JP2013533622A - 単結晶シリコンの薄層を転写する方法 - Google Patents

単結晶シリコンの薄層を転写する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、単結晶シリコン薄膜(3)を、単結晶シリコンでできているドナー基板(1)から転写する方法に関し、注入条件は、薄膜(3)の厚さは、10μmより薄くすることと、薄膜を受け基板に接着するためのポリマー層(5)の厚さは、注入のエネルギーおよびドーズ量によって規定される臨界閾値より小さくすることとであり、前記臨界閾値は、500nmと将来の薄膜の厚さとの中の小さい方の値以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、単結晶シリコンの薄層(厚さは、10μmより薄く、また更に薄く、約1μm以下であることが望ましい)をポリマー層の上に転写する方法に関する。この方法は、特に、絶縁層としてポリマー層を有するSOI(silicon−on−insulator)タイプの構造体の製造に適用することができる。また本発明は、単結晶シリコンの薄層をポリマーに基づいた基板に転写することも目的としている。
特許文献1は、「スマートカット(SmartCut)」(登録商標)法として公知の方法の基本原理を記述している。特許文献1は、特に、支持体の上に単結晶シリコンの薄層を製作することにより、SOI(silicon−on−insulator)タイプの基板を得る方法について述べている。実施される標準的な方法は、3つの連続したステップを備えている。第1のステップは、イオン照射(例えば、水素、またはヘリウムで)によって注入を行い、注入された基板(ドナー基板とも呼ばれる)の体積の中に、埋め込まれた脆化ゾーンを形成するステップである。この埋め込まれた脆化ゾーンは、注入された部材の薄層の、基板の注入面から計った境界を定めている。第2のステップは、注入された面を受け基板に密着させるステップである。第3のステップは、得られた構造の分離面(または破面)を、埋め込まれた脆化ゾーンの所で達成するステップである。これは、熱処理を施すことにより、注入されたイオンによって生成された格子欠陥を凝結させることにより行う。
受け基板は、2つの機能を実行する。最初に、受け基板は、薄層が分離される時に、薄層に対する補強材として働き、格子欠陥の凝結によって生ずるブリスタ(膨れ)の形成を防ぎ、また、埋め込まれた脆化ゾーンの中に、注入表面に平行な平面に沿って空洞が広がることを促進し、分離し易くさせる。この目的のために、基板は、少なくとも表面の上に、この補強材としての役目を十分に保証できる剛性層を備えている。更に、受け基板は、薄層が分離された後に、薄層に施される引き続くステップが可能になるようにする操作基板としての役目を担っている。この機能は、使用されるべき別の基板に、薄層を固定的に結合させようとしている場合に、特に重要である。実際には、この薄層は、それ自体十分な剛性を有し、この補強材としての役目を、自分自身で果たすことができる場合には、閾値より厚い薄層に対しては、補足的な補強材を追加する必要がないということが分かった。この場合には、受け基板は、省略することができる。または操作基板だけの目的で使用することもできる。
注入された基板を、その注入された面で受け基板と結合させるためには、2つの技術が考えられる。これらは、直接ボンディング、およびポリマーボンディング(また、材料追加ボンディング、または接着ボンディングとも呼ばれる)である。直接ボンディングは、分子ボンディングとも呼ばれ、この場合には、ボンディングされるべき2つの表面の、平面度が高いことと、凹凸が小さいこととが要求される。一方、ポリマーボンディングでは、平面度および凹凸に関わるこれらの制約は、低くて済む。これは、ポリマーボンディングでは、ボンディングされるべきそれぞれの表面の、ある程度の平面度の差、およびある程度の凹凸は、接着層が補償することができるからである。
上記で述べた技術を適用することにより、ドナー基板から取り去られる薄層は、最終的には、受け基板に載せられるので、従来は、薄層を受け基板に転写する操作として表現されている(それが、最終的な基板であるか否かに拘わらず)。
接着層としてポリマー層を使用することにより得られる主要な利点として、次のことを挙げることができる。
・ボンディングステップの間に実行するべき表面処理操作を、その操作が存在する場合には、単純化することができる。
・ボンディングステップの費用が安い。
・接着力は、低温に達すると直ちに強力になる。
・ポリマー層の特定な処理によって、取り除き(すなわち、剥離)に対して強くなる。
更に、受け基板内部のポリマーの厚さが厚くなれば、それだけ、基板の機械的柔軟性が高くなるということが分かる。事実、接着部を形成するポリマー層それ自身が、受け基板の受け部分と薄層との間の機械的適応性を与え、それにより、この受け部分と薄層との間の熱膨張係数の差から生ずる制約を、緩和することができる。
「SmartCut(登録商標)」法を適用することにより、種々の材料を使用してポリマー層を実現し、その転写操作が行われてきた。
