JP2014049365A - マイクロ波加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被加熱物を均一に加熱することができるマイクロ波加熱装置を提供すること。
【解決手段】被加熱物7を入れる加熱室1と、載置する載置部2と、マイクロ波を供給するためのマイクロ波供給手段3と、マイクロ波を加熱室1へ伝送するための導波管4と、マイクロ波を加熱室1へ放射するためのマイクロ波放射部5を備え、マイクロ波放射部5と載置部2との間に、マイクロ波放射部5と同一平面上で、マイクロ波放射部5の中心からマイクロ波の波長の1/4以内の位置である第1の位置から載置部2と同一平面上で載置部2の端部あるいは端部より内側にある第2の位置に向けて配置された反射板6を設けたマイクロ波加熱装置とすることにより、ターンテーブルや回転アンテナなどの回転機構を用いることなく、マイクロ波が加熱室1に広く放射されるようになり、載置部2上にある被加熱物7を均一に加熱することができる。
【選択図】図1
【解決手段】被加熱物7を入れる加熱室1と、載置する載置部2と、マイクロ波を供給するためのマイクロ波供給手段3と、マイクロ波を加熱室1へ伝送するための導波管4と、マイクロ波を加熱室1へ放射するためのマイクロ波放射部5を備え、マイクロ波放射部5と載置部2との間に、マイクロ波放射部5と同一平面上で、マイクロ波放射部5の中心からマイクロ波の波長の1/4以内の位置である第1の位置から載置部2と同一平面上で載置部2の端部あるいは端部より内側にある第2の位置に向けて配置された反射板6を設けたマイクロ波加熱装置とすることにより、ターンテーブルや回転アンテナなどの回転機構を用いることなく、マイクロ波が加熱室1に広く放射されるようになり、載置部2上にある被加熱物7を均一に加熱することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、一般家庭、レストラン及びオフィスなどで使用される電子レンジ等のマイクロ波加熱装置に関し、特にマイクロ波放射部の構造に特徴を有するマイクロ波加熱装置に関するものである。
マイクロ波により被加熱物を加熱するマイクロ波加熱装置は、マイクロ波供給手段において発生したマイクロ波が金属製の加熱室の内部に放射され、加熱室内部の被加熱物が放射されたマイクロ波により加熱される。
マイクロ波供給手段により生成されたマイクロ波は、導波管を伝搬し、供給口から加熱室内部に放射される。加熱室内部におけるマイクロ波の電磁界分布が不均一であると、被加熱物を均一にマイクロ波加熱することができない。
従来、この種のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を均一に加熱する手段として、被加熱物を載置するターンテーブルを回転させて被加熱物を回転させる構造、あるいは被加熱物を固定してマイクロ波を放射するアンテナを回転させる構造、または位相器によってマイクロ波供給手段から発生するマイクロ波の位相を変化させる構造を有するマイクロ波加熱装置が一般的であった。
また、この種のマイクロ波加熱装置の一例として、特許文献1には、加熱室を構成する六面体以上の多面体をなす側壁のうち、一つ以上の側壁が後方隅部を中心として前方側に所定の中心角度だけ内側の方に移行して設けられた加熱室にて構成することによって、加熱室内のマイクロ波が均一化される方法が開示されている。
しかしながら、前記従来の構成のマイクロ波加熱装置では、不均一加熱を低減するためにテーブルまたはアンテナを回転させる機構を必要としており、このため回転スペースおよびテーブルまたはアンテナを回転させるモータなどの設置スペースを確保しなければならず、電子レンジの小型化を阻害していた。また、ターンテーブルやアンテナなどを回転させるモータ等の回転機構を使用すると、モータの寿命などの信頼性を確保しなければならないという課題があった。
一方、加熱室の側壁を所定角度変更するような構成とすると、加熱室が直方体ではなく非対称の歪んだ形となるため、マイクロ波加熱装置の使用者が加熱室に被加熱物を出し入れが行いにくいという課題があった。また、側壁を傾斜させる必要があるため、マイクロ波加熱装置の筐体と加熱室の間に広い空間が必要となり、外寸が大きくなる。さらに、側壁を傾斜させる構造とすることによって製造が困難となるといった課題があった。
