JP2014009959A - 微小流量計及び該微小流量計を用いた固体酸化物形燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】幅広い流量範囲で高精度な測定を可能とした微少流量計を提供する。
【解決手段】流体の流通方向へ向かって断面積を縮小するレデューサ10と、レデューサ10内を含む流路における上流側で流体を加熱する加熱器21と、加熱器21よりも下流側で加熱前後の流体の温度を検出する温度検出部31と、温度検出部31による検出温度から流量を求める情報処理装置33と、流体の温度上昇量と流量の関係が負の線形関係となる検量関数を予め記憶する記憶装置とを備え、情報処理装置33が、温度検出部31による検出温度から流体の温度上昇量を求め、この温度上昇量に対応する0.2mL/min以上10mL/min以下の範囲の流量を検量関数から求めるようにした微小流量計であって、加熱器21から温度検出部31までの距離Lを、0mmよりも大きく且つ3mm以下の範囲とし、加熱器21による加熱時間を、2秒以上4秒以下の範囲とした。
【選択図】図2
【解決手段】流体の流通方向へ向かって断面積を縮小するレデューサ10と、レデューサ10内を含む流路における上流側で流体を加熱する加熱器21と、加熱器21よりも下流側で加熱前後の流体の温度を検出する温度検出部31と、温度検出部31による検出温度から流量を求める情報処理装置33と、流体の温度上昇量と流量の関係が負の線形関係となる検量関数を予め記憶する記憶装置とを備え、情報処理装置33が、温度検出部31による検出温度から流体の温度上昇量を求め、この温度上昇量に対応する0.2mL/min以上10mL/min以下の範囲の流量を検量関数から求めるようにした微小流量計であって、加熱器21から温度検出部31までの距離Lを、0mmよりも大きく且つ3mm以下の範囲とし、加熱器21による加熱時間を、2秒以上4秒以下の範囲とした。
【選択図】図2
Description
本発明は、0.2〜10mL/minの範囲の流量を測定する微小流量計、及び該微小流量計を用いた固体酸化物形燃料電池システムに関するものである。
「持続可能な開発」が重視される近年、環境に配慮した燃料電池技術の進歩には目を見張るものがある。中でも固体酸化物形燃料電池(SOFC(Solid Oxide Fuel Cell))は作動温度が750‐1000 ℃と高いため、発電効率が55‐65%と優れている(固体高分子形燃料電池(PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell))は45‐55%)。現在、SOFCは大規模分散発電用としてのみならず、高温の排熱の利用が期待されるため、実用化に向けて活発な研究開発が行われている。
図1にSOFCの構造概略図を示す。SOFCは改質器において、主に天然ガス・メタンを水と反応させ、発生した水素または一酸化炭素と、空気極で発生し、電解質膜を移動してくる酸化物イオンとを、燃料極で反応させることで発電する。なお、SOFCは高温である作動温度ゆえ、一度発電を中断すると再び作動温度に達するまでに時間がかかる。そのため、電力消費量の少ない夜間でも、常に作動しており、一日あたりに必要とされる純水供給量は約15Lにもなる。よって、発電によって新たに生成された水も、純水へと処理を施され、改質のために再利用される。発電の際、改質器には5‐8 mL/minの純水の供給が必要であり、供給が途絶えた場合、改質が行われないため、発電が中断されてしまう。これを防ぐため、改質器に供給される水の流量を計測可能であり、かつ水が流れているか否かが判別可能である流量計の開発が求められている。
図1にSOFCの構造概略図を示す。SOFCは改質器において、主に天然ガス・メタンを水と反応させ、発生した水素または一酸化炭素と、空気極で発生し、電解質膜を移動してくる酸化物イオンとを、燃料極で反応させることで発電する。なお、SOFCは高温である作動温度ゆえ、一度発電を中断すると再び作動温度に達するまでに時間がかかる。そのため、電力消費量の少ない夜間でも、常に作動しており、一日あたりに必要とされる純水供給量は約15Lにもなる。よって、発電によって新たに生成された水も、純水へと処理を施され、改質のために再利用される。発電の際、改質器には5‐8 mL/minの純水の供給が必要であり、供給が途絶えた場合、改質が行われないため、発電が中断されてしまう。これを防ぐため、改質器に供給される水の流量を計測可能であり、かつ水が流れているか否かが判別可能である流量計の開発が求められている。
そこで、例えば、特許文献1に記載された流量計を用いることが提案される。この流量計では、上流側で加熱した流体の温度を下流側で測定し、加熱前後の温度上昇量から流量を求めるようにしている。このような構成において、流量と温度上昇量との関係には、流量の増加に伴い温度上昇量が右肩上がりに増加する領域Iと、該領域Iよりも高流量の領域であって流量の増加に伴い温度上昇量が右肩下がりに低下する領域IIとを有する。特許文献1の流量計では、前記領域Iでの流量と温度上昇量の関係を用いて、主に1mL/min以下の微小流量を高精度に測定することに成功している。
しかしながら、特許文献1に記載された流量計をそのまま用いて、より幅広い流量範囲での測定を行おうとした場合には、領域I以外に領域IIも利用しなければならなくなるが、領域IIでは良好な線形関係(換言すれば直線的な関係)を得難いこと、計測範囲が領域Iから領域IIに跨る場合にはレンジ切り替えが必要となり構成が複雑になること等、改善すべき問題点があった。
本発明は、上記従来事情に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、保守の必要性が少なく安価で単純な構造を得ること、応答性が高く高精度な流量計測を可能にすること、より幅広い流量範囲での測定が可能なこと、燃料電池用微小流量計としての適用性に優れていること等、が本発明の目的である。
上記課題を解決するための一手段は、流体の流通方向へ向かって断面積を縮小するレデューサと、該レデューサ内を含む流路における上流側で流体を加熱する加熱器と、該加熱器よりも下流側で加熱前後の流体の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部による検出温度から流量を求める情報処理装置と、流体の温度上昇量と流量の関係が負の線形関係となる検量関数を予め記憶する記憶装置とを備え、前記情報処理装置が、前記温度検出部による検出温度から流体の温度上昇量を求め、この温度上昇量に対応する0.2mL/min以上10mL/min以下の範囲の流量を前記検量関数から求めるようにした微小流量計であって、前記加熱器から前記温度検出部までの距離を、0mmよりも大きく且つ3mm以下の範囲とし、前記加熱器による加熱時間を、2秒以上4秒以下の範囲としたことを特徴とする。
本発明は、以上説明したように構成されているので、保守の必要性が少なく安価で単純な構造を得ること、応答性が高く高精度な流量計測を可能にすること、より幅広い流量範囲での測定が可能なこと、燃料電池用微小流量計としての適用性に優れていること等、本発明の目的を達成することができる。
本実施の形態の第一の特徴は、流体の流通方向へ向かって断面積を縮小するレデューサと、該レデューサ内を含む流路における上流側で流体を加熱する加熱器と、該加熱器よりも下流側で加熱前後の流体の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部による検出温度から流量を求める情報処理装置と、流体の温度上昇量と流量の関係が負の線形関係となる検量関数を予め記憶する記憶装置とを備え、前記情報処理装置が、前記温度検出部による検出温度から流体の温度上昇量を求め、この温度上昇量に対応する0.2mL/min以上10mL/min以下の範囲の流量を前記検量関数から求めるようにした微小流量計であって、前記加熱器から前記温度検出部までの距離を、0mmよりも大きく且つ3mm以下の範囲とし、前記加熱器による加熱時間を、2秒以上4秒以下の範囲とした。
