JP2013224770A - ヒートパイプ用作動流体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒートパイプの熱輸送特性を格段に向上させることのできるヒートパイプ用の水ベース作動流体を提供する。また、熱輸送特性が格段に向上したヒートパイプを提供する。
【解決手段】水にアルキルポリグリコシドを添加したことを特徴とするヒートパイプ用作動流体。上記アルキルポリグリコシドの濃度は好ましくは50〜50,000ppm(体積基準)である。必要により、さらに、炭素数3以上のアルコールを0.01〜20wt%添加する。必要により、さらに、属又は金属酸化物ナノ粒子を10〜10,000ppm(体積基準)の濃度で添加する。
【選択図】図1
【解決手段】水にアルキルポリグリコシドを添加したことを特徴とするヒートパイプ用作動流体。上記アルキルポリグリコシドの濃度は好ましくは50〜50,000ppm(体積基準)である。必要により、さらに、炭素数3以上のアルコールを0.01〜20wt%添加する。必要により、さらに、属又は金属酸化物ナノ粒子を10〜10,000ppm(体積基準)の濃度で添加する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器、回転機械、燃焼装置、熱交換器等の発熱、除熱を要する機器全般に使用される汎用〔極低温、超高温等を除く。通常、−20℃〜160℃(好適には0℃〜140℃、より好適には10℃〜120℃)の範囲内で使用〕ヒートパイプに関する。より詳しくは、汎用ヒートパイプの熱輸送特性を格段に向上させることのできるヒートパイプ用の水ベース作動流体に関する。
ノートパソコン、コピー機、ゲーム機、プロジェクター、インバーター等に用いられている電子デバイスからの発熱の除去・輸送に、ヒートパイプが用いられている。CPUや各種素子の高性能化等に伴って除去・輸送すべき熱量が増大しており、ヒートパイプの熱輸送性能の向上が益々求められるようになっている。これら汎用ヒートパイプの作動流体として、専ら水が用いられているが、ヒートパイプの熱輸送性を向上するための一つの手段として、水との濡れ性が良好とは言えない容器材料やウィック材料である銅の表面処理が検討されてきており、その表面処理方法に各社固有のノウハウが存在している。しかし表面処理のみで長期間に亘り良好な濡れ性を確保することは難しく、濡れ性が悪いと熱輸送特性が低下し、現実問題として、個々のヒートパイプの熱輸送特性に有意なバラツキが生じているのが現状である。
一般に、液体の金属等への濡れ性改善のため、液体中に界面活性剤を添加することは公知であり、また、ヒートパイプの分野においても、作動流体に界面活性剤を添加することは特許文献1〜3により知られている。
特許文献1には、磁界で熱交換を制御することができるヒートパイプ用等のアルコールベース磁性作動流体であって、アルコールと界面活性剤と液晶化合物と磁性粒子とを含有するものが記載されている。しかしながら、この作動流体は、汎用的な水ベースのものではないし、また、界面活性剤は、磁性粒子の分散性を確保するためのものと考えられ、界面活性剤がヒートパイプの熱輸送性を向上することについては全く開示されていない。
特許文献2には、加熱開始から作動液が沸騰するまでの時間を短くしてヒートパイプの立ち上がり性を良好とするために、水やアルコール等の作動流体に突沸発生源としての粉粒体や界面活性剤を混入することが記載されている。実施例としては、ウィックを具備したヒートパイプの下端を湯に漬けて加熱し、重力等の作用により作動流体を下端の蒸発部に還流するものだけが記載されている。また、界面活性剤の例示としては、各種の陰イオン界面活性剤、陽イオン活性剤と並んで、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤が挙げられている。
しかしながら、実施例の界面活性剤としては、石けん(脂肪酸のアルカリ金属塩)が示されているだけで、しかも、粉粒体を用いた場合よりも立ち上がり性改善効果が劣るものとして示されているに過ぎない。また、界面活性剤は作動流体の毛細管力を低下させ、ウィックの作動液還流作用を低下させることが想定されるが、作動液還流に重力が利用できない場合(ウィックの毛細管力の作用のみで作動液を還流する場合)においても、ヒートパイプの立ち上がり性や熱輸送性を確保できることについては開示されていない。
しかしながら、実施例の界面活性剤としては、石けん(脂肪酸のアルカリ金属塩)が示されているだけで、しかも、粉粒体を用いた場合よりも立ち上がり性改善効果が劣るものとして示されているに過ぎない。また、界面活性剤は作動流体の毛細管力を低下させ、ウィックの作動液還流作用を低下させることが想定されるが、作動液還流に重力が利用できない場合(ウィックの毛細管力の作用のみで作動液を還流する場合)においても、ヒートパイプの立ち上がり性や熱輸送性を確保できることについては開示されていない。
