以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず図1を用いて、本実施の形態に係る健康管理システムを備えた高齢者向け施設について説明する。
本高齢者向け施設では、1階に、多目的ホール(リハビリルーム)、ロビー、健康管理室、及び屋外ガーデン・菜園などが設けられ、基準階に、居間・食堂、キッチン・スタッフルーム、個別浴室、機械浴室、デイルーム、及びユーティリティ(理美容室、デンタルルーム)などが設けられている。
例えば、1階の多目的ホールは、リハビリテーション等を行う運動エリアとして用いられ、ロビー及び屋外ガーデン・菜園などは休息のための休息エリアとして用いられる。また、基準階における、居間・食堂、個別浴室、機械浴室、デイルーム、及びユーティリティなども、休息エリアとして用いられる。なお、1階の屋外ガーデン・菜園などは運動エリアとしても用いることができる。
1階の多目的ホールを含む運動エリアにおいては、床振動、映像反応、及び身体ゲーム等、高齢者に五感刺激、及び、歩いたときの足音や手で触った物の触り心地といった、自分の行為に反応して自身に与えられる刺激であるレスポンス刺激を含む感覚刺激を与えるための種々の装置が配置され、これらの装置を用いた例えば健康管理室でのリハビリテーション等が行なわれる。
このように運動エリアにおいて感覚刺激を与えるための装置として、後述の図2,3で示す運動刺激付与装置301が備えられている。
また、1階の屋外ガーデン・菜園を含む休息エリアにおいても、レスポンシブルガーデン、香り植栽、砂利道、水琴窟、及び獅子脅し等、高齢者に五感刺激やレスポンス刺激を与えるために種々の装置が設けられ、これらの装置により、高齢者を休息させるリラクジェーションが行なわれる。すなわち、交感 神経の興奮を抑えて、副交感神経の働きが優位になっている状態とし、緊張が解かれている状態で、高齢者を、くつろいだ状態にする。
このような休息エリアにおいて感覚刺激を与えるための装置として、後述の図2,3で示す休息刺激付与装置302が備えられている。
また、基準階の居間・食堂も運動エリア及び休息エリアとして利用され、居間・食堂においても、匂いを醸し出したり、音楽や水のせせらぎ音を流す等、高齢者に五感刺激やレスポンス刺激を与えるために上述の運動刺激付与装置301、及び休息刺激付与装置302を含む装置が配置され、食事中における高齢者の脳を活性化させたり、休息中における高齢者の脳を活性化、またはリラックスさせる。
さらに、基準階の個別浴室においても、音楽や音声における音響音を流す等、高齢者に五感刺激やレスポンス刺激を与えるために上述の運動刺激付与装置301、及び休息刺激付与装置302を含む装置が配置され、入浴中における高齢者の脳を活性化、またはリラックスさせる。
また、基準階の廊下においても、映像で、壁に窓と窓の外の風景を映す、床に砂利道を映す、及び、スピーカから砂利道を歩くときの音を出す等、高齢者に五感刺激やレスポンス刺激を与えるために、上述の運動刺激付与装置301、及び休息刺激付与装置302を含む装置が配置され、廊下を通る際に高齢者の脳を活性化、またはリラックスさせる。
また、基準階の居室においては、照明のタイムリーなオンオフ制御、明るさの調整等により、高齢者に五感刺激やレスポンス刺激を与えるために、上述の運動刺激付与装置301、及び休息刺激付与装置302を含む装置が配置され、高齢者の体内時計のリズム(サーカディアンリズム)を整えさせる。
本実施の形態の健康管理システムは、このような高齢者向け施設に備えられ、高齢者向け施設の多目的ホールや屋外ガーデン・菜園等の運動エリアに備えられた上述の運動刺激付与装置301により、当該運動エリアで高齢者が実行する運動動作に予め対応付けられた五感刺激とレスポンス刺激の双方またはいずれか一方を、当該運動動作を実行中の高齢者に与える。
また、居間や食堂等の休息エリアに備えられた上述の休息刺激付与装置302により、当該休息エリアで高齢者が実行する休息動作に予め対応付けられた五感刺激とレスポンス刺激の双方またはいずれか一方を、当該休息動作を実行中の高齢者に与える。
以下、図2、及び図3を用いて、このような高齢者向け施設に備えられる本実施の形態の健康管理システムについて説明する。
図2においては、本実施の形態に係る健康管理システム10のハードウェア構成を示し、図3においては、図2に示されるハードウェア構成により実現される健康管理システム10の機能ブロックを示している。
まず、図2を参照して、健康管理システム10のハードウェア構成を説明する。
本実施の形態に係る健康管理システム10は、プログラムの実行により健康管理システム10の各種処理を行うコンピュータとしての情報処理装置20と、五感刺激やレスポンス刺激を与えるための運動刺激付与装置301、休息刺激付与装置302、及び外部装置30nを備えている。
情報処理装置20は、プログラムの実行により健康管理システム10の各種処理を行うCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)21と、CPU21による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)22と、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶された記録媒体であるROM(Read Only Memory)23と、を備えている。
