JP2013230421A - 静電塗装装置及び静電塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動源を共通化でき、小型化が可能となる静電塗装の供給装置を提供する。
【解決手段】中間貯留槽30は、筒状に延びるシリンダ53と、このシリンダ内に移動自在に設けられ塗料供給部側に位置する第1ピストン54と、この第1ピストンに離間可能に接触し前記シリンダ内に移動自在に設けられる第2ピストン55と、前記第1ピストンを押し戻しする駆動源37と、前記第1ピストンに備えられ前記塗料供給部側の供給路26に分離可能に接続される分離・接続部58と、前記第2ピストンに開けた貫通穴59と塗装機32側の供給路31とに接続される供給弁34とからなり、第1ピストン及び分離・接続部を、1台の駆動源のみで移動させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、帯電させた塗料を被塗装物に塗布する静電塗装技術に関する。
静電塗装技術は、被塗装物をアース、塗装ガンを負極として両者間に高電圧を加え、塗装ガンからマイナスに帯電された塗料粒子を噴射し、この塗料粒子がアース側の被塗装物に引き寄せられることにより、塗料を被塗装物に塗布する技術である。
当然のことながら、塗装ガンは電気的に絶縁する必要がある。塗装ガンには、塗料を供給する塗料供給部が繋がっている。従来から、塗装ガンと塗料供給部との間を絶縁する構造が採用されてきた(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
この特許文献1の技術では、塗装ガンから塗料供給部を分離することで、電気的絶縁を達成する。
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図13は従来の技術の基本原理を説明する図であり、静電塗装装置200には、塗料供給部201から、塗装ガン202へ供給される塗料を貯留する中間貯留槽203まで、塗料供給路204が設けられる。この塗料供給路204の途中に分離・接続部205が設けられる。
塗装ガン202から塗料を噴射する前に、エアシリンダ206の駆動により分離・接続部205の移動側207を、静止側208から分離する。結果、塗装ガン202は、塗料供給部201側から絶縁される。
ところで、静電塗装装置200は、ピストン209の駆動源であるサーボモータ211と、分離・接続部205の移動側207の駆動源であるエアシリンダ206とを有する。
しかし、サーボモータ211とエアシリンダ206が必須であるため、必然的に静電塗装装置200の大型化を招く。
静電塗装装置200は、塗装設備内の限られた空間内に設置されることが多いので、小型である方が好ましい。
そこで、静電塗装装置200を小型化できることが求められる。
特開平9−141141号公報
本発明は、小型化が可能となる静電塗装技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、塗料供給部から塗装機へ塗料を供給し、この塗料に前記塗装機にて高電圧を印加し、前記塗装機から帯電した前記塗料を被塗装物へ噴射させ、この被塗装物に前記塗料が付着することにより、前記被塗装物に塗装を施す静電塗装装置において、前記塗料供給部から前記塗装機まで前記塗料が通過する供給路が設けられ、この供給路の途中に前記塗料を一旦貯留する中間貯留槽が設けられ、前記中間貯留槽は、筒状に延びるシリンダと、このシリンダ内に移動自在に設けられ前記塗料供給部側に位置する第1ピストンと、この第1ピストンに離間可能に接触し前記シリンダ内に移動自在に設けられる第2ピストンと、前記第1ピストンを押し戻しする駆動源と、前記第1ピストンに備えられ前記塗料供給部側の供給路に分離可能に接続される分離・接続部と、前記第2ピストンに開けた貫通穴と前記塗装機側の供給路とに接続される供給弁とからなることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の静電塗装装置を用いて実