この構成によれば、温度上昇量と流量の関係における、温度上昇量が最大となる部分を、流量0mL/minに近づけて、1mL/min以下の極微小流量から右肩下がりに温度上昇量が減少する関係を得ることができ、ひいては、レンジ切り替え等を必要としない簡素な構造でもって、極微小流量域を含む広範な流量測定が可能になる。
この構成によれば、温度上昇量と流量の関係における、温度上昇量が最大となる部分を、流量0mL/minに近づけて、1mL/min以下の極微小流量から右肩下がりに温度上昇量が減少する関係を得ることができ、ひいては、レンジ切り替え等を必要としない簡素な構造でもって、極微小流量域を含む広範な流量測定が可能になる。
第二の特徴としては、流体の流通方向が略上向きになるように前記レデューサを支持し、前記温度検出部を有する部分の流路内径を、前記加熱器を有する部分の流路内径で除した値が、0.2以上0.3以下の範囲になるようにした。
この構成によれば、温度上昇量と流量の関係の線形性を向上することができ、ひいては、比較的幅広い流量測定範囲において、高精度な流量測定が可能になる。
この構成によれば、温度上昇量と流量の関係の線形性を向上することができ、ひいては、比較的幅広い流量測定範囲において、高精度な流量測定が可能になる。
第三の特徴としては、前記温度検出部を有する部分の流路内径を、約1mmとした。
この構成によれば、加熱器の局所加熱に基づく浮力流の影響を抑制できる上、温度検出部の装着が容易な寸法を確保することができる。
この構成によれば、加熱器の局所加熱に基づく浮力流の影響を抑制できる上、温度検出部の装着が容易な寸法を確保することができる。
第四の特徴としては、前記加熱器から前記温度検出部までの距離を、約3mmとし、前記加熱器による加熱時間を、約3秒とし、前記温度検出部を有する部分の流路内径を、前記加熱器を有する部分の流路内径で除した値が、約0.25になるようにした。
この構成によれば、レンジ切り替え等を必要としない簡素で低コストな構造によって、0.2mL/min以上10mL/min以下の比較的広範な微小流量測定を、高精度に行うことができる。
この構成によれば、レンジ切り替え等を必要としない簡素で低コストな構造によって、0.2mL/min以上10mL/min以下の比較的広範な微小流量測定を、高精度に行うことができる。
第五の特徴としては、固体酸化物形燃料電池で発生した水を改質器へ供給する流路中に、前記レデューサを配置して、該流路中の流量を測定するようにした。
この構成によれば、固体酸化物形燃料電池システムにおける改質器へ供給する水の流量を高精度に測定し制御することが可能となる。
この構成によれば、固体酸化物形燃料電池システムにおける改質器へ供給する水の流量を高精度に測定し制御することが可能となる。
次に、上記形態をより具体化した好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る微小流量計1は、図1に示すように、固体酸化物形燃料電池システムAにおいて、固体酸化物形燃料電池(SOFC)a1で発生した水を、改質器a2へ供給する流路中に設けられる。固体酸化物形燃料電池システムAは、図示しない流量調整装置によって、微小流量計1に流通される水の流量を、5〜8mL/minの範囲に調整する。
改質器a2は、固体酸化物形燃料電池a1から供給される水から水蒸気を発生させ、この水蒸気とメタンの反応から水素を得て、この水素を固体酸化物形燃料電池a1に供給する。
この固体酸化物形燃料電池システムAは、図示例によれば、作動温度が750〜1000℃、発電効率が55〜65%、発電出力が1〜10万kWである。
改質器a2は、固体酸化物形燃料電池a1から供給される水から水蒸気を発生させ、この水蒸気とメタンの反応から水素を得て、この水素を固体酸化物形燃料電池a1に供給する。
この固体酸化物形燃料電池システムAは、図示例によれば、作動温度が750〜1000℃、発電効率が55〜65%、発電出力が1〜10万kWである。
微小流量計1は、流体(本実施例によれば純水)の流通方向である略上方向へ向かって断面積を縮小するレデューサ10と、該レデューサ10内を含む流路における上流側で流体を加熱する加熱器21と、該加熱器21よりも下流側で加熱前後の流体の温度を検出する温度検出部31、該温度検出部31による検出温度から流量を求める情報処理装置33と、流体の温度上昇量と流量の関係が負の線形関係となる検量関数を予め記憶する記憶装置(本実施例では情報処理装置33に具備される記憶装置)とを備える(図2参照)。
なお、図2中の符号34は、本実施例の微小流量計1に対し、実験的に一定流量の流体を注入する場合に用いられる一定流量発生装置である。
なお、図2中の符号34は、本実施例の微小流量計1に対し、実験的に一定流量の流体を注入する場合に用いられる一定流量発生装置である。
レデューサ10は、流体の流通方向に向かって断面積を徐々に拡大する拡がり管であり、流体を略上方向へ向かって流通させるように支持され、加熱器21によって加熱される流体を熱拡散させる(温度を一様化させる)機能を担う。
なお、前記「略上方向」とは、重力方向と180度反対向きの方向だけでなく、重力方向と逆向き方向のベクトル成分を含む方向(例えば斜め上方向等)を含むことを意味するが、図示例のレデューサ10では、特に好ましい態様として、流体を重量方向と180度反対向きの真上方向へ流通させるように支持される。
なお、前記「略上方向」とは、重力方向と180度反対向きの方向だけでなく、重力方向と逆向き方向のベクトル成分を含む方向(例えば斜め上方向等)を含むことを意味するが、図示例のレデューサ10では、特に好ましい態様として、流体を重量方向と180度反対向きの真上方向へ流通させるように支持される。
レデューサ10の上流側と下流側には、それぞれ、上流側流通管11と下流側流通管12が接続されている。
これら上流側流通管11と下流側流通管12の各々は、断面形状が円形の直管(つまり直円管)であり、その内部に流体を通過させるように形成してある。
本実施例では、上流側流通管11、レデューサ10及び下流側流通管12は、鉛直方向へわたる略直線状の流路を構成している。
これら上流側流通管11と下流側流通管12の各々は、断面形状が円形の直管(つまり直円管)であり、その内部に流体を通過させるように形成してある。
本実施例では、上流側流通管11、レデューサ10及び下流側流通管12は、鉛直方向へわたる略直線状の流路を構成している。
上記構成の上流側流通管11、レデューサ10及び下流側流通管12は、例えば、アクリルや、その他の合成樹脂材料からなり、各部品同士を接合してなる構成としてもよいし、一体の部材として構成してもよい。
加熱器21は、例えばニクロム線等の発熱素子であり、本実施例によれば、素線径約0.12mm、全長約43mmのニクロム線を、内径約0.3mm、全長約3mm、19巻のコイル状に加工してなる。この加熱器21は、その中心線を流体の流通方向へ向けて上流側流通管11の中心部に配置されるとともに、前端部をレデューサ10の後端部に略一致させて配置される。
加熱器21を発熱させるための構成について説明すれば、加熱器21はパルス電圧発生装置22から供給される方形波電圧によって加熱時間thや、加熱量が調整されるようになっている。より詳細には、例えば、タイマーICを用いた無安定マルチバイブレータ回路を定電圧電源装置23により動作させ、同回路中の抵抗の大きさを変えることで、パルス通電の間の待機時間t1、パルス通電時間th等を調整し、図示しない電流制御用抵抗回路を用い電流の強さを制御することで、加熱器21の加熱量を調整するようにしている。
