JP2013526535A - 腎機能障害または肝機能障害の治療または予防のための方法 - Google Patents

腎機能障害または肝機能障害の治療または予防のための方法 Download PDF

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Abstract

GLP-2またはGLP-2類似体の投与によって、腸管不全、短腸症候群、または非経口栄養の1つまたはそれ以上を有する個体における肝臓障害または腎臓障害の治療または予防を行うための方法を提供する。

Description

本発明は、一般的に非経口栄養、短腸症候群、および腸管不全を伴う肝機能障害または腎機能障害の、治療または予防に有用な方法に関する。より具体的には、本発明は、一般的に非経口栄養、短腸症候群、および腸管不全を伴う肝機能障害または腎機能障害の治療または予防のための、GLP-2ペプチドまたはその類似体の使用法に関する。
腸管不全は、「機能的消化管量が、体内栄養および体液の必要量を満たすのに十分な消化および吸収を行うために必要な最少量未満となる、重大な低下を示すことによって」起こる症状である(Gouletら, Curr. Op. Org. Trans., 14:256, 2009)。この症状は、多くの場合、短腸症候群(SBS)によって起こるが、他の消化管傷害によっても起こりうる(Thompsonら, J. Am. Coll. Surg. 201:85, 2005)。腸管不全は、非経口栄養(PN)(すなわち、胃腸管を通してではなく、静脈からの栄養供給)によって、ある程度まで管理できる(Klein, Gastroenterology 121:970, 2002)。
SBS患者では、腸管適応(intestinal adaptation)と呼ばれる過程(短腸が、喪失した組織を補うために、その吸収を増加させる)により、場合によっては、消化管機能が十分回復し、患者は限られた治療の後、PNを終了することができる(Weltersら, ANZ J. Surg. 72:229, 2002)。しかしながら、他の個体は、栄養源として、長期または慢性的にPNに依存する。ところが、腸管不全患者へのPNの使用可能性は、PNに伴う肝機能障害または腎機能障害によって制限される。
PN関連肝疾患(PNALD)は、長期間PNを受けている患者のほとんどで、ある程度発症する(Cavicchiら, Ann. Int. Med. 132:525, 2000)(Salvino R, J. Parenter Enteral Nutr. 30:202, 2006)。ある態様では、これは進行性であって肝不全に至り、肝臓移植が必要となり得る(Buchmanら, Hepatology 43:9, 2006)(Chanら, Surgery 126:28, 1999)。PNALDからの重度の不可逆性肝臓損傷の頻度は状況によって異なるが、いくつかの報告では、長期間PNを受けている患者の50%以上で、最終的に発症することが示唆されている。更に、PNに関連する肝機能障害により、短腸患者における腸管適応の過程が損なわれ、更なるPNが必要となり得る(Gouletら, Curr. Op. Org. Trans., 14:256, 2009)。
PNALD発症機序および進行因子は十分理解されておらず、進行のハイリスク患者を同定するための、信頼性の高いパラメータは存在しない(Fulfordら, Nutr. Clin. Pract. 19:274, 2004)(Buchman, Gastroenter. 130:S5, 2006)。しかしながら、大量の腸管切除によるSBSは、PNALDのリスク因子の一つとして同定されており、これは、腸肝循環の遮断によって、胆汁酸の代謝および排泄が変更されるためである。
長期PN患者における、別の重要かつ深刻な合併症は腎機能障害であり、これはクレアチニンクレアランスの漸進的低下によって明らかとなる。一連の長期PN患者において、10年間またはそれ以上の経過観察で、クレアチニンクレアランスは平均3.5%/年の低下が見られた(Buchmanら, J. Parenter Enteral Nutr. 17:438, 1993)。この低下を、加齢、腎毒性薬剤の使用、栄養状態、PNのアミノ酸含量、または敗血症の発症に帰することはできなかった。同様に、長期間PNを受けている小児では、クレアチニンクレアランスの低下が見られ、障害の程度は、PNの期間と正比例していた(Moukarzelら, J. Pediatr. 119:864, 1991)。研究を行った小児では、尿細管機能不全、腎石灰沈着症、または閉塞性尿路疾患の兆候は見られなかった。
残念ながら、SBS患者は長期PNに依存しうるため、肝機能障害もしくは肝不全、または腎機能障害もしくは腎不全が発症すれば、選択肢は限られている。不可逆性かつ重度の腎機能低下を発症した患者は腎不全に進行し、慢性透析または腎臓移植が必要となり得る。不可逆性肝臓損傷および肝不全を発症しているSBS患者は、腸または腸-肝臓移植を勧められるかもしれない(Buchmanら, Gastroenterololgy 124:1111, 2003)(Kellerら, Best Prac. Res. Clin Gastroenterol. 18: 977, 2004)(Chungfatら, J. Amer. Coll. Surg. 205:755, 2007)。
近年のPN剤の開発により、PNALDはある程度、改善されうる。いくつかの小規模な研究では、PN剤中の植物性脂肪の全てまたは一部を魚類脂質で代替することにより、PNを受けている個体における肝機能が向上した(Antebiら, 2004, Mertesら, Ann. Nutr. Metab. 50:253, 2006)。しかしながら、これらの製剤の長期的安全性および有効性は確立されておらず(WilesおよびWoodward, Curr. Op. Clin. Nutr. Metab. Care 21:265, 2009)、PNALDの更なる治療の必要性を浮き彫りにしている。
Gouletら, Curr. Op. Org. Trans., 14:256, 2009 Thompsonら, J. Am. Coll. Surg. 201:85, 2005 Klein, Gastroenterology 121:970, 2002 Weltersら, ANZ J. Surg. 72:229, 2002 Cavicchiら, Ann. Int. Med. 132:525, 2000 Salvino R, J. Parenter Enteral Nutr. 30:202, 2006 Buchmanら, Hepatology 43:9, 2006 Chanら, Surgery 126:28, 1999 Fulfordら, Nutr. Clin. Pract. 19:274, 2004 Buchman, Gastroenter. 130:S5, 2006 Buchmanら, J. Parenter Enteral Nutr. 17:438, 1993 Moukarzelら, J. Pediatr. 119:864, 1991 Buchmanら, Gastroenterololgy 124:1111, 2003 Kellerら, Best Prac. Res. Clin Gastroenterol. 18: 977, 2004 Chungfatら, J. Amer. Coll. Surg. 205:755, 2007 Antebiら, 2004, Mertesら, Ann. Nutr. Metab. 50:253, 2006 WilesおよびWoodward, Curr. Op. Clin. Nutr. Metab. Care 21:265, 2009
本発明は、個体における腎機能障害または肝機能障害を治療するための方法を提供する。ある場合には、該方法を、非経口栄養を受けている個体、短腸症候群を有する個体、または腸管不全に罹患した個体に使用する。本明細書に開示する方法は、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝疾患または腎疾患の治療に有効な量で個体に投与する段階を含む。
本発明はまた、個体における腎機能障害または肝機能障害を予防するための方法を提供する。ある場合には、該方法を、非経口栄養を受けている個体、短腸症候群を有する個体、または腸管不全に罹患した個体に使用する。本明細書に開示する方法は、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝疾患または腎疾患の予防に有効な量で個体に投与することを含む。
