JP2013241551A - 基体表面を有機分子で修飾することにより、菌体を除去できる表面処理剤及び該有機分子による表面処理方法並びに抗菌処理した基体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基体表面に、一般式X−(CH2)n−Y[式中、nは3〜22の整数、XはSH、SiCl3、Si(OCH3)3、Si(OCH2CH3)3、SiCl(CH3)2、P(O)(OH)2から選択した一種以上の官能基、Yは(−O−CH2−CH2−)mOCH3(mは3〜70の整数)、あるいは(−O−CH2−CH2−)pOH(pは0〜70の整数)]で表わされる有機分子、又は上記の分子の組み合わせを用いて表面を修飾することを特徴とする水洗により菌体を除去できる表面処理剤。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献5には、光半導体である酸化チタン上に表面修飾基(反応性シリコーン、反応性フッ素化合物、水及び/又は水酸基)を結合させた表面修飾法が開示され、撥水性・撥油性・抗菌性・帯電防止に効果があるという記載がある。
しかし、上記特許文献5、特許文献6は、粉塵の吸引が肺に影響を与える可能性などが懸念されるなど、安全性については、検討が必要である。以上のように、容易に菌体を除去でき人体や環境に無害・無毒であることが重要である。
上記nが11〜18の整数の場合、及び上記mが3〜6の整数の場合に、洗浄による菌体の除去に、より有効である。
上記nが11〜18の整数の場合、及び上記mが3〜6の整数の場合に、洗浄による菌体の除去に、より有効である。
上記nが11〜18の整数の場合、及び上記mが3〜6の整数の場合に、洗浄による菌体の除去に、より有効である。
また、有機分子の末端基の制御のみで菌の付着を防ぎ、容易に菌体を除去できる効果を発現させることができる。したがって、従来技術より少ない工程であり、コストから見ても有効である。
さらに、菌によって表面認識に違いがあることから、用いる環境・場所に応じて、適切な末端基の組み合わせにより、必要に応じた菌への抗菌効果が期待できる。また、相乗して新たな機能の付与も期待できるという多くの効果を有する。
また、Yは(−O−CH2−CH2−)mOCH3(mは3〜70の整数)]の中で、mを上記範囲とした理由は、mが20〜70のポリエチレングリコールでも効果が現れるからであり、mが3〜6の場合に、特に多くの菌体に効果がある。
人体に対して有害物質を含んでいないので、卑近な例としては、浴槽、浴室の抗菌、洗面台、洗面所の抗菌、台所の水回り、建材、農業資材、医療機械、食品機械、家庭用電化製品の抗菌に使用できる。その他、水で洗浄によりし、菌を洗い流す目的に利用する材料については、全て適用することが可能であり、用途については、特に制限がない。
上記nが11〜18の整数の場合、及び上記mが3〜6の整数の場合に、洗浄による菌体の除去に、より有効である。
図1に本願発明の表面処理剤を用いて、分子末端基制御による抗菌効果を発現する様子を示す。最下層は基板、すなわち本願で言う基体であり、その上に本願発明の表面処理剤があり、さらにその上に菌が存在し、この菌が本願発明の表面処理剤と共に、洗浄で洗い流すことができる。
金属基板である金表面上においてエチレングリコールを含む分子及びエチレングリコールを含まない自己組織化膜の形成を行った。
有機硫黄化合物の一種である以下の構造式で表せる分子(HS(CH2)11(OCH2CH2)3OCH3、HS(CH2)11(OCH2CH2)3OH、HS(CH2)11(OCH2CH2)6OCH3、HS(CH2)15CH3、HS(CH2)16OH、以後それぞれ、S(EG3)OMe、S(EG3)OH、S(EG6)OMe、S(C15)Me、S(C16)OHと略す)をエタノール中に1〜2mMの濃度に希釈した溶液中に金基板を24時間浸漬し、自己組織化膜を生成させた。自己組織化膜生成による表面修飾後の基板表面の模式図を図2に示す。
用いた菌は子嚢菌、担子菌、酵母を含む糸状菌類(Alternaria 属菌、Aspergillus 属菌、Bipolaris 属菌、Cladpsporium 属菌、Colletotoricum 属菌、Fusarium 属菌、Magnaporthe 属菌、Penicillium 属菌、Trichoderma 属菌、および、Rhodotorula 属菌)である。各菌の胞子発芽および菌体接着が促進される条件を考慮して、Alternaria 属菌、Bipolaris 属菌、Magnaporthe 属菌、Rhodotorula 属菌の培養には滅菌水を用い、その他の菌の培養には0.05%Yeat extract、1%Glucose、0.1M NaClを含む液体培地(0.1YGS)を用いた。
