JP2014024013A - 海水などの淡水化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有効塩素などが出来るだけ生成しないようにして淡水化を行なうことが出来る海水などの淡水化方法を提供しようとするもの。
【解決手段】海水などの被処理水(1)を有隔膜の電極相互間に通水して淡水化する方法であって、前記隔膜としてカチオン透過膜(4)を用いて被処理水中のイオンを分離するようにした。この海水などの淡水化方法は、海水などの被処理水を有隔膜の電極相互間に通水して淡水化するものであるが、隔膜としてカチオン透過膜を用いて被処理水中のイオンを分離するようにしたので、陰極側の塩化物イオンや臭素イオンなどの陽極側への移動を回避することにより、有効塩素(Cl2、HOCl、ClO−)や有効臭素(Br2、HOBr、BrO−)などの発生を抑制することが出来る。
【選択図】図1
Description
すなわち、逆浸透法による海水淡水化技術は、水不足に悩む世界各地で広く用いられている。逆浸透法により得られる淡水は、海水のうちの逆浸透膜を透過した部分であるが、逆浸透膜を透過しなかった部分は、海水の2倍程度の塩濃度を有する濃縮塩水として海域へ投棄されるのが通常である。
しかし、近年の環境意識の高まりから、濃縮塩水の投棄が困難になりつつある。また、濃縮塩水を焼却処分するのには多大なコストがかかってしまい現実的とは言えない。そのため、濃縮塩水の処分が逆浸透法による淡水化を進めるうえでの大きな障害になってきた。
一方、食塩電解法では、天然の天日塩や岩塩を水に溶解してほぼ飽和の高濃度塩水とし、この高濃度塩水を精製して純度をppbオーダーまで高めることで食塩電解に利用している。仮に天日塩に含まれる不純物が残存したままの低純度の高濃度塩水を用いると、イオン交換膜に致命的なダメージを与えたり、食塩電解から得られる苛性ソーダの純度が低下して苛性ソーダを用いて製造される製品の性能が低下したりする。
海水は各種の成分が比較的低濃度で溶解した状態にあり、また天日塩における結晶化のような自然の精製工程も経ていない。そのため、不純物の除去と濃縮の困難さから、従来海水を食塩電解法の原料に用いることは行われていなかった。
ここで、食塩電解法に関するものではないが、塩水の利用率が高くて放流水の量が少なく、かつ放流水中の塩濃度が低くて薬害のおそれがなく、塩水からミネラルを含む塩を生産しつつ飲料水を製造することができる方法として、原海水が処理槽で磁気力の作用およびオゾンの注入により発生した凝集物質が濾過されて逆浸透膜モジュールに供給され、モジュールから排出される濃縮塩水が電気透析槽に供給され、電気透析槽から排出される濃縮塩水が蒸発器に供給され、蒸発器では濃縮塩水を蒸発させて固形塩を乾固させ、電気透析槽から排出される脱塩水は逆浸透膜モジュールに戻され、逆浸透膜モジュールから排出される透過水および蒸発器により得られる蒸発水が飲料水として供給される方法が開示されている。
本提案は、海水のような低濃度塩水を用いた逆浸透法による淡水化により、廃棄物として発生する濃縮塩水を有効利用して廃棄物の量を大幅に低減化し、合わせて海水から得られた結晶化塩または高濃度塩水を、食塩電解法の原料として用いることができるようにする塩水の処理方法を提供することを課題とし、低濃度塩水を逆浸透法により第1段濃縮し、次に電気透析法により第2段濃縮し、次に蒸発法により第3段濃縮して、得られた高濃度塩水または塩結晶を用いて食塩電解法により電解処理し、前記電解処理により濃度が低下した塩水を前記蒸発法により再濃縮して、再び前記食塩電解法により電解処理することを特徴とする塩水の処理方法である。
低濃度塩水を用いた逆浸透法による淡水化に伴い発生する廃棄物の量を、大幅に低減化できる。また、炭水化と同時に食塩電解に利用できるレベルの高純度の高濃度塩水が得られるから、淡水化と食塩電解を合わせたプラントが効率的に運転でき、必要な原料コストも大幅に低減化できる、というものである。
しかし、有効塩素が発生してしまうという問題があった。
