JP2013539977A5 - - Google Patents

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生物学的化合物を用いた疾患又は状態の治療は数多くの難問を提供する。それらのうちの1つはいずれの患者群が特定の治療に適しているのか、いずれの対象がこの治療に対する応答を示す予定なのか及びいずれの対象が一定時間経過後に応答を喪失する予定なのかを判定するものである。この情報は更なる患者の治療及び臨床研究設計に対して大きな影響を与える。
当技術分野において、非常に多くの研究が、治療された対象がその治療に対して応答する予定があるか否か判定するための、サイトカインなどの分子の利用又は遺伝子発現プロファイルの利用について述べている。
例えば、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−8、IL−12又はインターフェロンガンマなどのCRP及びサイトカインなどの分子はインフリキシマブ及び他の生物学的化合物に対するクローン病の対象の応答を定義するためのバイオマーカーとして記載される。国際公開第2008/147869号は、胃腸障害に対する治療効果を評価するためにIPー10、MCPー1、MMP−9、TNF−α、EGF、IL−6、ENAー78、MPO、MIP−1β及びVEGFのうちの少なくとも1つの遺伝子発現の判定について記載する。また、国際公開第2008/048986号は、腸疾患障害のための治療に対する応答者及び非応答者として個体を分類するためのリストで選択される遺伝子の発現を計測することに依存している。別の例は、抗−TNF治療に対する応答を評価するための特定のタンパク質の検出について記載する欧州特許第2056110号である。
本発明は慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患、及び臓器移植の状態を治療するために利用されるTr1細胞治療に関する。前文に示したように、Tr1細胞は、複数の硬化症(国際公開第2009/052283号)、クローン病などの腸の炎症状態(国際公開第2009/068575号)又はリューマチ関節炎などの関節炎の状態(国際公開第2009/054242号)の治療に利用することができる。
バイオマーカーは、これらの状態に対する治療の結果を評価するために記載されているが、Tr1細胞治療の結果の予想を具体的に可能とするバイオマーカーが必要とされている。Tr1細胞治療を受けている患者を階層化すること、及びTr1細胞治療応答者と非応答患者とを区別することが必要とされている。
発明の概要
本発明の1つの目的は、抗原特異的なTr1細胞治療を受ける患者、好ましくは人間の患者が治療に応答しているか否かを評価する方法であって、
−in vitroにおいて、前記患者由来細胞サンプルに含まれるT細胞の抗原特異的な増殖を判定することと、
−前記抗原特異的増殖と指標基準とを比較することと、を含み、
それにより、患者が治療に応答しているか否かを判定する。
本発明の別の実施形態では、T細胞を含んだ細胞サンプルは患者に対するTr1細胞の最後の投与後、5日目〜30日目の間に患者から得たものである。1つの実施形態においては、in vitroにおけるT細胞の抗原特異的増殖の判定は、患者に対するTr1細胞の最後の投与後、5日目〜30日目の間に患者から得た細胞サンプルにおいて実施される。
本発明における別の実施形態において、T細胞の抗原特異的な増殖の評価は、
Tr1細胞が指向させられる抗原の存在下で、T細胞を含む細胞サンプルを培養することと、
2〜10日間の培養の後、T細胞の増殖を判定することと、
を含む。
本発明における別の実施形態において、前述の方法は、患者に対するTr1細胞の最後の投与後5日目〜30日目の間に毎週患者から取得された細胞サンプルで毎週繰り返される。
本発明における別の実施形態において、前述の方法は、患者に対するTr1細胞の最後の投与後5日目〜30日目の間に2週間毎に患者から取得した細胞サンプルで2週間毎に繰り返される。
本発明の別の目的は、クローン病を有し且つオボアルブミン特異的Tr1細胞治療を受ける患者がその処置に応答しているか否かを評価するための前述の方法である。
本発明の別の目的は、リューマチ関節炎を有し且つII型コラーゲン特異的Tr1細胞治療を受ける患者がその処置に応答しているか否かを評価するための前述の方法である。
本発明の別の目的は、抗原特異的Tr1細胞治療を受ける患者が処置に応答しているか否かを評価するための前述の方法である。有利にも、前記方法は、抗原特異的Tr1細胞治療を受ける患者がその処置に応答しているか否かをin vitroで評価するためのものである。
(A)臨床的応答者(黒丸、n=9)及び臨床的非応答クローン病患者(白い四角、n=9)におけるオボアルブミン特異的Tr1細胞を用いた処置後のPBMCのオボアルブミン特異的増殖の動態。結果は平均増殖指数として表される。(B)臨床的応答者(黒丸、n=10)及び臨床的非応答クローン病患者(白い四角、n=10)におけるオボアルブミン特異的Tr1細胞を用いた処置後のPBMCのオボアルブミン特異的増殖の動態。結果は平均増殖比率として表される。 (A)オボアルブミン特異的Tr1細胞処置前(黒い棒)又はオボアルブミン特異的Tr1細胞処置から3週間後(白い棒)の臨床的応答者(CR)及び臨床的非応答クローン病患者(CNR)におけるPBMCのオボアルブミン特異的増殖の動態。結果は増殖指数として表される。(B)オボアルブミン特異的Tr1細胞処置から3週間後及び8週間後の臨床的応答者(CR)(n=10)及び臨床的非応答クローン病患者(CNR)(n=10)におけるPBMCのオボアルブミン特異的増殖の動態。