本発明は、シートに画像を記録する画像記録装置に関し、特に、シートの両面に画像を記録可能な画像記録装置に関する。
従来より、シートの両面に画像を記録することができる画像記録装置が知られている。特許文献1には、この種の画像記録装置の一例として、両面画像形成装置が開示されている。当該両面画像形成装置においては、シート供給部から送り出されたシートが搬送ローラによって感光ドラムなどで構成された画像形成手段へ搬送される。画像形成手段においてシートの表面に画像が記録される。表面に画像が記録されたシートは画像形成手段の下流側で排出ローラによってスイッチバックされる。スイッチバックされたシートは、画像形成手段の下方に設けられた再供給搬送路を経て、再び搬送ローラに到達する。シートは表面に画像を形成されたときと同様にして、画像形成手段によって裏面に画像が記録される。その後、両面に画像が記録されたシートは排出ローラによって排出トレイに排出され
る。
また、当該両面画像形成装置は、シートを収納するシートカセットの上方に設けられ、所定の回転軸を中心に上下方向に回動自在に設けられたアーム(以下、給紙アームと記す。)と、給紙アームの端部に設けられ、回転することによってシートカセットに収納されたシートを送り出すシート供給ローラとを備えている。
上述の両面画像形成装置などのシートの両面に画像を記録することができる画像記録装置においては、再供給搬送路から搬送ローラ又は画像形成手段へ至る経路が湾曲状である。そして、この湾曲状の経路の曲率は、シートの搬送抵抗を減らすために小さくする必要がある。しかし、曲率を小さくすると曲率半径が大きくなるため、画像記録装置の内部において湾曲状の経路が占める領域が大きくなり、画像記録装置が大型化してしまう。
また、画像記録装置が、シートカセットを当該画像記録装置から挿抜する際に、給紙アームをシートカセットより上方の退避領域に回動する必要がある構成である場合、給紙アームと給紙アームの上方に位置する再供給搬送路との間に退避領域を設ける必要があり、画像記録装置が大型化してしまう。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送経路の小さな曲率と給紙アームの退避領域を確保しつつも、装置の大型化を防止することのできる画像記録装置を提供することにある。
(1) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に
設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガイド部材と、上記記録部と上記トレイの間に回動自在に設けられ、先端側が上記トレイに接近する第1姿勢と、上記トレイの引き抜きに応じて先端側が上記トレイから離間して上記トレイの挿抜領域から退避する第2姿勢との間で回動するアームと、上記アームの先端側に回転可能に設けられ、上記トレイに載置されたシートを上記第1搬送路へ供給する第1ローラと、上記記録部と上記アームの間に回動自在に設けられ、画像記録済のシートを上記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成する第3姿勢と、先端側が上記第3姿勢よりも上記記録部側へ接近し、かつ上記第2搬送路の間隔を狭くする第4姿勢との間で回動する第2ガイド部材と、を備え、上記第2ガイド部材が上記第3姿勢をとるための領域は上記アームが上記第2姿勢をとるための領域と重なっており、上記アームが上記第2姿勢をとるときに上記第4姿勢をとる。
上述の構成においては、画像記録装置においてシートが搬送されるとき、アームは、トレイに載置されたシートを第1搬送路へ供給するために第1姿勢をとる。このとき、第2ガイド部材は、第2搬送路の一部を形成するために第3姿勢をとる。トレイが画像記録装置に対して挿抜されるとき、アームは第2姿勢に回動してトレイの挿抜領域から退避する。そして、第2ガイド部材が第3姿勢をとるための領域はアームが第2姿勢をとるための領域と重なっており、アームが第2姿勢をとるときに第2ガイド部材は第4姿勢をとる。これにより、第2ガイド部材の第3姿勢は、アームの回動領域内に位置できる。
(2) 上記アームの回動軸は、上記第2ガイド部材の回動軸と同一である。
アームの回動軸と第2ガイド部材の回動軸とを同一にすることで、回動軸を設けるための領域を共通にすることができる。さらに、アームの回動領域と第2ガイド部材の回動領域とを共通にすることができるため、装置の大型化を防ぐことができる。
(3) 上記第2ガイド部材の上方に上記第2ガイド部材に向かって凸設された第3ガイド
部材と、上記第2ガイド部材における上記第3ガイド部材に対向する位置に設けられ、上記第2ガイド部材が上記第4姿勢に回動した状態において上記第3ガイド部材が収容される第1収容部とを更に備える。
第2ガイド部材は、第4姿勢より下方の第3姿勢において第2搬送路の一部を形成している。これにより、第3ガイド部材を設けない場合、第2ガイド部材によって形成される第2搬送路は、上下方向の幅が大きくなる。すると、搬送されるシートが第2搬送路において上下方向に振れて、ジャムが発生してしまうおそれがある。しかし、上述の構成によれば、第3ガイド部材によって第2搬送路の上下方向の幅が小さくなるため、第2搬送路におけるシートのジャムを防止できる。
(4) 上記第3ガイド部材は、上記第2ガイド部材のシートの搬送方向における中央部に
対向する位置に配置される。
第3ガイド部材が上記位置にあることで、第2ガイド部材上を搬送されるシートが確実に第2ガイド部材の上面に沿うように搬送される。
(5) 上記第3ガイド部材は、上記第2ガイド部材におけるシートの搬送方向に直交する
方向において、複数個配置される。
例えば、第3ガイド部材が、第2ガイド部材の上記方向における端部に配置されることにより、大きいサイズのシートに対して対応可能である。また、中央付近に配置されることにより、小さいサイズのシートに対して対応可能である。つまり、上述の構成により、第3ガイド部材は種々のサイズのシートに対して対応可能となる。
(6) 上記トレイのシートが載置される載置面において、シートが給送される第1方向と
直交する第2方向の両端部から、上記第1方向に沿って立設された側板と、上記アームに設けられ、上記トレイが装置に対して挿抜される際に上記側板に当接可能であり、上記側板によって上記アームが上記第2姿勢へ回動される向きへ押される底板と、を備える。
上述の構成により、アームを第2姿勢へ回動させるための部材を新たに設ける必要がない。
(7) 上記アームに設けられ、上記アームが上記第2姿勢に回動する際に上記第2ガイド
部材と当接する第1当接部と、上記第2ガイド部材に設けられ、上記アームが上記第2姿勢に回動する際に上記第1当接部に当接し、上記第2ガイド部材が上記第4姿勢に回動する向きへ上記第1当接部によって押される第2当接部と、を備える。
上述の構成により、第2ガイド部材を第4姿勢へ回動させるための部材を新たに設ける必要がないため、より薄型化と搬送経路の曲率を小さくすることを両立できる。
(8) 上記トレイにおいてシートが載置される載置面から、シートが給送される第1方向
に沿って立設し、上記載置面に沿って移動可能であり、上記載置面に積載されたシートの端に当接可能な一つまたは一対の第4ガイド部材と、上記第2ガイド部材における上記第4ガイド部材に対向する位置に設けられ、上記第4ガイド部材に当接可能な第3当接部とを更に備える。
第2ガイド部材が薄板形状である場合、第2ガイド部材におけるシートの搬送向きに直交する方向の中央部分が、第2ガイド部材の自重やシートの搬送抵抗により、下方へ撓んでしまうおそれがある。しかし、上述の構成においては、第2ガイド部材の下方への撓みが、第4ガイド部材によって規制されるため、シートの搬送が安定する。
