JP2013542413A - 地下埋蔵層において炭化水素ガスのペイ・ゾーンを特徴付けるためのシステム及び方法 - Google Patents
地下埋蔵層において炭化水素ガスのペイ・ゾーンを特徴付けるためのシステム及び方法 Download PDFInfo
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Abstract
検層記録データからスイート・ゾーン・インジケータを求めるステップ、検層記録データから岩石性状を求めるステップ、並びに、スイート・ゾーン・インジケータ及び岩石性状から有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級を識別するステップを含む、地下埋蔵層において炭化水素ガスの有効ペイ・ゾーンを特徴付けるためのシステム、及びコンピュータで実施される方法。スイート・ゾーン・インジケータは、中性子密度分離を計算すること、並びに、中性子密度分離及び検層記録データを使用することによって求めることができる。検層記録データから求められる岩石性状には、合計水分飽和量、吸着ガス飽和量、合計ガス含有量、多孔度、水圧破砕傾向、合計水分飽和量の不確定度、合計ガス含有量の不確定度、並びに、多孔度用及び合計ガス含有量用のベースラインが含まれ得る。スイート・ゾーン・インジケータ及び岩石性状を使用して、有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級を識別することができる。
Description
本出願は、その全体を参照により本明細書に組み込まれている、System and Method for Sweet Zone Identification in Shale Gas Reservoirsと題する米国特許出願第12/880,436号(整理番号T−8135)に関連している。
本発明は、一般に、地下埋蔵層において炭化水素ガスのペイ・ゾーンを特徴付けるための方法及びシステムに関し、詳細には、シェール・ガス埋蔵層において有効ペイ・ゾーンを識別し分類するための方法及びシステムに関する。
「有効ペイ・ゾーン」は、商用対象の多孔性、透過性の炭化水素ガス埋蔵層を特徴付けるために使用することができる。坑井の中の有効ペイ・ゾーンの迅速且つ正確な識別、有効ペイ・ゾーンの分類、有効ペイ・ゾーンの地図作成、及び最良の有効ペイ・ゾーン内の水平掘削孔の配置は、ガスの探査及び開発における最も重要な仕事の一部である。これは特にシェール・ガス田に関する場合に当てはまり、有機物に富むゾーンを識別し分類する方法は重要性を増している。
多くの場合、既存の方法は適用されてきた特定の地層だけに適用可能であり、探査及び開発の新しい領域に全般的に適合させることはできない。
本発明の一実装形態によれば、地下埋蔵層において炭化水素ガスのペイ・ゾーンを特徴付ける、コンピュータで実施される方法は、埋蔵層に関係する検層記録データに基づいてスイート・ゾーン・インジケータを求めるステップと、検層記録データに基づいて岩石性状を求めるステップと、スイート・ゾーン・インジケータ及び岩石性状から有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級を導出するステップと、有効ペイ・ゾーンを採掘して地下埋蔵層内の対象区域を識別するステップとを含む。スイート・ゾーン・インジケータは、正規化中性子密度分離を計算し、算出された正規化中性子密度分離及び検層記録データを使用することによって求めることができる。検層記録データから求められる岩石性状には、合計水分飽和量、吸着ガス飽和量、合計ガス含有量、多孔度、水圧破砕傾向、合計水分飽和量の不確定度、合計ガス含有量の不確定度、並びに、多孔度用及び合計ガス含有量用のベースラインが含まれ得る。有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級には、スイート・ゾーン・インジケータ及び岩石性状に基づいて特徴付けられた、第1級、第2級、及び第3級の有効ペイ・ゾーンが含まれ得る。
