JP2013538182A - 抗ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)抗体およびその使用方法 - Google Patents

抗ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)抗体およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、hENT1を認識するモノクローナル抗体を提供する。本発明はさらに、このようなモノクローナル抗体を、hENT1の異常な発現および/または活性に関連付けられている障害における治療剤、診断剤、および/または予防剤として使用する方法も提供する。

Description

関連出願
本出願は、2010年6月16日に出願された米国特許仮出願第61/355,357号および2011年1月14日に出願された米国特許仮出願第61/432,702号の恩典を主張する。これらの各出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は全体として、ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)を認識するモノクローナル抗体の作製およびこれらのモノクローナル抗体を治療剤として使用する方法に関する。
発明の背景
ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)は、SLC29A1遺伝子にコードされるタンパク質である。この遺伝子は、平衡型ヌクレオシドトランスポーターファミリーのメンバーである。この遺伝子は、原形質膜およびミトコンドリア膜に局在し、周囲の媒体からのヌクレオシドの細胞取込みを媒介する、膜貫通型糖タンパク質をコードする。このタンパク質は、ニトロベンジルチオイノシン(NBMPR)による阻害の影響を受けやすい(濃縮型と対立するものとしての)平衡型トランスポーターに分類される。ヌクレオシドトランスポーターは、デノボのヌクレオシド合成経路を欠く細胞におけるヌクレオチド合成に必要とされ、また、癌化学療法およびウイルス化学療法のために使用される細胞障害性ヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体薬の取込みにも必要である。
したがって、hENT1の異常な発現および/または活性に関連付けられている障害を治療するか、またはそうでなければ寛解させる治療法が必要とされている。
本発明は、ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)または生物学的に活性なその断片に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。hENT1抗体は、hENT1の発現および/または活性が低いかまたはそうでなければ低減している患者または患者試料を検出する際に有用である。例えば、hENT1抗体を用いて、hENT1の発現および/または活性が低いかまたはそうでなければ低減している癌および他の新生物障害、例えば、急性骨髄性白血病(AML)または膵癌および他の固形腫瘍などに罹患している患者をスクリーニングすることができる。hENT1抗体は、検出されたhENT1の発現および/または活性のレベルに基づいて、治療するための患者を特定するのに有用である。hENT1抗体は、hENT1の低い発現および/または活性に関連付けられている障害、例えば、癌または他の新生物障害などと診断された対象の予後判定(prognosis)ツールとして有用である。また、hENT1の低い発現および/または活性に関連付けられている障害の予後判定は、例えば、治療的方法の経過中のような一定期間におけるhENT1の発現および/または活性のレベルを測定することによっても決定される。
本発明のhENT1抗体は、ヌクレオシド類似体薬および/またはヌクレオシド類似体に由来する薬物などの確立された制癌剤のためのコンパニオン診断剤として有用である。例えば、hENT1抗体は、例えば、シタラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、およびそれらの誘導体を含むピリミジン誘導体、ならびに例えば、フルダラビン、クラドリビン、クロファラビン、およびそれらの誘導体を含むプリン誘導体などの化学療法剤と併用した際に有用である。
例示的な本発明のモノクローナル抗体は、例えば、可変重鎖配列、例えば、VH3-12可変重鎖、VH5-9可変重鎖、VH5-12可変重鎖、VH5-13可変重鎖、VH5-3可変重鎖、VH5-11可変重鎖、または本明細書において提供され、コンセンサス可変重鎖領域配列1(コンセンサスVH配列1)と呼ばれるコンセンサス可変重鎖を含む。また、本発明のhENT1抗体のための例示的な可変重鎖配列には、VH1-1可変重鎖、VH1-4可変重鎖、VH1-6可変重鎖、VH4-2可変重鎖、VH4-3可変重鎖、VH4-4可変重鎖、または本明細書において提供され、コンセンサス可変重鎖領域配列2(コンセンサスVH配列2)と呼ばれるコンセンサス可変重鎖も含まれる。例示的な本発明のモノクローナル抗体は、例えば、軽鎖可変配列、例えば、VL2可変軽鎖、VL10可変軽鎖、VL11可変軽鎖、VL20可変軽鎖、VL21軽鎖、または本明細書において提供され、コンセンサス可変軽鎖領域配列1(コンセンサスVL配列1)と呼ばれるコンセンサス可変軽鎖を含む。また、本発明のhENT1抗体のための例示的な可変軽鎖配列には、VL2-2可変軽鎖、VL2-3可変軽鎖、VL2-7可変軽鎖、VL2-10可変軽鎖、VL2-12可変軽鎖、VL2-16可変軽鎖、または本明細書において提供され、コンセンサス可変軽鎖領域配列2(コンセンサスVL配列2)と呼ばれるコンセンサス可変軽鎖も含まれる。これらの抗体は、本明細書において「hENT1抗体」または「抗hENT1抗体」とそれぞれ呼ばれる。hENT1抗体には、完全なヒトモノクローナル抗体、ならびにヒト化モノクローナル抗体およびキメラ抗体が含まれる。これらの抗体は、hENT1に対する特異性を示す。
本発明のhENT1抗体は、SEQ ID NO: 2、4、6、8、9、28、30、32、34、36、38、または39のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。本発明のhENT1抗体は、SEQ ID NO: 14、16、18、20、22、23、43、45、47、または49のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
好ましくは、本発明のhENT1抗体の可変重鎖は、アミノ酸配列GYTFTDYE(SEQ ID NO: 10)を含む可変重鎖相補性決定領域1(VH CDR1)配列、アミノ酸配列IDPETGAI(SEQ ID NO: 11)またはアミノ酸配列IDPETGKT(SEQ ID NO: 40)を含む可変重鎖相補性決定領域2(VH CDR2)配列、およびアミノ酸配列TREFTY(SEQ ID NO: 12)またはアミノ酸配列TRELTY(SEQ ID NO: 41)を含む可変重鎖相補性決定領域3(VH CDR3)配列を含む。
本発明のhENT1抗体の重鎖可変領域は、アミノ酸配列GYTFTDYE(SEQ ID NO: 10)と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%、またはそれ以上同一のアミノ酸配列を含む可変重鎖相補性決定領域1(VH CDR1);アミノ酸配列IDPETGAI(SEQ ID NO: 11)またはアミノ酸配列IDPETGKT(SEQ ID NO: 40)と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%、またはそれ以上同一のアミノ酸配列を含む可変重鎖相補性決定領域2(VH CDR2);およびアミノ酸配列TREFTY(SEQ ID NO: 12)またはアミノ酸配列TRELTY(SEQ ID NO: 41)と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一のアミノ酸配列を含む可変重鎖相補性決定領域3(VH CDR3)を含む。
本発明は、患者または患者試料におけるhENT1の活性および/または発現を検出する方法を提供する。本発明は、例えば、ヌクレオシド類似体薬および/またはヌクレオシド類似体に由来する薬物を含む確立された化学療法と併せた、hENT1抗体の使用を提供する。例えば、hENT1抗体は、例えば、シタラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、およびそれらの誘導体を含むピリミジン誘導体、ならびに例えば、フルダラビン、クラドリビン、クロファラビン、およびそれらの誘導体を含むプリン誘導体などの化学療法剤と併せて使用される。本明細書において開示するhENT1抗体と組み合わせて使用するための他の適切な薬剤には、例えばリバビリンのような抗ウイルス剤、およびヌクレオシドトランスポーターの基質である5-フルオロウリジンのようなヌクレオシド抗癌剤が含まれる。したがって、hENT1抗体は、抗ウイルス治療剤、抗癌治療剤、およびそれらの誘導体と併用した際にも有用である。
本発明はまた、そのような治療または予防が望まれる対象に本発明のモノクローナル抗体を投与することによって、hENT1の異常な発現および/もしくは活性に関連付けられている病状を治療もしくは予防するか、またはこのような病状に付随する症状を緩和する方法も提供する。「患者」および「対象」という用語は、本明細書においておよび本記載の全体を通して、同義的に使用される。治療すべき対象は、例えばヒトである。モノクローナル抗体は、病状に付随する症状を治療、予防、または緩和するのに十分な量で投与される。対象の病状を治療または予防するのに十分なモノクローナル抗体の量は、例えば、hENT1の発現および/または活性を低減するのに十分である量である。
本発明の抗体は、hENT1の発現および/またはhENT1の1種もしくは複数種の生物活性を調節、例えば、妨害、阻害、低減、拮抗、無効化、またはそうでなければ干渉することができる。例えば、hENT1抗体は、hENT1の発現および/もしくは活性を部分的にもしくは全面的に調節、妨害、阻害、低減、拮抗、無効化、もしくはそうでなければ干渉すること、または別の方法で(or otherwise)、hENT1の発現および/もしくは活性を部分的にもしくは全面的に調節、妨害、阻害、低減、拮抗、無効化することによって、hENT1の発現および/または生物活性を全面的にまたは部分的に阻害する。hENT1抗体の存在下でのhENT1の発現および/または活性のレベルが、本明細書において説明するhENT1抗体との結合がない場合のhENT1の発現および/または活性のレベルと比べて、少なくとも95%、例えば、96%、97%、98%、99%、または100%低下している場合、hENT1抗体は、hENT1の発現および/または生物活性を全面的に調節、妨害、阻害、低減、拮抗、無効化、またはそうでなければ干渉するとみなされる。hENT1抗体の存在下でのhENT1の発現および/または活性のレベルが、本明細書において説明するhENT1抗体との結合がない場合のhENT1の発現および/または活性のレベルと比べて、95%未満、例えば、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、または90%低下している場合、hENT1抗体は、hENT1の発現および/または活性を部分的に調節、妨害、阻害、低減、拮抗、無効化、またはそうでなければ干渉するとみなされる。
本明細書において使用される場合、「低減された」という用語は、本発明のモノクローナル抗体の存在下で低下しているhENT1の発現および/または活性を意味する。本発明のモノクローナル抗体の存在下でのhENT1発現レベルが、対照のhENT1発現レベルより5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%、または100%以上低い場合、hENT1発現は低下している。hENT1発現レベルは、本明細書において提供する実施例において説明するものを含む、様々なアッセイ法を用いて測定される。本発明のモノクローナル抗体の存在下でのhENT1の1種または複数種の生物活性のレベルが、対照のhENT1活性のレベルより5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%、または100%以上低い場合、hENT1活性は低下している。hENT1活性レベルは、様々なアッセイ法を用いて測定される。
本発明のモノクローナル抗体(例えばモノクローナル抗体)を用いて治療、寛解、および/または予防される病状には、例えば、AMLおよび膵癌などの癌および他の新生物適応症が含まれる。本発明のモノクローナル抗体(例えばモノクローナル抗体)を用いて治療、寛解、および/または予防される病状には、例えば、C型肝炎のようなウイルス性適応症、マラリアのような感染症、およびβサラセミアのような血液疾患が含まれる。
本発明による薬学的組成物は、本発明の抗体および担体を含んでよい。これらの薬学的組成物は、例えば診断キットのようなキット中に含まれてよい。
抗hENT1抗体を発現させるために使用される発現ベクターの概略図である。 標準物質マウスIgGを用いた定量的ELISAアッセイ法の結果を示すグラフである。 1分間曝露した後の、未濃縮の上清および陽性対照であるマウスIgGの非還元ウェスタンブロット解析の結果を示す図である。 5分間曝露した後に上清中の陽性バンドを示すためにブロットを過度に現像した、非還元ウェスタンブロット解析の結果を示す図である。 さらなる抗hENT1抗体を発現させるために使用される発現ベクターの概略図である。
詳細な説明
本発明は、hENT1に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体は、1μM以下、例えば、100nM以下、好ましくは10nM以下、およびより好ましくは1nM以下の平衡結合定数(Kd)でhENT1エピトープに結合する。例えば、本明細書において提供されるhENT1抗体は、約1nM以下〜約1pMの間の範囲のKdを示す。
ヌクレオシド類似体薬は、それらが効果を発揮する場である細胞に入るためにヌクレオシドトランスポーターに依存する―これらの分子は拡散によって原形質膜を通過するのではなく、効率的な細胞取込みには、これらの特殊な原形質膜ヌクレオシドトランスポータータンパク質の存在が必要である。
