JP2013514798A - 癌に対する素因についてのマーカーとしてのmitf - Google Patents

癌に対する素因についてのマーカーとしてのmitf Download PDF

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Abstract

本発明は、癌の発生に対する素因についてのマーカーとして有用であるMITFの突然変異体ならびに診断及び予防的処置におけるその使用に関し、SUMO化はこの突然変異体において低下している又は存在しない。

Description

本願は、医学の分野に、特に、癌の発生に対する素因を決定するものに関する。
癌の約5%において、オンコジーンを活性化する又は腫瘍抑制遺伝子(主要遺伝子又は強い効果遺伝子として公知である)を不活性化する構成的突然変異は、それらを保有する個人に癌を発生する高いリスク(>50%の生涯リスク)を与え、癌の家族性形態、若年齢発症を伴う癌、又は複数の原発癌に関与する。疾患の発現は、他の遺伝因子(修飾因子又は弱い効果遺伝子として公知である)又は環境因子の影響下で変動しうる。リスクのある個人を特定することは、それらに、予防及び早期検出を目的としたサーベイランスから利益を与える。一部の場合において、構成的な生殖系列突然変異は、BRCA1及びBRCA2生殖系列突然変異を伴う患者における抗PARP処置の場合のように、抗癌治療を導くことができる(Hennessy B.T.J., JCO, 2010, 28, 3570-3576)。
黒色腫は、メラノサイトの悪性腫瘍である。それは皮膚癌の最も稀な形態の1つであるが、しかし、皮膚癌での死亡の大半を占める。長年の集中的な研究にもかかわらず、唯一の効果的な処置は、それが1mmを超える厚さに達する前での原発腫瘍の外科的切除である。WHO報告によると、1年当たり約48,000例の黒色腫での死亡がある。一部の試験では、皮膚黒色腫を伴う患者は、乳癌、リンパ腫、又は腎臓癌を発生する増加リスクを有しうると推測されている。
黒色腫において、2つの強い効果遺伝子が今までに同定されている:p16INK4A及びp14ARFタンパク質をコードするCDKN2A、ならびにCDK4。主要な環境因子はUV曝露である。公知の弱い効果遺伝子は、主に、皮膚色素沈着に関与するタンパク質をコードするものであり、MC1Rが今までに最も広く試験されている。3つの黒色腫症例を伴う家族の50%において、感受性遺伝子は同定されていない。
この状況において、本発明者らは、黒色腫に対する素因となる候補遺伝子として、MITF遺伝子、メラノサイトの主要な調節遺伝子(1)及びオンコジーン(2,3)を試験してきた。MITFは、メラノサイトの生存及び成長において主要な役割を果たすbHLH−LZファミリーからの転写因子である。MITFは、メラニン形成の調節に関与する。MITFの役割は、それが細胞増殖を誘導及び抑止する点で普通ではない。実際に、この因子は、一方では、終末メラノサイト分化及び/又は色素沈着のために、他方では、細胞増殖を誘導することによる悪性挙動のために必要である。MITF遺伝子の構成的「機能喪失」突然変異は、常染色体優性疾患、例えばワーデンバーグ症候群及びティーツェ症候群など(聴覚喪失ならびに皮膚、髪、及び/又は虹彩の色素沈着異常により特徴付けられる)に関連付けられる。
MITF遺伝子は、9つのエクソンを含む。6つのMITFアイソフォームが同定されている。ヒトにおいて、それらは、一般的には、アイソフォーム1〜6として言及され、アイソフォーム4は、より一般には、アイソフォームMとして公知である。マウスにおいて、文字の命名法を代わりに使用する。これらのアイソフォームは、特異的プロモーターにより転写される。また、それらは、それらのN末端領域により区別することができ、全てがエクソン2〜9を含むのに対し、エクソン1は各々のアイソフォームに特異的である(1)。アイソフォーム4は、より一般には、MITF−Mとして公知であり、6個のアミノ酸の挿入により他のアイソフォームとは異なる。このアイソフォームは、メラノサイト又はin vivo形質転換細胞(母斑、黒色腫など)又はin vitro細胞株だけで検出されている。他のアイソフォームは、多くの組織及び細胞株において発現し、時折、組織特異性も伴う。
WO 00/47765は、MITF遺伝子の選択的スプライシングが、mitf+転写物及びmitf+における6つの追加のアミノ酸の挿入により異なるタンパク質をコードするmitf−転写物を産生することを教示する。mitf+及びmitf−はそれぞれ健常及び腫瘍細胞において主に発現する。この特許出願は、従って、黒色腫のリスク及び処置を評価、予測、又はモニターするための半定量的方法を開示する。WO 05/116249は、また、これらのMITFスプライシングバリアントに基づく定量的方法を記載する。
本発明において、本発明者らは、MITF遺伝子において再発性の生殖系列突然変異を同定し、本明細書においてE318K(アイソフォーム4の命名法に基づく)と名付けられ、それは癌に対する素因についてのマーカーとして有用である。
MITF遺伝子(小眼球症関連転写因子)は当業者に周知であり、データベース(例えばUNIGENE(Hs.166017)、HomoloGene(4892)、及びGeneID(4286)など)におけるその参照により特徴付けることができる。それは、また、MI、WS2A、又はbHLHe32と呼ばれる。
前記E318K突然変異は、MITF遺伝子のエクソン9に、特にHGVS命名法に従ったアイソフォームMの位置952にマッピングされる。それは、コード配列におけるヌクレオチドAによるヌクレオチドGの置換(c.952G>A)に対応し、リジンによるグルタミン酸の置換(p.Glu318Lys)をもたらす。エクソン9は、全てのMITFスプライシングバリアントに共通である。MITF−Mアイソフォームにおいて、この残基は転写物の位置952にあり、位置318においてアミノ酸の突然変異をもたらす。用語「E318K突然変異」は、MITFアイソフォームにおけるその位置にかかわらず、突然変異を指定する。特に、突然変異ヌクレオチドの位置及び異なるスプライシングバリアント中のアミノ酸を以下に示す。
MITF E318K突然変異体は、HIF1A遺伝子の転写の活性化で野生型MITFよりも強力であり、腎臓発癌おいて主要な役割を果たすことが公知である(腎臓癌に対する素因となる遺伝子(例えばVHL、FH、SDHBなど)の「機能喪失」突然変異を伴い二次的に活性化される)。さらに、この突然変異はMITFのSUMO化を低下させて、それにより、恐らく、タンパク質の安定性又は標的遺伝子によりコードされるタンパク質の量に影響を与えることが示されている。実際に、アミノ酸E318は、MITFタンパク質中の2つのSUMO化部位の1つの部分である。MITF遺伝子は転写因子をコードするため、MITF E318K突然変異体タンパク質は、その標的遺伝子の一部を持続的に活性化しうる。その突然変異は、MITFタンパク質の局在化又はその核−細胞質比率を変化させることも可能である。
本発明者らは、MITF E318K突然変異体が、皮膚悪性黒色腫及び随伴性腎臓癌を伴う患者においてより高頻度であることを発見している。突然変異は、また、皮膚悪性黒色腫及び腎臓癌を発生した個人において、あるいは、親類における黒色腫及び腎臓癌の既往、又は、皮膚黒色腫及び別の癌、特に赤血球増加症もしくはリンパ腫を伴う家族においてより高頻度であると考えられる。この突然変異体は、健常なコントロール被験者において非常に低い頻度(2/2846被験者、即ち、第1コホートにおける0.0007のヘテロ接合体の頻度、及び11/1824被験者、即ち、第2コホートにおける0.003のヘテロ接合体の頻度)で存在する。本発明者らは、MITFの非SUMO化形態が、あまり分化していないメラノサイト及びより高度な増殖細胞に導くことを示している。
