JP2014022972A - 電子透かし埋め込み装置、電子透かし検出装置、及び電子透かし埋め込み方法、電子透かし検出方法、並びにプログラム - Google Patents

電子透かし埋め込み装置、電子透かし検出装置、及び電子透かし埋め込み方法、電子透かし検出方法、並びにプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】電子透かしの検出の信頼性を落とさず、また電子透かしを視覚的に目立たせることもなく、より多くの情報を埋め込むことのできる電子透かし埋め込み装置を提供する。
【解決手段】電子透かし埋め込み装置1において、埋め込み系列生成部10は、埋め込み情報を、変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えて情報系列を生成し、拡散系列に基づいて、生成した情報系列を変位させて埋め込み系列を生成する。パターン重畳部40は、埋め込み系列に基づいて入力信号に対して電子透かしを重畳して透かし埋め込み済み信号I’を出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像、映像信号などの信号に対し、透かしを知覚されないように埋め込み、また、透かしの埋め込まれた信号からこの透かしを読み取るための電子透かし埋め込み装置、電子透かし検出装置、方法及びプログラムに関する。
近年、デジタルコンテンツに対し電子透かしを埋め込むことで、デジタルコンテンツの著作権保護を行ったり、デジタルコンテンツに関する著作権情報などのメタデータを参照したりする技術が実現されている。また、電子透かしが埋め込まれたデジタルコンテンツが、テレビのコマーシャルメッセージあるいは印刷物などのアナログ媒体を通じて広告として提供され、このデジタルコンテンツをデジタルカメラなどで撮影し、電子透かしを読み取ることで広告に関連した情報をユーザに取得させたりするといったサービスも実現されている。
(静止画電子透かし)
静止画像に電子透かしを埋め込む方法としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1においては、擬似乱数によって生成した埋め込み系列を画像の直交変換領域(例えば、フーリエ変換領域)の実部および虚部に埋め込んでおき、埋め込み系列と検出系列の相関を用いて電子透かしの検出を行うスペクトル拡散型の電子透かし方式が開示されている。
(動画電子透かし)
映像信号に電子透かしを埋め込む方法としては、例えば、特許文献2に記載の技術が知られている。特許文献2においては、擬似乱数によって生成した埋め込み系列を時間方向周期信号によって変調して映像に重畳しておき、埋め込み系列と検出系列の複素相関を用いて電子透かしの検出を行うスペクトル拡散型の電子透かし方式が開示されている。
特開2003−219148号公報 国際公開第2007/102403号
ところで、特許文献2には、nビットの埋め込み情報をm倍の長さに拡散し、拡散された各ビットをN−1次元の空間上の複素数の実部と虚部に対応させることで、N−1次元空間上のm/2個の複素数を用いて元の1ビットの情報を埋め込む技術が開示されている。この技術において、信号に埋め込む情報を増やすためには、N−1次元空間上で埋め込みに用いる位置を増やす必要がある。すなわち、N−1次元の複素配列の配列数を増加させて、埋め込みに用いる複素数を増やす必要がある。
しかしながら、埋め込みに用いる複素数を増やすということは、埋め込みパターンのN−1次元空間上での空間周波数のより高い周波数領域を用いることになる。高い周波数の領域を用いる場合、再撮影などをすることにより解像度が落ちた場合に電子透かしの検出が困難になり、また電子透かしが視覚的に目立ちやすくなってしまうなどの問題がある。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、電子透かしを埋め込む際に、電子透かしの検出の信頼性を落とさず、また電子透かしを視覚的に目立たせることもなく、より多くの情報を埋め込むことのできる電子透かし埋め込み装置、電子透かし検出装置、方法及びプログラムを提供することにある。
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、埋め込み情報を電子透かしとして人間の知覚に感知されないように入力信号に対して埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、前記埋め込み情報の全体、または前記埋め込み情報を任意の長さに分割した各部分を、変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えて情報系列を生成し、拡散系列に基づいて、生成した前記情報系列を変位させて埋め込み系列を生成する埋め込み系列生成部と、前記埋め込み系列に基づいて前記入力信号に対して電子透かしを重畳して電子透かし埋め込み済み信号を生成するパターン重畳部と、を備えることを特徴とする電子透かし埋め込み装置である。
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値は、複素数であり、前記埋め込み系列生成部は、前記埋め込み情報の全体、または前記埋め込み情報を任意の長さに分割した各部分であるシンボルを、K種(Kは、3以上の整数)の異なる複素数の値に含まれるいずれかの予め対応付けられる複素数に置き換えて複素数の情報系列を生成し、生成した前記複素数の情報系列の各要素と複素数の拡散系列の各要素に基づいて前記複素数の情報系列の位相または偏角を変位させて埋め込み系列を生成することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記入力信号は、N(Nは、2以上の整数)以上の次元を有する信号であり、前記埋め込み系列生成部が生成した前記埋め込み系列に基づいてN−1次元の埋め込みパターンを生成する埋め込みパターン生成部と、前記N−1次元の埋め込みパターンに含まれる値に基づいて変調を行いN次元の透かし情報パターンを生成する変調部と、を備え、前記パターン重畳部は、前記入力信号に対して前記N次元の透かし情報パターンを重畳して電子透かし埋め込み済み信号を生成することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記入力信号は、N(Nは、2以上の整数)以上の次元を有する信号であり、前記埋め込み系列生成部が生成した前記埋め込み系列に基づいてN−1次元の埋め込みパターンを生成する埋め込みパターン生成部を備え、前記パターン重畳部は、直交変換された前記入力信号に前記埋め込みパターンを重畳した信号を生成し、前記重畳した信号を直交逆変換して電子透かし埋め込み済み信号を生成することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、埋め込み情報を変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値の組に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えることにより生成された情報系列と拡散系列とに基づいて生成された電子透かしを入力信号から検出する電子透かし検出装置であって、前記入力信号から変位によって変化する値の検出系列を生成する検出系列抽出部と、前記検出系列と前記拡散系列に基づいて相関値を算出する相関値計算部と、前記相関値と、前記K種の異なる値のそれぞれを区分する境界とに基づいて埋め込まれている情報系列を判定する透かし判定部と、を備えることを特徴とする電子透かし検出装置である。
また、本発明の一態様は、上記に記載の発明において、前記変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値は、複素数であり、前記透かし判定部は、前記異なる複素数の値ごとに算出される前記相関値を変位させて同じ方向に向かせて前記相関値の総和を算出し、算出した前記相関値の総和の位相に基づいて新たに定められる前記K種の異なる複素数の値を区分する境界に基づいて埋め込まれている情報系列を判定することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、埋め込み情報を電子透かしとして人間の知覚に感知されないように入力信号に対して埋め込む電子透かし埋め込み方法であって、埋め込み系列生成部が、前記埋め込み情報の全体、または前記埋め込み情報を任意の長さに分割した各部分を、変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えて情報系列を生成し、拡散系列に基づいて、生成した前記情報系列を変位させて埋め込み系列を生成するステップと、パターン重畳部が、前記埋め込み系列に基づいて前記入力信号に対して電子透かしを重畳して電子透かし埋め込み済み信号を生成するステップと、を含むことを特徴とする電子透かし埋め込み方法である。
また、本発明の一態様は、埋め込み情報を変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値の組に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えることにより生成された情報系列と拡散系列とに基づいて生成された電子透かしを入力信号から検出する電子透かし検出方法であって、検出系列抽出部が、前記入力信号から変位によって変化する値の検出系列を生成するステップと、相関値計算部が、前記検出系列と前記拡散系列に基づいて相関値を算出するステップと、透かし判定部が、前記相関値と、前記K種の異なる値のそれぞれを区分する境界とに基づいて埋め込まれている情報系列を判定するステップと、を含むことを特徴とする電子透かし検出方法である。
また、本発明の一態様は、埋め込み情報を電子透かしとして人間の知覚に感知されないように入力信号に対して埋め込むコンピュータに、前記埋め込み情報の全体、または前記埋め込み情報を任意の長さに分割した各部分を、変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えて情報系列を生成し、拡散系列に基づいて、生成した前記情報系列を変位させて埋め込み系列を生成するステップと、前記埋め込み系列に基づいて前記入力信号に対して電子透かしを重畳して電子透かし埋め込み済み信号を生成するステップと、を実行させるためのプログラムである。