シタラビンおよびゲムシタビン(Gemzar、Eli Lilly, Indianapolis, IN)は、効果をもたらすためにヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)に依存する2種の抗癌薬である。かなりの比率の癌細胞は、hENT1を低発現する。hENT1の低い発現および/または活性は、癌および他の新生物障害、例えば、急性骨髄性白血病(AML)または膵癌などに罹患している患者において見出されている。治療の臨床的効果が低いことと、癌細胞中のhENT1が少ないことまたは存在しないこととの相関関係が明らかにされている。(例えば、Galmarini, et al., "Potential mechanisms of resistance to cytarabine in AML patients,"Leuk Res 26 (2002) 621-629; Farrell, et al., "Human Equilibrative Nucleoside Transporter 1 Levels Predict Response to Gemcitabine in Patients With Pancreatic Cancer,"Gastroenterology 136 (2009) 187-195;およびGiovannetti, et al., "Transcription analysis of human equilibrative nucleoside transporter-1 predicts survival in pancreas cancer patients treated with gemcitabine,"Cancer Res 66 (2006) 3928-3935を参照されたい)。研究により、膵癌患者の腫瘍細胞におけるhENT1発現の欠如とヌクレオシド類似体およびゲムシタビンのような他の化学療法薬に対するその患者の不十分な応答との直接的な相互関係が示されている。(Farrell, et al., "Human Equilibrative Nucleoside Transporter 1 Levels Predict Response to Gemcitabine in Patients With Pancreatic Cancer,"Gastroenterology 136 (2009) 187-195を参照されたい)。また、hENT1は、リバビリンの経口摂取にも重要であり、リバビリンによるC型肝炎治療に対する耐性の原因となり得る。(Ibarra et al., "Reduced ribavirin antiviral efficacy via nucleoside transporter-mediated drug resistance,"J. Virol., vol. 83(9): 4583-47 (2009)を参照されたい)。
したがって、本発明のhENT1抗体は、患者または患者試料中のhENT1レベルを検出する際に有用である。本発明のhENT1抗体は、現行の制癌剤または抗ウイルス薬のためのコンパニオン診断剤として有用である。例えば、hENT1抗体は、シタラビン、アザシチジン、ゲムシタビン、ゲムシタビン-5'-エライジン酸エステル、シタラビン-5'-エライジン酸エステル、5-アザシチジン-5'-エライジン酸エステル、およびリバビリン-5'-エライジン酸エステルを含む、ヌクレオシド類似体薬のような化学療法剤と併用した際に有用である。また、hENT1抗体は、プリンヌクレオシド誘導体およびピリミジンヌクレオシド誘導体などの作用物質と組み合わせても有用である。(Quashie et al., "Uptake of purines in Plasmodium falciparum-infected human erythrocytes is mostly mediated by the human equilibrative nucleoside transporter and the human facilitative nucleobase transporter," Malaria Journal, vol. 9: 36 (2010)を参照されたい)。
本発明のhENT1抗体は、治療計画の追加またはそうでなければ治療計画の変更のために、hENT1の発現および/または活性が低いかまたはそうでなければ低減している患者の集団を特定するのに有用である。例えば、特定されたこの患者集団に、hENT1欠損細胞における取込みを可能にするように設計された治療剤、例えば、ゲムシタビン-5'-エライジン酸エステルもしくはゲムシタビン-N4-エライジン酸アミド、シタラビン-5'-エライジン酸エステル、または5-アザシチジン-5'-エライジン酸エステルもしくはリバビリン-5'-エライジン酸エステルなどが投与される。(Brueckner, et al., "Delivery of 5-azacytidine to human cancer cells by elaidic acid esterification increases therapeutic drug efficacy,"Mol Cancer Ther., vol. 9(5): 1256-1264 (2010)を参照されたい)。研究により、ゲムシタビン、シタラビン、およびアザシチジンなどの確立されたヌクレオシド薬とは対照的に、これらの薬物は癌細胞に侵入し、癌細胞中のhENT1発現レベルとは無関係に、癌細胞において活性を保持できることが示されている。(例えば、Breistol, et al., "Antitumor activity of P-4055 (elaidic acid-cytarabine) compared to cytarabine in metastatic and s.c. human tumor xenograft models," Cancer Res 59 (1999) 2944-2949;およびGalmarini et al., "CP-4055 and CP-4126 are active in ara-C and gemcitabine-resistant lymphoma cell lines," Br J Haematol 144 (2009) 273-275を参照されたい)。
また、hENT1欠損細胞におけるゲムシタビン-5'-エライジン酸エステルおよびシタラビン-5'-エライジン酸エステルの取込みは、インビトロでも確認されており、欠損癌細胞におけるシタラビン-5'-エライジン酸エステルおよびゲムシタビン-5'-エライジン酸エステルの活性な三リン酸代謝産物が多量に形成されることが確認されている。ゲムシタビン-5'-エライジン酸エステルまたはシタラビン-5'-エライジン酸エステルなど脂質を結合された薬物の脂質尾部が細胞内部で切断された後、親薬物が放出される。(特定された患者集団におけるhENT1の低い発現および/または活性に起因する)hENT1トランスポーターの欠如により、薬物は細胞内部に閉じ込められ、高濃度の活性代謝産物が測定されている。(Adema et al., "Fatty acid derivatives of cytarabine and gemcitabine, CP-4055 and CP-4126, show a prolonged cellular retention compared to the parent drug," Proceedings of the 99th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research. Abstract nr 5740 (2008)を参照されたい)。
これらの知見から、脂質を結合されたゲムシタビン誘導体(例えばゲムシタビン-5'-エライジン酸エステル)および/または脂質を結合されたシタラビン誘導体(例えばシタラビン-5'-エライジン酸エステル)が、hENT1の欠如またはhENT1の低い発現および/もしくは活性が原因でシタラビンおよびゲムシタビンに耐性であるか、またはそうでなければそれらに対する応答性が低い腫瘍を治療する際に有用であることが示唆される。したがって、本発明の抗体は、これらの脂質を結合されたゲムシタビン誘導体(例えばゲムシタビン-5'-エライジン酸エステル)および/もしくは脂質を結合されたシタラビン誘導体(例えばシタラビン-5'-エライジン酸エステル)ならびに/または脂質を結合された5-アザシチジン-5'-エライジン酸エステルとの併用療法において有用である。例えば、hENT1抗体は、hENT1の発現および/または活性が低いかまたはそうでなければ低減している患者を検出する際に有用である。例えば、hENT1抗体を用いて、癌および他の新生物障害、例えば、急性骨髄性白血病(AML)または膵癌などに罹患している患者をスクリーニングすることができる。したがって、hENT1抗体は、hENT1の発現および/または活性のレベルに基づいて、治療するための患者を特定するのに有用である。
いくつかの態様において、患者は、1種もしくは複数種のヌクレオシド類似体薬および/またはヌクレオシド類似体に由来する薬物(例えば、シタラビン、ゲムシタビン、およびそれらの誘導体を含むピリミジン誘導体、ならびに例えば、フルダラビン、クラドリビン、クロファラビン、およびそれらの誘導体を含むプリン誘導体など)の投与を含む治療計画を現在受けている。いくつかの態様において、患者は、1種もしくは複数種のヌクレオシド類似体薬および/またはヌクレオシド類似体に由来する薬物(例えば、シタラビン、ゲムシタビン、およびそれらの誘導体を含むピリミジン誘導体、ならびに例えば、フルダラビン、クラドリビン、クロファラビン、およびそれらの誘導体を含むプリン誘導体など)の投与を含む治療計画を現在受けており、これらの患者は、治療に応答するのを止めてしまっているか、またはそうでなければヌクレオシド類似体薬に対する応答性が低い。
いくつかの態様において、患者は、1種もしくは複数種のヌクレオシド類似体薬および/またはヌクレオシド類似体に由来する薬物(例えば、シタラビン、ゲムシタビン、およびそれらの誘導体を含むピリミジン誘導体、ならびに例えば、フルダラビン、クラドリビン、クロファラビン、およびそれらの誘導体を含むプリン誘導体など)の投与を含む治療計画を以前受けていた。いくつかの態様において、患者は、1種もしくは複数種のヌクレオシド類似体薬および/またはヌクレオシド類似体に由来する薬物(例えば、シタラビン、ゲムシタビン、およびそれらの誘導体を含むピリミジン誘導体、ならびに例えば、フルダラビン、クラドリビン、クロファラビン、およびそれらの誘導体を含むプリン誘導体など)の投与を含む治療計画を以前受けており、これらの患者は、治療に応答するのを止めてしまっていたか、またはそうでなければヌクレオシド類似体薬に対する応答性が低かった。
定義
他に規定されない限り、本発明に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。さらに、文脈において特に指示がない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、かつ複数形の用語は単数を含むものとする。一般に、本明細書において説明する、細胞培養および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質化学およびオリゴヌクレオチド化学またはポリヌクレオチド化学、ならびにハイブリダイゼーションに関連して使用される学術用語は、当技術分野において周知であり、一般に使用されるものである。標準的技術が、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)のために使用される。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様書に従って、または当技術分野において一般に遂行されているように、もしくは本明細書において説明するようにして、実施する。前述の技術および手順は、一般に、当技術分野において周知である従来の方法に従って、かつ本明細書の全体にわたって引用および考察される様々な一般的参考文献およびより具体的な参考文献において説明されているようにして、実施する。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照されたい。本明細書において説明する分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品化学および製薬化学に関連して使用される学術用語、ならびにそれらの実験室での手順および技術は、当技術分野において周知であり、かつ一般に使用されるものである。標準的な技術が、化学合成、化学分析、医薬品の調製、調剤、および送達、ならびに患者の治療のために使用される。
本開示に従って使用される場合、以下の用語は、別段の定めが無い限り以下の意味を有すると理解されるものとする。
本明細書において使用される場合、「ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1」および「hENT1」という用語は同義であり、交換可能に使用され得る。
本明細書において使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を意味する。「特異的に結合する」もしくは「免疫反応する」または「標的とする」とは、抗体が所望の抗原の1つまたは複数の抗原決定基と反応し、かつ他のポリペプチドとは反応しないか、またはずっと低い親和性(Kd>10-6)で結合することを意味する。抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、dAb(ドメイン抗体)、単鎖、Fab断片、Fab'断片、およびF(ab')2断片、scFv、ならびにFab発現ライブラリーが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