一実施例では、地下埋蔵層において炭化水素ガスの有効ペイ・ゾーンを特徴付けるためのシステムは、地下埋蔵層の物理特性を示すデータを提供するための装置、データを受信しデータに応答してコンピュータ実行可能コードを実行するように構成された、装置と通信するコンピュータ・プロセッサを含み、コンピュータ実行可能コードは、データから潜在的な有機物に富むゾーンを識別するためのスイート・ゾーン・インジケータ・モジュール、データから岩石性状を計算するための岩石性状モジュール、並びに、スイート・ゾーン・インジケータ及び岩石性状から有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級を識別するための有効ペイ・ゾーン識別モジュールを含む。システムはユーザ・インタフェース及びディスプレイも含む。
上記の概要の項は、下記の詳細説明の項でさらに記載される概念の抜粋を、簡素化された形で紹介するために提供される。概要は、特許請求された主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定するものでも、特許請求された主題の範囲を限定するために使用されるものでもない。さらに、特許請求された主題は、本開示の任意の部分に注記された一部又は全部の欠点を解決する実装形態に限定されない。
本発明の上記及び他の特徴は、以下の説明、係属中の特許請求の範囲及び添付図面について、よりよく理解されよう。
本発明は、システム、及びコンピュータによって実行されるコンピュータの方法の概括的な文脈で記載し具現化することができる。そのようなコンピュータ実行可能命令は、プログラム、ルーチン、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、及び、特定のタスクを実行し、抽象データ型を処理するために使用できるコンピュータ・ソフトウェア技術を含むことができる。本発明のソフトウェア実装形態は、さまざまなコンピュータのプラットフォーム及び環境におけるアプリケーション用のさまざまな言語でコード化することができる。本発明の範囲及び基となる原理は、いかなる特定のコンピュータ・ソフトウェア技術にも限定されないことが理解されよう。
さらに、本発明が単一及び/又は複数のコンピュータ・プロセッサ、ハンドヘルド装置、プログラマブル家庭用電化製品、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータ、などを有するシステムを含むが、それに限定されないハードウェア及びソフトウェアの構成の任意の1つ又は組合せを使用して実践できることを、当業者は理解されよう。また、本発明は分散コンピュータ環境で実践することができ、そこでは、1つ又は複数のデータ通信ネットワークを介してつながれたサーバ又は他の処理装置によってタスクが実行される。分散コンピュータ環境において、プログラム・モジュールは、メモリ記憶装置を含む、ローカルとリモートどちらのコンピュータ記憶媒体にも配置することができる。
また、CD、事前記録ディスク又は他の同等な装置などの、コンピュータ・プロセッサとともに使用するための製造品は、本発明の実装及び実践を容易にするようにコンピュータ・プロセッサに命令するためにその上に記録された、コンピュータ・プログラム記憶媒体及びプログラム手段を含むことができる。そのような装置及び製造品も本発明の精神及び範囲に含まれる。
ここで図面を参照して本発明の実施例を記載する。本発明は、例えば、(コンピュータ処理システムを含む)システム、(コンピュータで実施される方法を含む)方法、装置、コンピュータ可読媒体、コンピュータ・プログラム製品、グラフィカル・ユーザ・インタフェース、ウェブ・ポータル、又は、コンピュータ可読メモリに明白に固定されたデータ構造としてなどを含む非常に多くの方法で具現化することができる。本発明のいくつかの実施例を下記に説明する。添付の図面は本発明の典型的な実施例を示すだけであり、したがって、その範囲及び広さを限定するものと考えるべきでない。