さらに、この突然変異体は、また、神経堤において生じる1つ又は複数の腫瘍(例えば神経内分泌癌、肉腫、神経芽細胞腫、又は神経系腫瘍(NST)など)、あるいは、本発明者らの予備的結果に従った他の型の癌(例えばリンパ腫、肺癌、腎臓癌、乳癌、膵臓癌、小児腫瘍、造血器悪性腫瘍、胃腸癌、赤血球増加症、又はこれらの型の癌の組み合わせなど)を発生している被験者においてより高頻度である可能性が高い。SUMO化部位は、古典的には、W−K−X−Eコンセンサスモチーフを含み、それにおいてWは疎水性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸である。MITFは、2つのSUMO化部位を持つ:第1部位は配列IKRE(アイソフォーム1、2、3、4、5、及び6中のそれぞれ位置289、273、288、182、182、及び126におけるKを伴う)を有し、第2部位は配列IKQE(アイソフォーム1、2、3、4、5、及び6中のそれぞれ位置417、401、416、316、310、及び254におけるKを伴う)を有する。K182及びK316突然変異は、標的遺伝子メラスタチン/TRPMの転写を増加させるが、しかし、タンパク質のDNA結合、局在化、又は安定性には影響しない(Miller AJ et al., JBC, 2005, 280: 146-155)。
本発明のMITF E318K突然変異体に関する教示は、SUMO化部位の1つで又は両方の部位でMITFタンパク質のSUMO化を低下又は消失させる任意のMITF突然変異に一般化されうる。
従って、本発明は、被験者が、以下:皮膚悪性黒色腫、腎臓癌、甲状腺癌、肉腫、神経芽細胞腫、中枢神経系腫瘍(CNST)、リンパ腫、肺癌、赤血球増加症、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される癌を発生する素因又は感受性を有するか否かを決定するための方法に関し、被験者からの生物学的サンプルにおいて、MITFのSUMO化を低下又は消失させるMITF突然変異(小眼球症関連転写因子)の存在を決定することを含み、前記突然変異の存在は、被験者がそのような癌を発生する素因又は感受性を有することを示す。特定の実施態様において、著しくは、MITF突然変異がE318K(すなわち、アイソフォーム4におけるE318K又はLys残基による他のMITFアイソフォームにおける対応するGlu残基の置換)である場合、癌は、皮膚悪性黒色腫、又は皮膚悪性黒色腫及び別の癌、特に、神経内分泌癌、肉腫、神経芽細胞腫又は神経系腫瘍(NST)、リンパ腫、肺癌、腎臓癌、乳癌、膵臓癌、小児腫瘍、造血器悪性腫瘍、胃腸癌、赤血球増加症、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される癌との組み合わせである。癌は、また、腎臓癌、甲状腺癌、肉腫、神経芽細胞腫、中枢神経系腫瘍(CNST)、リンパ腫、肺癌、赤血球増加症、及びそれらの組み合わせの間より選択してもよい。特定の実施態様において、組み合わせは、皮膚悪性黒色腫及び腎臓癌の組み合わせである。
好ましくは、突然変異は、MITFのSUMO化部位の1つ又は両方の部位のリジン残基及び/又はグルタミン酸残基の置換である。例えば、突然変異は、他の19アミノ酸のいずれかによる、以下の表より選択される残基の置換である。
より具体的には、リジン残基が他の19アミノ酸のいずれかにより置換されてもよく;及び/又は、グルタミン酸残基が他の19アミノ酸のいずれかにより置換されてもよい。
好ましくは、この方法は、他の19アミノ酸のいずれかによる、「K316」残基(すなわち、アイソフォーム4におけるK316又は他のMITFアイソフォームにおける対応するLys残基)及び/又は「E318」残基(すなわち、アイソフォーム4におけるE318又は他のMITFアイソフォームにおける対応するGlu残基)の置換を検出することを含む。
好ましい実施態様において、この方法は、他の19アミノ酸のいずれかによる、「E318」残基(すなわち、アイソフォーム4におけるE318又は他のMITFアイソフォームにおける対応するGlu残基)の置換を検出することを含む。さらにより好ましい実施態様において、この方法は、「E318K」突然変異(すなわち、アイソフォーム4におけるE318K又は他のMITFアイソフォームにおけるLys残基による対応するGlu残基の置換)を検出することを含む。
突然変異は、タンパク質又は核酸レベルで検出してもよい。MITF遺伝子又はその転写物(mRNA)において以前に定義されたような突然変異を同定するための方法は、当業者に周知であり、特に、限定しないが、配列決定、選択的ハイブリダイゼーション、及び/又は選択的増幅を含む。核酸レベルでは、検出は、ゲノムDNA、mRNA、又はcDNAのサンプルで行ってもよい。
特に、MITFの配列決定は、完全又は部分的でありうる。実際に、この方法は、単に、突然変異していると疑われる残基を含む領域の配列決定及びさらにこの特定の残基だけの配列決定を含みうる。
選択的ハイブリダイゼーションは、ゲノムDNA、RNA、又はcDNAが、突然変異体MITFに特異的なプローブ、及び、場合により、前記突然変異を持たないMITF又は野生型MITFに特異的なプローブの存在において配列されることを意味すると理解される。プローブは、懸濁液中にありうる又は基質上に固定化されうる。典型的には、プローブは、より簡単な検出のために標識される。特に、プローブは、8〜1000ヌクレオチド、好ましくは10〜800又は15〜50ヌクレオチドの一本鎖核酸分子である。
核酸は、突然変異の検出前に増幅してもよい。例えば、検出される突然変異の位置に隣接する(すなわち、上流又は下流)領域に特異的なプライマー対を構築する。典型的には、プライマーは、5〜60ヌクレオチド、好ましくは8〜25ヌクレオチドの一本鎖核酸分子である。完全な相補性が好ましい。なぜなら、それによって高い特異性が確実になるからである。しかし、一部のミスマッチが許容されうる。一度、MITF遺伝子又は突然変異を含むエクソン、あるいはその転写物のその他の1つが増幅されれば、アンプリコンは、配列決定又は特異的ハイブリダイゼーションにより、あるいは当業者に公知の任意の他の適した方法により突然変異の存在を検出するために使用される。突然変異は、また、融解曲線分析により検出されうる(例えば、WO2007/035806を参照のこと)。
突然変異の存在は、また、突然変異体の選択的増幅により検出されうる。例えば、プライマー対を調製し、プライマーの1つは、検出される突然変異を保有する配列と特異的にハイブリダイズする。前記プライマーは、配列が突然変異ヌクレオチドを保有する場合にだけ、増幅を開始する、又は、その標的にハイブリダイズすることができる。その結果、アンプリコンの存在は、MITFがテストされた突然変異を持つことを示しうるのに対し、前記アンプリコンの非存在は、MITFがこの突然変異を持たないことを示しうる。
これらの方法は、SUMO化部位のいくつかの突然変異と同時に又は並列して検出するために当業者により容易に適応されうることを理解しなければならない。このように、この方法は、MITFアイソフォーム4におけるK182、E184、K316、及びE318からなる群より選択される残基又は他のMITFアイソフォームにおける対応する残基の置換をコードする1つ又は複数の突然変異の検出を許しうる。
