JP2013236143A - アイソレータモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な回路構成で小型化可能であり、増幅器とともに用いて高周波回路部のマルチバンド化あるいは平衡増幅器とすることが可能であるアイソレータモジュールを提供する。
【解決手段】マイクロ波フェライト部材70に設けられる中心導体30と、前記マイクロ波フェライト部材70にバイアス磁界を印加する永久磁石と、高周波信号が入出力する入力ポートP1in、P2in、出力ポートP1out、P2outを含み、入力ポートP1inと出力ポートP1out間に第一共振回路を、出力ポートP1outとアースとの間に第二共振回路を、入力ポートP2inと出力ポートP2out間に第三共振回路と、出力ポートP2outとアースとの間に第四共振回路とを備え、前記第二共振回路と前記第四共振回路はインダクタンス素子Lc1を介してアース接続される。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波信号に対して非可逆伝送特性を有するアイソレータに関し、特に携帯電話等の移動体通信システムの中で使用され、増幅器とともに使用され複数の入力ポートと出力ポートを備えたアイソレータモジュールに関する。
無線通信サービスを提供する上で、通信設備の設置や整備のためのコストを削減することは常に課題としてある。その解決手法として、固定局と移動局との通信距離を長くして、一つの固定局が担うエリアを広く構成して基地局数を削減することが提案されている。固定局は例えば基地局であり、移動局は携帯電話等の無線通信装置である。また、移動局である携帯電話等の無線通信装置をマルチバンド化、マルチ通信システム化することで通信設備の設置や整備のためのコストを削減することも行われている。
通信距離を長くする為には各局の送信出力電力を高めることが求められるが、単純に出力を高めると対応可能な周波数帯域を狭めてしまうことや、トランジスタの段数を増加させることが必要であり、小電力で動作し、小型の部品で構成される携帯電話等においては、単純に送信出力電力を高めることは容易では無い。この為、平衡型増幅器を用いて高周波信号の出力電力を高めることが行なわれて来た。
図13は、平衡型増幅器とアイソレータを用いて構成された多段型低雑音増幅器の回路ブロックである(特許文献1)。平衡型増幅器は、ハイブリッド回路110、112の間に一対の単位増幅器111a,111bが接続されて構成されており、入力ポートINに入力した高周波信号は、第1ハイブリッド回路110を経て90度の位相差を有する高周波信号に2分配されて、それぞれ第1増幅器111aと第2増幅器111bとに入力する。第1及び第2増幅器111a,111bで増幅された高周波信号は、第2ハイブリッド回路112に入力して同相の高周波信号に合成されてアイソレータ115に入力する。第2ハイブリッド回路112からの出力電力は第1増幅器111a及び第2増幅器111bから出力される信号のほぼ2倍となる。
第1及び第2ハイブリッド回路110、112には、それぞれ終端抵抗Rが接続される。
第1ハイブリッド回路110に接続された終端抵抗Rによって、第1及び第2増幅器111a,111bの入力側からの反射波を熱エネルギーに変換して吸収する。なお理想的には終端抵抗Rが接続されるポートには電圧は現れない。また、第2ハイブリッド回路112に接続された終端抵抗Rは、出力ポートOUTへ入力する反射波を吸収し、第1及び第2増幅器111a、111bの位相や出力電力のばらつきによって生じる合成損失を吸収する。理想的には出力側の終端抵抗Rが接続されるポートにもまた電圧は現れない。
前記ハイブリッド回路としてウイルキンソン型ハイブリッド合成分配回路が知られるが、用いられる抵抗は耐圧が求められるので、小型の抵抗器を利用することが出来ない問題がある。そこでハイブリッド回路としては、ハイブリッド回路としてブランチライン型ハイブリッド合成分配器や90度ハイブリッドカップラを用いる場合が多い。
アイソレータ115を通過した信号は第3増幅器113で更に増幅され、出力ポートOUTより出力される。第3増幅器113の反射による信号はアイソレータ115の終端抵抗Rにより吸収される。この様な構成によって、雑音指数(NF)、直線性、相互変調波(IM)特性を向上している。
また、移動局である携帯電話等の無線通信装置をマルチバンド化、マルチ通信システム化することも通信設備の設置や整備のためのコストを削減するのに有効である。移動局が複数の通信システムに対応すれば、通信環境が整っていない地域であっても、その地域で利用可能な通信システムによって通信が可能となり、あらためて通信設備の設置や整備を必要とせず、無線通信サービスを提供する上で、コストダウンにつながる。