また、本発明の一態様は、埋め込み情報を変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値の組に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えることにより生成された情報系列と拡散系列とに基づいて生成された電子透かしを入力信号から検出するコンピュータに、前記入力信号から変位によって変化する値の検出系列を生成するステップと、前記検出系列と前記拡散系列に基づいて相関値を算出するステップと、前記相関値と、前記K種の異なる値のそれぞれを区分する境界とに基づいて埋め込まれている情報系列を判定するステップと、を実行させるためのプログラムである。
この発明によれば、電子透かしを埋め込む際に、電子透かしの検出の信頼性を落とさず、また電子透かしを視覚的に目立たせることもなく、より多くの情報を埋め込むことが可能となる。
本発明の第1実施形態による電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態による電子透かし埋め込み装置の埋め込み系列生成部の内部構成を示すブロック図である。 同実施形態による電子透かし埋め込みの処理を示したフローチャートである。 同実施形態によるシンボルと複素数の対応付け(その1)を示した図である。 同実施形態によるシンボルと複素数の対応付け(その2)を示した図である。 同実施形態による埋め込み系列の配列への設定例を示した図である。 同実施形態による他のパターン重畳を行う電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態による電子透かし検出の処理を示したフローチャートである。 同実施形態による相関値の分布の例(その1)を示した図である。 同実施形態による相関値の分布の例(その2)を示した図である。 同実施形態による相関値の位相同期の例を示した図である。 第2実施形態による電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。 第2実施形態による電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。 第3実施形態による電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。 第3実施形態による電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。 第4実施形態による電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態による電子透かし埋め込み装置の埋め込み系列生成部の内部構成を示すブロック図である。 第4実施形態による電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態では、電子透かしとして入力信号に埋め込む埋め込み情報を分割した部分列をシンボルとする。そして、各々のシンボルに異なる複素数を割り当てることにより複素情報系列を生成し、生成した複素情報系列に基づいて電子透かしを埋め込みまた電子透かしの検出を行う構成を示す。
(第1実施形態の電子透かし埋め込み装置)
図1は、第1実施形態による電子透かし埋め込み装置1の概略ブロック図である。電子透かし埋め込み装置1は、埋め込み系列生成部10と、埋め込みパターン生成部20と、時間変調部30と、パターン重畳部40を備えている。
電子透かし埋め込み装置1において、埋め込み系列生成部10は、埋め込み情報Uを入力し、埋め込み系列wを出力する。埋め込みパターン生成部20は、埋め込み系列生成部10が生成した埋め込み系列wを入力し、埋め込み系列wに基づいて生成した埋め込みパターンVを出力する。時間変調部30は、埋め込みパターンVを入力し、埋め込みパターンVに基づいて生成した透かし映像パターンWを出力する。パターン重畳部40は、透かし埋め込み対象映像Iと、時間変調部30が生成した透かし映像パターンWとを入力し、透かし埋め込み対象映像Iに透かし映像パターンWを重畳した透かし埋め込み済み映像I’を生成して出力する。
図2は、埋め込み系列生成部10の内部ブロックを示した図である。埋め込み系列生成部10は、複素情報系列生成部11と、埋め込み系列計算部12を備えている。
埋め込み系列生成部10において、複素情報系列生成部11は、埋め込み情報Uを入力し、入力した埋め込み情報Uに基づいて生成した複素情報系列sを出力する。埋め込み系列計算部12は、複素情報系列生成部11が生成した複素情報系列sを入力し、複素情報系列sに基づいて算出した埋め込み系列wを出力する。
なお、埋め込み情報Uおよび透かし埋め込み対象映像Iの入力は、外部の記憶装置に記憶されているものを読み出して入力するか、あるいは外部の装置が出力した情報を入力するなどのように構成することができる。また、埋め込み系列w、埋め込みパターンV,透かし映像パターンW、複素情報系列sは、各機能部の間で直接入出力する構成の他、メモリ等の記憶手段を介するような構成であってもよい。すなわち、それぞれの機能部によって、これらの情報が生成されたときに、生成の処理を行った機能部が電子透かし埋め込み装置1に備えられるメモリなどの記憶手段に生成した情報を書き込み、次段の機能部がそれを読み出すことによって処理されるようにしてもよい。
次に、図3を参照しつつ、電子透かし埋め込み装置1による電子透かし埋め込みの処理について説明する。
埋め込み系列生成部10は、埋め込みを行う埋め込み情報Uを入力し、長さLの複素数の系列である埋め込み系列wを生成する(ステップS101:埋め込み系列生成ステップ)。埋め込み系列生成ステップは、ステップS1011とステップS1012の2段階を有する。
(ステップS1011の処理:複素情報系列の生成)
複素情報系列生成部11が埋め込み情報Uに基づいて複素情報系列sを生成して出力する。以下、ステップS1011における複素情報系列生成部11による複素情報系列の生成について詳細に説明する。
まず、埋め込み情報Uが、nビットから構成される情報、例えば、b,b,…,b,…,bであり、b∈{−1,1}である場合について説明する。
(1)複素情報系列生成部11が、入力したnビットの埋め込み情報Uを、k個のシンボルS,S,…,Sに分割する。ここで、シンボルとは、それぞれ埋め込み情報Uのうちの一部分の情報を表し、実際の電子透かし埋め込みの処理単位となる情報である。全てのシンボルが同じ数、例えば、gビットずつであってもよいし、各シンボルが異なるビット数で構成されていてもよい。例えば、埋め込み情報Uが64ビット長の2進数値で与えられたとき、2ビットずつの情報に区切って2ビットの情報の各々をシンボルとしてもよい。
(2)次に、複素情報系列生成部11が、k個のシンボルS,S,…,Sに対し、それぞれ複素数を割り当て、k個の複素数の列s,s,…,sを生成する。シンボルSに割り当てる複素数sは、各シンボルがgビットで構成されている場合、Sに対応するビット値b,bh+1,…,bh+g−1の組み合わせに応じたそれぞれ異なる位相を有する複素数となる。gビットを1シンボルで表している場合、2種の複素数をシンボル値として用いることになる。
例えば、埋め込み情報Uがn=2kビットの場合、ビット値b2i−1,b2iがシンボルSに対応しているとき、Sに対応する複素数sを下記の式(1)のように定めることができる。
Figure 2014022972
ここで、jは虚数単位である。式(1)に基づくシンボルと複素数の対応付けを複素平面でみた場合、シンボルSに対応する複素数sは、図4(a)のように示されることになる。
他の複素数の定め方として、埋め込み情報Uが、n=3kビットの場合、ビット値b3i−2,b3i−1,b3iがシンボルSに対応しているとき、Sに対応する複素数sを図4(b)のようにビット値の組に応じて複素数の位相を変えるようにして定めることができる。
なお、図4(b)のように定めた場合、互いに位相が隣接するシンボルの複素数に対応するビット値が、高々1ビットしか異ならないように、グレイコードを用いて表現してもよい。このように表現した場合、検出時にエラーが発生した場合のビットエラーレートを低く抑えることが可能となる。
また、上記の例において、k=1としてnビットの情報を1つのシンボルで表現するようにすることもできる。このとき、1つのシンボルで2種類の複素数が表現されることになる。
さらに、他の複素数の定め方として、埋め込み情報Uをt進数に変換し、t進数の1桁を1シンボルに割り当てるようにしてもよい。例えば、埋め込み情報Uを3進数で表現する。3進数は、0、1、2のいずれかの数値で示されるので、これらの数値に図5に示すように3種類の複素数を割り当てておく。そして、3進数で表された埋め込み情報Uの一桁t∈{0,1,2}を1シンボルを割り当てるようにすれば、3種類の複素数をシンボルに対応する複素数として定めることができる。
以上の手順により、ステップS1011において複素情報系列生成部11が、{s,s,…,s}を複素情報系列sとして生成して出力する。
なお、埋め込み情報Uは、上述したビット構成、すなわちb,b,…,b,…,bは、b∈{−1,1}に限られるものではなく、他のビット構成、例えば、一般的な0と1からなるビット構成などであっても複素情報系列sを生成することは可能である。
(ステップS1012の処理:埋め込み系列の生成)
次に、埋め込み系列計算部12が、複素情報系列生成部11が出力した複素情報系列sを入力し、入力した複素情報系列sを擬似乱数列で拡散して埋め込み系列wを算出して出力する。以下、埋め込み系列計算部12による埋め込み系列wの算出について詳細に説明する。
(1)埋め込み系列計算部12は、入力した複素情報系列であるsを複素数の擬似乱数列PN={PN,PN,…,PNmk}で拡散して埋め込み系列wを算出する。
具体的には、まず、長さkの複素情報系列s,s,…,sから、各複素数をm回ずつ繰り返した式(2)によって表される系列s(m)を生成する。このとき、上述した埋め込み系列wの長さLは、L=mkとなる。
