JP2013523171A - 微生物を非特異的に蓄積するための方法 - Google Patents

微生物を非特異的に蓄積するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、複合出発材料から微生物を非特異的に蓄積するための方法であって、微生物を含有する複合出発材料を先天性免疫系細胞に接触させ、上記微生物を上記先天性免疫系細胞に結合させ、結合複合体を上記複合出発材料から取り出す、上記方法に関する。

Description

本発明は、複合出発材料から微生物を非特異的に蓄積するための方法であって、微生物を含有する出発材料を、先天性免疫系細胞と接触させ、微生物を先天性免疫系細胞に結合させ、結合複合体を複合出発材料から取り出す、当該方法に関する。
微生物は、一般的には、例えば食品又は土壌試料等の複合出発材料には非常に低濃度で存在している。上記出発材料から検出するのに十分な数の微生物が得られるようにするためには、比較的多量の出発材料を処理する必要がある。殆どの方法では、微生物を含有する出発材料を大量に処理することは不可能であるので、当該出発材料から予め微生物を蓄積することが必要である。この蓄積は、食品又は土壌試料等の出発材料が、一般的に様々な物理的及び化学的性質を有する異なるクラスの物質に由来する多くの様々な有機分子が存在する非常に複雑な混合物であるという事実によって煩雑になる。
このような理由から、出発材料の更なる成分を共に蓄積すること無く、上記出発材料から微生物を蓄積することは困難であり、そのような更なる成分は、微生物の後続処理に干渉するか、或いは阻害し得る。
複合出発材料から微生物を蓄積させることを可能にする様々な方法が、先行技術において知られている。
化学的方法としては、例えば、イオン交換マトリックスへの微生物の吸着が含まれる。殆どの微生物は、pHが5を超える時に負の表面電荷を有することから、多くの微生物が、陰イオン交換マトリックスに結合し得る。しかしながら、その一方で、複合出発材料中に存在する多くの物質もまた負の表面電荷を有しているので、それら物質も陰イオン交換マトリクスに結合し、微生物に対するマトリックスの結合容量が大幅に制限され、極端な場合、全ての結合部位が既に出発材料の他の成分によって飽和していることから、マトリックスに微生物が全く結合出来ない結果となる。
更なる化学的方法としては、レクチンへの微生物の結合がある。レクチンは、細菌の表面成分を選択的に認識し、かつ該成分に結合する炭水化物結合タンパク質である。この方法の欠点としては、レクチンが優先的にグラム陽性細菌に結合することである。グラム陰性細菌も結合するが、その結合はより低い親和性の結合であり、例えば真菌類又はウイルス等のその他微生物はレクチンに結合し得ない。その結果、レクチンへの微生物の結合は、細菌、より具体的にはグラム陽性細菌に限定される。
更なる化学的方法として、水性二相系による微生物の分離がある。この方法では、互いに混和せず、かつ分子量において互いに異なる2つの液相間で、微生物が、出発材料のその他の成分から分離される。この方法の欠点としては、出発材料の非常に多くの成分が、微生物と同じ相に蓄積する点であり、つまり、微生物を出発材料の全ての成分から取り出すことが出来ない点である。加えて、それぞれ単一の相への分離がしばしば不完全となり、第二相における幾らかの微生物の損失に繋がる。
微生物の蓄積のために記載されている物理的方法としては、例えば、遠心分離が含まれる。もし、遠心分離が比較的低い遠心力(g)で実施される場合、微生物が上清に残るのに対し、材料の大分の成分は沈降することになる。しかしながら、出発材料の重い成分に会合する微生物もまた沈降するため、それらが従って失われる。一方で、低い遠心力で遠心分離することによっては、微生物よりも軽い出発材料の成分は、微生物から取り除くことが出来ず、当該方法によっては、微生物の粗雑な蓄積しか達成することが出来ない。
微生物を蓄積するための更なる物理的方法として、適当なフィルターを介した濾過がある。濾過は、出発材料の比較的大きな成分がフィルターを詰まらせ、分離を極端に速く終わらせてしまうことから、相対的に不適当な方法であることが見出されている。加えて、微生物の検出を困難にし得る出発材料の多くの成分もまた、微生物と共に濃縮されてしまう。
微生物を蓄積するための更なる方法として、微生物の免疫親和性を利用するものがある。この方法では、特定種の微生物を特異的に結合し得る抗体が固相上に固定化される。この方法は非常に特異的であり、出発材料のその他成分は抗体に結合しないが、一種の特定種又は一の特定グループの微生物しか抗体に結合することが出来ず、その一方で、試料中に存在するその他微生物は抗体に結合出来ないことから、本方法は包括的な方法では無い。加えて、この方法は、多量の抗体を準備する必要があることから、非常にコストがかかる。
