JP2013253301A - 冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間圧延後の圧延材を高温にしても粒界酸化を抑えて、冷間圧延での歩留を向上させることができるようにする。
【解決手段】圧延材3に対して熱間圧延を行った後に冷間圧延を行うことによって冷延鋼板を製造するに際し、圧延材3は、C:0.08〜0.20質量%、Si:1.10〜2.00質量%、Mn:1.50〜3.00質量%を含有すると共に、残部はFe及び不可避的不純物とし、圧延材の温度がAr3変態点以上で熱間圧延の圧延を終了して、圧延材3を750℃〜600℃の温度で一旦巻き取って、10分〜30分で保持した後、巻き取った圧延材3を払い出ししながら20℃/sec以上の冷却速度で冷却し、550℃以下の温度で再び巻き取った熱間圧延材について、冷間圧延を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、自動車などに用いられる成形性に優れた高張力の冷延鋼板の製造方法に関する。
自動車などに用いられる高張力の冷延鋼板(高張力鋼板)は、熱間圧延を経て冷間圧延を行うことによって製造されるのが一般的であり、冷延鋼板の製造方法として特許文献1〜3に示す技術が開発されている。
特許文献1では、合金鋼素材を加熱し、粗圧延と仕上圧延とからなる熱間圧延を施し熱延板としたのち巻き取るにあたり、予め前記加熱の条件および前記粗圧延の条件から熱延板における粒界酸化層深さを推定し、該粒界酸化層深さを熱延板における必要スケール厚さtとして、仕上圧延の仕上圧延終了温度を規定の式を満足する必要最低仕上圧延終了温度TL以上としている。
特許文献2では、質量%でC:0.05〜0.20%、Si:0.5〜2.0%、Mn:1.0〜2.5%、残部にFeおよび不可避的不純物を含有する下地鋼を熱間圧延し、熱間圧延後に30℃/s以上の冷却速度で冷却し、かつ450〜580℃で巻き取ることによって、熱間圧延鋼板の粒界酸化深さを5μm以下にし、熱間圧延鋼板を冷間圧延している。
特許文献3では、C:0.05〜0.2%、Si:0.3〜2.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.15%以下、Al:0.01〜2.5%を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなる鋼を熱延する際に、650℃以上で仕上げると共に、Ar3変態点以下、650℃以上の温度で合計圧下率が50%以上の圧延を行ない、800℃以下、650℃以上の温度で一度巻き取り、10秒以上、10分以下の時間保持した後、巻き戻し、冷速20℃/sec以上で冷却し、再び500℃以下、300℃以上の温度で巻き取っている。
特許文献1〜3の他に、冷延鋼板(圧延材)の粒界酸化を防止する技術として、特許文献4に示すものがある。特許文献4では、鋼片の表面に酸化防止部材を塗布し、その表面の一部又は全部を鋼板で被覆して加熱し、粒界酸化を防止している。
特開2005−60768号公報 特開2008−231493号公報 特許第3842897号公報 特開昭56−26603号公報
上記した高強度の冷延鋼板は、冷延鋼板になる前の冷間圧延に導入する圧延材も強度が高い傾向にある。冷間圧延での圧延材の強度が高すぎる場合、冷間圧延を行う冷間圧延設備に大きな負荷をかけ、その影響で歩留が低下することから、冷間圧延前の圧延材の強度を事前に下げておく必要があり、前工程である熱間圧延での温度コントロールも重要となる。
しかしながら、上述した特許文献1には、熱間圧延での粒界酸化を防止して圧延材の亀甲状溝の発生を防止することが記載されているものの、冷間圧延における歩留を向上させるために、熱間圧延後の圧延材の温度管理をどのようにするか全く示されておらず、この技術を適用して冷間圧延の歩留を向上させることは難しいのが実情である。なお、特許文献1には、熱間圧延後の圧延材の巻取温度が600℃未満とする点が開示されているものの、この技術ではSi含有量が非常に低い0.35%を対象とした鋼を対象としたものであり、本発明で規定する冷延鋼板に適用することができない。
