JP2013237022A - 光触媒材料およびその製造方法 - Google Patents

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雅浩 宮内
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Abstract

【課題】可視光の照射によって顕著な光触媒作用を発現する光触媒材料を提供する。
【解決手段】pH=0における価電子帯上端の電位が標準水素電極電位で換算して+2.0Vよりも正の半導体と、前記半導体の表面に担持された2種類の組成の異なるナノクラスター(A)及びナノクラスター(B)とを有し、前記ナノクラスター(A)は鉄ないし銅の少なくとも一つを含むアモルファス状酸化物ナノクラスターであり、前記ナノクラスター(B)はチタン、シリコン、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つを含む酸化物ナノクラスターである、光触媒材料。
【選択図】なし

Description

本発明は可視光の照射によって顕著な光触媒作用を発現する光触媒材料に関する。
代表的な光触媒材料として酸化チタンが良く知られ、励起光の照射により有機物を分解することが知られている。光触媒反応を起こすためにはその光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーをもった光子(フォトン)が必要である。代表的な光触媒として知られる酸化チタンを用いた場合、光触媒反応を起こすために必要なフォトンのエネルギーは酸化チタンのバンドギャップに相当する3.0eV以上、すなわち、光の波長に換算すると400nm以下の紫外線が必要となる。蛍光灯や白熱電灯等の室内の照明装置から照射される紫外線強度は微弱なため、室内の照明装置によって十分な光触媒効果を発揮することは困難であった。
酸化チタンに窒素等のアニオンをドーピングすることで可視光の照射でも光触媒反応が発現する材料が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、非特許文献2、3に開示されているように、窒素等のドーパントの準位は酸化チタンの価電子帯の上に孤立準位として存在するために正孔の酸化力は低く、アニオンドープ酸化チタンの可視光での量子効率は紫外線での効率よりも著しく低いことが報告されている。アニオンドープ酸化チタンの正孔の酸化力は低いのでアルコールやアルデヒドの様な有機物を二酸化炭素と水に完全酸化分解することは困難であった。
一方、近年になり酸化チタン粒子の表面に銅イオンや鉄イオンを担持することで、可視光の照射でも高い光触媒性能が発現することが報告されている(特許文献1)。非特許文献4ないし5によれば、酸化チタンの表面に鉄イオンや銅イオンを担持することで、酸化チタンの価電子帯の電子が表面の鉄ないし銅イオンに遷移する界面電荷移動遷移が起こり、可視光を吸収することが可能となり、更に鉄ないし銅イオンに遷移した電子は効率的に酸素を還元する助触媒として機能することが開示されている。
特開2011−79713号公報
R.Asahi et al. Science,293,269(2001). H.Irie et al.J.Phys.Chem.B,107,5483(2003). M.Miyauchi et al.Phys.Chem.Chem.Phys.,6,865(2004). H.Irie et al.J.Phys.Chem.C,113,10761(2009). H.Yu et al.J.Phys.Chem.C,114,16481(2010).
