JP2013529620A - 主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象を予防するためのセムロパリン - Google Patents

主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象を予防するためのセムロパリン Download PDF

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Abstract

本発明は、セムロパリンまたはその医薬として許容され得る塩の主要な整形外科手術(例えば、股関節置換、膝関節置換または股関節骨折手術)を受けた患者における致死的及び/または病的事象、より具体的には静脈血栓塞栓症及び死亡を予防するための使用に関する。

Description

本発明は、セムロパリンまたはその医薬として許容され得る塩の主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象、より具体的には静脈血栓塞栓症及び死亡を予防するための使用に関する。
セムロパリン、すなわちAVE5026(Sanofi−aventisラボラトリーコード)は新世代の半合成ヘパリンに属する。セムロパリンは、2000〜3000ダルトンの平均分子量、並びに高い抗因子Xa活性(145〜180U/mg,〜160U/mgの平均値)及び残留抗因子IIa活性(5U/mg未満,平均で〜2U/mg)から生ずる新しい抗血栓プロフィールを有する新規超低分子量ヘパリンである。セムロパリンは、例えばJournal of Thrombosis and Haemostasis,2009,vol.7,1143−1151、並びに特許出願WO 02/08295及び特にWO 2004/033503に記載されているようにヘパリンをホスファゼン塩基により選択的且つ制御的に解重合することにより得られる。ナトリウム塩の形態のセムロパリンは静脈血栓塞栓症を予防するために臨床開発されている。
現在、低分子量ヘパリン(LMWH)、すなわち合成五糖類フォンダパリヌクスまたは用量調節した抗ビタミンKが静脈血栓塞栓性疾患を予防するための一次治療である。
手術を受けた患者は術後静脈血栓塞栓症(以後、“VTE”)の大きなリスクを有している。加えて、多くの入院患者はVTEに対する追加リスク因子を有している。術後静脈血栓塞栓性合併症を避けるために、血栓症のガイドライン(ACCPガイドライン)はあるカテゴリーの外科手術患者に対して抗血栓薬を使用することを推奨している。これらの薬物の中で、LMWHエノキサパリンは外科手術集団において最高に臨床的に証明されており且つこの環境で最大に臨床使用されている薬理学的VTE予防薬である。エノキサパリンは3800〜5000ダルトンの平均分子量、90〜125IU/mgの抗因子Xa活性及び20〜35IU/mgの抗因子IIa活性を有している。
国際公開第2002/008295号 国際公開第2004/033503号
Journal of Thrombosis and Haemostasis,2009,vol.7,1143−1151
本出願人は、今回LMWHクラスの範囲外の製品、すなわち超低分子量ヘパリン(ULMWH)セムロパリンが主要な整形外科手術を受けた患者において致死的及び/または病的事象の発生を抑えることができることを知見した。
従って、本発明の主題は、主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象の予防において使用するための2000〜3000ダルトンの平均分子量、145〜180U/mgの抗因子Xa(抗FXa)活性及び5U/mg未満の抗因子IIa(抗FIIa)活性を有している超低分子量ヘパリン(ULMWH)であり、前記事象はVTE及び死亡から選択され、前記使用の有効性はフェーズIII臨床試験により臨床的に証明されている。