Figure 2014022972
次に、埋め込み系列計算部12は、埋め込み系列w={w,w,…,wmk}をs(m)とPNの要素ごとの積として式(3)のように算出する。
Figure 2014022972
なお、複素数の擬似乱数列PNは、M系列やGOLD系列から得られる値を用いて生成することができる。また、擬似乱数列PNは、処理の際に演算によって生成する構成の他、予め演算によって生成しておき、内部のメモリ等の記憶手段に予め記憶させておいたものを読み出すことによって利用する構成であってもよい。
(埋め込み系列の他の表現形式)
なお、埋め込み系列wは、上記の複素情報系列sおよび埋め込み系列wを複素数値の系列で表す形式に限られず、埋め込みを行う透かし情報に応じて定めることができる系列であれば他の形式で表すこともできる。例えば、各々の複素数の偏角を表す値の列で表すという形式がある。複素情報系列s、埋め込み系列w、擬似乱数列PNのそれぞれの列が下式(4)のような複素数値で表されるとする。
Figure 2014022972
複素数の偏角の値の列で表す複素情報系列^s、埋め込み系列^w、擬似乱数列^PNは、複素数の偏角、θ、φ、ψを用いて式(5)のように表されることになる。
Figure 2014022972
なお、^s、^w、^PNは、それぞれ式(5)の左辺の文字に対応する文字であり、「^」の記号は、本明細書中において「^C」のように記載した場合、式(5)の左辺のように文字「C」の上に「^」が記載されているものであると解釈するものとする。また、前述したφは、次の式(6)の文字と同じギリシャ文字のファイであり、本明細書中ではφとして記載するが、式中に示される(6)の文字と同じ意味として解釈するものとする。
Figure 2014022972
複素数の偏角で表した場合、埋め込み系列^wの算出は、次式(7)のように行われる。
Figure 2014022972
上記のように、複素情報系列sとしては、シンボルごとの位相もしくは方向を表す値の列であればどのような値を用いてもよい。
また、擬似乱数列PNは、複素情報系列sを拡散するための拡散系列であり、拡散系列の要素毎の位相もしくは方向をあらわす値の列であればどのような値を用いてもよい。
また、埋め込み系列wは、擬似乱数列PNの位相もしくは方向を、複素情報系列sの位相もしくは方向によって要素毎に変化させることで得られる系列であればどのような値で表現されていてもよい。
(ステップS102の処理:埋め込みパターンの生成)
次に、図3に戻り、埋め込みパターン生成部20が、埋め込み系列生成部10が生成した埋め込み系列wに基づいて埋め込みパターンVを生成する(ステップS102)。以下、ステップS102を3つの段階(ステップS102−1、S102−2、S102−3)に分けて説明する。
(ステップS102−1)
最初に、埋め込みパターン生成部20は、大きさX×X×…×XN−1のN−1次元複素配列の領域を確保する。ここで、X,X,…,XN−1はあらかじめ定められた要素数である。
(ステップS102−2)
次に、埋め込みパターン生成部20は、埋め込み系列wから、順に1つずつ、合計M個の値を読み出し、N−1次元複素配列のM個の配列の位置[0,0,…,0]から順に、読み出した値を配列の要素値として配列に値を書き込んで設定していく。すなわち、複素配列が、A[p,p,…p,…,pN−1](p≧0)であり、埋め込み系列wが、w,w,…,wである場合には、下式(8)のようになる。また、図6は、2次元の複素配列の場合の配列への値の設定例を示した図である。
Figure 2014022972
(ステップS102−3)
埋め込みパターン生成部20は、ステップS102−2において生成した複素配列を埋め込みパターンVとして出力する。
なお、複素配列への埋め込み系列の値の設定は、上記の式(8)や図6で示した構成に限られるものではなく、複素配列の中で埋め込み系列の値を設定する要素を選択的に行うようにしてもよい。例えば、複素配列の中で値を設定する要素部位をあらかじめ選択しておき、その要素部位に対して埋め込み系列の値を順に並べて設定するようにし、それ以外の要素の値を0にするようにしてもよい。
また、埋め込み系列の値を複素配列へ設定する前、すなわちステップS102−2の前に、各埋め込み系列の順序を擬似乱数に基づいてランダムな順序に入れ替えるようにしてもよい。順序を入れ替えることにより、埋め込まれている情報の不正な解析や、書き換えなどの攻撃を困難にすることができるとともに、インタリーブ符号化としての効果や、透かし埋め込み済み映像Iに対する局所的な耐性の不均衡を防ぐという効果も奏する。この構成は、順序の入れ替えに使用する擬似乱数の種の値を電子透かし埋め込みの鍵として与え、同一の鍵を電子透かしの検出時に使用するなどの構成により実現することもできる。
また、埋め込み系列wの順序の入れ替えを行う代わりに、ステップS102−2で得られた複素配列、すなわち埋め込み系列wを設定した後の複素配列の要素を入れ替えるようにしてもよい。
また、上記のステップS102−3において、複素配列を空間方向、すなわちN−1次元の方向で周波数変換してから埋め込みパターンVとして出力するようにしてもよい。このとき、ステップS102−2において埋め込み系列wの値を設定する要素を選択的に行った場合は、埋め込みに用いる空間方向での周波数を特定の周波数係数に限って、要素の選択を行うことになる。
(ステップS103の処理:時間変調)
次に、時間変調部30は、埋め込みパターン生成部20が生成した埋め込みパターンVを時間軸方向で変調して透かし映像パターンWを生成する(ステップS103)。時間変調の処理は、例えば、以下に説明する特許文献2に記載されている時間変調部の処理を適用することができる。
(1)時間変調部30が、同一の基本周波数を有する直交する2つの周期信号を生成する。例えば、1つの周期信号を基にそれぞれ位相が90°、すなわち1/4周期分異なるように2つの周期信号を生成する。
(2)時間変調部30が、入力した埋め込みパターンVの実部、虚部を(1)で生成した2つの周期信号によってそれぞれ時間方向に変調する。具体的には、埋め込みパターンVの位置ごとの値の実部、虚部の値を、(1)で生成した周期信号を搬送波として、AM(Amplitude Modulation)変調してN次元のパターンに変換する。
(3)時間変調部30が、変調した2つの信号を加算して透かし映像パターンWを生成する。
なお、上記(1)で2つの周期信号を生成するのに用いる周期信号は、1周期分積分した結果が0となり、自己相関関数が鋭敏なピークを示さないものであればよく、具体的には、正弦波、三角波、矩形波などを適用することができる。
以下、N=3の映像信号、すなわち3次元の入力信号に対し周期信号として正弦波f(t)、f(t)を用いて時間変調を行い、透かし映像パターンWを生成する手順を説明する。正弦波f(t)、f(t)を次式(9)とする。
Figure 2014022972
このとき、透かし映像パターンWは、式(10)として表される。
Figure 2014022972
ただし、式(10)においてωは周期Tに対応する角速度で、ω=2π/Tである。なお、式(10)における記号(11)と記号(12)は、それぞれCの実部、虚部を取り出す演算を示す。
Figure 2014022972
Figure 2014022972
なお、これらの処理は、2つの周期信号を表す関数として複素関数f(t)=ejωt=cosωt+jsinωtを用いて式(13)のように行ってもよい。式(13)において、f(*)(t)は、f(t)の共役複素数である。
Figure 2014022972
また、他の時間変調の例として、例えば、特許文献2に示されている以下の2つ手法を適用することができる。
(手法1)手法1は、埋め込みパターンVの値の偏角を用いて、1つの周期関数の位相を変化させるように、例えば、式(14)のような演算を行う手法である。
Figure 2014022972
式(14)において、arg(C)は、Cの偏角の値を算出する演算を表す。この場合、埋め込みパターンVを複素数としてではなく、複素数の偏角を表す実数値として記憶しておくようにしてもよい。
(手法2)手法2は、埋め込みパターンVの値を映像信号におけるN次元目の軸(例えば、時間軸)の特定の周波数に対するフーリエ係数であると見なして、離散逆フーリエ変換して透かし映像パターンWを生成する手法である。
この手法により、透かし映像パターンWの生成を行うことで、埋め込みパターンV上の位置(例えば、空間方向の位置)によってN次元目の方向(例えば、時間方向)の位相がそれぞれ異なるように透かし映像パターンWを生成することができる。
なお、埋め込みパターン生成部20による埋め込みパターン生成ステップS102の処理と、時間変調部30による時間変調ステップS103の処理は、一体として、埋め込み系列wに基づいて透かし映像パターンWを生成するという透かし映像パターン生成の処理とみなすことができる。
(ステップS104の処理:パターンの重畳)
パターン重畳部40は、時間変調部30が生成したN次元の透かし映像パターンWとN次元信号の透かし埋め込み対象映像Iとを入力する。そして、パターン重畳部40は、N次元信号の透かし埋め込み対象映像IにN次元の透かし映像パターンWを加算することで重畳し、重畳した結果のN次元信号を透かし埋め込み済み映像I’として出力する(ステップS104)。
パターン重畳部40による処理は、例えば、特許文献2に記載の埋め込みパターン重畳部の構成を適用することができる。例えば、N次元の透かし埋め込み対象映像Iを、I(x,x,…,xN−1,t)とし、透かし映像パターンWを、W(x,x,…,xN−1,t)とした場合、透かし埋め込み済み映像I’(x,x,…,xN−1,t)は、次式(15)として求められる。
Figure 2014022972
ここで、αは、あらかじめ定められた透かし埋め込みの強度パラメータである。パターン重畳部40は、算出した透かし埋め込み済み映像I’を出力する(ステップS104)。
なお、埋め込みパラメータαは、人間による電子透かしの知覚されやすさに応じて変化するパラメータとして算出されていてもよい。