本発明は、炭化水素ガスの有効ペイ・ゾーンを特徴付けることに関し、例として、且つ限定せずに、シェール層を評価して、そのシェール層がかなりの量の、したがって炭化水素資源の良い供給源としての役割を果たす、有機物、及び、炭化水素資源が掘削孔を通して回収されることを可能にする岩石性状を含有している可能性があるかどうか判定するために使用することができる。シェール・ガス埋蔵層において、考慮できる岩石性状の2つの要素は、岩石のガス容量及び岩石力学である。地層を特徴付ける1つの方法は、掘削動作の間又はその後に、地層を貫通する掘削孔に沿って特性を測定すること、すなわち検層記録である。検層記録には、例えば、音波測定、密度測定、抵抗率/導電率測定、超音波、NMR、中性子、ウラン濃度、及び放射線散乱を含む、いくつかの技法が含まれる。このタイプの掘削孔データは、しばしば、直接検査用の岩心の集合を交換又は補足するために使用される。慣例として、記録された掘削孔データは、地下の地層を特徴付けて坑井の潜在能力に関する決定を可能にするか、又は周囲の地質領域の性質についての情報を求めるために、知的作業をする人によって解析される。掘削孔データは、試錐孔の掘削中又は掘削後に収集することができる。
発明者は、さまざまな検層記録からの情報を組み合わせることにより、人間の解釈を必要とせずに、有機素材に富む可能性がある、したがって炭化水素生成の可能性を与えるような地層又は地層の一部を識別するために、定量的な手法を推進することができると判断した。さらに、発明者は、検層記録からのさらなる情報に応じて、有機物に富む地層又は地層の一部を、現在の技術を使用して炭化水素ガスをそこから回収できる第1級の有効ペイ・ゾーン、又は、将来の技術を使用して炭化水素ガスをそこから回収できる第2級の有効ペイ・ゾーンに分類することが可能であると判断した。地層内のさらなるペイ・ゾーンは、有機物に富むゾーンへの近さに応じて識別し分類することができる。有効ペイ・ゾーンのこれらの等級は、特定の岩石性状に依存するタイプによってさらに特徴付けることができる。
この点に関連して、本発明による方法100の一実例が図1のフローチャートにおいて示される。ステップ10で、検層記録データが受信される。一実施例では、検層記録データは、中性子、密度、ウラン濃度、抵抗率、及び音波データを含む。別の実施例では、ウラン濃度はガンマ線データによって置き換えられる。理解されるように、検層記録データは任意のさまざまな検層記録技法によって取得することができるか、又は、そこで方法が実行されるコンピュータ・システムからローカル又はリモートに格納された既存の検層記録データであり得る。理解できるように、炭化水素ガスの有効ペイ・ゾーンを特徴付けるために有用になり得る多くのさらなるタイプの検層記録データが存在し、上記の例は、使用できるデータを限定すること、又は列挙された検層記録データのタイプが使用されるのを必要とすることを意味しない。
検層記録データから、ステップ12でスイート・ゾーン・インジケータが求められ、ステップ14で岩石性状が計算される。これらのステップは任意の順序で、又は同時に実行することができ、対象の特定の地層内の深さゾーンについて、又は対象の地層の一部の内部の深さゾーンについて、坑井内の深さの各レベルで実行することができる。ステップ14で計算される岩石性状の一実施例には、合計水分飽和量、合計水分飽和量の不確定度、吸着ガス飽和量、合計ガス含有量、地層の岩石内の合計ガス含有量のベースライン、合計ガス含有量の不確定度、多孔度、及び、試錐孔を囲む岩石の水圧破砕傾向が含まれる。試錐孔を囲む地層が炭酸塩岩石を含む場合、ステップ14で計算される岩石性状には、炭酸塩岩石の多孔度のベースラインも含まれる。当業者が理解できるように、これらの岩石性状は以下の検層記録、すなわち、中性子、密度、ウラン(又は、ウラン記録が利用できない場合ガンマ線)、抵抗率、元素収集分光法など、又はその組合せから算出することができる。
ステップ14で計算されるベースラインは、地質又は試錐孔の状態に応じて、定数、曲線又は傾向線になる場合がある。一実施例では、ベースラインは、検層記録の一部から計算することができる。別の実施例では、ベースラインは、異なる掘削孔からの検層記録から計算することができる。第3の実施例では、ベースラインは、類似の地層からの既知の地質データから選択することができる。これらの実施例は、ベースラインを計算するための方法を限定するものではない。
ステップ14で計算される水圧破砕傾向は、掘削孔内で水圧破砕技術を使用して、どれほど容易に岩石を破砕できるかの測定値である。この水圧破砕傾向は、試錐孔を囲む地層を容易に破砕できることを示す大きい場合か、又は試錐孔を囲む地層の破砕が難しいことを示す小さい場合がある。水圧破砕傾向の判定は、現在の水圧破砕技術、現在の水圧破砕方式、及び以下の式によって決まる。
EZPfrac=((2*PR)/(1−PR))*∫(0.433*ρb)dz+((1−(2*PR)/(1−PR)))*∫(0.433*ρpf)dz 式1