この様な無線通信装置の高周波回路部に用いられるアイソレータとして、特許文献2には、アイソレータを2つ並列接続してモジュールとした回路素子ユニットが開示されている。図14はその構成例を示す。このモジュール201は、3つのLC並列共振回路と終端抵抗を備えたアイソレータ203、204を並列に接続して構成され、各アイソレータ203、204のそれぞれには位相変換回路210、211が接続され、それらが一つの磁気ヨーク202内に収容される。
特開2001−230634号 特開平9−93004号
図13で示した様に、送信出力電力を高めた高周波回路部においては、アイソレータ115はハイブリッド回路の出力側に接続されていた。この為、アイソレータ115は耐電力に優れたものが要求される。耐電力に優れるアイソレータとするには、それを構成する中心導体や終端抵抗等の導体断面積やマイクロ波フェライト部材等を大きくして耐電圧性を高めることが必要であり、また発熱も大きくなる為、放熱に優れた部材や構成を必要とし、大型化を招いていた。
また、マルチバンド化、マルチ通信システム化された高周波回路部には、使用周波数に応じたアイソレータが複数使用される。複数のアイソレータを複合したモジュールでは、アイソレータの数に応じて構成要素も増加し大型化するのは避けられず、無線通信装置も大型になる問題があった。
そこで本発明では、複数のアイソレータとして機能する、小型化可能な簡単な回路構成のアイソレータ機能部を備えたアイソレータモジュールを提供することを第1の目的とする。
更に、前記アイソレータ機能部に加えて増幅器を複合したアイソレータモジュールを提供することを第2の目的とする。
第1の発明は、マイクロ波フェライト部材に設けられインダクタンス素子を構成する中心導体と、前記マイクロ波フェライト部材にバイアス磁界を印加する永久磁石と、高周波信号が入出力する第一入力ポートP1in、第二入力ポートP2in、第一出力ポートP1out、第二出力ポートP2ouを含み、第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outとの間に配置され、第一中心導体で構成された第一インダクタンス素子La1と、前記第一インダクタンス素子La1と並列に接続して第一共振回路を構成する第一キャパシタンス素子Ca1と、前記第一並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Raと、第一出力ポートP1outとアースとの間に配置され、前記第一中心導体と磁気的に結合する第二中心導体で構成された第二インダクタンス素子La2と、前記第二インダクタンス素子La2と並列に接続して第二共振回路を構成する第二キャパシタンス素子Ca2とを含む第一アイソレータ部と、第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outとの間に配置され、第三中心導体で構成された第三インダクタンス素子Lb1と、前記第三インダクタンス素子Lb1と並列に接続して第三共振回路を構成する第三キャパシタンス素子Cb1と、前記第三並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Rbと、第二出力ポートP2outとアースとの間に配置され、前記第三中心導体と磁気的に結合する第四中心導体で構成された第四インダクタンス素子Lb2と、前記第四インダクタンス素子Lb2と並列に接続して第四共振回路を構成する第四キャパシタンス素子Cb2とを含む第二アイソレータ部とを備え、前記第二共振回路と前記第四共振回路は第五インダクタンス素子Lc1を介してアース接続されることを特徴とするアイソレータモジュールである。
本発明において、更に 第一出力ポートP1outとアースとの間に配置された第五キャパシタンス素子Ca3と、第二出力ポートP2outとアースとの間に配置された第六キャパシタンス素子Cb3とを備えるのが好ましい。
第2の発明は、マイクロ波フェライト部材に設けられインダクタンス素子を構成する中心導体と、前記マイクロ波フェライト部材にバイアス磁界を印加する永久磁石と、高周波信号が入出力する第一入力ポートP1in、第二入力ポートP2in、第一出力ポートP1out、第二出力ポートP2ouを含み、第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outとの間に配置され、第一中心導体で構成された第一インダクタンス素子La1と、前記第一インダクタンス素子La1と並列に接続して第一共振回路を構成する第一キャパシタンス素子Ca1と、前記第一並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Raと、第一出力ポートP1outとアースとの間に配置され、前記第一中心導体と磁気的に結合する第二中心導体で構成された第二インダクタンス素子La2と、前記第二インダクタンス素子La2と並列に接続して第二共振回路を構成する第二キャパシタンス