JP2014024042A - 固定式旋回翼、該固定式旋回翼を用いた気泡発生装置及び風呂給湯装置 - Google Patents

固定式旋回翼、該固定式旋回翼を用いた気泡発生装置及び風呂給湯装置 Download PDF

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【課題】本発明は、異物の詰まりを抑制しつつ、水流の旋回力を向上させることを目的とする。
【解決手段】固定式旋回翼10は、円筒管11と旋回翼構造体12とを備える。旋回翼構造体12は、内側筒体13、旋回流発生翼14及び乱流発生段部15により構成する。乱流発生段部15は、旋回流発生翼14の最上流端部14Bに対応する軸方向位置で円筒管11の内壁面11Aから径方向内向きに突出させる。この構成によれば、乱流発生段部15により旋回流発生翼14の上流側に乱流を発生させることができるので、旋回流を形成せずに翼間通路16を通り抜ける水流が減少する。従って、少数の旋回流発生翼14でも旋回流を十分に発生させることができ、翼間通路16の開口面積を大きくして異物の詰まりを抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体に旋回流を発生させる固定式旋回翼、該固定式旋回翼を用いた気泡発生装置及び風呂給湯装置に関する。
従来技術として、例えば特許文献1に記載されているように、固定式旋回翼を用いることにより、有機廃液を旋回させて有機物を分解する装置や、水を旋回させて空気を破砕することにより気泡を発生する気泡発生装置が知られている。ここで、液体中に気体を均等に混合したり、微細気泡を発生させる手段としては、ベンチュリー式、キャビテーション式、加圧溶解式、旋回流式等が知られている。ベンチュリー式は、液体の流路にくびれ部分(絞り)を設け、当該くびれ部分で流速が上昇して負圧が形成される現象を利用して、外部からくびれ部分に空気を吸込んで微細気泡を発生させる。キャビテーション式は、例えばポンプ内に気液混合体を送り込んで超音波振動を与えることにより、キャビテーションを利用して気泡を発生させる。
また、加圧溶解式は、コンプレッサ等により加圧した空気を液中に溶解し、この液体の減圧開放時に気泡が再析出する現象を利用するもので、加圧溶解式の装置は大型化するが、大量の気体を溶解させることが可能である。また、旋回流式では、液体の旋回流を形成し、この旋回流を気体と合一させることにより、旋回流を利用して気体をせん断破砕し、微細気泡を発生させる。旋回流式の例としては、有機廃液等を旋回させて有機物分解をする装置や、旋回流により発生させた空気を利用する水浄化装置が知られている。
上記の気泡発生装置、有機物分解装置、水浄化装置等においては、装置としての機能を向上させるために、微細かつ多量の気泡を発生させることが重要である。この場合、液体の流量が比較的少ない装置においては、微細かつ多量の気泡を発生させるために旋回流式が用いられることが多い。旋回流式としては、円錐状の流路壁面に対して拡径側の接線方向から水流を導入し、当該流路壁面に沿って水流を旋回させる円錐面方式と、固定された翼により水流を旋回させて旋回流を形成する旋回翼方式とが知られている。これらの方式を比較した場合、旋回翼方式の方が圧損を抑制した状態で微細かつ多量の気泡を発生させることができる。
特許第4019154号公報
上述した従来技術では、旋回翼方式により発生する旋回流の旋回力を出来るだけ大きくしたいという要求がある。旋回力を向上させる手段としては、翼の大きさや枚数を増加させる方法が知られている。しかしながら、翼の大きさを増加させると、翼間の隙間(流体の流路)が相対的に狭くなるので、毛髪等の異物が前記隙間に詰まり易くなるという問題がある。また、異物の詰まりを抑制するために翼の枚数を減らして翼間の隙間を拡大すると、この隙間を通過する水流(即ち、翼から旋回力を受けずに隙間を素通りする水流)が増えることになり、水流の旋回力が低下するという問題がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、異物の詰まりを抑制しつつ、水流の旋回力を向上させることが可能な固定式旋回翼、該固定式旋回翼を用いた気泡発生装置及び風呂給湯装置を提供することを目的とする。
