以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.システム
2.ハードウェア構成例
3.機能
4.動作シーケンス
(1.システム)
図1は本発明の一実施形態における位置情報管理システム1である。図1は、照明器具100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140、管理サーバ160、照明器具と無線端末と管理装置とから構成されるネットワーク180及びネットワーク190を有する。ここで、ネットワーク180は、管理装置140によって管理される無線ネットワークである。図2は、図1において無線ネットワークを構成する照明器具100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140を抜き出して示したものである。
照明器具100、102、104、106は、例えば部屋の天井等に取り付けられ、取り付けられた位置に係る、経緯情報、建物の階数及び棟番号のような位置情報(以下「位置情報」とする)そのものを連続的又は断続的に無線送信する。照明器具100、102、104、106は、それぞれが保持する位置情報を、無線信号により所定の範囲に送信する。所定の範囲は、用いられる無線信号の信号強度によって定められる。照明器具は、位置の管理対象となる領域をカバーするように配置され、それぞれの領域が重複しないように構成される。あるいは、重複する場合であっても、位置情報を受信する側において、受信電波の強度に基づいて、何れか一つの照明器具が決定できるよう構成される。図1の例では、それぞれの照明器具の下方に示される円錐型の点線が、所定の範囲を表している。位置情報を送信する通信方式として、例えば地上補完信号(Indoor Messaging System;IMES)を用いることができる。
無線端末120、122、124は、照明器具100、102、104、106のうち、最寄の照明器具が送信する無線信号を受信することができる。図1の例では、それぞれの無線端末は、位置を管理する対象である直方体の管理対象物に付されている。無線端末120、122、124は、自らも電波を送信可能な、例えばアクティブタグのような端末である。以下、無線端末120について説明する。
無線端末120は、照明器具100からの無線信号を受信できる範囲にあり、照明器具100の位置情報を受信する。照明器具100の位置情報の受信は、例えばIMESを用いて行われる。無線端末120は、受信した位置情報と共に、例えばネットワークアドレスのような自らの識別情報を含む情報を照明器具100へ送信する。該送信は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)のような近距離無線通信によるネットワーク180を通じて行われる。この場合には、無線端末120の識別情報として、IEEE802.15.4の短縮アドレスまたはIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。照明器具100へ送信された識別情報と位置情報は、次に、隣接する照明器具102を経由して、管理装置140に送信される。なお、無線端末120における送受信の動作は、当該無線端末120において予め定められたタイミングか、あるいは、当該無線端末120の備える加速度センサによる加速度の変化が検出されたタイミングで行われる。
管理装置140は、ネットワーク180とネットワーク190とを相互に接続し、ネットワーク180側から送信されたデータをネットワーク190にブリッジする。管理装置140は、例えば建物のフロア毎、または壁などで仕切られた部屋毎に設置される。ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)によるPAN(Personal Area Network)であり、ネットワーク190がIEEE802.3規格に基づくLANである場合には、それらの間での通信方式の変換を行う。また、無線端末120の識別情報がIEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づきIEEE拡張アドレスに変換し、管理サーバ160に送信する。
管理サーバ160は、管理装置140を経由して受信された識別情報と位置情報とを、受信日時と共に記録し、照明器具の位置を管理する。管理サーバ160では、無線端末に係る管理対象物が予め記録されている。よって、これらの情報を用いて、管理対象物の所在を探索することができる。
ネットワーク180は、それぞれの照明器具100、102、104、106と、無線端末120、122、124と、管理装置140とを接続する、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格によって構成されるPANである。PANがIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格で構成される場合は、無線端末、照明器具、管理装置は、それぞれZigBee(登録商標)規格で定められるエンドデバイス機能、ルータ機能及びコーディネータ機能を有する。そして、それぞれの照明器具及び無線端末は、起動時に管理装置の管理下に入り、PANを構成し、管理装置への最小経路が決定される。