また、特許文献2〜4においても、冷間圧延前の熱間圧延における圧延材の巻取温度や
熱間圧延後の圧延材の温度、或いは、酸化防止部材を圧延材に塗布して圧延材の粒界酸化を防止することが開示されているが、いずれも、熱間圧延後に行う冷間圧延での歩留を向上させるという観点から操業条件などが示されておらず、これらの技術を用いても冷間圧延での歩留を向上させることができないのが実情である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、熱間圧延後に行う冷間圧延での歩留を向上させることができる冷延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の冷延鋼板の製造方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の冷延鋼板の製造方法は、圧延材に対して熱間圧延を行った後に冷間圧延を行うことによって冷延鋼板を製造するに際し、前記圧延材は、C:0.08〜0.20質量%、Si:1.10〜2.00質量%、Mn:1.50〜3.00質量%を含有すると共に、残部はFe及び不可避的不純物とし、前記圧延材の温度がAr3変態点以上で熱間圧延の圧延を終了して、前記圧延材を750℃〜600℃の温度で一旦巻き取って、10分〜30分で保持した後、巻き取った圧延材を払い出ししながら20℃/sec以上の冷却速度で冷却し、550℃以下の温度で再び巻き取った熱間圧延材について、冷間圧延を行うことによって冷延鋼板を製造することを特徴とする。
本発明によれば、熱間圧延後の圧延材を高温にしても粒界酸化を抑えることができ、冷間圧延での歩留を向上させることができる。
熱間圧延設備の下流側に設けられたホットランテーブルの全体図である。 熱間圧延後の圧延材の温度の推移を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る冷延鋼板の製造方法について、図面に基づき説明する。
冷延鋼板を製造するにあたっては、スラブなどの圧延材を熱間圧延装置に導入して熱間圧延を行い、熱間圧延終了後に圧延材を酸洗装置に導入して酸洗い処理を行う。そして、酸洗い後の圧延材を冷間圧延装置に導入して冷間圧延を行い、冷間圧延した圧延材に対して焼鈍処理等を行うことによって、冷延鋼板を製造する。
ここで、熱間圧延における下工程では、熱間圧延後の圧延材を冷却して、冷却した圧延材を巻き取り、巻き取った圧延材を再び冷却して再度巻き取るという処理(温度処理)を行う。熱間圧延の下工程における温度処理は、さらに下工程で行われる冷間圧延に様々な影響を及ぼすため、重要な処理とされている。
そこで、本発明では、熱間圧延と冷間圧延(酸洗い処理)との間で行う温度処理に着目したものである。熱間圧延後の温度処理は、熱間圧延装置の下流側に設置したホットランテーブルで行う。
まず、ホットランテーブルの構成について説明する。
図1は、熱間圧延装置の下流側、即ち、ホットランテーブルを示したものである。
図1に示すように、ホットランテーブル1には、仕上げ圧延機(仕上げミル)2で圧延された圧延材3の冷却を行う第1の冷却装置(第1冷却装置)4が配置されている。この第1冷却装置4の下流側には、第1冷却装置4で冷却された圧延材3を巻き取り且つ巻き取った圧延材3の払い出しを行う近接コイラ5が配置されている。また、近接コイラ5の下流側には、近接コイラ5から払い出された圧延材3を冷却する第2の冷却装置(第2冷却装置)6が配置され、さらに、第2冷却装置6の下流側には、圧延材3を巻き取る遠方コイラ7が配置されている。
