JP2013249366A - 色素分子の立体配座及び吸収スペクトル制御方法、及び制御型色素分子 - Google Patents

色素分子の立体配座及び吸収スペクトル制御方法、及び制御型色素分子 Download PDF

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Abstract

【課題】度光電変換効率に優れることが確認されている色素について、吸収スペクトルを制御できる方法の提供。
【解決手段】下式1で表される色素分子のベンゼン環と=Aを繋ぐ単結合のねじれ角A1に由来する立体配座を制御する、具体的には、RかRの一方に修飾基を導入してねじれ角A1を0°側又は180°側に安定化させることによって、立体配座に依存する吸収スペクトルの違いを制御する方法。

【選択図】図3

Description

本発明は、色素分子の立体配座及び吸収スペクトル制御方法に関する。または、本発明は、該制御方法により立体配座及び吸収スペクトルの制御された制御型色素分子に関する。
環境に配慮した持続可能なエネルギーの創出のために、自然由来で資源量が事実上無限の太陽光を利用する太陽電池を有効利用することは、最も有望な戦略である。色素増感型太陽電池(Dye-sensitized solar cell:DSSC)は、シリコンベースの光起電デバイスと比較して、材料が安価であることと、作製に大掛かりな設備を必要としないことから低コスト太陽電池として注目されている。またDSSCは、電極基板材料や色素分子を変えることによってデバイスの形状や光の吸収帯に多様性をもたせることが容易である。例えば、基板をガラスからプラスチックフィルムに変えることで形状に柔軟性を持たせることも可能であるし、蛍光灯やLEDでも発電する室内型太陽電池にすることも可能である。
1991年、ローザンヌ大(スイス)のGratzelらによって初めて提案されたDSSCは、変換効率η(solar energy-to-electricity conversion efficiencies)は7.1%に達し、実用化に向けて大きく前進させる成果であった。以後、高効率色素の開発が、DSSCの進展を牽引してきた。DSSCの性能は、色素の吸収特性に大きく依存する。太陽光スペククトルを広く集光するためには、近赤外領域(700−2500nm)まで広い吸収が起こる色素が必要である。このような色素は、大きな光電流を発生させることになり、結果として、高効率DSSCが実現する。Gratzelらは、ルテニウム(Ru)ベース色素(Ruthenium-based dye)を用いて、高効率DSSCを開発することに成功した。現在、Ruベース色素と、ナノ結晶(nanocrystalline)のTiO電極と、ヨウ素系レドックス電解質(iodine redox electrolyte)から成るDSSCの変換効率ηは、AM1.5Gソーラーシミュレータ下、11%付近に達している。しかしながら、資源的に制約があるRuが使われていることは、実用化において大きな課題に成りうる。
Ru系色素の実用化問題を避けるために、安価に合成できる有機色素を用いることは有効な方法である。色素増感太陽電池用有機色素の一例として、特許文献1に示される色素群が提案されている。この色素群に含まれるインドリン系色素D149は、下記構造式に示すように、部分構造としてインドリン−チアゾリジン(Indoline−Thiazolidine)部を含む[非特許文献1,2,3]。その光電変換効率ηは、12.6μmの厚さのナノ結晶TiO電極、アセトニトリル(AcCN)溶媒、I/I 系レドックス試薬の組合せを用いた場合、9.03%に達することが示されている[非特許文献2]。
特開2005−19252号公報
Horiuchi, T.; Miura, H.; Sumioka, K.; Uchida, S. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 12218. Ito, S.; Zakeeruddin, S.?M.; Humphry-Baker, R.; Liska, P.; Charvet R.; Comte, P.; Nazeeruddin, M.?K.; Pechy, P.; Takata, M.; Miura, H.; Uchida, S.; Gratzel, M. Adv. Mater. 2006, 18, 1202. Ito, S.; Miura, H.; Uchida, S.; Takata, M.; Sumioka, K.; Liska, P.; Comte, P.; Pechy, P.; Gratzel, M. Chem. Commun. 2008, 41, 5194.
