JP2014009544A - 止水材の注入方法および止水材の注入装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の注入方法は、ナノサイズのコロイダルシリカを主成分とする特殊シリカ系グラウトに硬化促進材を配合して調製した止水材を地盤2に注入するに先立ち、調製した止水材をフィルター機構8に通してフィルターによるろ過処理を行い、しかる後に注入を行うことにより、止水材を調製した時点で早期に生じたゲルを分離除去してから地盤に注入する。本発明の注入装置は、止水材を調製するミキサー4と、調製時に生じた特殊シリカ系グラウトのゲルを分離除去するフィルター機構8と、ゲルを分離除去した止水材を地盤に注入する注入ポンプ6を備える。
【選択図】図1
Description
すなわち、請求項1記載の発明は、ナノサイズのコロイダルシリカを主成分とする特殊シリカ系グラウトに硬化促進材を配合してなる止水材を地盤に注入することにより、前記止水材を前記地盤に浸透させゲル化させることにより止水性を向上させるための止水材の注入方法であって、前記止水材を前記地盤に対して注入するに際して、前記特殊シリカ系グラウトに対して前記硬化促進材を配合して前記止水材を調製するとともに、調製した止水材をフィルターに通してろ過処理を行うことによって、前記止水材の調製時に生じた前記特殊シリカ系グラウトのゲルを分離除去し、しかる後に該止水材を前記地盤に注入することを特徴とする。
これは、トンネル工事に際してトンネル壁面1の背後の地盤2(ないし岩盤)に対して止水材を注入することにより、その地盤2に生じている亀裂3を止水材により塞いで止水性を向上させるための止水工法への適用例であって、止水材として主材としての特殊シリカ系グラウトに対して硬化促進材を配合したものを用いるとともに、その止水材を地盤に注入するに先立って予めフィルター機構によりろ過処理を行うことを主眼とするものである。
但し、従来一般にはミキサー4にて調製した止水材をそのままタンク5に貯留してそのまま注入ポンプ6により加圧注入しているために、上述したようにミキサー4での調製に際して生じた比較的大きな粒径のゲルもそのまま地盤2に注入されてしまい、それにより亀裂3において目詰まりを生じてしまうことがある。
フィルター機構8によるろ過処理は、上述したように主材(特殊シリカ系グラウト)と硬化促進材とをミキサー4において攪拌混合して止水材を調製した際にそこで早期に生じるゲル化によって生じた比較的大きなゲルを分離除去する目的で実施するものであるから、そのフィルター機構8に備えるフィルターの目開きはここで生じることが想定されるゲルの粒径や、止水材を注入するべき亀裂3の大きさも考慮して、ミキサー4において生じたゲルを有効に分離除去し得る大きさのメッシュとすれば良い。
一例を挙げれば、たとえば目開き32μm程度のフィルターを用いることが考えられ、そのようなフィルターによりろ過処理を行うことで十分な目詰まり防止効果が得られることが以下の実証試験により確認されている。
本浸透試験は、図2(a)に示すように地盤条件と止水材の配合を4パターンに変更して実施したものであり、試験番号(1)〜(3)は比較例、試験番号(4)が本発明に相当するものである。
各試験における地盤条件は図2(a)に示すとおりであるが、試験番号(1)および試験番号(2)は地盤が低透水性地盤である場合(透水係数kの値が1.2〜1.3×10-6m/s)を想定し、試験番号(3)および試験番号(4)は地盤が超低透水性地盤である場合(同、6.1〜7.9×10-7m/s)を想定したものである。止水材の注入圧はいずれの場合も300kPaとした。
なお、試験番号(2)と試験番号(4)で間隙率が同じであるのに透水係数が違っているが、これは試料作成後の通水過程で試料に乱れが生じて透水係数が変化したためであり,浸透実験直前に実施した透水試験の結果(透水係数)がその試料の透水性を表わしていると考えられる。
止水材の配合としては、試験番号(1)ではナノサイズのコロイダルシリカを主成分とする特殊シリカ系グラウトのみ(CSのみ)、つまり、図2(b)に示すA液のみを用いてB液(硬化促進材およびイオン交換水)は配合しないものとした。
試験番号(2)および(3)では従来一般的な配合例である通常配合とした。ここでの通常配合とは、図2(b)に示すように、上記の特殊シリカ系グラウトを主材としてA液とし、それに硬化促進材およびイオン交換水をB液として、それぞれ図中に示す配合としたものである。ゲルタイムは120分で粘度2.0から20mPa・sに達するものとした。
