本開示は、油圧システムに動力を供給するためのシステムおよび方法に関する。機械100の例示的実施形態を図1に概略的に示す。機械100は、示すように油圧掘削機、または、例えばローダのような油圧もしくは電気−油圧システムを有する任意の他の車両であってもよい。機械100は一次動力源102を含む。一次動力源102は、機械100および他の機械部品のための動力を供給してもよいエンジンを具体化してもよい。適したエンジンは、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンを含んでもよい。一実施形態では、エンジンは動力を生成して、動力伝達機構、例えばシャフト(図示せず)によって機械100の他の構成要素に動力を伝達し、次いで電力を作り出す。一次動力源102は、油圧動力に変換されてもよい、機械的または電気的な動力出力を作り出してもよい。
機械100はさらに、機械100を推進するための、および他の機械部品を制御するための例えば入力装置106のような、機械100を操作するのに必要な制御装置を含む、操作卓または運転台104を含んでもよい。入力装置106は、ジョイスティック、レバー、ボタンとして具体化してもよく、また油圧システム108に操作可能に接続してもよい。目的を簡略化するために、ジョイスティックとして具体化した1つの入力装置106についてのみ検討および/または図に示す。
いくつかの実施形態では、運転台104はまた、オペレータに情報を伝えるための表示部を有するインターフェースを含んでもよく、また、キーボード、タッチスクリーン、もしくは、機械100、油圧システム108および/または他の機械100の構成要素を制御または操作するためにオペレータから入力を受信するのに適した任意の機構を含んでもよい。あるいは、またはさらに、オペレータは運転台の外側および/または機械100から少し離れたところに位置し、機械100、油圧システム108、および/または他の機械部品を遠隔制御してもよい。
油圧システム108は、例えば油圧アクチュエータまたはシリンダ、タンク、バルブ、アキュムレータ、オリフィスおよび、加圧流体の流れを作るのに適した他の構成要素などの流体構成要素を含んでもよい。油圧システム108はさらに、例えば、1つまたは複数の油圧ポンプのような流体源を含んでもよく、その流体源は可変容量型ポンプ、定容量型ポンプ、可変吐出ポンプまたは他の適した加圧システムを具体化してもよい。流体源は、一次動力源102に駆動自在に接続してもよく、または、一次動力源102に間接的に接続してもよい。さらに、油圧システム108は、油圧システム108に加圧流体を供給するために相互連結された複数の加圧流体源を含んでもよいと考えられる。いくつかの実施形態では、例えば電気−油圧システムなどにおいて、油圧システム108は、作業工具または器具を含む機械部品に動力を供給し制御するために、流体成分と協働する電気部品を含んでもよい。
機械100はさらに、エネルギー蓄積装置110を含んでもよい。エネルギー蓄積装置110は、例えば蓄電池、ウルトラキャパシタおよび/または油圧アキュムレータのような、任意の適切なエネルギー蓄積システムを具体化してもよい。図示した実施形態では、エネルギー蓄積装置110は、機械100および他の機械部品に、エネルギーを供給するのに、さらに、またはあるいは、動力を供給するのに適応可能である。例えば、一次動力源102に関連した低負荷条件中に、電気エネルギーをエネルギー蓄積装置110に蓄積してもよい。さらに、またはあるいはエネルギー蓄積装置110は、追加エネルギー、それによって一次動力源102によって作り出されるエネルギーまたは動力を超えるこのような追加エネルギーを供給してもよく、また、一次動力源102がラギングまたは失速するのを防止してもよい。
さらに、下記でより詳細に説明し、また例えば図3に示すように、エネルギー蓄積装置110は、例えば、機械100を操作し、またラギングまたは失速させることなく、機械100の可変動力需要を満たし続けるために、全動力未満が要求される場合、一次動力源102を比較的低速で操作可能にしてもよい。例えばエンジンのエンジン速度のような動力源102に関連した速度が、増加した動力需要(例えば増加した負荷)に応えるために増加する間、例えば、エネルギー蓄積装置110は十分な動力を供給するために、動力需要が増加している間、機械100に追加動力を供給してもよい。
言いかえれば、エネルギー蓄積装置110は、動力を供給するために、一次動力源102の全容量を要求しない条件下で機械100が作動している間、エネルギーを蓄積するように構成してもよい。あるいは、またはさらに、そのように蓄積されたエネルギーは回収され、一次動力源102の全容量が許すより大きい動力供給を機械100が必要とする(すなわち、必要とされる動力が一次動力源102の容量を超える)場合に使用しても、または、全容量未満が必要とされる場合であっても、より効率的に一次動力源からエネルギーを供給するために使用してもよい。