基本的な抗体構造単位は、テトラマーを構成することが公知である。各テトラマーは、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアから構成され、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担当する、約100〜110またはそれ以上のアミノ酸からなる可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担当する定常領域の境界を定める。一般に、ヒトから得られる抗体分子は、クラスIgG、IgM、IgA、IgE、およびIgDのいずれかに関連し、これらは分子中に存在する重鎖の性質が互いに異なる。いくつかのクラスは、IgG1およびIgG2などのサブクラスもさらに有する。さらに、ヒトでは、軽鎖はκ鎖またはλ鎖であり得る。
「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書において使用される場合、独特な軽鎖遺伝子産物および独特な重鎖遺伝子産物からなる抗体分子のただ1つの分子種のみを含む抗体分子集団を意味する。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、この集団の全分子において同一である。MAbは、抗原の特定のエピトープと免疫反応することができ、それに対する独特な結合親和性を特徴とする、抗原結合部位を含む。
一般に、ヒトから得られる抗体分子は、クラスIgG、IgM、IgA、IgE、およびIgDのいずれかに関連し、これらは分子中に存在する重鎖の性質が互いに異なる。いくつかのクラスは、IgG1およびIgG2などのサブクラスもさらに有する。さらに、ヒトでは、軽鎖はκ鎖またはλ鎖であり得る。
「抗原結合部位」または「結合部分」という用語は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の一部分を意味する。抗原結合部位は、重(「H」)鎖および軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成されている。「超可変領域」と呼ばれる、重鎖および軽鎖のV領域内の著しく変化に富む3つのストレッチは、「フレームワーク領域」または「FR」として公知である保存の度合いが高い(more conserved)隣接するストレッチの間に介在する。したがって、「FR」という用語は、免疫グロブリン中の超可変領域の間に、かつそれらに隣接して天然に存在するアミノ酸配列を意味する。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域は、三次元空間に互いに関連して配置して、抗原結合表面を形成している。抗原結合表面は、結合される抗原の三次元表面に相補的であり、重鎖および軽鎖のそれぞれの3つの超可変領域は「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。各ドメインに対するアミノ酸の割付は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987 and 1991))、またはChothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)、Chothia et al. Nature 342:878-883 (1989)の定義に従っている。
本明細書において使用される場合、「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンもしくはその断片、またはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸または糖の側鎖など分子の化学的に活性な表面基(grouping)からなり、通常、特殊な三次元構造特性、ならびに特殊な電荷特性を有する。解離定数が1μM以下、例えば100nM以下、好ましくは10nM以下、およびより好ましくは1nM以下である場合、抗体は抗原に特異的に結合すると述べられる。
本明細書において使用される場合、「特異的結合」、「免疫学的結合」、および「免疫学的結合特性」という用語(ならびにそれらの文法的変形のすべて)は、免疫グロブリン分子と免疫グロブリンが特異的である対象の抗原との間で起こるタイプの非共有結合的相互作用を意味する。免疫学的結合相互作用の強さまたは親和力は、相互作用の解離定数(Kd)の観点から表現することができ、Kdが小さいほど親和力が大きいことを表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当技術分野において周知の方法を用いて定量することができる。1つのこのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体の形成および解離の速度を測定することを伴い、これらの速度は、複合体の相手の濃度、相互作用の親和力、および両方の方向の速度に等しく影響する幾何学的パラメーターに依存する。したがって、「結合速度定数」(Kon)および「解離速度定数」(Koff)の両方とも、濃度ならびに実際の結合速度および解離速度を計算することによって決定することができる。(Nature 361:186-87 (1993)を参照されたい)。Koff/Konの比は、親和力に関係していないあらゆるパラメーターを取り消すことを可能にし、解離定数Kdと等しい。(一般に、Davies et al. (1990) Annual Rev Biochem 59:439-473を参照されたい)。本発明の抗体は、放射性リガンド結合アッセイ法または当業者に公知である同様のアッセイ法などのアッセイ法によって測定した際に平衡結合定数(Kd)が1μM以下、好ましくは100nM以下、より好ましくは10nM以下、および最も好ましくは100pM〜約1pM以下である場合、hENT1に特異的に結合すると述べられる。
「生物試料」という用語は、対象から単離された組織、細胞、および生物学的液体、ならびに対象内に存在する組織、細胞、および液体を含むと意図される。したがって、血液および血液の画分または成分(血清、血漿、またはリンパ液を含む)は、「生物試料」という用語の用法の範囲内に含まれる。
本明細書において使用される「単離されたポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム起源、cDNA起源、もしくは合成起源のポリヌクレオチド、またはその何らかの組合せを意味し、この起源が理由で、この「単離されたポリヌクレオチド」は、(1)「単離されたポリヌクレオチド」が天然にはその中に存在するポリヌクレオチドの全体とも一部分とも結合していないか、(2)天然には結合していないポリヌクレオチドに機能的に連結されているか、または(3)より大型の配列の一部分として、天然には存在しない。本発明によるポリヌクレオチドには、SEQ ID NO: 1、3、5、7、27、29、31、33、35、および37に示す、重鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子、ならびにSEQ ID NO: 13、15、17、21、42、44、46、および48に示す、軽鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子が含まれる。
hENT1抗体
本発明のモノクローナル抗体はhENT1に結合する。これらのモノクローナル抗体は、hENT1の発現および/または活性を阻害する能力を有する。阻害は、例えば、様々な標準的アッセイ法のいずれかを用いて測定される。
本発明のhENT1抗体のための例示的な可変重鎖配列には、VH3-12可変重鎖、VH5-9可変重鎖、VH5-12可変重鎖、VH5-13可変重鎖、VH5-3可変重鎖、VH5-11可変重鎖、または本明細書において提供され、コンセンサス可変重鎖領域配列1(コンセンサスVH配列1)と呼ばれるコンセンサス可変重鎖が含まれる。また、本発明のhENT1抗体のための例示的な可変重鎖配列には、VH1-1可変重鎖、VH1-4可変重鎖、VH1-6可変重鎖、VH4-2可変重鎖、VH4-3可変重鎖、VH4-4可変重鎖、または本明細書において提供され、コンセンサス可変重鎖領域配列2(コンセンサスVH配列2)と呼ばれるコンセンサス可変重鎖も含まれる。各重鎖配列の可変ドメインを以下の配列においてボールド体で示す。
好ましくは、本発明のhENT1抗体の可変重鎖は、アミノ酸配列GYTFTDYE(SEQ ID NO: 10)を含む可変重鎖相補性決定領域1(VH CDR1)配列、アミノ酸配列IDPETGAI(SEQ ID NO: 11)またはアミノ酸配列IDPETGKT(SEQ ID NO: 40)を含む可変重鎖相補性決定領域2(VH CDR2)配列、およびアミノ酸配列TREFTY(SEQ ID NO: 12)またはアミノ酸配列TRELTY(SEQ ID NO: 41)を含む可変重鎖相補性決定領域3(VH CDR3)配列を含む。これらのCDRは、IMGTアルゴリズムを用いて同定した。(Lefranc, et al., Dev. Comp. Immunol., 27, 55-77 (2003); Brochet et al., "IMGT/V-QUEST: the highly customized and integrated system for IG and TR standardized V-J and V-D-J sequence analysis,"Nucl. Acids Res., vol. 36: W503-508 (2008))。
VH3-12重鎖可変領域(SEQ ID NO: 2)は、SEQ ID NO: 1に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 2に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 2に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH3-12核酸配列(SEQ ID NO: 1)
Figure 2013538182
>VH3-12アミノ酸配列(SEQ ID NO: 2)
Figure 2013538182
VH5-9重鎖可変領域(SEQ ID NO: 4)は、SEQ ID NO: 3に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 4に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 4に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH5-9核酸配列(SEQ ID NO: 3)
Figure 2013538182
>VH5-9アミノ酸配列(SEQ ID NO: 4)
Figure 2013538182
VH5-12重鎖可変領域(SEQ ID NO: 6)は、SEQ ID NO: 5に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 6に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 6に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH5-12核酸配列(SEQ ID NO: 5)
Figure 2013538182
>VH5-12アミノ酸配列(SEQ ID NO: 6)
Figure 2013538182
VH5-13重鎖可変領域(SEQ ID NO: 8)は、SEQ ID NO: 7に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 8に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 8に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH5-13核酸配列(SEQ ID NO: 7)
Figure 2013538182
>VH5-13アミノ酸配列(SEQ ID NO: 8)
Figure 2013538182
VH5-3重鎖可変領域(SEQ ID NO: 51)は、SEQ ID NO: 50に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 51に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 51に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH5-3核酸配列(SEQ ID NO: 50)
Figure 2013538182
>VH5-3アミノ酸配列(SEQ ID NO: 51)
Figure 2013538182
VH5-11重鎖可変領域(SEQ ID NO: 53)は、SEQ ID NO: 52に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 53に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 53に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH5-11核酸配列(SEQ ID NO: 52)
Figure 2013538182
>VH5-11アミノ酸配列(SEQ ID NO: 53)
Figure 2013538182
コンセンサス重鎖可変領域配列1のアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 9に示す。可変ドメインは、SEQ ID NO: 9に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 9に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>コンセンサスVHアミノ酸配列1(SEQ ID NO: 9)
Figure 2013538182
これらの可変重鎖配列のアライメントを下記に示す。
Figure 2013538182
VH1-1重鎖可変領域(SEQ ID NO: 28)は、SEQ ID NO: 27に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 28に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 28に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH1-1核酸配列(SEQ ID NO: 27)