施する静電塗装方法において、前記駆動源により前記第1ピストンとこの第1ピストンに接触した第2ピストンとを、前記シリンダの塗料供給部側へ戻すピストン戻し工程と、前記駆動源により前記第1ピストンに備えられる前記分離・接続部を、前記塗料供給部側の供給路に接続する接続工程と、前記分離・接続部が前記塗料供給部側の供給路に接続されることにより、前記分離・接続部から流入する前記塗料で、前記第2ピストンを前記シリンダの塗装機側へ押出し、前記第1ピストンと前記第2ピストンの間に前記塗料を充填する塗料充填工程と、前記塗料充填後、前記駆動源により前記第1ピストンを押すことで、前記分離・接続部を前記塗料供給部側の供給路から分離すると共に、前記第1ピストンの押圧力を前記充填された塗料を介して前記第2ピストンへ伝達し、この第2ピストンを前記シリンダの塗装機側へ押す分離・ピストン押し工程と、前記供給弁を開状態にし、前記駆動源により前記第1ピストンを更に押すことで、前記充填された塗料を前記塗装機側へ押出す塗料押出し工程とを有することを特徴とする。
請求項1に係る発明では、中間貯留槽は、第1ピストンを押し戻しする駆動源と、第1ピストンに備えられる分離・接続部とを有する。すなわち、1台の駆動源で第1ピストン及び分離・接続部を移動させる。
仮に、第1ピストンの移動と分離・接続部の移動を各々の駆動源で行うと、駆動源が2台になり、静電塗装装置が大型化する。この点、本発明では、第1ピストン及び分離・接続部を、1台の駆動源のみで移動させるため、静電塗装装置を小型化できる。
また、静電塗装装置のコストを低減することができる。
請求項2に係る発明では、分離・ピストン押し工程で、第1ピストンを押すことにより分離・接続部を供給路から分離する。また、塗料押出し工程で、第1ピストンを更に押すことにより塗料を塗装機側へ押出す。
すなわち、分離・ピストン押し工程と塗料押出し工程の2工程を、第1ピストンの前進動作で実施する。
結果、分離・接続部の分離用駆動源を準備し、且つ塗料押出し用駆動源を準備する場合に対し、本発明では、1つの駆動源で十分になる。
本発明に係る静電塗装装置を備えたロボットの斜視図である。 静電塗装装置の系統図である。 中間貯留槽の断面図である。 中間貯留槽の分解図である。 分離・接続部を塗料供給部側の供給路に接続するまでの作用を説明する図である。 中間貯留槽に塗料を充填するまでの作用を説明する図である。 中間貯留槽から塗装機側へ塗料を押出すまでの作用を説明する図である。 静電塗装方法のフロー図である。 図3の変更例を示す図である。 図9の作用図である。 図3の更なる変更例を示す図である。 図11の作用図である。 従来の技術の基本原理を説明する図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
本発明に係る静電塗装装置及び静電塗装方法を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、塗装設備内にロボット10が配置され、このロボット10に静電塗装装置20(詳細後述)が備えられる。
静電塗装装置20の構成を図2に基づいて説明する。
図2に示すように、静電塗装装置20は、塗料供給設備から延びる複数の配管21、22、23、24に接続されこれら配管21、22、23、24を通じて取入れた複数の色の塗料を選択して外部へ供給する塗料供給部25と、この塗料供給部25から延びる供給路としての1次供給配管26に接続され塗料供給部25から供給される塗料を一旦貯留する中間貯留槽30と、この中間貯留槽30に2次供給配管31を介して接続され中間貯留槽30から供給された塗料を被塗装物(後述)へ噴射する回転霧化式の塗装ガン32とからなる。つまり、中間貯留槽30は、1次供給配管26と2次供給配管31からなる供給配管の途中に設けられている。
また、静電塗装装置20は、塗料供給部25から塗装ガン32へ塗料を供給し、この塗料に塗装ガン32にて高電圧を印加し、塗装ガン32から帯電した塗料を被塗装物へ噴射させ、この被塗装物に塗料が付着することにより、被塗装物に塗装を施す装置である。なお、実施例では、塗装ガン32は回転霧化式を適用したが、空気霧化式等、他の霧化式を適用してもよい。
