以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る防災用開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっている防災用シャッター装置である。なお、本実施形態に係る防災用シャッター装置は、管理及び防災の併用シャッター装置となっている。すなわち、本実施形態に係る防災用シャッター装置は、出入口等の開口部を開閉するためにシャッターカーテンが開閉移動する管理用シャッター装置としての機能と、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動することにより建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、を有している。
図1には本実施形態に係るシャッター装置の全体が示されており、この図1は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、シャッターケース8が配置されており、このシャッターケース8は、図1のS2−S2線断面図である図2に示されているように、天井裏空間7に存在する下がり壁等の建物躯体9にボルト等の結合具10で結合されている。シャッターケース8の内部には巻取軸11が水平に収納配置され、この巻取軸11は、シャッターケース8の図1で示されている左右の側板部8A,8Bに回転自在に支持されている。したがって、シャッターケース8は、巻取軸収納ケースとなっている。また、図1に示されているように、巻取軸11の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段12を介して開閉機13が接続されている。巻取軸11を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機13は図2でも示されており、開閉機13の駆動軸14の回転力は、この駆動軸14に取り付けられた駆動スプロケットホイール12Aと、巻取軸11の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール12Bと、これらのスプロケットホイール12A、12Bの間に架け渡された無端ローラチェーン12Cとによる駆動力伝達手段12を経て巻取軸11に伝達される。
なお、本実施形態の開閉機13は、シャッターケース8の左右の側板部8A,8Bのうち、一方の側板部8Bに結合されたブラケット部材15に取り付けられている。
図2から分かるように、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻回されているとともに、シャッターカーテン1の上端は巻取軸11の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン1における巻取軸11より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ16に設けられたスリット17を通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール6にスライド自在に挿入されている。まぐさ16は、互いに対向配置されたまぐさ部材16A,16Bにより形成され、これらのまぐさ部材16A,16Bの間がスリット17となっている。
図3は、開閉機13の内部構造を示す断面図である。この図3に示されているように、開閉機13は、直流又は交流の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸14は、電動モータ装置18の回転する回転子18Aの中心に固定配置された回転軸となっている。この駆動軸14におけるブレーキ装置19側の端部には、円盤状の第1ブレーキ部材20が結合されている。ブレーキ装置19には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸21が設けられ、このブレーキ軸21には、第1ブレーキ部材20と軸方向に対面する第2ブレーキ部材22が結合されている。通常時のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、ばね23で電動モータ装置18側へ押圧されており、このため、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22との圧接によりブレーキ装置19はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置18の駆動軸14は、ブレーキ装置19の制動力のために回転しない。
一方、ブレーキ装置19に配置されているソレノイド24に通電されたときには、このソレノイド24の磁力により、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22はばね23に抗して電動モータ装置18から離れる方向へスライドする。このため、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22との圧接が解除され、ブレーキ装置19はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置18の駆動軸14は、コイル25への通電により回転できることになる。
図1で示した左右の建物躯体3のうち、一方の建物躯体3には、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、停止させることとを行わせるための操作装置30が取り付けられている。この操作装置30には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。また、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸11に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板1Bとを有したものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。
座板1Bが前述の天井部材5に配置されたまぐさ16の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号を受ける図示しない制御装置によりブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフとなる。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸11及び駆動軸14を正回転させて巻取軸11から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける上記制御装置により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19はばね23でオンに復帰する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号を受ける上記制御装置によりブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフになるとともに、上記制御装置により電動モータ装置18のコイル25に通電される。このため、駆動軸14は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段12を介して巻取軸11に伝達され、巻取軸11の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号を受ける上記制御装置により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、上記制御装置によりコイル25への通電が遮断される。
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける上記制御装置により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号を受ける上記制御装置により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、上記制御装置により電動モータ装置18のコイル25への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、シャッターケース8、さらにはまぐさ16等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、シャッターケース8、まぐさ16等は、シャッターカーテン1に対して不動となっている不動部材となっている。また、まぐさ16は、出入口2の上辺部を形成する部材となっている。
なお、以上のように正逆回転する巻取軸11に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
また、図3に示されているとおり、ブレーキ軸21における電動モータ装置18側とは反対側の端部にはレバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸21を貫通したものであって、ブレーキ軸21を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ装置18側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドする。このため、ソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このように第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、開閉機13に取り付けられている後述の自動閉鎖装置32によって行われる。この自動閉鎖装置32は、後述の説明で分かるように、シャッターカーテン1を駆動させる駆動装置になっている開閉機13を機械式に制御するための機械式制御装置となっている。
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このように第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機13は、手操作によってもブレーキ装置19をオフにすることができるようになっている。なお、手操作によってブレーキ装置19をオフにすることが必要とされない場合には、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
図4は、シャッターカーテン1の閉じ移動中にシャッターカーテン1の座板1Bが図1で示す障害物34に当接したときに、この障害物34を機械式に検知するための機械式障害物検知装置35を示す。機械式障害物検知装置35は、前述の不動部材となっているこのまぐさ16とシャッターカーテン1との間に架け渡された部分を有している架け渡し部材となっているロック用ワイヤー36と、可撓性を有するこのロック用ワイヤー36の一方の端部が結合され、この一方の端部を処理している第1処理装置37と、ロック用ワイヤー36の他方の端部が結合され、この他方の端部を処理している第2処理装置38と、ロック用ワイヤー36の長さの途中に配置され、シャッターカーテン1が障害物34に当接したときにロック用ワイヤー36を機械式にロックするための、言い換えると、シャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合した状態にするための機械式結合装置39と、を備えている。機械式結合装置39は、後述するように、シャッターカーテン1に取り付けられる。
このため、機械式結合装置39は、本実施形態では、シャッターカーテン1に配置され、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することにより、シャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械的に結合して、このロック用ワイヤー36に緊張力を作用させる装置となっている。また、上述の架け渡し部材となっているロック用ワイヤー36は、本実施形態における第2紐状部材でもあり、細長部材でもある。
第1処理装置37と第2処理装置38と機械式結合装置39は、ロック用ワイヤー36で連結された状態になっており、したがって、これらの装置37〜39を構成要素とする機械式障害物検知装置35は、取り扱い等が容易なユニットとなっている。