加熱器21によって加熱される加熱流体は、熱拡散をしながら流れに乗って移動し、その下流側においては、温度検出部31によって温度計測が行われ、加熱前と加熱後の温度上昇量(温度差)ΔTが計測される。
本実施例の温度検出部31には、特にコスト安で生産性の良好な態様として、T型のCC熱電対(copper−constantan thermocouple)を用いている。このCC熱電対の線径は約0.05mm、先端部の外径(球直径)は、約0.1mmである。
温度検出部31によって発生する起電力は、熱電対用増幅回路32により増幅され、情報処理装置33に取り込まれる。
温度検出部31によって発生する起電力は、熱電対用増幅回路32により増幅され、情報処理装置33に取り込まれる。
情報処理装置33は、後述する検量関数や、基準時間、演算処理プログラム等を予め記憶する記憶装置と、温度検出部31による検出温度から流体の温度上昇量を求め、この温度上昇量に対応する流量を検量関数から求める演算処理装置(CPU等)とを具備した構成であればよい。この情報処理装置33は、例えばパーソナルコンピュータとすればよいが、他例としては、マイクロプロセッサ等を用いた安価な電子回路とすることが可能である。
次に、本実施例の微小流量計1の測定原理について、詳細に説明する。以下の説明で用いる主な記号の意味は、図21に示すとおりである。
<測定原理>
図2は、本実施例の微小流量計1の概略図である。また、図3は微小流量計1における加熱器21のパルス加熱電圧波形と、温度検出部31の温度センサ出力波形を示す。
図4は流量測定原理を示す。垂直に設置した円管に、鉛直上向きに流体を流入する。流体は助走区間を経てポアズイユ流を形成し、流路内部中心に設置された加熱器21(ヒーター)により局所的にパルス加熱される。加熱された流体が流路内を移動するのに伴い、熱が拡散される。その後、流体は下流に設置された温度検出部31(温度センサ)に到達する。測定された温度と加熱前の流体の温度より、加熱による温度上昇量が導出され、その最大値ΔTmaxを流量測定の指標とする。
図2は、本実施例の微小流量計1の概略図である。また、図3は微小流量計1における加熱器21のパルス加熱電圧波形と、温度検出部31の温度センサ出力波形を示す。
図4は流量測定原理を示す。垂直に設置した円管に、鉛直上向きに流体を流入する。流体は助走区間を経てポアズイユ流を形成し、流路内部中心に設置された加熱器21(ヒーター)により局所的にパルス加熱される。加熱された流体が流路内を移動するのに伴い、熱が拡散される。その後、流体は下流に設置された温度検出部31(温度センサ)に到達する。測定された温度と加熱前の流体の温度より、加熱による温度上昇量が導出され、その最大値ΔTmaxを流量測定の指標とする。
<流量Q[mL/min]と最大温度差ΔTmax[K]の関係>
図5は本流量計における流量Q [mL/min]と、最大温度差ΔTmax [K]の関係を示す。
Q‐ΔTmaxの関係には、右肩上がりの放物線を示す[I]領域と、右肩下がりの双曲線を示す[II]領域が存在する。本実施例では、燃料電池のモニタリング水量5− 8 mL/minを精度よく計測するために、右肩下がりの双曲線を示す[II]領域を検量関数として用い、この領域においてQ‐ΔTmaxの関係を線形に近付けることを試みる。
図5は本流量計における流量Q [mL/min]と、最大温度差ΔTmax [K]の関係を示す。
Q‐ΔTmaxの関係には、右肩上がりの放物線を示す[I]領域と、右肩下がりの双曲線を示す[II]領域が存在する。本実施例では、燃料電池のモニタリング水量5− 8 mL/minを精度よく計測するために、右肩下がりの双曲線を示す[II]領域を検量関数として用い、この領域においてQ‐ΔTmaxの関係を線形に近付けることを試みる。
<解析的検討および提案>
図6は図5における領域[I],[II]での、ヒーター(加熱器21)通過により加熱された流体の体積と、その上下に接する流体へ熱拡散によって加熱された体積の、理論解析(内記陽一、2006年度 電気通信大学 小泉研究室卒業論文参照)を表す。ただし、解析を単純化するため、流路形状は直円管、管内は一様流、浮力による加速を無視、加熱は円管断面に一様加熱としている。
図6は図5における領域[I],[II]での、ヒーター(加熱器21)通過により加熱された流体の体積と、その上下に接する流体へ熱拡散によって加熱された体積の、理論解析(内記陽一、2006年度 電気通信大学 小泉研究室卒業論文参照)を表す。ただし、解析を単純化するため、流路形状は直円管、管内は一様流、浮力による加速を無視、加熱は円管断面に一様加熱としている。
まず、図6に示すδTは加熱された流体がヒーターからセンサまでを移動する時間中に、熱拡散によって加熱された流体の鉛直方向長さを表す。δTは、エネルギー式をオーダー評価することで、以下の式で表される。
ここで、数式中の「〜」は、“同じオーダーの大きさ”、あるいは“近い値である”を意味する。
Δtを加熱流体がヒーター上端からセンサまで移動する時間とし、Δt = L/Wm とすると、
と表される。また、図6に示すhは、ヒーターを通過することで加熱された流体の鉛直方向長さを表し、以下の式で与えられる。
ヒーターを通過することで加熱された体積と、熱拡散によって加熱された体積の総体積をVとすると、直円管より断面積は一定なので、
と、Vは、hと2δTの和に比例する。ここで、熱バランスより
なので、ΔTmaxは以下の式で表わされる。
以上より、ΔTmax は流入平均流速Wmの関数で表わされる。
図7に示す[I]領域(Q:小,Wm:小)では、h≪2δTとなっており、熱拡散によって加熱された体積が総体積Vにおいて支配的となっているため、ΔTmax は以下の式で表わされる。
[II]領域(Q:大,Wm:大)では、h≫2δTとなっており、ヒーターを通過することで加熱された体積が総体積Vにおいて支配的となっているため、ΔTmax は以下の式で表わされる。
このように、ΔTmax はQの大きさによって、依存性が全く異なるため、Q‐ΔTmaxの関係には、極大値が存在する。
Δtを加熱流体がヒーター上端からセンサまで移動する時間とし、Δt = L/Wm とすると、
図7に示す[I]領域(Q:小,Wm:小)では、h≪2δTとなっており、熱拡散によって加熱された体積が総体積Vにおいて支配的となっているため、ΔTmax は以下の式で表わされる。
本実施例の微小流量計1で計測する流量は、5−8 mL/minと、比較的多いため(例えば、「内記陽一,2006年度 電気通信大学 小泉研究室卒業論文」では、1 mL/min以下の流量において、[I]領域のQ‐ΔTmaxの線形関係より、流量を計測した。)、[II]領域のQ‐ΔTmaxの関係を用いて計測を行うことにした。その際、前記論文の流量計では5−8 mL/minでのΔTmax が小さく、本流量測定には適していない。
そこで、本願発明者らは、試行錯誤の上、主に以下の(1)〜(2)の手法により、ΔTmaxが極大を示す流量を、0 mL/min に近付けることができ、さらに、主に以下の(3)の手法により、Q‐ΔTmaxの関係を線形に近付けることができることを見出した。
そこで、本願発明者らは、試行錯誤の上、主に以下の(1)〜(2)の手法により、ΔTmaxが極大を示す流量を、0 mL/min に近付けることができ、さらに、主に以下の(3)の手法により、Q‐ΔTmaxの関係を線形に近付けることができることを見出した。
<(1).ヒーター上端とセンサ間の長さLを短くする>