また、情報処理装置20は、各種情報を記憶するために用いられるハードディスク24(以下、「HDD」ともいう)と、キーボードやマウス等からなる入力装置25と、ディスプレイ等からなる表示装置26と、LAN(Local Area Network)等を用いて通信を行う通信装置27と、を備えている。
また、情報処理装置20は、運動刺激付与装置301、休息刺激付与装置302、及び外部装置30nの動作を制御するための各種の情報の授受を司る入出力インタフェース部(以下、「外部IF」ともいう)28と、各々を相互に接続して信号の授受を行なうシステムバスBUS(以下、「BUS」ともいう)29と、を備えている。
CPU21は、RAM22、ROM23、及びハードディスク24に対するアクセス、入力装置25を介した各種情報の取得、表示装置26に対する各種情報の表示、通信装置27を用いた各種情報の通信処理、及び入出力インタフェース部28に接続された運動刺激付与装置301、休息刺激付与装置302、及び外部装置30nとの情報の入出力等を、各々行うことができる。
CPU21が、ハードディスク24に記憶された後述する健康管理プログラムをRAM22に展開して実行することにより、情報処理装置20における、図3に示す各処理部の機能が実行される。
このような情報処理装置20、運動刺激付与装置301、休息刺激付与装置302、及び外部装置30nにより、本実施の形態に係る健康管理システム10が構成されている。
健康管理システム10は、図1に示した高齢者向け施設の利用者の健康の維持及び促進を図るものであり、当該高齢者向け施設に設けた運動エリアに運動刺激付与装置301及び外部装置30nが設置され、休息エリアに休息刺激付与装置302及び外部装置30nが設置され、情報処理装置10が、例えば1階の健康管理室等に設置される。
運動刺激付与装置301は、五感刺激とレスポンス刺激を含む感覚刺激を、運動促進刺激として、運動エリアにおいて運動中の高齢者向け施設の利用者である高齢者に与えて、当該高齢者に、当該運動動作の遂行に意欲を持たせる。
休息刺激付与装置302は、前述の感覚刺激を、休息促進刺激として、休息エリアにおいて休息中の高齢者に与えて、当該高齢者の休息状態を促進する。
なお、ここでの高齢者とは、高齢者向け施設の利用者であり、当該高齢者向け施設に設けられた運動エリアでの運動及び休息エリアでの休息をする者である。
このように、本実施の形態に係る健康管理システム10では、感覚刺激とレスポンス刺激を積極的に活用して、高齢者向け施設の利用者である高齢者の運動意欲を促進させると共に、効率的な休息をとらせることにより、高齢者が、運動と休息のバランスがとれた行動スケジュールに従って意欲的に行動するように誘導する。これにより、高齢者の健康の維持・促進を図る。
例えば、高齢者が行動スケジュールの遂行に意欲を持つようにさせるためには、アミノ酸(セロトニンやアドレナリン)を高齢者の体に補充させることにより身体及び脳の活動を活発にさせることが有効である。また、ノルアドレナリン及びドーパミンなどの意欲や快感に関わるカテコールアミンと呼ばれる神経伝達物質糖の消費を抑えることで、意欲を持たせることができる。この神経伝達物質糖の消費を抑えるためには、適度な休息が必要である。
このように、高齢者が行動スケジュールの遂行に意欲を持つようにさせるためには、適切な休息をとらせることで、脳における神経伝達物質糖の消費を抑えることが重要である。
また、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、及び触覚からなる五感を介して脳にポシティブな刺激(五感刺激)を与えることで、例えばコルチゾール(ストレスを受けると分泌されるモルモン)濃度を低下させて、意欲を促進させることができることや、上述のように、歩いたときの足音や手で触った物の触り心地といった自分の行為に反応して発生する刺激であるレスポンス刺激が心地よさや安心感などにつながることが経験的に知られている。
従って、運動と休息に五感刺激及びレスポンス刺激を積極的に活用し、高齢者の身体的、心理的・生理的な状態を、運動や休息に適した状態に誘導することにより、高齢者の健康促進・維持を継続させることができる。
また、本実施の形態に係る健康管理システム10は、このような五感刺激やレスポンス刺激を有効に利用して、適切な休養及び休息をとるように設計された行動スケジュールの遂行に高齢者が意欲を持つようにしている。
次に、図3を用いて、健康管理システム10の機能構成を説明する。
健康管理システム10は、図2に示したハードウェア及び制御プログラムを含むソフトウェアを利用して構成される機能として、入力部10a、出力部10b、処理部10c、及び記憶部10dを備えている。
入力部10aは、本人認識情報入力部(図中、「本人認識」と記載)10a1、活動量計情報入力部(図中、「活動量計」と記載)10a2、空間入退センサ情報入力部(図中、「空間入退センサ」と記載)10a3、カメラ(映像)情報入力部(図中、「カメラ(映像)」と記載)10a4、マイク(音声)情報入力部(図中、「マイク(音声)」と記載)10a5、キーボード等情報入力部(図中、「キーボード等」と記載)10a6、及び刺激付与装置制御情報入力部10a7を備えている。
本人認識情報入力部10a1は、高齢者が所持するICカード等から本人を確認するために用いられる情報を取得する。活動量計情報入力部10a2は、高齢者の腕等に装着された携帯型近赤外線組織酸素モニタ装置などから出力される酸素濃度等、当該高齢者の疲労度等の活動状態を示す情報を取得する。
