JP2013540753A - アテローム性動脈硬化の治療及び/又は予防のための免疫調節方法及びシステム、並びに関連するタンパク質、ペプチド及び組成物 - Google Patents
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Abstract
個体においてアテローム性動脈硬化及び/又は関係するコンディションを治療又は予防するための免疫刺激方法及びシステム、並びに関連する化合物及び組成物。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、具体的にはアテローム性動脈硬化及び/又はそれに関係するコンディションの治療及び/又は予防に適した免疫調節方法及びシステム、並びに関連するタンパク質、ペプチド及び組成物に関する。
アテローム性動脈硬化は現在、動脈壁の慢性的な脂質関連疾患及び免疫介在型の炎症性疾患として知られる。アテローム性動脈硬化に関与する多くの免疫成分が同定され、前臨床試験が、これらの成分を標的とする免疫調節療法がアテローム性動脈硬化を軽減させることを示唆する結果を約束してきた。
本明細書において、個体において免疫調節的反応を誘導するための方法及びシステムが提供される。いくつかの実施態様において、本発明の方法及びシステムにより誘導された免疫調節的反応は、個体におけるアテローム性動脈硬化又はそれに関係するコンディションに関連する治療的又は予防的効果に関係している。
本発明の第1の観点によると、個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するための方法及びシステムが記載される。該方法は、個体におけるCD4+T細胞のApoB100への反応を阻害することを含み、それは具体的には、前記反応を阻害することのできる治療上有効量の化合物を投与することによる。該システムは、個体のCD4+T細胞のApoB100への反応を阻害するのに適する1又は2以上の剤、及び個体において軽減された反応を検出するのに適する1又は2以上の剤を含む。
本発明の第2の観点によると、個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するための方法及びシステムが記載される。該方法は、個体において、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係する1又は2以上のT細胞受容体を阻害することを含み、それは具体的には、前記の受容体を阻害することのできる治療上有効量の化合物を投与することによる。より具体的には、該方法は、個体において、T細胞受容体アルファ可変遺伝子(TRAV)4によって少なくとも部分的にコードされたアルファ鎖、T細胞受容体アルファ可変遺伝子(TRAV)12によって少なくとも部分的にコードされたアルファ鎖、T細胞受容体アルファ可変遺伝子(TRAV)14によって少なくとも部分的にコードされたアルファ鎖、及び/又はTRAV4、TRAV12若しくはTRAV14のDNA配列に高い相同性を有するDNA配列によって少なくとも部分的にコードされたアルファ鎖を含む、1又は2以上のT細胞受容体を阻害することを含む。加えて又は代わりに、該方法は、個体において、T細胞受容体ベータ可変遺伝子(TRBV)30によって少なくとも部分的にコードされたベータ鎖、T細胞受容体ベータ可変遺伝子(TRBV)31によって少なくとも部分的にコードされたベータ鎖、及び/又はTRBV30若しくはTRBV31のDNA配列に高い相同性を有するDNA配列によって少なくとも部分的にコードされたベータ鎖を含む、1又は2以上のT細胞受容体を阻害することを含み得る。具体的には、該阻害は、前記受容体を阻害することのできる治療上有効量の化合物を投与することによりなされ得る。該システムは、個体におけるCD4+T細胞のApoB100への反応に関係する1又は2以上のT細胞受容体を阻害するのに適する1又は2以上の剤、及び個体において該阻害を検出するのに適する1又は2以上の剤を含み得る。
本発明の第3の観点によると、個体においてアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するための方法及びシステムが記載される。該方法は、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係する1又は2以上のT細胞受容体に対して個体に免疫することを含み、該T細胞受容体は、アルファ可変領域及び/又はベータ可変領域を含む。該方法は、具体的には、T細胞受容体のアルファ及び/又はベータ可変領域の1若しくは2以上の免疫原性フラグメントと、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体とのいずれか一方を、個体に投与することによりなされ得る。より具体的には、該方法は、TRAV4によりコードされたアルファ可変領域の少なくとも1つのフラグメント、TRAV12によりコードされたアルファ可変領域の少なくとも1つのフラグメント、TRAV14によりコードされたアルファ可変領域の少なくとも1つのフラグメント、TRAV4、TRAV12、又はTRAV14に高い相同性を有するDNA配列によってコードされたアルファ可変領域の少なくとも1つのフラグメント、それらの免疫原性の部分、及び/又はそれらの誘導体を、個体に投与することを含み得る。加えて又は代わりに、該方法は、TRBV30によってコードされたベータ可変領域のフラグメント、TRBV31によってコードされたベータ可変領域のフラグメント、TRBV30又はTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によってコードされたベータ可変領域のフラグメント、それらの免疫原性の部分、及び/又はそれらの誘導体を、個体に投与することを含み得る。例えば、ある実施態様において、該方法は、配列番号1のTCR TRBV31ペプチド、又は具体的にはCDR2可変領域単独若しくは配列番号61、63及び65のペプチドのうちのいずれか1つ若しくはこれらの免疫原性の部分との組み合わせにおけるCDR2可変領域由来の他のTCR TRBV31ペプチドの免疫原性フラグメントを投与することを含み得る。付加的な、典型的な実施態様において、該方法は、TRBV31に相同性を有するT細胞受容体に対して個体を免疫することを含み得、例えば、相同性を有する(ヒト)TCR TRBV30ペプチド、又は具体的にはCDR2可変領域単独若しくは配列番号61、63及び65のペプチドのうちのいずれか1つとの組み合わせにおけるCDR2可変領域由来のTCR TRBV30の免疫原性フラグメントを投与することによる。該システムは、例えば個体のT細胞受容体に対して個体を免疫するのに適した1又は2以上の剤、及び個体における該免疫を検出するのに適した1又は2以上の剤を含み得る。具他的には、例えば、いくつかの実施態様において、該システムは、T細胞受容体ベータ可変3−1、及び/又は個体のT細胞受容体のアルファ可変TRAV14、TRAV12及びTRAV4のうち少なくとも1つに対して個体を免疫するのに適した1又は2以上の剤、並びに個体における該免疫を検出するのに適した1又は2以上の剤を含み得る。
本発明の第4の観点によると、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係するT細胞受容体、その免疫原性のフラグメント若しくはその誘導体が、医薬としての使用のためのT細胞受容体として記載される。T細胞受容体は、TRAV4によりコードされたアルファ可変領域、TRAV12によりコードされたアルファ可変領域、TRAV14によりコードされたアルファ可変領域、TRAV4、TRAV12若しくはTRAV14に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたアルファ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。T細胞受容体はまた、TRBV30によりコードされたベータ可変領域、TRBV31によりコードされたベータ可変領域、TRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたベータ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。
本発明の第5の観点によると、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係するT細胞受容体、その免疫原性のフラグメント若しくはその誘導体が、アテローム性動脈硬化の治療における使用に対して記載される。T細胞受容体は、TRAV4によりコードされたアルファ可変領域、TRAV12によりコードされたアルファ可変領域、TRAV14によりコードされたアルファ可変領域、TRAV4、TRAV12若しくはTRAV14に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたアルファ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。T細胞受容体はまた、TRBV30によりコードされたベータ可変領域、TRBV31によりコードされたベータ可変領域、TRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたベータ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。
本発明の第6の観点によると、T細胞受容体のアルファ可変TRAV14に高い相同性を有するT細胞受容体、T細胞受容体のアルファ可変TRAV12、又はT細胞受容体のアルファ可変TRAV4が、アテローム性動脈硬化の治療において用いられる。
本発明の第7の観点によると、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係するT細胞受容体、その免疫原性のフラグメント又はその誘導体に反応する抗体が、医薬としての使用に対して記載される。該T細胞受容体は、TRAV4によりコードされたアルファ可変領域、TRAV12によりコードされたアルファ可変領域、TRAV14によりコードされたアルファ可変領域、TRAV4、TRAV12若しくはTRAV14に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたアルファ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。該T細胞受容体はまた、TRBV30によりコードされたベータ可変領域、TRBV31によりコードされたベータ可変領域、TRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたベータ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。
本発明の第8の観点によると、TRAV14、TRAV12及び/又はTRAV4に相同性を有するT細胞受容体に反応する抗体が、医薬としての使用に対して記載される。
本発明の第9の観点によると、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係するT細胞受容体、その免疫原性のフラグメント又はその誘導体に反応する抗体が、アテローム性動脈硬化の治療における使用に対して記載される。該T細胞受容体は、TRAV4によりコードされたアルファ可変領域、TRAV12によりコードされたアルファ可変領域、TRAV14によりコードされたアルファ可変領域、TRAV4、TRAV12若しくはTRAV14に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたアルファ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。該T細胞受容体はまた、TRBV30によりコードされたベータ可変領域、TRBV31によりコードされたベータ可変領域、TRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたベータ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。
本発明の第10の観点によると、アテローム性動脈硬化の治療における使用のための抗体が記載され、該抗体は、TRBV31に相同性を有するT細胞受容体(例えば、相同ヒトTCR TRBV30)、具体的にはCDR2可変領域由来のTCR TRBV30の免疫原性フラグメント、並びに/又はT細胞受容体のアルファ可変TRAV14、TRAV12及び/若しくはTRAV4又はそのフラグメントに高い相同性を有するT細胞受容体に反応する。
本発明の第11の観点によると、組成物及び具体的にはワクチンが記載され、該組成物は、アジュバント及び/若しくは賦形剤とともに、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係する少なくとも1若しくは2以上のT細胞受容体、その免疫原性フラグメント、その誘導体、又は抗体を含む。具体的には、該T細胞受容体は、TRAV4によりコードされたアルファ可変領域、TRAV12によりコードされたアルファ可変領域、TRAV14によりコードされたアルファ可変領域、TRAV4、TRAV12若しくはTRAV14に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたアルファ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。該T細胞受容体はまた、TRBV30によりコードされたベータ可変領域、TRBV31によりコードされたベータ可変領域、TRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたベータ可変領域、それらの免疫原性の部分又はそれらの誘導体を含み得る。いくつかの実施態様において、アジュバント及び/又は賦形剤は、薬学的に許容可能であり、該組成物は、医薬組成物である。
本発明の第12の観点によると、組成物及び具体的にはワクチンが記載され、該組成物は、アジュバント及び/若しくは賦形剤とともに、少なくとも1つのT細胞受容体のベータ可変31(TCR TRBV31)、少なくとも1つのT細胞受容体のアルファ可変TRAV14、TRAV12及び/若しくはTRAV4、それらの免疫原性フラグメント、それらの誘導体、又は抗体を含む。いくつかの実施態様において、アジュバント及び/又は賦形剤は、薬学的に許容可能であり、該組成物は、医薬組成物である。
本発明の第13の観点によると、oxLDLで免疫され、導入遺伝子(huB100t9)としてヒトApoB100を有するマウス由来のハイブリドーマ、具体的には、2009年1月22日に受託番号DSM ACC2986で、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikro−organismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse7B,38124 Braunschweig、ドイツ)にブタペスト条約により寄託されたハイブリドーマクローン48−5が記載される。また、開示される発明の範囲に含まれる付加的なハイブリドーマは、本明細書に記載されるハイブリドーマ15−2及び45−1を含む。
本発明の第14の観点によると、2009年1月22日に受託番号DSM ACC2986で、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikro−organismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse7B,38124 Braunschweig、ドイツ)にブタペスト条約により寄託されたハイブリドーマクローン48−5は、CD4+T細胞のApoB100への反応を阻害する化合物を同定するために用いられる。該化合物は、ApoB100又はそのフラグメントへの暴露により48−5の活性化を抑制する能力によって同定される。いくつかの実施態様において、該化合物は、本明細書に記載されるTCRアルファ可変領域又はTCRベータ可変領域のフラグメントである。
本明細書に記載される方法及びシステムは、CD4+T細胞のApoB100への反応の阻害、ApoB100に結合するCD4+T細胞のT細胞受容体の阻害、具体的には、ApoB100に結合するCD4+のTRAV14、TRAV12、及び/若しくはTRAV4の単独での阻害又はApoB100に結合するCD4+のTRBV31及び/若しくはTRBV30の阻害との組み合わせ、並びに/又は個体のアテローム性動脈硬化に対する治療的若しくは予防的効果が望まれる適用に関連して用いられ得る。
開示される1又は2以上の実施態様の詳細が、添付される図面及び発明の詳細な説明に記載される。他の特徴、目的、及び利点は、発明の詳細な説明及び図面より、並びに特許請求の範囲より明白である。
本明細書に取り込まれ本明細書の一部を構成する、添付される図面は、本開示の1又は2以上の実施態様を図示し、発明の詳細な説明及び実施例のセクションととともに、本開示の原理及び実施を説明するのに役立つ。
本明細書において、個体におけるアテローム性動脈硬化又はそれに関係するコンディションを治療及び/又は予防するための方法、システム、関連する製品及び組成物が提供される。
本明細書で用いられる“治療する”又は“治療”という用語は、医学的又は外科的なコンディションのための医学的ケアに関連し、又は医学的に又は外科的にコンディションを処置するあらゆる活動を示唆する。本明細書で用いられる“予防する”又は“予防”という用語は、個体におけるコンディションに由来する死亡率又は疾病率の負担を軽減する、あらゆる活動を示唆する。これは、第一、第二及び第三の予防レベルで行われ、ここで:a)第一の予防は、疾患の進展を回避する;b)第二の予防活動は、早期の疾患の治療を標的とし、それにより疾患の進展及び症状の発現を抑える介入の機会を向上させることができる;並びにc)第三の予防は、機能を回復させ、疾患に関連した合併症を低減させることにより既に確立された疾患の悪影響を低減させる。
本明細書で用いられる“コンディション”という用語は通常、完全な身体的、精神的、及び場合により社会的な幸福の状態に関係する個体(全身又は1若しくは2以上の部分)の身体的な状態に適合しない、個体の身体(全身又は1若しくは2以上の部分)の身体的状態を示唆する。本明細書に記載されるコンディションは、限定されることなく、不調(disorders)及び疾患(diseases)を含み、ここで、“不調(disorders)”の用語は、身体又はそのいずれかの部分の機能的な異常に関係する、生きている個体のコンディションを示唆し、“疾患(diseases)”の用語は、身体又はそのいずれかの部分の正常な機能を損ない、典型的には特徴的なサイン及び兆候が認められる、生きている個体のコンディションを示唆する。典型的なコンディションは、限定されることなく、外傷、障害、不調(disorders)(精神的及び身体的不調)、シンドローム、感染症、個体の逸脱行動、並びに個体又はその部分の身体の構造及び機能の非定型的な変化を含む。
2つの事項に関連して本明細書において用いられる“に関係する”という言葉は、第一の事項の発生が第二の事項の発生に伴うというように、2つの事項の間の関係を示唆し、それは、限定されることなく、因果関係及びサイン/徴候−疾患の関係を含む。
本明細書において用いられる“個体”という用語は、高等生物といった単一の生物有機体、具体的には哺乳類といった脊椎動物、より具体的にはヒトを示唆する。
アテローム性動脈硬化は現在、動脈壁の慢性的な脂質関連疾患及び免疫介在性の炎症性疾患として認められている。多くの免疫成分がアテローム性動脈硬化に関与するとして同定され、前臨床試験が、これらの成分を標的とする免疫調節療法がアテローム性動脈硬化を軽減させることを示唆する結果を約束してきた。
本明細書において用いられる“アテローム性動脈硬化”という用語は、炎症性コンディションを示唆し、具体的には、動脈壁の内膜における炎症反応を誘発するリポタンパク質の蓄積により特徴付けられる慢性の炎症性疾患を示唆する。内膜(又は被膜)は、動脈又は静脈の最内部の層である。被膜は典型的には、内皮細胞の一層により形成され、内部の弾性体により支持されている。被膜において、内皮細胞は、血流に直接的に接触している。クローン的に拡大したT細胞集団に関与する適応的免疫反応は、この免疫プロセスや、マクロファージ及び他の細胞により開始される先天的な免疫反応に寄与する。エビデンスのいくつかのラインは、血管性炎症のトリガーとして低比重リポタンパク質(LDL)粒子の成分を指摘している。
本明細書で用いられる“低比重リポタンパク質”又は“LDL”という用語は、コレステロール及びトリグリセリドを肝臓から末梢組織に輸送するタイプのリポタンパク質を示唆する。LDLは、リポタンパク質の5つの主要なグループのうちの1つであり、これらのグループは、カイロミクロン、超低比重リポタンパク質(VLDL)、中間比重リポタンパク質(IDL)、低比重リポタンパク質、及び高比重リポタンパク質(HDL)を含む。すべてのリポタンパク質と同様に、LDLは、血流の水性溶液内で脂肪及びコレステロールを移動できるようにする。典型的には天然のLDL粒子は、脂肪酸を循環させる単一のアポリポタンパク質B(ApoB)分子を含み、水性環境において脂肪酸を可溶性に維持する。LDL粒子におけるApoBは、身体内の種々の細胞におけるLDL受容体に対するリガンドとして機能する。該タンパク質は、血漿中にて、ApoB48及びApoB100の2つの主要なアイソフォームを生じる。一つ目は、小腸により独占的に合成され、二つ目は、肝臓により合成される。アポリポタンパク質B−100分子は、4536のアミノ酸残基及び約514kDの分子量を有する。加えて、LDLは典型的には、リノレエートとして知られるポリ不飽和脂肪酸及び1500のエステル化されたコレステロール分子からなる高度に疎水性のコアを有する。このコアは、リン脂質及びエステル化されていないコレステロールやApoB100の単一のコピーのシェルにより取り囲まれている。LDL粒子は、直径約22nmであり、約300万ダルトンの大きさを有する。低比重リポタンパク質の受容体は、多くのタイプの細胞の外側表面に存在し、それらは血流中で循環している低比重リポタンパク質をピックアップして細胞内に輸送する。低比重リポタンパク質は、細胞内に取り込まれると、壊されて、コレステロールを放出する。該コレステロールは、その後、細胞により使われ、保存され、又は身体から除去される。低比重リポタンパク質の受容体はその貨物を降ろし終えると、細胞表面に戻されてさらなる低比重リポタンパク質をピックアップする。LDL粒子が被膜に浸透すると、酸化的変性を受けやすくなる。このような変化はおそらく、ミエロペルオキシダーゼ及びリポキシゲナーゼによる酵素的なアタックや非酵素的な酸化反応を含む。酸化の初期の結果として、リン脂質、コレステロールエステル及びトリグリセリドにおける脂肪酸残基の二重結合が切断され、反応性のアルデヒド及び切断された脂肪を生成する。リゾホスファチジルコリン及び酸化された1−パルミトイル−2−アラキドニル−sn−グリセロ−3−フォスフォコリン(ox−PAPC)といった変性されたリン脂質が、内皮細胞、マクロファージ及びB1−型B細胞を活性化して、内部の免疫反応を引き起こし得、それには接着分子の発現、ケモカインの生成、及び天然の抗体の分泌が含まれる。LDLのタンパク質部分もまた、酸化的変性のターゲットとなる。それらは、アポタンパク質B−100(ApoB100)のリシル残基におけるマロンジアルデヒド(MDA)、4−ヒドロキシノネナール及び他の分子種の付加物の形成を含む。抗体は、MDA−リジン及びLDL粒子の他の酸化的に生成されたエピトープに対して形成される(Ketelhuth,D.F.,Tonini,G.C.,Carvalho,M.D.,Ramos,R.F.,Boschcov,P.,and Gidlund,M.(2008).Autoantibody response to chromatographic fractions from oxidized LDL in unstable angina patients and healthy controls.Scand J Immunol 68,456−462)。このような抗体は末梢血中で循環し、またアテローム性動脈硬化性の病変において見出され得る。B1細胞により産生された酸化リン脂質に対する天然の抗体とは対照的に、anti−MDA−ApoB100抗体の大部分は、IgG分子である(Yla−Herttuala,S.,Palinski,W.,Butler,S.W.,Picard,S.,Steinberg,D.,and Witztum,J.L.(1994).Rabbit and human atherosclerotic lesions contain IgG that recognizes epitopes of oxidized LDL.Arterioscler Thromb 14,32−40.)。これは、B細胞においてスイッチングするアイソタイプを活性化するのを助けるT細胞の関与を示唆する。