上記した抗FXa及び抗FIIa活性は、再構成緩衝液としてアルブミンの代わりにPEG6000(ポリエチレングリコール6000)を含むトリス−NaCl(pH7.4)緩衝液、及び159U/mgの抗FXa活性及び2.9U/mgの抗FIIa活性を有しているULMWH標準物質を使用し、現行の欧州薬局方のLMWHに対するモノグラフから改変した色素生成性基質に対するアミド分解方法を用いて測定される。内部ULMWH標準物質を使用するために効力は単位/mgで表示される。実際、濃度/希釈の関数として、抗FIIa活性のルーチン測定の場合、ULMWHをLMWH標準に対して較正すると非平行性が観察され得る。上記したULMWH標準物質の抗FXa及び抗FIIa活性は平行性が得られた希釈の範囲で国際LMWH標準に対して測定されている。投与の結果は現行の欧州薬局方の§5.3(“Statistical analyses of dosages and biological assays results”)に従って利用される。
より具体的には、上記ULMWHはセムロパリンであり、従って本発明の主題は主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象の予防において使用するためのセムロパリンであり、前記事象はVTE及び死亡から選択され、前記使用の有効性はフェーズIII臨床試験により臨床的に証明されている。
本発明の構成において用語「セムロパリン」は、その医薬として許容され得る塩、特にそのナトリウム塩を包含する。従って、用語「セムロパリン」は本明細書中では「セムロパリンまたはその医薬として許容され得る塩」と理解される。
本発明によれば、以下の用語は次の意味を有する:
「主要な整形外科手術」は、股関節置換、股関節骨折または膝関節置換手術を指す。
「患者」は、VTEのリスクがあり、静脈血栓塞栓性事象の予防が適応される患者を指す。
「死亡」は全死因死亡を指す。
「フェーズIII臨床試験」は、現在の標準治療と比較して薬物が有効であるかを明確に評価する目的で大きな患者群(1,000人〜2,000人以上)が参加する多施設無作為二重盲検研究を指す。
より具体的には、本発明の主題は、主要な整形外科手術を受け、VTEのリスクがあり、静脈血栓塞栓性事象の予防が適応される患者における致死的及び/または病的事象の予防において使用するための上に規定したULMWHであり、前記した致死的及び/または病的事象はVTE及び死亡から選択され、前記使用の有効性はフェーズIII臨床試験により臨床的に証明されている。
特に、本発明の主題は、致死的及び/または病的事象が深部静脈血栓症(以後「DVT」、近位または遠位DVTを含む)、非致死的肺塞栓症及び死亡から選択される上記した使用のためのULMWHである。
本発明の構成において、以下の用語は次の意味を有する:
「深部静脈血栓症」は下肢の深部静脈中の血餅を意味する。
「近位DVT」は膝の上で生ずるDVT事象を意味する。
「遠位DVT」は膝の下で生ずるDVT事象を意味する。
本発明の別の態様で、主要な整形外科手術は股関節置換手術、股関節骨折手術または膝関節置換手術から選択される。より具体的には、主要な整形外科手術は股関節置換及び股関節骨折手術を含めた股関節手術から選択される。
別の実施形態において、本発明は、主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象の予防において使用するための前記ULMWHに関し、前記事象は静脈血栓塞栓症及び死亡から選択され、前記使用の有効性はフェーズIII臨床試験により臨床的に証明されており、前記ULMWHは標準抗血栓治療に比してより高い有効性を示す。
特に、標準抗血栓治療はLMWHエノキサパリンである。
実際、主要な整形外科手術後に上に規定したULMWHを投与すると、ULMWHでの治療の恩恵を受ける患者における静脈血栓塞栓症及び死亡の発生をエノキサパリンでの標準治療の恩恵を受ける患者における前記事象の発生と比較して低下させることができることが判明した。「治療」は本明細書中、静脈血栓塞栓症治療と理解される。
本発明のこの実施形態では、致死的及び/または病的事象は特に深部静脈血栓症である。
本発明のこの実施形態では、患者は特に股関節置換手術を受けている。
別の実施形態では、本発明は、主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象の予防方法に関し、その方法は予防を要する患者に対して有効量の上で規定したULMWHを投与することを含み、前記事象は静脈血栓塞栓症及び死亡から選択され、前記使用の有効性は上記したフェーズIII臨床試験により臨床的に証明されている。
本発明によれば、上で規定したULMWHを正常な腎機能を有する患者または軽度もしくは中程度の腎機能障害を有する患者に対して20mg/日の用量で投与する。重症の腎機能障害を有する患者に対しては、ULMWHを10mg/日の用量で投与する。
