JP2014020810A - 破壊診断装置 - Google Patents

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和也 菊永
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Abstract

【課題】連続的もしくは断続的な振動にさらされる機器の振動や振動分布を容易に算出し、機器の破壊を予測診断する破壊診断装置を提供する。
【解決手段】本発明の破壊診断装置は、振動を生じうる診断対象機器に接触もしくは非接触で装着されて、前記診断対象機器の電位を決定する基準電位素子と、前記基準電位素子の振動によって発生する電界を受信する受信部と、前記受信部で受信された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出する検出部と、前記検出部で検出された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、前記診断対象機器に生じている振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する算出部と、を備える振動を生じうる機器の破壊を予測診断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、輸送機器、プラント、工場施設、機械機器、計測機器、鉄道レールなどの輸送インフラなど、連続的もしくは断続的に不可避な振動が生じる機器における、当該振動による破壊可能性を予測する破壊診断装置に関する。
自動車、鉄道輸送車両、船舶、航空機などの輸送機器は、実際の輸送、運航の中で、連続的もしくは断続的に振動にさらされている。輸送機器に合わせて、輸送機器の輸送インフラ(鉄道レール、高速道路、港湾等)も、振動にさらされている。また、プラントや工場施設は、操業中において、当然に振動にさらされている。これらプラントや工場施設に設置されている機械機器、計測機器なども、作業に伴った振動にさらされる。
これらは、自ら振動を発生させることによってであったり、外部からの振動によってであったりすることで、振動にさらされる。
このような振動は、輸送機器やプラント等の物品(以下、「機器」と称する)において、損傷や破壊を生じさせる可能性がある。これら機器の筐体は、金属、合金、樹脂あるいはこれらの組み合わせなどで形成されているが、連続的もしくは断続的な振動によって、特定部分に強い応力が発生する。応力によって、機器のある部分にクラックが生じたり、機器そのものが破壊を生じたりする。上述の輸送機器、工場施設、プラント、輸送インフラなどの機器は、使用者や作業者の安全性に深く関っており、損傷や破壊が生じると、使用者や作業者の安全性が脅かされる危険性がある。特に、振動に基づく破壊は、前兆や予見なく生じることが多く、突発的な事故を発生させる懸念もある。
あるいは、機械機器や計測機器などは、常に正確な動作および処理を実行することが求められる。振動の付与が続くことで、目に見えない損傷が生じることで、機械機器や計測機器などの処理動作に変調が生じることもある。このような変調が生じると、正確な動作や処理が行われなくなり、製造工程等に種々の問題を生じさせる。
このような振動に基づく機器の損傷や破壊を防止するために、機器に生じている振動を計測する振動計測についての多くの技術が提案されている。
(方式1)静電容量方式
静電容量方式は、導体であって振動を生じる機器に対して、静電容量を検出できる素子を接触もしくは非接触で近づけて、機器と素子との間に発生する静電容量の変化に基づいて、振動状態を計測する。
(方式2)過電流方式
過電流方式は、導体であって振動を生じる機器に対して、センサを近づけて機器表面に生じる渦電流の変化に基づいて、振動状態を計測する。
(方式3)圧電素子方式
圧電素子方式は、振動を生じる機器に対して、機械的に加わった大きな力によって発生する電圧の変化に基づいて、振動状態を計測する。
また、これら以外にも振動している機器に、直接的にセンサーを設置して、センサーの電圧・電流変化等を検出することで、振動状態を計測する種々の振動計測の方式が提案されている。
このような振動計測の方式に合わせて、いくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
特開平9−325067号公報 特開平8−105792号公報 特開2009−008508号公報 特開平11−326034号公報
特許文献1は、弾性体に強磁性体を備え、強磁性体が動くことでコイル起電力を発生させる技術を開示する。強磁性体は、計測対象の機器の振動に合わせて動くので、このコイル起電力の変化は、計測対象の機器の振動状態を反映している。この反映を利用して、特許文献1に開示される技術は、計測対象の機器の振動状態を計測する。
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、弾性体を物理的に動かす必要があることや固有周期を長くする必要があるので、計測装置を小型化することが難しい。小型化できないことで、計測場所や計測環境が制限され、輸送機器からプラントに至る様々な診断対象機器に適していない問題を、特許文献1に開示される技術は有している。
特許文献2は、走行する鉄道車両から放射される電波の電界強度を計測することで、振動状態を計測する。
しかしながら、特許文献2に開示される技術は、特許文献1と同様に小型化に適しておらず、振動している箇所の特定が困難であるという問題を有している。
特許文献3は、センサを小型化するために、電界で振動させられた微小プローブを用いて、外部振動とのうねり振動から診断対象機器の振動状態を計測する。
しかしながら、特許文献3に開示される技術は、微小プローブに電界を付与する制御を必要としたり、レーザー光での微小プローブの計測を必要としたりと、複雑な制御を要する問題を有している。当然ながら、小型化も困難である。
特許文献4は、振動する診断対象機器に磁界発生素子を装着し、この磁界発生素子に対応する磁界センサで得られる電流の計測に基づいて、振動状態を計測する。この場合にも、磁界センサを、診断対象機器に近づけなければならず、計測環境が制限される問題を有していた。
また、特許文献1、2のそれぞれでは、診断対象機器が導体であることを必要とする。特許文献3、4のそれぞれは、診断対象機器に接触させることを必要とする。
以上のように、従来技術における振動計測においては、大きく次のような問題があった。