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される個体においてアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するための方法は、個体においてCD4+T細胞のApoB100への反応において阻害することを含む。
“T細胞”という用語は、リンパ球として知られる白血球細胞のグループを示唆し、それは細胞介在型の免疫において中心的な役割を果たし、T細胞受容体(TCR)と呼ばれる細胞表面上の特定の受容体の存在によってB細胞及びナチュラルキラー細胞といった他のリンパ球のタイプから区別され得る。T細胞の、省略形のTは、胸腺を表し、それはT細胞の発達において主要な臓器である。T細胞は、高コレステロールマウスにおいても、ヒトのアテローム性動脈硬化性の病変から分離されたクローンにおいても同定されており、T細胞のエピトープの分子特性は、LDL粒子の生化学的な複雑性及び酸化的プロセスによってはあまり理解されない。抗体は通常、プラズマ細胞により産生され、それは、活性化されたCD4+Tリンパ球により、及び直接的なTリンパ球−Bリンパ球の相互作用により産生される種々のサイトカインの存在下でBリンパ球から成熟する。CD4+Tリンパ球は、Bリンパ球及びマクロファージといった主要組織適合遺伝子複合体クラスII−提示細胞により抗原性ペプチドと出会うときに、活性化される。Tリンパ球による主要組織適合遺伝子複合体の認識は、それゆえ、免疫反応及び抗体産生の進展の中核をなす。主要組織適合遺伝子複合体II分子は、α及びβ鎖からなる、高度に多型のヘテロ二量体型の膜糖タンパク質である。主要組織適合遺伝子複合体クラスII分子の機能は、主に細胞外のタンパク質に由来する短いペプチドに結合して、CD4+Tリンパ球の適切なT細胞受容体に相互作用する主要組織適合遺伝子複合体クラスIIペプチド複合体を形成することである。成熟すると、MHC分子は細胞膜に固定され、MHC分子はT細胞受容体(TCRs)を介してT細胞に短いペプチドを提示する。すべてのMHC分子は、細胞(MHC分子がその一部となる)内からポリペプチドを受け取り、T細胞による認識のために細胞の外側表面にそれらを提示する。
“T細胞受容体又はTCR”という用語は、Tリンパ球(又はT細胞)の表面上で見出される分子を示唆し、それは概して主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合する抗原を認識する役割を果たす。TCRは、T細胞の95%でアルファ及びベータ鎖からなるヘテロ二量体であり、一方、T細胞の5%は、ガンマ及びデルタ鎖からなるTCRを有する。免疫グロブリン(Ig)と同様に、各々のTCR鎖は、T細胞の発達の間、体細胞の組み換えにより結合される別々の遺伝子セグメントによりコードされる。機能的なアルファ及びベータ鎖遺伝子は、完全な免疫グロブリン遺伝子が作られるのと同じように産生される。α鎖に対しては、Vα(TRAV)遺伝子セグメントが、Jα(TRAJ)遺伝子セグメントに再アレンジして、機能的な種々の領域のエクソンを作り出す。VJαエクソンからCα(TRAC)への転写及びスプライシングは、翻訳されてT細胞受容体のα−鎖タンパク質を作るmRNAを産生する。β鎖に対しては、免疫グロブリンの重鎖のように、種々のドメインが、3つの遺伝子セグメントであるVβ(TRBV)、Dβ(TRBD)及びJβ(TRBJ)においてコードされている。これらの遺伝子セグメントの再アレンジメントは、Cβ(TRBC)遺伝子に結合するように転写及びスプライシングされる機能的なVDJβ可変領域のエクソンを生成し、そのmRNAはT細胞受容体β鎖を作るように翻訳される。α及びβ鎖は、生合成の後すぐにペアとなり、α:βのT細胞受容体ヘテロ二量体を作る。免疫グロブリン(Ig)と同様に、この遺伝子の再アレンジメントのプロセスは、自身の特異的な再アレンジメントのイベントを経験している各々の細胞において遺伝子のセグメントが結合されている態様における相違によって、集められた遺伝子の多様性を引き起こす。
抗原及びMHCによるTCRの関与は、関係する酵素、共受容体及び特定のアクセサリー分子により介在された生化学的な一連のイベントを介してのTリンパ球の活性化をもたらす。TCR α鎖及びβ鎖の両方の可変ドメインは、3つの高頻度可変性又は相補性決定領域(CDRs)を有し、β鎖の可変領域は、通常は抗原と接触せず、それゆえCDRではないと考えられている付加的な高度可変領域(HV4)を有する。アルファ鎖のCDR1はまた抗原性ペプチドのN末端部分と相互作用し、ベータ鎖のCDR1は該ペプチドのC末端部分と相互作用するが、CDR3は、処理された抗原の認識において主要な役割を果たすCDRである。CDR2領域は、ペプチドを提示するMHC分子と相互作用する。T細胞複合体からのシグナルは、特定の共受容体によるMHC分子の同時の結合により促進される。
本明細書で用いられる“CD4+T細胞”は、T細胞を示唆し、具体的には、ヘルパーT細胞及び制御性T細胞であり、共受容体CD4をそれらの表面に提示する。ヘルパーT細胞において、CD4は独占的にクラスII MHCに結合する。該共受容体は、正確に提示される抗原に対するTCRの特異性を保証するばかりでなく、抗原提示細胞とT細胞との間の延長された関与を許容し、ひいては活性化されたTリンパ球のシグナリングに関与する細胞内での必須分子(例えば、Lck)の動員を促進する。例えば、T細胞受容体(TCR)に結合する抗原は、IL−2及びいくつかの他のサイトカインの分泌、並びにIL−2受容体(IL−2R)の発現を刺激する。
いくつかの実施態様において、CD4+T細胞は、T細胞受容体を提示しているCD4+T細胞であり、TCR α鎖は、T細胞受容体アルファ可変遺伝子TRAV4、TRAV12又はTRAV14により少なくとも部分的にコードされている。したがって、これらの実施態様において、T細胞受容体は、TCRアルファ可変TRAV4(TCR TRAV4)、TCRアルファ可変TRAV12(TCR TRAV12)及びTCRアルファ可変TRAV14(TCR TRAV14)と各々称される。TRAV4、TRAV12及びTRAV14という用語はまた本明細書において、TRAV4、TRAV12、TRAV14を少なくとも部分的にコードするDNA配列、それらによりコードされるアミノ酸配列、それらの部分又はフラグメントを参照することにより用いられる(それは本発明の開示を考慮して当業者により理解される)。
他の実施態様において、CD4+T細胞は、T細胞受容体を提示するCD4+T細胞であり、TCR α鎖は、TRAV4、TRAV12又はTRAV14の遺伝子のDNA配列と高い相同性を有するDNA配列により、少なくとも部分的にコードされる。
他の実施態様において、CD4+T細胞は、T細胞受容体を提示するCD4+T細胞であり、TCR β鎖は、T細胞受容体ベータ可変遺伝子TRBV30又は31により少なくとも部分的にコードされる。したがって、これらの実施態様において、T細胞受容体は、TCRベータ可変TRBV30(TCR TRBV30)及びTCRベータ可変TRBV31(TCR TRBV31)と各々称される。TRBV30及びTRBV31という用語はまた本明細書において、TRBV30及びTRBV31を少なくとも部分的にコードするDNA配列、それらによりコードされるアミノ酸配列、それらの部分又はフラグメントを参照することにより用いられる(それは本発明の開示を考慮して当業者により理解される)。
他の実施態様において、CD4+T細胞は、T細胞受容体を提示するCD4+T細胞であり、TCR β鎖は、TRBV30又はTRBV31のDNA配列と高い相同性を有するDNA配列により、少なくとも部分的にコードされる。
いくつかの実施態様において、CD4+T細胞は、T細胞受容体を提示するCD4+T細胞であり、TCR α鎖は、TRAV4、TRAV12若しくはTRAV14の遺伝子又はTRAV4、TRAV12若しくはTRAV14のDNA配列と高い相同性を有するDNA配列により、少なくとも部分的にコードされ、TCR β鎖は、TRBV30若しくはTRBV31の遺伝子又はTRBV30若しくはTRBV31のDNA配列と高い相同性を有するDNA配列により、少なくとも部分的にコードされる。
本明細書において化合物又は官能基に関連して用いられる“提示する”という用語は、付着される化合物又は官能基の化学的及び/又は生物学的反応性を維持するように行われる付着を示唆する。したがって、細胞上に提示されたタンパク質は、適切なコンディション下で、化学的及び/又は生物学的にタンパク質を特徴付ける1又は2以上の化学的及び/又は生物学的な反応を行うことができる。
本明細書において核酸又はタンパク質の配列に関連して用いられる“相同的”又は“相同性”という用語は、配列の共通の祖先の観点で規定される。例えば、2つのDNA配列は、種形成のイベント(オルソログ)又は複製のイベント(パラログ)のいずれか一方に起因して、共通の祖先を有し得る。本明細書において用いられる相同的な配列はまた、参照配列の免疫原性特性を特に関連した、生物学機能的に同等のものである(それは本発明の開示を考慮して当業者により理解される)。タンパク質又はDNA配列間の相同性はまた、配列の同等性を基礎に特定され得る。“相同性”、“同等性”及び“アイデンティティー”という用語はしばしば、配列に関連して置き換え可能として用いられる。
相同性を有する配列は、参照配列の観点で同等性に依存するオルソログ又はパラログであり得る。オルソログ(orthologs又はorthologous)の配列は、単一の共通の祖先の配列由来の垂直の系統により同定され得る配列である。パラログの配列は、共通の祖先の複製のイベントを別々にフォローして同定され得る配列である。
したがって、本明細書で用いられるように、示される第一の遺伝子に“高い相同性を有するDNA配列”によりコードされるT細胞受容体の用語は、第一の遺伝子にオルソログである第二の遺伝子のDNA配列によりコードされるT細胞受容体を意味する(それは本技術分野の当業者により認識され得る)。
いくつかの実施態様において、本技術分野の当業者により認識され得る種々のデータベース及び他のリソース(限定されることなくTreeFam(系図のファミリーのデータベース、www.treefam.org)を含む)が、参照配列のオルソログ及びパラログ、並びに、場合によっては、遺伝子ファミリーの進化の歴史を特定するために用いられ得る。例えば、本開示の出願時のTreefamにおいて特定されるように、TRBV31遺伝子のヒトのオルソログは、TRBV30である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるT細胞受容体のホモログ、フラグメント及びその一部は、オリジナルの遺伝子配列が機能的に同等のコドンが同じタンパク質の配列をコードするように形成されているように修飾されている限り、遺伝子配列をコードするオリジナルに高度に類似するDNA配列によりコードされ得る。“機能的に同等のコドン”という用語は、本技術分野で良く理解されるように、同じアミノ酸に対してコードする遺伝子のコドンのグループを意味する(下述のコドンの表を参照)。
本開示のいくつかの実施態様は、少なくとも部分的には、CD4+T細胞のApoB100への反応が個体におけるアテローム性動脈硬化及び関連するコンディションの進展に寄与することを示唆する結果に関連する(実施例1−5及び10を参照)。
したがって、いくつかの実施態様において、個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するための方法及びシステムが記載される。該方法は、個体のCD4+T細胞のApoB100への反応を阻害することを含み、それは具体的には、前記反応を阻害することのできる治療上有効量の化合物を投与することによる。
いくつかの実施態様において、CD4+T細胞のApoB100への反応を阻害する化合物は、ApoB100又はそのフラグメントへの暴露によるハイブリドーマ48−5の活性化を抑制する能力により特定される化合物であり得る。ハイブリドーマクローン48−5は、2009年1月22日に受託番号DSM ACC2986で、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikro−organismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse7B,38124 Braunschweig、ドイツ)にブタペスト条約により寄託され、(該化合物は)ApoB100又はそのフラグメントへの暴露による48−5の活性化を抑制する能力を有する。
いくつかの実施態様において、CD4+T細胞のApoB100への反応を阻害することは、前記反応に関係しているCD4+T細胞の1又は2以上のT細胞受容体を阻害することにより行われる。具体的には、いくつかの実施態様において、CD4+T細胞のApoB100への反応の阻害は、T細胞受容体アルファ可変遺伝子TRAV4により少なくとも部分的にコードされたTCR α鎖、T細胞受容体アルファ可変遺伝子TRAV12により少なくとも部分的にコードされたTCR α鎖、T細胞受容体アルファ可変遺伝子TRAV14により少なくとも部分的にコードされたTCR α鎖、又はTRAV4、12及び14の遺伝子のうちの1つに高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされたTCR α鎖を含むT細胞受容体を阻害することにより行われる。
いくつかの実施態様において、CD4+T細胞のApoB100への反応の阻害は、T細胞受容体ベータ可変遺伝子TRBV30により少なくとも部分的にコードされたTCR β鎖、T細胞受容体ベータ可変遺伝子TRBV31により少なくとも部分的にコードされたTCR β鎖、又はTRBV30及び31の遺伝子のうちの1つに高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされたTCR β鎖を含むT細胞受容体を阻害することにより行われる。
いくつかの実施態様において、CD4+T細胞のApoB100への反応を阻害することは、TCR α鎖及びTCR β鎖を含む、T細胞受容体を阻害することにより行われる。いくつかの実施態様において、TCR α鎖は、T細胞受容体アルファ可変遺伝子TRAV4、12若しくは14、又はTRAV4、12及び14の遺伝子のうちの1つに高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされ得る。いくつかの実施態様において、TCR β鎖は、T細胞受容体ベータ可変遺伝子TRBV30若しくは31、又はTRBV30及び31の遺伝子のうちの1つに高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされ得る。
本開示のいくつかの実施態様は、少なくとも部分的には、CD4+T細胞のApoB100への反応により、TCRアルファ可変TRAV4、12、14及び/又はTCRベータ可変TRBV31(TCR TRBV31)が発現することを示唆する結果に関連する(実施例1、6を参照)。
具体的には、いくつかの実施態様において、個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するための方法は、個体において、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係している1又は2以上のT細胞受容体を阻害することを含み、それは具体的には、前記受容体を阻害することのできる治療上有効量の化合物を投与することによる。
いくつかの実施態様において、個体におけるアテローム性動脈硬化及び/又はそれに関係するコンディションの治療及び/又は予防は、アポリポタンパク質B−100又はそのフラグメントを含む分子への、1又は2以上のT細胞受容体の結合を阻害する治療上有効量の化合物を投与することにより行われ得る。具体的には、T細胞受容体は、アルファ可変領域及び/又はベータ可変領域を含む。
いくつかの実施態様において、アポリポタンパク質B−100又はそのフラグメントを含む分子への、1又は2以上のT細胞受容体の結合が阻害される。具体的には、いくつかの実施態様において、1又は2以上のT細胞受容体は、TRAV4、TRAV12若しくはTRAV14、又はTRAV4、TRAV12若しくはTRAV14に高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされているα鎖を含む。いくつかの実施態様において、1又は2以上のT細胞受容体は、TRBV30若しくはTRBV31、又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされているβ鎖を含む。いくつかの実施態様において、1又は2以上のT細胞受容体は、TRAV4、TRAV12若しくはTRAV14、又はTRAV4、TRAV12若しくはTRAV14に高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされているα鎖を含み、TRBV30若しくはTRBV31、又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされているβ鎖をさらに含む。
本開示のいくつかの実施態様は、少なくとも部分的には、TCRアルファ可変TRAV4、12、14及び/若しくはTCRベータ可変TRBV31(TCR TRBV31)を提示するCD4+T細胞の枯渇、又はTCRアルファ可変TRAV4、12、14及び/若しくはTCRベータ可変TRBV31(TCR TRBV31)の不活性化がアテローム性動脈硬化に効果を奏することを示唆する結果に関連する(実施例7−9を参照)。
したがって、いくつかの実施態様において、個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するための方法は、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係している1又は2以上のT細胞受容体に対して個体を免疫することを含み、それは具体的には、T細胞受容体又はその免疫原性のフラグメント若しくはその誘導体を個体に投与することによる。
ワクチン接種による抗原特異的な免疫調節は、慢性の炎症性疾患を予防又は治療するための魅力的なアプローチである。抗原特異的な態様で保護的な免疫反応を動員することにより、感染に対して阻まれた宿主防衛に起因する副作用が回避される。その結果、病的な自己免疫の抗原特異的な抑制は、アテローム性動脈硬化といった慢性の炎症性疾患において興味深い。
抗原特異的な免疫保護は、いくつかの異なるメカニズムにより成し遂げられ得、それは例えば、保護的な抗体の産生、病的なT細胞クローンの分解若しくは不活性化(アネルギー)、又は制御性T細胞(Treg)のファミリーにより介在される抑制的な細胞性免疫の誘導である。
いくつかの実施態様において、免疫付与は、(T細胞受容体による抗原認識を遮断し、及び/又はT細胞受容体又は他の抗体による抗原認識を遮断する免疫原として機能することができる)免疫原性の剤(immunogenic agent)により行われ得、それはターゲットのT細胞に特異的である。
具体的には、いくつかの実施態様において、免疫付与は、TCRα及び/若しくはTCRβ可変領域由来の1若しくは2以上のフラグメント、その免疫原性のフラグメント、並びに/又はその誘導体を個体に投与することにより行われ得る。具他的には、いくつかの実施態様において、TCRα及び/又はTCRβ可変領域由来の1又は2以上のペプチドは、TRAV4、TRAV12、TRAV14、TRBV30、TRBV31の遺伝子、又はTRAV4、TRAV12、TRAV14、TRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされ得る。より具体的には、いくつかの実施態様において、免疫付与は、TCR TRBV31のフラグメントを投与することにより行われ得、それは、本明細書においてTRBV31ペプチドとも示される、TCRのβ鎖のCDR2可変領域の部分(アミノ酸残基45−62、ATGGTLQQLFYSITVGQV(配列番号1))を含む。
いくつかの実施態様において、免疫付与は、TCR Vアルファ4のフラグメントを投与することにより行われ得、それは、本明細書においてTRAV4ペプチドとも示される、TCRのα鎖の可変領域の免疫原性の部分(ペプチド配列、配列番号63)を含む。
いくつかの実施態様において、免疫付与は、TCR Vアルファ12のフラグメントを投与することにより行われ得、それは、本明細書においてTRAV12ペプチドとも示される、TCRのα鎖の可変領域の免疫原性の部分(ペプチド配列、配列番号66)を含む。
TCR Vアルファ14のフラグメントを投与することにより行われ得、それは、本明細書においてTRAV14ペプチドとも示される、TCRのα鎖の可変領域の免疫原性の部分(ペプチド配列、配列番号69)を含む。
いくつかの実施態様において、免疫付与は、上述される複数のT細胞受容体の免疫原性のフラグメントを組み合わせて個体に投与することにより行われ得る。
本明細書で用いられる“タンパク質”又は“ポリペプチド”という用語は、2若しくは3以上のアミノ酸モノマー及び/又はその類似体からなる有機体ポリマーを示唆する。“ポリペプチド”という用語は、タンパク質及びペプチドの全長や、その類似体及びフラグメントを含む、あらゆる長さのアミノ酸ポリマーを含む。3又は4以上のアミノ酸のポリペプチドはまた、オリゴペプチドとも称される。本明細書で用いられる“アミノ酸”、“アミノ酸モノマー”又は“アミノ酸残基”という用語は、20個の天然に存在するアミノ酸のいずれかを意味し、それには天然ではない側鎖による合成的なアミノ酸が含まれ、D及びLの光学異性体が含まれる。“アミノ酸類似体”という用語は、1又は2以上の個別の原子が異なる原子、同位体で、又は異なる官能基で置換されるが、さもなければ天然のアミノ酸類似体と同一であるアミノ酸を意味する。
本明細書で用いられる“フラグメント”という用語は、あらゆる長さのポリペプチドの部分を示唆する。TCR TRAV4といったT細胞受容体の免疫原性のフラグメントは、結果的には、個体において免疫反応を誘発するといった免疫原性の特性を示す、TCR TRAV4の一部である。本明細書に記載されるT細胞受容体の免疫原性のフラグメントはまた、いかようにも合成されたペプチド及び可能性のあるその誘導体を含む。ペプチドの免疫原性は、免疫反応を誘導するペプチドの能力により特定され得、それには限定されることなく、体液性及び細胞介在型の免疫反応が含まれる。ペプチドの免疫原性(時には抗原性として知られる)はまた、免疫反応の最終産物(例えば、分泌された抗体及び/又はT細胞)へのペプチドの特異的な結合能が反映され得る。
免疫原性のフラグメント及び/又はペプチドの活性部位/エピトープを特定するための種々のin vitro及びin vivoの技術及び方法が、本技術分野において知られている。例えば、ペプチドの免疫原性は、B細胞又は特定の抗体産生B細胞をミエローマ(B細胞癌)細胞と融合することで産生されるハイブリット細胞株(ハイブリドーマ)といった、特定の抗体産生細胞株において、該ペプチドが抗体分泌を誘導するかどうかを調べることによりテストされ得る。
ペプチドの免疫原性は、該ペプチドが、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)又は免疫沈降法といった、アフィニティー結合アッセイにより、特定の抗体と結合するかどうかを調べることによりテストされ得る。
