以下に、本発明の実施形態に係る積層型多芯ケーブルについて図面を参照しながら説明する。
(積層型多芯ケーブルの構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る積層型多芯ケーブルの構成について図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る積層型多芯ケーブル10の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係る積層型多芯ケーブル10の分解斜視図である。図3は、図1の積層型多芯ケーブル10のX−Xにおける断面構造図である。図1ないし図3において、積層型多芯ケーブル10の積層方向をz軸方向と定義する。また、積層型多芯ケーブル10の長手方向をx軸方向と定義し、x軸方向及びz軸方向に直交する方向をy軸方向と定義する。
積層型多芯ケーブル10は、図1及び図2に示すように、積層体12、外部端子16a〜16d,信号線路20,21、グランド導体22,24、コネクタ100a,100b及びビアホール導体b1〜b12を備えている。
積層体12は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在しており、線路部12a及び接続部12b,12cを含んでいる。積層体12は、図2に示すように、保護層14、誘電体シート(基材層)18a、誘電体シート(基材層)19、誘電体シート(基材層)18b及び保護層15がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積層されて構成されている可撓性の積層体である。以下では、積層体12のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、積層体12のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
線路部12aは、x軸方向に延在している。接続部12bは、線路部12aのx軸方向の負方向側の端部に接続されており、矩形状をなしている。接続部12cは、線路部12aのx軸方向の正方向側の端部に接続されており、矩形状をなしている。接続部12b,12cのy軸方向の幅は、線路部12aのy軸方向の幅と等しい。よって、積層体12は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在する長方形状をなしている。
誘電体シート18a,18bは、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在しており、積層体12と同じ形状をなしている。誘電体シート18a,18bは、ポリイミド等の可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成されており、3.5〜7の比誘電率を有している。誘電体シート18aの積層後の厚さは、例えば、50μm〜200μmである。本実施形態では、誘電体シート18aの積層後の厚さは、100μmである。誘電体シート18bの積層後の厚さは、例えば、50μm〜200μmである。本実施形態では、誘電体シート18bの積層後の厚さは、100μmである。以下では、誘電体シート18a,18bのz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体シート18a,18bのz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
誘電体シート19は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在しており、積層体12と同じ形状をなしている。誘電体シート19は、液晶ポリマー、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等の可撓性を有する熱可塑性樹脂により構成されており、2.1〜3.5の比誘電率を有している。すなわち、誘電体シート19の比誘電率は、誘電体シート18a,18bの比誘電率よりも低い。誘電体シート19の積層後の厚さは、例えば、25μm〜100μmである。本実施形態では、誘電体シート19の積層後の厚さは、50μmである。以下では、誘電体シート19のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、誘電体シート19のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
また、誘電体シート18aは、線路部18a−a及び接続部18a−b,18a−cにより構成されている。誘電体シート18bは、線路部18b−a及び接続部18b−b,18b−cにより構成されている。誘電体シート19は、線路部19a及び接続部19b,19cにより構成されている。線路部18a−a,18b−a,19aは、線路部12aを構成している。接続部18a−b,18b−b,19bは、接続部12bを構成している。接続部18a−c,18b−c,19cは、接続部12cを構成している。
グランド導体22(第1のグランド導体)は、図2及び図3に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体22は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在する長方形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体22は、図2に示すように、線路部22a及び端子部22b,22cにより構成されている。線路部22aは、線路部18a−aの表面に設けられ、x軸方向に延在する長方形状をなしている。
端子部22bは、図2に示すように、接続部18a−bの表面に設けられ、ロ字型をなしている。端子部22bは、線路部22aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部22cは、接続部18a−cの表面に設けられ、ロ字型をなしている。端子部22cは、線路部22aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
グランド導体24(第2のグランド導体)は、図2に示すように、積層体12においてグランド導体24と異なる層に設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの裏面に設けられている。グランド導体24は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在する長方形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体24は、図2に示すように、線路部24a及び端子部24b,24cにより構成されている。線路部24aは、線路部18b−aの裏面に設けられ、x軸方向に延在する長方形状をなしている。