(9) 上記第2ガイド部材は、上記第3姿勢の状態において上記トレイの上面に当接する
第4当接部を備える。
上述の構成により、第2ガイド部材がトレイによって支持される。これにより、第2ガイド部材の位置を安定させることができ、第2搬送路におけるシートの搬送が安定する。また、アームに第2ガイド部材の荷重がかからないため、第1ローラによるシートの給送に影響を及ぼすことがない。
(10) 上記第2ガイド部材を下向きへ付勢する弾性部材を更に備える。
第2ガイド部材は、トレイによる支持に加えて、弾性部材によって下向きへ付勢されている。このため、第2ガイド部材の位置が、より安定可能である。
(11) 上記第2ガイド部材の上方に配置される支持部材と、上記支持部材における上記第2ガイド部材の上面に対向する位置に設けられた緩衝部材と、を更に備える。
トレイが画像記録装置に対して挿抜されるときや、画像記録装置が輸送されるときなどにおいて、第2ガイド部材は、その回動により上方の記録部を支持する支持部材に衝突するおそれがある。上述の構成においては、支持部材に緩衝部材が設けられているため、上述のような衝突が発生した場合であっても、第2ガイド部材の破損を防止可能である。
(12) 上記第2ガイド部材は、上記トレイが装置から抜かれた状態において、先端側が上記第3姿勢よりも上記記録部と離間する第5姿勢へ回動する。
第2ガイド部材が第5姿勢をとった場合、第2搬送路が開放される。したがって、第2搬送路においてシートが詰まった場合であっても、シートを容易に取り除くことができる。
(13) 上記第2ガイド部材は、シートが搬送される面の上記第1ローラに対向する位置に設けられ、上記アームが上記第2姿勢の状態において上記第1ローラが収容される開口部を更に備える。
上述の構成により、アームは、より上方において第2姿勢をとることができる。これにより、装置の大型化を防ぐことができる。
(14) 上記第1搬送路に設けられ、シートの上記第1搬送路の搬送を補助する第5ガイド部材と、上記第2ガイド部材における上記第2搬送路の下流側の端部であって上記第5ガイド部材に対向する位置に設けられ、上記第2ガイド部材が上記第4姿勢の状態において上記第5ガイド部材が収容される第2収容部と、を更に備える。
第2ガイド部材が第4姿勢に位置するときに、第2ガイド部材に設けられた第2収容部により、第1搬送路に設けられた第5ガイド部材を退避することができる。これにより、装置の大型化を防ぐことができる。
(15) 上記第2ガイド部材は、シートの搬送方向の下流側に、上記第2搬送路に直交しかつ搬送されるシートの面に沿った方向を軸方向として回転する第2ローラを更に備える。
第2ガイド部材上を搬送されるシートが第1搬送路に突入したとき、シートには特に大きな抵抗が生じる。そのため、シートは第2ガイド部材のシートの搬送方向における下流側の上面に当接する。したがって、シートが当接する位置に第2ローラを配置することにより搬送抵抗を緩和し、シートの搬送をスムーズに行うことができる。
(16) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガイド部材と、上記記録部と上記トレイの間に回動自在に設けられ、先端側が上記トレイに接近する第1姿勢と、先端側が上記トレイから離間して上記トレイの挿抜領域から退避する第2姿勢との間で回動するアームと、上記アームの先端側に回転可能に設けられ、上記トレイに載置されたシートを上記第1搬送路へ供給する第1ローラと、上記記録部と上記アームの間に回動自在に設けられ、画像記録済のシートを上記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成する第3姿勢と、先端側が上記第3姿勢よりも上記記録部側へ接近する第4姿勢との間で回動する第2ガイド部材であって、上記第2ガイド部材が上記第3姿勢をとるための領域は上記アームが上記第2姿勢をとるための領域と重なっており、上記アームが上記第2姿勢をとるときに上記第4姿勢をとる第2ガイド部材と、上記第2ガイド部材の上方に上記第2ガイド部材に向かって凸設された第3ガイド部材と、上記第2ガイド部材における上記第3ガイド部材に対向する位置に設けられ、上記第2ガイド部材が上記第4姿勢に回動した状態において上記第3ガイド部材が収容される第1収容部とを、備えたものであってもよい。
(17) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガイド部材と、上記記録部と上記トレイの間に回動自在に設けられ、先端側が上記トレイに接近する第1姿勢と、先端側が上記トレイから離間して上記トレイの挿抜領域から退避する第2姿勢との間で回動するアームと、上記アームの先端側に回転可能に設けられ、上記トレイに載置されたシートを上記第1搬送路へ供給する第1ローラと、上記記録部と上記アームの間に回動自在に設けられ、画像記録済のシートを上記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成する第3姿勢と、先端側が上記第3姿勢よりも上記記録部側へ接近する第4姿勢との間で回動する第2ガイド部材であって、上記第2ガイド部材が上記第3姿勢をとるための領域は上記アームが上記第2姿勢をとるための領域と重なっており、上記アームが上記第2姿勢をとるときに上記第4姿勢をとる第2ガイド部材と、上記トレイにおいてシートが載置される載置面から、シートが給送される第1方向に沿って立設し、上記載置面に沿って移動可能であり、上記載置面に積載されたシートの端に当接可能な一つまたは一対の第4ガイド部材と、上記第2ガイド部材における上記第4ガイド部材に対向する位置に設けられ、上記第4ガイド部材に当接可能な第3当接部と、を備えたものであってもよい。
(18) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガ
イド部材と、上記記録部と上記トレイの間に回動自在に設けられ、先端側が上記トレイに接近する第1姿勢と、先端側が上記トレイから離間して上記トレイの挿抜領域から退避する第2姿勢との間で回動するアームと、上記アームの先端側に回転可能に設けられ、上記トレイに載置されたシートを上記第1搬送路へ供給する第1ローラと、上記記録部と上記アームの間に回動自在に設けられ、画像記録済のシートを上記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成する第3姿勢と、先端側が上記第3姿勢よりも上記記録部側へ接近する第4姿勢との間で回動する第2ガイド部材であって、上記第2ガイド部材が上記第3姿勢をとるための領域は上記アームが上記第2姿勢をとるための領域と重なっており、上記アームが上記第2姿勢をとるときに上記第4姿勢をとる第2ガイド部材と、を備え、上記第2ガイド部材は、上記第3姿勢の状態において上記トレイの上面に当接する第4当接部を備えたものであってもよい。
(19) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガイド部材と、上記記録部と上記トレイの間に回動自在に設けられ、先端側が上記トレイに接近する第1姿勢と、先端側が上記トレイから離間して上記トレイの挿抜領域から退避する第2姿勢との間で回動するアームと、上記アームの先端側に回転可能に設けられ、上記トレイに載置されたシートを上記第1搬送路へ供給する第1ローラと、上記記録部と上記アームの間に回動自在に設けられ、画像記録済のシートを上記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成する第3姿勢と、先端側が上記第3姿勢よりも上記記録部側へ接近する第4姿勢との間で回動する第2ガイド部材であって、上記第2ガイド部材が上記第3姿勢をとるための領域は上記アームが上記第2姿勢をとるための領域と重なっており、上記アームが上記第2姿勢をとるときに上記第4姿勢をとる第2ガイド部材と、上記第2ガイド部材の上方に配置される支持部材と、上記支持部材における上記第2ガイド部材の上面に対向する位置に設けられた緩衝部材と、を備えたものであってもよい。