以下、実施例及び比較例中の記載において「水洗」とは、口径1.8cmの水道の蛇口を半分ふさぎ、10リットル/1分の水を32cm下のサンプルに5秒間以下あてて洗浄することとする。
基板の違いによる影響の確認のため、酸化物基板であるガラス表面上、及び半導体基板であるSi表面上においてエチレングリコールを含む分子を用いた自己組織化膜の形成を行った。
この結果、水浸もしくは水洗を行った結果、用いたすべての菌はいずれの基板表面からも流れ落ち、水洗後の表面への接着は認められなかった。
基板の違いによる影響の確認のため、ステンレス(SUS304)上においてにおいてエチレングリコールを含む分子を用いた自己組織化膜の形成を行った。
有機シラン化合物の一種である以下の構造式で表せる分子((CH3)2SiCl(CH2)11(OCH2CH2)3OCH3、以後、Si(EG3)OMeと略す)をヘキサデカン中に1〜2mMの濃度に希釈した溶液中に洗浄したステンレス基板を24時間浸漬し、自己組織化膜を生成させた。
また、エチレングリコールを含む分子で表面を修飾することにより、特に子嚢菌、担子菌、酵母を含む糸状菌類に広く抗菌効果を発揮することが示された。
Claims (10)
- 基体表面に、一般式X−(CH2)n−Y[式中、nは3〜22の整数、XはSH、SiCl3、Si(OCH3)3、Si(OCH2CH3)3、SiCl(CH3)2、P(O)(OH)2から選択した一種以上の官能基、Yは(−O−CH2−CH2−)mOCH3(mは3〜70の整数)、あるいは(−O−CH2−CH2−)pOH(pは0〜70の整数)]で表わされる有機分子、又は上記の分子の組み合わせを用いて表面を修飾することを特徴とする表面処理剤。
- 金属、半導体、酸化物等のセラミックス、高分子有機材料、これらの複合体若しくは積層体からなる基体、又はこれらの表面に金属、半導体、酸化物等のセラミックス、高分子有機材料の被覆層を施した基体表面に適用することを特徴とする請求項1記載の表面処理剤。
- 基体表面に、一般式X−(CH2)n−Y[式中、nは3〜22の整数、XはSH、SiCl3、Si(OCH3)3、Si(OCH2CH3)3、SiCl(CH3)2、P(O)(OH)2から選択した一種以上の官能基、Yは(−O−CH2−CH2−)mOCH3(mは3〜70の整数)、あるいは(−O−CH2−CH2−)pOH(pは0〜70の整数)]で表わされる有機分子、又は上記の分子の組み合わせを用いて表面を修飾することを特徴とする表面処理方法。
- 前記有機分子による表面修飾により自己組織化膜とすることを特徴とする請求項3記載の表面処理方法。
- 前記有機分子の末端基の制御により、菌の種類に応じて、菌体の付着を抑制することを特徴とする請求項3又は4記載の表面処理方法。
- 金属、半導体、酸化物等のセラミックス、高分子有機材料、これらの複合体若しくは積層体、又はこれらの表面に金属、半導体、酸化物等のセラミックス、高分子有機材料の被覆層を施した基体表面に適用することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の表面処理方法。
- 一般式X−(CH2)n−Y[式中、nは3〜22の整数、XはSH、SiCl3、Si(OCH3)3、Si(OCH2CH3)3、SiCl(CH3)2、P(O)(OH)2から選択した一種以上の物質、Yは(−O−CH2−CH2−)mOCH3(mは3〜70の整数)、あるいは(−O−CH2−CH2−)pOH(pは0〜70の整数)]で表わされる有機分子、又は上記の分子の組み合わせを用いて表面を修飾したことを特徴とする基体。
- 前記有機分子による表面修飾により自己組織化膜としたことを特徴とする請求項7記載の基体。
- 前記有機分子の末端基の制御により、菌の種類に応じて、菌体の付着を抑制したことを特徴とする請求項7又は8記載の基体。
- 金属、半導体、酸化物等のセラミックス、高分子有機材料、これらの複合体若しくは積層体からなる基体、又はこれらの表面に金属、半導体、酸化物等のセラミックス、高分子有機材料の被覆層を施した基体表面に適用したことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の基体。
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