EZPfrac=((2*PR)/(1−PR))*∫(0.433*ρb)dz+((1−(2*PR)/(1−PR)))*∫(0.433*ρpf)dz 式1
式1に関して、EZPfracは、水圧破砕傾向が大きいか又は小さいかを判定するために現在の水圧破砕技術及び方式の知識と一緒に使用される数値であり、PRはポアソン比、ρbはg/cc単位の地層バルク密度、ρpfはg/cc単位の同等な間隙流体密度すなわち泥の密度、zはフィート単位の真の垂直深さである。EZPfracの計算は、通常、シェール・ガス生産を対象にしてあらかじめ決められた掘削孔の深さ間隔にわたって行われる。
スイート・ゾーン・インジケータ及び岩石性状を使用して、有効ペイ・ゾーンの複数の等級がステップ16で識別される。スイート・ゾーン・インジケータ及び計算された岩石性状は、試錐孔を囲む地層の一部が炭化水素ガスの供給源を有するかどうか、岩石のガス容量、及び水圧破砕傾向を求めるために使用される。一実施例では、地層の一部又は全部が潜在的な有効ペイ・ゾーン(PNP)であり得るかどうかを判定することは、以下の論理式によって評価することができる。
if(RNR>0 and GC_TG>(GC_TG_NSBSL+GC_TG_UNCL) and PHIT>PHIT_TCSBSL) then PNP=1 else PNP=0
ここで、それらが地層内に存在する場合、RNRはスイート・ゾーン・インジケータであり、GC_TGは合計ガス含有量であり、GC_TG_UNCLは合計ガス含有量の不確定度であり、GC_TG_NSBSLは地層内の岩石の合計ガス含有量のベースラインであり、PHITは多孔度であり、PHIT_TCSBSLは炭酸塩岩石の多孔度のベースラインであり、存在しない場合0にセットされる。
if(RNR>0 and GC_TG>(GC_TG_NSBSL+GC_TG_UNCL) and PHIT>PHIT_TCSBSL) then PNP=1 else PNP=0
ここで、それらが地層内に存在する場合、RNRはスイート・ゾーン・インジケータであり、GC_TGは合計ガス含有量であり、GC_TG_UNCLは合計ガス含有量の不確定度であり、GC_TG_NSBSLは地層内の岩石の合計ガス含有量のベースラインであり、PHITは多孔度であり、PHIT_TCSBSLは炭酸塩岩石の多孔度のベースラインであり、存在しない場合0にセットされる。
一実施例では、地層の一部又は全部が潜在的な有効ペイ・ゾーン(PNP=1)として識別されると、次いで、そのゾーンは第1級及び第2級の有効ペイ・ゾーンに分類することができる。シェール・ガス埋蔵層において、第1級のペイ・ゾーン(PNP_C1)は、現在の技術を使用して回収可能な炭化水素ガスを含む可能性がある潜在的なペイ・ゾーンとして定義することができる。第2級のペイ・ゾーン(PNP_C2)は、将来の技術を使用して回収可能な炭化水素ガスを含む可能性がある潜在的なペイ・ゾーンとして定義することができる。一実施例では、これらのペイ・ゾーンの分類は以下の論理式によって定義することができる。
if(PNP=1 and (1−Swt)>Swt_UNCL and EZPfrac=large) then PNP_C1=1 else PNP_C1=0
if(PNP=1 and PNP_C1=0) then PNP_C2=1
ここで、Swtは合計水分飽和量であり、Swt_UNCLは合計水分飽和量の不確定度である。また、項(1−Swt)は吸着ガス飽和量として定義される。
if(PNP=1 and (1−Swt)>Swt_UNCL and EZPfrac=large) then PNP_C1=1 else PNP_C1=0
if(PNP=1 and PNP_C1=0) then PNP_C2=1
ここで、Swtは合計水分飽和量であり、Swt_UNCLは合計水分飽和量の不確定度である。また、項(1−Swt)は吸着ガス飽和量として定義される。
理解できるように、シェール層の一部又は全部がスイート・ゾーンとして識別され、さらに、一部又は全部が、現在の技術を使用してガスを生成することが容易なはずであることを意味する、大きな吸着ガス飽和量及び大きな水圧破砕傾向を有する第1級の有効ペイ・ゾーンか、又は向上した技術がある将来では経済的な埋蔵層であり得る第2級の有効ペイ・ゾーンとして分類できることを、上記の論理式は意味する。