本発明によれば、患者の腎機能は、公知のコッククロフト・ゴールト式を用いて計算した推定クレアチニンクリアランス(CLcr)値に従って規定され、次の特徴に従って分類される:
−正常な腎機能:CLcr>80mL/分;
−軽度の腎機能障害:50≦CLcr≦80mL/分;
−中程度の腎機能障害:30≦CLcr<50mL/分;
−重症の腎機能障害:CLcr<30mL/分。
上で規定したULMWHでの治療を有利には1日1回投与する。本明細書中で使用されている「毎日」は24時間±4時間毎の投与を意味する。前記治療を7〜10日間投与することが有利である。
明細書中で使用されている表現「…において使用するためのULMWH」は、表現「…のためのULMWHの使用」または「…において使用するための薬剤を製造するためのULMWHの使用」と同等であると理解される。
従って、本発明は、主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象を予防するために有用な薬剤を製造するための上で規定したULMWHの使用にも関し、前記事象は静脈血栓塞栓症及び死亡から選択され、前記使用の有効性はフェーズIII臨床試験により臨床的に証明されている。
本発明は、
−包装材料;
−2000〜3000ダルトンの平均分子量、145〜180U/mgの抗FXa活性及び5U/mg未満の抗FIIa活性を有しているULMWHから選択される化合物、特にセムロパリンまたはその医薬として許容され得る塩;及び
−前記包装材料内に収容されている前記化合物が主要な整形外科手術を受けた患者において静脈血栓塞栓症及び死亡を予防するために有効であることを示すラベルまたは添付文書;
を含む製品にも関する。
上記した本発明の実施形態はこの製品にも当てはまる。
本発明を説明してきたが、本発明は本発明の下記実施例を参照することによりより明確に理解されるであろう。これらの実施例は例示の目的のみで本明細書に含まれており、本発明を限定すると意図されない
以下の略号を使用する:
b.i.d.:bis in die(1日2回)
CLcr:クレアチニンクリアランス
DVT:深部静脈血栓症
IP:臨床試験用医薬品
PE:肺塞栓症
UFH:未分画ヘパリン
LMWH:低分子量ヘパリン
OR:オッズ比
q.d.:quaque die(1日1回)
s.c.:皮下
SRI:重症の腎機能障害
VTE:静脈血栓塞栓症
95% exact CI:正確な95%信頼区間
95% mid−p CI:中央値の95%信頼区間
[実施例1]
セムロパリンの製造
ナトリウム塩の形態のセムロパリンは、そのベンジルエステル誘導体を介して活性化したヘパリンをホスファゼン塩基2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,2,3−ジアザホスホリン(BEMP)により化学選択的に解重合することにより得られる。セムロパリンをナトリウム塩の形態で回収することができる半合成経路は、特許出願WO 02/08295及びWO 2004/033503、並びにJournal of Thrombosis and Haemostasis,2009,vol.7,1143−1151に記載されている。この手順により、2000〜3000ダルトンの平均分子量(平均で約2400Da)、145〜180U/mg(平均値〜160U/mg)の抗因子Xa活性及び5U/mg未満(平均で〜2U/mg)の残留抗因子IIa活性を有しているセムロパリンが得られる。
[実施例2]
待機的膝関節置換手術(SAVE−KNEE)研究
待機的膝関節置換手術を受けた患者における静脈血栓塞栓症を予防するためのAVE5026とエノキサパリンの有効性及び安全性を比較する多国籍多施設無作為二重盲検研究
1)研究目的
本研究の主目的は、待機的膝関節置換手術を受けた患者において静脈血栓塞栓性事象を予防するために術後7〜10日の間に投与した20mg AVE5026(SRI患者に対しては10mg)の1日1回(q.d.)皮下(s.c.)注射と30mg エノキサパリン(SRI患者に対しては20mg q.d.)の1日2回(b.i.d.)s.c.注射の有効性を比較することである。本研究の第2の目的は、待機的膝関節置換手術を受けた患者におけるAVE5026の安全性を評価し、この集団におけるAVE5026暴露を立証することである。
