JP2013247730A - 発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】永久磁石がコアの対向面を通過する際にコアから受ける反発力や吸引力が少なく、わずかな駆動力でロータを回転させて発電効率を向上させることができ、ロータの回転負荷トルクを減少させることができるだけでなく、ロータの回転の変動を抑えて常に略一定の安定した出力を得ることができ、発電出力を高めることができる発電の効率性、均一性に優れた発電システムの提供。
【解決手段】発電機2のステータコイル群4が、発電した電力を出力して蓄電池6に蓄電するための出力用コイル4aと、ロータ3の回転の変動を抑えるための安定化用コイル4bと、を有し、発電機2のロータ3の回転開始時は安定化用コイル4bの各々のコイル4bの端末同士をオープンにし、発電機2のロータ3の回転開始後は安定化用コイル4bの各々のコイル4bの端末同士をショートさせる切り換え部8を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石を配置したロータの回転により、コイルに誘導電圧を生じさせる発電機を用いた発電システムに関するものである。
従来より、磁石を多数配置したロータと、ステータコイルを有するステータと、を備え、ロータを回転させることによりステータコイルに誘導電圧を生じさせる発電機が知られている。
例えば、(特許文献1)には、「複数の永久磁石が円環列状に設けられた円板状のロータと、永久磁石の回転軌道面を両側から隙間をもって挟み込むように円環列状に配置されたコアレスコイルと、コアレスコイル間に配置され回転自在に形成された磁石車と、を備えた発電装置」が開示されている。
(特許文献2)には、「界磁極を形成するN磁極とS磁極とを交互に配設した磁極ロータと、ステータ鉄心にステータコイルを巻装したステータ極と、ステータ極のステータコイル毎又はロータの回転に伴い同位相の交流起電力が発生するステータコイル群毎に接続された整流回路と、を備えた発電機」が開示されている。
WO2003/094329号公報 特開2006−191790号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術では、回転自在に形成された磁石車をコアレスコイル間に設けるため、構造が複雑化し保守も煩雑化するという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術では、(特許文献2)の段落〔0083〕欄乃至段落〔0088〕欄、図23及び図24に、駆動モータの負荷電流が5.1A(AC)のときに、発電機の出力電圧が292.6V(DC)、出力電流が10.36A(DC)との実施例が記載されており、発電効率が高いことが示されている。しかしながら、本実施例では、発電機の磁極ロータに電磁石を使用しているため、励磁のための電力が必要となる。本実施例の場合は、段落〔0084〕欄に記載されているように、コイルへの印加電圧は約50V、電流は3Aのため、約150Wの電力が消費されている。この励磁のための消費電力により、発電機の発電効率が低下するという課題を有していた。また、磁極ロータに電磁石を使用する場合は、励磁のための電源回路が必要となり、さらに電源回路から磁極ロータに電流を導くためのスリップリングやブラシ等の電気的接点も必要となるため、構造が複雑化し保守も煩雑化するという課題を有していた。
(3)また、電磁石を使用することなく、磁極ロータに永久磁石を使用した同期発電機を利用した発電システムも検討されているが、電磁石を単に永久磁石に置き換えた発電機は、磁極ロータを回転させる際に、磁極ロータを回転させる駆動モータの負荷電流が著しく大きくなることがわかっている。以下、図面を参照してこの現象を説明する。
図7は、永久磁石を使用した従来の同期発電機の原理を説明する模式図である。
図7中、100は図示しない磁極ロータに配置された永久磁石、101は永久磁石100の端面、102はコア、103は永久磁石100の端面101と対向するコア102の対向面、104はコア102に巻回されたステータコイル、105はコア102の隣に矢印で示すロータの回転方向に沿って配置されたコア、106は永久磁石100の端面101と対向するコア105の対向面、107はコア105に巻回されたステータコイルである。
以上のように構成された同期発電機において、永久磁石100が配置された図示しない磁極ロータを回転させると、永久磁石100の端面101(N磁極とする)から出てコア102、105に導かれた磁束が変化するので、永久磁石100が離れていくステータコイル104には矢印で示す方向の電流が生じ、ステータコイル104に生じた電流によりコア102の対向面103はS磁極となる。一方、永久磁石100が近づいてくるステータコイル107には矢印で示す方向の電流が生じ、ステータコイル107に生じた電流によりコア105の対向面106はN磁極となる。この結果、永久磁石100は、端面101がコア105の対向面106に近づく間はコア105から反発力を受けるが、対向面106を通過したとたんにステータコイル107を流れる電流の向きが変わるので、コア105の対向面106がS磁極となり、コア105から強い吸引力を受ける。これにより、磁極ロータの回転負荷トルクが大きくなり、磁極ロータを回転させる駆動モータの負荷電流が著しく大きくなるのである。この結果、磁極ロータを回転させるための消費電力が著しく増大し、発電機の発電効率が大幅に低下するという課題を有していた。
このように、磁極ロータを回転させるのに大電力を消費するため、発電機の出力電圧を蓄電池に充電し、この電圧を負荷とロータの駆動モータの両方に供給した場合、発電量が著しく低下し、発電の効率性に欠けるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、永久磁石がコアの対向面を通過する際にコアから受ける反発力や吸引力が少なく、わずかな駆動力でロータを回転させて発電効率を向上させることができ、ロータの回転負荷トルクを減少させることができるだけでなく、ロータの回転の変動を抑えて常に略一定の安定した出力を得ることができ、発電出力を高めることができる発電の効率性、均一性に優れた発電システムを提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の発電システムは、以下の構成を有している。