(問題1)従来技術では、診断対象機器が導体であったり接触させたりする必要があった。導体でなければ、渦電流や静電容量を発生させることができず、非導体の診断対象機器では、計測できない問題があった。接触させる場合は、接触共振や質量効果が発生し正確な計測ができない問題があった。輸送機器やプラントなどの筐体が金属から樹脂等に変化している現状では、この問題は好ましくない。
(問題2)従来技術では、各種素子や各種センサーを、診断対象機器に近づける必要があった。近づけなければならないとすると、小型の機器には不向きであったり、機器の特定箇所での計測に不向きであったりする問題を生じる。もちろん、作業効率が悪くなり、十分な振動計測が困難となる問題もあった。
(問題3)従来技術は、診断対象機器の、特定箇所のみの振動状態しか計測できない問題を有していた。輸送機器やプラントなどの機器は、部位によって異なる振動が生じており、振動分布によって生じる応力によって、損傷や破壊を生じさせることがある。特定箇所のみの振動状態しか計測できない場合には、振動分布を計測できず、機器の将来的な損傷や破壊を予測診断することができない問題があった。
本発明は、これら問題1〜問題3を解消しつつ、連続的もしくは断続的な振動にさらされる機器の振動や振動分布を容易に算出し、機器の破壊を予測診断する破壊診断装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の破壊診断装置は、振動を生じうる診断対象機器に接触もしくは非接触で装着されて、診断対象機器の電位を決定する基準電位素子と、基準電位素子の振動によって発生する電界を受信する受信部と、受信部で受信された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出する検出部と、検出部で検出された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、診断対象機器に生じている振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する算出部と、を備える振動を生じうる機器の破壊を予測診断する。
本発明の破壊診断装置は、導体以外の診断対象機器であっても、振動状態を算出できる。このため、非金属である多くの機器が対象であっても、振動状態を算出でき、将来的な破壊予測を診断できる。また、接触共振や質量効果などの問題なく破壊予測を診断できる。
また、本発明の破壊診断装置は、測定対象物の面積、接触状態や材質、形の制限を受けずに算出することも可能であるので、大型、小型、複雑構造、計測環境などの不都合に関らずに、診断対象機器の振動状態を算出できる。
更に、本発明の破壊診断装置は、診断対象機器における振動分布を算出することで、振動分布によって応力が生じうる損傷や破壊を、高い精度で予測診断できる。
本発明の実施の形態1における破壊診断装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1における電界変化を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における電界のフーリエ変換を示す説明図である。 本発明の実施の形態1における電界強度と振幅との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態1における振動状態を比較する説明図である。 本発明の実施の形態1における信頼性値を用いた振動加速度の算出を示す関係テーブルである。 本発明の実施の形態1における破壊診断装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1における破壊診断装置のブロック図である。 本発明の実施の形態2における破壊診断装置のブロック図である。 本発明の実施の形態2における診断対象機器における振動分布を示す模式図である。 本発明の実施の形態2における破壊診断装置1のブロック図である。
本発明の第1の発明に係る破壊診断装置は、振動を生じうる診断対象機器に接触もしくは非接触で装着されて、診断対象機器の電位を決定する基準電位素子と、基準電位素子の振動によって発生する電界を受信する受信部と、受信部で受信された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出する検出部と、検出部で検出された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、診断対象機器に生じている振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する算出部と、を備える振動を生じうる機器の破壊を予測診断する。
この構成により、破壊診断装置は、導体でない診断対象機器や、近接して計測の難しい診断対象機器であっても、その振動状態を高い精度で計測できる。
本発明の第2の発明に係る破壊診断装置では、第1の発明に加えて、算出部は、
(1)電界の周波数に基づいて、診断対象機器の振動周波数を算出し、
(2)電界の強度に基づいて、診断対象機器の振動振幅を算出し、
(3)電界の位相に基づいて、診断対象機器の振幅位相を算出し、
(4)電界の波形および強度に基づいて、診断対象機器の振動加速度を算出する。
この構成により、破壊診断装置は、診断対象機器の振動状態を、様々なパラメータにおいて計測できる。
本発明の第3の発明に係る破壊診断装置では、第2の発明に加えて、算出部は、電界の周波数と診断対象機器の振動周波数との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、診断対象機器の振動周波数を算出する。
この構成により、算出部は、経験値および理論値に基づいて、振動のパラメータの内で重要な振動周波数を算出できる。
本発明の第4の発明に係る破壊診断装置では、第2の発明に加えて、算出部は、電界の強度と診断対象機器の振動振幅との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、診断対象機器の振動振幅を算出する。
この構成により、算出部は、経験値および理論値に基づいて、振動のパラメータの内で重要な振動振幅を算出できる。
本発明の第5の発明に係る破壊診断装置では、第2の発明に加えて、算出部は、電界の位相と診断対象機器の振幅位相との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、診断対象機器の振動位相を算出する。