端子部24bは、図2に示すように、接続部18b−bの裏面に設けられ、長方形状をなしている。端子部24bは、線路部24aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。端子部24cは、接続部18b−cの裏面に設けられ、長方形状をなしている。端子部24cは、線路部24aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
信号線路20は、図2及び図3に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間に設けられており、より詳細には、誘電体シート19の表面に設けられている。信号線路20は、誘電体シート19の表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に延在している線状導体であり、z軸方向から平面視したときに、グランド導体22,24と重なっている。これにより、信号線路20及びグランド導体22,24は、ストリップライン構造をなしている。信号線路20は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、信号線路20とグランド導体22とのz軸方向における距離D1は、図3に示すように、信号線路20とグランド導体24とのz軸方向における距離D2よりも小さい。更に、信号線路20とグランド導体24との間には、誘電体シート18a,18bの誘電率よりも低い比誘電率を有する誘電体シート19が設けられている。これにより、信号線路20とグランド導体22との間に形成されている容量は、信号線路20とグランド導体24との間に形成されている容量よりも大きくなっている。距離D1は、誘電体シート18aの厚さと略等しく、距離D2は、誘電体シート19,18bの厚さの合計と略等しい。
信号線路21は、図2及び図3に示すように、z軸方向において、グランド導体22とグランド導体24との間であって、信号線路20よりもグランド導体24の近くに設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの表面に設けられている。これにより、グランド導体22と信号線路20との間に設けられている誘電体シート18aの比誘電率及びグランド導体24と信号線路21との間に設けられている誘電体シート18bの比誘電率よりも小さい比誘電率を有する誘電体シート19が、信号線路20と信号線路21との間に設けられている。
また、信号線路21は、誘電体シート18bの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に延在している線状導体であり、z軸方向から平面視したときに、信号線路20と重なっていない。ただし、信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体22,24と重なっている。これにより、信号線路21及びグランド導体22,24は、ストリップライン構造をなしている。信号線路21は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、信号線路21とグランド導体22とのz軸方向における距離D3は、図3に示すように、信号線路21とグランド導体24とのz軸方向における距離D4よりも大きい。更に、信号線路21とグランド導体22との間には、誘電体シート18a,18bの誘電率よりも低い比誘電率を有する誘電体シート19が設けられている。これにより、信号線路21とグランド導体24との間に形成されている容量は、信号線路21とグランド導体22との間に形成されている容量よりも大きくなっている。距離D3は、誘電体シート18a,19の厚さの合計と略等しく、距離D4は、誘電体シート18bの厚さと略等しい。
外部端子16a,16cは、接続部18a−bの表面の中央においてy軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶ長方形状の導体である。よって、外部端子16a,16cは、端子部22bに囲まれている。外部端子16a,16cはそれぞれ、z軸方向から平面視したときに、信号線路20,21のx軸方向の負方向側の端部と重なっている。外部端子16a,16cは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。また、外部端子16a,16cの表面には、金めっきが施されている。
外部端子16b,16dは、接続部18a−cの表面の中央においてy軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶ長方形状の導体である。よって、外部端子16b,16dは、端子部22cに囲まれている。外部端子16b,16dはそれぞれ、z軸方向から平面視したときに、信号線路20,21のx軸方向の正方向側の端部と重なっている。外部端子16b,16dは、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。外部端子16b,16dの表面には、金めっきが施されている。
ビアホール導体b1は、誘電体シート18aの接続部18a−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b1のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16aに接続されており、ビアホール導体b1のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路20のx軸方向の負方向側の端部と接続されている。
ビアホール導体b2は、誘電体シート18aの接続部18a−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b3は、誘電体シート18bの接続部18b−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b2,b3は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b2のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16cに接続されており、ビアホール導体b3のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路21のx軸方向の負方向側の端部と接続されている。
ビアホール導体b4は、誘電体シート18aの接続部18a−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b4のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16bに接続されており、ビアホール導体b4のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路20のx軸方向の正方向側の端部と接続されている。これにより、信号線路20は、外部端子16a,16b間に接続されている。