有機化合物には二重結合が一つおきに連なった共役二重結合(以下“共役系”という)を持ったものが多く存在する。この共役系がピーク波長と吸収強度に大きな係わり合いを持っていることが知られている。共役系が大きくなるほど、ピーク波長は長波長側にシフトし、吸収強度も大きくなる。
一方、光電変換材料としては、太陽光の利用に限らず、様々な光源(室内の蛍光灯やLED照明等)の有効利用を考慮することが重要である。これらの様々な光源は、波長分布がそれぞれ異なり、高い光電変換効率を得るためには、それぞれの波長分布に合わせて吸収効率を高めることが要求される。しかしながら、様々な色素を試行錯誤して検討するには、膨大な時間を要する。そこで、ある程度光電変換効率に優れることが確認されている色素について、吸収スペクトルを制御できる方法が有望である。
本発明者は色素分子に結合する共役系の立体配座を制御することによって、吸収スペクトルに相違が生じることを見いだした。
すなわち、本発明の一実施形態によれば、
下記構造式(1)で表される色素分子において、ベンゼン環と=Aを繋ぐ単結合のねじれ角A1に由来する立体配座を制御することによって、立体配座に依存する吸収スペクトルの違いを制御する色素分子の吸収スペクトル制御方法であって、RかRの一方に修飾基を導入してねじれ角A1を0°側又は180°側に安定化させる吸収スペクトル制御方法が提供される。
(R〜R及びRは、水素原子又は、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルアミノアルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、トシル基、メシル基、ハロゲン、アシル基、アリール基、ヘテロ環から選択される置換基を有していてもよい修飾基を示す。Aは共役炭素原子を含む有機基を示す。Bは窒素原子を含むヘテロ環であり、nは環Bに結合し得るRの数を示す。RとRは、一方が修飾基であり、他方は水素原子を示す。nが2以上の場合、それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。)
共役系を構成する置換基を有する色素分子のインドリン部に、その置換位置に隣接して修飾基を導入することにより、立体配座を制御することが可能になる。同時に、立体配座に依存する吸収スペクトルの違いも制御することが可能となる。
式(3a)において、修飾基を有さないインドリン−チアゾリジン共役系(C(1)=C(2)−C(3)=C(4))のねじれ角A1に対する配座エネルギーの変化を示すグラフである。 ねじれ角A1(C(1)=C(2)−C(3)=C(4))が0°(黒)と180°(グレー)の場合のD149の吸収スペクトルのシミュレーション結果を示す。吸収スペクトルは、各ピークをガウス分布(half-width=10nm)でフィッティングしている。 式(3a)のインドリン−チアゾリジン共役系の修飾基導入効果を示す図であり、(a)はR=メチル基、R=水素、R=水素の場合、(b)はR=水素、R=メチル基、R=水素の場合、(c)R=水素、R=水素、R=メチル基の場合の配座エネルギーの変化を示す。 式(4)のRがメチル基、Rが水素の場合(黒線)と、Rが水素、Rがメチル基の場合(点線)の吸収スペクトル図を示す。吸収スペクトルは、各ピークをガウス分布(half-width=10nm)でフィッティングしている。 式(3a)のインドリン−チアゾリジン共役系の修飾基導入効果を示す図であり、(a)R=塩素、R=水素、R=水素の場合、(b)R=水素、R=塩素、R=水素の場合の配座エネルギーの変化を示す図である。 式(3a)のインドリン−チアゾリジン共役系の修飾基導入効果を示す図であり、(a)R=水酸基、R=水素、R=水素の場合、(b)R=水素、R=水酸基、R=水素の場合の配座エネルギーの変化を示す図である。 式(3a)のインドリン−チアゾリジン共役系の修飾基導入効果を示す図であり、(a)R=アミノ基、R=水素、R=水素の場合、(b)R=水素、R=アミノ基、R=水素の場合の配座エネルギーの変化を示す図である。 式(4)のRが塩素、Rが水素の場合(黒線)と、Rが水素、Rが塩素の場合(点線)の吸収スペクトル図を示す。吸収スペクトルは、各ピークをガウス分布(half-width=10nm)でフィッティングしている。 式(4)のRが水酸基、Rが水素の場合(黒線)と、Rが水素、Rが水酸基の場合(点線)の吸収スペクトル図を示す。吸収スペクトルは、各ピークをガウス分布(half-width=10nm)でフィッティングしている。 式(4)のRがアミノ基、Rが水素の場合(黒線)と、Rが水素、Rがアミノ基の場合(点線)の吸収スペクトル図を示す。吸収スペクトルは、各ピークをガウス分布(half-width=10nm)でフィッティングしている。
