JP2013244220A - 超音波診断装置、音速導出方法およびプログラム - Google Patents

超音波診断装置、音速導出方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】撮像部位によらず被検体内の音速の推定値を高い精度で導出する。
【解決手段】被検体内への超音波の送受信によって互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号を取得する。複数の周波数帯域の受信信号の各々の歪みの大きさを示す歪み度を導出する。歪み度に基づいて複数の周波数帯域の受信信号の中から1の周波数帯域の受信信号を選択する。選択された受信信号に基づいて被検体内の音速の推定値を導出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波の送受信によって被検体の断層画像を生成する超音波診断装置、音速導出方法およびプログラムに関する。
超音波プローブから被検体に超音波を送信し、被検体内部からの反射波に基づいて被検体の断層画像を生成する超音波診断装置が知られている。電子スキャン方式の超音波診断装置においては、超音波を送信する際には超音波プローブの各電気音響変換素子にそれらの配置に応じた遅延時間差を有する駆動パルス信号を供給して素子間で超音波の送信タイミングをずらす送信フォーカスが行われる。一方、反射波を受信する際には、各電気音響変換素子によって生成された受信信号の各々に対して各電気音響変換素子の配置に応じた遅延時間を与えて各受信信号の時相を揃える受信フォーカスが行われている。これにより、超音波画像の方位分解能を向上させることが可能となる。
超音波の送信および受信の際に各信号に与えられる遅延時間は、各電気音響変換素子から焦点までの距離と伝搬媒質の音速に基づいて設定される。伝搬媒質の音速としては通常、仮定した仮定音速を用いる。しかし、伝搬媒質となる生体組織はその部位によって音速が異なるので、遅延時間を設定するために用いた仮定音速と実際の音速との間に誤差が生じると送信および受信の双方において適切に焦点を形成できずに画質劣化を招来することとなる。この課題に対して、下記の特許文献には、受信信号に基づいて実際の音速を推定して超音波画像の画質を向上させる技術が開示されている
例えば、特開2007−7045号公報には、整相加算されたエコー信号から、設定音速が相違する複数のビームプロファイルを生成し、生成した複数のビームプロファイルを同一画面に重ねて表示し、そのうち最小ビーム幅を有するものに対応する音速を生体音速として選択することが記載されている。
特開2007−7045号公報
一般的に、超音波プローブから送信される超音波の送信周波数(中心周波数)が高い程、超音波ビームのビーム幅を小さくすることができ、周囲散乱源からの散乱波の干渉を抑えることができる。また受信信号における遅延精度が高い。従って、受信信号に基づいて被検体内の実際の音速を取得する際、超音波の送信周波数を高く設定することにより、より高い精度で被検体内の実際の音速を取得することができる。しかしながら、超音波の送信周波数を高く設定すると、被検体内の音速の不均一さに起因する収差が問題となる。すなわち、複数の電気音響変換素子の各々から送信焦点に向けて出射された超音波は、伝搬経路上の音速が不均一であると、送信焦点に到達するタイミングにずれが生じることとなる。つまり、伝搬媒質の音速が不均一であると、送信焦点に超音波を収束させることが困難となる。また、受信フォーカスについても同様であり、受信焦点から各電気音響変換素子に至る伝搬経路上の音速が不均一であると適切な受信フォーカスを行うことができず、被検体内の音速の推定精度が悪化する。
このような収差の影響は、超音波の送信周波数が高い程顕著となる。これは、超音波の周波数が高い程その波長は短くなるので、互いに異なる伝搬経路を進んで焦点に到達する超音波間の焦点到達のタイミングのずれによる位相のずれは、周波数が高い程大きくなるからである。換言すれば、超音波の周波数が低い程、伝搬経路上の音速の不均一に起因する収差の影響を受けにくくなる。従って、撮像する部位によっては超音波の送信周波数を低く設定した方がより高い精度で被検体内の音速の推定値を求めることができる場合がある。つまり、被検体内の音速の推定値を高精度で求めることができる超音波の周波数は、撮像する部位によって異なる。
従って、特許文献1に記載のように、単一の送信周波数を用いて音速を推定すると、撮像する部位によっては伝搬媒質の音速の不均一による収差の影響によって音速の推定精度が著しく低下するおそれがある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、撮像部位によらず被検体内の音速の推定値を高い精度で導出することができる超音波診断装置、音速導出方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る超音波診断装置は、被検体内への超音波の送受信によって互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号を取得する受信信号取得手段と、前記受信信号取得手段によって取得された複数の周波数帯域の受信信号に基づいて最適設定音速を導出する音速導出手段と、を含む。
上記の超音波診断装置は、前記複数の周波数帯域の受信信号の歪みの大きさを示す歪み度を導出する歪み度導出手段と、前記歪み度導出手段によって導出された歪み度に基づいて前記複数の周波数帯域の受信信号の中から1の周波数帯域の受信信号を選択する受信信号選択手段と、を含んでいてもよく、この場合、前記音速導出手段は、前記受信信号選択手段によって選択された受信信号に基づいて前記被検体内の音速の推定値を導出してもよい。
前記受信信号選択手段は、前記歪み度導出手段によって導出された歪み度によって示される受信信号の歪みの大きさが所定の閾値によって示される歪みの大きさよりも小さい受信信号のうち最も高い周波数帯域の受信信号を選択してもよい。
前記受信信号選択手段は、前記歪み度導出手段によって導出された歪み度によって示される受信信号の歪みの大きさが最小となる周波数帯域の受信信号を選択してもよい。
前記受信信号取得手段は、駆動信号に応じて被検体内に超音波を送信するとともに前記超音波の反射波を受信して前記受信信号を生成する複数の電気音響変換素子と、前記複数の電気音響変換素子の各々から送信される超音波の送信周波数を切り替える送信周波数切り替え手段と、を含んで構成されていてもよい。
