JP2014029075A - 耐火設計方法および建築物 - Google Patents

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Abstract

【課題】必要な耐火性能を確保しつつ、耐火処理のための費用を低減できる耐火設計方法および建築物を提供すること。
【解決手段】耐火設計方法は、縮小模型のCO発生率Y´COを求めるとともに、縮小模型の発熱速度qm,mを求めて、縮小模型のCO発生率Y´COと対象室のCO発生率YCOとの差分を求める。次に、この差分のCOが全てOと反応してCOになった場合の発熱量を、縮小模型の発熱速度qm,mに加算して実効発熱速度qm,effとする。次に、この実効発熱速度qm,effに基づいて、対象室の収納可燃物のうち実際に燃焼する割合を燃焼率φとして求める。次に、この燃焼率φを用いて屋内火災保有耐火時間tfrを算定し、屋内火災の継続時間tが屋内火災保有耐火時間tfr以下となるように、対象室を設計する。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐火設計方法および建築物に関する。
従来より、耐火性能の検証法として、平成12年建設省告示第1433号の耐火性能検証法が知られている(以下「告示検証法」と呼ぶ)(非特許文献1参照)。この告示検証法では、まず、対象室(単一室あるいは同時燃焼を想定する複数室)を設定し、屋内で発生する火災の継続時間を算定する。その後に、対象室に面する主要構造部について、各々の主要構造部に要求される耐火性能(非損傷性・遮熱性・遮炎性)を保持できる限界時間、すなわち保有耐火時間を部材単位に算定する。そして、主要構造部の保有耐火時間が火災継続時間以上であれば、性能が満たされると判断する。この検証を、建築物を構成する全ての主要構造部について行う。
2001年版耐火性能検証法の解説及び計算例とその解説、国土交通省住宅局建築指導課
ところで、告示検証法では、燃焼率低下に関する知見が不十分であるため、安全側の評価を与えるために、火災室内の可燃物の完全燃焼を前提として、燃焼率の低下を考慮せずに火災室温度を算定している。
しかしながら、実際には、開口が少ない室では、燃焼に必要な空気(酸素)の流入量が少なく、必ずしも室内の可燃物が完全燃焼するわけではない。このような場合、告示検証法では、実際よりも燃焼率が高くなり、火災室温度上昇係数が高めに算定されることになる。よって、部材の耐火仕様が重厚になり、コストが高くなる、という問題点があった。
そこで、縮小模型を製作し、この縮小模型での燃焼実験結果に基づいて設計を行うことが考えられる。
しかしながら、縮尺が小さくなる(つまり模型が小さくなる)に従って、実火災に比べて、火災室の火災温度が低くなることが判っている。これは、縮尺が小さくなると、実際の建物に比べて、室内の熱が壁を通して室外に逃げやすくなるためである、と考えられる。
したがって、縮小模型実験で得られた実験結果に基づいて設計すると、今度は、部材や耐火被覆を過剰に軽減して、必要な耐火性能が確保されないおそれがある、という問題がある。
この問題を解決するためには、所定の要件を満たした材料を用いて縮小模型を製作し、縮小模型の燃焼実験で実火災と同等の火災温度を再現することが考えられる。しかしながら、実験施設の規模、安全性、経済性を考慮すると、大型の模型を製作することは難しいうえに、その模型縮尺に応じた要件を満たしかつ耐熱性も兼ね備えた材料を、実在する材料の中から選定することも困難である。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、必要な耐火性能を確保しつつ、耐火処理のための費用を低減できる耐火設計方法および建築物を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、対象室の耐火設計を行う耐火設計方法であって、前記対象室の縮小模型を製作し、当該縮小模型で火災実験を行って、燃料の単位重量当たりのCO発生量をCO発生率として、縮小模型のCO発生率を求めるとともに、縮小模型の発熱速度を求めて、当該縮小模型のCO発生率と対象室のCO発生率との差分を求めて、当該差分のCOが全てOと反応してCOになった場合の発熱量を、前記縮小模型の