この中で、非特許文献1(また特許文献2参照)は、光学の分野で、ベンゾシクロブテン(BCB)でできている接着層を通して、ドナー基板、および受け基板のポリマーボンディングを行った後に、ニオブ酸リチウムの薄層をニオブ酸リチウム基板に転写する技術を記述している。これらの文献では、受け基板が、転写される膜の熱膨張係数と同一か、または同様の熱膨張係数を有することが重要であると述べられている。また、接着ポリマーの薄層を使用しているこのボンディングは、ボンディングされるべき表面の平面度、凹凸、および清浄さに対する制約が少ないという利点を有すると説明されている。記述されている例では、電極形成のためのクロム(50nm厚)の薄層で被われたニオブ酸リチウムの受け基板、厚さ1〜2.5μmのBCB層、および厚さ670nmのニオブ酸リチウムの薄層によって形成された構造が得られている。
さらに、非特許文献2は、接着層によってボンディングした後に、InP層をガラス基板に転写する技術を記述している。この接着層は、基板を合わせた後にUV照射によって網状にされた「Microchem」SU−8 5レジンで形成されている。従って、ここに示す例では、レジン層(2.6μm厚)および薄いInP層(500nm厚)によって上部が被われたガラス基板によって形成された構造が得られている。
また、非特許文献3は、接着層によってボンディングした後に、ゲルマニウム(Ge)をポリイミドに転写する技術を述べている。ここで、乾式膜の形状の、最も公知のポリイミドの1つは、カプトン「Kapton(登録商標)」であるということを思い出すことができる。ここに述べられている例では、従って、ゲルマニウムの薄層(1.6μm厚)を有する、感光性レジンSU−82100の層で被われた、ポリイミド基板(従って、可撓性のある基板)を備えている構造が、途中経過として得られる。
上記で挙げた文献は、全てシリコン以外の種々の材料に関するものであることに留意する必要がある。従って、ポリマー層によるボンディングを行った後の、シリコンの薄層の転写は、現在まだ説明されていない特別な困難さを有していることが分かる。
これに関連し、非特許文献4は、直接ボンディングの後、およびポリマー層によるボンディングの後に行うシリコン薄層の転写に関して述べている。補強材として動作することができる種々のタイプの受け基板が挙げられており、これらは、溶融シリカ、石英、およびシリコンである。これらの転写に関して、360nmの深さに水素注入をした後に、補強材として、3〜4μmの厚さのSiO2層(本明細書では、以下でSiO2−TEOSと呼ぶことにする)が、TEOS(テトラエチルオルソシリケート)から、気相成長(VPD)によって、シリコンのドナー基板の上に堆積されるということが示されている。ポリマー層が形成されるのは、この補強材を形成する酸化物層と受け基板との間である。シリコンの薄層が、酸化物層によって十分な剛性が与えられない場合には、膜は、分離される間、一体性を保持できないと述べられている。この文献は更に、接着材として高温ポリマーを使用すれば、注入の後に分離して薄層を形成することは、試みとしては可能であったことを述べている。しかしながら、非特許文献5および特許文献3は、ポリマー層は、非常に可撓性があり、分離ステップの間にクリープを生じ、そのため、ブリスタの形成が引き起こされる可能性があるので、転写されるべき薄層に沿って、SiO2TEOSの厚い層が必要であることを確認している。非特許文献5は、厚さ1〜4μmのSiO2TEOS、および厚さ360nmのシリコンと共に、ポリマー層に対しては、400〜750nmの厚さが必要であると述べている。
異なる状況として、特許文献4は、例えば、デュアル転写(ドナー基板から受け基板への転写、またその後に、最終的な基板への転写)は、可撓性がある基板を使用しては行うことができないことを説明している。この理由は、可撓性がある基板は、非常に柔らかく、注入によって生成された、埋め込まれた脆化ゾーンにおいて空洞が成熟化するステップの間に変形してしまうか、または、可撓性がある基板は、熱変形または熱劣化を起こす可能性があって、破面生成の過程で課される温度に耐えることができず、従って、必要な剛性を保持することができないからであると説明されている。この特許文献4は、ドナー基板の面と、UV照射の処理を行ったシリコーンタイプポリマー層の面との間の(直接)ボンディングの場合は、UV照射によってポリマー層が、厚さ10〜20μm程度の剛性のある酸化物に変化したことを述べている。
薄膜(特にシリコン)を、直接にポリマー基板(具体的には、厚さが100μm程度の可撓性「カプトン(登録商標)」支持体)の上に転写することが、特許文献5に述べられている。しかし、これは、「SmartCut(登録商標)」技術を使用して、外部からの更なる機械力を加えることにより、注入された層のレベルに破面が得られる場合である。この場合には、このポリマー層基板への相補として、更なる層は存在しないが、この技術による破面は、専ら熱的な要因で破面が生ずる場合と比較して、遙かに軽度な熱処理であることを意味し、ブリスタ現象は遙かに小さく、従って、補強材は必ずしも必要ではない場合であるという点に留意しなければならない。