2)研究デザイン
患者の適格性をスクリーニング期間(手術前2週間以内)の間に調べ、無作為化前に再検討する。
患者の地域及びベースラインでの推定CLcr(<または≧30mL/分)を考慮して、適格な患者に対して無作為化した治療を割り付ける。
最終の訪問治療は最後のIP注射の日または10日目のいずれか早いほうに実施する。7日目と11日目の間に両側静脈造影法を実施する。追跡訪問は35〜42日目に予定する。従って、研究参加の最長期間は、7〜10日目までの治療期間及び35〜42日目に訪問する追跡期間を含めて42日である。
3)患者
研究において全部で1150人の患者を無作為化する。
以下の基準:
−待機的膝関節置換手術、または研究参加の≧6ヶ月前に実施した以前埋め込んだ人工膝関節の少なくとも1つのコンポーネントの再建手術:
−インフォームドコンセントの書面にサインした;
を満たす患者が本研究の登録に適している。
以下の基準の1つを満たす患者は研究への登録から除外する:
1.法定低年齢制限(国独自);
2.研究開始前の3ヶ月に主要な整形外科手術;
3.ポリエチレンライナー交換のみの待機的膝関節手術;
4.膝関節置換後の感染のために2段階の関節置換術の第1段階;
5.1回目のIP注射の前に止血が確認されていない;
6.最後の12ヶ月以内にDVTまたはPEの臨床的兆候または症状、或いは公知の静脈炎後症候群;
7.ヨウ素または造影剤に対して公知の感受性、及び静脈造影法の実施に対して禁忌;
8.無作為化前2週間以内または研究治療期間中に予定されている
−非経口抗凝固剤(UFH、LMWH[例:エノキサパリン、ダルテパリン、ナドロパリン]、フォンダパリヌクス、ビバリルジン、ヒルジン)
−経口抗凝固剤(ビタミンKアンタゴニスト)
−GPIIb/IIIaアンタゴニスト:アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン
−血栓溶解剤
−デキストラン
−脚の間欠的空気圧迫治療(IPC)
のようなVTEの発生に影響を与える恐れがある治療または処置;
9.公知の進行性悪性疾患;
10.プロトコールに従いそうもない(例えば、非協力的態度、追跡訪問のために戻ることができない、退院後医療専門家による毎日の注射を受けることができない、及び研究が完了しそうにない)被験者;
11.無作為化前の最近30日または5半減期(いずれか長いほう)に臨床試験用医薬品または臨床試験用デバイスで治療;
12.以前AVE5026に暴露;
13.活動性大出血;
14.エノキサパリンナトリウムの存在下での抗血小板抗体についてのポジティブインビトロ試験に関連する血小板減少症;
15.エノキサパリンナトリウムに対する公知の過敏症(例えば、掻痒症、蕁麻疹、アナフロイラキシー様反応);
16.ヘパリンまたはブタ製品に対して公知の過敏症;
17.細菌性心内膜炎、先天性または後天性出血障害、活動性潰瘍性及び血管異形成性胃腸疾患、出血性卒中、或いは脳、脊髄または眼科手術直後のような出血のリスクが高い状態;
18.末期腎疾患(推定クレアチニンクリアランス<10mL/分)または透析患者;
19.妊娠または授乳中の女性;
20.研究期間中インフォームドコンセントフォーム中に避妊のために規定されている受胎調節の非常に有効な避妊方法により保護されない可能性がある及び/または妊娠について検査したくないまたはできない妊娠可能な女性。
4)治療薬
Sanofi−aventisは、本研究のための盲検治療薬を供給し、製造している。無作為化割り付けに従って、患者はAVE5026またはエノキサパリンのいずれかを投与される。両治療薬を、外観は同じであり、同一容量の0.9% 塩化ナトリウム及び注射用水を含む滅菌等張性溶液を収容しているすぐに使える0.5mlプレフィルドシリンジとして提供する。
マッチングプラセボシリンジは厳密に同一の外観を有しており、活性成分を含まない以外は同一容量を収容している。
AVE5026及びエノキサパリンを皮下投与する。プレフィルドシリンジの全容量を注射しなければならない。
臨床試験用医薬品(IP)を手術後(手術日を1日目とする)7〜10日間盲検的に投与する。患者は、
・エノキサパリン 30mg sc b.i.d.(推定CLcr<30mL/分として規定されるSRIの患者に対しては20mg q.d.)、または
・AVE5026 20mg sc q.d.(SRI患者に対しては10mg q.d.)
