JP2013250117A - 水素検出素子および水素センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な厚さの金属膜を有する構造でありながら低濃度の水素に対して高い検出感度を得る。
【解決手段】一方の面から光Lが入射され該光Lを透過させる基板2と、該基板2の他方の面に形成され、水素の吸着により光学的特性が変化する金属を主とする膜3とを備え、該膜3は、光Lの波長よりも小さい周期で表面方向に繰り返し形成された溝4を有する水素検出素子1を提供する。また、水素検出素子1と、光Lを基板2側から水素検出素子1に入射する光源部と、水素検出素子1からの光Lの反射光L’を検出する検出部とを備える水素センサを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素検出素子および水素センサに関するものである。
従来、化学物質の吸着によって特性が変化する材料を使用して大気中の化学物質の濃度を検出するセンサが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。特許文献1のセンサは、パラジウム膜に水素分子が吸着したときのパラジウム膜の誘電率の変化を、プラズモン共鳴現象を利用して検出している。特許文献2のセンサは、有機分子が有機または高分子からなる膜に吸着したときの該膜の厚さや屈折率の変化を、膜の両面で反射した光の干渉光の変化として検出している。
特開2011−106928号公報 特許第3001357号公報
しかしながら、特許文献1において、パラジウム膜の膜厚は1nm〜20nmとする必要がある。このような薄い膜は、蒸着やスパッタリングにより形成したときに膜厚が不均一となって微小な穴が形成されやすく、製造誤差によりセンサの性能にばらつきが生じるという問題がある。
特許文献2のセンサは、膜厚が光の波長程度(数百ナノメートル)でよいため膜の製造が容易であり、また、検出感度が高い。しかし、膜の材料として、光に対して大きな消衰係数を有するパラジウムのような金属を用いた場合、膜に入射した光は急激に減衰してしまい、膜の内部を往復することができない。したがって、水素センサに用いられるパラジウムなどの金属は適用できないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、十分な厚さの金属膜を有する構造でありながら低濃度の水素に対して高い検出感度を得ることができる水素検出素子および水素センサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、一方の面から光が入射され該光を透過させる基板と、該基板の他方の面に形成され、水素の吸着により光学的特性が変化する金属を主とする膜とを備え、該膜は、前記光の波長よりも小さい周期で表面方向に繰り返し形成された溝を有する水素検出素子を提供する。
本発明によれば、基板側から入射して基板と膜との界面において反射される光の反射率は、膜に吸着する水素分子の量、すなわち、水素濃度によって変化するので、反射光の強度変化から水素を検出することができる。
この場合に、水素濃度の変化に対する反射光の強度の変化は、十分に低い水素濃度の範囲においては、反射率が小さいほど大きくなる。本発明によれば、光の波長よりも小さい周期で並ぶ溝を有する膜の屈折率は、溝を有さない均一な構造のバルク膜の屈折率に比べて小さくなり、基板と膜との界面における光の反射率が小さくなる。これにより、十分に低濃度の水素に対して高い検出感度を得ることができる。また、膜の厚さは特に制限されないので、十分な厚さの膜を有する構造とすることができる。
上記発明においては、前記溝が、前記他方の面に沿う一の方向に直線状に形成されていることとしてもよい。
このようにすることで、基板に入射した光のうち、溝に平行な偏光(TE波)は、基板と膜との界面において水素濃度に応じた反射率で反射される。一方、溝に垂直な偏光(TM波)は大半が膜を透過して膜と空気との界面において反射されて基板側に出射する。このTM波の反射光の強度は水素濃度に依存しない。したがって、TM波の反射光を参照とすることにより、TE波の反射光から水素濃度をより正確に検出することができる。
また、本発明は、上記に記載の水素検出素子と、前記光を前記基板側から前記水素検出素子に入射する光源部と、前記水素検出素子からの前記光の反射光を検出する検出部とを備える水素センサを提供する。