請求項1に記載の発電機は、回転軸に取り付けられたロータと、前記ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なるように永久磁石が複数配置された第一界磁部と、前記第一界磁部と間隔をあけて配置され一端部に前記第一界磁部とギャップを介して対向する第一対向面を有し各々が磁気的に絶縁された複数のコアと、各々の前記コアにコイルが巻回されたステータコイル群と、を備えた発電機を用いる発電システムであって、前記発電機の前記ステータコイル群が、発電した電力を出力して蓄電池に蓄電するための出力用コイルと、前記ロータの回転の変動を抑えるための安定化用コイルと、を有し、前記発電機の前記ロータの回転開始時は前記安定化用コイルの各々のコイルの端末同士をオープンにし、前記発電機の前記ロータの回転開始後は前記安定化用コイルの各々のコイルの端末同士をショートさせる切り換え部を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)発電機のステータコイル群が、発電した電力を出力して蓄電池に蓄電するための出力用コイルと、ロータの回転の変動を抑えるための安定化用コイルと、を有し、発電機のロータの回転開始時は安定化用コイルの各々のコイルの端末同士をオープンにし、ロータの回転開始後は安定化用コイルの各々のコイルの端末同士をショートさせる切り換え部を有することにより、回転開始時のロータの回転負荷トルクを著しく減少させ、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、回転開始後は安定化用コイルに発生する磁界の作用によってロータの回転の変動を抑えて常に略一定の安定した出力を得ることができ、発電出力を高めることができ、発電の効率性、均一性に優れる。
(2)ロータの回転開始時と回転開始後に、切り換え部により安定化用コイルの各々のコイルの端末同士のオープンとショートを切り換えるだけで、容易に回転開始時のロータの回転負荷トルクを低減させると共に、回転開始後のロータの回転を安定化させることができ、ロータの回転中に複雑なスイッチングなどを行う必要がなく、回路を簡素化することができ、量産性、制御の容易性に優れる。
ここで、ロータとしては、円柱状や多角柱状等の柱状、板状等に形成されたものを用いることができる。柱状に形成されたロータに対しては、ロータの外周面に永久磁石を配置することができる。板状に形成されたロータに対しては、ロータの平板面に永久磁石を配置することができる。ロータが回転して永久磁石からコアに導かれた磁束が変化すると、電磁誘導によりステータコイル群の出力用コイルに電流が流れて発電を行うことができる。
ロータは、駆動用モータ等の回転駆動装置に連結することができる。また、風車や水車に連結することもできる。回転駆動装置の駆動力や風力、水力により、ロータを回転させて発電させることができる。これにより、自動車,船舶,鉄道,航空機,建設機械等に搭載する発電システムとして用いることができる。また、工場,店舗,住宅等に電力を供給する自家発電用等の発電システムとして用いることもできる。
永久磁石としては、アルニコ磁石、フェライト磁石、Fe−Cr−Co磁石、サマリウム系,ネオジウム系等の希土類磁石等の中から、発電出力に応じて適宜選択して用いることができる。大きな出力を得る場合には、磁束密度も保磁力も大きな希土類磁石、特にネオジウム系の永久磁石を用いるのが好ましい。
永久磁石は、一つの部材で塊状等に形成されたものを用いることができる。また、板状の永久磁石を複数枚吸着させて重ねたものを用いることもできる。永久磁石の端面の形状は、特に限定する必要はなく、矩形状、円形状等の種々の形状を採用することができる。
端面の磁極が交互に異なるように複数の永久磁石をロータの外周面若しくは平板面に配置し、第一界磁部が構成される。
ステータコイル群のコイルの数は、適宜、選択することができ、その内の出力用コイル及び安定化用コイルの数と配置も、適宜、選択することができる。出力用コイルはコイル毎に異なる蓄電池に接続してもよいし、複数のコイルを直列に接続したコイル群毎にまとめて1つの蓄電池に接続してもよい。また、出力用コイルと蓄電池の間には、必要に応じて変圧器や整流器を接続することができる。特に、出力用コイルと安定化用コイルを交互に配置した場合、安定化用コイルに発生する磁界を円周方向に均等に作用させて、ロータの回転の変動を効果的に抑えることができ、ロータの回転の均一性、発電の安定性、効率性に優れる。
変圧器としては、従来公知の変成器や変流器等を用いることができ、出力用コイルを変圧器に接続することにより、所望の電圧に降圧させることができる。出力用コイルのコイル毎やコイル群毎に生じた交流電圧は、出力用コイルの他のコイルやコイル群に生じた交流電圧に干渉されることなく、所望の交流電圧に変圧され負荷回路等に供給されるため、そのコイル毎又はコイル群毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができる。
整流器としては、従来公知のサイリスタやダイオード等を用いることができ、出力用コイルに整流器を接続することにより、交流を直流に変換することができる。整流器とインバータを組み合わせた電力変換装置を用いることもできる。出力用コイルのコイル毎やコイル群毎に生じた交流電流は、出力用コイルの他のコイルやコイル群に生じた交流電流に干渉されることなく、所望の直流電流に変換され負荷回路や蓄電池等に供給されるため、コイル毎又はコイル群毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができる。
尚、変圧器と整流器は組み合わせて使用することもできる。
切り換え部は、安定化用コイルの各々のコイルの端末同士のオープンとショートを切り換えることができればよい。切り換え部は、出力用コイルから蓄電池に流れる電流やロータの回転の有無或いはロータの回転数などを検出してオープンとショートの切り換えを自動的に行うものが好適に用いられる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発電システムであって、常磁性材料で形成され、前記発電機の前記第一界磁部の外周を囲繞して前記ロータと共に回転する第一ロータ囲繞部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)常磁性材料で形成され、発電機の第一界磁部の外周を囲繞してロータと共に回転する第一ロータ囲繞部を備えることにより、第一ロータ囲繞部にロータの回転方向と同じ向きに力が働き、ロータの回転を加速或いは安定化させて発電量の増加、安定化を図ることができ、発電の効率性、安定性に優れる。これは、ロータの回転時に安定化用コイルに磁界が発生し、その中を第一ロータ囲繞部が通過することにより、渦電流が発生するためと考えており、このため磁界の作用によって第一ロータ囲繞部をロータの回転方向に付勢する力が発生していると考えている。