本発明の課題は、既往の光触媒よりも更に可視光照射下での光触媒活性の高い材料を開発することである。
pH=0における価電子帯上端の電位が標準水素電極電位で換算して+2.0Vよりも正の半導体と、前記半導体の表面に担持された2種類のナノクラスター(A)及びナノクラスター(B)をそれぞれ複数有し、前記ナノクラスター(A)は鉄または銅の少なくとも一つを含むアモルファス状酸化物ナノクラスターであり、前記ナノクラスター(B)はチタン、シリコン、アルミニウム、ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つを含む酸化物ナノクラスターである、光触媒材料を提供する。
本発明の光触媒材料は紫外線照射下に加え可視光照射下での性能が高いため、空気浄化や水浄化用の光触媒として使用することができる。また、防曇・防汚部材、抗菌・抗ウイルス部材への展開も可能となる。特に、本発明の光触媒材料は可視光での活性を有するため、紫外線の少ない室内照明で使用する可視光応答性光触媒として応用することができる。
本発明の好適な態様の例を示す図 #3試料の電子顕微鏡観察像 本発明の光触媒材料の電子顕微鏡観察像と組成分析結果 #13試料の電子顕微鏡観察像 #13試料の電子顕微鏡観察像 #13試料の電子顕微鏡観察像 #13試料の組成分析結果 本発明の光触媒材料の電子顕微鏡観察像 本発明の光触媒材料の組成分析結果 本発明の光触媒の可視光照射下での2−プロパノール分解活性を示す図 本発明の光触媒の可視光照射下での2−プロパノール分解活性を示す図 本発明の光触媒の可視光照射下での2−プロパノール分解活性を示す図 本発明の光触媒の可視光照射下での2−プロパノール分解活性を示す図 本発明の光触媒の耐アルカリ試験前後での写真
本発明の光触媒材料は、pH=0における価電子帯上端の電位が標準水素電極電位で換算して+2.0Vよりも正の半導体と、前記半導体の表面に担持された2種類の組成の異なるナノクラスター(A)及びナノクラスター(B)をそれぞれ複数有しており、前記ナノクラスター(A)は鉄または銅の少なくとも一つを含むアモルファス状酸化物ナノクラスターであり、前記ナノクラスター(B)はチタン、シリコン、アルミニウム、ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つを含む酸化物ナノクラスターであることを特徴とする。本発明の光触媒材料の構造の一例を、図1を用いて説明する。これらの模式図は本発明の一例であって、本発明の態様はこれらの図になんら限定されるものではない。
例えば、本発明の一つの態様においては、図1の(a)に示すように、pH=0における価電子帯上端の電位が+2.0Vよりも正の半導体が粒子状であって、その表面に2種類の組成の異なるナノクラスター(A)と(B)がそれぞれ複数担持されている。また、本発明の別の態様においては、図1の(b)に示すように、膜状の半導体の表面に2種類の組成の異なるナノクラスター(A)と(B)がそれぞれ複数担持されていてもよい。また、本発明の更に別の態様として、図1の(c)に示すように、基材の内部または表面に粒子状の光触媒材料を含んでいてもよい。
半導体において光励起で生成する正孔の酸化力は価電子帯上端の電位で決まり、この電位よりも正であればあるほど酸化力が強い。空気浄化や水質浄化、抗菌・抗ウイルス効果、セルフクリーニング効果などの光触媒作用を十分に発揮するためには正孔の深い酸化力が必要となる。水溶液中での半導体のエネルギー準位はpH依存性があり、光触媒で有機物を完全分解するためには、光触媒を形成する半導体のpH=0における価電子帯上端の電位が標準水素電極電位で換算して+2.0Vよりも正であることが好ましい。
pH=0における価電子帯上端の電位が標準水素電極電位で換算して+2.0Vよりも正である半導体として、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化スズ、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも一つの物質を好適に使用することができる。高い光触媒性能を発揮するため、好ましくは電子・正孔対の移動度が高い結晶性の半導体を用いる。
pH=0における価電子帯上端の電位が標準水素電極電位で換算して+2.0Vよりも正である半導体は粒子状であってもよい。この場合、粒子の大きさが10nm〜2μmの範囲であることが好ましい。半導体粒子の大きさが小さすぎると結晶性が悪くなり光触媒性能は低下する。一方、半導体粒子の大きさが大きい場合、比表面積が小さくなり、表面から深い部分に光が届かなくなったり、表面から深い部分で生成した電子・正孔対が表面まで拡散するのが困難になってしまう。