ビアホール導体b5は、誘電体シート18aの接続部18a−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b6は、誘電体シート18bの接続部18b−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b5,b6は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b5のz軸方向の正方向側の端部は、外部端子16dに接続されており、ビアホール導体b6のz軸方向の負方向側の端部は、信号線路21のx軸方向の正方向側の端部と接続されている。これにより、信号線路21は、外部端子16c,16d間に接続されている。
ビアホール導体b7は、誘電体シート18aの線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b8は、誘電体シート19の線路部19aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b9は、誘電体シート18bの線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路20よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b7〜b9は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b7のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b9のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。
ビアホール導体b10は、誘電体シート18aの線路部18a−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b11は、誘電体シート19の線路部19aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b12は、誘電体シート18bの線路部18b−aをz軸方向に貫通しており、z軸方向から平面視したときに、信号線路21よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に一列に並ぶように複数設けられている。ビアホール導体b10〜b12は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b10のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体22と接続されている。ビアホール導体b12のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体24と接続されている。これにより、グランド導体22とグランド導体24とは、ビアホール導体b7〜b12により接続されている。
ビアホール導体b1〜b12は、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。なお、ビアホール導体b1〜b12の代わりに、貫通孔の内周面にめっき等の導体層が形成されたスルーホールが用いられてもよい。
保護層14は、誘電体シート18aの表面の略全面を覆っている。これにより、保護層14は、グランド導体22を覆っている。保護層14は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
また、保護層14は、図2に示すように、線路部14a及び接続部14b,14cにより構成されている。線路部14aは、線路部18a−aの表面の全面を覆うことにより、線路部22aを覆っている。
接続部14bは、線路部14aのx軸方向の負方向側の端部に接続されており、接続部18a−bの表面を覆っている。ただし、接続部14bには、開口Haが設けられている。開口Haは、接続部14bの略中央に設けられている矩形状の開口である。外部端子16a,16c及び端子部22bは、開口Haを介して外部に露出している。端子部22bは、開口Haを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
接続部14cは、線路部14aのx軸方向の正方向側の端部に接続されており、接続部18a−cの表面を覆っている。ただし、接続部14cには、開口Hbが設けられている。開口Hbは、接続部14cの略中央に設けられている矩形状の開口である。外部端子16b,16d及び端子部22cは、開口Hbを介して外部に露出している。端子部22cは、開口Hbを介して外部に露出することにより、外部端子として機能する。
保護層15は、誘電体シート18bの裏面の略全面を覆っている。これにより、保護層15は、グランド導体24を覆っている。保護層15は、例えば、レジスト材等の可撓性樹脂からなる。
コネクタ100a,100bはそれぞれ、接続部12b,12cの表面上に実装され、信号線路20,21及びグランド導体22,24と電気的に接続される。コネクタ100a,100bの構成は同じであるので、以下にコネクタ100bの構成を例に挙げて説明する。図4は、積層型多芯ケーブル10のコネクタ100bの外観斜視図及び断面構造図である。
コネクタ100bは、図1及び図4に示すように、コネクタ本体102、外部端子104a,104b,106、中心導体108,110及び外部導体112により構成されている。コネクタ本体102は、矩形状の板に円筒が連結された形状をなしており、樹脂等の絶縁材料により作製されている。
外部端子104aは、コネクタ本体102のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16bと対向する位置に設けられている。外部端子104bは、コネクタ本体102のz軸方向の負方向側の面において、外部端子16dと対向する位置に設けられている。外部端子106は、コネクタ本体102のz軸方向の負方向側の面において、開口Hbを介して露出している端子部22cに対応する位置に設けられている。
中心導体108は、コネクタ本体102の円筒の中心に設けられており、外部端子104aと接続されている。中心導体108は、信号線路20を伝送される高周波信号が入力又は出力する信号端子である。
中心導体110は、コネクタ本体102の内側の円筒に設けられており、外部端子104bと接続されている。中心導体110は、信号線路21を伝送される高周波信号が入力又は出力する信号端子である。
外部導体112は、コネクタ本体102の外側の円筒の内周面に設けられており、外部端子106と接続されている。外部導体112は、接地電位に保たれるグランド端子である。
以上のように構成されたコネクタ100bは、外部端子104aが外部端子16bと接続され、外部端子104bが外部端子16dと接続され、外部端子106が端子部22cと接続されるように、接続部12cの表面上に実装される。これにより、信号線路20は、中心導体108に電気的に接続されている。また、信号線路21は、中心導体110に接続されている。また、グランド導体22,24は、外部導体112に電気的に接続されている。なお、コネクタ100bでは、中心導体108,110が同心円状に配置されていた。しかしながら、中心導体108,110が並んで配置された並列型の多芯コネクタであってもよい。