(2)第一界磁部の外周を第一ロータ囲繞部で囲繞することにより、ロータの回転時に、ロータ表面に突出した永久磁石が抵抗となることがなく、ロータをスムーズに回転させることができ、発電の効率性に優れると共に、ロータ外周の気流を安定させて、風切り音を低減することができ、低騒音性に優れる。
(3)第一界磁部の外周を囲繞する第一ロータ囲繞部によって永久磁石の外表面を確実に固定し、永久磁石の落下を防止することができ、永久磁石の固定の安定性、動作の確実性に優れる。
ここで、第一ロータ囲繞部は常磁性材料で形成されるが、特にアルミニウムが好適に用いられる。第一ロータ囲繞部は、初めから円筒状などに成型したものを第一界磁部の外周に嵌合するようにして取り付けてもよいし、シート状(帯状)に形成したものを巻き付けるようにして取り付けてもよい。特に、シート状(帯状)で裏面に接着層を有するものは簡単に固定することができ、組立作業性に優れる。尚、ロータの外周面と永久磁石表面との段差を埋めるために永久磁石の側部外周(円周方向に配置される永久磁石と永久磁石の間)にスペーサを配置してもよい。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発電システムであって、前記発電機の前記ステータコイル群の複数の前記出力用コイルが直列に接続されている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)発電機のステータコイル群の複数の出力用コイルが直列に接続されていることにより、複数の出力用コイルに発生した電力をまとめて蓄電池に蓄電することができ、蓄電の効率性に優れる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の発電システムであって、前記発電機の前記第一界磁部が、前記永久磁石の前記コア側の端面に固着された第一磁束遮蔽部材を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)発電機の第一界磁部が、永久磁石のコア側の端面に固着された第一磁束遮蔽部材を備えていることにより、永久磁石の磁束が第一磁束遮蔽部材に導かれ、第一磁束遮蔽部材から出た磁束がコアに導かれるが、永久磁石の端面からコアに真っ直ぐに向かう磁束は、第一磁束遮蔽部材に遮蔽されて少なくなるので、第一磁束遮蔽部材がコアの第一対向面を通過する際に第一磁束遮蔽部材がコアから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなる。これにより、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
ここで、第一磁束遮蔽部材としては、鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金(Fe−Al−Ni−Co合金)等の強磁性体で、塊状,板状等に形成されたものを用いることができる。硬磁性体,軟磁性体のいずれも用いることができ、着磁を施したものを用いることもできる。着磁を施した第一磁束遮蔽部材は、異方性、等方性のいずれも用いることができるが、異方性の第一磁束遮蔽部材を用いる場合は、配向方向がロータの回転方向に沿って向くように、第一磁束遮蔽部材を永久磁石に固着するのが望ましい。回転方向に沿って隣り合う第一磁束遮蔽部材間を結ぶ漏れ磁束を増加させ、ロータの回転負荷トルクを減少させられるからである。
第一磁束遮蔽部材は、厚いものを永久磁石の端面に一枚固着することができる。また、薄い第一磁束遮蔽部材を複数枚重ねて、永久磁石の端面に固着することもできる。
永久磁石の種類に応じて、第一磁束遮蔽部材の材質を適宜選択することができる。材質によって第一磁束遮蔽部材の透磁率が変わり、磁気飽和を起こす磁束密度が変わり漏洩磁束が生じるからである。特に、保磁力が永久磁石材料の保磁力よりも小さい第一磁束遮蔽部材の中で、できるだけ保磁力が大きなものが用いられる。例えば、永久磁石として希土類磁石を用いた場合は、フェライト,アルニコ合金等の強磁性体が好適に用いられる。さらに、強磁性体に着磁を施したフェライト磁石,アルニコ磁石等の着磁処理済強磁性体が好適に用いられる。第一磁束遮蔽部材から出る磁束密度を大きくでき、発電の出力を上げられるからである。
第一磁束遮蔽部材の大きさとしては、永久磁石の端面より小さくて、端面の一部を覆うようなものでもよいが、端面と同一の大きさかそれより大きくするのが好ましい。永久磁石の端面を完全に覆うことにより、端面から出る磁束のほとんど全てを第一磁束遮蔽部材の中に入れるためである。
第一磁束遮蔽部材の材質や形状、大きさ、厚さ、枚数等を適宜選択することにより、第一磁束遮蔽部材がコアから受ける反発力や吸引力、コアに生じる電流量を設計することができる。
第一磁束遮蔽部材は、永久磁石の端面に密接して固着することができる。また、端面に密接させずに適当な間隔をあけて固着することもできる。固着する手段としては、ボルト等の締結部材や接着剤等を用いることができる。また、合成樹脂製等で形成されたケース内に永久磁石と第一磁束遮蔽部材を収容することもできる。
コアの第一対向面と対向する第一磁束遮蔽部材の表面の形状は、永久磁石の端面の回転軌道面の形状に応じて設計するのが好ましい。第一磁束遮蔽部材から出る磁束を均一化させるためである。具体的には、柱状に形成されたロータの外周面に永久磁石を配置した場合には、永久磁石の端面の回転軌道面は立体的な円環帯状面となるので、第一磁束遮蔽部材の表面は、中央部を突き出した湾曲状や山形状等に形成するのが好ましい。また、板状に形成されたロータの平板面に永久磁石を配置した場合には、永久磁石の端面の回転軌道面は平面的な円環状となるので、第一磁束遮蔽部材の表面は、平坦状に形成するのが好ましい。
コアは、アルミニウム,ステンレス鋼,真鍮等の非磁性材料製や合成樹脂製等で形成されたケーシングに取り付けられ、磁気的に絶縁される。
第一磁束遮蔽部材と、第一磁束遮蔽部材と対向する第一対向面と、の間隔(ギャップ)は、発電効率に影響を与える。該間隔(ギャップ)を小さくすることで、発電効率を向上させることができ、回転数が低い場合でも発電量を多くすることができる。このため、第一磁束遮蔽部材と第一対向面との間隔を調整する間隔調整手段を設けるのが望ましい。第一界磁部の外側にコアを配置して発電機を組み立てる際、第一磁束遮蔽部材と第一対向面との間隔を、間隔調整手段を用いて所定の範囲内に調整することで、発電効率を高められるからである。
