JP2014020838A - ポリヌクレオチド配列決定方法 - Google Patents

ポリヌクレオチド配列決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光標識ポリヌクレオチドがナノポアを通過時に蛍光強度を測定し、その蛍光強度がある閾値以上であることを検出した時点から配列測定を開始することにより、ポリヌクレオチド配列を決定すること。
【解決手段】予め末端に蛍光色素標識したポリヌクレオチドをナノポアに導入し、上記蛍光標識ポリヌクレオチドがナノポアを通過時に蛍光強度を測定し、その蛍光強度が閾値以上であることを検出した時点から配列測定を開始することにより、ポリヌクレオチド配列を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、予め配列測定するポリヌクレオチドの両端に蛍光標識をしておき、その蛍光標識ポリヌクレオチドをナノポアに導入し、ナノポア間の通過直後に蛍光信号を測定することにより核酸配列測定開始点を決めるポリヌクレオチド配列決定方法に関する。
DNAのヌクレオチド配列を分析する技術は、単に学術的な研究の分野に留まらず、医療、創薬、および犯罪捜査などの分野にまで応用されておりこの技術の発展にますます関心が集められている。これまでに開発されたDNAのシーケンサーは、ヌクレオチドに付加した標識を蛍光によって識別するという光測定技術を利用しており、ヌクレオチドそのものを直接的に識別するものではない。ヌクレオチドに標識を付加するためには、PCRを用いてヌクレオチドを化学修飾する必要があるこの手順には、多数の試薬が必要となるだけでなく、多くの時間も費やされる。それ故、DNAのシーケンシングを行うには、多大な資金と時間とが必要になる。
このような状況の中、過去十数年の間に、個々のゲノムのシーケンシングに向けた一歩として、1分子に基づくDNAのシーケンシング技術に著しい進歩があった。この進歩によってもたらされた最近の際立った成果としては、化学的に設計されたαヘモリシンのナノスケールのポア(以下、「ナノポア」と称する。)を利用した検出器が挙げられる。この検出器では、シクロデキストリンに埋め込まれた生物学的なナノポアを一本鎖DNAのオリゴマーが通過する間に起こる、イオン電流の一時的な遮断を探知することによってDNA1分子のシーケンシングを行うことができる。
このような強固で構造化可能な固体のナノポアが関心を集めており、ポアを通過する単一の生体分子の動態を研究するためのプラットフォームとしての役割を果たしていた。しかしながら、上述の検出器を用いたイオン電流に基づくDNAのシーケンシングは、(1)ポアサイズの選択が限定されている、(2)システムが不安定である、という問題点を有しており、生物学的なナノポアを利用したシーケンサーの実用化の目処は立っておらず、1分子の分解能を有する、イオン電流に基づくDNAのシーケンシングは未だに検討中である。このイオン電流に基づくDNAのシーケンシングに代わる手法として、横方向の電子輸送(transverse electron transport)に基づくシーケンシング理論が提案された。
具体的には、1つのDNAがナノポアを通過する際に、ナノポアの端に設けられたナノスケールの電極間距離を有する電極対(以下、「ナノ電極対」と称する。)に、各ヌクレオチドを介したトンネル電流が生じ、生じたトンネル電流の電流値を測定すれば、この電流値に基づいて、標識することなく、ヌクレオチド配列を直接的に読み取ることが可能となるという考えである。このような横方向の電子輸送に基づくシーケンシングを行えば、1時間当たり400キロベースを超える、極めて速いシーケンシングのスピードにてDNA1分子のヌクレオチド配列を直接的に読むことができると予想されている。
