JP2014050293A - 建物の給電設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物の美観が損なわれるのを回避しながら、使い勝手の向上を図ることができる建物の給電設備を提供する。
【解決手段】建物10の外周部には水切部材40が設けられており、その水切部材40の裏側空間である水切裏空間35には給電装置20が設けられている。給電装置20は、給電器具25を備え、その給電器具25は、先端にコンセント30が設けられた給電ケーブル27を有している。水切部材40は、水切裏空間35を開放する開状態と、水切裏空間35を閉鎖する閉状態とに動作可能とされた開閉板部44を有している。コンセント30は、この開閉板部44の裏側に支持されている。開閉板部44が開状態とされることに基づいて、コンセント30が水切裏空間35の外に引き出されるようになっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建物の給電設備に関する。
近年では、ハイブリッド自動車や電気自動車が実用化されており、それら自動車の車載バッテリに対して家庭用商用電力(AC100V)を供給し充電を行う技術が各種提案されている。例えば住宅等の建物において車載バッテリへの充電を行う場合、建物の外壁等に設けられた屋外用コンセントに充電用ケーブルを接続し、その充電用ケーブルを通じて建物側から車載バッテリに商用電力を供給する。
ここで、屋外用コンセントは屋外に露出した状態で設けられるものであるため、その設置によって建物の美観が損なわれてしまうおそれがある。そこでこの点に鑑みて、例えば特許文献1には、建物外周部に設けられた水切部材の裏側に商用電力を供給可能な給電装置を備えた構成が開示されている。この給電装置には、自動車側への接続が可能なプラグを先端に有する給電ケーブルが設けられている。また、同文献1の構成では、水切部材が開閉動作可能な可動水切部を有しており、その可動水切部が開状態とされることで給電装置が屋外に露出されるようになっている。そして、その露出状態において給電ケーブルを水切部材の裏側から屋外へ引き出し、プラグを自動車側に接続して該自動車へ給電することが可能となっている。かかる構成によれば、給電装置が屋外に露出することなく設置されるため、建物の美観が損なわれるのを回避することができる。
特開2010−102912号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、給電ケーブルが水切部材の裏側に収容されているため、給電ケーブルを水切部材裏から引き出す際、屈み込んだ状態で水切部材裏をのぞき込みながら引き出す必要があると考えられる。そのため、上記特許文献1の技術は、その使い勝手の面で未だ課題を有していると思われる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物の美観が損なわれるのを回避しながら、使い勝手の向上を図ることができる建物の給電設備を提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の給電設備は、建物の外周部又は前記建物としてのガレージの内周部には、給電対象に対する電気的な接続及び取り外しが可能な接続部が設けられており、その接続部に対する前記給電対象の接続状態において前記建物側から当該給電対象への給電を行う建物の給電設備であって、前記接続部は、前記建物の外周部又は前記ガレージの内周部に設けられた水切部材の裏側空間である水切裏空間に設けられており、前記水切部材は、前記水切裏空間を開放する開状態と、前記水切裏空間を閉鎖する閉状態とに動作可能とされた開閉部を有しており、前記開閉部により開放される開放部分を通じて前記接続部を前記水切裏空間の内外に出し入れ可能に支持する支持部材を備え、前記開閉部が前記開状態とされることに基づき、前記接続部が前記支持部材に支持された状態で前記水切裏空間の外に引き出される構成を有していることを特徴とする。
本発明によれば、給電対象(例えばハイブリッド自動車や電気自動車)との接続が可能なコンセントやプラグ等の接続部が、建物の外周部又はガレージの内周部において水切部材により覆われた状態で設けられている。これにより、接続部が屋外又はガレージ内へ露出して建物の美観が損なわれる不都合を回避することができる。また、水切部材には水切裏空間を開放及び閉鎖する開閉部が設けられており、その開閉部が開状態とされると接続部が支持部材に支持された状態で水切裏空間の外に自ずと引き出されるようになっている。この場合、接続部を水切裏空間の外に引き出すにあたって、屈み込んで水切部材裏をのぞき込むといった面倒な作業を行う必要がなく、その使い勝手を向上させることができる。
第2の発明の建物の給電設備は、第1の発明において、前記開閉部は回動可能に設けられ、その回動により前記開状態と前記閉状態とに動作可能とされており、前記支持部材は前記開閉部であり、その開閉部の裏側に前記接続部が支持されており、前記開閉部が前記水切裏空間の外側に回動されて前記開状態となることに基づき、前記接続部が前記水切裏空間の外に引き出されることを特徴とする。
本発明によれば、水切裏空間を開放及び閉鎖するための開閉部に接続部を支持させているため、接続部を支持するための支持部材を別途設ける場合と比べ、構成の簡素化を図ることができる。
また、開閉部は、その上端部において回動可能に軸支されることが望ましい。そうすれば、開閉部を水切裏空間の外側に回動させて接続部を水切裏空間の外に引き出す際、接続部を比較的高い位置に引き出すことができる。これにより、接続部に対する給電対象の接続及び取り外しの作業を大きくかがみ込むことなく行うことができ、その使い勝手をより一層向上させることができる。
第3の発明の建物の給電設備は、第2の発明において、前記開閉部の裏側には、異物の侵入を防止する異物侵入防止部が当該開閉部と一体に設けられており、その異物侵入防止部の裏側に前記接続部が取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、水切部材の開閉部の裏側に異物侵入防止部が設けられているため、異物が水切裏空間に侵入するのを防止することができる。ここで異物としては、鼠等の小動物やゴミ、瓦礫等が挙げられる。そして、この異物侵入防止部の裏側に接続部が取り付けられているため、接続部が鼠等の小動物によって傷付けられたりゴミによって汚されたりする等の不都合を防止することができる。