第1処理装置37には回転自在なリール40が設けられ、ロック用ワイヤー36の一方の端部が結合されているこのリール40にロック用ワイヤー36が巻回されている。リール40には、ぜんまいばね等による戻しばね41が連結されており、ロック用ワイヤー36がリール40を回転させてこのリール40から繰り出される際に、戻しばね41には戻し力が蓄圧される。また、ロック用ワイヤー36に弛みが生じたときには、戻しばね41に蓄圧された戻し力により、リール40はロック用ワイヤー36を巻き取る方向へ回転することになる。このため、第1処理装置37は、本実施形態において、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置となっている。
第2処理装置38には回動部材42が設けられており、この回動部材42に、ロック用ワイヤー36の他方の端部がコイルばね43を介して結合されている。
また、第1処理装置37と第2処理装置38は、前述したまぐさ16のまぐさ部材16Aにボルト又は溶接等で固定配置されたベース部材44の上面に配置されており、このため、第1処理装置37と第2処理装置38はベース部材44で連結されたユニット構造物45となっている。したがって、ロック用ワイヤー36をまぐさ16とシャッターカーテン1との間に架け渡す作業等を行うために、第1処理装置37と第2処理装置38をまぐさ16のまぐさ部材16Aに配置する作業は、ユニット構造物45をまぐさ16のまぐさ部材16Aにボルト又は溶接等で固定設置する作業を行うだけで終了することができ、この作業を容易に行えるようになっている。
また、上述したようにロック用ワイヤー36の他方の端部を、コイルばね43を介して第2処理装置38の回動部材42に結合するために、図2に示されているように、ロック用ワイヤー36はまぐさ16の前述したスリット17に通されている。
まぐさ16のまぐさ部材16Aにおける第1処理装置37と第2処理装置38の配置位置は、シャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能となっている。これについて説明すると、図4に示されているとおり、第1処理装置37の機枠46は、ベース部材44の側面部44Aに形成されている長孔47に挿入されたビス等の止着具48でこの側面部44Aに取り付けられている。このため、長孔47の長さ分だけ、ベース部材44における第1処理装置37の取付位置がシャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能となっている。さらに、第2処理装置38の機枠49の基板部49Aは、この基板部49Aに形成されている長孔50に挿入されたビス等の止着具51でベース部材44に取り付けられている。このため、長孔50の長さ分だけ、ベース部材44における第2処理装置38の取付位置がシャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能となっている。
これにより、ロック用ワイヤー36を、シャッターカーテン1に沿って鉛直に、かつシャッターカーテン1に接触させずに、ユニット構造物45と機械式結合装置39との間に架け渡すことができるようになっている。
なお、まぐさ16における第1処理装置37と第2処理装置38の配置位置をシャッターカーテン1の厚さ方向に調整可能する構造は、長孔47,50による方式のものに限定されず、例えば、ボルト等のねじ軸部材の回転を利用したねじ送り方式や、ガイド溝の途中に複数のストップ部材を配置したスライドアンドストップ方式等のものでもよい。
図4で示されている機械式結合装置39のケース55は、図4で示されている裏面部55A及び上面部55Bと、図5で示されている正面部55Cとを有する。すなわち、図4と図5では、機械式結合装置39の表裏が逆となっている。図6は、ケース55の内部に収納されている機械式結合装置39の構造を示す図5の正断面図である。図4に示されているように、ケース55の上面部55Bには、ロック用ワイヤー36が出入りする2個の孔56,57が形成され、また、図6に示されているように、ケース55の内部には、ロック用ワイヤー36を案内する2個の回転自在なローラ58,59がシャッターカーテン1の幅方向に離れて配置されているとともに、これらのローラ58,59と共にロック用ワイヤー36を案内するためのピン等による複数のガイド部材60も配置されている。
また、ケース55の内部には、ロック用ワイヤー36におけるローラ58とローラ59の間の部分(後述する折り返し部)36Aを上下から挟着するための挟着部材となっている第1レバー部材61と第2レバー部材62が配置され、これらの第1及び第2レバー部材61,62は、同一の支点軸63を中心に上下に揺動自在となった揺動部材になっている。
そして、これらの第1及び第2レバー部材61,62のうち、下側の第2レバー部材62は、本実施形態の機械式結合装置39における作動部材となっている。
上側の第1レバー部材61には、ねじりコイルばね64による下向きの押圧力が作用しており、また、この第1レバー部材61には下向きに湾曲形成された凸部61Aが設けられ、この凸部61Aがロック用ワイヤー36の上記の部分36Aに当たることにより、支点軸63を中心とする第1レバー部材61の下向きの揺動限が規定されるようになっている。また、上記の部分36Aが弛緩しているときに第1レバー部材61が支点軸63を中心として下向きに大きく揺動することを防止できるようにするために、ケース55には、第1レバー部材61における支点軸63側とは反対側の端部を受けるためのピン等によるストップ部材65が固定されている。
下側の第2レバー部材62における支点軸63側とは反対側の端部には、引っ掛け部材66が取り付けられており、この引っ掛け部材66の重量により、第2レバー部材62には支点軸63を中心とする下向きの揺動力が作用している。この引っ掛け部材66の端部には、フック状の引っ掛け部66Aが形成されている。また、第2レバー部材62には、上向きに湾曲形成された凸部62Aが設けられている。
また、上側の第1レバー部材61の下面と、下側の第2レバー部材62の上面には、言い換えると、これらのレバー部材61,62の互いに対面する面には、摩擦部材67,68が取り付けられている。これらの摩擦部材67,68は、第1レバー部材61と第2レバー部材62がロック用ワイヤー36の上記の部分36Aを挟着してロックするときに、この部分36Aとレバー部材61,62との間の摩擦力を大きくし、挟着ロックを一層確実なものにするためのものである。そして、上側の第1レバー部材61には下向きの突片部61Bが形成され、この突片部61Bと、ケース55の裏面部55Aとにより、ロック用ワイヤー36における上記の部分36Aが2個のレバー部材61,62の間から外れることが防止されている。また、第2レバー部材62の凸部62Aは、この第2レバー部材62が支点軸63を中心に上向きに揺動することにより摩擦部材67,68がロック用ワイヤー36の上記の部分36Aを挟着ロックする直前に、この部分36Aを上向きに押し上げることになり、これにより、摩擦部材67,68による上記の部分36Aの挟着ロックをさらに一層確実に行えるようにしている。また、下側の第2レバー部材62には、下向きに湾曲形成された凸部62Bが設けられている。
図7には、機械式結合装置39がシャッターカーテン1に取り付けられたときの正面図が示されている。図8は、図7のS8−S8線断面図であり、この図8には、前述したシャッターカーテン1の座板1Bの内部構造が示され、また、図8には、ロック用ワイヤー36及び機械式結合装置39が2点鎖線で示されている。シャッターカーテン1は、図1で説明したように、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、本実施形態における開閉体本体となっているカーテン本体1Aと、図8に示されているように、このカーテン本体1Aの下端部に設けられ、シャッターカーテン1のエンド部材となっている座板1Bとを有する。また、座板1Bは、カーテン本体1Aの下部に固定された固定部70Aと、この固定部70Aの下側に配置され、固定部70Aに対して上下方向に移動可能となっている可動部70Bとからなる。
また、本実施形態のシャッターカーテン1は、図7で示されているように、カーテン主部71Aと、カーテン副部71Bとを有し、カーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部70Aとによって構成されており、カーテン副部71Bは、座板1Bのうちの可動部70Bによって構成されている。したがって、このカーテン副部71Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部71Aは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部71Bは、本実施形態における開閉体副部となっている。
図8に示されているように、座板1Bの固定部70Aは、共に断面箱型となった内外の部材75,76で形成され、外部材75は、シャッターカーテン1の厚さ方向に分割配置された2個の分割部材75A,75Bで形成されており、これらの分割部材75A,75Bは、カーテン本体1Aの下端部にボルト、ナット等による結合具77で結合されている。また、内外の部材75,76の下面は開口部78となっており、この開口部78から座板1Bの可動部70Bの立上り部79の上端が固定部70Aの内部空間に挿入されている。立上り部79の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部79A,79Bが形成され、これらの延出部79A,79Bが、固定部70Aの内部材76の下端に形成された突片部76A,76Bの上面に乗ることにより、固定部70Aに対する可動部70Bの下側への移動限が規定される。
固定部70Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸80を中心に上下揺動自在となった揺動部材81が収納されており、この支点軸80は、上述の内部材76に一体に形成された部分となっている。また、図14で示されているように可動部70Bが固定部70Aに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が図1で示した障害物34に当接したときには、可動部70Bの立上り部79の延出部79Aが揺動部材81の突出片81Aを押し上げることになり、これにより、揺動部材81は支点軸80を中心に上向きに揺動する。また、座板1Bを構成している固定部70Aと可動部70Bは、図1で示した左右のガイドレール6まで延びる長さを有しており、揺動部材81も左右のガイドレール6まで延びる長さを有している。
そして、揺動部材81は、前述したようにカーテン副部71Bを形成している座板1Bの可動部70Bが上述のように上昇したときに、支点軸80を中心に揺動するため、この揺動部材81は、カーテン副部71B側の部材となっており、カーテン副部71Bは、前述したように開閉体副部であるため、揺動部材81は、開閉体副部の側の部材である開閉体副部側部材となっている。
図4で説明した機械式結合装置39は、図7で示されているように、座板1Bのうち、固定部70Aに組み込まれる。すなわち、機械式結合装置39は、シャッターカーテン1の前述したカーテン主部71Aを構成しているカーテン本体1Aと、座板1Bの固定部70Aとのうち、固定部70Aに配置される。図13は、図7のS13−S13線断面図であって、機械式結合装置39が配置された部分での座板1Bの断面図である。この図13で示されているように、座板1Bの固定部70Aを形成している内外の部材75,76の上面部及び正面部には、機械式結合装置39の配置位置と対応する位置において、切欠加工による開口部90が形成されており、この開口部90に機械式結合装置39が上から挿入されて固定部70Aに結合されている。
支点軸80を中心に上下方向に揺動自在となっている揺動部材81の突出片81Aには、図6で示した下側の第2レバー部材62の下向きの凸部62Bと対応する位置において、板材の折り曲げ品となっている押圧部材91が取り付けられている。このため、シャッターカーテン1の閉じ移動中に、この閉じ移動方向である下側に存在していた障害物34に座板1Bの可動部70Bが当接し、これにより、図14で説明したように、カーテン副部71Bとなっている可動部70Bの延出部79Aが揺動部材81を支点軸80を中心に上向きに揺動させたときには、凸部62Bを押圧する押圧部材91により、図15に示されているように、第2レバー部材62は支点軸63を中心に上向きに揺動する。これにより、第2レバー部材62に取り付けられている摩擦部材68は、ロック用ワイヤー36におけるローラ58とローラ59の間の部分36Aを上側へ押し上げることになる。