1次供給配管26の途中には、塗料供給時に開状態となり塗料供給停止時に閉状態となる1次供給弁33が設けられる。加えて、塗装ガン32の内部には、塗料供給時に開状態となり塗料供給停止時に閉状態となる2次供給弁34が設けられ、この2次供給弁34は、2次供給配管31に接続される。
中間貯留槽30の塗料供給部25側の端部35には、軸36を駆動する駆動源37が設けられる。この駆動源37は、塗料供給部側端部35に取付けられ軸36を前進又は後退させる伝動機構38と、この伝動機構38に出力軸が連結される電動モータ39とからなる。電動モータ39の駆動力を伝動機構38に伝達し、この伝動機構38から駆動力を軸36へ伝達することにより、軸36を前進又は後退させる。
なお、駆動源37は、実施例では中間貯留槽30の塗料供給部側端部35に支持させたが、駆動源37を中間貯留槽30の任意の部位に支持させてもよい。また、駆動源37をロボット(図1、符号10)に支持させてもよい。加えて、駆動源37は、電動モータ39と伝動機構38の組合わせが好適であるが、その他に、駆動源37に空圧シリンダを適用してもよい。
塗料供給部25から延びるケーブル41と、1次供給弁33から延びるケーブル42と、2次供給弁34から延びるケーブル43と、電動モータ39から延びるケーブル44とは、制御部45に接続されている。この制御部45からの指令に基づき、塗料供給部25での塗料の選択、1次供給弁33の開閉及び2次供給弁34の開閉、及び電動モータ39の運転・停止が行われる。
中間貯留槽30の構造を図3に基づいて説明する。
図3に示すように、中間貯留槽30は、筒状に延ばされ塗料供給部(図2、符号25)側端部に塗料供給部側フランジ51を備えると共に塗装ガン32側端部に塗装ガン側フランジ52を備えるシリンダ53と、このシリンダ53内に移動自在に設けられ塗料供給部側に位置する第1ピストン54と、この第1ピストン54に離間可能に接触しシリンダ53内に移動自在に設けられる第2ピストン55と、シリンダ53の塗料供給部側フランジ51にボルト56及びナット57により取付けられ第1ピストン54を押し戻しする駆動源37と、第1ピストン54に備えられ1次供給配管26側に分離可能に接続されると共に、1次供給配管26側との接続時に塗料を流入させ1次供給配管26側との分離時に塗料の流入を止める移動側分離・接続部58(詳細後述)と、第2ピストン55に開けた貫通穴59と2次供給配管31とに接続され塗料を塗装ガン32側へ供給するときに開状態になる2次供給弁34とからなる。
なお、実施例では、2次供給弁34は、塗装ガン32の内部に配置したが、2次供給弁34を第2ピストン55に直に取付けてもよい。
移動側分離・接続部58は、第1ピストン54に支持される移動側本体部61と、この移動側本体部61にシリンダ53の軸方向に開けられ塗料が通過する移動側第1通路62と、この移動側第1通路62に交差するように設けられる移動側第2通路63と、この移動側第2通路63のシリンダ53の外壁側に交差するように設けられ第2ピストン55に向けて貫通する移動側第3通路64と、通路62と通路63が交差する移動側交差部65に当接する弁体を備えこの弁体を作動させることで移動側交差部65を開放又は閉止させる移動側バルブ66と、移動側本体部61の駆動源37側に設けられる移動側接続部材67とからなる。
上記移動側分離・接続部58に分離可能に接続される静止側分離・接続部68が、駆動源37の伝動機構38に備えた駆動源側フランジ69に設けられる。
静止側分離・接続部68は、駆動源側フランジ69に支持される静止側本体部71と、この静止側本体部71にシリンダ53の径方向に開けられ1次供給配管26の前端72に接続される静止側第1通路73と、この静止側第1通路73に交差するように設けられ移動側分離・接続部58の移動側第1通路62に繋がるように備えられる静止側第2通路74と、通路73と通路74が交差する静止側交差部75に当接する弁体を備えこの弁体を作動させることで静止側交差部75を開放又は閉止させる静止側バルブ76と、静止側本体部71の第1ピストン54側に設けられる静止側接続部材77とからなる。移動側バルブ66及び静止側バルブ76には、例えばエアオペレートバルブが適する。