間隔調整手段としては、電動式,油圧式,機械式等の駆動機構を有し、永久磁石やコアを上下方向や左右方向に移動自在にして、第一磁束遮蔽部材と第一対向面の間隔を調整するものが用いられる。
永久磁石の他端面には、ロータ側磁束遮蔽部材を固着するのが好ましい。ロータ側磁束遮蔽部材を有することで、漏洩磁束を抑え第一磁束遮蔽部材の端部の磁束密度を高められるので、コアに導かれる磁束密度を上げることができ、発電出力を高めることができるからである。
ロータ側磁束遮蔽部材としては、前述の第一磁束遮蔽部材と同様に、鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金等の強磁性体で、板状等に形成されたものを用いることができる。ロータの外面に固着することができるが、ロータの外面の一部を、鉄,ケイ素鉄,パーマロイ等の強磁性体で形成してもよい。
尚、第一界磁部の外周を第一ロータ囲繞部で囲繞する場合は、第一磁束遮蔽部材の外表面を第一ロータ囲繞部で囲繞する。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の発電システムであって、前記発電機が、前記ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なり、かつ、前記ロータの回転方向と略直交する位置に配置された永久磁石同士の端面の磁極が異なるように前記第一界磁部と並設された第二界磁部と、前記コアの他端部に形成され前記第二界磁部とギャップを介して対向する第二対向面と、を備え、前記発電機の前記ロータの回転方向と略直交する位置に配置された前記第一界磁部の永久磁石の端面の中心と前記第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、前記第一対向面の中心と前記第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、の間にずれ角αが形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)発電機の第一界磁部の永久磁石の端面の中心と第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、第一対向面の中心と第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、の間にずれ角αが形成されているので、ロータの回転により、第一界磁部がコアから吸引力(又は反発力)を受けているときに、第二界磁部がコアから反発力(又は吸引力)を受けることになり、ロータのいかなる位相においてもロータの回転を阻害するコアの磁界磁力を軽減させることができ、ロータの回転負荷トルクを軽減させることができる。
ここで、第二界磁部における永久磁石は、前述の第一界磁部における永久磁石と同様のものなので、説明を省略する。
ずれ角αは、ロータの回転方向と略直交する位置に配置された第一界磁部の永久磁石の端面の中心と第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、第一対向面の中心と第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、を求め、ロータの中心軸と界磁側中心線との間に投影面を置き、ロータの中心軸を視点として、界磁側中心線とコア側中心線上の任意の点と視点とを直線(投影線)で結んだ場合に、投影面上に形成された投影図における界磁側中心線とコア側中心線とのなす角である。
ずれ角αとしては、1〜20°好ましくは3〜10°が好適に用いられる。ずれ角αが3°より小さくなるにつれ、コアの磁界磁力により第一界磁部と第二界磁部が受ける吸引力や反発力によりコッキング(ロータの回転動作がギクシャクする現象)が生じ易くなるとともに、回転負荷トルクの軽減効果が低下する傾向がみられ、10°より大きくなるにつれステータコイルに生じる電流に位相差が生じ出力電流が低下する傾向がみられる。特に、1°より小さくなるか20°より大きくなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
第二界磁部の永久磁石の他端面には、第一界磁部と同様に、ロータ側磁束遮蔽部材を固着するのが好ましい。ロータ側磁束遮蔽部材を有することで、漏洩磁束を抑え第二磁束遮蔽部材の端部の磁束密度を高めて、コアに導かれる磁束密度を上げることができ、発電出力を高めることができるからである。
また、一枚のロータ側磁束遮蔽部材の両端側に、第一界磁部の永久磁石の他端面と第二界磁部の永久磁石の他端面とを固着することができる。これにより、さらに永久磁石の減磁を抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発電システムであって、常磁性材料で形成され、前記発電機の前記第二界磁部の外周を囲繞して前記ロータと共に回転する第二ロータ囲繞部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)常磁性材料で形成され、発電機の第二界磁部の外周を囲繞してロータと共に回転する第一ロータ囲繞部を備えることにより、第二ロータ囲繞部にロータの回転方向と同じ向きに力が働き、ロータの回転を加速或いは安定化させて発電量の増加、安定化を図ることができ、発電の効率性、安定性に優れる。これは、ロータの回転時に安定化用コイルに磁界が発生し、その中を第二ロータ囲繞部が通過することにより、渦電流が発生するためと考えており、このため磁界の作用によって第二ロータ囲繞部をロータの回転方向に付勢する力が発生していると考えている。
(2)第二界磁部の外周を第二ロータ囲繞部で囲繞することにより、ロータの回転時に、ロータ表面に突出した永久磁石が抵抗となることがなく、ロータをスムーズに回転させることができ、発電の効率性に優れると共に、ロータ外周の気流を安定させて、風切り音を低減することができ、低騒音性に優れる。
(3)第二界磁部の外周を囲繞する第二ロータ囲繞部によって永久磁石の外表面を確実に固定し、永久磁石の落下を防止することができ、永久磁石の固定の安定性、動作の確実性に優れる。
