JP2014007970A - 釣具 - Google Patents

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Abstract

【課題】被膜全体の剥離を防止でき、それにより、視覚的効果や滑り止め効果等の被膜本来の機能を維持できるとともに、外観の向上も図ることができる釣具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の釣具は、釣具本体の基材表面12aに設けられる凹部20と、凹部20内と凹部20周辺とにわたって形成される第1の被膜層24と、凹部20内で第1の被膜層24上に形成される第2の被膜層26とを有する。第2の被膜層26は、第1の被膜層24と性質が異なり、凹部20の内面形状に沿って延在するとともに、その端部26aが基材表面12aよりも凹部20の内側に位置される。
【選択図】図3

Description

本発明は、釣竿やリールなどを含む釣具に関し、特に、被膜の形成形態に特徴を有する釣具に関する。
従来から、釣竿やリールなどの釣具においては、その表面にデザイン模様を施す場合があり、あるいは、握り部に滑り止めを施す場合もある。そして、そのような模様や滑り止めは、例えば、塗装などによって被膜を形成することで実現される。
例えば、特許文献1には、釣竿の握り部の表面上に滑り止め被膜を形成するとともに、この被膜の周縁に沿って前記握り部の表面上に溝を形成し、該溝内に前記被膜の周縁を収めるように位置させる被膜形成形態が開示されている。
また、特許文献2には、釣竿の握り部の表面に凹状の表示部を設け、この表示部内にインキ層(着色層)を埋設して成る着色表示形態が開示されている。
更に、特許文献3には、釣竿の表面上に異種の塗膜で構成される塗装層を設け、前記塗膜のうち耐久性に劣る塗膜の端部を耐久性に優れた塗膜で覆って成る塗装層形成形態が開示されている。
実開平6−13469号 特開2002−306029号 特開平9−289848号
確かに、特許文献1によれば、被膜の周縁を溝内に収めるように位置させているため、被膜の周縁が手に触れることがなく、被膜の端部からの剥離を防止できるとともに、把持したときに違和感を抱き難くなる。しかしながら、特許文献1の被膜形成形態では、被膜による滑り止め効果のみであり、外観の向上について何ら考慮されていない。また、被膜の端部以外の部位での剥離を防止する手段が講じられていない。
また、特許文献2によれば、着色層が凹部に埋設されているため、着色層の耐摩耗性に優れる。しかしながら、特許文献2では、凹部にインキを層状に形成しているだけであるため、凹部がインキ層によって平面的に埋まり、表示部(凹部)は、色による識別のみとなって立体感がなくなるなど、視覚的効果に乏しくなる。また、凹部が埋まるため、滑り止め効果も得られない。
また、特許文献3によれば、異種の塗膜の端部同士を重ね合わせているため、塗膜端部の剥離を防止できる。しかしながら、この特許文献3においても、特許文献1と同様に、塗膜の端部以外の部位での剥離を防止する手段が講じられていない。
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、被膜全体の剥離を防止でき、それにより、視覚的効果や滑り止め効果等の被膜本来の機能を維持できるとともに、外観の向上も図ることができる釣具を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明の釣具は、釣具本体の基材表面に設けられる凹部と、該凹部内と凹部周辺とにわたって形成される第1の被膜層と、前記凹部内で前記第1の被膜層上に形成される第2の被膜層とを有し、前記第2の被膜層が、前記第1の被膜層と性質が異なり、前記凹部の内面形状に沿って延在するとともに、その端部が前記基材表面よりも前記凹部の内側に位置されることを特徴とする。
このような構成によれば、第1の被膜層は、凹部内で第2の被膜層によって上側から覆われるため、その剥離が第2の被膜層によって効果的に防止される。特に、この構成では、凹部の数に対応する箇所で第1の被膜層が第2の被膜層によって上側から支持されるため、凹部の数に応じた剥離防止効果を得ることができる。また、上記構成によれば、第2の被膜層は、凹部内に完全に埋没された状態(第2の被膜層の端部が基材表面よりも凹部の内側に位置された状態)となっているため、第2の被膜層が釣人の手や障害物と接触することがなく、したがって、第2の被膜層の剥離を防止できる(また、第2の被膜層によって凹部が完全に埋まらないため、凹部による滑り止め効果を得ることもできる)。つまり、上記構成では、第1の被膜層が凹部内で第2の被膜層により覆われるとともに、第2の被膜層が凹部内に完全に埋没されることにより、2つの被膜層の両者の剥離が防止され、被膜構造全体の剥離を効果的に防止することが可能になる。特に、上記構成は、第1および第2の被膜層同士の密着性が悪い(性質が異なる)場合に有益である。