ヒーター上端(換言すればコイル状の加熱器21の下流側端部)と、センサ(温度検出部31)との間の長さLを比較的短くすることで、ヒーターを通過し加熱を受けた流体がセンサに到達するまでの時間を短くし、その上下に接する流体への熱拡散量を減少させる。
<(2).加熱時間thを長くする>
ヒータ(加熱器21)をパルス加熱する時間を比較的長くすることで、ヒーターを通過し加熱を受けた流体の体積を、その上下に接する、熱拡散によって加熱された流体の体積よりも、相対的に大きくなるように増加させる。
これら二つの操作を行うことで、低流量域からh≫2δTとなるため、ΔTmaxの極大の出現を、0 mL/minに近付けることができる(図7参照)。それによって、[II]領域でのΔTmaxが増大するため、5−8 mL/minの計測が可能になる。
ヒーター上端(換言すればコイル状の加熱器21の下流側端部)と、センサ(温度検出部31)との間の長さLを比較的短くすることで、ヒーターを通過し加熱を受けた流体がセンサに到達するまでの時間を短くし、その上下に接する流体への熱拡散量を減少させる。
<(2).加熱時間thを長くする>
ヒータ(加熱器21)をパルス加熱する時間を比較的長くすることで、ヒーターを通過し加熱を受けた流体の体積を、その上下に接する、熱拡散によって加熱された流体の体積よりも、相対的に大きくなるように増加させる。
これら二つの操作を行うことで、低流量域からh≫2δTとなるため、ΔTmaxの極大の出現を、0 mL/minに近付けることができる(図7参照)。それによって、[II]領域でのΔTmaxが増大するため、5−8 mL/minの計測が可能になる。
<(3).縮流比DS/DHを小さくする>
加熱器21(ヒーター)の局所加熱に基づく浮力流の大きさを、レデューサ10(縮小管)の出口部直径を小さくすることで抑制する。すなわち、強制流の大きさが急減する流量 0 mL/min に近くなっても、縮流比DS/DHを小さくすることで、浮力流が強制流に比べて相対的に大きくなることを抑制する(図9参照)。
浮力流が卓越すると、浮力による加速流速が支配的になり、[II]領域でのQ増加に伴う、ΔTmaxの減少が激しくなる。そのため、浮力流を、縮流比を小さくすることで抑制し、[II]領域でのQ‐ΔTmaxの関係を線形に近付ける。
加熱器21(ヒーター)の局所加熱に基づく浮力流の大きさを、レデューサ10(縮小管)の出口部直径を小さくすることで抑制する。すなわち、強制流の大きさが急減する流量 0 mL/min に近くなっても、縮流比DS/DHを小さくすることで、浮力流が強制流に比べて相対的に大きくなることを抑制する(図9参照)。
浮力流が卓越すると、浮力による加速流速が支配的になり、[II]領域でのQ増加に伴う、ΔTmaxの減少が激しくなる。そのため、浮力流を、縮流比を小さくすることで抑制し、[II]領域でのQ‐ΔTmaxの関係を線形に近付ける。
<数値計算>
次に、Simunet社の数値計算ソフト STORM/CFD2000 を用いて解析を行った結果について説明する。
<基礎方程式>
流体の基礎方程式として、式(3−1) 三次元非定常の連続の式、式(3−2) ブシネ近似を適用したナヴィエ・ストークス方程式、式(3−3) エネルギー式を用いた。次式のVは、三次元速度ベクトルを表す。
次に、Simunet社の数値計算ソフト STORM/CFD2000 を用いて解析を行った結果について説明する。
<基礎方程式>
流体の基礎方程式として、式(3−1) 三次元非定常の連続の式、式(3−2) ブシネ近似を適用したナヴィエ・ストークス方程式、式(3−3) エネルギー式を用いた。次式のVは、三次元速度ベクトルを表す。
上記の基礎方程式を有限体積法で離散化し、PISO法(Pressure Implicit with Splitting Operators method)により時間進行で解いた。これは、Simple法に代表される陰的解法の一種である。ステップごとに圧力を仮定し、運動方程式のU,V,Wを求める。これらを連続の式が満足する値かどうかを判断し、適切な速度が得られるまで圧力の値を変えて反復計算する手法である。PISO法はSimple法と比べて反復回数が少なく、計算量が少なく抑えられるというメリットを持つ。
なお、対流項の離散化には二次精度の風上差分を用いた。
なお、対流項の離散化には二次精度の風上差分を用いた。
<境界条件>
流入条件は、一様流速 Wm ,一様温度 T0 とした。壁面で流速0,温度勾配0,圧力は壁面に垂直な勾配で0とした。流出条件は、輸送される全ての物理量を自由流出とした。
流入条件は、一様流速 Wm ,一様温度 T0 とした。壁面で流速0,温度勾配0,圧力は壁面に垂直な勾配で0とした。流出条件は、輸送される全ての物理量を自由流出とした。
<計算条件>
計算には、物体適合座標を用いた。作動流体は水(T0 =293 K , 323 K)とし、時間刻み幅は0.001 [s]とした。計算に用いた水の物性値を表1に示す。
計算には、物体適合座標を用いた。作動流体は水(T0 =293 K , 323 K)とし、時間刻み幅は0.001 [s]とした。計算に用いた水の物性値を表1に示す。
<数値計算モデル>
図10は数値計算に用いた流路形状を示す。
図10は数値計算に用いた流路形状を示す。
円管流では、助走距離Z(=0.065Re・D)でポアズイユ流を得る。全ての流路形状において、ポアズイユ流発達に十分な助走距離20 [mm]を設けた。
本数値計算では、素線形0.12 [mm]のニクロム線をコイル状に19巻したヒーター(加熱器21)を想定し、モデリングを行った。1巻を格子指定により4分割し(図11参照)、計76個の障害物を作成し、ヒーターを再現した。
STORM/CFD2000では、流入流量Q [mL/min]を、質量流束qm [kg/(m2・s)] または流入流速Wm [m/s]のどちらかに変換して入力する必要がある。本数値計算では流入流速Wm [m/s]による入力を採用し、流入流量Q [mL/min]の変換を行った。変換式を以下の式(3−4)に記す。
<加熱方法および加熱量検討>
ヒーターモデルの加熱方法として、障害物加熱を採用した。格子指定した障害物一つ一つの各面から、熱流束を流体に与えることで、加熱を行った。実験で用いるヒーター(加熱器21)を、内径0.3mm、全長3mm、19巻のコイル状とした。該ヒーターの表面積 S [m2]と、加熱量PE [W] から熱流束 q [W/m2]を求め、入力した。式(3−5)に、熱流束計算の式を記す。
作動流体が水(323 K)、計算モデルが、最もヒーター設置円管内径の小さい(b) DS/DH= 0.33 、 L = 3 [mm]において、加熱量PE = 2 [W]とした場合、コイル状ヒーターの中心部で水の温度が373 K を超えたため、加熱量は同条件下で373 Kに達しないPE = 1 [W] を最大として用いた。
ヒーターモデルの加熱方法として、障害物加熱を採用した。格子指定した障害物一つ一つの各面から、熱流束を流体に与えることで、加熱を行った。実験で用いるヒーター(加熱器21)を、内径0.3mm、全長3mm、19巻のコイル状とした。該ヒーターの表面積 S [m2]と、加熱量PE [W] から熱流束 q [W/m2]を求め、入力した。式(3−5)に、熱流束計算の式を記す。
<計算結果および考察>
<ヒーター上端・センサ間長さLの変化による影響>
図12は流路形状(b) DS/DH = 0.33 、L = 3 [mm]と、(c) DS/DH = 0.33 、 L = 6 [mm]での数値計算結果を示す。実線が(b) DS/DH = 0.33 、 L = 3 [mm]、破線が(c) DS/DH = 0.33 、 L = 6 [mm]の結果である。作動流体は水(323 K)、ジュール加熱量は共にH = 1 J (PE = 1 W , th = 1 s)とした。