Figure 2013538182
>VH1-1アミノ酸配列(SEQ ID NO: 28)
Figure 2013538182
VH1-4重鎖可変領域(SEQ ID NO: 30)は、SEQ ID NO: 29に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 30に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 30に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH1-4核酸配列(SEQ ID NO: 29)
Figure 2013538182
>VH1-4アミノ酸配列(SEQ ID NO: 30)
Figure 2013538182
VH1-6重鎖可変領域(SEQ ID NO: 32)は、SEQ ID NO: 31に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 32に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 32に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH1-6核酸配列(SEQ ID NO: 31)
Figure 2013538182
>VH1-6アミノ酸配列(SEQ ID NO: 32)
Figure 2013538182
VH4-2重鎖可変領域(SEQ ID NO: 34)は、SEQ ID NO: 33に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 34に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 34に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH4-2核酸配列(SEQ ID NO: 33)
Figure 2013538182
>VH4-2アミノ酸配列(SEQ ID NO: 34)
Figure 2013538182
VH4-3重鎖可変領域(SEQ ID NO: 36)は、SEQ ID NO: 35に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 36に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 36に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH4-3核酸配列(SEQ ID NO: 35)
Figure 2013538182
>VH4-3アミノ酸配列(SEQ ID NO: 36)
Figure 2013538182
VH4-4重鎖可変領域(SEQ ID NO: 38)は、SEQ ID NO: 37に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 38に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 38に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VH4-4核酸配列(SEQ ID NO: 37)
Figure 2013538182
>VH4-4アミノ酸配列(SEQ ID NO: 38)
Figure 2013538182
コンセンサス重鎖可変領域配列2のアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 39に示す。可変ドメインは、SEQ ID NO: 39に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 39に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>コンセンサスVHアミノ酸配列2(SEQ ID NO: 39)
Figure 2013538182
これらの可変重鎖配列のアライメントを下記に示す。
Figure 2013538182
本発明のhENT1抗体のための例示的な可変軽鎖配列には、VL2可変軽鎖、VL10可変軽鎖、VL11可変軽鎖、VL20可変軽鎖、VL21可変軽鎖、または本明細書において提供され、コンセンサス可変軽鎖領域配列1(コンセンサスVL配列1)と呼ばれるコンセンサス可変軽鎖が含まれる。また、本発明のhENT1抗体のための例示的な可変軽鎖配列には、VL2-2可変軽鎖、VL2-3可変軽鎖、VL2-7可変軽鎖、VL2-10可変軽鎖、VL2-12可変軽鎖、VL2-16可変軽鎖、または本明細書において提供され、コンセンサス可変軽鎖領域配列2(コンセンサスVL配列2)と呼ばれるコンセンサス可変軽鎖も含まれる。
好ましくは、本発明のhENT1抗体の可変軽鎖は、アミノ酸配列QSLLFSNGKTY(SEQ ID NO: 24)を含む可変軽鎖相補性決定領域1(VL CDR1)配列、アミノ酸配列LVS(SEQ ID NO: 25)を含む可変軽鎖相補性決定領域2(VL CDR2)配列、およびアミノ酸配列VQGTHFPWT(SEQ ID NO: 26)を含む可変軽鎖相補性決定領域3(VL CDR3)配列を含む。これらのCDRは、IMGTアルゴリズムを用いて同定した。(Lefranc, et al., Dev. Comp. Immunol., 27, 55-77 (2003); Brochet et al., "IMGT/V-QUEST: the highly customized and integrated system for IG and TR standardized V-J and V-D-J sequence analysis,"Nucl. Acids Res., vol. 36: W503-508 (2008))。
VL2軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 14)は、SEQ ID NO: 13に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 14に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 14に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL2核酸配列(SEQ ID NO: 13)
Figure 2013538182
>VL2アミノ酸配列(SEQ ID NO: 14)
Figure 2013538182
VL10軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 16)は、SEQ ID NO: 15に示す核酸配列にコードされる。CDR領域は、SEQ ID NO: 16に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL10核酸配列(SEQ ID NO: 15)
Figure 2013538182
>VL10アミノ酸配列(SEQ ID NO: 16)
Figure 2013538182
VL11軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 18)は、SEQ ID NO: 17に示す核酸配列にコードされる。CDR領域は、SEQ ID NO: 18に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL11核酸配列(SEQ ID NO: 17)
Figure 2013538182
>VL11アミノ酸配列(SEQ ID NO: 18)
Figure 2013538182
VL20軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 20)は、SEQ ID NO: 19に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 20に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 20に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL20核酸配列(SEQ ID NO: 19)
Figure 2013538182
>VL20アミノ酸配列(SEQ ID NO: 20)
Figure 2013538182
VL21軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 22)は、SEQ ID NO: 21に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 22に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 21に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL21核酸配列(SEQ ID NO: 21)
Figure 2013538182
>VL21アミノ酸配列(SEQ ID NO: 22)
Figure 2013538182
コンセンサス軽鎖可変領域配列1は、SEQ ID NO: 23に示す核酸配列にコードされる。CDR領域は、SEQ ID NO: 23に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>コンセンサスVLアミノ酸配列1(SEQ ID NO: 23)
Figure 2013538182
これらの可変軽鎖配列のアライメントを下記に示す。
Figure 2013538182
VL2-2軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 43)は、SEQ ID NO: 42に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 43に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 43に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL2-2核酸配列(SEQ ID NO: 42)
Figure 2013538182
>VL2-2アミノ酸配列(SEQ ID NO: 43)
Figure 2013538182
VL2-3軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 45)は、SEQ ID NO: 44に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 45に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 45に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL2-3核酸配列(SEQ ID NO: 44)
Figure 2013538182
>VL2-3アミノ酸配列(SEQ ID NO: 45)
Figure 2013538182
VL2-7軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 45)は、SEQ ID NO: 44に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 45に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 45に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL2-7核酸配列(SEQ ID NO: 44)
Figure 2013538182
>VL2-7アミノ酸配列(SEQ ID NO: 45)
Figure 2013538182
VL2-10軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 47)は、SEQ ID NO: 46に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 47に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 47に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL2-10核酸配列(SEQ ID NO: 46)
Figure 2013538182
>VL2-10アミノ酸配列(SEQ ID NO: 47)
Figure 2013538182
VL2-12軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 43)は、SEQ ID NO: 48に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 43に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 43に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL2-12核酸配列(SEQ ID NO: 48)
Figure 2013538182
>VL2-12アミノ酸配列(SEQ ID NO: 43)
Figure 2013538182
VL2-16軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 45)は、SEQ ID NO: 44に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 45に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 45に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>VL2-16核酸配列(SEQ ID NO: 44)
Figure 2013538182