素子Ca2とを含む第一アイソレータ部と、第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outとの間に配置され、第三中心導体で構成された第三インダクタンス素子Lb1と、前記第三インダクタンス素子Lb1と並列に接続して第三共振回路を構成する第三キャパシタンス素子Cb1と、前記第三並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Rbと、第二出力ポートP2outとアースとの間に配置され、前記第三中心導体と磁気的に結合する第四中心導体で構成された第四インダクタンス素子Lb2と、前記第四インダクタンス素子Lb2と並列に接続して第四共振回路を構成する第四キャパシタンス素子Cb2とを含む第二アイソレータ部とを備え、前記第二インダクタンス素子La2と前記第四インダクタンス素子Lb2とは第五インダクタンス素子Lc1を介してアース接続され、前記第二キャパシタンス素子Ca2は前記第二インダクタンス素子La2と前記第五インダクタンス素子Lc1とに並列に接続して第二共振回路を構成し、前記第四キャパシタンス素子Cb2は前記第四インダクタンス素子Lb2と前記第五インダクタンス素子Lc1とに並列に接続して第四共振回路を構成することを特徴とするアイソレータモジュールである。
第1及び第2の発明おいては、前記第一入力ポートP1inと前記第二入力ポートP2inのそれぞれに増幅器を接続するのが好ましい。本件発明では、アイソレータモジュールと増幅器を複合してモジュール化したものや、デュプレクサ等の回路を複合したものをアイソレータモジュールと呼ぶことがある。また、この様なアイソレータモジュールと、他の回路を複合しないアイソレータモジュールとを区別する様に、他の回路を複合しないものをユニットモジュールと呼ぶこともある。
更に、前記各増幅器の入力側と前記各アイソレータ部の出力側のそれぞれに、ハイブリッド回路を接続し平衡増幅器とするのが好ましい。
また、ハイブリッド回路に変えて、前記各増幅器の入力側と前記各アイソレータ部の出力側のそれぞれに、バラン回路を接続し平衡増幅器としても良い。
また、ハイブリッド回路に変えて、前記各増幅器の入力側と前記各アイソレータ部の出力側のそれぞれに、2分配回路を接続し平衡増幅器としても良い。
更に、前記平衡増幅器の出力側にデュプレクサを接続するのも好ましい。前記デュプレクサは通過帯域の異なるフィルタを並列に接続した構成や、ダイオードやトランジスタ等のスイッチング素子で構成される単極双投(SPDT)等の高周波スイッチを用いることが出来る。
また、第一アイソレータ部と第二アイソレータ部とは互いに異なる周波数で動作するように構成しても良い。この様な構成において、前記第一入力ポートP1inと前記第二入力ポートP2inとを接続すればデュプレクサとして機能する。
また、互いに異なる周波数で動作する第一アイソレータ部と第二アイソレータ部への 前記第一入力ポートP1inと前記第二入力ポートP2inのそれぞれに増幅器を接続して複数の周波数帯に対応するアイソレータモジュールとしても良い。
更に前記各アイソレータ部の出力側にデュプレクサを接続するのも好ましい。
本発明によれば、複数のアイソレータとして機能するアイソレータ機能部を備えたアイソレータモジュールを提供することが出来る。各アイソレータ部が実質的に同じ通過帯域のものを用いて、一対の単位増幅器とともに平衡増幅器を構成したり、異なる通過帯域のものを用いて、マルチバンド、マルチ通信システムの高周波回路部に用いたりすることが出来る。本発明のアイソレータモジュールは小型化可能な簡単な回路構成であるため、アイソレータモジュール自体を小型化可能であるとともに、高周波回路部を小型に構成することが出来る。
平衡型増幅器として構成されるアイソレータモジュールでは、各アイソレータ部の前後にハイブリッド回路や、2分配回路、あるいはバラン回路が配置される。したがって、扱う電力は従来よりも低電力で済むので、構成する部材も高電力対応のものを必要とせず、平衡型増幅器として機能するアイソレータモジュールを小型に構成することが出来る。
またアイソレータモジュールによって、増幅器への不要信号の逆流を防ぐのみならず、増幅器の負荷側のインピーダンスを安定させる。また雑音指数(NF)、直線性、相互変調波(IM)特性が劣化することもない。
