JP2014030481A - 内臓動脈瘤充填用組成物 - Google Patents

内臓動脈瘤充填用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】施術者の能力に頼ることなく、短時間、簡便に内臓動脈瘤のみを完全に充填して閉塞し、長期間その形状を維持し得る安価な内臓動脈瘤充填用組成物を提供する。
【解決手段】この発明の内臓動脈瘤充填用組成物は、(1)n−ブチルシアノアクリレート(n-butyl-2-cyanoacrylate)と、(2)リピオドール(lipiodol)と、(3)無水エタノールとを含むものである。中でも、(2)リピオドールと、(3)無水エタノールの容積比が1:2〜3であるものが好ましく、(1)n−ブチルシアノアクリレートと、(2)リピオドールと、(3)無水エタノールの容積比が、1:1:2〜3であるものがより好ましい。
【選択図】なし

Description

この発明は、内臓動脈瘤に充填され、これを閉塞する内臓動脈瘤充填用組成物に関する。
内臓動脈瘤は、発生頻度が1%と比較的低いのに対して、破裂時の死亡率は8.5〜22%と高い。また内臓動脈瘤の直径が2 cm以上の場合には、破裂する危険性が高くなるとされている。内臓動脈瘤の治療は、従来、開腹手術のような外科的方法によって患部周辺を切開して、治療する侵襲的な方法が行われていた。しかし近年では、体を大きく切開する必要がなく、臓器を傷つけず、大量の出血を伴わないため、経カテーテル的塞栓術が適用されることが多い。
経カテーテル的塞栓術は、患者に局所麻酔を施したのち、X線透視撮影下でカテーテルを血管内に挿入して、動脈瘤近傍までガイドし、動脈瘤内部に充填材を留置することによって動脈瘤内部の閉塞を行う術式である。なお、充填材としては、白金などからなる金属コイルが一般的に使用されている(非特許文献1〜3を参照。)。
ただ、金属コイルにより内臓動脈瘤を閉塞するには、動脈瘤内に複数本の高価な貴金属製コイル(6〜10万円/本)を留置する必要がある。例えば、直径が約2cmの動脈瘤を閉塞する場合には、内臓動脈瘤1つ当たり10〜50本前後のコイルを順次留置しなければならない。そのため、施術時間が長くなり、治療費が高くなるとの問題点があった。
また、金属コイルはX線に対する造影性に優れてはいるが、動脈瘤内に留置されるコイルが複数本となると、レントゲン透視では動脈瘤内の様子を観察し難くなってしまうことがあった。このような状況下では、施術者が勘や手応えを頼りにコイルを留置していかなければならず、レントゲン透視では動脈瘤を十分に閉塞しているように見えても、実際には充填率が20%程度前後にしかならないとのとの問題点もある。そして、このように充填率が低い場合には、充填後に内臓動脈瘤内に血栓が生じず、内臓動脈瘤が増大することもあった。
n−ブチルシアノアクリレート(n-butyl-2-cyanoacrylate、以下、NBCAと省略する。)は、外科的手術に使用される生体接着剤であり、近年では、救急医療における動脈性出血の止血や血管奇形の硬化を目的とする経カテーテル的動脈塞栓術に塞栓物質としてもその有用性が報告されている。
NBCAは、レントゲン透視では見えず、血液と接するとすばやく重合し固形化する性質を備えている。そのため、NBCAを経カテーテル的動脈塞栓術の塞栓物質として使用する場合には、油性造影剤であるリピオドール(以下、LPDと省略する。)と混和した混和物(以下、NBCA-LPDと省略する。)として使用するのが一般的である。NBCA-LPDとすることによって、レントゲン透視が可能になり、混和する際の比率を変えれば重合時間が調節できる(非特許文献4〜11を参照)。そのため、NBCA-LPDは経カテーテル動脈塞栓術の塞栓物質として適していると考えられている。
NBCA-LPDを経カテーテル動脈塞栓術に使用すると、カテーテルから動脈内に注入されたNBCA-LPDが、血液中で多数の小さな油粒となって動脈中を流れ、末梢側の動脈内で固形化して付着したのち、そこから近位動脈に充満して動脈を閉塞することが、レントゲン透視像から分かっている。また、しばしばカテーテルの先端にも付着する問題点が指摘されている。すなわち、NBCA-LPDは、経カテーテル的内臓動脈瘤塞栓術に使用しようとしても、内臓動脈瘤だけを充填できず、動脈瘤の存在する動脈自体を閉塞してしまうため、実用的ではなかった(非特許文献12〜16を参照。)。
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そこで、この発明は、施術者の能力に頼ることなく、短時間、簡便に内臓動脈瘤のみを完全に充填して閉塞し、長期間その形状を維持し得る安価な内臓動脈瘤充填用組成物を提供することを課題とする。