この押し上げにより、上側の第1レバー部材61は、この第1レバー部材61に取り付けられている摩擦部材67を介して支点軸63を中心に上向きに揺動することになり、この上向きの揺動によりねじりコイルばね64は圧縮されるため、ロック用ワイヤー36におけるローラ58とローラ59の間の部分36Aは、それぞれが共通の支点軸63を中心に揺動自在の揺動部材となっている2個のレバー部材61,62の摩擦部材67,68により上下から大きな荷重で挟着され、この挟着により、ロック用ワイヤー36の部分36Aはロックされることになり、この挟着ロックにより、シャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とが機械式結合装置39で機械式に結合された状態となる。
なお、図13に示されているように、座板1Bの可動部70Bが固定部70Aに対して最下降位置に達しているときには、揺動部材81の突出片81Aが可動部70Bの延出部79Aに当たることにより、支点軸80を中心とする揺動部材81の下向きの揺動が規制されるようになっている。
また、図11及び図12に示されているように、揺動部材81の突出片81Aに配置されている押圧部材91は、突出部81Aにビス等の止着具89で止着されたベース部91Aと、このベース部91Aからの折り曲げで形成された押圧部91Bと、この押圧部91Bと同じく、ベース部91Aからの折り曲げで形成された引っ掛け部91Cとを有する。押圧部91Bは、上述したように可動部70Bの延出部79Aが揺動部材81を支点軸80を中心に上向きに揺動させたときに、機械式結合装置39の作動部材となっている第2レバー部材62を、支点軸63を中心に上向きに揺動させるものとなっている。
また、図11から分かるように、押圧部材91の引っ掛け部91Cは、第2レバー部材62に取り付けられている前述の引っ掛け部材66の引っ掛け部66Aと上下方向に対向しており、このため、障害物34の除去等により可動部70Bが自重で下降し、揺動部材81が支点軸80を中心に下向きに揺動したときには、押圧部材91の引っ掛け部91Cは、第2レバー部材62に取り付けられている引っ掛け部材66の引っ掛け部66Aに上から引っ掛かることになる。このため、押圧部材91の引っ掛け部91Cによるこの引っ掛け作用により、第2レバー部材62は支点軸80を中心に強制的に下向きに揺動せしめられることになる。
したがって、揺動部材81に設けられている押圧部材91の引っ掛け部91Cと、第2レバー部材62に設けられている引っ掛け部材66の引っ掛け部66Aとにより、カーテン体副部側部材となっている揺動部材81と、機械式結合装置39における作動部材となっている第2レバー部材62とを連結された状態とするための連結手段88が構成されており、この連結手段88は、障害物34の除去等によりカーテン副部71Bとなっている座板1Bの可動部70Bがカーテン主部71Aに対して自重で下降したときに、揺動部材81と第2レバー部材62とを連結するものになっている。
また、本実施形態では、揺動部材81に設けられている引っ掛け部91Cは、第2レバー部材62を支点軸63を中心に上向きに揺動させるための押圧部材91の一部として形成されているため、それだけ部材点数の削減、構造の簡単化が図られている。
上述したように閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、2個のレバー部材61,62の摩擦部材67,68により、ロック用ワイヤー36の前記部分36Aが大きな荷重で挟着ロックされるようにするためには、シャッターカーテン1が障害物34に当接する前において、言い換えると、座板1Bの可動部70Bが固定部70Aに対して最下降位置に達しているときにおいて、揺動部材81の押圧部材91に対して機械式結合装置39が適切な上下方向の位置に配置されていることが重要である。機械式結合装置39を揺動部材81の押圧部材91に対して適切な上下方向の位置に配置することは、機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに取り付ける際に、この機械式結合装置39を固定部70Aにおける適切な上下方向の位置に取り付けることである。本実施形態には、機械式結合装置39を固定部70Aにおける適切な上下方向の位置に取り付けることができる工夫が施されている。
次に、この工夫について説明する。図4で示されているように、機械式結合装置39のケース55の両方の側面部には突片部55Dが形成され、これらの突片部55Dを利用して機械式結合装置39は座板1Bの固定部70Aに取り付けられる。これらの突片部55Dを利用した取付構造は同じであるため、一方の突片部55Dについての取付構造を図9により説明する。
固定部70Aの内部上面には、ベース部材92がリベット等の止着具93で結合され、このベース部材92には、固定部70Aを形成している前述の内外部材75,76に形成された孔94A,94Bを貫通して固定部70Aの上側へ突出しているねじ軸部材95が設けられている。このねじ軸部材95に1個又は複数個の座金96を挿入した後に、突片部55Dの孔55Eにねじ軸部材95を挿入する。ねじ軸部材95に挿入する座金96の枚数を変更したり、ねじ軸部材95に座金96を挿入しないことにより、固定部70Aにおける機械式結合装置39の上下方向の配置位置が調整されることになる。これにより、機械式結合装置39の配置位置を、揺動部材81の押圧部材91に対して適切な上下方向の位置に設定することができる。
このように機械式結合装置39が揺動部材81の押圧部材91に対して適切な上下方向の位置に配置されているか否かを確認できるようにするために、図7に示されているように、機械式結合装置39のケース55の正面部55Cには、窓孔55Fが形成されている。この窓孔55Fから、座板1Bの可動部70Bが固定部70Aに対して最下降位置に達しているときにおける前述した下側の第2レバー部材62の摩擦部材68と、ロック用ワイヤー36の前述した部分36Aとの間の上下方向の間隔を調べることができ、この上下方向の間隔が予め定められている適性範囲内の値になったときに、図9に示されているナット97をねじ軸部材95に螺合して締め付ける。これにより、機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに固定する。そして、窓孔55Fをテープ等の遮蔽部材で遮蔽し、ケース55の内部に塵埃等が侵入することを防止する。
これにより、機械式結合装置39は固定部70Aにおける適切な上下方向の位置に取り付けられることになり、この結果として、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときには、機械式結合装置39に設けられている2個のレバー部材61,62の摩擦部材67,68により、ロック用ワイヤー36の上記部分36Aを大きな荷重で挟着ロックできるようになる。
上述のように機械式結合装置39の配置位置を揺動部材81の押圧部材91に対して適切な上下方向の位置に設定するための構造は、以上の方式による構造に限定されない。
図10は、他の方式による構造を示している。この図10の構造では、図9の座金96の代わりにナット98が用いられている。このナット98は回転操作されることにより、ねじ軸部材95に沿って少しずつ上下動するため、ナット98の高さ位置により、機械式結合装置39の配置位置を揺動部材81の押圧部材91に対して一層適切な上下方向の位置に設定でき、また、固定部70Aにおける機械式結合装置39の高さ位置を微調整することもできる。
ナット98は1個でもよい。しかし、図10では、2個のナット98A,98Bが用いられており、これらのナット98A、98Bは、一方のナットを他方のナットに圧接できて、ねじ軸部材95におけるナット98A,98Bの高さ位置を固定できるダブルナットとなっている。このため、機械式結合装置39の配置位置を一層確実に固定することができることになる。
なお、以上のように機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに取り付けるための作業は、本実施形態のシャッター装置のシャッターカーテン1を、本実施形態に係るシャッター装置を設置する建物の図1に示す左右の建物躯体3に取り付けたガイドレール6に沿って上下に開閉移動自在とした後に行う。すなわち、図4で説明した前述の機械式障害物検知装置35を除くシャッター装置自体の設置作業が先に行われ、この後に、機械式障害物検知装置35の設置作業が行われる。この機械式障害物検知装置35の設置作業には、前述したユニット構造物45をまぐさ16に取り付ける作業と、機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに取り付ける作業とが含まれ、ユニット構造物45をまぐさ16に取り付ける作業と、機械式結合装置39を座板1Bの固定部70Aに取り付ける作業とのうち、どちらの作業を先に行ってもよく、これらの作業を同時(実質的に同時と言える場合を含む。)に行ってもよい。
本実施形態では、前述したようにロック用ワイヤー36と、第1処理装置37と、第2処理装置38と、機械式結合装置39とからなる機械式障害物検知装置35は、ユニット化されたものとなっているため、工場から本実施形態に係るシャッター装置が設置される建物へ搬送されたこの機械式障害物検知装置35についての設置作業を容易に行え、また、第1処理装置37と第2処理装置38はユニット構造物45となっていて、これらの第1処理装置37と第2処理装置38だけでもユニット化されているため、第1処理装置37と第2処理装置38をまぐさ16に取り付ける作業も容易に行える。
以上のように機械式結合装置39が座板1Bの固定部70Aに取り付けられることにより、不動部材である前述のまぐさ16に設置された図4の第1処理装置37と第2処理装置38に両端部が結合されたロック用ワイヤー36は、まぐさ16とシャッターカーテン1との間に架け渡されることになる。また、このロック用ワイヤー36は、機械式結合装置39で折り返されているため、図1に示されているように、まぐさ16からシャッターカーテン1へと延びる第1部分36Bと、シャッターカーテン1からまぐさ16へと延びる第2部分36Cとを有するU字形となる。そして、ロック用ワイヤー36のうち、機械式結合装置39と対応している図6や図15で示された前記部分36Aは、U字形のロック用ワイヤー36の折り返し部となる。
シャッターカーテン1が自重で閉じ移動したときは、ロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1の重量により第1処理装置37のリール40を回転させて、このリール40から繰り出されることになり、これにより、第1部分36Bと第2部分36Cのそれぞれの長さが長くなる。また、シャッターカーテン1が、前述の開閉機13の駆動軸14の回転で上方へ開き移動したときには、ロック用ワイヤー36には弛みが生ずるため、前述した戻しばね41の戻し力で上記とは反対方向へ回転するリール40によりロック用ワイヤー36は巻き取られ、これにより、第1部分36Bと第2部分36Cのそれぞれの長さは短くなる。このため、ロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1の開閉移動に対して追従することになる。
そして、ユニット構造物45の第1処理装置37は、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置となっている。
図16は、第1処理装置37と共にユニット構造物45を構成している第2処理装置38の内部構造を示している。この第2処理装置38には、前述したように、ロック用ワイヤー36の端部がコイルばね43を介して結合された回動部材42が設けられている。この回動部材42の回動方向は、水平な中心軸42Aを中心とする上下方向である。また、回動部材42の背後には、ぜんまいばね等による戻しばね100が配置されている。この戻しばね100の戻し力は、回動部材42をC方向へ回動させるように、すなわち、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cを引き上げる方向に回動部材42を回動させるように、回動部材42に作用している。