発熱速度に加算して実際の発熱速度とし、当該実際の発熱速度に基づいて、対象室の収納可燃物や内装用建築材料(以下、収納可燃物等と呼ぶ)が完全燃焼すると仮定した場合の発熱速度に対する実際の発熱速度の比を燃焼率として求めて、当該燃焼率を用いて前記収納可燃物の総実効発熱量および実効発熱速度を算定し、当該総実効発熱量および実効発熱速度を用いて屋内火災の継続時間および火災温度上昇係数を算定し、前記対象室内の部材近傍火災温度上昇係数を算定し、前記対象室を構成する部材について、前記火災温度上昇係数および部材近傍火災温度上昇係数を用いて屋内火災保有耐火時間を算定し、前記屋内火災の継続時間が当該屋内火災保有耐火時間以下となるように、前記対象室を設計することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、燃焼率を用いて対象室の収納可燃物等の総実効発熱量および実効発熱速度を算定し、この総実効発熱量および実効発熱速度を用いて屋内火災の継続時間および火災温度上昇係数を算定することで、実情に合った屋内火災の継続時間および火災温度上昇係数を算定できる。特に、火災温度上昇係数を従来に比べて小さくできる。
よって、耐火被覆厚さや構造部材のサイズや強度が過大になるのを防いで、適正な耐火性を確保できるから、必要な耐火性能を確保しつつ、耐火処理のための費用を低減できる。
また、縮小模型の燃焼率を前記対象室の燃焼率とした。よって、実物大の模型を製作して火災実験を行う必要がないので、火災実験にかかるコストを低減できる。
また、上述のように、縮小模型は、縮尺が小さくなるに従って、火災室の火災温度が実火災に比べて低くなりやすいことが判明している。そこで、本発明者は、縮尺が小さくなるほど、不完全燃焼となってCOの発生率が高くなることに着目して、実火災よりも火災温度が低い縮小模型では、COがOと反応してCOとなる過程で発生する熱量が少ないために、燃焼率が実火災よりも低くなることを見出した。
この考えに基づいて、請求項1の発明によれば、CO発生率に着目し、縮小模型のCO発生率と対象室のCO発生率との差分を求めて、このCO発生率の差分のCOが全てCOになった場合の発熱量を、前記縮小模型の発熱速度に加算して実際の発熱速度とした。
これにより、模型実験で求めた発熱速度を補正して、実際の発熱速度に近い値を得ることができるので、この補正後の発熱速度を用いて設計することで、耐火被覆厚さや構造部材のサイズや強度を軽減し過ぎるのを防止できる。
請求項2に記載の発明は、予め、特性が異なる複数の室について、縮小模型を用いて火災実験を行ってそれぞれの燃焼率を求めておき、前記複数の室の中から前記対象室に近似する特性を有する室を選択し、当該選択した室の燃焼率を用いることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、予め、特性が異なる複数の室の燃焼率を求めておき、これら複数の室の中から対象室に近似する特性を有する室を選択し、この選択した室の燃焼率を用いた。よって、火災実験の実施回数を大幅に削減できるから、火災実験にかかるコストを大幅に低減できる。
請求項3に記載の発明は、上述の耐火設計方法に基づいて耐火処理された室を備えることを特徴とする建築物。
請求項3に係る発明によれば、耐火被覆の厚さや建築物の構造部材のサイズや強度を低減できるので、建築コストを低減したり、建物内の有効面積を大きく確保したりすることが可能となる。
本発明によれば、燃焼率を用いて対象室の収納可燃物等の総実効発熱量および実効発熱速度を算定し、この総実効発熱量および実効発熱速度を用いて屋内火災の継続時間および火災温度上昇係数を算定することで、実情に合った屋内火災の継続時間および火災温度上昇係数を算定できる。特に、火災温度上昇係数を従来に比べて小さくできる。よって、耐火被覆厚さや構造部材のサイズや強度を下げても、適正な耐火性を確保できるから、必要な耐火性能を確保しつつ、耐火処理のための費用を低減できる。