>VL2-16アミノ酸配列(SEQ ID NO: 45)
Figure 2013538182
コンセンサス軽鎖可変領域配列2は、SEQ ID NO: 49に示す核酸配列にコードされる。可変ドメインは、SEQ ID NO: 49に示すアミノ酸配列においてボールド体で示している。CDR領域は、SEQ ID NO: 49に示すアミノ酸配列において四角で囲んでいる。
>コンセンサスVLアミノ酸配列2(SEQ ID NO: 49)
Figure 2013538182
これらの可変軽鎖配列のアライメントを下記に示す。
Figure 2013538182
また、本明細書において説明する抗体と同じエピトープに結合する抗体も、本発明に含まれる。例えば、本発明の抗体はhENT1に特異的に結合し、その際、この抗体は、ヒトhENT1上の1つまたは複数のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する(例えば、アクセッション番号AAC51103.1;NP_001071645.1;NP_001071644.1;NP_0010171643.1;NP_001071642.1;NP_004946.1;NP_001523.2;AAM11785.1;AAF02777.1を参照されたい)。
当業者は、あるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体と同じ特異性を有するかを、後者がhENT1に結合するのを前者が妨げるかどうかを確認することによって過度に実験することなく判定することが可能であることを認識するであろう。本発明のモノクローナル抗体による結合の減少によって示されるように、試験されるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体と競合する場合、これら2種のモノクローナル抗体は同じエピトープまたは密接に関連したエピトープに結合する。
あるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体の特異性を有するかどうか判定するための代替の方法は、本発明のモノクローナル抗体を可溶性hENT1タンパク質とプレインキュベートし、次いで、試験されるモノクローナル抗体を添加して、試験されるそのモノクローナル抗体のhENT1結合能力が阻害されているか判定するものである。試験されるモノクローナル抗体が阻害されている場合、十中八九、それは、本発明のモノクローナル抗体と同じまたは機能的に等価なエピトープ特異性を有する。また、本発明のモノクローナル抗体のスクリーニングは、例えば、試験モノクローナル抗体がhENT1の発現および/または活性を調節、妨害、阻害、低減、拮抗、無効化、またはそうでなければ干渉することができるかどうかを測定および判定することによって実施することもできる。
当技術分野の範囲内で公知である様々な手順が、hENT1を対象とするか、またはその誘導体、断片、類似体、ホモログ、もしくはオルソログを対象とするモノクローナル抗体の作製のために使用され得る。(例えば、参照により本明細書に組み入れられるAntibodies: A Laboratory Manual, Harlow E, and Lane D, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照されたい)。完全ヒト抗体は、CDRを含む軽鎖および重鎖の両方の配列全体がヒト遺伝子から生じている抗体分子である。このような抗体は、本明細書において「ヒト抗体」または「完全ヒト抗体」と呼ばれる。ヒトモノクローナル抗体は、例えば、トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor, et al., 1983 Immunol Today 4: 72を参照されたい);およびヒトモノクローナル抗体を作製するためのEBVハイブリドーマ技術(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照されたい)を用いることによって調製される。ヒトモノクローナル抗体は、使用されてよく、ヒトハイブリドーマを用いることによって(Cote, et al., 1983. Proc Natl Acad Sci USA 80: 2026-2030を参照されたい)またはインビトロでエプスタイン・バー(Epstein Barr)ウイルスを用いてヒトB細胞を形質転換することによって(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照されたい)、作製されてよい。モノクローナル抗体は、例えば、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)によって説明されているもののようなハイブリドーマ法を用いて調製される。ハイブリドーマ法では、典型的には、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物を免疫化剤で免疫化して、その免疫化剤に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、インビトロでリンパ球を免疫化してもよい。
本発明の抗体はモノクローナル抗体である。例えば、動物をhENT1、例えば、マウスhENT1、ラットhENT1、もしくはヒトhENT1、またはそれらの免疫原性断片、誘導体、もしくは変異体などで免疫化することによって、hENT1の発現および/または活性を調節、妨害、阻害、低減、拮抗、無効化、またはそうでなければ干渉するモノクローナル抗体が作製される。あるいは、動物は、hENT1をコードする核酸分子を含むベクターをトランスフェクトされた細胞で免疫化され、その結果、hENT1が、トランスフェクトされた細胞の表面で発現され、結合している。あるいは、これらの抗体は、抗体または抗原結合ドメイン配列を含むライブラリーをhENT1結合についてスクリーニングすることによっても得られる。このライブラリーは、例えば、組み立てられたファージ粒子の表面で発現されるバクテリオファージコートタンパク質へのタンパク質融合物またはペプチド融合物として、バクテリオファージにおいて調製され、コードされるDNA配列はファージ粒子内に含まれる(すなわち、「ファージディスプレイされたライブラリー」)。次いで、骨髄腫/B細胞融合の結果として生じるハイブリドーマを、hENT1に対する反応性についてスクリーニングする。
本発明のモノクローナル抗体には、完全ヒト抗体またはヒト化抗体が含まれる。これらの抗体は、投与される免疫グロブリンに対するヒトの免疫応答を引き起こすことなくヒトに投与するのに適している。
いくつかの方法において、hENT1抗体は、例えば、ヒト配列のみを含む抗体を用いたファージディスプレイ法によって作り上げられる。このようなアプローチは、当技術分野において、例えば、参照により本明細書に組み入れられるWO92/01047および米国特許第6,521,404号において周知である。(Wright et al. Crit, Reviews in Immunol. 12125-168 (1992)、Hanes and Pluckthun PNAS USA 94:4937-4942 (1997)(リボソームディスプレイ)、Parmley and Smith Gene 73:305-318 (1988)(ファージディスプレイ)、Scott, TIBS, vol. 17:241-245 (1992)、Cwirla et al. PNAS USA 87:6378-6382 (1990)、Russel et al. Nucl. Acids Research 21:1081-1085 (1993)、Hoganboom et al. Immunol. Reviews 130:43-68 (1992)、Chiswell and McCafferty TIBTECH; 10:80-8A (1992)、および米国特許第5,733,743号も参照されたい)。
ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答により、当技術分野におけるキメラ抗体またはそれ以外のヒト化抗体の調製がもたらされてきた。キメラ抗体はヒト定常領域および免疫可変領域を有するが、特に抗体を長期的にまたは多数回利用する際には、ある種のヒト抗キメラ抗体(HACA)応答が観察されることが予想されている。したがって、HAMA応答またはHACA応答の懸念および/または影響を無くすか、またはそうでなければ軽減するためには、hENT1に対する完全ヒト抗体を提供することが望ましい。
免疫原性が低減した抗体の作製は、ヒト化、キメラ化、および適切なライブラリーを用いたディスプレイ技術によっても遂行される。マウス抗体または他種由来の抗体は、当技術分野において周知の技術を用いてヒト化または霊長類化できることが認識される。例えば、Winter and Harris Immunol Today 14:43 46 (1993)およびWright et al. Crit, Reviews in Immunol. 12125-168 (1992)を参照されたい。関心対象の抗体を組換えDNA技術によって操作して、CH1、CH2、CH3、ヒンジドメイン、および/またはフレームワークドメインを対応するヒト配列で置換することができる(WO92/102190ならびに米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,792号、同第5,714,350号、および同第5,777,085号を参照されたい)。また、キメラ免疫グロブリン遺伝子を構築するためのIg cDNAの使用も当技術分野において公知である (Liu et al. P.N.A.S. 84:3439 (1987)およびJ. Immunol. 139:3521 (1987))。mRNAが、抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞から単離され、cDNAを作製するために使用される。関心対象のcDNAは、特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって増幅させることができる(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号)。あるいは、ライブラリーを作製し、スクリーニングして、関心対象の配列を単離する。次いで、抗体の可変領域をコードするDNA配列をヒト定常領域配列に融合させる。ヒト定常領域遺伝子の配列は、Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of immunological Interest, N.I.H. publication no. 91-3242において見出すことができる。ヒトC領域遺伝子は、公知のクローンから容易に入手できる。アイソタイプの選択は、補体結合または抗体依存性細胞障害における活性などの所望のエフェクター機能に基づいて導かれる。好ましいアイソタイプは、IgG1、IgG3、およびIgG4である。κまたはλのヒト軽鎖定常領域のいずれかが使用され得る。次いで、キメラヒト化抗体は、従来の方法によって発現される。
本発明はまた、抗hENT1断片Fv、Fab、Fab'、およびF(ab')2、単鎖抗hENT1抗体、二重特異性抗hENT1抗体、ならびにヘテロ結合体抗hENT1抗体も含む。
Fv、F(ab')2、およびFabなどの抗体断片は、例えばプロテアーゼまたは化学的切断による、完全なタンパク質の切断によって調製され得る。あるいは、切断型遺伝子が設計される。例えば、F(ab')2断片の一部分をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域、続いて、切断型分子をもたらすための翻訳停止コドンをコードするDNA配列を含むと思われる。
例えば、hENT1の異常な発現および/または活性に関連付けられている疾患および障害を治療する際の抗体の有効性を高めるために、エフェクター機能に関して本発明の抗体を改変することが望ましい場合があり得る。例えば、システイン残基をFc領域中に導入し、それによって、この領域に鎖間ジスルフィド結合を形成させることができる。このようにして作製されたホモ二量体抗体は、内在化能力の改善、ならびに/または補体媒介性細胞死滅および抗体依存性細胞障害(ADCC)の増大を示し得る。(Caron et al., J. Exp Med., 176: 1191-1195 (1992)およびShopes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992)を参照されたい)。あるいは、2個のFc領域を有し、それによって、強化された補体溶解およびADCC能力を有し得る抗体を人工的に設計することもできる。(Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, 3: 219-230 (1989)を参照されたい)。
本発明はまた、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物に由来する酵素的に活性な毒素もしくはその断片)のような細胞障害性物質または放射性同位元素(すなわち放射性結合体)に結合された抗体を含む免疫複合体にも関連する。当業者は、多種多様な考え得る部分を、結果として生じる本発明の抗体に結合できることを認識するであろう。(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる "Conjugate Vaccines," Contributions to Microbiology and Immunology, J. M. Cruse and R. E. Lewis, Jr (eds), Carger Press, New York, (1989)を参照されたい)。結合は、抗体および他方の部分が個々の活性を保持する限り、これら2つの分子を結合する任意の化学反応によって遂行してよい。この連結は、多くの化学的メカニズム、例えば、共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合、および錯化を含み得る。しかしながら、好ましい結合は、共有結合である。
