JP2014010241A - 光アイソレータ - Google Patents

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忠利 細川
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Abstract

【課題】
複屈折結晶くさびと常磁性体をファラデー素子とする光アイソレータにおいて2本の光ビームを1本に合成するための複屈折平板がビームを直進させるため配置したプリズムがそのプリズムの持つ複屈折性によってビームが1本にならず3本となり挿入損失が出ることを防止する。
【解決手段】
複屈折結晶平板を複屈折結晶くさびに隣接させて配置し、これらの間で光の偏光状態が変わらぬようにして順方向の光アイソレータ損失を低減した。
【選択図】図1

Description

本発明は金属やセラミックスの溶接、切断あるいはマーキングなどの加工に用いるファイバーレーザーの光を被加工物体まで導く伝送用ファイバーの先端に用いられるコリメータ付き光アイソレータに関するものであり、伝送用ファイバーおよびレーザーへの戻り光を防止するために使用するものである。
光ファイバーの途中に挿入して反射防止を行う偏波面無依存型光アイソレータはかつて光通信用に発明が行われており、光アイソレータは45度回転ファラデー回転子とその両側に偏光子を備えた構成となっている。このファラデー回転子として光通信に用いる波長1.55μm帯あるいは1.31μm帯にはこの波長帯域で光吸収の少ないフェリ磁性体のガーネットフィルムを用いることができ厚さは約0.5mmである。ところがファイバーレーザーでは波長1.0μm帯の発振領域となり、光通信で用いたガーネットフィルムは光吸収が大きく使うことが出来ない。現在もっぱら常磁性体のTGGあるいは同種の常磁性体が使われており、その厚みは約20mmと厚くなることが特徴である。
偏波面無依存光アイソレータの偏光子には複屈折結晶平板を用いるものと複屈折結晶くさびを用いるものとの2種類がある。光ビームへのこれら2種類のアイソレータの作用の差は光源側への逆方向からの戻り光の戻り方に違いがでるのであるが、結晶平板を偏光子とするものでは入射ビームと一定の距離dだけ離れた等間隔の2本のビームとなって戻るのに対し、結晶くさびの場合は入射ビームとある角度θだけ傾斜した2本のビームとなって戻ることに特徴がある。一方ファラデー素子内部での光の進行はどうかというと、結晶平板を偏光子とするものはファラデー素子内部を前記距離dだけ離れた平行な2本のビームとなって進行あるいは逆方向に進行し、結晶くさびを偏光子とするものは前記角度dだけ傾斜した2本の光ビームとなって進行あるいは逆方向に進行することに特徴がある。
光ビームの径をφとすると、光アイソレータがアイソレータとして機能するためには戻り光が入射光より十分に孤立しなければならない。したがって平板結晶偏光子の場合は入射ビームと戻り光ビームの分離の距離は光ビームの2倍すなわち2φ以上、またくさび結晶の場合は用いるレンズの焦点距離に依存するが少なくとも戻り光が入射ファイバーの径を外れるようにするためには傾斜角は1度以上が望ましい。一方、ファラデー素子内部を光ビームが損失無く進行するために必要な断面は平板結晶の場合は少なくとも2φ+φ、またくさび偏光子の場合は2個のくさびの距離をDとするとφ+D×tanθとなる。したがってD×tanθが2φよりも小さい場合は必要なファラデー素子の断面は結晶くさび偏光子を使った光アイソレータのほうが小さくて済む、と考えてよい。φ、D、およびθの大きさに依存するが、ビーム径1mm、偏光子間距離50mm、戻り光角度1度の場合はくさび型のほうがファラデー素子の断面は小さく済む。ビームが太くなってもファラデー素子の断面は小さくて済むので、ビームが太くなるほどくさび型偏光子がより適していると考えられる。ファイバーレーザーがますます大出力化しつつある現在、くさび偏光子を用いた光アイソレータがより一層必要になってゆくと考えられる。