また、埋め込みを行う対象とする信号成分は、透かし埋め込み対象映像Iの1つの成分であってもよいし、複数の成分であってもよい。例えば、透かし埋め込み対象映像Iの複数の色成分の内の1つであってもよいし複数の成分であってもよい。具体的には、R,G,Bの中の1つまたは複数の成分値であってもよいし、Y,Cb,Crの成分値であってもよく、この他の信号成分の何れかであってもよい。
また、上記の第1実施形態の構成において、透かし埋め込み対象映像Iの大きさが、透かし映像パターンWの大きさよりも大きい場合、透かし映像パターンWを、時間方向や空間方向に繰り返して加算するようにしてもよい。
また、上記の第1実施形態の構成において、ステップS104のパターン重畳部40による処理の前に、透かし映像パターンWを任意の大きさ、もしくは透かし埋め込み対象映像Iの大きさに一致させるように拡大しておいてもよい。当該拡大は、空間方向に拡大してもよいし、時間方向に拡大してもよく、どのようなアルゴリズムを適用してもよい。例えば、拡大した1ブロックに1つの値を対応させて、拡大後のブロックを全て対応する1つの値と同じ値にする手法や、線形補間やバイキュービックなどの公知の補間手法を適用することができる。また、重畳される信号値が量子化によって失われてしまうのを防ぐため、量子化されないような値の大きさを保つよう、空間方向で誤差拡散やディザなどの処理を行うように拡大を行ってもよい。
また、上記の第1実施形態の構成において、パターン重畳部40による処理において、透かし埋め込み対象映像Iの信号値に直接透かし映像パターンWの値を加算するのではなく、透かし埋め込み対象映像Iの所定の特徴量を、透かし映像パターンWの値だけ変更する、あるいはそのスカラー倍だけ変更するように透かし埋め込み対象映像Iを変更することによって重畳を行うようにしてもよい。所定の特徴量としては、例えば、透かし埋め込み対象映像Iのブロックごとの信号値の平均値や周波数変換した周波数係数などがあり、これら以外に、映像、画像の画素の輝度値や色差、RGBの色信号値などを適用することができる。
(その他の透かし重畳手法)
また、第1実施形態においては、埋め込みパターンVを時間変調した透かし映像パターンWを生成した上で、透かし埋め込み対象画像Iに透かし映像パターンWを重畳する例を示したが、当該構成に限られず、例えば、特許文献2に示されている以下の手順による手法を用いてもよい。
図7は、当該手順を行う電子透かし埋め込み装置1’の構成を示した概略ブロック図である。電子透かし埋め込み装置1’は、電子透かし埋め込み装置から時間変調部30を除いた構成となっており、以下、異なる構成であるパターン重畳部40’について説明する。
(1)パターン重畳部40’は、入力する透かし埋め込み対象映像Iをいったん時間方向で周波数変換して変換済み信号を求める。
(2)パターン重畳部40’は、埋め込みパターンVを、変換済み信号の特定周波数係数に重畳して逆変換前信号を求める。すなわち、変換済み信号の一部のN−1次元平面に埋め込みパターンVを重畳する。
(3)パターン重畳部40’は、逆変換前信号を逆周波数変換して、透かし埋め込み済み映像I’を求める。ここで、周波数変換としては、直交変換を行う演算であればよく、例えば離散フーリエ変換が適用できる。
例えば、N=3である透かし埋め込み対象映像Iを時間方向で周波数変換した変換済み信号に対して、時間方向周波数の1.0Hzに対応する周波数係数を取り出すと、2次元の空間位置毎の周波数係数値が並んだ2次元配列が得られる。これに対し、埋め込みパターンVを空間位置毎に加算することで逆変換前信号を得る。これを逆周波数変換して透かし埋め込み済み映像I’を求めることで、時間変調部30において周期が1.0秒である時間方向周期信号を用いて時間変調を行った後、パターン重畳部40により透かし映像パターンWの重畳を行うのと同様の透かし埋め込み済み映像I’を得ることができる。
なお、時間変調部30で用いる周期信号や、パターン重畳部40’で用いる特定周波数は、透かし埋め込み済み映像I’における透かし信号の知覚されやすさを考慮して決定してもよい。すなわち、人の視覚特性により、知覚されやすい(知覚感度の高い)時間方向周波数と知覚されにくい(知覚感度の低い)時間方向周波数があることから、知覚感度の低い時間方向周波数に対して重畳を行うことで、視覚的に目立たない電子透かしを埋め込むことができる。
上記のように、図7に示す電子透かし埋め込み装置1’は、透かし埋め込み対象映像Iを周波数変換した変換済み信号に対して空間位置を指定して埋め込みパターンVを埋め込むことができるため、例えば、知覚感度の低い時間方向周波数の選択を意識した埋め込み等を容易に行うことが可能となる。一方、図1に示す電子透かし埋め込み装置1は、透かし埋め込み対象映像Iを周波数変換する必要がないため、電子透かし埋め込み装置1’に比べて少ない演算量で電子透かしの埋め込みを行うことが可能となる。
また、パターン重畳部40’が、透かし埋め込み対象映像Iに対する周波数の変換を行うのではなく、パターン重畳部40’とは別に周波数変換部を電子透かし埋め込み装置1’が備え、当該周波数変換部が透かし埋め込み対象映像Iを周波数変換してパターン重畳部40’に出力する構成であってもよい。
なお、1シンボルで表現できる複素数の数をKとした場合、上記の実施形態の記載における例の関係は、それぞれ以下の通りの構成となる。すなわち、
K=3:図5に示す3進数の1桁を1シンボルに割り当てる例、
K=4:図4(a)に示す2ビットの1シンボルに割り当てる例、
K=8:図4(b)に示す3ビットを1シンボルに割り当てる例、
K=2:gビットずつを1ビットに割り当てる例、
K=t:t進数のl桁を1シンボルに割り当てる例、
となる。このように、3以上の種類の複素数を1シンボルとして割り当てて複素情報系列を生成することで、特許文献2に記載の技術に比べてより多くのビット値を1シンボルで表現することが可能となる。
上述した第1実施形態の電子透かし埋め込み装置1の構成により、埋め込み情報Uから複素情報系列sを生成し、生成した複素情報系列sと複素数の拡散系列との要素ごとの積を用いて埋め込み系列wを生成する構成とした。これにより、m個の複素数の拡散系列に対して従来よりも多くのビット値を与えることができ、拡散系列の長さが同じ、すなわち複素数として埋め込みのできる位置の個数が同じ場合には、全体として多くの情報を埋め込むことが可能となる。また、拡散系列の全体の長さを同じとした場合、1シンボルに割り当てる拡散系列の長さmを2倍にし、一方で1シンボルで表すビット値を2倍にすれば、mが大きくなると信頼性が増すことから、全体として従来と同じ情報量を信頼性高く埋め込むことが可能となる。すなわち、従来と同じ大きさの複素配列に対して、従来よりも多くの情報を埋め込むことができ、具体的には、映像信号に対して埋め込みの情報量を増加させることが可能となる。また、埋め込みの情報量を増加させずに維持した場合には、信頼性高く埋め込むことが可能となる。
(第1実施形態の電子透かし検出装置)
次に、第1実施形態による電子透かし検出装置2について図面を参照しつつ説明する。
図8は、第1実施形態による電子透かし検出装置2の概略ブロック図である。
電子透かし検出装置2は、時間復調部50と、検出系列抽出部60と、相関値計算部70と、透かし判定部80とを備え、透かし埋め込み済み映像Hを入力し、透かし検出結果Rを出力する。
時間復調部50は、透かし埋め込み済み映像Hを入力し、透かし埋め込み済み映像Hに基づいて生成した複素配列Qを出力する。なお、透かし埋め込み済み映像Hは、電子透かし埋め込み装置1が生成した透かし埋め込み済み映像I’と同じ映像である場合の他、電子透かしが埋め込まれていない映像の場合も含む。検出系列抽出部60は、時間復調部50が生成した複素配列Qを入力し、複素配列Qに基づいて生成した検出系列dを出力する。相関値計算部70は、検出系列抽出部60が生成した検出系列dを入力し、検出系列dに基づいて生成した相関値ρを出力する。透かし判定部80は、相関値ρを入力し、相関値ρに基づいて透かしの有無の判定を行い、シンボルを検出して透かし検出結果Rを出力する。
なお、透かし埋め込み済み映像Hの入力は、外部の記憶装置に記憶されているものを読み出して入力するか、あるいは外部の装置が出力した情報を入力するなどのように構成することができる。また、複素配列Q、検出系列d、相関値ρは、各機能部の間で直接入出力する構成の他、メモリ等の記憶手段を介するような構成であってもよい。すなわち、それぞれの機能部によって、これらの情報が生成されたときに、生成の処理を行った機能部が電子透かし検出装置2に備えられるメモリなどの記憶手段に生成した情報を書き込み、次段の機能部がそれを読み出すことによって処理されるようにしてもよい。
次に、図9を参照しつつ、電子透かしの検出の処理について説明する。
まず、最初に、時間復調部50は、透かし埋め込み済み映像Hを入力し、この透かし埋め込み済み映像Hに対して時間復調の処理を行い複素配列Qを生成する(ステップS201)
時間復調部50は、例えば、特許文献2に記載されている時間復調部の構成を適用することができ、以下のような手順で処理を行う。
(1)時間復調部50は、同一の基本周波数を有する直交する2つの周期信号を生成する。例えば、1つの周期信号を基にそれぞれ位相が90°、すなわち1/4周期分異なるように2つの周期信号を生成する。なお、周期信号については上述した時間変調部30で用いたものを適用することができる。
(2)時間復調部50は、入力した透かし埋め込み済み映像Hの時間方向成分を元に、(1)で生成した2つの周期信号のそれぞれを用いて復調し、2つのN−1次元信号を算出する。
(3)時間復調部50は、(2)で算出した2つのN−1次元信号が、それぞれ実部、虚部となる複素数のN−1次元配列である複素配列Qを生成する。
以下に、N=3の映像信号に対し周期信号として正弦波f(t),f(t)を用いて時間復調を行い、複素配列Qを生成する処理を説明する。まず、透かし埋め込み済み映像HがH(x,x,…,xN−1,t)で表されているとする。正弦波f(t),f(t)を式(16)とする。
Figure 2014022972
このとき、複素配列Q(x,x,…,xN−1)は、次式(17)によって算出される。なお、式(17)においてjは虚数単位である。
Figure 2014022972