突然変異をタンパク質レベルで検出する場合、この方法では、検出される突然変異を持つMITF及び前記突然変異を持たないMITFの間で区別することができる抗体が使用される。特に、生物学的サンプルを、検出される突然変異を持つMITFに対して向けられる抗体と接触させ、免疫複合体の存在を検出する。様々な方法が前記免疫複合体の検出を可能にする(例えばELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び免疫酵素アッセイ(IEMA)など)。「抗体」は、また、この突然変異を持たないMITFと比較して、検出されるMITF突然変異体に特異的に結合する能力を保存している任意の抗体フラグメント及び誘導体を指す。ここで再び、これらの方法は、1つ又は複数のSUMO化部位のいくつかの突然変異と同時の又は並列した検出のために当業者により簡単に適応されうる。このように、この方法は、MITFアイソフォーム4におけるK182、E184、K316、及びE318からなる群より選択される残基又は他のMITFアイソフォームにおける対応する残基の1つ又は複数の置換の検出を可能にしうるが、例えば、これらの置換の1つ又は複数を持つ各MITF突然変異体について特異的な抗体の組み合わせの助けを用いる。
あるいは、MITFのSUMO化を低下又は消失させる突然変異は、間接的な様式においてタンパク質レベルで検出されうる。例えば、突然変異の存在は、MITFのSUMO化、野生型MITFタンパク質と比べた、SUMO化の低下(突然変異の存在を示す)を測定することにより検出されうる。実施例では、前記SUMO化をどのように測定するのかを記載する。同様に、SUMO化を低下させる突然変異は、突然変異体MITFタンパク質が安定化され、従って、免疫組織化学又は免疫蛍光により組織切片において検出可能である。突然変異の又はSUMO化の存在/非存在の検出は、また、質量分析(WO/2005/003390)により行ってもよい。
本発明の特に興味深い実施態様において、MITFのSUMO化は、免疫組織化学又は免疫蛍光により検出したMITFの細胞局在を決定することにより間接的に測定される。実際には、驚くべきかつ高度に独創的な様式において、MITFタンパク質のSUMO化の低下は、腫瘍細胞における免疫組織化学により目に見えるMITFタンパク質の細胞局在の変化を起こす。野生型タンパク質は核だけに又は主に核に位置するのに対し、タンパク質のSUMO化を低下させる突然変異(特にE318K突然変異)を持つタンパク質は、核及び細胞質の両方に位置する。このように、本発明は、MITFのSUMO化を低下させる突然変異が、免疫組織化学によりMITFの細胞局在を決定することにより検出される方法に関し、核局在は野生型MITFタンパク質を示し、細胞質局在はMITFのSUMO化を低下させる突然変異を持つMITFタンパク質(特にMITF E318K突然変異体)を示す。突然変異は、また、組織における免疫組織化学又は免疫蛍光によりMITFタンパク質の検出を可能にしうるが、ここで、野生型タンパク質はこれらの同じ方法により検出不可能である。
突然変異は、任意のMITFアイソフォームにおいて検出されうる。特定の実施態様において、突然変異はアイソフォーム4において検出される。
本発明の精神において、用語「被験者」は哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
本発明の精神において、用語「生物学的サンプル」は、健常組織又は腫瘍組織のサンプル、例えば、生検及び特に、皮膚、腎臓、甲状腺、肺の生検、あるいは生物学的液体、例えば、血液、脳脊髄液、尿、又はリンパ液のサンプルを指す。好ましくは、生物学的サンプルは血液サンプルである。本発明の方法は、生物学的サンプルを回収する予備工程を含みうる。
本発明の方法は、また、MITFのSUMO化を低下又は消失させる突然変異の検出に加えて、癌に対する素因についての他のマーカーの検出を包含することを理解しなければならない。
本発明は、また、被験者が、以下のリストより選択される癌を発生する素因又は感受性を有するか否かを決定するための診断キットを調製するためにMITFのSUMO化を低下又は消失させる突然変異を検出するための手段の使用に関する:皮膚悪性黒色腫、神経内分泌癌、肉腫、神経芽細胞腫又は神経系腫瘍(NST)、リンパ腫、肺癌、腎臓癌、乳癌、膵臓癌、小児腫瘍、造血器悪性腫瘍、胃腸癌、赤血球増加症、及びそれらの組み合わせ(前記突然変異の存在は、被験者がそのような癌を発生する素因又は感受性を有することを示す)。特定の実施態様において、癌は、皮膚悪性黒色腫、腎臓癌、甲状腺癌、肉腫、神経芽細胞腫、中枢神経系腫瘍(CNST)、リンパ腫、肺癌、赤血球増加症、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましい様式において、癌は、皮膚悪性黒色腫、腎臓癌、及びそれらの組み合わせの間より選択される。検出の方法は、検出される突然変異を持つMITFに特異的なプローブ、検出される突然変異を含むヌクレオチドセグメントの増幅を可能にするプライマー対、プライマー対(その1つが、検出される突然変異を保有する配列に特異的にハイブリダイズする)(それにより検出されるMITF突然変異体の選択的増幅を可能にする)、検出されるMITF突然変異体に対して向けられた抗体、MITFのSUMO化を検出及び測定するための手段、検出される突然変異を保有しないMITFを検出するためのネガティブコントロール、又はそれらの組み合わせを含みうる又はそれらにある。特定の実施態様において、著しくは、MITF突然変異がE318K(すなわち、アイソフォーム4におけるE318K又はLys残基による他のMITFアイソフォームにおける対応するGlu残基の置換)である場合、癌は、皮膚悪性黒色腫、又は皮膚悪性黒色腫及び別の癌、特に、神経内分泌癌、肉腫、神経芽細胞腫又は神経系腫瘍(NST)、リンパ腫、肺癌、腎臓癌、乳癌、膵臓癌、小児腫瘍、造血器悪性腫瘍、胃腸癌、赤血球増加症、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される癌との組み合わせである。特定の実施態様において、癌は、皮膚悪性黒色腫、腎臓癌、甲状腺癌、肉腫、神経芽細胞腫、中枢神経系腫瘍(CNST)、リンパ腫、肺癌、赤血球増加症、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましい様式において、癌は、皮膚悪性黒色腫、腎臓癌、及びそれらの組み合わせの間より選択される。
癌に対する素因又は感受性を検出することの関心は、被験者が臨床モニタリング又はサーベイランスから利益を得ることができ、早期段階での癌の検出を可能にし、従って、治癒の可能性を増加させることである。さらに、突然変異の検出は、患者の治療アルゴリズムを導く及び/又は処置の効力を増強することを可能にしうる。さらに、そのようにして同定された被験者は、また、予防的処置から利益を得ることができる。前記処置では、癌の発生を予防又は遅延させることが意図される。
このように、本発明は、また、予防的処置又は医学的サーベイランスから利益を得うる患者を選択するための方法に関し、本発明の方法により癌に対する患者の感受性を決定すること、及び、MITFのSUMO化を低下又は消失させる突然変異を提示する被験者を選択することを含む。
