JP2014049007A - 語彙学習関数推定装置、語彙学習関数推定方法及びそのプログラム - Google Patents

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【課題】語彙爆発とは異なる語彙学習曲線の特徴を検出し、この特徴を利用して語彙学習関数を語彙学習曲線に近似させる技術を提供する。
【解決手段】語彙学習関数推定装置は、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、日齢までに幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出し、語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出し、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える。
【選択図】図5

Description

本発明は、語彙学習曲線を近似する関数(以下、「語彙学習関数」という)を推定する技術に関する。
ヒトの言語発達は「人間とは何か」を考える上で重要な科学的知見や示唆を提供し得るものでありながら、現状としては言語発達について未解決の問題が多い。このため、言語発達に関する測定技術の進展や商業上でのサービス展開はほとんど見られないのが現状である。特に、音声認知や語彙獲得、文法操作などの基本能力の中でも、語彙獲得に関する科学技術はほとんど進展が見られていない。しかし、健やかな発達を緩やかに後押しする教育や、言語発達遅滞を含む発達障害に関する早期発見や支援等の必要性を考えると、語彙獲得に係る技術開発は重要な意味を持つと考えられる。
幼児の言語発達の中でも特に特徴的で且つ個人性を捉える上で重要なものの一つは、語彙学習関数である。なお、語彙学習関数とは、語彙学習曲線(幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、日齢までに幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示すグラフ)を近似する関数である。この語彙学習関数を、語彙爆発(またはボキャブラリー・スパート)と言われる事象を抜きに、求めることはできない。語彙爆発とは、発達心理学者が二十世紀中頃から注目してきた現象であり、1歳後半に起こるとされる語彙学習速度の急激な変化のことを指す。基本的には、幼児は1歳の誕生日前後に初語を発するようになるが、その後しばらくは非常に緩やかな速度で単語を覚える。しかし1歳半以降になると、急激に単語を発するようになるため、その劇的な変化を「爆発」や「スパート」と呼んでいる。語彙爆発は多くの親が意識的に気づくほど劇的な変化を伴うため、心理学の分野だけでなく育児産業の関係者にもよく知られている。このため、子どもの語彙発達(学習)の様子を数値化するためには、語彙爆発をモデル化しなければならないと考えられている。
従来、発達心理学の分野では、語彙チェックリスト(親の回答に基づくアンケート調査)を用いた大規模集団データで語彙爆発の現象を複数の言語で確認してきた。月齢毎に集団データの平均値をプロットすると、緩やかな上昇を示す二次曲線になり、その変曲点が18−20ヶ月ころに現れることを見出してきた。こうした集団データから、語彙爆発が多くの子どもで見られる一般的な現象であるとみなしている。
語彙学習関数を求めるために、語彙爆発が個人毎にいつ起こるのか、また、語彙爆発時期(語彙爆発が開始される時期)をどのように検出及び推定するのかという観点から、語彙爆発時期を見積もる以下の六つの手法が提案されている。
(1)特に計算などせずグラフを描き、目視で語彙爆発時期を判定する目視法。
(2)緩やかな上昇を示す二次曲線で語彙学習曲線を近似し、18−20ヶ月ころに現れる変曲点を語彙爆発時期とする手法。
(3)50語覚えた時点を語彙爆発時期と定義する50語達成基準法。
(4)ある特定の期間(例えば三週間)で達成基準(例えば三十語以上)を満たした時期を語彙爆発時期にするという特定期間達成基準法。
(5)時間軸に沿った語彙獲得データの速度成分をロジスティック回帰式に近似させ、その変曲点を語彙爆発時期とするロジスティック回帰近似法(非特許文献1参照)。
(6)語彙爆発の前後で、語彙獲得直線を、二つの直線で近似し、その誤差の和が最小になるようにし、その交点を語彙爆発時期とする手法(非特許文献2参照)。
今までは、これらの手法により語彙爆発時期を決定し、その前後の時期の語彙学習速度を求めたり、語彙爆発時期を決定するときに利用した近似曲線を利用したりすることにより、語彙学習曲線の特徴を把握していた。
Ganger, J., Brent, M. R., "Reexamining the vocabulary spurt", Developmental Psychology, 2004, Vol.40, No.4, p.621-632. 南泰浩、小林哲生、杉山弘晃、"折れ線近似による語彙爆発開始時期の推定"、電子情報通信学会論文集、2012年3月
(1)〜(4)の手法は、多数の幼児のデータを平均して、一つの語彙爆発の時期を求め、それを語彙学習曲線の特徴としている。このような処理では、データが平均化されるため、幼児毎に固有の語彙学習曲線の特徴は得られない。
(5)及び(6)の手法は、個人毎のデータを用いることで、幼児毎に固有の特徴をより細かく求めることができる。しかし、これらの手法も語彙爆発の時期を一点、あるいは語彙爆発が存在しないと仮定しているため、より細かな語彙学習曲線の特徴を求めることはできない。(5)及び(6)の手法で、細かい特徴が扱えない理由を、幼児の一人一人の実際の語彙学習曲線を用いて説明する。図1は幼児1の、図2は幼児2の語彙学習曲線を表す。これらの図では横軸に幼児の日齢を示し、縦軸に学習された単語の累積数を示している。図1の破線で囲まれた部分のようなS字カーブ、図2の破線で囲まれた部分のような大きな不連続性が現れるような複雑な語彙学習曲線を、(5)及び(6)の手法により一つの語彙爆発でモデル化することは困難であり、精度の高い語彙学習関数を求めることは困難である。そのため、幼児毎に固有の語彙学習速度を安定的に求めることも難しい。