本発明の一実施態様によるアイソレータモジュールの構成を説明する為の図である。 本発明の一実施態様によるアイソレータモジュールの等価回路を示す図である。 本発明の一実施態様の増幅器を複合して構成されたアイソレータモジュールを示す回路ブロックである。 本発明の一実施態様の平衡型増幅器として構成されたアイソレータモジュールを示す回路ブロックである。 本発明の一実施態様の平衡型増幅器として構成されたアイソレータモジュールを用いた高周波回路部の一例を示す回路ブロックである。 本発明の一実施態様の平衡型増幅器として構成されたアイソレータモジュールを用いた高周波回路部の他の例を示す回路ブロックである。 本発明の一実施態様の増幅器を複合して構成されたアイソレータモジュールを用いた高周波回路部の一例を示す回路ブロックである。 図7で示した高周波回路部のデュプレクサとして用いるスイッチ回路の構成例を示す等価回路である。 本発明の他の実施態様によるアイソレータモジュールの構成を説明する為の図である。 本発明の他の実施態様によるアイソレータモジュールの等価回路を示す図である。 本発明の他の実施態様によるアイソレータモジュールの構成を説明する為の図である。 本発明の他の実施態様によるアイソレータモジュールの等価回路を示す図である。 従来の平衡型増幅器とアイソレータを用いて構成された多段型低雑音増幅器の回路ブロックである。 従来のマルチバンド対応のアイソレータの等価回路である。
以下本発明の非可逆回路素子について説明する。図1は、発明の一実施態様によるアイソレータモジュールの構成を説明する為の図であり、図2は本発明の一実施態様によるアイソレータモジュールの等価回路を示す。
このアイソレータモジュールは、第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outとの間に配置され、第一中心導体で構成された第一インダクタンス素子La1と、前記第一インダクタンス素子La1と並列に接続して第一共振回路を構成する第一キャパシタンス素子Ca1と、前記第一並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Raと、第一出力ポートP1outとアースとの間に配置され、前記第一中心導体と磁気的に結合する第二中心導体で構成された第二インダクタンス素子La2と、前記第二インダクタンス素子La2と並列に接続して第二共振回路を構成する第二キャパシタンス素子Ca2とを含む第一アイソレータ部と、第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outとの間に配置され、第三中心導体で構成された第三インダクタンス素子Lb1と、前記第三インダクタンス素子Lb1と並列に接続して第三共振回路を構成する第三キャパシタンス素子Cb1と、前記第三並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Rbと、第二出力ポートP2outとアースとの間に配置され、前記第三中心導体と磁気的に結合する第四中心導体で構成された第四インダクタンス素子Lb2と、前記第四インダクタンス素子Lb2と並列に接続して第四共振回路を構成する第四キャパシタンス素子Cb2とを含む第二アイソレータ部とを備え、前記第二共振回路と前記第四共振回路は第五インダクタンス素子Lc1を介してアース接続される。
各アイソレータ部を構成する第一インダクタンス素子La1、第二インダクタンス素子La2、第三インダクタンス素子Lb1、第四インダクタンス素子Lb2は、それぞれ、フェリ磁性体であるマイクロ波フェライト部材70a,70bに設けられた導体30a,30b,31a,31b(中心導体と呼ぶ)により形成する。マイクロ波フェライト部材70a,70bには磁石(図示せず)によりバイアス磁界Hdcが印加されている。
第一インダクタンス素子La1を構成する第1中心導体30aと、第二インダクタンス素子La2を構成する第2中心導体30bとを互いに絶縁された状態で交差させて、第一インダクタンス素子La1と第二インダクタンス素子La2とを磁気的に結合させる。また、第3インダクタンス素子Lb1を構成する第3中心導体31aと、第四インダクタンス素子Lb2を構成する第4中心導体31bとを互いに絶縁された状態で交差させて、第三インダクタンス素子Lb1と第四インダクタンス素子Lb2とを磁気的に結合させる。第1及び第2中心導体30a,30bと第3及び第4中心導体31a,31bとを交差しないように構成して、磁気的な結合を生じさせないようにしている。
各アイソレータ部で扱う周波数帯が同じであれば、構成するリアクタンスの定数は同じとしても良いし、ばらつきを考慮して異ならせても構わない。周波数が異なるのであれば構成するリアクタンスの定数は各アイソレータ部で異なるように構成される。
第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outとの間を通過する高周波信号に対して、第一並列共振回路でアイソレーション特性(逆方向減衰特性)が最大となる周波数が設定され、第二並列共振回路で挿入損失特性が最小となる周波数が設定される。第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outの間に接続された抵抗素子Raにより、第一出力ポートP1outから第一入力ポートP1inに逆流する電流は吸収される。