本発明は前記課題を解決するものであり、回転機構を用いることなく、被加熱物を均一にマイクロ波加熱させることができるマイクロ波加熱装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を入れる加熱室と、前記加熱室内で前記被加熱物を載置する載置部と、前記加熱室にマイクロ波を供給するためのマイクロ波供給手段と、前記マイクロ波供給手段から供給されるマイクロ波を前記加熱室へ伝送するための導波管と、前記導波管内を通るマイクロ波を前記加熱室へ放射するためのマイクロ波放射部を備え、前記マイクロ波放射部と前記載置部との間に、前記マイクロ波放射部と同一平面上で、前記マイクロ波放射部の中心から前記マイクロ波放射部から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内の位置である第1の位置から前記載置部と同一平面上で前記載置部の端部あるいは端部より内側にある第2の位置に向けて配置された反射板を設けたものである。
本構成により、開口部から放射されたマイクロ波が載置部を経て加熱室内に放射される際、マイクロ波が反射板によって加熱室に広く分散されて放射させる役割を担い、被加熱物をより均一に加熱させることができる。
本発明のマイクロ波加熱装置は、回転機構を設けることなく被加熱物を均一に加熱することが可能となり、加熱室も歪な形ではなく直方体であるために被加熱物を加熱室に設置しやすく使い勝手の良いマイクロ波加熱装置を提供することができる。
第1の発明は、被加熱物を入れる加熱室と、前記加熱室内で前記被加熱物を載置する載置部と、前記加熱室にマイクロ波を供給するためのマイクロ波供給手段と、前記マイクロ波供給手段から供給されるマイクロ波を前記加熱室へ伝送するための導波管と、前記導波管内を通るマイクロ波を前記加熱室へ放射するためのマイクロ波放射部を備え、前記マイクロ波放射部と前記載置部との間に、前記マイクロ波放射部と同一平面上で、前記マイクロ波放射部の中心から前記マイクロ波放射部から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内の位置である第1の位置から前記載置部と同一平面上で前記載置部の端部あるいは端部より内側にある第2の位置に向けて配置された反射板を設けたマイクロ波加熱装置とすることにより、ターンテーブルや回転アンテナなどの回転機構を用いることなく、放射部から出るマイクロ波が加熱室に広く放射されるようになり、載置部上にある被加熱物を均一に加熱することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記マイクロ波放射部は、マイクロ波が円偏波状に放射されるような形状としたことにより、直進性の強い円偏波上のマイクロ波であっても加熱室に広くマイクロ波が分布し、被加熱物を均一に加熱することができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記マイクロ波放射部は複数設けられ、前記反射板は前記複数のマイクロ波放射部の周囲に設けるように構成されたことにより、導波管から出るマイクロ波をより均一に加熱室に入れることが可能となり、さらに反射板を複数の放射部を囲うように周囲に設けることでさらなる均一化を図ることができる。
第4の発明は、特に、第3の発明において、複数の前記マイクロ波放射部は、前記加熱室中心に対し略均等に配置することにより、加熱室へ均等にマイクロ波を導入することが可能となり、被加熱物を均一に加熱することができる。
以下、本発明に係るマイクロ波加熱装置の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態のマイクロ波加熱装置においては電子レンジについて説明するが、電子レンジは例示であり、本発明のマイクロ波加熱装置は電子レンジに限定されるものではなく、誘電加熱を利用した加熱装置、生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置などのマイクロ波加熱装置を含むものである。また、本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の断面図である。図1において、マイクロ波で加熱する被加熱物7を収納する加熱室1と、被加熱物7を載置する載置部2と、マイクロ波を発生させるマイクロ波供給手段3と、マイクロ波供給手段3から出るマイクロ波を伝搬させる導波管4と、導波管4から加熱室1へマイクロ波を放出させるマイクロ波放射部5と、反射板6とを備える。