第4の発明の建物の給電設備は、第3の発明において、前記接続部を挟んで前記異物侵入防止部とは反対側には、さらに補助異物侵入防止部材が設けられており、前記補助異物侵入防止部材は、前記開閉部が前記異物侵入防止部とともに屋外側に回動されて前記開状態となった場合に異物の侵入を防止するものであることを特徴とする。
異物侵入防止部の裏側に接続部を取り付けた上記の構成では、接続部を水切裏空間の外に引き出すべく、開閉部が水切裏空間の外側に回動され開状態とされると、それに伴い異物侵入防止部も水切裏空間の外側に回動されるため、その間に異物の侵入を招いてしまうおそれがある。そこで本発明ではこの点に鑑みて、異物侵入防止部の裏側にさらに補助異物侵入防止部材を設け、開閉部が開状態にある場合にはこの補助異物侵入防止部材によって異物の侵入を防止するようにしている。これにより、異物侵入防止部に接続部を取り付けた上記の構成において、異物の侵入を確実に防止することができる。
第5の発明の建物の給電設備は、第4の発明において、先端に前記接続部を有し、該接続部に対して前記建物側からの電力を供給する給電ケーブルを備え、前記補助異物侵入防止部材には、前記給電ケーブルを挿通させる挿通部が形成されており、前記補助異物侵入防止部材は、前記挿通部に前記給電ケーブルが挿通された状態で、前記開閉部が前記水切裏空間の外側に回動され前記接続部が前記水切裏空間の外に引き出される際、その引き出しに伴って引っ張られる前記給電ケーブルの動きに追従して動作することが可能に構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、接続部に対して建物側の電力を供給する給電ケーブルが補助異物侵入防止部材に設けられた挿通部に挿通されている。ここで、開閉部を水切裏空間の外側に回動して開状態とすることで接続部を水切裏空間の外に引き出す際には、その接続部の引き出しに伴い給電ケーブルが水切裏空間の外に引っ張られることが想定される。この場合、補助異物侵入防止部材の挿通部に給電ケーブルを挿通させた上述の構成では、給電ケーブルが挿通部において引っ掛かる等して、開閉部のスムーズな開動作(回動)が妨げられるおそれがある。そこで本発明ではこの点に鑑みて、補助異物侵入防止部材を、接続部を水切裏空間の外に引き出す際の給電ケーブルの引っ張りの動きに追従して動作可能に構成している。これにより、補助異物侵入防止部材に給電ケーブルを挿通させる構成にあって、開閉部をスムーズに開動作させることができ、ひいては接続部のスムーズな引き出しが可能となる。
第6の発明の建物の給電設備は、第1の発明において、前記接続部を前記水切裏空間の外側に向けて付勢する付勢部材を備え、前記支持部材は、前記水切裏空間に設けられ、前記付勢部材による付勢方向に沿って前記接続部を移動可能に支持するものであり、前記接続部は、前記開閉部の前記閉状態では、前記付勢部材の付勢力により前記開閉部の裏側に押し付けられた状態で前記水切裏空間に配置され、前記開閉部が前記開状態とされると前記付勢部材の付勢力により前記水切裏空間の外に引き出されることを特徴とする。
本発明によれば、水切裏空間に設けられた支持部材に接続部が支持されており、開閉部の閉状態では接続部が水切裏空間の外側に向けた付勢部材の付勢力によって開閉部の裏側に押し付けられた状態で水切裏空間に収容されている。そして、開閉部が開状態とされると、接続部が付勢部材の付勢力によって水切裏空間の外へと引き出される。この場合、接続部を開閉部に支持させる場合とは異なり、接続部を支持させるための構成を開閉部側に設ける必要がなく、開閉部側(ひいては水切部材側)の構成が煩雑となるのを抑制することができる。
第7の発明の建物の給電設備は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記支持部材に支持された状態で前記接続部を前記水切部材の長手方向に案内する案内手段を備え、前記水切部材の長手方向における複数箇所において前記接続部を前記水切裏空間の外へ引き出し可能とすべく、前記開閉部が前記水切部材の長手方向に沿う長尺状とされているか、又は、前記開閉部が前記水切部材の長手方向における複数箇所に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、接続部を水切部材の長手方向の複数箇所において水切裏空間の外に引き出すことができるため、給電対象(例えばハイブリッド自動車や電気自動車)への給電に適した箇所で接続部を引き出して、当該接続部に給電対象を接続することができる。これにより、給電対象を移動させずとも給電対象に対して給電を行うことが可能となり、給電設備の使い勝手をより一層向上させることができる。
第1の実施形態における給電設備が設置された床大梁付近を示す縦断面図。 水切部材の開閉板部が開状態とされた様子を示す縦断面図。 支持レールにコンセントが支持された状態を示す正面図。 挿通部に給電ケーブルが挿通されている状態を示す斜視図。 挿通部の周辺を拡大して示す縦断面図であり、(a)が図4のA−A線断面図、(b)が図4のB−B線断面図である。 給電装置を用いて給電対象に給電を行う際の作業の流れを説明するための説明図。 第2の実施形態における給電設備が設置された床大梁付近を示す縦断面図。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、鉄骨ラーメン構造によるユニット式建物に本発明を具体化しており、そのユニット式建物は、周知のとおり複数の建物ユニットを結合させて構築されるものとなっている。これらの建物ユニットは、それぞれ工場にてあらかじめ製造され、その後、建築現場にトラック等により運搬されて当該建築現場において結合される。建物ユニットについて簡単に説明すると、建物ユニットは、各々長方形状に組み付けられた四辺の床大梁及び天井大梁と、床大梁及び天井大梁を四隅で連結する柱とを有しており、これらにより直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。