上記の文献を要約すると、ドナー基板が、ゲルマニウム、ニオブ酸リチウム、またはインジウム燐によって作られ、また、ポリマー層によって受け基板にボンディングされる場合には、注入されたドナー基板の内部には、基本的に熱処理によって破面を形成することができるが、シリコンによってできているドナー基板に対しては、補強材として動作する中間層が、将来の薄層に沿って存在することが絶対条件であると考えられるので、シリコンによってできているドナー基板に対しては、このことは当てはまらない、ということを結論することができる。
ブリスタ現象は、シリコンの薄層の場合、この薄層に沿って補強材がない場合には、シリコンの薄層の破砕を引き起こし、ブリスタ現象は、薄層の厚さが薄くなるに従い、大きくなるということが分かる。現在の傾向は、ますます、薄いシリコン層を使用する傾向にあり、その厚さは、通常、10μmより薄く、更に、5μmより薄く、また更に、1μm、更に500nmよりも薄くなってきている。
従って、注入した薄層の面に隣接してポリマー層が存在することの利点を利用しようとする場合、現在では、注入された層に沿って破面を生成することによって行う、10μmより薄い単結晶シリコンの薄層の転写を、基本的に熱による破面処理を通して達成することは、不可能であるように見える。しかしながら、特に、安価な方法(直接ボンディングより安価な)が必要な、光起電力への応用に対する需要は大きいものがある。
フランス国特許第FR2681472号(Bruel)明細書 国際特許第WO2008/098404号明細書 国際特許第WO2004/0102020号(Roberds他)明細書 フランス国特許第FR2925221号(Di Cioccio)明細書 フランス国特許第FR2748851号明細書
本発明は、上記で述べた不可能と考えられる技術を克服し、ポリマー層に直接に接着されている単結晶シリコンの薄層への注入と、基本的には薄層の熱処理によって、破面を生成する方法を提案するものである。ここで、薄層の厚さは、10μm(または更に5μm、または更に1μm)よりも薄いものとする。
この目的のために、本発明は、単結晶シリコンの薄層を、ドナー基板から受け基板へ転写する方法を提供するものである。このドナー基板は、転写されるべき薄層の厚さより厚い厚さ(自由面からの厚さ)の単結晶シリコンでできており、転写されるべき薄層の厚さに応じて、所与の元素のイオンがこの自由面を通して注入され、これにより、単結晶シリコンの中に、埋め込まれた脆化層を形成する。このドナー基板は、ポリマー層を介して、前記自由面が受け基板にボンディングされる。また、ドナー基板に沿って薄層の破面が生成され、埋め込まれた脆化層の所で、基本的に熱的な破面処理によって生成が促進される。本発明は、注入の条件として、薄層の厚さは、10μmより薄く、ポリマー層の厚さは、閾値(最大で500nm)より薄く、また、注入のエネルギーおよびドーズ量の関数として決まる将来の薄層の厚さより薄いことを特徴としている。
従って、本発明の方法は、3つの主要なステップを備えている。これらは、イオンを注入するステップと、ポリマー層に接触させるステップと、破面を生成するステップとである。ポリマー層の厚さは十分に薄いので、注入の条件(注入の深さを決定するエネルギー、および、埋め込まれた脆化層の所に生成される空洞の密度を決定するドーズ量)が与えられた場合には、ポリマー層に関して薄層と反対側に存在する補強材は、このポリマー層を通して、この薄層を補強する効果を与える。
薄層の厚さを、10μmより薄く、更に5μmより薄く、また更に1μmより薄くする注入を行うという条件では、ボンディング層の厚さの閾値(超えてはならない値)は、従来の厚さより薄いという状況が明らかになった。事実、LiNbO3またはInPに関する、上に挙げた文献は、1μmより厚いボンディング層に関して述べている(典型的に、2μmまたはそれ以上の厚さであり、これらは、使用するポリマー層として、製造業者によって推奨されている標準的な厚さである)。ゲルマニウムに関する上に挙げた場合では、剛性のある支持体が存在しないということに注意を要する。上記でシリコンに関して述べている文献では、分離されるべき薄膜とポリマー層との間には、数μmの酸化物(SiO2TEOS)の層が存在するので、ポリマー層の厚さは、400〜750nmであるとしている(ポリマー層表面の上の酸化物層に対する補完用として)。
実際には、接着ボンディングの材料(BCB等)は、ボンディングされるべき表面の上に、1μmを超える厚さで広がって設けられているということは、留意する価値がある。一般的に、この材料を希釈すると考えるだけで、この厚さは、容易に減少させることができる。しかし、当業者は、接着によるボンディングは、接着剤が均一に分布する(すなわち、接着剤は至る所に存在する)ことが、特に有効であり、従って、この接着剤の厚さは、厚い方が容易であると考えられる傾向にあった。
従って、500nmよりも薄い閾値より薄くなるまでボンディング層の厚さを低減し、原理的には、分離するべき薄層の厚さよりも薄い閾値よりも薄くすると考えることは、当業者が考える一般的な傾向とは反するものである。