言い換えれば、熱間圧延装置のホットランテーブル1は、2つのホットランテーブル(第1ホットランテーブル1a、第2ホットランテーブル1b)を有している。第1ホットランテーブル1aに第1冷却装置4が配置され、第2ホットランテーブル1bに第2冷却装置6が配置されている。第1ホットランテーブル1aと第2ホットランテーブル1bとの間に近接コイラ5が配備されていて、第2ホットランテーブルの下流側に遠方コイラ7
が配置されている。近接コイラ5は、第1ホットランテーブル1aの下流側に配備された第1近接コイラ5aと、第2ホットランテーブル1bの上流側に配備された第2近接コイラ5bとから構成される。
なお、仕上げミルの出側、近接コイラ5の入側及び近接コイラ5の出側(第1近接コイラ5aの上流側、及び第2近接コイラ5bの下流側)、遠方コイラ7の入側には、圧延材5の表面温度を測定する温度計(図示省略)が設けられている。これらの温度計によって仕上げミルの出側の温度、近接コイラ5の巻取温度、近接コイラ5の巻出温度、遠方コイラ7の巻取温度等が測定できるようになっている。また、各所の圧延材の温度はシミュレーションを用いて求めてもよい。説明の便宜上、近接コイラ5で巻き取ったコイル状の圧延材3や遠方コイラ7で巻き取ったコイル状の圧延材3のことを、コイル材ということがある。
図2は、ホットランテーブルにおける圧延材の温度の推移の一例を示したものである。図2を用いて、本発明の方法によるホットランテーブルの処理及び圧延材の温度について説明する。なお、図中のラインL1は本発明に規定した方法によって処理を行ったときの圧延材の温度の推移を示しており、図中のラインL2は、本発明とは異なる方法によって処理を行ったときの圧延材の温度の推移を示している。
図2に示すように、ホットランテーブル1の入側の圧延材の温度、即ち、仕上げ圧延機2による仕上げ圧延が終了した時点(仕上げミルの出側)P1での圧延材の温度(熱間仕上温度)は、最も高い状態にある。ホットランテーブル1では、このような高温の圧延材3を、第1冷却装置4に導入して冷却した後、第1冷却装置4で冷却した圧延材3を近接コイラ5(第1近接コイラ5a)によって巻き取る。第1近接コイラ5aで巻き取ったとき(コイル巻取P2)の温度(第1回目の巻取温度という)は、熱間仕上温度よりも低くしている。
第1近接コイラ5aにて圧延材3を巻き取った後は、コイル材を一旦保持した後、コイル材を反転した上で第2近接コイラ5bに設置し、第2近接コイラ5bのコイル材を払い出す(再冷却開始P3)。ここでいう反転とは、第1近接コイラ5aのコイル材の端面であって手前を向く面が、向こう面(背面)を向くように、コイル材をひっくり返えすことを意味する。
即ち、近接コイラ5においては、圧延材3を巻き取った後、当該近接コイラ5で圧延材3を所定時間保持し、その後に、圧延材3を第2冷却装置6に向けて払い出すこととしている。再冷却開始P3の温度は、さらに、コイル巻取P2の温度(第1回目の巻取温度)よりも低くしている。
そして、ホットランテーブル1では、払い出した圧延材3を第2冷却装置6によって冷却した後、冷却後の圧延材3を遠方コイラ7で巻き取り(再巻取P4)、巻き取ったコイル材を冷間圧延に搬送する。再巻取P4の温度は、再冷却開始P3の温度よりも、さらに、低くしている。
さて、熱間圧延における温度処理、冷間圧延を経て冷延鋼板(高強度冷延鋼板)となる圧延材3は、強度が高く加工性も良いものが求められており、当該冷延鋼板には、高強度及び加工性を向上させるために多くのSi含有されている。このように、多くのSiを含有させた場合、高強度になることが期待されるが、当然に、冷延鋼板になる前の冷間圧延に導入する圧延材3も強度が高い傾向にある。冷間圧延に導入する圧延材3の強度が高すぎる場合、冷間圧延を行う冷間圧延設備に大きな負荷をかけ、その影響で歩留が低下することから、出来るだけ、冷間圧延前の圧延材3の強度を事前に下げておく必要がある。