本実施形態では、ユニット式建物の1階の床大梁近くに屋外用給電設備を設置する構成としており、その詳細について図1を参照しつつ説明する。なお、図1は給電設備が設置された床大梁付近を示す縦断面図である。
図1に示すように、建物10において、地盤部分に設けられた基礎11の上方には建物ユニットの床大梁12が設置されている。床大梁12は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が屋内側(図の右側)を向くようにして設置されている。なお、床大梁12と基礎11の天端11aとの間には通気用の隙間が設けられている。
床大梁12のウエブ部12aには、外壁パネル13が取り付けられている。外壁パネル13は、断面コ字状の軽量形綱(軽溝形綱)よりなる下地フレーム14と、その下地フレーム14に固定される矩形平板状の外壁材(窯業系サイディング板等)15とを備え、これら下地フレーム14と外壁材15とがタッピングネジ(図示略)等により接合固定されている。下地フレーム14の下枠部14aは相対向する内側フランジ部F1及び外側フランジ部F2を有しており、内側フランジ部F1が床大梁12のウェブ部12bの外側面に固定されている。また、図示は省略するが、下地フレーム14の上枠部も天井大梁のウェブ部に対して同様に固定されている。このように下地フレーム14が床大梁12及び天井大梁に固定されることにより、外壁パネル13が建物ユニットに固定されている。
ユニット式建物においては、複数の外壁パネル13が横並びの状態で組み付けられるようになっている。隣接する外壁パネル13はその下地フレーム14同士で接合され、ボルト及びナット等の締結具(図示略)により互いに連結固定されている。この状態では、各下地フレーム14の上枠部及び下枠部14aがそれぞれ横一列に並ぶように配置される。
外壁パネル13の下地フレーム14(下枠部14a)には、給電設備を構成する給電装置20が取り付けられている。給電装置20は、長尺状のレール部材21と、そのレール部材21にスライド移動可能に保持される給電器具25とを備えている。
レール部材21は、下地フレーム14の下枠部14aに取り付けられることにより、建物の外周部において水平方向に延設される。レール部材21は、絶縁性材料よりなる断面略C字状のレール本体22を有している。レール部材21は、外壁パネル13の下地フレーム14(下枠部14a)において相対向する2つのフランジ部F1,F2間に、レール本体22のレール溝22aを下方に向けた状態で配設されている。図1では、レール本体22に設けられた取付部24が下地フレーム14の下枠部14a(そのウェブ部)にネジ締結や接着により固定されている。この場合、レール部材21は、隣接する外壁パネル13の各下地フレーム14(下枠部14a)に架け渡される。
レール部材21には、導電材料からなる導電部材23が設けられている。導電部材23は、レール本体22に取り付けられた電源ボックス32及び電源ボックス32から延びるコード33を介して、建物内に設けられた配電盤(図示略)に電気的に接続されている。導電部材23は、レール本体22と同一方向に延びる長尺状であり、給電器具25がレール部材21により保持された状態で当該給電器具25の受電部29と電気的に接触するようになっている。
給電器具25は、レール部材21にスライド移動可能に保持される器具本体26と、その器具本体26を基端として繰り出し及び巻き取り可能な給電ケーブル27とを備えている。器具本体26には一対のローラ28が設けられており、そのローラ28がレール本体22のリップ部22bにより支持されることで、レール部材21と一体化された状態で器具本体26が円滑にスライド移動可能になっている。これにより、器具本体26は、レール部材21の導電部材23に電気的に接触することで建物側から商用電力(AC100V)の供給を受けつつ、レール部材21に案内されてスライド移動可能となっている。
器具本体26の内部には、給電ケーブル27を巻き取り及び繰り出しするためのリール(図示略)が設けられている。このリールによって給電ケーブル27の器具本体26からの繰り出し長さを調整することが可能となっている。給電ケーブル27の先端には接続部としてのコンセント30(コンセントタップ)が設けられている。コンセント30は、全体として略直方体状に形成されており、プラグを差し込み可能な差込口30aを有している(図3参照)。
器具本体26には引き手部材として引き紐31が取り付けられている。引き紐31は、器具本体26から建物の屋外まで延びており、この引き紐31を手などで左右に引くことにより、器具本体26のスライド移動が可能になっている。
外壁パネル13の外壁材15の下方には長尺状の水切部材40が設けられている。水切部材40は、外壁パネル13の下地フレーム14の下枠部14aに沿って取り付けられている。水切部材40は、その上端部がネジ等により下枠部14aに固定され、建物周りの全周に設けられている。この水切部材40により、外壁材15の外壁面を伝って流下する雨水等が外壁パネル13の下端部と基礎11との隙間から床下空間に入り込むのを防止できるようになっている。
本実施形態では、この水切部材40によって、給電装置20を屋外側から見えないように覆い隠す構成としている。換言すると、水切部材40の裏側空間(以下、水切裏空間35という)に給電装置20が配設される構成となっている。これにより、給電装置20の露出によって建物の外観が損なわれることが防止されている。なお、水切裏空間35は、詳しくは、水切部材40、基礎11の天端11a、外壁パネル13の下地フレーム14(下枠部14a)、及び床大梁12によって囲まれた空間となっている。
水切部材40は、水切裏空間35を開放する開状態と、水切裏空間35を閉鎖する閉状態とに動作可能とされた開閉板部を有している。以下、かかる開閉板部を有する水切部材40の構成について図1に加え図2を用いながら説明する。図2は、水切部材40の開閉部が開状態とされた様子を示す縦断面図である。
図1に示すように、水切部材40は、ネジ等により下枠部14a(外側フランジ部F2)に固定された固定板部42と、その固定板部42に軸部43を介して回動可能に連結された開閉板部44とを有する。固定板部42と開閉板部44とはいずれも水切部材40の長手方向全域に亘って延びている。なおここで、開閉板部44が開閉部に相当する。