機械100はまた、油圧システム108を制御するのに適した制御部114を有する制御システム112を含む。図1および2に示すように、入力装置106は制御部114に操作可能に接続してもよく、また器具または機械100の所望の動きを示す入力をオペレータから受信するようにしてもよく、それによって、そのような器具および/または機械100の動きを行うための油圧システム108に関連した動力需要を示してもよい。
制御システム112の実施形態を図2に概略的に示す。制御システム112は、入力装置106および油圧システム108を操作可能に接続する。例えば、入力装置106は制御部114と通信してもよく、制御部114は、例えば電子制御弁アクチュエータまたは電磁弁アクチュエータなどの油圧システム108の1つまたは複数の電気部品と通信してもよい。いくつかの実施形態では、電気信号は入力装置106に関連してもよく、油圧システム108における動力需要を示してもよい。図示した実施形態では、制御システム112はさらに、入力装置106、油圧システム108、制御部114、一次動力源102およびエネルギー蓄積装置110を操作可能に接続する。
制御部114は、油圧システム108への動力の分布を調整するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、制御部114は、一次動力源速度および/または一次動力源負荷を最適化するために一次動力源102およびエネルギー蓄積装置110を協調的に制御し、それによって排気を削減し、燃料効率を増加させてもよい。図示した実施形態では、制御システム112は、一次動力源102およびエネルギー蓄積装置110から油圧システム108へのエネルギー供給を管理するようになっている、例えば結合器またはサムブロックのような制御機構200を含む。
例えば、油圧システム108に関連した動力需要を満たすのに必要なエネルギーの一部は、一次動力源102によって供給してもよく、油圧システム108に関連した動力需要を満たすのに必要なエネルギーの一部は、エネルギー蓄積装置110によって供給してもよい。制御システム112は、全て一次動力源102から、全てエネルギー蓄積装置110から、および/または、必要とされる全エネルギーを、一部は一次動力源102から、および一部はエネルギー蓄積装置110から供給する工程によって、油圧システム108に関連した動力需要を満たすのに必要な全エネルギーを供給するようにしてもよい。
制御システム112はまた、信号(すなわちデータ)を測定、収集、および/または制御部114に送信するようになっている、例えば速度センサ、圧力センサ、温度センサおよび他の適したセンサのような、1つまたは複数のセンサを含んでもよい。速度センサは、一次動力源102に関連してもよく、また一次動力源速度を監視するようにしてもよい。図示した実施形態では、速度センサは、例えばエンジンを具体化する一次動力源102に関連した1つまたは複数のエンジン速度センサ202を具体化する。
制御部114は、油圧システム108中の流体動力の供給を管理し、そして同じ作業またはエネルギーをまだ供給しながら、エンジンおよび、流体源204を駆動する例えば1つまたは複数の油圧ポンプのような他の構成要素を低速で操作するために、エンジン速度を監視するようにしてもよい。油圧システム108が必要とする流量は、ポンプ204が必要とし使用する動力を決定し、次いでエンジン102に関連した動力需要を決定し、それによってエンジン速度を決定する。制御部114は、エンジン速度を直接的または間接的に制御するように構成してもよい。一般に知られているように、オペレータはまたエンジン速度を手動で調整または制御してもよい。
圧力センサは、流体成分と関連してもよく、および/または流体成分を相互連結させる流体ラインに関連してもよい。圧力センサは、油圧システム108の中およびその全体にわたる流体圧力を監視するようにしてもよい。図示した実施形態では、圧力センサは、入力装置106に関連した1つまたは複数のパイロット圧センサ206を具体化し、油圧システム108に関連した動力需要を示す信号を生成するように構成する。例えば、制御部114は、例えば新しい動作状態に関係した所定の作業完了するために、増加したパイロット圧を示す信号を、より多くの流体動力を要求してもよい機械100の新しい動作状態に、関連付けてもよい。
言いかえれば、入力装置106に関連したパイロット圧が増加する場合、制御部114は、動力集約的作業を完了することになっており、より多くの動力が要求されることを決定する。さらに、制御部114は、減少したパイロット圧を、より少ない流体動力(例えば、より少ない動力集約的作業が完了することになっている)を要求してもよい機械100の新しい動作状態に関連付けてもよい。いくつかの実施形態では、パイロット圧センサ206は、入力装置106の動作を検出してもよい。油圧システム108はパイロット圧センサ206を使用するが、センサは、電気−油圧システムに関連した電気信号を含む、油圧システム108における動力需要を示すパラメータを監視するように構成した任意のセンサであり得ることが考えられる。
