JP2013500709A - 細胞の遊走を阻害するオリゴヌクレオチド - Google Patents
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Abstract
Description
特に、本発明は、腫瘍のようなヒトの病態の予防または治療用薬剤を製造するための二本鎖オリゴヌクレオチドの使用に関する。
また特に、本発明は、その産生物が病理学的状態の発症または持続に関与する遺伝子の発現を阻害することを目的とする。
本発明はまた、その産生物が病理学的状態の発症または持続に関与する遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物にも関する。
本発明の別の目的は、上記分子の活性を制御あるいは媒介する分子の阻害剤を提供することである。
本発明の別の目的は、前記阻害剤を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、原発腫瘍および侵襲性または転移性腫瘍の進行の両方を阻害するのに有効な医薬組成物を提供することである。
- TSP1タンパク質の発現、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質の発現
を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現の阻害剤、
あるいは、
- TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはその活性を媒介するタンパク質の活性
を阻害する少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤
の使用に関連する。
本発明者らはまたここで、TSP1は第二番目のメカニズムによって誘導され得、細胞質カルシウム濃度を増加させる樟脳またはタプシガルギンのような薬理学的分子がTSP1分泌および/または産生を誘導することを実証した。カルシウム濃度のこのような増加は、カルシウムチャネルの調節の緩和により引き起こされ得る。本発明者らは、一過性受容体電位(TRP)ファミリーのいくつかのカルシウムチャネルがTSP1発現を調節していることを実証している。注目すべきは、これらのチャネルのいくつかは、癌細胞においてアップレギュレートされることが示されたことである(Prevarskayaら、2007)。
TSP1の発現を制御するタンパク質とは、TSP1遺伝子の転写またはTSP1遺伝子転写物の翻訳を制御するタンパク質を意味する。例えば、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8のような一過性受容体電位(TRP)ファミリーのいくつかの非電圧依存性のカチオンチャネルが本発明で考慮されている。
タンパク質活性の阻害剤とは、インビボまたはインビトロ試験で該タンパク質の生物学的活性を阻害する、オリゴヌクレオチド、またはペプチド、またはタンパク質、または他の任意の種類の有機もしくは無機分子などの生物学的分子を指す。
細胞遊走能力は、改良ボイデンチャンバー(Boyden Chamber)を用いてインビトロで測定することができる。ボイデンチャンバーは、透過性膜で区切られた二つのコンパートメントで構成されている。細胞は上部チャンバーに、化学走化性因子は下部チャンバー内に配置する。膜を通過して遊走する細胞を計数する。
詳細な遊走アッセイは、実施例の部に記載されている。
侵襲性腫瘍とは、前立腺被膜などの初期の腫瘍の限界を限定する膜を突破した癌を指す。この癌は、それが最初に発生した組織の外に広がり、近辺の健常な組織中に増殖する。「侵襲性」は、前記癌がすでに前立腺外に広がっていることを意味するものではない。「侵襲」は浸潤と同じ意味を持つ。
転移性腫瘍とは、その元の部位から1つまたはそれ以上の他の身体部位に転移した癌を指す。
TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8は、一過性受容体電位(TRP)ファミリーの非電圧依存性のカチオンチャネルに属している。これらのタンパク質はTSP1タンパク質の発現を制御する。
CD36およびB3インテグリンはTSP1の受容体である。TSP1は、多くの受容体と結合することが知られている(Roberts、2008)。これらの受容体はTSP1タンパク質の活性を媒介することができる。
インビボ試験はヒト、マウスおよびラットを含む生きている動物に関する。本発明においては、タンパク質発現のインビボ阻害は、ヌードマウスに異種移植された腫瘍組織の増殖および体積で測定することができる。タンパク質発現の阻害剤またはタンパク質活性の阻害剤の注射後の腫瘍組織の体積の減少は、当該タンパク質発現のインビボでの阻害を意味する。
インビトロ試験とは、タンパク質発現の阻害を測定するために、例えば培養下にある細胞の使用、またはリアルタイムRT−PCT等を指す。
別の実施形態において、タンパク質発現の阻害剤は、二本鎖オリゴヌクレオチドまたは一本鎖オリゴヌクレオチドである。
二本鎖オリゴヌクレオチドは、siRNAを指すことがある。一本鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を阻害するために使用されるマイクロRNAまたは任意のアンチセンス一本鎖のオリゴヌクレオチドを指すことがある。
二本鎖オリゴヌクレオチドはその標的mRNAを繰り返し切断するので、二本鎖オリゴヌクレオチドの使用は、リボザイムまたは一本鎖アンチセンスデオキシヌクレオチドのような他の従前のアンチRNAの方策よりも効率的である。
さらに、二本鎖オリゴヌクレオチドは、一本鎖オリゴヌクレオチドよりも安定している。
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は
- 前記オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列との40%未満のミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である。
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、標的配列と相補的であることが好ましいが、標的配列について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。この適用は、標的配列の長さが21ヌクレオチドの場合に特有である。