そこで、本発明では、語彙学習曲線の特徴を今までの手法とは別の視点から求める。本発明は、語彙爆発を仮定することなく、語彙爆発とは異なる語彙学習曲線の特徴を検出し、この特徴を利用して語彙学習関数を語彙学習曲線に近似させる語彙学習関数推定装置、語彙学習関数推定方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。ここで、語彙学習関数を曲線関数とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第一の態様によれば、語彙学習関数推定装置は、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、日齢までに幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出する第一プラトー検出部と、語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出する第二プラトー検出部と、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える置換部と、日齢の間隔が置き換えられた語彙学習曲線を、累積数の数より少ないパラメータ数で表される曲線関数で近似し、その曲線関数を出力する関数近似部と、を含む。
上記の課題を解決するために、本発明の第二の態様によれば、語彙学習関数推定装置は、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、日齢までに幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出する第一プラトー検出部と、語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出する第二プラトー検出部と、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える置換部と、日齢の間隔が置き換えられた語彙学習曲線を、累積数の数より少ないパラメータ数で表される曲線関数で近似する関数近似部と、曲線関数を微分し、微分係数または微分係数の逆数を出力する微分部と、を含む。
上記の課題を解決するために、本発明の第三の態様によれば、第一プラトー検出部、第二プラトー検出部、置換部及び関数近似部を含む語彙学習関数推定装置における語彙学習関数推定方法は、第一プラトー検出部によって、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、日齢までに幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出する第一プラトー検出ステップと、第二プラトー検出部によって、語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出する第二プラトー検出ステップと、置換部によって、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える置換ステップと、関数近似部によって、日齢の間隔が置き換えられた語彙学習曲線を、累積数の数より少ないパラメータ数で表される曲線関数で近似し、その曲線関数を出力する関数近似ステップと、を含む。
上記の課題を解決するために、本発明の第四の態様によれば、第一プラトー検出部、第二プラトー検出部、置換部及び関数近似部を含む語彙学習関数推定装置における語彙学習関数推定方法は、第一プラトー検出部によって、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、日齢までに幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出する第一プラトー検出ステップと、第二プラトー検出部によって、語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出する第二プラトー検出ステップと、置換部によって、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える置換ステップと、関数近似部によって、日齢の間隔が置き換えられた語彙学習曲線を、累積数の数より少ないパラメータ数で表される曲線関数で近似する関数近似ステップと、微分部によって、曲線関数を微分し、微分係数または微分係数の逆数を出力する微分ステップと、を含む。
本発明によれば、語彙爆発とは異なる語彙学習曲線の特徴であるプラトーを検出し、語彙学習曲線からプラトーを取り除いて、幼児の真の語彙学習曲線に置換し、真の語彙学習曲線に語彙学習関数を近似させることができるという効果を奏する。さらに、真の語彙学習曲線をモデル化できるため、幼児毎に固有の語彙学習速度を安定的に精度良く求めることができる。
幼児1の語彙学習曲線を表す図。 幼児2の語彙学習曲線を表す図。 幼児1の語彙学習曲線のプラトーの位置を示す図。 幼児2の語彙学習曲線のプラトーの位置を示す図。 第一実施形態に係る特徴検出装置の機能ブロック図。 第一実施形態に係る特徴検出装置の処理フローを示す図。 第一プラトー検出部110の処理フローを示す図。 幼児1の、横軸を単語の累積数iとした語彙学習曲線を示す図。 幼児1の語彙学習曲線を平滑化する際に得られた語彙学習曲線の1単語を学習するのに必要な日数の系列を示す図。 幼児1の1単語を学習するのに必要な日数が極大となる部分を示す図。 幼児1の語彙学習曲線と1単語を学習するのに必要な日数が極大となる部分とを同時に示す図。 幼児2の、横軸を単語の累積数iとした語彙学習曲線を示す図。 幼児2の語彙学習曲線を平滑化する際に得られた語彙学習曲線の1単語を学習するのに必要な日数の系列を示す図。 幼児2の1単語を学習するのに必要な日数が極大となる部分を示す図。 幼児2の語彙学習曲線と1単語を学習するのに必要な日数が極大となる部分とを同時に示す図。 併合部の処理フローを示す図。 図3と図11とを併合処理したプラトーの位置を示す図。 図4と図15とを併合処理したプラトーの位置を示す図。 置換部の処理フローを示す図。 幼児1の語彙学習曲線(上)とプラトーを除去した語彙学習曲線(下)とを示す図。 幼児2の語彙学習曲線(上)とプラトーを除去した語彙学習曲線(下)とを示す図。 幼児1のプラトーを除去した語彙学習曲線とそれを近似する曲線関数を示す図。 幼児2のプラトーを除去した語彙学習曲線とそれを近似する曲線関数を示す図。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行うステップには同一の符号を記し、重複説明を省略する。