本発明の光触媒材料を図1(b)の様な薄膜として使用する場合、前記半導体の膜厚は10nm〜2μmの範囲であることが好ましい。半導体の膜厚が小さすぎると結晶性が悪くなり光触媒性能は低下する。一方、半導体の膜厚が大きい場合、表面から深い部分は光触媒反応に有効に使うことができない。
アモルファス状酸化物のナノクラスター(A)は鉄又は銅の少なくとも一つを含むアモルファス状酸化物からなり、好適にはその大きさが0.5nm〜20nmの範囲である。鉄又は銅の少なくとも一つを含むアモルファス状酸化物ナノクラスターを、半導体の表面に担持させると、半導体の価電子帯にある電子が可視光の照射下で界面電荷移動遷移によってアモルファス状ナノクラスターに励起し、このナノクラスターに励起された電子は効率よく大気中の酸素分子を還元して可視光照射下において高度な光触媒活性を発現する。本明細書において「ナノクラスター」の用語は数個から数百個の鉄化合物ないし銅化合物の分子が集まって形成される集合体を意味するが、この用語をいかなる意味においても限定的に解釈してはならず、最も広義に解釈しなければならない。一般的にはナノクラスターの大きさは数ナノメートル〜数十ナノメートルの範囲である。可視光を照射した場合の酸素の還元反応を促進させるため、本発明においては、ナノクラスター(A)はアモルファス状酸化物であって、その大きさを0.5nm〜20nmとすることで、高度な光触媒作用が実現する。
酸化物ナノクラスター(B)はチタン、シリコン、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つを含む酸化物ナノクラスターであって、その大きさは好ましくは0.5nm〜50nmの範囲である。酸化物ナノクラスター(B)の作用機構は唯一の機構で説明できるほど単純ではないが、電子正孔対の電荷分離の促進に働いたり、分解対象物質の吸着を高めたりすることが考えられる。半導体にアモルファス状酸化物ナノクラスター(A)と酸化物ナノクラスター(B)が共存することで、可視光照射下での光触媒反応を著しく促進させることができる。前記酸化物ナノクラスター(B)は結晶性であってもアモルファス状であってもよい。酸化物ナノクラスター(B)の大きさを0.5nm〜50nmの範囲に設定することで、高度な光触媒作用を発現させることができる。
酸化物ナノクラスター(B)を担持することのもう一つの効果として、半導体の耐薬品性、耐熱性などの耐久性を高めることができる。すなわち、酸化物ナノクラスターが半導体の保護層として働く。特に半導体として酸化タングステンを使った場合、酸化物ナノクラスター(B)を担持することで耐アルカリ性が著しく向上する。
本発明においては、粒子状の光触媒材料を基材表面及び/又は内部に含む部材を提供することもできる。前者の部材は、例えば、粒子状の光触媒材料を分散したコーティング剤を基材表面にコーティングして得たものなどがあげられる。この場合、基材として、金属、ガラス、セラミックス、プラスチックフィルムなどを用いることができる。コーティング方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ディップコート、バーコート、スプレー法などが挙げられる。
また、粒子状の光触媒材料を内部に含む部材としては、例えば、粒子状の光触媒材料を基材である樹脂などに練り込み、押出成形、カレンダー成形などによりシート状の部材としたものがある。また、繊維、不織布などに練り込んだものとすることもできる。樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、ナイロンなどを使用することができる。また、基材である樹脂等に通常添加される添加剤なども適宜使用することができる。
また、本発明においては、膜状の半導体の表面に2種類の組成の異なるナノクラスター(A)と(B)がそれぞれ複数担持された光触媒材料と基材とを備える膜状の光触媒部材を提供することができる。基材として、金属、ガラス、セラミックス、プラスチックフィルムなどを用いることができる。このような膜状の光触媒部材は、基材表面に半導体の層を設け、その後、半導体の表面にナノクラスター(A)と(B)を担持することにより製造することができ、あるいは、半導体の表面にナノクラスター(A)と(B)を担持した膜状の光触媒材料を製造し、これを粘着剤などを用いて基材と貼り合せて製造することもできる。
本発明においては、前記光触媒材料が分散したコーティング剤を提供することもできる。コーティング剤には溶媒、分散剤、バインダー成分などが含まれていてもよい。バインダーとしては有機系バインダー又は無機系バインダーのいずれを用いてもよいが、光触媒作用によるバインダーの分解を避けるために無機系バインダーを用いることが好ましい。バインダーの種類は特に限定されず、例えば、通常用いられるシリカ系などの無機系バインダーのほか、重合や溶媒揮発により薄膜を形成可能な高分子バインダーなど任意のバインダーを用いることができる。