発明者らは、鋭意検討の結果、NBCA-LPDに無水エタノールを加えることによって、優れた内臓動脈瘤充填用組成物が得られること、特に、NBCA、LPD、無水エタノールをある特定の比率で混ぜることによってより優れた内臓動脈瘤充填用組成物が得られることを見出し、この発明を完成させた。
すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、(1)n−ブチルシアノアクリレート(n-butyl-2-cyanoacrylate)と、(2)リピオドール(lipiodol)と、(3)無水エタノールと、を含む内臓動脈瘤充填用組成物である。
また、この発明の請求項2に記載の発明は、(2)リピオドールと、(3)無水エタノールの容積比が、1:2〜3である請求項1に記載の内臓動脈瘤充填用組成物である。
さらに、この発明の請求項3に記載の発明は、(1)n−ブチルシアノアクリレートと、(2)リピオドールと、(3)無水エタノールの容積比が、1:1:2〜3である請求項2に記載の内臓動脈瘤充填用組成物である。
ここで、この発明の内臓動脈瘤充填用組成物の構成要素であるn−ブチルシアノアクリレートは液状塞栓物質であり、リピオドールはヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルからなる油性造影剤である。なお、この発明の内臓動脈瘤充填用組成物は、その構成要素を混和する順序を特に限定することなく調製できるが、LPDと無水エタノールを先に混和したのち、これにNBCAを混和すればより容易に調製できる。
この発明の内臓動脈瘤充填用組成物を経カテーテル塞栓術に使用すれば、内臓動脈瘤を短時間に簡便な方法で、完全かつ安価に充填し閉塞することができる。そのため、この発明の内臓動脈瘤充填用組成物を使用する経カテーテル内臓動脈瘤塞栓術は、多くの患者に適用でき、救命率、手技の成功率、無再発率を向上させることができる。
図1は、NL11を生理食塩水に注入した結果を示す。なお、図1(a)は培養皿中の生理食塩水に注入した結果を示し、図1(b)は生理食塩水で満たされた輸血用チューブに注入した結果を示す。 図2は、NLE112を生理食塩水に注入した結果を示す。なお、図2(a)は培養皿中の生理食塩水に注入した結果を示し、図2(b)は生理食塩水で満たされた輸血用チューブに注入した結果を示す。 図3は、NLE113を生理食塩水に注入した結果を示す。なお、図3(a)は培養皿中の生理食塩水に注入した結果を示し、図3(b)は生理食塩水で満たされた輸血用チューブに注入した結果を示す。 図4は、NL11を使用した動脈瘤塞栓術の結果を示す。 図5は、NLE112を使用した動脈瘤塞栓術の結果を示す。 図6は、NLE113を使用した動脈瘤塞栓術の結果を示す。
以下、この発明について実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、この発明の特許請求の範囲は、以下の実施例によって如何なる意味においても制限されない。
1.混和比率と重合形態との関係
この発明の内臓動脈瘤充填用組成物の構成要素の混和比率の違いが、内臓動脈瘤充填用組成物の形状に与える影響を調べた。具体的には、混和比率(容積比)の異なる複数の内臓動脈瘤充填用組成物を調製し、生理食塩水中での形状を目視観察した。
(1)内臓動脈瘤充填用組成物の調製と形状の観察
NBCA、LPD、無水エタノールの容積比が異なる内臓動脈瘤充填用組成物(NBCA with lipiodol and ethanol、以下、NLEと省略する。)を、3mlシリンジを使用して調製した。具体的には、NBCA、LPD、無水エタノールの容積比が、1:1:1(以下、NLE111と省略する。)、1:1:2 (以下、NLE112と省略する。)、1:1:3 (以下、NLE113と省略する。)、1:1:4 (以下、NLE114と省略する。)、1:1:5 (以下、NLE115と省略する。)、2:1:1 (以下、NLE211と省略する。)、2:1:2 (以下、NLE212と省略する。)、2:1:3 (以下、NLE213と省略する。)、2:1:4 (以下、NLE214と省略する。)、3:1:1 (以下、NLE311と省略する。)、3:1:2 (以下、NLE312と省略する。)、3:1:3 (以下、NLE313と省略する。)、4:1:1 (以下、NLE411と省略する。)、4:1:2 (以下、NLE412と省略する。)、4:1:3(以下、NLE413と省略する。)の内臓動脈瘤充填用組成物を調製した。