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチド配列はその3'または5'末端のいずれかにおいて、ハイブリッドを越えて延長する一本鎖末端を形成する1〜5個の不対ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチド配列(a)のハイブリッドの内側部は、
- オリゴヌクレオチド配列(b)に相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列と40%未満ミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である。
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、標的配列と相補的であることが好ましいが、標的配列と1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。この適用は、標的配列の長さが21ヌクレオチドの場合に特有である。
標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列はアンチセンス鎖であり、前記第一配列に相補的な第二オリゴヌクレオチド配列はセンス鎖である。
本発明のオリゴヌクレオチド配列に含まれるヌクレオチドの種類は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはその両者である。
好ましくは、また、アンチセンス鎖で設計された標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列は、天然のリボヌクレオチドおよびセンス鎖を実質的に含み、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはそれらの両方を含むことができる。
さらに有利な実施形態では、ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドはデオキシチミジンである。
別の特定の実施形態では、配列番号42(TRPV3)で表される標的配列の発現は、本発明に記載の二本鎖オリゴヌクレオチドによって阻害される。
別の特定の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、以下の構成の対のいずれかから選択される:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8)、(配列番号9および配列番号10);(配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号 26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号39および配列番号40)。
− 表1でTSP1aと記された、TSP1 mRNA部分を標的とする、配列番号1および配列番号2からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTSP1aと記された、TSP1 mRNA部分を標的とする、配列番号21および配列番号22からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTSP1bと記された、TSP1 mRNA部分を標的とする、配列番号3および配列番号4からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTSP1bと記された、TSP1 mRNA部分を標的とする、配列番号23および配列番号24からなる二本鎖オリゴヌクレオチド。
− 表1でTRPV3aと記された、TRPV3 mRNA部分を標的とする、配列番号5および配列番号6からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTRPV3aと記された、TRPV3 mRNA部分を標的とする、配列番号25および配列番号26からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTRPV3bと記された、TRPV3 mRNA部分を標的とする、配列番号7および配列番号8からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTRPV3bと記された、TRPV3 mRNA部分を標的とする、配列番号27および配列番号28からなる二本鎖オリゴヌクレオチド。
鎖1:5'−GAUAGCAAUGACGAAUGCGUAdTdT−3'
鎖2:5'−UACGCAUUCGUCAUUGCUAUCdTdT−3'
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗血管新生剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用に関する。
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用に関する。
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗血管新生剤と、
− 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用に関する。
有利な実施形態において、抗腫瘍剤は、ベンダムスチン、テモゾロミド、メクロレタミン、シクロホスファミド、カルムスチン、シスプラチン、ブスルファン、チオテパ、またはダカルバジン(Decarbazine)のようなアルキル化剤;ペントスタチン、メトトレキサート、ペメトレキセド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、シタラビン(Cytaraine)、メルカプトプリンまたはチオグアニン(Thiguanine)のような代謝拮抗剤;ルビテカン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン塩酸、またはオキサリプラチンのような細胞障害性抗生物質;ビノレルビン、BMS 184476、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン、ドセタキセルタキソールのような植物誘導体から選択される。