のいずれかを投与される。
5)結果
有効性分析期間は、無作為化から11日目(手術日を1日目とする)または強制的両側静脈造影法のいずれか早いほうまでの期間と規定される。
一次有効性集団は、IP注射薬(活性物質またはプラセボ)を少なくとも1回投与され、待機的膝関節置換手術を受け、非欠測の一次有効性エンドポイントで無作為化したすべての患者を含む。
一次分析は、0.05のαレベルの正確な両側層別化検定(Gart 1970)を用いて2つの群(セムロパリン及びエノキサパリン)を比較する。治療群あたりの事象率を要約する。
表1及び2は、待機的膝関節置換手術(SAVE−KNEE)研究の一次有効性分析を記載している。
Figure 2013529620
Figure 2013529620
これらの結果から、セムロパリンは待機的膝関節置換手術を受けた患者においてVTE及び死亡(DVT、非致死的PE及び死亡)を予防するためにエノキサパリンと類似の有効性を有することが示唆される。
表1から明らかなように、ULMWHはVTEまたは死亡の発生の点でエノキサパリンでの治療と比較して13%の相対リスク減少を伴っている。
[実施例3]
待機的股関節置換手術(SAVE−HIP1)研究
待機的股関節全置換手術を受けた患者における静脈血栓塞栓症を予防するためのAVE5026とエノキサパリンの有効性及び安全性を比較する多国籍多施設無作為二重盲検研究
1)研究目的
本研究の主目的は、待機的股関節置換手術を受けた患者において静脈血栓塞栓性事象を予防するために術後7〜10日の間に投与した20mg AVE5026(SRI患者に対しては10mg)の1日1回(q.d.)皮下(s.c.)注射と40mg エノキサパリン(SRI患者に対しては20mg)のq.d. s.c.注射の有効性を比較することである。本研究の第2の目的は、待機的股関節全置換手術を受けた患者におけるAVE5026の安全性を評価し、この集団におけるAVE5026暴露を立証することである。
2)研究デザイン
患者の適格性をスクリーニング期間(手術前2週間以内)の間に調べ、無作為化前に(手術前日または手術日)再検討する。
患者の地域、第1回IP注射のタイミング及びスクリーニング時の推定CLcr(<または≧30mL/分)を考慮して、適格な患者に対して無作為化した治療を割り付ける。
最終の訪問治療は最後のIP注射の日または10日目のいずれか早いほうに実施する。7日目と11日目の間に両側静脈造影法を実施する。追跡訪問は35〜42日目に予定する。
従って、研究参加の最長期間は、7〜10日目までの治療期間及び35〜42日目に訪問する追跡期間を含めて42日である。
3)患者
本研究において全部で2326人の患者を無作為化する。
以下の基準:
−待機的股関節置換手術、または研究参加の≧6ヶ月前に実施した以前埋め込んだ人工全股関節の少なくとも1つのコンポーネントの再建手術:
−インフォームドコンセントの書面にサインした;
を満たす患者が本研究の登録に適している。
以下の基準の1つを満たす患者は研究への登録から除外する:
1.ポリエチレンライナー交換のみの待機的股関節手術;
2.人工股関節置換後の感染のための2段階の関節置換術の第1段階;
3.先の実施例2(待機的膝関節置換手術(SAVE−KNEE)研究)に記載した項目1、2及び6〜20の番号を付した除外基準。
4)治療薬
Sanofi−aventisは、本研究のための盲検治療薬を供給し、製造している。無作為化割り付けに従って、患者はAVE5026またはエノキサパリンのいずれかを投与される。両治療薬を、外観は同じであり、同一容量の0.9%塩化ナトリウム及び注射用水を含む滅菌等張性溶液を収容しているすぐに使える0.5mlプレフィルドシリンジとして提供する。
(予定されているならば)術前IP注射及び手術終了から8±1時間後及び12±1時間後に投与される術後IP注射に関して、対応するプレフィルドシリンジは活性成分またはプラセボのいずれかを含んでいる。マッチングプラセボシリンジは厳密に同一の外観を有しており、活性成分を含まない以外は同一容量を収容している。
AVE5026またはエノキサパリンを皮下投与する。プレフィルドシリンジの全容量を注射しなければならない。