従来、インドリン部を含むDSSC用色素分子は存在したが、ねじれ角に由来する複数の立体配座(コンフォメーション)の違いが考慮されずに利用されていた。複数の立体配座が存在することは、光の吸収スペクトルに影響を与える可能性がある。例えば、D149は、インドリン部とチアゾリジン部を繋ぐ共役系の単結合のねじれ角(下記式のA1)に依存して立体配座が大きく変化し、吸収スペクトルに大きな影響を与える可能性がある。立体配座を制御することができれば、同時に、立体配座に依存する吸収スペクトルを制御することが可能になるが、その方法は知られていない。
本発明では、D149に代表されるように、ベンゼン環に共役系を構成する置換基を有する下記構造式(1)で表される色素分子について、置換位置に隣接するR又はRに修飾基を導入することで、ねじれ角A1による立体配座を制御し、立体配座に依存する吸収スペクトルを制御するものである。
(R〜R及びRは、水素原子又は、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルアミノアルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、トシル基、メシル基、ハロゲン、アシル基、アリール基、ヘテロ環から選択される置換基を有していてもよい修飾基を示す。Aは共役炭素原子を含む有機基を示す。Bは窒素原子を含むヘテロ環であり、nは環Bに結合し得るRの数を示す。RとRは、一方が修飾基であり、他方は水素原子を示す。nが2以上の場合、それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。)
上記構造式(1)の色素分子の立体配座及び吸収スペクトルを制御する方法として、RとRの修飾部位のどちらか一方に、修飾基を導入する。RとRのどちらか一方に導入する修飾基には、第1に、電子供与性の水酸基(−OH)、メトキシ基(−OMe)等のアルコキシ基、アミノ基(−NH)、メチルアミノ基(−NHMe)等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基(−NMe)等のジアルキルアミノ基、ジメチルアミノメチル基(−CHNMe)等のジアルキルアミノアルキル基、メチル基(−Me)とその他のアルキル基、など、第2に、電子求引性のニトロ基(−NO)、シアノ基(−CN)、トシル基(−Ts)、メシル基(−Ms)、ハロゲン(−F、−Cl、−Br、−I)、フェニル基(−Ph)などのアリール基、アシル基(−Ac)などのケト基、などが挙げられる。また、修飾基を導入しない修飾部位には、水素が結合する。なお、導入する修飾基によっては、立体障害や水素結合などの影響を受けて立体配座の安定化に影響を及ぼす場合があり、必ずしも0°又は180°で安定化するとは限らないが、0°側あるいは180°側に近いねじれ角で安定化させることができる。なお、後述する実施例に示すように、電子供与性と電子求引性とで、立体配座の制御性にはほとんど差違はない。RとRのどちらか一方に導入する修飾基としては、立体障害の小さな修飾基が好ましく、特にメチル基、水酸基、ハロゲン又はアミノ基であることがより好ましい。
Aで表される共役炭素原子を含む有機基としては、以下の構造を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
DSSC用の色素として使用する場合、カルボキシル基等のアンカー基を有する化合物が好ましい。
Bで表されるヘテロ環としては、例えば、下記構造を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(R、Rは式(1)中のRと同様の意味を示す。R同士またはRとRは互い結合して環を形成してもよい。複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
本発明の第1の形態では、下記構造式(2)で表されるインドリン−チアゾリジン結合部を有するものが好ましく使用できる。