空間入退センサ情報入力部10a3は、上記ICカード等からの情報を運動エリアや休息エリア等の各エリア(空間)に設けられたセンサで検知した結果に基づき、当該ICカードを所持した高齢者の各エリア(空間)への入退状況を示す情報を取得する。
カメラ(映像)情報入力部10a4は、カメラで撮像された高齢者の表情等の映像情報を取得する。マイク(音声)情報入力部10a5は、マイクで入力された高齢者の音声情報を取得する。キーボード等情報入力部10a6は、キーボード等から入力される指示情報を取得する。
刺激付与装置制御情報入力部10a7は、運動刺激付与装置301及び休息刺激付与装置302から出力される制御情報を取得する。
出力部10bは、画面情報出力部(図中、「画面表示(Pr含む)」と記載)10b1、音声情報出力部(図中、「音声」と記載)10b2、携帯端末情報出力部(図中、「携帯端末」と記載)10b3、及び刺激付与装置制御情報出力部10b4を備えている。
画面情報出力部10b1は、ディスプレイを介して表示されるか、またはプリンタを介して印刷される、高齢者や、当該高齢者の介護等を行う介護者に対して、一日の行動スケジュールを含む各種の情報を、ディスプレイやプリンタに出力する。音声情報出力部10b2は、音声で出力される上述の高齢者や介護者等に対する各種の情報をスピーカ等に出力する。
携帯端末情報出力部10b3は、高齢者または介護者が保持する携帯端末装置により画像または音声で出力される上述の高齢者や介護者等に対する各種の情報を、当該携帯端末装置に対して出力する。
刺激付与装置制御情報出力部10b4は、運動刺激付与装置301及び休息刺激付与装置302の制御に用いる制御情報を、運動刺激付与装置301及び休息刺激付与装置302に対して出力する。
なお、上述したように、運動刺激付与装置301は、高齢者向け施設等の建物内の運動エリアに備えられ、当該運動エリアで高齢者が実行する運動動作に予め対応付けられた五感刺激とレスポンス刺激の双方またはいずれか一方を、当該運動動作を実行中の高齢者に与える。
また、上述したように、休息刺激付与装置302は、高齢者向け施設等の建物内の休息エリアに備えられ、当該休息エリアで高齢者が実行する休息動作に予め対応付けられた五感刺激とレスポンス刺激の双方またはいずれか一方を、当該休息動作を実行中の高齢者に与える。
一方、処理部10cは、本人特定部10c1、スケジュール確認部10c2、移動場所確認部10c3、行動監視部10c4、評価判断部10c5、入力処理部10c6、及び出力処理部10c7を備えている。
本人特定部10c1は、本人認識情報入力部10a1等から入力された情報に基づいて、健康管理の対象となる高齢者の氏名等の特定を行なう。スケジュール確認部10c2は、キーボード等情報入力部10a6等から入力された、行動スケジュールの特定に用いられる番号に基づき、当該番号に対応する行動スケジュールを確認する。
移動場所確認部10c3は、空間入退センサ情報入力部10a3等で取得された情報に基づいて、高齢者が現在いる場所及びこの場所に至るまでに移動した場所等を確認する。
行動監視部10c4は、本人特定部10c1等による特定結果、移動場所確認部10c3等による高齢者の居場所の確認結果、及び、カメラ(映像)情報入力部10a4とマイク(音声)情報入力部10a5等で取得された映像情報と音声情報とに基づいて、高齢者の行動を監視する。
評価判断部10c5は、活動量計情報入力部10a2、カメラ(映像)情報入力部10a4、及びマイク(音声)情報入力部10a5等で取得された活動状態情報、映像情報、及び音声情報等を用いて、行動スケジュールに従って行動した高齢者の疲労度や精神状態等を判断するなどして、当該高齢者用に作成された行動スケジュールが適切であったか否かを判断して、その評価を行う。
入力処理部10c6は、入力部10aから入力された各種情報を処理部10cで処理可能なデータに変換する等の処理を行なう。
出力処理部10c7は、処理部10cで処理したデータを、出力部10bで出力する各種情報に変換する等の処理を行なう。特に、出力処理部10c7は、運動刺激付与装置301及び休息刺激付与装置302において五感刺激とレスポンス刺激を発生させるための情報等を生成して出力する。
記憶部10dは、行動データベース(以下、「行動DB」ともいう)10d1、五感刺激データベース(以下、「五感刺激DB」ともいう)10d2、心理・生理データベース(以下、「心理・生理DB」ともいう)10d3、行動履歴データベース(以下、「行動履歴DB」ともいう)10d4、施設利用スケジュールデータベース(以下、「施設スケジュールDB」ともいう)10d5、及び行動テーブルデータベース(以下、「行動テーブルDB」ともいう)10d6を備えている。
行動DB10d1は、図4に模式的に示すように、各行動No(1,2,3,…)に対応付けて、行動内容(ゲーム1,2、体操1,2、ダンス1〜3、休息1〜3,11〜13、散歩1〜4)、当該行動に対応して付与する刺激を特定するための識別情報(図中、「付与刺激(刺激DBより)」と記載)(A,B,…)、当該行動による運動量(時間当たり)を示す数値、及び当該行動による休息量(時間当たり)を示す数値等を予め記憶しておく。
例えば、図4に示すように、行動Noが「1」である行動として、行動内容が「ゲーム1」、付与刺激が「E」、運動量が「3.5」、休息量が「なし」との情報を記憶し、行動No「9」として、行動内容が「休息2」、付与刺激が「A」、運動量「1」、及び休息量「1」との情報を記憶している。