ある態様では、本発明は、腸管不全を有する個体、短腸症候群を有する個体、または非経口栄養を受けている個体において、肝機能障害を治療する方法に関し、この方法は、肝機能障害を有する患者に、1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝機能を改善させるのに有効な量で投与する段階を含む。
ある態様では、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、約0.001mg/kg/日から約10 mg/kg/日の用量で投与する。別の態様では、GLP-2ペプチド類似体は、テデュグルチド(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、テデュグルチドを約0.05mg/kg/日から約0.1mg/kg/日の用量で投与する。
ある態様では、肝機能の改善が、個体へのGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体投与開始後、約4週間以内に観察される。
ある態様では、肝機能の改善を、1つまたはそれ以上の診断バイオマーカーを用いてモニタリングする。別の態様では、診断バイオマーカーは、ビリルビン、γグルタミルトランスフェラーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、およびアルブミンからなる群から選択される。
別の態様では、ビリルビン、γグルタミルトランスフェラーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、またはアルカリホスファターゼを選択する場合、その個々のレベルが少なくとも約5%低下する。別の態様では、アルブミンを選択する場合、そのレベルが少なくとも約5%上昇する。
別の態様では、本発明は、腸管不全を有する個体、短腸症候群を有する個体、または非経口栄養を受けている個体において、肝機能障害を予防する方法に関し、該方法は、個体に1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝機能障害を予防するのに有効な量で投与する段階を含む。
ある態様では、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、約0.001mg/kg/日から約10 mg/kg/日の用量で投与する。別の態様では、GLP-2ペプチド類似体はテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、テデュグルチドを約0.05mg/kg/日から約0.1mh/kg/日の用量で投与する。
ある態様では、肝機能障害の予防が、個体へのGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の投与開始後、約4週間以内に観察される。
ある態様では、肝機能障害の予防を、1つまたはそれ以上の診断バイオマーカーを用いてモニタリングする。別の態様では、診断バイオマーカーは、ビリルビン、γグルタミルトランスフェラーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、およびアルブミンからなる群から選択される。
別の態様では、ビリルビン、γグルタミルトランスフェラーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、またはアルカリホスファターゼを選択する場合、その個々のレベルが、上昇したとしても約10%未満である。別の態様では、アルブミンを選択する場合、そのレベルが、低下したとしても約10%未満である。
別の態様では、本発明は、腸管不全を有する個体、短腸症候群を有する個体、または非経口栄養を受けている個体において、腎臓機能障害を治療する方法に関し、該方法は、個体に1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、腎機能を改善させるのに有効な量で投与する段階を含む。
ある態様では、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、約0.001mg/kg/日から約10 mg/kg/日の用量で投与する。別の態様では、GLP-2ペプチド類似体はテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、テデュグルチドを約0.05mg/kg/日から約0.1mh/kg/日の用量で投与する。
ある態様では、腎機能の改善が、個体へのGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体投与開始後、約4週間以内に観察される。
ある態様では、腎機能の改善を、1つまたはそれ以上の診断バイオマーカーを用いてモニタリングする。別の態様では、診断バイオマーカーは、尿素窒素、クレアチニン、および糸球体ろ過率からなる群から選択される。別の態様では、尿素窒素またはクレアチニンを選択する場合、その個々のレベルが少なくとも約5%低下する。別の態様では、糸球体ろ過率を選択する場合、そのレベルが少なくとも約5%上昇する。
別の態様では、本発明は、腸管不全を有する個体、短腸症候群を有する個体、または非経口栄養を受けている個体において、腎臓機能障害を予防する方法に関し、該方法は、個体に1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、腎機能障害を予防するのに有効な量で投与する段階を含む。
ある態様では、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、約0.001mg/kg/日から約10 mg/kg/日の用量で投与する。別の態様では、GLP-2ペプチド類似体はテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、テデュグルチドを約0.05mg/kg/日から約0.1mh/kg/日の用量で投与する。
ある態様では、腎機能障害の予防が、個体へのGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の投与開始後、約4週間以内に観察される。
ある態様では、腎機能障害の予防を、1つまたはそれ以上の診断バイオマーカーを用いてモニタリングする。別の態様では、診断バイオマーカーは、尿素窒素、クレアチニン、および糸球体ろ過率からなる群から選択される。別の態様では、尿素窒素またはクレアチニンを選択する場合、その個々のレベルが、上昇したとしても約5%未満である。別の態様では、糸球体ろ過率を選択する場合、そのレベルが、低下したとしても約5%未満の低下を示す。
種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、アラニントランスアミナーゼ(ALT)のベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、総ビリルビンのベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、アルカリホスファターゼ(ALP)のベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、ALTのベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである(ここで、該被験体は異常なALTベースライン値を示したものである)。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、ALTのベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである(ここで、該被験体は正常なALTベースライン値を示したものである)。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、ASTのベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである(ここで、該被験体は異常なASTベースライン値を示したものである)。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、ASTのベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである(ここで、該被験体は正常なASTベースライン値を示したものである)。