Q = 4 mL/min 以上のQ‐ΔTmax の傾向はよく似ているが、4 mL/min以下は全く異なっている。4 mL/min 以上では、流速が大きいため、熱拡散による影響が少なく、ΔTmax は1/Wmth に支配されていると考えられる。よって、流量が多い範囲では、内径が等しい流路のQ‐ΔTmax の関係は、ほぼ等しくなると考えられる。一方、4 mL/min以下では、流速が小さく、熱拡散量が多いため、センサ位置の違いにより、ΔTmax の変化が大きく表れている。(b) L = 3 mmの方が、低流量でのΔTmax が大きくなっていることにより、ΔTmax 極大の出現位置が、(c) L = 6 mmよりも0 mL/minに近付いている。
<ヒーター上端・センサ間長さLの変化による影響>
図12は流路形状(b) DS/DH = 0.33 、L = 3 [mm]と、(c) DS/DH = 0.33 、 L = 6 [mm]での数値計算結果を示す。実線が(b) DS/DH = 0.33 、 L = 3 [mm]、破線が(c) DS/DH = 0.33 、 L = 6 [mm]の結果である。作動流体は水(323 K)、ジュール加熱量は共にH = 1 J (PE = 1 W , th = 1 s)とした。
Q = 4 mL/min 以上のQ‐ΔTmax の傾向はよく似ているが、4 mL/min以下は全く異なっている。4 mL/min 以上では、流速が大きいため、熱拡散による影響が少なく、ΔTmax は1/Wmth に支配されていると考えられる。よって、流量が多い範囲では、内径が等しい流路のQ‐ΔTmax の関係は、ほぼ等しくなると考えられる。一方、4 mL/min以下では、流速が小さく、熱拡散量が多いため、センサ位置の違いにより、ΔTmax の変化が大きく表れている。(b) L = 3 mmの方が、低流量でのΔTmax が大きくなっていることにより、ΔTmax 極大の出現位置が、(c) L = 6 mmよりも0 mL/minに近付いている。
上記Lについてより詳細に説明すれば、無限静止流体中に置かれた線熱源(2次元流動解析)の最大流速を、ブシネ近似した流体の運動方程式の各項のオーダー評価を行うことにより、鉛直上昇自然対流速度を求める。これより、局所加熱された流体の自然対流に基づく上向き最大流速は、wmax ≒ 1/Pr(gβ(Theater−T0)L)1/2となる。加熱点よりの距離Lが大きいほど、wmaxは大きくなることがわかる。実際の管内流は、強制・自然複合対流で、ベースとなる強制対流の平均流速Wmに加えて浮力によるwmaxが付加される。流量Qの大小により、両者の影響は異なる。
すなわち、一定加熱量のもとに、管内流量を変えると
・流量大(Q大、Wm大)→ Wm > wmax: 強制流の影響大
・流量小(Q小、Wm小)→ Wm < wmax: 自然対流の影響大
となる。
つまり、管内流量が大きいときは(Wm:大)、強制流の大きな熱容量によりLがwmaxに及ぼす影響は小さい。従って、最大温度差ΔTmaxは、流量の増加につれて減少する。一方、管内流量が小さくなると(Wm:小)、自然対流に基づくwmaxが、管内流量が大きいときに比べ、ΔTmaxに大きく影響するようになる。管内流の単純化したモデル解析結果より、Wm小の流量範囲では、ΔTmax∝(Wm /L)1/2となり、ΔTmaxを大きくするためには、Lを短くする必要がある。このときの局所加熱された流体は、強制流に関係する熱容量は小さいため、Lが短いほど周囲流体への熱拡散量を減少させる。このため、最大温度差ΔTmaxは大きい値を示すようになる。すなわち、本流量計では流量が小さくなってもΔTmaxを大きくするため、Lは小さく(0 mm 〈 L ≦3 mm)する必要がある。Lの最小値は、無限静止流体中に置かれた線熱源の最大流速wmax≠0の条件で、最大値3 mmは、本数値計算・実験結果である。
すなわち、一定加熱量のもとに、管内流量を変えると
・流量大(Q大、Wm大)→ Wm > wmax: 強制流の影響大
・流量小(Q小、Wm小)→ Wm < wmax: 自然対流の影響大
となる。
つまり、管内流量が大きいときは(Wm:大)、強制流の大きな熱容量によりLがwmaxに及ぼす影響は小さい。従って、最大温度差ΔTmaxは、流量の増加につれて減少する。一方、管内流量が小さくなると(Wm:小)、自然対流に基づくwmaxが、管内流量が大きいときに比べ、ΔTmaxに大きく影響するようになる。管内流の単純化したモデル解析結果より、Wm小の流量範囲では、ΔTmax∝(Wm /L)1/2となり、ΔTmaxを大きくするためには、Lを短くする必要がある。このときの局所加熱された流体は、強制流に関係する熱容量は小さいため、Lが短いほど周囲流体への熱拡散量を減少させる。このため、最大温度差ΔTmaxは大きい値を示すようになる。すなわち、本流量計では流量が小さくなってもΔTmaxを大きくするため、Lは小さく(0 mm 〈 L ≦3 mm)する必要がある。Lの最小値は、無限静止流体中に置かれた線熱源の最大流速wmax≠0の条件で、最大値3 mmは、本数値計算・実験結果である。
<加熱時間thの変化による影響>
図13は流路形状(b) DS/DH = 0.33 、L = 3 [mm]において、加熱時間th = 1 s , 2 s , 3 sと変化させたときの数値計算結果を示す。実線がth = 1 s、破線がth = 2 s、一点鎖線がth = 3 sの結果である。作動流体は水(323 K)、加熱量は全て PE = 1 Wとした。
Q = 2 mL/min 以上では、全てほぼ同じ結果となった。これは、2 mL/min 以上では流速が大きく、ヒーターの加熱が終わる前に加熱流体がセンサに到達しているため、流体は、センサに到達するまでの時間分の加熱量しか受け取っていないためと考えられる。よって、2 mL/min 以上では、加熱時間を大きくしても、ΔTmax は一定値までしか増加しないと考えられる。一方、2 mL/min 以下では加熱時間の増加に伴い、ΔTmax は増加している。流速が小さいため、流体がセンサに到達するまでの時間が長く、加熱を十分受けているためと考えられる。また、th = 1 s では、理論解析と同じくΔTmax極大値が存在しているが、th = 3 sでは1 mL/min周辺で極大値と極小値が確認される。これは浮力流による熱の輸送が原因と考えられる。
図13は流路形状(b) DS/DH = 0.33 、L = 3 [mm]において、加熱時間th = 1 s , 2 s , 3 sと変化させたときの数値計算結果を示す。実線がth = 1 s、破線がth = 2 s、一点鎖線がth = 3 sの結果である。作動流体は水(323 K)、加熱量は全て PE = 1 Wとした。
Q = 2 mL/min 以上では、全てほぼ同じ結果となった。これは、2 mL/min 以上では流速が大きく、ヒーターの加熱が終わる前に加熱流体がセンサに到達しているため、流体は、センサに到達するまでの時間分の加熱量しか受け取っていないためと考えられる。よって、2 mL/min 以上では、加熱時間を大きくしても、ΔTmax は一定値までしか増加しないと考えられる。一方、2 mL/min 以下では加熱時間の増加に伴い、ΔTmax は増加している。流速が小さいため、流体がセンサに到達するまでの時間が長く、加熱を十分受けているためと考えられる。また、th = 1 s では、理論解析と同じくΔTmax極大値が存在しているが、th = 3 sでは1 mL/min周辺で極大値と極小値が確認される。これは浮力流による熱の輸送が原因と考えられる。
