JP2013235719A - リチウムイオン二次電池用外装材 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用外装材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の解決しようとする課題は、リチウムイオン二次電池用外装材において、一般的な外層フィルムを用いながら、自由度の高い従って識別性の高い外観を持った電池を低コストで実現できるリチウムイオン二次電池用外装材を提供することである。
【解決手段】基材層の一方の面側に、少なくとも第1接着層、金属箔層、第2接着層及びシーラント層が順次積層され、前記基材層の他方の面側に、識別のための光沢度3.0以下の樹脂層である識別層を有し、該識別層は、識別のための顔料を含み、該顔料の粒子は樹脂で被覆されており、該顔料の体積固有抵抗は5×10-2Ω・m以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用外装材である。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用外装材に関し、特に表面に識別のための識別層を有するリチウムイオン二次電池用外装材に関する。
近年、携帯機器の小型化や設置スペースの制限等により二次電池の小型化が必須になってきている。小型化の要求に応えるため、エネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池が注目されている。リチウムイオン二次電池は、正極材、負極材、セパレータ、電解液等の内容物が、電池用外装材(以下、単に「外装材」という)を所定の形状に成型した外装体内に収納される。
外装体としては、従来は金属板等をプレス成型した金属製の缶タイプが使用されていたが、形状の自由度が高く、軽量化が容易なことから、近年ではアルミニウム箔を含むラミネートフィルム(例えば、基材層/第1接着層/アルミニウム箔層/第2接着層/シーラント層のような構成)を冷間成型したラミネートフィルムタイプが広く使用されている。
外装材としてラミネートフィルムを用いる場合、ラミネートフィルムを冷間成型により深絞りして凹部を形成し、この凹部内に二次電池用内容物を収容して、周縁部をヒートシールすることで製造される。リチウムイオン二次電池は、この凹部を深くするほど内容物の収納量が増加し、エネルギー密度が高くなる。そのため、外装材には、深絞り成形に対する成型性に優れることが要求される。
また、外装材には、高い内容物耐性と共に、外部からの水蒸気や酸素の侵入を遮断するためのガスバリア性が要求される。またこの他、絶縁性、耐熱性、耐ピンホール性、放熱性等が必要とされる。
一方、リチウムイオン二次電池は、高価なものであるため、模造品が出回りやすいという問題を抱えている。このため模造品と識別するために特徴のある外観とすることも重要な課題となっている。
特許文献1に記載された電気化学セル用包装材は、この問題を解決しようとするものであり、外部から認識可能で偽造が困難な識別標識を有し、成形後のシール工程において、印加される熱により層間剥離して浮きや皺が発生することのない電気化学セル用包装材を提案したものである。
特許文献1に記載された電気化学セル用包装材は、基材層、接着剤層、金属箔層、熱接着性樹脂層が積層された多層フィルムであり、基材層、接着剤層、金属箔層のいずれかの層に識別標識が含まれることを特徴とする。
特許文献1には、識別標識の具体的な内容のひとつとして、基材層を構成する延伸ナイロンフィルムにパール顔料や蛍光顔料を含有させる構成が記載されている。
特開2011-54563号公報
特許文献1に記載された電気化学セル用包装材は、外層フィルムである基材層として特殊な顔料を分散させた特殊なフィルムを使用するため、フィルムそのもののコストもさることながら、生産ロットが個々に分割されることによるコストアップ要因も含んでおり、コスト面において問題がある。
そこで、外層フィルムを一般的な材料とし、外層フィルムの表面に一般的な顔料を用いたコーティング層を設ける手段を検討したが、顔料として一般的な顔料を用いた場合、顔料の種類によっては、コーティング層の導電性が高くなってしまう結果、電池が自然放電しやすくなり、電池の外装材としての基本的な特性を満たすことができなくなることが判明した。この問題は、黒色顔料として、最も一般的なカーボンブラックを使用した場合において特に顕著である。
本発明の解決しようとする課題は、リチウムイオン二次電池用外装材において、一般的な外層フィルムを用いながら、自由度の高い従って識別性の高い外観を持った電池を低コストで実現できるリチウムイオン二次電池用外装材を提供することである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材層の一方の面側に、少なくとも第1接着層、金属箔層、第2接着層及びシーラント層が順次積層され、前記基材層の他方の面側に、識別のための光沢度3.0以下の樹脂層である識別層を有し、該識別層は、識別のための顔料を含み、該顔料の粒子は樹脂で被覆されており、該顔料の体積固有抵抗(以下単に抵抗率という)は5×10-2Ω・m以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用外装材である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材は、基材層の最外表面に、樹脂で被覆され、抵抗率が5×10−2Ω・m以上である顔料を含む光沢度3.0以下の識別層を設けた構成であるので、最外表面の抵抗値を高くすることが可能となり、自然放電によって電池が消耗することを防止できる。
また、製品の種別を変更する時に、最外表面の識別層のみを変更するだけで済むので、製品種別毎の識別層の変更が容易である。