しかしながら、上述のように横方向の電子輸送に基づくシーケンシングの原理を実証するためのシステムが開発されたが、用いたヌクレオチドが同一の場合であっても、測定毎にトンネル電流の値が変動するため、この値を指標としてヌクレオチドを識別することはできなかった。このことを解決するためにポリヌクレオチドが通過した際に該電極間に生じるトンネル電流の電流値の最頻値を算出し、その電流値の最頻値を、基準ヌクレオチドの最頻値で除することによって、該電流値の最頻値を規格化し、および規格化した最頻値を参照値と比較することにおり、該基準ヌクレオチドの最頻値は、該基準ヌクレオチドを、該電極間を複数回通過させること、該基準ヌクレオチドが通過した際に該電極間に生じるトンネル電流のパルスを検出すること、および各パルスにおける最大電流値の最頻値を算出することによって取得されていた(特許文献1)。
国際公開第2011/108540号パンフレット
従来技術では、ナノポアでポリヌクレオチドの核酸配列を測定する方法はあった。上記従来技術では、ポリヌクレオチドの導入有無あるいは、配列開始点はトンネル電流が流れるかどうかで従来判断していた。しかし、ノイズなどの影響により正確な導入有無あるいは、配列開始点を判断できない場合があり、実用面で大きな課題であった。
前記従来の課題を解決するために、本発明のポリヌクレオチド配列決定方法は、
ポリヌクレオチドを蛍光色素により標識する工程、
該蛍光標識ポリヌクレオチドを装置に添加する工程、
該蛍光標識ポリヌクレオチドを直線化手段により直線化する工程、
その直線化したポリヌクレオチドをナノポアに導入し、電極間を通過させる工程、
該ポリヌクレオチドが通過した際に該電極間に生じるトンネル電流の電流値を測定する工程、
測定した電流値の最頻値を算出する工程、
該電流値の最頻値を、基準ヌクレオチドの最頻値で除することによって、該電流値の最頻値を規格化する工程、および
規格化した最頻値を参照値と比較する工程を包含し、
該基準ヌクレオチドの最頻値は、該基準ヌクレオチドを、該電極間を複数回通過させる際に該電極間に生じるトンネル電流のパルスを検出し、各パルスにおける最大電流値のとして算出され、
該蛍光標識ポリヌクレオチドがナノポアを通過時に蛍光強度を測定し、その蛍光強度がある閾値以上であることを検出した時点から配列測定を開始する。
前記蛍光標識ポリヌクレオチドが両末端に蛍光色素が標識されていることが望ましい。その蛍光色素の種類は、ナノポアを通過できるサイズであればいずれの蛍光色素でも良い。
さらには、前記電極間距離が、前記ヌクレオチドの分子直径の0.5倍〜2倍の長さであることが望ましい。
本発明は、予め蛍光標識したポリヌクレオチドをナノポアに導入し、蛍光標識ポリヌクレオチドのどちらか一方の末端が、ナノポアを通過した時点を配列測定開始点とすることにより核酸配列を高効率に測定することができる。
本発明の実施の形態1におけるポリヌクレオチド配列決定装置の構成図
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明を用いたナノポアへのポリヌクレオチド配列決定方法について説明する。図1は、ポリヌクレオチド配列決定装置の概略図である。ポリヌクレオチド配列決定装置は、第一溶液槽3、第二溶液槽8、両溶液槽を分割するナノポア薄膜6で構成される。両溶液槽には、溶液を導入するバッファー導入口および溶液を排出する排出口がそれぞれ具備されている。
ナノポア薄膜6を介して両溶液槽間で電圧勾配を設けるために、両溶液槽3、8には電極1、9が具備されており、前記電極1と9は極性可変の電圧源14および電流計13に接続されている。ナノポア薄膜6は、直径1nmのナノポア7が形成された絶縁体の薄膜で構成されている。ここでは、絶縁体薄膜の材料としてSiを用いているが、他にSiOやアスファルテンなどのプラスチック材料でもよい。さらに、Alなどの金属膜の表面に絶縁材量をコートした薄膜でも良い。ナノポア7の径としては、ここでは1nmとしているが、0.5nmから50nm程度あればよい。
まず、測定対象物であるDNA断片に予め蛍光色素により両末端を標識する。この場合、末端当たり1個でもよいが、2個あるいは2個以上の蛍光体分子を結合することもできる。
また、蛍光色素としてエフアイテーシー(FITC)(フルオレッセイン イソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate:発光波長極大525nm)あるいはテキサスレッド(Texas Red)(発光波長極大615nm)等を用いることができる。