ここで、第二ロータ囲繞部は第一ロータ囲繞部と同様なので説明を省略する。尚、第一ロータ囲繞部と第二ロータ囲繞部は独立して形成してもよいし、一体に形成或いは連結して形成してもよい。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発電システムであって、前記発電機の前記第二界磁部が、前記永久磁石の前記コア側の端面に固着された第二磁束遮蔽部材を備えた構成を有している。
この構成により、請求項5又は6で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)発電機の第二界磁部が、永久磁石のコア側の端面に固着された第二磁束遮蔽部材を備えていることにより、永久磁石の磁束が第二磁束遮蔽部材に導かれ、第二磁束遮蔽部材から出た磁束がコアに導かれるが、永久磁石の端面からコアに真っ直ぐに向かう磁束は、第二磁束遮蔽部材に遮蔽されて少なくなるので、第二磁束遮蔽部材がコアの第二対向面を通過する際に第二磁束遮蔽部材がコアから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなる。これにより、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
ここで、第二界磁部における第二磁束遮蔽部材としては、前述の第一界磁部における第一磁束遮蔽部材と同様のものなので、説明を省略する。また、第二磁束遮蔽部材とコアの第二対向面とのギャップについても、前述の第一磁束遮蔽部材とコアの第一対向面とのギャップと同様なので、説明を省略する。
尚、第二磁束遮蔽部材の底面も、第一磁束遮蔽部材の底面と同様に、永久磁石の端面に密接させるのが好ましい。
以上のように、本発明の発電システムによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)発電機のロータの回転開始時と回転開始後で、安定化用コイルの各々のコイルの端末同士のオープンとショートを切り換えるだけで、回転開始時のロータの回転負荷トルクを著しく減少させ、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、回転開始後は安定化用コイルに発生する磁界の作用によってロータの回転の変動を抑えて常に略一定の安定した出力を得ることができ、発電出力を高めることができる発電の効率性、均一性に優れた発電システムを提供できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)第一ロータ囲繞部に働く力によってロータの回転を加速或いは安定化させて発電量の増加、安定化を図ることができる発電の効率性、安定性に優れた発電システムを提供できる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)複数の出力用コイルに発生した電力をまとめて蓄電池に蓄電することができる蓄電の効率性に優れた発電システムを提供できる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、
(1)発電機の永久磁石の端面からコアに真っ直ぐに向かう磁束が、第一磁束遮蔽部材に遮蔽されて減少することにより、第一磁束遮蔽部材がコアの第一対向面を通過する際にコアから受ける反発力や吸引力を低減し、わずかな駆動力でロータを回転させることができる発電の効率性に優れた発電システムを提供できる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、
(1)発電機のロータの回転により、第一界磁部がコアから吸引力(又は反発力)を受けているときに、第二界磁部がコアから反発力(又は吸引力)を受け、ロータのいかなる位相においてもロータの回転を阻害するコアの磁界磁力を軽減させることができ、ロータの回転負荷トルクを軽減させることができる発電の安定性、均一性に優れた発電システムを提供できる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、
(1)第二ロータ囲繞部に働く力によってロータの回転を加速或いは安定化させて発電量の増加、安定化を図ることができる発電の効率性、安定性に優れた発電システムを提供できる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項5又は6の効果に加え、
(1)発電機の永久磁石の端面からコアに真っ直ぐに向かう磁束が、第二磁束遮蔽部材に遮蔽されて減少することにより、第二磁束遮蔽部材がコアの第二対向面を通過する際にコアから受ける反発力や吸引力を低減し、わずかな駆動力でロータを回転させることができる発電の効率性に優れた発電システムを提供できる。
実施の形態1の発電システムの構成図 実施の形態1の発電システムにおける発電機の側面図 図2のA−A線断面図 実施の形態1の発電システムにおける発電機の正面図 実施の形態1の発電システムにおける発電機の原理を示す模式図 実施の形態2の発電システムの構成図 永久磁石を使用した従来の同期発電機の原理を説明する模式図
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の発電システムの構成図であり、図2は実施の形態1の発電システムにおける発電機の側面図であり、図3は図2のA−A線断面図であり、図4は実施の形態1の発電システムにおける発電機の正面図であり、図5は実施の形態1の発電システムにおける発電機の原理を示す要部模式図である。
図1において、1は本発明の実施の形態1における発電システム、2は発電システム1に用いる発電機、3は非磁性の合成樹脂製やステンレス鋼等で円柱状に形成された発電機2のロータ、4はロータ3の外側に配設された複数のステータコイルからなる発電機2のステータコイル群、4aはステータコイル群4の内、発電した電力を出力して後述する蓄電池6に蓄電するための出力用コイル、4bはステータコイル群4の内、ロータ3の回転の変動を抑えるための安定化用コイル、5は直列に接続された出力用コイル4aからの出力電圧を所望の電圧に変圧する発電システム1の変圧器、6は変圧器5に接続され発電機2で発電した電気を蓄える発電システム1の蓄電池、7は蓄電池6を放電させ図示しない負荷回路に電力を供給する発電システム1のスイッチ、8は安定化用コイル4bの各々のコイルの端末同士を接続する切り換えスイッチ8aによりオープンとショートを切り換える発電システム1の切り換え部である。