この構成により、算出部は、経験値および理論値に基づいて、振動のパラメータの内で重要な振動位相を算出できる。
本発明の第6の発明に係る破壊診断装置では、第2の発明に加えて、算出部は、電界の波形および強度と、診断対象機器の振動加速度との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、診断対象機器の振動加速度を算出する。
この構成により、算出部は、経験値および理論値に基づいて、振動のパラメータの内で重要な振動加速度を算出できる。
本発明の第7の発明に係る破壊診断装置では、第3から第6の発明に加えて、対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方は、診断対象機器の特性に応じた補正値での補正を受ける。
この構成により、算出部は、より高い精度で、振動の各パラメータを算出できる。
本発明の第8の発明に係る破壊診断装置では、第1から第7の発明に加えて、算出部は、電界の波形を微分することで、診断対象機器の振動加速度を算出する。
この構成により、算出部は、容易に振動加速度を算出できる。
本発明の第9の発明に係る破壊診断装置では、第1から第8のいずれか記載の発明に加えて、基準電位素子は、外部から所定電位の電圧を付与される。
この構成により、基準電位素子は、容易に電位を有することができる。
本発明の第10の発明に係る破壊診断装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、診断対象機器に、外部から所定電位の電圧を付与される。
この構成により、診断対象機器そのものが、電位を有することができる。
本発明の第11の発明に係る破壊診断装置では、第10の発明に加えて、診断対象機器に外部から付与される電圧は、部分的な領域への電圧付与である。
この構成により、診断対象機器の特性に応じた電界が得られる。
本発明の第12の発明に係る破壊診断装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、算出部は、検出部で検出される電界の強度に基づいて信頼性値を算出し、信頼性値で補正された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、診断対象機器に生じている振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する。
本発明の第13の発明に係る破壊診断装置では、第12の発明に加えて、信頼性値は、電界の強度が大きい場合に大きく、電界の強度が小さい場合に小さい。
これらの構成により、算出部は、実際の状況を考慮して、振動の各パラメータを算出できる。
本発明の第14の発明に係る破壊診断装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、診断対象機器に、複数の基準電位素子が装着され、検出部は、複数の基準電位素子のそれぞれから得られる電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出し、算出部は、複数の基準電位素子のそれぞれでの電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、診断対象機器の複数の部位での振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する。
この構成により、破壊診断装置は、より高い精度で診断対象機器の破壊や損傷の可能性を診断できる。
本発明の第15の発明に係る破壊診断装置では、第14の発明に加えて、算出部は、診断対象機器における、振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つの分布状態を算出する。
この構成により、破壊診断装置は、診断対象機器の破壊や損傷の生じうる部位を予測診断できる。
本発明の第16の発明に係る破壊診断装置では、第1から第15のいずれかの発明に加えて、算出部の算出結果に基づいて、診断対象機器の破壊もしくは損傷の可能性を推定する推定部を更に備える。
この構成により、破壊診断装置は、診断対象機器の破壊や損傷を予測診断できる。
本発明の第17の発明に係る破壊診断装置では、第16の発明に加えて、複数の基準電位素子が装着される場合に、推定部は、複数の基準電位素子の装着位置毎の算出結果に基づいて、診断対象機器における破壊もしくは損傷の生じうる位置を推定する。
この構成により、破壊診断装置は、診断対象機器の製造や保守に役立つ。
本発明の第18の発明に係る破壊診断装置では、第17の発明に加えて、複数の基準電位素子が装着される場合に、複数の基準電位素子の内第1基準電位素子の装着位置での振動加速度と、第2基準電位素子の装着位置での振動加速度とが、所定値以上異なる場合に、推定部は、第1基準電位素子の装着位置と第2基準電位素子の装着位置とに挟まる位置を、破壊若しくは損傷の生じうる位置として推定する。
この構成により、破壊診断装置は、振動分布によって破壊の生じやすい部位を推定できる。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
(全体概要)
まず、実施の形態1における破壊診断装置の全体概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における破壊診断装置のブロック図である。破壊診断装置1は、連続的あるいは断続的に振動にさらされている電子機器、輸送機器、計測機器、プラントなどの振動状態を検出することで、将来的な破壊等のリスクを予測診断する。
破壊診断装置1は、図1に示されるとおり、これらの電子機器、輸送機器、プラントなどの連続的あるいは断続的に振動にさらされる診断対象機器10の、破壊等のリスクを予測診断する。破壊診断装置1は、基準電位素子3、本体部2を備える。本体部2は、受信部4、検出部5、算出部6を備える。本体部2は、破壊診断装置1が、実際の装置として使用される場合に、作業性や運搬性を考慮して本体要素となる部分であって、特段の機能や構成としての特性を発揮するものではない。
基準電位素子3は、診断対象機器10に接触もしくは非接触で装着される。基準電位素子3は、それ自身で電荷を有している。基準電位素子3が診断対象機器10に装着されると、この基準電位素子3が有している電荷によって、診断対象機器の電位が決定される。すなわち、基準電位素子3は、診断対象機器の電位を示すものになる。