また、NBCAとLPDの容積比が、1:1(以下、NL11と省略する)、2:1(以下、NL21と省略する)、3:1(以下、NL31と省略する)、4:1(以下、NL41と省略する)の充填材、NBCAと無水エタノールの容積比が1:1である充填材(以下、NE11と省略する。)を調製し、NBCA単独、LPD単独とともに、実験コントロールとして使用した。
調製した内臓動脈瘤充填用組成物等を、22ゲージの太さの針を使用して、培養皿中の生理食塩水に注入し、注入物の形状を目視観測した。また、調製した内臓動脈瘤充填用組成物等のうち、NL11、NLE112、NLE113を、生理食塩水で満たされた直径3.5 mm、長さ190 cmの輸血用チューブの一端から2.5 ml/sの速度で完全開放の輸血回路により注入し、注入物の形状を目視観測するとともに、注入された場所からの移動距離を測定した。なお、移動距離は、各充填材につき5回測定した。
(2)実験結果
内臓動脈瘤充填用組成物を培養皿中の生理食塩水に注入し、注入物の形状を目視観測した結果を表1に示す。また、培養皿中の生理食塩水に注入されたNL11の注入物の形状を図1(a)、同じくNLE112の注入物の形状を図2(a)、NLE113の注入物の形状を図3(a)にそれぞれ示す。
表1、図1(a)、図2(a)及び図3(a)に示すように、LPD、NL11、NL21、NL31、NL41を注入した場合、小さな粒状の形態となった。また、NLE111、NLE211、NLE311、NLE411を注入した場合、中等度の粒状の形態となった。また、NLE112、NLE212、NLE312、NLE412を注入した場合、大きな塊状の形態となった。さらに、NLE113、NLE213、NLE313、NLE413を注入した場合、長い塊状(麺状)となった。なお、NE11及びNLE115を注入した場合、微細な粉状となった。以上の結果から、注入物の形状はNBCA濃度とあまり関係なく、LPDと無水エタノールの容積比に関係していると考えられる。
また、輸血用チューブに注入されたNL11の注入物の形状を図1(b)、同じくNLE112の注入物の形状を図2(b)、NLE113の注入物の形状を図3(b)にそれぞれ示す。
図1(b)に示すように、NL11の注入物は輸血用チューブの中で粘り気のある液体のように振る舞い、注入された場所である輸血用チューブの一端から同他端まで移動した。すなわち、その移動距離は190 cm以上であった。
また、図2(b)に示すように、NLE112の注入物は輸血用チューブの中で棒状の固形物のように移動し、注入された場所からの移動距離は81±11 cm (p=0.009)であった。
さらに、図3(b)に示すように、NLE113の注入物は輸血用チューブの中で螺旋状の固形物の様に移動し、注入された場所からの移動距離は74±9 cm(p=0.008)であった。
以上の結果から、この発明の内臓動脈瘤充填用組成物は、注入してから直ぐに重合を開始し固形物のように振舞うため、注入された場所からの移動距離が短くてすむことが分かった。そして、このことから、この発明の内臓動脈瘤充填用組成物を動脈瘤の閉塞に使用しても、塞栓対象の動脈瘤よりも末梢側の動脈が閉塞され難いことが分かった。
2.動脈瘤モデル動物への適用
頚動脈に動脈瘤があるモデル動物を作成し、NL11、NLE112、NLE113を充填材として使用する経カテーテル塞栓術により動脈瘤を閉塞し、その実用性を調べた。具体的には、以下のようにして調べた。
(1)動脈瘤モデル動物の作成
充填材ごとに6匹ずつ計18匹、体重52〜55 kgの健康的なメスの豚をモデル動物として使用した。各モデル動物を、体重1 kg当たり5 mgのケタミンと体重1 kg当たり0.08 mgの硫酸アトロピンを組み合わせて前麻酔したのち、イソフルレンガスによる吸入麻酔により全身麻酔した。なお、麻酔中は定法に従って、心臓及び呼吸器を監視し続けた。
麻酔したモデル動物の左頸動脈と頸静脈とを外科的に露出した。露出した頸静脈を剥離して、大体3 cmの長さとなるよう切断した。得られた頸静脈切片を頸動脈の切断面に縫合して、頚動脈をうっ血させ、動脈瘤モデルを作成した。その結果、長辺×短辺の長さが、8.4 x 7.9 mm〜12.4 x 11.2 mmの動脈瘤を有するモデル動物を作成した。モデル動物ごとの動脈瘤の大きさを表2に示す。
(2)動脈瘤充填術
バルーンの最大直径が9 mmである5 Fr バルーンカテーテル(セレコンMPカテーテルII、テルモ・クリニカルサプライ製)を、5 Frシース(スーパーシース、メディキット製)を介してモデル動物の右大腿動脈に挿入したのち、頸動脈に向かって送った。