本発明の一実施形態に係る耐火設計方法を実行する設計システムのブロック図である。 前記実施形態に係る設計システムの動作を示すフローチャートである。 前記実施形態に係る耐火設計方法に用いられるマップを作成するための縮小模型の斜視図である。 前記のマップを作成する実験に用いられる区画模型の正面図、横断面図、および縦断面図である。 前記マップを作成する実験の補正前の結果を示す図である。 前記マップを作成する実験の補正後の結果を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る耐火設計方法を実行する設計システム1のブロック図である。
設計システム1は、建物の基本情報に基づいて耐火設計を行うためのものであり、入力装置2、表示装置3、および演算処理装置4、および記憶装置5を備える。
入力装置2は、演算処理装置4に情報を入力する装置であり、キーボードやマウス等で構成される。また、表示装置3は、入力装置2で入力された情報や演算処理装置4から出力された情報を表示する装置であり、例えば、モニタである。記憶装置5は、種々の情報を記憶する装置であり、例えばハードディスクである。
演算処理装置4は、記憶装置5に記憶されたプログラムを読み出して、動作制御を行うOS(Operating System)上に展開して実行するものである。
具体的には、演算処理装置4は、建物の室ごとに、屋内火災の継続時間、火災温度上昇係数、部材近傍火災温度上昇係数を求める。そして、各室を構成する部材について、火災温度上昇係数および部材近傍火災温度上昇係数を用いて屋内火災保有耐火時間を算定し、屋内火災の継続時間が屋内火災保有耐火時間以下となるように、対象室を設計する。
図2は、対象室の設計を行う動作を示すフローチャートである。
ステップS1では、入力装置2を用いて、防火区画、対象室の床面積および天井高、対象室の開口部の位置や形状等の室条件を演算処理装置4に入力する。この入力された値は、演算処理装置4のRAMに記憶される。
ステップS2では、演算処理装置4により、有効開口因子fopおよび燃焼型支配因子χを算定する。
具体的には、対象室の開口部の形状に基づいて、式(1)に従い、有効開口因子fopを算定する。
Figure 2014029075
ここで、Aopは各開口部の面積であり、Hopは各開口部の上端から下端までの寸法(開口丈)である。
ただし、開口が十分に小さい場合には、告示検証法にならって、室の形状に基づいて以下の式(2)に従い、有効開口因子fopを算定してもよい。
Figure 2014029075
ここで、Aは対象室内の床面積であり、Hは対象室の床から天井までの平均高さである。
また、告示検証法と同様に、以下の式(3)に従い、燃焼型支配因子χを算定する。
Figure 2014029075
ここで、Afuelは室内の収納可燃物等の表面積の合計である。
燃焼型支配因子χについては、以下のことがいえる。
すなわち、火災時に可燃物に対して十分な空気量が供給される場合には、可燃物表面積Afuelに対して有効開口因子fopが大きくなるので、燃料支配型の燃焼となり、燃焼型支配因子χの値は大きくなる。
一方、火災時に可燃物に対して十分な空気量が供給されない場合には、可燃物表面積Afuelに対して有効開口因子fopが小さくなるので、換気支配型の燃焼となり、燃焼型支配因子χの値は小さくなる。
具体的には、χが0.1を超える場合を燃料支配型の燃焼とし、0.081以下の場合を換気支配型の燃焼とし、χが0.081を超えて0.1未満の場合を中間型の燃焼としている。
次に、ステップS3では、演算処理装置4により、火災時に燃焼率が低下するような構造であるか否かを判定する。具体的には、以下の式(4)および式(5)を両方とも満たすか否かを判定する。
Figure 2014029075
この判定がYesである場合には、開口が十分に小さくかつ換気支配型の燃焼であるので、燃焼率が低下する可能性があると判断してステップS4に移り、この判定がNoである場合には、ステップS10に移る。
ステップS4では、演算処理装置4により、公称発熱速度qおよび最大発熱速度qbmaxを求める。
公称発熱速度qとは、対象室の収納可燃物が完全燃焼すると仮定して、収納可燃物の表面積および燃焼型支配因子χに基づいて求めた発熱速度である。発熱速度は、1秒間に発生する熱量で表される。具体的には、以下の式(6)に従って、公称発熱速度qを算定する。
Figure 2014029075
また、最大発熱速度qbmaxは、開口因子(開口面積および開口丈)から計算される換気量に基づいて決定される発熱速度の上限値である。具体的には、以下の式(6)に従って、最大発熱速度qbmaxを算定する。