制御部114はまた、エネルギー蓄積装置110の充電状態を監視してもよく、充電状態に基づいてエネルギー蓄積装置110を選択的に充電および/または放電するようにしてもよい。制御部114は、例えば蓄電池の電気的特性のような、エネルギー蓄積装置110に関連した特性に少なくとも一部基づいて充電状態を決定するようにしてもよい。制御部114はまた、いくつかの実施形態では、例えば油圧アクチュエータの中またはそれらの間の圧力、および/または油圧システム108に一般に関連した圧力のような、エネルギー蓄積装置110に関連した圧力に基づいて充電状態を決定してもよいと考えられる。
いくつかの実施形態では、エネルギー蓄積装置110は、所望のエネルギーレベルのエネルギーの供給を保持し、油圧システム108における動力需要に応じて油圧システム108に所望のエネルギーレベルを供給するようにしてもよい。例えば、エネルギー蓄積装置110は、油圧システム108の動力需要に相当または満足する動力を供給するのに十分な所定の閾値よりも高く維持されてもよい。図示した実施形態では、制御システム112は、エネルギー蓄積装置110におけるエネルギーレベルを実質的に一定のレベル、例えば、フル充電レベルに維持するようになっている。
制御部114は、1つまたは複数の制御モジュール(例えばECM、ECUなど)を含んでもよい。1つまたは複数の制御モジュールは、処理装置、メモリ、センサインターフェース、および/または(信号を受信および送信するための)制御信号インターフェースを含んでもよい。処理装置は、特定の通信、制御、および/または診断の機能を実行するために、制御システム112によって使用される1つまたは複数の論理素子および/または処理構成要素を示してもよい。例えば、処理装置は、制御システム112の中および/または外にある装置の間で経路情報を実行するようにしてもよい。1つまたは複数の制御モジュールは、例えばCANバスのような、任意の適切な通信機構を使用して、互いに、ならびに制御システム112内、および制御システム112とインターフェースする他の構成要素と通信してもよい。
さらに処理装置は、メモリのような蓄積装置からのものを含む命令を実行するようにしてもよい。1つまたは複数の制御モジュールは各々、制御システム112のためのソフトウェアコードを実行する役割を果たしてもよい。1つまたは複数の制御モジュールは、1つまたは複数の汎用処理装置およびまたは特殊用途ユニット(例えばASIC、FPGAなど)のような複数の処理装置を含んでもよい。特定の実施形態では、処理装置の機能は、集積CPU、メモリおよび1つまたは複数の周辺装置を含む、統合型マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラの中に具体化してもよい。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、磁気および光学記憶装置、ディスク、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM、EEPROMなど)のようなプログラム可能消去可能な構成要素、ならびにフラッシュメモリのような不揮発性メモリを含むが、これらに限定されない、情報を記憶することができる1つまたは複数の公知のシステムを示してもよい。
本明細書で記述する油圧システムに動力を供給するためのシステムおよび方法の産業上の利用可能性は、上記記述から容易に理解されるだろう。本開示に適した一例示的機械は掘削機である。同様に、記述したシステムおよび方法は、多種多様な機械および作業に適合させることができる。例えば、バックホーローダ、圧縮機、フェラーバンチャ、森林用機械、工業用ローダ、スキッドステアローダ、ホイールローダおよび他の多くの機械が、記述したシステムおよび方法から利益を得ることができる。
特定の実施形態によれば、制御システム112は油圧システム108に動力を供給し、油圧システム動力需要を決定し、エネルギー蓄積装置動力需要を決定し、油圧システム動力需要に基づいて一次動力源102の所望のパラメータを決定し、そして、エネルギー蓄積装置動力需要および、例えばエンジン速度のような所望のパラメータの関数として油圧システム108に動力を供給するようになっている。
図3は、制御システム112と、一部は一次動力源102から、および一部はエネルギー蓄積装置110から油圧システム108に動力を供給する工程(300)との例示的実施形態を示す。制御部114は、油圧システム動力需要を決定する(工程302)ようになっている。制御部114はさらに、エネルギー蓄積装置動力需要を決定する(工程304)ようになっている。図示した実施形態では、エネルギー蓄積装置動力需要は、エネルギー蓄積装置110の充電状態を具体化する。