開閉板部44は、鋼板が折り曲げられることにより形成されており、その上端部において固定板部42と軸部43を介して回動可能に連結されている。詳細には、開閉板部44は、軸部43に連結された横板部44aと、横板部44aの屋外側端部から下方に延びる縦板部44bと、縦板部44bの下端部から屋外側に延びる横板部44cと、横板部44cの屋外側端部から下方に延びる縦板部44dとを有する。
開閉板部44が軸部43を中心として屋外側(上側)に回動されると、水切裏空間35が屋外に開放される。このとき、開閉板部44は開状態となる(図2参照)。そして、開閉板部44が、この開状態から水切裏空間35側(下側)に向けて回動されると、水切裏空間35が閉鎖される。このとき、開閉板部44は閉状態となる(図1参照)。なお、開閉板部44は閉状態から開状態へと移行する際、約90°屋外側に向けて回動する。したがって、開閉板部44の閉状態では各縦板部44b,44dがそれぞれ略水平方向を向いている。
開閉板部44の裏面側には防鼠板部36が設けられている。防鼠板部36は、上下に延びる板状をなしており、開閉板部44の長手方向全域に亘って延びるように形成されている。防鼠板部36は、その上部が開閉板部44の上側縦板部44bの裏面にビス等により取り付けられており、その取付部分から上側縦板部44bよりも下方に延びて下端が基礎11の天端11aよりも下方に達している。この場合、基礎11の天端11aと開閉板部44(上側縦板部44b)との間が防鼠板部36により閉鎖されており、これにより両者11a,44の間を通じて鼠等の小動物が床下空間(基礎11により囲まれた内側空間)に侵入するのが防止されている。なおここで、防鼠板部36が異物侵入防止部に相当する。
防鼠板部36には、板厚方向に貫通する複数の通気孔部36aが設けられている(図3参照)。これら各通気孔部36aは、鼠等の小動物の侵入を阻止できる程度の大きさで上下に延びる長孔状に形成されている。これにより、小動物の床下への侵入防止を図りながら床下への通気が可能となっている。
防鼠板部36の裏面には、給電器具25のコンセント30をスライド移動可能に支持する支持レール47が設けられている。図3には、支持レール47にコンセント30が支持された状態が示されている。図2及び図3に示すように、支持レール47は、上側レール部48と下側レール部49とを備える。これら各レール部48,49はそれぞれ鋼板よりなり、防鼠板部36の長手方向に沿って長尺状に形成されている。各レール部48,49は通気孔部36aを挟んで上下に離間して配置されており、防鼠板部36の裏面に溶接により固定されている。これにより、防鼠板部36に各レール部48,49を設けた構成にあって、各レール部48,49により通気孔部36aが塞がれないようになっている。なお、支持レール47が案内手段に相当する。
コンセント30は、これら各レール部48,49に上下に跨がるように配設されており、その配設状態において各レール部48,49に沿ってスライド移動可能に支持されている。詳細には、上側レール部48には下向きに延びる係合板部48aが設けられ、下側レール部49には上向きに延びる係合板部49aが設けられている。これに対して、コンセント30には、その上面に上側に開口された係合溝部51が設けられ、その下面に下側に開口された係合溝部52が設けられている。そして、コンセント30は、その係合溝部51に上側レール部48の係合板部48aを入り込ませ、かつ、その係合溝部52に下側レール部49の係合板部49aを入り込ませた状態で各レール部48,49に支持されている。
上述の構成において、開閉板部44が閉状態にある場合には、コンセント30が防鼠板部36に支持された状態で水切裏空間35に収容されている(図1参照)。そして、開閉板部44(さらには防鼠板部36)が屋外側に回動され開状態とされると、それに伴いコンセント30が防鼠板部36(詳細には支持レール47)に支持された状態で水切裏空間35から屋外へ引き出される(図2参照)。より詳しくは、このときコンセント30は外壁材15の外壁面よりも屋外側の位置まで引き出される。この場合、コンセント30に対して給電対象を電気的に接続することが可能となる。
また、図示は省略するが、水切部材40には、開閉板部44を開状態に保持するための保持手段が設けられている。保持手段としては、例えば開閉板部44の開状態において防鼠板部36の裏面と基礎11の天端11aとの間に架け渡され同開閉板部44(及び防鼠板部36)を下方から支持する支持脚を設けることが考えられる。支持脚は、開閉板部44の閉状態では防鼠板部36の裏面に沿って折り畳まれ、開閉板部44が開状態とされた場合に上記のように基礎11と防鼠板部36との間に架け渡される構成とする。但し、保持手段は必ずしもかかる構成とする必要はなく、開閉板部44を開状態に保持できればその構成は任意でよい。
ここで上述の構成では、コンセント30を屋外に引き出すべく開閉板部44を屋外側に回動させ開状態とすると、それに伴い防鼠板部36も屋外側に回動するため、開閉板部44の開状態では基礎11の天端11aと外壁材15の下端との間が開放状態となってしまう。このため、開閉板部44の開状態では、上記開放部分を通じて鼠等の小動物の床下への侵入を招いてしまうおそれがある。そこで本実施形態では、この点に鑑みて、開閉板部44が開状態にあっても小動物の侵入を防止すべく、防鼠板部36に加えてさらに補助防鼠部材を設けている。以下、この補助防鼠部材の構成について説明する。
図1に示すように、防鼠板部36の裏側には補助防鼠部材55が設けられている。補助防鼠部材55は、コンセント30を挟んで防鼠板部36とは反対側に設けられている。補助防鼠部材55は、水切部材40の長手方向に沿った長尺状をなしており、基礎11の天端11aと外壁材15の下端との間を閉鎖するように設けられている。なお、補助防鼠部材55が補助異物侵入防止部材に相当する。
補助防鼠部材55は、上下に並べられた上側防鼠部56と下側防鼠部57とを備え、これら各防鼠部56,57が軸部58を介して回動可能に連結されることにより構成されている。各防鼠部56,57はそれぞれ、弾性を有する材料により板状に形成されており、具体的には伸縮性を有する複数の金属線が編み込まれることによりメッシュ状に形成されている。この場合、各防鼠部56,57の網目(複数の金属線により囲まれた内側領域)が通気孔部となっており、その孔部を通じて通気が可能となっている。また、通気孔部の網目の大きさは鼠等の小動物が通過することができない程度の大きさに設定されている。