回動部材42の外周部の一部にはギヤ歯42Cが形成されており、このため、回動部材42は、一部にギヤ歯42Cが形成されたセクターギヤとなっている。このギヤ歯42Cは、回動部材42におけるシャッターカーテン1の厚さ方向の側(実質的に厚さ方向の側と言えるものを含む。以下同じ。)に設けられている。また、第2処理装置38には2個のロータリー式のダンパー102が配置され、これらのダンパー102は、回動部材42のギヤ歯42Cと噛み合うピニオンギヤ103を備えている。ピニオンギヤ103の回転中心軸104には、ワンウエイクラッチを介してダンパー102の内部に配置された複数のブレードが取り付けられており、回動部材42がC方向に回動することでピニオンギヤ103及び中心軸104がE方向に回転した場合には、ワンウエイクラッチを介してそれぞれのブレードが、ダンパー102の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により回動部材42は、C方向へ低速で回動することになる。一方、回動部材42がC方向とは逆のD方向に回動し、ピニオンギヤ103及び中心軸104がF方向に回転した場合には、この方向への回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、回動部材42は、D方向へは高速で回動することができる。
なお、ダンパー102は1個でもよい。しかし、本実施形態のようにダンパー102の個数を複数個とすることにより、回動部材42をC方向へ低速で回動させる上記の抵抗力を大きくでき、これにより、回動部材42のC方向への速度を所望する速度まで遅くすることができる。
また、回動部材42を、一部にギヤ歯42Cが形成されたセクターギヤとすることにより、回動部材42を全周にギヤ歯が形成されたギヤとした場合よりも、回動部材42の全体の上下寸法を小さくすることができる。これにより、第2処理装置38の上下寸法を、延いては、第1処理装置37と第2処理装置38で構成されている前述のユニット構造物45の上下寸法を小さくできるため、図2に示されているように、まぐさ16と前述のシャッターケース8との間の上下寸法が小さいスペースにユニット構造物45を有効に配置することができるようになる。
さらに、回動部材42を一部にギヤ歯42Cが形成されたセクターギヤとし、このギヤ歯42Cを、上述のように回動部材42におけるシャッターカーテン1の厚さ方向の側に設けることにより、第2処理装置38における回動部材42の配置位置を高い位置とすることが可能となるため、シャッターカーテン1を、回動部材42が座板1Bと干渉することをなくして、全開位置まで開き移動させることができるようになる。
また、ギヤ歯42Cは、回動部材42におけるシャッターカーテン1の側とは反対側に形成され、回動部材42におけるシャッターカーテン1と同じ側には、ギヤ歯42Cが形成されていない凹部42Dが形成されているため、これによっても、シャッターカーテン1の全開時において、回動部材42が座板1Bと干渉することをなくすことができ、また、シャッターカーテン1が開閉移動しているときには、回動部材42がカーテン本体1Aと干渉することをなくすことができる。
図17は、図1〜図3で示されている前述の自動閉鎖装置32の内部構造を示す正面図であり、図18は、この自動閉鎖装置32の内部構造を示す平面図である。自動閉鎖装置32は、火災発生時において、図1〜図3で示されている前述の開閉機13を機械式に制御することにより、全開位置に達していたシャッターカーテン1を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び/又は防火性を有しているシャッターカーテン1により図1の出入口2を閉鎖するためのものである。自動閉鎖装置32は、この自動閉鎖装置32の機枠110に設けられている図17のブラケット部110Aにより、開閉機13に取り付けられている。また、図18に示されているように、自動閉鎖装置32まで、この自動閉鎖装置32を制御するための第1制御用ワイヤー111、第2制御用ワイヤー112のそれぞれの端部が延設されている。これらの制御用ワイヤー111,112は、前述のロック用ワイヤー36と同じく、可撓性を有する紐状部材となっていて、細長部材ともなっている。
また、これらの制御用ワイヤー111,112は、可撓性を有するアウターケーブル114,115の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー111,112はアウターケーブル114,115により保護されている。
図16に示されているように、第2制御用ワイヤー112は第2処理装置38まで延びており、この第2制御用ワイヤー112の端部は、第2処理装置38の回動部材42に連結されている。したがって、第2処理装置38は、ロック用ワイヤー36と第2制御用ワイヤー112とを繋ぐための中継装置になっている。すなわち、ロック用ワイヤー36には、第2制御用ワイヤー112が第2処理装置38を介して延長部材として連結されている。また、図2に示されているように、第2制御用ワイヤー112及びこの第2制御用ワイヤー112が内部に挿通されたアウターケーブル115は、第2処理装置38が一部の構成要素となっている前述のユニット構造物45と開閉機13とが配置されている天井裏空間7において配線されている。
また、図16に示されているように、第2制御用ワイヤー112及びアウターケーブル115は、第2処理装置38の近くでは、第2処理装置38に対して斜めの向きとなっている。これにより、第2制御用ワイヤー112及びアウターケーブル115が、図2で示されているまぐさ16のまぐさ部材16Aとシャッターケース8とを結合している結合部材26と干渉しないようになっている。
図17及び図18に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、互いに対向する2個の立上り部110B、110Cが設けられており、これらの立上り部110B、110Cに形成された孔110D,110Eに、2個の立上り部110B、110Cに跨る長さを有している板状のスライド部材120がスライド自在に挿入されている。このスライド部材120の外周には、図18で示すばね121が巻回されており、このばね121のばね力により、スライド部材120には立上り部110B側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、図3で説明した開閉機13に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31AをA方向へ移動させる方向である。このため、スライド部材120は、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えするための切替部材となっている。また、ばね121は、ブレーキ装置19をオフする方向へスライド部材120を付勢する付勢手段となっている。
図3及び図17に示されているとおり、スライド部材120の前端に下向きに折曲形成された折曲部120Aには、作動部材122が取り付けられており、また、レバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材123が立設結合されている。スライド部材120がばね121のばね力によって前進した場合には、作動部材122が被作動部材123に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに図3で示したA方向への荷重が作用するようになっている。図17に示されているように、本実施形態では、作動部材122はボルト124の頭部124Aとなっているため、この頭部124Aを回転操作してボルト124をスライド部材120の折曲部120Aに対して進退させることにより、作動部材122と被作動部材123との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト124に螺合させておいたロックナット125を回転操作し、このロックナット125を折曲部120Aに圧接させることにより、被作動部材123に対する作動部材122の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
後述するように、一端(一方の端部)がスライド部材120に連結されている第1制御用ワイヤー111の他端(他方の端部)は、温度ヒューズ140を介して不動部材に連結されている。このため、前述したばね121によるスライド部材120の前進は止められている。このように、前進が止められているときにおけるスライド部材120の前端の位置は、図18で示す3個の位置H,I,Jのうち、H位置である。
図18に示されているとおり、自動閉鎖装置32には、マイクロスイッチ131が配置され、このマイクロスイッチ131には、ばねでマイクロスイッチ131から突出する方向へ付勢されている作動部材132が設けられている。また、スライド部材120には、第1制御用ワイヤー111側の部分において、ドグ部材130が取り付けられており、作動部材132はこのドグ部材130に当接している。
図17及び図18に示されているように、スライド部材120には、第1連結部126と第2連結部128が設けられた連結部材133が結合されている。そして、図19で示した具体的な構造を後述するレバー部材166に他方の端部111Bが連結されている第1制御用ワイヤー111の一方の端部111Aは、第1連結部126に連結されており、図4で示した第2処理装置38の回動部材42に一方の端部が連結されている前述の第2制御用ワイヤー112の他方の端部は、第2連結部128に連結されている。
図17から分かるように、第1連結部126は、第2連結部128よりも上下方向に長い長さ寸法を有しており、第1連結部126における第1制御用ワイヤー111の連結位置は、第2連結部128における第2制御用ワイヤー112の連結位置よりも高い位置となっている。すなわち、第1連結部126における第1制御用ワイヤー111の連結位置は、第2連結部128における第2制御用ワイヤー112の連結位置と上下方向に離間している。
また、図18から分かるように、スライド部材120における第1連結部126の結合位置は、スライド部材120における第2連結部128の結合位置に対し、スライド部材120のスライド方向と直交する方向に離間している。
このため、図17と図18から分かるように、第2制御用ワイヤー112と第1制御用ワイヤー111とは、スライド部材120のスライド方向に互いに平行して延びている。そして、スライド部材120における第1制御用ワイヤー111の端部の連結位置は、スライド部材120における第2制御用ワイヤー112の端部の連結位置に対し、スライド部材120のスライド方向と直交する方向である上下方向に離間し、かつ、スライド部材120のスライド方向と直交する方向である左右方向に離間している。
このように、本実施形態では、スライド部材120における第1制御用ワイヤー111の端部の連結位置は、スライド部材120における第2制御用ワイヤー112の端部(言い換えると、ロック用ワイヤー36の延長方向の端部)の連結位置に対し、スライド部材120のスライド方向と直交する方向に離間している。
なお、第1制御用ワイヤー111とスライド部材120との連結部分には、スライド部材120との連結が外れるのを防止するための抜け止め防止部材127が取り付けられている。また、ロック用ワイヤー36の延長方向の端部となっている第2制御用ワイヤー112の端部とスライド部材120との連結部分にも、スライド部材120との連結が外れるのを防止するための抜け止め防止部材129が取り付けられている。
本実施形態では、第1制御用ワイヤー111は、第1紐状部材となっており、ロック用ワイヤー36は、第2紐状部材となっている。また、ロック用ワイヤー36には、第2制御用ワイヤー112が中継装置である第2処理装置38を介して延長部材として連結されている。このため、本実施形態では、第2制御用ワイヤー112は、第3紐状部材となっている。そして、第2制御用ワイヤー112の端部が、ロック用ワイヤー36の延長方向の端部となっている。
また、シャッターカーテン1に配置されている機械式結合装置39は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することにより、シャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械的に結合してこのロック用ワイヤー36に緊張力を作用させるものとなっている。そして、前記緊張力がロック用ワイヤー36に作用することにより、このロック用ワイヤー36が第2処理装置38を介して連結されている第2制御用ワイヤー112にも前記緊張力が作用し、これにより、第2制御用ワイヤー112が連結されているスライド部材120が、ブレーキ装置19をオンする位置まで移動するようになっている。