前記受信信号取得手段は、駆動信号に応じて被検体内に超音波を送信するとともに前記超音波の反射波を受信して前記受信信号を生成する複数の電気音響変換素子と、前記受信信号を中心周波数が互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号に分割するバンドパスフィルタと、を含んで構成されていてもよい。
前記歪み度導出手段は、設定音速に基づいて導出された前記受信信号の各々の時間領域における前記受信信号相互間の時間ずれ量に基づいて前記歪み度を導出してもよい。
前記受信信号取得手段は、前記複数の電気音響変換素子の各々から出力される複数の受信信号を設定音速に基づいて整相する整相手段を含み、前記歪み度導出手段は、前記整相手段によって整相された複数の受信信号相互間の時間ずれ量に基づいて前記歪み度を導出してもよい。この場合において、前記歪み度導出手段は、比較基準となる基準信号と、前記整相手段によって整相された複数の受信信号の各々との間の時間ずれ量に基づいて前記歪み度を導出してもよい。
前記歪み度導出手段は、設定音速に基づいて導出された前記受信信号の各々の時間領域における前記受信信号相互間の類似性を示す相互類似度に基づいて前記歪み度を導出してもよい。
前記受信信号取得手段は、前記複数の電気音響変換素子の各々から出力される複数の受信信号を設定音速に基づいて整相する整相手段を含み、前記歪み度導出手段は、前記整相手段によって整相された複数の受信信号相互間の類似性を示す相互類似度に基づいて前記歪み度を導出してもよい。この場合において、前記歪み度導出手段は、比較基準となる基準信号と、前記整相手段によって整相された複数の受信信号の各々との間の相関値に基づいて前記歪み度を導出してもよい。
前記基準信号は、整相された複数の受信信号の各々を積算した整相加算信号とすることができる。
前記受信信号取得手段は、前記複数の電気音響変換素子の各々から出力される複数の受信信号を設定音速に基づいて整相する整相手段と、前記整相手段によって整相された複数の受信信号の各々を積算して整相加算信号を生成する加算手段と、前記整相加算信号の信号強度を輝度に変換した画像信号を生成する画像信号生成手段と、を含んで構成されていてもよく、この場合、前記歪み度導出手段は、前記画像信号生成手段によって生成された画像信号に応じた画像に基づいて前記歪み度を導出してもよい。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る音速導出方法は、被検体内への超音波の送受信によって互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号を取得するステップと、前記複数の周波数帯域の受信信号の各々の歪みの大きさを示す歪み度を導出するステップと、前記歪み度に基づいて前記複数の周波数帯域の受信信号の中から1の周波数帯域の受信信号を選択するステップと、前記受信信号選択ステップにおいて選択された受信信号に基づいて前記被検体内の音速の推定値を導出するステップと、を含む。
また、上記の目的を達成するために、本発明のプログラムは、被検体内への超音波の送受信によって取得された互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号の各々の歪みの大きさを示す歪み度を導出する歪み度導出手段と、前記歪み度導出手段によって導出された歪み度に基づいて前記複数の周波数帯域の受信信号の中から1の周波数帯域の受信信号を選択する受信信号選択手段と、前記受信信号選択手段によって選択された受信信号に基づいて前記被検体内の音速の推定値を導出する最適設定音速導出手段と、として機能させる。
本発明に係る超音波診断装置、音速導出方法およびプログラムによれば、被検体内の音速の推定値を高い精度で導出することが可能となる。
本発明の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る超音波プローブおよび送信制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る圧電素子、駆動パルス信号生およびバンドパスフィルタの周波数特性の関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る超音波プローブから出射される超音波の周波数特性を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置において実行される最適設定音速導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る整相処理部によって整相された各圧電素子に対応する受信信号S1(t)〜Sn(t)を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る周波数分割部の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置において実行される最適設定音速導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、実質的に同一又は等価な構成要素又は部分には同一の参照符号を付している。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置1の概略構成を示すブロック図、図2は、超音波診断装置1を構成する超音波プローブ10および送信制御部12の構成を示すブロックである。
本実施形態に係る超音波診断装置1は、複数の送信周波数で超音波の送信を行い、これによって互いに異なる周波数帯域の受信信号を取得し、周波数帯域毎に受信信号の歪み度を導出することにより周波数帯域毎に収差の影響を判定し、収差の影響が比較的小さい受信信号を用いて被検体内の実際の音速の推定値を最適設定音速として取得するものである。