補助防鼠部材55において、上側防鼠部56の上端部は水切部材40の開閉板部44の上側横板部44aの裏面(下面)に軸部59を介して連結されており、下側防鼠部57の下端部は基礎11の天端11aに軸部60を介して連結されている。これにより、上側防鼠部56は軸部59を中心として開閉板部44に対して回動可能とされ、下側防鼠部57は軸部60を中心として基礎11に対して回動可能とされている。補助防鼠部材55は、開閉板部44の閉状態では、水切裏空間35側(屋外側とは反対側)に凸となる向きで各防鼠部56,57間で屈曲された形状とされている。
補助防鼠部材55の上側防鼠部56には、給電ケーブル27を挿通可能な挿通部63が形成されている。以下、挿通部63周辺の構成を図4及び図5を用いながら説明する。図4は挿通部63に給電ケーブル27が挿通されている状態を示す斜視図であり、図5は挿通部63の周辺を拡大して示す縦断面図である。なお、図5において(a)が挿通部63において給電ケーブル27が挿通されていない部分を示しており、(b)が給電ケーブル27が挿通されている部分を示している。また、図5(a)が図4のA−A線断面図に相当し、図5(b)が図4のB−B線断面図に相当する。
図4及び図5に示すように、挿通部63は、上側防鼠部56(換言すると水切部材40)の長手方向に延びるスリット状をなしており、その上下幅が鼠等の小動物が通過できない大きさに設定されている。これにより、給電ケーブル27を挿通部63に挿通させた状態で同ケーブル27を挿通部63に沿って(換言すると水切部材40の長手方向に)移動させることが可能となっている。
上側防鼠部56には、挿通部63のうち給電ケーブル27が挿通されている挿通箇所以外の領域を閉鎖する多数の線部64(挿通部閉鎖手段)が設けられている。線部64は可撓性を有する樹脂材料により線状に形成され、上側防鼠部56における挿通部63の上下縁部からそれぞれ互いに向かい合うようにして多数延びている。この場合、挿通部63において給電ケーブル27が挿通されていない箇所では、図5(a)に示すように、線部64が直立した状態で挿通部63を閉鎖し、挿通部63において給電ケーブル27が挿通されている箇所では、図5(b)に示すように、線部64が撓んだ状態で給電ケーブル27の外周面に密着するようになっている。したがって、挿通部63において給電ケーブル27の挿通箇所以外は線部64によって閉鎖されるようになっている。これにより、挿通部63に沿って給電ケーブル27を移動可能とした構成にあって、挿通部63を通じた小動物の侵入を確実に防止することが可能となっている。
図2の説明に戻って、挿通部63に挿通されている給電ケーブル27は、開閉板部44が屋外側に回動されてコンセント30が屋外に引き出される際、その引き出しに伴って屋外側に引っ張られることとなる。この場合、その引っ張りによる給電ケーブル27の動きに追従して補助防鼠部材55が、上側防鼠部56と下側防鼠部57とが上下直列に並ぶ展開状態へと移行する。具体的には、この際、補助防鼠部材55は各防鼠部56,57を撓ませながら展開状態へと移行する。補助防鼠部材55は、この展開状態において外壁材15の下端部と基礎11の天端11aとの間を閉鎖するように配置される。これにより、開閉板部44が開状態にあっても、小動物が床下へ侵入するのを防止することができる。
次に、上述した給電装置20を用いて給電対象に給電を行う際の作業の流れについて説明する。図6は、かかる作業の流れを説明するための説明図である。ここでは、給電対象として、ハイブリッド自動車HVを想定している。
図6(a)に示すように、給電器具25のコンセント30は、通常時は水切裏空間35(閉状態にある開閉板部44の裏側)に収容されている。給電対象に給電を行う際はまず図6(b)に示すように、開閉板部44を屋外側に回動させて開状態とすることで、コンセント30を水切裏空間35より屋外に引き出す。そして、開閉板部44を保持手段を用いて開状態に保持させる。これにより、コンセント30が屋外に引き出された状態で保持される。
次に、図6(c)に示すように、コンセント30を水切部材40(詳細には支持レール47)に沿って自動車HVへの充電に適した所定位置(例えば、自動車HVの駐車場所に近い位置)までスライド移動させる。この際、給電器具25から給電ケーブル27を繰り出しながらコンセント30を所定位置まで移動させる。なお、給電ケーブル27の長さが足りない場合には、コンセント30に加え器具本体26も水切部材40(詳細にはレール部材21)に沿って自動車HVの近くに移動させる。
コンセント30を所定位置まで移動させたら、図6(d)に示すように、自動車HVの給電口Xに充電ケーブルCの一端部を接続し、充電ケーブルCの他端部(プラグ)をコンセント30に接続する。これにより、給電器具25と自動車HVの車載バッテリとが充電ケーブルCを介して電気的に接続される。そして、かかる接続状態において給電器具25により車載バッテリへの充電を行う。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
建物10の外周部に設けられた水切部材40の裏側空間である水切裏空間35に給電装置20を設置したため、給電装置20が屋外に露出することで建物10の美観が損なわれる不都合を回避することができる。また、水切部材40に水切裏空間35を開閉動作可能な開閉板部44を設け、その開閉板部44により開放される開放部分を通じてコンセント30を水切裏空間35の内外に引き出し可能(移動可能)に支持するようにした。そして、開閉板部44が開状態とされることに基づき、コンセント30が水切裏空間35から屋外に引き出される構成とした。この場合、コンセント30を水切裏空間35から屋外に引き出すにあたって、屈み込んで水切部材40裏をのぞき込むといった面倒な作業を行う必要がなく、その使い勝手を向上させることができる。
開閉板部44を固定板部42に対して回動可能に軸支させ、その回動によって開閉板部44を開閉動作させるようにした。そして、開閉板部44の裏側にコンセント30を支持させ、開閉板部44が屋外に回動されて開状態となることに基づき、コンセント30が屋外に引き出されるようにした。この場合、水切裏空間35を開閉するための開閉板部44にコンセント30を支持させたため、コンセント30を支持するための支持部材を別途設ける場合と比べ、構成の簡素化を図ることができる。