Figure 2014029075
ステップS5では、演算処理装置4により、燃焼率φを求める。すなわち、記憶装置5には、室の特性に応じた複数のマップが記憶されている。演算処理装置4は、複数のマップの中から対象室の特性に対応したマップを読み出し、このマップに従って、公称発熱速度qおよび最大発熱速度qbmaxに対応する燃焼率φを求める。
ステップS6では、式(8)に従い、検証対象室の可燃物の総実効発熱量Qr,effを算定する。
Figure 2014029075
ここで、qは、当該対象室の床面積1mあたりの発熱量であり、qは、当該対象室の壁、床、天井の室内に面する部分の内装用建築材料の表面積1m、厚さ1mmあたりの発熱量である。また、Aは、当該対象室の内装用建築材料の種類毎の各部分の表面積であり、dは、当該対象室の内装用建築材料の厚さである。
また、fは熱侵入係数であり、添字aは、対象室の隣接室を意味する。
ステップS7では、式(9)に従い、検証対象室の可燃物の1秒間当たりの実効発熱量(実効発熱速度)qb,effを求める。
Figure 2014029075
また、式(10)に従い、屋内火災の継続時間tを求める。
Figure 2014029075
ステップS8では、式(11)に従い、火災温度上昇係数αを求める。
Figure 2014029075
ここで、Aは、当該対象室の壁、床、天井毎の表面積であり、Iは、当該対象室の壁、床、天井毎の熱慣性である。
ステップS9では、無被覆鉄骨および木造の柱や梁について、式(12)に従い、部材近傍火災温度上昇係数αを求める。
Figure 2014029075
ここで、zは、部材の床面からの高さである。
ステップS10では、従来の告示検証法に従って、屋内火災の継続時間t、火災温度上昇係数α、部材近傍火災温度上昇係数αを算定する。
ステップS11では、従来の告示検証法に従って、対象室の部材ごとに屋内火災保有耐火時間tfrを算定する。
ステップS12では、部材毎の屋内火災保有耐火時間tfrが屋内火災の継続時間t以上であるか否かを判定する。この判定がYesである場合には終了し、Noである場合には、ステップS1に戻り、火災室の床面積、天井高さ、開口等を設計変更したり、部材の耐火性能を変更したり、内装材料や用途に応じた可燃物量等を変更する。
このようにして、対象室の部材ごとの屋内火災保有耐火時間tfrが屋内火災の継続時間t以上と判定されるまで、各ステップを繰返す。
次に、記憶装置5に記憶された、燃焼率φと公称発熱速度q/最大発熱速度qbmaxとの関係を示すマップの作成手順について説明する。
対象室と同一形状かつ同じ大きさの実物大模型を構築し、火災実験を行って、マップを作成する。ただし、対象室の実物大の模型を構築できない場合には、対象室を縮小した縮小模型を構築し、この縮小模型で火災実験を行う。
図3は、火災実験用の縮小模型の斜視図である。
対象室の幅をW、奥行きをD、室高さをH、床面積をAとし、縮小模型の幅をWrm、奥行きをDrm、室高さをHrm、床面積をArmとする。実験用模型の各寸法を、検討対象室の各寸法のS(0<S<1)倍とする。
ここで、実際の対象室は、壁面に柱形の凹凸が現れたり、入口が室の外方向に突出したり、あるいは平面形状が矩形ではなく複雑な多角形状であったりするため、対象室の縮小模型を構築することが難しい場合がある。この場合、対象室の幅の平均値をWとし、奥行きの平均値をDとして、縮小模型の幅Wrmと奥行きDrmをそれぞれ式(13)、式(14)のように設定する。
Figure 2014029075
すると、縮小模型の床面積Armについて、以下の式(15)が成立する。
Figure 2014029075
また、対象室の開口因子をfopとし、縮小模型の開口因子をfopmとすると、以下の式(16)が成立する。
Figure 2014029075
火災実験では、以上の縮小模型に対して、計測装置を用いて、単位時間当たりの燃料供給量、発熱速度、およびCO発生量を計測する。
単位時間当たりの燃料供給量は、以下の手法で計測する。燃料が気体や液体である場合には、例えば流量計で燃料の流量を計測する。また、燃料が固体である場合には、例えばロードセルを用いて燃料の重量の減少を計測する。
