JP2013517282A - 受容体チロシンキナーゼ(rtk)のインヒビターおよびその使用方法 - Google Patents
受容体チロシンキナーゼ(rtk)のインヒビターおよびその使用方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013517282A JP2013517282A JP2012549070A JP2012549070A JP2013517282A JP 2013517282 A JP2013517282 A JP 2013517282A JP 2012549070 A JP2012549070 A JP 2012549070A JP 2012549070 A JP2012549070 A JP 2012549070A JP 2013517282 A JP2013517282 A JP 2013517282A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rtk
- antibody
- moiety
- binds
- fgfr1
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K48/00—Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/53—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
- G01N33/573—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for enzymes or isoenzymes
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
- A61K38/16—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- A61K38/17—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- A61K38/18—Growth factors; Growth regulators
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P19/00—Drugs for skeletal disorders
- A61P19/08—Drugs for skeletal disorders for bone diseases, e.g. rachitism, Paget's disease
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/435—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- C07K14/705—Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
- C07K14/71—Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for growth factors; for growth regulators
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2500/00—Screening for compounds of potential therapeutic value
- G01N2500/04—Screening involving studying the effect of compounds C directly on molecule A (e.g. C are potential ligands for a receptor A, or potential substrates for an enzyme A)
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Immunology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Public Health (AREA)
- Hematology (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Zoology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Physical Education & Sports Medicine (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Pathology (AREA)
- Toxicology (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Rheumatology (AREA)
- Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
本発明は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する部分であって、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する部分を提供する。本発明はまた、RTKに関連する疾患を処置または予防するための方法およびRTKの非対称性の接触境界領域に結合する部分を同定するための方法を提供する。本発明は、RTK自己リン酸化、酵素活性化、および細胞シグナル伝達に必要とされるステップである非対称性のチロシンキナーゼ二量体形成の阻害による、病理学的に活性化されたRTK(FGF受容体など)の薬理学的阻害のための新規なアプローチを提供する。
Description
関連出願への相互参照
本出願は、2010年1月14日に出願された米国仮出願番号61/335,950に関連し、この出願への優先権を主張する。上記出願の全容は、参考として本明細書に明確に援用される。
本出願は、2010年1月14日に出願された米国仮出願番号61/335,950に関連し、この出願への優先権を主張する。上記出願の全容は、参考として本明細書に明確に援用される。
連邦政府によって支援された研究または開発についての陳述
本出願は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって与えられた、コントラクトR01−AR 051448、R01−AR 051886、およびP50 AR054086の下で、政府支援によってなされた。政府は本発明において一定の権利を有し得る。
本出願は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって与えられた、コントラクトR01−AR 051448、R01−AR 051886、およびP50 AR054086の下で、政府支援によってなされた。政府は本発明において一定の権利を有し得る。
リガンド誘導性チロシン自己リン酸化は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)による活性化および細胞シグナル伝達の制御において重要な役割を果たす(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6)。構造的および生化学的研究により、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)(非特許文献7および非特許文献8)ならびにFGFR2(非特許文献9)などのような受容体チロシンキナーゼの自己リン酸化は、連続的、かつ正確に順序付けられた分子間反応(これは、3つのフェーズに分けることができる)によって媒介されることが示された。たとえば、第1のフェーズは、キナーゼ活性の50〜100倍の刺激をもたらす、触媒コアの活性化ループ中に位置するチロシン(FGFR1においてY653)のトランスリン酸化を含む(非特許文献7)。第2のフェーズでは、FGFR1のキナーゼ挿入領域(Y583、Y585)、膜近傍領域(Y463)、およびC末端尾部(Y766)におけるチロシンを含むシグナル伝達タンパク質に対するドッキング部位として働くチロシン残基が、リン酸化される。最終の第3のフェーズでは、Y654;活性化ループ中に位置する第2のチロシンが、リン酸化され、FGFR1キナーゼ活性におけるさらに10倍の増加をもたらす(非特許文献7)。興味深いことには、互いに隣接するチロシン(たとえばY653、Y654およびY583、Y585)は、連続的にリン酸化されず、配列および構造の特異性の両方が、受容体チロシンキナーゼに対するリン酸化の順序を決定するということを示唆する。
Schlessinger,Trends Biochem. Sci.,(1988年)3巻(11号):443〜447頁
Schlessinger,Cell,(2000年)103巻(2号):211〜225頁
SchlessingerおよびLemmon,Sci. STKE,(2003年)191巻:RE12
SchlessingerおよびUllrich,Neuron,(1992年)9巻(3号):383〜391頁
LemmonおよびSchlessinger,Trends Biochem. Sci.,(1994年)19巻(11号):459〜463頁
LemmonおよびSchlessinger,Methods Mol. Biol.,(1998年)84巻:49〜71頁
Furduiら,Mol. Cell.,(2006年)21巻(5号):711〜717頁
Lewら,Sci. Signal,(2009年)2巻(58号):ra6
Chenら,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,(2008年)105巻(50号):19660〜19665頁
チロシンリン酸化は、細胞シグナル伝達において主要な役割を果たすが、受容体チロシンキナーゼのトランス自己リン酸化についての構造的根拠が何であるかは、まだ明らかではない。言いかえれば、二量体化した受容体内の一方のキナーゼ(酵素)が、どのように他方のキナーゼ(基質)のチロシン(複数可)のリン酸化を特異的かつ順次触媒するのかということの根底にある分子メカニズムは、まだ解明されていない。したがって、RTKの構造、リン酸化、およびシグナル伝達をより特徴付けることへの必要性がある。そのような特徴付けは、薬物、医薬品、または他の生物学的製剤(biologics)の標的となり得る領域の、情報に基づく同定を導くであろう。
発明の概要
受容体チロシンキナーゼ(RTK)のチロシン自己リン酸化は、キナーゼ活性の調節ならびに細胞内シグナル伝達経路のリクルートおよび活性化において重要な役割を果たす。自己リン酸化は、連続的、かつ正確に順序付けられた分子間(トランス)反応によって媒介される。本発明は、活性化RTKキナーゼドメイン間の非対称性の二量体の形成が、刺激された細胞におけるRTKのトランス自己リン酸化のために必要とされることを示す。FGFR1受容体チロシンキナーゼでは、たとえば、トランス自己リン酸化は、活性酵素として働く、一方のキナーゼ分子のNローブ(lobe)と、基質として働く、第2のキナーゼ分子のCローブ上の特異的なドッキング部位との間の、特異的な非対称性の接触によって媒介される。受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域(contact interface)における、病理学的な機能喪失型の変異または腫瘍発生性変異は、非対称性の二量体形成およびトランス自己リン酸化を、それぞれ、妨げるかまたは促進するかもしれない。これらのデータは、線維芽細胞増殖因子受容体を含む受容体チロシンキナーゼのトランス自己リン酸化の制御の根底にある分子的根拠を提供する。
受容体チロシンキナーゼ(RTK)のチロシン自己リン酸化は、キナーゼ活性の調節ならびに細胞内シグナル伝達経路のリクルートおよび活性化において重要な役割を果たす。自己リン酸化は、連続的、かつ正確に順序付けられた分子間(トランス)反応によって媒介される。本発明は、活性化RTKキナーゼドメイン間の非対称性の二量体の形成が、刺激された細胞におけるRTKのトランス自己リン酸化のために必要とされることを示す。FGFR1受容体チロシンキナーゼでは、たとえば、トランス自己リン酸化は、活性酵素として働く、一方のキナーゼ分子のNローブ(lobe)と、基質として働く、第2のキナーゼ分子のCローブ上の特異的なドッキング部位との間の、特異的な非対称性の接触によって媒介される。受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域(contact interface)における、病理学的な機能喪失型の変異または腫瘍発生性変異は、非対称性の二量体形成およびトランス自己リン酸化を、それぞれ、妨げるかまたは促進するかもしれない。これらのデータは、線維芽細胞増殖因子受容体を含む受容体チロシンキナーゼのトランス自己リン酸化の制御の根底にある分子的根拠を提供する。
したがって、本発明は、RTK自己リン酸化、酵素活性化、および細胞シグナル伝達に必要とされるステップである非対称性のチロシンキナーゼ二量体形成の阻害による、病理学的に活性化されたRTK(FGF受容体など)の薬理学的阻害のための新規なアプローチを提供する。
一態様では、本発明は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する部分を提供し、部分は、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する。一実施形態では、部分は、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化およびRTKの活性化を阻害する。他の実施形態では、部分は、RTKの触媒ドメインのヌクレオチド結合部位に結合しない。さらに他の実施形態では、部分は、RTKの一方の単量体のNローブ上の非対称性の接触境界領域、またはRTKの一方の単量体のCローブ上の非対称性の接触境界領域に結合する。一実施形態では、部分は、内因性キナーゼ活性の喪失を引き起こさない。言いかえれば、部分は、ヌクレオチド結合または基質結合をブロックしないが、キナーゼ活性を直接阻害する。他の実施形態では、部分は、RTKキナーゼドメインにおいてコンフォメーション変化を引き起こさない。他の実施形態では、部分は、RTK単量体間の立体的な制約を増加させる。
一実施形態では、部分は、RTKの二量体化を妨げない。他の実施形態では、部分は、RTKの二量体化を妨げる。特定の実施形態では、部分は、RTKの細胞質ドメインの二量体化を妨げる。
一実施形態では、RTKは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、たとえば線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)、または線維芽細胞増殖因子受容体4(FGFR4)である。
一実施形態では、部分は、FGFR1のアミノ酸残基Arg577に結合する。他の実施形態では、部分は、FGFR2のアミノ酸残基Arg579に結合する。さらに他の実施形態では、部分は、FGFR2のアミノ酸残基Arg580に結合する。他の実施形態では、部分は、FGFR3、またはFGFR4において等価な残基に結合する。
他の実施形態では、部分は、FGFR1のアミノ酸残基Asp519に結合する。他の実施形態では、部分は、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4において等価なアミノ酸残基に結合する。
さらなる実施形態では、部分は、FGFR1のC488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する。一実施形態では、部分は、FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、部分は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する。一実施形態では、部分は、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4において等価なアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、部分は、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される少なくとも2、3、4、5、またはそれ以上のアミノ酸残基に結合する。さらに他の実施形態では、部分は、FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択される少なくとも2、3、4、5、またはそれ以上のアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、部分は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択される少なくとも2、3、4、5、またはそれ以上のアミノ酸残基に結合する。さらに他の実施形態では、部分は、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4において少なくとも2、3、4、5、またはそれ以上の等価なアミノ酸残基に結合する。
他の実施形態では、部分は、RTKの単量体のβ1−β2ループ、RTKの単量体のβ3−αCループ、RTKの単量体のβ4−B5ループ、RTKの単量体のαD−αEループ、RTKの単量体のαFヘリックス、およびRTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択される、RTKの領域に結合する。
一実施形態では、部分は、RTK上のコンフォメーションエピトープに結合する。コンフォメーションエピトープは、RTKの非対称性の接触境界領域における2つ以上の残基から構成されてもよい。他の実施形態では、コンフォメーションエピトープは、R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基を含む。さらに他の実施形態では、コンフォメーションエピトープは、FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択されるアミノ酸残基を含む。さらなる実施形態では、コンフォメーションエピトープは、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択されるアミノ酸残基を含む。他の実施形態では、コンフォメーションエピトープは、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4において等価なアミノ酸残基であるアミノ酸残基を含む。
他の実施形態では、部分は、RTK上の近接エピトープに結合する。一実施形態では、近接エピトープは、RTKの非対称性の接触境界領域における2つ以上の残基から構成される。
一実施形態では、部分は、小分子である。さらに他の実施形態では、小分子は、FGFR1のアミノ酸残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。さらに他の実施形態では、小分子は、FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、小分子は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、小分子は、RTKの単量体のβ1−β2ループ、RTKの単量体のβ3−αCループ、RTKの単量体のβ4−B5ループ、RTKの単量体のαD−αEループ、RTKの単量体のαFヘリックス、およびRTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択される領域に結合する。一実施形態では、小分子は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の非対称性の接触境界領域に基づいて設計される。
他の実施形態では、部分は、ペプチド性分子、たとえば、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の非対称性の接触境界領域に基づいて設計されるペプチド性分子である。さらに他の実施形態では、ペプチド性分子は、FGFR1のアミノ酸残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。さらなる実施形態では、ペプチド性分子は、FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、ペプチド性分子は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。一実施形態では、ペプチド性分子は、RTKの単量体のβ1−β2ループ、RTKの単量体のβ3−αCループ、RTKの単量体のβ4−B5ループ、RTKの単量体のαD−αEループ、RTKの単量体のαFヘリックス、およびRTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択される領域に結合する。他の実施形態では、ペプチド性分子は、FGFR1のアミノ酸残基576〜594と少なくとも80%同一の構造を含む。他の実施形態では、ペプチド性分子は、FGFR2のアミノ酸残基579〜597と少なくとも80%同一の構造を含む。
一実施形態では、部分は、イントラボディなどのような単離抗体またはその抗原結合性一部分である。他の実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、およびキメラ抗体からなる群より選択される。他の実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、IgG1定常領域、IgG2定常領域、IgG3定常領域、IgG4定常領域、IgM定常領域、IgA定常領域、およびIgE定常領域からなる群より選択される重鎖定常領域を含む。さらに他の実施形態では、抗体重鎖定常領域は、IgG1である。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、単鎖Fv断片、SMIP、アフィボディ、アビマー、ナノボディ、および単一ドメイン抗体である。他の実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、1×10−7M以下、より好ましくは5×10−8M以下、より好ましくは1×10−8M以下、より好ましくは5×10−9M以下からなる群より選択されるKDで、受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する。
他の態様では、本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分を産生するハイブリドーマを提供する。
他の態様では、本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の非対称性の接触境界領域上のコンフォメーションエピトープに結合する部分を提供し、部分は、FGFRのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する。
さらに他の態様では、本発明は、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基または当該残基から1〜5Å以内に結合し、それによって、FGFR1のリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する部分を提供する。他の態様では、本発明は、FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択されるアミノ酸残基または当該残基から1〜5Å以内に結合し、それによって、FGFR2のリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する部分を提供する。他の態様では、本発明は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択されるアミノ酸残基または当該残基から1〜5Å以内に結合し、それによって、FGFR2のリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する部分を提供する。
他の態様では、本発明は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する部分を提供し、部分は、酵素として働くRTK単量体のNローブと、基質として働くRTK単量体のCローブとの間の境界領域を破壊する。
さらに他の態様では、本発明は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する部分を提供し、部分は、RTKの逆の脱リン酸化を阻害する。
他の態様では、本発明は、本発明の部分および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を提供する。
さらに他の態様では、本発明は、被験体におけるRTKに関連する疾患を処置または予防するための方法を提供する。方法は、本発明の有効量の部分を被験体に投与し、それによって、被験体における疾患を処置または予防するステップを含む。一実施形態では、RTKに関連する疾患は、がんおよび重度の骨障害からなる群より選択される。一実施形態では、重度の骨障害は、軟骨無形成症、クルゾン症候群、およびシーザー−ショッツェン症候群からなる群より選択される。他の実施形態では、RTKに関連する疾患は、ラッド症候群である。さらに他の実施形態では、がんは、膠芽腫、多発性骨髄腫、前立腺がん、膵臓がん、膀胱がん、および乳がんからなる群より選択される。
他の態様では、本発明は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合し、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する部分を同定するための方法を提供する。方法は、RTKを候補部分と接触させるステップ;同時にまたは順次、RTKをRTKに対するリガンドと接触させるステップ;酵素として機能するRTK単量体のNローブと、基質として機能するRTK単量体のCローブとの間の配置、配向、および/または距離に、部分が影響するか否かを決定し、それによって、RTKの非対称性の接触境界領域に結合し、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する部分を同定するステップを含む。一実施形態では、部分は、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する。他の実施形態では、部分は、内因性のRTKキナーゼ活性の喪失を引き起こさない。
他の態様では、本発明は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する小分子を提供し、小分子は、RTKのトランス自己リン酸化を阻害する。一実施形態では、小分子は、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基または前記残基から1〜5Å以内に結合する。他の実施形態では、小分子は、FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択されるアミノ酸残基または前記残基から1〜5Å以内に結合する。他の実施形態では、小分子は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択されるアミノ酸残基または前記残基から1〜5Å以内に結合する。他の実施形態では、小分子は、RTKの単量体のβ1−β2ループ、RTKの単量体のβ3−αCループ、RTKの単量体のβ4−B5ループ、RTKの単量体のαD−αEループ、RTKの単量体のαFヘリックス、およびRTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択される領域に結合する。
本発明の他の特長および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
本特許または出願のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面(複数可)を伴った本特許または特許出願公開のコピーは、請求および必要な手数料の支払いにより当該官庁から提供される。
図1は、非対称性の活性化FGFR1キナーゼ二量体の全体的な構造および受容体間の接触の詳細な図を示す図である。図1Aは、活性リン酸化FGFR1の非対称性の二量体がリボン図で示されることを示す。非対称性の二量体の分子EおよびSは、それぞれ、シアンおよび緑色とする。図1Bは、非対称性の二量体においてキナーゼの間で形成される境界領域の詳細な図を示す。ATPアナログ(AMP−PCP)および相互作用する残基は、棒で表現して示し、マグネシウムイオンは、青色の球体として示す。分子S由来の残基は、ダッシュを用いて標識する。この図において用いた配色は、すべての図に使用する。二次構造は、青色で標識する。図1Cは、分子Eの表面の図が、棒およびリボンで表現した分子Sの相互作用する残基と共にシアンで示されることを示す。分子S由来の代表的な残基を標識する。図1Dは、分子Sの表面の図が、棒およびリボンで表現した分子Eの相互作用する残基(薄いシアン)と共に緑色で示されることを示す(www.pymol.org)。
図1は、非対称性の活性化FGFR1キナーゼ二量体の全体的な構造および受容体間の接触の詳細な図を示す図である。図1Aは、活性リン酸化FGFR1の非対称性の二量体がリボン図で示されることを示す。非対称性の二量体の分子EおよびSは、それぞれ、シアンおよび緑色とする。図1Bは、非対称性の二量体においてキナーゼの間で形成される境界領域の詳細な図を示す。ATPアナログ(AMP−PCP)および相互作用する残基は、棒で表現して示し、マグネシウムイオンは、青色の球体として示す。分子S由来の残基は、ダッシュを用いて標識する。この図において用いた配色は、すべての図に使用する。二次構造は、青色で標識する。図1Cは、分子Eの表面の図が、棒およびリボンで表現した分子Sの相互作用する残基と共にシアンで示されることを示す。分子S由来の代表的な残基を標識する。図1Dは、分子Sの表面の図が、棒およびリボンで表現した分子Eの相互作用する残基(薄いシアン)と共に緑色で示されることを示す(www.pymol.org)。
図1は、非対称性の活性化FGFR1キナーゼ二量体の全体的な構造および受容体間の接触の詳細な図を示す図である。図1Aは、活性リン酸化FGFR1の非対称性の二量体がリボン図で示されることを示す。非対称性の二量体の分子EおよびSは、それぞれ、シアンおよび緑色とする。図1Bは、非対称性の二量体においてキナーゼの間で形成される境界領域の詳細な図を示す。ATPアナログ(AMP−PCP)および相互作用する残基は、棒で表現して示し、マグネシウムイオンは、青色の球体として示す。分子S由来の残基は、ダッシュを用いて標識する。この図において用いた配色は、すべての図に使用する。二次構造は、青色で標識する。図1Cは、分子Eの表面の図が、棒およびリボンで表現した分子Sの相互作用する残基と共にシアンで示されることを示す。分子S由来の代表的な残基を標識する。図1Dは、分子Sの表面の図が、棒およびリボンで表現した分子Eの相互作用する残基(薄いシアン)と共に緑色で示されることを示す(www.pymol.org)。
図1は、非対称性の活性化FGFR1キナーゼ二量体の全体的な構造および受容体間の接触の詳細な図を示す図である。図1Aは、活性リン酸化FGFR1の非対称性の二量体がリボン図で示されることを示す。非対称性の二量体の分子EおよびSは、それぞれ、シアンおよび緑色とする。図1Bは、非対称性の二量体においてキナーゼの間で形成される境界領域の詳細な図を示す。ATPアナログ(AMP−PCP)および相互作用する残基は、棒で表現して示し、マグネシウムイオンは、青色の球体として示す。分子S由来の残基は、ダッシュを用いて標識する。この図において用いた配色は、すべての図に使用する。二次構造は、青色で標識する。図1Cは、分子Eの表面の図が、棒およびリボンで表現した分子Sの相互作用する残基と共にシアンで示されることを示す。分子S由来の代表的な残基を標識する。図1Dは、分子Sの表面の図が、棒およびリボンで表現した分子Eの相互作用する残基(薄いシアン)と共に緑色で示されることを示す(www.pymol.org)。
図2は、非対称性のFGFR1キナーゼ二量体境界領域における残基の表面の分布を示す図である。図1Aは、非対称性のキナーゼ二量体の全体的な構造がリボン形式で示されることを示す。図1Bは、分子E(酵素)の表面の表示をシアンで示す。近位の基質結合性領域を赤色で示し、遠位の基質結合性領域を黄色で示す。活性化ループ(Aループ)およびヌクレオチド結合ループ(Nループ)を示す。図1Cは、示す分子Sのキナーゼ挿入領域におけるチロシン自己リン酸化部位(Y583)と共に、分子S(基質)の表面の図を緑色で示す。分子Sの基質部位は赤色とし、遠位の基質部位は黄色とする。
図2は、非対称性のFGFR1キナーゼ二量体境界領域における残基の表面の分布を示す図である。図1Aは、非対称性のキナーゼ二量体の全体的な構造がリボン形式で示されることを示す。図1Bは、分子E(酵素)の表面の表示をシアンで示す。近位の基質結合性領域を赤色で示し、遠位の基質結合性領域を黄色で示す。活性化ループ(Aループ)およびヌクレオチド結合ループ(Nループ)を示す。図1Cは、示す分子Sのキナーゼ挿入領域におけるチロシン自己リン酸化部位(Y583)と共に、分子S(基質)の表面の図を緑色で示す。分子Sの基質部位は赤色とし、遠位の基質部位は黄色とする。
図2は、非対称性のFGFR1キナーゼ二量体境界領域における残基の表面の分布を示す図である。図1Aは、非対称性のキナーゼ二量体の全体的な構造がリボン形式で示されることを示す。図1Bは、分子E(酵素)の表面の表示をシアンで示す。近位の基質結合性領域を赤色で示し、遠位の基質結合性領域を黄色で示す。活性化ループ(Aループ)およびヌクレオチド結合ループ(Nループ)を示す。図1Cは、示す分子Sのキナーゼ挿入領域におけるチロシン自己リン酸化部位(Y583)と共に、分子S(基質)の表面の図を緑色で示す。分子Sの基質部位は赤色とし、遠位の基質部位は黄色とする。
図3は、in vitroおよびin vivoにおけるFGFR1の自己リン酸化を示す図である。時間の関数としての、室温での、wt−FGFR1(図3A)およびFGFR1−RE(図3B)の単離キナーゼドメインのin vitroにおけるリン酸化反応のプロファイル。図3Cは、in vitroにおいてFGFR1−REのキナーゼ活性が維持されることを示す。wt−FGFR1またはFGFR1−RE変異体を発現するL6細胞の溶解産物を、抗FGFR1抗体を用いて免疫沈降に供した。次いで、免疫沈降物は、室温で、30分間、FGFR1基質(PLCγ断片、結果において記載される)の存在下または非存在下においてインキュベートし、その後SDS−PAGEおよび抗pTyr抗体または抗FGFR1抗体を用いるイムノブロッティングを行った。図3Dは、in vivoにおけるFGFR1−REの自己リン酸化が強く損なわれることを示す。wt−FGFR1またはそのRE変異体を発現するL6細胞を、37℃で、10分間、FGFの漸増濃度(示すように)により刺激した。非刺激またはFGF刺激細胞の溶解産物を、抗FGFR1抗体を使用する免疫沈降に供し、その後SDS−PAGEおよび抗pTyr抗体または抗FGFR1抗体を用いるイムノブロッティングを行った。図3Eは、wt−FGFR1またはFGFR1−REを発現するL6細胞を、異なる時間(示すように)、100ng/ml FGFにより刺激したことを示す。非刺激またはFGF刺激細胞の溶解産物を、SDS−PAGEに供し、その後、抗pTyr抗体または抗FGFR1抗体を用いるイムノブロッティングを行った。
図4は、単純化した略画(上)およびリボン図(下)の(図4A)wt−FGFR1(PDB ID:3KY2)、(図4B)FGFR1−RE変異体(PDB ID:3KXX)、および(図4C)活性化FGFR1(FGFR1−3P)(PDB ID:3GQI)のキナーゼドメインの構造を示す図である。略画において、触媒ループは、黄色で、活性化ループは、緑色で示し、ヘリックスαCは、円柱として示す。ホスホチロシンは、略画において赤色とし、リボン図において棒で表現する。図4Dは、緑色、シアン、および青色でそれぞれ示す、FGFR1、FGFR1−RE、およびFGFR1−3Pのキナーゼ挿入ループのリボン図を示す。R576、R577、およびR577Eの側鎖は、棒で表現して示す。図4Eは、FGFR1(緑色)、FGFR1−RE(シアン)、およびFGFR1−3P(青色)のキナーゼ挿入領域の重ね合せを示し、3つの構造におけるキナーゼ挿入領域の複数のコンフォメーションを明らかにする。
図4は、単純化した略画(上)およびリボン図(下)の(図4A)wt−FGFR1(PDB ID:3KY2)、(図4B)FGFR1−RE変異体(PDB ID:3KXX)、および(図4C)活性化FGFR1(FGFR1−3P)(PDB ID:3GQI)のキナーゼドメインの構造を示す図である。略画において、触媒ループは、黄色で、活性化ループは、緑色で示し、ヘリックスαCは、円柱として示す。ホスホチロシンは、略画において赤色とし、リボン図において棒で表現する。図4Dは、緑色、シアン、および青色でそれぞれ示す、FGFR1、FGFR1−RE、およびFGFR1−3Pのキナーゼ挿入ループのリボン図を示す。R576、R577、およびR577Eの側鎖は、棒で表現して示す。図4Eは、FGFR1(緑色)、FGFR1−RE(シアン)、およびFGFR1−3P(青色)のキナーゼ挿入領域の重ね合せを示し、3つの構造におけるキナーゼ挿入領域の複数のコンフォメーションを明らかにする。
図4は、単純化した略画(上)およびリボン図(下)の(図4A)wt−FGFR1(PDB ID:3KY2)、(図4B)FGFR1−RE変異体(PDB ID:3KXX)、および(図4C)活性化FGFR1(FGFR1−3P)(PDB ID:3GQI)のキナーゼドメインの構造を示す図である。略画において、触媒ループは、黄色で、活性化ループは、緑色で示し、ヘリックスαCは、円柱として示す。ホスホチロシンは、略画において赤色とし、リボン図において棒で表現する。図4Dは、緑色、シアン、および青色でそれぞれ示す、FGFR1、FGFR1−RE、およびFGFR1−3Pのキナーゼ挿入ループのリボン図を示す。R576、R577、およびR577Eの側鎖は、棒で表現して示す。図4Eは、FGFR1(緑色)、FGFR1−RE(シアン)、およびFGFR1−3P(青色)のキナーゼ挿入領域の重ね合せを示し、3つの構造におけるキナーゼ挿入領域の複数のコンフォメーションを明らかにする。
図4は、単純化した略画(上)およびリボン図(下)の(図4A)wt−FGFR1(PDB ID:3KY2)、(図4B)FGFR1−RE変異体(PDB ID:3KXX)、および(図4C)活性化FGFR1(FGFR1−3P)(PDB ID:3GQI)のキナーゼドメインの構造を示す図である。略画において、触媒ループは、黄色で、活性化ループは、緑色で示し、ヘリックスαCは、円柱として示す。ホスホチロシンは、略画において赤色とし、リボン図において棒で表現する。図4Dは、緑色、シアン、および青色でそれぞれ示す、FGFR1、FGFR1−RE、およびFGFR1−3Pのキナーゼ挿入ループのリボン図を示す。R576、R577、およびR577Eの側鎖は、棒で表現して示す。図4Eは、FGFR1(緑色)、FGFR1−RE(シアン)、およびFGFR1−3P(青色)のキナーゼ挿入領域の重ね合せを示し、3つの構造におけるキナーゼ挿入領域の複数のコンフォメーションを明らかにする。
図4は、単純化した略画(上)およびリボンダイヤグラム図(下)の(図4A)wt−FGFR1(PDB ID:3KY2)、(図4B)FGFR1−RE突然変異変異体(PDB ID:3KXX)、および(図4C)活性化FGFR1(FGFR1−3P)(PDB ID:3GQI)のキナーゼドメインの構造を示す図である。略画において、触媒ループは、黄色で、活性化ループは、緑色で示し、ヘリックスαCは、円柱として示す。ホスホチロシンは、略画において赤色とし、リボンダイヤグラム図において棒で表現する。図4Dは、緑色、シアン、および青色でそれぞれ示す、FGFR1、FGFR1−RE、およびFGFR1−3Pのキナーゼ挿入ループのリボンダイヤグラム図を示す。R576、R577、およびR577Eの側鎖は、棒で表現して示す。図4Eは、FGFR1(緑色)、FGFR1−RE(シアン)、およびFGFR1−3P(青色)のキナーゼ挿入領域の重ね合せを示し、3つの構造におけるキナーゼ挿入領域の複数の立体構造コンフォメーションを明らかにする。
図5は、連続的に、順序付けられたFGFR1チロシン自己リン酸化部位の間の距離を示す。FGFR1(FGFR1構造においてまだ観察されていない残基Y766を含む)のモデルをリボン図で示し、6つのホスホチロシン部位を棒で表現し、赤色とする。FGFR1の6つの自己リン酸化部位の自己リン酸化の順番に番号を付け、相互自己リン酸化部位の間のおよその距離を示す。2つのホスホチロシン部位の間の距離は、非リン酸化FGFR1構造とリン酸化FGFR1構造との間の距離の平均であり、表中に概説する。
図6は、活性なFGFR1−3PのR577およびFGFR1−REのR577Eの周辺の電子密度を示す図である。図6Aは、キナーゼ挿入領域の周辺の活性FGFR1−3P(3GQI)の電子密度を示す。2つのキナーゼドメインをシアンおよび緑色のリボンで表現して示す。分子EのD519ならびに分子SのR577’およびY583E’は、棒で表現して示す。AMP−PCPは、棒で表現して示し、Mgイオンは、青色の球体として示す。2FoFc電子密度地図は、灰色で示し、1.0σで示した。図6Bは、FGFR1−REの例示2FoFc電子密度地図を、リボン図の2つのキナーゼドメインと共に示し、R576およびR577Eの側鎖を棒で表現して示し、1.0σで示したことを示す。
図7は、FGFR1−REの4つの分子すべての重ね合せを示す図である。結晶格子中のFGFR1−REの4つの分子を重ね、緑色から薄緑色のグラデーションで色づけする。
図8は、非対称性のFGFR1キナーゼおよびFGFR2キナーゼの二量体の全体的な構造が、リボン図(図8Aおよび8B)でまたは略画(図8Cおよび8D)として示されることを示す図である。近位および遠位の基質境界領域に、それぞれ、黄色または赤色の球を付ける。非対称性のFGFR1キナーゼ二量体またはFGFR2キナーゼ二量体の例証となる図。両方の構造のリン酸化領域および活性化ループを示す。ヘリックスαCは円柱として示す。両方の構造の近位の基質境界領域に黄色の円を付け、遠位の基質境界領域に赤色の円を付ける。
図9は、ヒトFGFR1およびFGFR2キナーゼ由来の配列の構造ベースのアライメントならびにヘリックスαGの近くの機能喪失型の変異の位置を示す図である。図9Aは、FGFR1およびFGFR2の配列の下に、4つのFGF受容体について、ブランク(最も低い)、1ドット、2ドット、または星(最も高い)により、残基保存の程度を示す。FGFR1の全体的な構造は、灰色のリボンで示し、配列の構造中の対応する領域は、矢印により示す。緑色の残基は、分子E(酵素)のものとし、色づけした残基は、分子S(基質)のものとする。図9Bは、青色のボックス中の、FGFR1およびFGFR2のヘリックスαGの近くのループにおける機能喪失型の変異の位置を示す。分子E由来のアミノ酸は、緑色で示し、分子S由来のアミノ酸は、赤色とする。ヘリックスαGは、配列の上に標識を用い、黒色のボックスを付ける。
図10は、wt−FGFR1およびR577E変異体、FGFR1−REについてのデータ収集および構造精密化の統計量を示す。
図11は、FGFR1の非対称性の接触境界領域に関与する可能性のある領域およびアミノ酸残基を示す図である。
図12は、線維芽細胞増殖因子受容体配列(FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4)の配列アライメントを示す図である。囲った配列は、非対称性の接触境界領域の媒介に関与する配列を示し、青色および赤色のアミノ酸は、それぞれ、酵素および基質分子中に位置する。一態様では、本発明は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の囲ったアミノ酸残基のいずれかに結合する部分を提供する。
本発明は、ヒト受容体チロシンキナーゼ、たとえばヒトFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4などのようなFGFR受容体の非対称性の接触境界領域に結合する部分、たとえば小分子、ペプチド性分子、アプタマー、抗体またはその抗原結合性一部分、およびアドネクチン(adnectin)を提供する。本発明の部分は、受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合し、RTKのトランス自己リン酸化を阻害する。いくつかの場合では、部分は、RTKキナーゼドメインにおける内因性キナーゼ活性の喪失を引き起こさない。言いかえれば、部分は、RTKの二量体化を可能にするが、2つの非対称性の二量体の配置に影響するか、または受容体におけるコンフォメーション変化を改変もしくは妨げ、それによって、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害し得る。本発明は、ヒトFGFR1のトランス自己リン酸化に必要とされる非対称性の接触境界領域の結晶構造の解読に、少なくとも一部に基づく。この境界領域の解読は、本発明の部分が標的にするかもしれない残基および部位およびエピトープ、たとえばコンフォメーションエピトープおよび近接エピトープの同定を可能にした。
そのリガンドによる活性化の後に、受容体チロシンキナーゼの2つの単量体は、相互作用して、非対称性の接触境界領域によって特徴付けられる、非対称性の二量体を形成し、続いて、トランス自己リン酸化を受ける。本明細書において使用されるように、用語「非対称性の接触境界領域」は、第2の受容体チロシンキナーゼ単量体と非対称的に相互作用し、受容体チロシンキナーゼのチロシン残基のトランス自己リン酸化に必要とされる(これは、チロシンキナーゼ活性化および細胞シグナル伝達に必要とされるステップである)、一方の受容体チロシンキナーゼ単量体の領域を含むように意図される。非対称性の二量体境界領域の2つの領域は、相補的であり、非対称性の接触境界領域の形成は、受容体チロシンキナーゼの活性化に必要とされる。RTK上のトランス自己リン酸化を受けるチロシンはそれぞれ、別個の非対称性の接触境界領域と関連する。
一実施形態では、受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域は、活性酵素として働くFGFR1などのような一方の受容体チロシンキナーゼ分子のNローブを含む。他の実施形態では、受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域は、基質として働くFGFR1などのような受容体チロシンキナーゼ分子のCローブを含む。一実施形態では、FGFR1の非対称性の接触境界領域は、図2において示されるようなFGFR1の黄色の領域を含む。他の実施形態では、FGFR1の非対称性の接触境界領域は、図2において示されるようなFGFR1の赤色の領域を含まない。他の実施形態では、FGFR1の非対称性の接触境界領域は、FGFR1のアミノ酸残基Arg577を含む。他の実施形態では、FGFR1の非対称性の接触境界領域は、FGFR1のアミノ酸残基Asp519を含む。さらに他の実施形態では、FGFR1の非対称性の接触境界領域は、酵素として働くRTKのβ1−β2ループ、β3−αCループ、またはβ4−B5ループを含む。他の実施形態では、FGFR1の非対称性の接触境界領域は、基質として働くRTKのαD−αEループ(キナーゼ挿入)、αFヘリックス、またはαF−αGループを含む。他の実施形態では、FGFR1の非対称性の接触境界領域は、酵素として働くRTKの残基C488、F489、S518、D519、T521、E522、D554、G555、またはP556を含む。他の実施形態では、FGFR1の非対称性の接触境界領域は、基質として働くRTKの残基Q574、R577、P587、P579、W691、T695、P702、G703、またはP705を含む。特定の実施形態では、本明細書において記載される2つの単量体の非対称性の接触境界領域の相互作用は、FGFR1のY583のトランス自己リン酸化に必要とされる。他の実施形態では、本明細書において記載される2つの単量体の非対称性の接触境界領域の相互作用は、FGFR1のY653、Y463、Y766、Y585、またはY654のトランス自己リン酸化に必要とされる。図9および12において示される構造ベースの配列アライメントは、非対称性の接触形成に関与する残基が、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4において保存されていることを示す。