本発明によれば、光源部から水素検出素子に入射した光が、基板と膜との界面において水素濃度に応じた反射率で反射され、その反射光が検出部によって検出されることにより、水素を反射光の強度変化から検出することができる。この場合に、十分な厚さの金属膜を有する構造でありながら低濃度の水素に対して高い検出感度を得ることができる。
上記発明においては、前記溝が、前記他方の面に沿う一の方向に直線状に形成され、前記検出部が、前記水素検出素子からの前記反射光を前記溝の長手方向に平行な偏光と前記溝の長手方向に垂直な偏光とに分離する偏光分離素子と、該偏光分離素子によって分離された前記平行な偏光と前記垂直な偏光とをそれぞれ検出する2つの光検出器とを備えることとしてもよい。
このようにすることで、水素検出素子からの反射光を偏光分離素子によって2つの偏光に分離し、水素濃度を反映したTE波と、該TE波の参照となるTM波とを別々の光検出器によって検出することができる。
また、上記発明においては、前記検出部が、前記2つの検出器から各前記偏光の検出信号が入力され、これら検出信号の差を出力する減算器を備えることとしてもよい。
このようにすることで、TE波の検出信号から、TE波およびTM波に共通して加算されていたノイズ信号を、減算器により除去することができる。
また、上記発明においては、前記検出部が、前記2つの検出器から各前記偏光の検出信号が入力され、これら検出信号の比を出力する除算器を備えることとしてもよい。
このようにすることで、TE波の検出信号から、TE波およびTM波に共通して乗算されていたノイズ信号を、除算器により除去することができる。
本発明によれば、十分な厚さの金属膜を有する構造でありながら低濃度の水素に対して高い検出感度を得ることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る水素検出素子の全体構成図である。 図1の水素検出素子が備える膜の拡大図である。 膜の見かけの屈折率と膜におけるパラジウムの体積占有率との関係を示すグラフである。 膜の見かけの消衰係数と膜におけるパラジウムの体積占有率との関係を示すグラフである。 図1の水素検出素子の2つの偏光に対する作用を説明する図である。 膜に入射した2つの偏光の強度変化を示すグラフである。 2つの偏光の反射率と水素濃度との関係を示すグラフである。 図1の水素検出素子およびバルク膜を備える水素検出素子の、水素濃度に対する反射率の変化を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る水素センサの全体構成図である。 図9の水素センサの変形例を示す全体構成図である。 水素濃度とパラジウム膜の反射率との関係を表わすグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る水素検出素子1について図1〜図8を参照して説明する。
本実施形態に係る水素検出素子1は、図1に示されるように、ガラスからなり一方の面から入射される光Lを透過させる平板状の基板2と、該基板2の他方の面に形成された膜3とを備えている。
基板2は、一方の面に入射される光Lに対して透明であれば、ガラス以外の材料から構成されていてもよい。
膜3は、ガラスよりも大きな屈折率を有するパラジウムからなる。パラジウムの屈折率は、水素が吸着することにより変化する。ここで、基板2側から入射した光Lの基板2と膜3との界面における反射率Rは、式(1)に示されるフレネルの式によって導かれ、膜3の屈折率に応じて変化する。したがって、基板2と膜3との界面において反射された光Lの反射光L’の強度は、膜3に吸着した水素分子の量、すなわち、膜3と接する外気の水素濃度に応じて変化する。式(1)において、nは基板2の屈折率に相当し、nは膜3の屈折率に相当する。
(1) R = {(n−n)/(n+n)}
膜3の材料は、水素分子の吸着により屈折率などの光学的特性が変化する材料であればパラジウム以外の材料であってもよく、例えば、パラジウム合金、プラチナ、プラチナ合金であってもよい。