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、クレアチニンのベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、尿素窒素のベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボで処理した被験体における、GFRのベースラインからの変化の平均値を経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボを投与した群のうち、ALPが5%を超える低下を示した個体のパーセンテージを経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボを投与した群のうち、ALTが5%を超える低下を示した個体のパーセンテージを経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボを投与した群のうち、ALPが5%を超える上昇を示した個体のパーセンテージを経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボを投与した群のうち、ALTが5%を超える上昇を示した個体のパーセンテージを経時的に示すグラフである。 種々の用量のテデュグルチドまたはプラセボを投与した群のうち、GFRが5%を超える低下を示した個体のパーセンテージを経時的に示すグラフである。 プラセボまたは0.05mg/kg/日のテデュグルチドで処理した個体における、ALTのベースラインからの変化の平均値を示すグラフである。 図17に示すデータを、ALTのベースラインからの変化の平均値をパーセンテージで示したグラフである。 プラセボまたは0.05mg/kg/日のテデュグルチドで処理した個体における、ASTのベースラインからの変化の平均値を示すグラフである。 図19に示すデータを、ASTのベースラインからの変化の平均値をパーセンテージで示したグラフである。 プラセボまたは0.05mg/kg/日のテデュグルチドで処理した個体における、アルブミンのベースラインからの変化の平均値を示すグラフである。 図21に示すデータを、アルブミンのベースラインからの変化の平均値をパーセンテージで示したグラフである。 プラセボまたは0.05mg/kg/日のテデュグルチドで処理した個体における、ALPのベースラインからの変化の平均値を示すグラフである。 図23に示すデータを、ALPのベースラインからの変化の平均値をパーセンテージで示したグラフである。 プラセボまたは0.05mg/kg/日のテデュグルチドで処理した個体における、ビリルビンのベースラインからの変化の平均値を示すグラフである。 図25に示すデータを、ビリルビンのベースラインからの変化の平均値をパーセンテージで示すグラフである。 プラセボまたは0.05mg/kg/日のテデュグルチドで処理した個体における、γグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)のベースラインからの変化の平均値を示すグラフである。 図27に示すデータを、GGTのベースラインからの変化の平均値をパーセンテージで示すグラフである。
本発明は、個体における腎機能障害または肝機能障害を治療する方法を提供する。ある場合には、該方法を、非経口栄養を受けている個体、短腸症候群を有する個体、または腸管不全に罹患した個体に使用する。本明細書に開示する方法は、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝疾患または腎疾患の治療に有効な量で個体に投与する段階を含む。
本発明はまた、個体における腎機能障害または肝機能障害を予防する方法を提供する。ある場合には、該方法を、非経口栄養を受けている個体、短腸症候群を有する個体、または腸管不全に罹患した個体に使用する。本明細書に開示する方法は、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝疾患または腎疾患の予防に有効な量で個体に投与する段階を含む。
容易に理解されるように、本明細書に一般的に記載する態様は例証である。以下に詳述する種々の態様は、本開示の範囲を制限することを意図するものではなく、単に種々の態様の代表例である。更に、本明細書に開示する方法の段階または動作の順序は、当業者によって、本開示の範囲から逸脱することなく変更することができる。換言すれば、その態様の適切な実施のために特定の順序の段階または動作が必要とされない限り、特定の段階または動作の順序または使用を改変してもよい。
定義
特に記載しない限り、本明細書で使用する技術用語は、当業界で理解される一般的な意味を有する。以下の用語は、明確にすることを目的として、実例と共に具体的に定義するものである。
「GLP-2ペプチド」および「GLP-2」という用語は、本明細書では、種々の野生型GLP-2、特に、哺乳動物、例えばラットGLP-2、雄牛(ox)GLP-2、ブタGLP-2、ウシ(bovine)GLP-2、モルモットGLP-2、ハムスターGLP-2、およびヒトGLP-2を指し、それらの配列は、多くの文献(例えばBuhlら, J. Biol. Chem., 263:8621, 1988(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))に報告されている。
GLP-2ペプチドには、以下のSEQ ID NO:1で表される式のペプチドが含まれる:
R1-[Y]m-His-Ala-Asp-Gly-Ser-Phe-Ser-Asp-Glu-Met-Asn-Thr-aa1-Leu-Ala-aa2-Leu -Ala-aa3-Arg-Asp-Phe-Ile-Asn-Trp-Leu-aa4-aa5-Thr-Lys-Ile-Thr-Asp-[X]-n-R2
式中、
aaは、合成または遺伝的にコードされたアミノ酸残基であり;
aa1は中性/極性/大型/非芳香族残基(例えばIleまたはVal)であり;
aa2は中性/極性残基(例えばAsnまたはSer)であり;
aa3は中性残基(例えばAlaまたはThr)であり;
aa4 は中性/極性/大型/非芳香族残基残基(例えばIleまたはLeu)であり;
aa5は中性または塩基性残基(例えばGlnまたはHis)であり;
XはArg、Lys、Arg-Lys、またはLys-Lysであり;
YはArgまたはArg-Argであり;
mは0または1であり;
nは0または1であり;
R1はHまたはN-末端保護基であり;そして
R2はOHまたはC-末端保護基である。
R1およびR2で示す「保護基」は、生化学的安定性およびエクソペプチダーゼによる消化に対する耐性を付与するために慣例的に用いられる化学基である。好適なN-末端保護基には、例えばC1-5アルカノイル基(例えばアセチル)がある。また、アミノ基を有さないアミノ酸類似体も、N-末端保護基として好適である。好適なC-末端保護基には、C-末端カルボキシルの炭素原子でケトンもしくはアミドを形成する基、またはカルボキシルの酸素原子でエステルを形成する基がある。ケトン形成基およびエステル形成基には、アルキル基、部分的に分枝した、または非分枝のC1-5アルキル基(例えばメチル、エチル、およびプロピル基)があり、アミド形成基には、アミノ基(例えば1級アミン)、またはアルキルアミノ基(例えばモノ-C1-5-アルキルアミノおよびジ-C1-5-アルキルアミノ基(メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノなど))がある。アミノ酸類似体は、本発明の化合物(例えば、脱カルボキシル化されたアミノ酸類似体、例えばアグマチン)のC-末端保護にも好適である。
GLP-2ペプチドは当該分野で公知であり、更に米国特許第5,990,077号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