一実施形態では、非対称性の接触境界領域は、非対称性のFGFR1二量体において酵素として働くFGFR1のNローブにおける活性化セグメント、ヌクレオチド結合ループの先端、β3−αCループ、β4−B5ループ、およびヘリックスαCのN末端領域の間で形成される。この領域は、非対称性の二量体において基質として働く第2のFGFR1分子のCローブ中に位置するヘリックスαFおよびαGにおけるアミノ酸ならびにキナーゼ挿入領域のN末端残基と相互作用する(図1、2、8、および11を参照されたい)。本明細書において使用されるように、用語「Nローブ」は、酵素として働くRTK単量体のヌクレオチド結合部位および/または非対称性の接触境界領域を含有する、RTKの一部を指す。本明細書において使用されるように、用語「Cローブ」は、基質として働くRTK単量体の触媒ドメインおよび/または非対称性の接触境界領域を含有する、RTKの一部を指す。
本明細書において使用されるように、用語「リン酸化」は、キナーゼによるタンパク質へのリン酸基の追加を指す。本明細書において使用されるように、用語「自己リン酸化」または「シスリン酸化」は、キナーゼタンパク質それ自体による、キナーゼのリン酸化を指す。本明細書において使用されるように、用語「トランス自己リン酸化」は、基質として作用するキナーゼタンパク質の一方の単量体の、二量体化した受容体において酵素として作用するキナーゼタンパク質の他方の単量体によるリン酸化を指す。リガンド誘導性トランス自己リン酸化は、RTKによる活性化および細胞シグナル伝達の制御において重要な役割を果たす。本明細書において使用されるように、用語「リガンド誘導性トランス自己リン酸化」は、そのリガンドへのRTKの結合に際しての、受容体チロシンキナーゼのトランス自己リン酸化の活性化を指す。
本明細書において使用されるように、用語「部分」は、任意の部分が、受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合することを含むように意図され、部分は、RTKのトランス自己リン酸化を阻害する。部分は、小分子;ペプチド性分子(たとえば、受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域の構造に基づいて設計されるペプチド性分子);単離抗体またはその抗原結合性一部分;アプタマーまたはアドネクチンとすることができる。
いくつかの実施形態では、部分は、ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域における特異的配列に結合するであろう。特定の実施形態では、部分は、FGFR受容体の非対称性の接触境界領域における特異的配列、たとえば、FGFR1の残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、またはP705に結合するであろう。RTKの一方の単量体のβ1−β2ループ、RTKの一方の単量体のβ3−αCループ、RTKの一方の単量体のβ4−B5ループ、RTKの一方の単量体のαD−αEループ、RTKの一方の単量体のαFヘリックス、およびRTKの一方の単量体のαF−αGループ内のこれらの残基は、ヒトFGFR1の非対称性の接触境界領域ドメインを含み、受容体のトランス自己リン酸化にとって重要であることが本明細書において示される。当業者は、いくつかの実施形態では、本発明の部分が、他のRTKにおける対応する残基、たとえば、非対称性の接触境界領域の類似するポケットもしくは空洞を形成する残基または構造アライメントもしくは配列アライメントによって同じ位置にある残基を容易に標的にし得ることを十分に理解するであろう。当業者は、非対称性の接触境界領域における前述の残基(または一定の距離内、たとえば、それらの残基から1、2、3、4、もしくは5Å以内)に特異的に結合する部分が、たとえば、RTKのトランス自己リン酸化を妨げることによって、受容体の活性に拮抗することができることを十分に理解するであろう。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の部分は、近接するアミノ酸残基または近接しないアミノ酸残基に結合し、RTKのトランス自己リン酸化を可能にする距離および配向でのRTKの非対称性の接触境界領域の配置に必要とされる挙動を妨げる分子的ウェッジ(wedge)として機能してもよい。
特定の実施形態では、本発明の部分は、RTK上のコンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープに結合する。本明細書において使用されるように、用語「エピトープ」は、本発明の小分子、抗体もしくはその抗原結合性断片、またはペプチド性分子が結合してもよい、RTKの残基、モチーフ、部位、またはドメインを含むように意図される。コンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープは、RTK、たとえばヒトFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の非対称性の接触境界領域由来の2つ以上の残基から構成されてもよい。特定の実施形態では、本発明の部分は、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される2つ以上のアミノ酸から構成されるコンフォメーションエピトープに結合する。他の実施形態では、本発明の部分は、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される3つ以上のアミノ酸から構成されるコンフォメーションエピトープに結合する。他の実施形態では、本発明の部分は、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される4つ以上のアミノ酸から構成されるコンフォメーションエピトープに結合する。他の実施形態では、本発明の部分は、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される5つ以上のアミノ酸から構成されるコンフォメーションエピトープに結合する。上記に示されるように、本発明の部分は、非対称性の接触境界領域のポケットもしくは空洞を形成するアミノ酸残基すべてに結合してもよいし、またはそれらは、非対称性の接触境界領域を形成する残基のサブセットに結合してもよい。ある実施形態では、エピトープ、たとえばコンフォメーションエピトープに結合する本発明の部分が言及される場合、部分が、エピトープを構成する特異的な残基にのみ結合し、受容体の直鎖状アミノ酸配列における他の残基に結合しないことが意図されることが理解されたい。
他の実施形態では、本発明の部分は、RTK上の近接エピトープに結合する。一実施形態では、近接エピトープは、FGFRの非対称性の接触境界領域における2つ以上の残基から構成される。他の実施形態では、近接エピトープは、RTKの単量体のβ1−β2ループ、RTKの単量体のβ3−αCループ、RTKの単量体のβ4−B5ループ、RTKの単量体のαD−αEループ、RTKの単量体のαFヘリックス、およびRTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択されるエピトープである。
本発明の部分は、チロシンキナーゼ活性化にとって不可欠な距離および配向でRTK単量体の配置をするのに不可欠であるRTKの非対称性の接触境界領域の間の重要なホモタイプの相互作用(塩橋など)を妨げることによって、受容体活性化に対してそれらの阻害効果を及ぼしてもよい。したがって、本発明の部分は、トランス自己リン酸化を妨げるが、RTKの二量体化を可能にしてもよい。本発明の部分が、RTKのグリコシル化形態上に現れてもよい糖残基に結合してもよいこともまた、当業者によって十分に理解されるであろう。本発明の部分が、アミノ酸残基および糖残基の両方から構成されるエピトープに結合するであろうということがさらに可能である。
用語「受容体チロシンキナーゼ」および「RTK」は、チロシン残基をリン酸化する膜受容体の周知のファミリーを指すために区別なく本明細書において使用される。多数が、発生または細胞分裂において重要な役割を果たす。受容体チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内触媒ドメインを有する。細胞外ドメインは、サイトカイン、増殖因子、または他のリガンドに結合し、システインリッチ領域、フィブロネクチンIII様ドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、EGF様ドメイン、カドヘリン様ドメイン、クリングル様ドメイン、第VIII因子様ドメイン、グリシンリッチ領域、ロイシンリッチ領域、酸性領域、およびジスコイジン様ドメインを含む、1つまたは複数の同定可能な構造モチーフから一般に構成される。細胞内キナーゼドメインの活性化は、細胞外ドメインへのリガンド結合によって達成され、これは、受容体の二量体化を誘導する。このように活性化された受容体は、触媒ドメインの外側のチロシン残基を自己リン酸化し、活性な受容体のコンフォメーションの安定化を促進することができる。リン酸化された残基はまた、次いで細胞内でシグナルを伝達するであろうタンパク質に対する結合部位としても働く。RTKの例は、Kit受容体(幹細胞因子受容体またはSCF受容体としても公知)、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、肝細胞増殖因子(HGF)受容体、インスリン受容体、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)受容体、神経増殖因子(NGF)受容体、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体、PDGF受容体−α、PDGF受容体−β、CSF−1受容体(M−CSF受容体またはFmsとしても公知)、およびFlt3受容体(Flk2としても公知)を含むが、これらに限定されない。
本発明の好ましい実施形態では、RTKは、IV型RTKである。本発明の他の実施形態では、RTKは、V型RTK、つまりVEGF受容体ファミリーのメンバー、またはIII型RTK、つまりPDGF受容体ファミリーのメンバーである。
本明細書において使用されるように、用語「受容体チロシンキナーゼのIV型ファミリー」または「IV型RTK」は、典型的に、3つの免疫グロブリン様ドメイン(またはIg様ドメイン)、1回膜貫通ヘリックスドメイン、およびチロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメインを含む受容体チロシンキナーゼを含むように意図される。RTKのIV型ファミリーは、線維芽細胞増殖因子に結合する。IV型RTKの例は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4を含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用されるように、用語「受容体チロシンキナーゼのIII型ファミリー」または「III型RTK」は、それらの外部ドメインにおいて5つの免疫グロブリン様ドメインまたはIg様ドメインを典型的に含有する受容体チロシンキナーゼを含むように意図される。III型RTKの例は、PDGF受容体、M−CSF受容体、FGF受容体、Flt3受容体(Flk2としても公知)、およびKit受容体を含むが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、III型RTKは、Kit(SCF受容体としても当技術分野において公知である)である。Kitは、他のIII型RTKと同様に、1回膜貫通(TM)ドメインによって細胞質領域につながれるグリコシル化細胞外リガンド結合ドメイン(外部ドメイン)から構成される(Schlessinger(2000年)Cell 103巻:211〜225頁において概説される)。III型RTK、たとえばKitまたはPDGFRの他の特徴は、大きなキナーゼ挿入領域を有する細胞質タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)ドメインである。Kit受容体の少なくとも2つのスプライスアイソフォームが存在することが公知であり、短い方は、インフレームスプライス部位を利用する。Kitのすべてのアイソフォームおよび他の上記に記載されるRTKは、本発明によって包含される。
本明細書において使用されるように、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の「Ig様ドメイン」は、RTKの外部ドメイン中に存在することが当技術分野において周知であるドメインを含むように意図される。IV型受容体チロシンキナーゼのファミリーの外部ドメインでは、3つのそのようなドメインがある。III型受容体チロシンキナーゼ(III型RTK)のファミリー(たとえばKit)の外部ドメインでは、D1、D2、D3、D4、およびD5として公知である、5つのそのようなドメインがある。III型RTKのD1、D2、およびD3ドメインは、RTKのリガンドへの結合に関与する(UllrichおよびSchlessinger(1990年)Cell 61巻:203〜212頁において概説される)。したがって、本発明の一実施形態では、用語「Ig様ドメイン」は、リガンド結合に関与するRTKのドメインを含むようには意図されない。本発明の一実施形態では、Ig様ドメインは、III型RTKのD4および/またはD5ドメインである。VEGF受容体ファミリーの外部ドメインでは、D1、D2、D3、D4、D5、D6、およびD7として公知の、7つのIg様ドメインがある。本発明の一実施形態では、Ig様ドメインは、VEGF受容体ファミリーのD7ドメインである。
本明細書において使用されるように、用語「触媒ドメイン」は、基質の触媒作用が起こる、酵素分子の領域を含むように意図される。たとえば、RTKの触媒ドメインは、基質として作用するRTK単量体の結合およびトランス自己リン酸化に関与する、酵素として作用するRTK単量体の残基を含む。本発明の特定の実施形態では、触媒ドメインは、図2において示されるFGFR1の赤色の領域を含む。一実施形態では、触媒ドメインは、図4において示されるFGFR1の黄色の領域を含む。
本明細書において使用されるように、語句「基質として作用する」または「基質分子」は、二量体化したRTKの一部であり、他方の受容体チロシンキナーゼ単量体(二量体化したRTKの一部であり、酵素として作用する)によってリン酸化される受容体チロシンキナーゼ単量体を含むように意図される。本明細書において使用されるように、語句「酵素として作用する」または「酵素分子」は、二量体化した受容体チロシンキナーゼの一部であり、基質として作用する他方のRTK単量体を酵素的にリン酸化するように作用するRTK単量体を含むように意図される。
同様に、本明細書において使用される用語「単量体」は、同じかまたは異なる型の第2のRTKポリペプチドと結合していない単一ポリペプチド鎖であるRTK分子を指す。本明細書において使用される用語「二量体」は、2つのRTK単量体を含む分子を指す。本明細書において使用される用語「二量体化」は、2つのRTK単量体を含む二量体分子の形成を指す。
本明細書において使用される用語「単量体状態」は、RTKの状態を指し、RTK分子は、同じかまたは異なる型の第2のRTKポリペプチドと結合していない単一ポリペプチド鎖から構成される。RTK二量体化は、トランス自己リン酸化および受容体活性化を導く。したがって、単量体状態におけるRTKは、不活性な状態である。単量体状態はまた、単一RTKの非対称性の接触境界領域が、第2のRTKの非対称性の接触境界領域とそれぞれ結合していない状態でもある。
用語、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の「外部ドメイン」は、当技術分野で周知であり、RTKの細胞外部分(part)、すなわち、形質膜の外側にあるRTKの部分(part)をいう。
本明細書において使用されるように、IV型RTKとしても公知である、用語「線維芽細胞増殖因子受容体」、「FGFR」、「FGF受容体」、または「FGFRファミリー」は、線維芽細胞増殖因子に結合するRTK受容体を含む。上記に記載されるように、これらのRTKは、それらの外部ドメインにおいて3つのIg様ドメインを有する。FGFRファミリー受容体の例は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4である。
本明細書において使用されるように、V型RTKとしても公知である、用語「血管内皮増殖因子受容体」、「VEGF受容体」、または「VEGF受容体ファミリー」は、血管内皮増殖因子に対するRTK受容体を含む。上記に記載されるように、これらのRTKは、それらの外部ドメインにおいて7つのIg様ドメインを有する。VEGFファミリー受容体の例は、VEGFR1(Flt−1としても公知である)、VEGFR2(またKDRまたはFlk−1としても公知である)、およびVEGFR3(Flt−4としても公知である)である。
用語、受容体チロシンキナーゼの外部ドメインの「膜近位領域」とは、形質膜に対して近接しており、好ましくは、リガンドとRTKとの結合に直接関与していない、RTKの細胞外部分(part)をいう。膜近位領域の例には、それだけには限定されないが、III型受容体チロシンキナーゼのD4ドメイン、III型受容体チロシンキナーゼのD5ドメイン、III型受容体チロシンキナーゼのD3−D4ヒンジ領域、III型受容体チロシンキナーゼのD4−D5ヒンジ領域、およびV型受容体チロシンキナーゼのD7ドメインが含まれる。
本明細書中で使用する用語「ホモタイプ相互作用」とは、2つの単量体受容体からの2つの同一の領域間の相互作用をいう。
本明細書中で使用する用語「ヘテロタイプ相互作用」とは、2つの単量体受容体からの2つの異なる領域間の相互作用をいう。ヘテロタイプ相互作用は、2つの異なる種類の単量体受容体の二量体化の結果、または同じ単量体受容体の野生型および変異体形態の二量体化の結果であり得る。たとえば、がん患者は、特定の受容体の野生型対立遺伝子および変異対立遺伝子を保有し得ることが当技術分野で周知である。
本明細書中で使用する「プロトマー」とは、RTKなどのオリゴマータンパク質の構造単位である。プロトマーは、定義された化学量論でアセンブルしてオリゴマーを形成し得るタンパク質サブユニットである。VEGFR受容体チロシンキナーゼファミリーは、共有結合されたホモ二量体であり、それぞれのVEGFRプロトマーは、4本のストランドのβ−シートから構成され、これは、逆平行の様式において構造に構成されており、「システインノット増殖因子」と命名されている。
語句「リガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する」とは、受容体チロシンキナーゼの活性を阻害する本発明の部分の能力をいう。言い換えれば、この語句には、不活性または非リン酸化受容体立体配置の形成に向かって平衡をシフトさせる、本発明の部分の能力が含まれる。たとえば、本発明の部分は、部分の非存在下での受容体の活性と比較して、受容体チロシンキナーゼのトランス自己リン酸化を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%阻害し得る。いくつかの実施形態では、本発明の部分は、RTKのチロシン残基のすべてのトランス自己リン酸化を阻害してもよい。たとえば、部分は、FGFR1のY653、Y583、Y463、Y766、Y585、およびY654のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。他の実施形態では、本発明の部分は、RTKの触媒コアの活性化ループ中に位置するチロシン残基のすべてのトランス自己リン酸化を阻害してもよい。たとえば、部分は、FGFR1の触媒コアの活性化ループにおける残基Y653のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。他の実施形態では、本発明の部分は、キナーゼ挿入領域中に位置するチロシン残基のすべてのトランス自己リン酸化を阻害してもよい。たとえば、部分は、FGFR1のキナーゼ挿入領域における残基Y583およびY585のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。あるいは、部分は、FGFR1のキナーゼ挿入領域における残基Y583のトランス自己リン酸化を阻害してもよいし、または部分は、FGFR1のキナーゼ挿入領域における残基Y585のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。他の実施形態では、本発明の部分は、RTKの膜近傍領域中に位置するチロシン残基のすべてのトランス自己リン酸化を阻害してもよい。たとえば、部分は、FGFR1の膜近傍領域における残基Y463のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。他の実施形態では、本発明の部分は、RTKのC末端尾部中に位置するチロシン残基のすべてのトランス自己リン酸化を阻害してもよい。たとえば、部分は、FGFR1のC末端尾部における残基Y766のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。他の実施形態では、本発明の部分は、RTKの活性化ループ中に位置するチロシン残基のすべてのトランス自己リン酸化を阻害してもよい。たとえば、部分は、FGFR1の活性化ループにおける残基Y654のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。
すべてのチロシン自己リン酸化部位のトランス自己リン酸化は、完全なRTK活性化に必要とされ、チロシン残基のトランス自己リン酸化は、特異的な順序で起こる。したがって、他の実施形態では、本発明の部分は、あるチロシン残基および続いてトランス自己リン酸化されるであろうあらゆるチロシン残基のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。たとえば、一実施形態では、部分は、残基Y583、Y463、Y766、Y585、およびY654のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。他の実施形態では、部分は、残基Y463、Y766、Y585、およびY654のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。他の実施形態では、部分は、残基Y766、Y585、およびY654のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。他の実施形態では、部分は、残基Y585およびY654のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。さらに他の実施形態では、部分は、残基Y654のトランス自己リン酸化を阻害してもよい。
本明細書において使用される用語「不活性な状態」は、RTK分子が下流のシグナル伝達を活性化することができないRTKの状態を指す。不活性な状態は、受容体チロシンキナーゼが、二量体化できるが、2つの単量体の非対称性の接触境界領域ドメイン(たとえば、IV型受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域)の間の配置、配向、コンフォメーション、および/または距離が、受容体チロシンキナーゼの活性が阻害される(たとえば、受容体のチロシントランス自己リン酸化が阻害される、および/または受容体が下流のシグナル伝達経路を活性化する能力が阻害される)ように改変されている状態であってもよい。不活性な状態はまた、上記に記載されるように、単量体の状態を含む。実施例は、RTKリガンド誘導性トランス自己リン酸化に重要であるが、受容体二量体化に重要ではない特異的な保存されたアミノ酸残基があることを示す実験についてさらに議論する。用語「不活性状態」には、本発明の部分が、部分の非存在下での受容体のトランス自己リン酸化と比較して、受容体チロシンキナーゼのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%低下または阻害し得る状態が含まれる。本明細書中に記述した機能的アッセイのうちの任意のものを使用して、受容体チロシンキナーゼのトランス自己リン酸化を阻害する本発明の部分の能力を決定し得る。一部の実施形態では、本発明の部分は、たとえば、被験体におけるほとんどまたはすべての標的RTKが不活性化されている場合に、幅広い効果を示し得る。他の実施形態では、本発明の部分は、たとえば、被験体における標的RTKの一部分が不活性化されている場合に、より狭い効果を示し得る。そのような実施形態では、前記部分の非存在下での受容体と比較して、受容体のうちの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%が不活性状態に固定されている。
本明細書中で使用する用語「コンフォメーションエピトープ」または「非直鎖状エピトープ」または「不連続エピトープ」は、互換性があるように使用され、単一のタンパク質鎖中の連続していないアミノ酸である少なくとも2つのアミノ酸から構成されるエピトープをいう。たとえば、コンフォメーションエピトープは、介在アミノ酸のストレッチによって隔てられているが、本発明の部分によって単一のエピトープとして認識されるために十分に近い、2つ以上のアミノ酸から構成されていてもよい。さらなる例として、単一のタンパク質鎖上の介在アミノ酸によって隔てられているアミノ酸、または別々のタンパク質鎖上に存在するアミノ酸は、タンパク質の構造または複合体のコンフォメーション形状が原因で近接させられて、本発明の部分によって結合され得るコンフォメーションエピトープとなり得る。特定の不連続およびコンフォメーションエピトープが本明細書中に記載されている。
当業者には、一般に、本発明の部分によって結合される直鎖状エピトープは、RTKの二次、三次、または四次構造に依存していても、していなくてもよいことが理解されよう。たとえば、一部の実施形態では、本発明の部分は、天然の三次元タンパク質構造に折り畳まれているか否かにかかわらず、アミノ酸の群と結合し得る。他の実施形態では、本発明の部分は、エピトープを構成する個々のアミノ酸残基を認識しない場合があり、エピトープを認識および結合するために特定のコンフォメーション(ベンド、ツイスト、ターンまたは折り畳み)を必要とする場合がある。
本明細書中で使用する用語「近接エピトープ」または「連続エピトープ」は、互換性があるように使用され、単一のタンパク質鎖中の連続したアミノ酸である少なくとも2つのアミノ酸から構成されるエピトープをいう。特定の近接エピトープは本明細書中に記載されている。一実施形態では、本発明の部分は、RTK上の近接エピトープと結合する。別の実施形態では、近接エピトープは、RTKの非対称性の接触境界領域中の2つ以上の残基から構成される。
本明細書中で使用する語句「疎水性アミノ酸」とは、疎水性特性を含むアミノ酸、たとえば、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アルギニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、セリン、プロリンおよび本明細書中に記載の他のものをいう。
本発明の様々な態様は、以下のサブセクション中にさらに詳述されている。
I.ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する小分子
本発明の一態様では、ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する部分は、小分子である。
本発明の一態様では、ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する部分は、小分子である。
本発明の小分子は、特定の機能的な特徴または特性によって特徴付けられる。たとえば、小分子は、RTKの非対称性の接触境界領域の特異的な残基または領域に結合する。好ましい実施形態では、非対称性の接触境界領域への小分子インヒビターの結合は、RTK単量体を、チロシンキナーゼドメインのトランス自己リン酸化および活性化を可能にする距離および配向(位置)にする移動(この後、下流のシグナル伝達経路のリクルートおよび活性化が続く)を妨げるであろう。小分子結合は、いくつかの実施形態では、受容体チロシンキナーゼが二量体化するのは可能にするが、2つの単量体の非対称性の接触境界領域ドメイン(たとえば、IV型受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域)の間の配置、配向、および/または距離に影響し、それによって、受容体チロシンキナーゼのリガンド誘導性トランス自己リン酸化および活性を阻害し得る。
用語「小分子化合物」、「小分子薬物」、「小分子」、または「小分子インヒビター」は、RTK、たとえばFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4などのようなFGFRのリガンド誘導性トランス自己リン酸化または活性を阻害することができる、本発明の化合物を指すために区別なく本明細書において使用される。これらの化合物は、PubChemデータベース(pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/)、Molecular Libraries Screening Center Network(MLSCN)データベースにおける化合物、関連するデータベースにおける化合物、またはその誘導体および/もしくは機能的類似体を含んでいてもよい。
本明細書において使用されるように、「類似体」または「機能的類似体」は、親化合物に構造的に類似しているが、組成がわずかに異なる(たとえば、1つまたは複数の原子または官能基が追加されているか、除去されているか、または修飾されている)化学化合物または小分子インヒビターを指す。類似体は、もとの化合物と異なる化学的または物理的特性を有していても、有していなくてもよく、改善された生物学的および/または化学的活性を有していても、有していなくてもよい。たとえば、類似体は、より疎水性であってもよく、またはそれは、親化合物と比較して、改変された活性(増加した、減少した、もしくは親化合物と同一の)を有していてもよい。類似体は、もとの化合物の、天然に存在するかまたは天然に存在しない(たとえば組換え)バリアントであってもよい。他のタイプの類似体は、異性体(鏡像異性体、ジアステレオマー、およびその他同種のもの)および化合物の他のタイプのキラルバリアントならびに構造異性体を含む。類似体は、直鎖状化合物の分岐バリアントまたは環状バリアントであってもよい。たとえば、直鎖状化合物は、ある種の望ましい特性を与える(たとえば、親水性または生物学的利用能を改善する)ように、分岐されたかまたは他の場合には置換された類似体を有していてもよい。
本明細書において使用されるように、「誘導体」は、親化合物に構造的に類似しており、(実際にまたは理論上)その親化合物から誘導可能である、化学化合物または小分子インヒビターの化学的または生物学的修飾バージョンを指す。親化合物が、「誘導体」を生成するための出発物質であってもよく、それに対して、親化合物が、「類似体」または「機能的類似体」を生成するために出発物質として必ずしも使用されなくてもよいという点で、「誘導体」は、「類似体」または「機能的類似体」と異なる。誘導体は、親化合物と異なる化学的または物理的特性を有していても、有していなくてもよい。たとえば、誘導体は、より親水性であってもよく、またはそれは、親化合物と比較して、改変された反応性を有していてもよい。誘導体化(つまり化学的または他の手段による修飾)は、分子内での1つまたは複数の部分の置換(たとえば官能基における変化)を含んでいてもよい。たとえば、水素は、フッ素もしくは塩素などのようなハロゲンと置換されてもよく、またはヒドロキシル基(−−OH)は、カルボン酸部分(−−COOH)と交換されてもよい。用語「誘導体」はまた、コンジュゲートおよび親化合物のプロドラッグ(つまり、生理学的条件下でもとの化合物に変換することができる化学的に修飾された誘導体)をも含む。たとえば、プロドラッグは、活性剤の不活性な形態であってもよい。生理学的条件下で、プロドラッグは、化合物の活性形態に変換されてもよい。プロドラッグは、たとえば、窒素原子上の1つまたは2つの水素原子を、アシル基(アシルプロドラッグ)またはカルバメート基(カルバメートプロドラッグ)と交換することによって形成されてもよい。プロドラッグに関するより詳細な情報は、たとえば、Fleisherら、Advanced Drug Delivery Reviews 19巻(1996年)115頁;Design of Prodrugs、H. Bundgaard(編)、Elsevier、1985年;およびH. Bundgaard、Drugs of the Future 16巻(1991年)443頁において見つけられる。用語「誘導体」はまた、すべての溶媒化合物、たとえば水和物または付加物(たとえばアルコールを用いた付加物)、活性代謝物、および親化合物の塩を記載するために使用される。調製されてもよい塩のタイプは、化合物内の部分の性質に依存する。たとえば、カルボン酸基などのような酸性基は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、および生理学的に許容できる4級アンモニウムイオンとの塩、およびアンモニアおよび生理学的に許容できる有機アミン(トリエチルアミン、エタノールアミン、またはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンなど)との酸付加塩)を形成することができる。塩基性基は、たとえば、塩酸(「HCl」)、硫酸、もしくはリン酸などのような無機酸と、または酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、もしくはp−トルエンスルホン酸などのような有機カルボン酸およびスルホン酸と、酸付加塩を形成することができる。塩基性窒素原子に加えてのカルボキシル基などのような、塩基性基および酸性基を同時に含有する化合物は、両性イオンとして存在することができる。塩は、たとえば、陽イオン交換または陰イオン交換によって、溶媒もしくは希釈剤中のまたは他の塩由来の無機または有機酸または塩基と化合物を組み合わせることによって、当業者らに公知の通常の方法によって得ることができる。
小分子は、1200以下または1000以下または900以下または800以下または700以下または600以下または500以下または400以下または300以下または200以下または100以下または50以下または25以下または10以下の分子量を有することが公知である。
本発明の小分子インヒビターは、RTK、たとえばIV型RTK、たとえばFGFRの非対称性の接触境界領域に結合するように選択または設計される。いくつかの実施形態では、小分子インヒビターは、ヒトFGFR1、ヒトFGFR2、ヒトFGFR3、またはヒトFGFR4の非対称性の接触境界領域に結合するように選択または設計され、それによって、トランス自己リン酸化して活性になる、たとえば、細胞内シグナル伝達経路を活性化する受容体の能力を阻害する。他の実施形態では、小分子インヒビターは、FGF受容体の非対称性の接触境界領域に対して相同性を共有するドメインに結合するように選択される。たとえば、本発明の小分子は、RTKの非対称性の接触境界領域、たとえばFGFR1の非対称性の接触境界領域と少なくとも50%同一の、少なくとも60%同一の、少なくとも70%同一の、少なくとも80%同一の、少なくとも90%同一の、または少なくとも95%もしくは99%同一のドメインに向けられてもよい。そのような小分子は、たとえば、FGFRの非対称性の接触境界領域に機能的に類似しているタンパク質ドメインに結合することができるであろう。
本発明の小分子インヒビターはまた、RTK、たとえばヒトFGFRまたはヒトIV型RTKの非対称性の接触境界領域に由来する特定のモチーフまたはコンセンサス配列に結合し、小分子インヒビターが、RTKファミリーのメンバー、たとえば、RTKのヒトIV型ファミリーのメンバーの中で共有されるドメインに特異的に結合することを可能にしてもよい。
他の実施形態では、小分子インヒビターは、タンパク質の3次元構造を表すタンパク質モチーフまたはコンセンサス配列に結合する。そのようなモチーフまたはコンセンサス配列は、近接する一連のアミノ酸を表わさないが、RTKの三次元フォールディングに起因する非直鎖状アミノ酸の構成(つまり構造モチーフ)を表すであろう。そのようなモチーフの例は、FGF受容体の非対称性の接触境界領域の直鎖状領域に基づいて設計されるモチーフであろう。そのようなモチーフおよびコンセンサス配列は、抗体に関するセクションにおいて議論される方法に従って設計されてもよい。
重要なことには、本発明の小分子インヒビターは、線維芽細胞増殖因子受容体の触媒ドメインのヌクレオチド結合部位に結合しない。
他の実施形態では、本発明の小分子インヒビターは、RTK上の近接エピトープに結合する。本明細書において使用されるように、用語「エピトープ」は、小分子が結合してもよいRTKの残基、モチーフ、部位、またはドメインを含むように意図される。一実施形態では、近接エピトープは、RTKの非対称性の接触境界領域における2つ以上の残基から構成される。他の実施形態では、近接エピトープは、RTKの単量体のβ1−β2ループ、RTKの単量体のβ3−αCループ、RTKの単量体のβ4−B5ループ、RTKの単量体のαD−αEループ、RTKの単量体のαFヘリックス、およびRTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択されるエピトープである。
さらなる実施形態では、本発明の小分子インヒビターは、RTKの変異体の非対称性の接触境界領域に特異的に結合するように選択または設計される。好ましい実施形態では、変異体RTKは、腫瘍形成性変異体または腫瘍発生性変異体である。特定の一実施形態では、小分子インヒビターは、腫瘍発生性FGFR変異体に結合するように選択または設計される。本発明の小分子によって標的にされてもよいRTK変異体は、FGFR1の以下の1つまたは複数のアミノ酸:R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、またはP705において変異を有する線維芽細胞増殖因子受容体を含むが、これらに限定されない。本発明の方法は、FGFRにおける他の変異または他のRTKにおける変異に適用可能であろうということが当業者によって十分に理解されるはずである。変異体RTKを標的にすることの1つの利点は、治療用小分子が、変異を含有する細胞上のRTKにのみ結合し、健康な細胞にはほとんどまたは全く作用を与えない可能性があるということである。したがって、変異が腫瘍形成性変異である例では、腫瘍細胞のみを療法のために標的にし、副作用および投薬の必要量を低下させる可能性がある。
いくつかの実施形態では、小分子は、ヒトFGFR、たとえば、FGFR1の残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、またはP705の特異的配列に結合する。好ましい実施形態では、本発明の小分子は、非対称性の接触境界領域の小さな空洞またはポケットを構成する、FGF受容体における1つまたは複数の残基に結合してもよい。たとえば、本発明の小分子は、RTKの一方の単量体のβ1−β2ループ、RTKの一方の単量体のβ3−αCループ、RTKの一方の単量体のβ4−B5ループ、RTKの一方の単量体のαD−αEループ、RTKの一方の単量体のαFヘリックス、およびRTKの一方の単量体のαF−αGループにおける1つまたは複数の以下の残基に結合してもよい。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の小分子は、近接するアミノ酸残基または近接しないアミノ酸残基に結合してもよく、チロシンキナーゼ活性化を可能にするRTKのトランス自己リン酸化に必要とされる挙動を妨げる分子的ウェッジとして機能してもよい。本発明の小分子はまた、ホモタイプのRTK相互作用を妨げるか、または非対称性の接触境界領域を不安定にするために作用してもよい。当業者は、いくつかの実施形態では、本発明の小分子が、他のIV型RTKにおける対応する残基、たとえば、類似するポケットもしくは空洞を形成する残基、または構造アライメントもしくは配列アライメントによって同じ位置にある残基を容易に標的にし得ることを十分に理解するであろう。
特定の実施形態では、本発明の小分子は、IV型RTK上のコンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープに結合する。コンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープは、IV型RTK、たとえばヒトFGFR由来の非対称性の接触境界領域由来の2つ以上の残基から構成されてもよい。たとえば、コンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープは、FGFR1の残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705の2つ以上から構成されてもよい。特定の実施形態では、本発明の小分子は、RTKの一方の単量体のβ1−β2ループ、RTKの一方の単量体のβ3−αCループ、RTKの一方の単量体のβ4−B5ループ、RTKの一方の単量体のαD−αEループ、RTKの一方の単量体のαFヘリックス、およびRTKの一方の単量体のαF−αGループからなる群より選択される、RTKの領域における2つ以上のアミノ酸から構成されるコンフォメーションエピトープに結合する。上記に示されるように、本発明の小分子は、RTKの非対称性の接触境界領域において同定されるポケットもしくは空洞を形成するアミノ酸残基のすべてに結合してもよいし、それらは、ポケットもしくは空洞を形成する残基のサブセットに結合してもよい。ある実施形態では、エピトープ、たとえばコンフォメーションエピトープに結合する本発明の小分子が言及される場合、小分子が、エピトープを構成する特異的な残基(たとえば非対称性の接触境界領域のポケットまたは空洞)にのみ結合し、受容体の直鎖状アミノ酸配列における他の残基に結合しないことが意図されることが理解されたい。
他の実施形態では、本発明の小分子は、ヒトFGFR2のアミノ酸残基Arg579もしくはArg580、またはFGFR3もしくはFGFR4における対応する残基に結合する。ヒトFGFR2の残基Arg579またはArg580は、FGFR1の残基Arg576と類似性であり、FGFR2の非対称性の接触境界領域の一部である。他の実施形態では、小分子は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する。図9および12において示される構造ベースの配列アライメントは、非対称性の接触形成に関与する残基を示し、これらの残基はFGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4において保存されている。したがって、本発明の一実施形態では、小分子は、FGFR3またはFGFR4における等価な残基に結合する。本発明の小分子は、トランス自己リン酸化に不可欠なIV型RTKの非対称性の接触境界領域の間の重要なホモタイプの相互作用(塩橋など)を妨げることによって、受容体活性化に対してそれらの阻害効果を及ぼしてもよい。本発明の小分子は、トランス自己リン酸化を妨げるが、RTK、たとえばFGFRの二量体化を可能にしてもよい。構造ベースの配列アライメントは、活性なFGFR1およびFGFR2の両方の構造において見つけられる非対称性の接触境界領域の形成に関与する残基の保存を示した(図9A)。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の小分子は、IV型RTKの非対称性の接触境界領域の保存された領域を標的にしてもよい。
好ましい実施形態では、本発明の小分子は、高度な親和性で、たとえば、1×10−7M以下のKD、5×10−8M以下のKD、1×10−8M以下のKD、5×10−9M以下のKD、または1×10−8M〜1×10−10M以下のKDの親和性で、RTK、たとえばFGFRの非対称性の接触境界領域に結合する。
本発明の小分子インヒビターは、当技術分野において公知のいくつかの方法によって作製されても、選択されてもよい。スクリーニング法は、RTKの所望の非対称性の接触境界領域に結合する、ライブラリー由来の小分子を同定するために使用することができる。ある方法、Chemetics(登録商標)(Nuevolutions)は、選択を容易にするために、ライブラリーにおけるそれぞれの分子にDNAタグを使用する。Chemetics(登録商標)システムは、標的結合についての何百万もの化合物のスクリーニングを可能にする。小分子ライブラリーおよびタグベースのスクリーニングに関する特許は、それらの全体が参照によって本明細書において組み込まれる米国特許出願第20070026397号;第20060292603号;第20060269920号;第20060246450号;第20060234231号;第20060099592号;第20040049008号;第20030143561号である。
RTK、たとえばFGFRの所望の非対称性の接触境界領域に結合する、ライブラリー由来の小分子を同定するために使用されてもよい他の周知の方法は、ライブラリーメンバーが同定可能な標識によってタグ付けされたライブラリーを利用する方法を含む(すなわち、標識の同定がタグを付けられた分子の構造を示すように、ライブラリー中に存在するそれぞれの標識が、ライブラリー中に存在する個々の化合物構造と関連する)。タグを付けられたライブラリーに対する1つのアプローチは、たとえば、それぞれの全内容が、それらの全体として参照によって本明細書において組み込まれるPCT公開WO 2005/058479 A2(Direct Select(商標)技術)ならびに米国特許第5,573,905号;第5,708,153号;第5,723,598号、第6,060,596号、公開されたPCT出願WO 93/06121;WO 93/20242;WO 94/13623;WO 00/23458;WO 02/074929、およびWO 02/103008ならびにBrennerおよびLerner(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89巻、5381〜5383頁(1992年));NielsenおよびJanda(Methods: A Companion to Methods in Enzymology 6巻、361〜371頁(1994年));およびNielsen、Brenner、およびJanda(J. Am. Chem. Soc. 115巻、9812〜9813頁(1993年))において記載されるように、オリゴヌクレオチドタグを利用する。そのようなタグは、たとえば、タグの多くのコピーを産生し、配列決定によってタグを同定するために、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して増幅することができる。次いで、タグの配列は、結合分子の構造を同定し、これは、純粋な形態で合成し、活性について試験することができる。
コンビナトリアルケミカルライブラリーの調製およびスクリーニングは、当業者らに周知である。本発明の部分を同定するために使用されてもよいそのようなコンビナトリアルケミカルライブラリーは、ペプチドライブラリーを含むが、これらに限定されない(たとえば、米国特許第5,010,175号、Furka、 Int. J. Pept. Prot. Res. 37巻:487 493頁(1991年)、およびHoughtonら、Nature 354巻:84 88頁(1991年)を参照されたい)。化学的多様性ライブラリーを生成するための他の化学的物質は、当技術分野において周知であり、使用することができる。そのような化学的物質は、ペプトイド(たとえばPCT公開WO 91/19735)、コードペプチド(たとえばPCT公開WO 93/20242)、ランダムバイオオリゴマー(たとえばPCT公開WO 92/00091)、ベンゾジアゼピン(たとえば米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、およびジペプチドなどのようなダイバーソマー(diversomer)(Hobbsら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90巻:6909 6913頁(1993年))、ビニローグポリペプチド(Hagiharaら、J. Amer. Chem. Soc. 114巻:6568頁(1992年))、グルコース骨格を有する非ペプチド性(nonpeptidal)ペプチド模倣体(Hirschmannら、J. Amer. Chem. Soc. 114巻:9217 9218頁(1992年))、類似有機合成の小さな化合物のライブラリー(Chenら、J. Amer. Chem. Soc. 116巻:2661頁(1994年))、オリゴカルバメート(Choら、Science 261巻:1303頁(1993年))、ならびに/またはペプチジルホスホネート(Campbellら、J. Org. Chem. 59巻:658頁(1994年))、核酸ライブラリー(Ausubel、Berger、およびRussell & Sambrookを参照されたい、すべて前掲)、ペプチド核酸ライブラリー(たとえば米国特許第5,539,083号を参照されたい)、炭水化物ライブラリー(たとえばLiangら、Science 274巻:1520 1522頁(1996年)および米国特許第5,593,853号を参照されたい)、小さな有機分子のライブラリー(たとえば、ベンゾジアゼピン、Baum C&EN、1月18日、33頁(1993年);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノンおよびメタチアザノン(metathiazanone)、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および同第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号、ならびにその他同種のものを参照されたい)を含むが、これらに限定されない。先の刊行物はそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。公的なデータベース、たとえばPubChem(pubchem.ncbi.nlm.nih.gov)、Zinc(IrwinおよびShoichet(2005年)J. Chem. Inf. Model. 45巻(1号):177〜82頁)、ならびにChemBank(Seilerら(2008年)Nucleic Acids Res. 36巻(Database issue):D351−D359)もまた、利用可能であり、一般に、小分子スクリーニングのために使用される。