本発明の目的は、先行技術において知られる方法の欠点を克服すること、並びに、複合出発材料から微生物を蓄積するための包括的方法であって、微生物は、複合材料から取り出した後に高濃度で存在する当該方法を提供することにある。
この方法は、複合出発材料から微生物を非特異的に蓄積するための方法であって、以下の方法工程を含む、当該方法によって達成される:
a)微生物を含有する複合出発材料を先天性免疫系細胞と接触させる工程;
b)微生物と先天性免疫系細胞との間で結合複合体を形成する工程;
c)工程b)からの結合複合体を、上記複合出発材料から取り出す工程。
本発明の方法は、極めて多種多様な異なる複合出発材料から微生物を非特異的に蓄積するのに適している。
これに関連して、蓄積とは、微生物が、複合出発材料から結合複合体を取り出した後には、複合出発材料における濃度よりも高い濃度で存在していることを意味するものと解され、これは、例えば、本方法の後に微生物が存在する容積の減少によって達成し得る。
微生物は、高等生物の先天性免疫系によって異物であると認識される、全ての生物を意味すると解される。これらには、例えば、グラム陽性菌細菌及びグラム陰性細菌、並びにそれらの休眠状態のもの(persistent state; Dauerstadien)だけでなく、真菌類及びそれらの休眠状態のもの、ウイルス及び古細菌、並びにこれら生物の構成成分も含まれる。本発明の方法に関しては、それら微生物が先天性免疫系によって異物として認識され得る限り、それら微生物が代謝活性を示しているか、若しくは死んでいるか、又はそれら微生物の成分が関与するか否かは重要ではない。
好ましい実施形態では、蓄積される微生物は、グラム陽性細菌及び/又はグラム陰性細菌である。
微生物が蓄積される適切な複合出発材料は、原則的には、微生物が存在するか、又は存在し得る任意の出発材料である。これらの出発材料としては、例えば、微生物の非存在について試験され得る食品が含まれる。これらには、例えば、フルーツジュース、乳、肉、果物、ソーセージ製品、チーズ、さらに乳製品が含まれる。しかしながら、微生物が検出され得る、その他の複合出発材料も本発明の方法における出発材料として用いることができる。これらには、例えば、土壌試料又は汚泥試料、或いは血液及びその他体液、並びに化粧品も含まれる。
どのように複合出発材料が供給されるかに応じて、出発材料は、本発明による方法の工程a)において先天性免疫系細胞と接触させる前に、前処理を施す必要があるかもしれない。
例えば、微生物が溶液中に残留する条件下で、出発材料を最初に遠心分離することも可能であり、該条件下では出発材料の成分はペレットとなる。この場合、更なる処理が、溶液中に微生物を含む上清を用いて実施される。
しかしながら、微生物をペレットとすることも可能であり、これら条件下では出発材料の成分が溶液中に残る。この場合、微生物が存在するペレットを用いて、更なる処理が実施される。
例えば土壌試料又は肉等、主に固体である複合出発材料の場合には、本発明による方法の工程a)において先天性免疫系細胞と接触させる前に、最初に、出発材料が粉砕され、均質化され、及び/又は液体と混合される必要があるかもしれない。出発材料を粉砕及び/又は均質化するための手段は当業者によく知られている。
出発材料が最初に粉砕され、均質化され、及び/又は液体と混合された場合であっても、出発材料は、それらを先天性免疫系細胞と接触させる前に、例えば遠心分離等のさらに別の前処理を受ける必要があるかもしれない。
どのように複合出発材料が前処理されるかに関する、更なる方法及び手段は、当業者によく知られている。
本発明による方法の工程a)においては、微生物を含有する複合出発材料を先天性免疫系細胞と接触させる。
これに関連して、先天性免疫系細胞は、任意の所望の生物であって、微生物を当該生物に対する異物であるとして認識することが出来る先天性免疫系を有する生物に由来することが出来る。事実上、全ての多細胞生物は、微生物を異物であるとして認識することが可能であり、先天性免疫系を有している。先天性免疫系細胞を有する、これらの生物としては、例えば、ヒト、更なる哺乳動物及び更なる脊椎動物、植物、昆虫、さらに無脊椎動物が含まれる。
好ましい実施形態では、先天性免疫系細胞は哺乳動物に由来する。
特に好ましい実施形態では、先天性免疫系細胞はヒト起源である。