更に、生成したポリマー層で十分な補強性を得る困難さに対して、当業者の一般的な傾向は、よりよい補強効果は、剛性を改善するという条件では、当該ポリマー層の厚さを増すことによって得られるであろうと考えていることが分かった。しかし、本発明が教示する手法は、この一般的な傾向に対しても反するものである。
ドナー基板は、その面が、単結晶シリコン以外の材料、例えば、熱酸化物または自然酸化物で構成され、ドナー基板の面は、ポリマー層によって受け基板にボンディングされる。この表面層は、特に、注入ステップの間、ドナー基板を保護する役目を担うことができる。この表面層の厚さは、最大値としても、たったの数10ナノメートルでなければならず、この値は、これだけでは、良好な補強効果を得るには極めて明らかに不十分である。
注入の条件をポリマー層の厚さの最大閾値と関係づける方法は、この閾値を、注入と純粋な熱破面が生ずる直前の熱処理とによって生成される空洞の平均寸法と関係づけることである。この場合、ポリマー層の厚さに対する最大閾値の、前記自由面に平行な方向のブリスタの平均寸法に対する比が1:15の程度であると有利である。これらのブリスタは、前記エネルギーおよび前記ドーズ量で注入した後のドナー基板の中で観測されるブリスタである。典型的に、この厚さに対しては、この平均横方向寸法の1/20の程度の値を選択することが可能である。
注入は、非常に多くの異なる元素のイオンを使用して行うことができる。これらの元素は、特に気体元素である(しかし、これは必ずしも必要条件ではない)。水素注入の技術は確立されている。従って、70keVを注入エネルギーの最大値として、水素イオンによる注入を行うのが有利である。同様に、3×1016+/cm2〜1.5×1017+/cm2のドーズ量の水素イオンで注入を行うのが有利である。
水素(2×1016+/cm2〜1017+/cm2の範囲のドーズ量)および硼素(数1014/cm2〜5×1015/cm2のドーズ量範囲)の同時注入によって、破面生成温度を低下させることができる。水素とヘリウムとの同時注入の場合もまた、各元素は、2×1016/cm2〜1017/cm2の範囲のドーズ量、また、2〜5×1016/cm2の範囲のドーズ量が望ましいと考えることができる。
種々のタイプのポリマー、例えば、ガラス質またはゴム状、熱硬化性または熱弾性等のポリマーを使用することができる。ポリマー層は、ベンゾシクロブテン(BCB)、または、BCBに基づいた材料(ジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテン(DVS−ビスBCB)等)からなっていると有利である。
本発明の方法は、破面生成の温度で使用することができ、この温度は、ポリマー層生成の温度範囲と比較して、高い温度である。従って、熱破面処理は、例えば、少なくとも275℃の温度で、または、更に320℃、または更に高く、350℃で行うことができる。
受け基板は、任意の基板でもよい。しかし、ポリマーを基本とする基板であれば有利である。従って、受け基板は、ポリマー基板の中に補強材形成層を備えていると有利である。補強材形成層は、シリコンの酸化物または窒化物によって、典型的に2〜10μmの範囲の厚さに形成されると有利である。このポリマー基板の材料は、ポリマー層とは異なる材料でよい。この材料は、ポリイミド、例えば「カプトン(登録商標)」であると有利である。
本発明の目的、特徴、利点は、以下の記述から明らかになると思う。これらは、添付図面を参照して、非網羅的な事例として示すものである。
注入過程におけるドナー基板を示す図である。 ポリマー層によって受け基板にボンディングされた後の、図1の基板を示す図である。 熱破面によって薄層を転写した後の、図1の基板を示す図である。 図1と同様の図である。 図2と同様の図であり、受け基板はポリマーを基本としている。 ポリマーを基本とした受け基板に転写され、得られた薄層を示す図である。
図1〜図3から分かるように、本発明の方法は、主として3つのステップを備えている。
第1のステップ(図1参照)では、所与の元素のイオンを、単結晶シリコンの初期基板1(ドナー基板と呼ばれる)の中に注入し、この初期基板から薄層が得られる。この注入する元素は、水素またはヘリウム等の気体元素であることが望ましい。このドナー基板は、ここでは、バルク基板である。1つの変形として、基板は、注入表面から所与の厚さを有する単結晶シリコンだけからなっており、その厚さは、注入の深さより大きな値である。別の変形例においては、この基板は、表面に、シリコン以外の材料でできた、非常に薄い表面層を備えることができる。この表面層は、例えば、2〜100nmの酸化物である。
この注入によって、基板の中に脆化ゾーン2が形成され、この脆化ゾーン2は、注入された部材の中で、薄層3の、基板の注入表面1Aからの深さの境界を決めている。
注入の条件は、将来の薄層の厚さを決定する注入の深さが、10μmより薄く、更に1μmより薄く、また更に、750nm、500nmより薄くなるようにすると有利である。