抗体は、免疫血清のIgG画分を主に与えるプロテインAまたはプロテインGを用いたアフィニティークロマトグラフィーのような周知の技術によって精製される。続いて、またはその代わりに、捜し求められる免疫グロブリンの標的である特異的抗原またはそのエピトープをカラム上に固定して、免疫アフィニティークロマトグラフィーによって免疫特異的抗体を精製してもよい。免疫グロブリンの精製は、例えば、D. Wilkinson (The Scientist, The Scientist, Inc., Philadelphia PA出版, Vol. 14, No. 8 (April 17, 2000), pp. 25-28)によって考察されている。
hENT1に対する抗体の使用
本発明に従う治療的実体の投与は、適切な薬学的に許容される担体、賦形剤、ならびに移動、送達、および耐性などの改善を実現するために製剤中に組み込まれる他の作用物質と共に行われることが認識される。多数の適切な製剤を、あらゆる薬剤師に公知の処方集:Remington's Pharmaceutical Sciences (15th ed, Mack Publishing Company, Easton, PA (1975))、特にその中のBlaug, SeymourによるChapter 87において見出すことができる。これらの製剤には、例えば、散剤、パスタ剤、軟膏剤、ゼリー剤、ワックス、油、脂質、脂質(陽イオン性または陰イオン性)含有小胞(例えばリポフェクチン(Lipofectin)(商標))、DNA結合体、無水吸収パスタ剤(anhydrous absorption paste)、水中油型乳剤および油中水型乳剤、乳濁液カーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカーボワックスを含有する半固体混合物が含まれる。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的投与に適合性である任意およびすべての溶剤、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、ならびに等張化剤および吸収遅延剤などを含むと意図される。適切な担体または希釈剤には、水、生理食塩水、生理的食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。リポソームおよび不揮発性油のような非水系ビヒクルもまた、使用され得る。
製剤中の活性成分が製剤によって不活性化されないこと、および製剤が投与経路に生理学的に適合性かつ耐容性であることを条件として、前述の混合物のいずれも、本発明に従う治療および治療法において適切であり得る。本発明の薬学的組成物は、所期の投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例には、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口投与(例えば吸入)、経皮投与(すなわち局所的投与)、経粘膜投与、および直腸投与が含まれる。薬学的組成物は、投与用の取扱い説明書と一緒に容器、パック、またはディスペンサー中に含まれてよい。
通常、本発明の抗体の治療的有効量は、治療目標を達成するのに必要とされる量に関する。投与されるべき必要量は、特異的抗原に対する抗体の結合親和性に依存し、また、投与された抗体が、それが投与された対象の自由体積(free volume)から枯渇する速度にも依存する。本発明の抗体または抗体断片の治療的に有効な投薬の一般的範囲は、非限定的な例として、約0.1mg/kg体重〜約50mg/kg体重であり得る。一般的な投薬頻度は、例えば、毎日2回〜1週間に1回の範囲でよい。
治療の有効性は、個々の癌または新生物障害を診断または治療するための任意の公知の方法と連携して判定される。癌または新生物障害の1種または複数種の症状が軽減される場合、抗体は臨床的有益性を与えることが示される。
別の態様において、hENT1に対する抗体は、(例えば、適切な生理的試料内のhENT1レベルを測定する際に使用するため、診断方法において使用するため、およびタンパク質を画像化する際に使用するためなどの)、hENT1の位置確認および/または定量に関する当技術分野の範囲内で公知の方法において使用され得る。さらに別の態様において、本発明による抗体は、試料中のhENT1(またはそのタンパク質断片)の存在を検出するための作用物質として使用され得る。別の態様において、hENT1に特異的な抗体は、イムノアフィニティー、クロマトグラフィー、または免疫沈降法などの標準的技術によってhENT1ポリペプチドを単離するのに使用され得る。検出可能な物質に抗体を結合させる(すなわち、物理的に連結する)ことによって、検出を容易にすることができる。検出可能な物質の例には、様々な酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ)、補欠分子団(例えば、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン)、蛍光性材料(例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、発光材料(例えばルミノール)、生物発光材料(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン)、ならびに放射性材料(例えば、125I、131I、35S、または3H)が含まれる。
診断用製剤および予防用製剤
本発明のhENT1モノクローナル抗体は、診断用製剤および予防用製剤において使用される。1つの態様において、hENT1抗体は、hENT1の発現および/または活性が低いかまたはそうでなければ低減している患者または患者試料を同定するのに使用される。1つの態様において、本発明のhENT1抗体は、検出されたhENT1の発現レベルおよび/または活性レベルに基づいて癌または他の新生物障害の治療に成功する可能性がより高い患者を同定するのに使用される。1つの態様において、本発明のhENT1抗体は、hENT1の異常な発現および/または活性に関連付けられている障害を発症するリスクがある患者を同定するのに使用される。1つの態様において、本発明のhENT1抗体は、hENT1の異常な発現および/または活性に関連付けられている障害を発症するリスクがある患者に投与される。これらの1種または複数種の障害に対する患者または器官の素因は、遺伝子型マーカー、血清学的マーカー、または生化学的マーカー、例えば、hENT1の発現レベルおよび/または活性レベルなどを用いて判定することができる。
本発明の抗体はまた、患者試料中のhENT1を検出する際に有用であり、したがって、診断用物質として有用である。例えば、本発明のhENT1抗体は、患者試料中のhENT1レベルを検出するためのインビトロアッセイ法、例えばELISAにおいて使用される。
1つの態様において、本発明のhENT1抗体は、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)上に固定される。固定された抗体は、試験試料中に存在し得る任意のhENT1に対する捕捉抗体として働く。検出可能な標識のレベルを測定し、標準試料から作成した検量線と比較することによって、試験試料中のhENT1抗原の濃度を決定する。
本明細書に引用されるすべての刊行物および特許文献は、あたかもそのような刊行物または文献のそれぞれが参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示されたかのように、参照により本明細書に組み入れられる。刊行物および特許文献の引用は、いずれかが関連する先行技術であることを認めるものとして意図されるのでもなく、それらの内容または日付に関するいかなる承認となるものでもない。書面による説明によって本発明を今まで説明してきたが、当業者は、本発明が様々な態様において実施され得ること、ならびに前述の説明および下記の実施例が、例示のためであって、添付の特許請求の範囲を限定するためではないことを認識するであろう。
実施された実験および達成された結果を含めて、以下の実施例は、例証するためだけに提供され、本発明に対する限定として解釈されるべきではない。
実施例1:抗hENT1抗体の作製および配列決定
その内容全体が参照により本明細書に組み入れられるJennings et al., "Distinct regional distribution of human equilibrative nucleoside transporter proteins 1 and 2 (hENT1and hENT2) in the central nervous system,"Neuropharmacology, vol. 40(5): 722-731 (2001)において説明されているようにして、抗体を作製した。簡単に説明すると、hENT1の膜貫通セグメント6と7の間の予測される細胞内ループのアミノ酸254〜271に対応し、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合された合成ペプチドでマウスを免疫化することによって、hENT1タンパク質に特異的なモノクローナル抗体を産生させた。均一性が95%を超えるまで精製されたこの合成ペプチド-KLH結合体は、Alberta Peptide Institute (University of Alberta, Canada)から入手した。モノクローナル抗体の作製は、Harlow and Lane ("Antibodies: a Laboratory Manual," Harlow and Lane (eds.) (1988))の手順に従った。ハイブリドーマは、(i)脾細胞をマウス骨髄腫非分泌細胞株PC/NSI/1-AG4-1と融合させることによって作製し、(ii)100μMヒポキサンチン、16μMアミノプテリン、および0.4μMチミジンの存在下で増殖する能力に基づいて選択し、(iii)20%熱失活ウシ胎児血清を添加したRPMI1640からなる増殖培地中で維持した。ハイブリドーマ培養物から得た上清を、ウシ血清アルブミンに結合させた合成ペプチド(hENT1アミノ酸254〜271)を用いた酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)によって免疫反応性についてスクリーニングした。3回の個別のアッセイにおいてELISAで強い陽性の結果を示したハイブリドーマ培養物を限界希釈に供して、クローン集団を得た。hENT1タンパク質に対して高い特異性および結合活性を有するモノクローナル抗体を産生したハイブリドーマ培養物に由来する上清を採取し、1000gで10分間遠心分離して任意の細胞片を除去し、使用するまで-20℃で保存した。
ハイブリドーマ細胞沈殿物からmRNAを抽出し、全RNAを沈殿物から抽出した。抽出したRNAに対してRT-PCRを実施した。簡単に説明すると、オリゴ(dT)プライマーを用いて逆転写することによって、RNAからcDNAを作製した。モノクローナル抗体DNAのVH領域およびVL領域の両方を増幅するための可変ドメインプライマーを用いたPCR反応。VHバンドおよびVLバンドを単離し、VLバンドをゲル精製した。VL PCR生成物およびVH PCR生成物の両方をInvitrogen配列決定ベクターpCR2.1(Life Technologies, Carlsbad CAによるInvitrogen)中にクローニングし、陽性の形質転換体を得るためにTOP10大腸菌(E.coli)細胞(Life Technologies, Carlsbad CAによるInvitrogen)に形質転換した。選択されたコロニー、すなわちVH3-12、VH5-9、VH5-12、VH5-13、VH1-1、VH1-4、VH1-6、VH4-2、VH4-3、VH4-4、VL2、VL10、VL11、VL20、VL21、VL2-2、VL2-3、VL2-7、VL2-10、VL2-12、およびVL2-16を採取し、配列決定によって解析した。これらのVH配列およびVL配列は前述した。
本明細書において説明するアッセイ法を用いて、抗体の結合活性および機能的活性を試験した。簡単に説明すると、サンドイッチELISAを用いて抗体の発現の特性を明らかにし(qualified)、定量化する。マウスSigma IgG1 κ(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を用いて、較正用標準物質を確立する。吸光度を波長450nMで測定し、マウスIgG1κの量を決定する。次いで、2回目のELISAを用いて、ウシ血清アルブミンに結合させたhENT1ポリペプチドアミノ酸254〜271に対するhENT1抗体の親和性を明らかにする。二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたヤギ抗マウスIgG)を使用し、ELISAプレートを450nMで読み取る。
実施例2:抗hENT1抗体の発現
本明細書において説明する研究により、CHO細胞のトランスフェクションによって産生される抗hENT1 IgG1抗体の発現が実証される。
最初の研究において、以下の重鎖アミノ酸配列および軽鎖アミノ酸配列を合成し、図1に示す抗体発現プラスミド中にクローニングした。上記の抗体軽鎖および抗体重鎖をコードするDNAは、Geneart(Germany)によって合成され、CHO細胞における発現用に最適化された。このDNAをDHFR発現ベクター中に挿入した。このベクターはまた、ネオマイシン/G418抗生物質および/またはメトトレキサート(DHFR阻害剤)を用いた選択によって、安定な細胞株の開発にも使用され得る。
重鎖アミノ酸配列(SEQ ID NO: 54)
Figure 2013538182
軽鎖アミノ酸配列(SEQ ID NO: 55)
Figure 2013538182
重鎖および軽鎖の可変ドメインは、SEQ ID NO: 54(重鎖)およびSEQ ID NO: 55(軽鎖)においてボールド体で示している。相補性決定領域(CDR)は、SEQ ID NO: 54(重鎖)およびSEQ ID NO: 55(軽鎖)において四角で囲んで示している。CDR配列は、本明細書において説明するようにIMGTアルゴリズムを用いて同定した。