加えて、Tepitope(Radrizzani et al 2000)、Adept(Maksuytov et al 1993)、antigenic index(Jameson et al 1988)といったコンピュータベースのアルゴリズム及びその他は、関連する配列が知られている場合、ペプチドのエピトープ及び/又は免疫学的な活性部位を特定するために用いられ得る。これらのin vitroの方法のさらなる詳細は、下記の文献において見出され得る:Chou PY,Fasman GO,Adv Enzymol Relat Areas Mol Biol.1978;47:45−148.Prediction of the secondary structure of proteins from their amino acid sequence;Margalit H,Spouge JL,Cornette JL,Cease KB,Delisi C,Berzofsky JA,J.,Immunol.1987 Apr 1;138(7):2213−29.Prediction of immunodominant helper T cell antigenic sites from the primary sequence;Jameson BA,Wolf H.,Division of Biology,California Institute of Technology,Pasadena,CA 91 125,Comput Appl BioscL 1988 Mar;4(l):181−6.The antigenic index:a novel algorithm for predicting antigenic determinants;Reyes VE,Lew RA,Lu S.,Humphreys RE,Methods Enzymol.1991;202:22538.Prediction of alpha helices and T cell−presented sequences in proteins with algorithms based on strip−of−helix hydrophobicity index(SOHHI);Maksyutov AZ,Zagrebelnaya ES,Comput Appl BioscL 1993 Jun;9(3):291−7.ADEPT:a computer program for prediction of protein antigenic determinants;Pellequer JL,Westhof E.,J Mol Graph. 1993 Sep;11(3):204−10,1912.PREDITOP:a program for antigenicity prediction;Lu et al.,Tibtech,vol.9,Jul.1991 pp.238−242 Common Principles in Protein Folding and Antigen Protection;及びLaura Raddrizzani and Juergen Hammer briefings in bioinformatics.vol i.no 2.179−189.May 2000 Epitope scanning using virtual Matrix−based algorithms(各々の開示は、全体において参照により本明細書に取り込まれる)。
いくつかの実施態様において、本明細書で記載されるT細胞受容体は、本発明の方法及びシステムに関連して使用するのに適した1以上の免疫原性のフラグメントを含み得、それにはTCRα及びβ可変領域由来の抗原性フラグメントが含まれる。具体的には、いくつかの実施態様において、T細胞受容体の免疫原性のフラグメントは、TRAV4、TRAV12、TRAV14、TRBV30、TRBV31及び/又はそれらに高い相同性を有するDNA配列によりコードされる。
第一のポリペプチド(例えば、TCR TRAV4抗原性フラグメント)に関連して本明細書において記載される“誘導体”という用語は、第一のポリペプチドに構造的に関連し、第一のポリペプチドに存在しない特徴を導入する修飾によって第一のポリペプチドに由来するが、第一のポリペプチドの機能的特性を残している第二のポリペプチドを示唆する。したがって、TCR TRAV4(又は本明細書に記載される他のタイプのT細胞受容体)の抗原性フラグメントの誘導体ポリペプチドはたいてい、オリジナルのポリペプチド又はその一部に存在しない付加的な機能に関係している又は関係していないアミノ酸配列の修飾によって、オリジナルのポリペプチド又はその一部とは異なる。しかしながら、T細胞受容体の免疫原性のフラグメントの誘導体ポリペプチドは、T細胞受容体又はその免疫原性のフラグメントに関連して記載されるものに匹敵する免疫原性の特性を保持している。
本発明のタンパク質、ポリペプチド及びペプチドのアミノ酸配列の誘導体は、置換型、挿入型、又は欠失型の変異体であり得る。欠失型の変異体は、機能又は免疫原性の活性に不可欠ではない天然のタンパク質の1又は2以上の残基を欠損している。他の通常のタイプの欠失型の変異体は、分泌のシグナルの配列又は細胞の特定の部位に結合するタンパク質を指向するシグナルの配列を欠損したものである。挿入型のミュータントは典型的には、ポリペプチドの末端ではない部位でのマテリアルの付加に関与する。これは、免疫反応性のエピトープの挿入又は単一の残基の挿入を含み得る。フュージョンタンパク質と呼ばれる末端の付加については、下述される。
置換型の変異体は典型的には、タンパク質内の1又は2以上の部位で1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置き換わることを含み、他の機能又は特性を失うことなく、タンパク質分解的切断に対する耐性といった、ポリペプチドの1又は2以上の特性を調節するようにデザインされ得る。この種の置換は好ましくは、保存的であり、すなわち、一つのアミノ酸が同様の形及び変化のものと置き換えられる。保存的な置換は、本技術分野においてよく知られており、例えば、アラニンからセリン;アルギニンからリジン;アスパラギンからグルタミン又はヒスチジン;アスパラギン酸塩からグルタミン酸塩;システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸塩からアスパラギン酸塩;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギン又はグルタミン;イソロイシンからロイシン又はバリン;ロイシンからバリン又はイソロイシン;リジンからアルギニン;メチオニンからロイシン又はイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン,ロイシン又はメチオニン;セリンからスレオニン;スレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファン又はフェニルアラニン;及びバリンからイソロイシン又はロイシンへの変化を含む。
“生物学的な機能同等物”は、本技術分野において理解され、さらに本明細書において詳細に規定される。つまり、約70%〜約80%;より好ましくは約81%〜約90%;さらにより好ましくは約91%〜約99%のアミノ酸を有する配列であり、模倣体の生物学的活性を与えられたペプチド模倣体のアミノ酸と一致又は機能的に同等である配列が維持される。
下記は、同等物を作るためのタンパク質のアミノ酸の変化を示す典型的なアプローチであり、それは可能性のある改良され、二次的に産生された分子を含む。例えば、あるアミノ酸は、例えば抗体の抗原−抗体認識部位若しくはT細胞受容体又は基質分子上の結合部位といった構造との相互作用的な結合能を大きく失うことなく、タンパク質構造において他のアミノ酸と置換され得る。それはタンパク質の生物学的機能活性を規定する相互作用的な能力及びタンパク質の特性であるため、あるアミノ酸の置換は、タンパク質配列において及びその内在するDNAコーディング配列においてなされ得、それにもかかわらず同様の特性を有するタンパク質を作り得る。このように、種々の変化が、下述されるように、その生物学的有用性又は活性を大きく失うことなく、遺伝子のDNA配列においてなされ得ることが発明者らにより意図される。
このような変化をなすことにおいて、アミノ酸のハイドロパシー指標が考慮され得る。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を与えることにおけるアミノ酸のハイドロパシー指標の重要性が概して理解される(Kyte&Doolittle,A simple method for displaying the hydropathic character of a protein J Mol Biol.1982 May 5;157(1):105−32)。アミノ酸の相対的なハイドロパシーの特性がタンパク質の二次構造に寄与することが認められ、それは同様に、他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原及び同様物とのタンパク質の相互作用を規定する。
アミノ酸の置換は親水性に基づいて効果的になされ得ることもまた、本技術分野において理解されている。米国特許第4,554,101号(参照により本明細書に取り込まれる)は、タンパク質の最も低い平均の親水性は、隣接するアミノ酸の親水性により支配されるように、タンパク質の生物学的特性と関連することを説明している。本技術分野において知られるように、下記の親水性の値が、アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン*−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。
アミノ酸は同等の親水性の値を有する他のものと置換され得、さらに生物学的同等物及び免疫学的に同等なタンパク質を作ることが理解されている。このような変化において、親水性の値が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内の置換が特に好ましく、±0.5以内の置換がさらに特に好ましい。
上記で概要を説明したように、アミノ酸の置換は概して、例えば、その疎水性、親水性、電荷、サイズ、及び同様物といった、アミノ酸側鎖の置換の相対的な同等性に基づく。種々の前述の特徴を考慮に入れた典型的な置換は、本技術分野の当業者によく知られており、アルギニン及びリジン;グルタミン酸塩及びアスパラギン酸塩;セリン及びスレオニン;グルタミン及びアスパラギン;並びにバリン、ロイシン及びイソロイシンを含む。
さらなる実施態様において、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係しているT細胞受容体、又はその免疫原性のフラグメント若しくはその誘導体が記載される。
いくつかの実施態様において、本明細書において記載されるT細胞受容体並びに/又はそのフラグメント及び/若しくは誘導体は、剤(例えば、一連のポリペプチド又はタンパク質)を同定するために用いられ得、それはT細胞受容体による抗原認識を遮断することができ、及び/又はT細胞受容体若しくは他の抗体による抗原認識を遮断する免疫原として機能し得る。
いくつかの実施態様において、本明細書において記載されるT細胞受容体並びに/又はそのフラグメント及び/若しくは誘導体は、薬剤としての使用に対して、具体的にはアテローム性動脈硬化の治療における使用に対して記載される。
より具体的には、いくつかの実施態様において、T細胞受容体は、TRAV4、TRAV12、TRAV14の遺伝子により、又はTRAV4、TRAV12、TRAV14に高い相同性を有するDNA配列により、少なくとも部分的にコードされるα鎖を含む。いくつかの実施態様において、T細胞受容体は、TRBV30、TRBV31の遺伝子により、又はTRBV30、TRBV31に高い相同性を有するDNA配列もより、少なくとも部分的にコードされるベータ鎖を含む。いくつかの実施態様において、T細胞受容体は、TRAV4の遺伝子により少なくとも部分的にコードされるα鎖、TRAV12の遺伝子により少なくとも部分的にコードされるα鎖、TRAV14の遺伝子により少なくとも部分的にコードされるα鎖、又はTRAV4、TRAV12、TRAV14に高い相同性を有するDNA配列により、少なくとも部分的にコードされるα鎖を含み、TRBV30の遺伝子により少なくとも部分的にコードされるベータ鎖、TRBV31の遺伝子により少なくとも部分的にコードされるベータ鎖、又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列により少なくとも部分的にコードされるベータ鎖をさらに含む。
いくつかの実施態様において、T細胞受容体のフラグメントは、TRAV4、TRAV12、TRAV14、TRBV30、TRBV31の遺伝子により、及び/又はTRAV4、TRAV12、TRAV14、TRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされる。
本発明の第6及び第7の観点によると、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係しているT細胞受容体、又はその免疫原性のフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体が記載される。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるCD4+T細胞のApoB100への反応に関係しているT細胞受容体、又はその免疫原性のフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体が、薬剤としての使用に対して、具体的にはアテローム性動脈硬化の治療における使用に対して記載される。
本明細書で用いられる“抗体”という用語は、抗原による刺激の後、B細胞が活性化さされることにより作られ、生物学的なシステムにおいて免疫反応を促進する抗原に特異的に結合し得るタンパク質の種類をいう。抗体全体は典型的には、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む4つのサブユニットからなる。抗体という用語は、天然の抗体及び合成の抗体を含み、それには限定されることなく、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体又はそのフラグメントが含まれる。典型的な抗体は、IgA、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgM及び同様物を含む。典型的なフラグメントは、Fab、Fv、Fab’、F(ab’)2、及び同様物を含む。モノクローナル抗体は、“エピトープ”と呼ばれる他の生体分子の単一の特定の空間的及び極性の機構に特異的に結合しそれにより補完するものとして規定される抗体である。いくつかの形態において、モノクローナル抗体はまた、同じ構造を有し得る。ポリクローナル抗体は、異なるモノクローナル抗体の混合物を意味する。いくつかの形態において、ポリクローナル抗体は、モノクローナル抗体のうち少なくとも2つが異なる抗原性のエピトープに結合するモノクローナル抗体の混合物であり得る。異なる抗原性のエピトープは、同じターゲット、異なるターゲット、又は組み合わせに存在し得る。抗体は、宿主の免疫及び血清(ポリクローナル)の収集といった、本技術分野でよく知られている技術により、又は継続的なハイブリドーマ細胞株の調製及び分泌されたタンパク質(モノクローナル)の収集により調製され得る。
いくつかの実施態様において、本明細書で記載される、T細胞受容体を阻害するためのタンパク質(抗体を含む)、ペプチド及び/又は剤が、適切なアジュバント及び/又は賦形剤とともに組成物中に含まれる。
本明細書で用いられるアジュバントという用語は、それ自体を投与されてもほとんど直接的な作用をもたらさないが、他の剤(例えば、薬剤、ワクチン)の作用を調節する、薬学的又は免疫学的な剤を示唆する。それらはしばしば、最小限で注入された外因性のマテリアルを維持している間、供給された抗原に対するレシピエントの免疫反応を亢進させるようにワクチンに含まれる。アジュバントのタイプは、それ自体特定の抗原的な作用を何ら持たずに、免疫システムを刺激しワクチンに対する反応を増強させる免疫学的アジュバントを含む。
本明細書において用いられる賦形剤という用語は、薬剤の活性成分に対するキャリアとして用いられる不活性物質を示唆する。典型的な賦形剤はまた、有効な活性成分を含む製剤のかさを増すために用いられ得、便利で正確な用量を可能とする。単回投与の量での使用に加えて、賦形剤は、関連する活性物質の処理において一助となるように製造プロセスにおいて用いられ得る。投与のルート及び薬剤の形態に依存して、当業者に認識可能な異なる賦形剤が用いられ得る。
いくつかの実施態様において、組成物は、T細胞受容体の選択された(免疫原性の)ペプチドフラグメント及び可能な毒素(toxins)/トキソイド(toxoids)(破傷風毒素、ジフテリア毒素、コレラ毒素のBサブユニット、BSA、HAS、rHSA、KLH、オボアルブミン)を含む。具体的には、いくつかの実施態様において、T細胞受容体の選択されたペプチドフラグメントは、TRAV4、TRAV12、TRAV14、TRBV30、TRBV31の遺伝子、又はTRAV4、TRAV12、TRAV14、TRBV30、TRBV31に高い相同性を有するDNAによりコードされる。
いくつかの実施態様において、アジュバント及び賦形剤は、薬学的に許容可能であり、組成物は、医薬組成物である。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、ワクチンである。
本明細書に開示されるように、CD4+T細胞受容体のApoB100への反応及び/又は本明細書で記載されるTCR受容体のApoB100への結合を阻害するための剤が、治療及び/又は予防するためのシステムの一部として提供され得る。該システムは、アレイ又はキットの一部の形態で提供され得る。
キットの一部において、阻害及び/又は免疫を検出するアッセイを行うための剤及び他の試薬が、独立してキットに含まれ得る。剤は1又は2以上の組成物中に含まれ得、各々の剤は適切なビヒクルとともに組成物中に含まれ得る。
本明細書で用いられる“検出する”又は“検出”という用語は、限定されることなくサンプル、反応混合物、分子混合物及び基質を含む、空間の限られた部分における、ターゲットの実存、存在、又は事実の決定を示唆する。本明細書で用いられる“検出する”又は“検出”という用語は、ターゲットの化学的及び/又は生物学的特性の決定を含み、それには、限定されることなく、他の化合物と相互作用する(具体的には結合する)能力、他の化合物及び本開示を読んだ当業者に認識可能な付加的な特性を活性化する能力が含まれる。検出は、定量的又は定性的であり得る。ターゲット又はシグナルの量(quantity)又は量(amount)の測定(定量とも称される)に言及し、関係し、又は関与する場合には、検出は“定量的”であり、それには限定されることなく、ターゲット又はシグナルの量又は割合を決定するようにデザインされたあらゆる分析が含まれる。他のターゲット又はシグナルに対する相対存在量の観点でターゲット又はシグナルの質(quality)又は性質(kind)の認識に言及し、関係し、又は関与する場合には、検出は“定性的”であり、それは定量化されない。
付加的な成分は、標識された分子、具体的には、標識されたポリヌクレオチド、標識された抗体、標識剤(labels)、マイクロ流体チップ、標準品、及び本開示を読んだ当業者により認識される付加的な成分を含み得る。本明細書において複合体又は分子の成分として用いられる“標識”及び“標識された分子”という用語は、検出可能な分子に言及し、それには限定されることなく、放射性同位体、フルオロフォア、化学発光染料、発色団、酵素、酵素基質、補酵素、酵素阻害剤、染料、金属イオン、ナノ粒子、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチン、アビチン、ストレプトアビジン又はヘプテン)及び同様物が含まれる。“フルオロフォア”という用語は、検出イメージに蛍光を示すことのできる物質又はその一部を意味する。結果として、本明細書で用いられる“標識シグナル”という用語は、標識の検出を可能にする標識剤から放出されるシグナルを示唆し、それには限定されることなく、放射性活性、蛍光、化学発光、酵素反応による化合物の生成、及び同様物が含まれる。
いくつかの実施態様において、阻害及び/又は免疫の検出は、標識された抗体がフルオロフォアで標識されている蛍光ベースの読み出し(readouts)により行われ得、それには限定されることなく、小分子染料、タンパク質発色団、量子ドット、及び金ナノ粒子が含まれる。付加的な技術は、本開示を読んだ当業者により認識可能であり、さらに詳細には記載しない。
具体的には、キットの成分は、本明細書に記載される方法を実施するための、適切な説明書及び他の必要な試薬とともに提供され得る。キットは通常、別々の容器において組成物を含有する。アッセイを実施するための、紙又はテープ若しくはCD−ROMといった電子的サポートにおける説明書(例えば、紙に書かれた又はオーディオの説明書)は通常、キットに含まれる。キットはまた、用いられる具体的な方法に依存して、他のパッケージされた試薬及びマテリアル(すなわち洗浄バッファー及び同様物)を含み得る。
具体的には、いくつかの実施態様において、1又は2以上の混合可能かつ薬学的に許容可能なビヒクルと、具体的には薬学的に許容可能な希釈剤又は賦形剤と混合された、本明細書で記載される少なくとも一つの剤を含む医薬組成物が開示される。医薬組成物において、剤は、個体のコンディションの治療又は予防のために活性成分として投与され得る。
いくつかの実施態様において、oxLDLで免疫され導入遺伝子(huB100t9)としてヒトApoB100を有するマウス由来のハイブリドーマの使用が、CD4+T細胞受容体のApoB100への反応を阻害するための適切な剤を同定するために記載される。具体的には、2009年1月22日に受託番号DSM ACC2986で、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikro−organismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse7B,38124 Braunschweig、ドイツ)にブタペスト条約により寄託されたハイブリドーマクローン48−5、並びに関連する使用及びシステムである。
キットのパーツの形態であり得る方法の実施のためのシステム、組成物の適切なキャリア、剤、又は補助剤とともに剤及び他の試薬を含む関連する組成物、キットの製造及びパッケージを含む、本明細書で記載されるハイブリドーマ、剤、組成物、方法の実施に関するさらなる詳細が、本開示を読んだ当業者により認識可能である。
本明細書に記載の方法及びシステムが下記の実施例においてさらに示され、それは図示の方法により提供され、それに限定されることを意図するものではない。
具体的には、典型的な方法及びシステムを示す下記の実施例は、TCR TRVB31由来の特定のペプチドで免疫することによる、CD4+T細胞のApoB100への反応の阻害に基づく。本技術分野の当業者は、TCR TRVB31由来の異なるペプチドで行った免疫に対する、又はCD4+T細胞のApoB100への反応を阻害する、具体的には本発明によるTCR TRVB31を提示するCD4+T細胞を阻害するための他の方法及びシステムに対する、詳細に記載される特徴の適用性を認識する。
下記の実施例において、他に示唆のない限り、値は、平均値±標準偏差(SEM)として表現される。一対比較のために、ノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定が用いられた。群間の差異は、Pが0.05を下回るときに有意とした。
下記の実施例を行うための方法及びマテリアルを下記に要約する。
(MHC拘束アッセイ)
MHCクラスIIの拘束性を評価するために、我々は、同系ドナー(C57BL/6;I−Ab)又は同種異系ドナー(BALB/c;I−Ad)由来の4×105の照射(1.6Gy)APCの存在のもと、異なる濃度のApoB100とともに105のハイブリドーマ細胞を培養した。独立した実験において、105のハイブリドーマ細胞を、MHCクラスII(BD)に対する遮断抗体の存在下又は非存在下で同系ドナー由来の4×105の照射(1.6Gy)APCの存在のもと、ApoB100とともに培養した。両実験において、T細胞の活性化は、上清中のIL−2濃度の増加により規定した。
