JP2014004793A - スピューの除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ表面を傷つけることなく、スピューを除去することのできる方法を提供する。
【解決手段】ドライアイスボックス11と、圧縮空気供給手段12と、ドライアイス供給装置13と、噴射ノズル14と、圧縮空気供給手段12とドライアイス供給装置13と連結するエアホース15と、ドライアイス供給装置13と噴射ノズル14とを連結するブラストホース16と、タイヤ回転手段17とを備えたタイヤのスピュー除去装置10を用い、タイヤ20をタイヤ軸を中心軸として回転させるか、もしくは、スピュー除去装置10をタイヤ20の周方向に回転させながら、タイヤ20のサイド部21に、圧縮空気に混入されて圧送されたドライアイスDのペレットを、タイヤ20の軸方向に対して傾けて噴射して、サイド部21表面のスピューを除去するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、加硫後のタイヤの表面に発生したスピューを切断して除去する方法に関するものである。
加硫後のタイヤの表面には、タイヤの加硫時にモールドの境界に進入したりベントホールからはみ出したりしたスピューと呼ばれるバリや髭状の突起物が発生することが知られている。スピューの存在はタイヤの外観上好ましくないだけでなく、タイヤ印刷面にスピューが残っている場合には、印字が鮮明に印刷されない虞があった。
そこで、加硫工程の後にスピューをカッターで切断して除去するトリミング工程が設けられている(例えば、特許文献1,2参照)。
また、スピューをカッターで切断するのではなく、一対のローラーまたは歯車等の回転体によりスピューを挟み込んで引っ張り抜く方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−81561号公報 特開2011−161864号公報 特開2003−80610号公報
しかしながら、スピューをカッターで切断する方法では、スピューが倒れ込んでしまうためスピューPの切断面が平らにならず、そのため、良好な外観が得られなかった。また、スピューを深く切断することのできないので、スピューの残高さが高くなってしまうといった問題点があった。
一方、スピューを一対の回転体で挟み込んで引っ張り抜く方法では、スピューの中央から先端側を挟持して破断するため切断面がバラバラで外観上好ましくないだけでなく、スピューが根元からもげてしまいタイヤ表面に穴ができてしまう場合もあった。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、タイヤ表面を傷つけることなく、スピューを除去することのできる方法を提供することを目的とする。
本願発明は、圧縮空気に混入されて圧送された細粒状の投射材を噴射するブラスト装置を用いて加硫後のタイヤの表面のスピューを除去する方法であって、前記投射材の温度が、前記タイヤを構成するゴムのガラス転移温度よりも低いことを特徴とする。
これにより、スピューを冷却して硬化させるとともに、硬化して折れやすくなったスピューを投射材の噴射圧にてタイヤ表面から除去することができるので、タイヤ表面を傷つけることなく、容易にスピューを除去することができる。
また、本願発明は、前記投射材の噴射方向が当該タイヤの軸方向に対して傾いていることを特徴とする。
これにより、スピューが折れやすくなるので、スピューを効率よく除去できる。
また、本願発明は、前記投射材がドライアイスであることを特徴とする。
ドライアイスは常温で気化するため、スピューを効率よく冷却することができる。また、ドライアイスは、従来の投射材のようにブラスト後にタイヤ表面に残らないので、投射材の回収作業が不要になるだけでなく、タイヤ表面を清浄に保つことができる。
また、本願発明は、前記投射材の噴射圧を0.1MPa〜20MPaの範囲としたことを特徴とする。
これにより、タイヤ表面を傷つけることなく、スピューを確実に除去できる。
また、本願発明は、前記投射材を噴射する領域がタイヤ印刷面を含むことを特徴とする。
これにより、タイヤ印刷面を容易にかつ確実に平坦にできるので、タイヤ印刷面に鮮明な印字を行うことができる。
また、本願発明は、前記タイヤをタイヤ周方向に回転させるか、もしくは、前記ブラスト装置を前記タイヤの周方向に回転させながら、前記投射材を前記タイヤの表面に噴射して、前記スピューを除去することを特徴とする。