ネットワーク190は、管理装置140と管理サーバ160とを接続するネットワークであり、例えばIEEE802.3規格で定められるLANである。
上記の通り、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1において、無線端末は、最寄の照明器具と通信できるだけの電力を用いて、識別情報と位置情報とを管理サーバへ送信することができる。また、無線端末及び管理サーバとの通信機能を照明器具に設けているため、通信機能に必要となる電源を供給するための新たなインフラの敷設が不要であり、導入コストを低減することができる。
なお、照明器具の位置情報は、ネットワーク180を通じて提供されてもよい。これにより、IMESの様な位置情報を送信するための送信手段が不要となる。
また、無線端末は、位置情報を送信した照明器具よりさらに近傍に管理装置が存在する場合には、識別情報と位置情報とを管理装置140に送信してもよい。これにより、最短経路で識別情報と位置情報が管理サーバに送信できる。
また、管理サーバに、管理装置の機能を統合してもよい。これにより、個別の管理装置が不要となる。
また、無線端末は、スマートフォン、PDA、PC又はスマートメータのような、アクティブタグと同等の機能を有する無線端末であってもよい。これにより、タグを付することなく、既存の無線端末の位置情報の管理が可能となる。
また、上述の位置情報に加えて、例えば部屋の中の区画を表す情報のような、より細かな位置を特定する情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
また、位置管理対象が人であってもよい。これにより、当該システム1によって人の所在を管理することができる。
また、ネットワーク180は、例えばBluetooth LE、ANT、Z-Wave等の近距離無線通信を用いて構成されてもよい。これにより、多様な無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
また、ネットワーク190は、例えばインターネットのような、複数の種類のネットワークを含んでもよい。これにより、ネットワーク180と管理サーバ160との間の物理的な位置に関係なく、無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
(2.ハードウェア構成例)
次に、位置情報管理システム1に含まれる照明器具100、無線端末120、管理装置140、管理サーバ160のハードウェア構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態における照明器具100が取り付けられる照明器具の外観構成を例示する図である。図3に示す様に、照明装置150は、直管型のランプであり、照明器具本体130に取り付けられる。
照明器具本体130は、例えば部屋の天井等に設けられる。照明器具本体130は、天井等に取り付けられる本体135と、照明装置150の端部がそれぞれ装着される第1ソケット131と第2ソケット133とを有する。第1ソケット131は、照明装置150に給電する給電端子132を有する。また、第2ソケット133は、照明装置150に給電する給電端子134を有する。照明器具本体130は、第1ソケット131及び第2ソケット133に両端部が装着される照明装置150に、内部に設けられている電源供給部から給電端子132,134を介して電源を供給する。なお、照明器具本体130は、例えば球型等の他の形状のランプが取り付けられる構成であっても良い。
照明装置150は、カバー151、両端部に設けられる口金152,154、接続端子153,155、内部に不図示の光源を有する。カバー151は、直管型の形状を有し、内部に光源を有する基板を収容する。口金152,154は、照明器具本体130の第1ソケット131又は第2ソケット133にそれぞれ装着される。接続端子153,155は、照明装置150が照明器具本体130に装着された時に、照明器具本体130の給電端子132,134に接続し、電力の供給を受ける。照明装置150の内部に設けられている光源は、接続端子153,155から供給される電力により発光し、カバー151を介して外部に光を照射する。
図4は、本発明の一実施形態における照明装置150を例示する斜視図である。なお、以降の図面では、ベース部161の表面に形成されている溝を省略して表示する場合がある。照明装置150のカバー151は、ベース部161、光源カバー部162を有する。ベース部161は、YZ断面が長手方向(X方向)において略同一の略半円筒形状で、例えば板金を折り曲げたり、アルミニウム合金やマグネシウム合金を用いて押出成型により形成される。光源カバー部162は、例えばアクリル樹脂等の樹脂材料で形成されてベース部161に取り付けられ、内部に設けられている複数の光源から照射される光を透過する。照明装置150のベース部161には、配線口163,164が設けられている。