コンビナトリアルライブラリーの調製のためのデバイスは、市販で入手可能である(たとえば357 MPS、390 MPS、Advanced Chem Tech、Louisville Ky.、Symphony、Rainin、Woburn、Mass.、433A Applied Biosystems、Foster City、Calif.、9050 Plus、Millipore、Bedford、Mass.を参照されたい)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリーが、それら自体、市販で入手可能である(たとえばComGenex、Princeton、N.J.、Tripos,Inc.、St.Louis、Mo.、3D Pharmaceuticals、Exton、Pa.、Martek Biosciences、Columbia、Md.、などを参照されたい)。さらに、スクリーニング方法は、非常に十分に定義されているので、目的の標的に対する特定の化合物を同定するために専門の会社と契約することは一般的である(たとえばBioFocus DPI(biofocus.com)およびQuantum Lead(q−lead.com))。
当技術分野において周知であり、本発明の方法に適用されてもよい小分子を選択するための他の方法は、すべてそれらの全体で参照によって本明細書に組み込まれるHuangおよびStuart L. Schreiber(1997年)Proc Natl Acad Sci U S A. 94巻(25号):13396〜13401頁;Hungら(2005年)Science 310巻:670〜674頁;Zhangら(2007年)Proc Natl Acad Sci 104巻:4606〜4611頁;またはGordon(2007年)ACS Chem. Biol. 2巻:9〜16頁において概説される方法のいずれかである。
実験的なスクリーニング方法に加えて、本発明の小分子は、仮想スクリーニング方法を使用して選択されてもよい。仮想スクリーニング技術は、統計分析およびタンパク質ドッキングシミュレーションを使用して、ライブラリー由来のどの小分子が、タンパク質またはその中の特異的なエピトープに結合するかを予測する。最も一般には、仮想スクリーニング方法は、タンパク質の三次元構造をライブラリーにおける小分子の三次元構造と比較する。水素結合、静電力、およびファンデルワールス相互作用を含む、原子の間の結合エネルギーをシミュレートするアルゴリズムを用いることが一般的であるが、タンパク質−分子相互作用をモデル化するための異なる戦略が、使用される。典型的に、仮想スクリーニング方法は、100万を超える化合物のライブラリーをスキャンし、おそらく強力な結合物であろう小分子の短いリストを返すことができる。本発明の小分子を同定するために使用されてもよい技術を詳述する、仮想スクリーニング方法のいくつかの概説が、入手可能である(Engelら(2008年)J. Am. Chem. Soc., 130巻(15号)、5115〜5123頁;McInnes(2007年). Curr Opin Chem Biol. Oct;11巻(5号):494〜502頁;Reddyら(2007年)Curr Protein Pept Sci. 8月;8巻(4号):329〜51頁;MueggeおよびOloff(2006年)Drug Discovery Today, 3巻(4号):405〜411頁;Kitchenら(2004年)Nature Reviews Drug Discovery 3巻、935〜949頁)。小分子スクリーニングのさらなる例は、参照によって本明細書に組み込まれるU.S.2005/0124678において見つけることができる。
本発明の小分子は、下記の表において示される骨格構造のうちの1つを含有してもよい。表中に引用される参考文献は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。基R1、R2、R3およびR4は、それらが、示される反応に干渉したり、有意に阻害したりするべきではないという点でのみ制限され、水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換アリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、置換アミノ、および当技術分野において公知の他のものを含むことができる。適した置換基は、アルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、ニトロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アリールオキシ、アリール−S−、ハロゲン、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、シアノ、シアネート、ニトリル、イソシアネート、チオシアネート、カルバミル、および置換カルバミルを含むが、これらに限定されない。
II.ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合するペプチド性分子
本発明の他の態様では、ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する部分は、ペプチド性分子である。ペプチド性分子は、RTKの非対称性の接触境界領域またはそのようなドメインに由来するコンセンサス配列に基づいて設計されてもよい。
本発明の他の態様では、ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する部分は、ペプチド性分子である。ペプチド性分子は、RTKの非対称性の接触境界領域またはそのようなドメインに由来するコンセンサス配列に基づいて設計されてもよい。
一実施形態では、本発明のペプチド性部分は、タンパク質ドメイン全体、たとえば、FGFR1の非対称性の接触境界領域全体を含むドメインを含んでいてもよい。そのようなペプチド性分子は、RTKに結合し、RTKのトランス自己リン酸化および活性化を妨げることによってアンタゴニストとして作用する。いくつかの実施形態では、本発明のペプチド性部分は、IV型RTKなどのようなRTKのドメインに対してわずか50%ほどの同一性を有していてもよい。たとえば、本発明のペプチド性部分は、RTKの非対称性の接触境界領域ドメインまたはその一部と少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であってもよい。特定の実施形態では、本発明のペプチド性部分は、ヒトFGFR1のアミノ酸残基576〜594またはヒトFGFR1の579〜597と少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である。
いくつかの実施形態では、本発明のペプチド性部分は、ヒトFGFRの特異的配列、たとえば、FGFR1の残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705に結合するかまたはそれを含む。他の実施形態では、本発明のペプチド性部分は、ヒトFGFR1の領域、たとえば、FGFR1の一方の単量体のβ1−β2ループ、FGFR1の一方の単量体のβ3−αCループ、FGFR1の一方の単量体のβ4−B5ループ、FGFR1の一方の単量体のαD−αEループ、FGFR1の一方の単量体のαFヘリックス、およびFGFR1の一方の単量体のαF−αGループの特異的な残基に結合するかまたはそれを含む。
好ましい実施形態では、本発明のペプチド性部分は、非対称性の接触境界領域の小さな空洞またはポケットを構成する、FGFRにおける1つまたは複数の残基に結合してもよい(またはそれを含んでいても、それからなってもよい)。たとえば、本発明のペプチド性分子は、ヒトFGFR1の非対称性の接触境界領域における1つまたは複数の以下の残基:FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705に結合してもよい(またはそれを含んでいても、それからなってもよい)。
本発明のペプチド性部分は、近接するアミノ酸残基または近接しないアミノ酸残基に結合し、チロシンキナーゼ活性化を可能にする距離および配向でのRTKの非対称性の接触境界領域の配置に必要とされるリガンド誘導性トランス自己リン酸化を妨げる分子的ウェッジとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、部分は、RTKの触媒ドメインのヌクレオチド結合部位に関与しない。他の実施形態では、本発明のペプチド性分子は、ホモタイプの受容体相互作用を妨げるかまたはリガンド受容体相互作用部位を不安定にするために作用してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、本発明のペプチド性分子は、ヒトFGFR1上の1つまたは複数の以下の残基:R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、またはP705に結合してもよい(またはそれを含んでいても、それからなってもよい)。本発明のペプチド性部分は、非対称性の接触境界領域のポケットまたは空洞を形成するアミノ酸残基のすべてに結合してもよく(もしくはそれを含んでいても、それからなってもよい)、またはそれらは、ポケットもしくは空洞を形成する残基のサブセットに結合してもよい(もしくはそれを含んでいても、それからなってもよい)。当業者は、いくつかの実施形態では、本発明のペプチド性分子が、他のIV型RTKにおける対応する残基、たとえば、類似するポケットもしくは空洞を形成する残基または構造アライメントもしくは配列アライメントによって同じ位置にある残基を容易に標的にしてもよいことを十分に理解するであろう。
特定の実施形態では、本発明のペプチド性分子は、IV型RTK上のコンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープに結合する。コンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープは、IV型RTK、たとえばヒトFGFR、たとえばヒトFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4受容体由来の非対称性の接触境界領域由来の2つ以上の残基から構成されてもよい。たとえば、コンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープは、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される2つ以上の残基から構成されてもよい。特定の実施形態では、本発明のペプチド性分子は、RTKの一方の単量体のβ1−β2ループ、RTKの一方の単量体のβ3−αCループ、RTKの一方の単量体のβ4−B5ループ、RTKの一方の単量体のαD−αEループ、RTKの一方の単量体のαFヘリックス、およびRTKの一方の単量体のαF−αGループからなる群より選択される、RTKの領域の2つ以上のアミノ酸から構成されるコンフォメーションエピトープに結合する。
他の実施形態では、本発明のペプチド性部分は、RTK、たとえばFGFR、たとえばFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4上の近接エピトープに結合する。一実施形態では、近接エピトープは、線維芽細胞増殖因子受容体の非対称性の接触境界領域における2つ以上の残基から構成される。他の実施形態では、近接エピトープは、RTKの単量体のβ1−β2ループ、RTKの単量体のβ3−αCループ、RTKの単量体のβ4−B5ループ、RTKの単量体のαD−αEループ、RTKの単量体のαFヘリックス、およびRTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択されるエピトープである。
他の実施形態では、本発明のペプチド性分子は、ヒトFGFR2のアミノ酸残基Arg579もしくはArg580またはFGFR3もしくはFGFR4における対応する残基に結合する。ヒトFGFR2の残基Arg579またはArg580は、FGFR1の残基Arg576と類似性があり、FGFR2の非対称性の接触境界領域の一部である。他の実施形態では、本発明のペプチド性分子は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、本発明のペプチド性分子は、FGFR3またはFGFR4における等価なアミノ酸残基に結合する。本発明のペプチド性分子は、リガンド誘導性トランス自己リン酸化およびチロシンキナーゼ活性化にとって不可欠な距離および配向でキナーゼ二量体の配置をするのに不可欠である、IV型RTKの非対称性の接触境界領域の間の重要なホモタイプの相互作用(塩橋など)を妨げることによって、受容体活性化に対してそれらの阻害効果を及ぼしてもよい。本発明のペプチド性分子は、トランス自己リン酸化を妨げるが、RTK、たとえばFGFRの二量体化を可能にしてもよい。構造ベースの配列アライメントは、活性なFGFR1およびFGFR2の両方の構造において見つけられる非対称性の接触境界領域の形成に関与する残基の保存を示した(図9A)。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のペプチド性分子は、IV型RTKの非対称性の接触境界領域の保存された領域を標的にしてもよい(図12もまた、参照されたい)。
本発明のペプチド性部分は、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705などのような、本明細書において同定されるアミノ酸配列のいずれかを含むかまたはそれからなるペプチドであってもよい。たとえば、本発明のペプチド性部分は、RTKの以下の領域:RTKの一方の単量体のβ1−β2ループ、RTKの一方の単量体のβ3−αCループ、RTKの一方の単量体のβ4−B5ループ、RTKの一方の単量体のαD−αEループ、RTKの一方の単量体のαFヘリックス、およびRTKの一方の単量体のαF−αGループのいずれかを含むかまたはそれからなるペプチドであってもよい。
本発明のペプチド分子は、その安定性、生物学的利用能、または溶解性を増加させるためにさらに修飾されてもよい。たとえば、ペプチド性分子内の1つまたは複数のL−アミノ酸残基は、D−アミノ酸残基と交換されてもよい。本発明のペプチド性分子に適用される用語「模倣体」は、D−ペプチド性構造の化学構造を模倣しており、かつD−ペプチド性構造の機能的な特性を保持する分子を含むように意図される。用語「模倣体」は、下記に記載されるペプチドの「類似体」および/または「誘導体」を包含するようにさらに意図される。ペプチドアナログ、誘導体、および模倣体の設計に対するアプローチは、当技術分野において公知である。たとえば、Farmer, P.S. Drug Design(E.J. Ariens編)Academic Press、New York、1980年、10巻、119〜143頁;Ball. J.B.およびAlewood, P.F.(1990年)J. Mol. Recognition 3巻:55頁;Morgan, B.A.およびGainor, J.A.(1989年)Ann. Rep. Med. Chem. 24巻:243頁;ならびにFreidinger, R.M.(1989年)Trends Pharmacol. Sci. 10巻:270頁を参照されたい。Sawyer, T.K.(1995年)「Peptidomimetic Design and Chemical Approaches to Peptide Metabolism」Taylor, M.D. およびAmidon, G.L.(編)Peptide−Based Drug Design: Controlling Transport and Metabolism、第17章;Smith, A.B. 3rdら(1995年)J. Am. Chem. Soc. 117巻:11113〜11123頁;Smith, A.B. 3rdら(1994年)J. Am. Chem. Soc. 116巻:9947〜9962頁;およびHirschman, R.ら(1993年)J. Am. Chem. Soc. 115巻:12550〜12568頁もまた、参照されたい。
本明細書において使用されるように、本発明のペプチド性分子の「誘導体」は、分子上の1つまたは複数の反応基が置換基により誘導体化されたペプチド性分子の形態を指す。ペプチド誘導体の例は、アミノ酸側鎖、ペプチド主鎖、またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端が誘導体化されたペプチド(たとえばメチル化されたアミド連結を有するペプチド性化合物)を含む。本明細書において使用されるように、本発明のペプチド性分子の「類似体」は、上記分子と異なるある種の化学構造もまた含有するが、上記分子の機能的な活性に必要な上記分子の化学構造をなお保持するペプチド性分子を指す。天然に存在するペプチドの類似体の例は、1つまたは複数の天然に存在しないアミノ酸を含むペプチドである。本明細書において使用されるように、本発明のペプチド性分子の「模倣体」は、上記分子の機能的な活性に必要な上記分子の化学構造が、上記分子のコンフォメーションを模倣する他の化学構造と交換されているペプチド性分子を指す。ペプチド模倣体の例は、ペプチド主鎖が1つまたは複数のベンゾジアゼピン分子により置換されているペプチド性化合物を含む(たとえばJames, G.L.ら(1993年)Science 260巻:1937〜1942頁を参照されたい)。
本発明のペプチド性分子の類似体は、分子の特性が維持されるように、ペプチド性構造の1つまたは複数のL−またはD−アミノ酸が相同アミノ酸により置換されている分子を含むように意図される。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、1つまたは複数のアミノ酸残基でなされる。「保存的アミノ酸置換」は、類似する側鎖を有するアミノ酸残基とアミノ酸残基が交換される置換である。塩基性側鎖(たとえばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(たとえばアスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(たとえばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(たとえばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(たとえばトレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(たとえばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。本発明のペプチド性分子の構造においてなすことができる相同置換の非限定的な例は、D−チロシン、D−ピリジルアラニン、もしくはD−ホモフェニルアラニンとのD−フェニルアラニンの置換、D−バリンまたは脂肪族側鎖を有する他の天然もしくは非天然アミノ酸とのD−ロイシンの置換、ならびに/またはD−ロイシンまたは脂肪族側鎖を有する他の天然もしくは非天然アミノ酸とのD−バリンの置換を含む。
模倣体、特にペプチド模倣体という用語は、同配体を含むように意図される。本明細書において使用されるような用語「同配体」は、第1の構造の立体的なコンフォメーションが第2の構造に特異的な結合部位と適合するために、第2の化学構造と置換することができる化学構造を含むように意図される。この用語は、特に、当業者らに周知のペプチド主鎖修飾(つまりアミド結合模倣体)を含む。そのような修飾は、アミド窒素、α−炭素、アミドカルボニル、アミド結合の完全交換、伸長、欠失、または主鎖架橋の修飾を含む。Ψ[CH2S]、Ψ[CH2NH]、Ψ[CSNH2]、Ψ[NHCO]、Ψ[COCH2]、およびΨ[(E)または(Z) CH=CH]を含む、いくつかのペプチド主鎖修飾が、公知である。上記に使用される命名法では、Ψは、アミド結合の不在を示す。アミド基に取って代わる構造は、括弧内に指定される。
他の可能な修飾は、N−アルキル(もしくはアリール)置換(Ψ[CONR])またはラクタムおよび他の環状構造を構築するための主鎖架橋を含む。本発明の調節因子化合物の他の誘導体は、C末端ヒドロキシメチル誘導体、O修飾誘導体(たとえばC末端ヒドロキシメチルベンジルエーテル)、アルキルアミドおよびヒドラジドなどのような置換アミドを含むN末端修飾誘導体を含む。
本発明のペプチド性分子は、当技術分野において公知の標準的な方法によって作製されてもよい。ペプチド性分子、たとえばRTKの非対称性の接触境界領域は、標準的な技術を使用して、ヒト細胞からクローニングされ、組換えベクター中に挿入され、in vitro細胞系において発現されてもよい(たとえば酵母細胞の中へのベクターのトランスフェクションによって)。その代わりに、ペプチド性分子は、Athertonら(1989年)Oxford、England:IRL Press. ISBN 0199630674;Stewartら(1984年)第2版、Rockford:Pierce Chemical Company, 91巻. ISBN 0935940030;Merrifield(1963年)J. Am. Chem. Soc. 85巻:2149〜2154頁などのような公知の合成方法を介して、設計され、新たに合成されてもよい。
次いで、ペプチド性分子を、本明細書において記載されるアッセイのいずれか、たとえば、下記の実施例の部において記載されるものを使用して、機能的な活性について試験することができる。
III.ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する抗体
本発明の一態様では、ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する部分は、イントラボディなどのような、細胞に入ることができる抗体またはその抗原結合性断片である。
本発明の一態様では、ヒト受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する部分は、イントラボディなどのような、細胞に入ることができる抗体またはその抗原結合性断片である。
本明細書において言及される用語「抗体」は、抗体全体およびその任意の抗原結合性断片(つまり「抗原結合性一部分」)または単鎖を含む。用語「抗体」は、イントラボディなどのような細胞内抗体を含む。「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互につながれた少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖またはその抗原結合性一部分を含む糖タンパク質を指す。重鎖はそれぞれ、重鎖可変領域(VHと本明細書において省略される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3から構成される。軽鎖はそれぞれ、軽鎖可変領域(VLと本明細書において省略される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成される。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される保存された領域に散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分することができる。VHおよびVLはそれぞれ、以下の順序で、アミノ末端からカルボキシ末端に配置される、3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(たとえばエフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(Clq)を含む宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介してもよい。
本明細書において使用される、抗体の「抗原結合性一部分」(または単に「抗体一部分」)という用語は、抗原(たとえばRTKの非対称性の接触境界領域)に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合性機能は、完全長抗体の断片によって実行することができることが示されている。抗体の用語「抗原結合性一部分」内に包含される結合性断片の例は、(i)Fab断片、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)本質的に、ヒンジ領域の一部を有するFabであるFab’断片(FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY(Paul編、第3版 1993年)を参照されたい);(iv)VHおよびCH1のドメインからなるFd断片;(v)抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片、(vi)VHドメインからなるdAb断片(Wardら、(1989年)Nature 341巻:544〜546頁);(vii)単離された相補性決定領域(CDR);ならびに(viii)単一の可変ドメインおよび2つの定常ドメインを含有する重鎖可変領域ナノボディ(nanobody)を含む。さらに、Fv断片の2つのドメイン(VLおよびVH)は、別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、VL領域およびVH領域が対になって一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にする合成リンカーによって、組換え法を使用してつなぐことができる(単鎖Fv(scFv)として公知;たとえばBirdら(1988年)Science 242巻:423〜426頁;およびHustonら(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻:5879〜5883頁を参照されたい)。そのような単鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合性一部分」という用語内に包含されるように意図される。これらの抗体断片は、当業者らに公知の従来の技術を使用して得られ、断片は、完全な抗体と同じ方法において有用性についてスクリーニングされる。
本明細書において使用される「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すように意図される(たとえば、RTKの非対称性の接触境界領域に特異的に結合する単離抗体は、RTKの非対称性の接触境界領域以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。さらに、単離抗体は、他の細胞性の物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。しかしながら、「単離抗体」は、たとえばRTKの非対称性の接触境界領域に、すべてが特異的に結合するポリクローナル抗体を含んでいてもよい。
本明細書中で使用する用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、単一の分子組成の抗体分子の調製物をいう。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。
本明細書中で使用する用語「ヒト抗体」には、フレームワークおよびCDR領域がどちらもヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体が含まれることを意図する。さらに、抗体が定常領域を含有する場合は、定常領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(たとえば、in vitroのランダムもしくは部位特異的変異誘発、またはin vivoの体細胞変異によって導入された変異)が含まれ得る。しかし、本明細書中で使用する用語「ヒト抗体」には、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体が含まれることを意図しない。
用語「ヒトモノクローナル抗体」とは、フレームワークおよびCDR領域がどちらもヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する、単一の結合特異性を示す抗体をいう。一実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞と融合させたヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、たとえばトランスジェニックマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
本明細書中で使用する用語「組換えヒト抗体」には、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックもしくはトランス染色体(transchromosomal)である動物(たとえばマウス)またはそれから調製したハイブリドーマ(以下にさらに記載)から単離された抗体、(b)ヒト抗体を発現するように形質転換させた宿主細胞、たとえばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製または単離された抗体などの、組換え手段によって調製、発現、作製または単離されたすべてのヒト抗体が含まれる。そのような組換えヒト抗体は、フレームワークおよびCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかし、特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体をin vitro変異誘発(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックな動物を使用する場合はin vivoの体細胞性変異誘発)に供することができ、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVHおよびVL配列に由来し、それに関連する一方で、in vivoのヒト抗体の生殖系列のレパートリー中に天然では存在しないであろう配列である。
本明細書中で使用する「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされている抗体クラス(たとえばIgMまたはIgG1)をいう。
語句「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」は、本明細書中で用語「抗原と特異的に結合する抗体」と互換性があるように使用される。
用語「ヒト抗体誘導体」とは、ヒト抗体の任意の改変された形態、たとえば、抗体と別の薬剤または抗体とのコンジュゲートをいう。
用語「ヒト化抗体」とは、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体をいうことを意図する。さらなるフレームワーク領域の改変をヒトフレームワーク配列内に行い得る。当業者には、配列が特定の種に「由来する」場合、前記配列は、可変領域アミノ酸がマウス抗体からとられる場合などのように、タンパク質配列であり得るか、または、前記配列は、可変領域をコードしている核酸がマウスDNAからとられる場合などのように、DNA配列であり得ることが理解されよう。また、ヒト化抗体は、ヒトおよび非ヒト(たとえばマウスまたはウサギ)の抗体の公知の配列に基づいて設計してもよい。設計した抗体(ヒトおよび非ヒト残基をどちらも組み込む可能性がある)を、化学合成できる。また、配列をDNAレベルで合成し、in vitroまたはin vivoで発現させて、ヒト化抗体を作製してもよい。
用語「キメラ抗体」とは、可変領域の配列がマウス抗体に由来し、定常領域の配列がヒト抗体に由来する抗体などの、可変領域の配列が1つの種に由来し、定常領域の配列が別の種に由来する抗体をいうことを意図する。
用語「抗体模倣体」または「抗体擬態物」とは、抗原と結合する抗体の能力を模倣することができる分子をいうことを意図し、これらは、ネイティブの抗体構造に限定されない。そのような抗体模倣体の例には、それだけには限定されないが、アドネクチン(すなわち、フィブロネクチンに基づいた結合分子)、アフィボディ、DARPin、アンチカリン(Anticalin)、アビマー、およびバーサボディ(Versabody)が含まれ、これらのすべては、伝統的な抗体結合を模倣する一方で、明白に異なる機構を介して産生されて機能する結合構造を用いる。本発明の実施形態は、抗体またはその抗原結合性一部分に向けられているため、上述の抗体模倣体にも適用される。
本明細書中で使用する、RTKの非対称性の接触境界領域「と特異的に結合する」抗体とは、1×10−7M以下、より好ましくは5×10−8M以下、より好ましくは1×10−8M以下、より好ましくは5×10−9M以下のKDでRTKの非対称性の接触境界領域ドメインと結合する抗体をいうことを意図する。
本明細書中で使用する用語、タンパク質または細胞「と実質的に結合しない」とは、タンパク質または細胞と結合しないか、または高い親和性で結合しない、すなわち、タンパク質または細胞と1×10−6M以上、より好ましくは1×10−5M以上、より好ましくは1×10−4M以上、より好ましくは1×10−3M以上、さらにより好ましくは1×10−2M以上のKDで結合することを意味する。
本明細書中で使用する用語「K会合」または「Ka」とは、特定の抗体−抗原の相互作用の会合速度をいうことを意図する一方で、本明細書中で使用する用語「K解離」または「Kd」とは、特定の抗体−抗原の相互作用の解離速度をいうことを意図する。本明細書中で使用する用語「KD」とは、Kd対Kaの比(すなわちKd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される、解離定数をいうことを意図する。抗体のKD値は、当分野の十分に確立された方法を使用して決定することができる。抗体のKDを決定するための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴を使用すること、好ましくはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによるものである。
本明細書中で使用する、IgG型抗体に言及する場合の用語「高親和性」とは、RTKの非対称性の接触境界領域ドメインに対して10−8M以下、より好ましくは10−9M以下、さらにより好ましくは10−10M以下のKDを有する抗体をいう。しかし、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプでは変動する場合がある。たとえば、IgMアイソタイプの「高親和性」結合とは、10−7M以下、より好ましくは10−8M以下、さらにより好ましくは10−9M以下のKDを有する抗体をいう。
抗体
本発明の抗体は、RTK、たとえば受容体チロシンキナーゼのヒトIV型ファミリーのメンバーの非対称性の接触境界領域ドメインに特異的に結合する。好ましい実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分は、RTKの非対称性の接触境界領域に結合し、したがって、受容体によるリガンド誘導性トランス自己リン酸化および下流シグナル伝達を阻害する。
本発明の抗体は、RTK、たとえば受容体チロシンキナーゼのヒトIV型ファミリーのメンバーの非対称性の接触境界領域ドメインに特異的に結合する。好ましい実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分は、RTKの非対称性の接触境界領域に結合し、したがって、受容体によるリガンド誘導性トランス自己リン酸化および下流シグナル伝達を阻害する。
本発明の抗体は、RTK、たとえばFGFR、たとえばFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の特異的な非対称性の接触境界領域に結合するように選択または設計される。他の実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、RTK、たとえばヒトFGFRのドメインに対して相同性を共有するタンパク質に結合するように選択または設計される。たとえば、抗体は、FGFR、たとえばFGFR1の非対称性の接触境界領域と少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一のドメインに結合するように選択されても、設計されてもよい。そのような抗体またはその抗原結合性一部分は、おそらく、FGFR1の非対称性の接触境界領域に機能的に類似している他のRTKにおけるタンパク質ドメインに結合することができるであろう。
本発明の抗体またはその抗原結合性一部分はまた、RTK、たとえばヒトIV型RTKの非対称性の接触境界領域に由来する特定のモチーフまたはコンセンサス配列に結合するように選択または設計され、抗体またはその抗原結合性一部分が、RTKファミリーのメンバーの中で共有される非対称性の接触境界領域エピトープまたはドメインに特異的に結合するのを可能にしてもよい。そのような直鎖状コンセンサス配列は、たとえば、RTKの型または種にわたる様々なRTKのドメイン、たとえば非対称性の接触境界領域をアライメントするために配列アライメントアルゴリズムを使用することによって見つけられてもよい。当業者は、たとえば様々な種(たとえば、ヒト、マウス、ラット)からのFGFR1の非対称性の接触境界領域のタンパク質配列をアラインメントして、どのタンパク質残基が、アラインメントした配列のうちの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%で保存されているかを決定し得る。その後、そのようなコンセンサス配列を使用して、コンセンサス配列と特異的に結合し、したがってRTKの最も保存された残基と結合する抗体または他の部分を作製し得る。当業者には、最も高度に保存された残基は、進化を通して保存されており、タンパク質の機能に重要である可能性が最も高いものであることが理解されよう。あるいは、RTKの様々なクラスにわたってアラインメントを行う場合、そのようなコンセンサス配列に対して作製された抗体は、抗体が複数のRTKの種類における類似の非対称性の接触境界領域と結合することを可能にするであろう。
本発明の抗体は、RTK、たとえばFGFRの触媒ドメインのヌクレオチド結合部位に結合しない。そのため、本明細書において記載される抗体は、受容体がその標的リガンドに結合する能力に拮抗しない。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、ヒトFGFR1の特異的配列、たとえば、FGFR1の残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705に結合する。
他の実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、タンパク質における3次元構造を表すタンパク質モチーフまたはコンセンサス配列に結合する。そのようなモチーフまたはコンセンサス配列は、近接する一連のアミノ酸を表さないが、RTKの三次元フォールディングに起因する、近接しないアミノ酸の構成(つまり「構造モチーフ」または「非直鎖状エピトープ」)を表すであろう。そのようなモチーフの例は、RTKの非対称性の接触境界領域となるであろう。
好ましい実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分は、RTKの非対称性の接触境界領域の小さな空洞またはポケットを構成する、RTKにおける1つまたは複数の残基に結合してもよい。たとえば、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分は、FGFR1の非対称性の接触境界領域における1つまたは複数の以下の残基:FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705に結合してもよい。他の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分は、FGFR2の非対称性の接触境界領域における1つまたは複数の残基:FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731に結合してもよい。さらに他の実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分はFGFR3またはFGFR4における1つまたは複数の等価な残基に結合してもよい。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分は、近接するアミノ酸残基または近接しないアミノ酸残基に結合し、チロシンキナーゼ活性化を可能にする距離および配向でのRTKの非対称性の接触境界領域の配置に必要とされるリガンド誘導性トランス自己リン酸化を妨げる分子的ウェッジとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分はまた、ホモタイプの受容体相互作用を妨げるかまたはリガンド受容体相互作用部位を不安定にするために作用してもよい。
当業者は、いくつかの実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性一部分が、他のIV型RTKにおける対応する非対称性の接触境界領域残基、たとえば、類似するポケットもしくは空洞を形成する残基または構造アライメントもしくは配列アライメントによって同じ位置にある残基を容易に標的にしてもよいことを十分に理解するであろう。
特異的な実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性一部分は、IV型RTK上のコンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープに結合する。コンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープは、RTK、たとえばヒトFGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4の非対称性の接触境界領域由来の2つ以上の残基から構成されてもよい。たとえば、コンフォメーションエピトープまたは不連続エピトープは、FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される2つ以上の残基から構成されてもよい。
上記に示されるように、本発明の抗体は、非対称性の接触境界領域のポケットもしくは空洞を形成するアミノ酸残基すべてに結合してもよく、またはそれらは、ポケットもしくは空洞を形成する残基のサブセットに結合してもよい。ある実施形態では、エピトープ、たとえばコンフォメーションエピトープに結合する本発明の抗体が言及される場合、抗体が、エピトープ(たとえば非対称性の接触境界領域のポケットまたは空洞)を構成する特異的な残基にのみ結合し、受容体の直鎖状アミノ酸配列における他の残基に結合しないことが意図されることが理解されたい。
他の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性断片は、ヒトFGFR2のアミノ酸残基Arg579もしくはArg580またはFGFR3もしくはFGFR4における対応する残基に結合する。ヒトFGFR2の残基Arg579またはArg580は、FGFR1の残基Arg576と類似しており、FGFR2の非対称性の接触境界領域の一部である。他の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性断片は、FGFR2のC491、F492、N662、G663、R664、L665、P666、V667、K668、W669、R577、R579、R580、P581、P582、E585、Y589、S587、Y588、D589、I590、P705、G706、P708、F713、K724、A726、N727、C728、T729、N730、およびE731からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性断片は、FGFR3またはFGFR4における等価な残基に結合する。本発明の抗体または抗原結合性抗体断片は、リガンド誘導性トランス自己リン酸化およびチロシンキナーゼ活性化にとって不可欠な距離および配向でキナーゼ二量体の配置をするのに不可欠である、IV型RTKの非対称性の接触境界領域の間の重要なホモタイプの相互作用(塩橋など)を妨げることによって、受容体活性化に対してそれらの阻害効果を及ぼしてもよい。本明細書において議論される実験は、非対称性の接触境界領域が、RTK二量体形成を媒介すること、かつ二量体化が、受容体トランス自己リン酸化に必要であるが、十分ではないことを示す。したがって、本発明の抗体または抗原結合性抗体断片は、トランス自己リン酸化を妨げるが、RTK、たとえばFGFRの二量体化を可能にしてもよい。構造ベースの配列アライメントは、活性なFGFR1およびFGFR2の両方の構造において見つけられる非対称性の接触境界領域の形成に関与する残基の保存を示した(図9A)。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性抗体断片は、IV型RTKの非対称性の接触境界領域の保存された領域を標的にしてもよい。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、ヒト線維芽細胞増殖因子受容体の特異的な領域、たとえば、RTKの一方の単量体のβ1−β2ループ、RTKの一方の単量体のβ3−αCループ、RTKの一方の単量体のβ4−B5ループ、RTKの一方の単量体のαD−αEループ、RTKの一方の単量体のαFヘリックス、およびRTKの一方の単量体のαF−αGループに結合する。
他の実施形態では、抗体またはその抗原結合性一部分は、RTK、たとえばFGFR上の近接エピトープに結合する。一実施形態では、近接エピトープは、FGFRの非対称性の接触境界領域における2つ以上の残基から構成される。他の実施形態では、近接エピトープは、RTKの単量体のβ1−β2ループ、RTKの単量体のβ3−αCループ、RTKの単量体のβ4−B5ループ、RTKの単量体のαD−αEループ、RTKの単量体のαFヘリックス、およびRTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択されるエピトープである。
さらなる実施形態では、本発明の抗体または抗原結合性抗体断片は、RTKの変異体の非対称性の接触境界領域に特異的に結合するように選択または設計される。好ましい実施形態では、変異体RTKは、腫瘍形成性変異体または腫瘍発生性変異体である。特定の一実施形態では、抗体または抗原結合性抗体断片は、腫瘍発生性FGFR変異体に結合するように選択または設計される。本発明の抗体または抗原結合性抗体断片によって標的にされてもよいRTK変異体は、以下の1つまたは複数のアミノ酸:FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705において変異を有する線維芽細胞増殖因子受容体を含むが、これらに限定されない。本発明の方法は、FGFRにおける他の変異または他のRTKにおける変異に適用可能であろうということが当業者によって十分に理解されるはずである。変異体RTKを標的にすることの1つの利点は、治療用小分子が、変異を含有する細胞上のRTKにのみ結合し、健康な細胞にほとんどまたは全く作用を与えない可能性があるということである。したがって、変異が腫瘍形成性である例では、腫瘍細胞のみを療法のために標的にし、副作用および投薬の必要量を低下させる可能性がある。