結果は増殖比率として表される。 (A)オボアルブミン特異的Tr1細胞処置から3週間後にin vitroにおいてオボアルブミン特異的増殖の抑止を示す臨床的応答者(CR)及び臨床的非応答クローン病患者(CNR)の百分率。(B)オボアルブミン特異的Tr1細胞処置から3週間後及び8週間後にin vitroにおいてオボアルブミン特異的増殖の減少を示す臨床的応用者(CR)(nが10)及び臨床的非応答クローン病患者(CNR)(nが10)の百分率。 は、オボアルブミン特異的Tr1細胞処置から5週間後〜8週間後の間に判定された、観測された最低CDAIの関数での、応答患者(パネルA)及び非応答患者(パネルB)由来のPBMCのオボアルブミン特異的増殖のプロット。応答患者由来のPBMCのオボアルブミン特異的増殖の間において対数的相関性が観測された。 フローサイトメトリーにより計測された応答者(黒丸)及び非応答クローン病患者(白丸)の血液中のCD4+Foxp3+のT細胞の数の展開。結果はCD4+Foxp3+の数(絶対数)(mm3)として表される。エラーバーはs.e.mである。
本発明による前述したようなTr1細胞治療は、対象に対する抗原特異的なTr1細胞の投与を基礎としている。本発明の1つの実施形態において、抗原特異的なTr1細胞は投与前に前記抗原により刺激されない。本発明の1つの実施形態において、Tr1細胞治療は、それに対してTr1細胞が特異的である抗原の投与を含んでいない。抗原の選択は、治療対象の疾患又は状態に応じてなされる。例えば、クローン病などの腸の炎症状態を治療するために、オボアルブミンなどの一般的な人間の食餌に由来する食品抗原に特異的なTr1細胞が使用される。
本発明者らは、それに対してTr1細胞が特異的である抗原に応答した、治療された患者から取得した細胞サンプルに含まれるT細胞の増殖を評価した。前記増殖の阻害が疾患の改善および患者の臨床的応答と相関することが観察された。
本発明の1つの目的は、従って、抗原特異的なTr1細胞治療を受ける患者がその治療に応答しているか否かを評価するための方法であって、
in vitroにおいて、前記患者由来の細胞サンプルに含まれるT細胞の抗原特異的増殖を判定することと、
前記抗原特異的増殖を指標基準と比較することと、
を含み、それにより、患者が治療に応答しているか否かを判定する方法である。
1つの実施形態においては、患者は、抗TNF、ナタリズマブ、例えば抗IL1、抗IL6、抗IL12、抗IL17及び抗IL23などの抗インターロイキン;抗Bリンパ球;抗共刺激性分子;免疫寛容誘発剤;抗補体タンパク質;T細胞シグナル分子の阻害剤;細胞遊走の阻害剤;IL1受容体拮抗剤類似体(アナキンラ);5アミノサリチル酸ならびにメサラジン、スルファザリン、スルファサラジン、オルサラジン、バルサラジド等の類似体;プレドニゾン、ブデソニド、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、べドメタゾン(bedomethasone)、チキソコルトールなどのコルチコイド;サッカロマイセス・ブラウディなどのプロバイオティクス;メトトレキサート;ヒドロキシクロロキン;アザチオプリン;6−メルカプトプリン;シクロスポリン;ミノサイクリン;D−ペニシラミン;サリドマイド;レフルノミド又はレフルミド、を含む群から選択される1種以上の治療剤に対し適切に応答しないか、又は適切な応答をする見込みがない。
本明細書において使用される場合、「不適切な応答」、「適切な応答を示さない」、又は「適切な応答をする見込みがない」という表現は、治療は効果がない、毒性である、又は患者に関する限り耐性が低いこと、あるいは上記のようであることを示す、患者による実際の又は可能性の高い応答を指す。
本明細書において使用される「Tr1細胞」という用語は、休止期に以下の表現型CD4+CD25−FoxP3−を有し且つ活性化すると高レベルのIL10及び有意なレベルのTGF−βを分泌する能力を有する細胞を指す。Tr1細胞は、部分的には、それらの特異なサイトカイン特性によって同定されている;それらは高レベルのIL10、有意なレベルのTGFβ及び中程度のレベルのIFNγを生産するが、IL4又はIL2はほぼ生産しないか、全く生産しない。サイトカインの生産は通常、抗CD3+抗CD28抗体又はインターロイキン−2、PMA+イノマイシンなどのTリンパ球のポリクローナル活性化因子を用いた活性化後に細胞培養物において評価される。代替的に、サイトカインの生産は、抗原提示細胞により提示された特異的なT細胞抗原を用いた活性化後に細胞培養物において評価される。高レベルのIL10は、少なくとも約500pg/ml、一般的には約1000、2000、4000、6000、8000、10000、12000、14000、16000、18000又は20000pg/ml超又はそれ以上に相当する。有意なレベルのTGFβは、少なくとも約100pg/ml、一般的には約200、300、400、600、800、又は1000pg/ml超又はそれ以上に相当する。中程度のレベルのIFNγは0pg/mlから少なくとも400pg/ml、一般的には約600、800、1000、1200、1400、1600、1800、又は2000pg/ml超又はそれ以上、の間を含む濃度に相当する。IL4又はIL2がほぼ無いか全く無いとは、約500pg/ml未満、好ましくは約250、100、75、又は50pg/ml未満又はそれよりも少ない、に相当する。