一方、五感刺激DB10d2は、図5に示すように、図3に示した行動DB10d1における付与刺激の識別情報(A,B,…)に対応付けて、刺激の対象となる感覚(聴覚、視覚、嗅覚、触覚)、付与する刺激の種類(音、光、映像、香り、風、振動)、当該刺激を生起させる装置(スピーカ、ライト、プロジェクタ、自然光、香り発生器、気流発生器、自然風、床振動)、レスポンス刺激の有無(有れば丸印)、当該刺激の説明情報としての備考(動きに連動、引き込み)等を予め記憶しておく。
例えば、図5に示すように、付与刺激が「A」に対して、対象となる感覚が「聴覚」、付与刺激が「音」、付与装置が「スピーカ」、レスポンス刺激が「無」、備考が「無」との情報を記憶し、付与刺激「X」に対して、対象となる感覚が「聴覚、視覚、及び触覚」、付与刺激が「音、映像、及び振動」、付与装置が「スピーカ、プロジェクタ、及び床振動」、レスポンス刺激が「有」、備考が「引き込み」との情報を記憶している。なお、「引き込み」とは、対象となる高齢者の注意を当該刺激に積極的に向けさせることを意味する。
このように、五感刺激DB10d2では、付与刺激として、一方的な刺激と、本人の行動に伴って発生されるレスポンス刺激とに区別して取り扱う。処理部10cは、五感刺激DB10d2に格納された情報に基づいて、刺激を付与するために用いる刺激運動刺激付与装置301及び休息刺激付与装置302を特定する。
また、心理・生理DB10d3は、図6に示すように、対象者がある行動をしたときに、心理・生理が活性化される状態量を、評価判断部10c5で換算するための情報を記憶しておく。
例えば、図6に示すように、各心理No(1,2,…)に対応付けて、行動状況、個人履歴(心理・生理)、個人条件、心理・生理係数との情報を記憶している。
行動状況として、図3に示された行動DB10d1にける行動内容(ゲーム1,2、体操1,2、ダンス1〜3、休息1〜3,11〜13、散歩1〜4)を特定する行動Noが記憶される。
個人履歴(心理・生理)には、行動内容に示される行動を行った高齢者を特定する情報が記憶され、個人条件として、当該高齢者の年齢、性別、経歴、及び嗜好等が記憶され、心理・生理係数としては、行動状況、個人履歴、個人条件における各記憶内容に応じて予め設定される値が記憶される。
なお、個人履歴及び心理・生理係数は、行動によって変化することもあるので、行動監視部10c4での映像や音声等の解析と評価判断部10c5での演算により生理・心理DB10d3の記憶内容が更新される。
また、行動履歴DB10d4は、図7に示すように、開始日時、終了日時、場所、行動、刺激、運動量、休息量、心理・生理活動量の各項目からなり、健康管理の対象となる高齢者本人のこれまでの行動を示す情報等が記憶される。
例えば、図7に示すように、開始日時「2011/11/14 9:00」から終了日時「2011/11/14 10:30」までの1時間半の間、場所「プレイス1」で、運動量「3.5」の行動「ゲーム1」が、「映像」による刺激が付与された状態で行われたことが記憶される。
また、2行目において、開始日時「2011/11/14 10:30」から終了日時「2011/11/14 11:30」までの1時間の間、場所「プレイス2」で、運動量「1」で休息量「1」の行動「休息」が、特別な刺激が付与されることなく行われたことが記憶されている。
さらに、3行目において、開始日時「2011/11/14 14:00」から終了日時「2011/11/14 15:00」までの1時間の間、場所「プレイス3」で、運動量「3.3」の行動「散歩」が、地面感覚レスポンス刺激が付与された状態で行われたことが記憶されている。
そして、4行目においては、その日におけるトータルな情報として計算された、運動量「7.8」と休息量「1」が記憶されると共に、心理・生理活動量「2」が記憶されている。
なお、行動履歴DB10d4における運動量及び休息量は、図3に示された行動DB10d1におけるデータ(「運動量」、「休息量」)をもとに、運動時間あるいは休息時間を考慮して得られ、運動と休息の好ましいバランスが得られているかどうかの判断材料となる。
また、心理・生理活動量は、対象の高齢者が行動中において処理部10cにおいて算出されるものである。すなわち、対象の高齢者が行動中の場合において、カメラ(映像)情報入力部10a4及びマイク(音声)情報入力部10a5から入力される映像や音声等を行動監視部10c4が解析し、解析結果に基づいて評価判断部10c5が心理・生理活動量を換算して、行動履歴DB10d4に記憶する。なお、心理・生理活動は前後の行動とも関連する場合があるので、心理・生理活動量は行動毎のデータとならない場合もある。
また、施設スケジュールDB10d5は、図8に示すように、高齢者向け施設の担当者が入力する施設の各空間(エリア)で実施する運動や休息の種類を記憶する。なお、高齢者向け施設の担当者は、このような入力を日毎に行っても良いし、週毎に行っても良い。再度入力されるまでは、以前の入力が継続される。
施設スケジュールDB10d5において、「プレイス1,2,…」は施設の各空間(エリア)を示し、タイムテーブルでは、各空間(エリア)で実施される運動や休息の種類が、各時刻別に示されている。このように、施設スケジュールDB10d5に記憶される情報は、各時刻に対して、施設の各場所(エリア)でどのような行動が予定されているかを予め設定されるもので、時刻と、行動DB10d1における行動Noとで入力される。