MHCクラスIIの拘束性を評価するために、我々は、同系ドナー(C57BL/6;I−Ab)又は同種異系ドナー(BALB/c;I−Ad)由来の4×105の照射(1.6Gy)APCの存在のもと、異なる濃度のApoB100とともに105のハイブリドーマ細胞を培養した。独立した実験において、105のハイブリドーマ細胞を、MHCクラスII(BD)に対する遮断抗体の存在下又は非存在下で同系ドナー由来の4×105の照射(1.6Gy)APCの存在のもと、ApoB100とともに培養した。両実験において、T細胞の活性化は、上清中のIL−2濃度の増加により規定した。
(リポタンパク質の調製)
過去に開示された通り(Havel et al.,1955)、健康なドナーのプールされた血漿から超遠心分離法によりLDL(d=1.019−1.063g/mL)を単離した。血漿を調製後、2mM ベンザミジン、0.5mM PMSF、及び0.1U/mL アプロチニンを直ちに加えた。単離後、PBSに対して広範囲にLDLを透析した。1mM EDTAを小分けしたLDLに加えて、非修飾LDLを産生した。同様の手順を用いて、リコンビナントLDLを、huB100tg×Ldlr−/−の血漿から調製した。高度に酸化されたLDLを、37℃で、18時間、20μM CuSO4の存在下で1mLのLDL(1mg/mLタンパク質含量、Bradford assay’ Bio−Rad Laboratoriesにより決定)をインキュベートすることで得た;異なる程度の酸化が、1、2、4又は8時間、20μM CuSO4とLDLをインキュベートすることで得られた。酸化の程度を、過去に開示された通り(Puhl et al.,1994)、TBARSにより評価した。
過去に開示された通り(Havel et al.,1955)、健康なドナーのプールされた血漿から超遠心分離法によりLDL(d=1.019−1.063g/mL)を単離した。血漿を調製後、2mM ベンザミジン、0.5mM PMSF、及び0.1U/mL アプロチニンを直ちに加えた。単離後、PBSに対して広範囲にLDLを透析した。1mM EDTAを小分けしたLDLに加えて、非修飾LDLを産生した。同様の手順を用いて、リコンビナントLDLを、huB100tg×Ldlr−/−の血漿から調製した。高度に酸化されたLDLを、37℃で、18時間、20μM CuSO4の存在下で1mLのLDL(1mg/mLタンパク質含量、Bradford assay’ Bio−Rad Laboratoriesにより決定)をインキュベートすることで得た;異なる程度の酸化が、1、2、4又は8時間、20μM CuSO4とLDLをインキュベートすることで得られた。酸化の程度を、過去に開示された通り(Puhl et al.,1994)、TBARSにより評価した。
(可溶性ApoB100の調製)
ApoB100を、過去に開示された方法(Steele and Reynolds,1979;Wessel and Fliigge,1984)の変法を用いて単離した。端的に言うと、0.4mL メタノール、0.1mL クロロホルム、及び0.3mLの水を0.1mLのLDL(1mg/mL)に加えた;上清をその後ボルテックスし、1分間9,000gで遠心分離した。上層を除去し、タンパク質が沈殿した下層及び中間層に0.3mLのメタノールを加え、再び混合させ2分間9,000gで遠心分離してタンパク質をペレットとした。可溶性かつ純粋なApoB100を得るために、タンパク質ペレットが溶解するまで最小量の10%SDS(Bio−Rad Laboratories)中に再懸濁させた。これらの調製液を最初にPD−10カラム(GE Healthcare)でろ過し、過剰のSDSを除去した。その後Superdex− 200 size−exclusionカラム(0.5mL/分、Tris−HCI中、pH 7.4)において精製した。ApoB100調製液は、Superdex−200カラム(GE Healthcare)へのセカンドインジェクションにおいて評価され、SDS−PAGEで分析され、90%以上の純度であった。最後に、タンパク質濃度をBradford assay(Bio−Rad Laboratories)により測定した。
ApoB100を、過去に開示された方法(Steele and Reynolds,1979;Wessel and Fliigge,1984)の変法を用いて単離した。端的に言うと、0.4mL メタノール、0.1mL クロロホルム、及び0.3mLの水を0.1mLのLDL(1mg/mL)に加えた;上清をその後ボルテックスし、1分間9,000gで遠心分離した。上層を除去し、タンパク質が沈殿した下層及び中間層に0.3mLのメタノールを加え、再び混合させ2分間9,000gで遠心分離してタンパク質をペレットとした。可溶性かつ純粋なApoB100を得るために、タンパク質ペレットが溶解するまで最小量の10%SDS(Bio−Rad Laboratories)中に再懸濁させた。これらの調製液を最初にPD−10カラム(GE Healthcare)でろ過し、過剰のSDSを除去した。その後Superdex− 200 size−exclusionカラム(0.5mL/分、Tris−HCI中、pH 7.4)において精製した。ApoB100調製液は、Superdex−200カラム(GE Healthcare)へのセカンドインジェクションにおいて評価され、SDS−PAGEで分析され、90%以上の純度であった。最後に、タンパク質濃度をBradford assay(Bio−Rad Laboratories)により測定した。
(TCR Vドメイン発現のフローサイトメトリー分析)
商業的に入手可能なanti−マウス TCR−Vα及びTCR−Vβ mAb(BD)を用いて、TCR−Vα及びTCR−Vβを検出した。それらをanti−CD3−Pacific Blue及びanti−CD4−APCと混合させ、T細胞ハイブリドーマを染色した。免疫していないマウス由来の脾細胞を、すべての抗体に対するポジティブコントロールとして用いた。細胞を、CyAn ADP flow cytometer(Dako)で分析した。
商業的に入手可能なanti−マウス TCR−Vα及びTCR−Vβ mAb(BD)を用いて、TCR−Vα及びTCR−Vβを検出した。それらをanti−CD3−Pacific Blue及びanti−CD4−APCと混合させ、T細胞ハイブリドーマを染色した。免疫していないマウス由来の脾細胞を、すべての抗体に対するポジティブコントロールとして用いた。細胞を、CyAn ADP flow cytometer(Dako)で分析した。
(in vitro 増殖アッセイ)
免疫したマウス由来の脾細胞を分離し、再懸濁させた。96ウェルのプレートにおいて、5×105の脾細胞を、湿度5%のCO2雰囲気下で、37℃で72時間、200μLの血清非含有培地、1:100 BD ITS+Premix(BD)、1mg/mL BSA(Sigma−Aldrich)、10mmol/L Hepes(Invitrogen)、1mmol/L ピルビン酸塩Na(Invitrogen)、1mmol/L 非必須アミノ酸(Sigma−Aldrich)、及び50μg/mL ゲンタマイシンサルフェート(Sigma−Aldrich)中で、図のレジェンドに記載されているように、異なる抗体を用いてデュプリケートで培養した。1マイクロキュリーの[3H]チミジン(Sigma−Aldrich)を60時間後に加え、DNA複製を、シンチレーションカウンター(Wallac)を用いて測定した。結果は、刺激指標=(s−c)/cとして表現され、sは抗原有りのサンプルのcpmであり、cは抗原無しのサンプルのcpmである。
免疫したマウス由来の脾細胞を分離し、再懸濁させた。96ウェルのプレートにおいて、5×105の脾細胞を、湿度5%のCO2雰囲気下で、37℃で72時間、200μLの血清非含有培地、1:100 BD ITS+Premix(BD)、1mg/mL BSA(Sigma−Aldrich)、10mmol/L Hepes(Invitrogen)、1mmol/L ピルビン酸塩Na(Invitrogen)、1mmol/L 非必須アミノ酸(Sigma−Aldrich)、及び50μg/mL ゲンタマイシンサルフェート(Sigma−Aldrich)中で、図のレジェンドに記載されているように、異なる抗体を用いてデュプリケートで培養した。1マイクロキュリーの[3H]チミジン(Sigma−Aldrich)を60時間後に加え、DNA複製を、シンチレーションカウンター(Wallac)を用いて測定した。結果は、刺激指標=(s−c)/cとして表現され、sは抗原有りのサンプルのcpmであり、cは抗原無しのサンプルのcpmである。
(“蛍光活性化細胞選別”によるVβ+T細胞枯渇)
脾細胞を、100μgのApoB100で免疫したhuApoB100tg−Ldlr−/−マウスより単離した。3000万の脾細胞を、anti−TRBV31又はanti−TRBV19(BD)で染色した。TRBV19を選別のコントロールとして用いた。ApoB100を認識するどのハイブリドーマもこのTCRを発現しなかったためである。TRBV19/TRAV13.2 TCR(96.7及び97.3)を発現した2つのクローンは、LDL又はApoB100を認識しなかった(表S1)。染色後、MoFlo Cytomation cell sorter(Cytomation Bioinstruments)で細胞を選別して、ポジティブイベントを枯渇させた。ネガティブの細胞を収集し、ApoB100への反応において増殖アッセイに用いた。
脾細胞を、100μgのApoB100で免疫したhuApoB100tg−Ldlr−/−マウスより単離した。3000万の脾細胞を、anti−TRBV31又はanti−TRBV19(BD)で染色した。TRBV19を選別のコントロールとして用いた。ApoB100を認識するどのハイブリドーマもこのTCRを発現しなかったためである。TRBV19/TRAV13.2 TCR(96.7及び97.3)を発現した2つのクローンは、LDL又はApoB100を認識しなかった(表S1)。染色後、MoFlo Cytomation cell sorter(Cytomation Bioinstruments)で細胞を選別して、ポジティブイベントを枯渇させた。ネガティブの細胞を収集し、ApoB100への反応において増殖アッセイに用いた。
(血漿分析)
TRBV31ペプチド、LDL、oxLDL及びApoB100に対する特定の抗体の力値をELISAにより測定した。端的に言うと、50μLの異なる抗原(pH7.4のPBS中、10μg/mL)を96ウェルのELISAプレートに加え、4℃で一晩インキュベートした。コーティングされたプレートをPBSで洗浄し、室温にて1時間、PBS中の1%ゼラチン(Invitrogen)でブロックした。次に、プレートを洗浄し、マウスの血漿でさらに2時間インキュベートし、TBS/ゼラチン0.1%中で希釈した。洗浄後、トータルIgGレベルを、酵素コンジュゲートanti−マウス抗体(BD)を用いて測定した。プレートを洗浄して、比色分析反応を、TMB(BD)を用いて行った。吸光度を、マイクロプレートリーダー(VersaMax;MDS Analytical Devices)を用いて測定した。血漿コレステロール及びトリグリセリドを、酵素的比色分析キット(Randox Laboratory,Ltd.)を用いて、その使用説明書のプロトコールに従って測定した。ApoB100レベルを、市販のELISAにより、その使用説明書(ALerCHEK,Inc.)に従って測定した。
TRBV31ペプチド、LDL、oxLDL及びApoB100に対する特定の抗体の力値をELISAにより測定した。端的に言うと、50μLの異なる抗原(pH7.4のPBS中、10μg/mL)を96ウェルのELISAプレートに加え、4℃で一晩インキュベートした。コーティングされたプレートをPBSで洗浄し、室温にて1時間、PBS中の1%ゼラチン(Invitrogen)でブロックした。次に、プレートを洗浄し、マウスの血漿でさらに2時間インキュベートし、TBS/ゼラチン0.1%中で希釈した。洗浄後、トータルIgGレベルを、酵素コンジュゲートanti−マウス抗体(BD)を用いて測定した。プレートを洗浄して、比色分析反応を、TMB(BD)を用いて行った。吸光度を、マイクロプレートリーダー(VersaMax;MDS Analytical Devices)を用いて測定した。血漿コレステロール及びトリグリセリドを、酵素的比色分析キット(Randox Laboratory,Ltd.)を用いて、その使用説明書のプロトコールに従って測定した。ApoB100レベルを、市販のELISAにより、その使用説明書(ALerCHEK,Inc.)に従って測定した。
(リポタンパク脂質のプロファイル)
血漿のコレステロールリポタンパク質のプロファイルを、Okazakiらの方法(1981)の変法を用いて評価した。端的に言うと、TRBV31ペプチド又はKLHで免疫したマウス由来の血漿サンプル(50μL)を、Prominence UFLC system(Shimadzu)と組み合わされたHR 10/30 Superose 6 column(GE Healthcare)及びDiscovery BIO GFC−500 as precolumn(5cm×7.8i.d.;Supelco;Sigma−Aldrich)を用いて画分に分け、pH7.4のトリス緩衝食塩水で平衡化した。200μLのフラクションをFoxy Jr.fraction collector(Teledyne Isco,Inc.)を用いて収集し、トータルコレステロールを、酵素的比色分析キット(Randox Laboratory,Ltd.)を用いて各々のフラクションにおいて評価した。
血漿のコレステロールリポタンパク質のプロファイルを、Okazakiらの方法(1981)の変法を用いて評価した。端的に言うと、TRBV31ペプチド又はKLHで免疫したマウス由来の血漿サンプル(50μL)を、Prominence UFLC system(Shimadzu)と組み合わされたHR 10/30 Superose 6 column(GE Healthcare)及びDiscovery BIO GFC−500 as precolumn(5cm×7.8i.d.;Supelco;Sigma−Aldrich)を用いて画分に分け、pH7.4のトリス緩衝食塩水で平衡化した。200μLのフラクションをFoxy Jr.fraction collector(Teledyne Isco,Inc.)を用いて収集し、トータルコレステロールを、酵素的比色分析キット(Randox Laboratory,Ltd.)を用いて各々のフラクションにおいて評価した。
(組織の処理、免疫組織化学、及び病変分析)
屠殺されたマウス由来の血液を、心穿刺及び滅菌RNase非含有PBSによる血管かん流により収集した。腹部大動脈、脾臓の3分の1、流れ出るLNを解剖し、後のRNA分離のために凍結させた。心臓及び大動脈弓を、免疫組織化学及び病変分析のために解剖し、保存した。病変分析は、記載の通り行った(Nicolettiら、1998)。端的に言うと、心臓を低温保持装置上で大動脈基部の近位1mmから連続的に切開した。ヘマトキシリン染色及びOil Red O染色の切片を、病変サイズの評価に用いた。病変サイズを、大動脈基部の1mmのセグメントにわたって100μmごとに収集された、8つのヘマトキシリン染色及びOil Red O染色の切片を測定することで評価した。切片ごとに、イメージを、20×/0.9 対象及びDC300カメラ(Leica)を備えたDM−LB2顕微鏡(Leica)で捉え、病変及び血管全体の表面積を測定した。CD3、CD68及びI−Abに対する一次抗体(すべてBDからのラットanti−マウス)をアセトンで固定した低温切開片に添加し、ABCアルカリホスファターゼキット(Vector Laboratories)で検出した。正面像で、ズダンIV染色を用いて免疫されたマウス由来の大動脈弓において脂質の蓄積を評価した。端的に言うと、切開された(大動脈)弓を、中性に緩衝化された4%ホルマリンで固定した。サンプルをその後、長手方向に切り、伸ばして固定して、ズダンIV染色(赤色)を行った。イメージを、MZ6実体顕微鏡に接続されたDC480カメラ(両方ともLeica)を用いて捉えた。大動脈弓におけるすべてのプラークの追加の領域を、(大動脈)弓(血管枝を含まない)の全表面積の割合として算出した。プラークの定量は、イメージJソフトウェア(NIH)を用いて行った。免疫組織化学的データを、染色された切片のQwin computerized analysis(Leica)を用いて得た。
屠殺されたマウス由来の血液を、心穿刺及び滅菌RNase非含有PBSによる血管かん流により収集した。腹部大動脈、脾臓の3分の1、流れ出るLNを解剖し、後のRNA分離のために凍結させた。心臓及び大動脈弓を、免疫組織化学及び病変分析のために解剖し、保存した。病変分析は、記載の通り行った(Nicolettiら、1998)。端的に言うと、心臓を低温保持装置上で大動脈基部の近位1mmから連続的に切開した。ヘマトキシリン染色及びOil Red O染色の切片を、病変サイズの評価に用いた。病変サイズを、大動脈基部の1mmのセグメントにわたって100μmごとに収集された、8つのヘマトキシリン染色及びOil Red O染色の切片を測定することで評価した。切片ごとに、イメージを、20×/0.9 対象及びDC300カメラ(Leica)を備えたDM−LB2顕微鏡(Leica)で捉え、病変及び血管全体の表面積を測定した。CD3、CD68及びI−Abに対する一次抗体(すべてBDからのラットanti−マウス)をアセトンで固定した低温切開片に添加し、ABCアルカリホスファターゼキット(Vector Laboratories)で検出した。正面像で、ズダンIV染色を用いて免疫されたマウス由来の大動脈弓において脂質の蓄積を評価した。端的に言うと、切開された(大動脈)弓を、中性に緩衝化された4%ホルマリンで固定した。サンプルをその後、長手方向に切り、伸ばして固定して、ズダンIV染色(赤色)を行った。イメージを、MZ6実体顕微鏡に接続されたDC480カメラ(両方ともLeica)を用いて捉えた。大動脈弓におけるすべてのプラークの追加の領域を、(大動脈)弓(血管枝を含まない)の全表面積の割合として算出した。プラークの定量は、イメージJソフトウェア(NIH)を用いて行った。免疫組織化学的データを、染色された切片のQwin computerized analysis(Leica)を用いて得た。
(RNA単離、cDNA合成、及びリアルタイムPCR)
RNAを、RNeasy kit(QIAGEN)を用いて、示された組織又は細胞から単離した。トータルRNAを、BioAnalyzer(Agilent Technologies)で分析した。逆転写を、Superscript−II及びランダムヘキサマー(両方ともInvitrogen)で行い、ABI7700シークエンスデテクター(Applied Biosystems)において、Ccl2、Ccl5,CD3に対するアッセイのオンデマンドのプライマー及びプローブ、並びにヒポキサンチン グアニン ホスホリボシル トランスフェラーゼ(HPRT)(Applied Biosystems)を用いて、リアルタイムPCRにより増幅した。TRBV31発現分析に対して、遺伝子型決定(表2)において用いられたプライマーを、TCRβ鎖の定常領域のヌクレオチド配列(5’−TCCACCCAAGGTCT−3’)に基づきデザインされたプローブと組み合わせた。プローブは、ABI Primer Express software(Applied Biosystems)を用いてデザインされ、5’末端に結合された5−カルボキシフルオレスセイン(FAM)受容体分子(Applied Biosystems)で合成した。データを、式2−ΔΔCTを用いた相対発現方法に基づき分析した(ΔΔCT=ΔCT(サンプル)−ΔCT(カリブレーター=グループ内のすべてのサンプルの平均CT値)、ΔCTは、ターゲット遺伝子のCTから差し引かれたハウスキーピング遺伝子(HPRT)のCTである)。TRBV31に対して、TRBV31発現/CD3発現の平均±SEMの値が示される。
RNAを、RNeasy kit(QIAGEN)を用いて、示された組織又は細胞から単離した。トータルRNAを、BioAnalyzer(Agilent Technologies)で分析した。逆転写を、Superscript−II及びランダムヘキサマー(両方ともInvitrogen)で行い、ABI7700シークエンスデテクター(Applied Biosystems)において、Ccl2、Ccl5,CD3に対するアッセイのオンデマンドのプライマー及びプローブ、並びにヒポキサンチン グアニン ホスホリボシル トランスフェラーゼ(HPRT)(Applied Biosystems)を用いて、リアルタイムPCRにより増幅した。TRBV31発現分析に対して、遺伝子型決定(表2)において用いられたプライマーを、TCRβ鎖の定常領域のヌクレオチド配列(5’−TCCACCCAAGGTCT−3’)に基づきデザインされたプローブと組み合わせた。プローブは、ABI Primer Express software(Applied Biosystems)を用いてデザインされ、5’末端に結合された5−カルボキシフルオレスセイン(FAM)受容体分子(Applied Biosystems)で合成した。データを、式2−ΔΔCTを用いた相対発現方法に基づき分析した(ΔΔCT=ΔCT(サンプル)−ΔCT(カリブレーター=グループ内のすべてのサンプルの平均CT値)、ΔCTは、ターゲット遺伝子のCTから差し引かれたハウスキーピング遺伝子(HPRT)のCTである)。TRBV31に対して、TRBV31発現/CD3発現の平均±SEMの値が示される。
(in vitroでのTRBV31+細胞のLDLへの反応の抗体介在の遮断)
KLH免疫マウス又はTRBV31免疫マウス由来のトータルIgG血漿抗体を、タンパク質Gカラム(GE Healthcare)を用いてアフィニティー精製した。10,000のハイブリドーマ細胞(クローン48−5)を、4×104照射のAPCの存在下で20μg/mL LDLと培養した。ハイブリドーマの活性を遮断するために、図で示される濃度で、種々の抗体を、培養開始時に添加し、培養中存在させた。24時間のインキュベート後、上清中のIL−2を測定した。
KLH免疫マウス又はTRBV31免疫マウス由来のトータルIgG血漿抗体を、タンパク質Gカラム(GE Healthcare)を用いてアフィニティー精製した。10,000のハイブリドーマ細胞(クローン48−5)を、4×104照射のAPCの存在下で20μg/mL LDLと培養した。ハイブリドーマの活性を遮断するために、図で示される濃度で、種々の抗体を、培養開始時に添加し、培養中存在させた。24時間のインキュベート後、上清中のIL−2を測定した。
(統計分析)
値を、他に示唆のない限り、平均±SEMとして表現した。一対比較のために、ノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定を用い、多重比較のために、クラスカル・ワリス検定を用いた。相互関係を、スピアマンテストを用いて算出した。群間の差異は、P値が0.05を下回るときに有意とした。
値を、他に示唆のない限り、平均±SEMとして表現した。一対比較のために、ノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定を用い、多重比較のために、クラスカル・ワリス検定を用いた。相互関係を、スピアマンテストを用いて算出した。群間の差異は、P値が0.05を下回るときに有意とした。
(実施例1.T細胞のハイブリドーマによる天然のヒトLDL及びApoB100の産生及びテスト)
これらの実験に対して、HuB100tgマウス(導入遺伝子としてヒトApoB100を有するマウス)を、T細胞のoxLDLへの反応を特徴付けるために用いた。これらのマウスは、肝臓や消化管においてヒトの全30の長さのApoB100を発現し、ヒト化リポタンパク質のプロファイルを示す。
これらの実験に対して、HuB100tgマウス(導入遺伝子としてヒトApoB100を有するマウス)を、T細胞のoxLDLへの反応を特徴付けるために用いた。これらのマウスは、肝臓や消化管においてヒトの全30の長さのApoB100を発現し、ヒト化リポタンパク質のプロファイルを示す。
(免疫)
T細胞ハイブリドーマの産生のために、7週齢の雄ヒトApoB100トランスジェニックマウス、huB100tg(C57BL/6、129−Apobtm2sgy、DNX Transgenics、Princeton、米国)を用いた。