これにより、タイヤ表面のスピューを効率よく除去できる。
また、本願発明は、前記タイヤの表面のゴムが少なくとも臭素化ブチルゴムを含むことを特徴とする。
このように、ガラス転移温度の高い臭素化ブチルゴムを含むゴムを用いれば、スピューは折れやすくなるので、スピューを更に容易に除去することができる。
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
本実施の形態に係るタイヤのスピュー除去装置の概要を示す図である。 ドライアイスの噴射方向とブラスト後のスピューの状態を示す図である。 スピュー除去方法の他の例を示す図である。
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は本実施の形態に係るタイヤのスピュー除去装置10を示す図で、スピュー除去装置10は、ドライアイスボックス11と、圧縮空気供給手段12と、ドライアイス供給装置13と、噴射ノズル14と、圧縮空気供給手段12とドライアイス供給装置13と連結するエアホース15と、ドライアイス供給装置13と噴射ノズル14とを連結するブラストホース16と、タイヤ回転手段17とを備える。
ドライアイスボックス11は、例えば、径が1〜2mm、長さが5〜10mmの略円柱状のペレットに予め加工されたドライアイスDを冷凍保存しておき、ブラスト処理時にドライアイス供給装置13にドライアイスDを投入する。なお、使用するドライアイスDの形状としては、円柱状に限るものではなく、ペレット状であれば、角柱状など他の形状に加工したものでもよい。
圧縮空気供給手段12はコンプレッサ12aと圧力調整弁12bとを備え、エアホース15を介して、予め設定された圧力の圧搾空気をドライアイス供給装置13に供給する。
ドライアイス供給装置13は、ホッパー13aと、混合室13bとを備える。
ホッパー13aは、ドライアイスボックス11から供給されたドライアイスDを貯蔵するとともに、ブラスト処理時には、図示しない開口部を開いて、ホッパー13a内のドライアイスDを混合室13b内に供給する。
混合室13bは、ホッパー13aから供給されたドライアイスDを圧縮空気供給手段12から圧送された圧縮空気に混入させ、ブラストホース16を介して、噴射ノズル14へ圧送する。
噴射ノズル14は、噴射ノズル本体14aとノズル14bとを備え、ペレット状のドライアイスDを噴射口14cからタイヤ20のサイド部21に吹き付ける。ノズル14bは噴射ノズル本体14aに着脱可能に取付けられる。
タイヤ回転手段17は、加硫後のタイヤ20を装着するリム17Rと、モーター17Mと、モーター17Mを支持する基台17aと、モーター17Mの回転軸17jに連結された回転板17bと、タイヤ20をモーター17Mとは反対側から覆うカバー17cとを備え、タイヤ20をタイヤ軸を中心軸として回転させる。回転板17bとリム17Rとがリム17Rの中心軸において連結される。これにより、タイヤ軸方向を上下方向とすると、タイヤ20は、サイド部21が上側及び下側になるようにタイヤ回転手段17に保持される。
なお、タイヤ20内は所定の空気圧に保持されているものとする。
噴射ノズル14はカバー17cに取付けられる。
具体的には、図1に示すように、ノズル14bの噴射口14cが、タイヤ20のモーター17Mとは反対側の面であるサイド部21を向くようにノズル本体14aをカバー17cに取付ける。本例では、噴射ノズル14を、ドライアイスDの噴射方向がタイヤの軸方向Jに対して、例えば、0°〜60°傾くように、カバー17cに取付ける。
次に、スピュー除去装置10の動作についてについて説明する。
なお、本例では、タイヤ20のサイド部21を構成するゴム(サイドトレッドゴム)をガラス転移点の高い(約−70℃)臭素化ブチルゴムを含むゴムとした。
まず、準備段階として、ドライアイスボックス11に冷凍保存されていたドライアイスDのペレットをドライアイス供給装置13に投入するとともに、タイヤ回転手段17のモーター17Mを稼働させて、タイヤ20をタイヤ軸を中心軸に回転させる。
次に、圧力調整弁12bにより圧縮空気の圧力を設定した後、コンプレッサ12aを稼動させ、圧縮空気を、エアホース16を介して、ドライアイス供給装置13に圧送する。
ドライアイス供給装置13の混合室13bでは、ホッパー13aから落下してきたドライアイスDを、圧縮空気により噴射ノズル14に圧送する。