試験番号(4)では、上記の通常配合として調製した止水材を目開きが32μmのフィルターに通してろ過処理することにより、止水材の調製時に生じたゲルを分離除去したものである。
各試験に対する浸透試験結果を図2(c)に示す。
試験番号(1)の場合は、止水材が主材のみであり、地盤が低透水性地盤であることから、自ずと優れた浸透性能を示し、注入後約60分で浸透長が40cmに達した。
すなわち、本発明に相当する試験番号(4)の場合は、止水材の調製時に生じたゲルがろ過処理により有効に除去されることにより、地盤が超低透水性であってもそのゲルに起因して目詰まりが生じるような余地がなく、特に注入直後から30分後までの浸透性が劇的に改善され、最終的にも浸透長が30cmにも達するものとなり、低透水性地盤に対して注入する場合(試験番号(2)の場合)と同等の優れた浸透性能が得られることが確認できた。
このことから、注入に先立って止水材をろ過処理することにより、止水材の調製時において早期に生じたわずかなゲルに起因する目詰まりを有効に防止し得るという本発明の有効性が実証された。
したがって、本発明においては止水材を調製した後にそれに対してろ過処理を行うだけで良く、硬化促進材に対する事前のろ過処理等の工程は必要としないが、止水材に無用な不純物が混入していることは当然に好ましくないから、必要であれば硬化促進材をろ過処理して不純物を除去してから止水材に配合することがより好ましいとはいえる。
たとえば、図1に示した実施形態の注入装置では、フィルター機構8の後段にタンク5を設けてろ過処理後の止水材をタンク5に一時的に貯留してから注入ポンプ6によって注入するようにしたが、タンク5を省略して止水材をフィルター機構8から直接注入することも可能であるし、あるいはタンク5をミキサー4の後段(フィルター機構8の前段)に設置してミキサー4にて調整した止水材をタンク5に一時的に貯留したうえで、そこからフィルター機構8に通してろ過処理を行うようにすることも考えられる。
2 地盤
3 亀裂
4 ミキサー
5 タンク
6 注入ポンプ
7 注入孔
8 フィルター機構
Claims (2)
- ナノサイズのコロイダルシリカを主成分とする特殊シリカ系グラウトに硬化促進材を配合してなる止水材を地盤に注入することにより、前記止水材を前記地盤に浸透させゲル化させることにより止水性を向上させるための止水材の注入方法であって、
前記止水材を前記地盤に対して注入するに際して、前記特殊シリカ系グラウトに対して前記硬化促進材を配合して前記止水材を調製するとともに、調製した止水材をフィルターに通してろ過処理を行うことによって、前記止水材の調製時に生じた前記特殊シリカ系グラウトのゲルを分離除去し、しかる後に該止水材を前記地盤に注入することを特徴とする止水材の注入方法。 - ナノサイズのコロイダルシリカを主成分とする特殊シリカ系グラウトに硬化促進材を配合してなる止水材を地盤に注入することにより、前記止水材を前記地盤に浸透させゲル化させることにより止水性を向上させるための止水材の注入装置であって、
前記特殊シリカ系グラウトに対して前記硬化促進材を配合して前記止水材を調製するミキサーと、
前記ミキサーにより調製した止水材をフィルターに通してろ過処理を行うことによって前記止水材の調製時に生じた前記特殊シリカ系グラウトのゲルを分離除去するフィルター機構と、
前記フィルター機構によってゲルを分離除去した止水材を前記地盤に注入するための注入ポンプを備えてなることを特徴とする止水材の注入装置。
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JP2012148399A JP2014009544A (ja) | 2012-07-02 | 2012-07-02 | 止水材の注入方法および止水材の注入装置 |
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- 2012-07-02 JP JP2012148399A patent/JP2014009544A/ja active Pending
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