問題の予防的処置は、ポリフェノール化合物を投与することを含みうる。実際に、特に、発酵した米殻からのポリフェノール化合物が、MITFタンパク質のレベルを低下させることが示されている(5)。このように、前記処置は、MITFタンパク質のSUMO化の低下及びその標的遺伝子に対するその機能的効果を相殺しうる(MITFは転写因子である)。さらに、紅茶からのポリフェノールは、細胞周期停止により及びプロアポトーシス機構により生じうる化学予防作用を有する(6)。従って、本発明は、MITFのSUMO化を低下又は消失させるMITF突然変異を保有する被験者における癌の予防的処置における使用のためのポリフェノール化合物、及び、MITFのSUMO化を低下又は消失させるMITF突然変異を保有する被験者における癌の予防的処置(化学予防)を意図する薬物を調製するためのポリフェノール化合物の使用に関する。本発明は、さらに、MITFのSUMO化を低下又は消失させるMITF突然変異を保有する被験者にポリフェノール化合物の効果的な治療的用量を投与することを含む処置の方法に関し、それにより癌の発生を予防又は遅延させる。好ましくは、ポリフェノール化合物は、発酵させた米殻からのポリフェノール化合物又は紅茶からのポリフェノールである。特許出願WO05/099721には、また、特にその抗酸化効果を通じた癌の予防のために有用な多くの他のポリフェノール化合物が記載されている。
本発明は、以下の実施例においてより明らかになり、それらは例証の目的のために与えられるが、しかし、限定しない。
(図1a)MITF E318Kバリアントが同定された複数の黒色腫症例を伴う最初の家族の家系;(図1b)黒色腫及び腎臓癌を伴う人における生殖系列突然変異(血液)の電気泳動図(図1b)。 (図1a)MITF E318Kバリアントが同定された複数の黒色腫症例を伴う最初の家族の家系;(図1b)黒色腫及び腎臓癌を伴う人における生殖系列突然変異(血液)の電気泳動図(図1b)。 野生型MITFタンパク質と比較した、E318K突然変異を持つMITFタンパク質の存在におけるHIF1A(しかし、METプロモーターではない)の転写活性化。 318K突然変異を持つMITFタンパク質のSUMO化の低下。 E318K突然変異はMITFタンパク質のSUMO化を低下させる。図4a)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO1又はpSG5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞を沸騰バッファー中に溶解し、各レーンの十分なローディングのためのコントロールに対してMITF及びERK2についてウェスタンブロットによりテストした。図4b)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO2又はpSG5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞をMITF及びERK2についてのウェスタンブロットによりテストした。図4c)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO1又はpSg5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞ライセートをNi−NTAカラムで精製し、MITFについてのウェスタンブロットにより分析した(上パネル)。下パネルは、コントロールMITF発現及び各レーンの十分なローディングに対する、精製前の細胞ライセートのウェスタンブロットを示す。 E318K突然変異はMITFタンパク質のSUMO化を低下させる。図4a)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO1又はpSG5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞を沸騰バッファー中に溶解し、各レーンの十分なローディングのためのコントロールに対してMITF及びERK2についてウェスタンブロットによりテストした。図4b)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO2又はpSG5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞をMITF及びERK2についてのウェスタンブロットによりテストした。図4c)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO1又はpSg5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞ライセートをNi−NTAカラムで精製し、MITFについてのウェスタンブロットにより分析した(上パネル)。下パネルは、コントロールMITF発現及び各レーンの十分なローディングに対する、精製前の細胞ライセートのウェスタンブロットを示す。 E318K突然変異はMITFタンパク質のSUMO化を低下させる。図4a)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO1又はpSG5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞を沸騰バッファー中に溶解し、各レーンの十分なローディングのためのコントロールに対してMITF及びERK2についてウェスタンブロットによりテストした。図4b)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO2又はpSG5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞をMITF及びERK2についてのウェスタンブロットによりテストした。図4c)HEK293細胞を、mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K)をコードするプラスミド及びpSG5His−SUMO1又はpSg5空ベクターを用いてコトランスフェクトした。細胞ライセートをNi−NTAカラムで精製し、MITFについてのウェスタンブロットにより分析した(上パネル)。下パネルは、コントロールMITF発現及び各レーンの十分なローディングに対する、精製前の細胞ライセートのウェスタンブロットを示す。 E318K突然変異はMITFの細胞局在に影響を与え、その転写活性を変えうる。図5a)mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K E318K)をコードするプラスミドを用いてトランスフェクトし、抗myc抗体を用いて染色し、次にAlexafluor 594標識抗マウス抗体を用いて二次染色したHEK293細胞の免疫蛍光分析。細胞核を、DAPIを用いて対比染色した。バーは10μmを表す。図5b)抗MITF抗体を用いた黒色腫及び腎腫瘍組織の免疫組織化学染色(×200)。野生型MITFを持つ黒色腫は核染色を示し、MITF E318K突然変異を持つ黒色腫は核及び細胞質染色を示す。野生型MITFを持つ腎臓癌組織は染色されないのに対し、MITF E318K突然変異を持つ腎臓癌組織は核及び細胞質染色を示す。図5c)HEL293細胞を、合成3×M−ボックスルシフェラーゼレポータープラスミドを用いて、及び、突然変異体もしくは野生型MITF pCDNA3コンストラクト又は空pCDNA3ベクターを用いて一過性にトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性をβガラクトシダーゼ活性に対して標準化し、その結果を無刺激細胞についての基礎ルシフェラーゼ活性を上回る倍刺激として表現した。 