図19は、第1制御用ワイヤー111の他方の端部の側の部分と不動部材との連結構造を示す図である。この図19に示されているように、第1制御用ワイヤー111の他方の端部の側の部分は、まぐさ部材16Aの上面16Cに取り付けられている支持部材150の立上部152に配置された案内部材153に案内されるとともに、この立上部152に形成された孔152Aに挿通される。そして、第1制御用ワイヤー111の他方の端部の側の部分は、まぐさ部材16Aの上側に配置されていて、回転軸155を中心に回転自在となっている第1ローラ154と、まぐさ部材16Aの下側に配置されていて、回転軸158を中心に回転自在となっている第2ローラ157と、に掛け回された後、まぐさ部材16Aの下側に配置されていて、揺動中心軸である軸部材165を中心に揺動自在となっている揺動部材であるレバー部材166に、第1制御用ワイヤー111の他方の端部111Bが連結される。なお、第1ローラ154に掛け回された第1制御用ワイヤー111の他方の端部の側の部分は、図19に示されているように、第1ローラ154の支持用ブラケット156の底部に形成された孔156Aと、前記支持部材150の底部151に形成された孔151Aと、まぐさ部材16Aに形成された孔16Eとに挿通された後、第2ローラ157に掛け回される。
本実施形態では、第1制御用ワイヤー111の他方の端部111Bが連結されているレバー部材166は、まぐさ部材16Aの下面16Dの近傍に配置されている温度ヒューズ140を介して、不動部材となっているまぐさ部材16Aの下面16Dに取り付けられていてレバー部材166を収納するためのケース部材159に連結(言い換えると、係止)している。このため、第1制御用ワイヤー111の他方の端部111Bは、温度ヒューズ140とケース部材159を介して、まぐさ部材16Aに連結していることになる。
次に、第1制御用ワイヤー111の他方の端部111Bとまぐさ部材16Aとの連結構造について詳細に説明する。
前述したように、第1制御用ワイヤー111の他方の端部111Bが連結されているレバー部材166は、揺動中心軸である軸部材165を中心に揺動自在となっており、この軸部材165は、図19に示すように、ケース部材159の底部160に取り付けられたベース部材161に支持されている。このため、ベース部材161は、まぐさ部材16Aやケース部材159と同様に、シャッターカーテン1に対して不動となっている不動部材である。
図20は、ベース部材161の平面図である。この図20に示されているように、ベース部材161は、底部162と、この底部162におけるベース部材161の長手方向である長さ方向と直交する方向である幅方向の両端部から立ち上がる立上部163,164とを有する略チャンネル状となっている。それぞれの立上部163,164には、互いに対向する丸孔163A,164Aが形成されており、これらの丸孔163A,164Aに前述したレバー部材166の揺動中心軸となる軸部材165が挿通され、この軸部材165は、ベース部材161の立上部163,164との間に架設されることになる。
図21は、レバー部材166の平面図であり、図22は、図22のS22−S22線断面図である。
これらの図21及び図22から分かるように、レバー部材166は、板材の折り曲げにより形成され、上面部167と、この上面部の長手方向である長さ方向と直交する方向である幅方向の両端部から下方にそれぞれ延びる側面部168,169とを有しており、後端部は、内側に丸く折り曲げられたカール部170となっている。また、図22に示されているように、レバー部材166の上面部167は、後端部から長手方向中央部まで上向きに傾斜した第1傾斜部171と、前記中央部から下向きに傾斜した第2傾斜部172と、この第2傾斜部172から水平に延びる水平部173とからなっている。そして、第1傾斜部171には、2個の丸孔171A,171Bが形成されており、これらの丸孔171A,171Bに第1制御用ワイヤー111の他方の端部11Bが連結(係止)されるようになっている。また、水平部173には、長手方向への長さを有する長孔173Aが形成されている。長孔173Aの周縁部173Cにおけるこの長孔173Aの長辺方向中央部には、この長辺方向と直交する方向に渡る窪み部173Bが、長孔173Aを跨って形成されている。
図23は、図20に示すベース部材161に、図21及び図22に示すレバー部材166が取り付けられたときを示す図である。なお、図23において、ベース部材161が取り付けられているケース部材159の底部160の表示は省略されている。
図23に示すように、レバー部材166の幅寸法は、ベース部材161の側面部を形成する2個の立上部163,164の間隔よりも小さくなっており、このため、レバー部材166は、ベース部材161の2個の立上部163,164の間に配置される。前述したように、レバー部材166の後端部はカール部170となっており、このカール部170に形成された孔と、ベース部材161の立上部163,164に形成された丸孔163A,164Bとに、軸部材165が挿通、固定されることにより、レバー部材166は軸部材165を中心に揺動自在となる。
ベース部材161の底部162におけるこのベース部材161に取り付けられた図22に示す水平姿勢時のレバー部材166の長孔173Aと対応する位置には、この長孔173Aと略同じ形状、寸法を有する図20及び図23に示す長孔162Aが形成されている。言い換えると、ベース部材161に取り付けられ、図22に示す水平姿勢となっているレバー部材166におけるベース部材161の底部162の長孔162Aと対応する位置には、この長孔162Aと略同じ形状、寸法を有する長孔173Aが形成されている。
また、図19や、図23のS24−S24線断面図である図24に示されているように、ベース部材161が取り付けられているケース部材159の底部160におけるベース部材161の底部162の長孔162Aと対応する位置にも、この長孔162Aと略同じ形状、寸法を有する長孔160Aが形成されている。
上述したケース部材159の底部160の長孔162Aと、ベース部材161の底部162の長孔162Aと、レバー部材166の上面部167の長孔173Aに、具体的な構造を後述する温度ヒューズ140の一部が挿通されるようになっている。
このように、本実施形態では、ケース部材159の底部160の長孔160Aと、ベース部材161の底部162の長孔162Aは、第1長孔となっており、レバー部材166の長孔173Aは第2長孔となっている。
図25は、本発明の一実施形態に係る温度ヒューズ140の斜視図であり、図26は、図25のS26−S26線断面図である。図25や図26から分かるように、温度ヒューズ140は、第1部材141と第2部材144の2つの部材で構成されている。
図25に示されているように、板材で形成されている第1部材141は、幅広となっている頭部142と幅狭となっている胴部143とを有する略T字状となっている。一方、板材の折り曲げにより形成されている第2部材144は、断面形状が略U字状となっており、それぞれの側面部145,146の幅寸法(第1部材141の長手方向である上下方向と直交する方向である左右方向の寸法)は、第1部材141の頭部142の最大幅寸法L5よりも大きくなっている。また、互いに対向する2個の側面部145,146には、これらの側面部145,146の対向方向内側に突出する凸部145A,146Aが形成されている。
そして、図26に示すように、互いに対向する第2部材144の凸部145A,146A同士の隙間148に、第1部材141の胴部143の約下半分が挿入され、高熱で溶融する溶融部材であるはんだ149が、第2部材144の凸部145Aと第1部材141の胴部143との間、及び第2部材144の凸部146Aと第1部材141の胴部143との間に、それぞれ配設されることにより、第2部材144に第1部材141が溶着されることになる。この結果、第1部材141と第2部材144とで構成される温度ヒューズ140が形成される。なお、図26に示されているように、第2部材144の底部147には、この底部147に孔を開けてこの孔の周縁部を上向きに押し出し成形により形成された開口部147Aが設けられている。
図27は、図19に示されているときの温度ヒューズ140(ケース部材159、ベース部材161及びレバー部材166を含む)の縦断面図である。本実施形態では、火災が発生していない平常時においては、温度ヒューズ140は、図19や図27から分かるように、第1部材141の頭部142の底部142Aが、レバー部材166の上面部167を構成する水平部173の長孔173Aの周縁部に係止するとともに、第2部材144の上部である側面部145,146の上端面145B,146B(図25も参照)が、ケース部材159の底部160の下面160Bに当接するようになっている。
本実施形態では、温度ヒューズ140の取付作業は、レバー部材166が揺動自在に取り付けられたベース部材161をケース部材159の底部160に取り付けた後、このケース部材159をまぐさ部材16Aの下面16Dに取り付ける作業や、第1制御用ワイヤー111の他方の端部の側の部分を第1ローラ154と第2ローラ157とに掛け回した後、この第1制御用ワイヤー111の他方の端部111Bをレバー部材166の2個の丸孔171A,171Bとに連結させる作業が終了した後に行うことができる。すなわち、温度ヒューズ140の取り付け作業は最後に行うことができる。
図25で示されている温度ヒューズ140の頭部142の最大幅寸法L5は、図21に示すレバー部材166の長孔173Aの長辺方向の寸法(長辺寸法)L3よりも小さくなっているとともに、短辺方向の寸法(短辺寸法)L4よりも大きくなっている。また、温度ヒューズ140の頭部142の最大幅寸法L5は、レバー部材166の長孔173Aと同じ又は略同じ形状、寸法を有する図20に示すベース部材161の底部162の長孔162Aの長辺寸法L1よりも小さくなっているとともに、短辺寸法L2よりも大きくなっている。さらに、図示されていないが、温度ヒューズ140の頭部142の最大幅寸法L5は、レバー部材166の長孔173Aと同じ又は略同じ形状、寸法を有するケース部材159の底部160の長孔160Aの長辺寸法よりも小さくなっているとともに、短辺寸法よりも大きくなっている。これら3個の長孔160A,162A,173Aの中心位置は、一致又は略一致している。
このため、温度ヒューズ140の頭部142は、これら3個の長孔160A,162A,173Aに、ケース部材159の底部160の長孔162Aに下から挿通可能となっている。そして、これら3個の長孔160A,162A,173Aに頭部142を挿通した温度ヒューズ140を90度又は略90度回転させることにより、この頭部142をレバー部材166の長孔173Aの周縁部173Cに係止させることが可能となる。
本実施形態では、図19に示すように、温度ヒューズ140の第1部材141の頭部142の底部142Aを、レバー部材166の水平部173の長孔173Aの周縁部に係止させるとともに、温度ヒューズ140の第2部材144の側面部145,146の上端面145B,146Bを、ケース部材159の底部160の下面160Bに当接させる作業は、以下のように行う。
まず、温度ヒューズ140の頭部142の向きを、図23において2点鎖線で示されているように、頭部142の幅方向(厚さ方向と直交する方向)がケース部材159の底部160の長孔160Aの長辺方向と同じ又は略同じ(平行又は略平行)となるようにする。この後、この温度ヒューズ140の頭部142を、ケース部材159の底部160の長孔160A、ベース部材161の底部162の長孔162A、レバー部材166の水平部173の長孔173Aの順に、下から挿通していく。そして、頭部142全部(言い換えると、頭部142の底部142A)が、レバー部材166の上面部167を通過したら、温度ヒューズ140を90度又は略90度回転させる(回転方向(右回り、左回り)は任意)。なお、前述したように、第1制御用ワイヤー111の一方の端部111Aが連結されているスライド部材120の外周には、図17及び図18で示すばね121が巻回されており、このばね121のばね力により、スライド部材120には立上り部110B側への前進力が常時作用している。これにより、レバー部材166は、ばね121のばね力による第1制御用ワイヤー111の引っ張り力で上向きに揺動した姿勢となっているため、温度ヒューズ140の頭部142を、ケース部材159の底部160の長孔160A、ベース部材161の底部162の長孔162A、レバー部材166の水平部173の長孔173Aの順に、下から挿通するときには、レバー部材166が図19に示す姿勢となるようにこのレバー部材166を手で押し下げて下向きに揺動させる。