また、上記構成では、第1の被膜層の性質と第2の被膜層の性質とを異ならせることで被膜構造の多機能化を実現できる。例えば、第1の被膜層を滑り止め層とし、第2の被膜層を着色層とすれば、滑り止め機能と外観向上機能とを得ることができる。また、前述した剥離防止機能により、このような視覚的効果や滑り止め効果等の被膜本来の機能を維持できることは言うまでもない。また、上記構成によれば、第2の被膜層が凹部の内面形状に沿って延在するため、凹部の立体感を維持できる(したがって、立体感により外観が向上する)とともに、(第2の被膜層が凹部内に埋没しているため)第1の被膜層と異なる第2の被膜層の性質を第1の被膜層上で長期にわたって維持することができる。
なお、上記構成において、「釣具」とは、釣竿、リール、釣竿やリールに付設される物品、糸巻き用スプール、釣り用疑似餌などを含む釣りに用いられる物品を意味する。
また、上記構成において、第1の被膜層の端部は、基材表面に設けられた溝内に位置されることが好ましい。これによれば、第1の被膜層は、第2の被膜層による支持に加えて、その端部が基材表面に設けられる溝内に位置されるため(したがって、釣人の手や障害物と接触しないため)、その剥離が更に確実に防止される。また、上記構成において、第1の被膜層は、凹部を含めた基材表面上にわたって延在する下地層上に積層されてもよい。これによれば、例えば、第1の被膜層と基材表面との密着性が悪い場合でも、下地層を介することでこれら両者の良好な密着性を得ることができる。
本発明によれば、被膜全体の剥離を防止でき、それにより、視覚的効果や滑り止め効果等の被膜本来の機能を維持できるとともに、外観の向上も図ることができる釣具を提供することができる。
本発明の釣具の第1の実施形態に係るリールシートを装着して成る釣竿の全体図である。 図1の釣竿の元竿およびそれに装着されたリールシートの側面図である。 リールシートに設けられる被膜層構造の拡大断面図(図2のA−A線に沿う断面図)である。 本発明の釣具の第2の実施形態に係るハンドルノブを有するリールの正面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る釣具の実施形態について説明する。
図1〜図3は本発明の第1の実施形態を示している。図1は、釣具としてのリールシートを装着して成る釣竿1の全体図を示している。釣竿1は、例えば磯や防波堤で使用される外ガイド付きの振り出し竿であり、穂先側の複数の竿杆が元竿側の竿杆内に順次収納可能に形成されている。具体的には、釣竿1は、穂先2を有する先竿(竿杆)4と、元竿(竿杆)5とから成っており、これらの竿杆にはそれぞれ穂先も含めて必要な数の釣糸ガイド3が設けられている。
また、元竿5の手元側には、釣用リール9を装着可能なリールシート7が設けられる。なお、リールシート7およびその前後の元竿5の部分は、釣人が握持するための握り部を構成する
図2に明確に示されるように、リールシート7は、釣竿の竿杆、本実施形態では元竿5の外周に被嵌される筒状のリールシート本体12(以下、シート本体と称する)を備えており、このシート本体12に、以下の構成部材が設けられている。なお、シート本体12は、図示しない金型を用いて合成樹脂を射出成形することで一体形成することが可能である。
シート本体12は、リール9の脚部R1の載置部R1a(脚部R1の一部を形成し、脚部R1の本体の先端でこれに対して略垂直に延びる所定の長さを有する部分)が載置されるように平坦面となったリール脚載置面13と、その前後に対向して配置され、リール脚R1(具体的には、載置部R1aの前端および後端)を受け入れる開口部15a,16aを有する一対のフード15,16とを有している。これらの一対のフード15,16のうち、少なくとも一方は移動式に構成されており(本実施形態では、後方側が移動フード16になっており、前方側が固定フード15となっている)、公知のように、移動フード16に一体的に設けられた緊締レバー(図示せず)の係止爪(図示せず)を、緊締レバーを倒伏させてシート本体12に設けられた移動フード係止凹凸部材(図示せず)に係合することで、リール9を締め付け固定できるように構成されている。