E318K突然変異はMITFの細胞局在に影響を与え、その転写活性を変えうる。図5a)mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K E318K)をコードするプラスミドを用いてトランスフェクトし、抗myc抗体を用いて染色し、次にAlexafluor 594標識抗マウス抗体を用いて二次染色したHEK293細胞の免疫蛍光分析。細胞核を、DAPIを用いて対比染色した。バーは10μmを表す。図5b)抗MITF抗体を用いた黒色腫及び腎腫瘍組織の免疫組織化学染色(×200)。野生型MITFを持つ黒色腫は核染色を示し、MITF E318K突然変異を持つ黒色腫は核及び細胞質染色を示す。野生型MITFを持つ腎臓癌組織は染色されないのに対し、MITF E318K突然変異を持つ腎臓癌組織は核及び細胞質染色を示す。図5c)HEL293細胞を、合成3×M−ボックスルシフェラーゼレポータープラスミドを用いて、及び、突然変異体もしくは野生型MITF pCDNA3コンストラクト又は空pCDNA3ベクターを用いて一過性にトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性をβガラクトシダーゼ活性に対して標準化し、その結果を無刺激細胞についての基礎ルシフェラーゼ活性を上回る倍刺激として表現した。 E318K突然変異はMITFの細胞局在に影響を与え、その転写活性を変えうる。図5a)mycタグ付き野生型又は突然変異体MITF(K182R;E318K;K182R/E318K E318K)をコードするプラスミドを用いてトランスフェクトし、抗myc抗体を用いて染色し、次にAlexafluor 594標識抗マウス抗体を用いて二次染色したHEK293細胞の免疫蛍光分析。細胞核を、DAPIを用いて対比染色した。バーは10μmを表す。図5b)抗MITF抗体を用いた黒色腫及び腎腫瘍組織の免疫組織化学染色(×200)。野生型MITFを持つ黒色腫は核染色を示し、MITF E318K突然変異を持つ黒色腫は核及び細胞質染色を示す。野生型MITFを持つ腎臓癌組織は染色されないのに対し、MITF E318K突然変異を持つ腎臓癌組織は核及び細胞質染色を示す。図5c)HEL293細胞を、合成3×M−ボックスルシフェラーゼレポータープラスミドを用いて、及び、突然変異体もしくは野生型MITF pCDNA3コンストラクト又は空pCDNA3ベクターを用いて一過性にトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性をβガラクトシダーゼ活性に対して標準化し、その結果を無刺激細胞についての基礎ルシフェラーゼ活性を上回る倍刺激として表現した。 突然変異体メラノサイトはより明るい色素沈着を示す。細胞ペレット及び2人の健常ドナーのメラノサイトにおけるメラニン測定は、E318K突然変異を持つ患者の皮膚生検から単離されたメラノサイトと比較して(***)有意差を示す(p<0.001)。2人のドナー及び突然変異体保有者はコーカソイドであった。 E318K突然変異が成長の利点を与える。melan−a不死化マウスからのメラノサイト(左)、ヒト転移性黒色腫A375細胞株(中央)、及びヒト腎臓癌RCC4細胞(右)を、空ベクター、又は野生型MITF(Mi−WT)もしくは突然変異体MITF(Mi−E318K)をコードするベクターを用いてトランスフェクトした。2週目の写真(上)及びクローンのクリスタルバイオレット染色/脱染後の吸光度を示す。
実施例
実施例1
本発明者らは、MITF遺伝子(オンコジーン、従って、候補遺伝子と考えられる)を試験した。本発明者らは、最初に、全てのアイソフォームを配列決定することにより、黒色腫家族においてMITF遺伝子(3p14)中にカスパーゼ切断部位(抗アポトーシス効果)で突然変異があるか否かを試験した(4)。それらの予備結果によって、複数の黒色腫症例(2つの腎臓癌、3つの中枢神経系腫瘍、1つの肺癌及び1つの胃癌、母方の側からE318K突然変異が生じた)を伴い、1p22ハプロタイプの父方伝達を伴う、スペインバスクの家族(TRY)におけるMITF−M c.952G>A, p.Glu318Lys(E318K)の生殖系列バリアントの存在が明らかになった。このバリアントは、180人のフランス人/コーカソイドの及び96人のスペインバスクのコントロールにおいて存在しなかった(図1a及びb)。
B16マウス黒色腫細胞において、本発明者らは、MITFバリアントc.952G>A,p.Glu318Lys(E318K)が、HIF1a遺伝子(しかし、MET遺伝子ではない)の転写を誘導する際に、野生型形態よりも活性であることを示した(図2)。本発明者らは、従って、HIFは、低酸素条件において、VHLの非存在における腎細胞の形質転換因子であると仮定した;VHL(腫瘍抑制遺伝子の機能喪失突然変異)及びMET(オンコジーンの活性化突然変異)は、腎臓癌に対する素因となる2つの遺伝子である;MITF E318K突然変異体により活性化されたHI1aFは、従って、VHLの非存在と同じ効果を有しうる。本発明者らは、従って、MITF E318K突然変異が、MELARISKコホートの「黒色腫及び腎臓癌(散発症例)」サブグループの4/55患者において存在し、276のコントロールにおいては存在しない(p=0.0007)ことを示した。本発明者らは、次に、IGR(Institut Gustave Roussy, Villejuif, France)の異なる生物学的サンプルのコレクションにおいてE318K突然変異体の頻度を研究した。この突然変異の他の保有者が同定された:若年性TFE3転座関連腎臓癌を発生した女性(その母親が乳癌を有し、黒色腫が続いた);3つの黒色腫及びリンパ腫を発生した女性;複数の黒色腫症例を伴う家族の指標症例;いくつかの黒色腫を発生した指標症例;結節性黒色腫を発生した2人の男性;黒色腫を発生した女性(その叔父の1人がCNSTを有した);腎乳頭癌を発生した2人の男性;赤血球増加症を伴う男性。実際に、VHLは赤血球増加症に対する素因となる3つの遺伝子の1つである。
実施例2
黒色腫及び腎細胞癌を伴う患者におけるMITF生殖系列突然変異の同定
共存する黒色腫及び腎臓癌に関連付けられる、ミスセンス置換p.E318K(MITFアイソフォームM、NM_000248中のc.952G>A)に起因するMITFバリアントの同定を確認するために、本発明者らは、共存する黒色腫及び腎細胞癌を伴う患者62人における遺伝子の全コード配列、イントロン−エクソンの境界、及び8つの選択的プロモーターを配列決定した。この置換は62人の患者中5人において観察された。このバリアントの頻度は、1824人の被験者のコントロール集団よりも有意に高い(4%対0.3%、p=9.7x10−5)。このように、p.E318K保有者は、黒色腫及び腎細胞癌の両方を発生する14倍高いリスクを有する(オッズ比=14.46[95%信頼区間:3.79−46.82])(表2)。このバリアントが黒色腫単独への感受性に影響を与えることを確認するために、本発明者らは、黒色腫を伴う704人の患者(黒色腫に対する素因であるCDKN2A及びCDK4突然変異について陰性であった)(黒色腫の家族歴を伴う422の独立した症例、多発性原発黒色腫を伴う242の散発症例、及び40の散発性の結節性黒色腫を含む)を遺伝子型決定した(表2)。後者の症例をテストした。