「GLP-2ペプチド類似体」および「GLP-2類似体」という用語は、本明細書では、哺乳動物GLP-2種そのものまたは哺乳動物GLP-2種の変異体であるGLP-2ペプチド「バックグラウンド」内の1つまたはそれ以上の部位にアミノ酸置換が導入されたペプチドであって、C-末端および/またはN-末端が1つもしくは2つの塩基性残基の付加によって改変されているか、または、インビボにおける所望しない生化学的攻撃および分解からペプチド末端を保護するためにペプチド化学の分野で慣例的に使用されるタイプの保護基が導入されたものをいう。従って、GLP-2ペプチド類似体は、任意の哺乳動物GLP-2種(それらに限定されるわけではないが、ヒトGLP-2、ウシ(bovine)GLP-2、ラットGLP-2、デグーGLP-2、雄牛(ox)GLP-2、ブタGLP-2、モルモットGLP-2、およびハムスターGLP-2など)において、アミノ酸置換を包含し、それらの配列は多くの著者によって報告されている(例えばBuhlら, J. Biol. Chem., 1988, 263(18):8621(参照により本明細書に組み込まれる))。本明細書に開示するGLP-2類似体は、非経口栄養、短腸症候群、または腸管不全の1つまたはそれ以上を有する個体に有効量で投与すると、以下の特性:肝機能障害の予防、腎機能障害の予防、肝機能障害の治療、または腎機能障害の治療の少なくとも1つを示すペプチドのみを包含する。本明細書に記載する開示、および、当業界で入手可能な知識により、当業者は、いずれのGLP-2ペプチドまたはGLP-2類似体が該特性の少なくとも1つを保持するかを判定することができる。例えば、本明細書に記載する開示は、GLP-2ペプチドおよびGLP-2ペプチド類似体の設計に関する指針となる。更に、本明細書に記載する指針は、診断バイオマーカーを用いてGLP-2ペプチドまたはGLP-2類似体が以下の特性の1つを有するか否かをいかに判定するかを示す:肝機能障害の予防、腎機能障害の予防、肝機能障害の治療、または腎機能障害の治療。この観点から、以下にGLP-2類似体の例を示す。
ある場合には、本発明にかかるGLP-2ペプチド類似体は、以下のSEQ ID NO:2で表される式の配列を有するペプチドを含む:
R1-(Y1)m-X1-X2-X3-X4-Ser5-Phe6-Ser7-Asp8-(P1)-Leu14-Asp15-Asn16-Leu17-Ala18 -X19-X20-Asp21-Phe22-(P2)-Trp25-Leu26-Ile27-Gln-28-Thr29-Lys30-(P3)-(Y2)n-R 2
式中、
X1はHisまたはTyrであり;
X2はAla、または、該類似体にジペプチジルペプチダーゼIV酵素耐性を付与する他の任意のアミノ酸であり;
X3はAspまたはGluであり;
X4はGlyまたはAlaであり;
P1はGlu-X10-Asn-Thr-IleまたはTyr-Ser-Lys-Tyr(SEQ ID NO:3)であり;
X10はMet、または、酸化に対して安定であるアミノ酸であり;
X19はAlaまたはThrであり;
X20はArg、Lys、His、またはAlaであり;
P2はIle-Asn、Ile-Ala、またはVal-Glnであり;
P3は共有結合であるか、またはIle、Ile-Thr、もしくはIle-Thr-Aspであり;
R1はHまたはN-末端保護基であり;
R2はOHまたはC-末端保護基であり;
Y1はArg、Lys、およびHisの群から選択される1つまたは2つの塩基性アミノ酸であり;
Y2はArg、Lys、およびHisの群から選択される1つまたは2つの塩基性アミノ酸であり;そして
mおよびnは、独立して0または1であり;
ここで、X1、X2、X3、X4、P1、X10、X19、X20、P2、およびP3の少なくとも1つは野生型哺乳動物GLP-2残基ではなく;そして、
該GLP-2類似体は、非経口栄養、短腸症候群、または腸管不全の1つまたはそれ以上を有する個体に有効量で投与すると、以下の特性:肝機能障害の予防、腎機能障害の予防、肝機能障害の治療、または腎機能障害の治療の少なくとも1つを示す。
GLP-2ペプチド類似体は、完全長GLP-2、すなわちGLP-2(1-33)の類似体であってもよく、その場合、P3は配列Ile-Thr-Asnとなる。あるいはまた、GLP-2類似体はC-末端がトランケートされて、GLP-2(1-32)型(この場合、P3はIle-Thr)、またはGLP-2(1-31)型(この場合、P3はIle)、またはGLP-2(1-30)型(この場合、P3は共有結合)となってもよい。
更に、ある態様では、GLP-2類似体は、哺乳動物GLP-2ペプチドのN-末端またはC-末端修飾型である「バックボーン」に所望のアミノ酸置換が導入されていてもよい。それらの類似体はSEQ ID NO:2で表され、式中、R1はN-末端保護基であり、そして/または、mが1である場合はY1が1つもしくは2つの塩基性アミノ酸(例えばArgまたはLys)であり;そして/または、R2はC-末端保護基であり;そして/または、nが1である場合はY2が独立して1つもしくは2つの塩基性アミノ酸(例えばArgまたはLys)である。
R1およびR2で示す「保護基」は、生化学的安定性およびエクソペプチダーゼによる消化に対する耐性を付与するために当業界で慣例的に用いられる化学基である。好適なN-末端保護基には、例えばC1-5アルカノイル基(例えばアセチル)がある。また、アミノ基を有さないアミノ酸類似体も、N-末端保護基として好適である。好適なC-末端保護基には、C-末端カルボキシルの炭素原子でケトンもしくはアミドを形成する基、またはカルボキシルの酸素原子でエステルを形成する基がある。ケトン形成基およびエステル形成基には、アルキル基、特に、分枝または非分枝のC1-5アルキル基(例えばメチル、エチル、およびプロピル基)があり、アミド形成基には、アミノ基(例えば1級アミン)、またはアルキルアミノ基(例えばモノ-C1-5-アルキルアミノ基およびジ-C1-5-アルキルアミノ基(メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノなど))がある。アミノ酸類似体は、本発明の化合物(例えば、脱カルボキシル化されたアミノ酸類似体、例えばアグマチン)のC-末端の保護にも好適である。
あるいは、GLP-2類似体は、本明細書に記載する指針に従い、標準的なペプチド化学技術を用いて生成してもよい。本発明での使用に特に好ましい類似体は、ヒトGLP-2(SEQ ID NO:4)の配列に基づくものであり(ここで、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基で保存的に置換されている)、該GLP-2類似体は、非経口栄養、短腸症候群、または腸管不全の1つまたはそれ以上を有する個体に有効量で投与すると、以下の特性:肝機能障害の予防、腎機能障害の予防、肝機能障害の治療、または腎機能障害の治療の少なくとも1つを示す。
野生型GLP-2(好ましくはヒトGLP-2配列)における保存的置換は、以下の5つの群中の任意のメンバーを、同じ群の別のメンバーで置換するものと定義する:
I. Ala、Ser、Thr、Pro、Gly
II. Asn、Asp、Glu、Gln
III. His、Arg、Lys
IV. Met、Leu、Ile、Val、Cys
V. Phe、Tyr、Trp
ある態様では、GLP-2類似体は、ある哺乳動物GLP-2中のアミノ酸残基を、別の哺乳動物GLP-2ペプチド中の対応するアミノ酸に変更することによって作製してもよい。特定の位置に存在する野生型哺乳動物GLP-2残基の判定は、異なる哺乳動物種から単離されたGLP-2の配列をアラインし、ヒト配列(便宜上、以下、SEQ ID NO:3と記載する)と比較することによって行ってもよい:
His-Ala-Asp-Gly-Ser-Phe-Ser-Asp-Glu-Met-Asn-Thr-Ile-Leu-Asp-Asn-Leu-Ala-Ala-Arg-Asp-Phe-Ile-Asn-Trp-Leu-Ile-Gln-Thr-Lys-Ile-Thr-Asp
この適用の目的では、野生型哺乳動物GLP-2において、特定の位置で多様性を示すアミノ酸は、以下である(SEQ ID NO:2の表記に従って):X13位(IleまたはVal);X16(AsnまたはSer);X19位(アラニンまたはスレオニン);X20位(ArgまたはLys);X27位(IleまたはLeu);X28位(GlnまたはHis)。
また、GLP-2類似体には、任意の脊椎動物GLP-2配列において非保存的アミノ酸置換を有するペプチドも含まれる(ただし、非保存的置換は、異なる種から単離されたGLP-2において多様性があることが知られているアミノ酸位置に存在する)。それらの非保存的残基の位置は、全ての既知の脊椎動物GLP-2配列をアラインすることによって、容易に確定できる。例えば、Buhlら(J. Biol. Chem., 1988, 263(18):8621)は、ヒト、ブタ、ラット、ハムスター、モルモット、およびウシGLP-2の配列を比較し、SEQ ID NO.:3の13、16、19、27、および28位が非保存的であることを発見した(位置番号は、ヒトGLP-2配列中の類似位置を示す)。NishiおよびSteiner(Mol. Endocrinol., 1990, 4:1192-8)は、これ以外に、SEQ ID NO:3の残基20に相当する位置が、デグー(南米原産のげっ歯類)において多様性を有することを発見した。従って、この基準に基づけば、哺乳動物において多様性を示し、好ましくは非保存的残基で置換されてもよいアミノ酸位置は、SEQ ID NO:3の13、16、19、20、27、および28位である。これ以外の、脊椎動物において多様性を有し、非保存的残基で置換されてもよいアミノ酸残基は、SEQ ID NO:3の2、5、7、8、9、10、12、17、21、22、23、24、26、29、30、31、32、および33位である。