例として、且つ限定せずに、第2級の有効ペイ・ゾーンは、さらに、その特定の岩石性状に依存するタイプによって分類することができる。一実施例では、以下の論理式によって示されるように、第2級の有効ペイ・ゾーンは、その吸着ガス飽和量が合計水分飽和量の不確定度よりも大きい場合のタイプA(PNP_C2A)、又はその水圧破砕傾向が大きい場合のタイプB(PNP_C2B)であり得る。
if(PNP_C2=1 and (1−Swt)>Swt_UNCL) then PNP_C2A=1 else PNP_C2A=0
if(PNP_C2=1 and EZPfrac=large) then PNP_C2B=1 else PNP_C2B=0
これらのタイプは、この第2級のペイ・ゾーンからガスを生成するために必要な技術を決定する際に有用であり得る。
if(PNP_C2=1 and (1−Swt)>Swt_UNCL) then PNP_C2A=1 else PNP_C2A=0
if(PNP_C2=1 and EZPfrac=large) then PNP_C2B=1 else PNP_C2B=0
これらのタイプは、この第2級のペイ・ゾーンからガスを生成するために必要な技術を決定する際に有用であり得る。
上記の実施例は、炭化水素ガスを含む可能性がある地層の一部又は全部の内部の潜在的な有効ペイ・ゾーン用の2つの等級だけを使用する。理解できるように、炭化水素ガスを生成するために利用可能な技術に応じて、これらの分類は変更することができ、さらなる等級を追加することができる。上記の実施例は、有効ペイ・ゾーンの識別及び分類を限定するものではない。
スイート・ゾーンとして識別された地層の一部又は全部の中の有効ペイ・ゾーンの等級に加えて、スイート・ゾーンの外部の潜在的な有効ペイ・ゾーンを分類することも有用であり得る。当業者は、スイート・ゾーンで生成された炭化水素ガスが近くの地層に短い距離だけ移動する可能性があることに気付かれよう。したがって、正のスイート・ゾーン・インジケータを有さないが、正のスイート・ゾーン・インジケータを有する地層の一部又は全部に物理的に近い別の有効ペイ・ゾーンを分類することが可能である。この場合、地層の一部又は全部が合計水分飽和量の不確定度よりも大きい吸着ガス飽和量を有し、一実施例では50フィートであり得るいくらか小さい距離内にある場合、地層のその一部又は全部は別の有効ペイ・ゾーンとして分類することができる。スイート・ゾーン・インジケータの有効ペイ・ゾーンが第1級及び第2級の有効ペイ・ゾーンとして識別される実施例では、この有効ペイ・ゾーンは第3級のペイ・ゾーンとして分類することができる。
図1のステップ12からのスイート・ゾーン・インジケータ(RNR)を求める方法200の実施例が図2のフローチャートに示される。特定の実例において、且つ限定しない方法で、これはシェール層に対して行うことができる。中性子及び密度の検層記録データから、明白な密度多孔度(PHIT_D)がステップ20で計算される。この点に関連して、式2はPHIT_D用の計算を提示する。
PHIT_D=min(max(((ρM−ρB)/(ρM−ρF)),0.0),1.0) 式2
PHIT_D=min(max(((ρM−ρB)/(ρM−ρF)),0.0),1.0) 式2
式2に関して、ρMは岩石マトリックス(ここでマトリックスは、シェール層の地質に応じて、方解石マトリックス又は他の適切なマトリックスであるように選択される)の密度であり、ρBは岩石のバルク密度であり、ρFは岩石内の流体の密度であり、ここで流体は水であり得る。理解されるように、この式は、比(ρM−ρB)/(ρM−ρF)が負の場合、0.0の値になり、比が1より大きいと1.0になり、比が0と1の間の場合、比の値になる。すなわち、それは0と1によって囲まれた多孔度値を計算する。次に、ステップ22で、明白な中性子多孔度(PHIT_N)が式3に従って計算される。
PHIT_N=min(max(((TNPH−TNPM)/(TNPF−TNPM)),0.0),1.0) 式3
PHIT_N=min(max(((TNPH−TNPM)/(TNPF−TNPM)),0.0),1.0) 式3