<発明の概要>
まず、発明者らは、語彙爆発がある一時期に語彙が急激に増加するような簡単な現象ではなく、いくつかの急峻な語彙の増加が重なりあっている現象であることを発見した(参考文献1参照)。
[参考文献1]Y. Minami, H. Sugiyama, T. Kobayashi, "Multiple Vocabulary Spurts in Japanese Children", 12th International Congress for the Study of Child Language (IASCL2011), 2011
さらに、語彙学習曲線をよく観察すると、これらの増加は、単純な曲線(直線や二次曲線)に、新しい単語を数日間以上発話しない区間を複数個挿入するモデルで表現できることを発見した。この新しい単語を数日間以上発話しない区間(部分)をプラトー(plateau:「平原」を意味する学習心理学の専門用語)と名付けた。実際、図1及び図2を見ると、プラトー(その幾つかを実線で囲まれた部分に示す)が存在することが分かる。このモデル化では、元々の語彙学習曲線が極めて単純な曲線(直線や二次曲線)と仮定しているため、これらのプラトーは、語彙爆発という現象を理解するのに重要な鍵となる特徴量であり、語彙学習曲線の特徴と言える。
プラトーの位置の簡単な見つけ方としては、語彙学習曲線中に、閾値p(例えばp=6)より長く、1単語も学習していない期間を見つける方法が考えられる。ここでは、yをi番目の単語を学習した日齢とすると、y−yi−1>pのとき、yi−1からy−1までをプラトーとし、yi−1をプラトーの開始位置とし、y−1をプラトーの終了位置とする。言い換えると、累積数i−1から累積数iになる前日までの期間をプラトーという。このような方法により、図3及び図4に示すようにプラトーを簡単に検出することができる。なお、図3及び図4は、それぞれ図1及び図2のy軸とx軸とを置き換えた表示になっている。すなわちy軸が日齢、x軸が単語の累積数である。図中、□で示した位置がプラトーの終了位置に対応する。より詳しく言うと、□で示した位置の前日がプラトーの終了位置である。
図4の実線で囲まれた部分のように、語彙学習曲線が階段状になっていることが人間の目には確認できるのにもかかわらず、その間隔が閾値pより小さいため、プラトーとして検出されない区間(部分)が存在する。このような区間(部分)をプラトー候補と呼ぶと、かなりの数のプラトー候補が語彙学習曲線中に観測されることが分かる。
このプラトー候補は、前述のプラトーの定義からは外れている。しかし、語彙学習曲線が急峻に変わり、語彙学習速度が急激に小さくなるという意味では、語彙学習曲線の特徴を担う点であると考えられる。そこで、プラトーの定義を語彙学習速度が極小になる区間(部分)というふうに定義を拡張する。
つまり、プラトーは、(i)所定の期間(閾値)より長く、新しい単語を発話しない区間(部分)、または、(ii)語彙学習速度が極小になる区間(部分)と定義される。なお、語彙学習速度が極小になるとき、(a)縦軸を日齢、横軸を単語の累積数とすると、語彙学習曲線の傾斜が急になり、(b)縦軸を単語の累積数、横軸を日齢とすると、語彙学習曲線の傾斜がなだらかになる。
実施形態では、このプラトーを検出する装置について説明する。
<第一実施形態>
図5は第一実施形態に係る語彙学習関数推定装置100の機能ブロック図を、図6はその処理フローを示す。
語彙学習関数推定装置100は、第一プラトー検出部110、第二プラトー検出部120、併合部130、置換部140、関数近似部150及び微分部160を含む。第二プラトー検出部120は、平滑化部121と検出部123とを含む。
語彙学習関数推定装置100は、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢yと、その日齢yまでに幼児が発話するようになった単語の累積数iとからなるデータセット{(1,y),(2,y),…,(i,y),…,(I,y)}を受け取り、プラトーの位置の集合{r,r,…,r,…,r}、真の語彙学習曲線を近似する曲線関数及びその微分係数または微分係数の逆数(語彙学習速度)を出力する。ただし、Kは語彙習得曲線に含まれるプラトーの個数である。なお、データセット{(1,y),(2,y),…,(i,y),…,(I,y)}は、図1〜図4等に示されるような幼児毎の語彙学習曲線を表すので、単に語彙学習曲線とも言う。また、iは幼児が新たに学習した単語の順番、yはi番目の単語を発話した日齢と言ってもよい。以下に本実施形態の概要を説明する。
第一プラトー検出部110において、(i)所定の期間(閾値)より長く、新しい単語を発話しない区間(部分)を検出する。
第二プラトー検出部120において、(ii)語彙学習速度(語彙学習曲線の微分係数)が極小になる区間(部分)を検出する。ここで、観測値にはランダム性が含まれるので、語彙学習曲線から直接、微分係数の極小値を求めると多くの極小点を生成してしまう。そこで、本実施形態ではトレンドモデルというカルマンフィルタを使って、語彙学習曲線を平滑化して、微分係数を計算する。このとき、図1及び図2の縦軸及び横軸を入れ替える。つまり、図3及び図4のように横軸を累積数、縦軸を日齢とする。この処理を、カルマンフィルタの時間間隔が均等に並んでいる必要があるという要請に応えるために導入する。ただし、プラトーを見つけるためには、累積数iのデータ系列を微分して極小値を検出する代わりに日齢yのデータ系列を微分して極大値を検出する必要がある。