なお、空間(エリア)によっては複数の運動を同時刻に行うことも可能である。例えば、図8の例では、「プレイス1」では10:00〜12:00まで「ゲーム2」が実施され、13:00〜14:00は「体操2」、14:00〜15:00は「ゲーム2」及び「体操1」、15:00〜17:00は「ダンス2」が実施される。
また、行動テーブルDB10d6は、図9に示すように、健康管理の対象となる利用者(高齢者)が選択した、その日に行動したい内容が入力される。なお、情報の入力は、本人や介護者が入力画面等で行う。
当日の施設内の部屋や庭等の空間(エリア)で実施可能な行動メニューとして、行動DB10d1の情報と施設スケジュールDB10d5の情報とが画面等に表示され、この表示内容を参照して、本人や介護者が、利用したいエリアと行動内容を選択して入力すると、行動テーブルDB10d6に記憶される。なお、行動の選択は同一場所で異なる行動が可能な状況もあるので、各時刻における場所か行動を選択することにより行動メニューの入力が行われる。
なお、行動テーブルDB10d6への情報の入力画面での入力が終了すると、図9に示す行動テーブルDB10d6の情報に基づいて、処理部10cにより、そのスケジュールを実施したときの運動量、休息量が算出され、画面出力部10b1により画面等に表示され、高齢者及び介護者による行動の参考として利用される。
また、個々に場所や行動を指定して入力しなくても、コンピュータが、自動的に、本人の履歴から望ましい運動と休息を推定して、複数作成したスケジュールから適切なスケジュールを選択することも可能である。
図10においては、図3に示す出力部10bにおける画面情報出力部10b1で出力される一日の活動メニュー情報1001の一例が示されている。
同図に示すように、本実施の形態に係る1日の活動メニュー情報は、行動区分、行動内容、五感刺激の提供の各項目を含んで構成される。行動区分としては、事前準備、移動、運動、判断、移動、休息、休息、移動、運動、判断、運動、判断、移動、休息、等の情報が記憶される。
また、行動内容としては、それぞれの行動区分の内容に対応した行動が、例えば、入館の登録、今日の行動(運動と休息)メニューの確認、等の情報が記憶され、五感刺激の提供としては、例えば移動中に提供された刺激(高揚の五感刺激)、運動中に提供された刺激(ダンスに対する五感刺激)、等の情報が記憶される。
以上説明したように、本実施の形態に係る健康管理システム10は、図1に示した高齢者向け施設における運動エリアでの運動動作と休息エリアでの休息動作とにより高齢者の運動と休息がバランス良くとれるように予め運動動作と休息動作の行動スケジュールが組まれた行動スケジュール情報を出力して、高齢者または介護者に示すことで、高齢者の意欲を促進する最適な行動を実行させる。
なお、本実施の形態に係る健康管理システム10は、複数のスケジュール情報を仮出力し、高齢者が仮出力された複数のスケジュール情報から1つ選択したスケジュール情報を最終スケジュールとして、高齢者に提供することができる。このように、高齢者自身に最終的な行動スケジュールを決めさせることにより、高齢者が当該行動スケジュールに沿って行動する意欲をさらに増進させることができる。
また、本実施の形態に係る健康管理システム10は、図4に示した行動DB10d1に記憶された情報、図5に示した五感刺激DB10d2に記憶された情報、及び図8に示した施設スケジュールDB10d5に記憶した情報で示されるように、複数の運動エリア毎に、各運動エリアで実行される運動動作と当該運動動作に予め対応付けられた運動刺激付与装置との組み合わせが所定時刻単位で設定された情報と、複数の休息エリア毎に、各休息エリアで実行される休息動作と当該休息動作に予め対応付けられた休息刺激付与装置との組み合わせが所定時刻単位で設定された情報と、を示す施設スケジュール情報を出力して高齢者に提供するようにすることができる。これにより、高齢者自身が、この施設スケジュール情報を参照して、所定時刻単位の複数の運動エリアと複数の休息エリアとの利用予定を決定できるようになり、高齢者が当該行動スケジュールに沿って行動する意欲をさらに増進させることができる。
また、本実施の形態に係る健康管理システム10では、五感刺激及びレスポンス刺激を活用して、高齢者向け施設において、高齢者が意欲的に運動及び休息できる場(エリア)を提供すると共に、運動及び休息の実施の後に身体的、生理的、及び心理的状況を把握して、運動と休息のバランスをみて、次の行動スケジュール(運動及び休息)を設定する。
そして、本実施の形態に係る健康管理システム10では、ICタグや入館証等により高齢者本人を識別し、識別した高齢者本人または当該高齢者の担当介護者に、1日の行動スケジュールや活動状況等の情報を、コンピュータ画面や壁面投影等の表示手段により、または、音声、携帯端末(携帯電話含む)等により知らせる。
なお、運動量及び休息量の情報の取得は、高齢者本人に、運動量及び休息量を記憶してコンピュータにデータ送信する端末(例えば、活動量計等)を持たせることで行っても良い。あるいは、運動状態及び休息量等を画像処理することにより運動量及び休息量を推定することで取得するようにしても良い。もしくは、運動時間及び休息時間に基づいて運動量及び休息量を推定して取得することでも良い。