(20) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガイド部材と、上記記録部と上記トレイの間に回動自在に設けられ、先端側が上記トレイに接近する第1姿勢と、先端側が上記トレイから離間して上記トレイの挿抜領域から退避する第2姿勢との間で回動するアームと、上記アームの先端側に回転可能に設けられ、上記トレイに載置されたシートを上記第1搬送路へ供給する第1ローラと、上記記録部と上記アームの間に回動自在に設けられ、画像記録済のシートを上記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成する第3姿勢と、先端側が上記第3姿勢よりも上記記録部側へ接近する第4姿勢との間で回動する第2ガイド部材であって、上記第2ガイド部材が上記第3姿勢をとるための領域は上記アームが上記第2姿勢をとるための領域と重なっており、上記アームが上記第2姿勢をとるときに上記第4姿勢をとる第2ガイド部材と、上記第1搬送路に設けられ、シートの上記第1搬送路の搬送を補助する第5ガイド部材と、上記第2ガイド部材における上記第2搬送路の下流側の端部であって上記第5ガイド部材に対向する位置に設けられ、上記第2ガイド部材が上記第4姿勢の状態において上記第5ガイド部材が収容される第2収容部と、を備えたものであってもよい。
(21) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガイド部材と、上記記録部と上記トレイの間に回動自在に設けられ、先端側が上記トレイに接近する第1姿勢と、先端側が上記トレイから離間して上記トレイの挿抜領域から退避す
る第2姿勢との間で回動するアームと、上記アームの先端側に回転可能に設けられ、上記トレイに載置されたシートを上記第1搬送路へ供給する第1ローラと、上記記録部と上記アームの間に回動自在に設けられ、画像記録済のシートを上記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成する第3姿勢と、先端側が上記第3姿勢よりも上記記録部側へ接近する第4姿勢との間で回動する第2ガイド部材であって、上記第2ガイド部材が上記第3姿勢をとるための領域は上記アームが上記第2姿勢をとるための領域と重なっており、上記アームが上記第2姿勢をとるときに上記第4姿勢をとる第2ガイド部材と、を備え、上記第2ガイド部材は、シートの搬送方向の下流側に、上記第2搬送路に直交しかつ搬送されるシートの面に沿った方向を軸方向として回転する第2ローラを備えたものであってもよい。
本発明においては、第2搬送路の曲率を小さくして搬送路の曲率半径を大きくすることと、アームが第1姿勢と第2姿勢との回動する領域を確保することとを両立しつつも、装置の大型化を防ぐことができる。
図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3は、給紙カセット78と支持部材43の斜視図である。
図4は、給紙カセット78の斜視図である。
図5は、回動ガイド部材70の斜視図であり、(A)には回動ガイド部材70を斜め下から見た状態が示されており、(B)には回動ガイド部材70を斜め上から見た状態が示されている。
図6は、プリンタ部11の内部構造を示す縦断面図であり、(A)には回動ガイド部材70が搬送姿勢の状態が示されており、(B)には回動ガイド部材70が退避姿勢の状態が示されている。
図7は、搬送姿勢よりも記録部24と離間する姿勢の回動ガイド部材70の縦断面図である。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
図1に示されるように、複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリント機能としては、記録用紙の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。なお、プリント機能以外の機能の有無は任意である。プリンタ部11は、正面に開口13が形成されたケーシング(筐体)14を有し、各種サイズの記録用紙(本発明のシートの一例)を載置可能なトレイ20(本発明のトレイの一例)を備えた給紙カセット78(図2参照)が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。複合機10の正面上部には、操作パネル17が設けられている。操作パネル17は、プリンタ部11を操作するための装置である。複合機10は、操作パネル17からの操作入力に基づいて動作する。
[プリンタ部11の構成]
次に、図2が参照されながら、プリンタ部11の構成が説明される。なお、図2では、給紙カセット78の前方側(紙面右側)の図示が省略されている。給紙カセット78は、各種サイズの記録用紙を載置可能なトレイ20と、画像が記録されて複合機10から排出された記録用紙が保持される排紙保持部79を備えている。
プリンタ部11は、トレイ20から記録用紙をピックアップして給紙(給送)する給紙部15と、給紙部15によって給紙された記録用紙にインク滴を吐出して記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)と、経路切換部41などを備えている。なお、記録部24はインクジェット方式に限られず、電子写真方式などの種々の記録方式のものが適用可能である。
[搬送路65]
プリンタ部11の内部には、トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙保持部79に至る搬送路65が形成されている。搬送路65は、トレイ20の先端から記録部24に至る間に形成された湾曲路65A(本発明の第1搬送路の一例)と、記録部24から排紙保持部79に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。
湾曲路65Aは、トレイ20に設けられた分離傾斜板22の上端付近から記録部24に渡って延設された湾曲状の通路である。湾曲路65Aは、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。トレイ20から給送される記録用紙は、湾曲路65Aを介して、記録部24へ案内される。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって区画されている。つまり、外側ガイド部材18と内側ガイド部材19は、本発明の第1ガイド部材の一例である。なお、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19、更に後述する上側ガイド部材82、下側ガイド部材83、上側傾斜ガイド部材32、下側傾斜ガイド部材33、及び支持部材43(本発明の支持部材の一例)は、いずれも、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている。