好ましくは、抗体は、5×10−8M以下のKD、1×10−8M以下のKD、5×10−9M以下のKD、または1×10−8M〜1×10−10M以下のKDで、ヒトRTKの非対称性の接触境界領域に結合する。たとえばELISA、ウエスタンブロット、およびRIAを含む、RTK、たとえばFGFRの非対称性の接触境界領域への抗体の結合能力を評価するための標準的なアッセイは、当技術分野において公知である。抗体の結合動態(たとえば結合親和性)もまた、ELISA、Scatchard、およびBiacore分析によってなどのように、当技術分野において公知の標準的なアッセイによって評価することができる。
イントラボディ−細胞内抗体
細胞内エピトープに結合することができる抗体、たとえばイントラボディは、RTKの非対称性の接触境界領域に結合し、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害するのに有用である。イントラボディは、抗原に特異的に結合することができ、かつそれが細胞内で発現することができるようにおよび/または抗原に細胞内で結合するように操作された、抗体の少なくとも一部分(たとえばscFv)を含む。一般に、イントラボディは、その分泌をコードする配列を含有しない。哺乳動物細胞内での発現および/または正確な細胞内の位置へのターゲティングのための方法と組み合わせられる場合、イントラボディは、RTKの非対称性の接触境界領域などのような細胞内の標的に対して特に有用である。イントラボディの生成は、当業者に周知であり、たとえば、それぞれの全内容が、参照によって本明細書に明確に組み込まれる米国特許第5,851,829号;同第5,965,371号;同第6,004,940号;同第6,072,036号;および同第5,965,371号において記載されている。さらに、イントラボディの構築は、OhageおよびSteipe、1999年、J. Mol. Biol. 291巻:1119〜1128頁;Ohageら、1999年、J. Mol. Biol. 291巻:1129〜1134頁;WirtzおよびSteipe、1999年、Protein Science 8巻:2245〜2250頁;ならびにStocks, M. R. Drug Disc. Today 9巻、22号 2004年11月において議論されている。組換え分子生物学的技術もまた、イントラボディの生成において使用されてもよい。
細胞内エピトープに結合することができる抗体、たとえばイントラボディは、RTKの非対称性の接触境界領域に結合し、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害するのに有用である。イントラボディは、抗原に特異的に結合することができ、かつそれが細胞内で発現することができるようにおよび/または抗原に細胞内で結合するように操作された、抗体の少なくとも一部分(たとえばscFv)を含む。一般に、イントラボディは、その分泌をコードする配列を含有しない。哺乳動物細胞内での発現および/または正確な細胞内の位置へのターゲティングのための方法と組み合わせられる場合、イントラボディは、RTKの非対称性の接触境界領域などのような細胞内の標的に対して特に有用である。イントラボディの生成は、当業者に周知であり、たとえば、それぞれの全内容が、参照によって本明細書に明確に組み込まれる米国特許第5,851,829号;同第5,965,371号;同第6,004,940号;同第6,072,036号;および同第5,965,371号において記載されている。さらに、イントラボディの構築は、OhageおよびSteipe、1999年、J. Mol. Biol. 291巻:1119〜1128頁;Ohageら、1999年、J. Mol. Biol. 291巻:1129〜1134頁;WirtzおよびSteipe、1999年、Protein Science 8巻:2245〜2250頁;ならびにStocks, M. R. Drug Disc. Today 9巻、22号 2004年11月において議論されている。組換え分子生物学的技術もまた、イントラボディの生成において使用されてもよい。
一実施形態では、イントラボディを発現する核酸構築物は、標的細胞にトランスフェクトすることができる。イントラボディをコードする「抗体カセット」は、目的の細胞における抗体の発現を可能にするプロモーターに作動可能に連結された、標的RTKの非対称性の接触境界領域に結合することができる抗体の一部をコードする、十分な数のヌクレオチドを含有していてもよい。イントラボディをコードする構築物は、標的細胞に送達され、標的RTKに結合し、それによって、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化に拮抗することができる。好ましい一実施形態では、抗体カセットの「イントラボディ遺伝子」(抗体)は、2つの可変ドメインのブリッジとしての適切なオリゴヌクレオチドによってDNAレベルでつなぐことができ、翻訳の際に、RTKタンパク質などのような標的に結合することができる単一のペプチド(単鎖可変断片、「scFv」と呼ばれる)を形成する、抗体の重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインをコードするcDNAを利用する。イントラボディ遺伝子は、好ましくは、作動可能な分泌配列をコードせず、したがって、発現された抗体は、細胞内に保持される。
他の実施形態では、特異的な局在化配列を、特異的な細胞内の位置にイントラボディを向けるためにイントラボディポリペプチドに付加することができる。イントラボディは、たとえば、以下の細胞内の位置に局在化させることができる:小胞体(Munroら、1987年、Cell 48巻:899〜907頁;Hangejordenら、1991年、J. Biol. Chem. 266巻:6015頁);核(Lanfordら、1986年、Cell 46巻:575頁;Stantonら、1986年、PNAS 83巻:1772頁;Harlowら、1985年、Mol. Cell. Biol. 5巻:1605頁;Papら、2002年、Exp. Cell Res. 265巻:288〜93頁);核小体領域(Seomiら、1990年、J. Virology 64巻:1803頁;Kubotaら、1989年、Biochem. Biophys. Res. Comm. 162巻:963頁;Siomiら、1998年、Cell 55巻:197頁);エンドソームコンパートメント(Bakkeら、1990年、Cell 63巻:707〜716頁);ミトコンドリアマトリックス(Pugsley, A. P.、1989年、「Protein Targeting」、Academic Press, Inc.);ゴルジ装置(Tangら、1992年、J. Bio. Chem. 267巻:10122〜6頁);リポソーム(Letourneurら、1992年、Cell 69巻:1183頁);ペルオキシソーム(Papら、2002年、Exp. Cell Res. 265巻:288〜93頁);トランス(bans)ゴルジ網(Papら、2002年、Exp. Cell Res. 265巻:288〜93頁);および形質膜(Marehildonら、1984年、PNAS 81巻:7679〜82頁;Hendersonら、1987年、PNAS 89巻:339〜43頁;Rheeら、1987年、J. Virol. 61巻:1045〜53頁;Schultzetal.、1984年、J. Virol. 133巻:431〜7頁;Otsuyamaら、1985年、Jpn. J. Can. Res. 76巻:1132〜5頁;Ratnerら、1985年、Nature 313巻:277〜84頁)。
抗体カセットは、公知の手段のいずれかによって標的細胞に送達することができる。ある好ましい送達系は、全内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,004,940号において記載されている。
本発明の方法におけるイントラボディとしての使用/発現に適している抗RTK抗体は、様々な他の方法によって容易に産生することができる。そのような他の方法は、単鎖抗体を形成するように修飾することができるポリクローナル抗体「全体」を産生するための従来の方法、またはたとえば、RTKの非対称性の接触境界領域に対する高度な特異性および/もしくはアビディティを示す抗体を選択するためのファージディスプレイライブラリーのスクリーニングを含むが、これらに限定されない。ファージディスプレイライブラリースクリーニング方法は、本明細書においていくらか詳細に記載される。一実施形態では、本発明のイントラボディは、抗原に対する、完全抗体(つまり、全定常ドメインおよび可変領域を有する)の結合効力の少なくとも約75%を保持する。一実施形態では、イントラボディは、完全抗体の結合効力の少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を保持する。他の実施形態では、イントラボディとしての使用に適している抗RTK抗体は、種々の細胞内抗体ライブラリーのデノボ生産によって産生することができる(たとえばTanakaら、2003年、Nucleic Acids Res., 31巻(5号):e23を参照されたい)。
他の実施形態では、組換え発現されたイントラボディは、予防または治療効果を媒介するように、患者に投与されてもよい。イントラボディを細胞内に向けるために、イントラボディポリペプチドは、「膜透過性配列」と結合させることができる。膜透過性配列は、細胞の外部から細胞の内部に細胞膜を通して進入することができるポリペプチドである。他のポリペプチドに連結される場合、膜透過性配列は、細胞膜を横切る、そのポリペプチドのトランスロケーションを指示することができる。有用な膜透過性配列は、シグナルペプチドの疎水性領域を含む(たとえば、全内容が、参照によって本明細書に組み込まれるHawiger、1999年、Curr. Opin. Chem. Biol. 3巻:89〜94頁;Hawiger、1997年、Curr. Opin. Immunol. 9巻:189〜94頁;米国特許第5,807,746号および第6,043,339号を参照されたい)。膜透過性配列の配列は、任意のシグナルペプチドの疎水性領域に基づくものとすることができる。シグナルペプチドは、たとえば、SIGPEPデータベースから選択することができる(たとえばvon; Heijne、1987年、Prot. Seq. Data Anal. 1巻:41〜2頁;von HeijneおよびAbrahmsen、1989年、FEBS Lett.;224巻:439〜46頁を参照されたい)。特異的な細胞型がイントラボディポリペプチドの挿入のために標的にされることになっている場合、膜透過性配列は、好ましくは、その細胞型に内因性のシグナルペプチドに基づく。他の実施形態では、膜透過性配列は、ウイルスタンパク質(たとえばヘルペスウイルスタンパク質VP22)またはその断片(たとえばPhelanら、1998年、Nat. Biotechnol. 16巻:440〜3頁を参照されたい)である。特定のイントラボディおよび/または特定の標的細胞型に対して適切な特性を有する膜透過性配列は、細胞膜を横切るイントラボディのトランスロケーションを指示するためのそれぞれの膜透過性配列の能力を評価することによって、経験的に決定することができる。
操作および改変した抗体
抗体のVHおよび/またはVL配列を本発明の方法に従って調製し、改変した抗体を操作設計するための出発物質として使用してよく、改変した抗体は、開始抗体から変更された特性を有し得る。抗体は、元の可変領域の一方または両方(すなわちVHおよび/またはVL)内、たとえば、1つもしくは複数のCDR領域内および/または1つもしくは複数のフレームワーク領域内の1つまたは複数の残基を改変することによって、操作することができる。それに加えてまたは代わって、抗体は、たとえば抗体のエフェクター機能(複数可)を変更するために、定常領域(複数可)内の残基を改変することによって操作することができる。
抗体のVHおよび/またはVL配列を本発明の方法に従って調製し、改変した抗体を操作設計するための出発物質として使用してよく、改変した抗体は、開始抗体から変更された特性を有し得る。抗体は、元の可変領域の一方または両方(すなわちVHおよび/またはVL)内、たとえば、1つもしくは複数のCDR領域内および/または1つもしくは複数のフレームワーク領域内の1つまたは複数の残基を改変することによって、操作することができる。それに加えてまたは代わって、抗体は、たとえば抗体のエフェクター機能(複数可)を変更するために、定常領域(複数可)内の残基を改変することによって操作することができる。
行うことができる1つの種類の可変領域の操作は、CDR移植である。抗体は、主に6個の重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDR)中に位置するアミノ酸残基を介して、標的抗原と相互作用する。そのため、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外の配列よりも、個々の抗体間の多様性が高い。CDR配列はほとんどの抗体−抗原の相互作用に関与するため、異なる特性を有する異なる抗体からのフレームワーク配列上に移植した、特定の天然に存在する抗体からのCDR配列が含まれる発現ベクターを構築することによって、特定の天然に存在する抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能である(たとえば、Riechmann, L.ら(1998年) Nature 332巻:323〜327頁、Jones, P.ら(1986年) Nature 321巻:522〜525頁、Queen, C.ら(1989年) Proc. Natl. Acad. See. U.S.A. 86巻:10029〜10033頁、Winterの米国特許第5,225,539号、ならびにQueenらの米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,762号および第6,180,370号を参照)。
抗体のフレームワーク配列は、生殖系列抗体遺伝子配列が含まれる公的DNAデータベースまたは公開された参考資料から得ることができる。たとえば、ヒト重鎖および軽鎖の可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、そのそれぞれの内容が明確に本明細書中に参考として組み込まれている、「VBase」ヒト生殖系列配列データベース(インターネット上でmrc−cpe.cam.ac.uk/vbaseから利用可能)、ならびにKabat, E. A.ら(1991年) Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication第91−3242号、Tomlinson, I. M.ら(1992年)「The Repertoire of Human Germline VH Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with Different Hypervariable Loops」 J. Mol. Biol. 227巻:776〜798頁、およびCox, J. P. L.ら(1994年)「A Directory of Human Germ−line VH Segments Reveals a Strong Bias in their Usage」 Eur. J. Immunol. 24巻:827〜836頁中に見つけることができる。別の例として、ヒト重鎖および軽鎖の可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、Genbankデータベース中に見つけることができる。
抗体タンパク質配列は、当業者に周知のGapped BLAST(Altschulら(1997年) Nucleic Acids Research 25巻:3389〜3402頁)と呼ばれる配列類似度の検索方法のうちの1つを使用して、コンパイルされたタンパク質配列データベースに対して比較する。BLASTは、抗体配列とデータベース配列との間の統計的に有意なアラインメントが、アラインメントした単語の高スコアのセグメント対(HSP)を含有する可能性が高いという点で、発見的なアルゴリズムである。そのスコアを伸長またはトリミングによって改善させることができないセグメント対は、ヒットと呼ばれる。手短に述べると、VBASE起源のヌクレオチド配列(vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk/vbase1/list2.php)を翻訳し、FR1からFR3のフレームワーク領域(両端を含む)を保持する。データベース配列は、平均して98個の残基の長さを有する。タンパク質の全長にわたって正確に一致する重複配列を除去する。オフにした低複雑度フィルター以外はデフォルトの標準のパラメータを用いたプログラムblastp、およびBLOSUM62の置換マトリックスを使用したタンパク質のBLAST検索により、上位5件のヒットがフィルタリングされて、配列一致が得られる。ヌクレオチド配列を6個すべてのフレームにおいて翻訳し、データベース配列の一致セグメント中にストップコドンを有さないフレームが潜在的なヒットとみなされる。これを、次に、6個すべてのフレームにおいて抗体配列を翻訳し、これらの翻訳物を、6個すべてのフレームにおいて動的に翻訳されたVBASEヌクレオチド配列と比較する、BLASTプログラムtblastxを使用して確認する。IMGT(http://imgt.cines.fr)から利用可能なものなどの他のヒト生殖系列配列データベースは、上述のようにVBASEと同様に検索することができる。
同一性は、配列の全長にわたる抗体配列とタンパク質データベースとの間の正確なアミノ酸一致である。陽性(同一性+置換の一致)は、同一ではないが、BLOSUM62置換マトリックスによって導かれるアミノ酸置換である。抗体配列がデータベース配列のうちの2つと同じ同一性で一致する場合は、最大の陽性を有するヒットが、一致する配列ヒットであると決定される。
同定されたVHのCDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにVKのCDR1、CDR2、およびCDR3配列は、フレームワーク配列が由来する生殖系列免疫グロブリン遺伝子中に見つかるものと同一の配列を有するフレームワーク領域上に移植することができるか、または、CDR配列は、生殖系列配列と比較して1つもしくは複数の変異を含有するフレームワーク領域上に移植することができる。たとえば、特定の事例では、抗体の抗原結合能力を維持または増強させるために、フレームワーク領域内の残基を変異させることが有益であることが判明している(たとえば、Queenらの米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,762号および第6,180,370号を参照)。
別の種類の可変領域の改変は、VHおよび/またはVKのCDR1、CDR2および/またはCDR3領域内のアミノ酸残基を変異させ、それによって目的の抗体の1つまたは複数の結合特性(たとえば親和性)を改善させることである。部位特異的変異誘発またはPCR媒介性の変異誘発を行って変異(複数可)を導入することができ、抗体結合または目的の他の機能的特性に対する効果を、当技術分野で公知のin vitroまたはin vivoアッセイで評価することができる。たとえば、本発明の抗体を変異させてライブラリを作製してよく、その後、これを、RTKの非対称性の接触境界領域、たとえば、線維芽細胞増殖因子受容体との結合についてスクリーニングし得る。好ましくは、保存された改変(上述)が導入される。変異は、アミノ酸の置換、付加または欠失であり得るが、好ましくは置換である。さらに、典型的には、CDR領域内の1個、2個、3個、4個または5個を超えない残基が変更される。
別の種類のフレームワークの改変は、フレームワーク領域内、またはさらには1つもしくは複数のCDR領域内の1つまたは複数の残基を変異させて、T細胞エピトープを除去し、それによって抗体の潜在的な免疫原性を低下させることを含む。この手法は「脱免疫化(deimmunization)」とも呼ばれ、Carrらの米国特許公開第20030153043号中にさらに詳述されている。
フレームワークまたはCDR領域内で行われる改変に加えて、またはそれに代わって、本発明の抗体を、典型的には、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合、および/または抗原依存性細胞毒性などの、抗体の1つまたは複数の機能的特性を変更させるために、Fc領域内に改変が含まれるように操作し得る。さらに、本発明の抗体を、やはり抗体の1つまたは複数の機能的特性を変更させるために、化学修飾(たとえば、1つもしくは複数の化学部分を抗体に付着させることができる)またはそのグリコシル化を変更させるために改変し得る。これらの実施形態のそれぞれは、以下にさらに詳述されている。Fc領域中の残基の付番はKabatのEUインデックスのものである。
一実施形態では、CH1のヒンジ領域を、ヒンジ領域中のシステイン残基の数が変更されるように、たとえば増加または減少するように改変する。この手法は、Bodmerらの米国特許第5,677,425号中にさらに記載されている。CH1のヒンジ領域中のシステイン残基の数は、たとえば、軽鎖および重鎖のアセンブリを促進するために、または抗体の安定性を増加もしくは減少させるために変更されている。
別の実施形態では、抗体のFcヒンジ領域を、抗体の生物学的半減期を減少させるために変異させる。より詳細には、抗体が、ネイティブFc−ヒンジドメインのStaphylococcylプロテインA(SpA)結合と比較して損なわれたSpA結合を有するように、1つまたは複数のアミノ酸の変異をFc−ヒンジ断片のCH2−CH3ドメインの境界領域内に導入する。この手法は、Wardらの米国特許第6,165,745号中にさらに詳述されている。
別の実施形態では、抗体を、その生物学的半減期を増加させるために改変する。様々な手法が可能である。たとえば、Wardの米国特許第6,277,375号に記載のように、T252L、T254S、T256Fの変異のうちの1つまたは複数を導入することができる。あるいは、生物学的半減期を増加させるために、Prestaらの米国特許第5,869,046号および第6,121,022号に記載のように、抗体を、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループからとったサルベージ受容体結合エピトープを含有するように、CH1またはCL領域内で変更することができる。これらの戦略は、抗体とRTKの非対称性の接触境界領域との結合が損なわれない限りは有効である。
さらに他の実施形態では、抗体のエフェクター機能(複数可)を変更するために、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置き換えることによってFc領域を変更する。たとえば、抗体が、エフェクターリガンドに対して変更された親和性を有するが、親抗体の抗原結合能力を保持するように、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320および322から選択される1つまたは複数のアミノ酸を異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。親和性が変更させられるエフェクターリガンドは、たとえば、Fc受容体または補体のC1成分であることができる。この手法は、どちらもWinterらの米国特許第5,624,821号および第5,648,260号中にさらに詳述されている。
別の例では、抗体が変更されたC1q結合および/または低下もしくは消滅した(abolish)補体依存性細胞毒(CDC)を有するように、アミノ酸残基329、331および322から選択される1つまたは複数のアミノ酸を異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。この手法は、Idusogieらの米国特許第6,194,551号中にさらに詳述されている。
別の例では、アミノ酸位置231および239における1つまたは複数のアミノ酸残基を変更し、それによって補体を固定する抗体の能力を変更させる。この手法は、BodmerらのPCT公開WO94/29351号中にさらに記載されている。
さらに別の例では、抗体依存性細胞毒(ADCC)を媒介する抗体の能力を増加させるかおよび/またはFcγ受容体に対する抗体の親和性を増加させるために、以下の位置のうちの1つまたは複数のアミノ酸を改変することによってFc領域を改変する:238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438または439。この手法は、PrestaのPCT公開WO00/42072号中にさらに記載されている。さらに、FcγR1、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnに対するヒトIgG1上の結合部位がマッピングされており、改善された結合を有するバリアントが記載されている(Shields, R.L.ら(2001年) J. Biol. Chem. 276巻:6591〜6604頁を参照)。位置256、290、298、333、334および339での特定の変異は、FcγRIIIに対する結合を改善させることが示された。さらに、以下の組合せの変異体が、FcγRIII結合を改善させることが示された:T256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224AおよびS298A/E333A/K334A。
さらに別の実施形態では、本発明の抗体のC末端を、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている米国仮出願第60/957,271号に記載のように、システイン残基の導入によって改変する。そのような改変には、それだけには限定されないが、完全長重鎖配列のC末端でまたはその付近での既存のアミノ酸残基の置き換え、および完全長重鎖配列のC末端へのシステイン含有伸長の導入が含まれる。好ましい実施形態では、システイン含有伸長は、配列アラニン−アラニン−システインを含む(N末端からC末端)。
好ましい実施形態では、そのようなC末端のシステイン改変の存在は、治療剤またはマーカー分子などのパートナー分子をコンジュゲートする位置を提供する。具体的には、C末端のシステイン改変による反応性チオール基の存在を使用して、以下に詳述するジスルフィドリンカーを用いてパートナー分子をコンジュゲートさせることができる。この様式での抗体とパートナー分子とのコンジュゲーションは、特定の付着部位についての制御の増加を可能にする。さらに、付着部位をC末端にまたはその付近に導入することによって、コンジュゲーションが最適化されて、抗体の機能的特性への妨害が低下または排除され、コンジュゲート調製物の単純分析および品質管理が可能となる。
さらに別の実施形態では、抗体のグリコシル化を改変する。たとえば、グリコシル化されていない(aglycoslated)抗体を作製することができる(すなわち抗体がグリコシル化を欠く)。グリコシル化は、たとえば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるために変更することができる。そのような炭水化物の改変は、たとえば、抗体配列内の1つまたは複数のグリコシル化部位を変更することによって達成することができる。たとえば、1つまたは複数の可変領域フレームワークのグリコシル化部位の排除をもたらし、それによってその部位でのグリコシル化の排除をもたらす、1つまたは複数のアミノ酸の置換を行うことができる。上記のような、グリコシル化されていないことは、抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。そのような手法は、Coらの米国特許第5,714,350号および第6,350,861号中にさらに詳述されている。グリコシル化を変更するためのさらなる手法は、そのそれぞれがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、Hanaiらの米国特許第7,214,775号、Prestaの米国特許第6,737,056号、Prestaの米国公開第20070020260号、DickeyらのPCT公開WO/2007/084926号、ZhuらのPCT公開WO/2006/089294号、およびRavetchらのPCT公開WO/2007/055916号中にさらに詳述されている。
それに加えてまたは代わって、低下した量のフコシル残基を有する低フコシル化抗体または増加した二分GlcNac構造を有する抗体などの、グリコシル化の種類の変更を有する抗体を作製することができる。そのような変更されたグリコシル化パターンは、抗体のADCC能力を増加させることが示されている。そのような炭水化物の改変は、たとえば、変更されたグリコシル化機構を有する宿主細胞中で抗体を発現させることによって達成することができる。変更されたグリコシル化機構を有する細胞は当技術分野で記載されており、本発明の組換え抗体を発現させることによって変更されたグリコシル化を有する抗体を産生する宿主細胞として使用することができる。たとえば、細胞系Ms704、Ms705、およびMs709は、Ms704、Ms705、およびMs709細胞系中で発現される抗体がその炭水化物上にフコースを欠くように、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8(アルファ(1,6)フコシルトランスフェラーゼ)を欠いている。Ms704、Ms705、およびMs709 FUT8−/−細胞系は、2つの置換ベクターを使用してCHO/DG44細胞中のFUT8遺伝子を標的破壊することによって作製した(Yamaneらの米国特許公開第20040110704号およびYamane−Ohnukiら(2004年) Biotechnol Bioeng 87巻:614〜22頁を参照)。別の例として、HanaiらのEP1,176,195号は、フコシルトランスフェラーゼをコードしているFUT8遺伝子が機能的に破壊された細胞系を記載しており、これにより、アルファ1,6結合関連の酵素の低下または排除によって、そのような細胞系中で発現された抗体は低フコシル化を示す。Hanaiらはまた、抗体のFc領域と結合するN−アセチルグルコサミンにフコースを付加する酵素活性が低いか、または酵素活性を有さない細胞系、たとえばラット骨髄腫細胞系YB2/0(ATCC CRL1662)を記載している。PrestaのPCT公開WO03/035835号は、フコースをAsn(297)連結炭水化物に付着させる能力が低下しており、やはりその宿主細胞中で発現された抗体の低フコシル化をもたらす、バリアントCHO細胞系、Lec13細胞を記載している(Shields, R.L.ら(2002年) J. Biol. Chem. 277巻:26733〜26740頁も参照)。UmanaらのPCT公開WO99/54342号は、操作した細胞系中で発現された抗体が抗体のADCC活性の増加をもたらす増加した二分GlcNac構造を示すように、糖タンパク質改変グリコシルトランスフェラーゼ(たとえばベータ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように操作した細胞系を記載している(Umanaら(1999年) Nat. Biotech. 17巻:176〜180頁も参照)。あるいは、フコシダーゼ酵素を使用して抗体のフコース残基を切断して除去し得る。たとえば、フコシダーゼアルファ−L−フコシダーゼがフコシル残基を抗体から除去する(Tarentino, A.L.ら(1975年) Biochem. 14巻:5516〜23頁)。
それに加えてまたは代わって、グリコシル化の種類の変更を有する抗体を作製することができ、その変更は、抗体のシアリル化(sialyation)のレベルに関する。そのような変更は、どちらもその全体が参考として組み込まれているDickeyらのPCT公開WO/2007/084926号およびRavetchらのPCT公開WO/2007/055916号に記載されている。たとえば、たとえばArthrobacter ureafacensのシアリダーゼなどのシアリダーゼを用いた酵素反応を用い得る。そのような反応の条件は、一般に、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,831,077号に記載されている。適切な酵素の他の非限定的な例は、それぞれSchloemerら、J. Virology、15巻(4号)、882〜893頁(1975年)およびLeibigerら、Biochem J.、338巻、529〜538頁(1999年)に記載されているノイラミニダーゼおよびN−グリコシダーゼFである。脱シアリル化された抗体を、アフィニティークロマトグラフィーを使用することによってさらに精製し得る。あるいは、シアリルトランスフェラーゼ(sialytransferase)酵素を用いることなどによる、シアリル化のレベルを増加させる方法を用い得る。そのような反応の条件は、一般に、Bassetら、Scandinavian Journal of Immunology、51巻(3号)、307〜311頁(2000年)に記載されている。
本発明によって企図される本明細書中の抗体の別の改変はペグ化である。抗体は、たとえば抗体の生物学的(たとえば血清)半減期を増加させるためにペグ化することができる。抗体をペグ化するためには、抗体またはその断片を、典型的には、ポリエチレングリコール(PEG)(PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体など)と、1つまたは複数のPEG基が抗体または抗体断片と付着される条件下で反応させる。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(または類似の反応性の水溶性ポリマー)を用いたアシル化反応またはアルキル化反応を介して実施する。本明細書中で使用する用語「ポリエチレングリコール」には、モノ(C1〜C10)アルコキシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール−マレイミドなどの、他のタンパク質を誘導体化するために使用されているPEGの形態のうちの任意のものが包含されることを意図する。特定の実施形態では、ペグ化する抗体はグリコシル化されていない抗体である。タンパク質をペグ化する方法は当技術分野で公知であり、本発明の抗体に適用することができる。たとえば、NishimuraらのEP0 154 316号およびIshikawaらのEP0 401 384号を参照されたい。したがって、ここに記載されているペグ化方法は、以下に記載の本発明のペプチド性分子にも適用される。
抗体断片および抗体模倣体
本発明は伝統的な抗体に限定されず、抗体断片および抗体模倣体を使用することによって実施し得る。以下に詳述するように、多種多様な抗体断片および抗体模倣体の技術が現在では開発されており、当技術分野で広く公知である。これらの技術のうちのいくつかでは(ドメイン抗体、ナノボディ、およびUniBodyなど)、伝統的な抗体構造の断片または他の改変を使用するが、伝統的な抗体結合を模倣する一方で明白に異なる機構を介して産生されて機能する結合構造を用いる、アドネクチン、アフィボディ、DARPin、アンチカリン、アビマー、およびバーサボディなどの代替技術も存在する。これらの代替構造の一部はGillおよびDamle (2006年) 17巻:653〜658頁中に総説されている。
本発明は伝統的な抗体に限定されず、抗体断片および抗体模倣体を使用することによって実施し得る。以下に詳述するように、多種多様な抗体断片および抗体模倣体の技術が現在では開発されており、当技術分野で広く公知である。これらの技術のうちのいくつかでは(ドメイン抗体、ナノボディ、およびUniBodyなど)、伝統的な抗体構造の断片または他の改変を使用するが、伝統的な抗体結合を模倣する一方で明白に異なる機構を介して産生されて機能する結合構造を用いる、アドネクチン、アフィボディ、DARPin、アンチカリン、アビマー、およびバーサボディなどの代替技術も存在する。これらの代替構造の一部はGillおよびDamle (2006年) 17巻:653〜658頁中に総説されている。
ドメイン抗体(dAb)とは、抗体の最も小さな機能的結合単位であり、ヒト抗体重鎖(VH)または軽鎖(VL)のどちらかの可変領域に対応する。ドメイン抗体は約13kDaの分子量を有する。Domantisは、完全にヒトのVHおよびVL dAbの一連の大きく高度に機能的なライブラリ(それぞれのライブラリ中に100億個を超える異なる配列)、ならびに治療標的に特異的なdAbを選択するためのこれらのライブラリの使用を開発している。多くの慣用の抗体と対照的に、ドメイン抗体は、細菌、酵母、および哺乳動物の細胞系中で良好に発現される。ドメイン抗体およびその産生方法のさらなる詳細は、そのそれぞれがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第6,291,158号、第6,582,915号、第6,593,081号、第6,172,197号、第6,696,245号、米国出願第2004/0110941号、欧州特許出願第1433846号、欧州特許第0368684号および第0616640号、WO05/035572号、WO04/101790号、WO04/081026号、WO04/058821号、WO04/003019号およびWO03/002609号を参照することによって得ることができる。
ナノボディとは、天然に存在する重鎖抗体のユニークな構造的および機能的特性を含有する抗体由来の治療タンパク質である。これらの重鎖抗体は、1個の可変ドメイン(VHH)ならびに2個の定常ドメイン(CH2およびCH3)を含有する。重要なことに、クローニングおよび単離されたVHHドメインは、元の重鎖抗体の完全な抗原結合能力を保有する完全に安定なポリペプチドである。ナノボディはヒト抗体のVHドメインと高い相同性を有しており、活性を全く失わずにさらにヒト化することができる。重要なことに、ナノボディは低い免疫原性の可能性を有しており、これはナノボディリード化合物を用いた霊長類の研究で確認されている。
ナノボディは、慣用の抗体の利点を小分子薬の重要な特長と組み合わせる。慣用の抗体と同様、ナノボディは、高い標的特異性、その標的に対する高い親和性および低い固有の毒性を示す。しかし、小分子薬と同様、これらは酵素を阻害し、受容体のくぼみ(cleft)に容易に接近することができる。さらに、ナノボディは非常に安定であり、注射以外の手段によって投与することができ(たとえば、その全体が本明細書中に参考として組み込まれているWO04/041867号を参照)、製造が容易である。ナノボディの他の利点には、その大きさが小さいことの結果として、一般的ではないかまたは隠れたエピトープを認識すること、そのユニークな三次元の薬物様式の柔軟性によって高い親和性および選択性でタンパク質標的の空洞または活性部位内に結合すること、半減期の調整(tailor)、ならびに創薬の容易性および速度が含まれる。
ナノボディは単一の遺伝子によってコードされており、ほとんどすべての原核生物および真核生物の宿主、たとえば、E.coli(たとえば、その全体が本明細書中に参考として組み込まれているUS6,765,087号を参照)、カビ(たとえば、AspergillusまたはTrichoderma)および酵母(たとえば、Saccharomyces、Kluyveromyces、HansenulaまたはPichia)(たとえば、その全体が本明細書中に参考として組み込まれているUS6,838,254号を参照)中で効率的に産生される。産生プロセスは拡張性があり、複数キログラム量のナノボディが産生されている。ナノボディは慣用の抗体と比較して優れた安定性を示すため、これらは、長い貯蔵寿命のすぐに使用できる溶液として処方することができる。
Nanoclone方法(たとえば、その全体が本明細書中に参考として組み込まれているWO06/079372号を参照)とは、B細胞の自動の高スルーアウト(throughout)の選択に基づいており、本発明との関係において使用することができる、所望の標的に対するナノボディを生じるための正当な方法である。
UniBodyは別の抗体断片技術であるが、これはIgG4抗体のヒンジ領域の除去に基づいている。ヒンジ領域の欠失は、伝統的なIgG4抗体の本質的に半分の大きさであり、IgG4抗体の二価の結合領域の代わりに一価の結合領域を有する分子をもたらす。また、IgG4抗体は不活性であり、したがって免疫系と相互作用しないことが周知であり、これは、免疫応答が所望されない疾患の処置に有利な場合があり、この利点はUniBodyに伝えられる。たとえば、UniBodyは、結合している細胞を阻害またはサイレンシングするように機能し得るが、死滅はさせない。さらに、がん細胞と結合するUniBodyは、それが増殖するように刺激しない。さらに、UniBodyは伝統的なIgG4抗体の約半分の大きさであるため、潜在的に有利な有効性を伴って、より大きな固形腫瘍にわたってより良好な分布を示し得る。UniBodyは、完全IgG4抗体と同様の速度で身体からクリアランスされ、その抗原に対して完全抗体と同様の親和性で結合することができる。UniBodyのさらなる詳細は、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている特許出願WO2007/059782を参照することによって得ることができる。
アドネクチン分子とは、フィブロネクチンタンパク質の1つまたは複数のドメインに由来する操作した結合タンパク質である。フィブロネクチンは、人体中に天然に存在する。これは細胞外基質中に不溶性の糖タンパク質二量体として存在し、リンカータンパク質としても役割を果たす。また、これは血漿中でジスルフィド連結二量体として可溶性形態でも存在する。フィブロネクチンの血漿形態は肝臓細胞(肝細胞)によって合成され、ECM形態は軟骨細胞、マクロファージ、内皮細胞、線維芽細胞、および上皮の一部の細胞によって産生される(Ward M.およびMarcey, D.、callutheran.edu/Academic_Programs/Departments/BioDev/omm/fibro/fibro.htmを参照)。既に言及したように、フィブロネクチンは、細胞接着分子として天然で機能し得るか、または細胞外基質中で接触させることによって細胞の相互作用を媒介し得る。典型的には、フィブロネクチンは3つの異なるタンパク質モジュール、すなわちI型、II型、およびIII型モジュールからできている。フィブロネクチンの機能の構造の総説には、PankovおよびYamada (2002年) J Cell Sci.、115巻(パート20):3861〜3頁、HohenesterおよびEngel (2002年) 21巻:115〜128頁、ならびにLucenaら(2007年) Invest Clin.48巻:249〜262頁を参照されたい。
好ましい実施形態では、アドネクチン分子は、フィブロネクチンIII型ドメインから、2つのベータシートの間に分布した複数のベータストランドから構成されるネイティブタンパク質を変更することによって誘導する。起源の組織に応じて、フィブロネクチン(fibronecting)は、たとえば1Fn3、2Fn3、3Fn3などを表示し得る複数のIII型ドメインを含有し得る。10Fn3ドメインは、インテグリン結合モチーフを含有し、ベータストランドを接続する3つのループをさらに含有する。これらのループは、IgG重鎖の抗原結合ループに対応するものと考えてよく、目的の標的、たとえばRTKの非対称性の接触境界領域、たとえば線維芽細胞増殖因子受容体と特異的に結合させるために、以下に記述した方法によって変更し得る。好ましくは、本発明の目的に有用なフィブロネクチンIII型ドメインは、タンパク質データバンク(Protein Data Bank)(PDB、rcsb.org/pdb/home/home.do)から受託コード:1ttgで入手することができるフィブロネクチンIII型分子の構造をコードしている配列と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を示す配列である。また、アドネクチン分子は、単純な単量体の10Fn3構造ではなく10Fn3関連分子のポリマーから誘導してもよい。
ネイティブ10Fn3ドメインは典型的にはインテグリンと結合するが、アドネクチン分子となるように適応させられた10Fn3タンパク質は、目的の抗原、たとえばRTKの非対称性の接触境界領域、たとえば線維芽細胞増殖因子受容体と結合するように変更されている。一実施形態では、10Fn3分子への変更は、ベータストランドへの少なくとも1つの変異を含む。好ましい実施形態では、10Fn3分子のベータストランドを接続するループ領域は、ヒト受容体チロシンキナーゼ、たとえばFGFRまたはIV型受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域と結合するように変更されている。
10Fn3中の変更は、それだけには限定されないが、誤りがちなPCR、部位特異的変異誘発、DNAシャフリング、または本明細書中で参照した他の種類の組換え変異誘発を含めた、当技術分野で公知の任意の方法によって行い得る。一例では、10Fn3配列をコードしているDNAのバリアントin vitroで直接合成し、後にin vitroまたはin vivoで転写および翻訳し得る。あるいは、標準の方法を使用して天然の10Fn3配列をゲノムから単離またはクローニングし(たとえば米国特許出願第20070082365号に記載のように行う)、その後、当技術分野で公知の変異誘発方法を使用して変異させてもよい。
一実施形態では、標的タンパク質、たとえばRTKの非対称性の接触境界領域、たとえば線維芽細胞増殖因子受容体を、カラムのレジンまたはマイクロタイタープレート中のウェルなどの固体支持体上に固定し得る。その後、標的を潜在的な結合タンパク質のライブラリと接触させる。ライブラリは、10Fn3配列の変異誘発/ランダム化または10Fn3ループ領域(ベータストランドではない)の変異誘発/ランダム化によって野生型10Fn3から誘導した、10Fn3クローンまたはアドネクチン分子を含み得る。好ましい実施形態では、ライブラリは、Szostakら、米国出願第09/007,005号および第09/247,190号、Szostakら、WO989/31700、ならびにRobertsおよびSzostak (1997年) 94巻:12297〜12302頁に記載の技法によって作製したRNA−タンパク質融合ライブラリであり得る。また、ライブラリは、DNA−タンパク質ライブラリであってもよい(たとえば、Lohse、米国出願第60/110,549号、米国出願第09/459,190号、およびWO00/32823号に記載)。その後、融合ライブラリを固定した標的(たとえばRTKの非対称性の接触境界領域)と共にインキュベートし、固体支持体を洗浄して非特異的結合部分を除去する。その後、緊密に結合したものをストリンジェントな条件下で溶出させ、PCRを使用して、遺伝情報を増幅するか、または結合分子の新しいライブラリを作製してプロセスを繰り返す(さらなる変異誘発を用いてまたは用いずに)。選択/変異誘発のプロセスは、十分な親和性で標的と結合したものが得られるまで繰り返し得る。本発明で使用するためのアドネクチン分子を、Briston−Myers Squibb企業であるAdnexusによって用いられるPROfusion(商標)技術を使用して操作し得る。PROfusion技術を、上記で参照した技法に基づいて開発した(たとえばRobertsおよびSzostak (1997年) 94巻:12297〜12302頁)。変更された10Fn3ドメインのライブラリを作製し、本発明で使用し得る適切に結合するもの(binder)を選択する方法は、以下の米国特許および特許出願の文書中に完全に記載されており、本明細書中に参考として組み込まれている:米国特許第7,115,396号、第6,818,418号、第6,537,749号、第6,660,473号、第7,195,880号、第6,416,950号、第6,214,553号、第6623926号、第6,312,927号、第6,602,685号、第6,518,018号、第6,207,446号、第6,258,558号、第6,436,665号、第6,281,344号、第7,270,950号、第6,951,725号、第6,846,655号、第7,078,197号、第6,429,300号、第7,125,669号、第6,537,749号、第6,660,473号、ならびに米国特許出願第20070082365号、第20050255548号、第20050038229号、第20030143616号、第20020182597号、第20020177158号、第20040086980号、第20040253612号、第20030022236号、第20030013160号、第20030027194号、第20030013110号、第20040259155号、第20020182687号、第20060270604号、第20060246059号、第20030100004号、第20030143616号、および第20020182597号。10Fn3などのフィブロネクチンIII型ドメイン中に多様性を生じさせ、次いで選択ステップを行うことは、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、または酵母表面ディスプレイ、たとえば、Lipovsekら(2007年) Journal of Molecular Biology 368巻:1024〜1041頁、Sergeevaら(2006年) Adv Drug Deliv Rev. 58巻:1622〜1654頁、Pettyら(2007年) Trends Biotechnol. 25巻:7〜15頁、Rotheら(2006年) Expert Opin Biol Ther. 6巻:177〜187頁、およびHoogenboom (2005年) Nat Biotechnol. 23巻:1105〜1116頁などの当技術分野で公知の他の方法を使用して達成し得る。