また、心理・生理の状態情報の取得は、五感刺激及びレスポンス刺激によるアクティビティの活性化を考慮して、例えば、画像もしくは音声で示される高齢者の状況をコンピュータで解析して、対象者のコミュニケーションの状態等から推定して取得することでも良い。あるいは、心拍数及び脈拍などの計測値から取得することでも良い。または、本人の意識、すなわち、本人が自分の今ある状態や周囲の状況などを正確に認識できているか否か等の状態を例えば介護士が観測し、その観測結果から心理・生理の状態情報を判断することでも良い。
このようにして取得された、高齢者の各運動や休息の状態、及び心理・生理状態を表す各情報は、入力部10aの各機能(10a1〜10a6)により、健康管理システム10に取り込まれ、処理部10cの入力処理部10c6により記憶部10dにおける各データベース(行動DB10d1〜行動テーブルDB10d6)に記憶される。
また、本実施の形態に係る健康管理システム10では、高齢者本人を識別するICタグや入館証等により、入力部10aの本人認識情報入力部10a1及び空間入退センサ情報入力部10a3で取得する情報に基づいて、移動場所確認部10c3により、高齢者本人が行動スケジュールで指定された時間に指定の場所にいるか否か等を把握する。
次に、図11及び図12を参照して、本実施の形態に係る健康管理システム10の作用を説明する。
なお、事前準備として、図4に示すように行動DB10d1において、各行動Noに対して、行動内容、行動に対して付与する刺激、行動に対しての運動量及び休息量等を予め対応付けて記憶しておく。また、行動DB10d1における各付与刺激の詳細を表す情報を、図5に示すように、五感刺激DB10d2において定義しておく。ここでは、付与刺激として、一方的な刺激と、本人の行動に伴って引き起こさせるレスポンス刺激に区別して取り扱う。
以下、図11を参照して、本実施の形態に係る健康管理システム10の健康管理プログラムを実行する際の作用を説明する。なお、図11は、健康管理システム10の情報処理装置20におけるCPU21により実行される健康管理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは、ROM23の所定領域に予め記憶されている。
同図のステップ1101では、施設スケジュールDB10d5に記憶させる情報の入力を行う。すなわち、高齢者向け施設の担当者により、キーボード等の入力装置25を介して、施設の各空間(エリア)で所定の時刻において実施する運動や休息を特定する情報が入力されると、当該情報を、施設スケジュール情報として施設スケジュールDB10d5に記憶する。
上述したように、図8に示す例では、施設の空間(エリア)としての「プレイス1」では、10:00から12:00まで「ゲーム2」が実施され、13:00から14:00では「体操2」が実施され、14:00から15:00では「ゲーム2」及び「体操1」が実施され、15:00から17:00では「ダンス2」が実施されるとの施設スケジュール情報が記憶されている。このようにして施設の各空間(エリア)としての「プレイス1〜4」で実施される運動や休息のスケジュールが登録される。
なお、施設スケジュールDB10d5への施設スケジュール情報の入力は日毎に入力しても良いし、週毎または月毎等、任意に入力して良い。再度入力されるまでは、以前の入力情報(施設スケジュール情報)が継続される。
ステップ1102では、例えば、高齢者または介護者によるキーボード等の入力装置25を介しての操作で健康管理システム10の起動指示が入力されると、図1における行動DB10d1、五感刺激DB10d2、施設スケジュールDB10d5における各情報、及び、行動履歴DB10d4における対象となる高齢者の行動履歴情報を読み込み、表示装置26の画面上に各情報を表示する。
ここでは、当日の施設内の部屋(エリア)や庭等の空間(エリア)で実施可能な行動メニュー情報を、行動DB10d1と施設スケジュールDB10d5から読み出して表示装置26の画面に表示する。
このようにして、健康管理システム10により高齢者の健康を管理する準備が完了する。なお、健康管理システム10の電源がオンされるたびに、このような情報の読出しと表示を行うようにしても良い。
ステップ1103では、スケジュール及び行動等の選択に応じて、行動スケジュール情報を生成する。すなわち、ステップ1102の処理で画面表示された各情報を見ながら、高齢者本人または介護者が、その日に行動したい内容を選択して入力すると、選択された各エリア及び当該エリアでの行動を時刻単位で示した行動スケジュールを生成して、出力部10bの画面出力部10b1を介して表示装置26により表示する。
なお、このように画面表示した当該行動スケジュールの内容を確認した後、高齢者本人または介護者は、当該行動スケジュールを、本人が所持する携帯端末に送信、もしくは、プリンタを介して紙に印刷して出力する。
このようにして、上述の図9で行動テーブルとして例示する行動スケジュール情報を生成する。なお、行動の選択においては、同一場所(エリア)で異なる行動が可能な状況もあるので、各時刻における場所か行動を選択することにより行う。
また、行動スケジュール情報の生成が終了すると、当該行動スケジュールに組み込まれた各行動の運動量及び休息量を、図4に例示した行動DB10d1から各々読み出し、当該行動スケジュールを実施した際のトータルの運動量及び休息量を導出して表示装置26により表示する。高齢者本人または介護者は、このように、表示されたトータルの運動量及び休息量を参考にして、当該行動スケジュールの変更や決定を行う。