積層型多芯ケーブル10は、以下に説明するように用いられる。図5は、積層型多芯ケーブル10が用いられた電子機器200をy軸方向及びz軸方向から平面視した図である。
電子機器200は、積層型多芯ケーブル10、回路基板202a、液晶パネル202b、レセプタクル204a,204b、バッテリーパック(金属体)206及び筐体210を備えている。
回路基板202aには、例えば、液晶パネル202bを駆動させるための駆動回路が設けられている。バッテリーパック206は、例えば、リチウムイオン2次電池であり、その表面が金属カバーにより覆われた構造を有している。回路基板202a、バッテリーパック206及び液晶パネル202bは、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並んでいる。
積層体12の表面(より正確には、保護層14)は、バッテリーパック206に対して接触している。そして、積層体12の表面とバッテリーパック206とは、接着剤等により固定されている。
レセプタクル204a,204bはそれぞれ、回路基板202a及び液晶パネル202bのz軸方向の負方向側の主面上に設けられている。レセプタクル204a,204bにはそれぞれ、コネクタ100a,100bが接続される。これにより、コネクタ100a,100bの中心導体108には、回路基板202aと液晶パネル202bとの間を伝送される例えば0.5GHz〜3.0GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル204a,204bを介して印加される。また、コネクタ100a,100bの中心導体110には、回路基板202aと液晶パネル202bとの間を伝送される例えば0.5GHz〜3.0GHzの周波数を有する高周波信号がレセプタクル204a,204bを介して印加される。これら2つの高周波信号は、位相が180°異なる差動伝送信号である。また、コネクタ100a,100bの外部導体112には、回路基板202a、液晶パネル202b及びレセプタクル204a,204bを介して、グランド電位に保たれる。これにより、積層型多芯ケーブル10は、回路基板202a、液晶パネル202b間を接続している。
ここで、バッテリーパック206のz軸方向の負方向側の主面とレセプタクル204a,204bとの間には段差が存在する。よって、積層体12の線路部12aの両端が湾曲させられることによって、コネクタ100a,100bはそれぞれ、レセプタクル204a,204bに接続されている。
(高周波信号線路の製造方法)
以下に、積層型多芯ケーブル10の製造方法について図2を参照しながら説明する。以下では、一つの積層型多芯ケーブル10が作製される場合を例にとって説明するが、実際には、大判の誘電体シートが積層及びカットされることにより、同時に複数の積層型多芯ケーブル10が作製される。
まず、表面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなる誘電体シート18a,19を準備する。また、表面及び裏面の全面に銅箔が形成された熱可塑性樹脂からなる誘電体シート18bを準備する。誘電体シート18a,18b,19の銅箔の表面は、例えば、防錆のための亜鉛鍍金が施されることにより、平滑化されている。銅箔の厚さは、10μm〜20μmである。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す外部端子16a〜16d及びグランド導体22を誘電体シート18aの表面に形成する。具体的には、誘電体シート18aの表面側の銅箔上に、図2に示す外部端子16a〜16d及びグランド導体22と同じ形状のレジストを印刷する。そして、銅箔に対してエッチング処理を施すことにより、レジストにより覆われていない部分の銅箔を除去する。その後、レジストを除去する。これにより、図2に示すような、外部端子16a〜16d及びグランド導体22が誘電体シート18aの表面に形成される。
次に、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す信号線路20を誘電体シート19の表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図2に示す信号線路21を誘電体シート18bの表面に形成する。また、フォトリソグラフィ工程により、図2に示すグランド導体24を誘電体シート18bの裏面に形成する。信号線路20,21及びグランド導体24の形成方法は、外部端子16a〜16d及びグランド導体22の形成方法と同じであるので説明を省略する。
次に、誘電体シート18a,18b,19のビアホール導体b1〜b12が形成される位置に対して、裏面側からレーザービームを照射して、貫通孔を形成する。その後、誘電体シート18a,18b,19に形成した貫通孔に対して、導電性ペーストを充填する。
次に、誘電体シート18a,19,18bをz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に積み重ねる。そして、誘電体シート18a,19,18bに対してz軸方向の正方向側及び負方向側から熱及び圧力を加えることにより、誘電体シート18a,19,18bを軟化させて圧着・一体化するとともに、貫通孔に充填された導電性ペーストを固化して、図2に示すビアホール導体b1〜b12を形成する。なお、ビアホール導体b1〜b12は必ずしも貫通孔が導体で完全に埋められている必要はなく、例えば貫通孔の内周面のみに沿って導体を形成することによって形成されてもよい。
最後に、樹脂(レジスト)ペーストを塗布することにより、誘電体シート18aの表面及び誘電体シート18bの裏面のそれぞれに保護層14,15を形成する。
(効果)
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10によれば、信号線路20,21間のクロストークを低減できる。より詳細には、特許文献1に記載のフレキシブルフラットケーブル500では、平角導体502が同じ層に設けられているので、平角導体502間のクロストークが発生しやすいという問題を有している。