併合部130において、第一プラトー検出部110と第二プラトー検出部120とで検出されたプラトーを併合し、出力する。
なお、発明者らのこれまでの語彙学習曲線の観察から、日齢が高くなるにつれてプラトーの間隔が短くなる傾向があることが分かっている。上述の構成により、第一プラトー検出部110において語彙学習初期のプラトーを検出し、第二プラトー検出部120において語彙学習中期以降のプラトーを検出することができる。
置換部140において、併合されたプラトーを用いて、大きいプラトーを基準値pに置き換える。
関数近似部150において、置換部140において置き換えられた日齢y’と累積単語数iとの組からなるデータセット{(1,y’),(2,y’),…,(i,y’),…,(I,y’)}からなる語彙学習曲線を、曲線関数y’=f(i)で近似する。
微分部160において、曲線関数y’=f(i)をiで微分し、微分係数f’(i)を求める。
なお、プラトーから、各個人の語彙獲得の特徴を抽出することができる。曲線関数y’=f(i)から真の語彙学習曲線の特徴を抽出することができ、例えば将来の単語の累積数と日齢の関係を予想することができる。曲線関数y’=f(i)の微分係数f’(i)の逆数は、累積数iにおける語彙学習速度の推定値を表す。以下に詳細を説明する。
(データセットの収集について)
幼児の語彙学習曲線におけるプラトーを推定するために、どういったデータを参照するかがまずは問題となる。幼児の発話を全てデジタルビデオレコーダーなどの電子メディアで記録可能であれば、それを分析するのが最も高精度な方法といえるが、データ取得にかかるコストは膨大で、かつ幼児の曖昧な発話データを自動で認識し単語レベルで分析する工学的技術もまだ存在しないので、実現は大変難しい。一方、所定期間毎に(例えば、三ヶ月に1度)アンケートに回答してもらい、幼児が新たに発話した単語数の変化を把握する方法もある。この場合、所定期間が長ければ、語彙爆発の正確な時期を把握するのは困難である。また、所定期間が短ければ、アンケートの回答者(幼児の親)への負担が増大する。従って、現実的には、データを記録する親への負担を軽減しつつ、かつ細かい時間ポイントでデータ取得が可能な方法が望ましい。
そこで、本実施形態では、ウェブ日誌法を利用したデータ取得を適用する。この方法は、幼児が単語を新たに学習(発話)した場合に、ウェブ上の特定のサイトに携帯電話やパーソナルコンピュータからネットワークを介してアクセスし、その日の日誌と共に、幼児が覚えた単語を記録するものである(参考文献2及び3参照)。
[参考文献2]小林哲生、永田昌明、「ウェブを用いた幼児言語発達研究:大規模縦断データ収集の試み」、言語処理学会第15回年次大会論文集、2009年、p.534−537
[参考文献3]小林哲生、永田昌明、「ウェブ上で収集した幼児語彙発達データの信頼性検証」、言語処理学会第16回年次大会論文集、2010年、p.403−406
この方法の有効性は科学的に検証されている点で非常によい。
また、この方法によるデータ取得の利点は、親にとっても比較的容易に記録できる方式でありながら、記録年月日(幼児が新たな単語を覚えた年月日)と幼児の生年月日との差から、幼児が新たな単語を覚えた日齢を算出可能な点である。
算出された各単語の獲得日齢を昇順に並べ、小さい方から1,2,…と整数系列を割り当て、単語の累積数iを算出する。ここで、iは単語の累積数を表すとともに、対応する単語を覚えた順番を表す。これにより、日齢と単語の累積数との組からなるデータセットが生成される。
本実施形態では、直接、単語の累積数iと日齢yからなるデータセット{(1,y),(2,y),…,(i,y),…,(I,y)}が入力として与えられていると仮定する。
<第一プラトー検出部110>
第一プラトー検出部110は、データセット{(1,y),(2,y),…,(i,y),…,(I,y)}を受け取り、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢yに基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔(y−yi−1)が閾値pより大きくなる部分を検出し(s110)、その部分の終了位置に対応する単語の累積数iの集合をプラトーの位置の集合{r1,1,r1,2,…,r1,v,…,r1,V}として併合部130に出力する。なお、日齢の間隔(y−yi−1)が閾値pより大きくなる場合、プラトーの開始位置の累積数はi−1となり、終了位置に対応する累積数はiとなる。なお、累積数iは、プラトーの終了位置の累積数ではなく、プラトーの終了位置に対応する累積数であり、プラトーの終了位置は単語の累積数がiになる前日である(日齢で表すとy−1)。
図7は、第一プラトー検出部110の処理フローの一例を示す。
まず、初期化を行う(s111)。次に、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔(y−yi−1)が閾値pより大きいか否かを判定する(s112)。大きい場合には、プラトーの位置r1,vに単語の累積数iを代入し(s113)、vをインクリメントする(s114)。
全ての累積数iについて、s112〜s114の処理を行い(s115、s116)、その後、第一プラトー検出部110で検出されたプラトーの個数v−1をVに代入する(s117)。
例えば、第一プラトー検出部110によって検出されたプラトーの位置に対応する単語の累積数iは、図3及び図4の□で示した位置に対応する単語の累積数である。
<第二プラトー検出部120>