臨床試験用医薬品(IP)を術後7〜10日の間盲検的に投与する。患者はエノキサパリンまたはAVE5026のいずれかを投与される。第1回術前注射薬(比較群を割り付けられた患者に対してはエノキサパリン、AVE5026群に割り付けられた患者に対してはプラセボ)を外科処置の12±1時間前に投与する。術前注射は局所エノキサパリン標識化により省略してもよい。第1回術後注射薬(AVE5026またはプラセボ)は、止血が確認されたならば切開閉鎖から8±1時間後に投与する。第2回術後注射薬(エノキサパリンまたはプラセボ)は切開閉鎖から12±1時間後に投与する。その後、いずれの場合も、患者は翌日以降に1日1回IP注射薬(エノキサパリンまたはAVE5026)を投与される。
術前注射なしの場合、第1回術後注射薬(AVE5026またはプラセボ)は、止血が確認されたならば1日目の切開閉鎖から8±1時間後に投与する。第2回術後注射薬(エノキサパリンまたはプラセボ)は切開閉鎖から12±1時間後に投与する。次いで、1日1回の注射薬(AVE5026またはエノキサパリン)を翌日以降に、2日目及び7〜10日間の朝に投与する。
5)結果
有効性分析期間は、無作為化から11日目(手術日を1日目とする)または強制的両側静脈造影法のいずれか早いほうまでの期間と規定される。
一次有効性集団は、IP注射薬(活性物質またはプラセボ)を少なくとも1回投与され、待機的股関節置換手術を受け、非欠測の一次有効性エンドポイントで無作為化したすべての患者を含む。
一次分析は、0.05のαレベルの正確な両側層別化検定(Gart 1970)を用いて2つの群(セムロパリン及びエノキサパリン)を比較する。治療群あたりの事象率を要約する。
表3及び4は、待機的股関節置換手術(SAVE−HIP1)研究の一次有効性分析を記載している。
Figure 2013529620
Figure 2013529620
これらの結果から、セムロパリンは待機的股関節全置換手術を受けた患者におけるVTE及び死亡(DVT、非致死的PE及び死亡)の予防において有効であることが立証される。
更に、これらの結果から、セムロパリンはこれらの患者においてVTE及び死亡を予防するため、特にDVT(より具体的には、遠位DVT)を予防するためにエノキサパリンより高い有効性を有することが立証される。
表3及び4から明らかなように、ULMWHはエノキサパリンでの治療と比較してVTEまたは死亡の発生の点で43%の相対リスク減少を伴っており、DVTの発生の点での相対リスク減少は43%(近位DVTに関して13%、遠位DVTに関して49%)である。
[実施例4]
股関節骨折手術(SAVE−HIP2)研究
股関節骨折手術を受けた患者における静脈血栓塞栓症を予防するためのAVE5026とエノキサパリンの有効性及び安全性を比較する多国籍多施設無作為二重盲検研究
1)研究目的
本研究の主目的は、股関節骨折手術を受けた患者において静脈血栓塞栓性事象を予防するために術後7〜10日の間に投与した20mg AVE5026(SRI患者に対しては10mg)の1日1回(q.d.)皮下(s.c.)注射と40mg エノキサパリン(SRI患者に対しては20mg q.d.)のq.d. s.c.注射の有効性を比較することである。本研究の第2の目的は、股関節骨折手術を受けた患者におけるAVE5026の安全性を評価し、この集団におけるAVE5026暴露を立証することである。
2)研究デザイン
患者の適格性を入院時に調べる:
−エノキサパリンの術前注射が局所標識化により必要とされるならば患者は術前無作為化のために適格である。この場合、この術前IP注射薬(比較群ではエノキサパリン、AVE5026群ではプラセボ)を手術開始の12±1時間前に投与する;
−手術終了から8±1時間後に投与される第1回IP注射の直前に術後止血が確認されたならば患者は術前無作為化のために適格である。
患者の地域、第1回IP注射のタイミング及びスクリーニング時の推定CLcr(<または≧30mL/分)を考慮して、適確な患者に対して無作為化した治療を割り付ける。
最終の訪問治療は最後のIP注射の日または10日目のいずれか早いほうに実施する。7日目と11日目の間に両側静脈造影法を実施する。追跡訪問は35〜42日目に予定する。