先天性免疫系細胞は個々の細胞として単離した状態で存在しるし、或いはそれらは先天性免疫系細胞で構成された細胞塊又は組織塊を形成し得る。さらに、先天性免疫系細胞を、先天性免疫系の一部では無い更なる細胞が見出され得る細胞塊又は組織塊に配置することも可能である。
一実施形態では、先天性免疫系細胞は、個々の細胞として、細胞塊として、又は組織塊として、生物から採取された初代細胞である。該初代細胞は、本発明による方法に直接導入し得るし、或いはそれらは、本発明による方法において用いる前に、インビトロでさらに培養されていてもよい。
好ましい実施形態では、先天性免疫系の初代細胞は骨髄細胞である。これらには、例えば、単球、マクロファージ、好中球、好酸球及び好塩基性顆粒球、並びにナチュラルキラー細胞が含まれる。それらは、個々の細胞種の混合物として用いることが出来るし、或いは単に1つの細胞種を用いることも出来る。
特に好ましい実施形態においては、骨髄細胞はマクロファージである。
更なる実施形態では、先天性免疫系細胞は、細胞培養で維持されている1以上の適切な細胞株の不死化細胞である。
好ましい実施形態では、不死化細胞は循環系に由来するものであり、例えば、白血病細胞、リンパ腫細胞又は骨髄腫細胞がある。
特に好ましい実施形態においては、不死化細胞は、THP1細胞株、U937細胞株、K562細胞株、又はそれらの混合物の細胞である。
更なる有用な細胞株は、当業者によく知られている。
本発明による方法の工程b)においては、微生物は先天性免疫系細胞に結合し、したがって結合複合体を形成する。本発明の目的のためには、結合は、微生物と先天性免疫系細胞間との間における任意の相互作用を意味すると解される。先天性免疫系細胞は、分子レベルで外因性細胞、細胞成分及び生物を認識することが出来、かつそれらと相互作用することが出来る。この関係では、先天性免疫系細胞は、例えば抗体・抗原相互作用の場合とは異なり、特定の外因性微生物又はその一部を特異的に認識することはない。それどころか、この相互作用は非特異的であるので、先天性免疫系細胞は、分子レベルで、広範囲の異なる微生物又は該微生物の一部を認識し得る。
細胞と微生物間との間における相互作用は、例えば、狭義には、これらの二つのパートナー間における分子相互作用を伴う、細胞と微生物との結合からなり、或いは当該相互作用は、微生物を貧食するか、別の様式で微生物を細胞内部に組込む先天性免疫系細胞からなり得る。
細胞と微生物との間における相互作用の更なる手段は、当業者によく知られている。
一実施形態では、先天性免疫系細胞は代謝活性を示す。これに関連して、当該細胞は、その代謝経路及び/又は生物学的プロセスの一部又は大部分を実行し得る。これらには、例えば、その他の細胞、細胞塊又は組織との相互作用、あるいは外因性のものとして認識される物質及び微生物に対する食作用が含まれる。当該細胞が、分化の度合いにより細胞分裂が可能である限りにおいて細胞分裂の能力も含まれる。
更なる実施形態では、先天性免疫系細胞がもはや代謝活性を示さない。該細胞は、例えば、固定され得、その結果、自己分解から保護され、従ってそれらの細胞構造の大部分が保存される。細胞の固定は、例えば、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒド等のアルデヒドによる細胞成分の架橋によって達成される。固定のための更なる方法としては、例えば、アセトン、又は例えばエタノール又はメタノール等のアルコール等の化学物質によって達成し得るような脱水を利用した固定がある。細胞構造の大部分を保存するための細胞を固定する更なる方法は、当業者によく知られている。
細胞が依然として代謝活性を示しているか否かに関わらず、細胞を固相に固定化し得る。固定化は、共有結合を介して、又は、ファンデルワールス力、官能基を介した結合、受容体・リガンド結合、抗体・抗原結合若しくは静電相互作用等のその他メカニズムを介して達成し得る。固相に細胞を固定化する更なる手段は、当業者によく知られている。
適当な固相としては、原則として、あらゆる可能な形状並びに材料である。固相の例としては、平面状、凸状若しくは凹状の表面、磁性粒子及び非磁性粒子、反応容器の塗装、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、並びにさらに多くのものが挙げられる。固相は、先天性免疫系細胞を直接的又は間接的に該固相に固定化することが可能である限りにおいて、任意の所望の材料から製造することが出来る。本発明による方法に用いることが出来る多くのその他適切な固相が当業者によく知られている。