本発明に係る固定式旋回翼は、流体が軸方向に流通する配管通路の少なくとも一部を構成する円筒管と、円筒管の内周側で径方向内向きに突出する部材であって、円筒管の上流側から下流側に向けて軸方向に延在しつつ周方向に沿って略螺旋状に傾斜する傾斜面と、傾斜面のうち最も上流側に位置する最上流端部とを有する旋回流発生翼と、旋回流発生翼の最上流端部に対応する軸方向位置で円筒管の内壁面から径方向内向きに突出した乱流発生段部と、を備えている。
本発明によれば、乱流発生段部は、旋回流発生翼の上流側に乱流を発生させることができる。この乱流により、旋回流発生翼の位置に誘導される水流を増加させ、旋回流発生翼と接触せずに当該翼の脇を通過する水流を相対的に減少させることができる。即ち、旋回流に寄与しない水流を減少させることができるので、固定式旋回翼による旋回流の発生能力を向上させることができる。これにより、例えば少数の旋回流発生翼を円筒管内に配置しただけでも、旋回流を十分に発生させることができ、円筒管内で旋回流発生翼以外の位置に形成される隙間流路の開口面積を大きく設定することができる。従って、異物が前記隙間流路に詰まるのを抑制しつつ、水流の旋回力を確保することができ、固定式旋回翼を安定的に作動させることができる。
本発明の実施の形態1による気泡発生装置を模式的に示す断面図である。 図1中に示す固定式旋回翼の旋回翼構造体を単体で示す斜視図である。 固定式旋回翼を中心軸線に沿って破断した状態を示す断面図である。 固定式旋回翼を上流側からみた正面図である。 旋回流発生翼と乱流発生段部との位置関係の設定例を示す説明図である。 図5中の各設定例により実現される気泡発生装置の吸気量を示す特性線図である。 本発明の実施の形態2による固定式旋回翼を示す断面図である。 本発明の実施の形態3による固定式旋回翼の旋回翼構造体を単体で示す斜視図である。 図8中の旋回翼構造体を上流側からみた正面図である。 本発明の実施の形態4による固定式旋回翼の旋回翼構造体を単体で示す斜視図である。 本発明の実施の形態5による貯湯式給湯機を示す構成図である。
実施の形態1.
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。なお、本明細書で使用する各図においては、共通する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。図1は、本発明の実施の形態1による気泡発生装置を模式的に示す断面図である。この図に示すように、気泡発生装置1は、水(流体)が流通する配管通路Pに設置されるもので、固定式旋回翼10、縮径部2、空気導入部3及び気泡発生部4を備えている。固定式旋回翼10は、配管通路P内を流れる水に旋回流を発生させるもので、その構成については後述する。
縮径部2は、固定式旋回翼10により発生させた旋回流の半径を縮小して旋回流を高速化するもので、固定式旋回翼10(円筒管11)の下流側に同軸に接続され、この接続部位から略円錐状に縮径している。空気導入部3は、縮径部2の下流側(最縮径部)に径方向外側から空気を導入するための通路であり、縮径部2の下流側に設けられている。気泡発生部4は、例えば流入側が略円錐状に縮径した円筒管等により形成され、縮径部2の下流側に同軸に接続されている。気泡発生部4は、固定式旋回翼10により発生させた旋回流と、空気導入部3から導入された空気とを利用して、水中に微細気泡を発生させる。