膜3は、図2に示されるように、基板2の他方の面に沿う一の方向(図示する例では、矩形状の基板2の一の端辺に平行な方向。矢印X参照。)に直線状に延び、膜3の厚さ方向(矢印T参照。)に貫通する溝4が、均一な周期で形成されている。溝4の周期(隣り合う溝4の中心間距離)pは、光Lの波長よりも小さく、光Lの波長の10分の1以下であることが好ましい。溝4の周期pを光Lの波長の10分の1以下とすることで、後述するように、溝4による効果がより顕著に現われ、水素の検出精度を向上することができる。なお、溝4の幅寸法よりも大きな波長を有する光Lは、溝4を透過することができず、基板2と膜3との界面において反射される。溝4は、例えば、電子線リソグラフィおよびエッチングにより加工される。
次に、このように構成された水素検出素子1の作用について説明する。
本実施形態に係る水素検出素子1に基板2側から入射した光Lは、基板2と膜3との界面において反射される。該界面における光Lの反射率Rは、基板2の屈折率と膜3の屈折率との差が小さいほど小さくなり、膜3の屈折率は水素濃度に応じて変化する。したがって、基板2と膜3との界面において反射された光Lの反射光L’の強度から水素濃度を算出することができる。
ここで、水素検出素子1の低濃度(具体的には、体積濃度で0%を超え4%以下)の水素に対する検出感度Sは、以下に示す通り、基板2と膜3との界面における光Lの反射率Rを低下させることにより向上する。
水素検出素子1の検出感度Sは、水素濃度ρ%のときおよび水素濃度0%のときの、基板2と膜3との界面における光Lの反射率R(ρ),R(0)を用いて式(2)のように定義される。すなわち、検出感度Sは、水素濃度0%のときの光Lの反射率R(0)に対する、水素濃度ρ%のときの反射率R(ρ)の変化量として定義される。
(2) S=|(R(ρ)/R(0)) − 1|
ここで、水素濃度ρ%が十分に小さいとき、反射率R(ρ)は式(3)で示される1次式で近似される。
(3) R(ρ)≒R(0)+R’(0)ρ
式(3)を式(2)に代入することにより、式(4)が導かれる。
ただし、R’(0)は、水素濃度ρに対する反射率R(0)の傾きを示しており、R’(0)≠0である。
(4) S≒|(R’(0)/R(0))|ρ
式(4)から、十分に低濃度の水素に対して水素検出素子1の検出感度Sを高くするためには、基板2と膜3との界面における光Lの反射率R(0)を小さくすればよく、該反射率R(0)を低下させるためには基板2の屈折率と膜3の屈折率との差を小さくすればよいことが分かる。
本実施形態によれば、膜3の見かけの屈折率は、パラジウムの屈折率と溝4内の空気の屈折率との間の値をとり、膜3に占めるパラジウムの体積および空気の体積の比によって決まる。すなわち、本実施形態における膜3は、均一な厚さで形成されたバルク膜に比べて小さい屈折率を有するので、光Lの反射率R(0)が小さくなる。これにより、十分に低濃度の水素に対する検出感度を向上することができるという利点がある。また、水素に対する検出感度は膜3の厚さに依らないので、膜3の厚さは任意に設定可能である。これにより、膜3を製造の容易な十分な厚さとすることができる。
膜3の見かけの屈折率についてより詳細に説明すると、膜3の見かけの屈折率は数1および数2によって表わされる。数1および数2において、NTEは溝4の長手方向に平行な偏光(TE波)LTEの見かけの複素屈折率、NTMは溝4の長手方向に垂直な偏光(TM波)LTMの見かけの複素屈折率、NPdはパラジウムの複素屈折率(=nPd+ikPd)、fは膜3に占めるパラジウムの体積占有率である。図2において、矢印PTEはTE波の偏光方向を示し、矢印PTMはTM波の偏光方向を示している。
Figure 2013250117
Figure 2013250117
図3および図4は、数1および数2から算出される膜3の見かけの複素屈折率NTE=nTE+ikTE,NME=nTE+ikTEのうち、実数部分である見かけの屈折率nTE,nTMおよび虚数部分である消衰係数nTE,nTMの体積占有率fに対する変化をそれぞれ示したグラフである。ここで、光Lの波長を600nm、溝4の周期pを60nm、水素濃度ρが0%であるときのパラジウムの複素屈折率NPd=2.44+3.73iとしている。