また、開閉板部44をその上端部において回動可能に軸支したため、開閉板部44を屋外に回動させてコンセント30を屋外に引き出した際、コンセント30を比較的高い位置に引き出すことができる。これにより、コンセント30に充電ケーブルCを介して自動車HVを接続及び取り外しする作業を大きくかがみ込まず行うことができ、その使い勝手をより一層向上させることができる。
開閉板部44の裏側に防鼠板部36を取り付け、その防鼠板部36の裏面側にコンセント30を取り付けた。この場合、コンセント30又はコンセント30に接続された給電ケーブル27等が鼠等の小動物によって傷付けられる等の不都合を防止することができる。
コンセント30を挟んで防鼠板部36とは反対側にさらに補助防鼠部材55を設け、開閉板部44が防鼠板部36とともに屋外側に回動され開状態となった場合に、この補助防鼠部材55により鼠等の小動物の侵入を防止するようにした。これにより、防鼠板部36にコンセント30を取り付けた構成において、小動物の侵入を確実に防止することができる。
補助防鼠部材55に給電ケーブル27を挿通させる挿通部63を設けた。そして、補助防鼠部材55を、挿通部63に給電ケーブル27を挿通させた状態において、開閉板部44が屋外側に回動されコンセント30が屋外に引き出される際、その引き出しに伴って引っ張られる給電ケーブル27の動きに追従して動作可能に構成した。これにより、開閉板部44を屋外側に回動させてコンセント30を引き出す際に、給電ケーブル27が挿通部63周りで引っ掛かって円滑な引き出しが妨げられるといった不都合が生じるのを抑制することができる。
防鼠板部36の裏側に水切部材40の長手方向に延びる支持レール47を取り付け、その支持レール47に沿ってコンセント30をスライド移動可能に支持させた。この場合、コンセント30を水切部材40の長手方向の複数箇所において屋外に引き出すことができるため、ハイブリッド自動車HVへの給電に適した箇所でコンセント30を引き出して自動車HVと接続することができる。これにより、自動車HVを移動させずとも自動車HVに対して給電を行うことが可能となり、給電装置20の使い勝手をより一層向上させることができる。
また、器具本体26を水切部材40の長手方向にスライド可能に支持するレール部材21をさらに設けたため、コンセント30だけでなく器具本体26についても水切部材40の長手方向に移動させることができる。これにより、コンセント30の移動範囲を拡げることができるため、さらに使い勝手を向上させることができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、開閉板部44の開動作に基づいてコンセント30が屋外に引き出される構成が第1の実施形態と相違する。以下、本実施形態の構成について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、図7は、給電設備が設置された床大梁付近を示す縦断面図であり、(a)が開閉板部44の閉状態を示し、(b)が開閉板部44の開状態を示している。
図7に示すように、本実施形態の給電器具70は、器具本体26と、その器具本体26から屋外側に向けて延びる棒状の支持部材71と、支持部材71の先端部(屋外側端部)に設けられたコンセント72とを備える。支持部材71は、器具本体26に取り付けられた第1支持部73と、先端部にコンセント72が取り付けられた第2支持部74とを有する。第1支持部73と第2支持部74とはいずれも管状(円管状)に形成されており、第1支持部73の外径は第2支持部74の内径とほぼ同じとなっている。第2支持部74の内側には第1支持部73が挿入されており、かかる挿入状態において第2支持部74は第1支持部73に対して軸線方向に相対移動可能とされている。そして、かかる各支持部73,74の相対移動によって支持部材71の長さが可変とされている。
具体的には、支持部材71は、その収縮状態においてはコンセント72が水切裏空間35に収容される長さ寸法となり、伸張状態においてはコンセント72が屋外(水切裏空間35の外)に引き出される長さ寸法となる。より詳しくは、支持部材71は、伸張状態においてはコンセント72が外壁材15の外壁面よりも屋外側に引き出される長さ寸法となる。
なお、図示は省略するが、各支持部73,74の内側には器具本体26とコンセント72とを接続する給電ケーブルが挿通されている。給電ケーブルは支持部材71の伸縮に応じて器具本体26内のリールに巻回され又は繰り出される構成となっている。
支持部材71の外周側には、付勢部材としてのコイルばね76が設けられている。コイルばね76は、コンセント72と器具本体26との間に配設されており、器具本体26に対してコンセント72を屋外側に向けて付勢するものとなっている。
水切部材40には、開閉板部44の閉状態において当該開閉板部44が開動作するのを規制する規制する規制手段(図示略)が設けられている。規制手段としては、例えば開閉板部44の下端部に係合部を設け、基礎11の屋外側面の上端付近に係合部と係合可能な被係合部を設ける構成が考えられる。この場合、係合部を被係合部に係合させることで開閉板部44の開動作が規制され、開閉板部44が閉状態に保持される。なお、本実施形態では、水切部材40に防鼠板部36が設けられていない。
上記の構成において、開閉板部44が閉状態にある場合には、図7(a)に示すように、コンセント72が水切裏空間35においてコイルばね76の付勢力により開閉板部44の裏面に押し付けられた状態で配置されている。この場合、支持部材71は収縮状態にある。そして、図7(b)に示すように、開閉板部44が屋外側に回動され開状態とされると、コンセント72がコイルばね76の付勢力により水切裏空間35から屋外へと引き出される。このとき、支持部材71は収縮状態から伸張状態へ移行する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