特許文献3には、下部に受熱管部、上部に放熱管部を備えた環状パイプの受熱管部に蒸気膨張室、放熱管部に蒸気収縮室が夫々形成されたループ型のヒートパイプにおいて、水やエチルアルコール等の作動流体に界面活性剤を添加して起泡性を増大させ、蒸気膨張室内の蒸気が上昇管下部の作動流体中に気泡として放出され、この放出された気泡が浮力により気泡ポンプの役割を果たして循環推進力を促進し、熱輸送性(熱伝達性)を向上することが記載されている。界面活性剤としては、陰イオン系、陽イオン系、非イオン系及び両性イオン系のいずれもが使用できることが記載されている。
しかしながら、界面活性剤として具体的に記載されたものは、脂肪酸塩に過ぎず、また、熱輸送性(熱伝達性)がどの程度向上するかについても具体的な開示がなされていない。さらに、蒸気膨張室や蒸気収縮室が形成された特殊なループ型ヒートパイプに関する技術であって、一般的、汎用的なヒートパイプに応用できるものとは言えない。
しかしながら、界面活性剤として具体的に記載されたものは、脂肪酸塩に過ぎず、また、熱輸送性(熱伝達性)がどの程度向上するかについても具体的な開示がなされていない。さらに、蒸気膨張室や蒸気収縮室が形成された特殊なループ型ヒートパイプに関する技術であって、一般的、汎用的なヒートパイプに応用できるものとは言えない。
一方、ポンプにより熱媒体を管路を通して輸送し、該管路の所定箇所に設定された熱交換部で管路の外部と熱交換する熱交換方法において、前記熱媒体の中に界面活性剤を添加し、熱媒体と管路との摩擦抵抗を低減し、熱媒体の輸送に要するエネルギーを低減することは知られている。
例えば、特許文献4には、水系熱搬送媒体の配管内摩擦抵抗を低減する従来のカチオン系界面活性剤の環境負荷や配管内発泡の問題点を解決するため、界面活性剤としてアミンオキシド化合物を0.001〜5重量%の範囲で添加し、発泡を抑制するとともに、適切な形状のミセルを形成して配管内摩擦抵抗を低減する旨が記載されている。
例えば、特許文献4には、水系熱搬送媒体の配管内摩擦抵抗を低減する従来のカチオン系界面活性剤の環境負荷や配管内発泡の問題点を解決するため、界面活性剤としてアミンオキシド化合物を0.001〜5重量%の範囲で添加し、発泡を抑制するとともに、適切な形状のミセルを形成して配管内摩擦抵抗を低減する旨が記載されている。
しかしながら、摩擦抵抗の低下は、一方で熱交換部の熱伝達率の低下を招くので、熱交換部において、レイノルズ数を高くして摩擦抵抗及び熱伝達率を大きくする、熱交換部を流れる流体を撹拌機乱流化する等の工夫が必要となっていることも知られており(特許文献5,6参照)、一般的な熱交換における界面活性剤の技術をヒートパイプに直ちに応用できるとは言えない。
従来からヒートパイプの作動流体に適した物性として、一般に
・高い表面張力(ウィック内の毛細管力が増大)
・低い粘性率(ウィック内の流れの抵抗が低減)
・高い蒸発潜熱(液体の相変化による熱量が増大)
が望ましいと考えられており、これら物性、安全性、経済性等の視点から、常温近辺で用いられる汎用ヒートパイプには上述のとおり専ら水が用いられている。
・高い表面張力(ウィック内の毛細管力が増大)
・低い粘性率(ウィック内の流れの抵抗が低減)
・高い蒸発潜熱(液体の相変化による熱量が増大)
が望ましいと考えられており、これら物性、安全性、経済性等の視点から、常温近辺で用いられる汎用ヒートパイプには上述のとおり専ら水が用いられている。
しかし、界面活性剤を添加すると、これらの物性のうち表面張力が顕著に低下する。そのため、毛細管力が低下しウィックを通じた作動流体の蒸発部への還流が不十分となることが想定された。また、ウィックを設けず、高級アルコール水溶液等の作動流体を用いた場合においても、作動流体の蒸発部への還流に寄与する濃度差マランゴニ効果、温度差マランゴニ効果乃至表面張力勾配(濃度差マランゴニ効果、温度差マランゴニ効果については、特許文献7参照)が期待できなくなることが想定された。
それ故、汎用的なヒートパイプにおいては、一般的に、作動流体に界面活性剤を添加することはなされておらず、特許文献1〜3に記載されたような特殊なケースにおいて試行されているだけであった。
それ故、汎用的なヒートパイプにおいては、一般的に、作動流体に界面活性剤を添加することはなされておらず、特許文献1〜3に記載されたような特殊なケースにおいて試行されているだけであった。
以上のような従来技術を背景とし、本発明は、汎用ヒートパイプの熱輸送特性を格段に向上させることのできるヒートパイプ用の水ベース作動流体を提供することを課題とする。