図3に示されるように、TE波LTEおよびTM波LTMに対する膜3の見かけの屈折率nTE,nTMは、パラジウムの体積占有率fと略比例の関係を有している。すなわち、体積占有率fが0に近づくほど膜3の見かけの屈折率nTE,nTMは空気の屈折率1に近づき、体積占有率fが1に近づくほど膜3の見かけの屈折率nTE,nTMはパラジウムの屈折率2.44に近づく。このように、膜3の光Lに対する見かけの屈折率nTE,nTMは、光Lの波長よりも小さい周期の溝4が形成されていることにより、パラジウムのバルク膜の屈折率2.44よりも小さい値となる。
一方、図4に示されるように、膜3の見かけの消衰係数kTE,kTMは、TE波LTEとTM波LTMとに対して異なる振る舞いを示す。すなわち、TE波LTEに対する消衰係数kTEは、体積占有率fと略比例して増加するのに対し、TM波LTMに対する消衰係数kTMは、パラジウムの体積占有率fが0.6程度までは略ゼロである。これは、TE波LTEが膜3に急峻に吸収されるのに対し、TM波LTMは膜3によってほとんど吸収されることなく、十分な強度を維持したまま膜3の内部を伝搬することを示している。すなわち、図5に示されるように、基板2側から水素検出素子1に入射した光Lのうち、TE波LTEは基板2と膜3との界面において反射され、TM波LTMは膜3を透過して膜3と空気との界面において反射されることを示している。
図6は、図3および図4と同一の条件においてパラジウムの体積占有率fを50%としたときの、基板2から膜3に入射したTE波LTEおよびTM波LTMの強度I/Iの変化を、式(5)から算出した結果を示すグラフである。式(5)において、zは基板2と膜3との界面からの距離(深さ)、λはTE波LTEおよびTM波LTMの波長=600nm、kは膜3の見かけの消衰係数kTE,kTMである。ここで、図4から、kTE=2.57、kTM=0.033としている。
(5) I/I=exp(−4πkz/λ)
図6に示されるように、膜3の内部において、TE波LTEは、基板2と膜3との界面からの深さ(横軸)に応じて指数関数的に減衰するのに対し、TM波LTMは、ほとんど減衰することなく伝搬し続けることが分かる。
図7は、水素検出素子1の水素濃度ρに対する光Lの反射率RTE(ρ),RTM(ρ)を、式(1)および数1,数2から計算した結果である。なお、基板2の硝材として、n=1.784である光学ガラスSF11(Schott社商標)を想定して計算しているが、基板2の屈折率nはこの値に限定されない。各水素濃度ρにおけるパラジウムの屈折率Npdは、文献「JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, 107 (2010),“Optical properties of Pd thin films exposed to hydrogen studies by transmittance and reflectance spectroscopy”」に添付の図6に基づいた値を使用している。
図11は、上記文献の図6の水素圧力とパラジウム膜の屈折率との関係から、水素濃度とパラジウム膜の反射率との関係を算出して表わしたグラフである。すなわち、入射媒質を空気(n=1)とし、フレネルの式を用いてパラジウム膜の屈折率を反射率に換算している。また、水素気圧760torrを水素濃度100%とし、水素気圧を水素濃度に換算している。水素濃度が増加するとパラジウム膜の反射率は減少する傾向にあり、水素濃度0%における反射率(62%)に対して、水素濃度6%付近において反射率(55%)が最も大きく変化しており、そのときの反射率の変化量は12%(=1−55%/62%)である。
ここで、水素の爆発限界濃度は体積濃度で約4%であり、水素センサとしては4%よりも十分に低い濃度の水素に対して高い検出感度が要求される。しかしながら、特許文献1のセンサは、0%と0.5%とにおける反射光強度の変化量はわずか1%程度であり、低濃度の水素に対する感度が不十分である。これに対して、本実施形態によれば、図7に示されるように、水素濃度ρが0%以上4%以下の範囲においては、TE波LTEの反射率RTE(ρ)が十分に大きな変化率で変化していることから、上記範囲の濃度の水素を高感度で検出することができることが分かる。一方、TM波LTMの反射率RTM(ρ)は、水素濃度ρに対して相関を有さず、略一定の値をとることが分かる。
