく、発電機9側から直接取ることで、支柱内における高電圧箇所が減少し、支柱壁との絶縁を確保するために電源ケーブルまたは補機10と支柱壁との距離を短くすることができる。ダウンウインド型風車では、支柱の径が大きくなるほど、ローター1に当たる風量を減らすことになり発電効率が低下することに繋がってしまうため、発電効率を低下させない観点から、ダウンウインド型風車にとって支柱の径をなるべく大型化させずに変圧器を収納できることは特に有益である。
ところで、アップウインド型風車では、発電機9から補機10への電力を供給する場合で、発電機9および電力系統8が何らかの原因により同時に停止した停電時には、補機10への電力供給が断たれてしまい、この場合には上記のピッチ角制御は行えたとしても、ナセル3のヨー駆動方向の制御を継続することができなくなる。ヨー駆動機構による制御ができない状態でローター1の軸に対して直角の方向から風を受けると設計想定以上の風荷重が負荷されヨー機構の破壊,風車の転倒等、風車の安全性を保てない可能性もある。よって、安全性を確保する観点からバックアップ用の電源を備える必要があった。係る場合にも、ダウンウインド型風車の場合には、そもそも風下にローター1が位置する状態で発電運転を行うことを想定していることから、ヨー駆動の制御ができなくなり、ヨー駆動の最適化こそできなくても、ローター1は自動的に風下に位置し、少なくとも風車全体としての安全性を保つことができる。故に、安全性を確保するためのバックアップ用の電源が不要となり、省スペース化の実現に寄与できる。また例えば発電運転時はアップウインド型風車であって、発電運転停止時に限り、ダウンウインド型風車に切り替える機能を付加する場合と比較しても、本実施例に係るダウンウインド型風車はそもそも常時ダウンウインド型風車であることから、切り替えるための特別な構成を付加する必要がないため、機構の簡素化・コストの削減、更には不要な機構を付加することによる発電効率の低下防止といった諸効果を得ることができる。
また、従来技術において言及したようにダウンウインド型風車の場合、風下にローター1が位置した状態で発電運転を行うことから、吹き上げ風に対してローター1の回転面を垂直に配置しても支柱に衝突することはなく、風のエネルギーをアップウインド型風車と比較して効率的に発電運転に用いることができ、優位性がある。
本実施例におけるダウンウインド型風車では、主変圧器5及び補機変圧器6を支柱4の内部に収納していることから、変圧器建屋等をダウンウインド型風車の外側に設ける必要がなく、限られた設置スペースにもダウンウインド型風車を設置することが可能となる。より具体的にはダウンウインド型風車の用地造成工事が軽減でき、設置が容易になるといった効果がある。さらに、ダウンウインド型風車の主変圧器5と補機変圧器6の電力系統8に接続される高電圧部分をダウンウインド型風車内に設置できるので、ダウンウインド型風車の外側に主変圧器5と補機変圧器6の電力系統8に接続される高電圧部分を、別途防護するための防護柵を設置しなくてよく、省スペース化の更なる実現、及びコスト低減、さらには高電圧部分が露出しないことによる安全性向上といった効果が挙げられる。尚、本実施形態では主変圧器5及び補機変圧器6をいずれも支柱4の内部に収納する場合を例にして説明したが、少なくともいずれかを内部に収納すれば設置スペースを低減することは可能となる。設置スペース低減の観点からは、特に、主変圧器5をダウンウインド型風車の内部に収納する場合の方がより効果的である。
図4を用いて実施例2について説明する。実施例1では、主変圧器5及び補機変圧器6を、支柱4内に収める場合について説明したが、図4に示す如く、主変圧器25及び補機変圧器26を、ナセル23の内部に収めることも可能である。単線結線図に表すと、支柱4内にあるかナセル23内にあるかの違いはあるものの、風車内にあることに変わりはないため、ここでの単線結線の説明は省略する。
本実施例におけるダウンウインド型風車は、主変圧器25及び補機変圧器26をナセル23の内部に収納していることから、変圧器建屋等をダウンウインド型風車の外側に設ける必要がなく、限られた設置スペースにもダウンウインド型風車を設置することが可能となる。より具体的にはダウンウインド型風車の用地造成工事が軽減でき、設置が容易になるといった効果がある。さらに、ダウンウインド型風車の主変圧器25と補機変圧器26の電力系統8に接続される高電圧部分をダウンウインド型風車内に設置できるので、ダウンウインド型風車の外側に主変圧器25と補機変圧器26の電力系統8に接続される高電圧部分を、別途防護するための防護柵を設置しなくてよく、省スペース化の更なる実現、及びコスト低減、さらには高電圧部分が露出しないことによる安全性向上といった効果が挙げられる。