湾曲路65Aには、搬送コロ64(本発明の第5ガイド部材の一例)が設けられている。搬送コロ64は、外側ガイド部材18又は内側ガイド部材19からローラ面を露出するようにして、湾曲路65Aの幅方向を軸方向として回転自在に設けられている。搬送コロ64は、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19において、湾曲路65Aと直交する向きに複数個が並んで一列に配置されている。また、搬送コロ64は、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19において、記録用紙の搬送方向の上流側から下流側に渡って複数列配置されている。搬送コロ64によって、湾曲路65Aが曲がっている箇所においてガイド面に接触する記録用紙の搬送が円滑となる。つまり、搬送コロ64は、湾曲路65Aに設けられ、記録用紙の湾曲路65Aの搬送を補助する。なお、本発明の第5ガイド部材は、回転自在なコロに限らず、例えば、駆動源から駆動伝達で回転するローラや、外側ガイド部材18又は内側ガイド部材19から湾曲路65A側へ突出するリブであってもよい。
排紙路65Bは、記録部24よりも第1搬送向きの下流側から排紙保持部79に渡って延設された直線上の通路である。ここで、第1搬送向きとは、記録用紙が搬送路65を搬送される向き(図2において矢印付きの一点鎖線で示される向き)を指す。排紙路65Bの上流側は、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材82と下側ガイド部材83とによって区画されている。
記録部24よりも第1搬送向きの下流側に分岐口36が形成されている。両面画像記録の際には、排紙路65Bを搬送される記録用紙は、分岐口36の下流側でスイッチバックされ、後述する反転搬送路67(本発明の第2搬送路の一例)へ向けて搬送される。
[記録部24]
記録部24は、トレイ20の上方に配置されている。記録部24は、図2の紙面垂直方向(主走査方向)に往復動する。記録部24の下方には記録用紙を水平に保持するためのプラテン42が設けられている。記録部24は、主走査方向への往復移動過程において、図示しないインクカートリッジから供給されたインクをノズル39からプラテン42上を搬送される記録用紙に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。
外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19の前端と記録部24との間には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61が設けられている。ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60の下方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、湾曲路65Aを搬送してきた記録用紙を狭持してプラテン42上へ送る。
また、記録部24と上側ガイド部材82及び下側ガイド部材83の後端との間には、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。これらも対をなしている。ピンチローラ61と同様、拍車ローラ63は第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63は、記録部24によって画像を記録された記録用紙を狭持して第1搬送向きの下流側(排紙保持部79側)へ搬送する。
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正回転方向或いは逆回転方向のいずれに回転されても、記録用紙を一方向(図2の右側)へ搬送させるべく、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62を一回転方向へ回転させる。なお、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、画像記録時に間欠駆動される。そのため、記録用紙は所定の改行幅で送られながら画像が記録される。
[給紙部15]
給紙部15は、トレイ20に収容された記録用紙を湾曲路65Aへ向けて搬送するためのものであり、給紙ローラ25(本発明の第1ローラの一例)と、給紙アーム26(本発明のアームの一例)と、駆動伝達機構27とを備えている。
給紙ローラ25は、トレイ20に載置されている記録用紙のうちの最も上側に載置されている記録用紙をピックアップして湾曲路65Aへ給紙するものであり、給紙アーム26の先端に回転自在に軸支されている。給紙ローラ25は、搬送用モータとは異なる駆動源のASF(Auto Sheet Feed)モータ(不図示)から駆動伝達機構27を介して回転力が伝
達されると回転駆動される。駆動伝達機構27は給紙アーム26に軸支されており、概ね直線状に並ぶ複数のギヤで構成されている。ASFモータは、正転又は逆転の一方に回転され、給紙ローラ25は、ASFモータの回転により、記録用紙を湾曲路65Aへ給紙する向きに回転する。
トレイ20の上方であって記録部24の下方に基軸28が設けられている。給紙アーム26は、その基端部が基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回動可能である。このため、給紙アーム26は、トレイ20に対して接離可能に上下動することができる。また、給紙アーム26には、自重により又はバネ等の弾性部材による弾性力により、図2の矢印29の方向へ力が作用している。このため、給紙ローラ25は、トレイ20に収容された記録用紙の上面に圧接可能である。つまり、給紙ローラ25が記録用紙の上面に圧接している状態における給紙アーム26は、先端側(給紙ローラ25の側)がトレイ20に接近している接近姿勢(本発明の第1姿勢に相当)をとる。
図5(A)に示されるように、給紙アーム26は、駆動伝達機構27(図2参照)を覆う筐体として構成されている。また、給紙アーム26の下面23(本発明の底板の一例)は、駆動伝達機構27に加えて、基軸28の左右方向9の中央から右側部分も覆っている。以下に説明するように、給紙アーム26の下面23の右端部23Aが後述するトレイ20の側板55に設けられたカム部57と当接可能である。
給紙アーム26の下面23の右端部23Aは、トレイ20がプリンタ部11から引き抜かれる際に、トレイ20の側板55(本発明の側板の一例)に設けられたカム部57に押される。これにより、給紙アーム26は上方へ回動される。カム部57によって押し上げられている状態の給紙アーム26は、先端側(給紙ローラ25の側)がトレイ20から離間してトレイ20の挿抜領域から退避する離間姿勢(本発明の第2姿勢に相当)をとる。以上より、給紙アーム26は、接近姿勢と離間姿勢との間で回動する。そして、給紙アーム26の下面23の右端部23Aが側板55のカム部57によって押される向きは、給紙アーム26が接近姿勢から離間姿勢へ回動される向きである。
給紙アーム26の下面23の反対側には、給紙アーム26を構成する筐体の一部としての給紙アーム26の上面21(本発明の第1当接部の一例、図6(A)参照)がもうけられている。上面21は、給紙アーム26が接近姿勢から回動姿勢へ回動される際に後述する回動ガイド部材70と当接する。
[給紙カセット78]
給紙カセット78は、給紙部15の下方に設けられている。図3及び図4に示されるように、本実施形態において、給紙カセット78は、各種サイズの記録用紙を載置可能なトレイ20と、画像が記録されて複合機10から排出された記録用紙が保持される排紙保持部79を備えている。トレイ20及び排紙保持部79は、排紙保持部79をトレイ20の上側として上下2段に配置されている。給紙カセット78が開口13から挿抜されると、トレイ20に加えて排紙保持部79も挿抜される。なお、排紙保持部79は給紙カセット78と別個に構成されていてもよい。
トレイ20は、記録用紙が載置される底板54(本発明の載置面の一例)と、底板54の左右方向9(本発明の第2方向に相当)の両端部から立設され、記録用紙が給送される前後方向8(本発明の第1方向の相当)に沿って配置された側板55,56と、底板54の後方側の端部に立設され、左右方向9に沿って配置された分離傾斜板22とを備えている。トレイ20は、上面が開放された概ね矩形箱状に構成されている。