先天性免疫系細胞が固相に固定化されているか否かに関わらず、特定の実施形態では、当該細胞は細胞内に磁性粒子を含む。磁性粒子は、強磁性粒子、フェリ磁性粒子又は超常磁性粒子であり得る。このような磁性粒子がどのように細胞内部に達することができるかに関しては、多くの異なる方法が当業者によく知られている。選択肢としては、例えば、食作用による取込み、種々のトランスフェクション法を利用した取込み、又はパーティクルガンを用いた細胞のボンバードメントがある。
本発明による方法の工程c)では、工程b)からの結合複合体が複合出発材料から取り出される。
複合出発材料から結合複合体を分離する手段は先行技術において十分に知られている。結合複合体の密度が複合出発材料の密度と異なる場合には、結合複合体は、遠心分離することによって複合出発材料から簡単に取出すことができる。もし、結合複合体の大きさが複合出発材料の大きさと異なる場合には、取り出しの更なる手段として濾過がある。取り出しの更なる手段としては、先天性免疫系細胞の表面上のエピトープに対して作製された抗体を用いることからなる。
先天性免疫系細胞が固相に結合されている場合、複合出発材料の除去が容易になる。何故ならば、固相であって先天性免疫系細胞と微生物との複合体が今やその上に存在する当該固相を、複合出発材料のその他成分から容易に取り出すことが出来るからである。取り出しは、例えば、複合出発材料を含有する結合反応物から固相を単に引抜くことによって達成され得、或いは、例えば結合反応物をデカントすることによって達成され得、この場合、微生物が結合した先天性免疫系細胞の結合複合体が反応容器内に保持される。
固相が磁性であるか、或いは先天性免疫系細胞に磁性粒子が組込まれている場合には、結合複合体の、複合出発材料を含有する結合反応物のその他成分からの分離は、磁気分離によって容易に達成することが出来る。
結合反応物から結合複合体を分離する別の手段は当業者によく知られている。
工程c)において結合複合体が複合出発材料から取り出された後に、必要に応じて、先天性免疫系細胞と微生物との結合複合体を洗浄し得、その結果、依然として存在しているかもしれない複合出発材料の残留物が結合複合体から除去される。
本発明による方法によって微生物が非特異的に蓄積された後には、当業者に周知の方法を用い、特定の様式で該微生物が次いで検出及び/又は定量さえ得る。
例えば、微生物は、それら表面上の特定のタンパク質を利用して検出され得る。該タンパク質の検出は、例えば、免疫蛍光法、ウェスタンブロット法、FACS、フローサイトメトリー、並びに当業者に知られる更なるタンパク質検出法を用いて達成され得る。
或いは、微生物は、それらの核酸を利用して検出し、かつ定量することが出来る。この手段としては、例えば、核酸ハイブリダイゼーション技術があり、例えば、ノーザンブロット、サザンブロット、マイクロアレイ及びドットブロットが含まれる。
それら核酸配列を介した微生物を特異的に検出する更なる手段としては、PCR、及び、例えばエンドポイントPCR又はリアルタイムPCR等のPCRの想定される変形法等の増幅技術、並びに、例えばローリング・サークル増幅法(rolling circle amplification;RCE)及びそれらの想定される変形法等の等温増幅法で構成される。
それらの核酸を介して微生物を検出する更なる手段は当業者によく知られている。
フローサイトメトリーを利用した、THP1細胞に対する異なる数の蛍光標識された種々な微生物の結合の解析。塗潰し領域はゼロの対照を、実線は106個の微生物を、破線は107個の微生物を、点線は108個の微生物を表す。 フローサイトメトリーを利用した、THP1細胞、U937細胞又はK562細胞に対する異なる数の蛍光標識されたバチラス・サブチルス(Bacillus subtilis)の結合の解析。塗潰し領域はゼロの対照を、実線は105個の微生物を、破線は107個の微生物を表す。 フローサイトメトリーを利用した、固定したTHP1細胞に対する異なる数の蛍光標識されたバチラス・サブチルス(Bacillus subtilis)の結合の解析。塗潰し領域はゼロの対照を、実線は105個の微生物を、破線107個の微生物を表す。 フローサイトメトリーを利用した、異なる時間での全乳におけるTHP1細胞に対する異なる数の蛍光標識されたバチラス・サブチルスの結合の解析。塗潰し領域はゼロの対照を、実線は106個の微生物を、破線は108個の微生物を表す。 RT−PCR法によるTHP1結合細菌の検出。X軸は、用いた種々な数の細菌、並びに出発材料から結合複合体を取り出した方法も示す。Y軸はcT値を示す。
以下の実施例は、本発明をさらに説明することを意図するものであり、本発明を例示の実施形態に限定するものでは無い。
以下のオリゴヌクレオチド配列又はプライマー/プローブ配列を用いた。
BacSub-Probe:5'-6-FAM-GGAGGCGATCTATGTCTTGTCCA-BHQ1