なぜなら、黒色腫及び腎細胞癌の両方を伴い、p.E318K突然変異を保有する5人の患者中4人が少なくとも1つの結節性黒色腫(黒色腫の最も稀な組織型)を有したからである。p.E318Kの頻度は、コントロールと比較して、黒色腫単独を伴う全ての患者において有意に高かった(1.3%対0.3%、p=4.5x10−5)。p.E318K保有者は、黒色腫を発生する4倍を上回る増加リスク有した(オッズ比=4.57[95%信頼区間:2.05−10.68])。この増加リスクは、散発性の多発性原発黒色腫患者に主に起因するように見えるのに対し(オッズ比=7.10[95%信頼区間:2.67−18.62])、p.E318Kの効果は、黒色腫家族からの黒色腫患者について(オッズ比=2.78[95%信頼区間:0.9−7.90])又は結節性黒色腫を伴う患者について(オッズ比=8.67[95%信頼区間:0.91−41.70])は有意ではなかった(表3)。しかし、これらの3つの群にわたるp.E318K対立遺伝子の頻度の均一性のテストでは、わずかにだけ有意であった(p=0.06)。生物学的材料は、発端者がバリアントを保有した7つの黒色腫家族の3つにおける追加の罹患家族員について入手可能であった。これらの家族の各々において、p.E318Kは黒色腫と同時分離した。あるいは、腎臓癌への感受性に対するp.E318Kの効果を検証するために、本発明者らは、腎細胞癌を伴う187人の患者においてこのバリアントを遺伝子型決定した。p.E318Kの頻度もコントロールより腎臓癌を伴う患者において高く(1.3%対0.3%、p=0.01)、p.E318Kに関連付けられる腎臓癌のリスクにおける増加は、黒色腫単独について見られるものと同様であった(オッズ比=4.53[95%信頼区間:1.22−14.30])(表2)。p.E318K対立遺伝子頻度の不均一性の有意な実証は、患者の3群にわたりなかった(黒色腫+腎細胞癌、黒色腫単独、腎細胞癌単独;p=0.08)。全ての患者群を組み合わせることで、症例とコントロールの間でのp.E318K対立遺伝子頻度における差の有意性の程度が増加した(1.5%対0.3%、p=2.5x10−7)。全体的に、p.E318K突然変異の保有者は、黒色腫、腎細胞癌、又はその両方を発生する5倍を上回る増加リスクを有した(オッズ比=5.17[95%信頼区間:2.49−11.52])。
p.E318Kが黒色腫及び腎臓癌以外の別の癌の同時発生に対する素因となるか否かを決定するために、研究者らは黒色腫及び別の原発腫瘍を伴う172人の患者を遺伝子型決定したが、しかし、いずれもp.E318K突然変異を保有しなかった(表2)。p.E318Kと別の原発腫瘍との関連は稀な事象であるため、本発明者らは、より大きな系列を試験することを計画する。

OR=オッズ比;95%CI=95%信頼区間;p値=テストの臨界確率;CM=皮膚黒色腫;RCC=腎細胞癌。
全ての保有者はp.E318Kバリアントについてヘテロ接合である。
5人の患者が明細胞腎細胞癌(ccRCC)を発生し、5人の患者中4人が少なくとも1つの結節性黒色腫を発生し、5番目の患者が表在拡大型黒色腫(SSM)を発生した。家族性黒色腫(特に、家族において少なくとも2人の確認された黒色腫症例を伴う)、422例;多発性原発黒色腫(MPM)を伴う散発例、242例;散発性の結節性黒色腫、40例。
19人の保有者の内、7人は家族性症例であり、9人は散発性MPM症例であり、2人は散発性の結節性黒色腫症例である。
明細胞腎細胞癌(ccRCC)、54の散発例;乳頭状腎細胞癌(PRC)、55例(I型を伴う22例、II型を伴う30例、及び不明の組織学的サブタイプを伴う3例);混合性の腎細胞癌表現型(特に、乳頭状及び明細胞)、2例;小児腎細胞癌、5例;不明の組織学的サブタイプを伴う腎細胞癌、71例。
5人の保有者の内、1人は明細胞腎細胞癌(ccRCC)であり、2人はII型乳頭状腎細胞癌であり、1人は体細胞転座t(X;17)(p11;q25)を伴う若年性癌であり、1人はI型乳頭状腎細胞癌である。
乳癌、97例;脳癌、27例;甲状腺非髄様癌、28例;結腸癌、10例;他の癌(精巣、子宮、卵巣、前立腺、肉腫、及び子宮内膜)、10例。
黒色腫単独、腎細胞癌単独、及び2つの組み合わせの間での対立遺伝子頻度の均一性のテスト:p=0.078(直接検定)

黒色腫単独の3つのカテゴリー(家族性、MPM、結節性)の間での対立遺伝子頻度の均一性のテスト:p=0.065(直接検定)。家族性対MPMを比較する均一性のテスト:p=0.072(直接検定)
実施例3
MITF p.E318K突然変異の機能的効果
このE318K突然変異は、タンパク質の2つのSUMO化部位(WKXEモチーフ、2つの部位K182及びK316)の1つに位置付けられる。本発明者らは、E318K突然変異の存在におけるMITFのSUMO化における低下を実証している(図3)。
より具体的には、本発明者らは、部位特異的突然変異誘発によりE318Kバリアントを産生している。また、本発明者らは、K182Rバリアント及びK182R:E318K二重突然変異体も調製している。
His−SUMO−1と野生型MITFとの共発現後、抗MITF抗体を使用した全抽出物でのウェスタンブロットは、120kDバンド及び二本の約90kDの存在を明らかにし、MITFが、その分子量を増加させるSUMO化を受けることを示唆する(図4A)。外因性SUMOタンパク質の添加は、MITFのSUMO化の全体的なレベルを増加させたが、ウェスタンブロットでは、MITFは基礎条件においてもSUMO化されることが明らかになり、90kDの二本を示し、それにより、SUMO過剰発現の非特異的な効果が除かれる。K182R突然変異は、MITFのより高分子量の形態の完全な消失に導いたが、しかし、90kDバンドに対する効果はほとんど有さなかった。コドン318がリジンに突然変異した場合、本発明者らは、MITFの全ての高分子量バンドのレベルにおけるかなりの低下を観察した。最後に、MITFの高分子量形態は、二重突然変異体を使用した場合には観察されなかった。同様の結果が、HA−SUMO−2の共発現を用いて見られ(図4B)、野生型MITFがSUMO−1又はSUMO−2により修飾されること及びE318K突然変異がSUMO−1及びSUMO−2の両方の修飾に影響を与えることを実証している。MITFへのSUMO−1結合を確認するために、His−SUMO−1プラスミドを、単独で、又はMITFコンストラクトを用いてトランスフェクトした。次に、His−SUMO−1を含むタンパク質をNi−TFAカラムで精製した。野生型MITFを用いてトランスフェクトした細胞において、抗MITF抗体を用いたウェスタンブロットによって、約90〜120kDで移動するMITFのSUMO化形態が明らかになった(図4C)。K182R突然変異がMITFの120kDのSUMO化形態に主に影響を与えたのに対し、SUMO化形態はE318K又は二重突然変異体を用いては見出されなかった。一緒に、これらの結果は、コドン316がMITF中の主要なSUMOアクセプター部位であること及びE318K突然変異がMITFのSUMO化を劇的に低下させることを示す。
実施例4
E318K突然変異はMITFの局在を変化させ得、そしてその転写活性を変える
SUMO化は、部分的には、核−細胞質シグナル伝達及び転写を制御することにより、多くの細胞プロセスを組織化する。本発明者らは、低下したSUMO化を伴うE318K突然変異体がMITFの細胞局在を変化させうるか否かを研究した(図5A)。抗MITF抗体を用いた免疫蛍光染色では、E318K突然変異体、しかし、また、K182R及びK182R:E318K突然変異体が黒色腫細胞の核において検出されることが示されたが、それは野生型MITFの核局在と一致する。しかし、黒色腫及び腎臓癌細胞での免疫組織化学実験では、E318K突然変異体が核及び細胞質の両方の染色を示すことが明らかになった(図5B)。