第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outとの間を通過する高周波信号に対して、第三並列共振回路でアイソレーション特性(逆方向減衰特性)が最大となる周波数が設定され、第四並列共振回路で挿入損失特性が最小となる周波数が設定される。第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outの間に接続された抵抗素子Rbにより、第二出力ポートP2outから第二入力ポートP2inに逆流する電流は吸収される。
前記第二共振回路と前記第四共振回路は第五インダクタンス素子Lc1を介してアース接続される。この様な構成によって、高調波のトラップ回路として機能し、第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outとの間を通過する高周波信号に対して高調波を減衰させるとともに、第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outとの間を通過する高周波信号に対しても同様に機能する。
等価回路的に、第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outとの間に配置された第一共振回路がハイパスフィルタとして機能し、第二共振回路がローパスフィルタとして機能する。また、第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outとの間に配置された第三共振回路がハイパスフィルタとして機能し、第四共振回路がローパスフィルタとして機能する。第五インダクタンス素子Lc1により、高調波の減衰量を大きく出来、帯域通過フィルタとしても機能する。なお、各アイソレータ部で扱う周波数帯が異なるのであれば、第五インダクタンス素子Lc1は、相対的に低い周波数帯の高調波の減衰量を大きくするように設定される。
図3に増幅器と複合したアイソレータモジュールを示す。このアイソレータモジュール10は、ユニットモジュール1の各アイソレータ部の第一入力ポートP1inと第二入力ポートP2inのそれぞれに、増幅器PA1、PA2が接続して構成される。図4に平衡型増幅器として構成されるアイソレータモジュールを回路ブロックとして示す。
このアイソレータモジュールは2端子対回路として構成され、入力ポートIN1、IN2に接続される第1ハイブリッド回路20aと、出力ポートOUT1、OUT2に接続される第2ハイブリッド回路20bとの間にアイソレータモジュール10が配置される。入力ポートIN2、出力ポートOUT1はそれぞれに終端抵抗Rが接続されて、不平衡入力、不平衡出力のアイソレータモジュールとなる。なお、ハイブリッド回路に変えて、2分配回路、バラン回路としても良い。
この平衡型増幅器としたアイソレータモジュールの動作は、従来のものと同じなのでその説明を省略するが、図13で示した多段型低雑音増幅器の回路に用いる場合、出力ポートOUT2からアイソレータを介さずに接続される第3増幅器からの反射電力は、ハイブリッド回路20bによって2分配されて、アイソレータモジュールの第一出力ポートP1outと第二出力ポートP2outのそれぞれに入力する。第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outの間に接続された抵抗素子Ra、第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outの間に接続された抵抗素子Rbにより、ジュール熱に変換されて電流は吸収される。この様に各抵抗素子Ra、Rbが扱う電力は従来の1/2で済み、小型の抵抗素子を用いることが可能となる。
特許文献1においては、アイソレータ115がどの様な回路構成はまでは記載がないが、入力、出力、終端の3つのポートを備えることから、図14で示したアイソレータ203、204の様な、3つのLC共振回路を備えるものと考えられる。アイソレータモジュールは4つのLC共振回路を有するが、扱う電力が小さいので、アイソレータ115と比べて大型化することなく、むしろ各回路素子を小型に出来るので、全体としてもアイソレータモジュールは小型なものとなる。そして、アイソレータモジュールを用いて構成される高周波回路は、従来と同様に、雑音指数(NF)、直線性、相互変調波(IM)特性を向上することが出来る。
図5は平衡型増幅器としたアイソレータモジュールを用いて構成された無線通信装置の高周波回路部の一例を示す。第2ハイブリッド回路20b側の出力ポートOUT2に、アンテナANT1と送信回路TX1と受信回路RX1との信号経路を分ける、異なる通過帯域を備えたフィルタを並列に接続して構成されるダイプレクサ回路50aを接続して構成している。この様な構成によれば、小型でありながら容易に送信電力を高めた高周波回路を提供することが出来る。なお、ダイプレクサ回路50aはスイッチ回路で構成されていても良い。