トランスフェクション効率を最適化するために、様々な条件下で抗体発現プラスミドに対して数回のトランスフェクションを実施した。一過性トランスフェクション(CHO法)を次のようにして実施した:(1)PROCHO4 CDM培地(Lonza)中でCHO-S細胞を培養した;(2)トランスフェクション実施日に、細胞を200gで5分間遠心分離し、新鮮なUltraCHO/PROCHO5 CDM培地(Lonza)中に2×106細胞/mlの細胞濃度で再懸濁した;(3)150mM NaCl中で希釈した、培養物1mlにつき2.5μgのDNAおよび4:1または6:1いずれかのPEI対DNA比率を用いて、スピナーフラスコにおいて培養物のトランスフェクションを実施した;(4)5時間後、トランスフェクトされた培養物を新鮮なUltraCHO/ProCHO5培地500mlで希釈し、88rpmで撹拌しながら6%CO2中、37℃でインキュベートし;(5)トランスフェクション後7〜12日目に上清を採取した。
以下のさらなる一過性トランスフェクションも実行した。
PEI比率4:1を用いた一過性トランスフェクション:スピナーフラスコにおいて、体積規模600mlのUltraCHO培地中でトランスフェクションを実施した。濃度1mg/mlのDNAプラスミド調製物(prep)を使用した。8日後に、精製するために上清を採取した(「上清1」)。
PEI比率4:1を用いた一過性トランスフェクション:スピナーフラスコにおいて、体積規模932mlのUltraCHO培地を用いてトランスフェクションを繰り返した。前述したのと同じプラスミド調製物を使用した。8日後に、精製するために上清を採取した。
PEI比率4:1を用いた一過性トランスフェクション:濃度2470μg/mlおよび純度1.7の新鮮なMaxiprepを用いてUltraCHO培地700ml中でトランスフェクションを実施した。11日後に、さらに精製するために上清を採取し、凍結した(「上清2」)。
PEI比率4:1を用いた一過性トランスフェクション:UltraCHO培地1000ml中で、上記で使用したのと同じMaxiprepを用いてトランスフェクションを繰り返した。7日後に、精製するために上清を採取した(「上清3」)。
PEI比率6:1を用いた一過性トランスフェクション:PEIとDNAの比率を修正し、比率を4:1から6:1に変更し、UltraCHO培地と共にProCHO5培地を使用して発現を比較した。プラスミド調製物の濃度は1770μg/mlであり純度は1.7であった。スピナーフラスコにおいて、体積700mlのUltraCHOおよび500mlのProCHO5中でトランスフェクションを実施した。7日後に、精製するために上清を採取した。
PEI比率6:1を用いた一過性トランスフェクション:3つの別々のエルレンマイヤーフラスコ中、ProCHO5培地480mlにおいてトランスフェクションを実施した。プラスミド調製物の濃度は1135μg/mlであり純度は1.61であった。数日後に上清を採取した。
PEI比率6:1を用いた一過性トランスフェクション:エルレンマイヤーフラスコ中、ProCHO5培地200mlにおいてトランスフェクションを実施した。プラスミド調製物の濃度は370μg/mlであり純度は1.5であった。
PEI比率6:1を用いた一過性トランスフェクション:トランスフェクション体積は、エルレンマイヤーフラスコに入れたProCHO5培地において500mlであった。プラスミド調製物の濃度は3645μg/mlであり純度は1.7であった。
発現された抗体を培地において検出し、発現された抗体が抗hENT1であることをELISAによって確認した。
IgG結合緩衝液を用いて、2つのバッチの細胞培養上清(200mlおよび500ml)から抗hENT1抗体を精製した。ウェスタンブロットによって示されたように、精製によって抗hENT1抗体を得ることに成功した。しかしながら、精製された試料中には、約100kDaのタンパク質バンドも存在した。
前述の数回のトランスフェクションに由来する上清を、陽性対照のマウスIgG(マウス血清由来Sigma-IgG)と共に、定量的ELISAによって試験した。試験した上清は、本明細書において「上清1」、「上清2」、および「上清3」と呼ばれる。4℃で一晩、濃度100ng/ウェルのヤギ抗マウスIgG抗体(Sigma)でELISAプレート(Nunc Maxisorp)をコーティングした。次いで、150rpmで振盪しながら室温で2時間、3%乳(Marvel乾燥脱脂乳粉末)でプレートをブロットした。10ng/ウェル〜0ng/ウェルのマウスIgGを段階希釈によって調製し、検量線としてプレートに1試料あたり3個ずつ添加した。上清試料100μlをプレートに1試料あたり3個ずつ添加した。このプレートを150rpmで振盪しながら室温で2時間インキュベートし、PBS-0.1% Tweenで6回洗浄した。抗マウスIgG抗体(Bio-Rad、ヤギ抗マウスIgG(H+L)-HRP結合体)を150rpmで振盪しながら1時間添加し、次いでPBS-0.1% Tweenで6回洗浄し、PBSで1回洗浄した後、TMBを用いて顕色させた。この定量的ELISAの結果を図2に示す。
次いで、非還元ウェスタンブロット方法論を用いて、3種の上清すべてを試験した。SDSを含まない12%アクリルアミドを用いて非還元ゲルを調製し、各上清試料(上清1、上清2、および上清3)30μlをそれぞれ希釈率5:1で処理用緩衝液と混合した(処理用緩衝液は、濃縮用ゲル緩衝液、グリセロール、および再蒸留水を含み、SDSまたはβ-メルカプトエタノールは除去された)。1ウェル当たり30μlの試料混合物を添加した。レーン1のマーカーは、SeeBlue Plus2着色済みスタンダード(1倍)(Invitrogen)である。次いで、ゲルを180Vで85分間泳動させ、ウェスタンブロット膜(Amersham Biosciences, Hybond-C Extra)に20Vで25分間、移した。振盪しながら室温で2時間、3%乳(Marvel乾燥脱脂乳粉末)で膜をブロックし、70rpmで振盪しながら4℃で一晩、抗マウスIgG抗体(Bio-Rad、ヤギ抗マウスIgG(H+L)-HRP結合体)を用いてプローブした。翌日、PBS-0.1% TweenおよびPBSでブロットを徹底的に洗浄した後、ECL溶液(Thermo Scientific、SuperSignal West Pico化学発光基質)を1〜5分間用いて顕色させた。
図3に示したように、上清2において、148kDa〜250kDaのバンドの間、かつ陽性対照のマウスIgGの場合と同じサイズにバンドを認識することができた(図3)。マウスIgG対照が飽和したため、マウスIgG無しでウェスタンブロットを再び顕色させた(図4)。
上清2および上清3の両方においてバンドを認識することができる。上清2試料のバンドは、過度に現像した後に最も強いように見えた。上清3試料では弱いバンドを認識することができた。これは、図2の定量的ELISAによって決定された濃度と相関関係があった。どちらの試料バンドも、陽性対照マウスIgGのバンドと同じサイズで、未濃縮上清において現れた。
非還元ウェスタンブロットにおける上清バンドの強度は、定量的ELISAにおいて示された濃度に対応している。上清2試料が最も高濃度のIgGを含み、ウェスタンブロットにおいて最も強いバンドを示した。上清3は、IgG含有量が少なく、ブロットにおいて弱いバンドを示した。上清1は、最も低濃度のIgGを含み、バンドを全く示さなかった。これらの上清の差は、トランスフェクション効率およびIgG発現が原因であり得る。上清試料2および3は、同じDNA調製物でトランスフェクトされており、このことは、比較的高い発現レベルの説明となり得る。
非還元ウェスタンブロットにより、上清2試料および上清3試料10において、陽性対照のマウスIgGの場合と同じサイズにバンドを認識することができた。完全な組換えマウスIgGが、一過性トランスフェクションにより、CHO細胞において最大濃度466μg/Lで産生されていた。
発現された組換え抗hENT1抗体のアイソタイプは、BioAssay WorksラテラルフローMouse Iso-Gold試験キット(KSOT-001)を用いて決定した。簡単に説明すると、2つの異なるバッチに由来する抗体試料5μlを、「細胞培養物/上清液体」を試験するための製造業者の取扱い説明書に従って試料希釈剤(ISOT-003)0.5mlに添加した;次いで、希釈した試料150μlを3つのラテラルフローカートリッジ(ISOT-005)に添加し、5分の時点でこれらの結果を読み取った。両方の試料において、10D7G2ハイブリドーマの産生物を再現する正しいアイソタイプであるκ軽鎖含有マウスIgG1について、低い抗体濃度を示す色の薄い(weak)結果が得られた。混在するアイソフォームは観察されなかった。
サンドイッチELISAを用いて、マウスIgG1抗hENT1抗体の発現を実証した。製造業者の処方に従い(100mlに付きタブレット1個)、Fluka炭酸重炭酸緩衝液タブレットを用いて、炭酸重炭酸コーティング緩衝液を調製した。ヤギ抗マウスIgG抗体(Bethyl)100μlをpH9.6のコーティング緩衝液10mlで希釈した。Greiner製の96ウェル中結合能(medium bind)ELISAプレートを、1ウェル当たり100μlの抗マウスIgGプレートコーティング抗体溶液でコーティングした。このプレートをパラフィルムに包み、2〜8℃で一晩置いた。
翌日、炭酸コーティング緩衝液中で1.5%w/vのSigmaゼラチンを調製することによって、ブロッキング溶液を作製した。96ウェルプレートを冷蔵庫から取り出し、1ウェル当たり200μlの1.5%w/vブロッキング溶液を添加することによって、プレートウェルの残存する結合部位をブロックした。このプレートを37(±2)℃で約60分間、置いておいた。
精製水500mlにFlukaリン酸緩衝化生理食塩水タブレット1個を溶解することによって、ELISA洗浄溶液(リン酸緩衝化生理食塩水、0.05% Tween 20; PBST)を調製した。PBST中に1.0%w/vのSigmaゼラチンを溶解することによって、較正物質/試料希釈液を調製した。
申告されている濃度が1.0mg/ml(純度96.8%)のSigma IgG1 κを用いて、較正曲線を作成した。1mg/mlストックIgG1の1/6667希釈物を調製して、150ng/mlの最高値の較正用標準物質(top calibration standard)を得た。この標準物質を、アッセイ用希釈液を用いて1:1で段階的に希釈して、較正用の系列(150ng/ml、75ng/ml、38.5ng/ml、18.75ng/ml、9.375ng/mlのマウスIgG1)を作製した。精製した抗体試料のタンパク質濃度(試料1−0.12mg/ml、試料2−0.14mg/ml)に基づき、試験のためにこれらの試料を1/5000希釈した。ブロッキング溶液をプレートから除去し、250μl/ウェルのアッセイ用希釈液(PBST 1%ゼラチン)でウェルを一度洗浄した。較正用標準物質および培地試験試料を1試料あたり3個ずつ、100μl/ウェルでプレートにアプライした。プレートをパラフィルムでカバーし、設定6/10のプレートシェーカー上に120分間置いた。
試料インキュベーション期間の最後に、標準物質および試料を除去し、250μl/ウェルのアッセイ用希釈液で3回、プレートを洗浄した。アッセイ用希釈液中で1/100,000に希釈して、二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ[HRP]に結合させたヤギ抗マウスIgG、Bethyl)を調製した。洗浄液を除去し、二次抗体を100μl/ウェルでプレートに添加した。プレートをパラフィルムでカバーし、速度6/10のプレートシェーカー上に戻してさらに90分間置いた。
結合体インキュベーションの最後に、二次抗体溶液を除去し、250μl/ウェルのPBST緩衝液で3回、プレートを洗浄し、次いで、精製水で1回すすいだ。テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Sigma)を、プレートのウェルに100μl/ウェルで添加した。新しい1枚のパラフィルムを用いてプレートをカバーし、実験室周囲温度において10分間、静止状態でこれをインキュベートした。100μl/ウェルの1Mリン酸を添加することによって、酵素-基質反応を終結させた。プレートを450nMで読み取った。
両方の試料のA450/600は、ベースラインを上回り、やっと検出することができたが、9.375ng/mlの較正用標準物質の結果をかなり下回っていた。マウスIgG1κ ELISAは、アイソタイプの結果と相関関係があり、どちらの試料も抗体のこのアイソフォームを非常に低い濃度で含む。
発現された抗hENT1抗体の親和性をELISAによって実証した。hENT-1タンパク質の合成ペプチド配列を用いて、10D7G2モノクローナル抗体を作製した。第2のELISAを実施して、この合成ペプチド配列Ac-SKGEEPRAGKEESGVSC-アミド(SEQ ID NO: 56)に対する精製組換え抗体の親和性を試験した。
炭酸重炭酸コーティング緩衝液を上記のIgG ELISAに関して説明したようにして調製した。BSAに結合させた合成ペプチド(1mg/1ml PBS中BSAに結合させた、AC-SKGEEPRAGKEESGVSVSC-アミド(SEQ ID NO: 59)、MW:1977、Mgs 0.25)のバイアルを、炭酸重炭酸コーティング緩衝液250μlを用いて復元して、理論上の濃度が1mg/mlになるようにした。炭酸重炭酸プレートコーティング緩衝液中でこれをさらに1/500希釈して、2μg/mlのコーティング溶液12mlを得た。Greiner製の96ウェル中結合能ELISAプレートを、1ウェル当たり100μlの2μg/ml BSA-ペプチド溶液を用いてコーティングした。このプレートをパラフィルムに包み、2〜8℃で一晩置いた。
翌日、炭酸コーティング緩衝液中で1.5% w/vのSigmaゼラチンを調製することによって、ブロッキング溶液を作製した。96ウェルプレートを冷蔵庫から取り出し、1ウェル当たり200μlの1.5% w/vブロッキング溶液を添加することによって、プレートウェルの残存する結合部位をブロックした。このプレートを37(±2)℃で約60分間、置いておいた。PBST洗浄緩衝液およびアッセイ用希釈液(PBST中1%ゼラチン)を、上記のIgG ELISAに関して説明したようにして調製した。精製したIgG試料1および2の1/5000希釈物を、前述のIgGサンドイッチELISAの場合のように調製した。ブロッキング溶液をプレートのウェルから除去し、250μl/ウェルのアッセイ用希釈液でプレートを一度洗浄した。