あるいはまた、アラニンスキャニングによって、任意の位置に非保存的置換を導入してもよい(ただし、生ずるペプチドを、非経口栄養、短腸症候群、または腸管不全の1つまたはそれ以上を有する個体に有効量で投与すると、該GLP-2類似体は以下の特性:肝機能障害の予防、腎機能障害の予防、肝機能障害の治療、または腎機能障害の治療の少なくとも1つを示す)。アラニンスキャニング変異誘発法は、CunninghamおよびWells, Science, 1989, 244:1081に報告されており、同文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ほとんどのGLP-2配列はわずか約33アミノ酸から成るため(そして、ヒトGLP-2では、既に4つの位置がアラニンであるため)、当業者は、残りの各位置でのアラニン類似体を、以下の実施例1に記載するように、肝機能障害の予防、腎機能障害の予防、肝機能障害の治療、または腎機能障害の治療の1つまたはそれ以上について容易に試験することができる。
ある特定のGLP-2類似体、テデュグルチドは、以下のペプチド配列を有するジペプチジルペプチダーゼIV耐性GLP-2類似体であるため、特に有用である:
His-Gly-Asp-Gly-Ser-Phe-Ser-Asp-Glu-Met-Asn-Thr-Ile-Leu-Asp-Asn-Leu-Ala-Ala-Arg-Asp-Phe-Ile-Asn-Trp-Leu-Ile-Gln-Thr-Lys-Ile-Thr-Asp(SEQ ID NO:4)。
GLP-2類似体は当該分野で公知であり、更に、米国特許第5,789,379号、米国特許第5,834,428号、米国特許第6,184,201号、米国特許出願番号20030162703号、米国特許出願番20060105954号(全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
「診断バイオマーカー」という用語は、本明細書において、任意の測定可能な生物の状態を指し、ここで、該状態の測定は、1つもしくはそれ以上の疾患の進行もしくは退行の診断もしくは判定、または、特定の身体組織または器官の機能レベルの測定に有用である。診断バイオマーカーは、当該分野で公知かつ一般的に使用されており、当業者は、特定の疾患の経過を診断または追跡ための、または特定の身体組織の機能レベルを測定するための診断バイオマーカーを容易に選択できる。診断バイオマーカーのいくつかの例を、例証のみの目的で以下に記載する。
アルブミンは、肝機能または肝機能障害のアッセイに使用できる診断バイオマーカーである。アルブミンは肝臓で合成されるので、肝機能障害を有する個体においては、アルブミンレベルが低下しうる。
ビリルビンは、肝機能の評価にしばしば使用される診断バイオマーカーである。ビリルビンは肝臓を通して身体から排除されるので、個体におけるビリルビンレベルの上昇は、肝機能の低下と関係する。ビリルビンレベルは、多くの場合、当該分野で公知かつ一般的に使用される方法を用いて、尿検査または血液検査によって測定される。
γグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)も、肝機能の評価に使用される診断バイオマーカーである。これらの酵素は肝細胞中で高度に濃縮され、肝細胞が損傷を受けると、血液中にこれらの酵素が放出される。既知の方法を用いる個体の血液検査による測定で、これらの酵素のレベルが上昇していれば、これは肝臓の損傷および肝機能の低下を示している。
腎機能の評価に有用な診断バイオマーカーの例には、尿素窒素、クレアチニン、および糸球体ろ過率がある。尿素窒素およびクレアチニンは、共に、その大部分が腎臓を通して体から排出される。従って、既知の方法を用いるアッセイで高レベルの尿素窒素およびクレアチニン診断バイオマーカーが個体の血清中に検出されれば、これは腎機能の低下に関係する。
糸球体ろ過率(GFR)は、個体の腎臓のろ過容量の測定値である。高GFRは、腎機能の亢進と関係する。この診断バイオマーカーは、腎臓のろ過容量を測定する任意の方法によって算出してもよい。例えば、イヌリン(多糖類)を既知の濃度で個体の血漿中に注入し、腎臓によって個体の尿中へろ過されるイヌリンをモニターする場合もある。あるいはまた、GFRは、多くの場合、当該分野で公知の式(個体の年齢、体重、および血清クレアチニンレベルを含む)によって概算される。
多くの診断バイオマーカーは、1つより多い疾患または身体組織もしくは器官の機能に関係しているので、医療専門家は、多くの場合、複数の診断バイオマーカーを含む検査パネルをオーダーし、特定の疾患または特定の身体組織の機能レベルのより明確な評価を行う。例えば、肝機能が問題となる際、多くの場合に、肝機能パネルがオーダーされ、肝機能の評価に有用な2つまたはそれ以上の診断バイオマーカーがオーダーされる。
方法
本明細書に記載する方法は、非経口栄養、腸管不全、または短腸症候群の1つまたはそれ以上を有する個体において、肝疾患または腎疾患を治療または予防する方法である。それらの方法では、GLP-2またはGLP-2ペプチド類似体を個体に投与する。研究者は、特定のGLP-2ペプチドまたはGLP-2類似体が、腎疾患または肝疾患を発症する恐れのある個体(例えば非経口栄養、腸管不全、または短腸症候群の1つまたはそれ以上を有する個体)に該ペプチドまたは類似体を投与することによって、腎疾患または肝疾患に対して予防効果を有するか否かを判定してもよい。研究者は、その後、診断バイオマーカーを用いて、そのように治療を行った個体が肝臓障害または腎臓障害を発症する可能性が低いか否かを判定する。
同様に、研究者は、特定のGLP-2ペプチドまたは類似体を、腎疾患または肝疾患に罹患した個体に投与することによって、腎疾患または肝疾患を治療するのに使用できるか否かを判定できる。研究者はその後、診断バイオマーカーを用いて、そのように治療された該個体が肝機能または腎機能の改善を示すか否かを判定する。
ある分子が所望の効果を有するか否かを評価するために用いられる特定の治療計画は、当該分野で公知である。特定のGLP-2ペプチドまたは類似体を腎疾患または肝疾患の治療または予防に使用してもよいか否かを決定するという課題に直面している研究者は、この決定を行うために好適な治療計画を選択する。
ペプチドを個体に投与するために有用な送達法および製剤は当該分野で公知であり、当業者は、特定の状況における個体への、特定のペプチド送達法の適合性を判定することができる。単に例証を目的として、個体にペプチドを投与するための方法および製剤の例を以下に示す。
ペプチドは、個体に経口投与してもよいが、一般に、ペプチドの生物学的利用能は消化器官の作用によって大幅に低減する。ペプチドの経口での生物学的利用能を向上するために、酵素阻害剤を含有する製剤としてペプチドを投与するか、または、ペプチドをミセル、ナノ粒子、もしくはエマルジョンの一部として投与し、消化作用からペプチドを保護してもよい。
また、ペプチドを注射によって投与してもよい。ペプチドは、皮下注射、筋肉内注射、または静脈内注射してもよい。注射によってペプチドを投与する方法に関する更なる開示は、米国特許第5,952,301号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
更に、ペプチドを、肺送達によって投与してもよい。乾燥粉末吸入システムを用いてもよく、その場合、ペプチドは肺組織を介して吸収されるため、注射の必要がなく、また、経口投与の場合のような生物学的利用能低下の可能性も回避される(Onoueら, Expert Op. on Therapeutic Patents18:429, 2008(参照により本明細書に組み込まれる))。
ヒトの典型的なGLP-2ペプチドの用量は、約10μg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日、好ましくは約50μg/kg体重/日から約5mg/kg体重/日、そして最も好ましくは約100μg/kg体重/日から約1mg/kg体重/日である。GLP-2類似体はGLP-2より約10倍から約100倍にも上る有効性を示しうるため、それらのGLP-2類似体の典型的な用量はより低く、例えば約100ng/kg体重/日から約1mg/kg体重/日、好ましくは約1μg/kg体重/日から約500μg/kg体重/日、そしてより好ましくは約1μg/kg体重/日から約100μg/kg体重/日であってもよい。