本発明者らは、また、SV40最小プロモーターに連結されている3コピーのMボックスを含む合成レポーターで、野生型対E318K突然変異体の活性を比較することにより、MITFの転写活性に対するE318K置換の可能性のある効果を探索した。E318K突然変異体は野生型よりも2〜3倍高い転写活性を有した(図5C)。二重突然変異体はE318K突然変異体よりもさらに活性であったが、単一突然変異体K182Rは野生型と同様の活性を有した。これらのデータは、SUMO化がMITFの転写活性を低下させることを示す。本発明者らは、次に、MET及びHIF1A(メラノサイト及び腎発癌に関与する2つのMITF標的遺伝子)に焦点を当て、生理学的プロモーターに対するE318K突然変異の効果をチェックした。野生型MITF及びE318K突然変異体が、METプロモーターに対して同様の転写活性を有したのに対し(図2)、E318K突然変異体はHIF1Aプロモーターに対して野生型よりも高い転写活性を有した。従って、p.E318K突然変異は、HIF1Aの転写アップレギュレーションを通じてその発癌効果を発揮しうる。
実施例5
E318K突然変異は、あまり分化していない、より高度な増殖細胞の表現型を与える
色素の産生は、あまり分化していない増殖表現型と密接に相関する弱く着色した細胞とは対照的に、より遅い成長により特徴付けられるメラノサイト分化の特性の1つである。また、低酸素症及びHIF1Aは、メラノサイトの生存、増殖、及び形質転換ならびに黒色腫の進行を維持する。したがって、本発明者らは、生殖系列突然変異を伴う患者の皮膚生検から単離されたメラノサイトが、2人の健常な突然変異陰性ドナーからのメラノサイトほど高度に着色していないことを見出した(その全て3人がコーカソイドであった)(図6)。MITF転写は、2つの受容体シグナル伝達経路(メラノコルチン−1受容体(MC1R)を含む)により修飾される。最後に、野生型MITFと比較して、E318Kの発現は、不死化メラノサイト(図7A、Melan−a)、黒色腫細胞(図7B、A375)、及びVHL欠損腎臓癌細胞(図7C、RCC4)の成長を刺激した。一緒にすると、データは、MITF E318K突然変異体が構成的成長の利点を与えることを示唆する。
材料及び方法
Melariskは、黒色腫傾向のある家族の固有レジストリ(MELARISK)であり、1985年にInstitut Gustave Roussy(Avril教授)及びINSERM(Florence Demenais, U946)により開始され、皮膚科医(特に、2005年以降、Cochin University Hospital Center、Avril教授及びHospices Civils de Lyon、Thomas教授)及び癌遺伝学者の参加を伴った。生物学的材料は、IGF癌感受性Biobankに保存されている(血液、凍結リンパ球、Genethonにより樹立されたリンパ芽球細胞株、DNA)。黒色腫についての家族、人口統計学的、臨床的及びリスク因子のデータが数年にわたり収集されており、INSERMユニットU946においてMySQLデータベース中に保存されている。
MITFの直接配列決定
MITFを配列決定するために使用されるプライマーを、以下の表に示す。増幅プロトコールは35サイクル(94℃、60℃、及び72℃での30秒温度段階を伴う)から成った。
PCR産物を、"Big Dye Terminator", version 3.0(Applied Biosystems, Foster City, California)を用いて、ABI Prism(登録商標) 3730 Genetic Analyzer(Applied Biosystems, Foster City, California)で配列決定した。
MGB Taqmanプライマーを用いたPCRによるMITF E318K突然変異の遺伝子型決定
PCR反応は、10ngのゲノムDNAを用いて、0.2μmol/LのMGB TaqManプライマー、野生型MITF配列と完全に一致する(5′−VIC−ATC AAG CAA GAA CCC G−3′−配列番号29)又はE318K突然変異をコードするMITF配列と完全に一致する(5’−6−FAM−CAA GCA AAA ACC CG−3’−配列番号30)のいずれかの存在において行った。他の試薬の最終濃度は以下の通りであった:1xUniversal Master Mix(Applied)、0.4μmol/Lのセンスプライマー(5′−TGCTCTCCAGATTTGGTGAATCG−3′−配列番号31)、0.4μmol/Lのアンチセンスプライマー(5′−GGTCTTGGCTGCAGTTCTCAA−3′−配列番号32)。PCRアンプリコンのサイズは67bpであった。PCRサイクルを、ABI(商標)2720サーモサイクラーで以下の通りに行った:95℃で15分間;95℃で15秒間及び60℃で1分間の30サイクル。対立遺伝子識別はABI(商標)7900HT Fast Real Time PCRシステムでの最終的な蛍光測定により実施し、ABI(商標)SDS V2.3ソフトウェアを用いて分析した。野生型又はE318KのいずれかのDNAサンプルが、各遺伝子型決定実験においてコントロールとして含まれた。遺伝子型決定した突然変異体サンプルを、MITFのエクソン9について、上に記載するプロトコール及びプライマーを使用した直接配列決定によりチェックした。
プラスミド
MITF M形態コンストラクトpCDNA3−Miは以前に記載されている(7)。K182R及び/又はE318KでのMITFの突然変異は、QuickChange方法(Stratagene)を使用し、それらの逆相補体を伴う以下のセンスプライマーを使用して生成した。Mi−K182R 5’−cttcccaacataagaagggagctcacagc−3’(配列番号33);MI−E318K 5’−ggatcatcaagcaaaaaccagttcttgag−3’(配列番号34)。突然変異の存在を配列決定により確認した。
His−SUMO1及びHis−HA−SUMO2はM. A. Dejeanによりご厚意で提供され、以下の刊行物に記載されている(8)。
コトランスフェクション及びイムノブロット
6ウェルディッシュ中で成長させたHEK293細胞(10個細胞/ウェル)を、FuGENE 6(商標)(Roche Applied Science)を使用して、示したプラスミド(2μgの全DNA/ウェル)を用いてトランスフェクションした。48時間後、細胞をPBS中でリンスし、1×ローディングバッファー(41.6mM Tris、pH6.8、1.5%SDS、6.7%グリセロール)における95℃での溶解が続き、追加の5分間にわたり煮沸した。
タンパク質を10%SDS−ポリアクリルアミドゲル中での電気泳動により分離し、PVDFメンブレンにトランスファーした。タンパク質を、ECL(Amersham)及び抗MITF(Abcam)、抗HAタグ(Abcam)、抗SUMO1(Santa Cruz Biotech)、又は抗ERK2(Santa Cruz Biotech)抗体を使用して検出した。
レポーターアッセイ