本明細書において使用される「治療」という用語は、臨床治療ならびに予防処置及び防止処置を指し、ここで目的は、標的となる病理学上の疾患又は状態を防止又は遅延(減少、消滅)させることにある。Tr1治療及びTr1療法は本明細書において同じ意味で使用される。
本明細書において使用される「指標基準」という用語は、計測された変数について比較するための基礎として使用することのある任意の適切な参照標準を広く含む。好ましくは、指標基準は、Tr1治療の前に患者から取得したT細胞を含む細胞サンプルを使用して判定された個人別の基準である。
本発明の1つの実施形態において、指標基準は、Tr1治療の前に患者から取得され且つin vitroにおいて計測されたT細胞の増殖である。従って、T細胞を含む細胞サンプルはTr1治療の前に、好ましくは、Tr1細胞の注射前の最初のTr1細胞の注入の日に、患者から取得され、指標基準を決定するためにT細胞の増殖が評価される。
1つの実施形態において、指標基準は指標値であるか、又はTr1細胞治療に対する応答についての1つ以上の危険予知アルゴリズム又は計算された指標に由来する。指標基準は、特に制限されるものではないが、例えば似た年代範囲の対象、同一の又は似た民族の対象、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患又はアレルギー疾患の家族歴を有する対象を含む個体群研究に由来する数又は値に関連している可能性があり;又は、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患又はアレルギー疾患のために、Tr1細胞治療を実施中の患者の初めのサンプルに関連している可能性がある。
1つの実施形態においては、指標基準は、統計上および構造上の分類のアルゴリズム及びその他の方法を用いて構築される。
本発明の1つの実施形態において、指標基準は、実質的に健康な1人以上の対象に由来する対照サンプルにおいて、それに対してTr1細胞が特異的である抗原に応答したT細胞の増殖を計測することに由来する。本明細書において使用される場合、「実質的に健康な対象」とは、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患又はアレルギー疾患を有する又は罹患していると以前に診断又は同定されることのなかった者をいう。
本発明の別の実施形態において、指標基準は、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患又はアレルギー疾患を有する又は罹患していると診断又は同定された1人以上の対象に由来する対照サンプルにおいて、それに対してTr1細胞が特異的である抗原に応答したT細胞の増殖を計測することに由来するものである。
本発明の別の実施形態において、指標基準は、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患又はアレルギー疾患の治療のためのTr1細胞療法に対する応答者として以前に同定されていた1人以上の対象に由来するサンプルにおいて、それに対してTr1細胞が特異的である抗原に応答したT細胞の増殖を計測することに由来するものである。
本発明の別の実施形態において、指標基準は、慢性炎症性疾患、自己免疫性疾患又はアレルギー疾患の治療のためのTr1細胞療法に対する非応答者として以前に同定されていた1人以上の対象に由来するサンプルにおいて、それに対してTr1細胞が特異的である抗原に応答したT細胞の増殖を計測することに由来するものである。
本発明の1つの実施形態によれば、細胞サンプルはT細胞及び抗原提示細胞を含む。
患者から取得可能であり且つT細胞及び抗原提示細胞を含む細胞サンプルは、特にこれに限定されることはないが、末梢血液単核細胞(PBMC)、末梢白血球細胞、リンパ節生体組織検査、腸又は滑液の生体組織検査などの組織生体組織検査から得られた細胞サンプル、気管支肺胞洗浄又は脳脊髄液から取得された細胞サンプルを包含する。
患者からPMBCを取得する方法は、特にこれに限定されるものではないが、白血球分離又は全血採取に続く、密度勾配遠心分離(フィコール)を用いたPBMC精製を包含する。
末梢白血球細胞又は白血球を取得する方法は、特にこれに限定されるわけではないが、赤色細胞濾過又は血液サンプルからの溶解を包含する。
抗原特異Tr1細胞治療の対象患者が治療に応答しているか否かを評価するための方法の1つの例は、
それに対してTr1細胞が指向させられる抗原の存在下で、患者から取得したT細胞を含む細胞サンプルを培養すること、
T細胞増殖を判定すること、
である。
本発明の1つの実施形態において、患者から取得したT細胞を含む細胞サンプルは、それに対してTr1細胞が指向させられる抗原の存在下で、および前記抗原の不在下で、培養される。
前記抗原の存在しない培養物は、活性化のない基底のT細胞増殖のネガティブコントロールである。
本発明の1つの実施形態において、培養される細胞の濃度は10〜10細胞/ml、好ましくは10〜10細胞/ml、さらに好ましくは10細胞/mlである。
本発明の1つの実施形態において、抗原の濃度は0.1μg/ml〜10mg/mlの抗原、好ましくは1μg/ml〜1mg/ml、さらに好ましくは約1mg/mlの抗原である。本明細書において使用される場合、数字の前の「約」という用語は当該数字の値の大小10%という意味である。
本発明の1つの実施形態において、T細胞を含む細胞サンプルは、血清を添加したT細胞培地又は血清を含まないT細胞培地において培養される。
血清を含まないT細胞培地の例としては、特にこれに限定されるものではないが、X−VIVO及びAIM−Vが挙げられる。