受信部4は、この基準電位素子3からの電界を受信する。ここで、基準電位素子3は、診断対象機器10に装着されているので、診断対象機器10の振動に合わせて基準電位素子3と受信部4との距離が変化する。基準電位素子3は、電荷を有しているので、この電荷によって、電位すなわち電界を有する。この基準電位素子3の有する電界は、診断対象機器3の振動による受信部4との距離変化に合わせて変化する。すなわち、基準電位素子3は、振動に合わせて電界を変化させ、受信部4は、この変化する電界を受信できる。
図2は、本発明の実施の形態1における電界変化を示す模式図である。基準電位素子3は、診断対象機器10に装着されているので、診断対象機器10に生じる振動を受ける。受信部4も電荷を有しているので、基準電位素子3の電荷との間で電界を発生させて、受信部4は、この電界を受信できる。このとき、基準電位素子3の位置が、図2の上側のようにある位置であるときには、基準電位素子3と受信部4との距離は、「距離1」である。次に、図2の下側のように、基準電位素子3が、振動によって位置を変化させると、基準電位素子3と受信部4との距離は、「距離2」となる。このように、距離1から距離2に変化することで、基準電位素子3と受信部4との間の電界は、変化するようになる。受信部4は、この電界の変化を受信できる。
基準電位素子3は、波として電界を空気中に誘起できるので、受信部4は、この空気中を誘起された電界を受信できる。この結果、受信部4は、基準電位素子3と離隔していても、基準電位素子3からの電界(電界変化)を受信できる。すなわち、受信部4(受信部4を備える破壊診断装置1の主な要素を備える本体部2)は、診断対象機器10と離隔している状態でも、診断対象機器10の電界(電界変化)を受信できる。このため、従来技術のように、診断対象機器に測定装置を近接させなければならないものではない。
また、基準電位素子3の電界変化は、診断対象機器10の電界変化を示している。基準電位素子3は、診断対象機器10の振動に応じて、その電界を変化させているからである。受信部4は、基準電位素子3の電界(電界変化)を受信することで、間接的に診断対象機器10の電界(電界変化)を受信できる。
この結果、実施の形態1の破壊診断装置1は、診断対象機器10が導体でなくとも、診断対象機器10の電界を検出できる。従来技術は、診断対象機器の静電容量などを直接的に計測していたので、診断対象機器が導体である必要があった。しかしながら、実施の形態1の破壊診断装置1は、診断対象機器10が、非導体であっても、基準電位素子3を装着することで、診断対象機器10の電界を受信できる。
検出部5は、受信部4で受信された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出する。電界は、波形、周波数(波長)、強度、位相を、そのパラメータとして有しており、受信部4が受信した電界をこれらのパラメータに分解することで、検出部5は、電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出する。
ここで、受信部4は、基準電位素子3からの電界を受信するだけであり、検出部5が、この電界を上述のパラメータに分解して検出してもよい。あるいは、受信部4は、基準電位素子3からの電界を受信しつつ各パラメータに分解して検出部5に伝達させてもよい。
算出部6は、検出部5で検出された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、診断対象機器10に生じている振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する。すなわち、破壊診断装置1は、電界の変化に基づいて、診断対象機器10の振動状態を把握できる。この振動状態の把握によって、破壊診断装置1は、振動に基づく診断対象機器の破壊リスク等を予測診断できる。
以上の結果、連続的もしくは断続的に振動にさらされる様々な機器やプラントなどの、将来的な破壊リスク等を診断しやすくなり、これら機器やプラントの設計、製造、保守、交換などの参考となる。
(算出の詳細)
次に、算出部6での算出の詳細について説明する。
算出部6は、電界の各パラメータに基づいて、振動の各パラメータを算出する。振動の各パラメータは、診断対象機器10の破壊予測の基礎情報となりうる。このため、算出部6は、電界の各パラメータを、振動の各パラメータに最適に対応させて算出することで、診断対象機器10の破壊等のリスクとなりうる振動状態を把握できる。
算出部6は、次の4つのパターンでの算出を行う。
(パターン1)算出部6は、電界の周波数に基づいて、診断対象機器10の振動周波数を算出する。
(パターン2)算出部6は、電界の強度に基づいて、診断対象機器10の振動振幅を算出する。
(パターン3)算出部6は、電界の位相に基づいて、診断対象機器10の振動位相を算出する。
(パターン4)算出部6は、電界の波形および強度に基づいて、診断対象機器10の振動加速度を算出する。
(振動周波数の算出)
パターン1にあるように、算出部6は、診断対象機器10の振動周波数を算出する。診断対象機器10には、連続的もしくは断続的に振動が生じている。振動の周波数の高低によって、診断対象機器10の破壊や損傷の可能性が生じる。例えば、診断対象機器10の素材や構成(部材同士の結合や組み合わせ、あるいはこれらの方式)によっては、高い周波数での振動が、破壊や損傷の可能性を生じさせることがある。逆に、低い周波数での振動が、破壊や損傷の可能性を生じさせることもある。算出部6が、診断対象機器10の振動周波数を算出することで、このような破壊や損傷の可能性を、破壊診断装置1は、早期に予測できる。
算出部6は、電界の周波数と診断対象機器10の振動周波数との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、診断対象機器10の振動周波数を算出する。電界の周波数と振動周波数とは、理論値および経験値によって、対応関係を有する。この対応関係が、対応関係式および対応関係テーブルを導ける。算出部6は、この導かれた対応関係式や対応関係テーブルを用いて、理論値や経験値に最適に基づいて、電界周波数から振動周波数を算出する。
また、検出部5は、受信部4で受信された電界をフーリエ変換することで、電界の周波数を算出できる。図3は、本発明の実施の形態1における電界のフーリエ変換を示す説明図である。図3に示されるように、電界変化がフーリエ変換されることで、周波数特性が得られる。検出部5は、このフーリエ変換した周波数特性を、電界周波数として算出部6に出力する。算出部6は、この電界周波数を用いて、上述のように、診断対象機器10の振動周波数を算出する。