次に、前記方法で得られた蛍光標識付DNA断片4をバッファー溶液に混合し、第一溶液槽3に添加する。
電極1が陰極、電極9が陽極になるように電圧源14により電圧を印加し、蛍光標識付DNA断片4を第一溶液槽3から第二溶液槽8に泳動させる。添加した蛍光標識付DNA断片4は、細管中を電気泳動すると、泳動方向に伸びながら移動する。
上記細管の電気泳動部の直径は従来と同じく50μm〜100μmでよく、それ以上でもよい。ここでは蛍光標識付DNA断片4をなるべく直線状にほぐすことが重要な目的であるため、泳動部を有する領域の長さは1cmとしたが、一般に泳動距離は1cm以上あればよい。蛍光標識付DNA断片4を大まかに分離する機能をもたせる場合は、ゲルを途中に入れて5cmあるいはそれより長い泳動距離がよい。
電気泳動路の出口(試料の溶出部)を、内径が数μm以下に絞られた細管状の形状にして、この出口より蛍光標識付DNA断片分子をバッファー液流入口からバッファー液を流入してなるシースフロー用液流と、上部電極1と下部電極9で与えられる電場によって、直径1μm以下の領域内をDNA試料分子4が通過するDNAの配向流路をシースフロー形成管内に形成することができる。
細管の下部には蛍光標識付DNA断片4をせん断力により直線状にするための手段である構造体領域101を有している。
この構造体領域101を蛍光標識付DNA断片4が通過することにより直線状になり、容易にナノポア7に挿入することが可能となる。
この蛍光標識付DNA断片4をせん断力により直線状にするための手段の作用機序およびその構造体について下記に詳細に記載する。
全ゲノムを含有する核酸を含む、あらゆる長さのポリヌクレオチドを分析するために長い線状のコンホメーションに引き伸ばすことを可能にする構造を提供する。ポリヌクレオチドをデバイスに導入し、特に、物理的によって推進させる該構造を通過させる。引き伸ばしはポリヌクレオチドが構造を通過する際にせん断力を加える、ポリヌクレオチドの通路に障害物を配置する、あるいは、それらの組み合わせによって達成される。
あらゆるポリヌクレオチドの特性決定に用いることができるが、ポリヌクレオチドは、主として線状または一本鎖構成を有するのが好ましい。
本発明の構造により引き伸ばされたポリヌクレオチドの個々の単位は、合成もしくは修飾結合によって結合してもよい。
様々なタイプのポリヌクレオチドが、多種のモノマーから構成される。例えば、DNAは、デオキシリボースリン酸バックボーンを含むバイオポリヌクレオチドであり、このバックボーンに、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5-メチルシトシン、2-アミノプリン、ヒポキサンチン等のプリンおよびピリミジン、ならびに、その他の天然および非天然の核酸塩基、置換および非置換芳香族成分が結合する。
RNAは、リボースリン酸バックボーンを含むバイオポリヌクレオチドであり、このバックボーンに、チミジンに代わりウラシルが用いられる以外は、DNAについて挙げたものと同様のプリンおよびピリミジンが結合する。デオキシリボヌクレオチドは、5’または3’ヒドロキシル基によるエステル結合を介して互いに結合することによって、DNAポリヌクレオチドを形成することができる。リボヌクレオチドは、5’、3’または2’ヒドロキシル基によるエステル結合を介して互いに結合することができる。あるいは、5’、3’または2’アミノ基を有するDNAまたはRNA単位は、ポリヌクレオチドの他の単位とのアミド結合により、結合することができる。
B-コンホメーションを有する十分に引き伸ばされたDNA分子における、隣接する塩基対間の距離は、3.4Åすなわち0.34nmである。溶液中の天然の状態では、DNAは、十分に引き伸ばされたB-コンホメーションの形態ではなく、直径が約10μmのコイルとして存在する。従って、コイル状のDNA分子上で複数の単位特異的マーカーを分解するのは、一層難しくなるため、分析の前に分子を引き伸ばす必要がある。