図5は、本発明の一実施形態における照明装置150を例示する上面図である。図5に示す様に、配線口163,164は、ベース部161の長手方向(X方向)の両端部に設けられている。なお、配線口は、ベース部161の光源カバー部162に覆われていない部分に1つ以上設けられていれば良く、ベース部161の長手方向(X方向)における端部以外の異なる位置に設けても良い。また、本実施形態における配線口163,164は半円形状であるが、例えば円形、四角形等の異なる形状であっても良い。
図6は、本発明の一実施形態における照明装置150を例示する側面図である。照明装置150は、位置信号送信器158、無線通信器159、送信制御モジュール168、通信制御モジュール169を有する。
位置信号送信器158は、例えばIMESの様な測位信号を送出するアンテナを含む装置であり、当該照明装置150の位置情報を表す位置信号を無線端末に送信する。位置信号送信器158は、カバー151の外部に設けられ、配線口164を通る配線165により、カバー151のベース部161の内部に設けられている送信制御モジュール168に接続されている。送信制御モジュール168は、例えば位置信号送信器158による位置信号の送信を制御する回路を有する基板を含んで構成される。
無線通信器159は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。無線通信器159は、位置信号を受信した無線端末から、当該無線端末の識別情報と位置情報とを受信し、受信した識別情報と位置情報とを、無線端末の位置を管理する管理サーバへ送信する。無線通信器159は、カバー151の外部に設けられ、配線口163を通る配線166により、カバー151のベース部161の内部に設けられている通信制御モジュール169に接続されている。通信制御モジュール169は、例えば無線通信器159と無線端末又は管理サーバとの間の通信を制御する回路を有する基板である。
なお、本実施形態では2つの配線口を設けたが、配線口を何れか一方のみにし、位置信号送信器158又は無線通信器159の何れか一方のみを外部に設ける構成としても良い。あるいは、1つの配線口から、位置信号送信器158の配線165及び無線通信器159の配線166が通る構成とし、位置信号送信器158及び無線通信器159の両方をカバー151の外部に設けても良い。
図7は、本発明の一実施形態における照明装置150を例示する図5のA−A断面図である。図7に示す様に、照明装置150は、ベース部161、光源カバー部162を有する。ベース部161は、上記した様に、YZ平面の断面が長手方向(X方向)において略同一の略半円筒形状であり、内部に電源回路を含む電源モジュール171が設けられる。また、ベース部161の内部には、送信制御モジュール168、通信制御モジュール169等が設けられる。ベース部161は、外面である平面部172に、光源としてのLED素子156を有する基板157が設けられている。光源カバー部162は、断面が半円形状であり、基板157に設けられているLED素子156を覆う様にベース部161に取り付けられる。基板157のLED素子156は、ベース部161の内部に設けられている電源モジュール171から電源が供給されることで、光源カバー部162を介して外部に光を照射する。照明装置150を底面から見た図8に示す様に、基板157には、複数のLED素子156が長手方向(X方向)に配列されている。また、本実施形態に係る照明装置150は直管型の形状であるが、形状はこれに限るものではなく、例えば球型等の他の形状であっても良く、基板157の形状やLED素子156の配列、数等は照明装置150の形状に応じて適宜設定できる。
図9は、本発明の一実施形態における照明装置150を例示する上面図である。図9に示す例では、照明装置150のベース部161に、送信制御モジュール168及び通信制御モジュール169を出し入れ可能なモジュール挿入口167が設けられている。また、モジュール挿入口167には、開閉可能に設けられ、閉じた状態でモジュール挿入口167の端部に配線口163,164を形成する切り欠き175,176を有する蓋174、切り欠き178,179を有する蓋177が設けられている。図10は、蓋174,177が開いた状態の照明装置150を例示する図である。モジュール挿入口167を設けることで、送信制御モジュール168、通信制御モジュール169等をベース部161の内部に挿入し、例えばネジ止め、接着等による組み付けを容易に行うことが可能になる。なお、モジュール挿入口167の形状及び位置、蓋174,177の数及び形状等は、本実施形態に限るものではない。
図11は、本発明の一実施形態における照明器具100のハードウェア構成である。照明装置150は、CPU200、RAM202、ROM204、位置信号送信制御部206、位置信号送信部208、無線通信制御部210、無線通信部212、電圧変換部214、発光部215、電源制御部216、バス217を有する。