血清を添加したT細胞血清の例としては、特にこれに限定されるものではないが、好ましくはヒト血清AB又は自己由来血漿を添加した、RPMI又はISCOVE培地が挙げられる。
本発明によれば、それに対してT細胞が指向させられる特異的抗原に応答した、患者から取得した細胞サンプルに含まれるT細胞の増殖は、当技術分野において公知の従来の方法によって評価される。
当該方法の例としては、特にこれに限定されるものではないが、トリチウム標識チミジンアッセイ、DNA量の変化の計測、BrdU取り込みアッセイ、WST1又はMTTなどの生存マーカーの計測、Promega CellTiter96 AQueous非放射性細胞増殖アッセイ又はPromega CellTiter96 AQueous溶液細胞増殖アッセイキット、及びCFSE又はPKH26を用いたフローサイトメトリーアッセイが挙げられる。
本発明の1つの実施形態において、T細胞を含む細胞サンプルは、患者に対する抗原特異的Tr1細胞の最後の投与後5日目〜30日目の間に患者から取得される。
本発明の1つの実施形態において、T細胞を含む細胞サンプルは、患者に対する抗原特異的Tr1細胞の投与後、6日目〜30日目の間、7日目〜30日目の間、8日目〜30日目の間、9日目〜30日目の間、10日目〜30日目の間、11日目〜30日目の間、12日目〜30日目の間、13日目〜30日目の間、14日目〜30日目の間、15日目〜30日目の間、16日目〜30日目の間、17日目〜30日目の間、18日目〜30日目の間、19日目〜30日目の間、20日目〜30日目の間または21日目〜30日目の間に患者から取得される。
1つの実施形態において、抗原特異的Tr1細胞治療対象患者が治療に応答しているか否かを評価するための方法は、
Tr1治療前に、好ましくはTr1細胞注射前の最初のTr1細胞注入の日に、患者から取得した細胞サンプル中のT細胞の増殖を評価する工程であって、前記増殖は指標基準である、工程と
Tr1細胞治療を実施する工程であって、1回以上のTr1細胞の注射を含む工程と、
最後のTr1細胞の注射から5、6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28、29又は30日後に患者から取得した細胞サンプル中のT細胞の増殖を評価する工程と、
Tr1細胞の注射後に決定された前記T細胞の増殖を指標基準と比較する工程と、
を含む。
1つの実施形態において、前記T細胞の増殖の値又は指標は、以下のように算出される:
(それに対してTr1細胞指向させられる抗原の存在下におけるT細胞の増殖)/(それに対してTr1細胞が指向させられる抗原の非存在下におけるT細胞の増殖)。
1つの実施形態において、抗原特異的なTr1細胞治療対象患者が治療に応答しているか否かを評価するための方法は、
1回以上のTr1細胞の注射を含む、Tr1細胞治療を実施する工程と、
Tr1細胞の最後の注射から、5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29又は30日後に患者から取得した細胞サンプル中のT細胞の増殖を評価する工程と、
前記T細胞の増殖を指標基準と比較する工程と、
を含む。
本発明によれば、指標基準と比較してT細胞増殖が低下していることは、対象が治療に応答していることを示す。
本発明の1つの実施形態において、指標基準と比較して20%以上、抗原の存在下におけるT細胞増殖が低下していることは、対象が治療に応答していることを示す。
本発明の別の実施形態において、指標基準と比較して30%、40%、50%以上、抗原の存在下におけるT細胞増殖が低下していることは、患者が治療に応答していることを示す。
本発明における別の実施形態において、指標基準と比較して60%、70%、80%、90%以上、抗原の存在下におけるT細胞増殖が低下していることは、患者が治療に応答していることを示す。
本発明における別の実施形態において、下記の増殖指数(PI)が各測定で決定されることがある。
PI=抗原存在下におけるT細胞増殖/抗原不在下におけるT細胞増殖
指標基準のPI未満の、所与の時間における決定されたPIは、患者が治療に応答していることを示す。
本発明の別の実施形態において、増殖比率(PR)は以下のように決定される。
PR=(PI)/(PI)t0
(PI)は、所与の時間において決定される、例えば患者に対するTr1細胞投与から3週間後又は8週間後に決定される、増殖指数を表す。
(PI)t0は、指標基準の増殖指数であるか又は前記患者に対するTr1細胞の注射前に患者から取得された細胞サンプル中のT細胞の抗原特異的増殖から算出された増殖指数である、t0で決定される増殖指数を表す。
本発明の1つの目的は抗原特異的なTr1細胞治療対象患者が治療に応答しているか否かを評価するための方法であって、
in vitroにおいて前記患者由来の細胞サンプル中に含有されるT細胞の抗原特異的増殖を判定することと、
前記抗原特異的増殖を指標基準と比較することと、
を含み、それにより、前記対象を応答者と非応答者とに分類する方法である。
本明細書において使用される「応答者」という用語は、治療又は処置に応答する患者又は近い将来に治療又は処置に応答する見込みのある患者を指す。
本明細書において使用される「非応答者」という用語は、治療又は処置に応答しない患者又は近い将来に治療又は処置に応答する見込みのない患者に関する。
従って、患者を「応答者」として分類することは、Tr1治療が成功していることを示すが、「非応答者」として同定された患者は異なった治療を試すのが良い。
応答者又は非応答者として患者を分類することは、患者にとって最適の治療指針を予測することを可能にするため、有利である。