ポリヌクレオチド分子が物理的障害に到達すると、ポリヌクレオチドは、相互作用なしに通過するか、あるいは、該障害の周りに引っ掛かり、その鎖の一部分が該障害物の両側に残る。
さらに、流体の流れに利用可能な断面積が減少するため、障害物のところに局在化した速度勾配が生じる。その結果、障害物間を流れる流体は、その前後の流体より速く移動する。これが、接近する分子に及ぼされる剪断力を生成し、ポリヌクレオチドの引き伸ばし力として働く。この作用が、適切に寸法決定された障害物の領域全体を形成することにより、倍増されれば、ポリヌクレオチドが引き伸ばされることにより、該領域内すべての障害物を通過させることができる。
好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは、直線状に引き伸ばされる。いったんポリヌクレオチドが、障害物アレイを通過し、その十分に引き伸ばされた形態でチャネルに入れば、ポリヌクレオチドは、より低いエネルギー、すなわち、さらにコイル化したコンホメーションに自然に戻ろうとするであろう。これが起こるのを防ぐため、先細りチャネル内のポリヌクレオチドに一定剪断力を供給するようにチャネルを設計し、ポリヌクレオチドが引き伸ばされたコンホメーションのままでいるようにする。
深さが1μm、長さが1mm、剪断速度が0.25/秒の水性チャネルは、DNAを引き伸ばすのに適した約0.25pNの力を与えることが報告されている。
特に、この結果から、一定剪断チャネルが、事前に引き伸ばされたDNAの伸びを維持するだけではなく、さらに、DNAの引伸しに寄与する、あるいは、それ自体でDNAを引き伸ばすことを示している。好ましい実施形態では、引伸しを達成するための2つの一般的方法を組み合わせる。柱である障害物のアレイを、大きさを段階的に変えて、構造に配置すれば、通過する分子に剪断力を賦与することから、障害物によるポリヌクレオチドの初期引伸しのみならず、ポリヌクレオチドが障害物を通過した後も、引伸しの維持を確実にすることができる。
本発明の、ポリヌクレオチドを引き伸ばすための構造は、2つの構成部分:送達領域およびポリヌクレオチド伸長領域を含んでなる。送達領域は、ポリヌクレオチド伸長領域内に入り、かつ該領域から出ている幅の広いチャネルである。
伸長領域は、4つの主要構成部分:(1)漏斗;(2)分岐チャネルを有する構造;(3)湾曲部または曲線部を有するチャネル;および(4)小さな間隔を規定する障害物(ここで障害物は、特に柱および段差であり得る)のうち少なくとも1つを含んでなる。本発明は、4つの主要構成部分の組合せおよびこれらの主要構成部分自体のバリエーションを包含するものである。2つ以上の主要構成部分の特徴を組み合わせることで、ポリヌクレオチド、特にDNAを制御可能な様式で伸長しかつ引き伸ばすのに十分に機能するさらなる設計を得ることができる。さらに、同じ設計をいくつか、並行してまたは連続して繰り返してもよい。
本発明の範囲内に入る構造のさらなる例については下図に示している。これらには、漏斗、障害物、枝管、および連続構造を含む引き伸ばし構造の実施形態;小さな間隔を規定する小さな障害物の組合せを有する連続した漏斗構造を示している。
障害物は断面形状および断面積を変えることができる。障害物は方形柱、円形柱、楕円形柱またはいずれもの縦横比の長方形断面を有する柱を含んでなり、他には四辺形以外の正または不規則な多角形の断面形状を有する柱を含んでなる。障害物の好ましい間隔は解析するポリヌクレオチドに大いに依存している。鎖の直径2nmでらせんの直径が約1μmより高い様々な値をとる長いDNAの場合、通路の幅は好ましくは100nm〜800nmであり、最も好ましい値は500nmである。
柱の断面積は、引き伸ばされるポリヌクレオチドのサイズおよび用いるチャネルのサイズに応じて、0.1μm〜1mm、好ましくは0.1μm〜10μm、さらに好ましくは1μm〜100μm、いっそうさらに好ましくは1μm〜25μmの間で変えてもよい。
前記電圧印加と同時に電流計13によってナノポア7を介して流れるイオンの流れを計測する。
DNA断片4が電気泳動によりナノポア7に導入される。DNA断片4がナノポア7に導入されると電流値は減少する。