さらに有利な実施形態では、固形腫瘍は、前立腺腫瘍、肝腫瘍、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成、神経膠腫などの脳腫瘍、乳癌、腎腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胸膜肺芽腫、カルチノイド腫瘍などの肺腫瘍、骨腫、骨軟骨腫、動脈瘤性骨嚢胞、および線維性異形成などの骨の腫瘍、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、胃癌、大腸腫瘍、小腸腫瘍、食道腫瘍、膵臓腫瘍、肉腫、子宮頸癌、胆嚢腫瘍、メラノーマである。
別のより有利な実施形態では、リンパ球増殖性腫瘍は、白血病、リンパ腫、または多発性骨髄腫である。
一般的な実施形態において、該医薬組成物は、活性物質として、
- TSP1タンパク質の発現、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質の発現
を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現の阻害剤、あるいは、
- TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはその活性を媒介するタンパク質の活性
を阻害する少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤
を、薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせて含む。
さらに有利な実施形態において、前記タンパク質発現の阻害剤は、TSP1、TRPV2、TRPV3、CD36、またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する。
特に有利な実施形態において、タンパク質発現の阻害剤は、TSP1、TRPV2、TRPV3を含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する。
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は
- 前記オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列との40%未満のミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である。
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、標的配列と相補的であることが好ましいが、標的配列について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。この適用は、標的配列の長さが21ヌクレオチドの場合に特有である。
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチド配列はその3'または5'末端のいずれかにおいて、ハイブリッドを越えて延長する一本鎖末端を形成する1〜5個の不対ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチド配列(a)のハイブリッドの内側部は、
- オリゴヌクレオチド配列(b)に相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列と40%未満ミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である。
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、標的配列と相補的であることが好ましいが、標的配列について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。この適用は、標的配列の長さが21ヌクレオチドの場合に特有である。
有利な実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、2つの前記オリゴヌクレオチド配列のそれぞれの3'末端において、ハイブリッドを越えて延長する1〜5個のヌクレオチド、好ましくは2〜3個のヌクレオチドを含む。
ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドは、標的配列に相補的であるか、またはそうでなくてもよい。
ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドは、いかなる天然ヌクレオチドであってもよい。
さらに有利な実施形態では、ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドはデオキシチミジンである。
別の特定の実施形態では、配列番号43(TRPV3)で表される標的配列の発現は本発明に記載されて二本鎖オリゴヌクレオチドによって阻害される。
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号9および配列番号10);(配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号 :32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号:39および配列番号40)。
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号13および配列番号14); (配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36;(配列番号37および配列番号38)。
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号17および配列番号18);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号37および配列番号38)。
(配列番号1および配列番号2);(配列番号7および配列番号8);(配列番号21および配列番号22);(配列番号27および配列番号28)。