第2のステップ(図2参照)においては、注入された基板と、特定の性質を有する必要がない任意の基板4(受け基板と呼ばれる)とが、2つの層の間に挿入された、ある特定な厚さのポリマー層5を介して結合される。取り出されるべき薄層、ポリマー層5、および基板4で構成されたスタックは、補強材としての役割を持たなければならない。すなわち、このスタックは、注入によって注入表面と平行な面内で生成された空洞の成長を促進し、これにより、基板の上の薄層を効率よく転写できるようにしなければならない。薄層の転写は、薄層の表面の、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも80%、または98%が、基板4に転写された場合には、効率がよいと考えられる。この補強機能を満足させるためには、基板4は、少なくとも表面に、ポリマー層5に直接接触した硬い材料を備えていなければならない。この材料は、25℃において、ヤング率が10GPaより大きければ、また好ましくは、50GPa、または100GPaより大きければ、硬いと考えることができる。基板4は、例えば、この硬い材料のバルク基板、または異なる硬い材料の層のスタックであってもよい。バルク基板の場合には、基板の厚さは、少なくとも10μmより厚く、更に、20μm、30μm、50μm、100μm、または200μmより厚いことが望ましい。この材料は、例えばシリコンである。
基板は、硬い材料(同一または異なる材料)の1つ以上の層、およびポリマー(同一または異なるポリマー)の1つ以上の層から成るスタックであってもよい。硬い材料の層は、ポリマー層5に直接に接触し、この全体のスタックは、効率のよい転写を行うために十分な剛性を有する。
この実施形態においては、基板4は、バルク層である。
この実施形態は、更に、次に示す特徴を有する。
・ポリマー層の厚さは、臨界厚さより薄く、臨界厚さは、500nmよりも薄い。
・分離されるべき層(数nmの薄い酸化物層で被われている場合もある)は、ポリマー層に直接に接触している。
第3のステップ(図3参照)においては、基本的に熱処理を施すことによって、脆化ゾーンの所で得られる破面構造を生成する。従って、薄層3は、基板4に固定的に結合され、ドナー基板の残りの部分(符号1’)が得られる。
事実、この破面は、特別な特徴を有し、これによりポリマー層は、部分的、または全体的に、圧密タイプの圧縮を受ける(この用語は、非特許文献6で議論されている意味で使用されている)ということが観測された。
本発明の1つの態様は、ドナー基板と受け基板との間に位置するポリマー層には、臨界厚さが存在することを見出したことによっている。この層は、ドナー基板に直接に接触している。このため、
・ポリマー層の厚さが、ポリマー層としてのある特定な臨界厚さより厚い時には、品質のよい転写を行うことはできない(ブリスタ(泡)現象が観測される)。
・ポリマー層の厚さが、ポリマー層としてのある特定な臨界厚さより薄い時には、この転写は可能である。
ポリマー層の厚さに対する最大閾値は、ドナー基板に対して行う、注入と破面生成との間に施す処理操作の種々のパラメータに基づいて、経験的に決定することができる。
最大で10μmの厚さを有するシリコンの薄層に対して(厚さが1μmより薄い場合も同様に)、閾値は、実際には、500nmより小さく、また多くの場合、400nm、または300nmよりも薄いということが観測された。更に、一般的に、閾値は、転写されるべき薄層の厚さよりも小さい。
この閾値を決定する1つの方法は、埋め込まれた脆化層の中に形成される格子欠陥を特徴付ける操作に基づく方法である。
ここで、後に薄層を分離する意図でウェハに注入を行う場合には、これら注入されたウェハの熱処理の過程で、ブリスタが生ずる可能性があるということが思い起こされる。注入されたゾーンに垂直な方向に補強材がない場合には、これらのブリスタは、厚さ方向に広がって行く可能性がある。これらのブリスタは、横方向(注入表面に平行な平面の方向)の寸法を有し、この横方向寸法は、それらの第3の寸法(この平面に垂直な方向の厚さ)と比較して、例えば、1〜2桁大きい。例えば、ブリスタの横方向寸法は、円の直径であり、この円の直径は、この円の周囲の長さと、注入表面に平行な平面へ垂直に投影したブリスタの周囲の長さとの間の誤差を最小にする円の直径として、最小2乗法によって求めた値である。
これらのブリスタの寸法は、注入パラメータに応じて変化する。この注入パラメータは、主として、エネルギー(注入の深さを決定する)およびドーズ量(生成される格子欠陥の寸法および密度を決定する)である。事実、これらの寸法はまた、注入される元素に応じて変化する。
ポリマー層の厚さに対する最大閾値の1つの近似は、ポリマー層の臨界厚さの、これらブリスタの横方向寸法の平均値に対する比を1:15とする(すなわち、注入によって生成されたブリスタの横方向寸法の1/15より小さい値を、ポリマー層の厚さとして選択する)ことである。例えば、この比は、1:20の程度である。比で表すこの表現は、注入パラメータをいくつか組み合わせて注入を行う場合に、得られる結果に対して正確な表現を与えることが分かった。
ポリマー層の限界(臨界)厚さを決定するために引き続いて行う手法を、次に説明する。この限界(臨界)厚さは、厚さが10μmより薄い(特に、1μmの程度の)薄層に対して、ブリスタを生じないように熱転写を行うためには、これを超えてはならないという値である。この手法を、次に示す。