(1)この発明の海水などの淡水化方法は、海水などの被処理水を有隔膜の電極相互間に通水して淡水化する方法であって、前記隔膜としてカチオン透過膜を用いて被処理水中のイオンを分離するようにしたことを特徴とする。
淡水化の対象である被処理水として、海水の他に、食塩を含む工場廃水その他の排水を例示することが出来る。
淡水化のため被処理水から分離する対象として、陽イオン(例えば、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン)、陰イオン(例えば、塩化物イオン、フッ素イオン、臭素イオン)を挙げることができ、処理の態様として、海水や食塩含有水の脱塩・軟化などを例示することが出来る。
前記カチオン透過膜(カチオンを選択的に透過する膜)として、高分子カチオン膜や導電性セラミックス膜を例示することが出来る。このカチオン透過膜により、陽極側の陽イオン(ナトリウムイオンなど)が陰極側へと移行していくことになる。一方、陰極側の陰イオン(塩化物イオンなど)の陽極側への移動は抑止されることになる。
また、電極相互間に海水などの被処理水を通水するようにしたので、陽極側で水素イオンが発生してもこれが過剰にならないうちに処理系外へと排出することが出来、電極間に過剰な電流が流れることを抑制することが出来る。
処理後の水をpH調製して、中性に持っていくようにしてもよい。
電極への電圧印加時に経時的に電流値が増大していく傾向(定電圧制御)や、経時的に電圧値が増大していく傾向(定電流制御)が認められたが、このように構成すると、前記傾向を抑制することができ、例えば高電圧・低電流(定電圧制御)で効率良く被処理水の淡水化を行なうことが出来る。
例えば、スイッチング電源の直流電圧の印加のON−OFFを断続的に反復して、高周波でパルス状になるように制御(1秒間にON−OFF−ON−OFF…を15回など)することが出来る。このようにすると、定電圧制御をしていて電流値が経時的に増大していくことはなく、また定電流制御をしていて電圧値が経時的に増大していくことはなく、電圧×電流の電力量を低く抑えることが出来、電気代を節減することが出来る。
このように構成すると、電極への電圧印加時に経時的に電流値が増大していき電圧値が減少していく傾向を、被処理水の状況を監視することによって抑制することができ、高電圧・低電流で効率良く被処理水の淡水化を行なうことが出来る。そして、電圧の印加の中断により電流値が減少すると、再度電圧を印加するようにすることが出来る。
このように構成すると、スイッチング電源の制御値をブースターによって電力消費量を低減するように制御することができる。また、スイッチング電源の個数を減らして設備費を節約することが出来る。
有効塩素や有効臭素などの発生を抑制することが出来るので、有効塩素などが出来るだけ生成しないようにして淡水化を行なうことが出来る海水などの淡水化方法を提供することが出来る。
以下、この発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、この実施形態の海水などの淡水化方法は、海水などの被処理水1(この実施例では井戸水)を有隔膜の電極(陽極2と陰極3)相互間に通水して淡水化する方法であって、前記隔膜としてカチオン透過膜4を用いて被処理水中のイオンを分離するようにした。
1)地下から調製槽5に汲み上げられた井戸水は、ポンプPで一旦フィルターを通して不純物を除去した後、第一電解分離通路6(図示中央部)に供給する。
2)第一電解分離通路6では、ナトリウムイオンを電気的引力でカチオン透過膜4を介してその陰極3側に移動させる。一方、陰極3側の塩化物イオンは、電気的引力で陽極2側に誘引されても、カチオン透過膜4に抑止されて陽極2側には移動しない。
3)第一電解分離通路6の陰極3側のナトリウム水は、第二電解分離通路7(図示右側)に通すことにより、カチオン透過膜4を介して陽極2側の淡水8と陰極3側のナトリウムイオン濃縮水9に分離される。
4)第一電解分離通路6の陽極2側の水は、第三電解分離通路10(図示左側)に通すことにより、カチオン透過膜4を介して陽極2側の淡水8と陰極3側のナトリウムイオン濃縮水9に分離する。