また、請求項2に記載の発明は、前記顔料がカーボンブラックであり、被覆樹脂はエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用外装材である。
また、請求項3に記載の発明は、前記識別層の抵抗率が、10Ω・m以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用外装材である。
また、請求項4に記載の発明は、前記識別層が黒色であり、OD値(光学濃度)が1.4以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用外装材である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材は、基材層の最外表面に、樹脂で被覆され、体積固有抵抗が5×10−2Ω・m以上である顔料を含む光沢度3.0以下の識別層を設けた構成であるので、最外表面の抵抗値を高くすることが可能となり、自然放電による電池が消耗を抑制することができ、電池用外装材としての基本的な性能を損なうことがない。
また、製品の種別を変更する時に、最外表面の識別層のみを変更するだけで済み、識別層以外の構成材料を共通化することが可能となり、製品種別毎の識別層の変更も容易であるので、製造コストを低く抑えることができる。
また、請求項2に記載の発明において、前記顔料がカーボンブラックであり、被覆樹脂がエポキシ樹脂である場合には、抵抗率が高い黒色顔料を安定的に得ることができるので、従来不可能であった艶消ブラックの外観を持ったリチウムイオン二次電池用外装材が安定的に供給できる。また、カーボンブラックを含む識別層は、熱放射の放射率が高く、放熱性が良いので、電池の小型化、大容量化にも貢献する。
また、請求項3に記載の発明において、前記識別層の抵抗率が、10Ω・m以上である場合には、自然放電による電池の消耗が少なく、実用的に問題のないリチウムイオン二次電池用外装材とすることができる。
また、請求項4に記載の発明において、前記識別層が黒色であり、OD値が1.4以上である場合には、目視において十分な黒さが実現できる。また熱放射の放射率も良好となる。
図1は、本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材の一実施態様を示した断面模式図である。 図2は、本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材の他の実施態様を示した断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材について詳細に説明する。図1は、本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材の一実施態様を示した断面模式図であり、図2は、本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材の他の実施態様を示した断面模式図である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材(1)(以下、単に「外装材」という)は、図1に示すように、基材層(3)の一方の面側に、少なくとも第1接着層(4)、金属箔層(5)、第2接着層(6)及びシーラント層(7)が順次積層されている。
図2に示した実施態様においては、金属箔層(5)の表裏面に腐食防止処理層(8a)、(8b)が設けられている。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用外装材は、基材層(3)の他方の面側に、識別のための光沢度3.0以下の樹脂層である識別層(2)を有し、識別層(2)は、識別のための顔料を含み、顔料の粒子は樹脂で被覆されており、顔料の抵抗率は5×10−2Ω・m以上であることを特徴とする。
外装材(1)は、識別層(2)が最外層、シーラント層(7)が最内層となるように使用される。
(基材層)
基材層(3)は、外装材(1)の具備すべき様々な特性を決定付ける重要な層である。基材層(3)の関与する主な特性としては、リチウムイオン二次電池を製造する際のシール工程における耐熱性や、成型加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生し易さ等が挙げられる。特に大型のリチウムイオン二次電池外装材の場合には、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等に対する要求度も高くなる。
基材層(3)は、絶縁性を有する樹脂により形成された樹脂フィルムが好ましい。このような樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムが挙げられる。基材層(3)は、これらの樹脂フィルムの単層フィルムであってもよく、これらの樹脂フィルムを2種以上使用した積層フィルムであってもよい。
ポリエステルフィルムを形成するポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
ポリアミドフィルムを形成するポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等が挙げられる。
基材層(3)としては、前記したもののなかでも、成形性、耐熱性に優れる点では、延伸ポリアミドフィルムが好ましく、さらに耐酸性を付与する場合は、延伸ポリアミドフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの2層フィルムが好適である。
基材層(3)の厚みは、成形性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させるという点で、6μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、薄膜化、高放熱性の点では、60μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。