次に、気泡発生装置1の基本的な動作について説明する。まず、配管通路P内を軸方向に流れる水が固定式旋回翼10の円筒管11に流入すると、この水流には、固定式旋回翼10の作用により旋回流が発生する。円筒管11から流出した旋回流は、縮径部2を通過することにより旋回半径が縮小しつつ、旋回方向の流速が上昇する。この結果、縮径部2と空気導入部3との間には圧力差(負圧)が生じるので、縮径部2の下流側には、前記圧力差により空気導入部3から空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、旋回流が合一する位置で旋回流によりせん断され、気泡発生部4内に微細気泡を発生させる。
次に、図2乃至図4を参照しつつ、固定式旋回翼10の構成について説明する。図2は、図1中に示す固定式旋回翼の旋回翼構造体を単体で示す斜視図である。また、図3は、固定式旋回翼を中心軸線に沿って破断した状態を示す断面図(縦断面図)であり、図4は、固定式旋回翼を上流側からみた正面図である。これらの図に示すように、固定式旋回翼10は、配管通路Pの途中に同軸に接続されて配管通路Pの少なくとも一部を構成する円筒管11と、円筒管11の内周側に設けられた旋回翼構造体12とを備えている。円筒管11は、図3に示すように、軸方向の両側が開口した筒状に形成されており、内壁面11Aを有している。そして、円筒管11の軸方向の一端側(上流側)は流体の流入端となり、軸方向の他端側(下流側)は流体の流出端となっている。
また、旋回翼構造体12は、内側筒体13、旋回流発生翼14及び乱流発生段部15を備えている。内側筒体13は、円筒管11の内周側に旋回流発生翼14を固定し、乱流発生段部15を形成するための部材である。内側筒体13は、円筒管11よりも小径な円筒状に形成され、円筒管11の内周側に回転を規制した状態で同軸に嵌合されている。旋回流発生翼14は、円筒管11内を軸方向に流通する水に旋回力を付与して旋回流を発生させるもので、図2及び図3に示すように、断面が略円弧状に湾曲した板材により形成され、内側筒体13の内壁面13Aから径方向内向きに突出している。
また、旋回流発生翼14は、円筒管11(内側筒体13)の上流側から下流側に向けて軸方向に延在しつつ周方向に沿って略螺旋状に傾斜する傾斜面14Aと、傾斜面14Aのうち最も上流側に位置する最上流端部14Bとを有している。そして、旋回流発生翼14の断面形状は、図3に示すように、最上流端部14Bに近い上流側の部位が水流の方向(円筒管11の軸方向)に沿って延在し、最上流端部14Bから離れるにつれて水流と垂直な方向に立上がるように湾曲している。
一方、旋回流発生翼14は、図4に示すように、例えば円筒管11の周方向に90°の間隔をもって2枚配置され、これら2枚の旋回流発生翼14は、それぞれ円筒管11の軸方向からみて約90°の中心角を有している。これにより、旋回流発生翼14の間には、円筒管11の軸方向からみて約90°の中心角を有する略扇形状の隙間流路(翼間流路)16が形成されている。なお、本実施の形態では、2枚の旋回流発生翼14を用いる場合を例示したが、本発明はこれに限らず、内側筒体13の内周側に1枚の旋回流発生翼または3枚以上の旋回流発生翼を突設する構成としてもよい。また、本発明において、旋回流発生翼14及び翼間流路16の中心角は、90°に限定されるものではなく、任意の適切な角度に設定すればよいものである。さらに、内側筒体13、旋回流発生翼14及び乱流発生段部15は、樹脂材料等により一体成形してもよい。