(R〜Rは、構造式(1)中のR〜Rと同様の意味を示し、R、Rは式(1)中のRと同様の意味を示す。R、Rはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は二価の連結基を含む有機基を示す。Rは、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルアミノアルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、トシル基、メシル基、ハロゲン、アシル基、アリール基、ヘテロ環から選択される置換基を有していてもよい修飾基を示す。それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。)
さらに、R同士が結合してシクロペンタン環を形成する下記構造式(3)が好ましい。
(R〜R,R〜Rは前記構造式(2)中のR〜R,R〜Rと同様の意味を示す。)
中でも、本発明は、D149の基本骨格を有する下記式(4)の構造が好ましい。
(R,Rは前記構造式(1)中のR,Rと同様の意味を示す。)
特許文献1には、インドリン部のベンゼン環上に置換基を有していてもよいことが示されているが、実際に置換基を導入した事例は示されておらず、特にR又はRに修飾基を導入することで、立体配座を制御できることは何ら記載も示唆もされていない。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
かかる実施例は、本発明の第1の形態に対応するものである。本実施例では、D149に代表されるインドリン−チアゾリジン結合部を有するインドリン系色素の立体配座が制御できることを示し、同時に、立体配座に依存する吸収スペクトルの違いも制御できることを示す。本実施例では、下記式(3a)のRとRが、(a)R=メチル基、R=水素の場合と、(b)R=水素、R=メチル基の場合を示す。
計算手法
立体配座、及び吸収スペクトルの計算は、アイオワ州立大Gordonグループで開発されている非経験的分子軌道法/密度汎関数理論計算プログラム:GAMESS(無償提供)を用いて実行した。立体配座の探索は、密度汎関数法(Density Functional Theory:DFT)を用いて、共役系C(1)=C(2)−C(3)=C(4)における単結合(C(2)−C(3))のねじれ角A1(式(3a)参照)に対するポテンシャル面を計算することにより行った。DFT計算で用いた交換相関汎関数はB3LYP、基底関数は6−31G(d)である。また、分極連続モデルを適用し、色素がアセトニトリル溶媒中に存在する条件で行った。配座エネルギー面は、ねじれ角の0°から360°までを15°刻みで得た。このねじれ角以外の自由度は構造最適化法により最適化された。
励起状態計算(吸収スペクトル)は、時間依存密度汎関数法(Time-dependent DFT:TD−DFT)によって行われた。ここで用いた交換相関汎関数はM05、base setは6−31G(d)である。また、分極連続モデルにより、色素がアセトニトリル溶媒中に存在する条件で行った。
結果
まず、式(3a)において、R=R=R=Hであるインドリン−チアゾリジン部が取りうる立体配座を示す。図1はインドリン−チアゾリジン結合部C(1)=C(2)−C(3)=C(4)のねじれ角に由来する配座エネルギーを示している。この結果から、二面角が0°と180°のときに、ほぼ同等のエネルギー値を持つ2つの安定状態が存在することが分かる。D149の場合、このねじれ角が0°か180°かで、全体構造は大きく異なる。
上記のねじれ角が0°と180°の場合を初期構造として、D149(全体構造)の構造最適化を行った。複数の最適化された構造に対して、吸収スペクトルを計算した結果を図2に示す。ねじれ角が、0°(黒線)側にあるか、180°(グレー線)側にあるかで、吸収スペクトルに明確な違いが生じる。図1に示すように、0°と180°はほぼ同等に安定状態として存在することから、D149は、2つの吸収スペクトルが混在している。