(第1接着層)
第1接着層(4)は、基材層(3)と金属箔層(5)の間に形成される。第1接着層(4)は、基材層(3)と金属箔層(5)を強固に接着するのに必要な密着力を有するだけでなく、冷間成型する際には基材層(3)によって金属箔層(5)が破断されることを保護するための追随性も求められる。
第1接着層(4)を形成する接着成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等のポリオールを主剤とし、芳香族系又は脂肪族系のイソシアネートを硬化剤とした二液硬化型のポリウレタン系接着剤等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸の1種以上とジオールの1種以上を反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。二塩基酸、ジオールは、特に限定されず、例えば、二塩基酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸等の脂肪族系二塩基酸やイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系二塩基酸等が挙げられる。
また、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等の脂肪族系ジオールや、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコール等の脂環式系ジオールや、キシリレングリコール等の芳香族系ジオール等が挙げられる。
また、前記ポリエステルポリオールの両末端の水酸基に、イソシアネート化合物の1種以上を反応させて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールを用いてもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等や、それらに前記イソシアネート化合物を作用させて鎖伸長したポリエーテルウレタンポリオール等が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位を主成分とする共重合体が挙げられる。なお(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタアクリル酸を意味する。以下同様である。(メタ)アクリル酸と共重合する成分としては、例えば、水酸基含有アクリルモノマーの他、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマーが挙げられる。
第1接着層(4)の形成に使用するポリオールは、求められる機能や性能に応じて使用でき、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記主剤に、イソシアネート系化合物を硬化剤として用いることで、ポリウレタン樹脂が形成される。硬化剤として使用するイソシアネート系化合物としては、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。
第1接着層(4)における前記主剤における水酸基に対する硬化剤のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
(金属箔層)
金属箔層(5)としては、アルミニウム、錫、鉛、銀、金、純鉄、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができるが、防湿性、延展性等の加工性、コストの面から、アルミニウム箔が最も好ましい。
アルミニウム箔としては、例えば、公知の軟質アルミニウム箔が使用でき、耐ピンホール性、及び成型時の延展性の点から、鉄を含むアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量は、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%未満である場合には、耐ピンホール性、延展性が不十分であり、9.0質量%を超える場合には、柔軟性が不足する。
また、アルミニウム箔としては、成型時の延展性を付与できる点から、焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔がさらに好ましい。
金属箔層(5)の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜150μmがより好ましい。
特に好ましい金属箔層(5)は、厚さ15〜150μmの焼鈍処理した軟質アルミニウム箔である。具体的には、JIS規格で8021材、8079材が好ましい。
金属箔層(5)に使用するアルミニウム箔は、電解液耐性の点から、脱脂処理が施されていることが好ましい。また、製造工程の簡便化の観点から、表面がエッチングされていないアルミニウム箔が好ましい。
脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプに分けられ、製造工程の簡便化の点から、ドライタイプが好ましい。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、アルミニウム箔を焼鈍処理する工程において、その処理時間を長くすることで脱脂処理を行う方法が挙げられる。アルミニウム箔を軟質化するために施される焼鈍処理の際に、同時に行われる脱脂処理程度でも充分な電解液耐性が得られる。また、脱脂処理の他にも、フレーム処理、コロナ処理等が挙げられる。さらに、特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解及び除去する脱脂処理を採用してもよい。