図2において、17は発電機2のロータ3の回転軸、18は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ等の強磁性体で板状に形成されロータ3の外周に固着されたロータ側磁束遮蔽部材、19は板状永久磁石を複数枚重ねて吸着させ一端面がロータ側磁束遮蔽部材18の一端部側に固着された永久磁石、20は永久磁石19の端面、21は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金(Fe−Al−Ni−Co合金)等の強磁性体で山形に形成され永久磁石19の端面20に固着された第一磁束遮蔽部材、22はロータ3の回転方向に沿って永久磁石19の端面20の磁極が交互に異なるように(N極とS極が交互になるように)複数配置された第一界磁部である。
ここで、本実施の形態においては、第一磁束遮蔽部材21は、表面が凸起状の山形に形成され、外周部は永久磁石19の端面20の外周部よりも外側に張り出して形成されている。また、第一磁束遮蔽部材21の底部は、永久磁石19の先端部に嵌合され端面20に密接して固着されている。
23はアルミニウム,ステンレス鋼,真鍮等の非磁性材料製や合成樹脂製等で形成されたケーシング、24は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ等の強磁性体で形成されケーシング23の内側に図示しないボルト等の締結部材で磁気的に絶縁された状態で第一磁束遮蔽部材21の外側に配置されステータコイル群4の各々のコイルが巻回されたコア、25は第一磁束遮蔽部材21とギャップを介して対向するコア24の端部に形成された第一対向面である。
図3、図4において、26は板状永久磁石を複数枚重ねて吸着させ一端面がロータ側磁束遮蔽部材18の他端部側に固着された永久磁石、27は永久磁石26の端面(図3)、28は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金等の強磁性体で図2の第一磁束遮蔽部材21と同様に山形に形成され永久磁石26の端面27に固着された第二磁束遮蔽部材、29はロータ3の回転方向に沿って永久磁石26の端面27の磁極が交互に異なるように(N極とS極が交互になるように)複数配置され、ロータ3の回転方向と略直交する位置に配置されて同一のロータ側磁束遮蔽部材18に固着された永久磁石19の端面20と永久磁石26の端面27の磁極が異なるように第一界磁部22と並設された第二界磁部である。
ここで、本実施の形態においては、第二磁束遮蔽部材28の底面は、永久磁石26の端面27を完全に覆い、端面27に密接して固着されている。また、第二磁束遮蔽部材28の外周部は、永久磁石26の端面27の外周部よりも外側に張り出して形成されている。また、第二磁束遮蔽部材28は、図2の第一磁束遮蔽部材21と同様に、表面が凸起状の山形に形成されている。
30はコア24の他端部に形成され第二磁束遮蔽部材28と対向する第二対向面、31はコア24の第二対向面30の近くに巻回された複数のステータコイルからなる発電機2の第二界磁部29側のステータコイル群、31aはステータコイル群31の内、出力用コイル4aと接続されコア24の第二対向面30の近くに巻回された出力用コイル、31bはステータコイル群31の内、安定化用コイル4bと接続されコア24の第二対向面30の近くに巻回された安定化用コイル、32は永久磁石19の端面20の外側に張り出した第一磁束遮蔽部材21に形成された孔部に挿通され第一磁束遮蔽部材21とロータ側磁束遮蔽部材18とを連結する非磁性のボルト等の締結部材、33は永久磁石26の端面27の外側に張り出した第二磁束遮蔽部材28に形成された孔部に挿通され第二磁束遮蔽部材28とロータ側磁束遮蔽部材18とを連結する非磁性のボルト等の締結部材、Xはロータ3の回転方向と略直交する位置に配置された第一界磁部22の永久磁石19の端面20の中心と第二界磁部29の永久磁石26の端面27の中心とを結ぶ界磁側中心線、Yはコア24に形成された第一対向面25の中心と第二対向面30の中心とを結ぶコア側中心線、αは界磁側中心線Xとコア側中心線Yとのずれ角である。
本実施の形態においては、界磁側中心線Xはロータ3の回転方向と直交し、コア側中心線Yが界磁側中心線Xに対してずれ角α=1〜20°の範囲で斜交するようにコア24が配置されている。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における発電システムの発電機について、以下その基本動作を、図面を参照しながら説明する。
図5中、21aは永久磁石19の端面20の外周部の外側に張り出して形成された第一磁束遮蔽部材21の張り出し部である。なお、第二磁束遮蔽部材28も第一磁束遮蔽部材21と同様に形成される。
発電機2において、永久磁石19を図示しないモータ等により回転させて磁束を変化させると、電磁誘導により出力用コイル4aに電流が流れて発電を行うことができる。
永久磁石19の端面20から出た磁束は、真っ直ぐにコア24に向かおうとするが、第一磁束遮蔽部材21によって遮蔽される。そして、第一磁束遮蔽部材21の底部が、永久磁石19の先端部に嵌合され端面20に密接して固着されているので、永久磁石19の端面20から出た磁束のほとんどは、第一磁束遮蔽部材21に流れる。このとき、図5に示すように、第一磁束遮蔽部材21の回転方向進み側の端部及び遅れ側の端部である両側の張り出し部21aに磁束が集中し、外側端部の磁束密度が高くなる。この結果、第一磁束遮蔽部材21の表面からコア24に向かう磁束は少なくなるので、第一磁束遮蔽部材21がコア24の第一対向面25を通過する際に、第一磁束遮蔽部材21がコア24から受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなり、わずかな駆動力でロータ3を回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態1における発電システムの動作について、図面を参照しながら説明する。
図1の発電システム1において、発電機2のロータ3の回転開始時は、切り換え部8の切り換えスイッチ8aにより、安定化用コイル4bの各々のコイルの端末同士をオープンにしておく。これにより、安定化用コイル4bには電流が流れないため、ロータ3の回転負荷トルクを減少させることができ、わずかな駆動力でロータ3を回転させることができる。
ロータ3の回転開始後は、切り換え部8の切り換えスイッチ8aにより、安定化用コイル4bの各々のコイルの端末同士をショートさせる。これにより、安定化用コイル4bに発生する磁界の作用でロータ3の回転の変動を抑えて常に略一定の安定した出力を得ることができ、発電出力を高めることができる。