制御部114は、油圧システム動力需要に基づいて、一次動力源102の所望のパラメータを決定する(工程306)。図示した実施形態では、制御部114は、入力装置106に関連したパイロット圧信号または電気信号を受信することによって、油圧システム動力需要を決定してもよい。制御部114は、油圧システム動力需要を示すパイロット圧または電気信号に少なくとも一部基づいて、エンジンのエンジン速度として具体化した所望のパラメータを決定してもよい。言いかえれば、制御部114は、パイロット圧または電気信号によって示されるような、油圧システム108によって要求される動力需要を満たすのに望ましい最適なエンジン速度を決定してもよい。最適なエンジン速度はまた、例えば油圧システム108に関連した他の圧力のような他の要因に基づいて、決定してもよいと考えられる。
制御部114はさらに、エンジンの実際のエンジン速度として具体化した一次動力源102の実際のパラメータを決定する(工程308)ようになっている。制御部114は、所望のエンジン速度を実際のエンジン速度と比較する(工程310)。所望のエンジン速度が実際のエンジン速度より大きい場合(工程310:はい)、制御部114は、エネルギー蓄積装置110の充電状態を所定の閾値と比較する(工程312)。所定の閾値は、油圧システム108によって要求された動力を供給するのに十分な充電状態を具体化してもよく、それはエネルギー蓄積装置110の全容量またはエネルギー蓄積装置110の全容量の一部であってもよい。所定の閾値は、一連の容量に沿った範囲を具体化してもよいと考えられる。言いかえれば、制御部114は、エネルギー蓄積装置110を蓄積容量の実質的に一定の範囲内に維持するようにしてもよい。
充電状態が所定の閾値より大きい場合(工程312:はい)、制御部114は、エネルギー蓄積装置動力需要および所望のパラメータの関数として油圧システム108に動力を供給してもよい(工程314)。充電状態が所定の閾値と実質的に等しい場合、制御部114はまた、油圧システム108に動力を適宜供給してもよいと考えられる。言いかえれば、制御部114は、油圧システム動力需要を満たし、かつ所望のエンジン速度を満たすように、油圧システム108に動力を供給してもよい。例えば、動力の一部をエンジン102から油圧システム108に供給し、また、動力の一部をエネルギー蓄積装置110から供給して、油圧システム動力需要を満たすために必要な動力を供給しながら、所望のエンジン速度を維持する。
エンジン102から油圧システム108に動力を供給する工程は、エネルギー蓄積装置110から動力を供給する関数であるため、エンジン102がより低いエンジン速度で作動している間、制御システム112は油圧システム108に動力を供給してもよい。言いかえれば、制御システム112は、実際のエンジン速度を低下させ、比較的速く、エンジン102に非常に低下したエンジン速度で応答させてもよい。一実施形態では、蓄電池として具体化したエネルギー蓄積装置110を、油圧システム108の過渡応答を効率的に満たすために使用してもよい。しかしながら、充電状態が所定の閾値未満である場合(工程312:いいえ)、制御部114は、完全にエンジン102から油圧システム108に動力を供給してもよい(工程316)。
所望のエンジン速度が実際のエンジン速度未満である場合(工程310:いいえ)、制御部114は、エネルギー蓄積装置110の充電状態を所定の閾値と比較する(工程318)。充電状態が所定の閾値未満である場合(工程318:いいえ)、制御部114は、エネルギー蓄積装置110の容量が所定の閾値レベルに達するまで、エンジン102からエネルギー蓄積装置110に動力を供給してもよい(工程320)。言いかえれば、制御部114は、エネルギー蓄積装置110の充電状態が所定の閾値未満であり、所望のエンジン速度が実際のエンジン速度より低い場合、エンジン102からエネルギー蓄積装置110に動力を供給するようになっている。
先の記述は開示したシステムおよび方法の例を提供することが理解されるだろう。しかしながら、本開示の他の実施は、詳細には先の例と異なってもよいと考えられる。本開示または本開示の例への全ての参照は、その時点で検討される特定の例を参照するように意図されており、より一般的には本開示の範囲に関していかなる限定も意味するようには意図されていない。特定の特徴に関する区別および批判についての全ての文言は、それらの特徴に対する好みの欠如を示すように意図されているが、特記される場合を除き、それらを本開示の範囲から完全に排除するようには意図されていない。
本明細書における値域の記述は、特記される場合を除き、その範囲に入る個別の各値を個々に参照する簡単な方法として役立つように意図されているだけである。個別の各値は、それが本明細書では個々に記述されているものとして明細書内に組み込まれている。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書内で特記される場合を除き、または文脈に明確に矛盾する場合を除き、任意の適切な順で行うことができる。
したがって、本開示は、適用法令により許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題の全ての修正および等価物を含む。さらに、上記要素の全ての可能な変形例における上記要素の任意の組合せは、本明細書内で特記される場合を除き、あるいは文脈に明確に矛盾する場合を除き、本開示により包含される。