そこで、積層型多芯ケーブル10では、信号線路20と信号線路21とが異なる層に設けられている。これにより、積層型多芯ケーブル10における信号線路20と信号線路21との間の距離は、フレキシブルフラットケーブル500における平角導体502間の距離よりも大きくなる。信号線路20,21間に形成される容量は、平角導体502間に形成される容量よりも小さくなる。よって、信号線路20の基準グランドがグランド導体22となり、信号線路21の基準グランドがグランド導体24となる。そのため、積層型多芯ケーブル10におけるクロストークは、フレキシブルフラットケーブル500におけるクロストークに比べて低減される。その結果、信号線路20,21のアイソレーション性が高くなる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、以下の理由によっても、信号線路20,21間のクロストークを低減できる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、誘電体シート18a,18bの比誘電率よりも小さい比誘電率を有する誘電体シート19が、信号線路20と信号線路21との間に設けられている。これにより、信号線路20,21間に形成される容量は、平角導体502間に形成される容量よりも更に小さくなる。その結果、積層型多芯ケーブル10におけるクロストークは、フレキシブルフラットケーブル500におけるクロストークに比べて更に低減されるようになる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、積層体12の薄型化を図ることができる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、誘電体シート18a,18bの比誘電率よりも小さい比誘電率を有する誘電体シート19が、信号線路20と信号線路21との間に設けられている。これにより、信号線路20と信号線路21とをz軸方向に大きくずらすことなく、信号線路20,21間に形成される容量を小さくすることができる。その結果、積層型多芯ケーブル10では、z軸方向において信号線路20,21を近づけることができ、積層体12の薄型化を図ることができる。また、積層体12の薄型化が図られると、積層型多芯ケーブル10を容易に湾曲させることが可能となる。
また、積層型多芯ケーブル10によれば、積層体12のy軸方向の幅を小さくすることができる。より詳細には、積層型多芯ケーブル10では、誘電体シート18a,18bの比誘電率よりも小さい比誘電率を有する誘電体シート19が、信号線路20と信号線路21との間に設けられている。これにより、信号線路20と信号線路21とをy軸方向に大きくずらすことなく、信号線路20,21間に形成される容量を小さくすることができる。その結果、積層型多芯ケーブル10では、y軸方向において信号線路20,21を近づけることができ、積層体12のy軸方向の幅を小さくすることができる。
(第1の変形例)
次に、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aについて図面を参照しながら説明する。図6は、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aの分解斜視図である。図7は、第1の変形例に係る積層型多芯ケーブル10aの工程断面図である。積層型多芯ケーブル10aの外観斜視図については、図1を援用する。
積層型多芯ケーブル10aは、誘電体シート19の代わりに接着剤層19’が用いられている点において積層型多芯ケーブル10と相違する。以下に、かかる相違点を中心に積層型多芯ケーブル10aについて説明する。
接着剤層19’の比誘電率は、誘電体シート18a,18bの比誘電率よりも小さい。誘電体シート18a,18bとしてポリイミド又は液晶ポリマーが用いられた場合には、接着剤層19’には、例えば、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等の樹脂系接着剤が用いられる。接着剤層19’は、誘電体シート18aの裏面と誘電体シート18bの表面とを接着する。
ところで、接着剤層19’の表面には信号線路20を形成することができない。そこで、積層型多芯ケーブル10aでは、信号線路20は、図6及び図7(a)に示すように、誘電体シート18aの裏面に設けられている。
また、接着剤層19’には、ビアホール導体b3,b6,b8,b11を形成することができない。そこで、積層型多芯ケーブル10aでは、図7(b)に示すように、誘電体シート18a,18bを接着剤層19’により接着した後に、図7(c)に示すように、レーザービームにより積層体12をz軸方向に貫通する貫通孔H1〜H6を形成する。そして、図7(d)に示すように、貫通孔H1〜H6内にめっき等を施すことによって、スルーホールT1〜T6を形成する。
スルーホールT1は、ビアホール導体b1に相当し、外部端子16aと信号線路20のx軸方向の負方向側の端部とを接続している。スルーホールT2は、ビアホール導体b2,b3に相当し、外部端子16cと信号線路21のx軸方向の負方向側の端部とを接続している。スルーホールT3は、ビアホール導体b4に相当し、外部端子16bと信号線路20のx軸方向の正方向側の端部とを接続している。スルーホールT4は、ビアホール導体b5,b6に相当し、外部端子16dと信号線路21のx軸方向の正方向側の端部とを接続している。
また、スルーホールT5は、ビアホール導体b7〜b9に相当し、グランド導体22とグランド導体24とを接続している。また、スルーホールT6は、ビアホール導体b10〜b12に相当し、グランド導体22とグランド導体24とを接続している。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10aにおいても、クロストークの低減を図ることができる。また、積層型多芯ケーブル10aでは、積層体12の薄型化を図ることができると共に、積層体12のy軸方向の幅を小さくすることができる。
(第2の変形例)
次に、第2の変形例に係る積層型多芯ケーブル10bについて図面を参照しながら説明する。図8は、第2の変形例に係る積層型多芯ケーブル10bの分解斜視図である。積層型多芯ケーブル10bの外観斜視図については、図1を援用する。
積層型多芯ケーブル10bは、グランド導体22の代わりにグランド導体42,44が用いられ、グランド導体24の代わりにグランド導体46,48が用いられている点において積層型多芯ケーブル10と相違する。以下に、かかる相違点を中心に積層型多芯ケーブル10bについて説明する。
グランド導体42(第1のグランド導体)は、図8に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体42は、z軸方向から平面視したときに、L字型をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体42は、図8に示すように、線路部42a及び端子部42cにより構成されている。線路部42aは、線路部18a−aの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に延在する長方形状をなしている。これにより、信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体42の線路部42aと重なっている。
端子部42cは、図8に示すように、接続部18a−cの表面に設けられ、ロ字型をなしている。端子部42cは、線路部42aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
グランド導体44(第3のグランド導体)は、図8に示すように、積層体12においてグランド導体42と同じ層に設けられており、より詳細には、誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体44は、z軸方向から平面視したときに、L字型をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体44は、図8に示すように、線路部44a及び端子部44bにより構成されている。線路部44aは、線路部18a−aの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に延在する長方形状をなしている。これにより、信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体44の線路部44aと重なっている。