発電機2が発電した交流電圧は、変圧器5に入力され所望の電圧に降圧されて蓄電池6に蓄積される。
必要に応じてスイッチ7をONにすることにより、蓄電池6から放電させ、負荷回路に電力を供給することができる。
切り換え部8は、安定化用コイル4bの各々のコイルの端末同士のオープンとショートを切り換えることができればよいが、出力用コイル4aから蓄電池6に流れる電流やロータ3の回転数などを検出してオープンとショートの切り換えを行うものが好適に用いられる。
尚、出力用コイル4a及び安定化用コイル4bの数や配置は、本実施の形態に限定されるものではなく、適宜、選択することができる。
本発明の実施の形態1における発電機によれば、以下のような作用が得られる。
(1)発電機のステータコイル群が、発電した電力を出力して蓄電池に蓄電するための出力用コイルと、ロータの回転の変動を抑えるための安定化用コイルと、を有し、発電機のロータの回転開始時は安定化用コイルの各々のコイルの端末同士をオープンにし、ロータの回転開始後は安定化用コイルの各々のコイルの端末同士をショートさせる切り換え部を有することにより、回転開始時のロータの回転負荷トルクを著しく減少させ、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、回転開始後は安定化用コイルに発生する磁界の作用によってロータの回転の変動を抑えて常に略一定の安定した出力を得ることができ、発電出力を高めることができ、発電の効率性、均一性に優れる。
(2)ロータの回転開始時と回転開始後に、切り換え部により安定化用コイルの各々のコイルの端末同士のオープンとショートを切り換えるだけで、容易に回転開始時のロータの回転負荷トルクを低減させると共に、回転開始後のロータの回転を安定化させることができ、ロータの回転中に複雑なスイッチングなどを行う必要がなく、回路を簡素化することができ、量産性、制御の容易性に優れる。
(3)発電機のステータコイル群の複数の出力用コイルが直列に接続されていることにより、複数の出力用コイルに発生した電力をまとめて蓄電池に蓄電することができ、蓄電の効率性に優れる。
(4)発電機の第一界磁部が、永久磁石のコア側の端面に固着された第一磁束遮蔽部材を備えていることにより、永久磁石の磁束が第一磁束遮蔽部材に導かれ、第一磁束遮蔽部材から出た磁束がコアに導かれるが、永久磁石の端面からコアに真っ直ぐに向かう磁束は、第一磁束遮蔽部材に遮蔽されて少なくなるので、第一磁束遮蔽部材がコアの第一対向面を通過する際に第一磁束遮蔽部材がコアから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなる。これにより、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
(5)発電機の第一界磁部の永久磁石の端面の中心と第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、第一対向面の中心と第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、の間にずれ角αが形成されているので、ロータの回転により、第一界磁部がコアから吸引力(又は反発力)を受けているときに、第二界磁部がコアから反発力(又は吸引力)を受けることになり、ロータのいかなる位相においてもロータの回転を阻害するコアの磁界磁力を軽減させることができ、ロータの回転負荷トルクを軽減させることができる。
(6)発電機の第二界磁部が、永久磁石のコア側の端面に固着された第二磁束遮蔽部材を備えていることにより、永久磁石の磁束が第二磁束遮蔽部材に導かれ、第二磁束遮蔽部材から出た磁束がコアに導かれるが、永久磁石の端面からコアに真っ直ぐに向かう磁束は、第二磁束遮蔽部材に遮蔽されて少なくなるので、第二磁束遮蔽部材がコアの第二対向面を通過する際に第二磁束遮蔽部材がコアから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなる。これにより、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
本実施の形態においては、出力用コイル4aから取り出された電力が全て蓄電池6に充電される場合について説明したが、取り出された電力の一部を蓄電池6に接続して残りを負荷に接続する場合もある。また、蓄電池6に充電された電力の一部を用いて、ロータ3を回転させる駆動モータを駆動させることも可能である。ロータ3を回転駆動させる消費電力が小さいからである。
また、発電機2は、ステータコイル群4の内側でロータ3が回転する内転型の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステータコイル群4の外側でロータが回転するアウタロータ型即ち外転型とする場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2の発電システムの構成図である。尚、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図6において、実施の形態2の発電システム1Aにおける発電機2Aが実施の形態1と異なるのは、ステータコイル群4Aを構成する出力用コイル4a及び安定化用コイル4bが、それぞれ4個ずつ交互に配置されている点と、常磁性材料であるアルミニウムで形成され第一界磁部22の永久磁石19の永久磁石19の外周を囲繞してロータ3と共に回転する第一ロータ囲繞部35を備えている点である。
実施の形態2の発電システム1Aの動作は、基本的には実施の形態1の発電システム1Aの動作と同様であるが、出力用コイル4aと安定化用コイル4bを交互に配置したことにより、安定化用コイル4bに発生する磁界を円周方向に均等に作用させて、ロータ3の回転の変動を効果的に抑えることができ、ロータ3の回転の均一性、発電の安定性、効率性に優れる。
第一ロータ囲繞部35は、裏面に接着層を有するアルミニウム製のシートを巻き付けて形成した。これにより、永久磁石19の脱落を防止し、ロータ3の回転時の抵抗を低減して、発電効率を高めると共に、風切り音を抑えることができ、低騒音性に優れる。また、安定化用コイル4bに発生する磁界の作用によって第一ロータ囲繞部35にロータ3を回転させる方向に力が働き、発電量の増加、安定化を図ることができる。
尚、ロータ3の外周面と永久磁石19の表面との段差を埋めるために、円周方向に配置される永久磁石19と永久磁石19の間にスペーサ(図示せず)を配置した。