CPU200は、当該照明装置150における通信等の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM202は、CPU200のワークエリア等を構成する。ROM204は、CPU200が実行するプログラムに加えて、当該照明器具100の位置情報を記憶する。位置信号送信制御部206は、位置信号送信部208を介して当該照明器具100の位置情報を表す測位信号を送信するための処理を実行する。位置信号送信部208は、図6に示す位置信号送信器158である。無線通信制御部210は、無線通信部212を介して無線通信処理を実行する。無線通信部212は、図6に示す無線通信器159である。電圧変換部214は、例えばDC/DCコンバータであり、電源制御部216から供給される電源の電圧を、位置信号送信部208、無線通信部212を動作させるための電圧に変換する。発光部215は、図7,8に示すLED素子156が設けられた基板157である。また、電源制御部216は、例えば平滑回路及び電流監視回路であり、供給される電源を、発光部215を動作させるのに適したものに変換する。バス217は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における照明装置150は、無線端末120に対して位置情報を送信し、無線端末120から識別情報と位置情報を受信し、これらの情報を管理装置を介して管理サーバへ送信することができる。なお、上述したように、位置情報を無線通信制御部210と無線通信部212によって送信する場合には、位置信号送信制御部206と位置信号送信部208は不要となる。
また、図26は、本発明の一実施形態における照明装置150の駆動回路の概略ブロック図である。図26に示す様に、照明装置150の駆動回路は、第1電源入力部290、第2電源入力部294、駆動部298を有する。
第1電源入力部290は、接続端子153に接続し、照明器具130のソケット131の給電端子132から安定器を介して電源が供給され、電源のノイズを除去して平滑化した上で直流化して駆動部298に直流電源を供給する。第2電源入力部294は、接続端子155に接続し、照明器具130のソケット133の給電端子134から安定器を介して電源が供給され、電源のノイズを除去して平滑化した上で直流化して駆動部298に直流電源を供給する。照明装置150は、第1電源入力部290と第2電源入力部294の何れか一方の電源入力部から電源を供給されることができ、両方の電源入力部が同時に電源を供給されることもできる。
第1電源入力部290及び第2電源入力部294は、それぞれ保護部291,295、ノイズ除去部292,296、平滑部293,297を有する。保護部291,295は、異常電源の入力を防止することで、駆動部298及び発光部215を保護する。ノイズ除去部292,296は、供給される電源に外部から流入されるサージ及びノイズを除去して出力する。平滑部293,296は、ノイズ除去部292,296から入力される電源を平滑化し直流化して駆動部298に供給する。
駆動部298は、平滑部293,297の出力電源を昇圧又は降圧し、常に一定の大きさの電流を発光部215に供給する。
照明装置150は、例えば上記した構成により、接続端子153,155の何れか一方から電源が入力された場合にも、他方から電源が流出しないため、接触による電気事故を防止し、特別な電源工事を必要とせずに安全に取り付けることができる。また、入力される電源からノイズ等を遮断することで発光部215を保護し、安定した照明機能を提供できる。
図12は、本発明の一実施形態における無線端末120のハードウェア構成を表す。通信端末120は、CPU220、RAM222、ROM224、位置信号受信制御部226、位置信号受信部228、無線通信制御部230、無線通信部232、加速度検出制御部234、加速度検出部236及びバス238を有する。
CPU220は、当該無線端末120の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM222は、CPU220のワークエリア等を構成する。ROM224は、CPU220が実行するプログラムに加えて、当該無線端末120の識別情報や、照明器具100から受信した位置情報を記憶する。位置信号受信制御部226は、位置信号受信部228を介して、位置情報を表す測位信号を受信するための処理を実行する。位置信号受信部228は、例えばIMESのような測位信号を受信するアンテナを含む装置である。無線通信制御部230は、無線通信部232を介して無線通信処理を実行する。無線通信部232は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。加速度検出制御部234は、加速度検出部236を介して加速度の変化を検出する。加速度検出部236は、例えば加速度センサ又は慣性力や磁気を用いたモーションセンサである。バス238は、上記各部を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、照明器具100から位置情報を受信し、前記位置情報と共に自らの識別情報を照明器具100へ送信することができる。特に、無線端末が動かされたタイミングで送信又は受信の動作を行うことにより、効率的に識別情報及び位置情報を送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける、例えばタッチパネル、ダイヤルキー、キーボード、マウスのような入力装置及び対応する入力制御部を備えてもよい。さらに、スクリーンのような表示装置及び対応する表示制御部を備えてもよい。