本発明に係る光触媒材料を製造する方法として、(1)酸化物ナノクラスター(B)を水溶液中での含浸法を用いて担持し、次いで、半導体にアモルファス状酸化物ナノクラスター(A)を含浸法で担持する方法、及び、(2)半導体にアモルファス状酸化物ナノクラスター(A)を含浸法で担持し、次いで、酸化物ナノクラスター(B)を水溶液中での含浸法を用いて担持する方法、の何れも使用することができるが、(1)の製造方法が好ましい。また、アモルファス状酸化物ナノクラスター(A)と酸化物ナノクラスター(B)を水溶液中での含浸法で同時に担持してもよい。先に酸化物ナノクラスター(B)、次いでアモルファス状酸化物ナノクラスター(A)を担持して製造することにより、より高度な光触媒性能が発現することができる。理論に拘束されることを意図するものではないが、アモルファス状酸化物ナノクラスター(A)が半導体の電子のトラップサイトに担持され、酸化物ナノクラスター(B)は別のサイトに担持されるため、電子・正孔対の電荷分離効率が高くなると考えられる。
本発明の光触媒材料を製造する方法のうち、酸化物ナノクラスター(B)を担持させる方法の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。半導体の粒子をチタン、シリコン、アルミニウム、ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素を含む塩や金属アルコキシドを水に溶かした溶液の中に投入し、加温下、例えば、例えば60℃以上、好ましくは90℃程度で数時間、好ましくは1時間程度攪拌する。その後水洗、乾燥することで酸化物ナノクラスター(B)が担持した半導体粒子を製造することができる。
また、半導体薄膜をシリコン、アルミニウム、ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素を含む塩や金属アルコキシドを水に溶かした溶液の中に投入し、加温下、例えば、例えば60℃以上、好ましくは90℃程度で数時間、好ましくは1時間程度処理することで酸化物ナノクラスター(B)が担持した半導体薄膜を製造することができる。
酸化物ナノクラスター(B)を担持させる方法として、チタン、シリコン、アルミニウム、ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素を含む塩や金属アルコキシドを水に溶かした溶液の中に半導体を投入するが、塩として好適には四塩化チタンを用いる。この結果担持されたアモルファス状ないし結晶性の酸化チタンナノクラスターは半導体の光触媒性能を著しく向上させることができ、熱的、化学的な安定性も高い。また、半導体として酸化タングステンを用いる場合、酸化チタンのナノクラスターの担持によって耐アルカリ性が著しく向上する。
本発明の光触媒材料を製造する方法のうち、アモルファス状酸化物ナノクラスター(A)を担持させる方法の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の好適な態様においては、前記に記載したとおり、先に酸化物ナノクラスター(B)を水溶液中での含浸法を用いて担持し、次いで前記アモルファス状酸化物ナノクラスター(A)を水溶液中での含浸法により製造する。例えば、チタン、シリコン、アルミニウム、ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つを含む酸化物ナノクラスター(B)が担持された半導体粒子を製造した後、この粒子を、銅イオンや鉄イオンを含む塩や金属アルコキシド水溶液の中に懸濁して加温下、例えば、例えば60℃以上、好ましくは90℃程度で数時間、好ましくは1時間程度攪拌する。その後水洗、乾燥することで酸化物クラスター(B)とアモルファス状酸化物ナノクラスター(A)の両方が担持されている半導体を製造することができる。
また、酸化物クラスター(B)を有する半導体の部材や膜部材を銅イオンや鉄イオンを含む塩や金属アルコキシドの水溶液に投入し加温下、例えば、例えば60℃以上、好ましくは90℃程度で数時間、好ましくは1時間程度処理することで、銅ないし鉄の少なくとも一つを含むアモルファス状酸化物クラスターが担持した半導体薄膜を製造することができる。
本発明の光触媒材料を図1(b)に示す様な薄膜部材として使用する場合、その製造方法として半導体薄膜を先に形成させた後、前記クラスター(A)、クラスター(B)を先に示した方法で担持させても構わない。