端子部44bは、図8に示すように、接続部18a−bの表面に設けられ、ロ字型をなしている。端子部44bは、線路部44aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。
グランド導体46(第4のグランド導体)は、図8に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの裏面に設けられている。グランド導体46は、z軸方向から平面視したときに、L字型をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体46は、図8に示すように、線路部46a及び端子部46cにより構成されている。線路部46aは、誘電体シート18b−aの裏面のy軸方向の中央よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に延在する長方形状をなしている。これにより、信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体46の線路部46aと重なっている。
端子部46cは、図8に示すように、接続部18b−cの裏面に設けられ、ロ字型をなしている。端子部46cは、線路部46aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
グランド導体48(第2のグランド導体)は、図8に示すように、積層体12においてグランド導体46と同じ層に設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの裏面に設けられている。グランド導体48は、z軸方向から平面視したときに、L字型をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体48は、図8に示すように、線路部48a及び端子部48bにより構成されている。線路部48aは、誘電体シート18b−aの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に延在する長方形状をなしている。これにより、信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体48の線路部48aと重なっている。
端子部48bは、図8に示すように、接続部18b−bの表面に設けられ、ロ字型をなしている。端子部48bは、線路部48aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。
また、ビアホール導体b17〜b19はそれぞれ、誘電体シート18a,19,18bの接続部18a−b,19b,18b−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b17〜b19は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b17のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体44の端子部44bと接続されている。ビアホール導体b19のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体48の端子部48bと接続されている。
また、ビアホール導体b20〜b22はそれぞれ、誘電体シート18a,19,18bの接続部18a−b,19b,18b−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b20〜b22は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b20のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体44の端子部44bと接続されている。ビアホール導体b22のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体48の端子部48bと接続されている。これにより、グランド導体44とグランド導体48とは、積層体12において互いに接続されている。
また、ビアホール導体b37〜b39はそれぞれ、誘電体シート18a,19,18bの接続部18a−c,19c,18b−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b37〜b39は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b37のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体42の端子部42cと接続されている。ビアホール導体b39のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体46の端子部46cと接続されている。
また、ビアホール導体b40〜b42はそれぞれ、誘電体シート18a,19,18bの接続部18a−c,19c,18b−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b40〜b42は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b40のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体42の端子部42cと接続されている。ビアホール導体b42のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体46の端子部46cと接続されている。これにより、グランド導体42とグランド導体46とは、積層体12において互いに接続されている。
以上のように、グランド導体42は、積層体12においてグランド導体44,48と接続されていない。また、グランド導体46は、積層体12においてグランド導体44,48と接続されていない。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10bにおいても、クロストークの低減を図ることができる。また、積層型多芯ケーブル10bでは、積層体12の薄型化を図ることができると共に、積層体12のy軸方向の幅を小さくすることができる。