また、酸素消費法を用いて発熱速度を計測し、この計測した発熱速度を模型発熱速度qm,mとする。
また、区画から流出するCO発生量を、縮小模型のCO発生量として、以下の式(17)に従って求める。以下、「´」は縮小模型実験であることを示す。
Figure 2014029075
次に、模型発熱速度qm,mを補正する。
まず、以下の式(18)に従って、縮小模型のCO発生率(燃料の単位重量当たりのCO発生量)Y´COを求める。
Figure 2014029075
ここで、火災室内部でCOが発生するのか、火災室の外部でCOが発生するのかについては、今のところ明らかにされていないが、建物の安全性を確保する観点から、火災室内部で発生すると見なして計算する。
次に、実火災のCO発生率YCOは既知であるとするとして、縮小模型のCO発生率Y´COと実火災とのCO発生率YCOの差分を、以下の式(19)に従って求める。
Figure 2014029075
次に、以下の式(20)に従って、式(19)で求めたCOがOと反応してCOに変化するときの発熱量を、計測した模型発熱速度qm,mに加算して、実効発熱速度qm,effを求める。
Figure 2014029075
ここでは、実火災のCO発生率YCOを既知としたが、実際のYCOが不明である場合には、式(19)中のYCOの値を0とすることで、耐火設計上、安全側の評価が可能である。
さらに、この縮小模型における公称発熱速度qを、単位時間あたりの燃料供給量に完全燃焼時の単位重量発熱量を乗じて求める。
また、この縮小模型における最大発熱速度qmmaxを、上述の式(7)を用いて求める。
そして、実効発熱速度qm,effを公称発熱速度qで除算した値を燃焼率φとし、q/qmmaxと燃焼率φとの対応関係を示すマップを作成する。
実際に、公称発熱速度q/最大発熱速度qmmaxと燃焼率φとの関係を示すマップを作成するため、区画模型を用いて実験1、2を行った。
図4は、実験1、2で用いた区画模型の正面図、横断面図、および縦断面図である。
区画模型は、箱状であり、一側面に開口が形成されている。この模型の内部には12点のK型熱電対が設けられている。実験2の区画模型は、実験1の1/2の大きさとした。
壁・床・天井(以降、周壁と呼ぶ)を、厚さ3mmの鉄板又は厚さ5mmのケイ酸カルシウム板の下地に、セラミックファイバーボードを貼りつけて制作した。
また、床の中央にはプロパンを燃料とするガスバーナーを設置した。
実験1、2における区画模型の各寸法を表1に示す。
Figure 2014029075
実験1、2では、最大発熱速度qmmaxの50%、75%、100%に相当する燃料を供給した。
実験1、2の最大発熱速度qmmaxおよび公称発熱速度qを表2に示す。
Figure 2014029075
燃料供給は、実験1ではマスフローコントローラを使用し、実験2ではマスフローメータで流量計測しながら手動で流量制御を行った。
そして、発熱速度を酸素消費法で求めて、この発熱速度の実測値を模型発熱速度qm,mとした。
実験1、2の実験結果を図5に示す。
図5および図6は、燃焼率φと公称発熱速度q/最大発熱速度qmmaxとの関係を示すマップを視覚化したグラフの一例である。また、図5は、補正前のグラフであり、図6は、補正後のグラフである。
図5および図6のグラフの縦軸は、燃焼率φであり、横軸は、q/qmmaxである。
/qmmaxが0.6以下である場合、燃焼率φは0.9〜1.0である。これは、供給された燃料が完全燃焼するのに十分な空気が開口から流入しており、供給された燃料が実際にほぼ完全燃焼している状態である。
/qmmaxが0.6を超えると、燃焼率φが下がっていく。つまり、開口から流入する空気が徐々に減ってゆき、供給された燃料が完全燃焼しなくなる。
この実験により、実験1の区画模型と実験2の区画模型とでは、幾何学的な大きさに2倍の違いがあるにもかかわらず、耐火設計上の重要性が高いq/qmmaxが1.0付近では、補正後の燃焼率がほぼ一致していることが判る。よって、縮小模型を用いて実火災の燃焼率を推定できることが判る。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)燃焼率を用いて対象室の収納可燃物等の総実効発熱量Qr,effおよび実効発熱速度qb,effを算定し、これら総実効発熱量Qr,effおよび実効発熱速度qb,effを用いて屋内火災の継続時間tおよび火災温度上昇係数αを算定することで、実情に合った屋内火災の継続時間tおよび火災温度上昇係数αを算定できる。特に、火災温度上昇係数αを小さくできる。