右側の側板55の上面には、カム部57が設けられている。カム部57は、前方側が後方側より高い第1傾斜面571、第1傾斜面571の後方に第1傾斜面571と連続して設けられ、後方側が前方側より高い第2傾斜面572、及び第2傾斜面572の後方に第2傾斜面572と連続して設けられた水平面573を有する。水平面573は、側板55のほぼ後端まで形成されており、分離傾斜板22の上端と同程度の高さである。以上より、カム部57は、底板54からの高さが前後方向8に沿って変化する。
トレイ20がプリンタ部11に対して挿入される際、またはトレイ20がプリンタ部11から引き抜かれる際、カム部57は給紙アーム26の下面23と当接する。トレイ20の挿抜によってカム部57は前後にスライドされる。この際、給紙アーム26がカム部57のいずれの面571、572、573と当接しているかによって、給紙アーム26の高さは変化する。
分離傾斜板22は、記録用紙を円滑に給紙可能なように後方側へ傾倒している。上述し
たとおり、記録用紙は、トレイ20の後方側の端部から、当該端部の後方且つ上方の湾曲路65Aへ搬送される。
トレイ20の底板54には、前後方向8に沿って一対のサイドガイド77(本発明の第4ガイド部材の一例)が立設されている。サイドガイド77のうちいずれか一方が左右方向9のいずれかの向きへ底板54に沿ってスライドされる。これに連動して、サイドガイド77のうちの他方が上記いずれかの向きと相反する向きへスライドされる。このため、底板54に載置された記録用紙の幅が2つのサイドガイド77の離間距離よりも狭い場合は、一方のサイドガイド77を記録用紙へ向けてスライドさせることにより、他方のサイドガイド77が同時に移動される。これにより、記録用紙の幅方向(左右方向9)の中央位置がトレイ20の幅方向の中央に略一致する。つまり、サイドガイド77は底板54に載置された記録用紙の端に当接可能である。サイドガイド77がスライドされることによって、側板55,56間の左右方向9の距離を最大サイズとして、種々のサイズの記録用紙が底板54に載置可能である。
なお、トレイ20の底板54に設けられるサイドガイド77は一つであってもよい。この場合、サイドガイド77と側板55,56のいずれかの間の左右方向9の距離に相当するサイズの記録用紙が、底板54に載置可能である。
排紙保持部79は、側板55、56に回転可能に支持された軸91を軸方向としてトレイ20の上方へ回動可能に構成されている。つまり、排紙保持部79は、トレイ20の開閉自在な蓋として構成されている。給紙カセット78が複合機1から抜かれた状態において、ユーザによって排紙保持部79が上向きに開かれると、トレイ20の前方側の上面が開放されて底板54が露出される。これにより、記録用紙が前方側からトレイ20に載置されることが可能となる。
[経路切換部41]
図2に示されるように、経路切換部41は、搬送路65における分岐口36付近に配置されている。経路切換部41は、第3搬送ローラ45と、拍車ローラ46と、フラップ49で構成されている。
第3搬送ローラ45は、下側ガイド部材83よりも下流側に設けられている。第3搬送ローラ45と下側ガイド部材83との間に分岐口36が形成されている。第3搬送ローラ45は、プリンタ部11のフレームなどに回転可能に支持されている。拍車ローラ46は、第3搬送ローラ45の上方に配置されており、自重若しくはバネなどの付勢力によって第3搬送ローラ45のローラ面に圧接される向きに力が作用されている。拍車ローラ46は、上側ガイド部材82の下流側端部に回転可能に支持されている。第3搬送ローラ45は、搬送用モータから正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正回転方向又は逆回転方向に回転駆動される。例えば、片面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45は正回転方向へ回転される。これにより、記録用紙は第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46に挟持されて下流側へ搬送され、排紙保持部79に排紙される。一方、両面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46が記録用紙の後端部を挟持した状態で、第3搬送ローラ45の回転方向が正回転方向から逆回転方向へ切り換えられる。
プリンタ部11のフレームなどに、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延びる支軸87が設けられている。フラップ49は、支軸87から概ね下流側へ延出されている。フラップ49は、支軸87に回動可能に軸支されている。フラップ49には、その延出方向に隔てられた補助ローラ47及び補助ローラ48が軸支されている。これらの補助ローラ47,48のローラ面は、記録用紙の記録面に当接されるので、拍車ローラ63及び拍車ローラ46と同様に拍車状に形成されている。
フラップ49は、姿勢変化可能に構成されており、下側ガイド部材83よりも上方に位置する排出姿勢(図2に破線で示される姿勢)と、延出端部49Aが分岐口36よりも下方へ進入する反転姿勢(図2に実線で示される姿勢)との間で回動する。記録部24を通過した記録用紙は、フラップ49が排出姿勢の場合、更に第1搬送向きの下流側へ搬送され、フラップ49が反転姿勢の場合、反転搬送路67へスイッチバック搬送される。
[反転搬送路67]
反転搬送路67は、搬送路65における記録部24より第1搬送向きの下流側から搬送路65における第1搬送ローラ60より第1搬送向きの上流側へ記録用紙を案内する。反転搬送路67は、分岐口36で排紙路65Bから分岐され、記録部24の下側であって給紙アーム27の上側を通って、記録部24よりも第1搬送向きの上流側の合流部37で湾曲路65Aと合流する。記録用紙は、反転搬送路67を第2搬送向きに搬送される。ここで、第2搬送向きとは、図2における矢印付きの二点鎖線で示される向きを指す。以上より、反転搬送路67は、記録部24によって少なくとも一方の面に画像が記録された記録用紙を湾曲路65Aへ案内するための経路である。
反転搬送路67は、第1経路67Aと第2経路67Bとに区分される。第1経路67Aは、分岐口36から後方斜め下向きに傾斜する傾斜面を有する上側傾斜ガイド部材32と下側傾斜ガイド部材33とによって区画されている。上側傾斜ガイド部材32は、下側ガイド部材83と一体に形成されている。これらの上側傾斜ガイド部材32と下側傾斜ガイド部材33は、記録用紙が通過可能な所定間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。上側傾斜ガイド部材32は,下側傾斜ガイド部材33よりも上方に配置されている。
第2経路67Bは、第1経路67Aの終端付近から後方へ向けて概ね下向きに湾曲状に延びた後、合流部37の直前へ上向きに湾曲している。第2経路67Bは、図2の矢印68の方向へ回動可能に支持された回動ガイド部材70(本発明の第2ガイド部材の一例)と、プリンタ部11のフレームに取り付けられており、回動ガイド部材70の上方に配置され、記録部24を支持している支持部材43とによって区画されている。後述するように、回動ガイド部材70は、反転搬送路67の一部を形成する搬送姿勢(本発明の第3姿勢に相当)をとることが可能である。そして、搬送姿勢の回動ガイド部材70と支持部材43は、記録用紙が通過可能な所定間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。
[回動ガイド部材70]
回動ガイド部材70は、記録部24と給紙部15の間、つまり記録部24の下側であって給紙部15の上側に設けられている。