試験試料を1試料あたり3個ずつ、100μl/ウェルでプレートのウェルにアプライした。プレートをパラフィルムでカバーし、周囲温度で120分間、6/10で振盪しながらプレートシェーカー(MPS1)上に置いた。試料インキュベーションの最後に、試料をウェルから除去し、250μl/ウェルのアッセイ用希釈液で3回、プレートを洗浄した。
アッセイ用希釈液中で1/100,000に希釈して、二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ[HRP]に結合させたヤギ抗マウスIgG、Bethyl)を調製した。洗浄液を除去し、二次抗体を100μl/ウェルでプレートに添加した。プレートをパラフィルムでカバーし、速度6/10のプレートシェーカー上に戻してさらに90分間置いた。結合体インキュベーションの最後に、二次抗体溶液を除去し、250μl/ウェルのPBST緩衝液で3回、プレートを洗浄し、次いで、精製水で1回すすいだ。
テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Sigma)を、プレートのウェルに100μl/ウェルで添加した。プレートを新しい1枚のパラフィルムでカバーし、実験室周囲温度において10分間、静止状態でこれをインキュベートした。100μl/ウェルの1Mリン酸を添加することによって、酵素-基質反応を終結させた。プレートを450nMで読み取った。
一過性CHO培養物による機能的抗ペプチドIgGの発現を実証するのに使用できるのは、ペプチドELISAの結果である。ペプチドELISAの特異性を実証するために、150ng/mlのSigma IgG1κ標準物質をウェルD10〜12に添加した。この試料の結果は、アッセイ用希釈液のみをいれた6個のウェル(B10〜12およびC10〜12)について記録された値とほんのわずかしか違わない。「陰性対照」の濃度は試験試料の濃度より5000倍高い150ng/mlであったが、これが偽陰性(フック/プロゾーン効果)をもたらすリスクはなく、150ng/mlは、同じプレートタイプ、試料希釈剤、結合体洗浄溶液、および基質を使用するマウスIgG1サンドイッチELISAのために使用される最高値の標準物質である。したがって、試験試料によって生じる任意のシグナルは、ペプチド配列のみに対する結合の結果であり、マウスIgG1と96ウェルプレートのいかなる非特異的相互作用の結果でもないと結論付けられる。
2種の試験試料によって生じるシグナルは比較的小さかったが、マウスIgG1 κ対照よりは十分に大きく、両方の試料が、合成ペプチド配列Ac-SKGEEPRAGKEESGVSC-アミド(SEQ ID NO: 56)に対する特異的親和性を有する組換え抗体を含むと結論付けられた。
ペプチドELISAによってより説得力がある陽性結果を得るために、一過性培養物に由来する馴化(未精製)培地150mlを使用した。YM 10限外ろ過ディスクを取り付けたAmicon撹拌セル(stirred cell)モデル8400を用いて、150mlの体積を約1.5mlまで減少させた(100倍濃縮)。次いで、濃縮した試料を1/10〜1/640の希釈率でペプチドELISA(前述した方法および材料)を用いて試験した。プレートリーダーの結果から、この一過性培養の間に合成ペプチド配列に対して発現された組換え抗体の完全な機能性が実証された。
試験(アイソタイプ、マウスIgG1、ならびにペプチドELISAおよびウェスタンブロット)によって、10D7G2ハイブリドーマ細胞に由来する可変領域の配列が、正確に決定され、プラスミド構築物に移入され、CHO宿主細胞株内で一過性に発現されたことが実証された。
したがって、本明細書において説明する配列は、合成ペプチド配列Ac-SKGEEPRAGKEESGVSC-アミド(SEQ ID NO: 56)に対する特異的親和性を有することが実証された。
第二の研究において、3A7C8ハイブリドーマ細胞に由来する以下の重鎖アミノ酸配列および軽鎖アミノ酸配列を合成し、図5に示す抗体発現プラスミド中にクローニングした。上記の抗体軽鎖および抗体重鎖をコードするDNAは、Geneart(Germany)によって合成され、CHO細胞における発現用に最適化された。軽鎖に対してはBamHIおよびAvrII、重鎖に対してはBglIIおよびNheIの制限部位を介して、DHFR発現ベクター中にDNAを挿入した。このベクターはまた、ネオマイシン/G418抗生物質および/またはメトトレキサート(DHFR阻害剤)を用いた選択によって、安定な細胞株の開発にも使用され得る。
重鎖アミノ酸配列(SEQ ID NO: 57)
Figure 2013538182
軽鎖アミノ酸配列(SEQ ID NO: 55)
Figure 2013538182
重鎖および軽鎖の可変ドメインは、SEQ ID NO: 57(重鎖)およびSEQ ID NO: 55(軽鎖)においてボールド体で示している。相補性決定領域(CDR)は、SEQ ID NO: 54(重鎖)およびSEQ ID NO: 55(軽鎖)において四角で囲んで示している。CDR配列は、本明細書において説明するようにIMGTアルゴリズムを用いて同定した。
トランスフェクション効率を最適化するために、様々な条件下で抗体発現プラスミドに対して数回のトランスフェクションが実施される。例えば、前述の一過性トランスフェクション方法を用いて、このプラスミドが試験される。
試験は、3A7C8ハイブリドーマ細胞に由来する抗体が正確に決定されたことを確認するために実施され、さらなる試験、例えば、10D7G2ハイブリドーマ細胞に由来する可変領域の配列に関連して前述した試験により、図5に示す抗体発現プラスミドがCHO宿主細胞株内で首尾よく一過性に発現されたことが実証される。
書面による説明および例によって本発明を今まで説明してきたが、当業者は、本発明が様々な態様において実施され得ること、ならびに前述の説明および実施例が、例示のためであって、添付の特許請求の範囲を限定するためではないことを認識するであろう。

Claims (27)

  1. 単離されたモノクローナル抗ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)抗体またはその抗原結合断片であって、
    該抗体が、
    (a)アミノ酸配列GYTFTDYE(SEQ ID NO: 10)を含む可変重鎖相補性決定領域1(VH CDR1)配列;
    (b)アミノ酸配列IDPETGAI(SEQ ID NO: 11)またはアミノ酸配列IDPETGKT(SEQ ID NO: 40)を含む可変重鎖相補性決定領域2(VH CDR2)配列;および
    (c)アミノ酸配列TREFTY(SEQ ID NO: 12)またはアミノ酸配列TRELTY(SEQ ID NO: 41)を含む可変重鎖相補性決定領域3(VH CDR3)配列
    を含み、
    該抗体またはその抗原結合断片が、hENT1または生物学的に活性なその断片に結合する、単離されたモノクローナル抗ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)抗体またはその抗原結合断片。
  2. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (d)アミノ酸配列QSLLFSNGKTY(SEQ ID NO: 24)を含む可変軽鎖相補性決定領域1(VL CDR1)配列;
    (e)アミノ酸配列LVS(SEQ ID NO: 25)を含む可変軽鎖相補性決定領域2(VL CDR2)配列;および
    (f)アミノ酸配列VQGTHFPWT(SEQ ID NO: 26)を含む可変軽鎖相補性決定領域3(VL CDR3)配列
    をさらに含む、請求項1記載の抗体。
  3. 前記抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO: 2、4、6、8、9、28、30、32、34、36、38、39、51、および53より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変配列を含む、請求項1記載の抗体。
  4. 前記抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO: 14、16、18、20、22、23、43、45、47、および49より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含む、請求項1記載の抗体。
  5. 前記抗体がIgGアイソタイプまたはIgGアイソタイプ抗体の抗原結合断片である、請求項1記載の抗体。
  6. 前記抗体がIgG1アイソタイプまたはIgG1アイソタイプ抗体の抗原結合断片である、請求項5記載の抗体。
  7. 前記抗体がIgG1κアイソタイプまたはIgG1κアイソタイプ抗体の抗原結合断片である、請求項6記載の抗体。
  8. SEQ ID NO: 2、4、6、8、9、28、30、32、34、36、38、39、51、または53のアミノ酸配列を含む重鎖可変配列およびSEQ ID NO: 14、16、18、20、22、23、43、45、47、または49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含み、ヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)または生物学的に活性なその断片に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
  9. 前記抗体がIgGアイソタイプまたはIgGアイソタイプ抗体の抗原結合断片である、請求項8記載の抗体。
  10. 請求項1記載の抗体またはその抗原結合断片および担体を含む、薬学的組成物。
  11. 請求項8記載の抗体またはその抗原結合断片および担体を含む、薬学的組成物。
  12. 対象試料または患者試料におけるヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)の発現または活性のレベルを検出するための、請求項1記載の抗体の使用。
  13. 前記対象試料または患者試料におけるhENT1の発現または活性の検出されたレベルが、該対象の治療方針を特定するために使用される、請求項12記載の使用。
  14. 前記治療方針が、ゲムシタビン、ゲムシタビン-5'-エライジン酸エステル、ゲムシタビン-N4-エライジン酸アミド、シタラビン、シタラビン-5'-エライジン酸エステル、リバビリン-5'-エライジン酸エステル、5-アザシチジン-5'-エライジン酸エステル、およびそれらの組合せの投与である、請求項12記載の使用。
  15. 前記対象試料または患者試料におけるhENT1の発現または活性の検出されたレベルが、hENT1の発現または活性が低い対象試料または患者試料を同定して該対象の治療方針を特定するために使用される、請求項12記載の使用。
  16. 前記治療方針が、ゲムシタビン-5'-エライジン酸エステル、ゲムシタビン-N4-エライジン酸アミド、シタラビン、シタラビン-5'-エライジン酸エステル、リバビリン、リバビリン-5'-エライジン酸エステル、または5-アザシチジン-5'-エライジン酸エステルの投与である、請求項15記載の使用。
  17. 制癌剤または抗ウイルス薬のためのコンパニオン診断剤としての、請求項1記載の抗体の使用。
  18. 前記制癌剤が、ゲムシタビン-5'-エライジン酸エステル、ゲムシタビン-N4-エライジン酸アミド、シタラビン-5'-エライジン酸エステル、リバビリン-5'-エライジン酸エステル、または5-アザシチジン-5'-エライジン酸エステルである、請求項17記載の使用。
  19. 対象におけるヒト平衡型ヌクレオシドトランスポーター1(hENT1)の異常な発現または活性に関連付けられている臨床適応症の症状を緩和する方法であって、それを必要とする対象に、hENT1の異常な発現または活性に関連付けられている該臨床適応症の該症状を緩和するのに十分な量のhENT1のアンタゴニストを投与する段階を含む、方法。
  20. 前記対象がヒトである、請求項19記載の方法。
  21. 前記アンタゴニストがモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、請求項19記載の方法。
  22. 前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、アミノ酸配列GYTFTDYE(SEQ ID NO: 10)を含む可変重鎖相補性決定領域1(VH CDR1)配列;アミノ酸配列IDPETGAI(SEQ ID NO: 11)またはアミノ酸配列IDPETGKT(SEQ ID NO: 40)を含む可変重鎖相補性決定領域2(VH CDR2)配列;およびアミノ酸配列TREFTY(SEQ ID NO: 12)またはアミノ酸配列TRELTY(SEQ ID NO: 41)を含む可変重鎖相補性決定領域3(VH CDR3)配列を含み、hENT1または生物学的に活性なその断片に結合する、請求項21記載の方法。
  23. 前記抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO: 2、4、6、8、9、28、30、32、34、36、38、39、51、および53より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変配列を含む、請求項22記載の方法。
  24. 前記抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO: 14、16、18、20、22、23、43、45、47、および49より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含む、請求項22記載の方法。
  25. 前記抗体がIgGアイソタイプまたはIgGアイソタイプ抗体の抗原結合断片である、請求項22記載の方法。
  26. 前記抗体がIgG1アイソタイプまたはIgG1アイソタイプ抗体の抗原結合断片である、請求項25記載の方法。
  27. 前記抗体がIgG1 κアイソタイプまたはIgG1 κアイソタイプ抗体の抗原結合断片である、請求項26記載の方法。
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