図1は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の断面図である。図1において、マイクロ波で加熱する被加熱物7を収納する加熱室1と、被加熱物7を載置する載置部2と、マイクロ波を発生させるマイクロ波供給手段3と、マイクロ波供給手段3から出るマイクロ波を伝搬させる導波管4と、導波管4から加熱室1へマイクロ波を放出させるマイクロ波放射部5と、反射板6とを備える。
マイクロ波供給手段3は、通常マグネトロンを使用する場合が多いが、半導体式などであっても良い。マイクロ波供給手段3には、図示していない制御手段から電力を供給することによってマイクロ波を発生させる。発生させるマイクロ波の周波数は、通常2450MHzであるがそれに限定するものではない。
加熱室1は、アルミニウムやSteel Use Stainless(SUS)などの金属で構成され、加熱室1内の載置部2に被加熱物7を載置し、マイクロ波供給手段3によって発生したマイクロ波を加熱室1内に導入することによって被加熱物7は加熱される。
加熱室1内にマイクロ波を導入した際、被加熱物7だけがマイクロ波によって加熱されるのが理想である。そのため、加熱室1を例えば、ガラスなどで構成した場合にはガラスがマイクロ波によって発熱してしまうため、加熱ロスとなる。
したがって、加熱ロスを減らすためにはマイクロ波によって発熱せず、マイクロ波を反射するような金属であることが望ましい。但し、マイクロ波供給手段3から発生させたマイクロ波を加熱室1内に導入する必要があるため、通常はマイクロ波を導入するための部分を他の材質に変更しており、本実施の形態では載置部2がその役割を担っている。載置部2の材料としては、ガラス板が用いられる場合が多い。
図2に示すように、載置部2は通常、加熱室1の底面よりも小さい。これは、載置部2を大きくすることによって加熱室1を構成する金属以外の面積が増えることによって加熱ロスが増加するためである。また、金属よりも高価なガラス板等で載置部2を構成することになるため、載置部2の面積が増えるとマイクロ波加熱装置が高くなってしまうためで
ある。したがって、載置部2は使い勝手が悪くならない範囲で面積を小さくすることが望ましい。
ある。したがって、載置部2は使い勝手が悪くならない範囲で面積を小さくすることが望ましい。
本実施の形態では、導波管4は方形導波管とし、マイクロ波放射部5は導波管4の一部に設けた開口を用いて、導波管4内に存在するマイクロ波を加熱室1へ放射する構成としている。
最初にマイクロ波加熱装置の概略動作について説明を行う。使用者により加熱室1内の載置部2上に被加熱物7が置かれ、加熱開始指示が行われると、マイクロ波加熱装置は、マイクロ波供給手段3であるマグネトロンから導波管4内にマイクロ波を供給する。そして、導波管4に設けたマイクロ波放射部5により、加熱室1内にマイクロ波を放射することで、マイクロ波加熱装置は被加熱物7の加熱を行う。
次に、マイクロ波放射部5について説明する。マイクロ波放射部5は、導波管4内を通るマイクロ波を加熱室1へ放射するためのものであり、具体的には、導波管4を構成する壁面の一部を切り欠いたもので、図3のようなものである。
図3は、導波管4とマイクロ波放射部5の上面図である。図3において、マイクロ波供給手段3は導波管4のA側に取り付けられ、マイクロ波を導波管4内に放射する。導波管4のB側は終端部となっており、A側から伝搬してきたマイクロ波を反射させる。そうすることによって、導波管4内には定在波が形成され、定在波の位置に合わせてマイクロ波放射部5を設けることによって加熱室1内に放射されるマイクロ波の放射を制御することができる。実際には、導波管4内に凸部を設けることによって、定在波を形成させやすくする場合もある。
マイクロ波放射部5の形状としては、単純な四角形などであっても導波管4から加熱室1に放射される。本発明では、このマイクロ波放射部5の形状をマイクロ波が円偏波状に放射されるような形状としている。そうすることによって、従来の電子レンジで使用されていた被加熱物7を載置して回転させるターンテーブルや、アンテナから放射するマイクロ波を加熱室1に均一に放射するために必要であったアンテナ回転用のモータがなくても、マイクロ波自身が時間の経過とともに電界と磁界が回転するために、従来のマイクロ波加熱装置に用いられている直線偏波によるマイクロ波加熱と比較して、広範囲にわたってマイクロ波が分散放射されて、被加熱物7を均一に加熱できるという効果が得られる。したがって、回転機構が不要となるために信頼性が向上し、マイクロ波加熱装置を安価に提供できるという利点を有する。