また、本発明は、熱輸送特性が格段に向上したヒートパイプを提供することを課題とする。
また、本発明は、熱輸送特性が格段に向上したヒートパイプを提供することを課題とする。
本発明者らは、ヒートパイプの熱輸送特性向上を課題とした研究過程において、特定の界面活性剤を添加した水ベースの作動流体を用いた場合に熱輸送特定が予想外に顕著に向上することを知見した。
さらに、特定の界面活性剤と所定のアルコールの両方を水に添加した場合に、蒸発部への作動水の還流性能が格段に向上し、ドライアウトが抑制され、最大熱輸送量が増大することを知見した。
さらに、特定の界面活性剤と所定のアルコールの両方を水に添加した場合に、蒸発部への作動水の還流性能が格段に向上し、ドライアウトが抑制され、最大熱輸送量が増大することを知見した。
本発明は、上記のような知見に基づくものであり、以下のような構成を備える。
(1)水にアルキルポリグリコシドを添加したことを特徴とするヒートパイプ用作動流体。
(2)上記アルキルポリグリコシドの濃度を50〜50,000ppm(体積基準)としたことを特徴とする上記(1)に記載のヒートパイプ用作動流体。
(3)さらに炭素数3以上のアルコールを0.01〜20wt%添加したことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のヒートパイプ用作動流体。
(4)さらに金属又は金属酸化物ナノ粒子を10〜10,000ppm(体積基準)の濃度で添加したことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のヒートパイプ用作動流体。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の作動流体が封入されたヒートパイプ。
(6)ウィックを具備するものである上記(5)のヒートパイプ。
(1)水にアルキルポリグリコシドを添加したことを特徴とするヒートパイプ用作動流体。
(2)上記アルキルポリグリコシドの濃度を50〜50,000ppm(体積基準)としたことを特徴とする上記(1)に記載のヒートパイプ用作動流体。
(3)さらに炭素数3以上のアルコールを0.01〜20wt%添加したことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のヒートパイプ用作動流体。
(4)さらに金属又は金属酸化物ナノ粒子を10〜10,000ppm(体積基準)の濃度で添加したことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のヒートパイプ用作動流体。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の作動流体が封入されたヒートパイプ。
(6)ウィックを具備するものである上記(5)のヒートパイプ。
本発明によれば、熱輸送能力が増大し、熱抵抗が低減することにより、発熱部を冷却するヒートパイプの必要本数を減らすことができ、しかも冷却効果が高いため、例えば冷却に要するファンの動力を減らすことが可能となる。すなわち、高い省エネルギー効果、良好な経済性を同時に満たす冷却システムが実現できる。また、ヒートパイプの性能劣化の最大の要因と考えられる作動流体と容器内面との濡れ性も良好な状態が維持できるため、ヒートパイプの性能のバラツキが無く、かつ長期間に亘り良好な熱輸送特性が維持できる。
本発明においては、ヒートパイプ用の作動流体として、水にアルキルポリグリコシドから選ばれる1種又は2種以上の化合物を添加したものを用いる。該アルキルポリグリコシドは、非イオン性界面活性剤として公知のものであり、次式で表される。
R1O(R2O)x(G)y
〔式中、R1は直鎖又は分岐を有する炭素数6〜30(好ましくは8〜18)のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルフェニル基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、Gは5単糖残基又は6単糖残基(好ましくはグルコース、ガラクトース、又は、フルクトースの残基)を表し、x(平均値)は0〜12(好ましくは0〜5)、y(平均値)は1〜10(好ましくは1〜5)の数値を表す。〕
R1O(R2O)x(G)y
〔式中、R1は直鎖又は分岐を有する炭素数6〜30(好ましくは8〜18)のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルフェニル基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、Gは5単糖残基又は6単糖残基(好ましくはグルコース、ガラクトース、又は、フルクトースの残基)を表し、x(平均値)は0〜12(好ましくは0〜5)、y(平均値)は1〜10(好ましくは1〜5)の数値を表す。〕