図8は、水素検出素子1の反射率R(ρ)および比較例に係る水素検出素子の反射率r(ρ)の、水素濃度ρに対する変化を比較したグラフである。比較例に係る水素検出素子は、膜3をバルク膜に代えたことを除いて本実施形態に係る水素検出素子1と同一の構造を有する。図8において、縦軸は、各水素濃度ρにおける反射率R(ρ),r(ρ)を、水素濃度が0%のときの各反射率の値を1としてそれぞれ規格化した値を示している。
図8に示されるように、本実施形態に係る水素検出素子1の反射率R(ρ)は、水素濃度ρが0%以上4%以下の範囲において大きく変化し、その変化量はバルク膜を備える水素検出素子の反射率r(ρ)と比べて約3倍である。したがって、本実施形態に係る水素検出素子1によれば、低濃度における水素濃度のわずかな変化をより大きな反射光L’の変化として検出することができ、十分に低濃度の水素を高感度で検出することができる。
また、図7に示されるように、TE波LTEの反射光LTE’は低濃度の水素に対して感度良く変化するのに対し、TM波LTMの反射光LTM’は水素濃度に依らずに略一定の値となる。したがって、TM波LTMの反射光LTM’をリファレンスとして用いることにより、水素の検出精度をさらに向上することができる。例えば、TE波LTEの反射光LTE’にノイズが混入した場合、TM波LTMの反射光LTM’はノイズの分だけ変動する。したがって、TM波LTMの反射光LTM’の変化量をTE波LTEの反射光LTE’から減算または除算することにより、反射光LTE’含まれるノイズを除去することができる。
ここで、リファレンスとなるTM波LTMの反射光LTM’の強度をより大きくするために、膜3の光学膜厚は略λ/2とされていることが好ましい。λは、光Lの波長である。より詳細には、膜3の光学膜厚は、膜3の見かけの屈折率と膜厚との積で表わされるが、光Lの波長が600nmである場合、膜3のTM波LTMに対する見かけの屈折率nTMが1.427であるので、膜厚は約210nmに設定されることが好ましい。
また、本実施形態に係る水素検出素子1によれば、膜3が溝4を有することにより、バルク膜に比べて膜3の表面積が大きくなり、水素分子との接触面積が大きくなる。これにより、水素分子が膜3に吸着する頻度が増加して水素濃度の変化に対する応答時間が速くなるので、水素の検出性能をさらに向上することができる。
なお、本実施形態においては、溝4が一の方向に直線状に形成されていることとしたが、溝4の形状はこれに限定されるものではなく、光Lの波長よりも小さい周期で形成されていればよい。溝4が他の形状とされていても、膜3の光Lに対する見かけの屈折率が小さくなることにより、基板2と膜3との界面における光Lの反射率Rを小さくし、水素の検出感度を向上することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る水素センサ100について図9および図10を参照して説明する。
本実施形態に係る水素センサ100は、図9に示されるように、上述した水素検出素子1と、該水素検出素子1に基板2側から光Lを入射する光源部11と、水素検出素子1からの反射光L’を検出する検出部12とを備えている。
光源部11は、光源13として、例えば、LEDまたはレーザを備え、溝4の周期pよりも大きな波長とランダムな偏光を有する光Lを光源13から水素検出素子1に照射する。図中、符号14は、光源13からの発散光Lを平行光にするコリメートレンズ、符号15は、無位相ビームスプリッタを示している。無位相ビームスプリッタ15は、光源13からの光Lを水素検出素子1の方向に反射するとともに、水素検出素子1からの反射光L’を透過させる。このように、無位相ビームスプリッタ15を用いることにより、膜3からの反射光(検出光)L’が無位相ビームスプリッタ15を通過する際に、溝4に平行な偏光成分と垂直な偏光成分との間で位相差が生じないため、2つの成分を後述する偏光ビームスプリッタ16にて適切に分離することができる。
検出部12は、無位相ビームスプリッタ15を透過した反射光L’を偏光方向によってTE波LTEとTM波LTMとに分離する偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)16と、該偏光ビームスプリッタ16によって分離されたTE波LTEおよびTM波LTMをそれぞれ受光する2つのフォトダイオード(光検出器)17,18と、これらのフォトダイオード17,18から出力された電圧(検出信号)ITE,ITMが入力され該電圧ITE,ITMの差を出力する減算器19とを備えている。