また、無線端末120がGPSアンテナ及び対応する制御部を備える場合には、前記アンテナを用いてIMESによる測位信号を受信でき、ソフトウェアの改修のみによって当該位置情報管理システム1に対応させることができる。
また、加速度検出制御部234及び加速度検出部236は任意の構成要素である。加速度検出制御部234及び加速度検出部236を備えない場合には、当該無線端末120の送信又は受信の動作は、予め定められた間隔又は時刻においてなされる。
また、上述したように、位置情報が無線通信制御部230と無線通信部232によって受信される場合には、位置信号受信制御部226と位置信号受信部228は不要となる。
図13は、本発明の一実施形態における管理装置140のハードウェア構成を表す。管理装置140は、CPU240、RAM242、ROM244、無線通信制御部246、無線通信部248、有線通信制御部250、有線通信部252及びバス254を有する。
CPU240は、当該管理装置140の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM242は、CPU240のワークエリア等を構成する。ROM244は、CPU240が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。無線通信制御部246は、無線通信部248を介して無線通信処理を実行する。無線通信部248は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。有線通信制御部250は、有線通信部252を介して有線による通信処理を実行する。有線通信部252は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。バス254は、上記各部を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、照明器具100及び無線端末120を含むネットワーク180からの信号を、管理サーバ160を含むネットワーク190へと変換することができる。また、PANを構成するネットワーク180がZigBee(登録商標)である場合には、PANに参加するデバイスを管理するコーディネータの機能を有することができる。
図14は、本発明の一実施形態における管理サーバ160のハードウェア構成を表す。管理サーバ160は、CPU260、RAM262、ROM264、HDD266、通信制御部268、通信部270、表示制御部272、表示部274、入力制御部276、入力部278及びバス280を有する。
CPU260は、当該管理サーバ160の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM262は、CPU260のワークエリア等を構成する。ROM264は、CPU260が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。HDD266は、当該位置情報管理システム1で用いられる無線端末120の位置を管理するための情報を記憶する。通信制御部268は、通信部270を介して通信処理を実行する。通信部270は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。表示制御部272は、当該管理サーバ160上で実行される、位置管理に係るプログラムの処理内容に合わせて、表示部274に表示される内容を制御する。表示部274は、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイのようなディスプレイが含まれる。入力制御部276は、ユーザからの入力を受け付ける、キーボード、マウス等の入力部278からの信号を処理する。バス280は、上記各部を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末120の位置を管理し、該無線端末120の所在を探索することができる。
なお、HDD266は、テープドライブを含むあらゆる記憶装置であってもよく、あるいは、ネットワークを介してアクセス可能なストレージ領域であってもよい。
また、管理サーバ160は、上述した管理装置140が備える無線通信制御部及び無線通信装置を備え、管理装置140に代えて、その処理を行ってもよい。これにより、管理装置140を別途設ける必要がなくなる。