第二プラトー検出部120は、平滑化部121と検出部123とを含む。第二プラトー検出部120は、語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した語彙学習曲線の1単語を学習するのに必要な日数が極大となる部分を検出し、その部分に対応する単語の累積数iをプラトーの位置r2,vとして併合部130に出力する。以下、平滑化部121と検出部123の処理内容を説明する。
(平滑化部121)
平滑化部121は、データセット{(1,y),(2,y),…,(i,y),…,(I,y)}を受け取り、ノイズの影響を取り除くフィルタを用いて、データセット{(1,y),(2,y),…,(i,y),…,(I,y)}によって表される語彙学習曲線を滑らかに(平滑化)する(s121)。
例えば、フィルタとして下記の状態方程式で示されるカルマンスムーザを用いる。
Figure 2014049007
ここで、v1,i、v2,i及びwは、何れもガウス分布から生成される変数であり、平均が何れも0、分散がそれぞれ0.05、0.05及び0.1である。この状態方程式を用いてカルマンスムーザを実施することにより、日齢のデータ系列(語彙学習曲線){y,y,…,y,…,y}を平滑化して、滑かな日齢のデータ系列(語彙学習曲線){x,x,…,x,…,x}を得る。
このカルマンスムーザを用いた場合、1単語を学習するのに必要な日数が、δxに代入される。この値δxは語彙学習曲線の微分係数に相当する。よって、得られた語彙学習曲線{x,x,…,x,…,x}を微分することなしに、直接、1単語を学習するのに必要な日数の系列{δx,δx,…,δx,…,δx}を求めることができる。
ただし、この値δxを用いずに、滑らかな語彙学習曲線{x,x,…,x,…,x}を微分し、微分係数を求める構成としてもよい。前述の通り、微分係数は、1単語を学習するのに必要な日数δxに相当する。また、滑らかな語彙学習曲線{x,x,…,x,…,x}から日数の差(δx=x−xi−1)を、つまり、1単語発話するのに必要な日数を求めてもよい。
平滑化部121は、何れかの方法により求めた1単語を学習するのに必要な日数δxと単語の累積数iとからなるデータセット{(1,δx),(2,δx),…,(i,δx),…,(I,δx)}を検出部123に出力する。
(検出部123)
検出部123は、データセット{(1,δx),(2,δx),…,(i,δx),…,(I,δx)}を受け取り、1単語を学習するのに必要な日数の系列{δx,δx,…,δx,…,δx}から、1単語を学習するのに必要な日数δxが極大となる部分を検出し(s123)、その部分に対応する単語の累積数iの集合をプラトーの位置の集合{r2,1,r2,2,…,r2,w,…,r2,W}として併合部130に出力する。なお、1単語を学習するのに必要な日数δxが極大となる部分は、語彙学習曲線の傾斜が急になる部分(プラトー)であり、語彙学習速度が極小となる部分である。
図8及び図12はそれぞれ幼児1及び幼児2の、横軸を単語の累積数iとした語彙学習曲線を、図9及び図13はそれぞれ幼児1及び幼児2の語彙学習曲線を平滑化する際に得られた語彙学習曲線の1単語を学習するのに必要な日数の系列を、図10及び図14はそれぞれ幼児1及び幼児2の1単語を学習するのに必要な日数が極大となる部分を、図11及び図15はそれぞれ幼児1及び幼児2の語彙学習曲線と1単語を学習するのに必要な日数が極大となる部分とを同時に示す。
図15を見ると、図4の階段状の部分を、抽出できていることが分かる。
なお、iが離散値なので、δxの極大値は容易な演算で求めることができる。例えば、隣接するδxi−1及びδxi+1の何れに対してもδxが大きい場合に、そのδxを極大値とする方法や、1単語を学習するのに必要な日数の系列{δx,δx,…,δx,…,δx}に対する近似式を求め、その近似式に対しニュートン法等を用いて極大値を求める方法等が考えられる。
<併合部130>
併合部130は、プラトーの位置の集合{r1,1,r1,2,…,r1,v,…,r1,V}及び{r2,1,r2,2,…,r2,w,…,r2,W}とを受け取り、重複部分を削除して併合し(s130)、併合したプラトーの位置の集合{r,r,…,r,…,r}を置換部140に出力する。また、語彙学習関数推定装置100の出力値として、出力する。
図16は、併合部130の処理フローの一例を示す。
まず、初期化を行う(s130a)。次に、r1,vとr2,wとの大きさを比較する(s130b、s130h)。
1,vのほうが小さい場合には(s130b)、r1,vをrに代入し(s130c)、k及びvをインクリメントし(s130d)、vが第一プラトー検出部110で検出されたプラトーの個数をVより大きいか否かを判定する(s130e)。V以下の場合には、s130bの処理に戻る。Vより大きい場合には、以下に示す処理(1)を行い(s130f)、k−1をKに代入し(s130g)、併合処理を終了する。処理(1)では、r2,wの残りの全ての要素をプラトーの位置の集合に追加する。具体的には、r2,wをrに代入し(s130f−1)、k及びwをインクリメントし(s130f−2)、wが第二プラトー検出部120で検出されたプラトーの個数をWより大きくなるまで、s130f−1及びs130f−2を繰り返す(s130f−3)。
2,wのほうが小さい場合には(s130b、s130h)、r2,wをrに代入し(s130i)、k及びwをインクリメントし(s130j)、wが第二プラトー検出部120で検出されたプラトーの個数をWより大きいか否かを判定する(s130k)。W以下の場合には、s130bの処理に戻る。Wより大きい場合には、以下に示す処理(2)を行い(s130l)、k−1をKに代入し(s130g)、併合処理を終了する。処理(2)では、r1,vの残りの全ての要素をプラトーの位置の集合に追加する。具体的には、r1,vをrに代入し(s130l−1)、k及びvをインクリメントし(s130l−2)、vが第一プラトー検出部110で検出されたプラトーの個数をVより大きくなるまで、s130l−1及びs130l−2を繰り返す(s130l−3)。