T細胞ハイブリドーマの産生のために、7週齢の雄ヒトApoB100トランスジェニックマウス、huB100tg(C57BL/6、129−Apobtm2sgy、DNX Transgenics、Princeton、米国)を用いた。
これらのマウスは、全長のヒトAPOB遺伝子を有し(ApoB48の形成を抑制するようにコドン2153をロイシンからグルタミンに変えてある)、ApoB100のみを産生する(Boren,J.,Lee,I.,Zhu,W.,Arnold,K.,Taylor,S.,and Innerarity,T.L.(1998).Identification of the low density lipoprotein receptor−binding site in apolipoprotein B 100 and the modulation of its binding activity by the carboxyl terminus in familial defective apo−B 100.J Clin Invest 101 , 1084− 1093;Linton,M.F.,Farese,RV.,Jr.,Chiesa,G.,Grass,D.S.,Chin,P.,Hammer,RE.,Hobbs,H.H.,and Young,S.G.(1993).Transgenic mice expressing high plasma concentrations of human apolipoprotein B 100 and lipoprotein(a).J Clin Invest 92,3029−3037;Yao,Z.M.,Blackhart,B.D.,Johnson,D.F.,Taylor,S.M.,Haubold,K.W.,and McCarthy,B.J.(1992).Elimination of apolipoprotein B48 formation in rat hepatoma cell lines transfected with mutant human apolipoprotein B cDNA constructs.J Biol Chem 267,1175−1182.)。
マウスに完全フロイントアジュバント(CFA)と混合した銅で酸化されたヒトLDL(oxLDL)50μgを皮下投与(s.c.)して最初に免疫し、2週間後、マウスを不完全フロイントアジュバント(IFA)と混合したoxLDL50μgでブーストさせた。酸化されたヒトLDL(oxLDL)を下記のように調製した:LDL(d=1.019−1.063g/mL)を、Havelらにより開示されているように(Havel,RJ.,Eder,H.A.,and Bragdon,J.H.(1955).The distribution and chemical composition of ultracentrifugally separated lipoproteins in human serum.J Clin Invest 34,1345−1353)、健康なドナーのプールされた血漿から超遠心により単離した。単離後、LDLのみをPBSから透析した。1mM EDTAを小分けしたLDLに加えて、修飾されていないLDLとして用いた。37℃で18時間、20μM CuS04の存在下で、1mLのLDL(1mg/mLのタンパク質含量、Bradford、Biorad(米国)により評価)をインキュベートすることで、高度に酸化されたLDLを得た。
(T細胞ハイブリドーマの産生)
前述の通り、oxLDLの第一の免疫及びブースター注入の後、下記の通り、リンパ節(LN)細胞を収集し、胸腺腫細胞と融合させて、ハイブリドーマを産生させた。
前述の通り、oxLDLの第一の免疫及びブースター注入の後、下記の通り、リンパ節(LN)細胞を収集し、胸腺腫細胞と融合させて、ハイブリドーマを産生させた。
T細胞ハイブリドーマを、Kapplerらにより開示されたように(appler,J.W.,Skidmore,B.,White,J.,and Marrack,P.(1981).Antigen−inducible,H−2−restricted,interleukin−2−producing T cell hybridomas.Lack of independent antigen and H−2 recognition.J Exp Med 153,1198−1214)、5×107のリンパ節(LN)細胞の3×107のBW5147 胸腺腫細胞との融合をポリエチレングリコールにより誘導して、産生した。端的に言うと、免疫されたマウス由来のLN細胞を融合前、3日間、3μg/mLのoxLDLで刺激した。融合後、1×106の胸腺腫細胞を支持細胞に加え、細胞懸濁液を96ウェルプレートに撒き、7.5%CO2、37℃でインキュベートした。融合された細胞を良好に選別するために、インキュベーションの24時間後、培地にヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)を加えた。培養して生じた268のハイブリッドにおいて、117でCD3及びCD4を発現していた。23のHAT耐性モノクローナルハイブリドーマをその後、限界希釈法によりクローニングし、天然のLDL、銅によるoxLDLに対する反応性をスクリーニングし、修飾されていないApoB100を精製した。
(陽性クローンのスクリーニング)
23のHAT耐性モノクローナルハイブリドーマを、同系の照射された抗原提示細胞(APC)の存在下で、推定上の抗原(天然のLDL、銅によるoxLDL、及び精製された非修飾ApoB100)への暴露後、IL−2生成による活性化(抗原がT細胞受容体(TCR)に結合するとIL−2分泌を刺激する)に対して評価した。このような細胞を取り出し、抗原処理し、MHC分子に結合する抗原性ペプチドの提示を誘導した。同系のAPC、すなわち、T細胞として同じMHCを持つマウス由来のAPCが、抗原として外来のMHC分子を認識するT細胞の活性化を抑制するために、必要である。T細胞の反応性は、異なる抗原と、1×105のT細胞ハイブリドーマ及び4×105の照射された(1.6Gy)APCを用いた96ウェルプレートのアッセイにおいて評価された。LDL及びoxLDLを、実施例1において記載されるように調製した。ApoB100を、Wesselらが過去に開示した方法(Wessel,D.,and Flugge,U.l.(1984)A method for the quantitative recovery of protein in dilute solution in the presence of detergents and lipids Anal Biochem 138,141−143)の変法により得た。端的に言うと、0.1mLのLDL(1mg/mL)、0.4mLのメタノール、0.1mLのクロロホルム、及び0.3mLの水を加え;懸濁液をその後強力に混合し、1分間、9000×gで遠心分離した。上層を除去し、0.3mLのメタノールをタンパク質が沈殿している下層及び中間層に加え、再び強力に混合させ、2分間9000×gで遠心分離し、タンパク質をペレット化した。可溶性でかつ高度に純粋なApoB100を得るために、ペレット化されたタンパク質が完全に溶けるまで、最小容量の10%SDS(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA、米国)溶液に再懸濁させた。これらのApoB100の調製液をその後、PD−10カラム(GE Healthcare、以前はAmersham Biosciences、Uppsala、スウェーデン)を用いて最初のろ過に供して、過剰のSDSを除去し、その後、サイズ排除カラムSuperdex−200(0.5mL/分、pH7.4のTris−HCl中)を用いて精製を行った。ApoB100を含む第一のピークを収集し、LDL精製過程由来の混入タンパク質を含む余分なピークを捨てた。ApoB100の調製液は、Superdex−200カラム(GE Healthcare、Uppsala、スウェーデン)への第二の注入において評価された時に、90%以上の純度を示した。最後に、タンパク質濃度を、Bradford assay(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA、米国)を用いて決定した。
23のHAT耐性モノクローナルハイブリドーマを、同系の照射された抗原提示細胞(APC)の存在下で、推定上の抗原(天然のLDL、銅によるoxLDL、及び精製された非修飾ApoB100)への暴露後、IL−2生成による活性化(抗原がT細胞受容体(TCR)に結合するとIL−2分泌を刺激する)に対して評価した。このような細胞を取り出し、抗原処理し、MHC分子に結合する抗原性ペプチドの提示を誘導した。同系のAPC、すなわち、T細胞として同じMHCを持つマウス由来のAPCが、抗原として外来のMHC分子を認識するT細胞の活性化を抑制するために、必要である。T細胞の反応性は、異なる抗原と、1×105のT細胞ハイブリドーマ及び4×105の照射された(1.6Gy)APCを用いた96ウェルプレートのアッセイにおいて評価された。LDL及びoxLDLを、実施例1において記載されるように調製した。ApoB100を、Wesselらが過去に開示した方法(Wessel,D.,and Flugge,U.l.(1984)A method for the quantitative recovery of protein in dilute solution in the presence of detergents and lipids Anal Biochem 138,141−143)の変法により得た。端的に言うと、0.1mLのLDL(1mg/mL)、0.4mLのメタノール、0.1mLのクロロホルム、及び0.3mLの水を加え;懸濁液をその後強力に混合し、1分間、9000×gで遠心分離した。上層を除去し、0.3mLのメタノールをタンパク質が沈殿している下層及び中間層に加え、再び強力に混合させ、2分間9000×gで遠心分離し、タンパク質をペレット化した。可溶性でかつ高度に純粋なApoB100を得るために、ペレット化されたタンパク質が完全に溶けるまで、最小容量の10%SDS(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA、米国)溶液に再懸濁させた。これらのApoB100の調製液をその後、PD−10カラム(GE Healthcare、以前はAmersham Biosciences、Uppsala、スウェーデン)を用いて最初のろ過に供して、過剰のSDSを除去し、その後、サイズ排除カラムSuperdex−200(0.5mL/分、pH7.4のTris−HCl中)を用いて精製を行った。ApoB100を含む第一のピークを収集し、LDL精製過程由来の混入タンパク質を含む余分なピークを捨てた。ApoB100の調製液は、Superdex−200カラム(GE Healthcare、Uppsala、スウェーデン)への第二の注入において評価された時に、90%以上の純度を示した。最後に、タンパク質濃度を、Bradford assay(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA、米国)を用いて決定した。
APCを、ナイロンフィルター(1 001−lm)上で脾臓をふるい分けし(meshing)、その後、赤血球細胞を溶解及び洗浄することにより調製した。コンカナバリンA(ConA)をポジティブコントロールとして用いた。細胞を、5%ウシ胎仔血清(FCS)で補充されたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で、7.5%CO2で、37℃で24時間培養した。インターロイキン2(IL−2)を培養液の上清においてELISA(R&D Systems、Abingdon、英国)により評価し、T細胞活性化の読み出し(read−out)として用いた。結果を図1Aで見ることができ、ここで、23のHAT耐性モノクローナルハイブリドーマの各々の1×105のハイブリドーマ細胞を、40μg/mLのLDL、oxLDL、又はApoB100と、4×105照射されたAPCとともにインキュベートした。培地をネガティブコントロールとして用いた。
驚くべきことに、テストされたすべての23のモノクローナルT細胞ハイブリドーマのうち、11が天然のヒトLDL及びApoB100に反応したが、いずれも酸化されたLDLには反応しなかった。
(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるTCR遺伝子型決定)
天然のLDL及びApoB100に反応し得た11のクローンを、PCRにより遺伝子型を決定した。トータルRNAをRNeasyミニキット(Qiagen、Valencia、CA、米国)により11のハイブリドーマクローンの各々に由来する1×107のハイブリドーマ細胞から調製し、RNasin(Life Technologies、Cergy Pontoise、フランス)の存在下、ランダムヘキサヌクレオチドプライマー(pdN6)により、Superscript II(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)を用いてcDNAに逆転写した。作られたcDNAを、定常領域Cα3’プライマーとともに適切なVαファミリー特異的5’プライマー(表1)又は定常領域Cβ3’プライマーとともに関連性のあるVβファミリー特異的5’プライマー(表2)を用いて増幅した。
天然のLDL及びApoB100に反応し得た11のクローンを、PCRにより遺伝子型を決定した。トータルRNAをRNeasyミニキット(Qiagen、Valencia、CA、米国)により11のハイブリドーマクローンの各々に由来する1×107のハイブリドーマ細胞から調製し、RNasin(Life Technologies、Cergy Pontoise、フランス)の存在下、ランダムヘキサヌクレオチドプライマー(pdN6)により、Superscript II(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)を用いてcDNAに逆転写した。作られたcDNAを、定常領域Cα3’プライマーとともに適切なVαファミリー特異的5’プライマー(表1)又は定常領域Cβ3’プライマーとともに関連性のあるVβファミリー特異的5’プライマー(表2)を用いて増幅した。
国際免疫遺伝学情報システム(the international immunogenetics information system)(IMGT)の命名法を、T細胞のTCR−V鎖の利用の指定のために用いた。すべてのTCR−V鎖の配列は、IMGTデータベース(http://imgt.cines.frl))(Lefranc,M.P.,Pommie,C,Ruiz,M.,Giudicelli,V.,Foulquier,E.,Truong,L.,Thouvenin−Contet,V.,and Lefranc,G.(2003).IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V−like domains.Oev Comp Immunol 27,55−77)から抽出された。旧命名法と新命名法との間の対応のために、http://imgt.cmes. fr/textes/IMGTrepertoire/LocusGenes/#Jを参照する。PCR反応のためのマスターミックス(mastermix)は、10mM Tris−HCl、50mM KCl、1.5mM MgCl2、1mM dNTP及び0.2U/mL Taqポリメラーゼ(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)を含んでいた。すべてのプライマーを最終濃度0.2μMとなるように加えた。反応を、94℃(40秒間)での変性、58℃(40秒間)でのアニーリング、72℃(1分間)の重合を用いた35サイクルで行った。PCR生成物を1.5%アガロースゲルで分析し、ゲル赤色染色で視覚化した。
TCR遺伝子型決定に基づき、3つの異なるサブグループを、天然のLDL及びApoB100に反応し得た11のクローンから同定し、各サブグループ(15−2、45−1及び48−5)由来の代表的なデータを、反応無しのクローン20(97−3)とともに示す。図1B−Eに示され得るように、修飾されていないApoB100タンパク質に対して、各々のサブグループ由来のハイブリドーマクローンでは明確な用量反応性が見られた。TCRのタイプに関連したハイブリドーマクローンの特性を、下記の表3に示す。
反応性がタンパク質のヒト特異的な修飾に依存していないことを確かめるために、LDL及びApoB100もまたhuB100tg×Ldlr−/−マウスから単離し、ハイブリドーマに対してテストした。これらのマウスは、ヒトApoB100を含むLDLを作る。しかしながら、これらの粒子は、ヒトのみに生じ得、仮説上免疫反応を引き起こし得る翻訳後修飾を欠く。
図1B−Eにおいて、1×105のハイブリドーマ細胞を、異なる濃度での、ヒトLDLから精製したヒトApoB100及びhuB100tg×Ldlr−/−マウスから得た(x)トランスジェニックヒトApoB100とともに、4×105照射されたAPCとインキュベートした。両実験において、IL−2分泌を活性化の読み出し(readout)として用いた。グラフより、このリコンビナントヒトApoB100はまたT細胞ハイブリドーマのサブグループ15−2、45−1及び48−5により認識されたことが示される。したがって、天然のLDL及びヒトApoB100は、これらのT細胞により認識されるT細胞のエピトープを含む。
(実施例2:LDL又はoxLDLで免疫されたマウス由来のT細胞は、天然のApoB100を認識する)
アテローム硬化性の病変がオリゴクローナルなT細胞を含むということが過去に確立し、oxLDLで免疫されたマウスより産生されたハイブリドーマがLDLの天然のApoB100を認識し得るということを現在見出し、このような自己免疫反応がポリクローナルなT細胞集団に生じ得るかどうかが問題とされた。この仮説を、LDL又はoxLDL(高度に酸化されている)によるhuB100tg×Ldlr−/−マウスの免疫、その後のoxLDL又は天然のApoB100によるこれらのマウス由来の脾臓細胞のin vitroチャレンジ(challenge)により検証した。これらのマウスは、循環由来のLDLの排泄に関与するLDL受容体を欠いている。脂肪食を摂取すると、それらは高コレステロール血症及びアテローム性動脈硬化に進展する。LDLへの免疫反応は、これらの疾患コンディションにおいて増加され、このような反応の分析に適している。
アテローム硬化性の病変がオリゴクローナルなT細胞を含むということが過去に確立し、oxLDLで免疫されたマウスより産生されたハイブリドーマがLDLの天然のApoB100を認識し得るということを現在見出し、このような自己免疫反応がポリクローナルなT細胞集団に生じ得るかどうかが問題とされた。この仮説を、LDL又はoxLDL(高度に酸化されている)によるhuB100tg×Ldlr−/−マウスの免疫、その後のoxLDL又は天然のApoB100によるこれらのマウス由来の脾臓細胞のin vitroチャレンジ(challenge)により検証した。これらのマウスは、循環由来のLDLの排泄に関与するLDL受容体を欠いている。脂肪食を摂取すると、それらは高コレステロール血症及びアテローム性動脈硬化に進展する。LDLへの免疫反応は、これらの疾患コンディションにおいて増加され、このような反応の分析に適している。
(in vitro増殖アッセイ)
LDL又はoxLDLで免疫されたhuB100tg×Ldlr−/−マウス由来の脾臓細胞を分離し、細胞懸濁液を調製した。96ウェルプレートにおいて、5×105の脾臓細胞を、下述の通り、湿度5%のCO2雰囲気下で、37℃で72時間、200μLの血清非含有培地、1:100 BD ITS+ Premix(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ,米国)、1mg/mL BSA(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,米国)、10mmol/L HEPES(Gibco Invitrogen,Carlsbad,CA,25 米国)、1mmol/L ピルビン酸塩Na(Gibco Invitrogen,Carlsbad,CA,米国)、1mmol/L 非必須アミノ酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,米国)、及び50μg/mL硫酸ゲンタマイシン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,米国)中で、異なる抗原とデュプリケートでインキュベートした。50μLのH3−チミジン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO、米国、血清非含有培地中1μCi)を加え、18時間のインキュベート後、T細胞の増殖を、シンチレーションカウンター(Wallac、Turku、フィンランド)で評価した。
LDL又はoxLDLで免疫されたhuB100tg×Ldlr−/−マウス由来の脾臓細胞を分離し、細胞懸濁液を調製した。96ウェルプレートにおいて、5×105の脾臓細胞を、下述の通り、湿度5%のCO2雰囲気下で、37℃で72時間、200μLの血清非含有培地、1:100 BD ITS+ Premix(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ,米国)、1mg/mL BSA(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,米国)、10mmol/L HEPES(Gibco Invitrogen,Carlsbad,CA,25 米国)、1mmol/L ピルビン酸塩Na(Gibco Invitrogen,Carlsbad,CA,米国)、1mmol/L 非必須アミノ酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,米国)、及び50μg/mL硫酸ゲンタマイシン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,米国)中で、異なる抗原とデュプリケートでインキュベートした。50μLのH3−チミジン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO、米国、血清非含有培地中1μCi)を加え、18時間のインキュベート後、T細胞の増殖を、シンチレーションカウンター(Wallac、Turku、フィンランド)で評価した。
図2(A)において、LDL又はoxLDLで免疫されたhuB100tg×Ldlr−/−マウス由来の5×105の脾臓細胞を、20μg/mLのヒトoxLDL又は天然のヒトApoB100でin vitroチャレンジした(challenged)。値を、H3−チミジンの取り込みにより得られた刺激指数の平均±SEMとして表す。再度、天然のApoB100は最も高い反応を示し、一方、oxLDLは活性化を引き起こさなかった(図2A)。さらに、このデータは、天然のLDL又はoxLDLのいずれかによる免疫が、LDL粒子の天然の(酸化されていない)エピトープを認識するT細胞集団の拡大をもたらすことを示す。
(実施例3:LDLの酸化は、T細胞のエピトープの認識を低減させる)
異なる長さの時間、銅により酸化され、異なる程度に酸化されたLDL粒子の範囲へのT細胞の暴露によって、LDL粒子の酸化と免疫原性との間の関係がさらに分析された。高度に酸化されたLDLを、37℃で18時間、20〜M CuS04の存在下での1mLのLDL(1mg/mLのタンパク質含量、Bradfordにより評価、Bradford、米国)のインキュベートにより得;異なる程度の酸化を、1、2、4又は8時間、20〜M CuS04とのLDLのインキュベートにより得た。酸化の程度を、過去に開示された通りのTBARSにより評価した(Puhl,H.,Waeg,G.,and Esterbauer,H.(1994).Methods to determine oxidation of low−density lipoproteins.Methods Enzymol 233,425−441)(図2B)。