2つの吸収スペクトルの内、どちらかを優位に取り出すためには、上記のねじれ角に由来する立体配座を制御できればよい。ここで、インドリン−チアゾリジン部のRとRとR(式(3a)参照)に修飾基を導入することにより、安定状態を0°か180°のどちらか一方に偏らせることが可能かどうかを示す。本実施例では、再度、インドリン−チアゾリジン部を用いて、(a)R=メチル基、R=水素、R=水素の場合と、(b)R=水素、R=メチル基、R=水素の場合と、(c)R=水素、R=水素、R=メチル基の場合を示す。図3は、(a)、(b)、(c)の場合の配座エネルギーの変化を示す。この結果から、修飾基の導入により、(a)の場合は180°側に、(b)の場合は0°側に配座エネルギーの安定状態を大きく偏らせることが可能であり、立体配座の制御効果は大きい。一方、(c)の場合は、180°と0°でほとんど配座エネルギーの差が現れないことから、この位置に修飾基を導入することによる、立体配座の制御の効果は小さい。
図4は、式(4)のRにメチル基を導入(R=メチル基、R=水素)した場合と、Rにメチル基を導入(R=水素、R=メチル基)した場合の吸収スペクトルの計算結果を示す。前者は該当の回転角が180°側に、後者は0°側に制御された状態に対応する。修飾基を導入した場合も、回転角が0°か180°かで、吸収スペクトルは2つのタイプに分かれることが示された。以上より、RとRの位置での修飾基導入は、立体配座を制御でき、同時に、立体配座に依存する吸収スペクトルも制御できることが示された。これは、DSSCに適用するに際して、光源として低波長成分分布が大きい光源を使用する場合に、低波長側ピークの吸光度が大きい0°側に安定状態を制御し、逆に高波長成分分布が大きい光源を使用する場合には、高波長側ピークの吸光度が大きい180°側に安定状態を制御することで、光電変換効率をさらに高められることを示唆している。
このように、従来のD149では立体配座の影響を考慮せずに使用していることで、2つのタイプの吸収スペクトルが混在していたが、本発明では、0°側又は180°側の1タイプの吸収スペクトルを取り出すことが可能となる。
(実施例2)
図5は、実施例1と同様に、式(3a)で表されるインドリン−チアゾリジン部の(a)R=塩素、R=水素、R=水素の場合、(b)R=水素、R=塩素、R=水素の場合の配座エネルギーの変化を示す。実施例1と同様の立体配座制御効果が得られる。図8は、式(4)のRに塩素を導入(R=塩素、R=水素)した場合と、Rに塩素を導入(R=水素、R=塩素)した場合の吸収スペクトルの計算結果を示す。図4と同じ傾向が示されていることが分かる。
(実施例3)
図6は、実施例1と同様に、式(3a)で表されるインドリン−チアゾリジン部の(a)R=水酸基、R=水素、R=水素の場合、(b)R=水素、R=水酸基、R=水素の場合の配座エネルギーの変化を示す。実施例1と同様の立体配座制御効果が得られる。図9は、式(4)のRに水酸基を導入(R=水酸基、R=水素)した場合と、Rに水酸基を導入(R=水素、R=水酸基)した場合の吸収スペクトルの計算結果を示す。図4と同じ傾向が示されていることが分かる。
(実施例4)
図7は、実施例1と同様に、式(3a)で表されるインドリン−チアゾリジン部の(a)R=アミノ基、R=水素、R=水素の場合、(b)R=水素、R=アミノ基、R=水素の場合の配座エネルギーの変化を示す。実施例1と同様の立体配座制御効果が得られる。図10は、式(4)のRにアミノ基を導入(R=アミノ基、R=水素)した場合と、Rにアミノ基を導入(R=水素、R=アミノ基)した場合の吸収スペクトルの計算結果を示す。図4と同じ傾向が示されていることが分かる。
本発明によれば、式(1)で表される色素分子の立体配座の制御が可能であることが示された。これにより特許文献1に記載のD149(A−1)以外のA−2〜A−8で表されるDSSC用の色素、あるいは類似構造を有する色素についても同様に制御できることが示唆される。これにより、様々な光源下でそれぞれの光源に適した優れた特性を有するDSSCを提供することが可能となる。

Claims (10)

  1. 下記構造式(1)で表される色素分子において、ベンゼン環と=Aを繋ぐ単結合のねじれ角A1に由来する立体配座を制御することによって、立体配座に依存する吸収スペクトルの違いを制御する色素分子の吸収スペクトル制御方法であって、RかRの一方に修飾基を導入してねじれ角A1を0°側又は180°側に安定化させる吸収スペクトル制御方法。