乱流発生段部15は、図3に示すように、旋回流発生翼14の上流側で乱流を発生させるもので、円筒管11の内壁面11Aから径方向内向きに突出している。なお、本実施の形態では、内側筒体13の軸方向の端面により乱流発生段部15を構成した場合を例示しており、乱流発生段部15は、円筒管11の全周にわたって環状に延在している。また、乱流発生段部15は、円筒管11内での軸方向位置が旋回流発生翼14の最上流端部14Bと等しくなるか、または、最上流端部14Bよりも上流側となるように配置されている。なお、図1及び図3では、乱流発生段部15を最上流端部14Bよりも上流側に配置した場合を例示している。
次に、本実施の形態による固定式旋回翼10の作動について説明する。まず、円筒管11に流入した水は、基本的に、内側筒体13の内壁面13A及び旋回流発生翼14の傾斜面14Aにより周方向に案内されて旋回流となる。この旋回流は、翼間流路16を介して旋回流発生翼14の下流側に流出する。このとき、円筒管11の内壁面11Aの近傍を流れる水流は、図3に示すように、乱流発生段部15に衝突し、旋回流発生翼14の上流側に乱流を発生させる。この乱流は、旋回流発生翼14の最上流端部14Bの近傍を流れる水流や、旋回流発生翼14の上流側から翼間流路16に向けて流れる水流の流れに乱れを生じさせる。
この結果、円筒管11の内部を流れる水流のうち、旋回流発生翼14の最上流端部14Bに接触して傾斜面14Aに誘導される水流は増加し、旋回流発生翼14と接触せずに翼間流路16を通過する水流は、相対的に減少する傾向が生じる。即ち、乱流発生段部15によれば、翼間流路16を軸方向に通り抜けて旋回流に寄与しない水流を減少させることができるので、旋回流発生翼14による旋回流の発生能力を向上させ、水流の旋回力を増加させることができる。これにより、例えば90°程度の中心角を有する旋回流発生翼14を2枚配置しただけでも、旋回流を十分に発生させることができ、翼間流路16の開口面積(中心角)を大きく設定することができる。
従って、本実施の形態によれば、水中に異物が存在する環境でも、異物が翼間流路16に詰まるのを抑制しつつ、水流の旋回力を確保することができ、固定式旋回翼10を安定的に作動させることができる。この結果、旋回流を利用して微細気泡を安定的に発生させ、気泡発生装置1の性能及び信頼性を向上させることができる。
次に、図5及び図6を参照して、旋回流発生翼14と乱流発生段部15との位置関係について説明する。図5は、旋回流発生翼と乱流発生段部との位置関係の設定例を示す説明図である。また、図6は、図5中の各設定例により実現される気泡発生装置の吸気量を示す特性線図である。なお、図5及び図6は、旋回流発生翼14の翼長(円筒管11の軸方向における旋回流発生翼14の寸法)を6mmに設定した場合を例示している。また、図5中に例示した軸方向距離Lは、円筒管11の軸方向における旋回流発生翼14の最上流端部14Bと乱流発生段部15との間の距離として定義される。さらに、図6において、気泡発生装置1の吸気量(mL/min)とは、気泡発生装置1の作動時に空気導入部3から吸い込まれる空気の流量を示している。
図6に示すように、気泡発生装置1の吸気量は、軸方向距離Lが翼長と等しい場合に最大となり、軸方向距離Lが大きくなるほど減少する傾向がある。この傾向は、軸方向距離Lが大きくなると、乱流発生段部15で発生した乱流が旋回流発生翼14に到達するまでに整流されて乱流の効果が減少することを意味している。また、軸方向距離Lが翼長よりも小さい場合、即ち、乱流発生段部15が旋回流発生翼14の最上流端部14Bよりも下流側に配置されている場合には、乱流発生段部15で発生した乱流が最上流端部14B(傾斜面14A)に対して十分に作用しない。
従って、乱流発生段部15は、図5中に実線で示すように、最上流端部14Bと等しい軸方向位置に配置するのが最適である。また、構造上の制約等により最適な配置が難しい場合には、少なくとも乱流発生段部15を最上流端部14Bに対して上流側に配置し、かつ、軸方向距離Lを可能な限り小さく設定するのが好ましい。上記配置によれば、乱流発生段部15で発生した乱流を最上流端部14Bの近傍の水流に効果的に作用させることができ、乱流発生段部15の機能を最大限に発揮させることができる。