なお、このように、高齢者本人または介護者が、個々に場所や行動を指定して入力するのではなく、記憶部10dにおける行動履歴DB10d4の記憶内容を参照し、当該高齢者に関するそれまでの行動履歴情報に基づいて、当該高齢者に望ましい運動と休息を推定して、複数の行動スケジュールを生成して画面表示し、高齢者本人または介護者が、この画面表示された複数の行動スケジュール情報から好みのスケジュールを選択するようにしても良い。
ステップ1104では、選択された場所への移動が行われたことを確認する。すなわち、一日のスケジュールが確定すると、スケジュールに従って行動する場所が、本人が所持している携帯端末等により画面や音声で指示され、この指示に従って、選択された場所に高齢者が移動したか否かを確認する。この確認は、本人の識別手段であるICタグ等を場所に設置されたセンサで検知することにより確認する。
なお、スケジュールとは異なる場所にいる場合は本人に正規の場所に行くよう指示する。
ステップ1105−1、1105−2、1105−3、・・・では、図12に示すサブルーチンプログラムで示すように、選択された場所での処理を実行する。
例えば、図12のステップ1201では、選択した場所に来た本人に、当該場所で行われている運動や休息の具体的内容を提示する。例えば、リハビリルームに来た本人に、「プレイス1」では現在の時間は「体操1」が行われていることを提示する。提示は本人または介護者に、保持されている携帯端末により画面または音声で行われる。
ステップ1202では、行動の実施状況に対応した処理を行なう。すなわち、行動内容の指示に従った運動あるいは休息を実施している最中に、運動刺激付与装置301あるいは休息刺激付与装置302を制御して、運動中あるいは休息中の本人に対して、五感刺激及びレスポンス刺激を含む感覚刺激としての運動刺激あるいは休息刺激を付与する。
また、疲労度測定装置としての外部装置30nにより、本人が、行動内容の指示に従った運動あるいは休息を実施している最中に、本人の運動量及び休息量(疲労度)を測定する。
この測定では、本人が運動量あるいは休息量を記録するようにしても良いし、本人に、データ送信する端末(例えば、活動量計等)を持たせるようにしても良い。あるいは、疲労度測定装置としての外部装置30nにおいて、運動状態及び休息状態を画像処理することにより運動量及び休息量を推定するようにしても良い。または、運動時間及び休息時間に基づいて運動量及び休息量を推定するようにしても良い。また、それぞれを併用しても良い。
ステップ1203では、休息が必要かどうかの判断を行う。運動量の測定値、すなわち疲労度が予め定められた休息をするべき値(第1の閾値)に達したとき、あるいは本人や介護者が、休息が必要と判断したときは、ステップ1204,1205において、休息をするよう指示する運動停止指示情報を提示し、休息をとらせる。
なお、本人あるいは介護者による判断で休息するときは画像処理で対象者が集団からぬけたことによる判断、あるいは音声認識等による判断により、休息したことを健康管理システム10で認識する。
また、ここでの休息は、予め定められた所定時間行なうようにしても良いし、運動量の測定値(疲労度)が予め定められた、運動を再開しても良い値(第1の閾値よりも低い第2の閾値)に達するまで行うようにしても良い。また、休息は、運動を実施していた場所(部屋)で行っても良いし、休息のための部屋に移動して行っても良い。
第1の閾値と第2の閾値に基づいて運動と休息を本人にとらせるようにする場合、運動量の測定値(疲労度)が第1の閾値に達した時点から第2の閾値に達するまでが休息をとる時間帯とする。すなわち、運動量の測定値(疲労度)が第1の閾値より大きい状態では運動を禁止し、運動量の測定値(疲労度)が第2の閾値より小さい状態であれば運動を行って良いとする。
ステップ1206では、休息状態が所定時間経過した後、あるいは、運動量の測定値(疲労度)が第2の閾値に達した後、全ての運動が完了したか、または、まだ運動の途中であるかを判断する。
運動スケジュールが途中段階でまだ終了していない場合は、ステップ1207において、運動を再開するよう指示する運動実施指示情報を、本人や介護者が保持する携帯端末等を介して通知し、その後、上記ステップ1202の処理に戻る。
一方、ステップ1206において否定判定となった場合は、ステップ1208に移行し、対象となる場所(部屋)での行動が終了しているか否かの判断を行う。なお、対象となる部屋での行動が終了しているかどうかは、時刻と運動量から判断する。
終了している場合は、ステップ1209,1210において、終了している旨を、本人や介護者に携帯端末等を介して通知し、終了した当該場所での運動及び休息のデータを行動履歴DB10d4に記録して、対象となる場所での行動を終了させる。なお、運動中または休息中の心理・生理状態も健康管理システム10で計測及び評価して心理・生理DB10d3に記録する。
このようにして図12に示すサブルーチンプログラムが終了すると、図11に示すメインルーチンプログラム(健康管理プログラム)におけるステップ1106の処理に移行する。
ステップ1106では、予定されたスケジュールが全て終了したか否かを判定し、終了していなければ、ステップ1104の処理に戻り、一日の行動スケジュールに従って、本人及び介護者を次の選択された場所へ移動させるよう、次の行動の場所を携帯端末等に表示する。
予定されたスケジュールが全て終了していれば、ステップ1107において、一日のスケジュールの終了として判断し、本人や介護者に携帯端末で表示する等して知らせる。