別の有利な実施形態において、本発明の医薬組成物に使用される二本鎖オリゴヌクレオチドは、コレステロール、または前記二本鎖オリゴヌクレオチドを細胞内に浸透可能にする物質と結合される。
別のさらに有利な実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドを細胞内に浸透可能にする物質は、例えば、リポソーム、脂質ベース薬剤、ナノ粒子、磁性球体、ポリエチレンイミン誘導体である。
二本鎖オリゴヌクレオチドを含む活性物質は、適用方法または活性物質の形態に応じて、変更しても十分な用量で投与用に処方され得る。
有利な実施形態において、活性物質は、以下の投与法の一つのために処方される:静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内点滴注入、舌下、直腸内、腫瘍に直接注射、局所または経口。
本発明のオリゴヌクレオチドは、細胞にトランスフェクションし、該細胞を次いで組織に注入するか、または、例えば、局所、全身、エアロゾル経路で直接組織に注入することができる。
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗血管新生剤と
を含むか、またはこれらからなる製品を活性物質として含む。
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品を活性物質として含む。
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗血管新生剤と、
− 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品を活性物質として含む。
本発明の医薬組成物の前記抗腫瘍剤は、ベンダムスチン、テモゾロミド、メクロレタミン、シクロホスファミド、カルムスチン、シスプラチン、ブスルファン、チオテパ、またはダカルバジン(Decarbazine)のようなアルキル化剤;ペントスタチン、メトトレキサート、ペメトレキセド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、シタラビン(Cytaraine)、メルカプトプリンまたはチオグアニン(Thiguanine)のような抗代謝剤;ルビテカン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン塩酸、またはオキサリプラチンのような細胞障害性抗生物質;ビノレルビン、BMS 184476、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン、ドセタキセルタキソールのような植物誘導体を含む群から選択できる。
樟脳およびタプシガルギンはシグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich)(Saint−Quentin Fallavier,France)から購入した。TSP1抗体(Ab1、Ab−4,Ab−11)は、Neomarkers(Thermo Scientific, Fremont, Ca, USA )から、TRPV3抗体は、TEBU(Le Perray en Yvelines, France)から、チューブリン(Tubulin)は、Sigma−Aldrich(Saint−Quentin Fallavier, France)から購入した。Alexa−Fluorヤギ抗ウサギ488およびAlexa−Fluorヤギ抗マウス568は、Molecular probesから購入した。siRNAは、シグマアルドリッチ( Sigma−Aldrich)(Saint−Quentin Fallavier, France)から購入した。使用した配列は補足表1に示す。
細胞株LNCaPは、ヒトアンドロゲン依存性前立腺細胞株である。これは、アンドロゲン受容体を発現し、その増殖はアンドロゲンに依存する。
細胞株C4−2および22RV1は、ヒト去勢抵抗性前立腺腫瘍細胞株である。これらは、アンドロゲン受容体を発現するが、これらの増殖はもはやアンドロゲンに依存しない。
細胞株PC3は、ヒトアンドロゲン非依存性前立腺細胞株である。PC3細胞はもはやアンドロゲン受容体を発現しない。
LNCaPおよびC4−2細胞は、10%ウシ胎児血清を含むRMPI中で、PC−3細胞は、10%ウシ胎児血清を含むDMEM中で増殖させた。 HiPerfect試薬(Qiagen、Courtaboeuf、France)を、この製造元の推奨に従って使用し、24ウェルプレートの細胞を表示のsiRNA(10nM)でトランスフェクションした。代謝活性アッセイ(WST1, Roche Diagnostics, Meylan France)を使用して、細胞増殖を測定した。低酸素状態を模倣するために、300μM塩化コバルトの存在下で細胞を48時間培養した。低酸素状態の条件では、細胞は、低酸素インキュベーター(Binder GmbH, Tuttligen, France)内で、37℃で、5%CO2、94%N2、および1%O2で培養した。
遊走能力を、改良ボイデンチャンバーを用いて測定した。細胞(40,000)を、8μmのPET膜(BD Biosciences, Le Pont de Claix, France)により下室から分離されている細胞培養チャンバー−インサートシステムの上部におけるRPMI 1%FBS中に播種した。RPMI 10%FBSまたは条件培地を下部コンパートメントに加えた。18時間後、上部コンパートメントの非遊走細胞を綿棒を使ってこそげ取った。膜の下側の細胞を、−20℃にてメタノールで固定し、ヘキスト33258(Sigma−Aldrich, Saint−Quentin Fallavier, France)で染色した。その後、膜を摘出し、Glycergel(DAKO)でガラス面に取り付けて、細胞を計数した。
全RNAは、TRIzol試薬(Invitrogen, Cergy Pontoise, France)を用いて単離した。RNAを、高容量cDNA逆転写キット(High capacity cDNA Reverse Transcription Kit)(Applied Biosystems, Courtaboeuf, France)を使用して逆転写した。cDNAを、Power SYBR(登録商標)Green PCR Master Mix(Applied Biosystems, Courtaboeuf, France)を用いてリアルタイムPCRにより定量した。ヒトシクロフィリンAを内部対照として使用した。PCRプライマーの配列を補足表2に示す。