当業者には、上記言及した参考文献中の方法を使用して、好ましい10Fn3ドメイン以外のタンパク質から抗体擬態物を誘導し得ることが理解されよう。上記参照した方法によって抗体擬態物を作製するために使用することができるさらなる分子には、それだけには限定されないが、ヒトフィブロネクチンモジュール1Fn3〜9Fn3および11Fn3〜17Fn3ならびに非ヒト動物および原核生物からの関連するFn3モジュールが含まれる。さらに、テネイシンおよびウンデュリン(undulin)などの、10Fn3と配列相同性を有する他のタンパク質からのFn3モジュールも使用し得る。免疫グロブリン様の折り畳みを有する(が、VHドメインと非関連の配列を有する)他の例示的なタンパク質には、N−カドヘリン、ICAM−2、タイチン、GCSF受容体、サイトカイン受容体、グリコシダーゼインヒビター、E−カドヘリン、および抗生物質色素タンパク質が含まれる。関連構造を有するさらなるドメインは、ミエリン膜接着分子P0、CD8、CD4、CD2、クラスI MHC、T細胞抗原受容体、CD1、VCAM−1のC2およびIセットドメイン、ミオシン結合タンパク質CのIセット免疫グロブリンの折り畳み、ミオシン結合タンパク質HのIセット免疫グロブリンの折り畳み、テロキンのIセット免疫グロブリンの折り畳み、テリキン、NCAM、トゥイッチン、ニューログリアン、成長ホルモン受容体、エリスロポエチン受容体、プロラクチン受容体、GC−SF受容体、インターフェロン−ガンマ受容体、ベータ−ガラクトシダーゼ/グルクロニダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、ならびにトランスグルタミナーゼに由来し得る。あるいは、1つまたは複数の免疫グロブリン様の折り畳みが含まれる任意の他のタンパク質を利用して、アドネクチン(adnecting)様結合部分を作製し得る。そのようなタンパク質は、たとえばプログラムSCOPを使用して同定し得る(Murzinら、J. Mol. Biol. 247巻:536頁(1995年)、Lo Conteら、Nucleic Acids Res. 25巻:257頁(2000年))。
アプタマーは、本発明によって包含される別の種類の抗体模倣体である。アプタマーとは、典型的には、特定の分子標的と結合する小さなヌクレオチドポリマーである。アプタマーは一本鎖または二本鎖の核酸分子(DNAまたはRNA)であり得るが、DNAに基づくアプタマーは、最も一般的には二本鎖である。アプタマー核酸には定義された長さは存在しない。しかし、アプタマー分子は、最も一般的には15〜40個のヌクレオチドの長さである。
アプタマーはしばしば複雑な三次元構造を形成し、これが標的分子に対するその親和性を決定する。アプタマーは、ほぼ完全にin vitroで操作および増幅できることが主な理由で、単純な抗体を超える多くの利点を提供することができる。さらに、アプタマーは、多くの場合に免疫応答をわずかにしか誘導しないか、または誘導しない。
アプタマーは様々な技法を使用して作製し得るが、その内容が本明細書中に参考として組み込まれているin vitro選択(EllingtonおよびSzostak. (1990年) Nature. 346巻(6287号):818〜22頁)およびSELEX方法(指数関数的な富化によるリガンドの系統的進化(systematic evolution of ligands by exponential enrichment))(Schneiderら、1992年. J Mol Biol. 228巻(3号):862〜9頁)を使用して、もともとは開発された。すべて本明細書中に参考として組み込まれている、Klussmann. The Aptamer Handbook: Functional Oligonucleotides and Their Applications. ISBN:978−3−527−31059−3、Ulrichら、2006年. Comb Chem High Throughput Screen 9巻(8号):619〜32頁、Cerchiaおよびde Franciscis. 2007年. Methods Mol Biol. 361巻:187〜200頁、IresonおよびKelland. 2006年. Mol Cancer Ther. 2006年 5巻(12号):2957〜62頁、米国特許第5582981号、第5840867号、第5756291号、第6261783号、第6458559号、第5792613号、第6111095号、ならびに米国特許出願第11/482,671号、第11/102,428号、第11/291,610号、および第10/627,543号を含めた、アプタマーを作製する他の方法およびその使用が公開されている。
SELEX方法が明らかに最も一般的であり、3つの基本的なステップで実施する。第1に、候補核酸分子のライブラリを特定の分子標的との結合に関して選択する。第2に、標的に対して十分な親和性を有する核酸を、結合しないものから分離する。第3に、結合した核酸を増幅し、第2のライブラリを形成し、このプロセスを繰り返す。それぞれの反復に際して、標的分子に対してより高い親和性を有するアプタマーが選択される。SELEX方法は、本明細書中に参考として組み込まれている以下の出版物中により完全に記載されている:Bugautら、2006年. 4巻(22号):4082〜8頁、Stoltenburgら、2007年 Biomol Eng. 2007年 24巻(4号):381〜403頁、およびGopinath. 2007年. Anal Bioanal Chem. 2007年. 387巻(1号):171〜82頁。
また、本発明の「アプタマー」には、ヌクレオチドの代わりにペプチドから作製されたアプタマー分子も含まれる。ペプチドアプタマーはヌクレオチドアプタマーと多くの特性を共有し(たとえば、大きさが小さいこと、および高い親和性で標的分子と結合する能力)、ヌクレオチドアプタマーを作製するために使用したものと同様の原理を有する選択方法によって作製し得る。たとえば、本明細書中に参考として組み込まれているBainesおよびColas. 2006年. Drug Discov Today. 11巻(7〜8号):334〜41頁ならびにBickleら、2006年. Nat Protoc. 1巻(3号):1066〜91頁。
アフィボディ分子とは、ブドウ球菌プロテインAのIgG結合ドメインのうちの1つに由来する、58個のアミノ酸残基のタンパク質ドメインに基づく新しいクラスの親和性タンパク質を表す。この3つのヘリックスバンドルのドメインは、コンビナトリアルファージミドライブラリを構築するための骨格として使用されており、これから、ファージディスプレイ技術を使用して、所望の分子を標的とするアフィボディバリアントを選択することができる(Nord K、Gunneriusson E、Ringdahl J、Stahl S、Uhlen M、Nygren PA、Binding proteins selected from combinatorial libraries of an α−helical bacterial receptor domain、Nat Biotechnol 1997年、15巻:772〜7頁。Ronmark J、Gronlund H、Uhlen M、Nygren PA、Human immunoglobulin A (IgA)−specific ligands from combinatorial engineering of protein A、Eur J Biochem 2002年、269巻:2647〜55頁)。アフィボディ分子の単純かつ堅調な構造とその低分子量(6kDa)とが組み合わされることで、これらは多種多様な応用、たとえば、検出試薬として(Ronmark J、Hansson M、Nguyen Tら、Construction and characterization of affibody−Fc chimeras produced in Escherichia coli、J Immunol Methods 2002年、261巻:199〜211頁)および受容体の相互作用の阻害(Sandstorm K、Xu Z、Forsberg G、Nygren PA、Inhibition of the CD28−CD80 co−stimulation signal by a CD28−binding Affibody ligand developed by combinatorial protein engineering、Protein Eng 2003年、16巻:691〜7頁)に適切となる。いくつかの実施形態では、アフィボディは、それを分泌コンパートメント中に存在させるように、KDELを用いて抗体配列を伸長することによって細胞内抗体として保持されるように改変される(たとえばVernetら(2009年)New Biotechnology, 25巻(6号):417〜423頁を参照されたい)。アフィボディおよびその産生方法のさらなる詳細は、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,831,012号を参照することによって得ることができる。
DARPin(設計アンキリン反復タンパク質(Designed Ankyrin Repeat Proteins))は、非抗体ポリペプチドの結合能力を活用するために開発された抗体模倣体DRP(設計反復タンパク質(Designed Repeat Protein))技術の一例である。アンキリンなどの反復タンパク質またはロイシンリッチな反復タンパク質は遍在性の結合分子であり、これらは、抗体とは異なり、細胞内および細胞外に存在する。そのユニークなモジュール構造は反復する構造単位(反復)を特長とし、これらは一緒に積み重なって、可変性かつモジュール式の標的結合表面を示す細長い反復ドメインを形成する。このモジュラリティに基づいて、高度に多様化した結合特異性を有するポリペプチドのコンビナトリアルライブラリを作製することができる。この戦略には、可変性の表面残基を示す自己適合性反復のコンセンサス設計および反復ドメインへのそのランダムアセンブリが含まれる。
DARPinは細菌発現系中で非常に高い収率で産生させることができ、これらは公知の最も安定なタンパク質に属する。ヒト受容体、サイトカイン、キナーゼ、ヒトプロテアーゼ、ウイルスおよび膜タンパク質を含めた幅広い範囲の標的タンパク質に対する、特異性の高い高親和性のDARPinが選択されている。1桁のナノモルからピコモルの範囲の親和性を有するDARPinを得ることができる。
DARPinは、ELISA、サンドイッチELISA、フローサイトメトリー分析(FACS)、免疫組織化学(IHC)、チップの応用、親和性精製またはウエスタンブロッティングを含めた、広い範囲の応用で使用されている。また、DARPinは、たとえば緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合した細胞内マーカータンパク質として、細胞内区画中で活性が高いことも証明された。さらに、DARPinはpM範囲のIC50でウイルス進入を阻害するために使用された。DARPinは、タンパク質−タンパク質の相互作用を遮断するためだけでなく、酵素を阻害するためにも理想的である。プロテアーゼ、キナーゼおよびトランスポーターの、ほとんどの場合はアロステリックな様式での阻害が成功している。非常に速く特異的な腫瘍上の富化および非常に好ましい腫瘍対血液の比により、DARPinはin vivo診断または治療手法に非常に適したものとなっている。
DARPinおよび他のDRP技術に関するさらなる情報は、どちらもその全体が本明細書中に参考として組み込まれている米国特許出願第2004/0132028号および国際特許出願公開WO02/20565号中に見つけることができる。
アンチカリンはさらなる抗体模倣体の技術であるが、この場合、結合特異性は、ヒトの組織および体液中で天然かつ豊富に発現される低分子量タンパク質のファミリーであるリポカリンに由来する。リポカリンは、化学的感受性化合物または不溶性化合物の生理的輸送および貯蔵に関連する様々な機能をin vivoで行うように進化している。リポカリンは、タンパク質の一方の末端で、4つのループを支持する高度に保存されたβ−バレルを含む堅調な固有の構造を有する。これらのループは、結合ポケットへの入り口を形成し、分子のこの部分中のコンフォメーションの相違が、個々のリポカリン間の結合特異性の変動の原因となっている。
保存されたβ−シートフレームワークによって支持される超可変ループの全体的な構造は免疫グロブリンを連想させるが、リポカリンは、大きさに関して抗体とは相当に異なり、単一の免疫グロブリンドメインよりもわずかに大きい160〜180個のアミノ酸の単一のポリペプチド鎖から構成されている。
リポカリンをクローニングし、そのループを操作に供して、アンチカリンを作製する。構造的に多様なアンチカリンのライブラリが作製されており、アンチカリンディスプレイにより、結合機能の選択およびスクリーニング、次いで原核生物または真核生物系におけるさらなる分析のための可溶性タンパク質の発現および産生が可能となる。研究により、事実上任意のヒト標的タンパク質に特異的なアンチカリンを開発することができ、単離することができ、ナノモル以上の範囲の結合親和性を得ることができることを示すことに成功している。
また、アンチカリンは、二重標的化タンパク質、いわゆるDuocalinとしての形式とすることもできる。Duocalinは、標準の製造プロセスを使用して容易に生成される1つの単量体タンパク質において2つの別々の治療標的と結合し、その一方で、その2つの結合ドメインの構造配向にかかわらず、標的特異性および親和性を保持する。
単一の分子による複数の標的の調節(modulation)は、複数の原因因子の関与が公知である疾患において特に有利である。さらに、Duocalinなどの二価または多価の結合様式は、疾患における細胞表面分子の標的化、シグナル伝達経路におけるアゴニスト効果の媒介、または細胞表面受容体の結合およびクラスタリングを介した増強された内在化効果の誘導において顕著な潜在性を有する。さらに、Duocalinの高い固有の安定性は単量体のアンチカリンに匹敵し、Duocalinに柔軟な処方および送達潜在性を提供する。
アンチカリンに関するさらなる情報は、どちらもその全体が本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第7,250,297号および国際特許出願公開WO99/16873号中に見つけることができる。
本発明との関係において有用な別の抗体模倣体の技術はアビマーである。アビマーは、in vitroのエクソンシャフリングおよびファージディスプレイによってヒト細胞外受容体ドメインの大きなファミリーから進化しており、結合および阻害の特性を有する複数ドメインのタンパク質を生じる。複数の独立した結合ドメインの連結によりアビディティが生じることが示されており、慣用の単一エピトープの結合タンパク質と比較して改善された親和性および特異性がもたらされる。他の潜在的な利点には、Escherichia coliにおける複数標的に特異的な分子の単純かつ効率的な産生、改善された熱安定性およびプロテアーゼに対する耐性が含まれる。ナノモル以下の親和性を有するアビマーが様々な標的に対して得られている。
アビマーに関するさらなる情報は、すべてその全体が本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許出願第2006/0286603号、第2006/0234299号、第2006/0223114号、第2006/0177831号、第2006/0008844号、第2005/0221384号、第2005/0164301号、第2005/0089932号、第2005/0053973号、第2005/0048512号、第2004/0175756号中に見つけることができる。
バーサボディは、本発明との関係において使用できる別の抗体模倣体の技術である。バーサボディとは、>15%のシステインを有する3〜5kDaの小さなタンパク質であり、高いジスルフィド密度の骨格を形成し、典型的なタンパク質が有する疎水性コアを置き換えている。疎水性コアを含む多数の疎水性アミノ酸を少数のジスルフィドで置き換えることで、より小さく、より親水性であり(凝集および非特異的結合がより少ない)、プロテアーゼおよび熱に対してより耐性であり、より低い密度のT細胞エピトープを有するタンパク質がもたらされる。なぜならば、MHC提示に最も寄与する残基は疎水性残基であるからである。これらの4つの特性はすべて、免疫原性に影響を与えることが周知であり、これらが一緒になって免疫原性の大きな減少を引き起こすと予想される。
バーサボディのインスピレーションは、ヒル、ヘビ、クモ、サソリ、カタツムリ、およびイソギンチャク(anemone)によって産生される天然の注射用生物製薬(biopharmaceutical)から得られており、これは、予想外に低い免疫原性を示すことが公知である。選択された天然タンパク質ファミリーから開始して、設計およびスクリーニングによって、大きさ、疎水性、タンパク質分解性抗原プロセッシング、およびエピトープ密度を天然の注射用タンパク質の平均よりもはるかに低いレベルまで最小化する。
バーサボディの構造を考慮すると、これらの抗体模倣体は、多結合価、多特異性、半減期機構の多様性、組織標的化モジュールおよび抗体Fc領域の非存在を含めた多用途の様式を提供する。さらに、バーサボディはE.coli中で高い収率で製造され、また、その親水性および小さな大きさのため、バーサボディは可溶性が高く、高濃度で処方することができる。バーサボディは並外れて熱安定性であり(煮沸することができる)、長い貯蔵寿命を提供する。
バーサボディに関するさらなる情報は、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている米国特許出願第2007/0191272号中に見つけることができる。
SMIP(商標)(小モジュール免疫製薬(Small Modular ImmunoPharmaceuticals)−Trubion Pharmaceuticals)は、標的結合、エフェクター機能、in vivo半減期、および発現レベルが維持および最適化されるように操作されている。SMIPは、3つの明白に異なるモジュールドメインからなる。第1に、これらは、特異性を与える任意のタンパク質(たとえば、細胞表面受容体、単鎖抗体、可溶性タンパク質など)からなり得る結合ドメインを含有する。第2に、これらは、結合ドメインとエフェクタードメインとの間の柔軟なリンカーとして機能するヒンジドメインを含有し、SMIP薬物の多量体化の制御も助ける。最後に、SMIPは、Fcドメインまたは他の特別に設計したタンパク質を含めた様々な分子から由来し得るエフェクタードメインを含有する。様々な異なる結合、ヒンジ、およびエフェクタードメインを有するSMIPの単純な構築を可能にする設計のモジュラリティは、迅速かつカスタマイズ可能な薬物設計を提供する。
どのようにして設計するかの例を含めた、SMIPに関するさらなる情報は、Zhaoら(2007年) Blood 110巻:2569〜77頁ならびに米国特許出願第20050238646号、第20050202534号、第20050202028号、第20050202023号、第20050202012号、第20050186216号、第20050180970号、および第20050175614号中(これらは、各々、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている)に見つけ得る。
上記に提供した抗体断片および抗体模倣体の技術の詳細な説明は、本明細書との関係において使用できるすべての技術の包括的なリストであることを意図しない。たとえば、やはり限定するものではないが、ポリペプチドに基づく代替技術を含めた様々な追加の技術、たとえば、その全体が本明細書中に参考として組み込まれているQuiら、Nature Biotechnology、25巻(8号) 921〜929頁(2007年)中に概要が示されている相補性決定領域の融合、ならびにすべて本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第5,789,157号、第5,864,026号、第5,712,375号、第5,763,566号、第6,013,443号、第6,376,474号、第6,613,526号、第6,114,120号、第6,261,774号、および第6,387,620号に記載されているRNAアプタマー技術などの核酸に基づく技術を、本発明との関係において使用することができる。
抗体の物理特性
RTKの非対称性の接触境界領域と結合する本発明の抗体は、様々な物理特性によってさらに特徴づけされ得る。様々なアッセイを使用して、これらの物理特性に基づいて様々な抗体のクラスを検出および/または区別し得る。
RTKの非対称性の接触境界領域と結合する本発明の抗体は、様々な物理特性によってさらに特徴づけされ得る。様々なアッセイを使用して、これらの物理特性に基づいて様々な抗体のクラスを検出および/または区別し得る。
一部の実施形態では、本発明の抗体は、軽鎖または重鎖可変領域のどちらかの中に1つまたは複数のグリコシル化部位を含有し得る。可変領域中の1つまたは複数のグリコシル化部位の存在は、変更された抗原結合による、抗体の免疫原性の増加または抗体のpKの変更をもたらし得る(Marshallら(1972年) Annu Rev Biochem 41巻:673〜702頁、Gala FAおよびMorrison SL (2004年) J Immunol 172巻:5489〜94頁、Wallickら(1988年) J Exp Med 168巻:1099〜109頁、Spiro RG (2002年) Glycobiology 12巻:43R〜56R頁、Parekhら(1985年) Nature 316巻:452〜7頁、Mimuraら(2000年) Mol Immunol 37巻:697〜706頁)。グリコシル化は、N−X−S/T配列を含有するモチーフで起こることが公知である。可変領域のグリコシル化を、Glycoblotアッセイを使用して試験でき、これは、抗体を切断してFabを生成し、その後、過ヨウ素酸塩の酸化およびシッフ塩基の形成を測定するアッセイを使用してグリコシル化について試験し得る。あるいは、可変領域のグリコシル化は、Dionexライトクロマトグラフィー(Dionex−LC)を使用して試験され得、これは、Fabからの糖類を単糖へと切断し、個々の糖類含有量を分析する。一部の例では、可変領域のグリコシル化を含有しない抗体を有することが好ましい場合がある。これは、可変領域中にグリコシル化モチーフを含有しない抗体を選択することによって、または当技術分野で周知の標準の技法を使用してグリコシル化モチーフ内の残基を変異させることによって達成することができる。
それぞれの抗体は特有の等電点(pI)を有するが、一般に、抗体は6〜9.5のpH範囲となる。IgG1抗体のpIは典型的には7〜9.5のpH範囲となり、IgG4抗体のpIは典型的には6〜8のpH範囲となる。抗体は、この範囲の外のpIを有し得る。効果は一般に知られていないが、正常な範囲外のpIを有する抗体は、in vivo条件下でいくらかの折り畳みの崩れ(unfolding)および不安定性を有し得ると推測されている。等電点は、pH勾配を生じるキャピラリー等電点電気泳動アッセイを使用して試験してよく、正確さを増すためにレーザー集束を利用し得る(Janiniら(2002年) Electrophoresis 23巻:1605〜11頁、Maら(2001年) Chromatographia 53巻:S75〜89頁、Huntら(1998年) J Chromatogr A 800巻:355〜67頁)。一部の例では、正常な範囲内となるpI値を含有する抗体を有することが好ましい。これは、正常な範囲内のpIを有する抗体を選択することによって、または当技術分野で周知の標準の技法を使用して荷電表面残基を変異させることによって達成することができる。
それぞれの抗体は、熱安定性の指標である融解温度を有する(Krishnamurthy RおよびManning MC (2002年) Curr Pharm Biotechnol 3巻:361〜71頁)。より高い熱安定性は、in vivoでのより高い全体的な抗体の安定性を示す。抗体の融点は、示差走査熱量測定などの技法を使用して測定し得る(Chenら(2003年) Pharm Res 20巻:1952〜60頁、Ghirlandoら(1999年) Immunol Lett 68巻:47〜52頁)。TM1は、抗体の最初の折り畳みの崩れの温度を示す。TM2は、抗体の完全な折り畳みの崩れの温度を示す。一般に、本発明の抗体のTM1は60℃より高いことが好ましく、好ましくは65℃より高く、さらにより好ましくは70℃より高い。あるいは、抗体の熱安定性は円二色性を使用して測定し得る(Murrayら(2002年) J. Chromatogr Sci 40巻:343〜9頁)。
好ましい実施形態では、迅速に分解されない抗体が所望され得る。抗体の断片化は、当技術分野で十分に理解されているように、キャピラリー電気泳動(CE)およびMALDI−MSを使用して測定し得る(Alexander AJおよびHughes DE (1995年) Anal Chem 67巻:3626〜32頁)。
別の好ましい実施形態では、最小限の凝集効果を有する抗体を選択する。凝集は、望まない免疫応答の惹起および/または変更されたかもしくは望ましくない薬物動態学的特性をもたらし得る。一般に、抗体は、25%以下、好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下の凝集が許容される。凝集を、サイズ排除カラム(SEC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および光散乱を含めた当技術分野で周知のいくつかの技法によって測定し、単量体、二量体、三量体または多量体を同定し得る。
本発明のポリクローナル抗体の産生
本発明のポリクローナル抗体は、当技術分野で周知の様々な技法によって産生させることができる。ポリクローナル抗体は様々なB細胞系に由来し、したがって、同じ抗原上の複数のエピトープを認識し得る。ポリクローナル抗体は、典型的には、適切な哺乳動物を、目的の抗原、たとえばRTKの非対称性接触境界領域で免疫化することによって産生させる。ポリクローナル抗体の産生にしばしば使用される動物は、ニワトリ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、マウス、ラット、ヒツジ、および最も一般的にはウサギである。ポリクローナル抗体を産生させる標準の方法は当技術分野で広く公知であり、本発明の方法と組み合わせることができる(たとえば、その内容全体が本明細書中に参考として組み込まれている、research.cm.utexas.edu/bkitto/Kittolabpage/Protocols/Immunology/PAb.html、米国特許第4,719,290号、第6,335,163号、第5,789,208号、第2,520,076号、第2,543,215号、および第3,597,409号)。
本発明のポリクローナル抗体は、当技術分野で周知の様々な技法によって産生させることができる。ポリクローナル抗体は様々なB細胞系に由来し、したがって、同じ抗原上の複数のエピトープを認識し得る。ポリクローナル抗体は、典型的には、適切な哺乳動物を、目的の抗原、たとえばRTKの非対称性接触境界領域で免疫化することによって産生させる。ポリクローナル抗体の産生にしばしば使用される動物は、ニワトリ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、マウス、ラット、ヒツジ、および最も一般的にはウサギである。ポリクローナル抗体を産生させる標準の方法は当技術分野で広く公知であり、本発明の方法と組み合わせることができる(たとえば、その内容全体が本明細書中に参考として組み込まれている、research.cm.utexas.edu/bkitto/Kittolabpage/Protocols/Immunology/PAb.html、米国特許第4,719,290号、第6,335,163号、第5,789,208号、第2,520,076号、第2,543,215号、および第3,597,409号)。
本発明のモノクローナル抗体の産生
本発明のモノクローナル抗体(mAb)は、慣用のモノクローナル抗体方法、たとえば、KohlerおよびMilstein (1975年) Nature 256巻:495頁の標準の体細胞ハイブリダイゼーション技法を含めた、様々な技法によって産生させることができる。体細胞ハイブリダイゼーション手順が好ましいが、原理上は、モノクローナル抗体を産生させる他の技法、たとえば、Bリンパ球のウイルスまたは腫瘍発生性形質転換を用いることができる。抗体(モノクローナルもしくはポリクローナル)またはその抗原結合性一部分は、RTKの非対称性の接触境界領域、例えば、線維芽細胞増殖因子受容体上の任意のエピトープ、本明細書中に記述したコンセンサス(concensus)配列、あるいは本明細書中に記載の任意のコンフォメーション、不連続、または直鎖状エピトープに対して産生させ得ることに留意されたい。
本発明のモノクローナル抗体(mAb)は、慣用のモノクローナル抗体方法、たとえば、KohlerおよびMilstein (1975年) Nature 256巻:495頁の標準の体細胞ハイブリダイゼーション技法を含めた、様々な技法によって産生させることができる。体細胞ハイブリダイゼーション手順が好ましいが、原理上は、モノクローナル抗体を産生させる他の技法、たとえば、Bリンパ球のウイルスまたは腫瘍発生性形質転換を用いることができる。抗体(モノクローナルもしくはポリクローナル)またはその抗原結合性一部分は、RTKの非対称性の接触境界領域、例えば、線維芽細胞増殖因子受容体上の任意のエピトープ、本明細書中に記述したコンセンサス(concensus)配列、あるいは本明細書中に記載の任意のコンフォメーション、不連続、または直鎖状エピトープに対して産生させ得ることに留意されたい。
当技術分野で公知のいくつかの方法が、目的の不連続エピトープと特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の特異的な選択に有用である。たとえば、その内容全体が本明細書中に参考として組み込まれている米国公開第2005/0169925号に開示されている技法は、タンパク質配列内の2つの異なるペプチドと結合する抗体の選択を可能にする。そのような方法は、本明細書中に開示したコンフォメーションおよび不連続エピトープを特異的に標的とするために、本発明に従って使用し得る。コンフォメーションエピトープがタンパク質の二次的構造である場合、そのような構造は、しばしば、より小さなペプチド(たとえば<50個のアミノ酸)中でより容易に形成される。したがって、動物をより小さなペプチドで免疫化することで、一部のコンフォメーションエピトープを捕らえることができる。あるいは、コンフォメーションエピトープを含む2つの小さなペプチドを柔軟なリンカー(たとえば、ポリグリコール、または極性の非荷電のアミノ酸のストレッチ)で接続させ得る。リンカーは、ペプチドが様々な相互作用の配向を探索することを可能にする。この構築体を用いた免疫化、次いで適切なスクリーニングにより、コンフォメーションエピトープに向けられた抗体の同定が可能となる場合がある。好ましい実施形態では、RTKの特定のドメイン(たとえば、RTKの非対称性の接触境界領域)で動物を免疫化し、続いて目的のエピトープと結合する抗体についてスクリーニングすることによって、特定のコンフォメーションまたは直鎖状エピトープに対するペプチドを作製し得る。一実施形態では、低温電子顕微鏡観察(Jiangら(2008年) Nature 451巻、1130〜1134頁、Joachim (2006年) Oxford University Press_ISBN:0195182189)を使用して、本発明の抗体または抗原結合断片によって結合されたエピトープを同定し得る。別の実施形態では、RTKまたはそのドメインを、結合した抗体またはその抗原結合断片と共に結晶化し、X線結晶構造解析によって分析して、結合した正確なエピトープを決定し得る。さらに、エピトープを、RTK配列の一部分をマウスまたは別の種からの対応する配列で置き換えることによってマッピングし得る。目的のエピトープに向けられた抗体はヒト配列領域と選択的に結合し、したがって、標的エピトープを順次マッピングすることが可能である。このキメラに基づいたエピトープマッピングの技法は、様々な設定でのエピトープの同定における使用で成功している(その内容全体が本明細書中に参考として組み込まれているHenrikssonおよびPettersson (1997年) Journal of Autoimmunity. 10巻(6号):559〜568頁、Netzerら(1999年) J Biol Chem. 1999年4月16日、274巻(16号):11267〜74頁、Hsiaら(1996年) Mol. Microbiol. 19巻、53〜63頁を参照)。
標的RTK(たとえば線維芽細胞増殖因子受容体)中の目的のエピトープはグリコシル化されていないと考えられている。しかし、目的のRTKがグリコシル化されている場合、抗体またはその抗原結合性一部分(および本発明の他の部分)を、関連するアミノ酸および/または糖残基と結合するように産生させ得る。たとえば、Kitタンパク質は少なくとも10箇所の潜在的なN連結グリコシル化の部位を有することが当技術分野で公知である(Morstyn、Foote、Lieschke (2004年) Hematopoietic Growth Factors in Oncology: Basic Science and Clinical Therapeutics. Humana Press. ISBN:1588293025)。さらに、KitはO連結グリコシル化およびシアル酸残基との付着を示し得ると考えられている(Wypych Jら(1995年) Blood、85巻(1号):66〜73頁)。したがって、抗体またはその抗原結合性一部分(および本発明の他の部分)を、本明細書中で同定した任意のエピトープに付着していてもよい糖残基と結合するようにも産生させ得ることが企図される。この目的のために、目的の抗原性ペプチドを、正しくグリコシル化されるように動物細胞中で産生させてよく、その後、グリコシル化された抗原性ペプチドを使用して動物を免疫化し得る。グリコシル化されたペプチドを産生させるための適切な細胞および技法は当技術分野で公知であり、以下にさらに記載されている(たとえば、GlycoFi,Inc.、ニューハンプシャー州LebanonおよびBioWa、ニュージャージー州Princetonから利用可能な技術を参照)。ペプチドの正しいグリコシル化を、等電点電気泳動(IEF)、酸加水分解(単糖の組成を決定するため)、化学的または酵素的切断、および質量分析(MS)などの任意の標準の方法を使用して試験して、グリカンを同定し得る。また、グリカン分析を加速させるためにレクチンに基づくアレイを使用するProcognia(procognia.com)によって提供される技術も使用し得る。還元性アルカリ性切断もしくは「ベータ排除」、ペプチドマッピング、液体クロマトグラフィー、および質量分析またはこれらの技法のうちの任意の組合せなどの技法を使用して、O−グリコシル化を具体的に検出し得る。
ハイブリドーマを調製するための好ましい動物系はマウス系である。マウスにおけるハイブリドーマの産生は非常に良好に確立された手順である。免疫化プロトコルおよび融合のために免疫化した脾細胞を単離する技法は当技術分野で公知である。また、融合パートナー(たとえばマウス骨髄腫細胞)および融合手順も公知である。
本発明のキメラまたはヒト化抗体は、上述のように調製したマウスモノクローナル抗体の配列に基づいて調製することができる。重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードしているDNAを、目的のマウスハイブリドーマから得て、標準の分子生物学的技法を使用して非マウス(たとえばヒト)免疫グロブリン配列を含有するように操作することができる。たとえば、キメラ抗体を作製するためには、当技術分野で公知の方法を使用してマウス可変領域をヒト定常領域に連結させることができる(たとえばCabillyらの米国特許第4,816,567号を参照)。ヒト化抗体を作製するためには、当技術分野で公知の方法を使用してマウスCDR領域をヒトフレームワーク内に挿入することができる(たとえば、Winterの米国特許第5,225,539号、ならびにQueenらの米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,762号および第6,180,370号を参照)。あるいは、ヒトおよび非ヒト配列の知識が与えられた場合は、ヒト化抗体をDNAまたはタンパク質レベルで設計し得る。そのような抗体を、直接化学合成し得るか、または、DNAを合成し、in vitroもしくはin vivoで発現させて、ヒト化抗体を産生させ得る。
好ましい実施形態では、本発明の抗体はヒトモノクローナル抗体である。RTKの非対称性の接触境界領域、たとえば線維芽細胞増殖因子受容体に向けられたそのようなヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫系の一部をマウス系の代わりに保有するトランスジェニックまたはトランス染色体マウスを使用して作製することができる。これらのトランスジェニックおよびトランス染色体マウスには、本明細書中でそれぞれHuMAbマウスおよびKM mice(商標)と呼ぶマウスが含まれ、これらは本明細書中で「ヒトIgマウス」と総称する。
HuMAbマウス(登録商標)(Medarex,Inc.)は、内在性のμおよびκ鎖の遺伝子座を不活性化させる標的化変異と一緒に、再構成されていないヒト重鎖(μおよびγ)ならびにκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードしているヒト免疫グロブリン遺伝子のミニ遺伝子座を含有する(たとえばLonbergら(1994年) Nature 368巻(6474号):856〜859頁を参照)。したがって、マウスは、マウスIgMまたはκの発現の低下を示し、免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖の導入遺伝子はクラススイッチおよび体細胞変異を受けて、高親和性のヒトIgGκモノクローナルを生じる(Lonberg, N.ら(1994年)、上記;Lonberg, N. (1994年) Handbook of Experimental Pharmacology 113巻:49〜101頁、Lonberg, N.およびHuszar, D. (1995年) Intern. Rev. Immunol. 13巻:65〜93頁、ならびにHarding, F.およびLonberg, N. (1995年) Ann. N.Y. Acad. Sci. 764巻:536〜546頁中に総説)。HuMAbマウスの調製および使用、ならびにそのようなマウスによって保有されるゲノム改変は、そのすべての内容がその全体で本明細書中に具体的に参考として組み込まれている、Taylor, L.ら(1992年) Nucleic Acids Research 20巻:6287〜6295頁、Chen, J.ら(1993年) International Immunology 5巻:647〜656頁、Tuaillonら(1993年) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:3720〜3724頁、Choiら(1993年) Nature Genetics 4巻:117〜123頁、Chen, J.ら(1993年) EMBO J. 12巻:821〜830頁、Tuaillonら(1994年) J. Immunol. 152巻:2912〜2920頁、Taylor, L.ら(1994年) International Immunology 6巻:579〜591頁、およびFishwild, D.ら(1996年) Nature Biotechnology 14巻:845〜851頁中にさらに記載されている。すべてLonbergおよびKayの米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,789,650号、第5,877,397号、第5,661,016号、第5,814,318号、第5,874,299号、および第5,770,429号、Suraniらの米国特許第5,545,807号、すべてLonbergおよびKayのPCT公開WO92/03918号、WO93/12227号、WO94/25585号、WO97/13852号、WO98/24884号およびWO99/45962号、ならびにKormanらのPCT公開WO01/14424号をさらに参照されたい。
別の実施形態では、本発明のヒト抗体を、ヒト重鎖の導入遺伝子およびヒト軽鎖のトランス染色体を保有するマウスなどの、導入遺伝子およびトランス染色体のヒト免疫グロブリン配列を保有するマウスを使用して産生させることができる。本明細書中で「KM mice(商標)」と呼ぶそのようなマウスは、IshidaらのPCT公開WO02/43478号中に詳述されている。
さらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する代替トランスジェニック動物系が当技術分野で利用可能であり、本発明の抗体を産生させるために使用することができる。たとえば、Xenomouse(Abgenix,Inc.)と呼ばれる代替トランスジェニック系を使用することができ、そのようなマウスは、たとえば、Kucherlapatiらの米国特許第5,939,598号、第6,075,181号、第6,114,598号、第6,150,584号および第6,162,963号に記載されている。
さらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する代替トランス染色体動物系が当後術分野で利用可能であり、本発明の抗体を産生させるために使用することができる。たとえば、「TCマウス」と呼ばれる、ヒト重鎖のトランス染色体およびヒト軽鎖のトランス染色体をどちらも保有するマウスを使用することができ、そのようなマウスはTomizukaら(2000年) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97巻:722〜727頁に記載されている。さらに、ヒト重鎖および軽鎖トランス染色体を保有するウシが当技術分野で記載されており(Kuroiwaら(2002年) Nature Biotechnology 20巻:889〜894頁)、本発明の抗体を産生させるために使用することができる。
また、本発明のヒトモノクローナル抗体を、ヒト免疫グロブリン遺伝子のライブラリをスクリーニングするためのファージディスプレイ方法を使用して調製することもできる。ヒト抗体を単離するためのそのようなファージディスプレイ方法は、当技術分野で確立されている。たとえば、Ladnerらの米国特許第5,223,409号、第5,403,484号、および第5,571,698号、Dowerらの米国特許第5,427,908号および第5,580,717号、McCaffertyらの米国特許第5,969,108号および第6,172,197号、ならびにGriffithsらの米国特許第5,885,793号、第6,521,404号、第6,544,731号、第6,555,313号、第6,582,915号および第6,593,081号を参照されたい。
また、本発明のヒトモノクローナル抗体を、免疫化の際にヒト抗体の応答を生じることができるようにヒト免疫細胞が再構成されたSCIDマウスを使用して調製することもできる。そのようなマウスは、たとえば、Wilsonらの米国特許第5,476,996号および第5,698,767号に記載されている。
別の実施形態では、本発明の抗体を、Marks, J.D.ら((1991年). J. Mol. Biol. 222巻、581頁)、Nissim, A.ら((1994年). EMBO J. 13巻、692頁)ならびに米国特許第6,794,132号、第6562341号、第6057098号、第5821047号、および第6512097号に記載のように、周知のファージディスプレイ技法を使用して産生させ得る。
さらなる実施形態では、本発明の抗体を、たとえば、米国特許第6,423,538号、第6,300,065号、第6,696,251号、第6,699,658号に記載のように、酵母細胞表面ディスプレイ技術を使用して見つけ得る。
本発明のヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製
本発明のヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するために、免疫化したマウスから脾細胞および/またはリンパ節細胞を単離し、マウス骨髄腫細胞系などの適切な不死化細胞系と融合させることができる。生じるハイブリドーマを、抗原に特異的な抗体の産生についてスクリーニングすることができる。たとえば、免疫化したマウスからの脾臓リンパ球の単一細胞懸濁液を、50%のPEGを用いて1/6の数のP3X63−Ag8.653非分泌マウス骨髄腫細胞(ATCC、CRL1580)と融合させることができる。あるいは、免疫化したマウスからの脾臓リンパ球の単一細胞懸濁液を、CytoPulse大チャンバ細胞融合エレクトロポレーター(CytoPulse Sciences,Inc.、メリーランド州Glen Burnie)を使用した電界に基づく電気融合方法を使用して融合させることができる。細胞を平底マイクロタイタープレート中に約2×10−5個でプレートに入れ、次いで、20%の胎児クローン血清、18%の「653」馴化培地、5%のオリゲン(origen)(IGEN)、4mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、5mMのHEPES、0.055mMの2−メルカプトエタノール、50単位/mlのペニシリン、50mg/mlのストレプトマイシン、50mg/mlのゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma、HATは融合の24時間後に加える)を含有する選択培地中で2週間インキュベートする。約2週間後、HATをHTで置き換えた培地中で細胞を培養することができる。その後、個々のウェルをELISAによってヒトモノクローナルIgMおよびIgG抗体についてスクリーニングすることができる。大規模なハイブリドーマ成長が起こった後、通常は10〜14日後に培地を観察することができる。抗体分泌ハイブリドーマを再度プレートに入れ、再度スクリーニングすることができ、まだヒトIgGについて陽性である場合は、モノクローナル抗体を限界希釈によって少なくとも2倍でサブクローニングすることができる。その後、安定なサブクローンをin vitroで培養して、特徴づけのために少量の抗体を組織培養培地中で産生させることができる。
本発明のヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するために、免疫化したマウスから脾細胞および/またはリンパ節細胞を単離し、マウス骨髄腫細胞系などの適切な不死化細胞系と融合させることができる。生じるハイブリドーマを、抗原に特異的な抗体の産生についてスクリーニングすることができる。たとえば、免疫化したマウスからの脾臓リンパ球の単一細胞懸濁液を、50%のPEGを用いて1/6の数のP3X63−Ag8.653非分泌マウス骨髄腫細胞(ATCC、CRL1580)と融合させることができる。あるいは、免疫化したマウスからの脾臓リンパ球の単一細胞懸濁液を、CytoPulse大チャンバ細胞融合エレクトロポレーター(CytoPulse Sciences,Inc.、メリーランド州Glen Burnie)を使用した電界に基づく電気融合方法を使用して融合させることができる。細胞を平底マイクロタイタープレート中に約2×10−5個でプレートに入れ、次いで、20%の胎児クローン血清、18%の「653」馴化培地、5%のオリゲン(origen)(IGEN)、4mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、5mMのHEPES、0.055mMの2−メルカプトエタノール、50単位/mlのペニシリン、50mg/mlのストレプトマイシン、50mg/mlのゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma、HATは融合の24時間後に加える)を含有する選択培地中で2週間インキュベートする。約2週間後、HATをHTで置き換えた培地中で細胞を培養することができる。その後、個々のウェルをELISAによってヒトモノクローナルIgMおよびIgG抗体についてスクリーニングすることができる。大規模なハイブリドーマ成長が起こった後、通常は10〜14日後に培地を観察することができる。抗体分泌ハイブリドーマを再度プレートに入れ、再度スクリーニングすることができ、まだヒトIgGについて陽性である場合は、モノクローナル抗体を限界希釈によって少なくとも2倍でサブクローニングすることができる。その後、安定なサブクローンをin vitroで培養して、特徴づけのために少量の抗体を組織培養培地中で産生させることができる。