(振動振幅の算出)
パターン2にあるように、算出部6は、診断対象機器10の振動振幅を算出する。診断対象機器10には、連続的若しくは断続的に振動が生じている。振動には、振幅が含まれるが、振幅の大小によって診断対象機器10の破壊や損傷の可能性が生じる。
例えば、振動の振幅が非常に大きい場合には、診断対象機器10への負荷が大きくなってしまい、診断対象機器10の破壊や損傷のリスクが高まることもある。あるいは、振幅の変化が激しい(振幅の大きな状態から小さな状態への繰り返しが大きい)場合に、診断対象機器10の破壊や損傷のリスクが高いこともありえる。このため、算出部6は、電界の振幅に基づいて、診断対象機器10の振動振幅を算出することが好適である。振動振幅が算出されることで、破壊診断装置1は、診断対象機器10の破壊や損傷の可能性を、高い精度で予測できる。
算出部6は、電界の振幅と診断対象機器10の振動振幅との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、診断対象機器10の振動振幅を算出する。電界の振幅と振動振幅とは、理論値および経験値によって、対応関係を有する。この対応関係が、対応関係式および対応関係テーブルを導ける。算出部6は、この導かれた対応関係式や対応関係テーブルを用いて、理論値や経験値に最適に基づいて、電界振幅から振動振幅を算出する。
また、算出部6は、振動振幅を算出するに当たって、電界の強度を用いることもよい。電界の振幅は、すなわち電界の強度を示し、電界の強度を検出することは、電界を示すパラメータから容易であるからである。
図4は、本発明の実施の形態1における電界強度と振幅との関係を示すグラフである。図4のグラフは、縦軸が電界強度を示しており、横軸が振幅を示している。電界強度と振幅とは比例関係にあり、この比例関係を上述の対応関係式もしくは対応関係テーブルとして、算出部6は、電界強度から、振動振幅を算出できる。
(振動位相の算出)
パターン3にあるように、算出部6は、診断対象機器10の振動位相を算出する。診断対象機器10には、連続的若しくは断続的に振動が生じている。振動には、位相が含まれるが、位相によって診断対象機器10の破壊や損傷の可能性が生じる。
例えば、振動の位相が頻繁に変化する場合には、診断対象機器10の特定部位に強い負荷が生じることもある。位相の変わり目が、診断対象機器10の特定部位に集中することがある。この場合には、この特定部位には、強い応力が付与されることになってしまい、場合によっては、破壊や損傷の原因となりかねない。このため、算出部6は、振動位相を算出することで、診断対象機器10の将来的な破壊や損傷を予測できる。
算出部6は、電界の位相と診断対象機器10の振動位相との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、診断対象機器10の振動位相を算出する。電界の位相と振動位相とは、理論値および経験値によって、対応関係を有する。この対応関係が、対応関係式および対応関係テーブルを導ける。算出部6は、この導かれた対応関係式や対応関係テーブルを用いて、理論値や経験値に最適に基づいた状態で、電界位相から振動位相を算出できる。
算出された位相は、絶対値としての位相として把握されてもよいし、位相変化として把握されてもよい。位相変化は、診断対象機器10における負荷を探るのに好適な要素だからである。
(振動加速度の算出)
パターン4にあるように、算出部6は、診断対象機器10の振動加速度を算出する。診断対象機器10には、連続的若しくは断続的に振動が生じている。振動は、振動加速度との要素を有する。振動加速度は、診断対象機器10に生じている振動における、変化の傾きを示す。
図5は、本発明の実施の形態1における振動状態を比較する説明図である。図5(A)および図5(B)のそれぞれは、診断対象機器10に生じている振動を、波形として表している。図5(A)に示される波形および図5(B)に示される波形のそれぞれの振動は、同じ振幅を有している。一方、図5(A)の振動と図5(B)の振動のそれぞれは、立ち上がりの傾きが異なる。矢印で示される傾きAは、傾きBは、その傾きの角度が異なる。振動加速度は、この傾きを示している。
診断対象機器10に振動が生じている場合に、振動振幅や振動強度が同じであっても、この振動の傾きによって、診断対象機器10の負荷は異なる。図5での傾きAは傾きBより急峻であるので、診断対象機器10にとっては、より強い負荷となっている。あるいは、診断対象機器10の特性によっては、急峻度が低い傾きBが、より強い負荷となることもある。
傾きの急峻な振動が加わっている場合には、定常状態から振動状態への移行が急速であるので、診断対象機器10は、急激なストレスを受ける。硬質で柔軟性の低い診断対象機器10は、急激なストレスによって、破壊や損傷を受ける可能性が高まる。一方、傾きの緩やかな振動が加わる場合には、定常状態から振動状態への移行がじっくりと進む。診断対象機器10には、時間をかけて負荷が付与されることになる。このため、柔軟性があるが剛性の低い診断対象機器10は、破壊や損傷を受ける可能性が高まる。
このように、診断対象機器10の破壊や損傷の可能性は、診断対象機器10に加わる振動の振動加速度によって、より高い精度で予測できる。なお、算出部6は、実際には電界の波形および強度に基づいて(図5に示される波形は、電界の波形とみなしてもよい)、振動加速度を算出できる。
算出部6は、電界の波形および強度と診断対象機器10の振動加速度との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、診断対象機器10の振動加速度を算出する。電界の波形および強度と振動加速度とは、理論値および経験値によって、対応関係を有する。この対応関係が、対応関係式および対応関係テーブルを導ける。算出部6は、この導かれた対応関係式や対応関係テーブルを用いて、理論値や経験値に最適に基づいた状態で、電界波形および強度から振動加速度を算出できる。
あるいは、算出部6は、受信した電界の波形を微分することで、振動加速度を算出してもよい。図5で説明したように、振動加速度は、電界波形の立ち上がりの傾きにより得られる。電界波形が微分されれば、当然にこの立ち上がりの傾きのスカラー量が得られる。このスカラー量は、すなわち傾きを数値的に示すものである。この数値的に示される傾きによって、算出部6は、振動加速度を算出することができる。微分においては、一般的に知られる微分回路が用いられればよい。