細胞ホモジネートおよび上清中のTSP1およびVEGFタンパク質の含有量を、ELISA (Quantikine, R&D, Lille, France)で測定した。
蛍光イメージングは、142mM NaCl、5.6mM KCl、1 mM MgCl2、2mM CaCl2、0.34mM Na2HPO4、0.44mM KH2PO4、10mM HEPES、および5.6mM グルコースを含むハンクス平衡塩溶液(HBSS)中にて実施した。細胞質カルシウム濃度は、前述した通り(Mariotら、2002)、Fura−2を添加した細胞(2μM)を用いて測定した。細胞内カルシウム濃度は、励起波長のそれぞれの蛍光強度の比(F340/F380)およびGrynkiewiczの方程式(Grynkiewiczら、1985)から導いた。
動物を用いる研究は、ハウジングおよび世話、安楽死の方法、ならびに実験プロトコルを含めて、Institut Andre Lwoff in Villejuif, France内地元の動物倫理委員会に準拠して実施した。腫瘍細胞(2×106細胞/マウス)を、50%(v:v)マトリゲル(matrigel)(BD Biosciences Le Pont de Claix、France)で6−8週齢の雄ヌードマウスに皮下注射し、毎日測定した。腫瘍が指数関数的に増殖した時、PBSで希釈したsiRNAを、毎日i.p.注入した(120μg/kg)。腫瘍体積は、次式を用いて概算した:長さ×幅2×0.5。
前立腺組織サンプルは、Centre Hospitalier Lyon Sud (Lyon, France)で根治的前立腺全摘除術を施行した14人の患者およびCochin Hospital (Paris, France)の12人から得た。各患者からは書面による同意を得た。前立腺の除去直後に、組織の小片は病理医により肉眼解剖され、瞬間凍結され、分析まで液体窒素中でthe Centre hospitalier Lyon Sud および the groupe hospitalier Cochin−Saint Vincent de Paulの腫瘍バンクに保存した。凍結切片の組織学的解析は、RNA抽出前に、同一病理学者により各サンプルに対して実施された。完全に癌腺から構成されたフラグメントを選択して「腫瘍」サンプルと命名し、癌組織が含まれていないものを選択して「腫瘍周辺組織」と命名した。
TSP1プロモーターは, アンドロゲン依存性前立腺細胞株LNCaPにおいてメチル化され(Liら、1999)、従って、TSP1 mRNAおよびタンパク質レベルは、これらの細胞で非常に低い(図1Aおよび図1B)。興味深いことに、持続的なTSP1発現は、去勢後のマウス に再発するLNCaP腫瘍から樹立されたC4−2細胞において見出された(Thalmannら,1994)。TSP1は、去勢抵抗性前立腺腫瘍細胞株R22RV1(Sramkoski ら,1999)およびアンドロゲン非依存性細胞株PC3における、mRNA(図1A)およびタンパク質(図1B)レベルでの発現も認められた。前立腺癌細胞におけるTSP1の機能を研究するために、最初のsiRNAは、マウスとヒトとの配列に完全に保存された配列を標的とするように設計され(TSP1a−siRNA)、二番目のsiRNAは、特定的にヒトのmRNAを標的にするよう設計された(TSP1b−siRNA)。C4−2細胞では、この2種類のsiRNAは、細胞増殖(図1E)またはアポトーシス(図1F)に影響せずに、mRNA発現(図1C)およびタンパク質レベル(図1D)で70%以上TSP1発現をサイレンスした。
ボイデンチャンバーを使用して、前立腺腫瘍細胞の遊走に対するTSP1の可能性のある役割を研究した。TSP1サイレンシングは、C4−2細胞の遊走を強く阻害した(図1G)。この効果は、PC3細胞の遊走もTSP1サイレンシング(図1G)によって強く影響されたため、アンドロゲン受容体の発現に依存しなかった。逆に、TSP1を発現しないLNCaP細胞の遊走が、細胞がC4−2細胞条件培地(図1H)に向かって遊走したときに、刺激された。前立腺腫瘍細胞の遊走についてのTSP1の役割をさらに立証するために、TSP1の産生がテトラサイクリン抑制性プロモーターの制御下にある細胞株である、JT8を用いた(Filleurら、2001)。JT8細胞の条件培地を、TSP1発現を阻害するためにドキシサイクリンの存在下で、またはTSP1発現を誘導するためにその不存在下で調製した(図1I)。そして、これら二つの培地に向かうC4−2細胞の遊走を測定した。TSP1の存在は、細胞が遊走する能力を強く増大させた(図1J)。
上記の結果は、TSP1が、およびPC3細胞において、LNCaP細胞におけるよりも、はるかに高いレベル(mRNAおよびタンパク質)で発現されていることを示す。10nMのTSP1a−siRNAまたはTSP1b-siRNAによるC4−2細胞のトランスフェクションは、細胞増殖に影響を与えずに(図1E)、TSP1 mRNAレベル(図1C)およびタンパク質レベル(図1D)を著しく減少させる。
TSP1はカルシウム結合ドメインを含み、またカルシウムはTSP1のフォールディングに影響を及ぼす(Adams,2004)。問題は、前立腺腫瘍細胞の細胞質内カルシウム濃度の増加が、TSP1の発現および/または分泌を調節することができるかどうかである。この目的のために、SERCAポンプの阻害剤であって、細胞内カルシウム濃度(Ca+ + i)を増加させるタプシガルギンでC4−2細胞を処理した。タプシガルギンによる2時間の処理で、細胞質ゾルからTSP1が急速に消失し(図2A)、培地中に分泌する結果になった(図2B)。カルシウムチャネルであるTRPV2(Monetら、2010)、TRPV6(Fixemerら、2003)、TRPM8(図2J)、およびTRPV3(図2Fおよび2G)は、前立腺腫瘍細胞において発現されている。樟脳は、既知のTRPV3チャネルのアゴニストであり(Moqrichら、2005;Vogt−Eiseleら、2007)、同様にTSP1分泌を刺激した(図2Cおよび2D)。さらに、樟脳による6時間の処理は、用量に依存してTSP1 mRNAレベルの増加を誘導した(図2E)。これらの結果から、カルシウムが前立腺腫瘍細胞におけるTSP1のmRNAレベルおよび分泌の両方を調節することが立証される。