本発明において使用するアルキルポリグリコシドとしては、限定されないが、例えば、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド等が、市販品としては、例えば、商品名Plantacare(登録商標)818 UP(Cognis社)等を好適に用いることができる。
本発明で使用するアルキルポリグリコシドは、後述の実施例の記載に見られるように、作動流体の熱輸送特性を予想外に顕著に増大させる。具体的には、次のような特異な沸騰伝熱促進効果を奏する。すなわち、
・通常の界面活性剤は、最適濃度が存在し、高濃度では逆に伝熱劣化に至るが、本発明で使用するアルキルポリグリコシドは、濃度が増すほど促進効果も増大し、一定以上の濃度では促進効果が飽和する。
・通常の沸騰伝熱は、熱流束の増大に伴って、加熱面温度も上昇するが、アルキルポリグリコシドを添加した水では、逆に熱流束が増大しても、加熱面温度はむしろ低下する。
・通常の界面活性剤は、最適濃度が存在し、高濃度では逆に伝熱劣化に至るが、本発明で使用するアルキルポリグリコシドは、濃度が増すほど促進効果も増大し、一定以上の濃度では促進効果が飽和する。
・通常の沸騰伝熱は、熱流束の増大に伴って、加熱面温度も上昇するが、アルキルポリグリコシドを添加した水では、逆に熱流束が増大しても、加熱面温度はむしろ低下する。
アルキルポリグリコシドの熱輸送特性増大に寄与するメカニズムは必ずしも明確ではないが、作動流体の容器材料やウィック材料に対する濡れ性向上による容器材料と作動流体との間の伝熱性向上、沸騰気泡寸法の顕著な縮減と沸騰気泡密度の顕著な増大よる作動流体の流動抵抗の低減、作動流体の還流に影響する毛細管力への影響等の機能が複合的に関与しているものと考えられる。
ヒートパイプ用作動流体におけるアルキルポリグリコシドの濃度は、体積基準で好ましくは50〜50,000ppm、より好ましくは100〜7,000ppm、さらに好ましくは500〜5,000ppmである。濃度は低くても熱輸送向上効果はあるが、50ppm以上で有意な効果が見られる。それ以上の添加量では、添加量の増加と共に効果も増大するが、5,000ppmを超えると、逆効果になることはないものの、効果は飽和する。
本発明の作動流体は、さらに炭素数3以上、好ましくは炭素数4〜10のアルコールを0.01〜20wt%、好ましくは0.1〜10wt%、さらに好ましくは1〜7wt%含有することができる。
該炭素数3以上のアルコールとしては、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ナノノール、デカノール等の直鎖モノアルコール類、ジメチルヘプタノール、ジメチルペンタノール、メチルオクタノール等の分岐モノアルコール類、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール等のグリコール類が挙げられる。好ましいアルコールとしては、比較的水に対する溶解度が高いブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールが挙げられる。
該炭素数3以上のアルコールとしては、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ナノノール、デカノール等の直鎖モノアルコール類、ジメチルヘプタノール、ジメチルペンタノール、メチルオクタノール等の分岐モノアルコール類、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール等のグリコール類が挙げられる。好ましいアルコールとしては、比較的水に対する溶解度が高いブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールが挙げられる。
本発明の作動流体は、さらに、金属又は金属酸化物のナノ粒子を、体積基準で10〜10,000ppm、好ましくは100〜5,000ppm、さらに好ましくは200〜2,000ppm含有することができる。
該金属や該金属酸化物の金属元素としては、限定するものではないが、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等が挙げられる。
該金属や該金属酸化物の金属元素としては、限定するものではないが、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等が挙げられる。