ところでくさび型偏光子を用いる場合、光ビームは光アイソレータの内部を構成要素の第1のくさび偏光子、ファラデー素子、次に第2のくさび偏光子の順に通過して行くが、第2の偏光子を通過後2本の平行ビームに別れて進むことになる。この平行ビーム2本の分離距離はファラデー素子の厚みが大きく従って2個のくさび間の距離が大きいほど大きくなる。光通信帯で用いるガーネットフィルムならば厚み0.5mmでは分離の距離は約0.1mmから0.2mmと小さいため非球面レンズでこれら2本のビームを光ファイバーのコア径程度の1点に絞り込むことは容易である。しかしファラデー素子の厚みが厚くなるに従い1点に絞り込むのは難しくなり、ファラデー素子が厚み2.8mm程度のYIG結晶の場合には分離距離は0.5mm程度となり、レンズで1点に集光するのは容易ではない。ましてやファイバーレーザーでの波長1μm帯で用いられるTGG結晶の場合には厚みは20mmにもなりくさび間の距離はさらに大きいため、このままではレンズで1点に集光するのは困難である。
本発明の発明者はかつてYIG結晶をファラデー素子とするくさび型光アイソレータで、分離した2本のビームを1点に集光するのにビーム合成用複屈折結晶板が効果あるという発明を行ったことがある。この発明はYIGよりもさらに厚みの大きくなるTGGをファラデー素子とする光アイソレータにも有効であって、米国のScerbakとPoolerによる1μm帯での光アイソレータでの結晶くさびを使用した光アイソレータの発明の特許に本発明者のかつての発明が引用されている。これとは別個に本発明者自身もTGGをファラデー素子とするくさびを用いた光アイソレータを組み立てたことがある。
本発明者の以前のTGGを用いた光アイソレータの発明においては光ビームを光アイソレータへの入射ビームと直進させるためにガラスプリズムを用いていた。その発明の実施例2において、そのガラスプリズムをくさび偏光子と複屈折結晶平板の間に配置した。しかしこのような場合、ガラスプリズムに光弾性による複屈折が発生し、くさび偏光子から出た直線偏光が楕円偏光に変化することがあるという欠点があった。一般にクロスニコルに厳密に調整して配置した2個の偏光子の間に本来等方体であるガラス平板を置いた場合、ガラスには光弾性による歪のために複屈折を生じ消光比が下がってしまうことがしばしば観察されている。このような場合、本来2本のビームを1本に合成する目的の複屈折結晶平板は3本の光ビームに分裂してしまい全部の光を1点に集光することが出来なくなる。光アイソレータの性能としては挿入損失が増加してしまう、という欠点となる。当該の光アイソレータにおいて、きわめて歪のすくないガラスプリズムを使わなければならないという発明の制限が存在するという欠点があった。本発明の目的はその欠点を除去することである。
特公昭58−28561号公報 特公昭61−58809号公報、 特公第2775547号公報 US5,408,354A US7,426,325B2 特開2009−168894号公報
解決しようとする問題点は、くさび偏光子とビーム合成用複屈折結晶板の間に存在する複屈折物質のためにビームを1点に集光させることができない点である。
本発明は、従来の配置がくさび偏光子、ガラスプリズム、複屈折結晶平板の順に配置していたのをくさび偏光子、複屈折結晶平板、ガラスプリズムの順に配置することを特徴とする。
本発明の配置により、くさび偏光子から出た偏光面を互いに直交した2本の偏光ビームは楕円偏光に変わることなく複屈折結晶平板に入射して1本のビームに合成され、余分なビームを生じることはなくなる。その後はガラスプリズムの初期の目的どおり入射ビームと平行なビームとなる。そのためレンズによって1点に集光することができるという利点がある。
図1は光アイソレータに入射したビームが本発明の配置にしたがって一旦2本のビームとなった後に複屈折平板によって1本のビームに合成することを示した説明図である。(実施例1) 図2は本発明の複屈折結晶平板、および両隣りに配置したくさび偏光子とガラスプリズムでの光ビームの光路をしめす図である。
本発明においてはくさび偏光子を出たあとに光ビームを1点に集光する、という目的を、複屈折くさびの直後に複屈折結晶板を配置することによって実現し、複屈折結晶板の直後にガラスプリズムを配置することによって光ビームを入射ビームと平行に進行させるようにした。
図1は本発明の1実施例で全体の配置を示すものである。
光学的1軸性結晶ルチルで作製したくさび偏光子7の間にファラデー素子結晶TGG結晶4を置く。TGG結晶の周りには円筒型マグネット5、6および5を配置しファラデー回転角が45度となるようにする。3個のマグネットを組み合わせているのはN極とN極、またS極とS極が向かい合い、円筒内部で強い磁場を得るためである。くさび偏光子3と7の角度は共に4度とし、2枚のくさび偏光子の光軸の角度は互いに45度をなすように配置する。くさびの開きの角度方向は互いに逆を向き、くさび2枚を並べた配置に光を入射した場合光ビームはほぼ直進する。