・注入されたシリコンウェハを、それらの表面に補強材を付加することなく使用する。
・薄層3の転写の場合と、同じ条件の注入(元素の性質、1回または複数回の注入、イオン注入のエネルギーおよびドーズ量)、および同じ熱処理操作(温度、RTP、ランピング(ramping)等)を行う。ただし、基板4は使用しない。
上記のようにして得られたブリスタの横方向寸法の測定値から、ブリスタの横方向寸法の平均値に対する比として、1:20程度の値を当てはめることにより、ポリマー層の臨界厚さを決定する(従って、ポリマー層の限界厚さは、注入によって形成された脆化ゾーンの中におけるブリスタの、横方向寸法の平均値の約1/20である)。ブリスタの横方向寸法の平均値は、ブリスタを測定した交差寸法の平均値である。
上記で述べた方法は、種々の形態で実施することができる。
「ポリマー層」という用語は、次に示す任意のタイプのポリマー層を意味している。
・本方法における種々のステップにおける形態(液体または固体、カラス質、結晶、ゴム状)。
・本方法を実施する以前、実施している間、または実施の後に形成される形態(乾燥状、重合化、網状化)。
・液状、粘弾性状、または固体状の形状である。
注入されたドナー基板、ポリマー層、および支持体として使用する受け基板を結合させるステップは、厳密に決められた順序で実行される必要はない。従って、次に示す種々の順序が可能である。
・注入された基板、ポリマー層、および受け基板を、単一のステップの中で固定的に結合する。
・最初に、注入された基板とポリマー層とを結合し、次に、このユニットを受け基板に固定的に結合する。
・受け基板とポリマー層とを固定的に結合し、次に、このユニットを、注入された基板に結合する。
・最初に、注入された基板とポリマー層とを結合し、次に、受け基板と別のポリマー層(異なる性質の場合がある)とを固定的に結合し、更に、これら2つのポリマー層を対向させて結合する。
ポリマー層は、異なるポリマー層のスタックを備えるコンポジット層の形をとることができる。
ポリマー層の限界厚さという概念は、ここでは、追加的な補強材の厚さに注入深さを加えた値が、自己支持膜を作る上に十分である厚さよりも小さい限りにおいてのみ、関心がある(膜は、補強材を付加しなくても分離することができる場合に、自己支持膜と呼ぶことができる)ということが分かる。シリコン膜の場合には、この閾値は、15〜20μm程度の厚さで達成することができる。
ここで示す方法の実現性を実証するために、いくつかの試行を行った。
DVS−ビスBCB(すなわち、ジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテン、ベンゾシクロブテンの略称はBCB)でできた異なる厚さのポリマー層を、単結晶シリコン基板の上に堆積した。ポリマー層の厚さが薄い時には、ポリマー層の上へのシリコンの転写は、効率よく行うことができることが分かった。しかしながら、臨界厚さより厚いポリマー層に対しては、ポリマー層の厚さが厚くなるに従い、転写されるエリアの表面割合は小さくなった。従って、ポリマー層の限界厚さは、明らかに識別することができた。
第1の例においては、シリコンウェハには、水素(27KeV、4×1016+cm-2)と硼素(80KeV、1015cm-2)とが注入された。他の注入条件を選択することもでき、例えば、水素(27KeV、8×1016+cm-2)だけを注入することもできる。上記で注入されたウェハの上に、種々の異なる厚さのBCB層を堆積した。これらの層の厚さは、下の表に示されている。
[実験結果]
Figure 2013533622
BCB膜は、150℃で5分間乾燥させた(溶媒を蒸発させることにより)。上記のようにコーティングされたウェハは、その後、第2のウェハ(この例では、これもシリコンでできている)と接着された。この接着はポリマー層によって行われた。このボンディングは、熱圧着で支援することにより、ウェハの接着を効率よく行うことができた。ここで考えている例では、このステップは、熱破面処理を行うステップとして作用し、この場合には、温度300℃で、2時間の処理を行った。ポリマー層の厚さに応じて、破面は、表面全体、または1部分だけに観測されるか、または、破面は観測されなかった。上記の表を調べると、効率のよい破面形成は、最大300nmまでの厚さで現れ、この厚さは、ブリスタの平均横方向寸法の約1/20に相当しているということが分かる。
この平均横方向寸法は、注入されて泡を有するウェハを光学顕微鏡で測定した値であり、泡は、300℃で2時間の熱処理を行うことで得られたものである。この試験は、破面が得られると考えられる温度で実行することが望ましい。更に、この試験に対しては、熱処理時間は、補強材が存在する場合に破面が得られる時間と等しく(または、数パーセントだけ僅かに多く)して、泡がその最大寸法に達するようにすることが推奨される。
第2の例は、第1の例の変形であり、この場合には、ポリマー層は、注入されたウェハの上ではなく、第2のウェハ(受け基板)の上に広がり、そして、第1のウェハ(ドナー基板)に接着される。ポリマー層は、ウェハのどちらに堆積させても、異なる結果にはならなかった。