ヒトモノクローナル抗体を精製するために、選択されたハイブリドーマを、モノクローナル抗体の精製用の2リットルのスピナーフラスコ中で増殖させることができる。上清を濾過および濃縮した後に、プロテインA−セファロース(Pharmacia、ニュージャージー州Piscataway)を用いたアフィニティークロマトグラフィーを行うことができる。溶出されたIgGをゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーによって確認して、純度を保証することができる。緩衝溶液をPBSに交換することができ、1.43の消光係数を使用したOD280によって濃度を決定することができる。モノクローナル抗体をアリコート分割し、−80℃で保管することができる。
本発明のモノクローナル抗体を産生するトランスフェクトーマの作製
また、本発明の抗体を、たとえば、当技術分野で周知のように組換えDNA技法および遺伝子トランスフェクション方法の組合せを使用して、宿主細胞のトランスフェクトーマ(ハイブリドーマの一種)中で産生させることもできる(たとえばMorrison, S. (1985年) Science 229巻:1202頁)。
また、本発明の抗体を、たとえば、当技術分野で周知のように組換えDNA技法および遺伝子トランスフェクション方法の組合せを使用して、宿主細胞のトランスフェクトーマ(ハイブリドーマの一種)中で産生させることもできる(たとえばMorrison, S. (1985年) Science 229巻:1202頁)。
たとえば、抗体またはその抗体断片を発現させるために、部分的または完全長の軽鎖および重鎖をコードしているDNAを標準の分子生物学的技法(たとえば、目的の抗体を発現するハイブリドーマを使用したPCR増幅またはcDNAクローニング)によって得ることができ、DNAを、遺伝子が転写および翻訳制御配列と作動可能に連結されるように発現ベクター内に挿入することができる。この文脈では、用語「作動可能に連結されている」とは、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するというその意図する機能を果たすように、抗体遺伝子がベクター内にライゲーションされていることを意味することを意図する。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用する発現宿主細胞に適合性があるように選択される。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子を、別々のベクター内に挿入することができ、またはより典型的には、両方の遺伝子が同じ発現ベクター内に挿入される。抗体遺伝子は、標準の方法(たとえば、抗体遺伝子断片およびベクター上の相補的制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合は平滑末端ライゲーション)によって発現ベクター内に挿入される。記載した抗体の軽鎖および重鎖可変領域を使用して、任意の抗体アイソタイプの完全長抗体の遺伝子を作製することができ、これは、ベクター内でVHセグメントがCHセグメント(複数可)と作動可能に連結されており、ベクター内でVKセグメントがCLセグメントと作動可能に連結されているように、所望のアイソタイプの重鎖定常および軽鎖定常領域を既にコードしている発現ベクター内に挿入することによる。それに加えてまたは代わって、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドがインフレームで抗体鎖遺伝子のアミノ末端と連結されるように、抗体鎖遺伝子をベクター内にクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であることができる。
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中での抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を保有する。用語「調節配列」には、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御要素(たとえばポリアデニル化シグナル)が含まれることを意図する。そのような調節配列は、たとえばGoeddel (Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185巻、Academic Press、カリフォルニア州San Diego(1990年))に記載されている。当業者には、調節配列の選択を含めた発現ベクターの設計は、形質転換させる宿主細胞の選択、所望するタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることが理解されよう。哺乳動物宿主細胞発現に好ましい調節配列には、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(たとえばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの、哺乳動物細胞中で高レベルのタンパク質発現を指示するウイルス要素が含まれる。あるいは、ユビキチンプロモーターまたはβ−グロビンプロモーターなどの非ウイルス調節配列を使用し得る。さらに、調節要素は、SRプロモーター系などの異なる供給源からの配列から構成され、これは、SV40初期プロモーターからの配列およびヒトT細胞白血病ウイルス1型の長末端反復からの配列を含有する(Takebe, Y.ら(1988年) Mol. Cell. Biol. 8巻:466〜472頁)。
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中でのベクターの複製を調節する配列(たとえば複製起点)および選択マーカー遺伝子などの付加配列を保有し得る。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(たとえば、すべてAxelらの米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号を参照)。たとえば、典型的には、選択マーカー遺伝子は、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を、ベクターが導入された宿主細胞に与える。好ましい選択マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(dhfr−宿主細胞中でメトトレキサート選択/増幅と共に使用するため)およびneo遺伝子(G418選択のため)が含まれる。
軽鎖および重鎖の発現のために、重鎖および軽鎖をコードしている発現ベクター(複数可)を標準の技法によって宿主細胞内にトランスフェクトする。用語「トランスフェクション」の様々な形態には、外因性DNAを原核生物または真核生物の宿主細胞内に導入するために一般的に使用されている多種多様な技法、たとえば、電気穿孔、カルシウム−リン酸沈降、DEAE−デキストラントランスフェクションなどが包含されることを意図する。理論的には、本発明の抗体を原核生物または真核生物のどちらの宿主細胞中でも発現させることが可能であるが、真核生物細胞、具体的には哺乳動物細胞は、正しく折り畳まれた免疫学的に活性のある抗体をアセンブルおよび分泌する可能性が原核生物細胞よりも高いため、真核生物細胞、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞中での抗体の発現が最も好ましい。抗体遺伝子の原核生物発現は、活性抗体を高収率で産生させることに対して効果がないことが報告されている(Boss, M. A.およびWood, C. R. (1985年) Immunology Today 6巻:12〜13頁)。
本発明の組換え抗体を発現させるために好ましい哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(UrlaubおよびChasin、(1980年) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77巻:4216〜4220頁に記載のdhfr−CHO細胞を、たとえばR. J. KaufmanおよびP. A. Sharp (1982年) Mol. Biol. 159巻:601〜621頁に記載のようにDHFR選択マーカーと共に使用することが含まれる)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞が含まれる。具体的には、NSO骨髄腫細胞を用いた使用に関して、別の好ましい発現系は、WO87/04462、WO89/01036号およびEP338,841号に開示されているGS遺伝子発現系である。抗体遺伝子をコードしている組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞内に導入する場合、抗体は、宿主細胞中での抗体の発現、より好ましくは宿主細胞を増殖させている培養培地内への抗体の分泌を可能にするために十分な一定期間の間、宿主細胞を培養することによって産生される。抗体は、標準のタンパク質精製方法を使用して培養培地から収集することができる。
RTKの非対称性の接触境界領域と結合する抗体の特徴づけ
本発明の抗体を、RTKの非対称性の接触境界領域(または本明細書中に記述したコンセンサス配列などの任意の選択された領域)との結合について、たとえば標準のELISAによって試験することができる。手短に述べると、マイクロタイタープレートを、PBS中0.25μg/mlの精製した非対称性の接触境界領域(または好ましい受容体ドメイン)でコーティングし、その後、PBS中の5%のウシ血清アルブミンでブロッキングする。抗体の希釈液(たとえば、免疫化したマウス、たとえば、RTKの非対称性の接触境界領域で免疫化したマウスからの血漿の希釈液)をそれぞれのウェルに加え、1〜2時間、37℃でインキュベートする。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、その後、アルカリホスファターゼとコンジュゲートさせた二次試薬(たとえば、ヒト抗体には、ヤギ抗ヒトIgGのFcに特異的なポリクローナル試薬)と共に1時間、37℃でインキュベートする。洗浄後、プレートをpNPP基質(1mg/ml)で発色(develop)させ、405〜650のODで分析する。好ましくは、最も高い力価を示す(develop)マウスを融合に使用する。
本発明の抗体を、RTKの非対称性の接触境界領域(または本明細書中に記述したコンセンサス配列などの任意の選択された領域)との結合について、たとえば標準のELISAによって試験することができる。手短に述べると、マイクロタイタープレートを、PBS中0.25μg/mlの精製した非対称性の接触境界領域(または好ましい受容体ドメイン)でコーティングし、その後、PBS中の5%のウシ血清アルブミンでブロッキングする。抗体の希釈液(たとえば、免疫化したマウス、たとえば、RTKの非対称性の接触境界領域で免疫化したマウスからの血漿の希釈液)をそれぞれのウェルに加え、1〜2時間、37℃でインキュベートする。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、その後、アルカリホスファターゼとコンジュゲートさせた二次試薬(たとえば、ヒト抗体には、ヤギ抗ヒトIgGのFcに特異的なポリクローナル試薬)と共に1時間、37℃でインキュベートする。洗浄後、プレートをpNPP基質(1mg/ml)で発色(develop)させ、405〜650のODで分析する。好ましくは、最も高い力価を示す(develop)マウスを融合に使用する。
また、上述のELISAアッセイを使用して、免疫原と陽性の反応性を示すハイブリドーマをスクリーニングすることができる。高いアビディティでたとえばRTKの非対称性の接触境界領域と結合するハイブリドーマをサブクローニングし、さらに特徴づける。−140℃で保管する5〜10本のバイアル細胞バンクを作製するため、および抗体を精製するために、親細胞の反応性を保持している(ELISAによる)それぞれのハイブリドーマからの1つのクローンを選択することができる。
抗RTK抗体を精製するために、選択されたハイブリドーマを、モノクローナル抗体の精製用の2リットルのスピナーフラスコ中で増殖させることができる。上清を濾過および濃縮した後に、プロテインA−セファロース(Pharmacia、ニュージャージー州Piscataway)を用いたアフィニティークロマトグラフィーを行うことができる。溶出されたIgGをゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーによって確認して、純度を保証することができる。緩衝溶液をPBSに交換することができ、1.43の消光係数を使用したOD280によって濃度を決定することができる。モノクローナル抗体をアリコート分割し、−80℃で保管することができる。
選択されたモノクローナル抗体が特有なエピトープと結合するか否かを決定するために、市販の試薬(Pierce、イリノイ州Rockford)を使用してそれぞれの抗体をビオチン化することができる。上述のように、非標識のモノクローナル抗体およびビオチン化したモノクローナル抗体を使用した競合研究を、RTKの非対称性の接触境界領域(たとえば、線維芽細胞増殖因子受容体)でコーティングした、RTKでコーティングしたELISAプレートを使用して行うことができる。ビオチン化したmAbの結合は、ストレプトアビジン(strepavidin)−アルカリホスファターゼプローブを用いて検出することができる。
精製した抗体のアイソタイプを決定するために、特定のアイソタイプの抗体に特異的な試薬を使用して、アイソタイプELISAを行うことができる。たとえば、ヒトモノクローナル抗体のアイソタイプを決定するために、マイクロタイタープレートのウェルを、1μg/mlの抗ヒト免疫グロブリンを用いて終夜、4℃でコーティングすることができる。1%のBSAでブロッキングした後、プレートを、1μg/ml以下の試験モノクローナル抗体または精製したアイソタイプ対照と、周囲温度で1〜2時間反応させる。その後、ウェルを、ヒトIgG1またはヒトIgMのどちらかに特異的なアルカリホスファターゼとコンジュゲートさせたプローブと反応させることができる。プレートを上述のように発色させて分析する。
ウエスタンブロッティングによって、抗RTKヒトIgGをRTKの非対称性の接触境界領域または本明細書中に提示したコンセンサス配列との反応性についてさらに試験することができる。手短に述べると、RTKの非対称性の接触境界領域、たとえば線維芽細胞増殖因子受容体を調製し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動に供することができる。電気泳動後、分離された抗原をニトロセルロース膜に移し、10%のウシ胎仔血清でブロッキングし、試験するモノクローナル抗体でプロービングする。ヒトIgGの結合を、抗ヒトIgGアルカリホスファターゼを使用して検出し、BCIP/NBT基質錠剤(Sigma Chem.Co.、モンタナ州St.Louis)を用いて発色させることができる。
エピトープマッピングを用いて、本発明の抗体またはその抗原結合断片の結合部位を決定し得る。コンフォメーションエピトープのマッピングをさらに可能にするいくつかの方法が利用可能である。たとえば、Timmermanら(Mol Divers. 2004年、8巻(2号):61〜77頁)に開示されている方法を使用し得る。Timmermanらは、2つの新規技法であるDomain ScanおよびMatrix Scanを使用して不連続/コンフォメーションエピトープのマッピングに成功することができた。Ansongら(J Thromb Haemost. 2006年. 4巻(4号):842〜7頁)に開示されている技法も使用し得る。Ansongらは、親和性指向質量分析(affinity directed mass spectrometry)を使用して、抗体R8B12によって認識される不連続エピトープをマッピングした。さらに、タンパク質断層撮影(Protein Tomography)などのイメージング技法を使用して、標的RTKと結合する抗体またはペプチドを可視化し得る。タンパク質断層撮影は、以前に、分子相互作用についての識見を得るため、および、阻害性抗体が、EGFRのドメインIIIと結合し、それによってEGFRを柔軟性のない不活性のコンフォメーションに固定することによって作用したことを示すために、使用されている(Lammertsら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2008年.105巻(16号):6109〜14頁)。また、部位特異的変異誘発などのより伝統的な方法も、不連続エピトープをマッピングするために適用し得る。不連続エピトープに参加すると考えられているアミノ酸領域を選択的に変異させ、本発明の抗体またはその抗原結合断片との結合についてアッセイし得る。どちらかの領域が変異している場合に抗体が結合できないことは、結合が両方のアミノ酸セグメントに依存していることを示している場合がある。上述のように、一部の直鎖状エピトープは、本発明の部分と結合するために存在していなければならない特定の三次元構造によって特徴づけられている。そのようなエピトープを、RTKがそのネイティブまたは折り畳まれた状態にある場合での抗体(または別の部分)の結合をアッセイし、RTKが変性されている場合での結合を再度アッセイすることによって、発見し得る。結合が折り畳まれた状態でのみ起こるという観察は、エピトープが、特定の折り畳まれた構造によって特徴づけられる直鎖状エピトープ、または折り畳まれたタンパク質中でのみ存在する不連続エピトープのどちらかであることを示す。
本明細書中に記載の活性アッセイに加えて、タンパク質断層撮影を使用して、本発明の抗体またはその抗原結合断片が受容体チロシンキナーゼと結合して不活性化させることができるか否かを決定し得る。結合の相互作用の可視化は、抗体の結合が、非対称性の接触境界領域の配置に影響を与え得ること、または受容体チロシンキナーゼ中のコンフォメーション変化を変更もしくは妨げ得ることを示し得る。
IV.本発明の部分を同定するためのスクリーニングアッセイ
本発明の部分を、本明細書中に記載のアッセイおよび当技術分野で周知のアッセイのうちの任意のものを使用して、RTK阻害活性についてスクリーニングし得る。たとえば、受容体の内在化、受容体の自己リン酸化、および/またはキナーゼシグナル伝達を決定し得るアッセイを使用して、標的RTK、たとえば線維芽細胞増殖因子受容体の活性化を妨げる部分を同定し得る。新しい阻害部分のスクリーニングは、当技術分野で公知の標準の方法を使用することによって、たとえば、phosphoELISA(商標)手順(Invitrogenから利用可能)を用いてRTKまたは下流分子のリン酸化状態を決定することによって達成し得る。受容体、たとえばFGFRのリン酸化状態を、たとえば、FGFR1 Kinase Assay Kit (US Biological;カタログ番号−F4305−15)、Human Phospho−FGF R1 DuoSet IC Econ Pk, 15プレート(R&D Systems(登録商標);カタログ番号−DYC5079E)、Phospho−FGFR1 (Y463) & FGFR1 Dual Recognition Pair (Novus Biologicals(登録商標);カタログ番号−DP0025)、C−Kit[pY823]ELISA KIT、HU(BioSource(商標)、カタログ番号−KHO0401)、c−KIT[TOTAL]ELISA KIT、HU(BioSource(商標)、カタログ番号−KHO0391)などの市販のキットを使用して決定し得る。本発明の抗体、小分子、および他の部分を、そのRTK阻害活性を決定するためにそのようなキットを使用してスクリーニングし得る。たとえば、適切なリガンドおよび本発明の部分で処理した後、phosphoELISA(商標)を行って、目的のRTKのリン酸化状態、したがって活性化状態を決定し得る。本発明の部分は、RTKの活性化を妨げるものとして同定される場合がある。以下の実施例は、抗ホスホチロシン抗体を使用したRTKの活性化の検出を含むアッセイを記載している。実施例(それに関連する方法および導入が含まれる)は、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を決定するために本明細書中で使用するさらなる方法を記載している。
本発明の部分を、本明細書中に記載のアッセイおよび当技術分野で周知のアッセイのうちの任意のものを使用して、RTK阻害活性についてスクリーニングし得る。たとえば、受容体の内在化、受容体の自己リン酸化、および/またはキナーゼシグナル伝達を決定し得るアッセイを使用して、標的RTK、たとえば線維芽細胞増殖因子受容体の活性化を妨げる部分を同定し得る。新しい阻害部分のスクリーニングは、当技術分野で公知の標準の方法を使用することによって、たとえば、phosphoELISA(商標)手順(Invitrogenから利用可能)を用いてRTKまたは下流分子のリン酸化状態を決定することによって達成し得る。受容体、たとえばFGFRのリン酸化状態を、たとえば、FGFR1 Kinase Assay Kit (US Biological;カタログ番号−F4305−15)、Human Phospho−FGF R1 DuoSet IC Econ Pk, 15プレート(R&D Systems(登録商標);カタログ番号−DYC5079E)、Phospho−FGFR1 (Y463) & FGFR1 Dual Recognition Pair (Novus Biologicals(登録商標);カタログ番号−DP0025)、C−Kit[pY823]ELISA KIT、HU(BioSource(商標)、カタログ番号−KHO0401)、c−KIT[TOTAL]ELISA KIT、HU(BioSource(商標)、カタログ番号−KHO0391)などの市販のキットを使用して決定し得る。本発明の抗体、小分子、および他の部分を、そのRTK阻害活性を決定するためにそのようなキットを使用してスクリーニングし得る。たとえば、適切なリガンドおよび本発明の部分で処理した後、phosphoELISA(商標)を行って、目的のRTKのリン酸化状態、したがって活性化状態を決定し得る。本発明の部分は、RTKの活性化を妨げるものとして同定される場合がある。以下の実施例は、抗ホスホチロシン抗体を使用したRTKの活性化の検出を含むアッセイを記載している。実施例(それに関連する方法および導入が含まれる)は、RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を決定するために本明細書中で使用するさらなる方法を記載している。
受容体の活性化はエンドサイトーシスおよび受容体の内在化をもたらし得るため、一部の実施形態では、受容体の内在化を妨げるその能力を測定することによって、標的RTKを阻害する本発明の部分の能力を決定することが有用である。受容体内在化アッセイは当技術分野で周知であり、たとえば、そのそれぞれの内容全体が本明細書中に参考として組み込まれている、Fukunagaら(2006年) Life Sciences. 80巻(1号)17〜23頁、Bernhagenら(2007年) Nature Medicine 13巻、587〜596頁(natureprotocols.com/2007/04/18/receptor_internalization_assay.php)に記載されている。受容体の内在化を決定するための1つの周知の方法は、リガンドを蛍光タンパク質、たとえば緑色蛍光タンパク質(GFP)、または他の適切な標識剤でタグ付けすることである。リガンドと受容体との結合に際し、蛍光顕微鏡観察を使用して受容体の内在化を可視化し得る。同様に、本発明の部分を標識剤でタグ付けし、蛍光顕微鏡観察を使用して受容体の内在化を可視化し得る。部分が受容体の活性を阻害することができる場合、適切な対照と比較してリガンドの存在下における蛍光の内在化は低下する(たとえば、蛍光は、エンドソームまたは小胞中ではなく、部分(moity)が受容体と結合する細胞の周辺でのみ観察され得る)。
上述のものに加えて、様々な他の受容体活性化アッセイが当技術分野で公知であり、そのうちの任意のものを使用して本発明の部分の機能を評価し得る。本発明に従って使用し得るさらなる受容体活性化アッセイは、米国特許第6,287,784号、第6,025,145号、第5,599,681号、第5,766,863号、第5,891,650号、第5,914,237号、第7,056,685号、ならびに、それだけには限定されないが、Amir−Zaltsmanら(2000年) Luminescence 15巻(6号):377〜80頁、NakayamaおよびParandoosh (1999年) Journal of Immunological Methods. 225巻(1〜2号)、27、67〜74頁、Pikeら(1987年) Methods of Enzymology 146巻:353〜362頁、Atienzaら(2005年) Journal of Biomolecular Screening. 11巻(6号):634〜643頁、Hunterら(1982年). Journal of Biological Chemistry 257巻(9号):4843〜4848頁、WhiteおよびBacker (1991年) Methods in Enzymology 201巻:65〜67頁、Maddenら(1991年) Anal Biochem 199巻:210〜215頁、Cleavelandら(1990年) Analytical Biochemistry 190巻:249〜253頁、Lazaroら(1991年) Analytical Biochemistry 192巻:257〜261頁、HunterおよびCooper (1985年) Ann Rev Biochem 54巻:897〜930頁、UllrichおよびSchlessinger (1990年) Cell 61巻:203〜212頁、KnutsonおよびBuck (1991年) Archives of Biochemistry and Biophysics 285巻(2号):197〜204頁、Kingら(1993年) Life Sciences 53巻:1465〜1472頁、Wang. (1985年) Molecular and Cellular Biology 5巻(12号):3640〜3643頁、Glenneyら(1988年) Journal of Immunological Methods 109巻:277〜285頁、Kamps (1991年) Methods in Enzymology 201巻:101〜110頁、Kozmaら(1991年) Methods in Enzymology 201巻:28〜43頁、Holmesら(1992年) Science 256巻:1205〜10頁、およびCorfasら(1993年) PNAS、USA 90巻:1624〜1628頁を含めた多くの科学出版物に記載されている。
リガンド結合による受容体の活性化は、典型的には続く細胞内事象、たとえばIP3などの二次メッセンジャーの増加を開始させ、これは次にカルシウムイオンの細胞内貯蔵を放出させる。したがって、受容体活性は、二次メッセンジャー、例えば、IP3、環状ヌクレオチド、細胞内カルシウム、もしくはSTAT、PI3K、Grb2などのリン酸化されたシグナル伝達分子、または当技術分野で公知の他の可能な標的の量を測定することによって決定し得る。米国特許第7,056,685号は、受容体活性を検出するために本発明に従って使用し得るいくつかの方法を記載および言及しており、これは本明細書中に参考として組み込まれている。
受容体内在化アッセイまたは受容体活性化アッセイなどの上述のアッセイの多くは、免疫学的結合アッセイを使用した標的RTKの検出または定量を含み得る(たとえば、受容体内在化アッセイ中に、細胞表面上のRTKの量を検出するために放射性標識した抗体を使用する場合)。免疫学的結合アッセイは当技術分野で広く記載されている(たとえば、米国特許第4,366,241号、第4,376,110号、第4,517,288号、および第4,837,168号を参照)。一般的な免疫アッセイの総説には、Methods in Cell Biology: Antibodies in Cell Biology、第37巻(Asai編、1993年)、Basic and Clinical Immunology (StitesおよびTerr編、第7版、1991年)も参照されたい。
受容体内在化研究、受容体活性化研究、または受容体検出アッセイにおいて使用し得るものなどの免疫アッセイは、しばしば、検出抗体およびRTKによって形成された複合体と特異的に結合し、それを標識するための標識剤を使用する(本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第7,056,685号を参照)。標識剤自体が、受容体を検出するために使用する抗体であってもよい(ここでいう抗体は、本発明の部分であってもなくてもよい)。あるいは、標識剤は、二次または三次抗体(たとえば標的RTKに特異的なマウスモノクローナル抗体と結合する抗マウス抗体)などの第3の薬剤であり得る。また、プロテインAまたはプロテインGなどの免疫グロブリン定常領域と特異的に結合することができる他のタンパク質も、免疫学的結合アッセイにおける標識剤として使用し得る。これらのタンパク質は、様々な種からの免疫グロブリン定常領域と強力な非免疫原性の反応性を示す(たとえば、Kronvalら(1973年)、J. Immunol. 111巻:1401〜1406頁、Akerstromら(1985年)、J. Immunol. 135巻:2589 2542頁を参照)。また、標識剤は、ビオチン(ストレプトアビジンなどの別の分子が特異的に結合することができる)などの検出可能な薬剤で修飾することもできる。様々な検出可能な部分が当業者に周知である。
一般的に使用されるアッセイには、非競合的アッセイ、たとえばサンドイッチアッセイ、および競合的アッセイが含まれる。一般的に使用されるアッセイ様式には、試料中のタンパク質の存在を検出および定量化するために使用するウエスタンブロット(免疫ブロット)が含まれる。アッセイで使用する特定の標識または検出可能な基は、RTKを検出するために使用する免疫グロブリンまたはRTKと結合してそれを不活性化するように設計されている本発明の部分の特異的結合を顕著に妨害しない限りは、本発明の重要な態様ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質であることができる。そのような検出可能な標識は免疫アッセイの分野において十分に開発されており、一般に、そのような方法において有用なほとんどすべての標識を本発明に適用することができる。したがって、標識は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的な手段によって検出可能な任意の組成物である。本発明において有用な標識には、蛍光色素(たとえば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射性標識(たとえば、3H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(たとえば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAにおいて一般的に使用される他のもの)、ならびに比色標識、例えば、コロイド金または有色ガラスまたはプラスチックビーズ(たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレンもしくはラテックス)が含まれる。
標識を、当技術分野で周知の方法に従って、アッセイの所望の構成要素に直接または間接的にカップリングさせ得る。また、標識は、たとえば酵素または蛍光体とのコンジュゲーションによって、シグナル生成化合物に直接コンジュゲートさせることもできる。標識としての目的の酵素は、主に加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ、またはオキシダーゼ(oxidotase)、特にペルオキシダーゼである。蛍光化合物には、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどが含まれる。化学発光化合物には、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン、たとえばルミノールが含まれる。使用し得る様々な標識またはシグナル生成系の総説には、米国特許第4,391,904号を参照されたい。
標識を検出する手段は当業者に周知である。したがって、たとえば、標識が放射性標識である場合、検出手段には、シンチレーションカウンターまたはオートラジオグラフィーなどにおける写真フィルムが含まれる。標識が蛍光標識である場合、これは、蛍光色素を適切な波長の光で励起させ、生じる蛍光を検出することによって検出し得る。蛍光は、写真フィルムによって、電荷結合デバイス(CCD)または光電子増倍管などの電子検出器を使用することによって、視覚的に検出し得る。同様に、酵素標識は、酵素の適切な基質を提供し、生じる反応生成物を検出することによって検出し得る。最後に、単純な比色標識は、単に標識と関連する色を観察することによって検出し得る。したがって、様々なディップスティックアッセイにおいて、コンジュゲートした金は多くの場合ピンク色を表す一方で、様々なコンジュゲートしたビーズはビーズの色を表す。
本発明のさらなる態様では、本発明の部分は、標的RTK上のエピトープと結合し、それでも受容体チロシンキナーゼが二量体化することを可能にし得る。この実施形態では、部分の結合は、2つの単量体の非対称性の接触境界領域(たとえば、2つの線維芽細胞増殖因子受容体単量体の非対称性の接触境界領域)間の配置、配向および/または距離に影響を与え、それによって受容体チロシンキナーゼの活性を阻害する場合がある。言い換えれば、部分は、受容体チロシンキナーゼの外部ドメインの、リガンド誘導性の二量体化を可能にするが、細胞表面境界領域での2つの外部ドメインの配置に影響を与えるか、または受容体チロシンキナーゼ中のコンフォメーション変化を変更もしくは妨げ、それによって受容体チロシンキナーゼの活性を阻害する(たとえば、受容体の内在化を阻害する、および/または受容体のチロシン自己リン酸化を阻害する、および/または下流のシグナル伝達経路を活性化させる受容体の能力を阻害する)場合がある。
したがって、一部の実施形態では、受容体の二量体化を可能にするが、受容体を不活性にさせる部分を同定することができるアッセイを用いることが有用である。そのようなアッセイは本明細書に記載されている。たとえば、実験は、上記受容体を用いて行われ、ここで、受容体の二量体化を架橋結合を使用して検出でき、受容体の活性化をホスホチロシン特異的抗体を使用して決定できる。
また、RTKのコンフォメーション状態は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)分析によっても決定し得る。タンパク質のコンフォメーションおよび相互作用を決定するための蛍光の方法論の包括的な総説は、本明細書中に参考として組み込まれているJohnson (2005年) Traffic. 2005年12月、6巻(12号):1078〜92頁中に見つけることができる。FRETアッセイでは、目的のRTKを適切なFRET蛍光体で標識する。RTKを標識した後、標識されたRTKを発現する細胞を、本発明の試験部分およびRTKのリガンド(たとえばKit RTKのSCF)と共にインキュベートする。FRET分析により、リガンド結合に関連するRTK中のコンフォメーション変化、RTKの二量体化、および/または受容体の活性化の観察が可能となる。この方法によって、当業者は、下流の活性化なしのRTKの二量体化を示すタンパク質のコンフォメーション変化を直接評価し得る。FRET分析を行うためにいくつかの方法が利用可能であり、変動の大部分は、様々な蛍光体またはこれらの蛍光体を目的のタンパク質内に組み込むための様々な技法の使用から生じる。FRET蛍光体および分析方法は当技術分野で周知であり、FRET技術の手短な総説は、Heyduk(2002年) Current Opinion in Biotechnology. 13巻(4号):292〜296頁およびそれの中の参考文献中で利用可能である。以下の出版物はFRET方法を詳しく述べており、本明細書中に参考として組み込まれている:Kajiharaら(2006年) Nat Methods. 3巻(11号):923〜9頁、Biener−Ramanujanら(2006年) Growth Horm IGF Res.16巻(4号):247〜57頁、Taniguchiら(2007年) Biochemistry. 46巻(18号):5349〜57頁、米国特許第6,689,574号、第5,891,646号、およびWIPO公開第WO/2002/033102号。蛍光体がRTKの機能またはRTKと結合する本発明の部分の能力を妨害しない限りは、FRET蛍光体を、RTKの任意のドメインまたはヒンジ領域内に組み込んで、コンフォメーション変化を検出し得る(たとえば、RTKの非対称性の接触境界領域)。
FRETに有用な蛍光体は、多くの場合、以下に記述する生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)に有用なものと同じである。最も一般的なFRET方法は、反応性システイン残基を目的のタンパク質内で操作することである。その後、蛍光体は選択されたシステイン残基と容易に反応することができる。多くの場合、融合タンパク質を構築し、目的のタンパク質を緑色蛍光タンパク質と融合させる(Neiningerら(2001年) EMBO Reports. 2巻(8号):703〜708頁を参照)。FRETのさらなる方法および有用な蛍光体は、本明細書中に参考として組み込まれている、HuebschおよびMooney (2007年) Biomaterials. 28巻(15号):2424〜37頁、SchmidおよびBirbach (2007年) Thromb Haemost. 97巻(3号):378〜84頁、Jares−ErijmanおよびJovin (2006年) Curr Opin Chem Biol. 10巻(5号):409〜16頁、Johansson (2006年) Methods Mol Biol. 335巻:17〜29頁、WallrabeおよびPeriasamy (2005年) Curr Opin Biotechnol. 16巻(1号):19〜27頁、ならびにClegg RM (1995年) Curr Opin Biotechnol. 6巻(1号):103〜10頁に記載されている。
他の実施形態では、どのRTKコンフォメーションがリガンド誘導性トランス自己リン酸化なしの二量体化の具体的な指標であるかが知られていないか、またはその決定が困難であり得る(受容体に依存する)。そのような場合、当業者は、受容体の二量体化を決定するアッセイを受容体の活性化またはトランス自己リン酸化を決定するものと組み合わせ得る。たとえば、RTKの二量体化を検出するための伝統的な架橋結合研究(Rodriguezら(1990年) Molecular Endocrinology、4巻(12号)、1782〜1790頁によって例示)を、上述の受容体活性化アッセイのうちの任意のものと組み合わせて使用し得る。また、FRETおよび同様の系を使用して、受容体の活性化または二量体化を直接測定してもよい。たとえば、適切なFRET蛍光体をRTKの細胞質ドメイン内およびリン酸化標的タンパク質(すなわち下流のシグナル伝達分子)内に組み込むことによって、FRETは、下流のシグナル伝達分子がRTKにリクルートされたか否かを決定することができる。したがって、一実施形態では、成功した本発明の部分は、架橋結合またはFRETによって測定して受容体の二量体化を可能にするが、FRETもしくはBRET分析による蛍光の欠如によってまたは他の受容体活性化アッセイ(たとえば、抗ホスホチロシン抗体およびウエスタンブロットを用いた自己リン酸化アッセイ)によって検出される、受容体の活性化を妨げるものである。したがって、本明細書中に記載の技法を使用して、当業者は、部分(たとえば、小分子、ペプチド、または抗体)を容易に試験して、それらがRTK活性を阻害するか否か、およびそれらが受容体の二量体化を可能にするか否かを決定することができる。
具体的には、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)分析を使用して、RTKの活性を阻害する部分を同定し得る。米国特許公開第20060199226号、WIPO公開WO/2006/094073号、およびTanら(2007年. Molecular Pharmacology. 72巻:1440〜1446頁)は、RTKを活性化するリガンドを同定する方法を具体的に記載しており、したがって本明細書中に参考として組み込まれている。これらの技法は、タンパク質の相互作用をin vitroおよびin vivoで決定するために用いられている(すべて本明細書中に参考として組み込まれているPflegerら(2006年) Nature Protocols 1 337〜345頁、Kroegerら(2001年)、J. Biol. Chem.、276巻(16号):12736〜43頁、およびHarikumarら(2004年) Mol Pharmacol 65巻:28〜35頁)。
BRETは、RTKの活性化を妨げる部分についてスクリーニングすることによって、試験化合物から本発明の部分を同定するために有用である。
本明細書中に参考として組み込まれている米国特許公開第2006/0199226号に記述されているように、BRETに基づくアッセイを使用して、生物発光性のドナー分子(DM)を有するタンパク質と蛍光のアクセプター部分(AM)を有するタンパク質との相互作用を監視することができる。手短に述べると、RTK−DMの融合体を発現する細胞は、基質の化学エネルギーを光へと変換する。AM(たとえばシグナル伝達タンパク質−AMの融合体)がRTK−DMの融合体と近接して存在する場合、細胞は特定の波長の光を放射する。たとえば、BRETに基づくアッセイを使用して、RTK−ルシフェラーゼの融合体とGFP−シグナル伝達タンパク質の融合体との間の相互作用を評価することができる。これは、ドナー分子を化学的エネルギー変換ではなく特定の波長の光によって励起させ得るFRET分析とはわずかに異なる。BRET分析に使用し得るルシフェラーゼ活性を有する生物発光タンパク質の例は、米国特許第5,229,285号、第5,219,737号、第5,843,746号、第5,196,524号、第5,670,356号中に見つけ得る。代替のDMには、適切な基質に作用して発光シグナルを生じさせることができる酵素が含まれる。そのような酵素の具体的な例は、ベータ−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−グルクロニダーゼおよびベータ−グルコシダーゼである。これらの酵素の合成発光基質は当技術分野で周知であり、Tropix Inc.(米国マサチューセッツ州Bedford)などの企業から市販されている。また、DMは昆虫から単離または操作することもできる(米国特許第5,670,356号)。
基質に応じて、DMは異なる波長で光を放射する。DMの基質の非限定的な例には、セレンテラジン、ベンゾチアゾール、ルシフェリン、ギ酸エノール、テルペン、およびアルデヒドなどが含まれる。DM部分は、RTKタンパク質のアミノ末端部分またはカルボキシル末端部分のどちらかと融合させることができる。好ましくは、RTK−DMの融合体内でのBDMドメインの配置は、ネイティブタンパク質の活性または本発明の部分の結合を変更させない。RTK−DMの融合タンパク質を、リガンド結合およびネイティブタンパク質の下流のシグナル伝達分子と相互作用する能力などの生化学的特性をそれが保持することを確実にするために、試験することができる。
BRET分析におけるAMは、移動されたエネルギーを蛍光として再放射し得る。AMの例には、緑色蛍光タンパク質(GFP)、またはYFP、EGFP、EYFPなどのそのアイソフォームおよび誘導体が含まれる(R. Y. Tsien、(1998年) Ann. Rev. Biochem. 63巻:509〜544頁)。好ましくは、AM−タンパク質の融合体内でのAMドメインの配置は、ネイティブタンパク質の活性を変更させない。AM−第2のタンパク質の融合タンパク質を、RTKとの相互作用などの関連ネイティブタンパク質の生化学的特性をそれが保持することを確実にするために、試験することができる。例として、標的RTKによってリン酸化されるか、またはそれと結合することができる任意の基質への、GFPタンパク質のアミノ末端融合を使用することができる。
V.本発明の部分を含有する医薬組成物
別の態様では、本発明は、薬学的に許容されるキャリアと一緒に処方した、本発明の部分(たとえば、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性一部分(複数可)、抗体模倣体、小分子、またはペプチド性分子)のうちの1つまたは組合せを含有する組成物、たとえば医薬組成物を提供する。そのような組成物には、本発明の抗体、または免疫コンジュゲート、小分子、もしくはペプチド性分子のうちの1つまたは組合せ(たとえば2つ以上の異なる)が含まれ得る。たとえば、本発明の医薬組成物は、標的RTK上の異なるエピトープと結合するか、または相補的活性を有する抗体および小分子の組合せ、たとえば、FGFR1の非対称性の接触境界領域に結合する小分子およびFGFR2の非対称性の接触境界領域に結合する小分子を含むことができる。
別の態様では、本発明は、薬学的に許容されるキャリアと一緒に処方した、本発明の部分(たとえば、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性一部分(複数可)、抗体模倣体、小分子、またはペプチド性分子)のうちの1つまたは組合せを含有する組成物、たとえば医薬組成物を提供する。そのような組成物には、本発明の抗体、または免疫コンジュゲート、小分子、もしくはペプチド性分子のうちの1つまたは組合せ(たとえば2つ以上の異なる)が含まれ得る。たとえば、本発明の医薬組成物は、標的RTK上の異なるエピトープと結合するか、または相補的活性を有する抗体および小分子の組合せ、たとえば、FGFR1の非対称性の接触境界領域に結合する小分子およびFGFR2の非対称性の接触境界領域に結合する小分子を含むことができる。
また、本発明の医薬組成物は、組合せ療法で、すなわち他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。たとえば、組合せ療法には、少なくとも1つの他の抗がん剤と組み合わせた、本発明の抗RTK抗体(または小分子もしくはペプチド性分子)が含まれることができる。組合せ療法で使用することができる治療剤の例は、以下にさらに詳述されている。
本明細書中で使用する「薬学的に許容されるキャリア」には、生理的に適合性のある任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張化および吸収遅延剤などが含まれる。好ましくは、キャリアは、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または表皮の投与(たとえば注射または注入によるもの)に適している。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち本発明の部分を、化合物を不活性化させ得る酸および他の天然条件の作用から化合物を保護する物質でコーティングし得る。
本発明の医薬化合物には、1つまたは複数の薬学的に許容される塩が含まれ得る。「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の所望の生物活性を保持しており、かつ望ましくない毒性効果を全く与えない塩をいう(たとえばBerge, S.M.ら(1977年) J. Pharm. Sci. 66巻:1〜19頁を参照)。そのような塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸などの無毒性の無機酸、ならびに脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの無毒性の有機酸に由来するものが含まれる。塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、ならびにΝ,Ν’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの無毒性の有機アミンに由来するものが含まれる。