加熱時間thについて詳細に説明すれば、流量が比較的小さい範囲の解析結果より、ΔTmax∝(Wm /α)1/2となり、熱拡散率αを小さくする必要がある。これに相当する対応は、加熱量H= 一定(本計算では3 Jである。ヒーター近傍の水の局所温度の上昇を抑制するため、加熱量H [J]は、十分な感度の得られる(ΔTmaxが大きい)最小の加熱量としている。)のとき、加熱速度を小さくすることである。すなわち加熱時間thを長くすれば良い。計算による最適値は、H=3 Jのときth=3s(PE=1 W)である。
<縮流比DS/DHの変化による影響>
図14は流路形状(a) DS/DH = 0.25 、 L = 3 [mm]と、(b) DS/DH = 0.33 、 L = 3 [mm]での数値計算結果を示す。作動流体は水(293 K)、共にジュール加熱量H = 3 J (PE = 1 W , th = 3 s)とした。
流路(a) DS/DH = 0.25は、0.2‐8 mL/min にかけて、ほぼ線形にΔTmaxが減少しており、このQ‐ΔTmaxの関係を用いれば、燃料電池のモニタリング水量5‐8 mL/minの計測が可能である。また、0.2‐8 mL/min にかけて線形な関係を持つため、燃料電池に供給される流量が5 mL/min 以下になっても、ΔTmax の増加によって検知することができる。(a)はQc = 0.2 mL/minを境に、ΔTmaxのQ依存性が全く異なるが、この判別には、Qcにおける、ヒーター加熱開始からΔTmax測定までの時間tc = 4 sを用いればよい。すなわち、tc > 4 sを条件に、Qc < 0.2 mL/minと判別することができる。
流路(b) DS/DH = 0.33では、Q ≒0 mL/min近くまでΔTmaxが増加し続けるが、線形性は(a)に劣る。(b)は(a) と比較すると、縮小管部の容積が小さく、流入口内径が小さいため流速が大きい。そのため、ヒーターで加熱を受けた流体がセンサに到達するまでの時間Δtが短く、その上下に接する流体への熱拡散量が少ない。[I]領域Q 〈 Qcでは、
となり、熱拡散量がΔTmaxを支配するため、熱拡散量の多い(a)では0 − 0.2 mL/minの範囲で[I]領域が存在する。一方、熱拡散量の少ない(b)ではQc ≒0 mL/minとなり、[I]領域の存在が確認できない(この原因として、浮力流による影響も考えられる。4.4. 浮力による影響参照)。[II]領域Q 〉 Qc では、ΔTmax∝1/(Wmth)となり、ΔTmaxはヒーター部を通過する流体の流速に支配される。(b)は(a)と比べて流速が大きいため、第二領域でのΔTmax減少が激しく、線形性に劣っている。
図14は流路形状(a) DS/DH = 0.25 、 L = 3 [mm]と、(b) DS/DH = 0.33 、 L = 3 [mm]での数値計算結果を示す。作動流体は水(293 K)、共にジュール加熱量H = 3 J (PE = 1 W , th = 3 s)とした。
流路(a) DS/DH = 0.25は、0.2‐8 mL/min にかけて、ほぼ線形にΔTmaxが減少しており、このQ‐ΔTmaxの関係を用いれば、燃料電池のモニタリング水量5‐8 mL/minの計測が可能である。また、0.2‐8 mL/min にかけて線形な関係を持つため、燃料電池に供給される流量が5 mL/min 以下になっても、ΔTmax の増加によって検知することができる。(a)はQc = 0.2 mL/minを境に、ΔTmaxのQ依存性が全く異なるが、この判別には、Qcにおける、ヒーター加熱開始からΔTmax測定までの時間tc = 4 sを用いればよい。すなわち、tc > 4 sを条件に、Qc < 0.2 mL/minと判別することができる。
流路(b) DS/DH = 0.33では、Q ≒0 mL/min近くまでΔTmaxが増加し続けるが、線形性は(a)に劣る。(b)は(a) と比較すると、縮小管部の容積が小さく、流入口内径が小さいため流速が大きい。そのため、ヒーターで加熱を受けた流体がセンサに到達するまでの時間Δtが短く、その上下に接する流体への熱拡散量が少ない。[I]領域Q 〈 Qcでは、
縮流比DS/DHの範囲について詳細に説明すれば、Ds は小さいほど良いが、実際には熱電対を挿入可能な最小径1 mmとなる。現在までの数値計算により、線形性がほぼ保たれる最適値はDs/DH =0.25である。その他の支配因子を変えることを考慮すれば、現在の最適値Ds/DH =0.25に±0.05を許容範囲とすれば、下限値はDs/DH =0.2、上限値はDs/DH =0.3と推測される。
<流入温度の変化による影響>
図15は、流路形状 (a) DS/DH = 0.25 , L = 3 [mm]において、流入温度T0 = 293 K , 323 Kと、変化させたときのQ‐ΔTmaxの関係を示す。実線がT0 = 293 K、破線がT0 = 323 Kでの数値計算結果である。
0.2 mL/minを極大とし、右肩下がりにΔTmaxが減少する傾向はそのままだが、4−6 mL/minで特に差が表れている。明確な理由は未だ研究中であるが、入口温度を変化させることで大きく変化するのは浮力流の大きさなので、原因は浮力流れの変化にあると考えられる。
図15は、流路形状 (a) DS/DH = 0.25 , L = 3 [mm]において、流入温度T0 = 293 K , 323 Kと、変化させたときのQ‐ΔTmaxの関係を示す。実線がT0 = 293 K、破線がT0 = 323 Kでの数値計算結果である。
0.2 mL/minを極大とし、右肩下がりにΔTmaxが減少する傾向はそのままだが、4−6 mL/minで特に差が表れている。明確な理由は未だ研究中であるが、入口温度を変化させることで大きく変化するのは浮力流の大きさなので、原因は浮力流れの変化にあると考えられる。
よって、本実施例の微小流量計1によれば、特に好ましい一例として、流路形状 (a) DS/DH = 0.25 , L = 3 [mm]とすることで、流量が0.2mL/min以上10mL/min以下の範囲で、ΔTmaxがQの増加に伴い、ほぼ線形に近い関係で減少する検量関数(検量線)を得ることができた(図16参照)。この検量関数を、情報処理装置33の記憶装置に記憶して用いれば、固体酸化物形燃料電池システムAのモニタリング水量5〜8ml/minの計測に好適である。さらに、この検量関数を用いて、前記モニタリング水量外の Q≦5 mL/min の流量も、定量的に求めることができる。
前記検量関数は、上述した計算結果である関数(図16の実線)をそのまま用いてもよいし、あるいは、前記関数を最小二乗法により直線化した関数(図16の破線)を用いることも可能である。
また、この検量関数は、数式化したものを情報処理装置33等の記憶装置に記憶して用いればよいが、他例としては、表やグラフのイメージで記憶されたものを用いることも可能である。
また、この検量関数は、数式化したものを情報処理装置33等の記憶装置に記憶して用いればよいが、他例としては、表やグラフのイメージで記憶されたものを用いることも可能である。
また、前記検量関数の他例としては、上記構成の微小流量計1を用いて予め実験的に求めた関数としてもよい。
次に、上記微小流量計1を用いて検量関数を求めた実験例について説明する。
次に、上記微小流量計1を用いて検量関数を求めた実験例について説明する。
<計測原理の実験的検証>
この実験の実験装置は、図2に示す微小流量計1の上流側に一定流量発生装置34よって一定流量の純水を供給するようにしたものである。
この実験の実験装置は、図2に示す微小流量計1の上流側に一定流量発生装置34よって一定流量の純水を供給するようにしたものである。