また、主変圧器25及び補機変圧器26については、少なくともいずれかを内部に収納すれば設置スペースを低減することは可能であり、実施例1と併せていずれか一方を支柱内に設け、他方をナセル内に置くと言った設計の自由度も許容される。設置スペース低減の観点からは、特に、補機変圧器26よりも大型の主変圧器25をダウンウインド型風車の内部に収納する場合の方がより効果的である。
図5を用いて実施例3について説明する。上記の各実施例では主変圧器と補機変圧器を分離して構成したが、本実施例では一台の変圧器により両方の変圧器の機能を持たせている。即ち、支柱4内に収めた主変圧器35に、コイルを一式追加して3巻線化することにより、主変圧器35から低圧の電力を取り出している。係る構成とすることで、補機変圧器も省略でき設置スペースの一層の低減につながる。尚、本実施例では支柱4内に主変圧器35を設置する場合について説明したが、ナセル内に設置することも可能である。
1 ローター
2 回転面
3,23 ナセル
4 支柱
5,25,35 主変圧器
6,26 補機変圧器
7 ブレード
8 電力系統
9 発電機
10 補機
11 風向風速計
12 ヨー制御盤
13 ヨー駆動装置
14 歯車

Claims (9)

  1. 風下にローターが配置した状態で発電運転するダウンウインド型風車であって、該ダウンウインド型風車は、
    前記ローターを支持し、内部に発電機を収納する積荷室と、該積荷室を支持する支柱と、前記発電機と電力系統との間に配置され、前記発電機の発電電力の電圧を昇圧して前記電力系統の系統電圧に変換する主変圧器を備えており、
    前記主変圧器は、前記積荷室または前記支柱内に収納されていることを特徴とするダウンウインド型風車。
  2. 請求項1に記載のダウンウインド型風車であって、
    前記発電機の発電電力の一部を受け、降圧した上でダウンウインド型風車の補機に電力を供給する補機変圧器を備えており、
    前記補機変圧器は、前記主変圧器のうち前記発電機側と接続されていることを特徴とするダウンウインド型風車。
  3. 請求項1または2に記載のダウンウインド型風車であって、前記積荷室及び前記支柱内においては計測値及び制御信号の伝達用には光ケーブルを使用し、電気信号又は電流が流れる箇所の周囲には磁気シールドが配置されていることを特徴とするダウンウインド型風車。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載のダウンウインド型風車であって、
    前記主変圧器前記補機変圧器の少なくとも一方は、前記支柱内の底部に配置されていることを特徴とするダウンウインド型風車。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載のダウンウインド型風車であって、
    前記主変圧器前記補機変圧器の少なくとも一方は、アモルファス変圧器であることを特徴とするダウンウインド型風車。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載のダウンウインド型風車であって、
    前記補機変圧器は、主変圧器にコイルを一式追加して補機変圧器の機能を持たせることにより構成したことを特徴とするダウンウインド型風車。
  7. 風下にローターが配置した状態で発電運転するダウンウインド型風車を構成する支柱又は積荷室内に収納され、前記ダウンウインド型風車内の発電機と電力系統との間に位置し、発電電力の電圧を昇圧して前記電力系統の系統電圧に変換する主変圧器を備え、前記ダウンウインド型風車を制御する補機が前記発電機に接続されているダウンウインド型風車の運転方法であって、
    前記ダウンウインド型風車の発電運転中は、発電機から発生される電力により前記補機を動作させて前記ダウンウインド型風車を制御することを特徴とするダウンウインド型風車の運転方法。
  8. 請求項7に記載のダウンウインド型風車の運転方法であって、
    前記ダウンウインド型風車は、異常時には発電運転を停止し、その後異常が解消された際には、前記主変圧器を介して系統側から供給される電力により前記補機を動作させて前記ダウンウインド型風車を制御することを特徴とするダウンウインド型風車の運転方法。
  9. 請求項7または8に記載のダウンウインド型風車の運転方法であって、
    発電機及び電力系統の停電時に、前記補機によるヨー制御を行うことなく前記ローターを風下に留めることを特徴とするダウンウインド型風車の運転方法。
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