また、本実施の形態によれば、内側筒体13の内周側に旋回流発生翼14を設け、内側筒体13の端面により乱流発生段部15を構成している。これにより、例えば内側筒体13、旋回流発生翼14及び乱流発生段部15を、旋回翼構造体12として単一の部品により形成することができ、固定式旋回翼10の構造を簡略化して組立性を向上させることができる。また、内側筒体13を用いることにより、円筒管11の内部に環状の乱流発生段部15を容易に形成することができ、当該段部の加工性を向上させることができる。また、乱流発生段部15を環状に形成することにより、円筒管11の全周にわたって乱流を安定的に発生させ、乱流の効果を最大限に発揮させることができる。
実施の形態2.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、乱流発生段部を円筒管の内壁面に突設したことを特徴としている。図7は、本発明の実施の形態2による固定式旋回翼を示す断面図である。この図に示すように、本実施の形態による固定式旋回翼20では、内側筒体13を使用せず、円筒管11の内壁面11Aに旋回流発生翼14′及び環状の乱流発生段部21を突設している。
ここで、旋回流発生翼14′は、前記実施の形態1の旋回流発生翼14とほぼ同様に構成され、傾斜面14A′及び最上流端部14B′を有している。しかし、旋回流発生翼14′の外径寸法は、旋回流発生翼14と比較して、内側筒体13が存在しない分だけ大きく形成されている。また、乱流発生段部21は、円筒管11の全周にわたって内壁面11Aから径方向内向きに突出している。
このように構成される本実施の形態でも、前記実施の形態1とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、内側筒体13を使用しない分だけ、旋回流発生翼14の外径寸法を大きくすることができ、旋回流の発生能力を向上させることができる。
実施の形態3.
次に、図8及び図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、乱流発生段部を円弧状に形成したことを特徴としている。図8は、本発明の実施の形態3による固定式旋回翼の旋回翼構造体を単体で示す斜視図である。また、図9は、図8中の旋回翼構造体を上流側からみた正面図である。これらの図に示すように、本実施の形態による固定式旋回翼30は、前記実施の形態1とほぼ同様に、円筒管11(図3参照)の内周側に嵌合される内側筒体31を備えている。内側筒体31の全長のうちの上流部分は、例えば周方向の2箇所で径方向内向きに屈曲しており、この部分は、内側筒体31の内周側に突出した2枚の旋回流発生翼32を形成している。
旋回流発生翼32は、実施の形態1の旋回流発生翼14とほぼ同様に構成され、傾斜面32A及び最上流端部32Bを有している。また、内側筒体31の全周のうち各旋回流発生翼32の間に位置する2箇所の部分は、径方向に屈曲することなく軸方向に延在しており、これらの部分の端面は、例えば2個の乱流発生段部33を構成している。乱流発生段部33は、円筒管11の内壁面11Aに沿って延びる円弧状の突起として形成され、内壁面11Aから径方向内向きに突出するように構成されている。また、各乱流発生段部33は、旋回流発生翼32の上流側で、かつ、円筒管11の周方向において各翼間流路16に対応する位置にそれぞれ配置されている。
このように構成される本実施の形態でも、旋回流発生翼32と接触せずに翼間流路16を通過しようとする水流に対して、乱流発生段部33で発生した乱流を作用させることができ、前記実施の形態1とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態4.