ウェットタイプの脱脂処理としては、例えば、酸脱脂やアルカリ脱脂等が挙げられる。酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸等の無機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、エッチング効果が高いものとして水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものが挙げられる。ウェットタイプの脱脂処理は、浸漬法やスプレー法で行われる。
(腐食防止処理層)
腐食防止処理層(8a)、(8b)は、金属箔層(5)と第1接着層(4)および第2接着層(6)を強固に密着させると共に、金属箔層(5)を、電解液や、電解液から発生するフッ酸から保護する役割を果たす。腐食防止処理層は必須ではないが、設けた方が好ましく、特に第2接着層(6)に接する内面側の腐食防止処理層(8b)は、必要性が高い。
腐食防止処理層は、金属箔層(5)に対して、例えば、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれら処理の組み合わせた処理を行うことによって、金属箔層(5)上に形成される層である。
熱水変成処理により形成される層としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理する、ベーマイト処理により形成される層が挙げられる。陽極酸化処理により形成される層としては、例えば、アルマイト処理により形成される層が挙げられる。化成処理により形成される層としては、例えば、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらを組み合わせた処理により形成される層が挙げられる。また、これらの化成処理により形成される層は、湿式型の処理により形成される層に限らず、これらの処理剤を樹脂成分と混合した塗布型タイプを適用した処理により形成される層でもよい。
以上、これらの腐食防止処理の中でも、その効果を最大限にするとともに廃液処理の観点から、塗布型クロメート処理により形成される層が好ましい。
また、腐食防止処理層は、上述した化成処理により形成される層以外にも、純粋なコーティング手法のみで形成される層であってもよい。具体的には、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルを含む処理液を塗布し、乾燥することで形成される層等が挙げられる。このように、一般的なコーティング方法で金属箔に腐食防止効果を付与することも可能である。
腐食防止処理層(8a)と(8b)は、必ずしも同じ処理である必要はなく、異なる処理でもよい。
(第2接着層)
第2接着層(6)は、金属箔層(5)または腐食防止処理層(8b)とシーラント層(7)を接着する層である。外装材(1)は、第2接着層(6)の種類によって、熱ラミネート構成とドライラミネート構成の2種類に大別される。
ドライラミネート構成の場合、第2接着層(6)を形成する成分は第1接着層(4)で挙げたものと同じ接着剤を使用できる。この場合、電解液による膨潤やフッ酸による加水分解を抑制するため、使用する接着剤としては、加水分解し難い骨格の主剤を使用する、架橋密度を向上させる、等の組成設計を行う必要がある。
例えば、架橋密度を向上させる手法としては、ダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸のエステルもしくは水素添加物、ダイマー脂肪酸の還元グリコール、ダイマー脂肪酸のエステルもしくは水素添加物の還元グリコールを使用する方法が挙げられる。ダイマー脂肪酸とは、各種不飽和脂肪酸を二量化させたものであり、その構造としては、非環型、単環型、多環型、芳香環型が挙げられる。第2接着層(6)を形成する接着剤として使用するポリエステルポリオールの原料である多塩基酸は、特に限定されない。また、ダイマー脂肪酸の出発物質である脂肪酸も特に限定されない。また、このようなダイマー脂肪酸を必須成分として、通常のポリエステルポリオールで用いられるような二塩基酸を導入しても構わない。
前記主剤に対する硬化剤としては、ポリエステルポリオールの鎖伸長剤としても使用できるイソシアネート化合物を用いることが可能である。これにより、接着剤塗膜の架橋密度が高まり、溶解性や膨潤性の向上につながるとともに、ウレタン基濃度が高まることで基材密着性の向上も期待される。
熱ラミネート構成の場合、第2接着層(6)を形成する成分としては、ポリオレフィン系樹脂を酸でグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体;ホモ、ブロック、又はランダムポリプロピレン;プロピレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。該ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。グラフト変性する酸としては、カルボン酸、エポキシ化合物、酸無水物等が挙げられ、無水マレイン酸が好ましい。
第2接着層(6)を構成する成分としては、電解液が浸透してきてもシーラント層(7)と金属箔層(5)の密着力を維持しやすい点から、ポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸でグラフト変性させた、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
第2接着層(6)を押出成型により形成する場合、押出成型時に発生する応力等により接着樹脂がMD方向(機械方向)に配向しやすい。この場合、異方性を緩和する点から、第2接着層(6)にエラストマーを配合してもよい。