図5(A)、(B)に示されるように、回動ガイド部材70は、上下方向7の寸法が前後方向8及び左右方向9の寸法よりも短い概ね薄型の平板矩形状の部材である。回動ガイド部材70は、第1板状部材71と、第1板状部材71の先端(後方側の端部)に一体に取り付けられている第2板状部材72とを備えている。本実施形態においては、第1板状部材71及び第2板状部材72には、薄型であることによる剛性の弱さを補完するために、前後方向8及び左右方向9にリブ73が設けられている。なお、回動ガイド部材70は、リブ73が設けられていない構成であってもよい。
第1板状部材71及び第2板状部材72は、前後方向8において、第2板状部材72が第1板状部材71より上を向くように所定の角をなして取り付けられている。これにより、図2及び図6(A)に示されるように、第1板状部材71、第2板状部材72及び湾曲路65Aが略円弧状の経路を構成するようになり、反転搬送路67を搬送される記録用紙
は湾曲路65Aに円滑に導かれる。
第1板状部材71は、その基端部(前方側の端部)が給紙部15の基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回動可能である。つまり、回動ガイド部材70の回動軸は、給紙部15の給紙アーム26の回動軸と同一である。基軸28に支持されることにより、回動ガイド部材70は、記録部24に対して接近及び離間可能に上下動することができる。これにより、回動ガイド部材70は、回動することによって、反転搬送路67の少なくとも一部を形成する搬送姿勢と、先端側が搬送姿勢よりも記録部24側へ接近する退避姿勢(本発明の第4姿勢に相当)とをとることが可能である。搬送姿勢は、図2における実線及び図6(A)に示されるように、回動ガイド部材70の上面が、支持部材43と記録用紙が通過可能な所定の間隔を保持する姿勢である。また、本実施形態において第1板状部材71は、上記円弧状の経路の曲率をできるだけ小さくするために、後端から先端の向きにおいて少し下側へ傾斜している。退避姿勢は、図2における破線及び図6(B)に示されるように、回動ガイド部材70の上面が、支持部材43の近傍まで接近する姿勢である。なお、本実施形態においては、回動ガイド部材70の回動軸は、給紙部15の給紙アーム26の回動軸と同一であるが、回動ガイド部材70と給紙アーム26の回動軸は個別に設けられていてもよい。
[孔90]
回動ガイド部材70の記録用紙が搬送される面には、給紙ローラ25と対向する位置に孔90(本発明の開口部の一例)が設けられている。詳細には、図2及び図5(B)に示されるように、給紙アーム26が離間姿勢をとっている場合に、給紙ローラ25の少なくとも一部(例えば、給紙ローラ25の給紙アーム26よりも上側のローラ表面)が配置される回動ガイド部材70の位置に、孔90が設けられている。
[回動ガイド部材70及び給紙部15の回動]
回動ガイド部材70は、給紙アーム26の離間姿勢への回動に連動して退避姿勢へ回動される。回動ガイド部材70は、離間姿勢へ回動される給紙アーム26の上面21に上方へ押されることによって、退避姿勢へ回動される。給紙アーム26の上面21は、第1板状部材71における記録用紙が搬送される面と反対側、つまり第1板状部材71の下面74(本発明の第2当接部の一例、図5(A)参照)に当接可能である。第1板状部材71の下面74は、給紙アーム26が接近姿勢から離間姿勢へ回動される際に、給紙アーム26の上面21と当接する。下面74は、上面21によって、回動ガイド部材70が搬送姿勢から退避姿勢へ回動される向きに押される。その結果、回動ガイド部材70は、給紙アーム26が離間姿勢をとるときに退避姿勢をとる。また、回動ガイド部材70は、トレイ20が複合機10から抜かれた状態において、先端側が搬送姿勢よりも記録部24と離間する第5姿勢(本発明の第5姿勢に相当)へ回動する
以下に詳述する。図5(A)に示されるように、回動ガイド部材70の下側には、給紙ローラ25及び給紙アーム26、つまり給紙部15が設けられている。図6(A)においては、給紙部15は接近姿勢をとっており、回動ガイド部材70は搬送姿勢をとっている。
このとき、給紙ローラ25が記録用紙の上面または底板54に当接した状態である。給紙アーム26の下面23は、トレイ20のカム部57より上方に存在している。具体的には、下面23は、第1傾斜面571及び第2傾斜面572で形成される凹みの上方であって、水平面573より低い位置に存在している。つまり、下面23は、カム部57と離間した状態である。
この状態においてトレイ20が前方に引き出されると、下面23が第2傾斜面572に
当接し、そのまま第2傾斜面572に沿って上方へ変動する。これにより、給紙アーム26が上方へ回動され、給紙ローラ25が持ち上げられる。つまり、給紙部15が接近姿勢から離間姿勢へ姿勢変化を開始する。
給紙部15が所定量だけ上方へ回動すると、給紙アーム26の上面21が回動ガイド部材70の第1板状部材71の下面74と当接する。このとき、給紙ローラ25の少なくとも一部は、回動ガイド部材70の孔90に収容されるため、給紙ローラ25と回動ガイド部材70が接触することはない。
この状態において、トレイ20が更に前方へ引き出されると、下面23の変動による給紙部15の上方への回動によって、給紙部15と回動ガイド部材70は一体に上方へ回動する。つまり、回動ガイド部材70が搬送姿勢から退避姿勢へ姿勢変化を開始する。この回動は、下面23が、第2傾斜面572を上がりきって、水平面573と当接するまで継続される(図6(B)参照)。下面23が水平面573と当接している状態において、給紙部15は離間姿勢をとっており、回動ガイド部材70は退避姿勢をとっている。
つまり、給紙アーム26は、回動ガイド部材70を上方へ押すことによって、それまで搬送姿勢をとっていた回動ガイド部材70が存在していた領域で離間姿勢をとる。すなわち、給紙アーム26が離間姿勢をとるための領域と、回動ガイド部材70が搬送姿勢をとるための領域とは重なっている。
この状態において、トレイ20が更に前方へ引き出されても、下面23が水平面573に当接している間、給紙部15は離間姿勢を維持する。
この状態からトレイ20が更に前方へ引き出され、水平面573が下面23の前方へ抜け出ると、給紙ローラ25は下降される。給紙アーム26が図2の矢印29の方向へ回動付勢されているからである。これにより、給紙部15は離間姿勢から、接近姿勢よりも下方へ回動された姿勢へ姿勢変化する。
そして、給紙部15が離間姿勢から接近姿勢よりも下方へ回動された姿勢へ姿勢変化すると、回動ガイド部材70も追随して第5姿勢へ回動される(図7参照)。回動ガイド部材70は、後述するようにトレイ20によって支持されているが、トレイ20が複合機10から引き出されたことによって、トレイ20によって支持されなくなるからである。
なお、以上の説明においては、回動ガイド部材70は、離間姿勢へ回動される給紙アーム26の上面に上方へ押されることによって、退避姿勢へ回動される場合について説明したが、回動ガイド部材70がトレイ20の挿抜に連動して回動するならば、このような構成に限らない。
例えば、給紙アーム26及び回動ガイド部材70は、駆動源(上述した搬送用モータ、ASFモータ、またはこれら以外のモータ)から駆動伝達されることで回動されてもよい。なお、回動ガイド部材70及び給紙アーム26の駆動源は、同一であっても異なっていてもよい。
以下に本例について詳述する。本例の場合、給紙アーム26及び回動ガイド部材70への駆動力の伝達が、トレイ20の挿抜に連動される。複合機10に装着されている状態のトレイ20が、複合機10から抜かれるために前方へ移動を開始すると、給紙アーム26及び回動ガイド部材70は駆動源から駆動伝達され回動を開始する。そして、給紙アーム26は接近姿勢から離間姿勢へ回動され、回動ガイド部材70は搬送姿勢から退避姿勢へ回動される。回動が完了すると駆動源からの駆動伝達は停止される。本例では、トレイ2