また、本発明の医薬組成物には、薬学的に許容される抗酸化剤も含まれ得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例には、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性の抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなどの油溶性の抗酸化剤、および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が含まれる。
本発明の医薬組成物中で用い得る適切な水性および非水性のキャリアの例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが含まれる。適正な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティング物質を使用することによって、分散液の場合は所要の粒子径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、維持することができる。
また、これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含有し得る。微生物の存在の予防は、滅菌手順によって、ならびに様々な抗細菌および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを包含させることによって、確実にし得る。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物内に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射用医薬品形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を包含させることによってもたらし得る。
薬学的に許容されるキャリアには、無菌的な注射用溶液または分散液の即時調製のための、無菌的な水性溶液または分散液および無菌的な粉末が含まれる。医薬上活性のある物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当技術分野で公知である。活性化合物と非適合性である場合以外は、本発明の医薬組成物における任意の慣用の媒質または薬剤の使用が企図される。また、補助活性化合物を組成物内に組み込むこともできる。
治療組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で無菌的かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に適した他の秩序立った構造として処方することができる。キャリアは、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにその適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。適正な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合は所要の粒子径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、維持することができる。多くの場合、等張化剤、たとえば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、たとえばモノステアリン酸塩およびゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
無菌的な注射用溶液は、所要量の活性化合物を、適切な溶媒中に、必要に応じて上記列挙した成分のうちの1つまたは組合せと共に組み込み、次いで滅菌微細濾過を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、基本分散媒および上記列挙したものからの所要の他の成分を含有する無菌的なビヒクル内に組み込むことによって調製する。無菌的な注射用溶液を調製するための無菌的な粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥(freeze−drying、lyophilization)であり、これは、事前に滅菌濾過した溶液から活性成分および任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす。
単一投薬形態を生成するためにキャリア材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置する被験体および特定の投与様式に応じて変動する。単一投薬形態を生成するためにキャリア材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる組成物の量である。一般に、100パーセントのうち、この量は、薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて、約0.01パーセント〜約99パーセントの活性成分、好ましくは約0.1パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約1パーセント〜約30パーセントの活性成分の範囲である。
投薬レジメンは、最適な所望の応答(たとえば治療反応)が提供されるように調節する。たとえば、単一のボーラスを投与し得、いくつかの分割した用量を期間にわたって投与し得、または、用量を治療状況の緊急性によって示されるように比例的に低下もしくは増加させ得る。投与の容易性および用量の均一性のために、非経口組成物を単位投薬形態で処方することが特に有利である。本明細書中で使用する単位投薬形態とは、処置する被験体の単位投薬量として適した物理的に別々の単位体をいい、それぞれの単位体は、所要の医薬キャリアと組み合わせて所望の治療効果を生じるように計算された、事前に決定された量の活性化合物を含有する。本発明の単位投薬形態の仕様は、(a)活性化合物の特有な特徴および達成する特定の治療効果、ならびに(b)個体において感受性を処置するためのそのような活性化合物を混合する(compound)分野に固有の制限によって指示され、それに直接依存する。
抗体、小分子、またはペプチド性分子の投与に関して、用量は、宿主体重1kgあたり約0.0001〜100mg、より通常は0.01〜5mgの範囲である。たとえば、用量は、0.3mg/kgの体重、1mg/kgの体重、3mg/kgの体重、5mg/kgの体重もしくは10mg/kgの体重、または1〜10mg/kgの範囲であることができる。例示的な処置レジームは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、3カ月に1回または3〜6カ月毎に1回の投与を伴う。本発明の部分の好ましい投薬レジメンには、静脈内投与によって1mg/kgの体重または3mg/kgの体重が含まれ、抗体は以下の投薬スケジュールのうちの1つを使用して与える:(i)4週間毎に6回の投薬、その後、3カ月毎、(ii)3週間毎、(iii)3mg/kgの体重を1回、次いで1mg/kgの体重を3週間毎。
あるいは、抗体、小分子、またはペプチド性分子を、持続放出処方物として投与することができ、その場合、より低頻度の投与が必要とされる。用量および頻度は、患者における投与した物質の半減期に応じて変動する。一般に、ヒト抗体が最も長い半減期を示し、次いでヒト化抗体、キメラ抗体、および非ヒト抗体である。投与の用量および頻度は、処置が予防的であるか治療的であるかに応じて変動する場合がある。予防的な応用では、比較的低い用量を比較的低頻度の間隔で長い期間にわたって投与する。一部の患者は、その余生の間ずっと処置を受け続ける。治療的な応用では、比較的短い間隔での比較的高い用量が、疾患の進行が低下または停止されるまで、好ましくは患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、必要な場合がある。それ以降、患者に予防的レジームを施すことができる。
特定の患者に毒性とならずに、患者、組成物、および投与様式において所望の治療反応を得るために有効な活性成分の量を得るために、本発明の医薬組成物中の活性成分および小分子の実際の用量レベルを変動させ得る。選択された用量レベルは、用いる本発明の特定の組成物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いる特定の化合物の排出速度、処置の期間、用いる特定の組成物と組み合わせて使用する他の薬物、化合物および/または物質、処置する患者の年齢、性別、重量、状態、全体的な健康状態および以前の病歴、ならびに医学分野で周知の同様の要因を含めた、様々な薬物動態学的要因に依存する。
本発明の抗RTK部分の「治療上有効な用量」は、好ましくは、疾患症状の重篤度の減少、疾患症状が無い期間の頻度および持続期間の増加、または疾患の苦痛が原因の障害もしくは能力欠如の予防をもたらす。たとえば、腫瘍の処置では、「治療上有効な用量」は、好ましくは、細胞増殖または腫瘍増殖を、無処置の被験体と比較して少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約80%阻害する。腫瘍増殖を阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデル系中で評価することができる。あるいは、組成物のこの特性は、当業者に公知のアッセイによって、化合物の阻害、たとえばin vitro阻害の能力を検査することによって、評価することができる。治療上有効な量の治療化合物は、腫瘍の大きさを減少させるか、または他の様式で被験体において症状を改善させることができる。当業者は、被験体の大きさ、被験体の症状の重篤度、および選択した特定の組成物または投与経路などの要因に基づいて、そのような量を決定することができるであろう。
本発明の抗RTK部分を試験して、RTKのリガンド誘導性のトランス自己リン酸化への拮抗に有効であるか否かを決定し得る。抗RTK部分を試験する1つの方法は、抗RTK部分とRTKとの間に相互作用が起こることを確認することである。たとえば、当業者は、本発明の抗体、小分子、またはペプチド性分子が、RTKの非対称性の接触境界領域と結合するか否かを試験し得る。そのような結合の試験は当技術分野で周知であり、抗RTK部分を標識(たとえば放射性標識)するステップと、結合が起こり得る条件下で抗RTK部分をRTKと共にインキュベートするステップと、その後、複合体をゲルまたはホスフォスクリーン(phosphor screen)上で単離/可視化するステップとを含み得る。同様に、結合を決定するためにELISA技法を用い得る。
本発明の部分がRTKに拮抗しているか否かを決定するための別の方法は、RTKの細胞質ドメインのリン酸化状態を試験することである。具体的な実施形態では、有効な拮抗剤はRTKの活性化および自己リン酸化を妨げる。RTKのリン酸化は、当技術分野で公知の標準の方法を使用して、たとえば、RTKのリン酸化された残基と特異的に結合する抗体を使用することによって試験し得る。リン酸化事象を検出するための他の方法には、米国特許第6548266号、もしくはGosheら(2006年) Brief Funct Genomic Proteomic. 4巻:363〜76頁、de Graauwら(2006年) Electrophoresis. 27巻:2676〜86頁、Schmidtら(2007年) J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci. 849巻:154〜62頁に記載のもの、またはPerkinElmerの[ガンマ−33P]ATPを使用したキナーゼリン酸化アッセイのFlashPlates(SMP200)プロトコルの使用が含まれる。当業者には、これらの方法、および実施例中に示されたものを使用して、RTKによってリン酸化されており、細胞内のシグナル伝達物質であるタンパク質のリン酸化状態を決定してもよいことが理解されよう。また、そのようなタンパク質のリン酸化状態の検出は、RTKが本発明の部分によって有効に拮抗されたか否かも示す。
本発明の組成物を、当技術分野で公知の様々な方法のうちの1つまたは複数を使用して、1つまたは複数の投与経路を介して投与することができる。当業者には理解されるように、投与の経路および/または様式は所望の結果に応じて変動する。本発明の結合部分の好ましい投与経路には、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口の投与経路、たとえば注射または注入によるものが含まれる。本明細書中で使用する語句「非経口投与」とは、経腸または局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、それだけには限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入が含まれる。
あるいは、本発明の抗RTK結合部分を、局所、表皮または粘膜の投与経路、たとえば、鼻腔内、経口、経膣、直腸、舌下または局所などの、非経口ではない経路を介して投与することができる。
活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル封入送達系を含めた徐放性処方物などの、化合物を迅速な放出から保護するキャリアを用いて調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生分解性、生体適合性のポリマーを使用することができる。そのような処方物を調製するための多くの方法が特許取得されているかまたは一般に当業者に公知である。たとえばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R. Robinson編、Marcel Dekker, Inc.、New York、1978年を参照されたい。
治療組成物は、当技術分野で公知の医療デバイスを用いて投与することができる。たとえば、好ましい実施形態では、本発明の治療組成物は、米国特許第5,399,163号、第5,383,851号、第5,312,335号、第5,064,413号、第4,941,880号、第4,790,824号、または第4,596,556号に開示されているデバイスなどの無針皮下注射デバイスを用いて投与することができる。本発明において有用な周知のインプラントおよびモジュールの例には、薬物を制御された速度で供給するための埋め込み型のマイクロ注入ポンプを開示している米国特許第4,487,603号、皮膚を通して薬物を投与するための治療用デバイスを開示している米国特許第4,486,194号、薬物を正確な注入速度で送達するための薬物注入ポンプを開示している米国特許第4,447,233号、連続的な薬物送達のための可変流の埋め込み型注入機器を開示している米国特許第4,447,224号、複数チャンバ区画を有する浸透性薬物送達系を開示している米国特許第4,439,196号、および浸透性薬物送達系を開示している米国特許第4,475,196号が含まれる。これらの特許は本明細書中に参考として組み込まれている。多くの他のそのようなインプラント、送達系、およびモジュールが当業者に公知である。
VI.本発明の部分の使用方法
別の態様では、本発明は、被験体に治療上有効な量の本発明の部分を投与することを含む、被験体においてRTKに関連する疾患を処置する方法を提供する。本発明の抗RTK部分、たとえば、抗体、小分子、またはペプチド性分子は、受容体チロシンキナーゼに関連する疾患の診断および処置に関与する、数々のin vitroおよびin vivoの診断的および治療的な利用性を有する。本発明の結合部分を、受容体チロシンキナーゼに関連する疾患を処置し、妨げ、そして診断するために、培養中、in vitroもしくはex vivoの細胞に、またはヒト被験体にたとえばin vivoで、投与することができる。
別の態様では、本発明は、被験体に治療上有効な量の本発明の部分を投与することを含む、被験体においてRTKに関連する疾患を処置する方法を提供する。本発明の抗RTK部分、たとえば、抗体、小分子、またはペプチド性分子は、受容体チロシンキナーゼに関連する疾患の診断および処置に関与する、数々のin vitroおよびin vivoの診断的および治療的な利用性を有する。本発明の結合部分を、受容体チロシンキナーゼに関連する疾患を処置し、妨げ、そして診断するために、培養中、in vitroもしくはex vivoの細胞に、またはヒト被験体にたとえばin vivoで、投与することができる。
本明細書中で使用する「受容体チロシンキナーゼに関連する疾患」とは、RTKの活性によって媒介されるか、または異常なRTKの発現もしくは活性化に関連する疾患または状態である。受容体チロシンキナーゼに関連する疾患の例には、たとえば、加齢黄斑変性症(AMD)、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、糖尿病性網膜症または疼痛に関連する疾患などの、FGF受容体、HGF受容体、インスリン受容体、IGF−1受容体、NGF受容体、VEGF受容体、PDGF受容体−α、PDGF受容体−β、CSF−1受容体、およびFlt3受容体に関連する疾患または状態が含まれる。受容体チロシンキナーゼに関連する疾患の他の例は、重度の骨障害を含む。重度の骨障害は、軟骨無形成症、クルゾン症候群、およびシーザー−ショッツェン症候群からなる群より選択される障害を含む。受容体チロシンキナーゼに関連する疾患の具体的な例には、それだけには限定されないが、胃腸管系間質腫瘍(GIST)、急性骨髄性白血病(AML)、小細胞肺がん(SCLC)、乳がん、骨転移性乳がん、リンパ性疾患および腱鞘巨細胞腫が含まれる。受容体チロシンキナーゼに関連する疾患のさらなる例には、膠芽腫、ラッド症候群、軟骨無形成症、クルゾン症候群、シーザー−ショッツェン症候群、アントレー−ビクスラー症候群、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症、ジャクソン−ワイス症候群、カルマン症候群2、骨空洞性骨異形成症、プファイファー症候群、三角頭蓋症、結腸がん(小腸がんが含まれる)、肺がん、乳がん、膵がん、黒色腫(たとえば転移性悪性黒色腫)、急性骨髄性白血病、腎臓がん、膀胱がん、卵巣がんおよび前立腺がんが含まれる。本発明の方法を使用して処置し得る他のがんの例には、腎臓がん(たとえば腎細胞がん)、膠芽細胞腫、リンパ性がん、脳腫瘍、慢性または急性の白血病(急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T細胞白血病(T−ALL)、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病が含まれる)、リンパ腫(たとえば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、皮膚T細胞リンパ腫、結節性小切れ込み細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、レナートリンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、中心芽細胞性/中心細胞性(cb/cc)濾胞性リンパ腫がん、B系統の広汎性大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性リンパ節腫脹(AILD)様T細胞リンパ腫およびHIV関連の体腔に基づくリンパ腫)、胎生期癌、上咽頭の未分化がん腫(たとえばシュミンケ腫瘍)、キャッスルマン病、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症および他のB細胞リンパ腫、鼻咽頭がん腫、骨がん、皮膚がん、頭部または頸部のがん、皮膚または眼内の悪性黒色腫、子宮がん、直腸がん、肛門部がん、胃がん、精巣がん、子宮がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸部がん、膣がん、外陰部がん、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、膠芽腫、多発性骨髄腫、前立腺がん、膵臓がん、膀胱がん、乳がん、小児期固形腫瘍、膀胱がん、腎臓または尿管のがん、腎盂がん、中枢神経系(CNS)新生物、腫瘍血管形成、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮がん、扁平細胞がん、アスベストに誘導されるものを含めた環境誘導性がん、たとえば中皮腫、ならびに前記がんの組合せが含まれる。本発明の方法を使用して処置し得るリンパ性疾患、または「リンパ系の疾患」の例には、無フィブリノーゲン血症、貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、先天性非球状赤血球性貧血、巨赤芽球性貧血、悪性貧血、鎌状赤血球貧血、腎性貧血、好酸球増加随伴性血管類リンパ組織増殖症、抗トロンビンIII欠乏症、ベルナール−スーリエ症候群、血液凝固障害、血小板障害、青色ゴムまり様母斑症候群、チェディアック−東症候群、クリオグロブリン血症、播種性血管内血液凝固、好酸球増加症、エルトハイム−チェスター病、胎児赤芽球症、エバンス症候群、第V因子欠乏症、第VII因子欠乏症、第X因子欠乏症、第XI因子欠乏症、第XII因子欠乏症、ファンコーニ貧血、巨大リンパ節過形成、血液疾患、異常血色素症、ヘモグロビン尿症、発作性、血友病A、血友病B、新生児出血性疾患、組織球症、組織球症、ランゲルハンス細胞、組織球症、非ランゲルハンス細胞、ヨブ症候群、白血球減少症、リンパ節炎、リンパ管平滑筋肉腫症、リンパ浮腫、メトヘモグロビン血症、脊髄形成異常症候群、骨髄線維症、骨髄化生、骨髄増殖性障害、好中球減少症、パラプロテイン血症、血小板貯蔵プール欠乏症、真性赤血球増加症、タンパク質C欠乏症、タンパク質S欠乏症、紫斑病、血小板減少性、紫斑病、血栓性血小板減少性、RH−同種免疫、サルコイドーシス、サルコイドーシス、球状赤血球症、脾破裂、サラセミア、血小板無力症、血小板減少症、ワルデンストレームマクログロブリン血症、またはヴォン・ヴィレブランド病が含まれる。
さらに、様々な腫瘍細胞上でのIV型RTKの発現を考慮すると、本発明の結合部分、組成物、および方法を使用して、たとえば胃腸管系間質腫瘍、肥満細胞疾患、および急性骨髄性白血病を含めた腫瘍形成性障害、たとえばRKTを発現する腫瘍細胞の存在によって特徴づけられる障害を有する被験体を処置することができる。腫瘍形成性障害を有する他の被験体の例には、以下に罹患している被験体が含まれる:腎臓がん(たとえば腎細胞がん)、膠芽細胞腫、脳腫瘍、慢性または急性の白血病(急性リンパ球性白血病(ALL)、成人T細胞白血病(T−ALL)、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病が含まれる)、リンパ腫(たとえば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、皮膚T細胞リンパ腫、結節性小切れ込み細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、レナートリンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、中心芽細胞性/中心細胞性(cb/cc)濾胞性リンパ腫がん、B系統の広汎性大細胞リンパ腫、血管免疫芽球性リンパ節腫脹(AILD)様T細胞リンパ腫およびHIV関連の体腔に基づくリンパ腫)、胎生期癌、上咽頭の未分化がん腫(たとえばシュミンケ腫瘍)、キャッスルマン病、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症および他のB細胞リンパ腫、鼻咽頭がん腫、骨がん、皮膚がん、頭部または頸部のがん、皮膚または眼内の悪性黒色腫、子宮がん、直腸がん、肛門部がん、胃がん、精巣がん、子宮がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸部がん、膣がん、外陰部がん、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、小児期固形腫瘍、膀胱がん、腎臓または尿管のがん、腎盂がん、中枢神経系(CNS)新生物、腫瘍血管形成、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮がん、扁平細胞がん、アスベストに誘導されるものを含めた環境誘導性がん、たとえば中皮腫、ならびに前記がんの組合せ。
本明細書中で使用する用語「被験体」には、ヒトおよび非ヒト動物が含まれることを意図する。非ヒト動物には、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類、および爬虫類などの、すべての脊椎動物、たとえば哺乳動物および非哺乳動物が含まれる。好ましい被験体には、受容体チロシンキナーゼに関連する疾患に罹患しているヒト被験体が含まれる。
本発明の部分(たとえば、小分子、ペプチド性分子、抗体、その抗原結合性一部分、抗体模倣体、および組成物)は、RTKに関連する疾患の治療および診断においてさらなる有用性を有する。たとえば、ヒトモノクローナル抗体、多特異性もしくは二重特異性分子、小分子、またはペプチド性分子を使用して、以下の生物活性のうちの1つまたは複数をin vivoまたはin vitroで誘発させることができる:RTK(たとえば、線維芽細胞増殖因子受容体)を発現する細胞の増殖を阻害および/もしくは死滅させること、ヒトエフェクター細胞の存在下でRTK(たとえば、線維芽細胞増殖因子受容体)を発現する細胞の貪食もしくはADCCを媒介すること、またはRTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害し、それによって受容体の活性に拮抗すること。
本発明の抗RTK部分をin vivoおよびin vitroで投与するための適切な経路は当技術分野で周知であり、当業者によって選択されることができる。たとえば、抗RTK部分は、注射(たとえば静脈内または皮下)によって投与することができる。使用する分子の適切な用量は、被験体の年齢および重量ならびに結合部分の組成物の濃度および/または処方に依存する。
既に記載したように、本発明の抗RTK部分は、1つまたは他の複数の治療剤、たとえば、細胞毒性剤、放射性毒性剤または免疫抑制剤と共に投与することができる。部分は、薬剤と連結させることができるか、または薬剤と別々に投与することができる。後者の場合(別々の投与)、結合部分は、薬剤を投与する前、後もしくはそれと同時に投与することができるか、または、他の公知治療、たとえば、抗がん治療、たとえば放射線と共に投与することができる。そのような治療剤には、とりわけ、それ単独では患者に毒性または準毒性があるレベルでのみ有効である、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン、硫酸ブレオマイシン、カルムスチン、クロラムブシルおよびシクロホスファミド、ヒドロキシ尿素などの抗新生物剤が含まれる。シスプラチンは、100mg/用量として4週間毎に1回静脈内投与し、アドリアマイシンは、60〜75mg/mlの用量として21日間毎に1回静脈内投与する。本発明の抗RTK結合部分と化学療法剤の共投与は、異なる機構を介して作動し、ヒト腫瘍細胞に対して細胞毒性効果を与える、2つの抗がん剤を提供する。そのような共投与は、結合部分と非反応性にさせる、薬物に対する耐性の発生または腫瘍細胞の抗原性の変化が原因の問題を解決することができる。
異常細胞増殖に関連する疾患の予防および/または処置で使用するために本発明の抗RTK部分−パートナー分子のコンジュゲートを投与する場合、投与化合物の循環濃度は、約0.001μΜ〜20μΜまたは約0.01μΜ〜5μΜを使用し得る。
本明細書中に記載の化合物の経口投与の患者用量は、典型的には約1mg/日〜約10,000mg/日、より典型的には約10mg/日〜約1,000mg/日、最も典型的には約50mg/日〜約500mg/日の範囲である。患者の体重に関連して記述すると、典型的な用量は、約0.01〜約150mg/kg/日、より典型的には約0.1〜約15mg/kg/日、最も典型的には約1〜約10mg/kg/日の範囲、たとえば5mg/kg/日または3mg/kg/日である。
少なくとも一部の実施形態では、腫瘍増殖を遅延または阻害する患者用量は、1μmol/kg/日以下であることができる。たとえば、患者用量は、0.9、0.6、0.5、0.45、0.3、0.2、0.15、または0.1μmol/kg/日以下(薬物のモルに言及)であることができる。好ましくは、抗RTK部分−薬物のコンジュゲートは、1日投薬量を少なくとも5日間の期間にわたって投与した場合に腫瘍の増殖を遅延させる。
一実施形態では、本発明のコンジュゲートを使用して、化合物(たとえば、治療剤、標識、細胞毒素、放射性毒素、免疫抑制剤など)は、RTK細胞表面受容体を有する細胞を標的とすることができ、これは、そのような化合物を抗RTK結合部分と連結することによる。たとえば、抗RTK部分を、本明細書中にその全体が参考として組み込まれている米国特許第6,281,354号および第6,548,530号、米国特許公開第20030050331号、第20030064984号、第20030073852号および第20040087497号中に記載されているか、またはWO03/022806号に公開されている毒素化合物のうちの任意のものとコンジュゲートさせることができる。したがって、また、本発明は、RTKを発現する細胞をex vivoまたはin vivoで局在化させる方法も提供する(たとえば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素または酵素補因子などの検出可能な標識を用いる)。
また、標的特異的なエフェクター細胞、たとえば、本発明の組成物(たとえば、抗体、その抗原結合性一部分、小分子、またはペプチド性分子)と連結したエフェクター細胞は、治療剤としても使用することができる。標的化のためのエフェクター細胞は、マクロファージ、好中球または単球などのヒト白血球であることができる。他の細胞には、好酸球、ナチュラルキラー細胞および他のIgGもしくはIgA受容体保有細胞が含まれる。所望する場合は、エフェクター細胞を処置する被験体から得ることができる。標的特異的なエフェクター細胞は、生理的に許容される溶液中の細胞の懸濁液として投与することができる。投与する細胞の数は108〜109個の桁数であることができるが、治療目的に応じて変動する。一般に、量は、標的細胞、たとえばRTKを発現する腫瘍細胞において局在化し、たとえば貪食によって細胞死滅をもたらすために十分なものである。また、投与経路も変動することができる。
標的特異的なエフェクター細胞を用いた治療は、標的細胞を除去するための他の技法と併せて行うことができる。たとえば、本発明の部分および/またはこれらの組成物を備えたエフェクター細胞を使用した抗腫瘍治療を、化学療法と併せて使用することができる。
本発明は、試料および対照試料を、RTK結合部分、たとえば、小分子、ペプチド性分子ヒトモノクローナル抗体、またはヒトRTKと特異的に結合する他の結合部分と、抗体または他の部分と線維芽細胞増殖因子受容体などのヒトRTKとの間の複合体の形成を可能にする条件下で接触させることを含む、試料中のヒトRTK抗原の存在を検出する方法、またはヒトRTK抗原(たとえば、ヒト線維芽細胞増殖因子受容体の非対称性の接触境界領域)の量を測定する方法をさらに提供する。その後、複合体の形成を検出し、ここで、対照試料と比較した試料間の複合体形成の相違が、試料中のRTK、たとえば、線維芽細胞増殖因子受容体の存在の指標である。
抗RTK結合部分(たとえば、小分子、抗体、その抗原結合性一部分、またはペプチド性分子)および使用説明書を含むキットも、本発明の範囲内にある。キットは、免疫抑制試薬、細胞毒性剤もしくは放射性毒性剤などの1つもしくは複数の追加の試薬、または1つもしくは複数の追加の本発明の抗RTK部分(たとえば、第1の抗RTK部分とは別個のRTK抗原中のエピトープと結合する相補的な活性を有する抗RTK結合部分)をさらに含有することができる。典型的には、キットには、キットの内容物の意図する使用を示すラベルが含まれる。用語ラベルには、キット上もしくはそれと共に提供されるか、または他の様式でキットに付随する、任意の文書または記録資料が含まれる。
本発明は、さらに限定するとは解釈されるべきでない以下の実施例によってさらに例示されている。本出願の全体にわたって引用したすべての図およびすべての参考文献、特許、公開特許出願、および図面の内容は、明確にその全体が本明細書中に参考として組み込まれている。
リガンド誘導性チロシントランス自己リン酸化は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)による活性化および細胞シグナル伝達の制御において重要な役割を果たす(Schlessinger(1988年)Trends Biochem. Sci., 13巻(11号):443〜447頁;Schlessinger(2000年)Cell, 103巻(2号):211〜225頁;SchlessingerおよびLemmon(2003年)Sci. STKE, 191巻:RE12;SchlessingerおよびUllrich(1992年)Neuron, 9巻(3号):383〜391頁;LemmonおよびSchlessinger(1994年)Trends Biochem. Sci., 19巻(11号):459〜463頁;ならびにLemmonおよびSchlessinger(1998年)Methods Mol. Biol., 84巻:49〜71頁)。構造的および生化学的研究により、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)(Furduiら(2006年)Mol. Cell., 21巻(5号):711〜717頁およびLewら(2009年)Sci. Signal, 2巻(58号):ra6)ならびにFGFR2(Chenら(2008年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 105巻(50号):19660〜19665頁)の自己リン酸化は、3つのフェーズに分けることができる、逐次的で、正確に順序付けられた分子間反応によって媒介されることが示された。第1のフェーズは、キナーゼ活性の50〜100倍の刺激をもたらす、触媒コアの活性化ループ中に位置するチロシン(FGFR1においてY653)のトランスリン酸化を含む(Furduiら、2006年)。第2のフェーズでは、FGFR1のキナーゼ挿入領域(Y583、Y585)、膜近傍領域(Y463)、およびC末端部(Y766)におけるチロシンを含むシグナル伝達タンパク質に対するドッキング部位として働くチロシン残基が、リン酸化される。最終の第3のフェーズでは、Y654;活性化ループ中に位置する第2のチロシンが、リン酸化され、FGFR1キナーゼ活性におけるさらに10倍の増加をもたらす(Furduiら、2006年)。興味深いことには、互いに隣接するチロシン(たとえばY653、Y654およびY583、Y585)は、順次リン酸化されず、配列および構造の特異性の両方が、リン酸化の順序を決定するということを示唆する。チロシンリン酸化は、細胞シグナル伝達において主な役割を果たすが、トランス自己リン酸化について構造的根拠が何であるかは、まだ明らかではない。言いかえれば、二量体化した受容体内の一方のキナーゼ(酵素)が、他方のキナーゼ(基質)のチロシン(複数可)のリン酸化を特異的にかつ順次触媒する方法の根底にある分子メカニズムは、まだ解決されていない。
活性化FGFR1キナーゼドメインの、ホスホリパーゼCγ(2つのSH2ドメインおよびチロシンリン酸化部位から構成されるPLCγ断片)に結合した結晶構造が、示されている(PDBコード3GQI)(Baeら(2009年)Cell 138巻(3号):512〜524頁)。この構造では、キナーゼ分子(分子Eと称される酵素分子)の基質結合性ポケットは、対称関連分子(分子Sと称される基質分子)のY583Fによって占められる。このチロシン(Y583F)は、キナーゼ挿入中に位置し、in vitroにおいてリン酸化されるようになる第2のFGFR1チロシンである(Furduiら、2006年)。結晶構造、3GQIのより詳細な検査によって、実質的な結晶境界領域が、酵素として働く分子のNローブと基質として機能する分子のCローブとの間で同定された。この境界領域において、R577’とD519との間に直接的な相互作用がある(図6A)。ラッド症候群を引き起こす、機能喪失型の変異であるD519N(Rohmannら(2006年)Nat. Genet. 38巻(4号):414〜417頁)および膠芽腫において見つかった体性機能獲得型変異であるR576W(Randら(2005年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 102巻(40号):14344〜14349頁)をもたらす遺伝性の変異が、立証されている。構造的および生化学的ツールを、R577が、FGF刺激細胞において、Y583および他のチロシン自己リン酸化部位のトランスリン酸化を可能にする、非対称性のFGFR1二量体をin vivoにおいて生成することに関与することを示すために利用した。これらのデータは、FGFR1のトランスリン酸化および細胞シグナル伝達における分子レベルの特異性を理解する根拠を提供する。
(実施例1)
FGFR1の自己リン酸化におけるの非対称性の二量体化境界領域
ホスホリパーゼCγ(PLCγ)断片と複合体を形成した活性化FGFR1キナーゼの構造(Baeら(2009年)Cell, 138巻(3号):512〜524頁)は、2つの対称関連活性化キナーゼドメインが、キナーゼ挿入領域におけるY583のin vivoトランス自己リン酸化を示す非対称性の二量体を形成することを示す(図1Aおよび図1B)。2つのキナーゼ分子の非対称性の構成は、酵素(E)として働くキナーゼ分子における活性化セグメント、ヌクレオチド結合ループの先端、β3−αCループ、β4−β5ループ、およびヘリックスαCのN末端領域と、基質(S)として働く第2のキナーゼ分子におけるキナーゼ挿入ならびにCローブヘリックスαFおよびαGの間の残基との間で形成される境界領域によって媒介される(図1Cおよび図1D)。重要なことには、基質分子のキナーゼ挿入領域に近い残基であるR577は、この境界領域に寄与する(図1B)。境界領域は、およそ800Å2を覆う(Laskowskiら(1997年)Trends Biochem. Sci., 22巻(12号):488〜490頁)。
FGFR1の自己リン酸化におけるの非対称性の二量体化境界領域
ホスホリパーゼCγ(PLCγ)断片と複合体を形成した活性化FGFR1キナーゼの構造(Baeら(2009年)Cell, 138巻(3号):512〜524頁)は、2つの対称関連活性化キナーゼドメインが、キナーゼ挿入領域におけるY583のin vivoトランス自己リン酸化を示す非対称性の二量体を形成することを示す(図1Aおよび図1B)。2つのキナーゼ分子の非対称性の構成は、酵素(E)として働くキナーゼ分子における活性化セグメント、ヌクレオチド結合ループの先端、β3−αCループ、β4−β5ループ、およびヘリックスαCのN末端領域と、基質(S)として働く第2のキナーゼ分子におけるキナーゼ挿入ならびにCローブヘリックスαFおよびαGの間の残基との間で形成される境界領域によって媒介される(図1Cおよび図1D)。重要なことには、基質分子のキナーゼ挿入領域に近い残基であるR577は、この境界領域に寄与する(図1B)。境界領域は、およそ800Å2を覆う(Laskowskiら(1997年)Trends Biochem. Sci., 22巻(12号):488〜490頁)。
2つの活性FGFR1分子の間で形成された境界領域は、2つの領域からなる。一方は、活性化セグメントのP+1領域の近くの近位の基質結合性部位である。他方は、基質結合性部位から遠位の領域である。遠位の基質結合性部位は、分子Eのヌクレオチド結合ループに隣接する領域と分子SのαF−αGループおよびキナーゼ挿入領域のN末端残基との間で形成される。結晶構造において、明らかな電子密度が、R577およびD519について見られる(図6A)。R577側鎖が、膠芽腫において変異しているアミノ酸であるR576(Randら(2005年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 102巻(40号):14344〜14349頁)の側鎖のおよそ180°反対を向いていることに注目すべきである。
非対称性の二量体境界領域の2つの領域は、相補的である(図2)。近位の基質結合性部位については、分子Eは、分子S由来のY583’に対してC末端の残基と短い逆平行β−シートを形成する活性化セグメント(N659−V664)由来の残基に主に寄与し、R570は、E582’と塩橋を形成する(図2B)。遠位の結合部位については、R577’は、D519の主鎖カルボニルおよび側鎖の両方に結合し、分子SにおけるヘリックスαFおよびαGの間のループは、β3−αCおよびβ4−β5ループとの複数の脂肪性の接触を形成する(図2C)。
(実施例2)
R577E FGFR1変異体のin vitroにおけるチロシンキナーゼ活性
R577E変異(FGFR1−RE)のin vitroにおける効果を調査するために、自己リン酸化の実験を、wt−FGFR1およびFGFR1−REキナーゼドメインを使用して行った。精製FGFR1キナーゼドメインを、室温で、ATPおよびMg2+と共にインキュベートし、EDTAを用いてトランスリン酸化反応を停止し、非還元非変性ゲル上にすべての試料を流すことによって異なる時間にモニターした(図3Aおよび図3B)。非変性ゲルにおけるwt−FGFR1およびFGFR1−REの反応プロファイルは、wt−FGFR1キナーゼドメインと比較した場合、FGFR1−REのトランスリン酸化および逆の脱リン酸化反応が実質的に遅延したことを明確に示した。wt−FGFR1キナーゼドメインのトランスリン酸化は、10分以内に起こり、完全にリン酸化された状態に達し、次いで、逆の脱リン酸化反応を受けた。これは、30分以内に完全にリン酸化されるようになり、次いで、逆反応を受けたFGFR1−REと対照をなす。この実験は、FGFR1−REキナーゼドメインの内因性キナーゼ活性が維持されるが、それは、反応速度論的に遅延することを示す。
R577E FGFR1変異体のin vitroにおけるチロシンキナーゼ活性
R577E変異(FGFR1−RE)のin vitroにおける効果を調査するために、自己リン酸化の実験を、wt−FGFR1およびFGFR1−REキナーゼドメインを使用して行った。精製FGFR1キナーゼドメインを、室温で、ATPおよびMg2+と共にインキュベートし、EDTAを用いてトランスリン酸化反応を停止し、非還元非変性ゲル上にすべての試料を流すことによって異なる時間にモニターした(図3Aおよび図3B)。非変性ゲルにおけるwt−FGFR1およびFGFR1−REの反応プロファイルは、wt−FGFR1キナーゼドメインと比較した場合、FGFR1−REのトランスリン酸化および逆の脱リン酸化反応が実質的に遅延したことを明確に示した。wt−FGFR1キナーゼドメインのトランスリン酸化は、10分以内に起こり、完全にリン酸化された状態に達し、次いで、逆の脱リン酸化反応を受けた。これは、30分以内に完全にリン酸化されるようになり、次いで、逆反応を受けたFGFR1−REと対照をなす。この実験は、FGFR1−REキナーゼドメインの内因性キナーゼ活性が維持されるが、それは、反応速度論的に遅延することを示す。
R577E変異が完全長FGFR1の活性およびトランスリン酸化にどのように影響するかを研究するために、wt−FGFR1、およびFGFR1−REをL6筋芽細胞において安定して発現させた(図3C)。wt−FGFR1またはFGFR1−REを発現する細胞由来の溶解産物を免疫沈降させ、室温で、in vitro自己リン酸化反応に供した(Furduiら(2006年)Mol. Cell., 21巻(5号):711〜717頁)。図3Cは、完全長wt−FGFR1およびFGFR1−REの両方が、同様の程度まで、チロシン自己リン酸化されるようになり、PLCγの2つのSH2ドメインおよびリン酸化部位から構成される外因性の基質分子をリン酸化することができることを示す。これらの結果は、完全長R577E FGFR1変異体のチロシンキナーゼ活性がin vitroにおいて維持されることを示す。
(実施例3)
R577E変異体のチロシン自己リン酸化は、生細胞において強く損なわれる
FGF刺激生細胞におけるWTまたはR577E FGFR1変異体の自己リン酸化を比較した。wt−FGFR1またはFGFR1−REの発現レベルについて一致した、安定したL6細胞系を、37℃で10分間、異なるFGF濃度により(図3D)または異なる時点で100ng/ml FGFにより(図3E)刺激した。受容体チロシンリン酸化のレベルは、抗FGFR1抗体により、非刺激またはFGF刺激細胞由来の溶解産物を免疫沈降に供し、その後抗pTyr抗体を用いるイムノブロッティングを行うことによって、決定した。wt−FGFR1を発現する細胞のFGF刺激は、リガンド依存性の受容体チロシンリン酸化をもたらした。対照的に、FGFR1−REを発現する細胞のFGF刺激は、リガンドの最高用量でさえ非常に弱いリン酸化しかもたらさなかった。単離完全長R577E変異体およびR577E変異体の精製キナーゼドメインの両方がin vitroにおいてキナーゼ活性を維持したので、in vivoにおけるFGFR1−REのチロシン自己リン酸化における劇的な低下は、その内因性キナーゼ活性の喪失によって引き起こされるのではない。
R577E変異体のチロシン自己リン酸化は、生細胞において強く損なわれる
FGF刺激生細胞におけるWTまたはR577E FGFR1変異体の自己リン酸化を比較した。wt−FGFR1またはFGFR1−REの発現レベルについて一致した、安定したL6細胞系を、37℃で10分間、異なるFGF濃度により(図3D)または異なる時点で100ng/ml FGFにより(図3E)刺激した。受容体チロシンリン酸化のレベルは、抗FGFR1抗体により、非刺激またはFGF刺激細胞由来の溶解産物を免疫沈降に供し、その後抗pTyr抗体を用いるイムノブロッティングを行うことによって、決定した。wt−FGFR1を発現する細胞のFGF刺激は、リガンド依存性の受容体チロシンリン酸化をもたらした。対照的に、FGFR1−REを発現する細胞のFGF刺激は、リガンドの最高用量でさえ非常に弱いリン酸化しかもたらさなかった。単離完全長R577E変異体およびR577E変異体の精製キナーゼドメインの両方がin vitroにおいてキナーゼ活性を維持したので、in vivoにおけるFGFR1−REのチロシン自己リン酸化における劇的な低下は、その内因性キナーゼ活性の喪失によって引き起こされるのではない。
(実施例4)
R577E変異体の結晶構造
キナーゼドメインの完全性に対するR577E変異の影響は、FGFR1変異タンパク質のキナーゼドメインの結晶構造を決定することによって検査した。R577E変異タンパク質を、E.coliにおいて発現させ、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、および陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。変異タンパク質のロッド状の結晶を、室温で2週間成長させ、3.2Åの分解能まで回折した。これらの結晶は、空間群C2に属し、非対称単位においてFGFR1−REの4つのコピーを含む。FGFR1−REの4つの分子はすべて、非常に類似するコンフォメーションをしており、キナーゼ挿入領域(アミノ酸576〜594)を有していない残基461〜762にわたって0.4Å未満のRMSDで重なり(図7)(www.pymol.org)、キナーゼ挿入は可動性であり、4つの分子のうちの2つのみにおいてモデル化した。4つのFGFR1−RE分子はすべて、活性状態であり、3GQIと比較した場合、全体的なコンフォメーションにおける変化をほとんど示さない。非リン酸化FGFR1の構造もまた、2.70Åの分解能まで、不活性なコンフォメーションにおいて決定した(表1;図10)。
R577E変異体の結晶構造
キナーゼドメインの完全性に対するR577E変異の影響は、FGFR1変異タンパク質のキナーゼドメインの結晶構造を決定することによって検査した。R577E変異タンパク質を、E.coliにおいて発現させ、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、および陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。変異タンパク質のロッド状の結晶を、室温で2週間成長させ、3.2Åの分解能まで回折した。これらの結晶は、空間群C2に属し、非対称単位においてFGFR1−REの4つのコピーを含む。FGFR1−REの4つの分子はすべて、非常に類似するコンフォメーションをしており、キナーゼ挿入領域(アミノ酸576〜594)を有していない残基461〜762にわたって0.4Å未満のRMSDで重なり(図7)(www.pymol.org)、キナーゼ挿入は可動性であり、4つの分子のうちの2つのみにおいてモデル化した。4つのFGFR1−RE分子はすべて、活性状態であり、3GQIと比較した場合、全体的なコンフォメーションにおける変化をほとんど示さない。非リン酸化FGFR1の構造もまた、2.70Åの分解能まで、不活性なコンフォメーションにおいて決定した(表1;図10)。