以上のように、算出部6は、電界の要素に基づいて、振動の要素を算出できる。この振動の要素の算出によって、破壊診断装置1は、診断対象機器10の破壊や損傷を予測診断できるようになる。
(補正)
上述の対応関係式や対応関係テーブルは、所定の補正を受けたり、算出の中で、適宜変更されたりしてもよい。例えば、対応関係式や対応関係テーブルは、診断対象機器10の特性に応じた補正値での補正を受けてもよい。
例えば、診断対象機器10は、素材、構造、構成、種類、使用態様などによって、振動への耐久性の強弱を有する。あるいは、振動振幅には強いが、振動周波数には弱い、あるいは振動周波数には強いが、振幅加速度には弱い、といった特性を有することもある。
このため、算出部6は、診断対象機器10の特性に応じた補正値によって、補正を受けることも好適である。なお、補正値は、経験的に得られてもよいし、理論的に得られてもよい。
(信頼性値による補正)
補正値は、検出部5で検出される電界の強度に基づく信頼性値であってもよい。信頼性値による補正によって、算出部6は、より高い精度で、振動に関する各パラメータを算出できる。算出部6は、この信頼性値を補正値として、診断対象機器10の振動周波数、振動振幅、振動位相、振動加速度を算出する。
電界の強度は、振動している当該診断対象機器10の振動の強度を直接的に表していると考えられる。電界の強度が大きな状態であれば、算出部6が算出する振動周波数や振動加速度などのパラメータは、診断対象機器10の破壊や損傷の予測に使いやすいと考えられる。一方で、電界強度が小さな状態であれば、算出部6が算出する振動周波数や振動加速度に問題があっても、診断対象機器10の破壊や損傷に悪影響が高いとは限らない。このため、電界強度に基づく信頼性値で、算出部6での算出が補正されることは、破壊診断装置1による診断対象機器10の破壊や損傷の予測診断にとって好適である。
なお、このように電界強度から得られる信頼性値によって補正が行われる場合には、電界強度が大きい場合に信頼性値が大きく(算出される振動の各パラメータの信頼性が高い)、電界強度が小さい場合に信頼性値が小さい(算出される振動の各パラメータの信頼性が低い)ように、信頼性値(補正値)が設定されることが好適である。
図6は、本発明の実施の形態1における信頼性値を用いた振動加速度の算出を示す関係テーブルである。図6の関係テーブルのパラメータ軸における縦軸は、電界強度に基づく信頼性値を示している。信頼性値は、0、1、2、3の4値で設定される。数値が大きいほど、信頼性の度合いが高いことを、この信頼性値は示している。パラメータ軸における横軸は、電界の波形および強度を数値化したものである。すなわち、横軸の値は、診断対象機器10の振動加速度を算出するための要素である。
算出部6は、通常においては、横軸の電界の波形および強度を数値化したものだけを用いて振動加速度を算出する。しかし、ここでは、算出部6は、横軸の数値に更に縦軸の信頼性値を用いて、振動加速度を算出する。
この結果、図6の関係テーブルに示されるように、横軸において同じ値(電界の波形および強度を数値化した値が同じである場合)でも、信頼性値によって、異なる振動加速度が算出されている。この結果、算出部6が算出する振動加速度は、電界強度を反映したものとなる。電界強度は、すなわち診断対象機器10の振幅を示している。
例えば、図6の関係テーブルの右上の枠では、振動加速度は、値「200」として算出されている。すなわち、電界強度(言い換えれば振動振幅)が大きく、波形や強度から得られる傾きも大きいことで、振動加速度は、最も大きく算出される。振動の振幅および傾きが大きいことは、診断対象機器10にとって非常にリスクをもたらす状態である。このため、算出部6が、信頼性値を用いて振動加速度を算出することで、破壊診断装置1は、より実際の状況に合わせた破壊や損傷のリスクを予測診断できる。
(電位の付与)
基準電位素子3は、診断対象機器10に装着されることで、間接的に診断対象機器10に電位が付与されている状態を形成する。基準電子素子3は、電源や電子回路に接続されており、基準電位素子3には、外部から所定電位の電圧が付与される。この付与される電圧によって、基準電位素子3は、所定電位を有するようになる。この所定電位が、診断対象機器10の仮想的な電位として取り扱われる。
ここで、基準電位素子3は、図1に示されるように診断対象機器10に接触して装着されてもよい。あるいは、図7に示されるように、診断対象機器10に非接触で装着されてもよい。非接触であっても、基準電位素子3が、診断対象機器10の振動を受けることができればよいからである。基準電位素子3は、診断対象機器10の振動を受けて電界を変化させればよい。このため、診断対象機器10に非接触であっても、間接的に振動を受ける構成であればよい。図7は、本発明の実施の形態1における破壊診断装置のブロック図である。
あるいは、基準電位素子3が装着されるあるいは装着されないに関らず、診断対象機器10そのものに、電位が付与されてもよい。図8は、本発明の実施の形態1における破壊診断装置のブロック図である。図8に示される破壊診断装置1では、診断対象機器10に、電源11が接続されている。診断対象機器10は、電源11から電位を付与されることで、所定電位を有するようになる。診断対象機器10が、導体で構成されている場合には、診断対象機器10そのものが電位を有することも好適である。
また、図8に示される診断対象機器10は、電源11によって、全体に所定の電位を有してもよいし、部分的に電位を有してもよい。例えば、診断対象機器10が、非常に大型であったり複雑な構成を有していたりする場合には、部分的にしか電位を有しにくい場合もある。電位を有する部分は、受信部4での受信ができる場所であればよいので、診断対象機器10は、部分的に電位を有することもよい。
また、基準電位素子3からの電位を受けることで、診断対象機器10が、所定の電位を有することも好適である。
以上、実施の形態1における破壊診断装置1は、診断対象機器10の振動によって生じる電界変化に基づいて、振動の各パラメータを算出できる。この算出された各パラメータに基づいて、破壊診断装置1は、振動にさらされている診断対象機器10の破壊、損傷、故障などのリスクを予測診断できる。結果として、診断対象機器10である、機器、プラントなどの、設計、製造、保守、使用能力が向上する。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2は、診断対象機器10での振動に関する各パラメータの分布状態を算出することで、より高い精度で診断対象機器10の故障や損傷を予測診断する破壊診断装置1を説明する。