1つの実施形態において、Tr1細胞投与から2週間後に、好ましくは3週間後に、決定されたPRが1未満である患者は、その治療に応答する見込みが50%超である。
好ましくは、本発明において、Tr1細胞投与から2週間後に、好ましくは3週間後に、決定されたPRが1未満である患者は、Tr1細胞治療に応答する見込みが60%超、70%超、80%超、90%超又は95%超であるか、それよりも大きい。
1つの実施形態において、Tr1細胞投与から3週間後〜8週間後に決定されたPRが1未満である患者は、その治療に応答する見込みが50%超である。
好ましくは、本発明において、Tr1細胞投与から3週間後〜8週間後に決定されたPRが1未満である患者は、Tr1細胞治療に応答する見込みが60%超、70%超、80%超、90%超又は95%超であるか、それよりも大きい。
本発明によれば、前述したような患者から取得されたT細胞の増殖をアッセイすることは、疾患のモニタリング及び治療結果のモニタリングを可能にする。
本発明によれば、前述したような患者から取得されたT細胞の増殖をアッセイすることは、患者が治療に応答せず、患者の状態が改善しないという患者のリスクを評価することを可能にする。
本発明によれば、前述したような患者から取得されたT細胞の増殖をアッセイすることは、患者のグループの階層化および分類を可能とする。
本発明によれば、前述した方法は、腸の炎症症状を有し且つTr1細胞治療の対象である患者が治療に応答しているか否かを評価するためのものである。前記処置において、患者はTr1細胞治療の対象であり、ここでTr1細胞は、一般的なヒトの食餌に由来する食品抗原に特異的である。
「一般的なヒトの食餌に由来する食品抗原」なる用語は免疫原性のペプチドを指し、例えば以下の非限定的リストの食品抗原など、ヒトにとって一般的な食糧に由来する;リポカインなどの牛抗原、Ca結合S100、α−ラクトアルブミン、ベータ−ラクトグロブリンなどのラクトグロブリン、牛血清アルブミン、カゼイン。また、食品抗原は、パルブアルブミンなどの大西洋鮭の抗原、オボムコイド、オボアルブミン、Ag22、コンアルブミン、リゾチーム又は鶏肉血清アルブミンなどの鶏抗原、ピーナッツ、トロポミオシンなどのエビ抗原、アグルチニン又はグリアジンなどの小麦抗原、セロリプロフィンなどのセロリ抗原、キャロットプロフィンなどの人参抗原、ソーマチン、リンゴ脂質輸送タンパク質、リンゴプロフィなどのリンゴ抗原、ナシプロフィンなどの梨抗原、イソフラボン還元酵素、エンドキチナーゼなどのアボガド抗原、アプリコット脂質輸送タンパク質などのアプリコット抗原、モモ脂質輸送タンパク質又はモモプロフィンなどの桃抗原、HPS、大豆プロフィリンまたは(SAM22)PR−I0 protなどの大豆抗原、これらの断片、変異体及び混合物であってもよい。
本明細書において使用される場合、抗原の「断片」という用語は、短いペプチドとしての、抗原の任意のサブセットを指す。1つの実施形態として、抗原の断片は、長さが少なくとも6アミノ酸のペプチドである。1つの実施形態において、抗原の断片は、長さが6〜50アミノ酸のペプチドであり、好ましくは長さが6〜30アミノ酸のペプチドであり、更に好ましくは長さが6〜20アミノ酸のペプチドである。
例えば一般的なヒトの食餌に由来する食品抗原などの抗原の「変異体」という用語は、本明細書においては、天然の抗原とほぼ同一の抗原であって、共に同一の生物学的活性を有する抗原を指す。天然の抗原とその変異体との間の最小限の相違点は、例えばアミノ酸の置換、欠失及び/又は付加にあってよい。そのような変異体は、例えば、アミノ酸残基が、似た側鎖を有するアミノ酸残基で置換された保存的アミノ酸置換であってよい。似た側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。
1つの実施形態において、抗原変異体は、天然の抗原の配列と少なくとも又は約70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の配列同一性を示す。2つ以上のポリペプチドの配列間の関係において使用される場合、「同一性」又は「同一である」という用語は、2つ以上のアミノ酸残基の列間において一致する数によって判定される、ポリペプチド間の配列関連性の度合いを指す。「同一性」は、特定の数学的モデル又はコンピュータープログラム(例えば「アルゴリズム」)により処理されたギャップアライメント(もしあれば)で、2つ以上の配列のうちのより小さなものの間の同一一致の割合を示す。関連するポリペプチドの同一性は、公知の方法によって容易に計算できる。そのような方法には、特に限定されるものではないが、Computational Molecular Biology Lesk, A. M., 等., Oxford University Press, New York, 1988年; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., 等., Academic Press, New York, 1993年; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., 及び Griffin, H. G., 等., Humana Press, New Jersey, 1994年; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987年; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. 