図6は平衡型増幅器としたアイソレータモジュールを用いて構成された無線通信装置の高周波回路部の他の例を示す。第2ハイブリッド回路20b側の出力ポートOUT1に、アンテナANT1と送信回路TX1と受信回路RX1との信号経路を切り替えるスイッチ回で構成されたダイプレクサ回路60aを接続し、出力ポートOUT2に、アンテナANT2と送信回路TX1と受信回路RX2との信号経路を切り替えるスイッチで構成されたダイプレクサ回路60bを接続する。また、第1ハイブリッド回路20a側には、入力ポートOUT1、OUT2と送信回路TX1との信号経路を分けるスイッチ回で構成されたダイプレクサ回路60cを接続して構成している。
ダイプレクサ回路60a、60bを構成するスイッチ回路の構成例を図8に示す。このスイッチ回路は、FET(電界効果トランジスタ)でなるスイッチング素子FET1〜4を用いた単極双投(SPDT)スイッチであって、共通ポートSP1とポートSP2、ポートSP3のそれぞれの間にスイッチング素子FET1、FET2が配置され、ポートSP2はスイッチン素子FET3と抵抗Rを介して接地され、ポートSP3はスイッチン素子FET4を介して接地される。スイッチング素子としてはダイオードを用いても良い。スイッチング素子は制御ポートV1、V2(例えばFETのゲート)より制御電圧が与えられON/OFFの状態が制御される。
また、ダイプレクサ回路60cを構成するスイッチ回路については図示しないが、図8に示したスイッチ回路をベースに、ポートSP3はスイッチン素子FET4と抵抗Rを介して接地される構成とするのが好ましい。ダイプレクサ回路60a〜60cに設けられる各抵抗Rは、アイソレータモジュールの終端抵抗としても機能する。
入力ポートIN1を介してアンテナANT2と送信回路TX1を接続する場合には、入力ポートIN2と出力ポートOUT1を抵抗Rで終端するように、各ダイプレクサ回路を制御する。また、入力ポートIN2を介してアンテナANT1と送信回路TX1を接続する場合には、入力ポートIN1と出力ポートOUT2を抵抗Rで終端するように、各ダイプレクサ回路を制御する。この様な高周波回路によれば、小型でありながら送信電力を高め、かつ送信ダイバシチが可能な回路を容易に提供することが出来る。
図7は、異なる周波数帯に対応する増幅器と複合したアイソレータモジュールを用いた高周波回路部の構成例を示す。ユニットモジュール1の第一入力ポートP1in側には、増幅器PA1が接続され、その入力側には送信回路TX1からの周波数帯f1の高周波信号が入力する。第二入力ポートP2in側には、増幅器PA2が接続され、その入力側には送信回路TX2からの周波数帯f2の高周波信号が入力する。ユニットモジュール1の第一出力ポートPout1にはダイプレクサ回路50aが接続され、第二出力ポートPout2にはダイプレクサ回路50bが接続される。それぞれのダイプレクサ回路はフィルタで構成しても良いし、スイッチで構成しても良い。送信回路TX1はアンテナANT1と、送信回路TX2はアンテナANT2とにそれぞれ接続可能な構成となる。
ユニットモジュール1は図14で示したアイソレータよりも少ないLC共振回路で、複数の周波数に対応可能とし、容易に高周波回路部を小型化することが出来る。
図9は、発明の他の実施態様によるアイソレータモジュールの構成を説明する為の図であり、図10は本発明の他の実施態様によるアイソレータモジュールの等価回路を示す。このアイソレータモジュールは、第一出力ポートP1outとアースとの間に配置された第五キャパシタンス素子Ca3と、第二出力ポートP2outとアースとの間に配置された第六キャパシタンス素子Cb3とを備える点で、図1で示したアイソレータモジュールと異なり、他の構成同じであるので、説明を省略する。
第一アイソレータ部の第一インダクタンス素子La1及び第一キャパシタンス素子Ca1を調整することにより、アイソレーションが最大となる共振周波数を決定し、第二インダクタンス素子La2、第五インダクタンス素子Lc1、第二キャパシタンス素子Ca2及び第五キャパシタンス素子Ca3を調整することにより挿入損失が最小となるピーク周波数を決定する。
同様に、第二アイソレータ部の第三インダクタンス素子Lb1及び第三キャパシタンス素子Cb1を調整することにより、アイソレーションが最大となる共振周波数を決定し、第四インダクタンス素子Lb2、第五インダクタンス素子Lc1、第四キャパシタンス素子Cb2及び第六キャパシタンス素子Cb3を調整することにより挿入損失が最小となるピーク周波数を決定する。
この構成のアイソレータモジュールは、第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outの間を通過する信号の通過帯域を広帯域とする。また、第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outの間を通過する信号も同様である。