超音波プローブ10は、被検体の診断部位に向けて超音波を送信するとともに被検体の内部で反射した超音波を受信するものである。超音波プローブ10は、送信周波数が可変となっており、例えば4つの送信周波数(中心周波数)(fa[1]、fa[2]、fa[3]、fa[4](fa[1]<fa[2]<fa[3]<fa[4]))のいずれかで超音波の送信を行うことが可能となっている。超音波プローブ10は、直線状に配列された電気音響変換素子としての複数の圧電素子10aを含んでいる。圧電素子10aの各々は、図3に示すような広帯域幅の周波数特性Tを有している。超音波の1回の送受信は、複数の圧電素子10aの中から選択された圧電素子群を使用して行われる。超音波の送受信に使用する圧電素子群を順次シフトさせることにより、被検体内の診断部位が超音波ビームによってスキャンされる。なお、超音波プローブ10は、リニア型、コンベックス型、セクタ型等のいずれの走査方式を有するものであってもよい。
圧電素子10aの各々は、複数チャンネルの信号線を介して受信信号処理部16および送信制御部12に接続されている。圧電素子10aの各々は、送信制御部12から供給される駆動パルス信号に応じて超音波を発生させる。また、圧電素子10aの各々は、被検体内で反射された反射波を受信して電気信号である受信信号を生成し、これを受信信号処理部16に出力する。
送信制御部12は、図2に示すように、駆動パルス信号を生成する単極型(モノポーラ)の駆動パルス信号生成部13と、通過帯域が互いに異なる4個のバンドパスフィルタ14a、14b、14c、14dと、駆動パルス信号生成部13を選択的にバンドパスフィルタ14a〜14dに接続するスイッチ15aと、バンドパスフィルタ14a〜14dを選択的に圧電素子10aに接続するスイッチ15bと、を含んで構成されている。駆動パルス信号生成部13は、主制御部30から供給される制御信号に基づいて駆動パルス信号を生成する。スイッチ15aおよび15bは、主制御部30から供給される制御信号に基づいてバンドパスフィルタ14a〜14dのいずれかを駆動パルス信号生成部13および圧電素子10aに接続する。
送信制御部12を構成する駆動パルス信号生成部13、バンドパスフィルタ14a〜14d、スイッチ15a、15bからなる複数の回路ブロック12aの各々は、圧電素子10aの各々に対応して設けられている。また、送信制御部12は、主制御部30から供給される制御信号によって示される送信焦点に超音波ビームを収束するべく回路ブロック12a間で互いに異なる遅延時間を駆動パルス信号に与える。
図3は、圧電素子10aの周波数特性T、駆動パルス信号の周波数帯域P、バンドパスフィルタ14a〜14dの通過帯域FB1〜FB4の関係を示したものである。すなわち、圧電素子10aの周波数特性Tに対して、駆動パルス信号生成部13から発せられる駆動パルス信号の周波数帯域Pが、高周波側が欠けるように重なり合っており、バンドパスフィルタ14a〜14dの通過帯域FB1〜FB4がさらに重なっている。
図4に示すように、圧電素子10aから送信される超音波の周波数帯域U〜Uは、圧電素子10aの周波数特性Tと駆動パルス信号の周波数帯域Pとが重なり合った部分と、バンドパスフィルタ14a〜14dの通過帯域FB1〜FB4によって通過を許容された部分とを合成したものとなる。つまり、スイッチ15a、15bによりバンドパスフィルタ14a〜14dを選択的に切り替えることで、超音波プローブ10から周波数帯域(中心周波数)の異なる4種類の超音波が発せられる。超音波プローブ10から周波数帯域の異なる超音波を送信することにより、送信周波数に応じた周波数帯域の受信信号を得ることができる。なお、本実施形態においては、超音波の送信周波数を4種類としたが、これに限定されるものではなく、2種類以上の送信周波数で送信を行うように構成されていればよい。
受信信号処理部16は、圧電素子10aの各々に対応して設けられた複数の増幅器および複数のA/D変換器を備えている。各圧電素子10aにおいて生成される受信信号の各々は、増幅器において増幅され、A/D変換器によってデジタル信号に変換される。
受信信号メモリ17は、受信信号処理部16によってデジタル信号に変換された受信信号の各々を受信データとして記憶する記憶媒体である。
整相処理部18は、主制御部30から供給される設定音速に基づいて受信遅延時間を算出し、受信信号処理部16または受信信号メモリ17から供給される各圧電素子10aに対応した各チャンネルの受信信号の各々に算出した受信遅延時間を与えることにより受信信号を整相する。被検体内のある点で反射された超音波が各圧電素子10aに入射するタイミングは一致しない。これは、反射点から各圧電素子10aに至る超音波の伝搬距離が圧電素子毎に相違するからである。整相処理部18は、反射点までの距離が比較的短い位置に配置された圧電素子が生成する受波信号に対して比較的長い遅延時間を与える。一方、反射点までの距離が比較的長い位置に配置された圧電素子が生成する受波信号に対して比較的短い遅延時間を与える。これにより、整相処理部18は、各チャンネルの受信信号の時相を揃える整相処理を行う。
加算処理部20は、整相処理部18によって整相された各チャンネルの受信信号を積算して整相加算信号を生成する。
画像生成部21は、加算処理部20から供給される整相加算信号に対してフィルタリング処理、Log圧縮処理、包絡線検波処理、STC(Sensitivity Time Control)処理、補間処理、走査変換処理などを施し、加算処理部20によって生成された整相加算信号の信号強度を輝度に変換した所謂Bモード画像を構築するための画像信号を生成する。
モニタ22は、画像生成部21によって生成された画像信号を表示する液晶表示パネル等の表示装置である。
歪み度導出部23は、整相処理部18において整相された周波数帯域毎の受信信号の歪みの大きさを示す歪み度を導出する。伝搬媒質の音速が不均一である場合、収差の影響によって圧電素子毎に生成される受信信号間で位相ずれが生じ、これによって整相処理部18において整相された受信信号に歪みが生じることとなる。受信信号に生じた歪みの大きさは、歪み度導出部23によって導出される歪み度によって定量化される。
受信信号選択部24は、歪み度導出部23によって導出された周波数帯域毎の受信信号の歪み度に基づいて最適設定音速を取得するのに最も適した周波数帯域の受信信号を、受信信号メモリ17に記憶された受信信号の中から選択する。すなわち、受信信号選択部24は、送信周波数fa[1]〜fa[4]による各送信にて取得される各周波数帯域の受信信号の歪み度と所定の閾値とを比較することにより、歪みの大きさが許容限界よりも小さい受信信号を抽出する。そして、受信信号選択部24は、抽出した受信信号のうち最も高い周波数帯域の受信信号を最適設定音速を取得するのに最も適した受信信号として選択する。