第2接着層(6)に配合するエラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーが挙げられる。配合するエラストマーの平均粒径は、接着樹脂との相溶性が向上し、また第2接着層(6)の異方性を緩和する効果が向上する点から、200nm以下が好ましい。なお、前記平均粒径は、電子顕微鏡により、エラストマー組成物の断面を拡大した写真を撮影し、画像解析により、分散した架橋ゴム成分の平均粒径を測定することで測定される。これらエラストマーは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
第2接着層(6)に前記エラストマーを配合する場合、第2接着層(100質量%)中の前記エラストマーの配合量は、1〜25質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。エラストマーの配合量が1質量%未満であれば、接着樹脂との相溶性の向上や第2接着層(6)の異方性を緩和する効果が期待できない。エラストマーの配合量が25質量%以上であれば、第2接着層(6)が電解液によって膨潤する恐れがある。
第2接着層(6)は、前記接着樹脂を有機溶媒に分散させたディスパージョンタイプの接着樹脂液を用いて形成したものであってもよい。
第2接着層(6)の厚さは、1〜40μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
(シーラント層)
シーラント層(7)は、外装材(1)の内層であり、電池組み立て時に熱溶着される層である。つまり、シーラント層(7)は、熱溶着性のフィルムからなる層である。
シーラント層(7)を構成するフィルムの成分としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等でグラフト変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。なかでも、水蒸気バリア性に優れる点、ヒートシールによって過度に潰れることなく電池形態を形成しやすい点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。ポリプロピレンとしては、第2接着層(6)において例示したポリプロピレンが挙げられる。
シーラント層(7)は、前記した各種樹脂が混合されたフィルムにより形成してもよい。シーラント層(7)は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
シーラント層(7)として、押出成型により形成したフィルムを使用する場合、フィルムの押出し方向に配向傾向があるため、配向による異方性を緩和するために、シーラント層(7)にエラストマーを配合してもよい。これにより、外装材(1)を冷間成型して凹部を形成する際にシーラント層(7)が白化することを抑制しやすくなる。
シーラント層(7)に配合するエラストマーとしては、第2接着層(6)に配合するエラストマーとして挙げたものと同じものが使用でき、好ましい形態も同じである。
シーラント層(7)が積層フィルムである場合は、そのいずれかの層のみにエラストマーを配合してもよく、全ての層に配合してもよい。例えば、シーラント層(7)がランダムポリプロピレン/ブロックポリプロピレン/ランダムポリプロピレンの3層構成の場合、エラストマーは、ブロックポリプロピレンの層のみに配合してもよく、ランダムポリプロピレンの層のみに配合してもよく、ランダムポリプロピレンの層とブロックポリプロピレンの層の両方に配合してもよい。
また、シーラント層(7)には、滑り性を付与する目的で滑剤を配合してもよい。これにより、外装材(1)に冷間成型によって凹部を形成する際、外装材(1)において延伸率の高い凹部の辺や角となる部分が必要以上に延伸されることが抑制されやすくなる。そのため、金属箔層(5)と第2接着層(6)間が剥離したり、シーラント層(7)と第2接着層(6)においてクラックによる破断や白化が生じたりすることを抑制するのが容易になる。
シーラント層(7)に滑剤を配合する場合、シーラント層(7)中の滑剤の配合量は、0.001質量%〜0.5質量%が好ましい。滑剤の配合量が0.001質量%未満であれば、冷間成型時にシーラント層が白化することを抑制する効果が得られ難い。滑剤の配合量が0.5質量%以上であると、外装材(1)表面以外の他の層とのラミネート面に滑剤がブリードして密着強度が低下する恐れがある。
(識別層)
識別層(2)は、基材層(3)の外面側に設けられる識別のための樹脂層である。識別層(2)は、識別のための顔料を含み、表面光沢度は、3.0以下である。また顔料の粒子は樹脂で被覆されており、顔料の抵抗率は5×10−2Ω・m以上であることを特徴とする。
識別層(2)は、樹脂、顔料、フィラー、溶剤等を含む樹脂組成物を基材層(3)の表面に塗布または印刷することによって形成される。
識別層(2)の抵抗率が低いと外装材(1)をリチウムイオン二次電池に用いた場合に、外部と電池が導通してしまう危険が高く、電池としての最も基本的な特性を満足することができない。識別層(2)の抵抗率としては、10Ω・m以上であることが必要であり、10Ω・m以上であることが好ましい。
識別層(2)を形成する樹脂組成物に用いる樹脂としては、水酸基を有する基を側鎖に有するポリエステルポリオール及びアクリルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種と、脂肪族系イソシアネート硬化剤で形成されるウレタン樹脂が好適に用いられる。
ポリエステルポリオールおよびアクリルポリオールについては、第1接着層(4)に用いられるものと同様のものが使用できる。
脂肪族系イソシアネート硬化剤は、芳香環を有しない2官能以上のイソシアネート化合物である。芳香環を有しないことにより紫外線によるベンゼン環のキノイド化が起きず、黄変を抑制できることからも、最外層に適している。
脂肪族系イソシアネート硬化剤としては、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。また、これらイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を用いてもよい。