そして、温度ヒューズ140の頭部142を、ケース部材159の底部160の長孔162A、ベース部材161の底部162の長孔162A、レバー部材166の水平部173の長孔173Aに挿通し、温度ヒューズ140の頭部142の底部142Aが、レバー部材166の水平部173の長孔173Aの周縁部に係止するとともに、温度ヒューズ140の側面部145,146の上端面145B,146Bが、ケース部材159の底部160の下面160Bに当接した時点で、温度ヒューズ140から手を離す。
これにより、温度ヒューズ140は、頭部142がレバー部材166により上向きに引っ張られた状態(言い換えると、押し上げられた状態)となり、図19や図27に示すように、温度ヒューズ140の頭部142の底部142Aが、レバー部材166の水平部173の長孔173Aの周縁部に係止するとともに、温度ヒューズ140の側面部145,146の上端面145B,146Bが、ケース部材159の底部160の下面160Bに当接した状態となる。
なお、このとき、水平姿勢となっているレバー部材166の長孔173Aの周縁部173Cにおける90度又は略90度回転された温度ヒューズ140の頭部142の底部142Aが係止している部分は、図21及び図22から分かるように、窪み部173Bとなっている。すなわち、前述したように、レバー部材166の長孔173Aの周縁部173Cにおけるこの長孔173Aの長辺方向(レバー部材166の長手方向)の中央部付近には、この長辺方向と直交する方向に渡る窪み部173Bが、長孔173Aを跨って形成されている。
これにより、温度ヒューズ140の頭部142の底部142Aが、レバー部材166の長孔173Aの周縁部173Cでより確実に係止した状態となるため、温度ヒューズ140の頭部142が、レバー部材166の長孔173Aの周縁部で滑って回転し(すなわち、図23の2点鎖線で示された状態となり)、この温度ヒューズ140の頭部142が、レバー部材166の上面部167の長孔173A、ベース部材161の底部162の長孔162A、ケース部材159の底部160の長孔160Aから脱落しまうことが防止される。
前述したように、第1制御用ワイヤー111の一方の端部111Aは、図17及び図18に示すように、スライド部材120に連結されているが、上述したように、温度ヒューズ140の頭部142の底部142Aが、レバー部材166の水平部173の長孔173Aの周縁部173Cに係止するとともに、温度ヒューズ140の側面部145,146の上端面145B,146Bが、ケース部材159の底部160の下面160Bに当接することにより、スライド部材120の前進は止められており(阻止されており)、この前進が止められているときにおけるスライド部材120の前端の位置は、図18で示す3個の位置H,I,Jのうち、H位置である。
これにより、ブレーキ装置19は、オンの状態が保持されて、全開位置に達しているシャッターカーテン1の移動が保持されることになる。すなわち、平常時におけるシャッターカーテン1の全開状態が保持されることになる。
なお、第1制御用ワイヤー111は、図19に示されている状態において、第1制御用ワイヤー111の一方の端部111Aが連結されているスライド部材120の外周に巻き回されてばね121のばね力により、スライド部材120側への引っ張り力が働いている。
本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン1が全開となっているときに、火災が発生し、この火災による炎あるいは炎の熱がまぐさ16まで上昇すると、このまぐさ16のまぐさ部材16Aに配置されている図26や図27に示す温度ヒューズ140にも炎の熱が伝導することになる。
なお、前述したように、図26及び図27に示すように、温度ヒューズ140の第2部材144の底部147には、火災発生による熱を通過させるための開口部147Aが設けられているため、火災による炎あるいは炎の熱は、この開口部147Aを通過し、第1部材141と第2部材144とを溶着しているはんだ149に伝導し易くなっている。
はんだ149に伝導している熱の温度が所定以上になると、はんだ149が溶融することになり、これにより、図28に示されているように、温度ヒューズ140の第1部材141が第2部材144から分離することになる。これにより、レバー部材166は、上向きである矢印A方向に揺動するとともに、第1制御用ワイヤー111は矢印B方向へ引っ張られる。
この結果、第1制御用ワイヤー111の一方の端部111Aが連結されているスライド部材120は、ばね121のばね力で前進し、この前進は、連結部材133の前端が自動閉鎖装置32の機枠110の前述の立上り部110Bに当接することにより停止する。このときにおけるスライド部材120の前端の位置は、図18で示した3個の位置H,I,Jのうち、図19に示されているように、最前位置であるI位置である。
また、スライド部材120が前進すると、マイクロスイッチ131の作動部材132は、スライド部材120に取り付けられているドグ部材130の位置から外れるため、作動部材132がばねの付勢力で突出移動することによるマイクロスイッチ131からの信号が、図示しない外部の防災システムに伝達される。これにより、火災の発生で自動閉鎖装置32が作動し、シャッターカーテン1が閉じ移動を開始することが外部に報知されことになる。
以上のようにして自動閉鎖装置32のスライド部材120が前進すると、このスライド部材120の前端に設けられている作動部材122が、図3で示されている被作動部材123を介して開閉機13のレバー部材31の第1部分31Aを図3のA方向に押圧するため、前述したように、この第1部分31Aがレバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置19は、オフとなる。このため、全開となっていたシャッターカーテン1は、巻取軸11よりも下側の部分の座板1B等の自重により、前述した巻取軸11を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機13の前述した駆動軸14も駆動力伝達手段12を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉となることにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
このように、自動閉鎖装置32は、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えするための切替部材となっていて、ブレーキ装置19をオフする方向へ付勢手段であるばね121により付勢され、スライド自在となっているスライド部材120と、一方の端部111Aがスライド部材120に連結され、他方の端部111Bが温度ヒューズ140を介してシャッターカーテン1に対し不動となっている不動部材であるまぐさ部材16Aに連結されている第1制御用ワイヤー111と、を有し、平常時には、まぐさ部材16Aに連結された第1制御用ワイヤー111によってスライド部材120がブレーキ装置19をオンとする位置で停止することにより、シャッターカーテン1の停止状態が保持され、火災発生時には、温度ヒューズ140が溶断することにより、第1制御用ワイヤー111がまぐさ部材16Aから外れて、スライド部材120がばね121のばね力でブレーキ装置19をオフする位置まで移動することでシャッターカーテン1を閉じ移動させるものとなっている。
なお、図16で示されているロック用ワイヤー36の第2部分36Cの上端に、この上端をコイルばね43に連結するためのループ部36Dを形成するための結合具36Eを設ける場合において、この結合具36Eを押し潰し加工等することにより、結合具36Eの水平断面を、シャッターカーテン1の厚さ方向に細長くなった細長形状としておくことが好ましい。これによると、図4で示す機械式結合装置39を収納するためのケース55の上面部55Bに形成されていて、第2部分36Cが出入する孔57は、結合具36Eの細長方向と直交するシャッターカーテン1の幅方向に長い長孔になっているため、上述したようにシャッターカーテン1が全開位置まで開き移動した際に、結合具36Eの下面が、長孔57の外側部分となっているケース55の上面部55Bに当接することにより、結合具36Eの下面が長孔57の内部に侵入してシャッターカーテン1が所定以上に開き移動することを防止できる。
前述したように、火災の発生による炎の熱で温度ヒューズ140のはんだ149が溶融することにより、スライド部材120が前進し、シャッターカーテン1が全開位置から下向きに閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置32が図29で示した状態になっているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン1の下方に図1で示す障害物34が存在している場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン1の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部71Bが、言い換えると、シャッターカーテン1の座板1Bの下側部分を形成している前述の可動部70Bが障害物34に当接し、この可動部70Bの下降が停止する。
可動部70Bの下降が停止しても、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの前述した固定部70Aとで構成される前述のカーテン主部71Aは、下降するため、この下降により、可動部70Bによって構成されているカーテン副部71Bがカーテン主部71Aに対して相対的に上昇することにより、この上昇による前述のカーテン副部側部材となっている図14等で示した揺動部材81の支点軸80を中心した上向きの揺動と、図15等で示した機械式結合装置39の第2レバー部材62の支点軸63を中心とした上向きの揺動とにより、第1レバー部材61と第2レバー部材62は、摩擦部材67,68において、ロック用ワイヤー36の前述した折り返し部36Aを挟着し、この挟着によりロック用ワイヤー36をロックする。この挟着ロックにより、シャッターカーテン1と、本実施形態に係る架け渡し部材となっているロック用ワイヤー36とが、機械式結合装置39により機械式に結合された状態となる。
このように障害物34にカーテン副部71Bが当接し、このカーテン副部71Bがカーテン主部71Aに対して相対的に上向きに移動したときには、機械式結合装置39の第2レバー部材62は支点軸63を中心に上向きの揺動運動としての作動を行うため、この第2レバー部材62は、前述したように機械式結合装置39の作動部材となっている。
また、それまでのロック用ワイヤー36は、シャッターカーテン1の閉じ移動に追従して前述の第1処理装置37のリール40から繰り出されているため、閉じ移動しているシャッターカーテン1に対して、ロック用ワイヤー36には相対的な移動が生じている。そして、上述のように、ロック用ワイヤー36の折り返し部36Aが摩擦部材67,68で挟着され、ロック用ワイヤー36がロックされると、この相対的な移動がなくなるとともに、障害物34のへこみ変形に基づき、折り返し部36Aで折り返された状態になっているロック用ワイヤー36の第1部分36Bと第2部分36Cには、カーテン副部71Bよりも上側のシャッターカーテン1の部分の重量、すなわち、カーテン主部71Aの重量が作用するため、ロック用ワイヤー36には、特に、第2部分36Cには、大きな緊張力が作用する。
そして、ロック用ワイヤー36の折り返し部36Aは、図15に示されているように、第1レバー部材61と第2レバー部材62に設けられた摩擦力が大きい摩擦部材67,68で挟着ロックされるため、これらの摩擦部材67,68により、ロック用ワイヤー36が第1レバー部材61と第2レバー部材62に対して滑り移動することを阻止することができる。また、本実施形態では、第1レバー部材61と第2レバー部材62の揺動中心軸となっている前述の軸63は、第1レバー部材61と第2レバー部材62について共通化されているため、部材点数の削減により機械式結合装置39の構造を簡単化できるとともに、摩擦部材67,68同士の位置関係を適切に設定できることになり、このため、ロック用ワイヤー36の上記の折り返し部36Aを摩擦部材67,68で一層確実に挟着ロックできるようになっている。