シート本体12には、移動フード16が軸方向Xに沿って移動できるように、左右両側面に、移動フード16の移動を案内する案内部(案内溝)10が軸方向Xに沿って所定範囲にわたり形成されている。この案内部10には、移動フード16の本体に一体形成された係合部(図示せず)が係合するようになっており、これにより、移動フード16がシート本体12から外れることなく軸方向Xに沿って案内されるようになっている。
リール脚載置面13の後方側には、案内部10に対応して移動フード係止凹凸部材(図示せず)が取着されている。この移動フード係止凹凸部材は、リール脚載置面13の表面に形成された凹所内に嵌合した状態で止着されている。
なお、移動フード16、前記緊締レバー、前記係止爪、および、前記移動フード係止凹凸部材は、例えば、ステンレス、アルミニウム合金、チタン、真鍮等の金属によって一体的に形成されており、移動フード16の内面には、例えば、樹脂等によって形成されてリールの脚部R1が当て付く当て付け部材(図示せず)が取着されている。
また、本実施形態では、リールシート7のシート本体12の表面に、滑り止め塗装が施されるとともに、外観向上のための着色塗装も施されている。そして、これらの塗装には、それを構成する被膜層が剥離しないような工夫と、外観向上のための工夫とが施されている。
具体的には、図2に示されるように、釣具本体としてのシート本体12の基材表面12aに複数の凹部20が(本実施形態では一定の間隔を隔てて長手方向に一列に)設けられる。そして、図3に明確に示されるように、凹部20内と凹部20周辺とにわたって滑り止め層としての第1の被膜層24が形成される。なお、本実施形態では、凹部20を含めた基材表面12a上にわたって延在する下地層22上に第1の被膜層24が積層されているが、下地層22は無くても構わない。
ここで、下地層(塗料層)22は、例えばスプレーによって基材表面12a上に塗布され、一定の膜厚を有している。また、第1の被膜層24は、例えばスプレーによって下地層22上に塗布され、例えば軟質であり、粒子が含浸されたゴム系塗料によって構成される。また、本実施形態では、外観向上のために第1の被膜層24が艶を有する。また、第1の被膜層24の端部24aは、基材表面12aに設けられた溝30内に位置されている。
また、図3に示されるように、各凹部20内には第1の被膜層24上に着色層として第2の被膜層26が形成される。この第2の被膜層26は、第1の被膜層24と性質が異なっており(第1の被膜層24が滑り止め層であるのに対して、第2の被膜層26は着色層)、着色のための染料または顔料が含浸された樹脂によって構成され、艶を有していない。また、第2の被膜層26は凹部20の内面形状に沿って凹状に延在しており、その端部26aは、基材表面12よりも凹部20の内側に位置され(第2の被膜層26の端部26aの端縁(上端)が基材表面12aの延長仮想線Lから所定距離sだけ凹部20の内側に引き込んで位置される)、端縁(上端)へ向かって次第にその厚さが薄くなる(先細る)テーパ状に形成される。
このような第2の被膜層26の形成形態は、例えば、第2の被膜層26を構成する塗料を筆などによって凹部20内および凹部20周辺の第1の被膜層24上に塗布し、その後、凹部20外部の第1の被膜層24上に付着した塗料を拭き取る(この拭き取りにより、第2の被膜層26の端部26aのテーパ状の端縁が基材表面12aの延長仮想線Lから所定距離sだけ凹部20の内側に凹状に引き込んで位置されるようになる)ことにより得られる。なお、第2の被膜層26を乾燥させた後にその保護を完全にするべく、第2の被膜層26上に随意的にクリア層を塗布してもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の被膜層24が凹部20内で第2の被膜層26によって上側から覆われるため、第1の被膜層24の剥離が第2の被膜層26によって効果的に防止される。特に、この構成では、凹部20の数に対応する箇所で第1の被膜層24が第2の被膜層26によって上側から支持されるため、凹部20の数に応じた剥離防止効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、第2の被膜層26は、凹部20内に完全に埋没された状態(第2の被膜層26の端部26aが基材表面12aよりも凹部20の内側に位置された状態)となっているため、第2の被膜層26が釣人の手や障害物と接触することがなく、したがって、第2の被膜層26の剥離を防止できる(また、第2の被膜層26によって凹部20が完全に埋まらないため、凹部20による滑り止め効果を得ることもできる)。