脂肪族系イソシアネート硬化剤としては、電解液耐性が向上することから、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。自己修復性能に優れることに加え、水酸基との反応性はイソホロンジイソシアネートよりも1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの方が高いため、量産適性を踏まえると、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
ウレタン樹脂におけるポリオールが有する水酸基に対する脂肪族系イソシアネート硬化剤が有するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.5〜50が好ましく、1〜20がより好ましい。前記モル比(NCO/OH)が0.5以下であれば、耐傷性、電解液耐性が不十分となる。また前記モル比(NCO/OH)が50を超える場合には、基材層(3)との密着性において問題が生じる可能性がある。
また、ウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは、自己修復性により耐傷性が向上することから、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましい。また、ウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは、識別層(2)が硬くなることで脆くなることを抑制しやすいことから、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。
なお、前記ウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは、動的粘弾性測定(DMS)における1Hzでの損失正接(tanθ)のピーク温度(昇温速度5℃/分)を意味する。
識別層(2)の厚さは、1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。識別層(2)の厚さが1μm未満であると、十分な識別性に加えて優れた電解液耐性及び耐傷性が得られない。識別層(2)の厚さが10μmを超える場合には、基材の薄型化に逆行し、延伸性能も得られにくい。
識別層(2)に用いる顔料としては、通常色材として用いられる顔料の粒子を樹脂で被覆することにより、顔料の体積固有抵抗を5×10−2Ω・m以上としたものが使用できる。
元になる顔料のうち、有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジオキサジン系、インジゴチオインジゴ系、ペリノン−ペリレン系、イソインドレニン系等が挙げられる。
無機顔料としては、カーボンブラック系、酸化チタン系、カドミウム系、鉛系、酸化フローム系等が挙げられ、その他に、マイカ(雲母)の微粉末、魚鱗箔等が挙げられる。
これらの顔料の粒子を被覆する樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アルデヒド樹脂等を用いることができる。樹脂で被覆された顔料として、一般に加工顔料として販売されている製品の中に、本発明の目的に使用することができるものがあるが、一般的に加工顔料として販売されている製品は、主として易分散性を目的として製造されたものが多いので注意を要する。
顔料としてカーボンブラックを使用する場合、被覆用の樹脂としては、エポキシ樹脂が最も好ましい。エポキシ樹脂を被覆した抵抗率の高いカーボンブラック顔料の例としては、特開平9−124969号公報に記載されたもの等が挙げられる。
識別層(2)には、フィラーが含有されていることが好ましい。フィラーが含有されていれば、識別層(2)の光沢を下げることができる。また、識別層表面に傷が付いたとしても、その傷をより目立たなくすることができる。
フィラーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の樹脂フィラー、シリカ、黒鉛等が挙げられる。フィラーの形状としては、フレーク状、真球状、中空状、ファイバー状、不定形等が挙げられる。中でも、識別層(2)の耐傷性が向上することから、樹脂フィラーが好ましく、不定形の樹脂フィラーがより好ましい。
識別層(2)中のフィラーの含有量は、表面光沢を下げやすいことから、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。また、前記フィラーの含有量は、フィラーの脱落を防ぎやすいことから、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、光沢をより下げられることから、フィラーの粒子径は、0.8μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。なお、フィラーの粒子径は、レーザー回折法により測定した値を意味する。
また、識別層(2)には、前記フィラー以外にも、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を配合してもよい。
滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等の脂肪酸アミドが挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
識別層(2)の外表面は、マット処理が施されていることが好ましい。これにより、識別層(2)表面のすべり性が向上し、冷間成型において外装材(1)が過度に金型に密着することが抑制されやすくなるので、成型性が向上する。また、つや消し効果も得られる。
(製造方法)