軸36は中空状に形成され、軸36の先端には、第1ピストン54に連結される。軸36の内部には、移動側バルブ66から延びるケーブル78が挿入され、このケーブル78は、制御部(図2、符号45)に接続される。加えて、静止側バルブ76から延びるケーブル79も制御部に接続される。すなわち、移動側バルブ66の開閉及び静止側バルブ76の開閉は、制御部からの指令に基づいて行われる。
次に第1ピストン54及び第2ピストン55の作用を説明する。
制御部(図2、符号45)の指令に基づき電動モータ(図2、符号39)を正転させると、軸36が後退し、第1ピストン54が塗料供給部側へ戻される。このとき、第1ピストン54が第2ピストン55から僅かに離れるが、第1ピストン54と第2ピストン55の間が負圧になるため、第2ピストン55は大気圧に押されて第1ピストン54と共に駆動源37側へ戻される。
第1ピストン54が駆動源37側へ戻されると、移動側分離・接続部58が、静止側分離・接続部68に接続される。接続後、制御部の指令に基づき、移動側バルブ66を開状態にし静止側バルブ76を開状態にすることで、第1ピストン54と第2ピストン55の間に塗料を充填する準備が完了する。
次に第1ピストン54及び第2ピストン55のシール構造を説明する。
第1ピストン54の外周面81には、凹状の第1周溝82と、この第1周溝82に隣接して設けられ外周面81の外径よりも小径に形成される第1小径部83とが設けられる。
これら第1周溝82及び第1小径部83には、第1シール部材84が取付けられる。この第1シール部材84は、第1周溝82に嵌合し第1小径部83に係合すると共にシリンダ53の内周面85に接触する薄肉状の第1樹脂材料86と、この第1樹脂材料86に包まれ第1樹脂材料86をシリンダ53の内周面85へ押出す第1のOリング87とからなる。
第2ピストン55の外周面89には、凹状の第2周溝91と、この第2周溝91に隣接して設けられ外周面89の外径よりも小径に形成される第2小径部92とが設けられる。
これら第2周溝91及び第2小径部92には、第2シール部材93が取付けられる。この第2シール部材93は、第2周溝91に嵌合し第2小径部92に係合すると共にシリンダ53の内周面85に接触する薄肉状の第2樹脂材料94と、この第2樹脂材料94に包まれ第2樹脂材料94をシリンダ53の内周面85へ押出す第2のOリング95とからなる。
第1シール部材84の第1樹脂材料86は、第1ピストン54を前進又は後退させるときに、シリンダ53に対する第1ピストン54の摺動性を向上させる材料である。加えて、第1のOリング87は、シリンダ53の内周面85と第1ピストン54の外周面81との隙間をシールする。つまり、第1シール部材84により、第1ピストン54の摺動性を向上させ、且つシリンダ53と第1ピストン54の隙間をシールすることができる。第2シール部材93も上記第1シール部材84と同様の機能を発揮する。
中間貯留槽30の分解手順を図4に基づいて説明する。
図4に示すように、塗料供給部側フランジ51及び駆動源側フランジ69から、ボルト56及びナット57を取外すことにより、シリンダ53から駆動源37を取外す。次に、駆動源37の軸36の先端及び第1ピストン54から、ボルト102を取外すことにより、駆動源37から第1ピストン54を取外す。次に、塗装ガン側フランジ52及びピストン支持部材96から、ボルト97及びナット98を取外すことにより、シリンダ53からピストン支持部材96を取外す。したがって、第1ピストン54及び第2ピストン55がシリンダ53内から取出される。
以上に述べた中間貯留槽30の作用を次に述べる。
図5(a)に示すように、駆動源37を駆動して、軸36を矢印(1)のように後退させ、第1ピストン54及び第2ピストン55をシリンダの塗料供給部側へ戻す。