開閉板部44が開状態とされると、コイルばね76による屋外側へ向けた付勢力によってコンセント72が支持部材71に支持された状態で屋外に引き出されるようにした。この場合にも、上記第1実施形態の場合と同様、コンセント72を屋外に引き出すにあたって、屈み込んで水切部材40裏をのぞき込むといった面倒な作業を行う必要がなく、その使い勝手を向上させることができる。
コンセント72を給電器具70に設けられた支持部材71に支持させるようにした。この場合、開閉板部44にコンセント30を支持させる場合とは異なり、開閉板部44側(ひいては水切部材40側)の構成が煩雑となるのを抑制することができる。また、コンセント72を支持部材71に支持させたことで、コンセント30を開閉板部44に支持させる場合と比べ、開閉板部44を開動作させる際の負荷を軽減させることができる。
開閉板部44にはコイルばね76による屋外側へ向けた付勢力が常時作用しているため、開閉板部44を開動作させる際にはその付勢力を利用することで開閉板部44を比較的簡単に開動作させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記第1の実施形態では、給電器具25(詳細には器具本体26)を水切部材40の長手方向に沿ってスライド移動可能としたが、器具本体26は必ずしも移動可能とする必要はない。すなわち、器具本体26を水切部材40の長手方向における所定位置に設置してもよい。その場合でも、給電ケーブル27の長さ範囲内であれば、コンセント30を支持レール47に沿って移動させることができるため、コンセント30を水切部材40の長手方向の複数箇所で引き出すことが可能となる。
また、コンセント30は、必ずしも水切部材40の長手方向(支持レール47)に沿ってスライド可能とする必要はなく、水切部材40の長手方向における所定位置に取り付けてもよい。その場合でも、開閉板部44を開状態とすることでコンセント30を屋外に引き出すことが可能である。
(2)上記第1の実施形態では、水切部材40の開閉板部44に一体に設けられた防鼠板部36にコンセント30を取り付けたが、開閉板部44にコンセント30を取り付けてもよい。
(3)上記第2の実施形態において、開閉板部44による水切裏空間35の開閉動作を、開閉板部44の回動以外の動作により行ってもよい。例えば、水切部材40の長手方向の一部に、同方向へのスライド移動が可能な開閉板部(開閉部に相当)を設け、その開閉板部を水切部材40の長手方向にスライドさせることで水切裏空間35を開閉するようにしてもよい。その場合でも、開閉板部の裏面にコンセント72を配置すれば、開閉板部を開状態とすることに基づきコンセント72を屋外に引き出すことが可能となる。
(4)開閉板部44を開状態とすることに基づきコンセント30,72を屋外に引き出し可能とする構成は必ずしも上記各実施形態に記載したものに限定されない。例えば、上記第2の実施形態において、支持部材71を伸縮可能とすることに代え、支持部材を屋外側に傾倒可能とすることが考えられる。具体的には、支持部材を、コンセント72側とは反対側の端部(回動基端部)において器具本体26に回動軸を介して回動可能に取り付ける。この回動軸は、水切部材40の長手方向に延び、支持部材を鉛直面内で回動可能とするものである。開閉板部44の閉状態では、支持部材を開閉板部44の裏面に斜めに(詳細には屋外側に向かって上方傾斜する向きで)立てかける。このとき、コンセント30は水切裏空間35に配置される。そして、開閉板部44が開状態とされると、支持部材が屋外側に傾倒して水平方向(屋内外方向)に延びる向きとなる。これにより、コンセント72が屋外に引き出される。したがってこの場合にも、開閉板部44の開動作に基づくコンセント72の引き出しが可能となる。なお、回動軸には、支持部材が水平方向に延びる向きを越えて下方に回動するのを規制する回動規制手段が設けられている。
(5)上記各実施形態では、水切部材40の長手方向の複数箇所においてコンセント30を屋外に引き出し可能とするために、開閉板部44を水切部材40の長手方向に沿った長尺状としたが、これを変更してもよい。例えば、短尺状の開閉板部(及び短尺状の防鼠板部36)を、水切部材40の長手方向において複数箇所に設け、これにより各開閉板部の設置箇所(すなわち水切部材40の長手方向の複数箇所)においてそれぞれコンセント30を引き出し可能とするようにしてもよい。
この場合、より具体的には支持レール47を、開閉板部と、その開閉板部と横並びで隣接しかつ開閉しない非開閉板部との境界で分割し、複数の分割支持レールを形成する。コンセント30を引き出す際には、まずコンセント30を支持レールに沿って所定の開閉板部に対応する分割支持レールまで移動させる。なおこの移動は、コンセント30に屋外に垂れ下がるようにして引き紐を取り付けておき、その引き紐を引っ張ることで移動させるとよい。コンセント30を移動させた後、コンセント30が配置された当該開閉板部を開状態とする。これにより、コンセント30が分割支持レールに支持された状態で屋外に引き出される。
なお、開閉板部を短尺状とする場合、開閉板部を横方向に回動可能とし、その横方向への回動によって水切裏空間35を開閉動作するようにしてもよい。
(6)上記各実施形態では、水切部材40の一部である開閉板部44を開閉動作可能(回動可能)としたが、水切部材40の全部を開閉動作可能としてもよい。例えば、水切部材を、その上端部において下地フレーム14の下枠部14aに軸部を介して回動可能に取り付けることが考えられる。
(7)上記第1の実施形態では、建物側からの商用電力を導電部材23や給電器具25を介してコンセント30に供給する給電設備に本発明を適用したが、建物側からの商用電力をそれらの部材23,25を介さずにコンセント30に供給する給電設備に本発明を適用してもよい。すなわち、コンセント30を先端に有する給電ケーブルを建物側の配電盤に直接接続した構成に本発明を適用してもよい。
(8)上記各実施形態では、接続部としてコンセント30を用いたが、接続部としてプラグを用いるようにしてもよい。その場合、プラグを支持レール47に対して着脱可能に取り付けるようにしてもよい。例えば、支持レール47における長手方向の一部分を取り除くことで当該一部分にプラグ着脱口を形成し、その着脱口を通じてプラグを着脱するようにする。そうすれば、プラグを支持レールから取り外して、給電対象の自動車に直接接続することが可能となる。