ここで、冷間圧延前の圧延材3の強度を下げるためには、熱間圧延後の圧延材3の巻き取り温度を高温にして、軟質なフェライト相の析出を促すことが考えられる。しかしながら、圧延材3の温度を高温にすると、冷延鋼板のようなSiを多く含むものでは、圧延材3の表層部に粒界酸化が生じやすくなる。粒界酸化が進んだ場合、圧延材3の表層部に形成された粒界酸化を酸洗処理では除去できず、圧延材3の表層部に残る。その結果、酸洗後の冷間圧延において圧延材3の表層部の粒界酸化が剥離し、剥離した鋼片によって圧延材3に押し疵が発生し、鋼板の表面性状を悪化させる可能性がある。
このように、冷間圧延前の圧延材3の強度を事前に下げるために熱間圧延後の圧延材3を高温にした場合、粒界酸化を促進してしまうという新たな問題が生じるため、従来の技術では、図2のラインL2に示すように、熱間圧延後の圧延材3を高温にするということは行わず、やむを得ず、歩留を向上させることができなかった。
歩留を向上させるため、発明者らは、熱間圧延後の圧延材3を高温にしても粒界酸化を抑える方法について様々な角度から検証を行った。その結果、図2のラインL1に示すように、「仕上げミルの出側P1での温度(熱間仕上温度)」と、「コイル巻取P2での温度(1回目の巻取温度)」と、「巻き取り後の圧延材の保持時間」と、「巻き取り後の圧延材3を払い出して再冷却したときの冷却速度(再冷却速度)」と、「再冷却の圧延材3を再び巻き取る温度(再巻取温度)」の全てを適正化することによって、粒界酸化を抑えることとしている。
まず、本発明の冷延鋼板(圧延材3)の製造方法を適用する冷延鋼板(圧延材3)の組成から説明する。
圧延材3は、C:0.08〜0.20質量%、Si:1.10〜2.00質量%、Mn:1.50〜3.00質量%を含有すると共に、残りの部分(残部)はFe及び不可避的不純物が含有されている。
Cは、含有量によって圧延材3の低温変態時の生成物の量や特性が変化する元素であって、強度や加工性に影響を与える元素である。Cは0.08質量%以上0.20質量%以下にする必要がある。Cが0.08質量%未満では、十分な強度(Ts:900MPa以上)を得ることができず、0.20質量%を超えると、加工性や溶接性の低下を招く可能性がある。より好ましくは、Cを0.10質量%以上0.18質量%以下にするとよい。
Siは、圧延材3の強度と加工性を両立する上で重要な元素であり、1.10質量%以上2.00質量%以下としている。Siが1.10質量%以下であると十分な強度が得られず、2.00質量%を超えると、加工性は低下する。より好ましくは、Siを1.20質量%以上1.80質量%以下にするとよい。
Mnは、圧延材3の強度を確保する上で重要な元素であり、1.50質量%以上3.00質量%以下としている。Mnが1.50質量%未満では十分な強度が得られず、3.00質量%を超えると、加工性や溶接性が低下する。より好ましくは、Mnを1.70質量%以上2.80質量%以下にするとよい。
上述したように、圧延材3に、Cを0.08〜0.20質量%、Siを1.10〜2.00質量%、Mnを1.50〜3.00質量%含有させるさせることによって、焼鈍工程後の材料特性として、引張強度Tsを900MPa以上、かつ伸びや曲げといった加工性に優れた冷延鋼板を製造することができる。
その他、圧延材3に含有される残部は、P、S、Cr、Mo、Cu、Ni、Nb、Ti、V、B、Caの少なくとも1つ以上の元素を含んでいる。それぞれの組成は、P:0.10質量%以下、S:0.03質量%以下、Al:0.01〜0.10質量%、Cr:1.0質量%以下、Mo:0.5質量%以下、Cu:0.5質量%以下、Ni:0.5質量%以下、Nb:0.5質量%以下、Ti:0.5質量%以下、V:0.5質量%以下、B:0.005質量%以下、Ca:0.005質量%以下としている。
Pは、圧延材3の強度を高める作用があり、0.10質量%を超えると加工性が低下する。より好ましくは、Pを0.05質量%以下にするのがよい。
Sは、出来るだけ少ないのが望まれており、Sが0.03質量%を超えると、熱間圧延時の圧延材3の割れの原因となったり、加工性や溶接性が低下する。より好ましくは、Sは、0.01質量%以下にするのが良い。