    (R〜R及びRは、水素原子又は、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルアミノアルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、トシル基、メシル基、ハロゲン、アシル基、アリール基、ヘテロ環から選択される置換基を有していてもよい修飾基を示す。Aは共役炭素原子を含む有機基を示す。Bは窒素原子を含むヘテロ環であり、nは環Bに結合し得るRの数を示す。RとRは、一方が修飾基であり、他方は水素原子を示す。nが2以上の場合、それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記色素分子は、下記構造式(2)で表されるインドリン−チアゾリジン骨格を有する請求項1に記載の色素分子の吸収スペクトル制御方法。
    (R〜Rは、構造式(1)中のR〜Rと同様の意味を示し、R、Rは式(1)中のRと同様の意味を示す。R、Rはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は二価の連結基を含む有機基を示す。Rは、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルアミノアルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、トシル基、メシル基、ハロゲン、アシル基、アリール基、ヘテロ環から選択される置換基を有していてもよい修飾基を示す。それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。)
  3. 前記色素分子は、下記構造式(3)で表される骨格を有する請求項2に記載の色素分子の吸収スペクトル制御方法。
    (R〜R,R〜Rは前記構造式(2)中のR〜R,R〜Rと同様の意味を示す。)
  4. 前記色素分子が下記構造式(4)で表される骨格を有する請求項2に記載の色素分子の吸収スペクトル制御方法。
    (R,Rは前記構造式(1)中のR,Rと同様の意味を示す。)
  5. 又はRに導入される修飾基が、メチル基、水酸基、ハロゲン又はアミノ基である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインドリン系色素の吸収スペクトル制御方法。
  6. 下記構造式(1)で表される色素分子であって、RかRの一方に修飾基を導入してねじれ角A1に由来する立体配座を安定化した制御型色素分子。
    (R〜R及びRは、水素原子又は、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルアミノアルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、トシル基、メシル基、ハロゲン、アシル基、アリール基、ヘテロ環から選択される置換基を有していてもよい修飾基を示す。Aは共役炭素原子を含む有機基を示す。Bは窒素原子を含む複素環であり、nは環Bに置換し得るRの数を示す。RとRは、一方が修飾基であり、他方は水素原子を示す。)
  7. 前記色素分子は、下記構造式(2)で表されるインドリン−チアゾリジン骨格を有する請求項6に記載の制御型色素分子。
    (R〜Rは、構造式(1)中のR〜Rと同様の意味を示し、R、Rは式(1)中のRと同様の意味を示す。R、Rはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は二価の連結基を含む有機基を示す。Rは、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルアミノアルキル基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、トシル基、メシル基、ハロゲン、アシル基、アリール基、ヘテロ環から選択される置換基を有していてもよい修飾基を示す。それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。)
  8. 前記色素分子は、下記構造式(3)で表される骨格を有する請求項7に記載の制御型色素分子。
    (R〜R,R〜Rは前記構造式(2)中のR〜R,R〜Rと同様の意味を示す。)
  9. 前記色素分子が下記構造式(4)で表される骨格を有する請求項7に記載の制御型色素分子。
    (R,Rは前記構造式(1)中のR,Rと同様の意味を示す。)
  10. 又はRに導入される修飾基が、メチル基、水酸基、ハロゲン又はアミノ基である請求項6乃至9のいずれか1項に記載の制御型色素分子。
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