最適設定音速導出部25は、受信信号選択部24によって選択された受信信号を解析することにより、着目領域内の最適設定音速を導出する。
主制御部30は、送信制御部12および整相処理部18に制御信号を与えることにより超音波の送受信処理を統括的に制御する。
操作入力部40は、ユーザによる着目領域の指定入力などを受け付けるものであり、たとえば、マウスなどのポインティングデバイスやキーボードなどによって構成されるものである。
なお、送信制御部12、受信信号処理部16、整相処理部18、加算処理部20、画像生成部21、歪み度導出部23、受信信号選択部24、最適設定音速導出部25および主制御部30は、図5に示される後述の最適設定音速導出処理ルーチンにおける各処理を記述したプログラムを格納したROMと、このプログラムを実行するためのCPUと、CPUにおける処理内容を一時的に記憶しておくためのRAM等を備えたコンピュータで構成され得る。
次に、本実施形態に係る超音波診断装置1が、被検体の着目領域における最適設定音速を導出する処理について図5に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS1において、ユーザが操作入力部40から着目領域の範囲を指定すると、主制御部30は、これを受信し、指定された着目領域の範囲を示す制御信号を送信制御部12に供給する。
ステップS2において、送信制御部12は、送信周波数(中心周波数)fa[1]の超音波を被検体内の着目領域に送信するべく駆動パルス信号を生成する。すなわち、送信制御部12は、各回路ブロック12aにおいて、駆動パルス信号生成部13および圧電素子10aをバンドパスフィルタ14aに接続するようにスイッチ15a、15bを駆動させる。また、送信制御部12は、指定された着目領域に送信フォーカスを実施するべく、各チャンネルの駆動パルス信号に適宜遅延時間を与える。駆動パルス信号はバンドパスフィルタ14aを通過することにより、周波数特性FB1に応じた周波数帯域が抽出されて圧電素子10aの各々に供給される。これにより、超音波プローブ10の各圧電素子10aは、送信周波数fa[1]の超音波パルスを被検体内に送信する。
ステップS3において、超音波プローブ10から送信された超音波の反射によるエコーは、複数の圧電素子10aによって受信される。反射エコーを受信した各圧電素子10aは、電気信号である受信信号を生成してこれを受信信号処理部16に供給する。受信信号処理部16は、各チャンネルの受信信号に対して増幅およびA/D変換を含む信号処理を施し、信号処理を施した受信信号を受信データとして受信信号メモリ17に格納するとともに整相処理部18に供給する。
整相処理部18は、受信信号処理部16または受信信号メモリ17から供給される各チャンネルの受信信号に対して、主制御部30から供給される設定音速値に基づいて導出した受信遅延時間を与えることによって受信信号の整相処理を行う。なお、ここでの設定音速は、予め被検体内の音速を仮定して設定された暫定的な設定音速である。整相された各チャンネルの受信信号は、歪み度導出部23に供給される。
次に、主制御部30は、ステップS4において送信周波数faのナンバー[i]をインクリメントした後、ステップS5において当該送信周波数ナンバー[i]が送信周波数ナンバーの最大値である4よりも大であるか否かを判定する。主制御部30が送信周波数ナンバー[i]を順次インクリメントすることにより、送信制御部12のスイッチ15a、15bが順次切り替えられる。これによってバンドパスフィルタ14b、14c、14dが順次選択され、超音波プローブから送信される超音波の送信周波数(中心周波数)がfa[2]〜fa[4]に順次設定される。そして、送信周波数fa[2]〜fa[4]による各送信に応じて取得された各受信信号が、受信信号処理部16および整相処理部18において上記と同様に処理されて、各送信周波数に対応した各周波数帯域の受信信号が歪み度導出部23に供給される。全ての送信周波数fa[1]〜fa[4]で超音波の送信が行われ、各送信周波数に対応する各周波数帯域の受信信号が整相処理部18において整相処理され、これが歪み度導出部23に供給されるとステップS6に進む。
ステップS6において、歪み度導出部23は、送信周波数fa[1]、fa[2]、fa[3]、fa[4]での各送信に応じて取得され整相された各周波数帯域の受信信号のそれぞれについて送信周波数毎に歪み度を導出する。
歪み度導出部23は、例えば以下のようにして受信信号の歪み度の導出を行う。図6は、整相処理部18によって暫定的な設定音速に基づいて整相された各圧電素子10aに対応する各チャンネルの受信信号S(t)〜S(t)を示す図である。
歪み度導出部23は、例えば上記の暫定的な設定音速に基づいて整相された受信信号S(t)〜S(t)を同一時間毎に積算して得られる整相加算信号をテンプレート信号S(t)として生成する。歪み度導出部23は、このテンプレート信号S(t)と各受信信号S(t)〜S(t)との相互相関演算をそれぞれ行い、求められた相互相関関数のピーク値の存在する位置からテンプレート信号S(t)に対する各受信信号S(t)〜S(t)の時間ずれ量を求める。そして、歪み度導出部23は、例えば各受信信号S(t)〜S(t)について求めた時間ずれ量の絶対値の総和または分散の値を受信信号S(t)〜S(t)全体としての歪みの大きさを示す歪み度として導出する。この場合、歪み度は、受信信号の歪みが大きい程大きな値となる。歪み度導出部23は、各送信周波数fa[1]〜fa[4]に対応する受信信号のそれぞれについて歪み度を導出する。
なお、上記の例では、テンプレート信号S(t)と各チャンネルの受信信号S1(t)〜Sn(t)との間で相互相関演算を行って、各受信信号の時間ずれ量を求める方法を示したが、これに限定されるものではない。歪み度導出部23は、互いに隣接する受信信号間(受信信号S(t)とSi+1(t))で、相互相関演算を行って、隣接する受信信号間でそれぞれ時間ずれ量を求めて、求めた時間ずれ量の総和や分散の値を歪み度として導出することとしてもよい。この場合、テンプレート信号S(t)を生成することを要しないので、演算処理の高速化が可能となる。