(3.機能)
図15は、本発明の一実施形態における照明器具100の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における照明器具100の照明装置150は、記憶手段300、通信手段304及び制御手段312を有する。
記憶手段300は、照明装置150の位置情報302を記憶する。位置情報302を記憶するためのテーブルの例を図19に示す。図19は、階数、緯度、経度、棟番号の項目を含む。階数は、照明装置150が設置される建物の階数を表す。緯度及び経度は、照明装置150の所在する位置の緯度及び経度を表す。棟番号は、照明装置150が設置される建物の棟番号を表す。図19の例では、照明装置150は、ある建物のC棟の16階に所在し、緯度が35.459555、経度が139.387110の地点に所在する。
通信手段304は、位置情報送信手段306、端末情報受信手段308及び端末情報送信手段310を有する。
位置情報送信手段306は、経緯情報、建物の階数、棟番号のような情報を含む位置情報302を、所定の範囲にある無線端末120に対して連続的又は断続的に無線送信する。位置情報302は、例えばIMESに規定されるフォーマットを用いて送信される。位置情報送信手段306は、例えば照明装置150が備える位置信号送信器158である。
端末情報受信手段308は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを受信する。端末情報送信手段310は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを、管理装置140を介して管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180がZigBee(登録商標)規格を用いてなされる場合には、前記送信は、照明装置150が保持するルーティング情報を用いて行われる。端末情報受信手段308及び端末情報送信手段310は、例えば照明装置150が備える無線通信器159である。
制御手段312は、当該照明器具100の照明装置150の動作を制御する。照明装置150が無線端末120及び管理装置140とZigBee(登録商標)を用いてPANを構成する場合には、照明装置150がルータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における照明器具100は、位置情報302を保持し、位置情報302を無線端末120に送信し、該無線端末120の識別情報と位置情報を受信して、該識別情報を管理装置140を通じて管理サーバへ送信することができる。
なお、位置情報302は、照明装置150の経緯座標、照明装置150が配置される建物のフロア情報及び照明装置150が配置される建物情報のうち少なくとも1つ以上を含んで構成される。また、位置情報302は、建物情報として、照明装置150が設置される建物名や、部屋の中の区画を表す情報のような追加の情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
図16は、本発明の一実施形態における無線端末120の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における無線端末120は、記憶手段320、通信手段326、加速度検出手段332及び制御手段334を有する。
記憶手段320は、識別情報322と位置情報324を有する。識別情報322は、当該無線端末120のネットワークアドレスのような、当該位置情報管理システム1上で無線端末120を特定可能な情報を含む。例えば、ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づく場合には、IEEE802.15.4の短縮アドレス又はIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。位置情報324は、照明器具100から送信された位置情報302である。位置情報324を記憶するためのテーブルの例を図20に示す。構成は図19と同様である。
通信手段326は、位置情報受信手段328と識別情報送信手段330を有する。
位置情報受信手段328は、照明器具100から送信された位置情報302を受信する。受信された位置情報302は、当該無線端末120の記憶手段320に保持される。
識別情報送信手段330は、当該無線端末120の識別情報322と共に位置情報324を照明器具100に送信する。位置情報324は、例えば図21のようなフォーマットにより照明器具100に送信される。図21のフォーマットでは、階数、緯度、経度、棟番号の各フィールドが、それぞれ9ビット、21ビット、21ビット、8ビットで表現され、IMES規格によって受信したメッセージの該当フィールドを繋げた形とする。各フィールドの表現形式はIMES規格に準ずる。実際には、このフォーマットに加えて、通信方式によって規定されるヘッダやチェックサム情報が付加されて送信される。通信方式として、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格が用いられる。