1,wとr2,wとが同じ場合には(s130b、s130h)、何れか一方の値(例えばr2,w)をrに代入し(s130m)、k,v及びwをインクリメントし(s130n)、vが第一プラトー検出部110で検出されたプラトーの個数をVより大きいか否か、及びwが第二プラトー検出部120で検出されたプラトーの個数をWより大きいか否かを判定する(s130o、s130p、s130r)。なお、代入処理を行っていないプラトーのインデックス(この例ではv)をインクリメントすることで重複する値を削除することと同等の処理を行っている。v>Vかつw>Wの場合には、k−1をKに代入し(s130g)、併合処理を終了する。v≦Vかつw≦Wの場合には、s130bの処理に戻る。v>Vかつw≦Wの場合には、処理(1)を行い(s130q)、k−1をKに代入し(s130g)、併合処理を終了する。v≦Vかつw>Wの場合には、処理(2)を行い(s130s)、k−1をKに代入し(s130g)、併合処理を終了する。
図3と図11とを、及び、図4と図15とをそれぞれ併合処理したプラトーの位置を図17及び図18に示す。
第二プラトー検出部120の処理だけではプラトーが頻繁に挿入される単語学習初期では、プラトーを検出することができない。そこで、併合部130で第一プラトー検出部110の処理で求めたプラトーと併合したものを最終的なプラトーとしている。
語彙学習曲線に含まれる幼児固有のプラトーから、各個人の語彙獲得の特徴を抽出することができる。これは、最終的には、発達に合わせたオーダーメード型教育をより効果的なものにすることが可能になり、商業上、価値のある指標となりうる。また、プラトーが起きる時期は、語彙学習過程で重要な現象が起こっている可能性が高く、この時期を求めることは、語彙学習過程を科学的に理解するために重要となる。
<置換部140>
置換部140は、併合したプラトーの位置の集合{r,r,…,r,…,r}と、データセット{(1,y),(2,y),…,(i,y),…,(I,y)}とを受け取り、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分(第一プラトー検出部110で検出されたプラトー)における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換える(s140)。さらに、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分(第二プラトー検出部120で検出されたプラトー)の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える(s140)。置き換えた新たなデータセット{(1,y’),(2,y’),…,(i,y’),…,(I,y’)}を関数近似部150に出力する。ただし、基準値pは閾値pよりも小さい値とする。例えば、p=2、p=6とする。この置き換えた新たなデータセット{(1,y’),(2,y’),…,(i,y’),…,(I,y’)}が真の語彙学習曲線に相当する。
図19は、置換部140の処理フローの一例を示す。
まず、初期化を行う(s140a)。なお、sは置き換えを行う際の補正量を表す。
次に、yから補正量sを引いて、新たな日齢y’に置き換え、iをインクリメントする(s140b)。
iがデータセットの長さI以下であるか否かを判定する(s140c)
iが長さIより大きい場合、全てのデータセットについて置き換え処理を終えたことを意味するため、置き換え処理を終了する。
iが長さI以下である場合、iがプラトーの位置r以上か否かを判定する(s140d)。iがプラトーの位置r未満の場合、s140b及びs140cの処理を繰り返す。つまり、プラトーの位置rまで置き換え処理を繰り返す。
iがプラトーの位置r以上の場合(プラトーの位置rまで置換処理が終わった場合)、プラトーの一つ前の単語を発話した日齢yrk−1と基準値pとの和がプラトーの位置における日齢yrkより大きいか否かを判定する(s140e)。ただし、下付添え字rkはrを表す。言い換えると、日齢yrk−1と日齢yrkとの差が基準値pより大きいか否かを判定する。
基準値pより大きい場合、日齢yrk−1と日齢yrkとの差を基準値pに置き換え、新たな日齢y’rkに置き換え、補正量sを更新する(s140f)。
基準値p以下の場合、日齢yから補正量sを引いて、新たな日齢y’に置き換える(s140g)。
次に、r(k+1)とr+1とが一致するか否かを判定する(s140h)。つまり、次の単語の累積数r+1が、次のプラトーの位置とが一致するか否かを判定する。さらに、言い換えると、プラトーが連続しているか否かを判定する。
一致しない場合(プラトーが連続していない場合)には、以下の処理を行う。
プラトーの位置における日齢yrkと基準値pとの和がプラトーの一つ後の単語を発話した日齢yrk+1より大きいか否かを判定する(s140i)。言い換えると、日齢yrkと日齢yrk+1との差が基準値pより大きいか否かを判定する。
基準値pより大きい場合、日齢yrkと日齢yrk+1との差を基準値pに置き換え、新たな日齢y’rkに置き換え、補正量sを更新し、iをインクリメントする(s140j)。iをインクリメントすることで、s140bにおいて置き換え処理を行った日齢に対して重複して置き換え処理を行わないようにしている。
全てのkについてs140b〜s140jの処理を繰り返す(s140k)。
第一プラトー検出部110で検出されたプラトーは、その間隔が基準値pよりも大きい閾値pより大きいので、s140e及びs140fにおいて置き換え処理が行われる。
第二プラトー検出部120で検出されたプラトーは、平滑化した語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分(1単語を学習するのに必要な日数δxが極大となる部分)なので、そのプラトーの位置の前後において大きな変化があると考えられる。s140eにおいてプラトーの位置の前に大きな変化があるか否かを判定し、s140においてプラトー位置の後ろに大きな変化があるか否かを判定している。そして、大きな変化がある部分をs140fまたはs140において基準値pで置き換えている。なお、置き換え処理を行うと補正量sが変わるため、補正量sを更新している。