従って、研究参加の最長期間は、無作為化後7〜10日目までの治療期間及び35〜42日目に訪問する追跡期間を含めて42日である。
3)患者
研究において全部で1003人の患者を無作為化する。
以下の基準:
1.入院から最初の36時間以内に、または術前IP注射から12±1時間後に予定されているか、或いは(切開閉鎖時から)8±1時間前にちょうど実施される大腿骨骨頭及び骨頸を含めた大腿骨の上部1/3の骨折に対する標準手術、ただし止血が確認されている;
損傷から入院までの時間が24時間未満であることが立証されたならぱ、この36時間枠は延長し得るが、いずれの場合も損傷から手術までの時間は60時間を超えてはならない。
2.インフォームドコンセントの書面にサインした;
を満たす患者が本研究の登録に適している。
以下の基準の1つを満たす患者は研究への登録から除外する:
1.損傷/骨折の推定時間は入院の>24時間前;
2.損傷/骨折から手術までの時間は>60時間;
3.1つ以上の器官系を冒す多発性外傷;
4.上記実施例2(待機的膝関節置換手術(SAVE−KNEE)研究)に記載した項目1、2及び6〜20の番号を付した除外基準
4)治療
上記実施例3(待機的股関節置換手術(SAVE−HIP1)研究)に記載されているのと同様に実施する。
5)結果
有効性分析期間は、無作為化から11日目(手術日を1日目とする)または強制的両側静脈造影法のいずれか早いほうまでの期間と規定される。
一次有効性集団は、IP注射薬(活性物質またはプラセボ)を少なくとも1回投与され、股関節骨折手術を受け、非欠測の一次有効性エンドポイントで無作為化したすべての患者を含む。
一次分析は、0.05のαレベルの正確な両側層別化検定(Gart 1970)を用いて2つの群(セムロパリン及びエノキサパリン)を比較する。治療群あたりの事象率を要約する。
表5及び6は、股関節骨折手術(SAVE−HIP2)研究の一次有効性分析を記載している。
Figure 2013529620
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これらの結果から、セムロパリンは股関節骨折手術を受けた患者においてVTE及び死亡(DVT、非致死的PE及び死亡)を予防するためにエノキサパリンと類似の有効性を有することが示唆される。表5から明らかなように、ULMWHはエノキサパリンでの治療と比較してVTEまたは死亡の発生の点で13%の相対リスク減少を伴っている。
[実施例5]
待機的膝関節置換手術(SAVE−KNEE)、待機的股関節置換手術(SAVE−HIP1)及び股関節骨折手術(SAVE−HIP2)の整形外科手術結果のメタ分析
先の実施例2、3及び4に記載した3つの研究のメタ分析を研究に合わせた固定効果ロジスティック回帰モデルを用いて実施した。無作為化した4479人の患者のうち、3457人(77.2%)が一次有効性分析のために評価可能であった。VTEまたは全死因死亡の一次エンドポイントの発生は下表7に示すようにセムロパリンの場合エノキサパリンに比して有意に低かった。
Figure 2013529620
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これらの結果から、セムロパリンは主要な整形外科手術を受けた患者におけるVTE及び死亡(DVT、非致死的PE及び死亡)の予防において有効であることが立証される。更に、これらの結果から、この状況でのVTE及び死亡を予防するためのセムロパリンの有効性がエノキサパリンと比較してより良好であることが立証される。
表7及び8から明らかなように、ULMWHはVTEまたは死亡の発生の点でエノキサパリンでの治療と比較して25%の相対リスク減少を伴っており、DVTの発生の点でのリスク減少は約31%(近位DVTに関して〜16%、遠位DVTに関して〜30%)である。

Claims (20)

  1. 主要な整形外科手術を受けた患者における致死的及び/または病的事象の予防において使用するための2000〜3000ダルトンの平均分子量、145〜180U/mgの抗因子Xa活性及び5U/mg未満の抗因子IIa活性を有している超低分子量ヘパリンであって、前記事象は静脈血栓塞栓症及び死亡から選択され、前記使用の有効性はフェーズIII臨床試験により臨床的に証明されている前記超低分子量ヘパリン。