ナノポア出口7のごく近傍の部位において、蛍光標識付DNA断片4の配向流路に極めて細く絞ったレーザー光を照射し両末端が蛍光標識された蛍光標識付DNA断片4の一方の末端の蛍光体を励起する。蛍光を励起するためのレーザー光源23にはArイオンレーザー(488nm、10mW)あるいはHe−Neレーザー(594nm、3mW)がよいが、本実施例では、蛍光体としてTexas Red を用い、レーザー光源としてHe−Neレーザーを用いる組み合わせを使用した。
He−Neレーザーをレーザー光絞り込み用レンズ20を用いて絞り、ナノポア出口7を照射し、レーザー光の入射方向とほぼ直角をなす方向より、蛍光標識された蛍光標識付DNA断片4から発する蛍光を検出する。
ナノポア出口7での蛍光標識付DNA断片4の流速は、液の流速および電場強度による。例えば、25V/cmの電場強度を用いた場合、DNAの流速はDNAの長さによらず約3mm/秒である(バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)第6巻、第816頁(1988))。この場合、蛍光標識されたDNA断片分子はレーザー照射部位を約0.3msecで通過する。これら蛍光光子は受光レンズ19、フィルター(図示せず)を通過して光検出器18で検出される。レーザー照射量を大きくしたり、標識する蛍光体の数を増やしたり、あるいは受光効率を上げる等により計測光子数を1000程度に増加させることもできる。この場合、より詳細な通過時間の計測ができる。必要なデータの演算処理はデータ処理装置12で実行され、その結果は出力装置により出力される。
その蛍光強度が閾値以上の値を示した場合には、その直後から下記に示す核酸配列のためのトンネル電流の測定が開始する。つまり、蛍光標識付DNA断片4がナノポア7に通過開始と同時に下記に示す核酸配列測定を実施する。
ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法は、ポリヌクレオチドを、電極間を通過させる工程、ポリヌクレオチドが通過した際に該電極間に生じるトンネル電流の電流値を測定する工程、測定した電流値の最頻値を算出する工程、電流値の最頻値を、基準ヌクレオチドの最頻値で除することによって、電流値の最頻値を規格化する工程、および規格化した最頻値を参照値と比較する工程を包含している。
上述したように、トンネル電流が種々の条件から大きく影響を受けるので、上記「最頻値を算出する工程」にて算出したトンネル電流の電流値の最頻値を用いてポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドを識別することは困難である。しかし、上記「最頻値を規格化する工程」にて、トンネル電流の電流値の最頻値を基準ヌクレオチドの最頻値で除することによって、この影響を最小限に留めることができる。このため、上記「規格化した最頻値を参照値と比較する工程」にて、ポリヌクレオチドのヌクレオチドを識別することが可能になる。
複数種のヌクレオチドが識別された場合、本発明に適用したポリヌクレオチドは異なるヌクレオチドからなるものであると判定することができる。この場合、本発明に適用したポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定するには、ヌクレオチドの並びを特定することが必要となる。この特定を行うために、本発明は、トンネル電流のパルスを検出する工程、パルスにおける電流値を、基準ヌクレオチドの最頻値で除することによって、電流値を規格化する工程、および規格化した電流値を参照値と比較する工程をさらに包含している。
このように、本発明では、ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドを識別し、必要に応じて、ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドの並びを特定することによって、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列の決定が実現される。