ヒト501mel及びマウスB16細胞を24ウェルプレート中に蒔き(25x10個細胞/ウェル)、次の日、細胞を、0.3μgのレポータープラスミド(pHIF1α及びpMet)、0.05μgのpCDNA2 MITF又は空pCDNA2ベクター、2μgのリポフェクトアミン試薬(Invitrogen)、及び0.05μgのpCMVβGal(トランスフェクション効率の変動を制御するため)を用いて一過性にトランスフェクションした。細胞を48時間後に溶解し、ルシフェラーゼ及びβガラクトシダーゼ活性についてアッセイした。トランスフェクションを少なくとも3通りに実施した。
免疫蛍光
HEK293細胞を、6ウェルディッシュ中のガラスカバースリップ上に蒔き(100x10個細胞)、10μlのリポフェクトアミンを使用して、3μgのpCDNA3 MITF又は空pcDNA3ベクターを用いてトランスフェクションした。48時間後、細胞を、PBS中の4%パラホルムアルデヒドを用いて10分間にわたり固定し、PBS中で洗浄し、0.1%Triton X−100、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を用いて2分間にわたり透過処理した。次に、サンプルをPBS中で1回洗浄し、50mM NHClを用いて2分間にわたり処理し、次に、PBS中で3回洗浄し、1%BSA/PBS中の抗MITF抗体(Abcam)を用いて1時間にわたり染色した。サンプルを次にPBSを用いて5分間にわたり3回洗浄し、1%BSA中のAlexa-488結合ヤギ抗マウス抗体(Molcular Probes)を用いて1時間にわたり二次染色した。細胞をPBS中で1回洗浄し、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドール(DAPI)を用いて対比染色し、PBS中で3回洗浄し、Fluromount-G(Southern Biotech, Birmingham AL)を使用してマウントした。細胞を、落射蛍光照明を伴うZeiss Axiophot顕微鏡下で検証した。
メラニン含量の決定
約6x10個のメラノサイトを、1000gで5分間にわたる遠心分離によりペレット化し、リン酸緩衝液中で2回洗浄した。ペレットの画分を80℃で1時間にわたり0.5%NaOH中に溶解し、光学密度を405nmで測定した。他の画分を使用して、BCA(商標)方法(Pierce)によりタンパク質含有量を決定した。メラニン含量をタンパク質濃度について補正し、コントロール細胞のパーセンテージ(100%)として表した。
コロニー形成のテスト
ヒト黒色腫A375細胞及びヒト腎臓癌RCC4細胞(80,000個/ウェル)を、Fugene(Roche)を使用して、合計3μg DNA/ウェル(野生型MITF又はE318K)及び10%pBABE−puroを用いてトランスフェクションした。ピューロマイシン(1μg/ml)を、トランスフェクションから48時間後に培地に加えた。14日後、細胞を固定し、0.4%クリスタルバイオレットを用いて染色し、プレートを写真撮影した。細胞を、また、PBS中の10%酢酸を用いて脱色し、細胞数を610nmの吸光度を測定することにより決定した。
免疫組織化学
カバースリップを脱蝋し、ホットAntigen Unmasking溶液(Vector Laboratories)中で抗原をアンマスキングした後、切片を0.3% Triton/PBS中で15分間にわたり透過処理し、次にPBS中で迅速にリンスした。内因性ペルオキシダーゼをブロックした後、切片を、PBS/1%BSA/5%ヤギ血清中で30分間にわたり飽和させ、次に、PBS/1% BSA中の第1抗MITF抗体クローンC5(1:10又は1:100希釈)を用いて4℃で一晩インキュベートした。PBS中でのリンス後、切片を、PBS/1% BSA中の第2ビオチン化抗体を用いて室温で1時間にわたりインキュベートした。切片を次にPBS中でリンスし、HRPアビジン/ビオチン溶液(ABC Elite kit, Vector Laboratories)中でインキュベートした。PBS中でのリンス後、切片をペルオキシダーゼ基質(VIPキット、Vector Laboratories)の存在において明らかにした。最後に、スライドを、Mountex(Cell Path)を使用してマウントした。

Claims (13)

  1. 被験者が、皮膚悪性黒色腫、神経内分泌癌、肉腫、神経芽細胞腫又は神経系腫瘍(NST)、リンパ腫、肺癌、腎臓癌、乳癌、膵臓癌、小児腫瘍、造血器悪性腫瘍、胃腸癌、赤血球増加症、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される癌を発生する素因又は感受性を有するか否かを決定するための方法であって、被験者からの生物学的サンプルにおいて、MITF(小眼球症関連転写因子)のSUMO化を低下又は消失させるMITFにおける突然変異の存在を決定することを含み、該突然変異の存在は、被験者がそのような癌を発生する素因又は感受性を有することを示す、方法。
  2. MITF突然変異がMITFのSUMO化部位の1つ又は両方の部位のリジン残基及び/又はグルタミン酸残基の置換である、請求項1記載の方法。
  3. 突然変異が他の19アミノ酸のいずれかによる、以下の表

    より選択される残基の置換である、請求項2記載の方法。
  4. 突然変異がアイソフォーム4のK316又はE318のあるいは他のMITFアイソフォームにおける対応する残基の置換である、請求項3記載の方法。
  5. 突然変異がアイソフォーム4のE318の又は他のMITFアイソフォームにおける対応する残基の、好ましくはリジン残基による置換である、請求項4記載の方法。
  6. 突然変異がタンパク質又は核酸レベルで検出される、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 突然変異がMITFのSUMO化を測定することにより間接的に検出され、野生型MITFタンパク質と比べたSUMO化の低下がE318K突然変異の存在を示す、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 突然変異が免疫組織化学によりMITFの細胞局在を決定することにより検出され、核局在が野生型MITFタンパク質を示しており、核及び細胞質局在がMITF E318K突然変異体タンパク質を示している、請求項7記載の方法。
  9. 癌が、皮膚悪性黒色腫ならびに腎細胞癌、赤血球増加症、及びリンパ腫、好ましくは皮膚悪性黒色腫及び腎細胞癌の組み合わせの間より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. 癌の予防的処置又は癌の早期検出のための医学的サーベイランスから利益を得うる患者を選択するための方法であって、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法により癌に対する患者の感受性を決定すること、及び、MITFのSUMO化を低下又は消失させる突然変異を保有する被験者を選択することを含む、方法。
  11. 癌の予防的処置がポリフェノール化合物を投与することを含む、請求項10記載の方法。
  12. MITFのSUMO化を低下又は消失させる突然変異を保有する被験者における癌の予防的処置における使用のためのポリフェノール化合物。
  13. ポリフェノール化合物が発酵させた米殻からのポリフェノール化合物又は紅茶からのポリフェノールである、請求項11記載の方法又は請求項12記載の化合物。
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