  2. 超低分子量ヘパリンが、セムロパリンまたはその任意の医薬として許容され得る塩である請求項1に記載の超低分子量ヘパリン。
  3. 使用が、静脈血栓塞栓症または死亡の発生の点でエノキサパリンでの治療と比較して25%の相対リスク減少を伴う請求項1または2に記載の超低分子量ヘパリン。
  4. 深部静脈血栓症を含めた静脈血栓塞栓症、非致死的肺塞栓症及び死亡の予防において使用するための請求項1〜3のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  5. 深部静脈血栓症の予防において使用するための請求項1〜4のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  6. 使用が、深部静脈血栓症の発生の点でエノキサパリンでの治療と比較して約31%のリスク減少を伴う請求項5に記載の超低分子量ヘパリン。
  7. 近位深部静脈血栓症の予防において使用するための請求項1〜6のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  8. 遠位深部静脈血栓症の予防において使用するための請求項1〜6のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  9. 主要な整形外科手術が、股関節手術である請求項1〜8のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  10. 主要な整形外科手術が、股関節骨折手術及び股関節置換手術から選択される請求項9に記載の超低分子量ヘパリン。
  11. セムロパリンが、標準抗血栓治療と比較してより良好な有効性を示す請求項1〜10のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  12. 標準抗血栓治療が、エノキサパリンである請求項1〜11のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  13. 致死的及び/または病的事象が、深部静脈血栓症である請求項11または12に記載の超低分子量ヘパリン。
  14. 致死的及び/または病的事象が、遠位深部静脈血栓症である請求項11〜13のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  15. 主要な整形外科手術が、股関節置換手術である請求項11〜14のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  16. 正常な腎機能を有する患者または軽度もしくは中程度の腎機能障害を有する患者に対して20mg/日の用量で投与される請求項11〜15のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  17. 重度の腎機能障害を有する患者において10mg/日の用量で投与される請求項11〜15のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  18. 1日1回投与される請求項11〜17のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  19. 7〜10日間投与される請求項11〜18のいずれかに記載の超低分子量ヘパリン。
  20. −包装材料;
    −2000〜3000ダルトンの平均分子量、145〜180U/mgの抗FXa活性及び5U/mg未満の抗FIIa活性を有しているULMWHから選択される化合物、特にセムロパリンまたはその医薬として許容され得る塩;及び
    −前記包装材料内に収容されている前記化合物が主要な整形外科手術を受けた患者において静脈血栓塞栓症及び死亡を予防するために有効であることを示すラベルまたは添付文書;
    を含む製品。
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