円偏波は直線偏波の位相をπ/2(90°)ずらして合成したものであるため、必ずしも図3のようなX状のものである必要はない。また、マイクロ波放射部5は1つであっても複数であっても良い。但し、マイクロ波放射部5が1つしかないような場合には被加熱物7の一部に加熱が集中しやすいため、マイクロ波放射部5は複数設け、さらに加熱室の中央から対称に配置するとマイクロ波の分布が良くなり、被加熱物7を均一に加熱するという効果が得られやすい。
しかし、マイクロ波放射部5を加熱室中央から対称に複数配置したとしても、マイクロ波放射部5と載置部2の距離が短い場合、マイクロ波放射部5から放射されたマイクロ波が広がることなく被加熱物7に照射されることになるため、被加熱物7の一部が局所的に加熱されてしまう。そのため、マイクロ波放射部5から載置部2までの間に距離を設ける構成とすることが望ましい。その距離が広いほどマイクロ波放射部5から放射されたマイクロ波は広がって加熱室1に供給されることになるが、そうするとマイクロ波加熱装置自体が大型化するという課題がある。
したがって、本発明では、マイクロ波放射部5と載置部2との間を、マイクロ波放射部5と同一平面上で、マイクロ波放射部5の中心からマイクロ波放射部5から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内の位置である第1の位置から載置部2と同一平面上で載置部2の端部あるいは端部より内側にある第2の位置に向けて配置された反射板6を設けることによって、マイクロ波加熱装置の外寸が大きくならずに、マイクロ波放射部5から放射されるマイクロ波が加熱室1内に均一に分布し、被加熱物7をより均一に加熱することができるようにしたマイクロ波加熱装置としたものである。
第1の位置と第2の位置について、図4を用いて説明する。
既述のように、載置部2は効率などの理由から加熱室1以下の面積となる。つまり、図4の符号を用いて表すと、(AFの長さ)>(BEの長さ)となる。そして、マイクロ波放射部5から出たマイクロ波をより均一に加熱室1内に導入するため、マイクロ波放射部5はB〜Eの間に位置するように構成される。そうしない場合、つまり、A〜Bの間や、E〜Fの間にマイクロ波放射部5を配置すると、マイクロ波放射部5から放射されたマイクロ波はその上部に載置部2の代わりに加熱室1を構成する金属部となるため、マイクロ波は反射する。そして、反射したマイクロ波の一部が導波管4内に戻ったり、あるいは加熱室1の一部に集中して出るなどするため、加熱効率の低下や被加熱物7の一部が集中的に加熱されてしまうなどの不具合が生じるためである。
第1の位置は、垂直方向において、マイクロ波放射部5と同一平面上であるため、図4のαの位置となる。このαは、導波管4と同じ位置となる。そして、水平方向においては、マイクロ波放射部5の中心から、マイクロ波放射部5から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内の位置であるC、Dの位置となり、(CDの長さ)<(BEの長さ)となる。これは、記述のようにマイクロ波放射部5がB〜Eの間に位置し、さらにマイクロ波放射部5の中心から1/4波長以内の近い位置に第1の位置C、Dが来ているため、その間の距離は当然(CDの長さ)<(BEの長さ)となる。
そして、第2の位置は、垂直方向において載置部2と同一平面上であるβの位置となる。水平方向においては、載置部2の端部であるB、Eまたは、B〜Eの間に位置するように構成する。
反射板6は、第1の位置と第2の位置とを結ぶように配置されるため、図4(a)は第2の位置を載置部2の端部としたときの反射板6を示し、図4(b)は第2の位置を載置部2の端部より内側に配置したときの反射板6を示す。このように反射板6を構成することによって、マイクロ波放射部5から放射されたマイクロ波は、反射板6によって側面上方へと反射し、加熱室1内で反射を繰り返して被加熱物7の上方からマイクロ波が回り込み、マイクロ波が加熱室1内に広く放射されて均一な加熱がはかれるようになる。その様子を模式的に表したものが図5である。
第2の位置を載置部2と同一平面上で、載置部2の端部より外側にしたとき、つまりA〜Bの間、E〜Fの間に配置した場合の断面図を図6に示す。図6(a)は加熱室1の側面端部であるA、Fの位置に第2の位置を配置した場合、図6(b)はA〜Bの間、E〜Fの間に第2の位置を配置した図である。