加速度検出手段332は、当該無線端末120の加速度の変化を検出する。加速度の変化は、例えば当該無線端末120が移動を開始した時、該移動が停止した時、又は傾きを検出した時等に検出される。検出された加速度の変化は、当該無線端末120の送信又は受信の動作のタイミングを決定するために用いられる。なお、当該加速度検出手段332は任意の構成要素である。
制御手段334は、位置情報受信手段328による位置情報の受信のタイミングと、識別情報送信手段330による識別情報322と位置情報324との送信のタイミングを制御する。送受信のタイミングは、加速度検出手段332による加速度の変化の検出に基づいて決定される。あるいは、当該無線端末120に予め設定された間隔あるいは時刻に基づいて決定されてもよい。また、送信と受信のタイミングは、それぞれ独立して決定されてもよい。さらに、制御手段334は、当該無線端末120が照明器具100及び管理装置140と共にZigBee(登録商標)によりPANを構成する場合には、当該無線端末120がエンドポイント機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、照明器具から位置情報を効率的に受信し、該位置情報と共に識別情報通信装置へ効率的に送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける入力手段や、ユーザに情報を提示する表示手段を備えてもよい。これにより、ユーザへの識別情報又は位置情報の提示や、ユーザからの識別情報又は位置情報の入力又は修正が可能となる。
図17は、本発明の一実施形態における管理装置140の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理装置140は、通信手段340、変換手段346及び制御手段348を有する。
通信手段340は、受信手段342と送信手段344を有する。受信手段342は、ネットワーク180に属する照明器具又は無線端末から送信されたデータを受信する。送信手段344は、当該管理装置140で変換された前記データを、ネットワーク190に属する管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づくPANである。また、ネットワーク190は、例えばIEEE802.3規格に基づくLANである。
変換手段346は、受信手段342がネットワーク180から受信したデータを、ネットワーク190に適合する形式に変換する。変換されたデータは、送信手段344によって、ネットワーク190を介して管理サーバ160へ送信される。ここで、前記データに含まれる、無線端末120の識別情報が、IEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づき、IEEE拡張アドレスに変換される。
制御手段348は、当該管理装置140の動作を制御する。当該管理装置140が照明器具100と無線端末120と共にZigBee(登録商標)規格によりPANを構成する場合には、当該管理装置140がコーディネータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、照明器具100及び無線端末120が属するネットワーク180と、管理サーバが属するネットワーク190との間の通信をブリッジすることができる。
図18は、本発明の一実施形態における管理サーバ160の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理サーバ160は、通信手段360、記憶手段366、入力手段370、表示手段372及び制御手段374を有する。
通信手段360は、受信手段362と送信手段364を有する。受信手段362は、管理装置140を通じて無線端末から送信された識別情報と位置情報とを受信する。受信された識別情報と位置情報は、記憶手段366に記憶される。送信手段364は、外部サーバ等に対して位置情報の提供を求められた場合に、該位置情報を前記外部サーバ等に送信する。
記憶手段366は、位置管理情報368を有する。位置管理情報368は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報に、受信時刻等の管理情報を付加した情報である。該情報を記憶するテーブルの例を図22に示す。図22は、識別情報、機器名、所有部署、緯度、経度、階数、棟、受信日時の項目を有する。識別情報は、当該識別情報を送信した無線端末120の、例えばIEEE拡張アドレスのような情報である。緯度、経度、階数、棟は、識別情報と共に受信された位置情報に対応する。受信日時は、管理サーバ160が当該情報を受信した日時である。機器名は、当該情報を送信した無線端末120が付される管理対象の名前又は無線端末120の機器名である。所有部署は、当該情報を送信した無線端末120を所有する部署名である。機器名及び所有部署の情報は、予め当該管理サーバ160によって、識別情報と関連付けられている。