なお、一日の行動データは、健康管理システム10により行動履歴DB10d4に追加される。また、健康管理システム10は、本人や介護者に一日の運動量、休息量、心理・生理活動量の結果を表示し、次回の参考とさせることも出来る。
以上説明したように、本実施の形態の健康管理システム10では、運動及び休息のいずれか一方が行われるエリアを有する高齢者向け施設の利用者ごとに、当該利用者が行う運動及び休息が時系列で定められた行動スケジュール情報を予め記憶しておき、行動スケジュール情報を読み出して当該利用者に通知し、運動刺激付与装置301により、運動エリアで運動する利用者に、当該運動の遂行に対する当該利用者の意欲を向上させる感覚刺激である運動刺激を付与し、休息刺激付与装置302により、休息エリアで休息する利用者に、当該休息による当該利用者の休息状態を向上させる感覚刺激である休息刺激を付与する。
これにより、運動及び休息に際して、感覚器を介して脳にポシティブな刺激を与える感覚刺激を有効利用することができ、高齢者向け施設の利用者ごとに、運動及び休息の順序が適切に設定された行動スケジュールに従って、当該利用者が運動及び休息を意欲的に行うことができるように誘導することが可能となり、高齢者向け施設の利用者の健康維持及び健康促進を効果的に実現することができる。
また、本実施の形態の健康管理システム10では、運動している利用者の疲労度を測定し、測定した疲労度が、当該利用者に対して予め定められた閾値(第1の閾値)に達した場合、当該利用者が行っている運動を停止させ、休息をとるよう指示する情報を通知し、通知した情報に従って休息している利用者の疲労度が、当該利用者に対して予め定められた閾値(第2の閾値)に達した場合、当該利用者に運動を行うよう指示する情報を通知する。
これにより、測定した利用者の疲労度に応じて運動と休息を促すことができ、当該利用者が運動及び休息を意欲的に行うことができるように誘導することが可能となり、高齢者向け施設の利用者の健康維持及び健康促進をより効果的に実現することができる。
また、本実施の形態の健康管理システム10では、実際の利用者の運動及び休息の変更に基づいて、行動スケジュール情報を変更する。これにより、行動スケジュール情報を、実際の利用者の運動及び休息に適したものとすることができ、当該行動スケジュールに従って、当該利用者が運動及び休息を意欲的に行うことができるように誘導することが可能となり、高齢者向け施設の利用者の健康維持及び健康促進をさらに効果的に実現することができる。
また、本実施の形態の健康管理システム10では、感覚刺激として、五感刺激とレスポンス刺激を含む。このように、感覚刺激としてレスポンス刺激を含ませることにより、行動スケジュールに従って、当該利用者が運動及び休息を意欲的に行うことができるように誘導することが可能となり、高齢者向け施設の利用者の健康維持及び健康促進をより効果的に実現することができる。
以上のように、本実施の形態の健康管理システム10では、運動と休息のバランスに配慮することで、高齢者の、運動しすぎ、休息しすぎによる偏った行動を防止することができる。
また、運動や休息に五感刺激やレスポンス刺激を効果的に用いることにより、より効果的に運動や休息を行うことができる。
特に、高齢者に適した運動と休息を運動強度や運動量をもとに実施できるので、高齢者の健康維持増進が図れる。
また、本人の行動を履歴として残し、また、履歴表示もできるので、本人や介護者の健康判断が容易となり、モチベーション向上につながる。
そして、本実施の形態の健康管理システム10を装備した施設空間を提供することにより、高齢者にとって魅力的な施設とすることができる。
なお、本発明は、上述した例に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、本実施の形態においては、健康管理システム10を高齢者向け施設に設けた例を示しているが、高齢者向けの住宅においても、当該健康管理システム10を備えることで、高齢者向けの住宅の高齢者にも同様な効果を提供することができる。
また、本実施の形態の健康管理システム10では、図2に示したコンピュータ構成の情報処理装置20において、本発明に係る各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、各構成による処理が実行されても良いし、図示されていない通信機能を用いて、当該プログラムを読み込ませることでも良い。
なお、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されても良い。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能を、コンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
また、本実施の形態に係る健康管理システム10の図1に示した各処理部を、プログラムにより各機能の実行が可能なコンピュータで構成するものとしているが、論理素子回路からなるハードウェア構成とすることでも良い。
また、図2に示す健康管理システム10における情報処理装置20のコンピュータ構成に関しても適宜にその構成内容を変更しても良い。
このように、本発明を実施する形態例を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。