図6(a)のように構成した場合、載置部2は加熱室1よりも短いため、垂直方向のβの位置におけるA〜B、E〜Fの部分は金属となるため、マイクロ波放射部5から放射されたマイクロ波は反射することになる。その際、一部にマイクロ波が集中する、反射したマイクロ波の一部が導波管4内に戻る、あるいは加熱室1の一部に集中して出るなどする
ため、加熱効率の低下や被加熱物7の一部が集中的に加熱されてしまうなどの不具合が生じる。
ため、加熱効率の低下や被加熱物7の一部が集中的に加熱されてしまうなどの不具合が生じる。
また、図6(b)のように、載置部2の端部から垂直方向に反射板6に向かって壁面を構成(β〜γ間)した場合、その垂直な壁面の端部(水辺方向B、垂直方向βの位置)がアンテナの役割となり、特定の方向にマイクロ波が強く放射される場合がある。その際、被加熱物7の一部にマイクロ波が集中し、被加熱物7が焦げるなどの不具合が生じる。
したがって、反射板6はマイクロ波放射部5と同一平面上の第1の位置から載置部2と同一平面上で載置部2の端部あるいは端部より内側にある第2の位置に向けて配置するのが良い。
図7に、マイクロ波放射部5と反射板6の上面図と断面図を示す。図7(A)が上面図で、上面図の(X1)−(X2)の断面を示すのが図7(B)である。図7では、マイクロ波放射部5が4つの放射部から構成される例を示しており、反射板6はその4つの放射部を囲うように配置される。反射板6の外周(図7(A)の、A〜B〜C〜D〜A)は、載置部2の四隅と一致する。本実施の形態では載置部2が四角形のために図7のような反射板6としているが、載置部2が円形などの場合には、反射板6も載置部2の端部に一致するように構成すればよい。
図8は、反射板6がない場合のマイクロ波放射部5の上面図と断面図を示す。図8(A)が上面図で、上面図の(X3)−(X4)の断面を示すのが図8(B)である。反射板6がない場合には、図8(B)のように載置部2と導波管4の間に直方体の空間ができる。その場合、マイクロ波放射部5から放射されたマイクロ波が、載置部2と導波管4の間にできた直方体の空間内で定在波を形成し、その定在波の節位置上部に位置する部分が加熱されず、被加熱物7が均一化されない。その様子を、図9に示す。
図9では、載置部2と導波管4の間に直方体の空間(図9のa〜b〜c〜d〜a)がある。この壁面、abとcdは、導波管4に対して垂直を成している。このような空間に、マイクロ波放射部5からマイクロ波が放射されるとそこに定在波8が形成される。図9では、腹が3つある定在波を図示しているが、これはマイクロ波の波長と載置部2と導波管4の間にできる直方体の空間のサイズによって決まるものであるため、3つとは限らない。
このとき、壁面abとcdは電位が0となるため、その位置は必ず節となる。そのため、その上部に位置する、被加熱物7のA、Dの位置にはマイクロ波が当たりにくく、他の部位に比べて加熱が弱くなり、結果として加熱ムラが大きくなる。また、本実施の形態の場合には節が4つあるため、他の二つの上部に位置する被加熱物7のB、Cの位置も加熱が弱くなる。
このような状態を回避するためには、図7に示すように、マイクロ波放射部5と載置部2との間を、マイクロ波放射部5の中心からマイクロ波放射部5から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内の位置から載置部2の端部に向けて配置された反射板6を設けることによって定在波が存在しにくくすることで回避することができる。
従来のマイクロ波加熱装置の場合、導波管4から出たマイクロ波に定在波が生じたとしても、ターンテーブル上に載置された被加熱物7は、ターンテーブルが回転することによって加熱される部位が時々刻々と変化するため、特定の部分が集中的に加熱される、あるいは、加熱されないという部分が生じにくい。そのため、反射板6を設けるか否かで被加熱物7の加熱ムラが大きく変わることがない。換言すれば、反射板6は必要ない。同様に
、導波管4からアンテナを経由して加熱室1にマイクロ波を供給する構成としたマイクロ波加熱装置の場合も、アンテナが回転して固定された定在波が生じにくいため反射板6を設ける必要がない。
、導波管4からアンテナを経由して加熱室1にマイクロ波を供給する構成としたマイクロ波加熱装置の場合も、アンテナが回転して固定された定在波が生じにくいため反射板6を設ける必要がない。