Alは、溶鋼等の脱酸処理を行うために必要な元素であり、0.01質量%以上0.10質量%以下としている。Alが0.01質量%未満であると、脱酸処理時に十分な脱酸を行うことができず、0.1質量%を超えると、加工性が低下する。
Crは、圧延材3の焼入れ性を高め、強度を得る上で有効な元素であり、含有させると強度が向上する。Crによる焼き入れ性の向上は、Crを1.0質量%含有させれば十分であり、それよりも多くのCrを含有させても焼き入れ向上の効果は1.0質量%と同じ
であり、製造コストも高くなることから、1.0質量%以下としている。なお、焼き入れ性を十分に向上させるためには、Crは、0.05質量%以上含有させることが好ましい。
Moは、圧延材3の焼入れ性を高めるとともに固溶強化により強度を得る上で有効な元素である。Moによる焼き入れ性及び固溶強化の向上は、Moを0.5質量%含有させれば十分であり、それよりも多くのMoを含有させても焼き入れ性及び固溶強化の向上の効果は、0.5質量%と同じであり、製造コストも高くなることから、0.5質量%以下としている。なお、焼き入れ性及び固溶強化を十分に向上させるためには、Moは、0.01質量%以上含有させることが好ましい。
Cu及びNiは、圧延材3の強度を高める上で有効な元素であり、Cu及びNiによる強度の向上は、0.5質量%含有させれば十分であり、それよりも多くのCuやNiを含有させても強度の向上の効果は、0.5質量%と同じであり、製造コストも高くなることから、0.5質量%以下としている。なお、圧延材3の強度を十分に向上させるためには、Cu及びNiは、0.01質量%以上含有させることが好ましい。
Nb、Ti及びVは、いずれも炭化物を形成し、圧延材3の強度を高める上で有効な元素である。Nb、Ti及びVによる強度の向上は、0.5質量%含有させれば十分であり、それよりも多くのNb、Ti及びVを含有させても強度の向上の効果は、0.5質量%と同じであり、製造コストも高くなることから、0.5質量%以下としている。なお、圧延材3の強度を十分に向上させるためには、Nb、Ti及びVは、0.005質量%以上含有させることが好ましい。
Bは、圧延材3の焼入れ性を高める上で有効な元素であり、含有させると焼き入れ性が向上する。Bによる焼き入れ性の向上は、Bを0.005質量%含有させれば十分であり、それよりも多くのBを含有させても焼き入れ向上の効果は0.005質量%と同じであり、製造コストも高くなることから、0.005質量%以下としている。なお、焼き入れ性を十分に向上させるためには、Bは、0.0005質量%以上含有させることが好ましい。
Caは、圧延材3の介在物の形態を制御することで加工性を向上させる元素であり、Caが0.005質量%%を超えると介在物が増加して加工性が低下するため、上限値を0.005質量%としている。なお、加工性を向上させるためには、Caは、0.0005質量%以上含有させることが好ましい。なお、上述した残部の元素は、必ずしも必要であるものではないが、上述した範囲で適宜含有させることが好ましい。
次に、「仕上げミルの出側P1での温度(熱間仕上温度)」と、「コイル巻取P2での温度(1回目の巻取温度)」と、「巻き取り後の圧延材の保持時間」と、「巻き取り後の圧延材3を払い出して再冷却したときの冷却速度(再冷却速度)」と、「再冷却の圧延材3を再び巻き取る温度(2回目の巻取温度)」について順に説明する。
本発明では、仕上げミルの出側P1での温度(熱間仕上温度)は、Ar3変態点以上としている。好ましくは、仕上げ温度を「Ar3変態点+50℃以上」としている。なお、熱間仕上温度は、圧延材を通材したときの平均温度であってもよい。
このように、熱間仕上温度をAr3変態点以上にすると、熱間変形抵抗の増加を抑えることができ、熱間圧延における生産性低下を防止することができる。一方、熱間仕上温度がAr3変態点未満となった場合、上述した成分を有する圧延材3では、圧延中にフェライト相はほどんど析出せず、オーステナイト相の加工組織の蓄積が進むばかりで熱間変形抵抗が増加するため、圧延荷重増加に伴うトラブルや生産性低下などを招いてしまう可能性がある。