前記光触媒材料の製造方法のうち半導体がコーティングされた基材を使う場合、半導体薄膜を製造する方法として、例えば、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー法などの湿式コーティングや、ゾルゲル法、スパッタ法、真空蒸着法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティング法、溶射法、電界析出法などを用いて成膜することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1 粒子状の光触媒材料の合成
半導体粒子として酸化チタン、酸化タングステンを用い、以下の工程1によって酸化物ナノクラスター(B)を担持し、次いで工程2によりアモルファス状酸化物ナノクラスター(A)を担持した。なお、酸化チタン、酸化タングステンは、市販のものを焼結して用いた(粒径:100〜500mm)。
工程1.半導体粒子を、四塩化チタン、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、塩化アルミニウムの水溶液に懸濁させ、90℃で1時間撹拌した。1時間の撹拌後、ろ過、純水での洗浄を2回繰り返し、100℃で乾燥した。
工程2.工程1で得られた粒子を鉄イオンまたは銅イオンを含む水溶液に懸濁させ、90℃で1時間撹拌した。鉄イオン源としては塩化鉄、銅イオン源として塩化銅二水和物を用いた。1時間の撹拌後、ろ過、純水での洗浄を2回繰り返し、100℃で乾燥した。
前記工程1、工程2で用いたクラスター原料の種類、配合量や使用した半導体の種類を表1に示す。また、比較のため、工程1、工程2をおこなわないTiO(#1)、工程1または工程2のみ施したもの(#2、#3、#8、#13、#14)を合成した。更に、工程1と工程2を入れ替え、アモルファス状酸化物ナノクラスター(A)を先に担持し、次いで酸化物ナノクラスター(B)を含浸法で担持したサンプルも合成した(#12)。
Figure 2013237022
例2 粒子状の光触媒材料の構造解析
粉末X線回折(XRD)により粒子の結晶構造を解析したところ、全てのサンプルにおいて半導体粒子であるルチル型TiO、モノクリニックWO以外の回折パターンは観察されなかったことから、工程1、工程2で担持したナノクラスターはアモルファス状であることがわかった。
透過型電子顕微鏡(TEM)により粒子状の光触媒材料の構造を解析した。ルチル型酸化チタンの表面に酸化チタンのアモルファス状クラスターを担持した#3試料のTEM観察の結果を図2に示す。この結果、工程1をおこなうことで、酸化チタン半導体粒子の表面に1〜3nm程度の大きさのアモルファス状の酸化チタンクラスター(B)が担持されている様子が確認できた。
次に#4試料のTEM観察とTEM装置に付帯されているエネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)を用いてクラスターの部分の組成の点分析をおこない、結果を図3に示す。図中の矢印(a)の部分と(b)の部分の組成をEDXで分析した。この結果、(a)のクラスターはチタン、(b)のクラスターは鉄を含む化合物であることが明らかになった。(a)のクラスターの大きさは1〜2nm、(b)のクラスターの大きさは2〜3nmであった。
半導体粒子が酸化タングステンの場合のサンプルについてもTEM分析もおこなった。酸化タングステンの表面に酸化チタンのアモルファス状クラスターを担持した#13試料について、倍率や観察場所を変えてTEMを観察した結果を図4〜図6に示す。低倍率で測定した図4においても、酸化タングステンの表面に多数のクラスターが存在する様子が確認できた。図5の(a)と(b)は同じ観察地点で倍率の異なる結果であるが、高倍率で観測した図5(b)において、酸化タングステン粒子の表面にある酸化チタンのクラスターの一部には結晶の格子縞が観察されており、アモルファス状と結晶状のクラスターが混在していることが明らかになった。なお、図6にある図中の1−1〜1−6のポイントの組成分析をおこなった結果を図7に示す。この結果、TEM観察像でクラスターの像が確認された地点ではチタン元素が検出された。一方、TEM観察像でクラスターが存在していない点(1−4)ではチタン元素が確認できなかった。酸化タングステン表面に担持しているアモルファスないし結晶性の酸化チタンクラスターの大きさは2〜5nmであり、クラスター同士が凝集した場合、その凝集粒の大きさは5nm〜20nm程度であった。