この実験装置では、ポアズイユ流発達に十分な助走距離を持たせた。注射器と減速器つきの既存(加藤嘉浩, 2010年度 電気通信大学 小泉研究室卒業論文参照)の一定流量発生装置34を用い、容量1mLの注射器内の水を一定速度で押し出すことで一定流量を得た。最小流量は0.26mL/minである。この実験装置では、流量計全体を、断熱性と加工性を考慮して、ブロック状のPVCゴムにより加工して作製した。また、管壁の熱容量を最小限にするため、該管壁の厚さを1mmにした。
図17は、図2中のパルス電圧発生装置の電気回路を示す。この電気回路は、タイマーICのオンオフの切り替えでリレースイッチを切り替える仕組みになっており、回路中の抵抗を変えることで通電時間を調整可能である。
<実験方法>
作動流体として水(20 ℃)を用いた。流路内に鉛直上向きに流れる流体を、加熱器21(ヒーター)にパルス電圧発生装置22からの方形波電圧を掛ける事によって、局所的にパルス加熱する。加熱器21(ヒーター)は素線径0.12 mmのニクロム線を直径0.54 mm,高さ3 mmのコイル状に加工したものを用いた。加熱された流体はレデューサ10で拡散され加速される。温度検出部31(熱電対)で測定した温度から最大温度差ΔTmax [K](温度上昇量)を求めた。温度検出部31を構成する熱電対は、素線径0.05 mmのT型を用い、フィルタ回路(図示せず)で精度を高めた。流量を0から1 mL/min まで0.25 mL/min 毎に変化させ、それ以降は2.6 mL/min毎に10.4 mL/minまで変化させた。これにより流量Qと最大温度差ΔTmaxの関係を調べた。
作動流体として水(20 ℃)を用いた。流路内に鉛直上向きに流れる流体を、加熱器21(ヒーター)にパルス電圧発生装置22からの方形波電圧を掛ける事によって、局所的にパルス加熱する。加熱器21(ヒーター)は素線径0.12 mmのニクロム線を直径0.54 mm,高さ3 mmのコイル状に加工したものを用いた。加熱された流体はレデューサ10で拡散され加速される。温度検出部31(熱電対)で測定した温度から最大温度差ΔTmax [K](温度上昇量)を求めた。温度検出部31を構成する熱電対は、素線径0.05 mmのT型を用い、フィルタ回路(図示せず)で精度を高めた。流量を0から1 mL/min まで0.25 mL/min 毎に変化させ、それ以降は2.6 mL/min毎に10.4 mL/minまで変化させた。これにより流量Qと最大温度差ΔTmaxの関係を調べた。
図3に示す温度検出部31の出力波形において、加熱前温度と加熱後温度のピーク値を最大温度差ΔTmaxとし、流量計測の指標とした。加熱時間thは、パルス電圧発生装置22で設定できるようになっており、加熱時間3秒、ヒーター加熱量1 Wとした。
<実験結果および考察>
図20は、流量Q [mL/min]と最大温度差ΔTmax [K]の関係を示す。実線は本実験結果を示し、破線は数値計算結果(志村雄一郎, 2011年度 電気通信大学 小泉研究室卒業論文参照)を示す。実験結果のΔTmaxは、流量Q≧0.2 mL/minのときQの増加とともに減少する傾向は,計算結果と定性的に一致する。
図20は、流量Q [mL/min]と最大温度差ΔTmax [K]の関係を示す。実線は本実験結果を示し、破線は数値計算結果(志村雄一郎, 2011年度 電気通信大学 小泉研究室卒業論文参照)を示す。実験結果のΔTmaxは、流量Q≧0.2 mL/minのときQの増加とともに減少する傾向は,計算結果と定性的に一致する。
よって、上記実験によれば、燃料電池用微小流量計のモニタリング流量 (5〜8mL/min)を含む流量範囲(0.2〜10 mL/min)におけるΔTmax−Qの関係について、定性的な線形関係を検証できた。
そして、この実験により得られた、流量0.2〜10 mL/minにおけるΔTmax−Qの関係は、検量関数として記憶装置に記憶し、微小流量計1による流量測定に用いることができる。
次に、前記検量関数を用いた流量測定の手順について説明する。
図18は、微小流量計1の流量測定フローチャートを示す。本実施例の微小流量計1では、流量Qc以下(領域[I])の流量は測定せず一律とする。これを図18に示した流量測定フローによって判別する。
すなわち、情報処理装置33は、温度検出部31によって検出された加熱前後の温度、経過時間等のデータに基づき、加熱開始から最大温度差ΔTmax検出までの時間Δtが所定の判別時間tc(例えば4s)よりも小さいか否かを判断し、小さい場合には、最大温度差ΔTmaxに対応する流量を、予め記憶した検量関数(領域[II])から求め、その流量を表示部に表示する。また、前記判断にて、Δt<tcでない場合には、前記流量を求めるステップをバイパスする。
図18は、微小流量計1の流量測定フローチャートを示す。本実施例の微小流量計1では、流量Qc以下(領域[I])の流量は測定せず一律とする。これを図18に示した流量測定フローによって判別する。
すなわち、情報処理装置33は、温度検出部31によって検出された加熱前後の温度、経過時間等のデータに基づき、加熱開始から最大温度差ΔTmax検出までの時間Δtが所定の判別時間tc(例えば4s)よりも小さいか否かを判断し、小さい場合には、最大温度差ΔTmaxに対応する流量を、予め記憶した検量関数(領域[II])から求め、その流量を表示部に表示する。また、前記判断にて、Δt<tcでない場合には、前記流量を求めるステップをバイパスする。
なお、上記実施例では、情報処理装置33としてパソコンを用いたが、他例としては、図10に示す電気回路を用いることが可能である。
図10は、熱電対用増幅回路32、パルス電圧発生装置22及び情報処理装置33等を、マイコンや液晶回路等によって構成した一例を示す。この回路は、マイコンで熱電対回路からの出力を読み取り、パルス電圧発生装置22のリレー切り替えを行う。図18の流量測定フローチャートを実行し、測定流量を液晶に表示する。
図10は、熱電対用増幅回路32、パルス電圧発生装置22及び情報処理装置33等を、マイコンや液晶回路等によって構成した一例を示す。この回路は、マイコンで熱電対回路からの出力を読み取り、パルス電圧発生装置22のリレー切り替えを行う。図18の流量測定フローチャートを実行し、測定流量を液晶に表示する。
上述した数値計算結果及び実験結果より、本実施例の微小流量計1の測定流量範囲は、0.2mL/min以上10mL/min以下の範囲とするのが適切である。すなわち、Q>10mL/minでは、ΔTmax−Qの関係において、ΔTmax 〈1Kとなり、かつ線形性を保てなくなってしまう。また、Q<0.2mL/minでは、ΔTmax−Qの関係が右肩上がりの[I]領域となってしまうおそれがある。
また、本実施例の微小流量計1において、加熱器21の下流側端部から温度検出部31までの距離は、0mmよりも大きく且つ3mm以下の範囲とするのが適切である。すなわち、0mmとした場合には、加熱器21と温度検出部31が干渉してしまうので不適切である。また、3mmよりも大きくした場合には、加熱器21を通過し加熱を受けた流体が温度検出部31に到達するまでの時間が長くなり、その上下に隣接する流体への熱拡散量が著しく増加し、ΔTmax−Qの関係が右肩上がりの関係([I]領域)、あるいは右肩上がりから右肩下がりへの変化途中にある不安定な関係になってしまうおそれがある。
また、本実施例の微小流量計1において、加熱器21による加熱時間は、2秒以上4秒以下の範囲とするのが適切である。すなわち、2秒よりも小さくした場合には、加熱器21を通過し加熱を受けた流体の体積が、その上下に隣接する、熱拡散によって加熱された流体の体積よりも、著しく小さくなり、ΔTmax−Qの関係が右肩上がりの関係([I]領域)、あるいは右肩上がりから右肩下がりへの変化途中にある不安定な関係になってしまうおそれがある。また、加熱時間を4秒よりも大きくした場合には、管内流量がQcに近づくと、パルス加熱時間thがΔt(パルス加熱開始よりセンサー出力がΔTmaxを示す時間、図3参照)を超える、またはΔTmaxが小さくなる等の不具合が想定される。