及び Devereux, J., 等., M. Stockton Press, New York, 1991年; 及び Carillo 等., SIAM J. Applied Math. 48巻, 1073頁 (1988年)に記載された方法が含まれる。同一性を決定するための好ましい方法は、テストされる配列間に最も大きな一致を与えるようにデザインされる。同一性を決定する方法は、公に入手可能なコンピュータープログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータープログラムの方法は、GAP(Devereux 等., Nucl. Acid. Res. /2, 387頁 (1984年); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul 等., J. Mol. Biol. 215巻, 403-410頁 (1990年))を含む、GCGプログラムパッケージを包含する。BLASTXプログラムは、the National Center for Biotechnology Information (NCBI)およびその他のソース(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., supra)から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用されることがある。
「炎症性の腸の状態」なる用語は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、食物アレルギー又は不耐症に関連する腸の炎症、乳タンパク質アレルギーに関連する腸の炎症、セリアック病に関連する腸の炎症、鶏卵アレルギーに関連する腸の炎症、又はピーナッツアレルギーに関連する腸の炎症を指す。
本発明によれば、患者から取得されたT細胞を含む細胞サンプルは、患者に注入されたTr1細胞が指向させられる、一般的なヒトの食餌に由来する食品抗原の存在下で培養される。2〜10日後、T細胞の増殖は評価され、例えば、Tr1処置前に患者から取得したT細胞の増殖などの、指標基準の増殖と比較される。
本発明の1つの実施形態において、本発明の方法は、クローン病を有し且つオボアルブミン特異的なTr1細胞治療を受ける患者が処置に応答しているか否かを評価するためのものである。
本発明によれば、上記の方法は、多発性硬化症の状態を有し且つTr1細胞治療を受ける患者が治療に応答しているか否かを評価するためのものである。前記治療において、患者はTr1細胞治療を受け、ここでTr1細胞は多発性硬化症関連抗原に特異的である。「多発性硬化症関連抗原」なる用語は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、ミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質(MOG)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、オリゴデンドロサイトミエリン糖タンパク質(OMGP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP/Claudinl 1)、熱ショックタンパク質、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP)、NOGO A、糖タンパク質Po、末梢ミエリンタンパク質22(PMP22)、2′3′−環状ヌクレオチド3′−ホスホジエステラーゼ(CNPase)、それらの断片、変異体および混合物を指す。
本発明によれば、患者から取得したT細胞を含む細胞サンプルは、患者に注入されたTr1細胞が指向させられる多発性硬化症関連抗原の存在下で培養される。2〜10日後、T細胞の増殖は評価され、指標基準の増殖(例えばTr1処置前の患者から取得したT細胞の増殖)と比較される。
本発明の1つの実施形態において、本発明の方法は、多発性疾患を有し且つMBP又はMOG特異的Tr1細胞治療を受ける患者が治療に応答しているか否かを評価するためのものである。
本発明によれば、上述した方法は、関節炎の症状を有し且つTr1細胞治療を受ける患者が治療に応答しているか否かを評価するためのものである。前記治療において、患者はTr1細胞治療を受け、ここでTr1細胞は関節関連抗原特異的である。
「関節関連抗原」なる用語は、シトルリン置換型の環状及び直鎖状フィラグリンペプチド、II型コラーゲンペプチド、人間の軟骨糖タンパク質39(HCgp39)ペプチド、HSP、異種核リボヌクレオタンパク質(hnRNP)A2ペプチド、hnRNP Bl、hnRNP D、Ro60/52、HSP60、65、70及び90、BiP、ケラチン、ビメンチン、フィブリノゲン、コラーゲンタイプI、III、IV及びVペプチド、アネキシンV、グルコース6リン酸イソメラーゼ(GPI)、アセチルカルパスタチン、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)、アルドラーゼ、トポイソメラーゼI、snRNP、PARP、Scl−70、Scl−100、アニオン性のカルジオリピン及びホスファチジルセリン、中性に荷電したホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルコリンを包含するリン脂質抗原、マトリックスメタロプロテアーゼ、フィブリリン、アグリカン、それらの断片、変異体および混合物を指す。