2つのTRPチャネルである、TRPM8およびTRPV3の発現を前立腺細胞株において分析した。TRPM8はLNCaPおよびC4−2細胞では発現したが、22RV1では検出不能であり、PC3細胞においてのみ非常に低いレベルで発現した(図2F)。対照的に、TRPV3は、アンドロゲン非依存性PC3細胞を含む、これらの4つの前立腺細胞株のすべてにおいて発現した(図2F)。TRPV3 mRNAは、その親のアンドロゲン依存性細胞株LNCaPに比べて、去勢抵抗性細胞株C4−2においてアップレギュレートされた。しかし、発明の結果は、タンパク質レベルでは、TRPV3がLNCaP細胞で強く発現されることを明確に示す(図2G)。そして、TRPチャネルの発現がTSP1発現を調節できるかどうかを分析した。TRPV3をサイレンスすると、TSP1タンパク質発現が減少した(図2H)。TRPファミリーの少なくとも4種のチャンネル、TRPV2、TRPV3、TRPV6、およびTRPM8は、これらのサイレンシングがTSP1 mRNAレベルを減少させたので、TSP1を刺激する(図2I)。対照的に、TRPC4およびTRPC6はTSP1を抑制し、それらのサイレンシングは、C4−2細胞(図2I、2J)におけるそのmRNAレベルを増加させた。TRPC1、TRPC3、またはORAIはTSP1発現に有意な影響を与えなかった(図2I)。
遊走についてのTRPカルシウムチャネルの可能性のある役割を探求するため、TRPV3が前立腺癌細胞でよく発現することから、このチャネルに注目したが、チャネルのアンドロゲンへの依存度がどうあっても、また、TRPM8とは対照的に、TRPV3のサイレンシングが細胞増殖に影響を与えないためであって(図3A)、これは、遊走アッセイの解釈を偏らせ得る表現型である。TRPV3のサイレンシングは、C4−2およびPC3細胞における細胞遊走で大規模な阻害を引き起こした(図3B)。対照的に、TRPC4またはTRPC6を標的にしたsiRNAは、C4−2細胞の遊走を刺激した(図3C)。すべて纏めると、これらの結果は、遊走に関するTRPチャネルの影響がTSP1によって媒介される可能性を示唆する。
細胞遊走におけるTSP1およびTRPV3のそれぞれの役割をさらに調べるために、ボイデンチャンバーの下部にて培養したC4−2細胞を、コントロール−またはTSP1−siRNAのいずれかでトランスフェクションした。三日後、TSP1−siRNAをトランスフェクションした細胞の条件培地中のTSP1濃度が著しく減少した(図3D)。我々は、その後、3日前にコントロール−、TSP1−、またはTRPV3-siRNAをトランスフェクションしたC4−2細胞をチャンバーの上部に加えた。コントロール条件(上部および下部チャンバー内においてコントロールsiRNAをトランスフェクトした細胞)に比して、2つのコンパートメントで同時にTSP1をサイレンシングすると、遊走を70%減少させた(図3E)。興味深いことに、TSP1を、上部または下部のいずれか一つのコンパートメントでサイレンシングさせると、遊走能力は部分的に減少しただけであって、遊走効果は分泌タンパク質によって媒介されていることを実証している(図3E)。
上部コンパートメントでTRPV3をサイレンシングさせることで、TSP1が枯渇した培地に向かって遊走するC4−2細胞の遊走は、大幅に抑制された。 しかし重要なのは、この阻害は、TSP1がボイデンチャンバーの下部に存在していた時には、完全に失われたことである(図3E)。この結果は、細胞遊走のTRPV3による刺激が分泌したTSP1によって媒介されていることを実証する。
低酸素条件に対する抵抗は、進行腫瘍の一般的な特徴である。TSP1およびTRPV3 mRNAレベル、ならびに細胞内カルシウム濃度を、低酸素条件下のC4−2細胞で分析した。Hif1aおよびHif2aタンパク質の安定化を誘導し(Yuanら、2003)、また低酸素状態の効果を模倣する300μM 塩化コバルトによる48時間処理は、TRPV3およびTSP1の mRNAレベルを強く誘導した(図4A)。
細胞内カルシウム濃度は、コントロール条件または塩化コバルトの存在下で増殖させたC4−2細胞において測定した。30分後に変化のなかった静止レベルは、塩化コバルトの存在下で48時間培養した細胞では2倍以上増加した(図4B)。
本発明のインビトロのデータは、細胞の増殖または生存に影響を与えることなく、C4−2またはPC3細胞の遊走が、TRPV3またはTSPの1サイレンシングによって強く損なわれることを立証するものである。インビボでのTSP1およびTRPV3の役割を探求するために、C4−2細胞をヌードマウスに異種移植した。腫瘍が指数関数的に増殖しはじめた時に、マウスは、処置用に無作為化され、毎日、PBSのi.p.注射、あるいはPBSで希釈した120μg/kgのコントロール−または、TSP1−、もしくはTRPV3−siRNAのいずれかのi.p.注射を受けた。TSP1−またはTRPV3−siRNAで処理したマウスの腫瘍の増殖は著しく阻害された(図5A)。同様に、TRPV3およびTSP1−siRNAは両方とも、異種移植したPC3腫瘍の増殖を抑制した(図5B)。
C4−2腫瘍では、TRPV3−またはTSP1−siRNAによる処理によって、対応する標的mRNAレベルが、コントロールと比較して、有意に減少された(図5D、5E)。
TSP1−またはTRPV3−iRNAで処置したC4−2およびPC3腫瘍は、より小さくなり高度に壊死していたが(図5F)、非壊死領域でのそれらの微小血管の血液の密度(MVD)はコントロールよりも有意に高かったので、TSP1は、CRCaPおよびAICaP腫瘍において血管新生をなお抑制したことを示している。MVDの増加は、TSP1−siRNAで処理した腫瘍におけるVEGFの発現低下と並行しており(図5G)、低酸素状態の低下を示している。この結果で、TSP1は、C4−2およびPC3腫瘍において抗血管新生特性をなお発揮していることが立証される。
インビボで観察された抗腫瘍効果は非特異的免疫応答に関連していなかったことを確認するために、マウスに、腹腔内経路で一回注射によりTSP1a−siRNAもしくはTRPV3b−siRNA、または、ポジティブコントロールとして使用した、TLR3の既知リガンドであるポリ(I:C)を投与した。すべての注射は、PBSで希釈したsiRNAを4mg/kgの用量で実施した。注射から5時間後、自然免疫応反応または炎症に関与するいくつかの遺伝子をコードするmRNAを、定量的リアルタイムRT−PCTで定量した。ポリ(I:C)による処置のみが、TLR3、TLR7、IL6、IL12b、IFNβ、IFNγ、およびIP10の有意な増加を誘導するが、TSP1−siRNAもTRPV3−siRNAも同一量の、腫瘍実験で使用されているより33倍高い用量で、これらのTLRおよびサイトカインを誘導しなかった(図5H)。これらの結果は、インビボでのTSP1−siRNAまたはTRPV3−siRNAの注射によって観察された抗腫瘍効果は、自然免疫の刺激によって起こり得るものではないことを立証している。