さらに、障害物34へのシャッターカーテン1の当接が、前述の機械式結合装置39が配置された位置の下側で行われず、この機械式結合装置39の配置位置の下側からシャッターカーテン1の幅方向にずれた位置で行われ、このため、シャッターカーテン1における機械式結合装置39が配置された部分がシャッターカーテン1の閉じ方向へ少し移動しようとした場合には、第1処理装置37のリール40から繰り出されているロック用ワイヤー36は、摩擦部材67,68で挟着されている箇所が第1部分36B側から第2部分36C側へ移行するための移動を行おうとするが、この移動方向とは反対方向へ摩擦部材67,68の間隔は次第に小さくなっているため、ロック用ワイヤー36が第1レバー部材61と第2レバー部材62に対して滑り移動することを一層有効に阻止することができる。
また、本実施形態では、ロック用ワイヤー36の折り返し部36Aが摩擦部材67,68で挟着ロックされるときには、図15で示されているように、折り返し部36Aには、前述した複数個のガイド部材60のうちの1個のガイド部材60Aや、第2レバー部材62により、直線状となっていない迂回部36Fが形成されるようになっている。このため、障害物34がへこみ変形しない又は殆どへこみ変形しない硬質の物体であっても、ロック用ワイヤー36に迂回部36Fが形成されることにより、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cを引っ張ることができ、これにより、この第2部分36Cに大きな緊張力を作用させることができる。
以上のようにして、ロック用ワイヤー36が第1レバー部材61と第2レバー部材62に対して滑り移動することが摩擦部材67,68により阻止されて、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cに大きな緊張力が作用すると、図16で示した第2処理装置38の回動部材42は、この緊張力により、前述した戻しばね100に抗して図16のD方向に回動する。このときの回動は、ロータリー式のダンパー102のピニオンギヤ103をF方向に回転させるが、このF方向へのピニオンギヤ103の回転では、前述したとおり、ダンパー102に粘性流体による抵抗力は発生しない。このため、第2部分36Cに作用した緊張力により回動部材42は高速でD方向へ回動することになり、この回動部材42に一方の端部が連結されている第2制御用ワイヤー112は引っ張られることになる。
なお、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cは回動部材42に直接連結されておらず、これらの第2部分36Cと回動部材42との間には衝撃荷重緩衝用弾性部材となっている前述のコイルばね43が介設されているため、第2部分36Cに上述の大きな緊張力が瞬間的に作用しても、この緊張力が回動部材42に直接作用することはなく、緊張力を緩和させて回動部材42に作用させることができる。
上述のように第2制御用ワイヤー112が引っ張られると、この第2制御用ワイヤー112の他方の端部は、図29で示されているスライド部材120に連結されているため、スライド部材120は、第2制御用ワイヤー112から伝達される緊張力により、ばね121に抗しながら後退する。
したがって、第2制御用ワイヤー112は、シャッターカーテン1の自重に基づくロック用ワイヤー36からの緊張力を第2処理装置38から自動閉鎖装置32のスライド部材120へ伝達するための緊張力伝達部材となっている。また、第2処理装置38は、シャッターカーテン1の自重に基づくロック用ワイヤー36からの緊張力を第2制御用ワイヤー112に中継するための中継装置となっている。
上述のように第1制御用ワイヤー111が引っ張られたときに、前端が図18及び図29で示すI位置まで達していたスライド部材120は、スライド部材120の前端の位置が図18のH位置となる後退限まで後退せず、前端の位置がJ位置となる位置、すなわち、H位置とI位置との中間の位置で停止する。このときの状態が図30に示されている。
また、このときのスライド部材120の前端の位置は、I位置からJ位置へ後退しているため、このスライド部材120の作動部材122によって図3及び図17のレバー部材31の第1部分31Aが図3のA方向に押圧されていた荷重は、解除されることになる。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オフからオンに切り替えられることになる。そして、このブレーキ装置19のオンにより、開閉機13の前述の駆動軸14は回転できないため、シャッターカーテン1の上端が結合されている巻取軸11も回転することはできない。
したがって、障害物34に当接したシャッターカーテン1は、その当接位置で閉じ移動を停止することになる。この停止は、ロック用ワイヤー36を摩擦部材67,68で挟着ロックする第1レバー部材61と第2レバー部材62を備えた前述の機械式結合装置39や、同じく機械式となっている第2処理装置38、さらには機械式にスライドする自動閉鎖装置32の部材となっているスライド部材120、機械式にオンとなる開閉機13のブレーキ装置19等により構成されている機械式構造によって行われる。このため、シャッターカーテン1が閉じ移動を開始した後に、火災等の災害の発生を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物が停電になっても、閉じ移動中に障害物34に当接したシャッターカーテン1を機械的に停止させることができる。
そして、以上の説明から分かるように、図2で示されている開閉機13のブレーキ装置19と自動閉鎖装置32とにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、このシャッターカーテン1の閉じ移動を停止させるための閉じ移動停止装置200が構成されている。
また、本実施形態では、図1に示されているように、第2制御用ワイヤー112の一方の端部が連結されている第2処理装置38を備えるユニット構造物45と、第2制御用ワイヤー112の他方の端部が連結された自動閉鎖装置32とは、シャッターカーテン1の幅方向中央位置に対して同じ側へずれた位置に配置されている。このため、ユニット構造物45と自動閉鎖装置32とを、シャッターカーテン1の幅方向中央位置に対して互いに反対側の位置に配置した場合よりも、第2制御用ワイヤー112の長さを短くできることになる。これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34の当接したときに第2制御用ワイヤー112に作用する前述の緊張力を自動閉鎖装置32に瞬時に入力させることができ、シャッターカーテン1の閉じ移動を迅速に停止できることになる。
以上のようにして閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接し、開閉機13のブレーキ装置19がオンになった後に、障害物34が除去されると、シャッターカーテン1のカーテン副部71Bを構成している座板1Bの可動部70Bは、可動部70B自身の自重で下降するため、機械式結合装置39の第1レバー部材61と第2レバー部材62の摩擦部材67,68によるロック用ワイヤー36の挟着ロックは解除され、これにより、機械式結合装置39によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との機械式結合状態が解除される。
また、上述のように障害物34の除去によって可動部70Bが自重で下降すると、前述したようにカーテン副部側部材となっている図13及び図14等で示した揺動部材81が自重で支点軸80を中心に下向きに揺動し、この揺動により、揺動部材81に取り付けられている図11等で説明した押圧部材91も下降する。この押圧部材91には、図11及び図15に示されている前述の連結手段88を構成する引っ掛け部91Cが設けられており、この引っ掛け部91Cは、図11に示されているように、機械式結合装置39の前述した作動部材となっている第2レバー部材62に取り付けられた引っ掛け部材66の引っ掛け部66Aと上下に対向配置された状態になっているため、すなわち、第2レバー部材62よりも下側に配置された部材となっている揺動部材81に設けられている押圧部材91の引っ掛け部91Cは、第2レバー部材62に取り付けられた引っ掛け部材66の引っ掛け部66Aも上側となってこの引っ掛け部66Aと上下に対向配置された状態になっているため、揺動部材81の支点軸80を中心とした下向き揺動により押圧部材91も下降すると、引っ掛け部91Cの引っ掛け部66Aへの引っ掛け作用によって第2レバー部材62は支点軸63を中心に強制的に下向き揺動せしめられることになる。
したがって、第1レバー部材61と第2レバー部材62の摩擦部材67,68によるロック用ワイヤー36の挟着ロックが大きな荷重で行われ、このため、たとえ、第2レバー部材62の摩擦部材68の一部がロック用ワイヤー36の撚り目の間に侵入するなどして、第2レバー部材62の摩擦部材68がロック用ワイヤー36から分離しづらい状態になっていても、この分離を一層確実に行わせることができ、これにより、機械式結合装置39によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との機械式結合状態を一層確実に解除することができる。
なお、上述のように、第2レバー部材62の摩擦部材68の一部がロック用ワイヤー36の撚り目の間に侵入するなどにより、第2レバー部材62の摩擦部材68がロック用ワイヤー36から分離しづらい状態になっても、この分離を行わせることができるようにするために、第1レバー部材61と第2レバー部材62との間にばね等による弾性部材を介在させることにより、ロック用ワイヤー36から離れる方向である下向きの回動力をこの弾性部材の弾発力によって第2レバー部材62に常時作用させるようにしてもよい。このような分離手段は、上述の連結手段88と併用してもよく、連結手段88を採用せずにこの分離手段のみを単独で採用してもよい。
上述のようにして機械式結合装置39によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との機械式結合状態が解除されると、ロック用ワイヤー36に作用していた前述の緊張力は消滅し、このため、図16の戻しばね100による戻し力が作用している第2処理装置38の回動部材42は、図16のC方向に回動し、この回動により、第1制御用ワイヤー111によって後退方向へ引っ張られていた自動閉鎖装置32のスライド部材120は、前端の位置が図30で示すJ位置から図29で示すI位置へ移行する前進をばね121により行う。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オンからオフへ再度切り替られ、シャッターカーテン1は閉じ移動を再開することとなる。
また、第2処理装置38の回動部材42が図16のC方向に回動するときには、ロータリー式のダンパー102のピニオンギヤ103はE方向に回転し、このE方向についてはダンパー102に粘性流体による抵抗力が生ずる。このため、スライド部材120の前端の位置が図21で示すJ位置から図20で示すI位置へ移行すること、及びこの移行により開閉機13のブレーキ装置19がオンからオフへ切り替られることは、ダンパー102の遅延作用により、瞬時に行われない。したがって、障害物34の除去によりシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することは、障害物34の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、障害物34の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。
この説明で分かるように、ダンパー102を備えている本実施形態における第2処理装置38は、上述の遅延を生じさせるための遅延装置となっている。
なお、この遅延装置のダンパー102からの粘性流体の漏れがあっても、この粘性流体が図4で示すユニット構造物45から落下することを防止するために、例えば、ユニット構造物45のベース部材44の周囲に立ち上り壁を設けることにより、このベース部材44を皿形状としてもよい。
また、この遅延装置は、ダンパー102の代わりに、例えば、ぜんまい式タイマーを含む機械式手段を採用したものとしてもよい。この機械式手段によると、粘性流体式ダンパー102と異なり、環境温度に影響されることなく遅延時間をより正確に設定することができる。