反射板6としては、導波管4と反射板6の成す角度が小さい方が定在波8は存在しにくくなり、被加熱物7の加熱ムラを低減する方向にある。しかし、実際にはマイクロ波放射部5からでたマイクロ波が被加熱物7を直接加熱するのに使われるエネルギ分と、加熱室1で反射して加熱室1内で生じた定在波で被加熱物7が加熱されるエネルギの両方があり、それによって被加熱物7の加熱ムラが決定するため、マイクロ波放射部5の形状や配置、加熱室1や被加熱物7の形状などによっても変わるため、目的に応じて反射板6の角度は決定すればよい。
また、本実施の形態では図7のようにマイクロ波放射部5の周囲4辺全てに反射板6を設ける構成としているが、被加熱物7の加熱ムラの状態によっては1辺だけ(例えば、図7(A)のA〜B〜b〜a〜A)であっても良い。
さらに、反射板6はマイクロ波放射部5の中心から、マイクロ波放射部5から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内の位置から配置する。本発明のマイクロ波加熱装置では、マイクロ波放射部5の形状はマイクロ波が円偏波状に放射されるように構成されている。具体的には、導波管4内を伝送されてきたマイクロ波が、導波管4の一部に構成されたマイクロ波放射部5によって伝送の一部が遮られて導波管4外に放射される。その際に、例えば図10のようにマイクロ波放射部5が幅を持ったスリット2本を中央で交差させ、導波管4のマイクロ波伝送方向に対して45度傾けた形状を持ち、さらに、導波管4のマイクロ波伝送方向の管軸中心からずれた位置に配置すると、2方向の直線偏波の位相がπ/2(90°)ずれた状態で合成され、円偏波となる。
その際、反射板6がマイクロ波放射部5の中心から、マイクロ波放射部5から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内の距離に存在することで、円偏波を形成しようとしている強い電界どおしが反射板6によって方向を変え、様々な方向に向けて放射されるため、特定の方向にマイクロ波が集中することを防ぐことができ、均一な加熱が得られやすいという特徴を有する。
したがって、円偏波の形成に大きく寄与するマイクロ波放射部5の中心から、マイクロ波放射部5から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内に反射板6を配置するようにして、円偏波を形成しようとしている強い電界の進行方向を変更させて乱反射を促し、マイクロ波を拡散させることができるため、その結果として被加熱物7をより均一に加熱することが可能となる。
以上のように、本発明のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波放射部と載置部との間を、マイクロ波放射部の中心から1/4波長以内の位置から載置部の端部に向けて配置された反射板を設けることによって、導波管から加熱室に放射されるマイクロ波をより均一化することができるため、被加熱物をより均一に加熱するという効果が得られ、食品の加熱加工や殺菌などを行うマイクロ波加熱装置などに有効に利用することができる。
1 加熱室
2 載置部
3 マイクロ波供給手段
4 導波管
5 マイクロ波放射部
6 反射板
7 被加熱物
8 定在波
2 載置部
3 マイクロ波供給手段
4 導波管
5 マイクロ波放射部
6 反射板
7 被加熱物
8 定在波
Claims (4)
- 被加熱物を入れる加熱室と、
前記加熱室内で前記被加熱物を載置する載置部と、
前記加熱室にマイクロ波を供給するためのマイクロ波供給手段と、
前記マイクロ波供給手段から供給されるマイクロ波を前記加熱室へ伝送するための導波管と、
前記導波管内を通るマイクロ波を前記加熱室へ放射するためのマイクロ波放射部を備え、前記マイクロ波放射部と前記載置部との間に、前記マイクロ波放射部と同一平面上で、前記マイクロ波放射部の中心から前記マイクロ波放射部から供給されるマイクロ波の波長の1/4以内の位置である第1の位置から前記載置部と同一平面上で前記載置部の端部あるいは端部より内側にある第2の位置に向けて配置された反射板を設けたマイクロ波加熱装置。 - 前記マイクロ波放射部は、マイクロ波が円偏波状に放射されるような形状とした請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
- 前記マイクロ波放射部は複数設けられ、前記反射板は前記複数のマイクロ波放射部の周囲に設けるように構成された請求項1または2に記載のマイクロ波加熱装置。
- 前記複数のマイクロ波放射部は、前記加熱室中心に対し略均等に配置されている請求項3に記載のマイクロ波加熱装置。
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