以下、本発明に係る外装材(1)の製造方法について説明する。ただし、外装材(1)の製造方法は以下に記載する方法に限定されるものではない。
外装材(1)の製造方法としては、例えば、下記工程(I)〜(IV)を有する方法が挙げられる。
(I)金属箔層(5)上に、腐食防止処理層(8a)、(8b)を形成する工程。
(II)金属箔層(5)における腐食防止処理層(8a)を形成した側に、第1接着層(4)を介して基材層(3)を貼り合わせる工程。
(III)金属箔層(5)の腐食防止処理層(8b)側に、第2接着層(6)を介してシーラント層(7)を貼り合わせる工程。
(IV)基材層(3)上に識別層(2)を形成する工程。
工程(I):
金属箔層(5)の表裏面に、腐食防止処理剤を塗布し、乾燥、硬化、焼付けを行って腐食防止処理層(8a)、(8b)を形成する。腐食防止処理剤としては、例えば、塗布型クロメート処理用の腐食防止処理剤等が挙げられる。
腐食防止処理剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、ダイコート、バーコート、キスコート、コンマコート等が挙げられる。
なお、金属箔層(5)には、未処理の金属箔を使用してもよく、ウェットタイプ又はドライタイプにて脱脂処理を施した金属箔を使用してもよい。
工程(II):
金属箔層(5)における腐食防止処理層(8a)を形成した側に、第1接着層(4)を形成する接着剤を用いて基材層(3)を貼り合わせる。貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーション等の手法が挙げられる。
工程(II)では、接着性の促進のため、室温〜100℃の範囲でエージング(養生)処理を行ってもよい。
工程(III):
基材層(3)、第1接着層(4)、腐食防止処理層(8a)、金属箔層(5)及び腐食防止処理層(8b)がこの順に積層された積層体の腐食防止処理層(8b)側に、第2接着層(6)を介してシーラント層(7)を貼り合わせる。
ドライラミネート構成の場合は、前述の接着剤を使用し、前記積層体の腐食防止処理層(8b)側に、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーション等の手法でシーラント層(7)を貼り合わせる。
熱ラミネート構成の場合は、例えば、以下のドライプロセスとウェットプロセスが挙げられる。ドライプロセスの場合は、前記積層体の腐食防止処理層(8b)上に接着樹脂を押出ラミネートし、さらにインフレーション法又はキャスト法により得られるシーラント層(7)を形成するフィルムを積層する。その後は、腐食防止処理層(8b)と第2接着層(6)との密着性を向上させる目的で、熱処理(エージング処理、熱ラミネーション等。)を施してもよい。また、インフレーション法又はキャスト法にて、第2接着層(6)とシーラント層(7)が積層された多層フィルムを作成し、該多層フィルムを前記積層体上に熱ラミネーションにより積層することで、第2接着層(6)を介してシーラント層(7)を積層してもよい。
ウェットプロセスの場合は、酸変性ポリオレフィン系樹脂等の接着樹脂のディスパージョンタイプの接着樹脂液を前記積層体の腐食防止処理層(8b)上に塗工し、接着樹脂の融点以上の温度で溶媒を揮発させ、接着樹脂を溶融軟化させて焼き付けを行った後、シーラント層(7)を熱ラミネーション等の熱処理により積層する。
工程(IV):
基材層(3)の外側の面に、識別層(2)を形成する。識別層(2)を形成する方法としては、例えば、識別層(2)を形成するウレタン樹脂のディスパージョンタイプの塗工液を調製し、ディッピング、スプレー法等の各種塗工方法で塗工した後、加熱して溶媒を揮発させ、焼き付けを行う方法が挙げられる。また、識別層(2)は、前記ウレタン樹脂を溶融させて押出す押出成型等で形成することもできる。また、識別層(2)の外表面には、別処理のマット処理等の加工を施してもよい。
以上説明した工程(I)〜(IV)により、外装材(1)が得られる。
なお、外装材(1)の製造方法は、前記工程(I)〜(IV)を順次実施する方法には限定されない。例えば、工程(II)を行ってから工程(I)を行ってもよい。また、工程(IV)を行った後に工程(II)を行ってもよい。また、腐食防止処理層(8a)、(8b)の形成と、シーラント層(7)を積層する押出ラミネーションをインラインで連続的に行ってもよい。また、金属箔層(5)の片面に腐食防止処理層を設けてもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
<使用材料>
本実施例で使用した材料を以下に示す。
[基材フィルム層]:厚さ25μmのナイロン6フィルム(無色透明)。
[第1接着層]:ポリオールとしてアクリディック(DIC社製)、イソシアネートとしてコロネート(日本ポリウレタン工業)(NCO/OH=2)、無機顔料としてバイフェロックス(ランクセス社製)を85:15の比率で混合した接着剤
[金属箔層]:軟質アルミニウム箔8079材(厚さ40μm)
[腐食防止処理層]:酸化セリウムと、該酸化セリウム100質量部に対して10質量部のポリリン酸ナトリウムを、固形分濃度が10質量%になるように蒸留水に加えて調製した処理剤(酸化セリウムゾルを含む処理剤)
[第2接着層]:接着樹脂(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)
[シーラント層]:厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム
[識別層]:
樹脂:DIC社製のアクリディック(アクリルポリオール)
顔料:三菱化学社製 エポキシ樹脂コーティング高抵抗カーボンブラック
抵抗率5Ω・m
フィラー:ポリエチレン樹脂フィラー
溶剤:トルエン
配合比:樹脂100重量部、顔料15重量部、フィラー40重量部、溶剤(調整)