異なる長さの時間、銅により酸化され、異なる程度に酸化されたLDL粒子の範囲へのT細胞の暴露によって、LDL粒子の酸化と免疫原性との間の関係がさらに分析された。高度に酸化されたLDLを、37℃で18時間、20〜M CuS04の存在下での1mLのLDL(1mg/mLのタンパク質含量、Bradfordにより評価、Bradford、米国)のインキュベートにより得;異なる程度の酸化を、1、2、4又は8時間、20〜M CuS04とのLDLのインキュベートにより得た。酸化の程度を、過去に開示された通りのTBARSにより評価した(Puhl,H.,Waeg,G.,and Esterbauer,H.(1994).Methods to determine oxidation of low−density lipoproteins.Methods Enzymol 233,425−441)(図2B)。
LDL又はoxLDLで免疫されたhuB100tg×Ldlr−/−マウス由来の脾臓細胞を、前述の実施例2で記載の通り、分離して細胞懸濁液を調製した。細胞懸濁液由来の1.0×105のハイブリドーマ細胞を、1、2、4又は8時間、20〜M CuS04とインキュベートされた40〜g/mLの天然のLDL又はoxLDLとともに4×105照射されたAPCと24時間インキュベートした。24時間のインキュベート後、IL−2分泌を、培養された細胞の上清中で評価した(図2C=15−2クローン;図2D=48−5クローン;図2E=45−1クローン;図2F=97−3ネガティブコントロールクローン)。
驚くべきことに、酸化の程度とT細胞ハイブリドーマのすべてに対する活性化の振幅との間に逆相関性がみられた(図2C−F)。このように、天然のLDLは最も高いIL−2反応をもたらし、一方で、高度に酸化されたLDL(すなわち、18時間酸化されたLDL)は全く活性化を引き起こさなかった。oxLDLの、インキュベート後の細胞の生存率に与える影響を検証すると、グループ間で顕著な差異はみられなかった(データ示さず)。これらのデータから、LDLにおけるエピトープへのT細胞の反応は、酸化により次第に減弱することが示唆される。
異なる長さの時間、銅により酸化されて、一定の範囲に酸化されたLDL粒子に対してT細胞ハイブリドーマを暴露することによるLDL粒子の酸化と免疫原性との間の関係がさらに分析された(図12E−G)。すべてのT細胞ハイブリドーマに対して、酸化の程度と活性化の振幅との間で逆相関性がみられた(図12E−G及び図13A)。このように、天然のLDLは最も強いIL−2反応を引き起こし、一方で、高度に酸化されたLDLは活性化を引き起こさなかった。
他のセットの実験において、MDA付加物形成によりLDLを修飾した。MDAは、脂質過酸化の間形成され、ApoB100における遊離アミノ基と反応して、MDA−リジン及び他の修飾残基が生成される(Fogelman et al.,1980,Haberland et al.,1988,Hamberg et al.,1974)。
したがって、それは、LDLの化学的に規定された酸化的修飾として考えられ得る。MDAの修飾は、リポタンパク質粒子のMDA暴露に程度に比例して、同様に銅によるLDLの酸化の程度に比例して、T細胞のLDL認識を低減させた(図13A)。注目すべきことに、反応の用量依存性は、所定の濃度でMDA修飾LDL粒子に対して検出され得たが、その振幅は、粒子の修飾の程度に逆相関した(図13A及びB)。同様の知見が、銅で酸化されたLDLで見られた(図13B)。
T細胞の活性化に対するoxLDLの抗原非依存的な、有害な作用を排除するために、出願人は、ApoB100、天然のLDL、OVA、又はポリクローナルなT細胞マイトジェンであるコンカナバリンAにより活性化されたT細胞への影響を試験した。天然のLDL及びApoB100を認識するT細胞ハイブリドーマは、培養液へのoxLDLの添加濃度を増やしていくと活性化が低くなったが、コンカナバリンAと共インキュベートしたときに活性化レベルは変わらなかった(図13C)。また、T細胞の活性化の未変化が、OVAを認識するトランスジェニックTCRを有し、その結果MHCクラスIIとの関連でOVAにより活性化されるOT−IIマウス由来の細胞を用いたときに見られた(図13A及びC)。T細胞の生存率は、この試験において用いられた濃度では、oxLDLにより影響を受けなった(図14)。トータルで、これらのデータにより、T細胞のLDL認識は、LDL酸化により次第に失われることが示唆される。
(実施例4:天然のApoB100に対する細胞性免疫反応は、ポリクローナルなT細胞集団において維持される)
アテローム硬化性病変がオリゴクローナルなT細胞を含むということが確立されており(Paulsson et al.,2000)、oxLDLで免疫されたマウス由来のハイブリドーマが天然のApoB100を認識するということが観察され、このような自己免疫反応がポリクローナルなT細胞集団で生じるのかということが問題となった。この仮説を、食餌を与えるとさらに、ヒトApoB100を含む高い血漿中レベルのLDLにより顕著な高コレステロール血症を進展させるhuB100tg×Ldlr−/−マウスにおいて検証した。これらのマウスを、oxLDL又は天然のApoB100で免疫し、その後、oxLDL又は天然のApoB100でこれらのマウス由来の脾臓のin vitroチャレンジ(challenge)を行った。前述同様、天然のApoB100は、最も高い増殖的なT細胞反応を誘発し、一方で、DNA合成で記録されたように、高度に酸化されたLDLは、活性化を引き起こさなかった。この活性化パターンは、oxLDL免疫マウス及びApoB100免疫マウスにおいて同様であった(図15)。反対に、抗体の反応が、oxLDL、天然のLDL、及びApoB100に対して検出された(図15B)。結果として、天然のApoB100へのT細胞の反応は、天然のエピトープと同様に、酸化されたエピトープにおいても、さまざまなエピトープに対してB細胞が抗体を産生するのを助け得る。おそらくアッセイの制限された感受性ゆえに、天然のApoB100へのT細胞の反応は、免疫されていないマウス由来の脾臓細胞調製液において検出されておらず、したがって、ApoB100での免疫による自己反応的なT細胞クローンの拡大は、反応を検出することを必要としていた(図16)。huB100tg×Ldlr−/−マウスにおける知見と同様に、天然のマウスLDLによるAPOe−/−マウスの免疫は、天然のLDL粒子へのT細胞の反応を消滅させ、このような反応はhuB100tgモデルに限定されないことが示唆された。
アテローム硬化性病変がオリゴクローナルなT細胞を含むということが確立されており(Paulsson et al.,2000)、oxLDLで免疫されたマウス由来のハイブリドーマが天然のApoB100を認識するということが観察され、このような自己免疫反応がポリクローナルなT細胞集団で生じるのかということが問題となった。この仮説を、食餌を与えるとさらに、ヒトApoB100を含む高い血漿中レベルのLDLにより顕著な高コレステロール血症を進展させるhuB100tg×Ldlr−/−マウスにおいて検証した。これらのマウスを、oxLDL又は天然のApoB100で免疫し、その後、oxLDL又は天然のApoB100でこれらのマウス由来の脾臓のin vitroチャレンジ(challenge)を行った。前述同様、天然のApoB100は、最も高い増殖的なT細胞反応を誘発し、一方で、DNA合成で記録されたように、高度に酸化されたLDLは、活性化を引き起こさなかった。この活性化パターンは、oxLDL免疫マウス及びApoB100免疫マウスにおいて同様であった(図15)。反対に、抗体の反応が、oxLDL、天然のLDL、及びApoB100に対して検出された(図15B)。結果として、天然のApoB100へのT細胞の反応は、天然のエピトープと同様に、酸化されたエピトープにおいても、さまざまなエピトープに対してB細胞が抗体を産生するのを助け得る。おそらくアッセイの制限された感受性ゆえに、天然のApoB100へのT細胞の反応は、免疫されていないマウス由来の脾臓細胞調製液において検出されておらず、したがって、ApoB100での免疫による自己反応的なT細胞クローンの拡大は、反応を検出することを必要としていた(図16)。huB100tg×Ldlr−/−マウスにおける知見と同様に、天然のマウスLDLによるAPOe−/−マウスの免疫は、天然のLDL粒子へのT細胞の反応を消滅させ、このような反応はhuB100tgモデルに限定されないことが示唆された。
(実施例5:天然のLDL及びApoB100へのT細胞の反応は、特異的なMHCクラスII分子に依存する)
精製されたApoB100が、免疫されたマウスから得られたCD4+T細胞ハイブリドーマの活性化を誘導することができるため、エピトープは、1−Abハプロタイプの本マウスのケースにおけるMHCクラスII複合体により提示されるペプチドであるという仮説が立てられた。MHCクラスIIの拘束性の評価のために、1×105ハイブリドーマ細胞を、異なる濃度のヒトApoB100とともに、同系ドナー(C57BU6;I−Ab)、すなわちI−Abハプロタイプであるマウス由来の、又は異なる遺伝子型(BALB/c;I−Ad)、すなわちI−Adハプロタイプであるマウス由来の4×105照射されたAPCとインキュベートした。同時に、ハイブリドーマ細胞を、anti−MHCクラスII遮断抗体とともに、I−Abハプロタイプの照射されたAPCの存在下で、ApoB100でチャレンジした(challenged)。24時間のインキュベート後、IL−2分泌を、培養された細胞の上清において評価した(A=15−2クローン;B=48−5クローン;C=45−1クローン;D=97−3ネガティブコントロールクローン)。
精製されたApoB100が、免疫されたマウスから得られたCD4+T細胞ハイブリドーマの活性化を誘導することができるため、エピトープは、1−Abハプロタイプの本マウスのケースにおけるMHCクラスII複合体により提示されるペプチドであるという仮説が立てられた。MHCクラスIIの拘束性の評価のために、1×105ハイブリドーマ細胞を、異なる濃度のヒトApoB100とともに、同系ドナー(C57BU6;I−Ab)、すなわちI−Abハプロタイプであるマウス由来の、又は異なる遺伝子型(BALB/c;I−Ad)、すなわちI−Adハプロタイプであるマウス由来の4×105照射されたAPCとインキュベートした。同時に、ハイブリドーマ細胞を、anti−MHCクラスII遮断抗体とともに、I−Abハプロタイプの照射されたAPCの存在下で、ApoB100でチャレンジした(challenged)。24時間のインキュベート後、IL−2分泌を、培養された細胞の上清において評価した(A=15−2クローン;B=48−5クローン;C=45−1クローン;D=97−3ネガティブコントロールクローン)。
図3において、マウスI−Abに対する遮断抗体を加えたときに、すべてのクローンに対するT細胞活性化の明確な抑制が見られた。BALB/cマウス由来のAPCを発現するミスマッチのI−Adは、抗原特異的なT細胞ハイブリドーマにApoB100を提示し得なかった。したがって、抗原特異的なT細胞によるApoB100タンパク質の認識は、抗原性タンパク質成分が同系のMHCクラスII分子により提示されることを必要とする。
ApoB100に結合しApoB100とともに共精製される可能性のある脂質の抗原が関係しているかどうかを検証するために、I−Abを有するがCD1dを欠くAPCにより提示されたApoB100へのT細胞の反応、及びT細胞に脂質抗原を提示するMHC様分子を評価した。しかしながら、APCにおいてCD1dを欠いていてもT細胞の反応を減弱させなかった(図4)。同様に、MHCクラスI分子を欠くI−Abマウス由来のAPCは、T細胞ハイブリドーマにApoB100抗原を提示することができた(図4)。これらの結果は、ApoB100抗原がMHCクラスII拘束CD4+T細胞により認識されることを示す。また、本実施例において記載された実験により、ApoB100への細胞性免疫反応がCD4+タイプのT細胞により増強され、反応するT細胞として同様のMHCタイプを有するAPCにおけるMHCクラスII分子に関与する抗原提示を要することが示唆される。このようなシナリオは、細胞外の空間から取り込まれたペプチド抗原のT細胞への古典的な提示に特徴的である。
(実施例6.天然のLDL及びApoB100に反応するT細胞は、TRBV31を発現する)
T細胞ハイブリドーマのTCRは、再アレンジされた可変ドメインのRT−PCR増幅を用いたmRNAレベルにおいて表される。RNA分離及びcDNA合成を、実施例1に記載の通り行った。
T細胞ハイブリドーマのTCRは、再アレンジされた可変ドメインのRT−PCR増幅を用いたmRNAレベルにおいて表される。RNA分離及びcDNA合成を、実施例1に記載の通り行った。
作製されたcDNAを、定常領域Cβ3’プライマーとともに適切なVβファミリー特異的5’プライマー(表2)、又は定常領域Cα3’プライマーとともに関連するVαファミリー特異的5’プライマー(表1)を用いて増幅させた。すべてのプライマーのデザインは、過去に公表されたプライマーに基づいていた(Lefranc,M.P.,Pommie,C,Ruiz,M.,Giudicelli,V.,Foulquier,E.,Truong,L.,Thouvenin−Contet,V.,and Lefranc,G.(2003).IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V−like domains.Dev Comp Immunol27,55−77)。PCR反応のためのマスターミックス(mastermix)は、l0mM Tris−HCI,50mM KCI,1.5mM MgCI2,1mM dNTP及び0.2U/mL Taqポリメラーゼ(Invitrogen)を含んでいた。すべてのプライマーを最終濃度0.2μMで加えた。反応を、94℃(40秒間)での変性、56℃(40秒間)でのアニーリング、72℃(1分間)の重合を用いた35サイクルで行った。PCR生成物を1.5%アガロースゲルで分析し、エチジウムブロマイド染色で視覚化した。
リアルタイムPCRを、ABI 7700シークエンスデテクター(Applied Biosystems,Foster City,CA,米国)において、CD3及びヒポキサンチン グアニン ホスホリボシル トランスフェラーゼ(HPRT)(Applied Biosystems,Foster City,CA,米国)に対するアッセイ−オンデマンド型のプライマー及びプローブを用いて行った。
定量的なTRBV31発現分析のために、遺伝子型決定プライマーを、TCRβ鎖の定常領域のヌクレオチド配列(5’−TCCACCCAAGGTCT−3’、配列番号53)に基づきデザインされたプローブと組み合わせて用いた。プローブは、ABIプライマー発現ソフトウェア(Applied Biosystems,Foster City,CA,米国)を用いてデザインされ、それは、5’末端に結合された6−カルボキシ−フルオレセイン(FAM)受容体分子(Applied Biosystems,Foster City,CA,米国)で合成された。データを式2−ΔΔCTによる相対発現方法に基づき分析した。ここで、ΔΔCTは=ΔCT(サンプル)−ΔCT(カリブレーター=各グループ内のすべてのサンプルの平均のCT値)であり、ΔCTは、ターゲット遺伝子のCTから減じたハウスキーピング遺伝子(HPRT)のCTである(Giulietti,A,Overbergh,L.,Valckx,D.,Decallonne,B.,Bouillon,R.,and Mathieu,C.(2001).An overview of real−time quantitative PCR:applications to quantify cytokine gene expression.Methods(San Diego, Calif 25,386−401)。結果を表3に要約する。
ハイブリドーマ細胞を産生するために用いられた融合パートナーの胸腺腫BW5147(実施例1を参照)は、再アレンジされたTRAV20及びTRBV12.1可変鎖を発現し、すべてのハイブリドーマはまた、mRNAレベルでこれらの鎖を発現していた(表1、2及び3、図5)。天然のヒトLDL及びApoB100に特異的なすべてのT細胞ハイブリドーマは一様に、TCR TRBV31(T細胞受容体ベータ可変3−1を有するT細胞)を発現し、他のVβファミリーはそこでは同定されなかった。反対に、反応するハイブリドーマにおけるVα鎖の使用は、15−2、45−1及び48−5各々に対して異なるファミリーであるTRAV3、4及び13を含んでいた(表3)。反応しないハイブリドーマに対して、VβやVαのTCR可変鎖は、拘束されない態様で発現され、TRBV31を含んでいなかった(データは示さず)。LDL反応ハイブリドーマの各々において、TRBV31 T細胞受容体鎖の表面発現が、フローサイトメトリー分析により確認された(表3及び図6)。すべての商業的に入手可能なanti−マウスTCR−Vα及びTCR−Vβモノクローナル抗体(mAb,BD PharMingen,San Diego,CA,米国)は、選択されたT細胞ハイブリドーマにおいてTCR−Vα及びTCR−Vβを染色するために用いられた。TCR−V mAbを、PE、FITC、又はビオチン/ストレプトアビジン−Cy5に結合させた。これらの抗体との組み合わせで、anti−CD3−パシフィックブルー及びanti−CD4−APCを用いた。免疫していないマウス由来の脾臓細胞を、すべての抗体に対するポジティブコントロールとして用いた。細胞を、CyAn(商標名)ADPフローサイトメトリー(Dako、Glostrup、デンマーク)において分析した。
(実施例7.TRBV31+T細胞の枯渇は、ApoB100への増殖性反応を低減させる)
ApoB100の認識に対するTRBV31可変鎖の全体の重要性を直接的に検証するために、マウスをApoB100で免疫してブーストさせ、その後in vitroで脾臓由来のTRBV31+T細胞の枯渇を起こした。huB100tg×Ldlr−/−マウスを、ApoB100で皮下注射により免疫してブーストさせた。脾臓細胞を採取し、蛍光発色セルソーティング(FACS)により、脾臓由来のTRBV31+又はTRBV19+T細胞のin vitroでの枯渇を起こした。60×106の脾臓細胞を2つに分け、各々独立してanti−TRBV31及びanti−TRBV19(PharMingen,San Diego,CA,米国)で染色した。ApoB100を認識するどのハイブリドーマもTRBV19利用を提示しなかったため、TRBV19をソーティング過程のコントロールとして用いた。驚くべきことに、LDL又はApoB100を認識しないTRABV19 TRAV13.2鎖を発現する、クローン96.7及び97.3は、HDLへの反応性を示した(データを示さず)。細胞を染色後、それらを、ポジティブイベントの枯渇のためにMoFlo Cytomationセルソーター(Cytomation Bioinstruments,Freiburg,ドイツ)においてソーティングした。ネガティブな細胞をその後収集し、ApoB100に対する増殖アッセイにおいて用いた。
ApoB100の認識に対するTRBV31可変鎖の全体の重要性を直接的に検証するために、マウスをApoB100で免疫してブーストさせ、その後in vitroで脾臓由来のTRBV31+T細胞の枯渇を起こした。huB100tg×Ldlr−/−マウスを、ApoB100で皮下注射により免疫してブーストさせた。脾臓細胞を採取し、蛍光発色セルソーティング(FACS)により、脾臓由来のTRBV31+又はTRBV19+T細胞のin vitroでの枯渇を起こした。60×106の脾臓細胞を2つに分け、各々独立してanti−TRBV31及びanti−TRBV19(PharMingen,San Diego,CA,米国)で染色した。ApoB100を認識するどのハイブリドーマもTRBV19利用を提示しなかったため、TRBV19をソーティング過程のコントロールとして用いた。驚くべきことに、LDL又はApoB100を認識しないTRABV19 TRAV13.2鎖を発現する、クローン96.7及び97.3は、HDLへの反応性を示した(データを示さず)。細胞を染色後、それらを、ポジティブイベントの枯渇のためにMoFlo Cytomationセルソーター(Cytomation Bioinstruments,Freiburg,ドイツ)においてソーティングした。ネガティブな細胞をその後収集し、ApoB100に対する増殖アッセイにおいて用いた。
その後、5×105のTRBV31+/TRBV19−又はTRBV19+/TRBV31−の脾臓細胞を、異なる濃度のヒトApoB100で、in vitroでチャレンジした(challenged)。刺激指標を、実施例2に記載の通り、H3−チミジン取り込みにより得た。脾臓由来のTRBV31+T細胞の枯渇は、in vitroでのチャレンジ(challenge)におけるApoB100抗原への反応の顕著な低減を引き起こし、それは、可変鎖、TRBV19を発現するT細胞が脾臓細胞集団から枯渇されたときに観察された(図7)。したがって、このモデルにおけるApoB100への細胞性免疫反応のかなりの割合については、TRBV31+T細胞により行われる。
(実施例8.TRBV31ペプチドに対する免疫は、ApoB100のT細胞認識を阻害する)
T細胞のLDLタンパク質への反応を阻害するために、出願人は、CDRドメインを含むTRBV31由来のペプチドを合成し、KLHキャリアタンパク質に結合させ、huB100tg×Ldlr−/−マウスの免疫のための調製に用いた。この処理により、TRBV31の配列に特異的な抗体が産生された(図17B)。免疫されたマウス由来の循環しているIgG抗体は、LDL反応性のTRBV31+ハイブリドーマには結合する(図17C)が、反応しないTRBV31のネガティブハイブリドーマには結合せず(図17D)、TRBV31ペプチドで免疫されたマウス由来のIgGの添加は、ApoB100への反応におけるT細胞ハイブリドーマの活性化を阻害した(図17E)。このように、TRBV31ペプチによるhuB100tg×Ldlr−/−マウスの免疫は、TCR TRBV31がLDLタンパク質を認識しないようにする遮断抗体の産生を誘導した。我々は、実験動物の動脈及び脾臓においてTRBV31 mRNAのレベルが著しく低減され(図17F)、これはTCRに結合する抗体がTRBV31+T細胞の拡大を妨害するためかもしれないということを見出した。
T細胞のLDLタンパク質への反応を阻害するために、出願人は、CDRドメインを含むTRBV31由来のペプチドを合成し、KLHキャリアタンパク質に結合させ、huB100tg×Ldlr−/−マウスの免疫のための調製に用いた。この処理により、TRBV31の配列に特異的な抗体が産生された(図17B)。免疫されたマウス由来の循環しているIgG抗体は、LDL反応性のTRBV31+ハイブリドーマには結合する(図17C)が、反応しないTRBV31のネガティブハイブリドーマには結合せず(図17D)、TRBV31ペプチドで免疫されたマウス由来のIgGの添加は、ApoB100への反応におけるT細胞ハイブリドーマの活性化を阻害した(図17E)。このように、TRBV31ペプチによるhuB100tg×Ldlr−/−マウスの免疫は、TCR TRBV31がLDLタンパク質を認識しないようにする遮断抗体の産生を誘導した。我々は、実験動物の動脈及び脾臓においてTRBV31 mRNAのレベルが著しく低減され(図17F)、これはTCRに結合する抗体がTRBV31+T細胞の拡大を妨害するためかもしれないということを見出した。
(実施例9.TRBV31+TCRに対する免疫は、アテローム性動脈硬化に効果を奏する)
ApoB100反応性TRBV31+T細胞集団のアテローム性動脈硬化に対する影響を検証するために、huB100tg×Ldlr−/−マウスをTCR TRBV31に由来するペプチドで免疫した。これらの実験において、11週齢の雄huB100tg×Ldlr−/−マウス(C57BLI6,129_Apobtm2Sgy LdlrtmlHer(Skalen.K.,Gustafsson,M.,Rydberg,E.K.,Hulten,L.M.,Wiklund,O.,Innerarity,T.L.,and Boren,J.(2002).Subendothelial retention of atherogenic lipoproteins in early atherosclerosis.Nature 417,750−754)、Goteborg大学、Jan Boren氏より提供)を用いた。これらのマウスでは、200−400mg/dLの血清中コレステロールレベルを30倍上げられており、高脂肪食餌を与えられると非常に高いレベル(>2,000mg/dL)となる。マウスを100μgのTRBV31ペプチドで皮下注射により免疫した。このTRBV31ペプチドは、TCRのβ鎖のCDR2可変領域の部分を含む(アミノ酸残基45−62、“ATGGTLQQLFYSITVGQV”、配列番号1)。ペプチドを合成し、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(Anaspec、San Jose、CA、米国)に結合させた。