また、例えば、1400m/s〜1650m/sの範囲において10m/sステップで予め設定された複数の設定音速の各々に基づいて受信信号の整相処理を行い、上記と同様に相互相関演算を行って時間ずれ量を求め、得られた時間ずれ量の全音速範囲に亘る最大値と最小値の差分を当該送信周波数に係る歪み度として導出することとしてもよい。この場合、歪み度は、受信信号の歪みが大きい程小さい値となる。また、時間ずれ量の最小値の例えば2倍に収まる設定音速範囲を当該送信周波数に係る歪み度として導出することとしてもよい。この場合、歪み度は、受信信号の歪みが大きい程大きい値となる。
また、歪み度導出部23は、以下のようにして受信信号の歪み度を導出することとしてもよい。すなわち、歪み度導出部23は、整相された受信信号相互間の類似性を示す指標値(類似度)に基づいて歪み度を導出してもよい。より具体的には、歪み度導出部23は、例えば暫定的な設定音速に基づいて整相された各チャンネルの受信信号S(t)〜S(t)を積算して得られる整相加算信号をテンプレート信号S(t)として生成する。歪み度算出部23は、テンプレート信号S(t)と受信信号S(t)との相関値Rを下記の式(1)に従って算出する(但しiは1〜nの整数である)。式(1)において、分母は、演算対象領域内におけるテンプレート信号S(t)の各点の値の2乗の積算値の平方根と、演算対象領域内における受信信号S(t)の各点の値の2乗の積算値の平方根とを乗算した値である。分子は、演算対象領域内におけるテンプレート信号S(t)の各点の値と受信信号S(t)の各点の値とを乗算した値の積算値である。
Figure 2013244220
類似度導出部23は、受信信号S(t)、S(t)、S(t)、・・・S(t)とテンプレート信号S(t)との間でそれぞれ、相関値R、R、R・・・Rを算出する。そして、類似度導出部23は、下記の式(2)に従って、各チャンネルの受信信号S(t)〜S(t)の各々について算出した相関値Rの絶対値の総和(積算値)を受信信号S(t)〜S(t)全体としての歪み度として導出する。この場合、歪み度は、受信信号の歪みが大きい程、小さい値となる。
Figure 2013244220
なお、互いに隣り合う受信信号間(Si(t)とSi+1(t))で下記の式(3)に従って相関値Rをそれぞれ算出し、それらの絶対値の総和(積算値)を歪み度として導出することとしてもよい。この場合、テンプレート信号を用いることを要しない。
Figure 2013244220
また、テンプレート信号を圧電素子の方向と時間軸方向(深さ方向)の2次元信号に展開して2次元の相関値を導出することとしてもよい。つまり、テンプレート信号S(t)を各チャンネルの受信信号に対応して並べた2次元的なテンプレート信号St1(t)、St2(t)・・・Stn(t)を生成し(ここでSt1(t)=St2(t)=・・・= Stn(t))、これと各チャンネルの受信信号S(t)〜S(t)との間で下記の式(4)に従って2次元的な相関値を導出して相互類似度Rとしても良い。ここでΣはt(時間軸方向)とi(圧電素子の方向)に関する積算を示す。また、3次元プローブを用いる場合には、3次元の相互相関値を導出することとしてもよい。
Figure 2013244220
また、例えば1400m/s〜1650m/sの範囲において10m/sステップで予め設定された複数の設定音速の各々に基づいて整相された受信信号の各々について上記の場合と同様に相関値の総和を求め、得られた値の全音速範囲に亘る最大値と最小値の差分を当該送信周波数に係る歪み度として導出することとしてもよい。また、そのようにして得られた相関値の総和の最大値の例えば50%内に収まる設定音速範囲を歪み度として導出することとしてもよい。
また、歪み度導出部23は、以下のようにして受信信号の歪み度を導出することとしてもよい。すなわち、歪み度導出部23は、暫定的な設定音速に基づいて整相された受信信号S(t)〜S(t)を加算処理部20において積算させた後、画像生成部21において画像信号を生成させ、得られた画像信号によってモニタ22に表示される画像のシャープネスを求め、そのシャープネスに応じた値を歪み度として導出してもよい。この場合、導出された値が小さい程受信信号の歪みが大きいことを示す。
また、例えば1400m/s〜1650m/sの範囲において10m/sステップで予め設定された複数の設定音速の各々に基づいて整相された受信信号の各々を用いて画像を生成してそのシャープネスを求め、得られたシャープネスの全音速範囲に亘る最大値と最小値の差分を当該送信周波数に係る歪み度として導出することとしてもよい。また、そのようにして得られたシャープネスの最大値の例えば50%内に収まる設定音速範囲を歪み度として導出することとしてもよい。
歪み度導出部23は、送信周波数fa[1]〜fa[4]の各々に対応する各周波数帯域毎の受信信号に関して導出した歪み度y1、y2、y3、y4を受信信号選択部24に供給する。
受信信号選択部24は、歪みの大きさの許容限度を示す閾値xを有している。歪み度導出部23によって導出された歪み度y1、y2、y3、y4が受信信号の歪みが大きくなるほど大きくなる値である場合には、閾値xは歪み度の上限値として設定される。一方、歪み度導出部23によって導出される歪み度が受信信号の歪みが大きくなるほど小さくなる値である場合には、閾値xは歪み度の下限値として設定される。
受信信号選択部24は、閾値xと、送信周波数fa[1]、fa[2]、fa[3]、fa[4]にそれぞれ対応する歪み度y1、y2、y3、y4とを比較し、歪み度によって示される歪みの大きさが閾値xによって示される歪みの大きさよりも小さい受信信号を抽出する。通常、送信周波数が高くなる程、伝搬媒質の音速の不均一による収差の影響が大きくなるので、送信周波数が高くなる程、受信信号の歪みが大きくなる。従って、比較的低い送信周波数に対応する周波数帯域の受信信号は受信信号選択部24によって抽出されやすく、比較的高い送信周波数に対応する周波数帯域の受信信号は受信信号選択部24によって排除されやすいといえる。受信信号選択部24は、閾値xに基づいて抽出した受信信号のうち、最も高い周波数帯域の受信信号を最適設定音速の導出に最も適した受信信号として選択する。なお、受信信号選択部24は、歪み度導出部23によって導出された歪み度に基づいて最も歪みの小さい周波数帯域の受信信号を選択してもよい。