図9は、本発明の実施の形態2における破壊診断装置のブロック図である。
破壊診断装置1は、診断対象機器10に複数の基準電位素子3A〜3Cを装着している。図示の都合上、図9の診断対象機器10には、3つの基準電位素子が装着されているが、3つに限られず、複数の基準電位素子3が装着されればよい。
受信部4は、基準電位素子3A〜3Cのそれぞれからの電界を受信する(電界の変化を受信する)。ここで、受信部4は、一つの要素であって、一つの要素である受信部4が3つの基準電位素子3A〜3Cのそれぞれの電界を受信してもよいし、受信部4は、基準電位素子3A〜3Cのそれぞれとペアリングとなる複数の要素を有しており、複数の要素のそれぞれが、対となる基準電位素子3A〜3Cの電界を受信してもよい。
また、基準電位素子3A〜3Cのそれぞれは、診断対象機器10の特性に合わせつつ診断対象機器10の破壊を予測しやすい位置に装着される。この結果、診断対象機器10における、振動分布が算出されるようになる。特に、診断対象機器10において、振動に弱い場所、振動に強い場所にあわせた振動状態が、好適に算出されるようになる。
受信部4での受信に合わせて、検出部5および算出部6は、基準電位素子3A〜3Cのそれぞれが装着された位置に合わせて(すなわち、診断対象機器10の複数の部位における)、振動周波数、振動振幅、振動位相および振動加速度の少なくとも一つを算出できる。この結果、破壊診断装置1は、受信部4で受信した基準電位素子3A〜3Cのそれぞれで、得られる電界に基づいて、基準電位素子3A〜3Cのそれぞれが装着された部位の振動状態を、把握できる。
複数の基準電位素子3は、診断対象機器10の様々な部位に装着されればよい。例えば、診断対象機器10は、破壊や損傷しやすい部位を有していることがある。このように破壊や損傷しやすい部位は、部材同士が組み合わされるジョイント部分であったり、負荷が非常に掛かりやすい部位であったりする。このような部位は、当該部位やその周辺の部位の振動状態によって、破壊や損傷を生じさせることがある。例えば、ある診断対象機器10では、異なる位相の振動が生じており、この異なる位相が衝突する部位において、強い負荷が加わってしまい、破壊や損傷に繋がることがある。
このように、診断対象機器10の振動による破壊や損傷の予測診断においては、診断対象機器10全体を一つとみなした振動状態を算出したり、ある特定部位の振動状態を算出したりするだけでなく、診断対象機器10の振動状態の分布を算出することが好ましいことがある。振動振幅、振動周波数、振動位相、振動加速度の分布が算出されることで、破壊診断装置1は、診断対象機器10の破壊や損傷を、より高い精度で診断することができるようになるからである。
図10は、本発明の実施の形態2における診断対象機器における振動分布を示す模式図である。図10に示される診断対象機器10は、実施の形態1,2で説明された破壊診断装置1で、複数の部位の振動周波数が算出されている。複数の部位での振動周波数の算出結果を、診断対象機器10に当てはめて表すと、図10のようになる。
図10に示されるように、ある診断対象機器10では、それぞれの部位において異なる振動周波数を有している。その振動周波数は、図10に示されるような分布となっている。ここで、多くの部位では、1KHzから1.2KHz程度に集中しているのに対して、ある部位30では、100Hzと、その振動周波数が1桁異なる。その周囲の振動周波数は、1KHzから1.2KHzである。このため、この部位30は、周囲と異なる振動にさらされていることになり、負荷によるたわみや変形が発生する可能性を有している。
このような分布状態であれば、破壊診断装置1は、この部位30やその境界が、破壊や損傷の可能性を有するとして、診断する。この診断によって、破壊診断装置1は、より精度の高い予測診断を行えると共に、破壊や損傷を生じさせる可能性の高い部位を予測診断できる。
(推定部)
破壊診断装置1は、診断対象機器10の破壊もしくは損傷の可能性を推定する推定部を更に備えることも好適である。
図11は、本発明の実施の形態2における破壊診断装置1のブロック図である。推定部7は、算出部6の結果に基づいて、診断対象機器10の破壊もしくは損傷の可能性を推定する。例えば、診断対象機器10の特性に応じて、振動周波数、振動振幅、振動位相、振動加速度のいずれか(もしくは組み合わせ)によって、診断対象機器10が、破壊や損傷の可能性が高いことを推定できる。このとき、診断対象機器10における理論値や経験値を活用して、推定部7は、破壊や損傷の可能性を推定する。
また、図9、図10を用いた説明にあるように、算出部6が、診断対象機器10の複数の部位の振動状態を算出する場合には、推定部7は、診断対象機器10における破壊もしくは損傷の生じうる位置を推定する。図10のように、診断対象機器10における周波数分布によって、部位30が、破壊もしくは損傷を生じさせやすいと、推定部7は、推定する。
特に、複数の部位の振動状態が算出される場合には、推定部7は、ある部位における振動周波数、振動振幅、振動位相および振動加速度の少なくとも一つ(2以上の組み合わせも含む)が、周囲と所定値以上の差分を有する場合には、当該部位は、破壊や損傷を生じさせる可能性が高いと推定する。このような部位は、周辺と著しく異なった振動状態であって、著しく強い負荷が集中していると考えられるからである。
あるいは、第1部位での振動周波数、振動振幅、振動位相および振動加速度の少なくとも一つが、第1部位と異なる第2部位での振動周波数、振動振幅、振動位相および振動加速度の少なくとも一つと、所定値以上において異なる場合がある。この場合には、推定部7は、この第1部位と第2部位との境界(第1部位と第2部位とで挟まれる位置)を、破壊もしくは損傷の可能性の高い位置として推定する。このような位置も、著しく強い負荷が集中していると考えられるからである。
また、上記までに説明した破壊や損傷とは、故障や不具合も含む意味である。
以上のように、破壊診断装置1は、推定部7を備えることで、診断対象機器10の破壊や損傷の可能性や、破壊や損傷の生じる位置を、推定できる。この推定によって、診断対象機器10の設計、製造、保守が容易となり、より高い耐久性を有する機器、装置、プラントなどが実現できる。
以上、実施の形態1〜2で説明された破壊診断装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1 破壊診断装置