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、「オリゴヌクレオチド」、「遺伝子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。なお、本明細書中で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」は、2〜数十個、より具体的には、2〜50個のヌクレオチドからなるものが意図される。「ポリヌクレオチド」は、数十個以上、具体的には、50個よりも多くのヌクレオチドからなるものが意図される。
ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドからなるもの(DNA)であってもよいし、リボヌクレオチドからなるもの(RNA)であってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「ヌクレオチド配列」は、「塩基配列」と交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの配列として示される。
本実施形態の本発明を実施するには、ポリヌクレオチドが通過した際に、ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチド1分子を介したトンネル電流を生じさせることが必要である。このようなトンネル電流が生じさせるには電極間距離および電極の大きさ(例えば、ポリヌクレオチドが通過する方向の電極の長さや、電極間の方向とポリヌクレオチドが通過する方向とによって形成される平面に垂直な方向の電極の長さ)が重要である。具体的には、電極間距離および電極の大きさは、ヌクレオチドの分子直径よりも少し短いか、等しいか、それよりも少し大きい程度であることが好ましい。このような電極対としては、上述したヌクレオチドを識別する方法にて説明した電極対を用いることができる。
また、ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチド1分子を介したトンネル電流を電極間に生じさせるには、電極間を通過させるポリヌクレオチドは、線状の一本鎖の形態であることが好ましい。トンネル電流が生じるメカニズムを以下にて説明する。
ポリヌクレオチドが電極間に進入すると、まず、ポリヌクレオチドを構成する1番目のヌクレオチドが電極間に捕捉される。1番目のヌクレオチドが電極間に捕捉されたときに、1番目のヌクレオチドに起因するトンネル電流が電極間に生じる。
ポリヌクレオチドの電極間の移動に伴い、1番目のヌクレオチドが電極間を移動し、2番目のヌクレオチドが電極間に進入する。電極間に捕捉されるヌクレオチドが1番目のヌクレオチドから2番目のヌクレオチドへ変わるときには、電極間に、1番目のヌクレオチドの一部と、2番目のヌクレオチドの一部との両方が捕捉される。この場合、1番目のヌクレオチドの一部と2番目のヌクレオチドの一部との両方またはどちらか一方に起因するトンネル電流が電極間に生じる。
その後、1番目のヌクレオチドが電極間を完全に通過し、2番目のヌクレオチドの全体が電極間に捕捉される。2番目のヌクレオチドの全体が電極間に捕捉されたときに、2番目のヌクレオチドに起因するトンネル電流が電極間に生じる。
最後に、ポリヌクレオチドが電極間を通過すると(ポリヌクレオチドを構成する最後のヌクレオチドが電極間から解離すると)、電極間に生じていたトンネル電流が消失する。
このように、ポリヌクレオチドが電極間に進入し移動すると、ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドが順番に電極間に捕捉され、これらのヌクレオチドに起因するトンネル電流が電極間に生じ、ポリヌクレオチドが電極間から解離すると、トンネル電流が消失する。つまり、ポリヌクレオチドが電極間を通過すると、このポリヌクレオチドに起因するトンネル電流のパルスが生じる。