例えば、受信信号選択部24は、歪みの大きさが、閾値xによって示される許容限界よりも小さい受信信号として送信周波数fa[1]〜fa[3]に対応する受信信号を抽出した場合、そのうちで最も高い周波数帯域の受信信号、すなわち、送信周波数fa[3]による送信に応じて取得した受信信号を選択する。歪みが比較的小さい受信信号の中から周波数が最も高いものを選択するのは、高周波数帯域の受信信号の方が低周波数帯域の受信信号よりも分解能が高く、最適設定音速を高精度で導出することができるからである。つまり、受信信号選択部24は、収差の影響が問題とならない範囲で、最も高い分解能を得ることができる受信信号を選択する。受信信号選択部24は、受信信号の選択結果を主制御部30に供給する。
ステップS7において主制御部30は、受信信号選択部24によって選択された周波数帯域の受信信号に基づいて、最適設定音速導出処理を開始すべきことを示す制御信号を整相処理部18に供給する。整相処理部18は、この制御信号を受信すると、受信信号選択部24によって選択された受信信号を受信信号メモリ17から読み出す。整相処理部18は、主制御部30から供給される、例えば1400m/s〜1650m/sの範囲において10m/sステップで予め設定された複数の設定音速の各々に基づいて受信遅延時間を導出し、導出した受信遅延時間の各々を受信信号メモリ17から読み出した受信信号に与えることにより整相処理を行う。各設定音速に基づいて整相された受信信号の各々は、最適設定音速導出部25に供給される。
最適設定音速導出部25は、各設定音速に基づいて整相処理された受信信号S(t)〜S(t)の各々とテンプレート信号S(t)との相互相関値Rの絶対値の総和を受信信号間の類似性を示す指標値(類似度)として設定音速毎に導出する。なお、相互相関値Rは、上記の歪み度を導出する場合と同様に求めることができる(式(1)参照)。尚、隣接する受信信号間の相互相関値の絶対値の総和を受信信号間の類似性を示す指標値として用いることが可能である。また、整相処理された受信信号S(t)〜S(t)を積算して画像化し、得られたBモード画像のシャープネスを受信信号間の類似性を示す指標値として用いることが可能である。
最適設定音速導出部25は、設定音速毎に求めた上記の指標値(類似度)のうち最大値を示す設定音速を最適設定音速として選択する。なお、最適設定音速を導出する方法としては、他の公知の方法を用いることとしてもよい。
最適設定音速導出部25は、上記のようにして求めた最適設定音速を主制御部30に供給する。主制御部30が最適設定音速導出部25よって導出された最適設定音速を送信制御部12および整相処理部18に与えることにより、被検体内の実際の音速値と略一致した音速値で送信遅延時間および受信遅延時間を設定することが可能となる。これにより、送信フォーカスおよび受信フォーカスを適正に行うことが可能となり、歪みのない超音波画像を構築することができる。
このように、本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、互いに異なる複数の送信周波数で超音波の送信が行われ、各送信周波数に対応する複数の周波数帯域の受信信号が取得される。歪み度導出部23は各周波数帯域の受信信号の歪みの大きさを示す歪み度を導出する。受信信号選択部24は、導出された歪み度によって示される歪みの大きさが許容限界よりも小さい受信信号を抽出し、その中から最も高い周波数帯域の受信信号を選択する。このようにして選択された受信信号は、伝搬媒質の音速が不均一であることに起因する収差の影響が小さく且つ高分解能を有する。最適設定音速導出部25は、受信信号選択部24にて選択された周波数帯域の受信信号を解析して最適設定音速を取得するので、収差の影響が小さく且つ高い分解能を有する受信信号を用いて最適設定音速を導出することができる。従って、本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば撮像部位によらず高精度で最適設定音速を導出することが可能となる。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置について図面を参照しつつ説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置2の概略構成を示すブロック図、図8は、超音波診断装置2を構成する周波数分割部50の構成を示すブロックである。
第2の実施形態に係る超音波診断装置2は、圧電素子の各々で生成される受信信号を中心周波数が互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号に分割し、周波数帯域毎に受信信号の歪み度を導出することにより周波数帯域毎に収差の影響を判定し、収差の影響が比較的小さい周波数帯域の受信信号を用いて被検体内の最適設定音速を取得するものである。
本実施形態に係る超音波診断装置2は、超音波プローブ10と受信信号処理部16との間に周波数分割部50が設けられている点が、上記した第1の実施形態に係る超音波診断装置1と異なる。
図8に示すように、周波数分割部50は、超音波プローブ10を構成する圧電素子10aの各々に接続された4つのバンドパスフィルタ51a、51b、51c、51dを含んで構成されている。バンドパスフィルタ51a〜51dは、互いに異なる通過帯域を有している。各圧電素子10aで生成された受信信号の各々は、バンドパスフィルタ51a〜51bを通過することにより中心周波数が互いに異なる4つの周波数帯域の受信信号に分割される。
周波数分割部50以外の構成部分は、上記した第1の実施形態に係る超音波診断装置1と同様であるので、それらの説明については省略する。なお、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、超音波プローブ10から送信される超音波の送信周波数(中心周波数)は可変とされていたが、本実施形態に係る超音波診断装置2は、送信周波数を切り替える機能を備えていなくてもよい。
次に、本実施形態の超音波診断装置2が、被検体内の着目領域における最適設定音速を取得する処理について図9に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップS11において、ユーザが操作入力部40から着目領域の範囲を指定すると、主制御部30は、これを受信し、指定された着目領域の範囲を示す制御信号を送信制御部12に供給する。
ステップS12において、送信制御部12は、被検体内の着目領域に超音波を収束させるべく駆動パルス信号を生成する。送信制御部12は、指定された着目領域に送信フォーカスを実施するべく各チャンネルの駆動パルス信号に適宜遅延時間を与える。送信制御部12において生成された駆動パルス信号は超音波プローブ10を構成する圧電素子10aの各々に供給される。これにより、超音波プローブ10から被検体内に向けて超音波パルスが送信される。