なお、上記の構成では、積分演算に基づいて複素配列Qを算出する例を示したが、透かし埋め込み済み映像Hが離散信号として得られている場合は、積和演算により複素配列Qを算出することもできる。また、透かし埋め込み済み映像Hが連続信号として得られている場合であっても任意の標本化手段を用いて離散信号に変換してから処理することもできる。
また、この他の時間復調の例として、例えば、特許文献2に記載されている手法を適用することができる。すなわち、時間復調部50が、入力した透かし埋め込み済み映像Hから所定の区間を取りだし、N次元目の軸(例えば、時間方向)に一次元離散フーリエ変換し、所定の周波数係数を算出して複素配列Qとする手法である。
次に、検出系列抽出部60は、時間復調部50が生成した複素配列Qから抽出して、それぞれ複素数の系列である検出系列dを生成する(ステップS202)。
(1)検出系列抽出部60は、入力した複素配列Qから大きさX×X×…×XN−1のN−1次元複素配列を生成する。ただし、X,X,…,XN−1は、上述した電子透かし埋め込み装置1の埋め込みパターン生成部20が埋め込みパターンVの生成のために確保した配列と同じ要素数である。
透かし埋め込み済み映像Hの大きさがX×X×…×XN−1と等しい場合は、複素配列Qを同じ大きさのX×X×…×XN−1のN−1次元複素配列とすることができる。また、透かし埋め込み済み映像Hの大きさがX×X×…×XN−1と異なる場合は、複素配列Qの大きさもX×X×…×XN−1とは異なってくる場合がある。その場合は、拡大、縮小などの任意の標本化手段を用いて標本化して大きさをX×X×…×XN−1に一致させてN−1次元の複素配列とすることができる。
具体的には、複素配列QをX×X×…×XN−1のブロック数の領域に分割し、各ブロック領域に含まれる値の平均値を求めるようにして縮小する手法などを適用することができる。また、線形補間やバイキュービックなどの公知の補完手法を用いて拡大、縮小を行ってもよい。
(2)検出系列抽出部60は、手順(1)で生成したN−1次元複素配列Qから、順に1つずつ複素数値を読み出し、読み出した複素数値を並べて検出系列dを生成する。例えば、N−1次元複素配列Qが、B[p,p,…p,…,pN−1](p≧0)、検出系列dが、d,d,…,dと表されているとき、式(18)のように抽出されることになる。
Figure 2014022972
また、上述した埋め込みパターン生成部20において、各埋め込み系列wの順序を擬似乱数を用いて、ランダムな順序に入れ替えて埋め込みが行われている場合、上記の手順(2)の後に、擬似乱数を用いて検出系列dの順序を埋め込みパターン生成部20が入れ替えた場合とは逆の順序で入れ替えて、埋め込み系列wの順序に対応付けられる順序に戻しておく必要がある。このとき、順序の入れ替えに使用する擬似乱数の種の値は、電子透かし検出の鍵として、電子透かしの埋め込み時に用いたのと同一の鍵を与えることになる。
次に、相関値計算部70は、検出系列抽出部60が生成した検出系列dを入力し、検出系列dと埋め込みの際に用いた擬似乱数列との相関値を、k個のシンボルの各々に対して算出する(ステップS203)。具体的には以下の手順で処理を行う。
(1)相関値計算部70は、電子透かし埋め込み装置1において埋め込み系列wの生成の処理に用いたのと同じ複素数の擬似乱数列PN={PN,PN,…,PNmk}を用いて処理を行う。当該擬似乱数系列PNの長さは、L=mkであり、電子透かし埋め込み装置1の場合と同じく、処理の際に演算によって生成する構成の他、予め演算によって生成しておき、内部のメモリ等の記憶手段に予め記憶させておいたものを読み出すことによって利用する構成などを適用することができる。
(2)相関値計算部70は、検出系列dをm個ずつに分割する。このとき、j番目の部分系列をd(j)で表す。
(3)相関値計算部70は、d(j)と擬似乱数列PNの対応する部分系列PN(j)との複素相関を算出する。すなわち、j 番目の部分に対する相関値をρ(j)とすると、式(19)のように算出することができる。
Figure 2014022972
ただし、式(19)において「・」は数列をベクトルと見たときの内積演算を表し、Cは複素数Cの共役複素数を表す。
また、後述する参考文献1や3に記載の検出信頼性の評価基準にそろえるため、例えばd(j)およびPN(j)の各要素をあらかじめ平均0、実部、虚部の分散が1となるように正規化した、式(20)で示される検出系列の部分系列、式(21)で示される擬似乱数列の部分系列の値を求めるようにしてもよい。
Figure 2014022972
Figure 2014022972
これらの正規化した検出系列及び擬似乱数列を用いて、式(22)のように相関値の算出の際、定数項を乗じて演算を行うことにより評価基準がそろった相関値を算出することができる。
Figure 2014022972
次に、透かし判定部80は、相関値計算部70が算出した相関値ρを入力し、相関値ρに基づいて判定を行う(ステップS204)。電子透かし検出装置2が入力する透かし埋め込み済み映像Hに電子透かしが埋め込まれている場合と、埋め込まれていない場合では、相関値計算部70が算出するk個の相関値ρ(k)の絶対値に違いが現れる。すなわち、電子透かしが埋め込まれている場合、k個の相関値ρ(k)の絶対値のそれぞれの値が大きな値となり、逆に電子透かしが埋め込まれていない場合には、k個の相関値ρ(k)の絶対値のそれぞれの値が小さな値となる。
したがって、予め定められる所定の閾値を用いて相関値ρ(k)の絶対値が閾値を超えているかどうかを判定することで、透かしが埋め込まれているか否かを判定することができる。なお、k個の相関値ρ(k)のそれぞれの絶対値で判定するのではなく、k個のシンボル全体で判定を行ってもよく、その場合、式(23)で示されるk個の相関値ρ(k)の総和の絶対値を用いて判定を行うようにしてもよい。
Figure 2014022972
また、式(24)で示されるk個の相関値ρ(k)の絶対値の総和を用いて判定を行うようにしてもよい。
Figure 2014022972
なお、上述したように検出信頼性の評価基準をそろえるように相関値を正規化して算出していた場合、求められる誤検出率の上限値に基づいて検出信頼性を評価して閾値を定めておくこともできる。また、特許文献2に示される電子透かし検出装置と同様に、相関値の偏角を用いて時間方向の同期を行うようにしてもよい。
上記の判定によって、透かし判定部80が、電子透かしが埋め込まれていると判定した場合、透かし判定部80は、次に、相関値の位相に基づいて、埋め込まれているシンボルの値を判定し、判定結果のシンボル値を並べて透かし検出結果Rを算出する。以下、シンボルの総数k=1の場合を例として透かし判定部80によるシンボルの値の判定の具体的方法について説明する。
埋め込み系列wの1要素wについて取り出して考えると、前述の埋め込み系列生成部10による埋め込み系列の生成と同じくwは、式(25)として表すことができる。
Figure 2014022972
これを元に生成された透かし映像パターンWを、パターン重畳を行うステップS104で入力信号に重畳することは、式(26)で示されるように埋め込み系列wにノイズ成分Nを加えた透かし入り信号fを得ることと等価である。
Figure 2014022972
また、透かし埋め込み済み映像Hに対し、N次元目の方向(すなわち時間方向)で異なるタイミングから検出を開始した場合は、これはfの位相がずれることを意味するため、その結果、検出系列の要素dは、位相の変位量をφとすると式(27)となる。
Figure 2014022972
上述したように、相関値計算部70によるステップS203の処理では、式(28)のように検出系列dと擬似乱数列PNの複素相関を算出している。
Figure 2014022972
式(28)を、一要素のみについてみると式(29)として表すことができる。
Figure 2014022972
式(29)の右辺の最後の式の第一項はシンボル値sを位相変位量φだけ複素平面状で回転させた値の実数倍となる。一方、擬似乱数列PNが平均0であるように生成されていれば、第二項は平均0のランダムな値となり、式(29)の値は、図10(a)のような値の分布を取ることになる。
相関値ρの算出において、式(29)の各要素の総和をとると、第一項は共通の偏角を有するのに対して、第二項はランダムな偏角となり、結果として図10(b)のような分布となる。
さらに、特許文献2や後述する参考文献3に記載の電子透かし検出装置と同様に、相関値ρの偏角を用いて時間方向の同期を行えば、位相位置をキャンセルした位置に相関値ρを変換することができる。
このように変換した相関値ρに基づいて、透かし判定部80は、シンボルの判定を行う。例えば、複素情報系列sの取りうる値を図4(a)のような4値を取るようにしていた場合、図11(a)に示す4つの領域のいずれかに分布することとなる。図11(a)のように実軸、虚軸をシンボル値境界として設定して、どの領域に相関値ρが属しているかを判定することで、どのシンボル値が埋め込まれていたのかを判定することができる。
また、複素情報系列sの取りうる値を図4(b)のような8値を取るようにしていた場合、図11(b)のような8つの領域のいずれかに分布することとなる。図11(b)のような破線で示すシンボル値境界を設定し、相関値ρの位相を判定することで、どのシンボル値が埋め込まれていたのかを判定することができる。
次に、シンボルの総数がk>1の場合、上述の相関値ρはシンボル毎に求められ、シンボルsに対して相関値ρ(j)が求められる。ρ(j)の分布は図12(a)のように、あらかじめ埋め込まれていたシンボルの値に応じて複数の分布のいずれかを取ることになる。電子透かしの埋め込み時と検出時で、N次元目の方向(すなわち時間方向)の同期がずれていた場合、図12(b)のように位相変位φだけ回転していることになる。
本実施形態の電子透かし検出装置2の透かし判定部80は、1つのシンボルに対する相関値の位相に基づいて多種のシンボル値のいずれであるかを判定する。そのため、シンボル値の種類の数が増加する場合、誤った判定を防ぐため、より高い精度での位相同期を行う必要が生じる。位相の同期は、例えば、次のように行われる。相関値計算ステップで得られた各ρ(j)に対し、以下の(i)、(ii)、(iii)のルールを適用する。
Figure 2014022972