各アイソレータ部で扱う周波数帯が同じであれば、構成するリアクタンスの定数は同じとしても良いし、ばらつきを考慮して異ならせても構わない。周波数が異なるのであれば構成するリアクタンスの定数は各アイソレータ部で異なるように構成される。第一アイソレータ部と第二アイソレータ部で共通の第五インダクタンス素子Lc1は、相対的に低い周波数帯にあわせて通過帯域が広帯域となるように設定するのが好ましい。
図11は、発明の他の実施態様によるアイソレータモジュールの構成を説明する為の図であり、図12は本発明の他の実施態様によるアイソレータモジュールの等価回路を示す。このアイソレータモジュールは、前記第二インダクタンス素子La2と前記第四インダクタンス素子Lb2とを第五インダクタンス素子Lc1を介してアース接続する。この点は、図1で示したアイソレータモジュールと同じ構成である。
前記第二インダクタンス素子La2と前記第五インダクタンス素子Lc1とに、第二キャパシタンス素子Ca2が並列に接続して第二共振回路を構成し、前記第四インダクタンス素子Lb2と前記第五インダクタンス素子Lc1とに、第四キャパシタンス素子Cb2が並列に接続して第四共振回路を構成する点で、図1で示したアイソレータモジュールと異なる。他の構成同じであるので、共通部分の説明を省略する。
第五インダクタンス素子Lc1を含んで第二共振回路と第四共振回路を構成することによって、この構成のアイソレータモジュールは、第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outの間を通過する信号の通過帯域を広帯域とする。また、第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outの間を通過する信号もまた同様である。
各アイソレータ部で扱う周波数帯が同じであれば、他の実施態様と同様に、構成するリアクタンスの定数は同じとしても良いし、ばらつきを考慮して異ならせても構わない。周波数が異なるのであれば構成するリアクタンスの定数は各アイソレータ部で異なるように構成され、第五インダクタンス素子Lc1は、相対的に高い周波数帯にあわせて通過帯域が広帯域となるように設定するのが好ましい。
1 アイソレータモジュール
20a 第1ハイブリッド回路
20b 第2ハイブリッド回路
P1in 第一入力ポート
P1out 第一出力ポート
P2in 第二入力ポート
P2out 第二出力ポート
La1 第一インダクタンス素子
La2 第二インダクタンス素子
Lb1 第三インダクタンス素子
Lb2 第四インダクタンス素子
Lc1 第五インダクタンス素子
Ca1 第一キャパシタンス素子
Ca2 第二キャパシタンス素子
Cb1 第三キャパシタンス素子
Cb2 第四キャパシタンス素子
Ra、Rb 抵抗素子

Claims (12)

  1. マイクロ波フェライト部材に設けられインダクタンス素子を構成する中心導体と、前記マイクロ波フェライト部材にバイアス磁界を印加する永久磁石と、高周波信号が入出力する第一入力ポートP1in、第二入力ポートP2in、第一出力ポートP1out、第二出力ポートP2ouを含み、
    第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outとの間に配置され、第一中心導体で構成された第一インダクタンス素子La1と、前記第一インダクタンス素子La1と並列に接続して第一共振回路を構成する第一キャパシタンス素子Ca1と、前記第一並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Raと、第一出力ポートP1outとアースとの間に配置され、前記第一中心導体と磁気的に結合する第二中心導体で構成された第二インダクタンス素子La2と、前記第二インダクタンス素子La2と並列に接続して第二共振回路を構成する第二キャパシタンス素子Ca2とを含む第一アイソレータ部と、
    第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outとの間に配置され、第三中心導体で構成された第三インダクタンス素子Lb1と、前記第三インダクタンス素子Lb1と並列に接続して第三共振回路を構成する第三キャパシタンス素子Cb1と、前記第三並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Rbと、第二出力ポートP2outとアースとの間に配置され、前記第三中心導体と磁気的に結合する第四中心導体で構成された第四インダクタンス素子Lb2と、前記第四インダクタンス素子Lb2と並列に接続して第四共振回路を構成する第四キャパシタンス素子Cb2とを含む第二アイソレータ部とを備え、