また、図2には、前述したユニット構造物45の第2処理装置38と自動閉鎖装置32との間に架け渡された第2制御用ワイヤー112についての天井裏空間7での配線状態が示されている。第2制御用ワイヤー112は、前述したように、閉じ移動中に障害物34に当接したときのシャッターカーテン1の自重に基づく緊張力を自動閉鎖装置32に伝達するための緊張力伝達部材となっている。前述したまぐさ部材16Aには保護部材201の端部がビスや溶接等で結合され、この保護部材201は、水平となっている下面部201Aと、この下面部201Aにおけるまぐさ部材16A側とは反対側の端部に設けられた立上部201Bとを備えている。前述したアウターケーブル115の内部にスライド自在に挿通されている第2制御用ワイヤー112は、アウターケーブル115と共に、保護部材201の下面部201Aの上に載せられ、そして、立上部201Bにバンド部材202で止められて上方へ延出されている。
このため、第2制御用ワイヤー112のうち、第2処理装置38から延出された最初の部分112Aは保護部材201の下面部201Aに載せられているとともに、この部分112Aは、保護部材201により、この保護部材201の下方の外部環境から保護された状態となっている。
また、第2制御用ワイヤー112のうち、保護部材201の立上部201Bから上方へ延出された部分112Bは、前述したように巻取軸収納ケースとなっているシャッターケース8の内部に挿入され、そして、自動閉鎖装置32へと延びている。このシャッターケース8は、図1で示した左右の側板部8A,8Bと、図2で示した上板部8Cと、底板部8Dと、奥板部8Eとを有し、底板部8Dに、第2制御用ワイヤー112を上下に挿通させるための孔203が形成されている。
したがって、第2制御用ワイヤー112のうち、上記の部分112Bはシャッターケース8の内部に配線されているため、この部分112Bは、シャッターケース8により、このシャッターケース8の外部環境から保護された状態となっている。なお、シャッターケース8に、奥板部8Eとシャッターカーテン1の厚さ方向に対面し、シャッターケースの前面を塞ぐための前板部を設けてもよい。
そして、前述したように開閉機13のブレーキ装置19と自動閉鎖装置32によって構成されている閉じ移動停止装置200は、天井裏空間7に配置されており、この天井裏空間7と前述の出入口2とを仕切るための部材となっている天井部材5は、保護部材201の下方に配置されている。この天井部材5が配置される高さ位置は、シャッターケース8の下方でもある。
また、保護部材201は、上述のように下面部201Aの上に第2制御用ワイヤー112の最初の部分112Aを載せるためのものになっているため、保護部材201は、第2制御用ワイヤー112の配線箇所が示されている図1により理解できるように、左右のガイドレール6の間であって、第2制御用ワイヤー112が架け渡されている前述のユニット構造物45の第2処理装置38から自動閉鎖装置32までの配置位置と対応する位置に配置されている。また、図2に示されているように、ユニット構造物45は巻取軸11の真下又は略真下に配置されているため、保護部材201は、巻取軸11の真下又は略真下から自動閉鎖装置32の側へ延びるシャッターカーテン1の厚さ方向への幅寸法を有している。
前述したように、他方の端部111Bがレバー部材166に連結された第1制御用ワイヤー111は、図19に示されているように、第1ローラ154と第2ローラ157とに掛け回された後、まぐさ部材16Aの上面16Cに取り付けられている支持部材150の立上部152に配置された案内部材153に案内される。この後、アウターケーブル114の内部にスライド自在に挿通された第1制御用ワイヤー111は、図2に示されているように、第2制御用ワイヤー112と共に、立上部201Bにバンド部材202で止められて上方へ延出される。そして、第1制御用ワイヤー111は、第2制御用ワイヤー112と共に、底板部8Dの孔203に挿通されてシャッターケース8の内部に挿入され、自動閉鎖装置32へと延びている。そして、第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、図17及び図18に示されているように、スライド部材120に連結されている。このため、第1制御用ワイヤー111のうち、保護部材201から自動閉鎖装置32に至るまでの部分は、保護部材201の下方の外部環境と、シャッターケース8の外部環境から保護された状態となっている。
なお、第1制御用ワイヤー111はアウターケーブル114の内部に挿通されているため、天井部材5の施工作業等の作業時において、第1制御用ワイヤー111をアウターケーブル114により保護することができ、第1制御用ワイヤー111が損傷等することを防止できる。これと同様に、第2制御用ワイヤー112もアウターケーブル115の内部に挿通されているため、天井部材5の施工作業等の作業時において、第2制御用ワイヤー112をアウターケーブル115により保護することができ、第2制御用ワイヤー112が損傷等することを防止できる。
以上説明した実施形態において、シャッターカーテン1の重量は、シャッターカーテン1の幅寸法や、図1で示した出入口2の上下寸法に、言い換えるとシャッターカーテン1の開閉移動量に応じたものとなる。閉じ移動中に障害物34に当接したときのシャッターカーテン1の閉じ移動を停止させるためには、自動閉鎖装置32のスライド部材120を前進させるための前述のばね121を、シャッターカーテン1の重量に応じたばね力を有するものにしなければならず、このためには、ばね121として、シャッターカーテン1の幅寸法や出入口2の上下寸法と対応させて、適切なばね力を有するばねを選定すればよい。また、障害物34が除去され、適切な遅延時間が経過したときに、シャッターカーテン1の閉じ移動が再開されるようにするためには、前述の第2処理装置38に設けられるダンパー102の粘性流体の抵抗力を、シャッターカーテン1の重量に応じた抵抗力に、すなわち、シャッターカーテン1の幅寸法や出入口2の上下寸法と対応させて、適切な大きさの抵抗力に設定すればよい。
そして、ばね121のばね力やダンパー102の粘性流体の抵抗力に応じてシャッターカーテン1の重量を調整してもよく、この調整は、シャッターカーテン1の適切な箇所に、例えば、カーテン本体を形成するために上下に多数連設されるスラットのうちの最下部にスラットに重量調整用部材を取り付けるなどによって行うことができる。
また、図17で示されている自動閉鎖装置32のスライド部材120と、開閉機13のブレーキ装置19に設けられている被作動部材123との間にレバー部材等の中間部材を介在させ、スライド部材120の前進をこの中間部材を介して被作動部材123に伝達するようしてもよい。しかし、前述したように、スライド部材120の前進を被作動部材123に直接伝達するようにすると、ブレーキ装置19のオン、オフの切り替えを迅速に行えることになる。
また、シャッターカーテン1の重量が軽いなどの理由により、全開となっていたシャッターカーテン1に自重で閉じ移動を開始させることが不可能又は困難である場合には、シャッターカーテン1に、このシャッターカーテン1に設けられた受け部で受けられるウエイト部材の重量を作用させ、このウエイト部材を、ワイヤーやチェーン等による紐状部材によりまぐさ16等の不動部材に連結しておくことにより、全開となっていたシャッターカーテン1が、ウエイト部材の重量が補助力となって閉じ移動を開始するようにするとともに、所定位置までシャッターカーテン1が閉じ移動したときに、上記受け部材からウエイト部材が離れてこのウエイト部材が上記紐状部材で吊り下げられた状態になり、また、シャッターカーテン1が開き移動したときは、上記受け部材でウエイト部材が受けられてシャッターカーテン1が全開位置まで達するようにしてもよい。
さらに、図15で示されている機械式結合装置39の作動部材となっている第2レバー部材62の摩擦部材68は、第2レバー部材62に、例えば、長孔等により第2レバー部材62の長さ方向にスライド自在に取り付けてもよい。これによると、前述したように、第1レバー部材61と第2レバー部材62の摩擦部材67,68によるロック用ワイヤー36の挟着ロックが大きな荷重で行われ、このため、第2レバー部材62の摩擦部材68の一部がロック用ワイヤー36の撚り目の間に侵入するなどしても、障害物34の除去によりカーテン主部71Aに対してカーテン副部71Bが下向きに移動したときに、摩擦部材68がスライドすることにより、摩擦部材68がロック用ワイヤー36から分離させることができるようになる。
また、本実施形態では、シャッターカーテン1が全開となっているときに、図1で示した操作装置30の「閉」ボタンが操作されることによりシャッターカーテンが閉じ移動を開始し、この閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接した場合にも、前述と場合と同じく、機械式結合装置39の第1レバー部材61と第2レバー部材62は、摩擦部材67,68において、ロック用ワイヤー36の折り返し部36Aを挟着ロックし、機械式結合装置39がシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36とを機械式に結合するため、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cには、下向きの緊張力が作用することになる。
そして、このようにシャッターカーテン1の閉じ移動を、操作装置30の「閉」ボタンを操作することにより行った場合には、ロック用ワイヤー36の第2部分36Cの緊張力は、第2処理装置38の回動部材42と、第2制御用ワイヤー112とを介して自動閉鎖装置32のスライド部材120に作用することになる。これにより、シャッターカーテン1の閉じ移動を停止させることができる。
以上説明したように、本実施形態では、障害物34に当接したシャッターカーテン1の閉じ移動を機械式に止める機構が備えられているが、この機構により緊張力が作用するロック用ワイヤー36の延長方向の端部となっている第2制御用ワイヤー112の端部は、前述したように、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えするための切替部材となっているスライド部材120まで延びている。
すなわち、本実施形態では、図17及び図18に示すように、第2制御用ワイヤー112の端部は、第1制御用ワイヤー111の一方の端部111Aが連結されているスライド部材120まで延びている。
したがって、本実施形態では、自動閉鎖装置32には、スライド部材120とは別に、ロック用ワイヤー36の延長方向の端部が延びるスライド部材を設ける必要がなくなる。
このため、本実施形態によると、防災用シャッター装置に、障害物34に当接したシャッターカーテン1の閉じ移動を機械式に止めることができる機構を備えることができ、しかも、防災用シャッター装置の部品点数の削減化、構造の簡単化が図れるようになる。
また、本実施形態では、図17及び図18に示すように、第2制御用ワイヤー112と第1制御用ワイヤー111とは、スライド部材120のスライド方向に互いに平行して延びており、スライド部材120における第1制御用ワイヤー111の連結位置は、スライド部材120における第2制御用ワイヤー112の端部の連結位置に対し、スライド部材120のスライド方向と直交する方向又は略直交する方向に離間している。
このため、本実施形態によると、第2制御用ワイヤー112と、第1制御用ワイヤー111とが干渉するのを防止することができ、このため、第1制御用ワイヤー111と第2制御用ワイヤー112の配線作業を円滑に行うことができるようになる。
なお、以上説明した本実施形態において、第1制御用ワイヤー111の他方の端部111Bは、図19に示すように、中間部材であるレバー部材166に連結せずに温度ヒューズ140に直接連結するようにしてもよい。すなわち、第1制御用ワイヤー111の他方の端部111Bは、温度ヒューズ140の第1部材141の胴部143に巻き付ける等してもよい。この場合には、レバー部材166及びベース部材161は不要となり、温度ヒューズ140の第2部材144の上部である上端部145B,146Bが、ケース部材159の底部160の下面160Bに係止するのみとなる。
また、以上説明した本実施形態において、スライド部材120がブレーキ装置19をオンからオフに切り替える切替時期を遅延させるための遅延装置であって、ロック用ワイヤー36と第2制御用ワイヤー112とを繋ぐための中継装置にもなっている第2処理装置38を備えない場合には、ロック用ワイヤー36をスライド部材120に直接連結するようにしてもよい。
なお、以上説明した本実施形態に係るシャッター装置は管理及び防災併用シャッター装置であったが、本実施形態に係る装置は、防災専用のシャッター装置にも適用することができる。