ApoB100反応性TRBV31+T細胞集団のアテローム性動脈硬化に対する影響を検証するために、huB100tg×Ldlr−/−マウスをTCR TRBV31に由来するペプチドで免疫した。これらの実験において、11週齢の雄huB100tg×Ldlr−/−マウス(C57BLI6,129_Apobtm2Sgy LdlrtmlHer(Skalen.K.,Gustafsson,M.,Rydberg,E.K.,Hulten,L.M.,Wiklund,O.,Innerarity,T.L.,and Boren,J.(2002).Subendothelial retention of atherogenic lipoproteins in early atherosclerosis.Nature 417,750−754)、Goteborg大学、Jan Boren氏より提供)を用いた。これらのマウスでは、200−400mg/dLの血清中コレステロールレベルを30倍上げられており、高脂肪食餌を与えられると非常に高いレベル(>2,000mg/dL)となる。マウスを100μgのTRBV31ペプチドで皮下注射により免疫した。このTRBV31ペプチドは、TCRのβ鎖のCDR2可変領域の部分を含む(アミノ酸残基45−62、“ATGGTLQQLFYSITVGQV”、配列番号1)。ペプチドを合成し、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(Anaspec、San Jose、CA、米国)に結合させた。
KLHは、海産軟体動物のキーホールリンペットから単離された天然のタンパク質であり、ハプテン及びイディオタイプのタンパク質といった他の弱い抗原に対する抗原性の免疫反応をin vivoで増強させる免疫原性のキャリアタンパク質である。TRBV31ペプチド−KLH結合体を完全フロイントアジュバントで乳化させ、マウスをIFAで乳化された同様の抗原で4週間後にブーストさせた。コントロール群のマウスを、ペプチドに関する同様のプロトコールを用いて、100μgのKLHで皮下注射により免疫した。マウスには、免疫後5日後からCO2で屠殺する10週間後まで、高脂肪食(0.15%コレステロール)を与え続けた。加えて、C56BL16のバックグラウンドにおけるマウス由来の照射された脾臓細胞を、ハイブリドーマ実験において抗原提示細胞(APC)として用いた。すべての実験は、地域倫理委員会により承認された。
フロイントアジュバント中の、CDR2ドメインの部分を示しキャリアタンパク質に結合された、このTRBV31ペプチドによる皮下注射の免疫は、TCR TRBV3に対する抗体の産生を誘導した(図8A−D)。TRBV31に特異的な抗体の力値を、ELISAにより評価した。端的に言うと、50μLのTRBV31ペプチド(pH7.4のPBS中、5μg/mL)を96ウェルのELISAプレートに加え、4℃で一晩、インキュベートした。コーティングされたプレートをPBSで洗い、その後、室温で1時間、PBS中、1%ゼラチン(Gibco Invitrogen,Carlsbad,Calif、米国)でブロックした。次に、プレートを洗浄し、トリス緩衝食塩水(TBS)/ゼラチン0.1%で希釈されたマウス血漿でさらに2時間インキュベートした。洗浄後、トータルのIgG及びIgGアイソタイプを、酵素結合anti−マウス抗体(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ、米国)を用いて検出した。プレートを洗浄し、TMB基質試薬(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ、米国)を用いて発色反応を行った。マイクロプレートリーダー(VersaMax,Molecular Devices,Sunnyvale,CA、米国)を用いて、吸光度を測定した。図8Aは、ELISAにより測定されたTRBV31ペプチドに対するIgG抗体の力価を示す。このデータは、免疫がTRBV31に由来するペプチドに対する高い力価の抗体を誘導したことを示す。
アフィニティー精製した免疫されたマウス由来の循環IgG抗体は、LDL反応TRBV31+ハイブリドーマ(48−5クローン)を染色し(図8B)、それは、これらのIgG抗体がこのような細胞のTCRに結合することを示唆する。KLH又はTRBV31免疫マウス由来のトータルのIgG血漿抗体を、protein−Gカラム(GE healthcare、Uppsala、スウェーデン)を用いてアフィニティー精製した。1×104のハイブリドーマ細胞(クローン48−5)を4×104照射されたAPCの存在下で40μg/mLのApoB100と培養した。ハイブリドーマの活性化の遮断のために、図8Cに示されるように、0.1、1、10、及び100μg/mLの濃度で、異なる抗体(KLH IgG又はTRBV31 IgG)を培養の始めに加え、培養の間にわたって存在させた。24時間のインキュベート後、上清中のIL−2を測定した。図8Cにおいて、TRBV31−ペプチド免疫マウス由来のIgGがApoB100への反応におけるT細胞ハイブリドーマ(48−5)の活性化を阻害したことが見られ得る。このように、免疫は、TCR TRBV31の抗原認識を抑制する抗体の産生を引き起こした。ハイブリドーマクローン48−5は、2009年1月22日に受託番号DSM ACC2986で、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikro−organismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse7B,38124 Braunschweig、ドイツ)にブタペスト条約により寄託された。
最後に、アテローム性動脈硬化におけるTRBV31+T細胞の役割を、huB100tg×Ldlr−/−マウスによる実験で検証した。これらの動物を、KLHキャリアタンパク質に結合されたTRBV31−ペプチドで免疫し、その後単回の注入によりブーストさせた;アテローム硬化性病変を免疫から10週間後に分析した。KLHのみで免疫されたマウスをコントロールとして用いた。
アテローム性動脈硬化におけるTRBV31+T細胞の役割の検証試験の間、自然発生したアテローム性動脈硬化を進展させるhuB100tg×Ldlr−/−マウスをTRBV31に対して免疫した。これにより、キャリアタンパク質で免疫したコントロールマウスに比して、大動脈基部における病変サイズが65%減少した(図18A)。病変サイズは一様に、病変分布において検出可能な変化を見せることなく、TRBV31免疫マウスの近位大動脈の横断面において減少した(図18A)。また、病変を、大動脈弓の調製物の正面像で、脂質病変領域のズダンIV染色後に分析した(図18B)。
ここで、TRBV31免疫により、病変領域における57%の減少が見られた。血漿コレステロール、トリグリセリド、ApoB100レベル、及びリポタンパク質のプロファイルについては、LDL及びoxLDLへの抗体力価と同様に、変化しなかった(図20)。病変の免疫組織化学により、マクロファージのレベルが50%減少し(図19A)、一方で、T細胞の浸潤において顕著な効果が見られた(図19C)ことが示される。我々は、MHCクラスIIタンパク質I−Aの発現低下に付随した、炎症の実質的な低下を観察した(図20B)。さらに、ケモカイン、CCL2(単球走化性タンパク質−1)に対する大動脈のmRNAが、ペプチド免疫されたマウスで顕著に減少し、一方で、CCL5(RANTES)は変化しなかった(図19D及びE)。要約すると、天然のApoB100のTCR TRBV31認識の停止により、血管の炎症が低減され、アテローム性動脈硬化の進展が阻害される。
屠殺されたマウス由来の血液を、心穿刺により収集した。その後、滅菌RNase非含有PBSを用いて血管かん流を行った。胸部大動脈及び心臓を病変分析のために解剖し、保存した。脾臓の3分の2を細胞実験のために保存し、3分の1を後のRNA分離のために凍結させた。鼠径部からリンパ節を排出させ、また、腹部大動脈をRNA分離のために凍結させ保存した。病変分析は、過去に開示された通りに行った(Nicoletti,A.,averi,S.,Caligiuri,G.,Bariety,J.,and Hansson,G..(1998).Immunoglobulin treatment reduces atherosclerosis in apo E knockout mice.J Clin Invest 102,910−918)。端的に言うと、心臓を大動脈基部の近位1mmから連続的に切開した。ヘマトキシリン/Oil Red O染色の切片を、イメージJソフトウェア(NIH,Bethesda,MD,米国)を用いた病変サイズの評価に用いた。図9Aにおいて、平均病変サイズを、大動脈基部の1−mmセグメントにわたって、100I−lmごとに収集された8セクションを評価した後に決定した。図9Bは、各セクションに対して捉えられたイメージ並びに病変及び血管全体の表面積を測定したことを示す。フラクション領域の病変(%)は、病変で占められた横断面の領域と血管全体の横断面の領域との間の比率である。
TRBV31−ペプチドによる免疫は、KLHキャリアタンパク質のみで免疫したコントロールマウスに比して、大動脈基部の病変サイズの劇的かつ高度に顕著な70%の減少をもたらした(p<0.01)ことが見られ得た。
この効果は、anti−TRBV31抗体の誘導とパラレルであったが、oxLDL、血漿コレステロール又はトリグリセリドレベルに対する抗体の力価には影響していなかった(図10及び11)。
血漿コレステロール及びトリグリセリドを、酵素的比色分析特異的キット(Randox Lab.Ltd.Crumin,英国)により、その使用説明書に従って評価した。
TCR TRBV31 mRNAを、下記の通り、両方の免疫されたグループの動脈でのリアルタイムPCRにより定量した:RNA分離及びcDNA合成を前述の通り行った(前述を参照)。リアルタイムPCRを、ABI7700シークエンスデテクター(Applied Biosystems,Foster City,CA,米国)において、CD3及びヒポキサンチン グアニン ホスホリボシル トランスフェラーゼ(HPRT)(Applied Biosystems,Foster City,CA,米国)に対するアッセイ−オンデマンド型のプライマー及びプローブを用いて、行った。TRBV31発現の分析のために、遺伝子決定プライマーを、TCR13鎖の定常領域のヌクレオチド配列(5’−TCCACCCAAGGTCT−3’、配列番号54)に基づきデザインされたプローブと組み合わせて用いた。プローブを、ABIプライマー発現ソフトウェア(Applied Biosystems,Foster City,CA,米国)を用いてデザインし、5’末端に結合された6−カルボキシフルオレスセイン(FAM)受容体分子(Applied Biosystems,Foster City,CA,米国)を用いて合成した。データを、式2ΔΔCTを用いた相対発現方法に基づき分析した(ここで、ΔΔCT=ΔCT(サンプル)−ΔCT(カリブレーター=グループ内のすべてのサンプルの平均CT値)、ΔCTは、ターゲット遺伝子のCTから差し引かれたハウスキーピング遺伝子(HPRT)のCTである)(Giulietti et al.,2001)。
TCR TRBV31 mRNAは、コントロールマウスと同様、免疫されたマウスの大動脈においても存在し(図10D)、T細胞のこの集団は減弱されないが、同種抗原の認識をしないようにされていることが確認された。結論として、TCR TRBV31の天然ApoB100タンパク質の認識の中止は、アテローム性動脈硬化を阻害する。
oxLDL粒子が強い免疫反応を引き起こすことは明白である(例えば、Palinski,W.,Yla−Herttuala,S.,Rosenfeld,M.E.,Butler,S.W.,Socher,S.A.,Parthasarathy,S.,Curtiss,L.K.,and Witztum,J.L. (1990).Antisera and monoclonal antibodies specific for epitopes generated during oxidative modification of low density lipoprotein.Arteriosclerosis 10,325−335 and Zhou X et al,Arterioscler Thromb Vase Biol 21:108−114,2001を参照)。T細胞依存的な抗体は、ApoBにおいてアルデヒド付加物へと形成され、APC−T細胞培養物のoxLDLへの暴露は、CD4+T細胞活性化を引き起こし得るため、T細胞は、天然のアポリポタンパク質の酸化により誘導されたApoB100においてエピトープを認識すると仮定されてきた。その代わりに、本発明は、oxLDLで免疫されたマウス由来のT細胞が天然のLDLにおけるモチーフを選択的に認識することを示す。これらのエピトープは、天然のApoB100タンパク質の成分であり、その免疫反応性は、LDL粒子の酸化的修飾により高められるよりもむしろ消滅される。
本知見において特定されたLDLへの細胞性免疫反応は、CD4+T細胞により増強され、MHCクラスII拘束性を示した。精製されたApoB100タンパク質が完全なLDL粒子と同様の反応を誘発したという事実は、抗原提示細胞におけるApoBの細胞内プロセシングが、ペプチド−MHC複合体としてT細胞により認識されたオリゴペプチドエピトープを産生したことを強く示唆する。I−AbがT細胞反応に必須であり、他のMHCクラスII分子、I−Adによって置換され得るという事実はさらに、MHCに結合する特異的なオリゴヌクレオチドが、クロノタイプのTCRが相互作用し得るリガンドを構成しているという考えを支持する。
APCがApoB100エピトープを提示する高い能力を有するため、LDLに対する自己免疫的反応の著しいリスクが存在する。この種の全身性の反応は、LDLが循環システム全体及びすべての臓器に存在するために、明らかに有害であり得る。T細胞クローンに反応するすべてのApoB100は、早期に胸腺において消失されると過去に仮定されており、すなわち、自己免疫は中枢性トレランスにより回避される。現在のデータは、この可能性を排除している。T細胞に反応するLDLは、huB100tg×Ldlr−/−マウスにおいて存在していることが明確に立証された。これらの知見に従って、免疫システムが多くの末梢の抗原に対してまったく耐性化し得ないこと、及び自己反応的なT細胞の存在それ自体が健康な個体において自己免疫の危険性をもたらし得ないことが示唆されてきた。それゆえ、ApoB100−反応性Tリンパ球はおそらく末梢細胞の範囲の一部である。
自己反応性が早期に中枢性トレランスにより完全に排除されるわけではない場合、自己免疫反応は末梢性トレランスのメカニズムにより回避されなければならない。それらは、例えば、M2マクロファージ及び制御性T細胞といった免疫制御性サイトカインを分泌する細胞により、自己反応性の活性抑制に依存する。さらに、肝臓で合成されたタンパク質は、選択的に寛容原性の免疫を誘導することが報告されてきた。ApoB100は肝臓で生成されるため、通常の環境下では自己免疫アタックを免れ得る。しかしながら、Th1エフェクター細胞の活性化に好適な環境下での動脈壁における集積は、耐性のブレイク及びApoB100成分への免疫反応の誘導をもたらし得る。
現在のデータは、疾患プロセスへの前アテローム形成寄与因子(proatherogenic contributors)として、TCR TRBV31を有し、LDLの天然のApoB100タンパク質を認識するCD4+T細胞を指摘する。しかしながら、それらは、他の抗原及び免疫細胞の関与を除外していない。したがって、所定のタイプのLDLの修飾が粒子に対して自己免疫反応を引き起こすことは除外され得ない。in vivoで粒子において引き起こされる酸化的変化は、銅といった金属イオンにより引き起こされるそれとは異なり得る。さらに、ハイブリドーマのストラテジーは、細胞のほんの一部における詳細な情報を提供し、ある反応性は分析されたハイブリドーマの範囲では示されないかもしれない。最後に、現在のストラテジーは、エンドサイトーシスのMHCクラスII拘束性のCD4+T細胞への経路を介してプロフェッショナルなAPCにより提示された抗原に焦点をあてていた。LDLの免疫反応性への付加的な重要な寄与因子は、CD1を介して提示される脂質抗原を認識するNTK細胞、MHCクラスI拘束性抗原を認識するCD8+T細胞、及びB細胞に起因し得る。
アテローム性動脈硬化を起こしやすいhuB100tg×Ldlr−/−マウスのTCR TRBV31に対する免疫は、アテローム性動脈硬化の免疫病理学に重要な洞察をもたらした。高度免疫の血清から分離した抗体は、ApoB100に応えてT細胞の活性化を遮断し、フローサイトメトリーによるTCR TRBV31+細胞の消滅は、脾臓細胞培養物におけるT細胞のApoB100への反応を鈍らせる。しかしながら、該免疫ストラテジーにより誘導された抗体は、TCR TRBV31+T細胞による抗原認識を遮断したが、大動脈由来のそれらを排除しなかった。
anti−TRBV31抗体遮断の誘導は、huB100tg×Ldlr−/−マウスにおけるアテローム性動脈硬化の70%低減に関係していた。低減の強度は、同様のモデル(Urban,R.G.,Chicz,R.M.,and Strominger.J.L.(1994).Selective release of some invariant chain−derived peptides from HLA−DR 1 molecules at endosomal pH. J Exp Med 180,751−755;Freigang,S.,Horkko,S.,Miller,E.,Witztum,J.L.,and Palinski,W.(1998).Immunization of LDL receptor−deficient mice with homologous malondialdehyde−modified and native LDL reduces progression of atherosclerosis by mechanisms other than induction of high titers of antibodies to oxidative neoepitopes. Arterioscler Thromb Vase Biol 18,1972−1982)でのLDL調製物による免疫で得られたのよりもさらに良好であり、それゆえ、ApoB100エピトープを認識する一部のT細胞がアテローム性動脈硬化の進展において重要な役割を果たしていることを強く示唆する。TCR TRBV31は、免疫後、大動脈から消失しなかったため、MHC抗原複合体の認識の遮断は、疾患プロセスを阻害するのに十分であり得る。
huB100tg×Ldlr−/−モデルの使用は、アテローム性動脈硬化における細胞性自己免疫反応を調査するための明確に定義されたヒトLDL調製物の使用を可能にした。
oxLDLのT細胞認識の上述の例に従えば、oxLDLで免疫されたマウス由来のT細胞ハイブリドーマが作製され、マウスは導入遺伝子(huB100t9)としてヒトApoB100を有している。これらのマウスは、高いレベルのApoB100を産生し、また、天然のヒトLDLに耐性を有することが期待される。
ゆえに、前述の実施例で例示された実験は、驚くべきことに、oxLDLで免疫されたマウス由来のT細胞ハイブリドーマを有し、導入遺伝子(huB100t9)としてヒトApoB100を有しているマウスにおいて、天然のLDL及び精製されたApoB100に対するT細胞の反応が見られ、一方で、LDLの酸化がこれらの反応を鈍らせたことを示す。反応するT細胞は、MHCクラスII拘束CD4+細胞であり、TRBV31タイプの可変13ドメインを含むT細胞受容体(TCR)を発現した。TRBV31+T細胞の排除は、ApoB100への細胞性免疫反応を弱め、TCR TRBV31に由来するペプチドに対する高コレステロール血症マウスの免疫は、アテローム性動脈硬化の進展を阻害した。
これらの結果は、天然のLDL由来のタンパク質エピトープを認識する自己免疫T細胞がアテローム性動脈硬化を促進することを強く示唆する。
(実施例10.天然の低比重リポタンパク質へのT細胞の反応の阻害及びアテローム性動脈硬化に対する関連する効果)
天然のLDLへのT細胞の反応の阻害及びアテローム性動脈硬化に対する関連する効果を示す付加的なデータ及び実験は、米国仮出願第61/385,548号のAppendix Aとして封入されたHermansson et al.“Inhibition of T cel l response to native low−density lipoprotein reduces atherosclerosis”,J Exp Med 2010 207:1081−1093(2010年3月3日公表、doi:l0.1084/jem 20092243)の文献において示される(本開示の不可欠な部分を形成し、全体において参照により本明細書に取り込まれる)。
天然のLDLへのT細胞の反応の阻害及びアテローム性動脈硬化に対する関連する効果を示す付加的なデータ及び実験は、米国仮出願第61/385,548号のAppendix Aとして封入されたHermansson et al.“Inhibition of T cel l response to native low−density lipoprotein reduces atherosclerosis”,J Exp Med 2010 207:1081−1093(2010年3月3日公表、doi:l0.1084/jem 20092243)の文献において示される(本開示の不可欠な部分を形成し、全体において参照により本明細書に取り込まれる)。
当業者は、Appendix Aの実験に基づき、本開示を考慮して、T細胞反応を阻害し、及び/又はアテローム性動脈硬化に治療効果をもたらすのに適する、例えばタンパク質又はそのフラグメント及び/若しくはその誘導体を阻害する、さらなる免疫剤を特定することができる。
具体的には、本開示において記載される、より具体的には米国仮出願第61/385,548号のAppendix Aにおいて記載されるアッセイ及び実験は、ペプチド/フラグメント及び抗体、又はそれらの誘導体といった剤の機能を試験するための典型的な方法を提供する。
(実施例11.TRBV31、TRAV14、TRAV12及び/又はTRAV4の配列)
ハイブリドーマ15−2、48−5及び45−1由来のTCRベータ可変31及びTCRアルファ可変14、12及び4の配列が決定され、配列は、下述の表4に示される。
ハイブリドーマ15−2、48−5及び45−1由来のTCRベータ可変31及びTCRアルファ可変14、12及び4の配列が決定され、配列は、下述の表4に示される。
反応性のハイブリドーマクローンにおける上述のTRAV及びTRBV配列の発現は、前述の表3で報告される。反応性クローン由来のcDNAを、定常領域Cβ3’プライマーと適切なVβ−特異的5’プライマー、又は定常領域Cα3’プライマーと関連するVβ−特異的5’プライマーを用いたPCRにより増幅した(表1及び2)。
TRBV30の配列はまた、当業者により認識され得、例えば下述の表5に示される配列を含む。
上述の配列に関連するさらなるデータが、本出願及びPCT/SE2010/050299の図1−6において見出され得る(全体において参照により本明細書に取り込まれる)。
当業者は、本開示を考慮して、T細胞反応を阻害し、及び/又はアテローム性動脈硬化に治療効果をもたらすのに適する、例えばタンパク質又はそのフラグメント及び/若しくはその誘導体を阻害する、さらなる免疫剤を特定することができる。具体的には、さらなる剤は、TRBV31、TRAV14、TRAV12及びTRAV4に対して本明細書に詳細に記載されるハイブリドーマの一つを用いて認識可能である。