式3において、TMPHは岩石の中性子多孔度の読取り値であり、TNPMはマトリックスの中性子多孔度であり、TNPFは流体の中性子多孔度である。式4と同様に、この式は、0と1の間の値の場合、比(TNPH−TNPM)/(TNPF−TNPM)に等しい値になり、すべての比の他の値の場合0と1によって囲まれる。
式2と式3の結果を使用して、正規化中性子密度分離についての値(VWSH_NDS)が式4に従って計算され得る(ステップ24)。
VWSH_NDS=max(min([(PHIT_N−PHIT_D)−(PHIT_N−PHIT_D)min]/[(PHIT_N−PHIT_D)ns−(PHIT_N−PHIT_D)min],1.0),−1.0) 式4
VWSH_NDS=max(min([(PHIT_N−PHIT_D)−(PHIT_N−PHIT_D)min]/[(PHIT_N−PHIT_D)ns−(PHIT_N−PHIT_D)min],1.0),−1.0) 式4
式4において、新しく導入された量(PHIT_N−PHIT_D)nsは正常なシェール用の中性子密度分離であり、(PHIT_N−PHIT_D)minは(PHIT_N−PHIT_D)の最小値であり、一般に、0に等しいか又は0に非常に近い。一実施例では、(PHIT_N−PHIT_D)minは0であると取られ、分子及び分母のその部分は削除される。この式は、マイナス1と1の間の値になるが、ほとんどの場合、値は0と1の間である。
ステップ26で、量毎のベースライン値が求められる。中性子、密度、ウラン濃度及び抵抗率のデータを使用する一実施例の場合、ベースラインはこれらのそれぞれについて求められる。ガンマ線データがウラン濃度データによって置き換えられる実施例の場合、ガンマ線記録読取り用のベースラインが求められる。
ステップ28で、前のステップで求められた値が、以下の論理式に従ってスイート・ゾーン・インジケータ(RNR)を生成するために使用される。
if(VWSH_NDS<VWSH_NDS_NSBSL・FVBSL and URAN>URAN_NSBSL・FUBSL and RD>RD_NSBSL・FRBSL) then RNR=1 else RNR=0
if(VWSH_NDS<VWSH_NDS_NSBSL・FVBSL and URAN>URAN_NSBSL・FUBSL and RD>RD_NSBSL・FRBSL) then RNR=1 else RNR=0
ステップ28用の上記論理式において、VWSH_NDS_NSBSLは正常なシェール用の正規化中性子密度分離のベースラインであり、URANはウラン濃度であり、URAN_NSBSLは正常なシェール用のベースライン・ウラン濃度であり、RDは抵抗率であり、RD_NSBSLは正常なシェール用のベースライン抵抗率であり、FVBSL、FUBSL及びFRBSLはそれぞれのベースライン用の調節因子である。したがって、正規化中性子密度分離が調節されたベースラインより小さく、ウラン及び抵抗率がそれぞれの調節されたベースラインの上にある場合、インジケータは値1を取り、その他の場合それは値0を取る。
理解されるように、記録のタイプ毎のベースラインは、地質又は掘削孔の状態に応じて、定数であり得るか、又は曲線若しくは傾向線であり得る。それぞれの調節因子、FVBSL、FUBSL及びFRBSLは、測定ノイズを削減するため、及び実際の地質構造における高周波変形を削減するためにも選択され、それによってインジケータの信頼性を向上させる。
ウラン記録がガンマ線記録によって置き換えられる場合の代替のステップ28では、以下の論理式が使用され得る。
if(VWSH_NDS<VWSH_NDS_NSBSL・FVBSL and GR>GR_NSBSL・FGBSL and RD>RD_NSBSL・FRBSL) then RNR=1 else RNR=0
if(VWSH_NDS<VWSH_NDS_NSBSL・FVBSL and GR>GR_NSBSL・FGBSL and RD>RD_NSBSL・FRBSL) then RNR=1 else RNR=0
ステップ28の代替の論理式で新しく導入された量は、ガンマ線データを示すGR、正常なシェール用のガンマ線のベースラインであるGR_NSBSL、及びガンマ線のベースライン用の調節因子FGBSLである。
一般に、調節因子は1に近くなるように選択され、一実施例では、0.5と1.5の間の範囲に限定することができる。特定の実施例では、(VSBSL,FUBSL,FRBSL,FGBSL)=(0.6,0.99,0.99,0.99)である。