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態は、乱流発生段部に窪み部を設けたことを特徴としている。図10は、本発明の実施の形態4による固定式旋回翼の旋回翼構造体を単体で示す斜視図である。この図に示すように、本実施の形態による固定式旋回翼40では、乱流発生段部15に例えば2個の窪み部41が設けられている。窪み部41は、例えば矩形状の凹溝として形成され、円筒管11の上流側に面した乱流発生段部15の表面から下流側に向けて軸方向に窪んでいる。また、窪み部41は、各旋回流発生翼14の傾斜面14Aの上流側(好ましくは、各旋回流発生翼14の最上流端部14Bが内側筒体13の内壁面13Aと接続される位置)にそれぞれ配置されている。なお、図10では、窪み部41を最上流端部14Bから少しずれた位置に形成した場合を例示している。
窪み部41によれば、次のような作用効果を得ることができる。まず、円筒管11の周縁部を流れる水流は、乱流発生段部15の位置と比較して圧力損失が小さい窪み部41に流入し易くなる。この水流は、窪み部41から旋回流発生翼14の傾斜面14A(最上流端部14B)に誘導され、傾斜面14Aに沿って流通しつつ旋回流を形成する。このように、窪み部41は、周囲の水流を旋回流発生翼14の傾斜面14Aに誘導するので、傾斜面14Aに沿って流れる水流を増加させることができる。従って、実施の形態1の効果に加えて、旋回流の発生能力を更に向上させることができる。
また、窪み部41から傾斜面14Aに誘導された水流は、傾斜面14Aに沿って流れる距離が長いほど、大きな旋回力を付与される。このため、窪み部41の形成位置は、円筒管11の軸方向(上流側)からみて、旋回流発生翼14の最上流端部14Bと重なり合う位置(最上流端部14Bが内側筒体13の内壁面13Aと接続される位置)に設定するのが最適である。また、構造上の制約等により最適な配置が難しい場合には、少なくとも最上流端部14Bと窪み部41とが形成する中心角が45°以内となるような位置に窪み部41を形成するのが好ましい。これにより、窪み部41による水流の誘導効果を最大限に発揮させることができる。
実施の形態5.
次に、図11を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1乃至4の何れかによる固定式旋回翼を備えた気泡発生装置を、風呂給湯装置としての貯湯式給湯機に適用したことを特徴としている。図11は、本発明の実施の形態5による貯湯式給湯機を示す構成図である。本実施の形態による貯湯式給湯機50は、ヒートポンプユニット51、貯湯タンク52、沸き上げ回路53、循環熱交換器55、追焚き回路56、浴槽58、風呂側循環回路59、気泡発生装置70等を備えている。
ヒートポンプユニット51は、例えば圧縮機、空気冷媒熱交換器、膨張弁、水冷媒熱交換器、冷媒循環配管等を備えており、冷媒サイクル(ヒートポンプサイクル)を構成している。ヒートポンプユニット51と貯湯タンク52とは、両者間に湯水を循環させる沸き上げ回路53を介して互いに接続されており、沸き上げ回路53は、沸き上げ循環ポンプ54を備えている。ヒートポンプユニット51は、貯湯タンク52の下部から沸き上げ回路53を介して取出した低温水を加熱して高温水を生成し、この高温水を沸き上げ回路53から貯湯タンク52の上部に流入させる。
貯湯タンク52と循環熱交換器55の1次側とは、両者間に湯水を循環させる追焚き回路56を介して互いに接続されており、追焚き回路56は、追焚き循環ポンプ57を備えている。また、循環熱交換器55の2次側と浴槽58とは、両者間に湯水を循環させる風呂側循環回路59を介して互いに接続されている。風呂側循環回路59は、冷めた浴槽水を浴槽58から流出させる行き管60と、循環熱交換器55により加熱された浴槽水を浴槽58に戻す戻り管61と、例えば行き管60に設けられた風呂側循環ポンプ62とを備えている。
気泡発生装置70は、例えば図1に示す気泡発生装置1と同様の構成を有し、実施の形態1乃至4で例示した固定式旋回翼10,20,30,40の何れかを備えている。そして、気泡発生装置70は、図11に示すように、戻り管61に設置されている。戻り管61は、図1中の配管通路Pと同様の構成により、気泡発生装置70に接続されている。また、戻り管61は、気泡発生装置70の下流側で浴槽58の壁面部に取付けられた浴槽アダプタ80に接続されている。