本発明のある観点では、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝臓障害の治療法に使用してもよい。肝臓障害の治療法のある態様では、1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝機能障害を有する個体に、肝機能を改善させるのに十分な量で投与する。ここで、該個体は、腸管不全、短腸症候群、または非経口栄養の1つまたはそれ以上を有する。
本発明の肝機能障害の治療法のいくつかの態様では、GLP-2ペプチド類似体はテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、テデュグルチドを、約0.001mg/kg/日から約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日から約1mg/kg/日、約0.05mg/kg/日から約0.2mg/kg/日、約0.001mg/kg/日から約0.01mg/kg/日、約0.01mg/kg/日から約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日から約1mg/kg/日、または約1mg/kg/日から約10mg/kg/日の用量で投与する。
ある態様では、肝機能の改善は、肝臓障害を有する個体への1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の投与開始後、1週間未満、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、または12週間以上のタイムフレームで観察される。
肝臓障害の治療法の別の態様では、肝機能の向上は、少なくとも1つの診断バイオマーカーの使用によって判定される。そのような方法のいくつかでは、使用する診断バイオマーカーは、ビリルビン、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびアルカリホスファターゼからなる群から選択される。別の態様では、検査するバイオマーカーの少なくとも1つが、GLP-2またはGLP-2類似体での治療後少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、500%、または1000%低下する。
本発明の別の観点では、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝臓障害の予防法に使用してもよい。肝臓障害の予防法のある態様では、1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝臓障害の予防に十分な量で個体に投与し、ここで、該個体は、腸管不全、短腸症候群、または非経口栄養の1つまたはそれ以上を有する。
肝臓障害の予防法の別の態様では、GLP-2ペプチド類似体はテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、テデュグルチドを、約0.001mg/kg/日から約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日から約1mg/kg/日、約0.05mg/kg/日から約0.2mg/kg/日、約0.001mg/kg/日から約0.01mg/kg/日、約0.01mg/kg/日から約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日から約1mg/kg/日、または約1mg/kg/日から約10mg/kg/日の範囲の用量で投与する。
別の態様では、肝機能障害の予防は、個体への1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の投与開始後、1週間未満、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、または12週間以上のタイムフレームで生ずる。
肝臓障害の予防法の別の態様では、診断バイオマーカーを用いて肝機能をモニタリングする。別の態様では、使用する診断バイオマーカーは、ビリルビン、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、およびアルカリホスファターゼからなる群から選択される。別の態様では、検査するバイオマーカーの少なくとも1つが、GLP-2またはGLP-2類似体での治療後、上昇したとしても0.1%未満、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である。
本発明の別の観点では、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、腎機能障害の治療法に使用してもよい。腎臓障害の治療法のある態様では、1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、腎機能障害を有する個体に、腎機能の改善を起こすのに十分な量で投与する。ここで、該個体は、腸管不全、短腸症候群、または非経口栄養の1つまたはそれ以上を有する。
腎臓障害の治療法の別の態様では、GLP-2ペプチド類似体はテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、テデュグルチドを、約0.001mg/kg/日から約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日から約1mg/kg/日、約0.05mg/kg/日から約0.2mg/kg/日、約0.001mg/kg/日から約0.01mg/kg/日、約0.01mg/kg/日から約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日から約1mg/kg/日、または約1mg/kg/日から約10mg/kg/日の範囲の用量で投与する。
別の態様では、腎機能の改善は、腎臓障害を有する個体への1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の投与開始後、1週間未満、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、または12週間以上のタイムフレームで観察される。
腎臓障害の治療法の別の態様では、腎機能の向上は、診断バイオマーカーの使用によって判定される。別の態様では、使用する診断バイオマーカーは、尿素窒素、クレアチニン、および糸球体ろ過率からなる群から選択される。別の態様では、尿素窒素またはクレアチニンを選択する場合、その個々のレベルの1つまたはそれ以上が、GLP-2またはGLP-2類似体での治療後、少なくとも5%、約5%、10%、20%、50%、100%、200%、500%、1000%、または1000%の低下を示し、糸球体ろ過率を選択する場合、そのレベルが、GLP-2またはGLP-2類似体での治療後、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、500%、または1000%の上昇を示す。
本発明の別の観点では、GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、腎臓障害の予防法に使用してもよい。腎臓障害の予防法のある態様では、1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、腎臓障害の予防に十分な量で個体に投与し、ここで、該個体は、腸管不全、短腸症候群、または非経口栄養の1つまたはそれ以上を有する。
腎臓障害の予防法の別の態様では、GLP-2ペプチド類似体はテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である。別の態様では、テデュグルチドを、約0.001mg/kg/日から約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日から約1mg/kg/日、約0.05mg/kg/日から約0.2mg/kg/日、約0.001mg/kg/日から約0.01mg/kg/日、約0.01mg/kg/日から約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日から約1mg/kg/日、または約1mg/kg/日から約10mg/kg/日の範囲の用量で投与する。
別の態様では、腎臓障害の予防は、個体への1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の投与開始後、1週間未満、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、または12週間以上のタイムフレームで生ずる。