ステップS13において、各圧電素子10aから送信された超音波の反射によるエコーは、複数の圧電素子10aによって受信される。反射エコーを受信した各圧電素子10aは、電気信号である受信信号を生成してこれを周波数分割部50に供給する。周波数分割部50に供給された受信信号は、バンドパスフィルタ51a〜51dに入力され、中心周波数が互いに異なる4つの周波数帯域の受信信号に分割される。この4つの受信信号の中心周波数をそれぞれfb[1]、fb[2]、fb[3]、fb[4]とする。周波数分割部50は、各周波数帯域の受信信号を受信信号処理部16に出力する。受信信号処理部16は、各周波数帯域の受信信号に対して増幅およびA/D変換を含む信号処理を施し、信号処理を施した受信信号を受信データとして受信信号メモリ17に格納するとともに整相処理部18に供給する。
整相処理部18は、主制御部30より供給される制御信号に応じて中心周波数fb[1]の受信信号を受信信号メモリ17から読み出し、読み出した各チャンネルの受信信号に対して所定の設定音速値に基づき導出した受信遅延時間を与えることによって整相処理を行う。なお、ここでの設定音速は、予め被検体内の音速を仮定して設定された暫定的な設定音速である。
次に、主制御部30は、周波数ナンバーiをインクリメントした後(ステップS14)、当該周波数ナンバーが周波数ナンバーの最大値である4よりも大であるか否かを判定する(ステップS15)。主制御部30が周波数ナンバーを順次インクリメントすることにより、整相処理部18は、中心周波数fb[2]〜fb[4]の受信信号を順次受信信号メモリ17から読み出し、読み出した受信信号に対して暫定的な設定音速に基づいて整相処理を行う。整相処理がなされた各周波数帯域の受信信号は、歪み度導出部23に供給される。
ステップS16において、歪み度導出部23は、暫定的な設定音速に基づいて整相された中心周波数fb[1]〜fb[4]の受信信号の各々について歪み度を導出する。歪み度の導出方法は、上記した第1の実施形態の場合と同様であるので説明は省略する。歪み度導出部23は、中心周波数fb[1]〜fb[4]の受信信号に関して導出した歪み度y1、y2、y3、y4を受信信号選択部24に供給する。
受信信号選択部24は、上記した第1の実施形態の場合と同様に、所定の閾値xと歪み度導出部23によって導出された歪み度y1〜y4に基づいて、歪みの大きさが閾値xによって示される許容限界よりも小さい受信信号を抽出する。そして、抽出した受信信号のうち最も高い周波数帯域の受信信号を、最適設定音速を導出するのに最も適した受信信号として選択する。
ステップS17において主制御部30は、受信信号選択部24によって選択された受信信号に基づいて、最適設定音速導出処理を開始すべきことを示す制御信号を整相処理部18に供給する。整相処理部18は、この制御信号を受信すると、受信信号メモリ17から受信信号選択部24によって選択された周波数帯域の受信信号を読み出す。整相処理部18は、主制御部30から供給される、例えば1400m/s〜1650m/sの範囲において10m/sステップで予め設定された複数の設定音速の各々に基づいて受信遅延時間を算出する。そして、算出した受信遅延時間を受信信号メモリ17から読み出した受信信号に与えることにより整相処理を行う。各設定音速に基づいて整相された受信信号の各々は、最適設定音速導出部25に供給される。
最適設定音速導出部25は、上記した第1の実施形態の場合と同様の方法によって設定音速毎に受信信号間の類似性を示す指標値(類似度)を導出し、導出した指標値(類似度)のうち最大値を示す設定音速を最適設定音速として選択する。最適設定音速導出部25は、上記のようにして求めた最適設定音速を主制御部30に供給する。主制御部30が最適設定音速導出部25よって導出された最適設定音速を送信制御部12および整相処理部18に与えることにより、被検体内の実際の音速値に略一致した音速値で送信遅延時間および受信遅延時間を設定することが可能となる。これにより、送信フォーカスおよび受信フォーカスを適正に行うことが可能となり、歪みのない超音波画像を得ることができる。
このように、本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様、撮像部位によらず高精度で最適設定音速を導出することが可能となる。また、本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、送信周波数を変えて複数回の送信を行うことを要しないので、最適設定音速を導出する処理における処理時間を第1の実施形態の場合と比較して短縮することが可能となる。
なお、上記の各実施形態においては、設定された着目領域を処理対象としたが、全画面領域の範囲において各周波数帯域の受信信号を取得して全画面領域の各点について最適設定音速を導出することとしてもよい。
また、上記の実施形態では、まず各周波数帯域の受信信号に対して歪み度を導出し、導出した歪み度に基づいて周波数帯域を選択し、選択された周波数帯域の受信信号を解析して最適設定音速を導出する構成としたが、この構成に限らない。例えば各周波数帯域の受信信号に対して歪み度と最適設定音速を同時に取得する構成も可能である。この場合、暫定的な設定音速に基づいて整相された受信信号に基づいて歪み度を導出する方法の代わりに、最適設定音速に基づいて整相された受信信号に基づいて歪み度を導出しても良い。
また、上記の実施形態では、整相処理を施した後の受信信号を用いて歪み度を導出することとしたがこれに限定されるものではなく、設定音速に基づいて各チャンネルの受信信号に対して算出された受信遅延時間を中心とする演算対象領域を各チャンネルの受信信号について求め、各演算対象領域内における受信信号間の歪み度を導出してもよい。
1、2 超音波診断装置
10 超音波プローブ
12 送信制御部
13 駆動パルス信号生成部
14a〜14d バンドパスフィルタ
15a、15b スイッチ
16 受信信号処理部
17 受信信号メモリ
18 整相処理部
20 加算処理部
21 画像生成部
23 歪み度導出部
24 受信信号選択部
25 最適設定音速導出部
50 周波数分割部
51a〜51d バンドパスフィルタ