つぎに、2.2 Frマイクロカテーテル(Shirabe、パイラックス製) を、0.014インチのマイクロガイドワイヤー(トランセンドEX、ボストン・サイエンティフィック製)を使用して、バルーンカテーテルの中を通過させ、動脈瘤に向かって送った。体重1 kg当たり50 unitのヘパリンを静注したのち、バルーンを膨張させて頸動脈の血流を遮断した。
血流遮断したのち、NBCAを注入する前にマイクロカテーテル中で重合しないように、マイクロカテーテル内を5 %グルコース溶液で洗浄した。マイクロカテーテルを通じて、NL11、NLE112、NLE113を動脈瘤にゆっくりと注入した。注入が完了してから5分後に、バルーンをしぼめ、デジタルサブトラクション血管造影法によって、充填結果を確認した。充填が不十分な場合には、バルーンによって動脈血流を遮断した状態で、動脈瘤の空隙が完全に充填するまで充填材を再度注入した。
なお、カテーテル処理、デジタルサブトラクション血管造影法は、血管造影診断装置(Allura Xper FD20、ロイヤル フィリップス エレクトロニクス製)を使用して行った。また、充填材のカテーテルへの接着、充填材による動脈瘤の閉塞の可否、充填材の動脈への突出、充填材による動脈閉塞の有無などは、デジタルサブトラクション血管造影法よって判断した。さらに、充填材の充填開始から終了までの手技時間は、ストップウオッチにより測定した。
(3)実験結果
表2に、NL11、NLE112、NLE113を充填材として使用する動脈瘤塞栓術を施した結果を、モデル動物ごとに示す。また、モデル動物の頸動脈造影像等を図4〜図6に例示する。ここで、図4はNL11を充填材として使用した場合の頸動脈造影像である。また、図5はNLE112を充填材として使用した場合の頸動脈造影像等である。さらに、図6はNLE113を充填材として使用した場合の頸動脈造影像である。
さて、図4(b)に示すように、NL11は、マイクロカテーテルに強固に付着し、動脈に突出した。そのため、動脈瘤の閉塞が不十分でも、NL11は、同じマイクロカテーテルを使用して追加注入できなかった。また、図4(c)に示すように、NL11は、動脈瘤内が充填する前に動脈瘤から充填材が流出し、流出した充填材が親動脈を閉塞した。なお、図4(a)は、動脈瘤の存在を確認するための、水溶性造影剤による頸動脈のデジタルサブトラクション血管造影である。
これに対して、NLE112は、X線像である図5(b)に示すように、動脈瘤内を充填していることが確認できた。また、NLE112は、マイクロカテーテルにほとんど付着しないので、図5(c)に示すように動脈瘤の一部しか閉塞できていなくても、図5(d)に示すように、同じ充填材を同じマイクロカテーテルにより再注入できた。さらに、NLE112は、図5(e)に示すように、親動脈の末梢側を閉塞することなく動脈瘤を閉塞できた。なお、図5(a)は、動脈瘤の存在を確認するための、水溶性造影剤による頸動脈のデジタルサブトラクション血管造影である。
同様に、NLE113は、図6(b)に示すように、動脈瘤内を充填していることが確認できた。また、NLE113は、マイクロカテーテルにほとんど付着しないので、図6(c)に示すように動脈瘤の一部しか充填できていなくても、図6(d)に示すように、同じ充填材を同じマイクロカテーテルにより再注入できた。さらに、NLE113は、図6(e)に示すように、親動脈の末梢側を閉塞することなく動脈瘤内を充填できた。なお、図6(a)は、動脈瘤の存在を確認するための、水溶性造影剤による頸動脈のデジタルサブトラクション血管造影である。
以上の結果から、この発明の内臓動脈瘤充填用組成物は、カテーテルへの付着が少ないため、追加注入が可能であり、従来からある金属コイルと比べて、施術者の能力に頼ることなく、短時間(30分以内)、簡便、安価に内臓動脈瘤のみを完全に充填して閉塞し、長期間その形状を維持できることが分かった。

Claims (3)

  1. (1)n−ブチルシアノアクリレート(n-butyl-2-cyanoacrylate)と、(2)リピオドール(lipiodol)と、(3)無水エタノールと、を含む内臓動脈瘤充填用組成物。
  2. (2)リピオドールと、(3)無水エタノールの容積比が、1:2〜3である請求項1に記載の内臓動脈瘤充填用組成物である。
  3. (1)n−ブチルシアノアクリレートと、(2)リピオドールと、(3)無水エタノールの容積比が、1:1:2〜3である請求項2に記載の内臓動脈瘤充填用組成物。
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