腎臓障害の予防法の別の態様では、診断バイオマーカーを用いて腎機能をモニタリングする。別の態様では、使用する診断バイオマーカーは、尿素窒素、クレアチニン、および糸球体ろ過率からなる群から選択される。別の態様では、尿素窒素またはクレアチニンを選択する場合、その個々のレベルの1つまたはそれ以上が、GLP-2またはGLP-2類似体での治療後、上昇したとしても0.1%未満、0.5%、1%、2%、3%、4%、または5%であり、糸球体ろ過率を選択する場合、そのレベルが、GLP-2またはGLP-2類似体での治療後、低下したとしても0.1%未満、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である。
以下に記載する具体的な実施例は、単に例証を目的とするものであり、本開示を制限するものと見なすべきではない。
実施例1
短腸症候群を有するヒト患者を以下の3群に分けた:コントロール群(計16検体。プラセボ投与)、被験群(計35検体。試験期間中にわたって0.05mg/kg/日のテデュグルチドを投与)、および、被験群(計32検体。試験期間中にわたって0.1mg/kg/日のテデュグルチドを投与)。患者に、プラセボまたは適切な用量のテデュグルチドを皮下注射した。短腸症候群を有する個体は、関連する肝疾患および腎疾患を有する可能性があるため、既知の肝機能および腎機能のバイオマーカーを、4週間毎に、24週間にわたってモニタリングした。検査した肝臓バイオマーカーは、総ビリルビン、ALT、AST、およびALPであった。検査した腎臓バイオマーカーは、尿素窒素、クレアチニン、およびGFRであった。プラセボまたはテデュグルチドの投与前に、診断バイオマーカーのレベルを試験して各個体のベースラインを構築した。
GLP-2の診断バイオマーカー・レベルに対する影響を可視化するために、プラセボ群およびテデュグルチド処理群でベースラインを構築した後、各受診時のベースラインからの変化の平均値を算出した。各群のベースラインからの変化の平均値を図1-7に示す。各診断バイオマーカーの各時点での数値を表1に示す。
Figure 2013526535
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肝臓バイオマーカーに関しては、図1に示すように、テデュグルチド投与群では、平均して、ALTレベルは約10 U/L低下したが、プラセボ投与群では、平均して、ALTレベルはベースラインよりわずかに上昇した。このテデュグルチド投与群で見られるALTの低下は、試験の全期間にわたって持続した。同様の低下がASTおよび総ビリルビンでも観察された(それぞれ、図2および3)。テデュグルチド投与群では、ALPの平均レベルも、試験の全期間にわたってベースラインより低下したが、観察の最後の2週間では、コントロール群の平均レベルも、ベースラインより低下した(図4)。肝機能障害以外にもいくつかの症状がALPに影響しうるため(Corathers, Pediatrics in Review 27:382, 2006参照)、このプラセボ群における低下の理由は明らかではない。しかしながら、これらを考え合わせると、この診断バイオマーカーのパネルは、テデュグルチドが短腸症候群を有する個体における肝機能障害の軽減の助けとなるという結論を支持する。
データを以下の2つの群に分類して、肝機能障害の治療におけるテデュグルチドの有効性を更に検討した:肝臓診断バイオマーカーのベースライン値が異常であった個体;および、肝臓診断バイオマーカーのベースライン値が正常であった個体。これらの2群における、診断バイオマーカーのベースライン値からの変化の平均値を、ALT(図5および6)およびAST(図7および8)について示す。テデュグルチドでの処理後、ALTおよびASTバイオマーカーのいずれでも、統計学的に有意な向上が、ベースライン値が異常であった患者において観察された。これらの変化は、この群のベースラインレベルと比較した場合、および、プラセボと比較した場合に、顕著であった(図5および7)。
腎臓バイオマーカーに関して、クレアチニンのベースラインに対する変化の平均値を図9に示す。平均して、プラセボ投与群におけるクレアチニンレベルはベースラインに比較して上昇しており、テデュグルチド投与群のクレアチニンレベルは、安定のままであるか、またはわずかに低下した。同様の結果が、短腸症候群患者の尿素窒素レベルおよびGFRレベルで観察された(図10および11)。
これらの結果を更に確認するために、各患者における各バイオマーカーの変化を、該バイオマーカーが試験期間中の各時点でベースラインから5%を超える上昇、5%を超える低下、または±5%以内の変化を示したか否かに基づいて分類した。この分類の生データを、以下の表2に示す。
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例証のために、表2からの、試験期間にわたるALPおよびALT(肝疾患バイオマーカー)のデータをまとめたものを図15および16に示す。図15に示すように、治療開始後4週間以内に、テデュグルチド投与群のおよそ60%の個体がベースラインから5%を超えるALPの低下を示したが、同様の低下を示したプラセボ群の個体のパーセンテージは、それよりかなり低かった。ALTに関する同様のデータ・セットは、一般に、テデュグルチド投与群では、プラセボ投与群より多くの割合の個体で、治療開始の4週間後から、肝疾患に関係する肝臓バイオマーカーが5%を超える低下を示すことが確認された。
疾患に関係するバイオマーカーが上昇した個体のパーセンテージを群間で比較することにより、GLP-2がSBS、PN、および腸管不全に関係する肝疾患および腎疾患の予防および治療に有効であるか否かを判定することができる。
図17に、ALPが5%を超える上昇を示したプラセボ投与群中の個体のパーセンテージと、同様の上昇を示したテデュグルチド投与群中の個体のパーセンテージの比較を示す。図18に、ALTに関する同様のデータを示す。これらのグラフは、一般に、肝疾患に関係するバイオマーカーの上昇を示したプラセボ群中の個体のパーセンテージが、同様の上昇を示したテデュグルチド投与群中の個体のパーセンテージより高いことを示している。これらの結果は、テデュグルチドが、SBSを有する個体に投与すると、肝臓障害に関係するバイオマーカーの上昇の予防に有効であることを支持している。
同様の予防効果が、腎臓でも観察された(図19)。図19に、GFR(腎臓機能の低下と関係がある)の低下を示したプラセボ群中の個体のパーセンテージと、同様の低下を示したテデュグルチド投与群中の個体のパーセンテージの比較を示す。いずれのテデュグルチド投与群でも、5%を超えるGFRの低下を示したパーセンテージは、同様の低下を示したプラセボ投与群のパーセンテージより常に低かった。
実施例2
実施例1の結果を更に確認するために、更なる個体および更なる診断バイオマーカーを用いて、更なる試験を行った。短腸症候群を有するヒト患者を以下の2群に分けた:コントロール群(計43検体。プラセボ投与)、および、被験群(計42検体。試験期間中にわたって0.05mg/kg/日のテデュグルチドを投与)。患者に、プラセボまたは適切な用量のテデュグルチドを皮下注射した。既知の肝機能バイオマーカーを、4週間毎に、24週間にわたってモニタリングした。検査した肝臓バイオマーカーは、アルブミン、γグルタミルトランスフェラーゼ、総ビリルビン、ALT、AST、およびALPであった。プラセボまたはテデュグルチドの投与前に、診断バイオマーカーのレベルを試験して各個体のベースラインを構築した。
GLP-2の診断バイオマーカー・レベルに対する影響を判定するために、プラセボ群およびテデュグルチド処理群で、各受診時の各バイオマーカーの平均レベルを測定した。更に、構築したベースライン値を用いて、ベースラインからの変化の平均値を算出した。各群の各バイオマーカーについての、平均レベルおよびベースラインからの変化の平均値を表3に示す。観察された変化の例を図17-28に示す。図17-28では、t-検定を用いてp値を算出した。
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表3、図17-20、および図23-28に示すように、一般に、テデュグルチド投与群では、肝機能障害を有する個体で上昇している被験診断バイオマーカーが、プラセボ投与群より、平均して低レベルであった。更に、図21および22に示すように、治療の進行に伴い、アルブミンの測定値は、プラセボ投与群に比較してテデュグルチド投与群で上昇した。これら全てのデータは、テデュグルチド投与群における肝機能の向上と一致している。