手短に言えば、FGFR1−RE変異体結晶構造は、広がった活性化ループを有する活性状態のキナーゼドメインである。活性化リン酸化FGFR構造において以前に見られたように、Nローブは、キナーゼ構造のCローブの方に回転する(Chenら(2008年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 105巻(50号):19660〜19665頁、およびBaeら(2009年)Cell, 138巻(3号):514〜524頁)。FGFR1−REの構造では、ATPアナログであるACP−PCPについての密度は、NローブおよびCローブの間の触媒間隙において見つけられなかった。FGFR1−REのNローブにおけるヘリックスαCは、FGFR1の以前に決定された構造よりも、活性化ループにわずかに接近して回転する(図4Aおよび図4Bおよび図4C)。FGFR1−REにおける2つの非リン酸化活性化ループチロシン(Y653、Y654)は、活性FGFR1構造におけるホスホチロシン(pY653、pY654)と同じ位置に位置する。
(実施例5)
FGFR1の結晶構造の比較
FGFR1キナーゼ挿入領域のコンフォメーションは、残基576〜594にわたって、4〜5.4ÅのRMSDで、3つのFGFR1構造すべて(本研究において決定したFGFR1およびFGFR1−RE、およびFGFR1−3Pと称される3GQI)の間で著しいコンフォメーション可動性を示す(www.pymol.org)(図4)。FGFR1−REについては、一方のキナーゼドメインがパートナーキナーゼドメインに対する基質としてそれ自体を提示する、上記に議論される非対称性の二量体は見られず、FGFR1−REでは、非対称単位における4つの分子はどれも、他方のFGFR1分子の触媒間隙にキナーゼ挿入領域それ自体を提示しない。3つの構造すべてにおいて、R576は、類似する配向を維持する。しかしながら、FGFR1−RE構造において、側鎖R577Eの配向は、野生型FGFR1と比較して、およそ180°反転している(図4D)。残基577のコンフォメーションにおけるこの結晶学的に見られる改変は、このループがある期間にわたってとる構造的空間における変化を示す。
FGFR1の結晶構造の比較
FGFR1キナーゼ挿入領域のコンフォメーションは、残基576〜594にわたって、4〜5.4ÅのRMSDで、3つのFGFR1構造すべて(本研究において決定したFGFR1およびFGFR1−RE、およびFGFR1−3Pと称される3GQI)の間で著しいコンフォメーション可動性を示す(www.pymol.org)(図4)。FGFR1−REについては、一方のキナーゼドメインがパートナーキナーゼドメインに対する基質としてそれ自体を提示する、上記に議論される非対称性の二量体は見られず、FGFR1−REでは、非対称単位における4つの分子はどれも、他方のFGFR1分子の触媒間隙にキナーゼ挿入領域それ自体を提示しない。3つの構造すべてにおいて、R576は、類似する配向を維持する。しかしながら、FGFR1−RE構造において、側鎖R577Eの配向は、野生型FGFR1と比較して、およそ180°反転している(図4D)。残基577のコンフォメーションにおけるこの結晶学的に見られる改変は、このループがある期間にわたってとる構造的空間における変化を示す。
受容体活性化およびトランスリン酸化の開始に際して、後に続く特定の順番でのチロシンリン酸化がある。これは、2つのキナーゼドメイン間の二量体化表面が、正確な順序でのリン酸化を可能にするように、順次利用されることを意味し、かつ2つのキナーゼ分子の間の特異的な相互作用が、それぞれの特異的なチロシンのリン酸化において重要な役割を果たすであろうということを示唆する。同じ酵素反応がタンパク質内のそれぞれのリン酸化部位で起こるので、これは驚くべきことであり、分子間相互作用の類似する表面特性を示唆する。
最近、非対称性の二量体は、FGFR2のキナーゼドメインについて記載された(Chenら(2008年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 105巻(50号):19660〜19665頁)。FGFR2結晶構造では、Y769(FGFR1におけるY766と等価)は、他方のキナーゼドメインに対する基質となるように見える位置にトラップされている。Y769は、キナーゼドメインのいちばんC末端に位置する。これらの2つの構造(PDB ID:3CLYおよび3GQI)の比較は、酵素(分子E)または基質(分子S)として作用する2つのFGFRファミリーキナーゼドメイン間の関係を鮮明に示す(図8)。両方の構造において、境界領域が覆う表面積は、800〜900Å2の範囲にあり(Laskowskiら(1997年)Trends Biochem. Sci., 22巻(12号):488〜490頁)、近位および遠位の結合部位から構成される。2つの構造は、近位の基質結合性領域において、高度な構造的類似性が分子EのCローブ中にあることを示す。しかしながら、遠位の基質結合性領域は、2つの構造の間で有意に異なる。遠位の基質結合性表面を含む分子EのNローブ残基は、コンフォメーションが相違する(図2および図8)。FGFR1の構造では、遠位の結合部位は、β3−αCループにおける残基ならびに相互作用にA488およびF489のみを寄与させるヌクレオチド結合ループ由来のアミノ酸によって形成される。しかしながら、β3−αCループのコンフォメーションは、FGFR1とほとんど変わらないが、FGFR2のヌクレオチド結合ループは、コンフォメーションにおいて有意に改変しており、G488〜G493のすべての残基が結合に寄与する。そのため、キナーゼNローブにおける構造的差異は、遠位の基質結合性部位を改変し、トランス自己リン酸化の連続的な性質におそらく重要であろう。
FGFRの構造ベースの配列アライメントは、活性なFGFR1およびFGFR2の両方の構造において見つけられる境界領域の形成に関与する残基の保存を示す(図9A)(Notredameら(2000年):J. Mol. Biol., 302巻(1号):205〜217頁)。興味深いことには、FGFR1におけるヘリックスαGのN末端の先端およびヘリックスαGのN末端ループにおける隣接する領域は、基質(分子S)の一部として境界領域形成に関与するのに対して、FGFR2構造における同じ領域は、酵素(分子E)の一部である。さらに、ヘリックスαGに対してC末端のループは、FGFR2構造における基質の一部として境界領域形成に関与する。キナーゼの本体(main body)にヘリックスαGをつなぐ両方のループ上に、いくつかの機能喪失型の変異が臨床的に発見された(図9B)(Wilkie(2005年)Cytokine Growth Factor Rev., 16巻(2号):187〜203頁)。in vivoにおける受容体の自己リン酸化活性の喪失は、トランスリン酸化のための境界領域形成の破壊から起こるかもしれない。
実施例1〜5についての結論
受容体チロシンキナーゼは、特異的配列におけるリガンド活性化に応じてトランスリン酸化するが、トランスリン酸化事象のこの連続的な順序に関与する分子メカニズムは、理解されていない。FGFR1については、Y583がトランスリン酸化される場合に、非対称性の二量体形成を媒介する2つの領域がある。さらに、この境界領域にとって本質的な残基、R577Eの単一の点変異は、生細胞におけるFGFR1−REの自己リン酸化を劇的に低下させる。この変異がキナーゼの折り畳みを改変せず、重大なコンフォメーション変化を招かなかったことを確認するために、FGFR1−REを結晶化したが、wt−FGFR1に対する有意差は同定されなかった(図4Bおよび図4C)。これにより、生細胞におけるリガンド誘導性FGFR1自己リン酸化の喪失が、キナーゼドメインにおけるコンフォメーション変化によって引き起こされないことが確認される。生細胞におけるFGFR1−RE変異体の自己リン酸化の劇的な低下は、in vivoにおける、リガンド誘導性二量体化によってもたらされる立体的な制約によって検討することができる。生細胞では、自己リン酸化は、FGFおよびヘパラン硫酸プロテオグリカン誘発性のFGFR1二量体化によって媒介される。これらの条件下で、二次元におけるキナーゼドメイン間の相互作用は、立体的な制約を増加させ、二量体複合体内のキナーゼドメイン間の位置の可能性を減少させる。すなわち、細胞膜の細胞質面における受容体分子のキナーゼドメイン間の相互作用の限られた数のモードのみが可能になる。他方、in vitro環境では、キナーゼドメインは、細胞膜における受容体二量体化によって生じる立体的な制約にさらされず、三次元で移動する自由が可能であり、このことは、Y583および他のチロシン残基のトランスリン酸化を可能にする。しかしながら、in vivoにおけるリガンド誘導性二量体FGFR1−REは、二量体化によって生じる立体的な制約により、破壊された境界領域をバイパスすることができず、トランスリン酸化ができない。
受容体チロシンキナーゼは、特異的配列におけるリガンド活性化に応じてトランスリン酸化するが、トランスリン酸化事象のこの連続的な順序に関与する分子メカニズムは、理解されていない。FGFR1については、Y583がトランスリン酸化される場合に、非対称性の二量体形成を媒介する2つの領域がある。さらに、この境界領域にとって本質的な残基、R577Eの単一の点変異は、生細胞におけるFGFR1−REの自己リン酸化を劇的に低下させる。この変異がキナーゼの折り畳みを改変せず、重大なコンフォメーション変化を招かなかったことを確認するために、FGFR1−REを結晶化したが、wt−FGFR1に対する有意差は同定されなかった(図4Bおよび図4C)。これにより、生細胞におけるリガンド誘導性FGFR1自己リン酸化の喪失が、キナーゼドメインにおけるコンフォメーション変化によって引き起こされないことが確認される。生細胞におけるFGFR1−RE変異体の自己リン酸化の劇的な低下は、in vivoにおける、リガンド誘導性二量体化によってもたらされる立体的な制約によって検討することができる。生細胞では、自己リン酸化は、FGFおよびヘパラン硫酸プロテオグリカン誘発性のFGFR1二量体化によって媒介される。これらの条件下で、二次元におけるキナーゼドメイン間の相互作用は、立体的な制約を増加させ、二量体複合体内のキナーゼドメイン間の位置の可能性を減少させる。すなわち、細胞膜の細胞質面における受容体分子のキナーゼドメイン間の相互作用の限られた数のモードのみが可能になる。他方、in vitro環境では、キナーゼドメインは、細胞膜における受容体二量体化によって生じる立体的な制約にさらされず、三次元で移動する自由が可能であり、このことは、Y583および他のチロシン残基のトランスリン酸化を可能にする。しかしながら、in vivoにおけるリガンド誘導性二量体FGFR1−REは、二量体化によって生じる立体的な制約により、破壊された境界領域をバイパスすることができず、トランスリン酸化ができない。
FGFR1のトランスリン酸化は、正確に順序付けられた順番で起こり(Furduiら(2006年)およびLewら(2009年))、すべてのチロシン自己ホスホチロシン部位のリン酸化は、完全なFGFR1活性化に必要とされる(Mohammadiら(1996年)Mol. Cell Biol., 16巻(3号):977〜989頁)。FGFR1のトランスリン酸化部位の順序は、以下のとおりである:Y653、Y583、Y463、Y766、Y585、およびY654。際立って、これらの連続的なチロシンリン酸化部位のそれぞれの間の距離は、35〜50Åである(図5)。Y583のリン酸化は、活性化ループにおけるY653のリン酸化の後の、順序の2番目に来る。さらに、FGFR1の完全な活性化は、順番においてリン酸化される最後の残基である、活性化ループにおけるY654のリン酸化によって達成される。Y583のリン酸化の失敗は、トランスリン酸化の減衰または停止をもたらし、生細胞における受容体自己リン酸化の強力な阻害をもたらし得る。
実施例1〜5についての材料および方法
タンパク質の発現および精製
部位特異的変異誘発を、変異(R577E)を導入するために実行し、E.coli株BL21(codon+)に形質転換した。培養物を、0.8のOD600まで37℃でterrific broth(TB)培地中で増殖させ、10時間、18℃で、1mMイソプロピル−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて誘導した。細胞を採取し、溶解バッファー(20mM トリス−HCl pH8.0、20mM NaCl、および2mMフェニルメチル−スルホニルフルオリド(PMSF))中に再懸濁し、次いで、フレンチプレスによって溶解させ、その後細胞破片を除去するために遠心分離を行った。WTおよびFGFR1 R577E変異体(アミノ酸458〜765)の発現および精製は、先に記載されるように実行した(Furduiら、2006年)。タンパク質は、Ni−NTAビーズ(GE Healthcare)上でアフィニティークロマトグラフィーによって最初に単離し、250mMまでのイミダゾール勾配を用いて溶出した。溶出した試料は、続いて、Superdex−200(S200、GE Healthcare)を使用して、サイズ排除クロマトグラフィーに供し、Mono−Q(GE Healthcare)イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製した。精製したタンパク質の純度および質量は、エレクトロスプレーマススペクトロスコピーによって確認した。
タンパク質の発現および精製
部位特異的変異誘発を、変異(R577E)を導入するために実行し、E.coli株BL21(codon+)に形質転換した。培養物を、0.8のOD600まで37℃でterrific broth(TB)培地中で増殖させ、10時間、18℃で、1mMイソプロピル−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて誘導した。細胞を採取し、溶解バッファー(20mM トリス−HCl pH8.0、20mM NaCl、および2mMフェニルメチル−スルホニルフルオリド(PMSF))中に再懸濁し、次いで、フレンチプレスによって溶解させ、その後細胞破片を除去するために遠心分離を行った。WTおよびFGFR1 R577E変異体(アミノ酸458〜765)の発現および精製は、先に記載されるように実行した(Furduiら、2006年)。タンパク質は、Ni−NTAビーズ(GE Healthcare)上でアフィニティークロマトグラフィーによって最初に単離し、250mMまでのイミダゾール勾配を用いて溶出した。溶出した試料は、続いて、Superdex−200(S200、GE Healthcare)を使用して、サイズ排除クロマトグラフィーに供し、Mono−Q(GE Healthcare)イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製した。精製したタンパク質の純度および質量は、エレクトロスプレーマススペクトロスコピーによって確認した。
結晶化および構造決定
タンパク質は、12mg/mlまで濃縮した。R577E変異タンパク質は、1mM AMP−PCP、6mM MgCl2、2mMトリス[2−カルボキシエチル]ホスフィンハイドロクロライド(TCEP−HCl)、20mMトリス pH8.0、および100mM NaClを含有するバッファーに移し、スクリーニングおよび最適化に供した。結晶は、等容積のタンパク質溶液およびレザバーバッファー(15%[w/v]ポリエチレングリコール3350、200mMクエン酸リチウム)を含む懸滴技術を使用して14日間、室温で成長させた。結晶は、非対称単位中の4つの分子により、a=186.8Å、b=74.3Å、c=135.8Å、およびβ=97.4°の単位格子寸法を有する有心単斜晶(centered monoclinic)空間群C2に属した。複合体の溶媒含有率は、約61%であった。結晶は、15%グリセロールを有するレザバーバッファーを含有する凍結防止剤に移し、次いで、液体窒素中で急速冷凍した。wt−FGFR1の結晶は、記載されるように得た(14)。Wt−FGFR1結晶は、a=212.0Å、b=49.8Å、c=66.5Å、およびβ=107.5°の単位格子寸法を有するC2空間群に属した。データは、R577E FGFR1変異体についてはNational Synchrotron Light Sourceでbeamline X29で、および野生型タンパク質については自社のソースを使用して収集した。データは、HKL2000を使用して処理した(Minorら(2000年)Structure, 8巻(5号):R105〜110)。FGFR1についての分子置換の解(molecular replacement solution)は、FGFR1(Mohammadiら(1996年)Cell, 86巻(4号):577〜587頁)(PDBコード:1FRK)およびFGFR−3P(Baeら(2009年)Cell, 138巻(3号):514〜524頁)(PDBコード:3GQI)のキナーゼドメインの構造を使用して、Phaserを用いて見つけた(McCoyら(2007年)J. Appl. Crystallogr., 40巻(Pt.4):658〜674頁)。wtおよび変異体FGFR1のモデル構築および精密化は、それぞれ、FGFR1−REについて22.2%および26.3%の、ならびにwt−FGFR1について20.3%および25.4%の結晶学的RおよびRfreeまでCoot(EmsleyおよびCowtan(2004年)Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr., 60巻(Pt.12、Pt.1):2126〜2132頁)ならびにCNS(Brungerら(1998年)Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr., 54巻(Pt.5):905〜921頁)を用いて実行した。図は、PYMOL(www.pymol.org)を使用して作成した。PDBsumは、分子間境界領域を計算するために使用した(Laskowskiら(1997年)Trends Biochem. Sci., 22巻(12号):488〜490頁)。データおよび精密化の統計は、表1に概説する。
タンパク質は、12mg/mlまで濃縮した。R577E変異タンパク質は、1mM AMP−PCP、6mM MgCl2、2mMトリス[2−カルボキシエチル]ホスフィンハイドロクロライド(TCEP−HCl)、20mMトリス pH8.0、および100mM NaClを含有するバッファーに移し、スクリーニングおよび最適化に供した。結晶は、等容積のタンパク質溶液およびレザバーバッファー(15%[w/v]ポリエチレングリコール3350、200mMクエン酸リチウム)を含む懸滴技術を使用して14日間、室温で成長させた。結晶は、非対称単位中の4つの分子により、a=186.8Å、b=74.3Å、c=135.8Å、およびβ=97.4°の単位格子寸法を有する有心単斜晶(centered monoclinic)空間群C2に属した。複合体の溶媒含有率は、約61%であった。結晶は、15%グリセロールを有するレザバーバッファーを含有する凍結防止剤に移し、次いで、液体窒素中で急速冷凍した。wt−FGFR1の結晶は、記載されるように得た(14)。Wt−FGFR1結晶は、a=212.0Å、b=49.8Å、c=66.5Å、およびβ=107.5°の単位格子寸法を有するC2空間群に属した。データは、R577E FGFR1変異体についてはNational Synchrotron Light Sourceでbeamline X29で、および野生型タンパク質については自社のソースを使用して収集した。データは、HKL2000を使用して処理した(Minorら(2000年)Structure, 8巻(5号):R105〜110)。FGFR1についての分子置換の解(molecular replacement solution)は、FGFR1(Mohammadiら(1996年)Cell, 86巻(4号):577〜587頁)(PDBコード:1FRK)およびFGFR−3P(Baeら(2009年)Cell, 138巻(3号):514〜524頁)(PDBコード:3GQI)のキナーゼドメインの構造を使用して、Phaserを用いて見つけた(McCoyら(2007年)J. Appl. Crystallogr., 40巻(Pt.4):658〜674頁)。wtおよび変異体FGFR1のモデル構築および精密化は、それぞれ、FGFR1−REについて22.2%および26.3%の、ならびにwt−FGFR1について20.3%および25.4%の結晶学的RおよびRfreeまでCoot(EmsleyおよびCowtan(2004年)Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr., 60巻(Pt.12、Pt.1):2126〜2132頁)ならびにCNS(Brungerら(1998年)Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr., 54巻(Pt.5):905〜921頁)を用いて実行した。図は、PYMOL(www.pymol.org)を使用して作成した。PDBsumは、分子間境界領域を計算するために使用した(Laskowskiら(1997年)Trends Biochem. Sci., 22巻(12号):488〜490頁)。データおよび精密化の統計は、表1に概説する。
wt−FGF1およびFGFR1−REのin vitroトランスリン酸化
1μlの精製wt−FGFR1(アミノ酸458〜765)またはFGFR1−RE(10mg/ml)を、1μlのそれぞれ25mM ATP、125mM MgCl2(10mM HEPES pH7.5中)、および10mM HEPES pH7.5と混合し、次いで、室温で、90分まで10分ごとに、10mM HEPES pH7.5中の1μlの250mM EDTAによりクエンチした。非変性ゲル電気泳動は、7%非変性ゲルを用い、反応試料を用いて実行した。
1μlの精製wt−FGFR1(アミノ酸458〜765)またはFGFR1−RE(10mg/ml)を、1μlのそれぞれ25mM ATP、125mM MgCl2(10mM HEPES pH7.5中)、および10mM HEPES pH7.5と混合し、次いで、室温で、90分まで10分ごとに、10mM HEPES pH7.5中の1μlの250mM EDTAによりクエンチした。非変性ゲル電気泳動は、7%非変性ゲルを用い、反応試料を用いて実行した。
細胞培養、免疫沈降、およびイムノブロッティング実験
ピューロマイシン抵抗性遺伝子を含有するレトロウイルスベクター(pBABE)は、L6筋芽細胞においてwt−FGFR1またはR577E FGFR1変異体を発現する安定した細胞系の生成のために利用した。細胞は、10%FBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM中で増殖させた。実験のために、細胞は、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM中で一晩飢餓状態にし、続いて、100ng/ml FGFを用いて10分間刺激した。細胞溶解産物は、免疫沈降に供し、その後様々な抗体を用いるイムノブロッティングを行った。抗ホスホチロシン(4G10)抗体は、Upstate Biotechnologyから得、抗FGFR1抗体は、先に記載されている(Furduiら、2006年およびLewら、2009年)。
ピューロマイシン抵抗性遺伝子を含有するレトロウイルスベクター(pBABE)は、L6筋芽細胞においてwt−FGFR1またはR577E FGFR1変異体を発現する安定した細胞系の生成のために利用した。細胞は、10%FBSおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM中で増殖させた。実験のために、細胞は、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM中で一晩飢餓状態にし、続いて、100ng/ml FGFを用いて10分間刺激した。細胞溶解産物は、免疫沈降に供し、その後様々な抗体を用いるイムノブロッティングを行った。抗ホスホチロシン(4G10)抗体は、Upstate Biotechnologyから得、抗FGFR1抗体は、先に記載されている(Furduiら、2006年およびLewら、2009年)。
均等物
当業者らは、日常的な実験を用いて、本明細書において記載される、本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するであろうし、確認することもできるであろう。そのような均等物は、以下の請求項によって包含されるように意図される。
当業者らは、日常的な実験を用いて、本明細書において記載される、本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するであろうし、確認することもできるであろう。そのような均等物は、以下の請求項によって包含されるように意図される。
Claims (61)
- 受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する部分であって、該RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する、部分。
- 前記RTKの触媒ドメインのヌクレオチド結合部位に結合しない、請求項1に記載の部分。
- 前記RTKの一方の単量体のNローブ上の非対称性の接触境界領域に結合する、請求項1に記載の部分。
- 前記RTKの一方の単量体のCローブ上の非対称性の接触境界領域に結合する、請求項1に記載の部分。
- 内因性キナーゼ活性の喪失を引き起こさない、請求項1に記載の部分。
- RTK単量体間の立体的な制約を増加させる、請求項1に記載の部分。
- 前記RTKの二量体化を妨げない、請求項1に記載の部分。
- 前記RTKの細胞質ドメインの二量体化を妨げる、請求項1に記載の部分。
- 前記RTKは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)である、請求項1に記載の部分。
- 前記線維芽細胞増殖因子受容体は、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)である、請求項9に記載の部分。
- 前記線維芽細胞増殖因子受容体は、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)である、請求項9に記載の部分。
- 前記線維芽細胞増殖因子受容体は、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)である、請求項9に記載の部分。
- 前記線維芽細胞増殖因子受容体は、線維芽細胞増殖因子受容体4(FGFR4)である、請求項9に記載の部分。
- FGFR1のアミノ酸残基Arg577、FGFR2のアミノ酸残基Arg579、またはFGFR2のアミノ酸残基Arg580に結合する、請求項1に記載の部分。
- FGFR1のアミノ酸残基Asp519に結合する、請求項1に記載の部分。
- FGFR1のC488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する、請求項1に記載の部分。
- FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される少なくとも2つのアミノ酸残基に結合する、請求項1に記載の部分。
- FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する、請求項1に記載の部分。
- FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択される少なくとも2つのアミノ酸残基に結合する、請求項1に記載の部分。
- 前記RTKの単量体のβ1−β2ループ、前記RTKの単量体のβ3−αCループ、前記RTKの単量体のβ4−B5ループ、前記RTKの単量体のαD−αEループ、前記RTKの単量体のαFヘリックス、および前記RTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択されるRTKの領域に結合する、請求項1に記載の部分。
- 前記RTK上のコンフォメーションエピトープに結合する、請求項1に記載の部分。
- 前記コンフォメーションエピトープは、前記RTKの前記非対称性の接触境界領域における2つ以上の残基から構成される、請求項21に記載の部分。
- 前記コンフォメーションエピトープは、R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基を含む、請求項21に記載の部分。
- 前記コンフォメーションエピトープは、FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択されるアミノ酸残基を含む、請求項21に記載の部分。
- 前記RTK上の近接エピトープに結合する、請求項1に記載の部分。
- 前記近接エピトープは、前記RTKの前記非対称性の接触境界領域における2つ以上の残基から構成される、請求項25に記載の部分。
- 小分子である、請求項1に記載の部分。
- 前記小分子は、FGFR1のアミノ酸残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する、請求項27に記載の部分。
- 前記小分子は、前記RTKの単量体のβ1−β2ループ、前記RTKの単量体のβ3−αCループ、前記RTKの単量体のβ4−B5ループ、前記RTKの単量体のαD−αEループ、前記RTKの単量体のαFヘリックス、および前記RTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択される領域に結合する、請求項27に記載の部分。
- 前記小分子は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の非対称性の接触境界領域に基づいて設計される、請求項27に記載の部分。
- ペプチド性分子である、請求項1に記載の部分。
- 前記ペプチド性分子は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の非対称性の接触境界領域に基づいて設計される、請求項31に記載の部分。
- 前記ペプチド性分子は、FGFR1のアミノ酸残基R577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基の少なくとも1つに結合する、請求項32に記載の部分。
- 前記ペプチド性分子は、前記RTKの単量体のβ1−β2ループ、前記RTKの単量体のβ3−αCループ、前記RTKの単量体のβ4−B5ループ、前記RTKの単量体のαD−αEループ、前記RTKの単量体のαFヘリックス、および前記RTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択される領域に結合する、請求項32に記載の部分。
- 前記ペプチド性分子は、FGFR1のアミノ酸残基576〜594と少なくとも80%同一の構造を含む、請求項32に記載の部分。
- 前記ペプチド性分子は、FGFR2のアミノ酸残基579〜597と少なくとも80%同一の構造を含む、請求項32に記載の部分。
- 単離抗体またはその抗原結合性一部分である、請求項1に記載の部分。
- 前記単離抗体またはその抗原結合性一部分は、イントラボディである、請求項37に記載の部分。
- 前記抗体またはその抗原結合性一部分は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、およびキメラ抗体からなる群より選択される、請求項37に記載の部分。
- 前記抗体またはその抗原結合性一部分は、IgG1定常領域、IgG2定常領域、IgG3定常領域、IgG4定常領域、IgM定常領域、IgA定常領域、およびIgE定常領域からなる群より選択される重鎖定常領域を含む、請求項39に記載の部分。
- 前記抗体重鎖定常領域は、IgG1である、請求項40に記載の部分。
- 前記抗体またはその抗原結合性一部分は、単鎖Fv断片、SMIP、アフィボディ、アビマー、ナノボディ、および単一ドメイン抗体である、請求項37に記載の部分。
- 前記抗体またはその抗原結合性一部分は、1×10−7M以下、より好ましくは5×10−8M以下、より好ましくは1×10−8M以下、より好ましくは5×10−9M以下からなる群より選択されるKDで受容体チロシンキナーゼの非対称性の接触境界領域に結合する、請求項37に記載の部分。
- 請求項37から43のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性一部分を産生するハイブリドーマ。
- 線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の非対称性の接触境界領域上のコンフォメーションエピトープに結合する部分であって、該FGFRのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する、部分。
- FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基または該残基から1〜5Å以内に結合して、FGFR1のリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する、部分。
- FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する、部分。
- 受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する部分であって、酵素として働くRTK単量体のNローブと、基質として働くRTK単量体のCローブとの間の境界領域を破壊する、部分。
- 受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する部分であって、該RTKの逆の脱リン酸化を阻害する、部分。
- 請求項1から43および請求項45から49のいずれか一項に記載の部分ならびに薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物。
- 被験体におけるRTKに関連する疾患を処置または予防するための薬の調製における、請求項1から43および請求項45から49のいずれか一項に記載の部分の有効量の使用。
- 前記RTKに関連する疾患は、がんおよび重度の骨障害からなる群より選択される、請求項51に記載の使用。
- 前記重度の骨障害は、軟骨無形成症、クルゾン症候群、およびシーザー−ショッツェン症候群からなる群より選択される障害である、請求項52に記載の使用。
- 前記がんは、膠芽腫、多発性骨髄腫、前立腺がん、膵臓がん、膀胱がん、および乳がんからなる群より選択される、請求項52に記載の使用。
- 受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合して、該RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する部分を同定するための方法であって、
RTKを候補部分と接触させるステップ;
同時にまたは順次、該RTKを、該RTKに対するリガンドと接触させるステップ;
酵素として機能するRTK単量体のNローブと、基質として機能するRTK単量体のCローブとの間の配置、配向、および/または距離に該部分が影響するか否かを決定して、該RTKの非対称性の接触境界領域に結合して、該RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する部分を同定するステップ
を含む、方法。 - 前記部分は、前記RTKのリガンド誘導性トランス自己リン酸化を阻害する、請求項55に記載の方法。
- 前記部分は、内因性のRTKキナーゼ活性の喪失を引き起こさない、請求項55に記載の方法。
- 受容体チロシンキナーゼ(RTK)の非対称性の接触境界領域に結合する小分子であって、該RTKのトランス自己リン酸化を阻害する、小分子。
- FGFR1のR577、D519、C488、F489、S518、T521、E522、D554、G555、P556、Q574、P587、P579、W691、T695、P702、G703、およびP705からなる群より選択されるアミノ酸残基または該残基から1〜5Å以内に結合する、請求項58に記載の小分子。
- FGFR2のC491、F492、R577、P582、I590、P705、G706、およびP708からなる群より選択されるアミノ酸残基に結合する、請求項58に記載の小分子。
- 前記RTKの単量体のβ1−β2ループ、前記RTKの単量体のβ3−αCループ、前記RTKの単量体のβ4−B5ループ、前記RTKの単量体のαD−αEループ、前記RTKの単量体のαFヘリックス、および前記RTKの単量体のαF−αGループからなる群より選択される領域に結合する、請求項58に記載の小分子。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US33595010P | 2010-01-14 | 2010-01-14 | |
US61/335,950 | 2010-01-14 | ||
PCT/US2011/021109 WO2011088196A2 (en) | 2010-01-14 | 2011-01-13 | Inhibitors of receptor tyrosine kinases (rtk) and methods of use thereof |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013517282A true JP2013517282A (ja) | 2013-05-16 |
Family
ID=44304965
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012549070A Withdrawn JP2013517282A (ja) | 2010-01-14 | 2011-01-13 | 受容体チロシンキナーゼ(rtk)のインヒビターおよびその使用方法 |
Country Status (14)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20120328599A1 (ja) |
EP (1) | EP2523679A4 (ja) |
JP (1) | JP2013517282A (ja) |
KR (1) | KR20120130758A (ja) |
CN (1) | CN102762221A (ja) |
AU (1) | AU2011205297A1 (ja) |
BR (1) | BR112012016992A2 (ja) |
CA (1) | CA2786276A1 (ja) |
IL (1) | IL220206A0 (ja) |
IN (1) | IN2012DN05017A (ja) |
MX (1) | MX2012008222A (ja) |
RU (1) | RU2012134637A (ja) |
SG (1) | SG181850A1 (ja) |
WO (1) | WO2011088196A2 (ja) |
Families Citing this family (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008153926A2 (en) | 2007-06-05 | 2008-12-18 | Yale University | Inhibitors of receptor tyrosine kinases and methods of use thereof |
EP2668210B1 (en) | 2011-01-26 | 2020-06-17 | Celldex Therapeutics, Inc. | Anti-kit antibodies and uses thereof |
AU2013295848B2 (en) | 2012-07-25 | 2018-05-24 | Celldex Therapeutics, Inc. | Anti-KIT antibodies and uses thereof |
JP2016506914A (ja) | 2013-01-16 | 2016-03-07 | アンセルムInserm | 骨格成長遅延障害の予防または処置における使用のための、可溶性線維芽細胞増殖因子受容体3(fgr3)ポリペプチド |
WO2014201034A2 (en) * | 2013-06-10 | 2014-12-18 | Ansun Biopharma, Inc. | Treatment for polyomavirus infection |
SI3027651T1 (sl) | 2013-08-01 | 2019-05-31 | Five Prime Therapeutics, Inc. | Afukozilirana protitelesa proti fgfr2iiib |
AU2014337291B9 (en) | 2013-10-18 | 2020-05-07 | Eisai R&D Management Co., Ltd. | Pyrimidine FGFR4 inhibitors |
CN106659782B (zh) | 2014-05-23 | 2021-11-09 | 塞尔德克斯医疗公司 | 一种用于嗜酸性粒细胞或肥大细胞相关病症治疗的抗体 |
MX2017013248A (es) | 2015-04-14 | 2018-07-06 | Eisai R&D Man Co Ltd | Compuesto del inhibidor fgfr4 cristalino y usos del mismo. |
RU2021107536A (ru) | 2015-11-23 | 2021-07-02 | Файв Прайм Терапьютикс, Инк. | Ингибиторы fgfr2 отдельно или в комбинации с иммуностимулирующими агентами в лечении рака |
EP3454898B1 (en) | 2016-05-10 | 2021-11-10 | Eisai R&D Management Co., Ltd. | Drug combinations for reducing cell viability and/or cell proliferation |
CN106085984B (zh) * | 2016-06-02 | 2019-07-19 | 天津科技大学 | 一种新型磷脂酶d及其制备磷脂酸、磷脂酰丝氨酸的方法 |
DK3481859T3 (da) | 2016-07-07 | 2022-04-25 | Pfizer | Opløselig fibroblastvækstfaktorreceptor 3 (SFGFR3)-polypeptider og anvendelser deraf |
EP3624837A1 (en) | 2017-05-16 | 2020-03-25 | Five Prime Therapeutics, Inc. | Anti-fgfr2 antibodies in combination with chemotherapy agents in cancer treatment |
AU2021327387A1 (en) | 2020-08-21 | 2023-05-04 | Genzyme Corporation | Fgfr3 antibodies and methods of use |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8426396B2 (en) * | 2008-01-08 | 2013-04-23 | Shriners Hospitals For Children | Treatment for achondroplasia |
-
2011
- 2011-01-13 SG SG2012045803A patent/SG181850A1/en unknown
- 2011-01-13 BR BR112012016992A patent/BR112012016992A2/pt not_active IP Right Cessation
- 2011-01-13 CN CN2011800061813A patent/CN102762221A/zh active Pending
- 2011-01-13 WO PCT/US2011/021109 patent/WO2011088196A2/en active Application Filing
- 2011-01-13 CA CA2786276A patent/CA2786276A1/en not_active Abandoned
- 2011-01-13 MX MX2012008222A patent/MX2012008222A/es not_active Application Discontinuation
- 2011-01-13 EP EP11733365.8A patent/EP2523679A4/en not_active Withdrawn
- 2011-01-13 JP JP2012549070A patent/JP2013517282A/ja not_active Withdrawn
- 2011-01-13 KR KR1020127021221A patent/KR20120130758A/ko not_active Application Discontinuation
- 2011-01-13 US US13/519,837 patent/US20120328599A1/en not_active Abandoned
- 2011-01-13 AU AU2011205297A patent/AU2011205297A1/en not_active Abandoned
- 2011-01-13 IN IN5017DEN2012 patent/IN2012DN05017A/en unknown
- 2011-01-13 RU RU2012134637/10A patent/RU2012134637A/ru not_active Application Discontinuation
-
2012
- 2012-06-06 IL IL220206A patent/IL220206A0/en unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20120328599A1 (en) | 2012-12-27 |
WO2011088196A3 (en) | 2011-11-17 |
CA2786276A1 (en) | 2011-07-21 |
IN2012DN05017A (ja) | 2015-10-02 |
EP2523679A2 (en) | 2012-11-21 |
BR112012016992A2 (pt) | 2019-09-24 |
KR20120130758A (ko) | 2012-12-03 |
MX2012008222A (es) | 2012-08-17 |
IL220206A0 (en) | 2012-07-31 |
SG181850A1 (en) | 2012-08-30 |
WO2011088196A2 (en) | 2011-07-21 |
RU2012134637A (ru) | 2014-02-20 |
EP2523679A4 (en) | 2013-07-24 |
CN102762221A (zh) | 2012-10-31 |
AU2011205297A1 (en) | 2012-06-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6159760B2 (ja) | 受容体型チロシンキナーゼの阻害物質およびその使用方法 | |
JP2013517282A (ja) | 受容体チロシンキナーゼ(rtk)のインヒビターおよびその使用方法 | |
JP6588955B2 (ja) | 上皮細胞増殖因子受容体3(her3)に対する抗体 | |
JP2013515776A (ja) | 血管内皮増殖因子(vegf)受容体のインヒビターおよびその使用方法 | |
JP2020180135A (ja) | 抗pd−l1抗体およびその使用 | |
TW201731872A (zh) | 標靶CD32b之抗體及其使用方法 | |
KR20220004751A (ko) | CLEC12a 결합 폴리펩타이드 및 이의 용도 | |
TW202216778A (zh) | Tigit及cd112r阻斷 | |
TW202128752A (zh) | 抗il﹘27抗體及其用途 | |
AU2009324939B2 (en) | Isoform specific anti-HER4 antibodies | |
AU2014203645A1 (en) | Inhibitors of receptor tyrosine kinases and methods of use thereof | |
WO2011140295A2 (en) | Modulators of notch receptor signaling and methods of use thereof | |
TW202302645A (zh) | 抗vsig4抗體或抗原結合片段及其用途 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140401 |