(9)上記第1の実施形態では、開閉板部44の裏側に異物侵入防止部として防鼠板部36を設けたが、これを変更して、異物侵入防止部としてゴミや瓦礫などの侵入を防止するフィルタ部を取り付けてもよい。この場合、フィルタ部の裏面にコンセント30を取り付けるようにすれば、コンセント30がゴミの侵入によって汚れるのを防止することができる。
また、この場合、補助異物侵入防止部材として補助防鼠部材55に代え、補助フィルタ部材を設けてもよい。そうすれば、開閉板部44の開状態においてもゴミや瓦礫などの侵入を防止することができる。
(10)上記第2の実施形態において、開閉板部44の裏側に当該開閉板部44と一体に防鼠板部36(異物侵入防止部)を設けるようにしてもよい。その場合、防鼠板部36の裏側にコンセント72を配置すればよい。また、さらにコンセント72を挟んで防鼠板部36とは反対側に補助防鼠部材55(補助異物侵入防止部材)を設けてもよい。この場合、補助防鼠部材55の挿通部63に支持部材71を挿通させるようにすればよい。
(11)本発明をガレージ内部に設けられる給電設備に適用することも可能である。すなわち、一般に、建物の住居部分に一体に設けられるガレージ(いわゆるインナガレージ)では、見栄え向上の観点からガレージ内周部にも建物外周部と同様に、ガレージ内壁に沿って水切部材が設けられる。このため、かかるガレージの水切部材に対して本発明の給電設備を適用してもよい。また、住居部分を構成する建物とは独立して設けられるガレージ(独立車庫)に本発明を適用してもよい。
(12)上記実施形態では、外壁下端部に設けられる水切部材40への適用例を説明したが、他の部分に設けられる水切部材への適用も可能である。例えば、サッシ周りや窓台に設けられた水切部材に本発明を適用してもよい。この場合、サッシ周りや窓台に設けられた水切部材の内側に、給電装置20を配設する。
(13)ユニット式建物以外の建物への適用も可能である。例えば、木造在来工法への適用が可能である。この場合、基礎上方の土台部分に設けられる土台水切の内側に、給電装置20を配設する。
10…建物、20…給電装置、27…給電ケーブル、30…接続部としてのコンセント、35…水切裏空間、36…異物侵入防止部としての防鼠板部、40…水切部材、44…開閉部及び支持部材としての開閉板部、55…補助異物侵入防止部材としての補助防鼠部材、63…挿通部、71…支持部材、72…接続部としてのコンセント。

Claims (7)

  1. 建物の外周部又は前記建物としてのガレージの内周部には、給電対象に対する電気的な接続及び取り外しが可能な接続部が設けられており、その接続部に対する前記給電対象の接続状態において前記建物側から当該給電対象への給電を行う建物の給電設備であって、
    前記接続部は、前記建物の外周部又は前記ガレージの内周部に設けられた水切部材の裏側空間である水切裏空間に設けられており、
    前記水切部材は、前記水切裏空間を開放する開状態と、前記水切裏空間を閉鎖する閉状態とに動作可能とされた開閉部を有しており、
    前記開閉部により開放される開放部分を通じて前記接続部を前記水切裏空間の内外に出し入れ可能に支持する支持部材を備え、
    前記開閉部が前記開状態とされることに基づき、前記接続部が前記支持部材に支持された状態で前記水切裏空間の外に引き出される構成を有していることを特徴とする建物の給電設備。
  2. 前記開閉部は回動可能に設けられ、その回動により前記開状態と前記閉状態とに動作可能とされており、
    前記支持部材は前記開閉部であり、その開閉部の裏側に前記接続部が支持されており、
    前記開閉部が前記水切裏空間の外側に回動されて前記開状態となることに基づき、前記接続部が前記水切裏空間の外に引き出されることを特徴とする請求項1に記載の建物の給電設備。
  3. 前記開閉部の裏側には、異物の侵入を防止する異物侵入防止部が当該開閉部と一体に設けられており、その異物侵入防止部の裏側に前記接続部が取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の建物の給電設備。
  4. 前記接続部を挟んで前記異物侵入防止部とは反対側には、さらに補助異物侵入防止部材が設けられており、
    前記補助異物侵入防止部材は、前記開閉部が前記異物侵入防止部とともに屋外側に回動されて前記開状態となった場合に異物の侵入を防止するものであることを特徴とする請求項3に記載の建物の給電設備。
  5. 先端に前記接続部を有し、該接続部に対して前記建物側からの電力を供給する給電ケーブルを備え、
    前記補助異物侵入防止部材には、前記給電ケーブルを挿通させる挿通部が形成されており、
    前記補助異物侵入防止部材は、前記挿通部に前記給電ケーブルが挿通された状態で、前記開閉部が前記水切裏空間の外側に回動され前記接続部が前記水切裏空間の外に引き出される際、その引き出しに伴って引っ張られる前記給電ケーブルの動きに追従して動作することが可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の建物の給電設備。
  6. 前記接続部を前記水切裏空間の外側に向けて付勢する付勢部材を備え、
    前記支持部材は、前記水切裏空間に設けられ、前記付勢部材による付勢方向に沿って前記接続部を移動可能に支持するものであり、
    前記接続部は、前記開閉部の前記閉状態では、前記付勢部材の付勢力により前記開閉部の裏側に押し付けられた状態で前記水切裏空間に配置され、前記開閉部が前記開状態とされると前記付勢部材の付勢力により前記水切裏空間の外に引き出されることを特徴とする請求項1に記載の建物の給電設備。
  7. 前記支持部材に支持された状態で前記接続部を前記水切部材の長手方向に案内する案内手段を備え、
    前記水切部材の長手方向における複数箇所において前記接続部を前記水切裏空間の外へ引き出し可能とすべく、前記開閉部が前記水切部材の長手方向に沿う長尺状とされているか、又は、前記開閉部が前記水切部材の長手方向における複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の給電設備。
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