5)淡水8を飲料の用途で使用する場合は、さらにRO膜11に通して濾過する。
この海水などの淡水化方法は、海水などの被処理水1を有隔膜の電極相互間に通水して淡水化するものであるが、隔膜としてカチオン透過膜4を用いて被処理水中のイオンを分離するようにしたので、陰極3側の塩化物イオン(Cl−)や臭素イオン(Br−)などの陽極2側への移動を回避することにより、回避した分 有効塩素(Cl2、HOCl、ClO−)や有効臭素(Br2、HOBr、BrO−)などの発生を抑制することが出来(前記回避分の 2Cl−−2e−→Cl2 の生成を阻止)、有効塩素などが出来るだけ生成しないようにして淡水化を行なうことが出来るという利点がある。
また、電極相互間に海水などの被処理水1を通水するようにしたので、陽極2側で水素イオンが発生してもこれが過剰にならないうちに処理系外へと排出することが出来、電極間に過剰な電流が流れることを抑制することが出来るという利点がある。
この実施例では、前記電極への電圧の印加は、間欠的(図示せず)に行なうようにした。
したがって、電極への電圧印加時に経時的に電流値が増大していく傾向(定電圧制御)や、経時的に電圧値が増大していく傾向(定電流制御)が認められたが、このように構成すると、前記傾向を抑制することができ、例えば高電圧・低電流(定電圧制御)で効率良く被処理水1の淡水化を行なうことが出来るという利点がある。
例えば、スイッチング電源の直流電圧の印加のON−OFFを断続的に反復して、高周波でパルス状になるように制御(1秒間にON−OFF−ON−OFF…を15回など)することが出来る。このようにすると、定電圧制御をしていて電流値が経時的に増大していくことはなく、また定電流制御をしていて電圧値が経時的に増大していくことはなく、電圧×電流の電力量を低く抑えることが出来、電気代を節減することが出来る。
この実施例では、前記電極に流れる電流値が増加傾向になることを検知して電圧の印加を一時中断するよう制御(図示せず)するようにした。
したがって、電極への電圧印加時に経時的に電流値が増大していき電圧値が減少していく傾向を、被処理水1の状況を監視することによって抑制することができ、高電圧・低電流で効率良く被処理水1の淡水化を行なうことが出来る。そして、電圧の印加の中断により電流値が減少すると、再度電圧を印加するようにすることが出来るという利点がある。
この実施例では、前記電極に電圧を印加するスイッチング電源の制御値を、ブースターによって電圧値を高めて電流値を下げるようにした。
したがって、スイッチング電源の制御値をブースターによって電力消費量を低減するように制御することができる。また、スイッチング電源の個数を減らして設備費を節約することが出来るという利点がある。
2 カチオン透過膜
Claims (5)
- 海水などの被処理水(1)を有隔膜の電極相互間に通水して淡水化する方法であって、前記隔膜としてカチオン透過膜(4)を用いて被処理水中のイオンを分離するようにしたことを特徴とする海水などの淡水化方法。
- 前記電極への電圧の印加を間欠的に行なうようにした請求項1記載の海水などの淡水化方法。
- 前記電極に流れる電流値が増加傾向になることを検知して電圧の印加を一時中断するよう制御するようにした請求項1又は2記載の海水などの淡水化方法。
- 前記電極に電圧を印加するスイッチング電源の制御値を、ブースターによって電圧値を高めて電流値を下げるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の淡水化方法。
- 前記カチオン透過膜4として、導電性セラミックス膜を用いるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の海水などの淡水化方法。
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- 2012-07-27 JP JP2012166461A patent/JP2014024013A/ja active Pending
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