0が複合機10から抜かれても、給紙アーム26は離間姿勢を保持し、回動ガイド部材70は退避姿勢を保持しているものとする。この状態において、複合機10から抜かれている状態のトレイ20が、複合機10に挿入され、その後、当該挿入が完了すると、給紙アーム26及び回動ガイド部材70は駆動源から駆動伝達され回動を開始する。そして、給紙アーム26は離間姿勢から接近姿勢へ回動され、回動ガイド部材70は退避姿勢から搬送姿勢へ回動される。
[回動ガイド部材70の支持]
回動ガイド部材70が搬送姿勢をとっている場合、回動ガイド部材70はトレイ20によって支持されている。例えば、図5(A)、(B)に示されるように、回動ガイド部材70の第1板状部材71は、左右方向9の両端に凸部711、712(本発明の第4当接部の一例)を備えている。また、上述したように、給紙カセット78のトレイ20の右側の側板55の上端には、水平面573が設けられている。また、トレイ20の左側の側板56の上端にも、水平面574が設けられている(図4参照)。そして、回動ガイド部材70が搬送姿勢をとっている場合、凸部711の下面と水平面573の上面、及び凸部712の下面と水平面574の上面が夫々当接することにより、図6(A)に示されるように、回動ガイド部材70はトレイ20によって支持される。
また、回動ガイド部材70は、搬送姿勢において、所定量撓むとサイドガイド77によって支持される。例えば、通常、搬送姿勢をとっている回動ガイド部材70は、サイドガイド77よりも上方に位置している。この場合において、回動ガイド部材70の左右方向9の中央部が両端部よりも所定量だけ下方へ位置する、つまり所定量の撓みが生じると、サイドガイド77の上端771(図4参照)と、リブ73のうち左右方向9に設けられたリブ73A(本発明の第3当接部の一例)とが当接する。これにより、回動ガイド部材70が所定量より大きく撓むことが防止される。
[誘導部材75]
図2及び図6に示されるように、複合機10には、回動ガイド部材70の上方に回動ガイド部材70に向かって凸設された誘導部材75(本発明の第3ガイド部材の一例)が備えられている。誘導部材75は、支持部材43の下面であって、回動ガイド部材70の第1板状部材71の前後方向の中央付近の上面に対向する位置に設けられている。誘導部材75は、搬送姿勢の回動ガイド部材70の上面と上下方向7において略平行となる平行面751(図2参照)を有している。これにより、経路切換部41によって反転搬送路67に搬送されてきた記録用紙は、回動ガイド部材70の上面近傍に沿って搬送されるようになる。また、誘導部材75は、左右方向9に並んで四箇所に設けられている。つまり、反転搬送路67の両端付近の二箇所と中央付近の二箇所である。
なお、誘導部材75は、回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向における中央部に対向する位置に配置されることが好ましいが、中央部以外に配置されていてもよい。また、誘導部材75は、本実施形態で左右方向9に4個配置されているように、回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向に直交する方向において、複数個配置されることが好ましいが、1個だけ配置されていてもよいし、4個以外であってもよい。
なお、誘導部材75の下端付近にはコロ752(図7参照)が設けられていてもよい。コロ752は、誘導部材75の下側からローラ面を露出するようにして、左右方向9を軸方向として回転自在に設けられている。コロ752の左右方向9の位置は、給紙アーム25または駆動伝達機構27が設けられている位置以外であれば任意である。また、コロ752は、一つでもよいし、複数が左右方向9に並べられていてもよい。また、コロ752は、拍車状に形成されていてもよい。コロ752のローラ面は、記録用紙の記録面に当接されるからである。コロ752を設けることによって、コロ752に接触する記録用紙の
搬送が円滑となる。
図5(B)に示されるように、回動ガイド部材70は、誘導部材75に対向する位置に、誘導部材75と相対する形状の第1凹部76(本発明の第1収容部の一例)を備えている。第1凹部76は、誘導部材75が収容可能なように、誘導部材75よりも少し大きい凹みとして構成されている。本実施形態において、第1凹部76は、左右方向9において誘導部材75と対向する位置、つまり回動ガイド部材70の両端付近の二箇所と中央付近の二箇所に設けられている。なお、第1凹部76は、貫通孔であっても良い。
誘導部材75及び第1凹部76が以上のように構成されることにより、図6(B)に示されるように、回動ガイド部材70が退避姿勢に回動した状態において、回動ガイド部材70は第1凹部76に収容される。
[緩衝部材80]
図2に示されるように、支持部材43における回動ガイド部材70の上面に対向する位置には、緩衝部材80(本発明の緩衝部材の一例)が設けられている。緩衝部材80は、スポンジなどの吸収材、ダンパー、もしくは板バネ、樹脂バネ部材などのバネで構成されている。緩衝部材80は、支持部材43の下面であって、回動ガイド部材70の第1板状部材71の先端(後方側の端部)付近の上面に対向する位置に取り付けられている。なお、緩衝部材80は、シートの搬送方向に直交する方向において、シートの搬送経路よりも外側に配置されていても良い。
[第2凹部81]
図2に示されるように、回動ガイド部材70の第2板状部材72の記録用紙が搬送される面、つまり回動ガイド部材70の反転搬送路67の下流側の端部には、搬送コロ64と相対する形状の第2凹部81(本発明の第2収容部の一例)が設けられている。第2凹部81の左右方向9の位置は、搬送コロ64に対向する位置である。当該搬送コロ64は、外側ガイド部材18又は内側ガイド部材19に複数設けられた搬送コロ64のうち、回動ガイド部材70が退避姿勢をとった場合に回動ガイド部材70と接触する位置にある搬送コロ64Aである。なお、搬送コロ64Aと対向する位置が第1板状部材71である場合、第2凹部81は第1板状部材71に設けられる。第2凹部81が設けられることにより、回動ガイド部材70が退避姿勢をとった状態において、搬送コロ64Aが第2凹部81に収容される。
[搬送補助ローラ84]
回動ガイド部材70には、記録用紙の搬送方向の下流側の位置に搬送補助ローラ84(本発明の第2ローラの一例)が設けられている。搬送補助ロー84は、回動ガイド部材70における記録用紙の搬送面からローラ面を露出するようにして、当該搬送面と直交する左右方向9を軸方向として回転可能に設けられている。なお、搬送補助ローラ84は、駆動源から駆動伝達を受けず回転自在であってもよいし、駆動源からの駆動伝達で回転してもよい。
[実施形態の効果]
上述の実施形態においては、複合機10において記録用紙が搬送されるとき、給紙アーム26は、トレイ20に載置された記録用紙を湾曲路65Aへ供給するために接近姿勢をとる。このとき、回動ガイド部材70は、反転搬送路67の一部を形成するために搬送姿勢をとる。トレイ20が複合機10に対して挿抜されるとき、給紙アーム26は離間姿勢に回動してトレイ20の挿抜領域から退避する。そして、回動ガイド部材70が搬送姿勢をとるための領域は給紙アーム26が離間姿勢をとるための領域と重なっており、給紙アーム26が離間姿勢をとるときに回動ガイド部材70は退避姿勢をとる。これにより、回
動ガイド部材70の搬送姿勢は、給紙アーム26の回動領域内に位置できる。