よって、耐火被覆厚さや構造部材のサイズが過大になるのを防いで、適正な耐火性を確保できるから、必要な耐火性能を確保しつつ、耐火処理のための費用を低減できる。
また、縮小模型の燃焼率φを対象室の燃焼率φとした。よって、実物大の模型を製作して火災実験を行う必要がないので、火災実験にかかるコストを低減できる。
CO発生率YCOに着目し、縮小模型のCO発生率Y´COと対象室のCO発生率YCOとの差分を求めて、このCO発生率の差分のCOが全てCOになった場合の発熱量を、縮小模型の模型発熱速度qm,mに加算して実効発熱速度qm,effとした。
これにより、模型実験で求めた模型発熱速度qm,mを補正して、実際の発熱速度に近い値を得ることができるので、この補正後の発熱速度qm,effを用いて設計することで、耐火被覆厚さや構造部材のサイズや強度を軽減し過ぎるのを防止できる。
(2)予め、特性が異なる複数の室の燃焼率φを求めて記憶装置5に記憶させておき、これら複数の室の中から対象室に近似する特性を有する室を選択し、この選択した室の燃焼率φを記憶装置5から読み出して用いた。よって、火災実験の実施回数を大幅に削減できるから、火災実験にかかるコストを大幅に低減できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
1…設計システム
2…入力装置
3…表示装置
4…演算処理装置
5…記憶装置

Claims (3)

  1. 対象室の耐火設計を行う耐火設計方法であって、
    前記対象室の縮小模型を製作し、当該縮小模型で火災実験を行って、
    燃料の単位重量当たりのCO発生量をCO発生率として、縮小模型のCO発生率を求めるとともに、縮小模型の発熱速度を求めて、
    当該縮小模型のCO発生率と対象室のCO発生率との差分を求めて、
    当該差分のCOが全てOと反応してCOになった場合の発熱量を、前記縮小模型の発熱速度に加算して実際の発熱速度とし、
    当該実際の発熱速度に基づいて、対象室の収納可燃物が完全燃焼すると仮定した場合の発熱速度に対する実際の発熱速度の比を燃焼率として求めて、当該燃焼率を用いて前記収納可燃物の総実効発熱量および実効発熱速度を算定し、
    当該総実効発熱量および実効発熱速度を用いて屋内火災の継続時間および火災温度上昇係数を算定し、
    前記対象室内の部材近傍火災温度上昇係数を算定し、
    前記対象室を構成する部材について、前記火災温度上昇係数および部材近傍火災温度上昇係数を用いて屋内火災保有耐火時間を算定し、
    前記屋内火災の継続時間が当該屋内火災保有耐火時間以下となるように、前記対象室を設計することを特徴とする耐火設計方法。
  2. 予め、特性が異なる複数の室について、縮小模型を用いて火災実験を行ってそれぞれの燃焼率を求めておき、
    前記複数の室の中から前記対象室に近似する特性を有する室を選択し、当該選択した室の燃焼率を用いることを特徴とする請求項1に記載の耐火設計方法。
  3. 請求項1または2に記載の耐火設計方法に基づいて耐火処理された室を備えることを特徴とする建築物。
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JP2007206974A (ja) * 2006-02-01 2007-08-16 Takenaka Komuten Co Ltd 防火区画の火災リスク評価方法及び火災リスク評価プログラム

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国土交通省住宅局建築指導課 外4名, 2001年版耐火性能検証法の解説及び計算例とその解説, vol. 第1版, JPN6016001280, 15 March 2001 (2001-03-15), JP, pages 15 - 63, ISSN: 0003352420 *

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