「関節炎の状態」なる用語は、関節リウマチ、多発性軟骨炎、敗血症性関節炎、脊椎関節症または強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎及び、全身性紅斑、シェーグレン症候群、強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、リウマチ性多発筋痛、線維筋痛症、サルコイドーシス、または血管炎などの関節炎に関連する疾患を指す。
本発明によれば、患者から取得したT細胞を含む細胞サンプルは、患者に注入されたTr1細胞が指向させられる、関節に関連した抗原の存在下において培養される。2〜10日後、T細胞の増殖は評価され、(例えばTr1処置前に患者から取得したT細胞の増殖などの)指標基準の増殖と比較される。
本発明の1つの実施形態において、本発明の方法は、関節リウマチを有し且つII型コラーゲン特異的なTr1細胞治療を受ける患者が治療に応答しているか否かを評価するためのものである。
本発明によれば、上述の方法は、炎症性自己免疫状態を有し且つTr1細胞治療対象の患者が治療に応答しているか否かを評価するためのものである。前記治療において、患者はTr1細胞治療を受け、ここでTr1細胞は、ヒトHSP抗原特異的である。
「ヒトHSP抗原」なる用語は、ヒトHSP60、HSP70、HSP90、それらの断片、変異体及び混合物を指す。
「炎症性自己免疫状態」なる用語は、クローン病及び潰瘍性大腸炎等の腸の炎症状態;関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及び若年性特発性関節炎等の関節炎状態;多発性硬化症;ウェゲナー病;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;喘息、移植拒絶応答(宿主対移植片疾患);又は移植片対宿主病を指す。さらに好ましくは、前記炎症性自己免疫疾患は、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、喘息及び移植拒絶応答又は移植片対宿主病からなる群から選択される。
本発明によれば、患者から取得したT細胞を含む細胞サンプルは、患者に注入されたTr1細胞が指向させられるヒトHSP抗原の存在下で培養される。2〜10日後、T細胞の増殖は評価され、(例えばTr1治療前の患者から取得したT細胞の増殖などの)指標基準の増殖と比較される。
本発明の1つの実施形態において、本発明の方法は、関節リウマチを有し且つHSP特異的Tr1細胞治療を受ける患者が治療に応答しているか否かを評価するためのものである。
本発明によれば、上述した方法は、アレルギー又は喘息状態を有し且つTr1細胞治療の対象となる患者が治療に応答しているか否かを評価するためのものである。前記治療において、患者はTr1細胞治療の対象であり、ここでTr1細胞は前記アレルギー又は喘息状態に関連するアレルゲンに特異的である。
前記アレルゲンは、吸入型アレルゲン、摂取型アレルゲン又は接触型アレルゲンであることがある。「アレルギーや喘息状態」なる用語は、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎、湿疹及びアナフィラキシーを指す。
本発明によれば、患者から取得したT細胞を含む細胞サンプルは、患者に注入されたTr1細胞が指向させられるアレルゲンの存在下で培養される。2〜10日後、T細胞の増殖は評価され、(例えばTr1処置前の患者から取得したT細胞増殖などの)指標基準の増殖と比較される。
オボアルブミン特異的Tr1クローン生成
オボアルブミン特異的Tr1クローンはクローン病患者の末梢血単核細胞(PBMC)から生成した。フィコール密度勾配遠心分離によるPBMC分離(GE Healthcare, Uppsala, スウェーデン国)の後、細胞をネイティブ照射オボアルブミン(Sigma Aldrich, St−Louis, MO, 米国)の存在下において、X−Vivo15(Cambrex, East Rutherford, NJ)及びサイトカインが豊富なショウジョウバエフィーダー細胞上清中で37℃、5%CO2にて培養した。数日間の培養後、37℃、5%CO2にてX−Vivo15中のショウジョウバエフィーダー細胞の層上で限界希釈法によって細胞をクローニングする。その後、ショウジョウバエフィーダー細胞上で5億個まで増殖する前に、増殖しているクローンを回収し、抗原特異性及びTr1細胞のアイデンティティについて試験する。
ショウジョウバエフィーダー細胞
ショウジョウバエフィーダー細胞は、Tr1細胞クローンの刺激性と成長性を改善するためにTxCellによって製造された。シュナイダー2ショウジョウバエの細胞に膜貫通型のマウス抗ヒトCD3抗体、ヒトCD80、ヒトCD58、ヒトIL−2及びヒトIL4を遺伝子導入した。細胞をPAA laboratories(Pashing, Austria)のExpress five培地において常に増殖させる。
クローン病患者のTr1細胞治療
Tr1治療の耐容性を評価するための第I/IIa相臨床試験は重篤な難治性のクローン病患者において2008年3月に開始した。CDAI(クローン病活性指数、下記の記載を参照)が、疾患がアクティブであることを裏付ける220を超えている時に、10〜10の自己のオボアルブミン特異的Tr1細胞を患者の静脈内に注入した。患者はその後、彼らの疾患の活動について12週間の間モニタリングされた。
臨床的応答評価