次にこのように構成された水素センサ100の作用について説明する。
本実施形態に係る水素センサ100において、光源13から出射されたランダムな偏光の光Lは、コリメートレンズ14によって平行光束とされ、無位相ビームスプリッタ15によって水素検出素子1の方向へ反射される。水素検出素子1に基板2側から入射した光Lのうち、溝4に平行な偏光方向を有するTE波LTEは、基板2と膜3との界面において反射され、溝4に垂直な偏光方向を有するTM波LTMは主に膜3と空気との界面において反射される。
水素検出素子1から出射した反射光LTE’,LTM’は、無位相ビームスプリッタ15を透過し、一方の反射光LTE’は偏光ビームスプリッタ16によって反射され、他方の反射光LTM’は偏光ビームスプリッタ16を透過する。分離された各反射光LTE’,LTM’はフォトダイオード17,18によって別々に検出される。フォトダイオード17,18は、検出した反射光LTE’,LTM’の強度を電圧ITM,ITEに変換して出力する。減算器19は、2つの電圧ITE,ITMの差を出力する。
この場合に、本実施形態に係る水素センサ100によれば、TE波LTEおよびTM波LTMに共通のノイズδが加算されていた場合に、減算器19においてノイズδが除去される。例えば、光源13から偏光ビームスプリッタ16までの光路の途中で外来光が光Lまたは反射光L’に混入した場合、外来光由来のノイズ電圧Iδは2つの電圧ITE,ITMに共通して含まれる。このノイズ電圧Iδは、減算器19による減算計算において互いに相殺される。このように、水素濃度に対して略一定の値を有するTM波LTMをリファレンスとして用いることにより、水素濃度をより正確に検出することができる。
なお、本実施形態においては、減算器19により2つ電圧ITE,ITMの差を算出することとしたが、これに代えて、図10に示されるように、除算器20により2つの電圧ITE,ITMの比を算出することとしてもよい。
このように除算器20を備える水素センサ100’は、TE波LTEおよびTM波LTMに共通のノイズδが乗算されていた場合に、そのノイズδを除去することができる。例えば、光源13から出力される照明光Lの明るさが変動する場合には、その明るさの変動によるノイズδ’が2つのTE波LTEおよびTM波LTMの強度に共通して乗算される。このようなノイズδ’を、除算器20による除算計算において相殺することができる。
1 水素検出素子
2 基板
3 膜
4 溝
11 光源部
12,12’ 検出部
13 光源
14 コリメートレンズ
15 無位相ビームスプリッタ
16 偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)
17,18 フォトダイオード(光検出器)
19 減算器
20 除算器
100 水素センサ

Claims (6)

  1. 一方の面から光が入射され該光を透過させる基板と、
    該基板の他方の面に形成され、水素の吸着により光学的特性が変化する金属を主とする膜とを備え、
    該膜は、前記光の波長よりも小さい周期で表面方向に繰り返し形成された溝を有する水素検出素子。
  2. 前記溝が、前記他方の面に沿う一の方向に直線状に形成されている請求項1に記載の水素検出素子。
  3. 請求項1に記載の水素検出素子と、
    前記光を前記基板側から前記水素検出素子に入射する光源部と、
    前記水素検出素子からの前記光の反射光を検出する検出部とを備える水素センサ。
  4. 前記溝が、前記他方の面に沿う一の方向に直線状に形成され、
    前記検出部が、前記水素検出素子からの前記反射光を前記溝の長手方向に平行な偏光と前記溝の長手方向に垂直な偏光とに分離する偏光分離素子と、該偏光分離素子によって分離された前記平行な偏光と前記垂直な偏光とをそれぞれ検出する2つの光検出器とを備える請求項3に記載の水素センサ。
  5. 前記検出部が、前記2つの検出器から各前記偏光の検出信号が入力され、これら検出信号の差を出力する減算器を備える請求項4に記載の水素センサ。
  6. 前記検出部が、前記2つの検出器から各前記偏光の検出信号が入力され、これら検出信号の比を出力する除算器を備える請求項4に記載の水素センサ。
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