2 本体部
3 基準電位素子
4 受信部
5 検出部
6 算出部
7 推定部
10 診断対象機器

Claims (19)

  1. 振動を生じうる診断対象機器に接触もしくは非接触で装着されて、前記診断対象機器の電位を決定する基準電位素子と、
    前記基準電位素子の振動によって発生する電界を受信する受信部と、
    前記受信部で受信された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出する検出部と、
    前記検出部で検出された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、前記診断対象機器に生じている振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する算出部と、を備える振動を生じうる機器の破壊を予測診断する、破壊診断装置。
  2. 前記算出部は、
    (1)前記電界の周波数に基づいて、前記診断対象機器の振動周波数を算出し、
    (2)前記電界の強度に基づいて、前記診断対象機器の振動振幅を算出し、
    (3)前記電界の位相に基づいて、前記診断対象機器の振幅位相を算出し、
    (4)前記電界の波形および強度に基づいて、前記診断対象機器の振動加速度を算出する、請求項1記載の破壊診断装置。
  3. 前記算出部は、前記電界の周波数と前記診断対象機器の振動周波数との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、前記診断対象機器の振動周波数を算出する、請求項2記載の破壊診断装置。
  4. 前記算出部は、前記電界の強度と前記診断対象機器の振動振幅との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、前記診断対象機器の振動振幅を算出する、請求項2記載の破壊診断装置。
  5. 前記算出部は、前記電界の位相と前記診断対象機器の振幅位相との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、前記診断対象機器の振動位相を算出する、請求項2記載の破壊診断装置。
  6. 前記算出部は、前記電界の波形および強度と、前記診断対象機器の振動加速度との対応関係式および対応関係テーブルの少なくとも一方に基づいて、前記診断対象機器の振動加速度を算出する、請求項2記載の破壊診断装置。
  7. 前記対応関係式および前記対応関係テーブルの少なくとも一方は、前記診断対象機器の特性に応じた補正値での補正を受ける、請求項3から6のいずれか記載の破壊診断装置。
  8. 前記算出部は、前記電界の波形を微分することで、前記診断対象機器の振動加速度を算出する、請求項1から7のいずれか記載の破壊診断装置。
  9. 前記基準電位素子は、外部から所定電位の電圧を付与される、請求項1から8のいずれか記載の破壊診断装置。
  10. 前記診断対象機器に、外部から所定電位の電圧を付与される、請求項1から9のいずれか記載の破壊診断装置。
  11. 前記診断対象機器に外部から付与される電圧は、部分的な領域への電圧付与である、請求項10記載の破壊診断装置。
  12. 前記算出部は、前記検出部で検出される電界の強度に基づいて信頼性値を算出し、前記信頼性値で補正された前記電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、前記診断対象機器に生じている振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する、請求項1から11のいずれか記載の破壊診断装置。
  13. 前記信頼性値は、前記電界の強度が大きい場合に大きく、前記電界の強度が小さい場合に小さい、請求項12記載の破壊診断装置。
  14. 前記診断対象機器に、複数の前記基準電位素子が装着され、
    前記検出部は、前記複数の基準電位素子のそれぞれから得られる電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出し、
    前記算出部は、前記複数の基準電位素子のそれぞれでの電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、前記診断対象機器の複数の部位での振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する、請求項1から13のいずれか記載の破壊診断装置。
  15. 前記算出部は、前記診断対象機器における、振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つの分布状態を算出する、請求項14記載の破壊診断装置。
  16. 前記算出部の算出結果に基づいて、前記診断対象機器の破壊もしくは損傷の可能性を推定する推定部を更に備える、請求項1から15のいずれか記載の破壊診断装置。
  17. 前記複数の基準電位素子が装着される場合に、前記推定部は、前記複数の基準電位素子の装着位置毎の算出結果に基づいて、前記診断対象機器における破壊もしくは損傷の生じうる位置を推定する、請求項16記載の破壊診断装置。
  18. 前記複数の基準電位素子が装着される場合に、前記複数の基準電位素子の内第1基準電位素子の装着位置での振動加速度と、第2基準電位素子の装着位置での振動加速度とが、所定値以上異なる場合に、前記推定部は、前記第1基準電位素子の装着位置と前記第2基準電位素子の装着位置とに挟まる位置を、破壊若しくは損傷の生じうる位置として推定する、請求項17記載の破壊診断装置。
  19. 振動を生じうる診断対象機器に接触もしくは非接触で装着されて、前記診断対象機器の電位を決定する基準電位素子を備え、
    前記基準電位素子の振動によって発生する電界を受信する受信ステップと、
    前記受信部で受信された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つを検出する検出ステップと、
    前記検出部で検出された電界の波形、周波数、強度および位相の少なくとも一つに基づいて、前記診断対象機器に生じている振動の加速度、周波数、振幅および位相の少なくとも一つを算出する算出ステップと、を備える振動を生じうる機器の破壊を予測診断する、破壊診断方法。
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