上述の処理により、語彙学習曲線からプラトーを除去する。
図20及び図21は、それぞれ幼児1及び幼児2の語彙学習曲線(上)とプラトーを除去した語彙学習曲線(下)とを示す。
<関数近似部150>
関数近似部150は、新たなデータセット{(1,y’),(2,y’),…,(i,y’),…,(I,y’)}を受け取り、累積数iの数より少ないパラメータ数で表される曲線関数y’=f(i)で近似し(s150)、その曲線関数y’=f(i)を微分部160に出力する。また、語彙学習関数推定装置100の出力値として出力する。
具体的には、累積数iと日齢y’の二つの変数の関係を近似する曲線関数y’=f(i)を仮定する。例えば、2次関数y’=ai+bi+cのような関数を仮定する。このa,b,cは次式に示すような最小二乗法によって求めることができる。
Figure 2014049007
なお、関数fには様々な関数が考えられるが、幼児の年齢によって変わらない特徴を抽出する場合は、以上のようなパラメータの数が少ない関数を用いることが必要である。この関数としては、2次関数、3次関数等の多項式関数、対数関数、指数関数、ロジスティック関数などの、データセット数−1以下のパラメータの数を持つ関数が考えられる。また、ここでは、ノルムとして、データと直線との二乗距離を用いているが、他のノルムでもよい。
図22及び図23は、それぞれ幼児1及び幼児2のプラトーを除去した語彙学習曲線とそれを近似する曲線関数を示す。
<微分部160>
微分部160は、曲線関数y’=f(i)を受け取り、iで微分し、微分係数f’(i)を求め、微分係数f’(i)または微分係数f’(i)の逆数(本実施形態では、微分係数f’(i))を語彙学習関数推定装置の出力値として出力する。なお、微分係数f’(i)の逆数は、累積数iにおける語彙学習速度の推定値を表す。
<効果>
このような構成により、語彙爆発とは異なる語彙学習曲線の特徴であるプラトーを検出し、語彙学習曲線からプラトーを取り除いて、幼児の真の語彙学習曲線に置換し、語彙学習関数を近似させることができる。さらに、このような構成により、真の語彙学習曲線をモデル化できるため幼児毎に固有の語彙学習速度を安定的に精度良く求めることができる。
<変形例>
本実施形態では、データを各部間で直接入出力しているが、図示しない記憶部を介してデータを入出力してもよい。
本実施形態では、プラトーの位置の集合、曲線関数、及び、微分係数あるいは微分係数の逆数(本実施形態では微分係数)の全てを出力しているが、何れか1つまたは2つを出力する構成としてもよい。なお、微分係数及び微分係数の逆数を出力しない場合には、微分部160を設けなくともよい。
カルマンスムーザの形として、上述の状態方程式を用いたが、状態方程式としては、日齢のデータ系列のトレンドを計算するものであればどんなものでもよい。ただし、状態方程式によっては、1単語発話するのにかかる日数に対する変数が状態方程式に含まれない場合がある。この場合には、フィルタにより滑らかになった語彙学習曲線の微分係数を求めることにより1単語発話するのにかかる日数を計算することができる。また、ここでは状態方程式によるカマンスムーザの結果をフィルタの結果としたが、同じ状態方程式を利用するカルマンフィルタの結果を利用してもよい。
また、フィルタの形状として状態方程式を用いたが、ローパスフィルタなどの他の平滑化方法を用いてもよい。この場合も、フィルタにより滑らかになった語彙学習曲線の微分係数を求めることにより、1単語発話するのにかかる日数を計算することができる。
本実施形態では、累積数の順に並んだ日齢のデータ系列を平滑化しているが、日齢の順に並んだ累積数のデータ系列を平滑化してもよい。つまり、縦軸を単語の累積数とし、横軸を日齢として、平滑化を行ってもよい。しかし、その場合、カルマンスムーザ等を用いてフィルタリングするためには、時間間隔が均等に並んでいる必要があるため、各日齢における累積数を補完する必要がある。補完により、データ数及び処理が増加するため、第一実施形態のほうが有利である。また、第一実施形態では、補完した値を用いていないため、補完した値を用いた場合と比べて、その検出精度は同等以上となると考えられる。
本実施形態では、第一プラトー検出部110において、プラトーの位置として終了位置に対応する累積数iを用いているが、開始位置の累積数i−1を用いる構成としてもよい。その場合にも、置換部140において、プラトーの開始位置から終了位置まで置き換え処理を行う構成とすればよく、結果として、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換えればよい。
また、併合部130では他のアルゴリズムを用いて併合処理を行ってもよい。例えば、Lisp(プログラム言語の一種)やmatlab(登録商標)、R言語等の関数Union等を用いて併合処理を行ってもよい。さらに、併合部130を設けなくともよい。その場合、第一プラトー検出部110によって検出されたプラトーと第二プラトー検出部120によって検出されたプラトーとをそのまま出力してもよいし、何れの検出部で検出されたプラトーかを示すラベルを付加して出力してもよい。
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
<プログラム及び記録媒体>
上述した特徴検出装置は、コンピュータにより機能させることもできる。この場合はコンピュータに、目的とする装置(各種実施形態で図に示した機能構成をもつ装置)として機能させるためのプログラム、またはその処理手順(各実施形態で示したもの)の各過程をコンピュータに実行させるためのプログラムを、CD−ROM、磁気ディスク、半導体記憶装置などの記録媒体から、あるいは通信回線を介してそのコンピュータ内にダウンロードし、そのプログラムを実行させればよい。