理解されるように、ステップ20及び22は任意の順序で実行することができる。同様に、ステップ26で実行される検層記録のタイプ毎のベースラインの決定は、原理的には、任意のその他の計算の前に、且つ、ステップ26の結果に依存するステップ28の計算を除くすべての計算の後に実行することができる。
2つの前の論理文のいずれの評価も、1又は0の値を返し、それぞれスイート・ゾーンがあること又はないことを示す。次いで、インジケータは深さを判定して、水平掘削動作を始めるため、又はその他の場合生成掘削の決定を導くための基礎として使用することができる。
方法を実行するためのシステム300が図3で概略的に示される。システムはデータ記憶装置又はメモリ32を含む。格納されたデータは、プログラマブル汎用コンピュータなどのプロセッサ34に利用可能にされ得る。プロセッサ34は、潜在的な有機物に富むゾーンを識別するためのスイート・ゾーン・インジケータ・モジュール、岩石性状を計算するための岩石性状モジュール、及び、有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級を識別するための有効ペイ・ゾーン識別モジュールを実行するように構成される。プロセッサ34は、ディスプレイ36及びユーザ・インタフェース38などのインタフェース構成部品を含むことができ、本発明の実施例に従って上記の変換を実装するために使用される。ユーザ・インタフェースは、データ及び処理されたデータ製品を表示することと、ユーザが方法の態様を実装するためのオプションからの選択を可能にすることのどちらのためにも使用することができる。プロセッサ34で算出された、識別され分類された有効ペイ・ゾーンは、ディスプレイ36に表示するか、データ記憶装置若しくはメモリ32に格納するか、又は表示と格納のどちらも行うことができる。
前述の明細書では、本発明がその特定の好ましい実施例に関して記述され、多くの詳細が例示目的で説明されたが、本発明は変更が可能であり、本明細書に記載された特定の他の詳細が本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更できることは、当業者に明白であろう。加えて、本明細書において任意の一実施例で示されるか又は記載された構造的な特徴又は方法のステップは、他の実施例でも使用できることは理解すべきである。
Claims (19)
- 地下埋蔵層において炭化水素ガスの有効ペイ・ゾーンを特徴付ける、コンピュータで実施される方法であって、
前記埋蔵層に関係する検層記録データに基づいてスイート・ゾーン・インジケータを求めるステップと、
前記検層記録データに基づいて岩石性状を求めるステップと、
前記スイート・ゾーン・インジケータ及び前記岩石性状から、有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級を導出するステップと、
前記1つ又は複数の有効ペイ・ゾーンを採掘して前記地下埋蔵層内の対象区域を識別するステップと
を含む方法。 - 前記スイート・ゾーン・インジケータを求めるステップが、
正規化中性子密度分離を計算するステップと、
前記正規化中性子密度分離及び前記検層記録データを使用して前記スイート・ゾーン・インジケータを求めるステップと
を含む、請求項1に記載の方法。 - 前記岩石性状を求めるステップが、前記検層記録から合計水分飽和量、吸着ガス飽和量、合計ガス含有量、多孔度、及び水圧破砕傾向を計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記合計水分飽和量の不確定度及び前記合計ガス含有量の不確定度を計算するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
- 前記地下埋蔵層内に存在する炭酸塩岩石用の多孔度のベースラインを求めるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
- 前記地下埋蔵層内に存在する岩石用の合計ガス含有量のベースラインを求めるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
- 前記水圧破砕傾向を計算するステップが、ポアソン比、地層バルク密度、同等な間隙流体密度、及び真の垂直深さを使用する、請求項3に記載の方法。