また、積層型多芯ケーブル10bでは、以下の理由によっても、クロストークの低減を図ることができる。より詳細には、信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体42,46と重なっており、グランド導体44,48と重なっていない。また、信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体44,48と重なっており、グランド導体42,46と重なっていない。更に、グランド導体42とグランド導体44とは、積層体12において接続されておらず、グランド導体46とグランド導体48とは、積層体12において接続されていない。これにより、信号線路20が放射しグランド導体42,46が吸収したノイズは、グランド導体44,48へと伝搬しないので、信号線路21に伝搬されない。同様に、信号線路21が放射しグランド導体44,48が吸収したノイズは、グランド導体42,46へと伝搬しないので、信号線路20に伝搬されない。よって、積層型多芯ケーブル10bでは、クロストークの低減が図られる。
(第3の変形例)
次に、第3の変形例に係る積層型多芯ケーブル10cについて図面を参照しながら説明する。図9は、第3の変形例に係る積層型多芯ケーブル10cの分解斜視図である。積層型多芯ケーブル10cの外観斜視図については、図1を援用する。
積層型多芯ケーブル10cは、グランド導体22の代わりにグランド導体52が用いられ、グランド導体24の代わりにグランド導体54が用いられている点において積層型多芯ケーブル10と相違する。更に、積層型多芯ケーブル10cは、グランド導体56,58を更に備えている。以下に、かかる相違点を中心に積層型多芯ケーブル10cについて説明する。
グランド導体52(第1のグランド導体)は、図9に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18aの表面に設けられている。グランド導体52は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在する長方形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体52は、図9に示すように、線路部52a及び端子部52cにより構成されている。線路部52aは、線路部18a−aの表面に設けられ、x軸方向に延在する長方形状をなしている。これにより、信号線路20,21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体52の線路部52aと重なっている。
端子部52cは、図9に示すように、接続部18a−cの表面に設けられ、ロ字型をなしている。端子部52cは、線路部52aのx軸方向の正方向側の端部に接続されている。
グランド導体56は、図9に示すように、接続部18a−bの表面に設けられ、ロ字型をなしている。グランド導体56は、グランド導体52に接続されていない。
グランド導体54(第2のグランド導体)は、図9に示すように、積層体12に設けられており、より詳細には、誘電体シート18bの裏面に設けられている。グランド導体54は、z軸方向から平面視したときに、x軸方向に延在する長方形状をなしており、銀や銅を主成分とする比抵抗の小さな金属材料により作製されている。
また、グランド導体54は、図9に示すように、線路部54a及び端子部54bにより構成されている。線路部54aは、誘電体シート18b−aの裏面に設けられ、x軸方向に延在する長方形状をなしている。これにより、信号線路20,21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体54の線路部54aと重なっている。
端子部54bは、図9に示すように、接続部18b−bの裏面に設けられ、ロ字型をなしている。端子部54bは、線路部54aのx軸方向の負方向側の端部に接続されている。
グランド導体58は、図9に示すように、接続部18b−cの裏面に設けられ、長方形状をなしている。グランド導体58は、グランド導体54に接続されていない。
また、ビアホール導体b17〜b19はそれぞれ、誘電体シート18a,19,18bの接続部18a−b,19b,18b−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b17〜b19は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b17のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体56と接続されている。ビアホール導体b19のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体54の端子部54bと接続されている。
また、ビアホール導体b20〜b22はそれぞれ、誘電体シート18a,19,18bの接続部18a−b,19b,18b−bをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b20〜b22は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b20のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体56と接続されている。ビアホール導体b22のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体54の端子部54bと接続されている。これにより、グランド導体56とグランド導体54とは、積層体12において互いに接続されている。
また、ビアホール導体b37〜b39はそれぞれ、誘電体シート18a,19,18bの接続部18a−c,19c,18b−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b37〜b39は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b37のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体52の端子部52cと接続されている。ビアホール導体b39のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体58と接続されている。
また、ビアホール導体b40〜b42はそれぞれ、誘電体シート18a,19,18bの接続部18a−c,19c,18b−cをz軸方向に貫通している。ビアホール導体b40〜b42は、互いに接続されることにより、1本のビアホール導体を構成している。ビアホール導体b40のz軸方向の正方向側の端部は、グランド導体52の端子部52cと接続されている。ビアホール導体b42のz軸方向の負方向側の端部は、グランド導体58と接続されている。これにより、グランド導体52とグランド導体58とは、積層体12において互いに接続されている。
以上のように、グランド導体52とグランド導体54とは、積層体12において接続されていない。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10cにおいても、クロストークの低減を図ることができる。また、積層型多芯ケーブル10cでは、積層体12の薄型化を図ることができると共に、積層体12のy軸方向の幅を小さくすることができる。