本実施の形態では、第一磁束遮蔽部材21を省略したが、永久磁石19と第一ロータ囲繞部35の間に第一磁束遮蔽部材21を設けてもよい。また、実施の形態1と同様に第一界磁部22と並設される第二界磁部29(図3,4参照)には、第一ロータ囲繞部35と同様の第二ロータ囲繞部を設けることができる。このとき、第一ロータ囲繞部35と第二ロータ囲繞部は独立して形成してもよいし、一体に形成或いは連結して形成してもよい。
本発明の実施の形態2における発電機によれば、実施の形態1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)常磁性材料で形成され、発電機の第一界磁部の外周を囲繞してロータと共に回転する第一ロータ囲繞部を備えることにより、第一ロータ囲繞部にロータの回転方向と同じ向きに力が働き、ロータの回転を加速或いは安定化させて発電量の増加、安定化を図ることができ、発電の効率性、安定性に優れる。これは、ロータの回転時に安定化用コイルに磁界が発生し、その中を第一ロータ囲繞部が通過することにより、渦電流が発生するためと考えており、このため磁界の作用によって第一ロータ囲繞部をロータの回転方向に付勢する力が発生していると考えている。
(2)第一界磁部の外周を第一ロータ囲繞部で囲繞することにより、ロータの回転時に、ロータ表面に突出した永久磁石が抵抗となることがなく、ロータをスムーズに回転させることができ、発電の効率性に優れると共に、ロータ外周の気流を安定させて、風切り音を低減することができ、低騒音性に優れる。
(3)第一界磁部の外周を囲繞する第一ロータ囲繞部によって永久磁石の外表面を確実に固定し、永久磁石の落下を防止することができ、永久磁石の固定の安定性、動作の確実性に優れる。
本発明は、永久磁石を配置したロータの回転によりコイルに誘導電圧を生じさせる発電機を用いた発電システムに関し、永久磁石がコアの対向面を通過する際にコアから受ける反発力や吸引力が少なく、わずかな駆動力でロータを回転させて発電効率を向上させることができ、ロータの回転負荷トルクを減少させることができるだけでなく、ロータの回転の変動を抑えて常に略一定の安定した出力を得ることができ、発電出力を高めることができる発電の効率性、均一性に優れた発電システムを提供し、エネルギー不足の解消に貢献できる。
1,1A 発電システム
2,2A 発電機
3 ロータ
4,4A ステータコイル群
4a 出力用コイル
4b 安定化用コイル
5 変圧器
6 蓄電池
7 スイッチ
8 切り換え部
8a 切り換えスイッチ
17 回転軸
18 ロータ側磁束遮蔽部材
19 永久磁石
20 端面
21 第一磁束遮蔽部材
21a 張り出し部
22 第一界磁部
23 ケーシング
24 コア
25 第一対向面
26 永久磁石
27 端面
28 第二磁束遮蔽部材
29 第二界磁部
30 第二対向面
31 ステータコイル群
31a 出力用コイル
31b 安定化用コイル
32,33 締結部材
35 第一ロータ囲繞部
100 永久磁石
101 端面
102,105 コア
103,106 対向面
104,107 ステータコイル
X 界磁側中心線
Y コア側中心線

Claims (7)

  1. 回転軸に取り付けられたロータと、前記ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なるように永久磁石が複数配置された第一界磁部と、前記第一界磁部と間隔をあけて配置され一端部に前記第一界磁部とギャップを介して対向する第一対向面を有し各々が磁気的に絶縁された複数のコアと、各々の前記コアにコイルが巻回されたステータコイル群と、を備えた発電機を用いる発電システムであって、
    前記発電機の前記ステータコイル群が、発電した電力を出力して蓄電池に蓄電するための出力用コイルと、前記ロータの回転の変動を抑えるための安定化用コイルと、を有し、
    前記発電機の前記ロータの回転開始時は前記安定化用コイルの各々のコイルの端末同士をオープンにし、前記発電機の前記ロータの回転開始後は前記安定化用コイルの各々のコイルの端末同士をショートさせる切り換え部を備えたことを特徴とする発電システム。
  2. 常磁性材料で形成され、前記発電機の前記第一界磁部の外周を囲繞して前記ロータと共に回転する第一ロータ囲繞部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の発電システム。
  3. 前記発電機の前記ステータコイル群の複数の前記出力用コイルが直列に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電システム。
  4. 前記発電機の前記第一界磁部が、前記永久磁石の前記コア側の端面に固着された第一磁束遮蔽部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の発電システム。
  5. 前記発電機が、前記ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なり、かつ、前記ロータの回転方向と略直交する位置に配置された永久磁石同士の端面の磁極が異なるように前記第一界磁部と並設された第二界磁部と、前記コアの他端部に形成され前記第二界磁部とギャップを介して対向する第二対向面と、を備え、前記発電機の前記ロータの回転方向と略直交する位置に配置された前記第一界磁部の永久磁石の端面の中心と前記第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、前記第一対向面の中心と前記第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、の間にずれ角αが形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の発電システム。
  6. 常磁性材料で形成され、前記発電機の前記第二界磁部の外周を囲繞して前記ロータと共に回転する第二ロータ囲繞部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の発電システム。
  7. 前記発電機の前記第二界磁部が、前記永久磁石の前記コア側の端面に固着された第二磁束遮蔽部材を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の発電システム。
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