    前記第二共振回路と前記第四共振回路は第五インダクタンス素子Lc1を介してアース接続されることを特徴とするアイソレータモジュール。
  2. 請求項1に記載のアイソレータモジュールであって、
    第一出力ポートP1outとアースとの間に配置された第五キャパシタンス素子Ca3と、第二出力ポートP2outとアースとの間に配置された第六キャパシタンス素子Cb3とを備えたことを特徴とするアイソレータモジュール。
  3. マイクロ波フェライト部材に設けられインダクタンス素子を構成する中心導体と、前記マイクロ波フェライト部材にバイアス磁界を印加する永久磁石と、高周波信号が入出力する第一入力ポートP1in、第二入力ポートP2in、第一出力ポートP1out、第二出力ポートP2ouを含み、
    第一入力ポートP1inと第一出力ポートP1outとの間に配置され、第一中心導体で構成された第一インダクタンス素子La1と、前記第一インダクタンス素子La1と並列に接続して第一共振回路を構成する第一キャパシタンス素子Ca1と、前記第一並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Raと、第一出力ポートP1outとアースとの間に配置され、前記第一中心導体と磁気的に結合する第二中心導体で構成された第二インダクタンス素子La2と、前記第二インダクタンス素子La2と並列に接続して第二共振回路を構成する第二キャパシタンス素子Ca2とを含む第一アイソレータ部と、
    第二入力ポートP2inと第二出力ポートP2outとの間に配置され、第三中心導体で構成された第三インダクタンス素子Lb1と、前記第三インダクタンス素子Lb1と並列に接続して第三共振回路を構成する第三キャパシタンス素子Cb1と、前記第三並列共振回路に並列に接続された抵抗素子Rbと、第二出力ポートP2outとアースとの間に配置され、前記第三中心導体と磁気的に結合する第四中心導体で構成された第四インダクタンス素子Lb2と、前記第四インダクタンス素子Lb2と並列に接続して第四共振回路を構成する第四キャパシタンス素子Cb2とを含む第二アイソレータ部とを備え、
    前記第二インダクタンス素子La2と前記第四インダクタンス素子Lb2とは第五インダクタンス素子Lc1を介してアース接続され、
    前記第二キャパシタンス素子Ca2は前記第二インダクタンス素子La2と前記第五インダクタンス素子Lc1とに並列に接続して第二共振回路を構成し、
    前記第四キャパシタンス素子Cb2は前記第四インダクタンス素子Lb2と前記第五インダクタンス素子Lc1とに並列に接続して第四共振回路を構成することを特徴とするアイソレータモジュール。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のアイソレータモジュールであって、
    前記第一入力ポートP1inと前記第二入力ポートP2inのそれぞれに増幅器が接続されたことを特徴とするアイソレータモジュール。
  5. 請求項4に記載のアイソレータモジュールであって、
    前記各増幅器の入力側と前記各アイソレータ部の出力側のそれぞれに、ハイブリッド回路を接続し平衡増幅器とすることを特徴とするアイソレータモジュール。
  6. 請求項4に記載のアイソレータモジュールであって、
    前記各増幅器の入力側と前記各アイソレータ部の出力側のそれぞれに、バラン回路を接続し平衡増幅器とすることを特徴とするアイソレータモジュール。
  7. 請求項4に記載のアイソレータモジュールであって、
    前記各増幅器の入力側と前記各アイソレータ部の出力側のそれぞれに、2分配回路を接続し平衡増幅器とすることを特徴とするアイソレータモジュール。
  8. 請求項5乃至7のいずれかに記載のアイソレータモジュールであって、
    前記平衡増幅器の出力側にデュプレクサを接続したことを特徴とするアイソレータモジュール。
  9. 請求項1又は2に記載のアイソレータモジュールであって、
    第一アイソレータ部と第二アイソレータ部とは互いに異なる周波数で動作することを特徴とするアイソレータモジュール。
  10. 請求項9に記載のアイソレータモジュールであって、
    前記第一入力ポートP1inと前記第二入力ポートP2inとを接続してデュプレクサとしたことを特徴とするアイソレータモジュール。
  11. 請求項9に記載のアイソレータモジュールであって、
    前記第一入力ポートP1inと前記第二入力ポートP2inのそれぞれに増幅器が接続されたことを特徴とするアイソレータモジュール。
  12. 請求項9に記載のアイソレータモジュールであって、
    前記各アイソレータ部の出力側にデュプレクサを接続したことを特徴とするアイソレータモジュール。

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