Claims (16)

  1. 被検体内への超音波の送受信によって互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号を取得する受信信号取得手段と、
    前記受信信号取得手段によって取得された複数の周波数帯域の受信信号に基づいて最適設定音速を導出する音速導出手段と、を含む超音波診断装置。
  2. 前記複数の周波数帯域の受信信号の歪みの大きさを示す歪み度を導出する歪み度導出手段と、
    前記歪み度導出手段によって導出された歪み度に基づいて前記複数の周波数帯域の受信信号の中から1の周波数帯域の受信信号を選択する受信信号選択手段と、を更に含み、
    前記音速導出手段は、前記受信信号選択手段によって選択された受信信号に基づいて前記被検体内の音速の推定値を導出する請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記受信信号選択手段は、前記歪み度導出手段によって導出された歪み度によって示される受信信号の歪みの大きさが所定の閾値によって示される歪みの大きさよりも小さい受信信号のうち最も高い周波数帯域の受信信号を選択する請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記受信信号選択手段は、前記歪み度導出手段によって導出された歪み度によって示される受信信号の歪みの大きさが最小となる周波数帯域の受信信号を選択する請求項2に記載の超音波診断装置。
  5. 前記受信信号取得手段は、駆動信号に応じて被検体内に超音波を送信するとともに前記超音波の反射波を受信して前記受信信号を生成する複数の電気音響変換素子と、前記複数の電気音響変換素子の各々から送信される超音波の送信周波数を切り替える送信周波数切り替え手段と、を含む請求項2乃至4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  6. 前記受信信号取得手段は、駆動信号に応じて被検体内に超音波を送信するとともに前記超音波の反射波を受信して前記受信信号を生成する複数の電気音響変換素子と、前記受信信号を中心周波数が互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号に分割するバンドパスフィルタと、を含む請求項2乃至4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  7. 前記歪み度導出手段は、設定音速に基づいて導出された前記受信信号の各々の時間領域における前記受信信号相互間の時間ずれ量に基づいて前記歪み度を導出する請求項2乃至6のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  8. 前記受信信号取得手段は、前記複数の電気音響変換素子の各々から出力される複数の受信信号を設定音速に基づいて整相する整相手段を含み、
    前記歪み度導出手段は、前記整相手段によって整相された複数の受信信号相互間の時間ずれ量に基づいて前記歪み度を導出する請求項7に記載の超音波診断装置。
  9. 前記歪み度導出手段は、比較基準となる基準信号と、前記整相手段によって整相された複数の受信信号の各々との間の時間ずれ量に基づいて前記歪み度を導出する請求項8に記載の超音波診断装置。
  10. 前記歪み度導出手段は、設定音速に基づいて導出された前記受信信号の各々の時間領域における前記受信信号相互間の類似性を示す相互類似度に基づいて前記歪み度を導出する請求項2乃至6のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  11. 前記受信信号取得手段は、前記複数の電気音響変換素子の各々から出力される複数の受信信号を設定音速に基づいて整相する整相手段を含み、
    前記歪み度導出手段は、前記整相手段によって整相された複数の受信信号相互間の類似性を示す相互類似度に基づいて前記歪み度を導出する請求項10に記載の超音波診断装置。
  12. 前記歪み度導出手段は、比較基準となる基準信号と、前記整相手段によって整相された複数の受信信号の各々との間の相関値に基づいて前記歪み度を導出する請求項11に記載の超音波診断装置。
  13. 前記基準信号は、整相された複数の受信信号の各々を積算した整相加算信号である請求項9または12に記載の超音波診断装置。
  14. 前記受信信号取得手段は、
    前記複数の電気音響変換素子の各々から出力される複数の受信信号を設定音速に基づいて整相する整相手段と、
    前記整相手段によって整相された複数の受信信号の各々を積算して整相加算信号を生成する加算手段と、
    前記整相加算信号の信号強度を輝度に変換した画像信号を生成する画像信号生成手段と、を含み、
    前記歪み度導出手段は、前記画像信号生成手段によって生成された画像信号に応じた画像に基づいて前記歪み度を導出する請求項2乃至6のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  15. 被検体内への超音波の送受信によって互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号を取得するステップと、
    前記複数の周波数帯域の受信信号の各々の歪みの大きさを示す歪み度を導出するステップと、
    前記歪み度に基づいて前記複数の周波数帯域の受信信号の中から1の周波数帯域の受信信号を選択するステップと、
    前記受信信号選択ステップにおいて選択された受信信号に基づいて前記被検体内の音速の推定値を導出するステップと、
    を含む音速導出方法。
  16. コンピュータを
    被検体内への超音波の送受信によって取得された互いに異なる複数の周波数帯域の受信信号の各々の歪みの大きさを示す歪み度を導出する歪み度導出手段と、
    前記歪み度導出手段によって導出された歪み度に基づいて前記複数の周波数帯域の受信信号の中から1の周波数帯域の受信信号を選択する受信信号選択手段と、
    前記受信信号選択手段によって選択された受信信号に基づいて前記被検体内の音速の推定値を導出する最適設定音速導出手段と、
    として機能させるプログラム。
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