BacSub-FWD:5'-ACATCTTACCGCAACTACGACCAT
BacSub-REV:5'-TAGCATAGTCTTTGTCCCACCGTA
実施例1:
THP1細胞への種々な細菌の結合
エシェリキア・コリ(Escherichia coli)(大腸菌、グラム陰性細菌)、並びにバチラス・サブチルス(Bacillus subtilis)及びコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)(両者共にグラム陽性細菌)を1mLのPBSに添加し(各場合において109)、バクテリア・カウンティング・キット(Bacteria Counting Kit)(インビトロジェン、米国、カールズバッド(Carlsbad))からの蛍光色素“SYTO BC”を用い、暗闇において室温で10分間回転させて染色した。その後、細菌を5分間、14000rpmで遠心分離して沈下させ、1mLのPBSで洗浄した。これらの蛍光標識された細菌を106個、107個又は108個それぞれの場合において2×105個のヒト単球細胞株THP1に添加し、37℃で30分間攪拌しながらインキュベートした。5分間1000rpmで遠心分離した後、結合複合体をPBSで洗浄し、再遠心分離した後、フローサイトメーターで解析した。
図1に示すように、上記3つの異なる微生物が、用いられた各異なる微生物量で同程度にTHP1細胞に結合したが、この事は、先天性免疫系細胞と微生物との間の相互作用が、包括的な相互作用であり、一種又は一グループの微生物に特異的に限定されるものでは無いことを説明している。
実施例2:
各種細胞株へのバチラス・サブチルスの結合
実施された手順は、実施例1に記載される通りであるが、今回は微生物としてバチラス・サブチルスのみを使用し、当該微生物は105個及び107個の細菌量で用いた。実施例1に対して、実施例2で用いた先天性免疫系細胞は、単球細胞株THP1だけでなく、同様にヒト単球細胞株であるU937、並びにヒトB細胞株K562であった。図2には、THP1細胞及びU937細胞が、ほぼ同じ効率でバチラス・サブチルスに結合したことが示されている。対照的に、K562細胞については効率が際立って低かった。105個のバチラス・サブチルス量(実線)では、FACSにおいて、バチラス・サブチルスが全く含まれていない対照(塗潰し領域)と比較して違いはほとんど無かった。それとは対照的に、107個のバチラス・サブチルスを用いた場合、細胞株K562においてTHP1及びU937とほぼ同程度の効率が認められた。本実験により、細胞株THP1の細胞のみならず、先天性免疫系の更なる細胞種も、微生物に非特異的に結合出来ることが説明されている。
実施例3:
固定THP1細胞へのバチラス・サブチルスの結合
実施例1及び2では代謝活性を示すTHP1細胞を用いたのに対し、実施例3では、固定されているTHP1細胞を用いた。二つの異なる方法を固定のために用いた。最初の固定の手順では、2×105個のTHP1細胞を、室温で10分間、4%パラホルムアルデヒド(PFA)にインキュベートし、第2の固定の手順では、インキュベーションは室温で10分間、100%エタノール中で実施した。パラホルムアルデヒドは、タンパク質におけるアミノ酸残基を結合させるのに対し、エタノールは細胞の急速な脱水をもたらす。残りの実験を、微生物としてバチラス・サブチルスを用いて実施例2に記載した通り実施した。
図3には、代謝活性を示す先天性免疫系細胞のみならず、固定された細胞も微生物に結合し得ることが示されている。本実験では105個の微生物の検出は、代謝活性を依然として示す細胞で検出するよりも低い効率であったが、固定された先天性免疫系細胞を用いて、微生物が出発材料から蓄積された後では、FACSにおいて固定細胞を用いても105個の微生物を正確に検出することが可能である。
実施例4:
複合出発材料からの微生物の蓄積
実施された手順は、基本的に実施例1に記載した通りであるが、本実験では106個及び108個のバチラス・サブチルスを実験に導入し、それらを複合出発材料となる1.5%の脂肪含量の全乳から取り出した。この目的のために、微生物を全乳25mLに添加し、その後、細菌を含む不溶性物質をペレット化するために5分間遠心分離した。続いて、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)25mL中に回収し、2×105個のTHP1細胞に添加した。インキュベーションは、室温、1時間又は3時間で回転させながら実施した。