本明細書において、「ポリヌクレオチドに起因するトンネル電流のパルス」は、トンネル電流を所定の時間測定したときに、トンネル電流が基底レベルを超えて上昇し、再び基底レベルに戻るまでのトンネル電流のシグナルが意図される。このトンネル電流の上昇は、ポリヌクレオチドを構成する1番目のヌクレオチドが電極間に捕捉されたことを示しており、トンネル電流が基底レベルに戻ることは、捕捉された最後のヌクレオチドが電極間から解離したことを示している。
「基底レベル」は、ノイズの平均値が意図される。「ノイズ」は、ヌクレオチドが電極間に捕捉されていないときに観察されるトンネル電流のシグナルが意図される。例えば、ノイズは、ポリヌクレオチドが溶解していない溶液中に保持された電極間に電圧を印加したときに、生じるトンネル電流の電流値を測定することによって得ることができる。
本発明における「ポリヌクレオチドが通過した際に該電極間に生じるトンネル電流の電流値を測定する工程」では、このようにして、ポリヌクレオチドが溶解した溶液中に保持された電極間に電圧を印加して、これによって電極間に生じたトンネル電流の電流値を所定の時間測定すればよい。電極間に電圧を印加する方法および電極間に生じたトンネル電流の電流値を測定する方法は、上記ヌクレオチドを識別する方法における説明を援用することができる。
本発明における「測定した電流値の最頻値を算出する工程」では、このようにして測定した電流値に対して統計分析を行うことによって最頻値を算出すればよい。
例えば、電流値をその値に基づいて分類し、分類した各群に属する数および電流値に基づいて最頻値を算出すればよい。「電流値をその値に基づいて分類すること」は、例えば、同一または実質的に同一である電流値を同一の群に分類することであってもよいし、一定の範囲に属する電流値を同一の群に分類することであってもよい。なお、「実質的に同一である電流値」は、ある電流値と数%異なる電流値をいい、例えば、ある電流値の90%〜110%の電流値が意図される。
本発明の蛍光標識ポリヌクレオチド及びナノポア構造を利用したポリヌクレオチド配列決定方法を用いることにより、容易にポリヌクレオチドの一次配列を決定することができ、遺伝子解析等の用途に応用できる。
1:電極、
2:上部槽、
3:第一溶液槽、
4:蛍光標識付DNA断片、
5:シースフロー用液流入り口、
6:ナノポア薄膜、
7:第二溶液槽、
8:第二溶液槽、
9:電極、
10:電圧源、
11:電流計
12:データ処理装置、
13:電流計、
14:電圧源、
15:構造体領域
18:光検出器
19:受光レンズ
20:レーザー光絞り込み用レンズ
21:レンズ
22:反射ミラー
23:レーザー光源

Claims (3)

  1. ポリヌクレオチドを蛍光色素により標識する工程、
    該蛍光標識ポリヌクレオチドを装置に添加する工程、
    該蛍光標識ポリヌクレオチドを直線化手段により直線化する工程、
    その直線化したポリヌクレオチドをナノポアに導入し、電極間を通過させる工程、
    該ポリヌクレオチドが通過した際に該電極間に生じるトンネル電流の電流値を測定する工程、
    測定した電流値の最頻値を算出する工程、
    該電流値の最頻値を、基準ヌクレオチドの最頻値で除することによって、該電流値の最頻値を規格化する工程、および
    規格化した最頻値を参照値と比較する工程を包含し、
    該基準ヌクレオチドの最頻値は、該基準ヌクレオチドを、該電極間を複数回通過させる際に該電極間に生じるトンネル電流のパルスを検出し、各パルスにおける最大電流値のとして算出され、
    該蛍光標識ポリヌクレオチドがナノポアを通過時に蛍光強度を測定し、その蛍光強度がある閾値以上であることを検出した時点から配列測定を開始することを特徴とするポリヌクレオチド配列決定方法。
  2. 前記蛍光標識ポリヌクレオチドが両末端に蛍光色素が標識されていることを特徴とする請求項1に記載のポリヌクレオチド配列決定方法。
  3. 前記電極間距離が、前記ヌクレオチドの分子直径の0.5倍〜2倍の長さであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド配列決定方法。
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