結果、(b)に示すように、移動側分離・接続部58が静止側分離・接続部68に接続される。駆動源37の運転を停止する。
(c)は(b)のc部拡大図であり、移動側分離・接続部58が静止側分離・接続部68に接続された状態で、制御部45から移動側バルブ66及び静止側バルブ76へ開動作の指令を出すと、移動側弁体103が矢印(2)のように後退し、静止側弁体104が矢印(3)のように後退する。
図6(a)に示すように、制御部45から1次供給弁33へ開動作の指令を出すと、塗料が矢印(4)のように、静止側第1通路73、静止側交差部75、静止側第2通路74、移動側第1通路62、移動側交差部65、移動側第2通路63、移動側第3通路64を通過する。塗料は白抜き矢印のように、第2ピストン55を押す。
結果、(b)に示すように、第1ピストン54と第2ピストン55の間に、塗料105が充填される。規定の時間が経過したら、制御部45から1次供給弁33へ閉動作の指令を出し、1次供給弁33を閉状態にする。
(c)に示すように、制御部45から移動側バルブ66及び静止側バルブ76へ閉動作の指令を出し、移動側弁体103を矢印(5)のように前進させ、静止側弁体104を矢印(6)のように前進させる。つまり、移動側バルブ66及び静止側バルブ76を閉状態にする。
図7(a)に示すように、駆動源37により第1ピストン54を矢印(7)のように押すと、白抜き矢印のように第1ピストン54で塗料105が押され、白抜き矢印のように塗料105で第2ピストン55が押される。したがって、第1ピストン54と第2ピストン55とこれらの間に充填された塗料105が、矢印(8)のように前進する。
結果、(b)に示すように、移動側分離・接続部58が静止側分離・接続部68から分離する。次に、制御部45から2次供給弁34へ開動作の指令を出し、2次供給弁34を開状態にする。
(c)は(b)のc部拡大図であり、第1ピストン54を矢印(9)のようにさらに押すと、塗料105は、矢印(10)のように第2ピストン55の貫通穴59を介して2次供給配管31へ押出される。したがって、塗料105が塗装ガン(図2、符号32)へ供給される。
加えて、(b)において、第1ピストン54及び移動側分離・接続部58を、1台の駆動源37のみで移動させるようにした。
次に静電塗装装置20を用いて実施する静電塗装方法の手順を図8に基づいて詳細に説明する。
図8に示すように、ステップ(以下STと記す。)01において、駆動源により第1ピストンとこの第1ピストンに接触した第2ピストンとを、シリンダの塗料供給部側へ戻すピストン戻し工程を実施する。具体的には図5(a)において、駆動源37を駆動して、軸36を矢印(1)のように後退させ、第1ピストン54及び第2ピストン55をシリンダの塗料供給部側へ戻す。
ST02において、駆動源により第1ピストンに備えられる分離・接続部を、塗料供給部側の供給路に接続する接続工程を実施する。具体的には図5(b)において、移動側分離・接続部58が静止側分離・接続部68に接続される。
ST03において、分離・接続部が塗料供給部側の供給路に接続されることにより、分離・接続部から流入する塗料で、第2ピストンをシリンダの塗装機側へ押出し、第1ピストンと第2ピストンの間に塗料を充填する塗料充填工程を実施する。具体的には図6(a)において、制御部45から1次供給弁33へ開動作の指令を出すと、塗料が矢印(4)のように、静止側第1通路73、静止側交差部75、静止側第2通路74、移動側第1通路62、移動側交差部65、移動側第2通路63、移動側第3通路64を通過する。塗料は白抜き矢印のように、第2ピストン55を押す。結果、(b)に示すように、第1ピストン54と第2ピストン55の間に、塗料105が充填される。
ST04において、塗料充填後、駆動源により第1ピストンを押すことで、分離・接続部を塗料供給部側の供給路から分離すると共に、第1ピストンの押圧力を充填された塗料を介して第2ピストンへ伝達し、この第2ピストンをシリンダの塗装機側へ押す分離・ピストン押し工程を実施する。具体的には図7(a)において、駆動源37により第1ピストン54を矢印(7)のように押すと、白抜き矢印のように第1ピストン54で塗料105が押され、白抜き矢印のように塗料105で第2ピストン55が押される。したがって、第1ピストン54と第2ピストン55とこれらの間に充填された塗料105が、矢印(8)のように前進する。結果、(b)に示すように、静止側分離・接続部68から移動側分離・接続部58が分離する。