図4には、細菌が乳のような複合出発材料に比較的低濃度で存在する場合でも、本発明の方法を用いて細菌を蓄積及び検出し得ることが示されている。微生物を、1時間又は3時間、先天性免疫系細胞と接触させた場合、結果は同等であった。
実施例5:
RT−PCR検出を用いたバチラス・サブチルスの蓄積
102個、104個、106個又は108個のバチラス・サブチルスを、10%ウシ胎仔血清(PAA、オーストリア、パスチング(Pasching))を含有する細胞培養培地(RPMI(インビトロジェン社))中で2×105個のTHP1細胞と共にインキュベートした。結合していない微生物は、2μmのPCTEフィルター(スエルリテック社(Sterlitech)、米国、ケント(Kent))を介した濾過、或いはビオチン化CD14抗体及びビオチンバインダー磁性粒子(BiotinBinder magnetic particles)(インビトロジェン社)を用いた免疫磁気分離の何れかによって、結合複合体から取出した。結合複合体からのゲノムDNAは、細菌ゲノムDNA用のキアアンプ(QIAamp)キット(キアゲン社、ドイツ、ヒルデン(Hilden))を用いて単離した。単離したゲノムDNAは、THP1細胞及びバチラス・サブチルスの両方の遺伝物質を含んでいた。
この溶出液5μlを、続くRT−PCRに添加し、バチラス・サブチルスのゲノムDNAのサブ領域を増幅した。 RT−PCRの総量は、以下の更なる成分を有し、20μLであった:
10μLのクオンチテクト・マルチプレックスPCRミックス(QuantiTect Multiplex PCR Mix)(キアゲン社)
0.4μMのBacSub-FWDプライマー
0.4μMのBacSub-REVプライマー
0.2μMのBacSub-Probe(プローブ)。
反応混合物の残りは水で構成されていた。
RT−PCRは、以下のプログラムを実行するABI7900HTにおいて384ウェルフォーマットで実施した。
1)95℃ 15分
2)以下を40サイクル:
94℃ 15秒
55℃ 30秒
72℃ 30秒
用いた対照は、106個のバチラス・サブチルス(100%対照)及び2×105個のTHP1(0%対照)であった。
図5には、本発明の方法を用いて微生物を蓄積した後、RT−PCR法を用いて微生物を検出かつ定量することも可能であることが示されている。出発材料から蓄積されたわずか10000個の微生物が検出され得る。

Claims (12)

  1. 複合出発材料から微生物を非特異的に蓄積するための方法であって、以下の方法工程を含む、上記方法:
    a)微生物を含有する複合出発材料を先天性免疫系細胞と接触させる工程;
    b)微生物と先天性免疫系細胞との間で結合複合体を形成する工程;
    c)工程b)からの結合複合体を、上記複合出発材料から取り出す工程。
  2. 上記先天性免疫系細胞が哺乳類を起源とすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 上記先天性免疫系細胞がヒト起源であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 上記細胞が初代細胞であることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  5. 上記初代細胞が骨髄細胞であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 上記骨髄細胞がマクロファージであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 上記細胞が細胞株の不死化細胞であることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  8. 上記細胞株の不死化細胞が循環系に由来することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 上記細胞株の不死化細胞が、THP1、U937若しくはK562、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  10. 上記先天性免疫系細胞が代謝活性を示すことを特徴とする、請求項1から9の何れか1項に記載の方法。
  11. 上記先天性免疫系細胞が固相に固定化されていることを特徴とする、請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
  12. 上記先天性免疫系細胞が細胞内に磁性粒子を含むことを特徴とする、請求項1から11の何れか1項に記載の方法。
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