第3、および第4の例によって、比較し得る結果を得ることができた。これらの例は、最初の2つの変形であり、第2のウェハ(受け基板)は、ガラスウェハ(例えば、Schott社「Borofloat(登録商標)」33タイプ)である。
第5の例では、シリコンウェハは、同様に、水素および硼素が注入されているが、この場合には、条件は異なっており、水素は、70KeV、5×1016+cm-2であり、硼素は、250KeV、1.2×1015cm-2である。種々の異なる厚さのBCB層が、これら注入されたウェハの上に堆積された。これらの注入条件は、上記の例と比較して、エネルギーは高く、ドーズ量は僅かに高い値になっている。
[実験結果]
Figure 2013533622
BCB膜は、150℃で5分間乾燥させた(溶媒を蒸発させることにより)。これら注入されたウェハは、その後、それぞれのポリマー層を介して、シリコンでできた第2のウェハに接着された。このボンディングは、熱圧着で支援することにより、ウェハを効率よく接着することができた。ここで考えている例では、このステップは、300℃の温度で2時間の処理を行う、熱破面処理のステップとして作用した。ポリマー層の厚さに応じて、破面は、表面全体、または表面の1部分だけに観測されるか、または、破面は観測されなかった。従って、この例においては、薄層の98%より多くの部分を転写するための臨界厚さは、400nmの程度であると決定され、この値は、観測されたブリスタの横方向寸法の1/20の程度である。薄層の少なくとも50%を転写するための臨界厚さは、500nmの程度である。
例えば、注入エネルギーを変化させると、注入深さが変化するということが分かる。更に、全ての他のパラメータが一定であるとすれば、ブリスタの横方向寸法に変化が観測される。これにより、ポリマー層の臨界厚さが変化する。注入ドーズ量が増加した時には、格子欠陥の数が増加し、従って、この場合には、ブリスタの数の増加、またはブリスタの横方向寸法の増加になって現れる。
ボンディングを強化するための熱処理の間、またはその後に、破面が生ずるという事実は、結果に影響を与えないことに注意するべきである。同様に、熱破面処理の温度および継続時間の選択に対しても、臨界厚さを決定するための、これまでに述べた方法に従っていれば、ここで提案している、ボンディングのためのポリマー層の臨界厚さと、ブリスタの寸法との間の関係に合致した結果を得ることができる。
10μmよりも薄い薄層に対しては(また更に、1μm程度の厚さであれば、尚更のことであるが)、臨界厚さは、500nm、または400nm、または300nmよりも薄く、最大で注入深さと等しいということも分かる。
ポリマー層の厚さは、値としては小さいが、この層は、効率のよい絶縁層を構成するには十分であるという点に注意を要する。従って、本発明の方法によって、SOP(silicon−on−polymer)タイプの構造を得ることができる。このSOPタイプの構造は、絶縁層はポリマー層であって、従来のシリコン酸化物タイプの絶縁物ではないという点を除いて、SOI(silicon−on−insulator)タイプの構造と同様である。
図4〜図6は、本発明の別の実施形態を示している。これにより、従来技術とは異なり、シリコン膜を厚い可撓性支持体に転写することが可能になる。
上に述べたように、最初のウェハ(ドナー基板)11は、注入されて、埋め込まれた脆化層12(図4)が生成され、この基板の内部で、転写されるべき薄層13の境界が作られる。
(受け)ポリマー基板14の表面の上に膜16が生成され、このようにして得られた層のスタックが補強材として十分に機能する厚さになる。この目的のために、ポリマー14の厚さは、例えば、10μmまたは100μmより厚く、また膜16の厚さは、2〜10μmの範囲にある。膜16は、硬い材料によって作られる。
その後、臨界厚さより薄い厚さを有するボンディングポリマー層15の薄層は、補強材膜の自由表面の上へ、および/または最初の(ドナー)ウェハの表面の上へ広げられる。
注入されたドナー基板11は、表面が補強された、ポリマー層に基づいた基板14に接着される(図5)。
破面が熱処理によって形成され(図6)、その結果、薄層13は、ポリマーに基づいた基板14に転写される。後に残ったドナー基板(11’で示されている)は、更なる転写サイクルで再び使用することができる。
代替例として、次に示すことが可能である。
・ドナー基板の上に、臨界厚さより薄い厚さを有するポリマー膜を堆積する。
・次に、このポリマー膜の上に補強材を形成する。
・受けポリマー基板に接着ボンディングする。
・そして、破面を形成する。
補強材膜は、シリコンを基本とした化合物から生成するのが有利である。この化合物は、例えば、酸化物または窒化物(SiO2、SiOx、SiN、Si34、SiNx等)である。補強材膜は、例えば、堆積技術(CVD、スプレイ、スピンガラス等)、またはポリマー表面の性質を変えること(プラズマ、UV、Si−Xボンドの酸化等)等の、マイクロエレクトロニクスにおける適切な公知の任意の技術によって生成することができる。