また、コイル巻取P2での温度(1回目の巻取温度)は、ホットランテーブル1の近接コイラ5で巻き取ったときの圧延材3の表面温度の平均値であって、750℃〜600℃としている。近接コイラ5における1回目の巻取温度を、750℃〜600℃の範囲内にした場合、近接コイラ5で圧延材3を保持中に軟質なフェライト相が析出し、フェライト主体(フェライト相の比率95%以上)の軟質な圧延材3を得ることができる。一方、近接コイラ5における1回目の巻取温度を、750℃よりも大きくした場合や600℃未満
にした場合、フェライトが析出し難くなり、フェライト主体の圧延材3を得ることができない。より好ましくは、近接コイラ5における1回目の巻取温度は、700〜650℃としている。
なお、近接コイラ5で巻き取られたコイル材は、当業者間における通常の大きさを有しており、幅は約600〜1600mm、内径は約760mm、外径は約1500〜2100mmである。
巻き取り後の圧延材の保持時間は、10分〜30分としている。圧延材の保持時間とは、近接コイラ5(第1近接コイラ5a)で圧延材3を一旦巻き取った後、コイル材を反転して近接コイラ5(第2近接コイラ5b)に設置し、当該近接コイラ5の圧延材3を第2冷却装置6に向けて払い出すまでの時間(巻き取り後から払い出し開始までの時間)である。保持時間を10〜30分にした場合、軟質なフェライト相が析出し、フェライト主体の軟質な圧延材3を得ることができる。一方、保持時間が30分よりも長い場合、圧延材3に形成されてしまう粒界酸化層が厚くなり、酸洗処理において粒界酸化層の除去が難しくなる。また、保持時間が10分未満の場合、フェライト主体の軟質な圧延材3を得ることができない。さらに好ましくは、保持時間を10〜20分間とするとよい。なお、近接コイラ5にて巻き取られた圧延材3の温度を保持するために、コイル材を覆うコイルカバーやボックス等の保温処置をとってもよく、コイル材が小さい場合にコイル材の外周部で温度が大きく低下するのを防ぐのに有効となる。
巻き取り後の圧延材3を払い出して再冷却したときの再冷却速度は、20℃/sec以上としている。再冷却速度とは、近接コイラ5において第2冷却装置6へ向けての圧延材3の払い出しを開始してから遠方コイラ7で巻き取りを開始するまでの圧延材3の低下温度、言い換えれば、圧延材3が払い出し位置K1から巻き取り位置K2まで移動するまでの低下温度の割合である。
再冷却速度を、20℃/sec以上とした場合、圧延材3の表面等に形成される粒界酸化層の成長が防止され、酸洗工程における粒界酸化層の除去が容易になる。一方、再冷却速度が20℃/sec未満である場合、圧延材3の表面に形成される粒界酸化層が厚くなり、酸洗工程での除去が非常に難しくなる。
再冷却の圧延材3を再び巻き取る温度(2回目の巻取温度)、即ち、遠方コイラ7にて圧延材3を巻き取るときの圧延材3の表面温度の平均値を550℃以下の温度とし、当該550℃以下の温度にて冷間圧延に移行することとしている。2回目の巻取温度を550℃以下にした場合、圧延材3の表面等に形成される粒界酸化層の成長が防止され、酸洗工程における粒界酸化層の除去が容易になる。一方、2回目の巻取温度が550℃よりも高い場合、圧延材3の表面に形成される粒界酸化層が厚くなり、酸洗工程での除去が非常に難しくなる。より好ましくは、2回目の巻取温度を500℃以下にするのがよい。
以上、本発明をまとめると、圧延材の温度がAr3変態点以上で熱間圧延の圧延を終了して、圧延材3を750℃〜600℃の温度で一旦巻き取って、10分〜30分で保持した後、巻き取った圧延材3を払い出ししながら20℃/sec以上の冷却速度で冷却し、550℃以下の温度で再び巻き取った熱間圧延材について、冷間圧延を行うこととしている。
表1は、本発明の方法で冷延鋼板を製造した実施例と、本発明とは異なる方法で冷延鋼板を製造した比較例とを示したものである。
Figure 2013253301