これにより、全てのρ(j)を同じ方向を向けることができ、これらの総和である^ρを算出する。ρ(j)を各々−arg(^ρ)+π/4の値だけ位相を変位させることで、位相の同期を行うことができる。ここで、arg(C)、またはargCは、複素数Cの偏角を求める演算を表す。
さらに、以下のように行うことで、より精度の高い位相同期を行うことができる。
(1)上記の手順により総和である^ρを求める。
(2)ρ(j)に対して以下の(i)、(ii)、(iii)のルールを適用し、適用した後に総和を求め^ρ’とする。
Figure 2014022972
(3)ρ(j)を各々−arg(^ρ)+π/4の値だけ位相を変位させる。
これにより、より精度の高い位相の同期をとることができる。なお、手順(2)で得られた^ρ’を^ρに置き換え、手順(2)を繰り返すようにしてもよい。
すなわち、(1)固定の位相の境界値を用いて相関値を判定して位相変位させた上で総和を求め、(2)総和の位相に基づき新たに得られる境界値を用いて相関値を判定して位相変位させた上で再度総和を求める、という手順を行うことでより精度の高い位相同期が可能となり、検出性能が向上する効果が得られる。
上記の第1実施形態の構成では、4種のシンボル値を一例として説明したが、当該構成に限られず、この他の種類のシンボル値を取る場合でも同様の方法を用いることができる。具体的には、例えば、q種のシンボル値を取る場合には、上記の手順(2)で、ρ(j)について次式(32)を満たすものについてはe−2πρ/qを乗じるようにすればよい。
Figure 2014022972
なお、シンボル値の誤判定に対する耐性を持たせるため、埋め込み情報Uを、あらかじめ誤り訂正符号を用いて符号化して用い、透かし検出結果Rを得た後で誤り訂正復号を行うようにしてもよい。例えば、シンボル値がq種の値である場合に、q元のBCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号やリード・ソロモン符号を用いるようにしてもよい。バースト誤り耐性の高いq元の誤り訂正符号を用いることにより、電子透かしに対して付加されるノイズの特性によって発生する可能性があるシンボル単位での誤判定を軽減することが可能となる。また、相関値ρの絶対値に対する閾値を設け、閾値よりも小さい相関値ρの場合には、そのシンボルについては値が得られなかったとして処理し、例えば消失のある通信路を経た場合の誤り訂正符号等の方式を用いて誤り訂正を行うようにしてもよい。
(第1実施形態の検出の信頼性について)
第1実施形態では、埋め込み系列wがランダムに生成された複素数列となっている。したがって、特許文献2や参考文献2に示されているように、埋め込む複素数列の分散が等しければ検出の信頼性は共通になることが導ける。
特許文献2や参考文献2に記載の技術を用いた参考文献3に記載の技術では、複素数の複素情報系列sを用いず、実数の1と−1の系列を用いて擬似乱数列を埋め込み系列に変換しているため、いわば、1つのシンボルとして1ビットの情報しか表していない。一方、本実施形態の構成では、複素数の複素情報系列sを用いて埋め込み系列wに変換している。
したがって、透かしの埋め込まれていない信号から誤って透かしを検出してしまう確率として表される検出の信頼性を特許文献2や参考文献2に記載の技術と同じ小さな値に保ちつつ、N−1次元空間上で埋め込みに用いる位置を増やすことなく、1つのシンボルに対して複数ビットの情報を表現して電子透かしの埋め込みを行うことができる。
すなわち、従来と同じ大きさの複素配列に対して、検出の信頼性を維持しつつ、従来よりも埋め込みの情報量を増加させることができる。例えば、図4(a)のように1つのシンボルに2ビットの情報を割り当てれば、参考文献3と比較して2倍の情報を埋め込むことが可能となる。また、逆に、従来と同じ大きさの複素配列に対して、従来と同じ情報量を埋め込む場合には、1つのシンボルあたりに対応する埋め込み位置の数、すなわち対応する拡散系列の長さを長くすることができるため、検出の信頼性を高めることができる。
参考文献1:中村高雄、片山淳、山室雅司、曽根原登、「カメラ付き携帯電話機を用いたアナログ画像からの高速電子透かし検出方式」、電子通信学会和文論文誌D-II、2004、Vol. J87-D-II、 No. 12、pp. 2145―2155
参考文献2:山本奏、中村高雄、片山淳、安野貴之、「単一周波数平面スペクトル拡散を利用した時間同期外し耐性を持つ動画電子透かし」,電子通信学会和文論文誌D、2007、Vol. J90-D, No.7, pp. 1755-1764
参考文献3:中村高雄、山本奏、北原亮、片山淳、安野貴之、小池秀樹、曽根原登、「SFPSS 法に基づくリアルタイム検出可能な映像向けモバイル電子透かし」、情報処理学会論文誌、2008、Vol.49、No.6、pp.1885-1895
上記の第1実施形態の構成により、複素数の複素情報系列を用いて、複素情報系列と擬似乱数系列の要素ごとの積を算出することで、擬似乱数系列の要素の値の位相を、複素情報系列の要素の値の位相で変位させた、埋め込み系列を生成することができる。これにより、検出の信頼性を保ったまま、映像信号に対して埋め込みの情報量を増加させた電子透かしの埋め込みが可能となる。また、埋め込みの情報量を増加させずに維持した場合には、検出の信頼性を高めることができるという効果が得られる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。第1実施形態では、電子透かしを映像に埋め込む構成について示したが、第2実施形態では、電子透かしを静止画像に対して埋め込む構成を示す。
図13は、第2実施形態の電子透かし埋め込み装置1aの概略ブロック図である。電子透かし埋め込み装置1aは、埋め込み系列生成部10a、埋め込みパターン生成部20a、空間変調部30a、パターン重畳部40aを備える。
次に、第2実施形態における電子透かしの埋め込みの処理について説明する。第2実施形態の電子透かし埋め込み装置1aの構成は、以下の点で第1実施形態と異なり、それ以外の符号から「a」を除いた符号が第1実施形態の機能部の符号と同じ機能部の構成については第1実施形態と同様である。以下、異なる構成について説明する。
埋め込みパターン生成部20aは、第1実施形態の埋め込みパターン生成部20の構成においてN=2とした構成となる。また、パターン重畳部40aについても、第1実施形態のパターン重畳部40においてN=2次元の画像を対象にパターン重畳を行う構成となる。
空間変調部30aは、第1実施形態の時間変調部30と異なり、埋め込みパターンV1に対して時間方向で変調する代わりに空間方向で変調する。空間方向での変調は、例えば、X 軸方向に並べたN−1=1次元の埋め込みパターンV1を、Y軸方向に周期信号を用いて式(33)のように変調する。
Figure 2014022972
このように変調することにより、N−1=1次元の埋め込みパターンV1上の位置(例えば、X軸方向の位置)によって、N次元目の方向(例えば、Y軸方向)の位相がそれぞれ異なるように式(33)の左辺のW(x,y)、すなわち透かし画像パターンW1を生成することができる。
なお、空間方向での変調は、上記の構成に限られず、この他の変調方法であってもかまわない。例えば、Y軸方向に並べた埋め込みパターンV1を、X軸方向に周期信号を用いて変調してもよいし、斜めの方向に並べた埋め込みパターンV1を別な斜めの方向に変調するようにしてもよい。斜め方向に変調した場合は、検出における空間復調においてその方向で復調を行うことになる。
なお、第1実施形態と同じく、透かし埋め込み対象画像I1を一度、空間方向で周波数変換し、その特定周波数係数に埋め込みパターンV1を重畳した上で、埋め込みパターンV1が重畳された信号を逆周波数変換して透かし埋め込み済み画像I1’を求めるようにしてもよい。
図14は、第2実施形態における電子透かし検出装置2aの概略ブロック図である。
電子透かし検出装置2aは、空間復調部50aと、検出系列抽出部60aと、相関値計算部70aと、透かし判定部80aとを備え、透かし埋め込み済み画像H1を入力し、透かし検出結果R1を出力する。なお、透かし埋め込み済み画像H1は、電子透かし埋め込み装置1aが生成した透かし埋め込み済み画像I1’と同じ映像である場合の他、電子透かしが埋め込まれていない画像の場合も含む。
次に、第2実施形態における電子透かしを検出する処理について説明する。第2実施形態の電子透かし検出装置2aの構成は、以下の点で第1実施形態と異なり、それ以外の符号から「a」を除いた符号が第1実施形態の機能部の符号と同じ機能部の構成については第1実施形態と同様である。以下、異なる構成について説明する。
空間復調部50aは、第1実施形態の時間復調部50と異なり、透かし埋め込み済み画像H1を時間方向で復調する代わりに空間方向で復調する。
空間方向での復調は例えば、N=2次元の透かし埋め込み済み画像H1を、Y軸方向の周期信号を用いて復調し、X軸方向に並んだN−1=1 次元の複素配列Q1を次式(34)の演算により生成する。なお、式(34)においてQ(x)が、複素配列Q1であり、H(x,y)が、透かし埋め込み済み画像H1である。
Figure 2014022972
空間復調部50aによる空間方向での復調は、空間変調部30aでの変調方法に対応する復調となる。例えば、空間変調部30aで、Y軸方向に並べた埋め込みパターンV1を、X軸方向に周期信号を用いて変調している場合は、空間復調部50aは、X軸方向の周期信号を用いて復調してY軸方向に並んだ複素配列Q1を生成する。また、空間変調部30aで、斜めの方向に並べた埋め込みパターンV1を別な斜めの方向に変調するようにしている場合は、空間復調部50aは、2つ目の斜め方向で復調を行う。
空間変調部30aが、Y軸方向に並べた埋め込みパターンV1を、X軸方向に周期信号を用いて変調している場合、X軸方向の変位が行われた場合、例えば、画像の切り取りが行われた場合、位相変位が発生する。また、この他の方向に周期信号を用いて変調している場合は、当該方向の変位が行われた場合に位相変位が発生する。これらの位相変位が生じている場合の同期は、第1実施形態の透かし判定部80による位相同期と同じ方式で行うことができる。