これらの結果を更に確認するために、各患者における各バイオマーカーの変化を、該バイオマーカーが試験期間にわたる各時点でベースラインから10%を超える上昇、10%を超える低下、または±10%以内の変化を示したか否かに基づいて分類した。この分類の生データを、以下の表4に示す。カイ二乗検定を用いて週毎にバイオマーカーの各分布について算出したp値を示す。
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これらのデータは、実施例1からの結果を裏付けている。すなわち、一般に、テデュグルチドを投与した個体では、肝機能障害を有する個体で上昇している肝臓バイオマーカーが>10%の低下を示す割合が、プラセボのみを投与した個体に比較して高かった。逆に、テデュグルチドを投与した個体は、肝機能障害を有する個体で上昇しているバイオマーカーが>10%の上昇を示す割合が、プラセボのみを投与した個体に比較して低かった。これらの結果は、テデュグルチドが肝臓障害の治療および予防の両方に有用であることを支持している。
当業者に明白なように、本発明の基本原理から逸脱することなく、上記の態様の詳細に多くの改変を行うことができる。従って、本発明の範囲は別添の特許請求の範囲によってのみ決定される。

Claims (32)

  1. 腸管不全を有する個体、短腸症候群を有する個体、または非経口栄養を受けている個体において肝機能障害を治療する方法であって、肝機能障害を有する個体に、1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝機能を改善させるのに有効な量で投与する段階を含む、上記方法。
  2. 該GLP-2ペプチド類似体がテデュグルチド(teduglutide)(SEQ ID NO:4)である、請求項1記載の方法。
  3. 該GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を約0.001mg/kg/日から約10mg/kg/日の用量で投与する、請求項1記載の方法。
  4. テデュグルチドを約0.05mg/kg/日から約0.1mg/kg/日の用量で投与する、請求項2記載の方法。
  5. 該肝機能の改善がGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の個体への投与開始後約4週間以内に観察される、請求項1記載の方法。
  6. 該肝機能の改善を1つまたはそれ以上の診断バイオマーカーを用いてモニタリングする、請求項1記載の方法。
  7. 該診断バイオマーカーが、ビリルビン、γグルタミルトランスフェラーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、およびアルブミンからなる群から選択される、請求項6記載の方法。
  8. ビリルビン、γグルタミルトランスフェラーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、もしくはアルカリホスファターゼが選択される場合、その個々のレベルが少なくとも約5%の低下を示すか、または、アルブミンのレベルが選択される場合、そのレベルが少なくとも約5%の上昇を示す、請求項7記載の方法。
  9. 腸管不全を有する個体、短腸症候群を有する個体、または非経口栄養を受けている個体において肝機能障害を予防する方法であって、個体に1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、肝機能障害を予防するのに有効な量で投与する段階を含む、上記方法。
  10. 該GLP-2ペプチド類似体がテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である、請求項9記載の方法。
  11. 該GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を約0.001mg/kg/日から約10mg/kg/日の用量で投与する、請求項9記載の方法。
  12. テデュグルチドを約0.05mg/kg/日から約0.1mg/kg/日の用量で投与する、請求項10記載の方法。
  13. 該肝機能障害の予防がGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の個体への投与開始後約4週間以内に観察される、請求項9記載の方法。
  14. 該肝機能障害の予防を1つまたはそれ以上の診断バイオマーカーを用いてモニタリングする、請求項9記載の方法。
  15. 該、診断バイオマーカーが、ビリルビン、γグルタミルトランスフェラーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、およびアルブミンからなる群から選択される、請求項14記載の方法。
  16. ビリルビン、γグルタミルトランスフェラーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、もしくはアルカリホスファターゼが選択される場合、その個々のレベルが、上昇したとしても約10%未満であるか、または、アルブミンが選択される場合、そのレベルが、低下したとしても約10%未満である、請求項15記載の方法。
  17. 腸管不全を有する個体、短腸症候群を有する個体、または非経口栄養を受けている個体において腎機能障害を治療する方法であって、腎機能障害を有する個体に、1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、腎機能を改善させるのに有効な量で投与する段階を含む、上記方法。
  18. 該GLP-2ペプチド類似体がテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である、請求項17記載の方法。
  19. 該GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を約0.001mg/kg/日から約10mg/kg/日の用量で投与する、請求項17記載の方法。
  20. テデュグルチドを約0.05mg/kg/日から約0.1mg/kg/日の用量で投与する、請求項18記載の方法。
  21. 該腎機能障害の改善がGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の個体への投与開始後約4週間以内に観察される、請求項17記載の方法。
  22. 該腎機能の改善を1つまたはそれ以上の診断バイオマーカーを用いてモニタリングする、請求項17記載の方法。
  23. 該診断バイオマーカーが、尿素窒素、クレアチニン、および糸球体ろ過率からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
  24. 尿素窒素もしくはクレアチニンレベルが選択される場合、その個々のレベルが少なくとも約5%の低下を示すか、または、糸球体ろ過率のレベルが選択される場合、そのレベルが少なくとも約5%の上昇を示す、請求項23記載の方法。
  25. 腸管不全を有する個体、短腸症候群を有する個体、または非経口栄養を受けている個体において腎機能障害を予防する方法であって、個体に1つまたはそれ以上のGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を、腎機能障害を予防するのに有効な量で投与することを含む、上記方法。
  26. 該GLP-2ペプチド類似体がテデュグルチド(SEQ ID NO:4)である、請求項25記載の方法。
  27. 該GLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体を約0.001mg/kg/日から約10mg/kg/日の用量で投与する、請求項25記載の方法。
  28. テデュグルチドを約0.05mg/kg/日から約0.1mg/kg/日の用量で投与する、請求項26記載の方法。
  29. 該腎機能障害の予防がGLP-2ペプチドまたはGLP-2ペプチド類似体の個体への投与開始後約4週間以内に観察される、請求項25記載の方法。
  30. 該腎機能障害の予防を1つまたはそれ以上の診断バイオマーカーを用いてモニタリングする、請求項25記載の方法。
  31. 該診断バイオマーカーが、尿素窒素、クレアチニン、および糸球体ろ過率から成る群から選択される、請求項30記載の方法。
  32. 尿素窒素もしくはクレアチニンが選択される場合、その個々のレベルが、上昇したとしても約5%未満であるか、または、糸球体ろ過率が選択される場合、そのレベルが、低下したとしても約5%未満である、請求項31記載の方法。
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