TSP1 mRNA発現は、手術前に放射線療法および/またはホルモン除去の治療を受けていない、臨床的に限局性前立腺癌の患者からの26個の冷凍された根治的前立腺全摘除術標本で検討した。腫瘍および腫瘍周辺組織を対として18検体で分析した。平均TSP1 mRNAレベルは、腫瘍に比べて腫瘍周辺組織で有意に高かったので(表1)、TSP1の発現は未治療のアンドロゲン依存性腫瘍において抑制されていることを確認した。
腫瘍または腫瘍周囲のTSP1 mRNAレベルと、患者の年齢、グリーソン(Gleason)スコアまたは手術前の血清PSAレベルとの間に有意な関連はなかった(表1)。腫瘍組織では、TSP1のmRNAレベルは、局所進行前立腺癌(pT3)患者に比べて、限局性疾患(pT2)患者で有意に低かった(表1および図6A)。腫瘍周辺組織においては、その差は統計的に有意ではなかったが、より高いステージの疾患の患者では、TSP1のmRNAレベルがより高くなる傾向がある。
Claims (20)
- 原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療用薬剤を製造するための使用であって、
- TSP1タンパク質の発現、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質の発現
を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現の阻害剤、
あるいは、
- TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはその活性を媒介するタンパク質の活性
を阻害する少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤
の使用。 - タンパク質発現の阻害剤が、TSP1、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8、CD36、またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する請求項1に記載の使用。
- タンパク質発現の阻害剤が、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は
- 前記オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列との40%未満のミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)であるか、あるいは、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチド配列はその3'または5'末端のいずれかにおいて、ハイブリッドを越えて延長する一本鎖末端を形成する1〜5個の不対ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチド配列(a)のハイブリッドの内側部は、
- オリゴヌクレオチド配列(b)に相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列と40%未満ミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である、
請求項1または2に記載の使用。 - 原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗血管新生剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用、
あるいは、
原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用、
あるいは、
原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗血管新生剤と、
- 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用。 - 前記薬剤が、放射線療法または化学療法などの抗腫瘍治療と組み合わせられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
- 原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍が、固形腫瘍またはリンパ増殖性腫瘍であり、前記固形腫瘍は、前立腺腫瘍、肝腫瘍、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成、神経膠腫などの脳腫瘍、乳癌、腎腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胸膜肺芽腫、カルチノイド腫瘍などの肺腫瘍、骨腫、骨軟骨腫、動脈瘤性骨嚢胞、および線維性異形成などの骨腫瘍、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、胃癌、大腸腫瘍、小腸腫瘍、食道腫瘍、膵臓腫瘍、肉腫、子宮頸癌、胆嚢腫瘍、メラノーマであり、前記リンパ球増殖性腫瘍は、白血病、リンパ腫、または多発性骨髄腫である請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
- 活性物質として、
- TSP1タンパク質の発現、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質の発現
を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現の阻害剤、あるいは、
- TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはその活性を媒介するタンパク質の活性