上記炭素数3以上のアルコールは、単独で又は前記ナノ粒子と共に水に添加され、作動流体の毛細管力や温度差マランゴニ効果に影響して、作動流体の蒸発部への還流作用を補助する。特に、熱入力値が大きい範囲でその効果が大きい。
本発明の作動流体は、その熱輸送特性を大きく低下しない範囲で、凝固点調整剤等の他の公知の添加剤を含有することもできる。
凝固点調整剤としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸リチウム、ギ酸カルシウム、ギ酸マグネシウム等のギ酸塩、アンモニアなどが挙げられる。
凝固点調整剤としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸リチウム、ギ酸カルシウム、ギ酸マグネシウム等のギ酸塩、アンモニアなどが挙げられる。
本発明におけるヒートパイプ用作動流体は、次のような作用により熱輸送特性を顕著に増大させるものと考えられる。
・発生気泡が微細化されているため、気泡による流路の閉塞が抑制される
・沸騰熱伝達が顕著に促進される
・構造材料、容器材料との良好な濡れ性が維持できる
・容器、配管等内の流動抵抗が低減される
そのため、本発明におけるヒートパイプ用作動流体は、通常のウィック型ヒートパイプに限らず、ウィックの無いサーモサイフォン、ベーパーチャンバー、自励振動ヒートパイプ、ループヒートパイプ、キャピラリーポンプ等の様々なヒートパイプのバリエーションの他、気液相変化を利用した伝熱デバイス全般に使用しても同様の効果が期待できる。
・発生気泡が微細化されているため、気泡による流路の閉塞が抑制される
・沸騰熱伝達が顕著に促進される
・構造材料、容器材料との良好な濡れ性が維持できる
・容器、配管等内の流動抵抗が低減される
そのため、本発明におけるヒートパイプ用作動流体は、通常のウィック型ヒートパイプに限らず、ウィックの無いサーモサイフォン、ベーパーチャンバー、自励振動ヒートパイプ、ループヒートパイプ、キャピラリーポンプ等の様々なヒートパイプのバリエーションの他、気液相変化を利用した伝熱デバイス全般に使用しても同様の効果が期待できる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更、材料変更、設定調整等を行うことができることはいうまでもない。
(実施例1、実施例2、比較例1)
メッシュ型ウィックを有する幅50mm、長さ250mm、厚さ5mmのプレート型ヒートパイプを水平に設置し、一端を蒸発部、他端を凝縮部とした。作動流体として、水にアルキルポリグリコシド〔Plantacare818 UP、Cognis社)〕を添加したもの(実施例1)、水にアルキルポリグリコシド〔Plantacare818 UP、Cognis社)〕と1-ブタノールを添加したもの(実施例2)、水のみのもの(比較例1)について、それぞれ、熱入力を変化させた場合の熱抵抗を調べた。その結果を図1に示す。
メッシュ型ウィックを有する幅50mm、長さ250mm、厚さ5mmのプレート型ヒートパイプを水平に設置し、一端を蒸発部、他端を凝縮部とした。作動流体として、水にアルキルポリグリコシド〔Plantacare818 UP、Cognis社)〕を添加したもの(実施例1)、水にアルキルポリグリコシド〔Plantacare818 UP、Cognis社)〕と1-ブタノールを添加したもの(実施例2)、水のみのもの(比較例1)について、それぞれ、熱入力を変化させた場合の熱抵抗を調べた。その結果を図1に示す。
水のみを作動流体とした比較例1では、所定の熱入力値までは熱抵抗は減少したが、それ以上熱入力が増加すると、加熱面温度が上昇し、熱抵抗が増大した。
一方、アルキルポリグリコシドを添加した実施例1では、比較例1の前記所定の熱入力値を超えて、熱抵抗は減少し、さらに熱入力を増加しても熱抵抗はあまり変化せず、低い値に止まった。熱入力の最大値(アルキルポリグリコシド線図の右端)は、最大熱輸送量Qmax(W)を記録した部分であり、該最大値を超すとドライアウトが生じ、急激に熱抵抗が増大した。最大熱輸送量Qmax(W)は、比較例1の約2倍で、熱抵抗も20%程度低かった。そのため、水のみを用いた場合に比べて、ヒートパイプの本数を半分に減らすことができ、また、発熱体を冷却する場合、同じ冷却条件で被冷却体をより低い温度まで冷やすことが可能となる。
アルキルポリグリコシドと1-ブタノールを添加した実施例2では、熱入力が小さい範囲においては、実施例1よりも熱抵抗がやや大きかったが、熱入力が大きい範囲では、実施例1と同等かそれ以下に熱抵抗が低下した。実施例1の熱入力最大値よりも熱入力をさらに増加させても熱抵抗は低い値に止まり、Qmaxは確認できず、さらに高い熱入力が可能であることが明らかとなった。