識別層塗布液:上記を混合、分散し、アクリディック(アクリルポリオール)と、脂肪族系イソシアネート硬化剤である1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを、モル比(NCO/OH)が2となるようにトルエンに溶解した塗布液。
塗布液中のポリオールと硬化剤の比率は、形成される樹脂のガラス転移温度Tgが20℃となるように調整した。樹脂のガラス転移温度Tgは、動的粘弾性測定(DMS)により、1Hzでの損失正接(tanθ)のピーク温度(昇温速度5℃/分)として測定した。
[外装材の作成]
金属箔の一方の面に処理剤を塗布、乾燥して、金属箔層(5)の一方の面に腐食防止処理層(8b)を形成した。次いで、金属箔層(5)における腐食防止処理層(8b)の反対面に、ドライラミネート法により、接着剤を用いて基材フィルムを貼り合わせ、第1接着層(4)、基材層(3)を積層した。その後、60℃、6日間のエージングを行った。次に、得られた積層体の腐食防止処理層(8b)側に押出し装置にて第2接着層(6)としての接着樹脂を押出し、無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせ、サンドイッチラミネーションすることで、第2接着層(6)を介してシーラント層(7)を貼り合わせた。その後、得られた積層体に対し、ロール温度160℃、ニップ圧0.39MPa、速度2m/分の条件でロール加熱圧着した。次いで、基材層(3)の外側の面に、グラビアコート法にて識別層塗布液を塗布した後、エージングを40℃、3日間行うことで識別層(2)を形成し、外装材(1)を作成した。
識別層を構成する顔料を下記のものとした以外は、実施例1と同様にして外装材を作成した。
顔料:三菱化学社製 エポキシ樹脂コーティング高抵抗カーボンブラック
抵抗率5×10−2Ω・m
<比較例1>
識別層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして外装材を作成した。
<比較例2>
識別層を構成する顔料を樹脂コーティングしていない通常のカーボンブラックにした以外は、実施例1と同様にして外装材を作成した。なお、カーボンブラックの抵抗率は、1×10−2Ω・mであった。
<比較例3>
識別層を構成する顔料の配合比を100:5とした以外は、比較例2と同様にして外装材を作成した。
実施例1、2、比較例1、2、3の各外装材について、以下の評価を実施した。
[識別性の評価]
各例で得られた外装材の識別性を評価した。
「○」:識別性が良好である
「△」:識別性は十分でない
[識別層の抵抗率]
各例で得られた外装材の識別層の抵抗率を測定した。
[識別層のOD値]
各例で得られた外装材の識別層表面のOD値を測色濃度計で測定した。
[電解液耐性の評価]
各例で得られた外装材の識別層表面に電解液(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1/1(質量比)に対し、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1.5Mになるように調整して溶解した電解液)を数滴滴下し、25℃、65%RHの環境下で24時間放置し、電解液を拭き取り、識別層の表面の変質を目視にて確認した。評価は、以下の基準に従って行った。
「◎」:識別層表面の変質が見られなかった。
「×」:識別層表面が変質した。
[耐傷性の評価]
各例で得られた外装材の識別層の表面に対して、#0000スチールウール(日本スチールウール製)を150g/cmの荷重を加えながら10往復させて擦り、耐傷性を以下の基準で評価した。
「○」:識別層表面の傷の深さが1μm未満である。
「△」:識別層表面の傷の深さが1μm以上である。
[信頼性の評価]
各条件のサンプルに対して、深絞り用金型にて5mm絞った後、温度85℃、湿度90%環境下にて1週間放置し、深絞り部の外観、層間剥離を観察した。評価は以下の基準に従って行った。
「○」:剥離が無く、外観良好
「×」:剥離が有るか、外観が不良
以上の評価結果を表1に示す。
表1に示すように、識別層(2)が形成され、識別層を構成する顔料の抵抗率が5×1
−2Ω・m以上の範囲に含まれる実施例1、2では、識別性を初めとする諸特性において、満足できる結果となっている。一方比較例1〜3においては、十分な特性が得られなかった。特に比較例2では、識別層の抵抗率が低いため外部と電池が導通してしまうため危険である。また比較例3では、OD値が低いため成形した時に色ムラが発生した。
1・・・リチウムイオン二次電池用外装材
2・・・識別層
3・・・基材層
4・・・第1接着層
5・・・金属箔層
6・・・第2接着層
7・・・シーラント層
8a、8b・・・腐食防止処理層

Claims (4)

  1. 基材層の一方の面側に、少なくとも第1接着層、金属箔層、第2接着層及びシーラント層が順次積層され、
    前記基材層の他方の面側に、識別のための光沢度3.0以下の樹脂層である識別層を有し、該識別層は、識別のための顔料を含み、該顔料の粒子は樹脂で被覆されており、該顔料の体積固有抵抗は5×10-2Ω・m以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用外装材。
  2. 前記顔料はカーボンブラックであり、被覆樹脂はエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用外装材。
  3. 前記識別層の抵抗率は、10Ω・m以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用外装材。
  4. 前記識別層は黒色であり、OD値(光学濃度)は1.4以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用外装材。
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