また、積層型多芯ケーブル10cでは、以下の理由によっても、クロストークの低減を図ることができる。より詳細には、信号線路20とグランド導体52とのz軸方向の距離は、信号線路20とグランド導体54とのz軸方向の距離よりも小さい。更に、信号線路20とグランド導体54との間には誘電体シート19が設けられている。そのため、信号線路20が放射したノイズは、主にグランド導体52に吸収され、グランド導体54には殆ど吸収されない。そして、信号線路21とグランド導体52とのz軸方向の距離は、信号線路21とグランド導体54とのz軸方向の距離よりも大きい。更に、信号線路21とグランド導体52との間には誘電体シート19が設けられている。そのため、グランド導体52が吸収したノイズは、信号線路21に殆ど伝搬しない。更に、グランド導体52とグランド導体54とは、積層体12において接続されていないので、ノイズは、グランド導体52からグランド導体54に殆ど伝搬しない。よって、ノイズは、グランド導体54を介して信号線路21に殆ど伝搬しない。
同様に、信号線路21とグランド導体54とのz軸方向の距離は、信号線路21とグランド導体52とのz軸方向の距離よりも小さい。更に、信号線路21とグランド導体52との間には誘電体シート19が設けられている。そのため、信号線路21が放射したノイズは、主にグランド導体54に吸収され、グランド導体52には殆ど吸収されない。そして、信号線路20とグランド導体54とのz軸方向の距離は、信号線路20とグランド導体52とのz軸方向の距離よりも大きい。更に、信号線路20とグランド導体54との間には誘電体シート19が設けられている。そのため、グランド導体54が吸収したノイズは、信号線路20に殆ど伝搬しない。更に、グランド導体52とグランド導体54とは、積層体12において接続されていないので、ノイズは、グランド導体54からグランド導体52に殆ど伝搬しない。よって、ノイズは、グランド導体52を介して信号線路20に殆ど伝搬しない。以上より、積層型多芯ケーブル10cでは、クロストークの低減が図られる。
また、積層型多芯ケーブル10cでは、グランド導体52とグランド導体54とを接続するためのビアホール導体が線路部12aに設けられていない。よって、積層型多芯ケーブル10cを容易に湾曲させることが可能となる。
(第4の変形例)
次に、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dについて図面を参照しながら説明する。図10は、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dの分解斜視図である。図11は、第4の変形例に係る積層型多芯ケーブル10dの断面構造図である。積層型多芯ケーブル10dの外観斜視図については、図1を援用する。
積層型多芯ケーブル10dは、グランド導体22の代わりにグランド導体62が用いられ、グランド導体24の代わりにグランド導体64が用いられている点において積層型多芯ケーブル10と相違する。以下に、かかる相違点を中心に積層型多芯ケーブル10dについて説明する。
グランド導体62の線路部62aは、線路部18a−aの表面のy軸方向の中央よりもy軸方向の正方向側において、x軸方向に延在する長方形状をなしている。グランド導体64の線路部64aは、誘電体シート18b−aの裏面のy軸方向の中央よりもy軸方向の負方向側において、x軸方向に延在する長方形状をなしている。これにより、信号線路20は、図10及び図11に示すように、z軸方向から平面視したときに、線路部62aと重なっており、線路部64aと重なっていない。また、信号線路21は、図10及び図11に示すように、z軸方向から平面視したときに、線路部64aと重なっており、線路部62aと重なっていない。よって、信号線路20とグランド導体62とがマイクロストリップライン構造をなし、信号線路21とグランド導体64とがマイクロストリップライン構造をなしている。
以上のように構成された積層型多芯ケーブル10dにおいても、クロストークの低減を図ることができる。また、積層型多芯ケーブル10dでは、積層体12の薄型化を図ることができると共に、積層体12のy軸方向の幅を小さくすることができる。
また、積層型多芯ケーブル10dでは、以下の理由によっても、クロストークの低減を図ることができる。より詳細には、信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体62の線路部62aと重なっており、グランド導体64の線路部64aと重なっていない。そのため、信号線路20が放射したノイズは、主にグランド導体62に吸収され、グランド導体64には殆ど吸収されない。一方、信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体64の線路部64aと重なっており、グランド導体62の線路部62aと重なっていない。そのため、グランド導体62が吸収したノイズは、信号線路21に殆ど伝搬しない。
同様に、信号線路21は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体64の線路部64aと重なっており、グランド導体62の線路部62aと重なっていない。そのため、信号線路21が放射したノイズは、主にグランド導体64に吸収され、グランド導体62には殆ど吸収されない。一方、信号線路20は、z軸方向から平面視したときに、グランド導体62の線路部62aと重なっており、グランド導体64の線路部64aと重なっていない。そのため、グランド導体64が吸収したノイズは、信号線路20に殆ど伝搬しない。以上より、積層型多芯ケーブル10cでは、クロストークの低減が図られる。
また、積層型多芯ケーブル10dでは、グランド導体62とグランド導体64とを接続するためのビアホール導体が線路部12aに設けられていない。よって、積層型多芯ケーブル10dを容易に湾曲させることが可能となる。
(その他の実施形態)
本発明に係る積層型多芯ケーブルは、前記積層型多芯ケーブル10,10a〜10dに限らず、その要旨の範囲内において適用可能である。
図12は、その他の実施形態に係る積層型多芯ケーブル10eの断面構造図である。図12に示すように、3本以上の信号線路20a〜20c,21a〜21dが設けられていてもよい。
また、誘電体シート19及び接着剤層19’は、誘電体シート18a,18bと同じ材料の発泡素材で作製されていてもよい。発泡素材が用いられることによって、誘電体シート19及び接着剤層19’の比誘電率は、誘電体シート18a,18bの比誘電率よりも低くなる。更に、誘電体シート18a,18bと誘電体シート19及び接着剤層19’とが同じ材料により作製されているので、層間剥離が発生することが抑制される。
なお、積層型多芯ケーブル10,10a〜10eの用途は、液晶パネルと駆動回路との接続に限らない。積層型多芯ケーブル10,10a〜10eは、例えば、USB端子と通信用ICが搭載された回路基板との接続に用いられてもよい。
なお、積層型多芯ケーブル10,10a〜10eの構成を組み合わせて用いてもよい。よって、積層型多芯ケーブル10,10b〜10eにおいて、誘電体シート19の代わりに、接着剤層19’が用いられてもよい。
なお、基材層とは、シート状の誘電体シート18,19に限らず、接着剤からなる接着剤層19'も含む。