ST05において、供給弁を開状態にし、駆動源により第1ピストンを更に押すことで、充填された塗料を塗装機側へ押出す塗料押出し工程を実施する。具体的には図7(c)において、第1ピストン54を矢印(9)のようにさらに押すと、塗料105は、矢印(10)のように第2ピストン55の貫通穴59を介して2次供給配管31へ押出される。
これまでに説明した中間貯留槽30では、塗料の充填制御として、図6(b)に示すように、規定の時間が経過したら1次供給弁33を閉状態にし、塗料の充填を止めるようにした。
ところで、塗料の使用量は、被塗装物の仕様によって変わるため、塗料の充填量はより細かく設定できることが好ましい。そこで、塗料の充填量をより細かく設定することができる例を次に説明する。
図9において、図3と共通の構造は符号を流用して説明を省略する。主たる変更点は、シリンダの外周に第2ピストンの位置を検出するセンサを配置したことである。
ロボット(図1、符号10)から延びる支持部材106に、シリンダ53の軸方向に沿って複数設けられている。複数のセンサとは、塗料供給部側から塗料押出側へ並べられる第1センサ107、第2センサ108、第3センサ109、第4センサ111、第5センサ112、第6センサ113、第7センサ114である。
センサ107〜114は、互いに一定距離L1だけ離して配置されると共に、シリンダ53の外周面115に向けて配置される。センサ107〜114の各々から延びるケーブル116は、制御部45に接続される。なお、センサ107〜114には近接式センサが好適であるが、他の形式のセンサを適宜用いても差し支えない。
中間貯留部30Bでは、センサ107〜114のうちの第2ピストン55の位置を検出し、この検出信号を制御部45に入力し、制御部45の指令に基づき、駆動源37の駆動を止めるようにする。
次に中間貯留部30Bの作用を説明する。
図10において、第1ピストン54と第2ピストン55との間に塗料105が充填され、第2ピストン55が第4センサ111により検出され、この検出信号が制御部45に入力される。制御部45は、1次供給弁33へ閉動作の指令を出す。結果、塗料の供給が止まる。
なお、実施例では、第4センサ111で塗料を検出して塗料の供給を止めたが、他のセンサ107、108、109、112〜114を任意に選択して塗料充填量を設定する。すなわち、中間貯留部30Bでは、センサ107〜114で第2ピストン55の位置を検出して、塗料の供給を止めるため、塗料の充填量を細かく設定することができる。
上記中間貯留部30Bでは、塗料の充填制御に、センサを用いたが、その他の方法としてシリンダを用いる例を次に説明する。
図11において、図3と共通の構造は符号を流用して説明を省略する。主たる変更点は、第2ピストンの前進をシリンダで制御したことである。
シリンダ118は、ロボット(図1、符号10)に支持され、シリンダ118のピストンロッド119が第2ピストン55に当てられる。なお、シリンダ118は、電気式シリンダ、空圧式シリンダ、油圧式シリンダのいずれも適用可能である。
中間貯留部30Cでは、シリンダ118のピストンロッド119のストロークを検出し、この検出信号を制御部45に入力し、制御部45の指令に基づき、駆動源37の駆動を止めるようにする。
次に中間貯留部30Cの作用を説明する。
図12において、第1ピストン54と第2ピストン55との間に塗料105が充填され、ピストンロッド119のストロークがセンサ121により検出され、この検出信号が制御部45に入力される。制御部45は、1次供給弁33へ閉動作の指令を出す。結果、塗料の供給が止まる。中間貯留部30Cでは、塗料の充填制御を1台のシリンダで行うため、制御が単純になる。