上記の第2実施形態の構成により、静止画像に対する電子透かし埋め込みを行う場合にも、複素数の複素情報系列を用いて、複素情報系列と擬似乱数系列の要素ごとの積を算出することで、擬似乱数系列の要素の値の位相を、複素情報系列の要素の値の位相で変位させた、埋め込み系列を生成することができる。これにより、検出の信頼性を保ったまま、静止画像に対して埋め込みの情報量を増加させた電子透かしの埋め込みが可能となる。また、埋め込みの情報量を増加させずに維持した場合には、検出の信頼性を高めることができるという効果が得られる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。第3実施形態では、第2実施形態と同じく電子透かしを静止画像に対して埋め込む構成を示す。
図15は、第3実施形態の電子透かし埋め込み装置1bの概略ブロック図である。電子透かし埋め込み装置1bは、埋め込み系列生成部10b、埋め込みパターン生成部20b、逆周波数変換部30b、パターン重畳部40bを備える。
次に、第3実施形態における電子透かしの埋め込みの処理について説明する。第3実施形態の電子透かし埋め込み装置1bの構成は、以下の点で第1実施形態と異なり、それ以外の符号から「b」を除いた符号が第1実施形態の機能部の符号と同じ機能部の構成については第1実施形態と同様である。以下、異なる構成について説明する。
埋め込みパターン生成部20bは、逆周波数変換部30bでの処理の結果として得られる透かし画像パターンW2が実数になるように、原点対象位置の値の組が複素共役になるように埋め込みパターンV2を生成する。なお、埋め込みパターンV2は、N−1次元ではなくN次元パターンである。
逆周波数変換部30bは、埋め込みパターン生成部20bが生成した埋め込みパターンV2を逆周波数変換し、透かし画像パターンW2を生成する。逆周波数変換としては、埋め込みパターンV2を周波数係数とみて実空間に変換する直交変換であればよく、例えば、逆離散フーリエ変換を適用してもよい。パターン重畳部40bは、N=2次元の画像を対象にパターン重畳を行う構成のみが第1実施形態のパターン重畳部40と異なる。
なお、第1実施形態と同じく、透かし埋め込み対象画像I2を一度、空間方向で周波数変換し、その特定周波数係数に埋め込みパターンV2を重畳した上で、埋め込みパターンV2が重畳された信号を逆周波数変換して透かし埋め込み済み画像I2’を求めるようにしてもよい。
図16は、第3実施形態における電子透かし検出装置2bの概略ブロック図である。
電子透かし検出装置2bは、周波数変換部50bと、検出系列抽出部60bと、相関値計算部70bと、透かし判定部80bとを備え、透かし埋め込み済み画像H2を入力し、透かし検出結果R2を出力する。なお、透かし埋め込み済み画像H2は、電子透かし埋め込み装置1bが生成した透かし埋め込み済み画像I2’と同じ映像である場合の他、電子透かしが埋め込まれていない画像の場合も含む。
次に、第3実施形態における電子透かしを検出する処理について説明する。第3実施形態の電子透かし検出装置2bの構成は、以下の点で第1実施形態と異なり、それ以外の符号から「b」を除いた符号が第1実施形態の機能部の符号と同じ機能部の構成については第1実施形態と同様である。以下、異なる構成について説明する。
周波数変換部50bは、透かし埋め込み済み画像H2を周波数変換し、複素配列Q2を生成する。周波数変換としては、透かし埋め込み済み画像H2を実空間値とみて周波数空間に変換する直交変換であればよく、例えば、離散フーリエ変換を適用してもよい。
なお、第3実施形態では、第1実施形態や第2実施形態のように共通の位相変位が発生しないため、透かし判定部80bにおいて位相同期は行わない。
上記の第3実施形態の構成により、静止画像に対する電子透かし埋め込みを行う場合にも、複素数の複素情報系列を用いて、複素情報系列と擬似乱数系列の要素ごとの積を算出する。そして、擬似乱数系列の要素の値の位相を、複素情報系列の要素の値の位相で変位させた、埋め込み系列を生成する。これにより、検出の信頼性を保ったまま、静止画像に対して埋め込みの情報量を増加させた電子透かしの埋め込みが可能となる。また、埋め込みの情報量を増加させずに維持した場合には、検出の信頼性を高めることができるという効果が得られる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図面を参照しつつ説明する。第4実施形態は、第1、2、3実施形態の埋め込み系列生成部10、10a、10bが行う埋め込み系列の演算手法とそれに対応する相関値計算部70、70a、70bにおいて別の手法を用いる構成である。
図17は、第4実施形態による電子透かし埋め込み装置1cの概略ブロック図である。電子透かし埋め込み装置1cは、埋め込み系列生成部10cと、埋め込みパターン生成部20cと、時間変調部30cと、パターン重畳部40cを備えている。
図18は、埋め込み系列生成部10cの内部ブロックを示した図である。埋め込み系列生成部10cは、複素情報系列生成部11cと、埋め込み系列計算部12cを備えている。
次に、第4実施形態における電子透かしの埋め込みの処理について説明する。第4実施形態の電子透かし埋め込み装置1cの構成は、以下の点で第1実施形態と異なり、それ以外の符号から「c」を除いた符号が第1実施形態の機能部の符号と同じ機能部の構成については第1実施形態と同様である。以下、異なる構成について説明する。
電子透かし埋め込み装置1cの埋め込み系列計算部12cは、以下の手順により埋め込み系列w3の算出を行う。
複素情報系列生成部11cが生成した複素情報系列s3を複素数の擬似乱数列PN={PN,PN,…,PNLk}で拡散し、長さLの埋め込み系列w3を算出する。ここで、kは、複素情報系列s3の個数(i=1〜k)を示す。具体的には、複素情報系列s3に対して、式(35)で示される埋め込み系列w3(i)を式(36)のように算出する。なお、式(35)において、wが埋め込み系列w3に対応し、式(36)のsは、複素情報系列s3に対応する。
Figure 2014022972
Figure 2014022972
さらに、埋め込み系列w3、すなわちw={w,w,…,w}とするとき、それぞれのwをw(i)の各iについての総和として式(37)のように求める。
Figure 2014022972
なお、複素数の擬似乱数列PNは、M系列やGOLD系列から得られる値を用いて生成することができる。また、擬似乱数列PNは、処理の際に演算によって生成する構成の他、予め演算によって生成しておき、内部のメモリ等の記憶手段に予め記憶させておいたものを読み出すことによって利用する構成であってもよい。
図19は、第4実施形態における電子透かし検出装置2cの概略ブロック図である。
電子透かし検出装置2cは、時間復調部50cと、検出系列抽出部60cと、相関値計算部70cと、透かし判定部80cとを備え、透かし埋め込み済み画像H3を入力し、透かし検出結果R3を出力する。なお、透かし埋め込み済み画像H3は、電子透かし埋め込み装置1cが生成した透かし埋め込み済み画像I3’と同じ映像である場合の他、電子透かしが埋め込まれていない画像の場合も含む。
次に、第4実施形態における電子透かしを検出する処理について説明する。第3実施形態の電子透かし検出装置2cの構成は、以下の点で第1実施形態と異なり、それ以外の符号から「c」を除いた符号が第1実施形態の機能部の符号と同じ機能部の構成については第1実施形態と同様である。以下、異なる構成について説明する。
電子透かし検出装置2cの相関値計算部70cにおける相関値ρ3の算出の手順を以下に説明する。
(1)電子透かし埋め込み装置1cにおいて埋め込み系列の生成の際に用いたものと同じ複素数の擬似乱数列PN={PN,PN,…,PNLk}を用いて処理を行う。当該擬似乱数系列PNの長さは、Lkであり、電子透かし埋め込み装置1cの場合と同じく、処理の際に演算によって生成する構成の他、予め演算によって生成しておき、内部のメモリ等の記憶手段に予め記憶させておいたものを読み出すことによって利用する構成などを適用することができる。
(2)擬似乱数列をL個ずつに分割し、j番目の部分系列をPN(j)とする。
(3)検出系列d3をd=d{d,d,…,d}とし、擬似乱数列の部分系列PN(j)との複素相関を計算する。すなわち、j番目の部分に対する相関値をρ(j)とすると式(38)のように相関値を求めることができる。
Figure 2014022972
ただし、「・」は、数列をベクトルとみたときの内積演算を表し、Cは複素数Cの共役複素数を表す。なお、検出信頼性の評価基準を一致させるため、上述した正規化の手法により正規化した上で演算を行うようにしてもよい。
なお、上記の第4実施形態については、第1実施形態との構成の相違の点について説明したが、第4実施形態の構成は、第2、3実施形態にも同様に適用することができる。
第4実施形態の埋め込み系列の計算方法では、1シンボルが長さLの埋め込み系列全体に拡散することになり、透かし埋め込み対象映像I3の埋め込み系列の一部に対応する成分が、バースト的に大きな値となって電子透かしに対するノイズとなる状況においても、検出の信頼性を高めることができる。
一方、第1実施形態の埋め込み系列の計算方法では、第4実施形態の方法と異なり、1シンボルは埋め込み系列の一部分に対してのみ拡散されることとなるが、埋め込み系列の1つ値は1つのシンボルの値を元に生成され、複数のシンボルの値が混在して表現されることがない。これにより、第4実施形態の方法と比較して、透かし埋め込み済み信号が量子化されるなど、微小な透かし成分が除去されるノイズが加えられた場合に対する耐性が高まるという特性がある。
上記の第1から第4の実施形態の構成により、電子透かし埋め込み装置において、複素数のように位相もしくは方向を持つ値からなる情報系列を用いて、擬似乱数に基づく拡散系列の要素値の位相もしくは方向を、情報系列の値の位相もしくは方向の分だけ変位させ、埋め込み系列を求めてこれを電子透かしとして埋め込むことが可能となる。そして、電子透かし検出装置において、検出系列と拡散系列の複素相関値の位相もしくは方向を、所定のシンボル値境界と比較し、埋め込まれていた情報系列の値を判定することで電子透かしの検出を行うことにより、検出の信頼性を保ったまま、埋め込みの情報量を増加させることが可能となる。