これにより、噴射ノズル14の噴射口14cからは、ペレット状のドライアイスDがタイヤ20のサイド部21に吹き付けられる。
投射材であるドライアイスDの温度は、約−80℃と低く、かつ、ドライアイスDは常温で気化するため、サイド部21のドライアイスDに接触した部分が冷却されるだけでなく、サイド部21近傍の空気も冷却されるので、スピューは、スピューを構成するゴムのガラス転移温度以下まで容易に冷却され、ゴムとしての柔軟性を失って硬化する。
特に、本例のように、サイドトレッドゴムが、ガラス転移温度の高い臭素化ブチルゴムを含むゴムとした場合には、スピューを速やかに硬化させることができる。
ドライアイスDにより硬化して折れやすくなったスピューはドライアイスDの噴射圧にて曲げられ、根元付近から折れてタイヤ表面から除去される。
このときの、ドライアイスDの噴射圧としては、0.1MPa〜20MPaの範囲とすることが好ましい。すなわち、噴射圧が0.1MPa未満の場合には、スピューは硬化するが、噴射圧が低いため、タイヤ表面に折れなかったスピューが残ってしまうことがある。逆に、噴射圧が20MPaを超えた場合には、サイド部21に衝突したドライアイスDのペレットにより、タイヤ表面が傷つく虞がある。
本例では、図2(a)に示すように、ドライアイスDの噴射方向とタイヤの軸方向とのなす角を0°〜60°としているので、硬化したスピューPを効率よく除去することができる。図2(b)は、除去後のスピューPを示す図で、この例では、スピューPの残高は約0.23mmであった。
また、ドライアイスDは、常温で気化するため、従来のセラミック投射材のようにブラスト後にタイヤ表面に残らないので、回収作業が不要になるだけでなく、タイヤ表面を清浄に保つことができる。
また、本例のように、タイヤ20を回転させながらドライアイスDを噴射するようにすれば、タイヤ表面のスピューを効率よく除去できるとともに、タイヤ表面を均一にトリミングすることができる。
このように、本実施の形態では、タイヤ20を回転させながら、タイヤ20のサイド部21に圧縮空気に混入されて圧送されたドライアイスDのペレットを、タイヤ20の軸方向に対して傾けて噴射して、サイド部21表面のスピューを除去したので、タイヤ表面を傷つけることなく、スピューを効率よく除去することができる。
なお、タイヤ20は1回転させてもよいし、複数回回転させてもよい。また、タイヤ20を複数回回転させる場合には、ドライアイスDの噴射角度をタイヤ1回転毎に変化させることが好ましい。これにより、スピューを確実に除去することができる。
なお、前記実施の形態では、タイヤ20を回転させる場合について説明したが、噴射ノズル14をタイヤ20の周方向に回転させながら、ドライドライアイスDを噴射するようにしても同様の効果得ることができる。
また、タイヤ20もしくは噴射ノズル14を回転させることは必須事項ではなく、作業員が噴射ノズル14を操作してドライアイスDをタイヤの表面に噴射してもよい。特に、タイヤ印刷面のみをトリミングする場合には、タイヤ20を回転させずに行う方が設備も不要となるので、好ましい。
また、図3に示すように、タイヤ20を、サイド面21が上向きになるように床面において、作業員Sが噴射ノズル14を操作して、サイド面21にドライアイスを吹き付けるようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、投射材としてドライアイスを用いたが、これに限るものではなく、ガラスビーズ等のセラミック投射材やメラミン系あるいはユリア系樹脂のような樹脂投射材を用いてもよい。この場合には、投射材を、タイヤを構成するゴムのガラス転移温度よりも低い温度に冷却して使用する必要があることはいうまでもない。なお、投射材と圧搾空気の両方を冷却すれば、さらに好ましい。
また、前記例では、サイドトレッドゴムとして臭素化ブチルゴムを含むゴムとしたが、これに限るものではなく、天然ゴムや合成ゴムであってもよい。なお、ゴム種を変えた場合には、噴射圧や噴射角度などの噴射条件を適宜変更することが好ましい。
タイヤを回転させながら、タイヤのサイド部にドライアイス噴射してサイド部表面のスピューを除去した結果を、以下の表1に示すように、短時間でスピューをほぼ根元まで除去することができた。また、比較のため、従来のスピューカッターを用いたトリミング結果についても表1に合わせて記した。