100 特徴検出装置
110 第一プラトー検出部
120 第二プラトー検出部
121 平滑化部
123 検出部
130 併合部
140 置換部
150 関数近似部
160 微分部

Claims (5)

  1. 幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、前記日齢までに前記幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出する第一プラトー検出部と、
    前記語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した前記語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出する第二プラトー検出部と、
    新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した前記語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える置換部と、
    日齢の間隔が置き換えられた前記語彙学習曲線を、前記累積数の数より少ないパラメータ数で表される曲線関数で近似し、その曲線関数を出力する関数近似部と、を含む、
    語彙学習関数推定装置。
  2. 幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、前記日齢までに前記幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出する第一プラトー検出部と、
    前記語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した前記語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出する第二プラトー検出部と、
    新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した前記語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える置換部と、
    日齢の間隔が置き換えられた前記語彙学習曲線を、前記累積数の数より少ないパラメータ数で表される曲線関数で近似する関数近似部と、
    前記曲線関数を微分し、微分係数あるいは微分係数の逆数を出力する微分部と、を含む、
    語彙学習関数推定装置。
  3. 第一プラトー検出部、第二プラトー検出部、置換部及び関数近似部を含む語彙学習関数推定装置における語彙学習関数推定方法であって、
    前記第一プラトー検出部によって、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、前記日齢までに前記幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出する第一プラトー検出ステップと、
    前記第二プラトー検出部によって、前記語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した前記語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出する第二プラトー検出ステップと、
    前記置換部によって、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した前記語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える置換ステップと、
    前記関数近似部によって、日齢の間隔が置き換えられた前記語彙学習曲線を、前記累積数の数より少ないパラメータ数で表される曲線関数で近似し、その曲線関数を出力する関数近似ステップと、を含む、
    語彙学習関数推定方法。
  4. 第一プラトー検出部、第二プラトー検出部、置換部、関数近似部及び微分部を含む語彙学習関数推定装置における語彙学習関数推定方法であって、
    第一プラトー検出部、第二プラトー検出部、置換部及び関数近似部を含む語彙学習関数推定装置における語彙学習関数推定方法であって、
    前記第一プラトー検出部によって、幼児が新しい単語を発話するようになった日齢と、前記日齢までに前記幼児が発話するようになった単語の累積数との関係を示す語彙学習曲線に基づき、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分を検出する第一プラトー検出ステップと、
    前記第二プラトー検出部によって、前記語彙学習曲線を平滑化して、平滑化した前記語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分を検出する第二プラトー検出ステップと、
    前記置換部によって、新しい単語を発話するようになった日齢の間隔が閾値pより大きくなる部分における日齢の間隔を閾値pよりも小さい基準値pに置き換え、平滑化した前記語彙学習曲線の語彙学習速度が極小となる部分の前後における日齢の間隔が基準値pよりも大きい場合には、その日齢の間隔を基準値pに置き換える置換ステップと、
    前記関数近似部によって、日齢の間隔が置き換えられた前記語彙学習曲線を、前記累積数の数より少ないパラメータ数で表される曲線関数で近似する関数近似ステップと、
    前記微分部によって、前記曲線関数を微分し、微分係数あるいは微分係数の逆数を出力する微分ステップと、を含む、
    語彙学習関数推定方法。
  5. 請求項1または請求項2記載の特徴検出装置を構成する各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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