まず、実施例及び比較例の実施条件について説明する。表2に示すような鋼(圧延材3
)を溶製して、熱間圧延及びホットテーブルにて圧延材3の冷却を行った。
Figure 2013253301
熱間圧延におけるスラブの加熱温度は1250℃とし、熱間圧延における仕上げ厚は2.3mmとした。また、熱間圧延後は、酸洗処理、冷間圧延、焼鈍処理を行った。酸洗処理では温度85℃で濃度10%の塩酸を用い、トータルの浸漬時間を60secとした。冷間圧延では、5スタンドを有するのタンデムミルを用い、仕上げ厚を0.8mmとした。焼鈍処理では、連続焼鈍炉を用い、900℃まで加熱、保持して水焼入れした後、400℃まで再加熱、保持し、室温まで冷却した。なお、熱間圧延、酸洗処理、冷間圧延、焼鈍処理において、その他の条件は、当業者常法通りに実施した。
熱延コイル強度Tsは、遠方コイラ7で圧延材を巻き取った後の圧延材の強度が650MPaより大きくなると、冷間圧延処理にて多大な負荷がかかり歩留が低下することから
、熱延コイル強度Tsが650MPaを超えた場合を不良、650MPa以下を良好とした。また、粒界酸化層の厚さが10μmを超えると、酸洗処理にて粒界酸化層が除去し難く歩留が低下することから粒界酸化層の厚さが10μmを超えた場合を不良、10μm以下を良好とした。冷延鋼板では、連続焼鈍後の強度Tsは900MPa以上求められるため、連続焼鈍後の強度Tsが900MPa以上のものを良好とし、900MPa未満のものを不良とした。
実施例(本発明)では、熱間仕上温度をAr3変態点の温度よりも高く、第1回目の巻取温度を750℃〜600℃としている。また、保持時間は10分〜30分の範囲内となっており、冷却速度も20℃/sec以上となり、さらに、2回目の巻取温度も550℃以下の温度として冷間圧延を行っている。その結果、熱延コイル強度Tsを650MPa以上、粒界酸化層の厚さを10μm以下、連続焼鈍後の強度Tsを900MPa以上とすることができた。
一方、比較例では、熱間仕上温度、第1回目の巻取温度、保持時間、冷却速度、2回目の巻取温度のいずれか1つが、本発明に規定した条件を満たしていないため、熱延コイル強度Ts、粒界酸化層の厚さ、連続焼鈍後の強度Tsがいずれかが、上述した値(熱延コイル強度Ts:650MPa以上、粒界酸化層の厚さ:10μm以下、連続焼鈍後の強度Ts:900MPa以上)を満たすことができなかった。
本発明によれば、熱間仕上温度、第1回目の巻取温度、保持時間、冷却速度、2回目の巻取温度を適正にしているため、熱間圧延後の圧延材を高温にしても粒界酸化を抑えることができ、冷間圧延での歩留を向上させることができた。
ところで、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、たとえば、運転条件、操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 ホットランテーブル
2 仕上げ圧延機
3 圧延材
4 第1冷却装置
5 近接コイラ
6 第2冷却装置
7 遠方コイラ

Claims (1)

  1. 圧延材に対して熱間圧延を行った後に冷間圧延を行うことによって冷延鋼板を製造するに際し、
    前記圧延材は、C:0.08〜0.20質量%、Si:1.10〜2.00質量%、Mn:1.50〜3.00質量%を含有すると共に、残部はFe及び不可避的不純物とし、
    前記圧延材の温度がAr3変態点以上で熱間圧延の圧延を終了して、前記圧延材を750℃〜600℃の温度で一旦巻き取って、
    10分〜30分で保持した後、巻き取った圧延材を払い出ししながら20℃/sec以上の冷却速度で冷却し、550℃以下の温度で再び巻き取った熱間圧延材について、冷間圧延を行うことによって冷延鋼板を製造することを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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