なお、試験に用いたタイヤのタイヤサイズは、195/65R15で、噴射圧は0.5MPa、噴射角度は45°、タイヤ回転速度は7.5rpm、タイヤの回転数は1回であった。
Figure 2014004793
表1から明らかなように、ドライアイス噴射によるトリミングでは、トリミング後のスピュー高さが0.3mm以下と、スピューの根元までトリミングできただけでなく、作業時間が10秒以下と従来の約1/5と短い作業時間でスピューを除去することができた。
これにより、本発明によるスピュー除去方法を用いれば、スピューを確実にかつ短時間で除去できることが確認された。
以下の表2は、タイヤのゴム特性への影響を調べたもので、タイヤ製造工程でシリコンがタイヤに塗布される事を再現する為、試験ゴムを全てシリコン塗布品とした。
表のシリコン塗布品は、ゴムサンプルにシリコン塗布のみを実施したものである。
液体洗浄品は、ゴムサンプルから溶剤でシリコン除去を試みたものである。
ドライアイス洗浄品は、ドライアイスをそれぞれ1秒及び10秒噴射したゴムサンプルである。
また、ゴム特性としては、(1)シェア硬度;DHS(度)、(2)破断伸び;EB(%)、(3)引っ張り強さ;TB(MPa)、(4)引っ張り応力;MN(モジュラス)、及び、(5)剥離強さ;TF(MPa)、の5項目の試験を、JIS基準に準じて行った。
Figure 2014004793
表2から明らかなように、ドライアイス噴射品は、5項目全ての特性において、シリコン塗布品に対して物性が規格内であった。
また、ドライアイス噴射品は液体洗浄品と同等の品質を確保できる。
これにより、本発明によるスピュー除去方法を用いれば、タイヤを構成するゴムの特性に影響を与えることなく、スピューを除去できることが確認された。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
このように、本発明によれば、タイヤ表面を傷つけることなく、スピューを除去できるので、タイヤの外観を確実に向上させることができる。
また、本発明をタイヤの印刷面の洗浄に適用すれば、タイヤ印刷面に鮮明な印字を行うことができる。
10 タイヤのスピュー除去装置、11 ドライアイスボックス、
12 圧縮空気供給手段、12a コンプレッサ、12b 圧力調整弁、
13 ドライアイス供給装置、13a ホッパー、13b 混合室、
14 噴射ノズル、14a 噴射ノズル本体、14b ノズル、14c 噴射口、
15 エアホース、16 ブラストホース、17 タイヤ回転手段、17a 基台、
17b 回転板、17c カバー、17R リム、17M モーター、
17j モーターの回転軸、20 タイヤ、21 サイド部、
D ドライアイス、P スピュー。

Claims (7)

  1. 圧縮空気に混入されて圧送された細粒状の投射材を噴射するブラスト装置を用いて加硫後のタイヤの表面のスピューを除去する方法であって、
    前記投射材の温度が、前記タイヤを構成するゴムのガラス転移温度よりも低いことを特徴とするスピューの除去方法。
  2. 前記投射材の噴射方向が当該タイヤの軸方向に対して傾いていることを特徴とする請求項1に記載のスピューの除去方法。
  3. 前記投射材がドライアイスであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスピューの除去方法。
  4. 前記投射材の噴射圧を0.1MPa〜20MPaの範囲としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスピューの除去方法。
  5. 前記投射材を噴射する領域がタイヤ印刷面を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスピューの除去方法。
  6. 前記タイヤをタイヤ周方向に回転させるか、もしくは、前記ブラスト装置を前記タイヤの周方向に回転させながら、前記投射材を前記タイヤの表面に噴射して、前記スピューを除去することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のスピューの除去方法。
  7. 前記タイヤの表面のゴムが少なくとも臭素化ブチルゴムを含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のスピューの除去方法。
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