- 有効ペイ・ゾーンの前記1つ又は複数の等級が1つ又は複数の第1級の有効ペイ・ゾーンを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記第1級の有効ペイ・ゾーンが、0より大きい前記スイート・ゾーン・インジケータ、前記岩石用の前記合計ガス含有量のベースラインと前計合計ガス含有量の前記不確定度との和より大きい前記合計ガス含有量、前記炭酸塩岩石用の前記多孔度のベースラインより大きい前記多孔度、前記合計水分飽和量の前記不確定度より大きい前記吸着ガス飽和量、及び、大きい前記水圧破砕傾向を有する、請求項8に記載の方法。
- 有効ペイ・ゾーンの前記1つ又は複数の等級が1つ又は複数の第2級の有効ペイ・ゾーンを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記第2級の有効ペイ・ゾーンが、0より大きい前記スイート・ゾーン・インジケータ、前記岩石用の前記合計ガス含有量のベースラインと前記合計ガス含有量の前記不確定度との和より大きい前記合計ガス含有量、及び、前記炭酸塩岩石用の前記多孔度のベースラインより大きい前記多孔度を有する、請求項10に記載の方法。
- 有効ペイ・ゾーンの前記1つ又は複数の等級が1つ又は複数の第3級の有効ペイ・ゾーンを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記1つ又は複数の第3級の有効ペイ・ゾーンが、前記合計水分飽和量の前記不確定度より大きい前記吸着ガス飽和量、及び、0より大きいスイート・ゾーン・インジケータへの小さい物理的な距離を有する、請求項12に記載の方法。
- 有効ペイ・ゾーンの前記1つ又は複数の等級が、前記岩石性状から導出された1つ又は複数のタイプによってさらに特徴付けられた、請求項1に記載の方法。
- 地下埋蔵層において炭化水素ガスの有効ペイ・ゾーンを特徴付けるためのシステムであって、
前記地下埋蔵層の物理特性を示すデータを提供するための装置と、
前記データを受信し前記データに応答してコンピュータ実行可能コードを実行するように構成された、前記装置と通信するコンピュータ・プロセッサであって、前記コンピュータ実行可能コードが、
前記データから潜在的な有機物に富むゾーンを識別するためのスイート・ゾーン・インジケータ・モジュール、
前記データから岩石性状を計算するための岩石性状モジュール、並びに
前記スイート・ゾーン・インジケータ及び前記岩石性状から、有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級を識別するための有効ペイ・ゾーン識別モジュール
を含む、コンピュータ・プロセッサと、
ユーザ・インタフェースと
を備えるシステム。 - 合計水分飽和量の不確定度及び合計ガス含有量の不確定度を計算するためのモジュールをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
- 前記地下埋蔵層内に存在する炭酸塩岩石用の多孔度のベースラインを求めるためのモジュールをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
- 前記地下埋蔵層内に存在する岩石用の合計ガス含有量のベースラインを求めるためのモジュールをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
- コンピュータ可読コードを内部に具現化したコンピュータ可読媒体を備える製造品であって、前記コンピュータ可読プログラム・コードが地下埋蔵層において炭化水素ガスの有効ペイ・ゾーンを特徴付ける方法を実施するように実行されるよう適合され、前記方法が、
前記埋蔵層に関係する検層記録データに基づいてスイート・ゾーン・インジケータを求めるステップと、
前記検層記録データに基づいて岩石性状を求めるステップと、
前記スイート・ゾーン・インジケータ及び前記岩石性状から、有効ペイ・ゾーンの1つ又は複数の等級を導出するステップと、
前記1つ又は複数の等級の有効ペイ・ゾーンを採掘して前記地下埋蔵層内の対象区域を識別するステップとを含む、
製造品。
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