以上の結果から、水にアルキルポリグリコシドを添加した作動流体は、従来の水のみの作動流体に比べ、低い熱抵抗、大きな最大熱輸送量等の点で、熱輸送特性が顕著に優れていることが明らかとなった。
水にアルキルポリグリコシドと1-ブタノールを添加した作動流体は、アルキルポリグリコシドのみを添加した作動流体よりも、さらに大きな最大熱輸送量が可能となる点で、熱輸送特性がより一層優れていることが明らかとなった。
水にアルキルポリグリコシドと1-ブタノールを添加した作動流体は、アルキルポリグリコシドのみを添加した作動流体よりも、さらに大きな最大熱輸送量が可能となる点で、熱輸送特性がより一層優れていることが明らかとなった。
(比較例2)
界面活性剤として、上記アルキルポリグリコシドの替わりに陽イオン性界面活性剤のCTAB(Cetyltrimethylammonium bromide)を用いた以外は実施例1と同様にしたところ、上記アルキルポリグリコシドの最大熱輸送量Qmaxの約40%までの熱入力範囲における熱抵抗値は、上記アルキルポリグリコシドと同程度であったが、40〜50%の熱入力で加熱部に局所的にドライアウトが生じて熱抵抗が増大した。
界面活性剤として、上記アルキルポリグリコシドの替わりに陽イオン性界面活性剤のCTAB(Cetyltrimethylammonium bromide)を用いた以外は実施例1と同様にしたところ、上記アルキルポリグリコシドの最大熱輸送量Qmaxの約40%までの熱入力範囲における熱抵抗値は、上記アルキルポリグリコシドと同程度であったが、40〜50%の熱入力で加熱部に局所的にドライアウトが生じて熱抵抗が増大した。
(比較例3)
界面活性剤として、上記アルキルポリグリコシドの替わりに非イオン性界面活性剤のTween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)を用いた以外は実施例1と同様にしたところ、上記アルキルポリグリコシドの最大熱輸送量Qmaxの約70%の熱入力で、ヒートパイプとしての作動上限温度に達し、これ以上の熱入力での動作は不可能であった。
界面活性剤として、上記アルキルポリグリコシドの替わりに非イオン性界面活性剤のTween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)を用いた以外は実施例1と同様にしたところ、上記アルキルポリグリコシドの最大熱輸送量Qmaxの約70%の熱入力で、ヒートパイプとしての作動上限温度に達し、これ以上の熱入力での動作は不可能であった。
以上のような実施例、比較例から、水にアルキルポリグリコシドを添加したヒートパイプ用作動流体は、他の界面活性剤を添加した水よりも顕著に向上した熱輸送特性を示すことが明らかとなった。
以上説明したように、本発明によれば、単に作動流体に極わずかな量のアルキルポリグリコシドを添加するだけで、大きなコストアップを招くことなく、熱輸送性能が向上し、ロット間の熱輸送性能のバラツキが小さくなり、長期間に亘り良好な熱輸送性能が維持される。これらの特長は、ノートパソコン、コピー機、ゲーム機、プロジェクター、インバーター等に用いられている電子デバイスからの発熱の除去・輸送に用いられてきた従来の水を用いた全てのヒートパイプにとって代わることが期待される。
Claims (6)
- 水にアルキルポリグリコシドを添加したことを特徴とするヒートパイプ用作動流体。
- 上記アルキルポリグリコシドの濃度を50〜50,000ppm(体積基準)としたことを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ用作動流体。
- さらに炭素数3以上のアルコールを0.01〜20wt%添加したことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートパイプ用作動流体。
- さらに金属又は金属酸化物ナノ粒子を10〜10,000ppm(体積基準)の濃度で添加したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒートパイプ用作動流体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の作動流体が封入されたヒートパイプ。
- ウィックを具備するものである請求項5のヒートパイプ。
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JP2012096553A JP2013224770A (ja) | 2012-04-20 | 2012-04-20 | ヒートパイプ用作動流体 |
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