くさび偏光子3に隣り合って石英ガラスプリズム2を配置する。ルチルが複屈折結晶であるため入射した光ビームは常光と異常光の2本のビームとなって進むが、このガラスプリズムの役割は左方から光を光アイソレータに入射したときにくさび偏光子から出た光ビームが入射光とほぼ平行に進むようにするためである。ガラスプリズムとルチルくさび偏光子の間では光ビームの角度は5.9度である。くさび偏光子の角度4度にたいして石英ガラスズムの角度を13.1度としたとき常光線は入射ビームと平行に進み、異常光は1度の角度で進行する。2個のTGG合計の長さが28mmで第1のルチルくさび偏光子と第2のルチルくさび偏光子の間隔が50mmである場合、第2のルチルくさび偏光子を出た光は互いに偏光面を垂直とする2本の光ビームとなる。そのビームは平行でビーム角は5.9度、平行ビーム間の間隔は0.67mmである。
図2に光ビームの出口付近の素子配置の詳細を示す。一般的に互いに平行で偏波面の垂直な2本のビームは複屈折結晶平板で1本のビームに合成することができ、ルチル結晶の場合0.67mmの分離したビームを合成するために必要な結晶平板の厚みは6.7mmであり実施例ではこの厚みの板を配置した。ルチル結晶くさびの消光比は10の5乗以上あり充分直線偏光とみなせ、複屈折平板の作用によって光ビームは1本だけとなる。もし仮にルチルくさび偏光子とルチル複屈折平板の間に何らかの複屈折物体が存在するとルチルくさび偏光子を出た光は楕円偏光と変化し、ルチル複屈折板を出た光ビームが3本のビームとなることがありうるがこの配置では介在するのは空気という等方体だけでありビームは必ず1本だけとなる。
ルチル結晶平板を光路に垂直にした場合角度5.9度で光ビームは入射するがルチルの屈折率は波長1064nmでは常光で2.483と高いためルチル内部でのビーム角は2.4度と小さい。そのため厚み6.7mmの平板を通過することによるビームのシフトは約0.3mmとなり光路シフトへの影響は大きくない。もしさらに光路を入射ビームと一致させたい場合はルチル複屈折平板を傾斜させればよい。複屈折結晶平板を出ると光は角度5.9度の1本のビームとなる。次に配置した角度13.1度の石英ガラスプリズムにより光ビームは光アイソレータに入射するビームと平行なビームとなる。
戻り光についてはこれまでの光路を第1のルチルくさび偏光子までを逆にたどり第1のルチルくさび偏光子を出たあとは2本のビームとなってガラスプリズムを出ると入射光と角度1度をなす2本のビームとなりデバイスは光アイソレータの機能を持つことになる。以上のように本発明のように従来の欠点であったガラスプリズムの光弾性のようなわずかに発生する複屈折により光ビームが3本となって進みそのために挿入損失の増加となることを防ぐことが出来る。
上記の実施例ではビーム合成用ルチル複屈折平板を光アイソレータの後方部すなわち第2のくさび偏光子と第2のガラスプリズムの間に配置したが、この位置は光アイソレータの非相反部すなわち2個の偏光子の外にあるので配置場所を変えて前方部すなわち第1のガラスプリズムと第1のルチルくさび偏光子の間に配置して分離した光ビームをファラデー素子に入射しても出口で1点に合成できるという同等な効果がある。
このような光アイソレータは近年必要となっているファイバーレーザーの戻り光防止に利用することができる。
1 入射ビーム
2 第1のガラスプリズム
3 第1の複屈折結晶くさび偏光子
4 TGG
5 円筒形マグネット
6 極性と大きさの異なる第2の円筒形マグネット
7 第2の複屈折結晶くさび偏光子
8 ビーム合成用複屈折結晶平板
9 第2のガラスプリズム
10 出射ビーム
11 戻り光ビーム
12 第1のくさび偏光子から常光として出た光ビーム
13 第1のくさび偏光子から異常光として出た光ビーム

Claims (1)

  1. 複屈折結晶くさび1個と光学的等方性のくさび1個を1組とする偏光子2組の間に45度回転ファラデー素子を配置した光アイソレータにおいて、複屈折結晶くさびと光学的等方性のくさびとの間に複屈折結晶平板を配置した光アイソレータ
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