次に半導体粒子がWOで、アモルファス状クラスター(A)が銅イオン、酸化物クラスター(B)が酸化チタンの場合のサンプル(#15)に対して、TEMの解析をおこなった結果を図8に示す。この結果、酸化タングステン粒子の表面にクラスターが複数担持されている様子が観察できた。なお、図8にある図中の(i)、(ii)のポイントの組成分析をおこなった結果を図9に示す。この結果、(i)のクラスターは銅、(ii)のクラスターはチタンを含む化合物であることが明らかになった。(i)のクラスターの大きさは1〜2nm、(ii)のクラスターの大きさは5〜8nmであった。
例3 光触媒性能の評価
実施例1で得た粉末状の試料に対し、可視光を照射した場合の2−プロパノール(IPA)の酸化分解活性を評価した。サンプル0.3gを面積5.5cmのガラスシャーレに載せ、500mLのガラス製の密閉容器に設置した。密閉容器を相対湿度50%の合成空気で置換し、高濃度の2−プロパノールをシリンジで注入してガラスセル内の2−プロパノールの初期濃度が6μmolになるようにした。暗所にて吸着飽和になったことを確認した後、可視光の照射をおこなった。光源にはキセノンランプを用い、波長が400〜530nmになるように3種類の色ガラスフィルター(B−47、L−42、C−40C:いずれも旭テクノグラス製)を介してサンプルに照射した。可視光の照度はウシオ電機製のスペクトロラディオメーターで測定し、積算照度が1.0mW/cmになるように設定した。密閉容器内の2−プロパノールと分解生成物である二酸化炭素(CO)の濃度をガスクロマトグラフィーで測定した。ガスクロマトグラフィ−の検出器には水素炎イオン化型検出機(FID)を用い、二酸化炭素を定量するためにメタナイザーでメタン化した上で分析した。
3−1.半導体:酸化チタン、クラスター(A):鉄イオン、クラスター(B):酸化チタンの場合(クラスターの有無とクラスター(B)担持量の比較)
#1、#2、#4〜#7試料の光触媒性能の結果を図10に示す。#1試料はクラスターを担持しない酸化チタンで、可視光の吸収が無いためにほとんど活性を示さなかった。一方、#2試料は酸化チタンにアモルファスクラスター(A)を担持したもので、界面電荷移動遷移により可視光を吸収し、酸化分解活性を示す。なお、2−プロパノールの初期濃度は6μmolとしており、2−プロパノールが全て二酸化炭素に完全分解すると容器内のCO濃度は18μmolとなる。つまり、#2試料は2−プロパノールをCOまで完全酸化分解することが可能であった。更に、アモルファスクラスター(A)と酸化物クラスター(B)を酸化チタンの表面に共存させた場合の試料(#4〜#7)は#2試料よりも性能が上がり、可視光の照射時間100時間以内で完全酸化分解に至った。各種試料の中でも#4試料の性能が最も高く、可視光照射50時間以内で2−プロパノールを完全酸化分解するに至った。
3−2.半導体:酸化チタン、クラスター(A):銅イオン、クラスター(B):酸化チタンの場合
#8、#9試料の結果を図11に示す。#9試料では、先に酸化物クラスター(B)である酸化チタンを担持し、次いでアモルファスクラスター(A)である銅イオンを担持した。一方、#8試料はアモルファスクラスター(A)銅イオンのみを担持したものである。この結果、#9試料が#8試料よりも性能が格段に優れていた。これらの結果から、酸化チタン半導体の表面に、アモルファスクラスター(A)と酸化物クラスター(B)を共存させることで、高い可視光活性を発現できることが明らかになった。
3−3.半導体:酸化チタン、クラスター(A):鉄イオン、クラスター(B):酸化アルミニウムないしシリカの場合
#10〜#12試料の結果について、#1、#2試料の結果とともに図12に示す。いずれの場合も、酸化チタン半導体の表面に、アモルファスクラスター(A)と酸化物クラスター(B)を共存させることで、高い可視光活性を発現できることが明らかになった。また、#10試料では、先に酸化物クラスター(B)であるアルミナを担持し、次いでアモルファスクラスター(A)である鉄イオンを担持した。一方、#12試料はクラスターを担持する順序を逆にしたものである。#10試料が#12試料よりも性能が優れていたことから、クラスターを担持する順序として、先に酸化物クラスター(B)を担持し、次いでアモルファスクラスター(A)を担持することで可視光でのより高い光触媒活性が発現することが明らかになった。
3−4.半導体粒子が酸化タングステン(WO)の場合
#14〜#17試料の結果を図13に示す。アモルファスクラスター(A)と酸化物クラスター(B)が共存する試料(#15〜#17)はアモルファスクラスターのみを担持したもの(#14)よりも格段に性能が高い。また、図中には結果を示さなかったが、酸化タングステンに酸化物クラスター(B)のみを担持した試料は性能が悪く、2−プロパノールを完全酸化分解することができなかった。