次に、気泡発生装置70の動作について説明する。まず、給湯機の追焚き運転時には、追焚き循環ポンプ57及び風呂側循環ポンプ62が作動する。これにより、貯湯タンク52内に貯留された高温水は、循環熱交換器55の1次側を流通しつつ、追焚き回路56を循環する。また、浴槽58内で冷えた浴槽水は、行き管60を介して循環熱交換器55の2次側に導入され、1次側の高温水と熱交換することにより加熱された後に、戻り管61及び気泡発生装置70を介して浴槽58に戻される。この浴槽水が気泡発生装置70を通過するときには、気泡発生装置70により浴槽水中に微細気泡が発生され、浴槽58には、暖められた浴槽水と共に微細気泡が放出される。
このように構成される本実施の形態によれば、気泡発生装置70により浴槽58内に微細気泡を安定的に放出することができる。そして、微細気泡が人体に付着することにより、入浴時の熱が体から放散するのを抑制する効果(温浴効果)を得ることができる。また、気泡発生装置70は、実施の形態1乃至4で述べた固定式旋回翼10,20,30,40の何れかを搭載している。このため、少数の旋回流発生翼14により旋回流を十分に発生させることができ、浴槽58内に多量の微細気泡を効率よく放出することができる。また、浴槽水に異物として混入し易い毛髪等が固定式旋回翼に到達した場合でも、前述のように大きな開口面積を有する翼間流路16から毛髪等の異物を円滑に排出することができ、毛髪が固定式旋回翼の内部に詰まるのを抑制することができる。
なお、前記実施の形態1乃至4では、乱流発生段部15,21,33を環状に形成するか、または、翼間流路16とほぼ等しい中心角をもって円弧状に形成する場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、乱流発生段部は、円筒管11の軸方向(上流側)からみて、少なくとも翼間流路16と重なり合う位置に形成すればよく、旋回流発生翼14,14′,32と重なり合う位置における乱流発生段部の有無及び寸法は、自由に設定してよいものである。
また、前記実施の形態1乃至5では、固定式旋回翼10,20,30,40を気泡発生装置1,70や貯湯式給湯機50に適用する場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば気泡の発生機能をもたせなくても、流体に旋回流を発生させる各種の装置に適用することができる。また、前記実施の形態1乃至5では、それぞれの構成を個別に説明した。しかし、本発明は、各実施の形態の構成に限定されるものではなく、実施の形態1乃至5で例示した各構成のうち、組合わせ可能な複数の構成を組合わせて実現されるシステムも含むものである。
1,70 気泡発生装置
2 縮径部
3 空気導入部
4 気泡発生部
10,20,30,40 固定式旋回翼
11 円筒管
11A,13A 内壁面
12 旋回翼構造体
13,31 内側筒体
14,14′,32 旋回流発生翼
14A,14A′,32A 傾斜面
14B,14B′,32B 最上流端部
15,21,33 乱流発生段部
16 翼間流路
41 窪み部
50 貯湯式給湯機(風呂給湯装置)
51 ヒートポンプユニット
52 貯湯タンク
56 追焚き回路
58 浴槽
59 風呂側循環回路
60 行き管
61 戻り管
62 風呂側循環ポンプ
80 浴槽アダプタ
P 配管通路
本発明に係る固定式旋回翼は、流体が軸方向に流通する配管通路の少なくとも一部を構成する円筒管と、円筒管の内周側で径方向内向きに突出する部材であって、円筒管の上流側から下流側に向けて軸方向に延在しつつ周方向に沿って略螺旋状に傾斜する傾斜面と、傾斜面のうち最も上流側に位置する最上流端部とを有し、円筒管の周方向に間隔をもって配置された複数の旋回流発生翼と、旋回流発生翼の最上流端部に対応する軸方向位置で円筒管の内壁面から径方向内向きに突出した乱流発生段部と、を備え、乱流発生段部は、円筒管の軸方向において旋回流発生翼の最上流端部と等しい位置か、または最上流端部よりも上流側であって乱流発生段部と最上流端部との軸方向距離が旋回流発生翼の軸方向の寸法よりも小さくなる位置に配置し、かつ、乱流発生段部は、各旋回流発生翼の間に形成された複数の隙間に対応する位置にそれぞれ配置されて周方向に延在しつつ互いに周方向の間隔を有し、円筒管の内壁面から径方向内向きに突出した複数の円弧状段部により構成している。