以上に述べた静電塗装装置20及び静電塗装方法の作用効果を以下に記載する。
図7(b)に示す構成により、中間貯留槽30は、第1ピストン54を押し戻しする駆動源37と、第1ピストン54に備えられる分離・接続部58とを有する。すなわち、1台の駆動源37で第1ピストン54及び分離・接続部58を移動させる。
仮に、第1ピストンの移動と分離・接続部の移動を各々の駆動源で行うと、駆動源が2台になり、静電塗装装置が大型化する。この点、本発明では、第1ピストン54及び分離・接続部58を、1台の駆動源37のみで移動させるため、静電塗装装置20を小型化できる。
また、静電塗装装置20のコストを低減することができる。
図7(a)に示すように、分離・ピストン押し工程で、第1ピストン54を押すことにより分離・接続部58を供給路側68から分離する。また、(b)に示すように、塗料押出し工程で、第1ピストン54を更に押すことにより塗料105を塗装機側へ押出す。
すなわち、分離・ピストン押し工程と塗料押出し工程の2工程を、第1ピストン54の前進動作で実施する。
結果、分離・接続部58の分離用駆動源を準備し、且つ塗料105の押出し用駆動源を準備する場合に対し、本発明では、1つの駆動源37で十分になる。
尚、本発明に係る被塗装物は、乗用車の車体に好適であるが、バスやトラック等の車両に適用可能である他、構造物や機械にも適用可能である。
本発明の静電塗装技術は、車体の塗装設備に好適である。
20…静電塗装装置、25…塗料供給部、26…供給路(1次供給配管)、30…中間貯留槽、31…供給路(2次供給配管)、32…塗装機(塗装ガン)、33…供給弁(1次供給弁)、37…駆動源、53…シリンダ、54…第1ピストン、55…第2ピストン、58…分離・接続部(移動側分離・接続部)、59…貫通穴、105…塗料。

Claims (2)

  1. 塗料供給部から塗装機へ塗料を供給し、この塗料に前記塗装機にて高電圧を印加し、前記塗装機から帯電した前記塗料を被塗装物へ噴射させ、この被塗装物に前記塗料が付着することにより、前記被塗装物に塗装を施す静電塗装装置において、
    前記塗料供給部から前記塗装機まで前記塗料が通過する供給路が設けられ、この供給路の途中に前記塗料を一旦貯留する中間貯留槽が設けられ、
    前記中間貯留槽は、筒状に延びるシリンダと、このシリンダ内に移動自在に設けられ前記塗料供給部側に位置する第1ピストンと、この第1ピストンに離間可能に接触し前記シリンダ内に移動自在に設けられる第2ピストンと、前記第1ピストンを押し戻しする駆動源と、前記第1ピストンに備えられ前記塗料供給部側の供給路に分離可能に接続される分離・接続部と、前記第2ピストンに開けた貫通穴と前記塗装機側の供給路とに接続される供給弁とからなることを特徴とする静電塗装装置。
  2. 請求項1記載の静電塗装装置を用いて実施する静電塗装方法において、
    前記駆動源により前記第1ピストンとこの第1ピストンに接触した第2ピストンとを、前記シリンダの塗料供給部側へ戻すピストン戻し工程と、
    前記駆動源により前記第1ピストンに備えられる前記分離・接続部を、前記塗料供給部側の供給路に接続する接続工程と、
    前記分離・接続部が前記塗料供給部側の供給路に接続されることにより、前記分離・接続部から流入する前記塗料で、前記第2ピストンを前記シリンダの塗装機側へ押出し、前記第1ピストンと前記第2ピストンの間に前記塗料を充填する塗料充填工程と、
    前記塗料充填後、前記駆動源により前記第1ピストンを押すことで、前記分離・接続部を前記塗料供給部側の供給路から分離すると共に、前記第1ピストンの押圧力を前記充填された塗料を介して前記第2ピストンへ伝達し、この第2ピストンを前記シリンダの塗装機側へ押す分離・ピストン押し工程と、
    前記供給弁を開状態にし、前記駆動源により前記第1ピストンを更に押すことで、前記充填された塗料を前記塗装機側へ押出す塗料押出し工程とを有することを特徴とする静電塗装方法。
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