また、本実施例の微小流量計1において、温度検出部31を有する部分の流路内径を、加熱器21を有する部分の流路内径で除した値(DS/DH)は、0.2以上0.3以下の範囲とするのが適切である。この範囲は、上述した計算結果に基づくDS/DHの最適値0.25に、±0.05[±20%]を見込んだものである。DS/DHを0.2よりも小さくした場合には、レデューサ10の半径方向拡散速度が半径の2乗に比例するため、DHを大きくするとレデューサ10の長さLに比べて、DH (DH 〉 L)が大きくなり、半径方向の拡散速度が小さくなり、流体温度の半径方向の一様性に問題が生ずることが想定される。
また、DS/DHを0.3よりも大きくした場合には、加熱器21の局所加熱に基づく浮力流の増加を抑制し難くなり、すなわち浮力流が強制流に比べて相対的に増加し、Q‐ΔTmaxの関係の線形性を著しく損ねてしまうおそれがある(図8及び図9参照)。
また、DS/DHを0.3よりも大きくした場合には、加熱器21の局所加熱に基づく浮力流の増加を抑制し難くなり、すなわち浮力流が強制流に比べて相対的に増加し、Q‐ΔTmaxの関係の線形性を著しく損ねてしまうおそれがある(図8及び図9参照)。
また、本実施例の微小流量計1における最も好適な各パラメータとしては、上述した計算結果に基づき、温度検出部31を有する部分の流路内径を、約1mmとし、加熱器21の下流側端部から温度検出部31までの距離Lを、約3mmとし、加熱器21による加熱時間を、約3秒とし、温度検出部31を有する部分の流路内径を、加熱器21を有する部分の流路内径で除した値(DS/DH)を、約0.25とする。なお、温度検出部31を有する部分の流路内径を約1mmよりも小さくした場合には、温度検出部31を構成する熱電対の挿入が著しく困難になる。
また、本実施例の微小流量計1では、特に好ましい態様として、流体の流通方向が略真上を向くようにレデューサ10、上流側流通管11及び下流側流通管12等の管体を支持したが、他例としては、前記管体を斜め上方へ向けた態様とすることも可能である。さらに、他例としては、本実施例よりもQ‐ΔTmaxの関係の線形性に劣る可能性があるが、前記管体を略水平方向や、真下向き、斜め下向き等に支持した態様とすることも可能である。
また、上記実施例の微小流量計1では、加熱器21として、上流側流通管11内にコイル状のニクロム線を挿入して流体を加熱したが、他例としては、図22に示す微小流量計2のように、筒状の加熱器21’によって流体を管壁側から加熱することも可能である。
図22の微小流量計2は、上記微小流量計1における加熱器21を加熱器21’に置換した構成とされる。加熱器21’は、上流側流通管11の外周部を覆う円筒状ヒータ、あるいは、上流側流通管11の下流側部分を構成する円筒状ヒータとすればよく、この円筒状ヒータを有する部分の管内径は、レデューサ10の入口部分の最大径(DH)と略同一の径に設定される。この微小流量計2は、流体内で該流体を直接加熱することが不都合な場合等に有用である。
図22の微小流量計2は、上記微小流量計1における加熱器21を加熱器21’に置換した構成とされる。加熱器21’は、上流側流通管11の外周部を覆う円筒状ヒータ、あるいは、上流側流通管11の下流側部分を構成する円筒状ヒータとすればよく、この円筒状ヒータを有する部分の管内径は、レデューサ10の入口部分の最大径(DH)と略同一の径に設定される。この微小流量計2は、流体内で該流体を直接加熱することが不都合な場合等に有用である。
1:微小流量計
10:レデューサ
21:加熱器
31:温度検出部
34:情報処理装置
a1:固体酸化物形燃料電池
a2:改質器
A:固体酸化物形燃料電池システム
10:レデューサ
21:加熱器
31:温度検出部
34:情報処理装置
a1:固体酸化物形燃料電池
a2:改質器
A:固体酸化物形燃料電池システム
Claims (5)
- 流体の流通方向へ向かって断面積を縮小するレデューサと、該レデューサ内を含む流路における上流側で流体を加熱する加熱器と、該加熱器よりも下流側で加熱前後の流体の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部による検出温度から流量を求める情報処理装置と、流体の温度上昇量と流量の関係が負の線形関係となる検量関数を予め記憶する記憶装置とを備え、前記情報処理装置が、前記温度検出部による検出温度から流体の温度上昇量を求め、この温度上昇量に対応する0.2mL/min以上10mL/min以下の範囲の流量を前記検量関数から求めるようにした微小流量計であって、
前記加熱器から前記温度検出部までの距離を、0mmよりも大きく且つ3mm以下の範囲とし、
前記加熱器による加熱時間を、2秒以上4秒以下の範囲としたことを特徴とする微小流量計。 - 流体の流通方向が略上向きになるように前記レデューサを支持し、
前記温度検出部を有する部分の流路内径を、前記加熱器を有する部分の流路内径で除した値が、0.2以上0.3以下の範囲になるようにしたことを特徴とする請求項1記載の微小流量計。 - 前記温度検出部を有する部分の流路内径を、約1mmとしたことを特徴とする請求項2記載の微小流量計。
- 前記加熱器から前記温度検出部までの距離を、約3mmとし、
前記加熱器による加熱時間を、約3秒とし、
前記温度検出部を有する部分の流路内径を、前記加熱器を有する部分の流路内径で除した値が、約0.25になるようにしたことを特徴とする請求項3記載の微小流量計。 - 固体酸化物形燃料電池で発生した水を改質器へ供給する流路中に、前記レデューサを配置して、該流路中の流量を測定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の微小流量計を用いた固体酸化物形燃料電池システム。
Priority Applications (1)
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JP2012144596A JP2014009959A (ja) | 2012-06-27 | 2012-06-27 | 微小流量計及び該微小流量計を用いた固体酸化物形燃料電池システム |
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CN111090955A (zh) * | 2019-12-20 | 2020-05-01 | 奇瑞汽车股份有限公司 | 一种利用3d和1d耦合标定的电池包一维热模型建模方法 |
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2012
- 2012-06-27 JP JP2012144596A patent/JP2014009959A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN111090955A (zh) * | 2019-12-20 | 2020-05-01 | 奇瑞汽车股份有限公司 | 一种利用3d和1d耦合标定的电池包一维热模型建模方法 |
CN111090955B (zh) * | 2019-12-20 | 2023-03-28 | 奇瑞汽车股份有限公司 | 一种利用3d和1d耦合标定的电池包一维热模型建模方法 |
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