単結晶シリコン膜を、例えば「カプトン(登録商標)」(または、PI、PDMS、PET、PAN等)でできているポリイミド可撓性基板の上に転写することは、補強材膜としてPECVDによって堆積したSiO2の層を導入することにより行うことができる。
これは、次に示す手順で行うことができる。
・シリコンウェハに水素(70KeV、5.1016+cm-2)を注入する。
・注入されたシリコンウェハの注入された面の上に、スピンコーティングによって、200nmのBCBを堆積する。
・125μmの厚さの「カプトン(登録商標)」基板の上に、PECVDによって、150℃で、6μmのSiO2を堆積する。
・上記のように生成された2つの部分は、酸化物が堆積された面と、BCB膜が堆積された面とが、互いに対向するように、熱圧着によって接合される。
・破面生成は、300℃で2時間の熱処理によって行われる。
ポリマー層は、いくつかのサブレーヤから生成することができ、その全体の厚さは、最大で上記で規定した閾値に等しいということは、容易に理解することができる。
この閾値とブリスタの寸法との間の関係は、閾値を決定するための1つの例に過ぎない。他の関係を使用することもできる。
この基本的に熱を使用した破面生成は、広い範囲の温度および時間で行うことができる。
ブリスタの寸法の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)によって、または機械的形状測定によっても行うことができる。また、10μm程度のブリスタ寸法を100nmの分解能で測定できれば、光学顕微鏡を使用することもできる。分解能が十分であれば、他の任意の測定方法も適切であると考えられる。
1、11 ドナー基板
1A 基板の注入表面
1’、11’ 残りのドナー基板
2、12 埋め込み脆化層
3、13 薄層
4 14 受け基板
5、15 ポリマー層
16 剛性膜

Claims (10)

  1. 単結晶シリコンの薄層を、単結晶シリコンでできているドナー基板(1、11)から、転写されるべき薄層(3、13)の厚さより厚い厚さを有する少なくとも1つの薄層の上に、自由面から転写する方法であって、
    − 少なくとも1つの所与の元素イオンが、この自由面を通して注入され、前記単結晶シリコンの中に、埋め込まれた脆化層(2、12)が形成され、
    − 前記ドナー基板は、ポリマー層(5、15)を介して、前記自由面で受け基板(4、14)にボンディングされ、
    − 前記ドナー基板の薄層の破面は、埋め込まれた脆化層(2、12)の所で、基本的に熱破面処理によって生成が促進される方法において、
    − 注入条件は、薄層(3、13)の前記厚さは、10μmより薄いことであり、
    − ポリマー層(5、15)の厚さは、注入のエネルギーとドーズ量の関数として規定される臨界閾値より薄く、前記臨界閾値は、
    ・500nmと、
    ・将来の薄層の厚さとの2つの値の中で、小さい方の値以下であることを特徴とする方法。
  2. 前記ポリマー層の前記厚さに対する前記臨界閾値は、前記エネルギーおよび前記ドーズ量で注入した後に、また、補強材を使用せずに、前記熱破面処理をした後に、前記ドナー基板の中で観測されるブリスタの、前記自由面と平行な方向における平均寸法の1/15であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記注入は、最大で70keVの注入エネルギーの水素イオンで行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記注入は、2×1016+/cm2〜6×1016+/cm2のドーズ量の水素イオンで行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ポリマー層は、ベンゾシクロブテン(BCB)でできていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記熱破面処理は、300℃以上の温度で行われることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記受け基板は、補強材を形成しているポリマー基板(14)によって保持されている剛性膜(16)を備えていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 剛性膜(16)は、2〜10μmの厚さのシリコン酸化物、またはシリコン窒化物で形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ポリマー基板は、前記ポリマー層の材料とは異なる材料からなっていることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記ポリマー基板は、ポリイミドからなっていることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
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