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、映像、画像以外の信号を対象に同様の電子透かし埋め込みおよび電子透かし検出を行うようにしてもよい。例えば、多チャネルを持つ音声信号を対象に同様の電子透かし埋め込みおよび電子透かし検出を行うこともできる。
また、上記の実施形態において複素数を用いている構成は、複素数に限られるものではなく、4元数、8元数、k次元(kは2以上)のベクトルを用いるようにしてもよい。また、位相や偏角を用いている箇所はベクトルの方向や所定の軸(例えば、X、Y、Z軸など)からの角度を用いるようにしてもよい。また、相関値計算においては、4元数や8元数の場合、複素数と同様に共役な数との積和をとってもよい。任意のk次元ベクトルの場合は、複素数、4元数、8元数と同様の積演算を行ってもよいし、ベクトル間の内積を行うようにしてもよい。
また、上記の実施形態において、埋め込み系列生成部での埋め込み情報の処理に先立って誤り訂正符号を用いて埋め込み情報を符号化してもよく、逆に、検出結果の出力に先立って誤り訂正符号を復号するようにしても良い。
また、上記の実施形態において、電子透かし埋め込み装置が出力した電子透かし埋め込み済信号を直接電子透かし検出装置が入力する場合についての記載も行っているが、本発明の構成は当該構成に限られるものではなく、埋め込み済信号を圧縮、符号化、配信、編集、改変などした上で電子透かし検出装置が入力するようにしてもよい。また、埋め込み済信号を磁気媒体、例えば、VTR(video tape recorder)、DVD(Digital Versatile disc)、フレキシブルディスク、CD(compact disc)、HDD(Hard Disc Drive)等やその他の媒体、例えば、フィルム等に一旦記録し、それを読み出すこと、ネットワークを通じて伝送することも装置間の入出力に含まれるものとする。また、光学的なデバイスを用いて再生(例えば、映画としてスクリーンに映写する、CRT(Cathode ray tube)や液晶、プラズマなどのディスプイで表示する等)したものをビデオカメラ、携帯電話のカメラ、フィルムを用いたカメラ等の撮影手段を用いて再撮影することなども装置間の入出力に含まれるものとする。
なお、本発明における各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりアセンブリプログラムの変換を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
1 電子透かし埋め込み装置
10 埋め込み系列生成部
11 複素情報系列生成部
12 埋め込み系列計算部
20 埋め込みパターン生成部
30 時間変調部
40 パターン重畳部
2 電子透かし検出装置
50 時間復調部
60 検出系列抽出部
70 相関値計算部
80 透かし判定部

Claims (10)

  1. 埋め込み情報を電子透かしとして人間の知覚に感知されないように入力信号に対して埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、
    前記埋め込み情報の全体、または前記埋め込み情報を任意の長さに分割した各部分を、変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えて情報系列を生成し、拡散系列に基づいて、生成した前記情報系列を変位させて埋め込み系列を生成する埋め込み系列生成部と、
    前記埋め込み系列に基づいて前記入力信号に対して電子透かしを重畳して電子透かし埋め込み済み信号を生成するパターン重畳部と、
    を備えることを特徴とする電子透かし埋め込み装置。
  2. 前記変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値は、複素数であり、
    前記埋め込み系列生成部は、
    前記埋め込み情報の全体、または前記埋め込み情報を任意の長さに分割した各部分であるシンボルを、K種(Kは、3以上の整数)の異なる複素数の値に含まれるいずれかの予め対応付けられる複素数に置き換えて複素数の情報系列を生成し、生成した前記複素数の情報系列の各要素と複素数の拡散系列の各要素に基づいて前記複素数の情報系列の位相または偏角を変位させて埋め込み系列を生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子透かし埋め込み装置。
  3. 前記入力信号は、N(Nは、2以上の整数)以上の次元を有する信号であり、
    前記埋め込み系列生成部が生成した前記埋め込み系列に基づいてN−1次元の埋め込みパターンを生成する埋め込みパターン生成部と、
    前記N−1次元の埋め込みパターンに含まれる値に基づいて変調を行いN次元の透かし情報パターンを生成する変調部と、を備え、
    前記パターン重畳部は、
    前記入力信号に対して前記N次元の透かし情報パターンを重畳して電子透かし埋め込み済み信号を生成する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子透かし埋め込み装置。
  4. 前記入力信号は、N(Nは、2以上の整数)以上の次元を有する信号であり、
    前記埋め込み系列生成部が生成した前記埋め込み系列に基づいてN−1次元の埋め込みパターンを生成する埋め込みパターン生成部を備え、
    前記パターン重畳部は、
    直交変換された前記入力信号に前記埋め込みパターンを重畳した信号を生成し、
    前記重畳した信号を直交逆変換して電子透かし埋め込み済み信号を生成する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子透かし埋め込み装置。
  5. 埋め込み情報を変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値の組に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えることにより生成された情報系列と拡散系列とに基づいて生成された電子透かしを入力信号から検出する電子透かし検出装置であって、
    前記入力信号から変位によって変化する値の検出系列を生成する検出系列抽出部と、
    前記検出系列と前記拡散系列に基づいて相関値を算出する相関値計算部と、
    前記相関値と、前記K種の異なる値のそれぞれを区分する境界とに基づいて埋め込まれている情報系列を判定する透かし判定部と、
    を備えることを特徴とする電子透かし検出装置。
  6. 前記変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値は、複素数であり、
    前記透かし判定部は、
    前記異なる複素数の値ごとに算出される前記相関値を変位させて同じ方向に向かせて前記相関値の総和を算出し、算出した前記相関値の総和の位相に基づいて新たに定められる前記K種の異なる複素数の値を区分する境界に基づいて埋め込まれている情報系列を判定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の電子透かし検出装置。
  7. 埋め込み情報を電子透かしとして人間の知覚に感知されないように入力信号に対して埋め込む電子透かし埋め込み方法であって、
    埋め込み系列生成部が、前記埋め込み情報の全体、または前記埋め込み情報を任意の長さに分割した各部分を、変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えて情報系列を生成し、拡散系列に基づいて、生成した前記情報系列を変位させて埋め込み系列を生成するステップと、
    パターン重畳部が、前記埋め込み系列に基づいて前記入力信号に対して電子透かしを重畳して電子透かし埋め込み済み信号を生成するステップと、
    を含むことを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
  8. 埋め込み情報を変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値の組に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えることにより生成された情報系列と拡散系列とに基づいて生成された電子透かしを入力信号から検出する電子透かし検出方法であって、
    検出系列抽出部が、前記入力信号から変位によって変化する値の検出系列を生成するステップと、
    相関値計算部が、前記検出系列と前記拡散系列に基づいて相関値を算出するステップと、
    透かし判定部が、前記相関値と、前記K種の異なる値のそれぞれを区分する境界とに基づいて埋め込まれている情報系列を判定するステップと、
    を含むことを特徴とする電子透かし検出方法。
  9. 埋め込み情報を電子透かしとして人間の知覚に感知されないように入力信号に対して埋め込むコンピュータに、
    前記埋め込み情報の全体、または前記埋め込み情報を任意の長さに分割した各部分を、変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えて情報系列を生成し、拡散系列に基づいて、生成した前記情報系列を変位させて埋め込み系列を生成するステップと、
    前記埋め込み系列に基づいて前記入力信号に対して電子透かしを重畳して電子透かし埋め込み済み信号を生成するステップと、
    を実行させるためのプログラム。
  10. 埋め込み情報を変位によって変化するK種(Kは、3以上の整数)の異なる値の組に含まれるいずれかの予め対応付けられる値に置き換えることにより生成された情報系列と拡散系列とに基づいて生成された電子透かしを入力信号から検出するコンピュータに、
    前記入力信号から変位によって変化する値の検出系列を生成するステップと、
    前記検出系列と前記拡散系列に基づいて相関値を算出するステップと、
    前記相関値と、前記K種の異なる値のそれぞれを区分する境界とに基づいて埋め込まれている情報系列を判定するステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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