つまり、本実施形態の構成では、第1の被膜層24が凹部20内で第2の被膜層26により覆われるとともに、第2の被膜層26が凹部20内に完全に埋没されることにより、2つの被膜層24,26の両者の剥離が防止され、被膜構造全体の剥離を効果的に防止することが可能になる。特に、このような構成は、第1および第2の被膜層24,26同士の密着性が悪い(性質が異なる)場合に有益である。また、本実施形態において、第1の被膜層24は、第2の被膜層26による支持に加えて、その端部24aが基材表面12aに設けられる溝30内に位置されるため(したがって、釣人の手や障害物と接触しないため)、その剥離が更に確実に防止される。
また、本実施形態の構成では、第1の被膜層24の性質と第2の被膜層26の性質とを異ならせることで被膜構造の多機能化を実現できる。つまり、第1の被膜層24を滑り止め層とし、第2の被膜層26を着色層としているため、滑り止め機能と外観向上機能とを得ることができる。また、本実施形態によれば、第2の被膜層26が凹部20の内面形状に沿って延在するため、凹部20の立体感を維持できる(したがって、立体感により外観が向上する)とともに、(第2の被膜層26が凹部20内に埋没しているため)第1の被膜層24と異なる第2の被膜層26の性質を第1の被膜層24上で長期にわたって維持することができる。また、第1の被膜層24を艶有りとし、第2の被膜層26を艶消しとした外観を施しているため、光沢差異が生まれ、視覚的に目立つデザインを実現できる。
図4は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、両軸受型リール50のハンドル52の両端に設けられる釣具としてのハンドルノブ54(ノブ本体)の基材表面に凹部20を設け、この凹部20および凹部20周囲に第1の実施形態と同様にして第1の被膜層24を塗布するとともに、凹部20内の第1の被膜層24上に第1の実施形態と同様にして第2の被膜層26を塗布している。したがって、ハンドルノブ54に対して第1の実施形態と同様の作用効果を与えることができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、凹部20の形状や個数、溝30の数は任意である。また、第1および第2の被膜層の性質および構成形態(成分組成)も任意であり、例えば、前述した実施形態と逆の形態、すなわち、第1の被膜層24に艶がなく、第2の被膜層26に艶があってもよい。また、前述した実施形態では、凹部20とそれに関連付けられる第1および第2の被膜層24,26がリールシート7およびハンドルノブ54に設けられているが、このような被膜形成形態は、他の釣具、例えば、釣竿1(竿杆2,4,5や握り部など)の表面に施されてもよく、あるいは、スプール51を回転可能に支持するリール本体52(図4参照)の外面に施されてもよく、全ての釣具の表面に施すことが可能である。
7 リールシート(釣具)
12 シート本体(釣具本体)
12a 基材表面
20 凹部
22 下地層
24 第1の被膜層
24a 第1の被膜層の端部
26 第2の被膜層
26a 第2の被膜層の端部
30 溝
54 ハンドルノブ(釣具)

Claims (4)

  1. 釣具本体の基材表面に設けられる凹部と、該凹部内と凹部周辺とにわたって形成される第1の被膜層と、前記凹部内で前記第1の被膜層上に形成される第2の被膜層とを有し、前記第2の被膜層は、前記第1の被膜層と性質が異なり、前記凹部の内面形状に沿って延在するとともに、その端部が前記基材表面よりも前記凹部の内側に位置されることを特徴とする釣具。
  2. 前記第1の被膜層の端部は、前記基材表面に設けられた溝内に位置されることを特徴とする請求項1に記載の釣具。
  3. 前記第1の被膜層は、前記凹部を含めた基材表面上にわたって延在する下地層上に積層されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の釣具。
  4. 前記第1の被膜層が滑り止め層であり、前記第2の被膜層が着色層であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の釣具。
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