入力手段370は、ユーザが位置情報を探索するために、ユーザからの入力を受け付ける。
表示手段372は、ユーザが位置情報を探索するための検索画面に係るGUIを画面上に表示する。検索画面の例を図24に示す。図24に示された「所在検索システム」では、記憶手段366に記憶された情報を元に、無線端末に係る所有部署と機器名を画面に一覧表示する。ユーザが、検索したい機器のチェックボックスを入力手段370を通じて選択すると、チェックマークが付される。検索したい機器に全てチェックマークを付けた後に「検索実行」ボタンを選択すると、検索が実行され、結果を表示する画面に切り替わる。図24の例では、ユーザが「営業1課」が所有する「UCS P3000」という機器を対象として検索を実行する例を示している。図25は、その検索結果の画面の例である。「検索実行」ボタンが選択されると、表示手段372は、記憶手段366に記憶されたデータを元に、「UCS P3000」が所在する「A棟4階」のフロア図と、その機器名及び受信日時を表示する。
制御手段374は、当該管理サーバの動作を制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末の位置を管理し、その所在を検索することができる。特に、無線端末の位置そのものを表す情報そのものを直接受信して管理することができ、位置の探索にかかる計算量を低減することができる。
なお、管理サーバ160は、管理装置160の有する変換手段346、制御手段348及び受信手段342と同様の機能を有し、管理装置160と同様の機能を有してもよい。これにより、管理装置160を個別に設ける必要がなくなる。
また、管理サーバ160によって記憶される位置管理情報368は、図22に示された情報と共に、あるいは該情報に代えて、無線端末が情報を送信した日時、経由した通信装置又は管理装置の識別子、情報の到着までにかかった時間又は電界強度を含む情報を記憶してもよい。これにより、より詳細な条件で位置情報を管理することができる。
また、管理サーバ160は、無線端末の過去の位置情報を記録してもよい。これにより、無線端末の移動を追跡することができる。
(4.動作シーケンス)
図23は、図1の構成における本発明の一実施形態における位置情報管理システム1の動作シーケンスを表す図である。図23では、加速度の変化を検知すると位置情報を受信し、識別情報を送信する無線端末120と、該無線端末120の属する領域に位置情報を送信する照明器具100と、PAN(IEEE802.15.4及びZigBee(登録商標))とLAN(IEEE802.3)とをブリッジする管理装置140と、管理サーバ160とで構成される例について説明する。照明器具100と、無線端末120と、管理装置140との間のPANは既に確立されているものとする。
ステップS800において、照明器具100は、IMES等を用いて位置情報を連続的又は断続的に送信する。
ステップS802において、無線端末120は、加速度の変化を検知する。
ステップS804において、無線端末120は、照明器具100から送信される位置情報を受信する。
ステップS806において、無線端末120は、受信された位置情報を記憶する。
ステップS808において、無線端末120は、識別情報と位置情報を照明器具100へ送信する。
ステップS810において、照明器具100は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報とを最小経路を通じて管理装置へ送信する。
ステップS812において、管理装置140は、照明器具100から受信した識別情報と位置情報を含む、ネットワーク180から送信されたデータをネットワーク190で適合する形式へと変換する。
ステップS814において、管理装置140は、ネットワーク190に適合する形式に変換された識別情報と位置情報を管理サーバ160へ送信する。
ステップS816において、管理サーバ160は、管理装置から受信した識別情報と位置情報を、識別情報に対応する無線端末の情報と共に登録する。
以上の手順により、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1は、無線端末が最寄の照明器具に対して効率よく識別情報と位置情報とを送信することにより、無線端末の消費電力を抑えることができる。
なお、既に述べたように、管理サーバ160が管理装置140の機能を統合して実行してもよい。この場合には、別個の管理装置140を設置する必要がなくなる。
また、無線端末が加速度検出手段332を備えていない場合には、ステップS802は実行されず、ステップS804における位置情報の受信は、所定の時刻又は所定の間隔で行われ得る。その後の処理は、ステップS806〜S816と同様である。
以上、実施形態に係る照明装置及び位置情報管理システムについて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。