(実施例12.TCRトランスジェニック(TRBV31+TRAV12+)マウス由来の脾臓細胞はヒトApoB100に反応する)
TCR鎖をコードするDNAを、発現ベクターにサブクローニングし、トランスジェニックマウスを作製するために用いた(Hoist,J.et al.,Nat Protoc,1,406.2006)。TCRトランスジェニックマウス由来の脾臓細胞の刺激は、TCR TRBV31を有するT細胞が強くヒトApoB100に反応することを示す。
TCR鎖をコードするDNAを、発現ベクターにサブクローニングし、トランスジェニックマウスを作製するために用いた(Hoist,J.et al.,Nat Protoc,1,406.2006)。TCRトランスジェニックマウス由来の脾臓細胞の刺激は、TCR TRBV31を有するT細胞が強くヒトApoB100に反応することを示す。
本明細書において、TRBV31+TRAV12+細胞で行われた典型的な実施例が報告される。
3匹のTCRトランスジェニックマウス(マウス#4、31及び33)由来又はコントロールの野生型マウス由来の脾臓細胞を、ヒトApoB100(10μg/mL)と培養した。72時間後、上清をELISAによるIFNγ評価のために保存し、残りの培養液を増殖の決定のために1μCi(3H−チミジン)でパルスした。結果を図21に示し、結果を各マウスのデュプリケートのウェルの結果の平均±SEMとして表す。
具体的には、図21Aにおいて、TRBV31+TRAV12+細胞は、同族抗原のヒトApoB100の認識により高レベルの前炎症性(pro−inflammatory)のサイトカインであるIFNγを分泌することが示される。図21Aで示される結果に一致して、図21Bにおいて、これらの細胞が高速に増殖することも示される。
トランスジェニックマウスの生殖細胞系列を有する、トランスジェニックT細胞受容体がこの反応性を示すという事実は、T細胞受容体がヒトLDLタンパク質を認識することを裏付ける。具体的には、本明細書において示されるトランスジェニックマウスのデータは、TRBV31/TRAV12がLDLのApoB100タンパク質に特異的であるということを裏付ける。
当業者は、本開示を考慮して、本明細書に記載された、具体的にはTRBV31、TRAV4、TRAV12及びTRAV14に関連する化合物、並びにT細胞反応の阻害に関連し、及び/又はアテローム性動脈硬化に治療効果をもたらす、ハイブリドーマにおいて記載された付加的な化合物のさらなる効果を特定することができる。
要約すると、いくつかの実施態様において、修飾されたLDLに対するT細胞の反応を、oxLDLでマウスを免疫することで検証した。T細胞ハイブリドーマは、このようなマウスで確立され、酸化された又は天然の形態のLDLへの反応性について分析した。反応性クローンは、酸化されたLDLには反応しなかったが、天然のLDL及び精製されたアポリポタンパク質B−100には反応した。反応するハイブリドーマは、CD3+4+8−であり、MHCクラスII抗原I−Abにより拘束され、異なるVアルファ鎖との組み合わせで単一のT細胞受容体可変(V)ベータ鎖(TRBV31)を発現していた。TRBV31に対するhuB100tg×Ldlr−/−マウスの免疫により、アテローム性動脈硬化が低減され、それは、T細胞のApoB100認識を遮断するanti−TRBV3抗体の進展とパラレルであった。
前述で記載された実施例は、本開示の組成物、ペプチド、タンパク質、方法及びシステムの実施態様をどのように作り用いるかについての完全な開示及び説明を本技術分野における当業者に示すために提供され、本発明者らが本開示としてみなす範囲に限定されることを意図するものではない。本技術分野における当業者に明白である、本開示を実施するための上述の形態の変形が、下記の特許請求の範囲の範囲内に含まれるよう意図される。本明細書において説明されたすべての特許及び公表物は、本開示が関係する本技術分野における当業者のスキルのレベルを示す。本開示に引用されたすべての参照は、各参照が個別に全体において参照により取り込まれたように、同程度に参照により取り込まれる。さらに、ともに提出される配列表の紙のコピー及び関連するコンピューター読み出し可能な形態は、両方と、全体において参照により本明細書に取り込まれる。
背景技術、発明の解決しようとする課題、発明を実施するための形態及び実施例において引用された各文献の全体の開示(特許、特許出願、学術文献、アブストラクト、実験マニュアル、書籍又は他の開示)は、参照により本明細書に取り込まれる。この開示に引用されたすべての参照は、各参照が各々全体において参照により取り込まれたのと同様に、参照により取り込まれる。しかしながら、引用された参照と本開示との間に何らかの矛盾が生じた場合には、本開示が優先される。
本明細書において用いられた用語及び表現は、明細書の用語として用いられ、限定されることはなく、示された及び記載された特徴の同等物又はその一部を排除する用語及び表現の使用の意図はない。しかし、種々の変形がクレームされた開示の範囲内において可能であると認識される。したがって、本開示は好ましい実施態様により特に開示されているものの、本明細書において開示された典型的な実施例、任意の特徴、コンセプトの変形及びバリエーションが本技術分野における当業者によって見出され、このような変形及びバリエーションが添付された特許請求の範囲により規定される通りの本開示の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。
また、本明細書で用いられる専門用語は、具体的な実施態様を記載する目的で用いられ、これに限定される意図はないことが理解されるべきである。本明細書及び添付された特許請求の範囲において用いられるように、単数形の用語“a”、“an”及び“the”は、特に明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。用語“複数”は、特に明確な指示がない限り、2又は3以上の指示対象を含む。他に規定されない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書においてマーカッシュグループ又は他のグルーピングが用いられる場合、グループのすべての個々のメンバー、並びにグループのすべてのコンビネーション及び可能性のあるサブコンビネーションは、本開示において個別に含められるように意図される。本明細書において記載又は例示される成分又はマテリアルの各々のコンビネーションは、他に説明のない限り、本開示を実施するために用いられ得る。本技術分野における当業者は、特に例示されたもの以外の方法、装置要素、及びマテリアルが過度な実験をすることなく本開示の実施において用いられ得ることを認識する。方法、装置要素、及びマテリアルといったすべての技術的に公知の機能的同等物が、本開示において含められるように意図される。例えば、温度の範囲、頻度の範囲、時間の範囲、又は組成物の範囲といった、範囲が本明細書において与えられる場合は、与えられる範囲に含まれる値と同様に、すべての中間の範囲及びすべての部分的な範囲も本開示に含められることが意図される。本明細書に記載される範囲又はグループのいかなる1又は2以上の個々のメンバーも、本開示の特許請求の範囲から除外され得ない。本明細書において図示された開示は、本明細書において特には開示されないいかなる要素(element or elements)、制限(limitation or limitations)無しに適切に実施され得る。
本開示のいくつかの実施態様が、記載されている。本明細書において提供された特定の実施態様は、本開示の有用な実施態様の例であり、本開示は本明細書に記載された装置、装置要素、方法の工程の多くのバリエーションを用いて実際され得ることが本技術分野の当業者に明らかである。本技術分野の当業者に明らかであるように、本方法に有用な方法及び装置は、多くの任意の組成物並びに処理要素及び工程を含み得る。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年9月22日に出願された米国仮出願第61/385,548号(タイトル“Immunomodulatory Methods and Systems for Treatment and/or Prevention of Atherosclerosis and Related Proteins,Peptides and Compositions”)に基づく優先権を主張しており、この出願の内容は参照として本明細書に含まれる。本出願はまた、2011年9月16日に出願された米国出願第S/N 13/257,045号(タイトル“Immunomodulatory Methods and Systems for Treatment and/or Prevention of Atherosclerosis and Related Proteins Peptides and Compositions”)の一部継続出願であり、その出願に基づく優先権を主張している(それは、2010年3月17日に出願された国際出願PCT/SE2010/050299の米国の国内段階(タイトル“Immunomodulatory Methods and Systems for Treatment and/or Prevention of Atherosclerosis and Related Proteins Peptides and Compositions”)であり、2009年3月17日に出願されたスウェーデン特許出願第0950161 −0号(タイトル“Abrogation of T cell Response to Low Density Lipoprotein as a Treatment for Atherosclerosis”、受領番号21042226)に基づく優先権を主張している)(各出願の内容は参照として本明細書に含まれる)。
本出願は、2010年9月22日に出願された米国仮出願第61/385,548号(タイトル“Immunomodulatory Methods and Systems for Treatment and/or Prevention of Atherosclerosis and Related Proteins,Peptides and Compositions”)に基づく優先権を主張しており、この出願の内容は参照として本明細書に含まれる。本出願はまた、2011年9月16日に出願された米国出願第S/N 13/257,045号(タイトル“Immunomodulatory Methods and Systems for Treatment and/or Prevention of Atherosclerosis and Related Proteins Peptides and Compositions”)の一部継続出願であり、その出願に基づく優先権を主張している(それは、2010年3月17日に出願された国際出願PCT/SE2010/050299の米国の国内段階(タイトル“Immunomodulatory Methods and Systems for Treatment and/or Prevention of Atherosclerosis and Related Proteins Peptides and Compositions”)であり、2009年3月17日に出願されたスウェーデン特許出願第0950161 −0号(タイトル“Abrogation of T cell Response to Low Density Lipoprotein as a Treatment for Atherosclerosis”、受領番号21042226)に基づく優先権を主張している)(各出願の内容は参照として本明細書に含まれる)。
Claims (42)
- 個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防する方法であって、
前記個体におけるCD4+T細胞のApoB100への反応に関係している1又は2以上のCD4+T細胞受容体を阻害する治療上有効量の化合物を投与することを含み、
前記1又は2以上のCD4+T細胞受容体は、アルファ可変領域を有するα鎖を含む、方法。 - 前記1又は2以上のCD4+T細胞受容体は、TRAV14によりコードされたα鎖、TRAV12によりコードされたα鎖、TRAV4によりコードされたα鎖、及び/又はTRAV14、TRAV12若しくはTRAV4に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたα鎖を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記1又は2以上のCD4+T細胞受容体はさらに、ベータ可変領域を含むβ鎖を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 - 前記1又は2以上のCD4+T細胞受容体はさらに、TRBV30によりコードされたβ鎖、TRBV31によりコードされたβ鎖、及び/又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたβ鎖を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。 - 前記CD4+T細胞は、ヘルパーT細胞である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。 - 前記阻害は、ApoB100又はそのフラグメントとの前記1又は2以上のCD4+T細胞受容体の結合を阻害することにより行われる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。 - 個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防する方法であって、
1又は2以上のT細胞受容体に対して前記個体を免疫することを含み、
前記1又は2以上のT細胞受容体は、TRAV14、TRAV12、TRAV4、及び/又はTRAV14、TRAV12若しくはTRAV4に高い相同性を有するDNA配列によりコードされた1又は2以上のα鎖と、TRBV30、TRBV31、及び/又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされた1又は2以上のβ鎖との両方又はいずれか一方を含む、方法。 - 前記免疫は、TCR TRBV31のCDR2可変領域の免疫原性のフラグメント、TCR TRBV30のCDR2可変領域の免疫原性のフラグメント、TCR TRAV14の免疫原性のフラグメント、TCR TRAV12の免疫原性のフラグメント、及び/又はTCR TRAV4の免疫原性のフラグメントを投与することで行われる、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。 - 前記免疫は、配列番号1、配列番号56若しくは配列番号58の配列を有するペプチド、又はその免疫原性のフラグメント若しくはその誘導体を投与することで行われる、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。 - 前記免疫は、配列番号61、配列番号63及び/若しくは配列番号65の配列を有するタンパク質、又はその免疫原性の部分若しくはその誘導体を投与することで行われる、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の方法。 - 薬学的に許容可能なアジュバント及び/又は賦形剤とともに、CD4+T細胞のApoB100への反応に関係している1又は2以上のT細胞受容体を阻害することのできる剤を含む、医薬組成物。
- アテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するためのワクチンであって、
TRAV14によりコードされたα鎖、TRAV12によりコードされたα鎖、TRAV4によりコードされたα鎖、及び/又はTRAV14、TRAV12若しくはTRAV4に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたα鎖を含むT細胞受容体に対する免疫原性の剤(immunogenic agent)を含むワクチン。 - 前記T細胞受容体はさらに、TRBV30によりコードされたβ鎖、TRBV31によりコードされたβ鎖、及び/又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたβ鎖を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載のワクチン。 - 前記剤は、TCR TRBV31又はそのフラグメントである、
ことを特徴とする請求項13に記載のワクチン。 - 前記剤は、配列番号1、配列番号56若しくは配列番号58の配列を有するペプチド、又はそのフラグメント若しくはその誘導体である、
ことを特徴とする請求項14に記載のワクチン。 - 前記剤は、TCR TRBV30又はそのフラグメントである、
ことを特徴とする請求項13に記載のワクチン。 - 前記T細胞受容体は、TRAV14によりコードされたα鎖を含み、前記剤は、TCR TRAV14又はその免疫原性の部分である、
ことを特徴とする請求項12乃至16のいずれか1項に記載のワクチン。 - 前記剤は、配列番号63の配列を有するタンパク質、又はその免疫原性の部分若しくはその誘導体である、
ことを特徴とする請求項17に記載のワクチン。 - 前記T細胞受容体は、TRAV12によりコードされたα鎖を含み、前記剤は、TCR TRAV12又はその免疫原性の部分である、
ことを特徴とする請求項12乃至18のいずれか1項に記載のワクチン。 - 前記剤は、配列番号66の配列を有するタンパク質、又はその免疫原性の部分若しくはその誘導体である、
ことを特徴とする請求項19に記載のワクチン。 - 前記T細胞受容体は、TRAV4によりコードされたα鎖を含み、前記剤は、TCR TRAV4又はその免疫原性の部分である、
ことを特徴とする請求項12乃至20のいずれか1項に記載のワクチン。 - 前記剤は、配列番号69の配列を有するタンパク質、又はその免疫原性の部分若しくはその誘導体である、
ことを特徴とする請求項21に記載のワクチン。 - 前記剤は、T細胞受容体 TCR TRBV31又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項13に記載のワクチン。 - 前記剤は、配列番号1、配列番号56若しくは配列番号58の配列を有するタンパク質、又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項13に記載のワクチン。 - 前記剤は、T細胞受容体 TCR TRBV30又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項13に記載のワクチン。 - 前記剤は、T細胞受容体 TCR TRAV14又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項13に記載のワクチン。 - 前記剤は、配列番号61の配列を有するタンパク質、又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項26に記載のワクチン。 - 前記剤は、T細胞受容体 TCR TRAV12又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項13に記載のワクチン。 - 前記剤は、配列番号63の配列を有するタンパク質、又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項28に記載のワクチン。 - 前記剤は、T細胞受容体 TCR TRAV4又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項13に記載のワクチン。 - 前記剤は、配列番号65の配列を有するタンパク質、又はそのフラグメント若しくはその誘導体に反応する抗体である、
ことを特徴とする請求項30に記載のワクチン。 - TRAV14によりコードされたα鎖、TRAV12によりコードされたα鎖、TRAV4によりコードされたα鎖、及び/又はTRAV14、TRAV12若しくはTRAV4に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたα鎖と、その免疫原性のフラグメント又はその誘導体とのいずれか一方を含む、医薬としての使用のためのT細胞受容体。
- TRBV30によりコードされたβ鎖、TRBV31によりコードされたβ鎖、又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたβ鎖をさらに含む、請求項32に記載のT細胞受容体。
- TRAV14によりコードされたα鎖、TRAV12によりコードされたα鎖、TRAV4によりコードされたα鎖、及び/又はTRAV14、TRAV12若しくはTRAV4に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたα鎖と、その免疫原性の部分又はその誘導体とのいずれか一方を含む、アテローム性動脈硬化の治療における使用のためのT細胞受容体。
- TRBV30によりコードされたβ鎖、TRBV31によりコードされたβ鎖、又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたβ鎖をさらに含む、請求項34に記載のT細胞受容体。
- 医薬としての使用のための、T細胞受容体又はそのフラグメントに反応する抗体であって、
前記T細胞受容体は、TRAV14によりコードされたα鎖、TRAV12によりコードされたα鎖、TRAV4によりコードされたα鎖、及び/又はTRAV14、TRAV12若しくはTRAV4に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたα鎖、又はその免疫原性の部分若しくはその誘導体を含む、
ことを特徴とする抗体。 - TRBV30によりコードされたβ鎖、TRBV31によりコードされたβ鎖、又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたβ鎖をさらに含む、請求項36に記載の抗体。
- アテローム性動脈硬化の治療における使用のための、T細胞受容体又はそのフラグメントに反応する抗体であって、
前記T細胞受容体は、TRAV14によりコードされたα鎖、TRAV12によりコードされたα鎖、TRAV4によりコードされたα鎖、及び/又はTRAV14、TRAV12若しくはTRAV4に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたα鎖を含む、
ことを特徴とする抗体。 - TRBV30によりコードされたβ鎖、TRBV31によりコードされたβ鎖、又はTRBV30若しくはTRBV31に高い相同性を有するDNA配列によりコードされたβ鎖をさらに含む、請求項32に記載の抗体。
- 個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
CD4+T細胞の活性を阻害するのに適した1又は2以上の剤と、個体における低減された反応を検出するのに適した1又は2以上の剤と、を含み、
前記CD4+T細胞は、前記CD4+T細胞のApoB100への反応に関係している、アルファ可変領域を有するα鎖を含む1又は2以上のT細胞受容体を提示する、
ことを特徴とするシステム。 - 個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
前記個体のCD4+T細胞のApoB100への反応に関係している、アルファ可変領域を有するα鎖を含む1又は2以上のT細胞受容体を阻害するのに適した1又は2以上の剤と、前記個体における前記阻害を検出するのに適した1又は2以上の剤と、を含むシステム。 - 個体におけるアテローム性動脈硬化を治療及び/又は予防するためのシステムであって、
前記個体のCD4+T細胞のApoB100への反応に関係している、アルファ可変領域を有するα鎖を含む1又は2以上のT細胞受容体に対して前記個体を免疫するのに適した1又は2以上の剤と、
前記個体における前記免疫を検出するのに適した1又は2以上の剤と、を含むシステム。
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