次に、図5及び図6を参照して、旋回流発生翼14と乱流発生段部15との位置関係について説明する。図5は、旋回流発生翼と乱流発生段部との位置関係の設定例を示す説明図である。また、図6は、図5中の各設定例により実現される気泡発生装置の吸気量を示す特性線図である。なお、図5及び図6は、旋回流発生翼14の翼長(円筒管11の軸方向における旋回流発生翼14の寸法)を6mmに設定した場合を例示している。また、図5中に例示した軸方向距離Lは、円筒管11の軸方向における旋回流発生翼14の下流側の端部と乱流発生段部15との間の距離として定義される。さらに、図6において、気泡発生装置1の吸気量(mL/min)とは、気泡発生装置1の作動時に空気導入部3から吸い込まれる空気の流量を示している。

Claims (10)

  1. 流体が軸方向に流通する配管通路の少なくとも一部を構成する円筒管と、
    前記円筒管の内周側で径方向内向きに突出する部材であって、前記円筒管の上流側から下流側に向けて軸方向に延在しつつ周方向に沿って略螺旋状に傾斜する傾斜面と、前記傾斜面のうち最も上流側に位置する最上流端部とを有する旋回流発生翼と、
    前記旋回流発生翼の最上流端部に対応する軸方向位置で前記円筒管の内壁面から径方向内向きに突出した乱流発生段部と、
    を備えた固定式旋回翼。
  2. 前記乱流発生段部は、前記円筒管内での軸方向位置が前記旋回流発生翼の最上流端部と等しくなるか、または前記最上流端部よりも上流側となるように配置してなる請求項1に記載の固定式旋回翼。
  3. 前記乱流発生段部は、前記円筒管の内壁面に全周にわたって設けられた環状の段部により構成してなる請求項1または2に記載の固定式旋回翼。
  4. 前記円筒管の内周側には、軸方向の端面が前記乱流発生段部を構成すると共に内周側に前記旋回流発生翼が突設された内側筒体を設けてなる請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の固定式旋回翼。
  5. 前記旋回流発生翼は、前記円筒管の周方向に間隔をもって複数配置し、前記乱流発生段部は、少なくとも前記各旋回流発生翼間の隙間に対応する位置で前記円筒管の周方向に延在しつつ、前記円筒管の内壁面から径方向内向きに突出した複数の円弧状段部により構成してなる請求項1または2に記載の固定式旋回翼。
  6. 前記旋回流発生翼は、前記円筒管の周方向に90°の間隔をもって2枚配置し、当該2枚の旋回流発生翼は、それぞれ前記円筒管の軸方向からみて90°の中心角を有する構成としてなる請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の固定式旋回翼。
  7. 前記乱流発生段部には、前記旋回流発生翼の傾斜面の上流側に配置され、上流側から下流側に向けて軸方向に窪んだ窪み部を設けてなる請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の固定式旋回翼。
  8. 前記窪み部は、前記円筒管の軸方向からみて、前記旋回流発生翼の最上流端部と前記窪み部とが形成する中心角が45°以内となるように配置してなる請求項7に記載の固定式旋回翼。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の固定式旋回翼を備え、
    前記固定式旋回翼により発生した旋回流に空気を導入して気泡を発生する構成とした気泡発生装置。
  10. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の固定式旋回翼と、
    前記固定式旋回翼により発生した旋回流に空気を導入して気泡を発生する気泡発生装置と、を備え、
    前記気泡発生装置により浴槽内に気泡を供給する構成とした風呂給湯装置。
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