例4 耐アルカリ性試験
アモルファスクラスター(A)のみを担持した酸化タングステン(#14試料)とアモルファスクラスター(A)と酸化物クラスター(B)の両方を担持した酸化タングステン(#15試料)の粉末をシャーレの上に載せ、0.15Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、4時間浸漬した。水酸化ナトリウム水溶液を加える前後の粉末の写真を撮影した。結果を図14に示したが、#14試料は溶解して粉末が消失したのに対して、#15は粉末の状態を維持した。すなわち、酸化タングステンの表面に酸化物クラスター(B)を担持することで、酸化タングステンのアルカリ性の水溶液に対する安定性が高まることが明らかになった。
本発明の光触媒材料は紫外線照射下に加え可視光照射下での性能が高いため、空気浄化や水浄化用の光触媒として使用することができる。また、防曇・防汚部材、抗菌・抗ウイルス部材への展開も可能となる。特に、本発明の光触媒材料は可視光での活性を有するため、紫外線の少ない室内照明で使用する可視光応答性光触媒として応用することができる。

Claims (10)

  1. pH=0における価電子帯上端の電位が標準水素電極電位で換算して+2.0Vよりも正の半導体と、
    前記半導体の表面に担持された2種類の組成の異なるナノクラスター(A)及びナノクラスター(B)をそれぞれ複数有し、
    前記ナノクラスター(A)は、鉄または銅の少なくとも一つを含むアモルファス状酸化物ナノクラスターであり、
    前記ナノクラスター(B)は、チタン、シリコン、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つを含む酸化物ナノクラスターである、光触媒材料。
  2. 前記半導体は、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化スズ、酸化タングステン、酸化インジウム及び酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも一つからなり、結晶性である、請求項1に記載の光触媒材料。
  3. 前記半導体が粒子状であって、その大きさが10nm〜2μmの範囲である、請求項1又は2に記載の光触媒材料。
  4. 前記ナノクラスター(A)の大きさが0.5nm〜20nmの範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光触媒材料。
  5. 前記ナノクラスター(B)の大きさが0.5nm〜50nmの範囲である請求項1〜4のいずれか一項に記載の光触媒材料。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の粒子状の光触媒材料を基材表面及び/又は内部に含むことを特徴とする部材。
  7. 基材の上にpH=0における価電子帯上端の電位が標準水素電極電位で換算して+2.0Vよりも正の半導体の薄膜を有し、更にその表面に担持された2種類の組成の異なるナノクラスター(A)及びナノクラスター(B)をそれぞれ複数有し、
    前記ナノクラスター(A)は、鉄または銅の少なくとも一つを含むアモルファス状酸化物ナノクラスターであり、
    前記ナノクラスター(B)は、チタン、シリコン、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一つを含む酸化物ナノクラスターであることを特徴とする部材。
  8. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の粒子状の光触媒材料を含むコーティング剤。
  9. 前記酸化物ナノクラスター(B)を水溶液中での含浸法を用いて半導体表面に担持し、次いで前記アモルファス状酸化物ナノクラスター(A)を水溶液中での含浸法で担持することを含む、請求項1〜5に記載の光触媒材料の製造方法。
  10. 前記含浸法で酸化物ナノクラスター(B)を製造する際、金属塩として四塩化チタンを用いることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110560130A (zh) * 2019-09-12 2019-12-13 哈尔滨工业大学 二氧化铈纳米球-氮化碳复合可见光催化剂的制备方法
CN113045914A (zh) * 2021-05-13 2021-06-29 长沙蓝思新材料有限公司 空气净化涂料及其制备方法和用途

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