を阻害する少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤
を、薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせて含む医薬組成物。 - タンパク質発現の阻害剤が、TSP1、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8、CD36、またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する請求項7に記載の医薬組成物。
- タンパク質発現の阻害剤が、二本鎖オリゴヌクレオチドまたは一本鎖オリゴヌクレオチドである請求項7または8に記載の医薬組成物。
- タンパク質発現の阻害剤が、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は
- 前記オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列との40%未満のミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)であるか、あるいは、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチド配列はその3'または5'末端のいずれかにおいて、ハイブリッドを越えて延長する一本鎖末端を形成する1〜5個の不対ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチド配列(a)のハイブリッドの内側部は、
- オリゴヌクレオチド配列(b)に相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列と40%未満ミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である、
請求項7〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。 - 前記標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列が、15〜25個のヌクレオチドを含む請求項7〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記二本鎖オリゴヌクレオチドが、2つの前記オリゴヌクレオチド配列のそれぞれの3'末端において、ハイブリッドを越えて延長する1〜5個のヌクレオチド、好ましくは2〜3個のヌクレオチドを含み、特にハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドはデオキシチミジンである請求項7〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記標的配列が、配列番号41(TSP1)または配列番号42(TRPV3)で表される請求項7〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記二本鎖オリゴヌクレオチドが、以下の構成の対:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号9および配列番号10);(配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号39および配列番号40)(配列表参照)
から選択される請求項7〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。 - 前記活性物質が、0.05〜50mg/kg、特に0.1〜20mg/kgの範囲の用量で投与用に処方される請求項7〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
- 同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗血管新生剤と
を含むか、またはこれらからなる製品、
あるいは
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品、
あるいは
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗血管新生剤と、
- 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品
を活性物質として含む医薬組成物。 - 前記抗血管新生剤が、シレンジタイド、バンデタニブ、レナリドマイド、サリドマイド、三酸化ヒ素、ベバシズマブ、抗VEGFR−1、抗VEGFR−2、抗PDGFR、抗FMS−FLT−3、抗TK1を含む群から選択される請求項16に記載の医薬組成物。
- 前記抗腫瘍剤が、ベンダムスチン、テモゾロミド、メクロレタミン、シクロホスファミド、カルムスチン、シスプラチン、ブスルファン、チオテパ、またはダカルバジンのようなアルキル化剤;ペントスタチン、メトトレキサート、ペメトレキセド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、シタラビン、メルカプトプリンまたはチオグアニンのような代謝拮抗剤;ルビテカン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン塩酸、またはオキサリプラチンのような細胞障害性抗生物質;ビノレルビン、BMS 184476、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン、ドセタキセルタキソールのような植物誘導体を含む群から選択される請求項16または17に記載の医薬組成物。
- 以下の配列:
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40
から選択されるオリゴヌクレオチド配列。 - 以下の構成の対:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号9および配列番号10);(配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号39および配列番号40)
から選択される二本鎖オリゴヌクレオチド。
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