クローン病活性指数又はCDAIは、クローン病を患う患者の疾患の活動を定量化するための研究ツールである。これはクローン病を治療するために使用する薬剤療法についての調査研究において重要である;新しい薬物療法についての主要な研究の多くは、疾患の応答又は寛解を定義するためにCDAIを使用する。220を超えるスコアは活動期の疾患を患った患者と同定する;CDAIが150以下ならば疾患が寛解状態にある患者と同定する。基準線(治療前のCDAI)と比較して、患者への治療後にCDAIが100点減少するならば治療への応答であるとみなされる(クローン病治療用の新規医薬品の開発におけるガイドラインCPMP/EWP/2284/99)。
従って、自己のオボアルブミン特異的なTr1細胞治療を受けている患者は、CDAIに基づき、2グループに分類される;臨床的応答者(治療前と比較して治療後にCDAIが少なくとも100点低下した患者)及び臨床的非応答者(治療前と比較すると、CDAIが上記のような100点の低下を示さなかった患者)。CDAIは、0週目(注入前の週)ならびにTr1細胞注入から1,3,5,8及び/又は12週間後に計算される。
CDAI計算
0週目(注入前の週)ならびにTr1細胞注射から1,3,8及び12週間後に、患者の末梢血液を採取し、PBMCをフィコール密度勾配遠心分離により単離した。次いで細胞を、オボアルブミン存在下(400ng/ml)又は不在下でXVivo15培地において5日間37℃、5%COにて10細胞/mlで培養した。上記の5日間の培養の後、培養細胞の増殖を、培養ウェル当たりの生存細胞数を評価することができるロシュのWST1キットを用いて計測した。
フローサイトメトリー
オボアルブミン特異的なTr1細胞を用いた治療の前及び後にクローン病患者から取得したPBMCに対してフローサイトメトリーを実施した。蛍光PerCP−Cy5.5抗CD4モノクローナル抗体(Becton Dickinson BiosciencesのクローンDK3)及び蛍光APC−標識抗FoxP3抗体(eBioscienceのクローンPCH101)を用いて細胞を染色した。FoxP3染色の前に、eBioscienceの透過処理バッファー(Permeabilization Buffer)を用いて30分間細胞を透過処理した。
結果
ここに記載される臨床試験は、活動状態の疾患(CDAIが220超)を患うクローン病患者において自己のオボアルブミン特異的Tr1細胞を1回静脈内投与した場合の安全性及び有効性を判定することを目的とした。細胞注入後12週間の間にわたる18人の患者の算入及び追跡をした後、患者の2つのグループは、細胞注射の前と後で比較したCDAIの変動により示される治療に対する彼らの応答に基づいて分類することができる(表1を参照のこと)。
表1
従来の手順に従った臨床研究員によるコントロールの後、2人の追加患者が算入され、CDAIデータを臨床試験の終わりに更新した。結果が表2に示される。クローン病治療用の新規医薬品の開発におけるガイドラインCPMP/EWP/2284/99に従って、Tr1細胞の投与後4週目〜8週目の間に決定された最低のCDAIが考慮された。
表2
結果は、自己のオボアルブミン特異的Tr1細胞が注入された後、10人の患者が治療に対する応答を示し、前記応答は、治療前と比較して治療後にCDAIが少なくとも100点低下することにより観察されていることを示す。
その後我々は、応答者及び非応答者の患者グループの間でオボアルブミン特異的なPBMCの増殖を比較した。この目的のために、治療前後に採取された血液サンプルから単離されたPBMCをオボアルブミンの存在下又は非存在下において培養し、PBMCの増殖を5日間の培養後に評価した。
図1Aは全追跡期間中の2つのグループの増殖指数を示したものである。図1Bは全追跡期間中の2つのグループの増殖率を示したものである。
これらのデータは、治療後に、オボアルブミンに対する増殖応答が臨床的応答者でのみ減少し、臨床的非応答患者では減少しなかったことを示している。
図2Aは、Tr1細胞注入の後特に3週目に、増殖応答がTr1細胞注入前の増殖応答と比較して応答者の患者において減少することを示す。これは、オボアルブミン特異的Tr1細胞の静脈内注入後に、オボアルブミンへのT細胞応答に対する抑制作用であって、注射された細胞により媒介される抑制作用が、患者においてin vivoで生じたことを示唆する。この生物学的な応答は、臨床的応答患者の大部分(60%)で見られるが、臨床的非応答者群の中では1人の患者(13%)でしか見られないものである(図3A)。
図2Bは、Tr1細胞治療後3週目及び8週目での各応答者及び非応答者についての増殖率を示す。応答患者における増殖率の平均は、Tr1細胞治療後3週目及び8週目で明らかに1未満であり、これに対し、非応答患者における増殖率の平均は、Tr1細胞治療後3週目及び8週目で明らかに1よりも大きい。
図3Bは、3週目及び8週目での1未満の増殖率が応答者の80%で観察されることを示す。
図4は、1未満の増殖率が、応答患者におけるTr1細胞治療後5週目及び8週目でのCDAIの減少に統計的に相関していることを示す。
図5は、応答者又は非応答患者の血液中の活性化した制御性T細胞(CD4+Foxp3+細胞)の数が類似していることを示す。更には、応答者又は非応答患者の血液中の活性化した制御性T細胞の数は、Tr1細胞治療の後で変動しないことを示す。実際、Tr1細胞注入後0週目、3週目及び12週目の時点での患者の血液中の制御性T細胞の数の間には違いがない。
この結果により、応答患者におけるオボアルブミンに対する増殖性応答の減少は、これらの患者の血液中の制御性T細胞の総数の増加が原因ではないことが示される。
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