また、上述の実施形態においては、給紙アーム26の回動軸と回動ガイド部材70の回動軸とを同一にすることで、回動軸を設けるための領域を共通にすることができる。さらに、給紙アーム26の回動領域と回動ガイド部材70の回動領域とを共通にすることができるため、複合機10の大型化を防ぐことができる。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70は、退避姿勢より下方の搬送姿勢において反転搬送路67の一部を形成している。このとき、誘導部材75を設けない場合、回動ガイド部材70によって形成される反転搬送路67は、上下方向7の幅が大きくなる。すると、搬送される記録用紙が反転搬送路67において上下方向に振れて、ジャムが発生してしまうおそれがある。しかし、上述の実施形態によれば、誘導部材75によって反転搬送路67の上下方向の幅が小さくなるため、反転搬送路67における記録用紙のジャムを防止できる。
また、上述の実施形態においては、誘導部材75が、回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向における中央部にあることで、回動ガイド部材70上を搬送される記録用紙が確実に回動ガイド部材70の上面に沿うように搬送される。
また、上述の実施形態においては、例えば、誘導部材75が、回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向における端部に配置されることにより、大きいサイズのシートに対して対応可能である。また、中央付近に配置されることにより、小さいサイズのシートに対して対応可能である。つまり、上述の構成により、回動ガイド部材70は種々のサイズのシートに対して対応可能となる。
また、上述の実施形態においては、給紙アーム26の下面23がトレイ20の側板55に押されることによって、給紙アーム26が離間姿勢へ回動される。そのため、給紙アーム26を離間姿勢へ回動させるための部材を新たに設ける必要がない。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70の下面74が給紙アーム26の上面21に押されることによって、回動ガイド部材70が退避姿勢へ回動される。そのため、回動ガイド部材70を退避姿勢へ回動させるための部材を新たに設ける必要がない。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70が薄板形状である。この場合、回動ガイド部材70における左右方向9の中央部分が、回動ガイド部材70の自重や記録用紙の搬送抵抗により、下方へ撓んでしまうおそれがある。しかし、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70の下方への撓みがサイドガイド77によって規制されるため、記録用紙の搬送が安定する。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70がトレイ20によって支持される。これにより、回動ガイド部材70の位置を安定させることができ、反転搬送路67における記録用紙の搬送が安定する。また、給紙アーム26に回動ガイド部材70の荷重がかからないため、給紙ローラ25による記録用紙の給送に影響を及ぼすことがない。
また、上述の実施形態においては、支持部材43に緩衝部材80が設けられている。仮に、緩衝部材80が設けられていない場合、以下の問題が生じるおそれがある。つまり、トレイ20が複合機10に対して挿抜されるときや、複合機10が輸送されるときなどにおいて、回動ガイド部材70は、その回動により上方の記録部24を支持する支持部材43に衝突するおそれがある。上述の実施形態においては、支持部材43に緩衝部材80が設けられているため、上述のような衝突が発生した場合であっても、回動ガイド部材70
の破損を防止可能である。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70が搬送姿勢よりも記録部24と離間する姿勢をとった場合、反転搬送路67が開放される。したがって、反転搬送路67において記録用紙が詰まった場合であっても、記録用紙を容易に取り除くことができる。
また、上述の実施形態においては、給紙アーム26は、より上方において離間姿勢をとることができる。これにより、複合機10の大型化を防ぐことができる。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70が退避姿勢に位置するときに、回動ガイド部材70に設けられた第2凹部81により、湾曲路65Aに設けられた搬送コロ64を退避することができる。これにより、回動ガイド部材70の先端を、湾曲路65Aに向けてより延出させることができるため、反転搬送路67を搬送された記録用紙が湾曲路65Aに搬送される際の搬送が安定化する。また、回動ガイド部材70が退避姿勢に位置するときに、回動ガイド部材70に設けられた第1凹部76により、誘導部材75を退避することができる。これにより、回動ガイド部材70の可動範囲を大きくでき、複合機10を薄型化できる。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70上を搬送される記録用紙が湾曲路65Aに突入したとき、記録用紙には特に大きな抵抗が生じる。そのため、記録用紙は回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向における下流側の上面に当接する。したがって、記録用紙が当接する位置に搬送補助ローラを配置することにより搬送抵抗を緩和し、記録用紙の搬送をスムーズに行うことができる。
[実施形態の変形例]
図2に示されるように、回動ガイド部材70を下向きへ付勢する2つのコイルバネ86(本発明の弾性部材の一例)がさらに備えられていてもよい。コイルバネ86の一方の端が回動ガイド部材70の凸部711または凸部712にそれぞれ取り付けられ、他方の端が支持部43の下面にそれぞれ取り付けられる。コイルバネ86の取付方向は上下方向8である。コイルバネ86は、その全長が回動ガイド部材70の凸部711または凸部712と支持部材43との間の長さよりも長い圧縮バネである。これにより、コイルバネ86は給紙カセット78の挿抜の状態に関係なく、回動ガイド部材70を下向きに付勢する。なお、コイルバネ86は1つであってもよい。また、コイルバネ86の他方の端は、複合機10の底面のフレームに取り付けられていてもよい。この場合には、コイルバネ86は、その全長が回動ガイド部材70の凸部711または凸部712と複合機10の底面のフレームとの間の長さよりも短い伸張バネである。これにより、コイルバネ86は給紙カセット78の挿抜の状態に関係なく、回動ガイド部材70を下向きに付勢する。
上述の実施形態においては、回動ガイド部材70は、トレイ20による支持に加えて、コイルバネによって下向きへ付勢されている。このため、回動ガイド部材70の位置が、より安定可能である。
10:複合機
20:トレイ
24:記録部
25:給紙ローラ
26:給紙アーム
43:支持部材
70:回動ガイド部材
75:誘導部材
76:第1凹部
77:サイドガイド
80:緩衝部材
本発明は、シートに画像を記録する画像記録装置に関し、特に、シートの両面に画像を記録可能な画像記録装置に関する。
従来より、シートの両面に画像を記録することができる画像記録装置が知られている。特許文献1には、この種の画像記録装置の一例として、両面画像形成装置が開示されている。当該両面画像形成装置においては、シート供給部から送り出されたシートが搬送ローラによって感光ドラムなどで構成された画像形成手段へ搬送される。画像形成手段においてシートの表面に画像が記録される。表面に画像が記録されたシートは画像形成手段の下流側で排出ローラによってスイッチバックされる。スイッチバックされたシートは、画像形成手段の下方に設けられた再供給搬送路を経て、再び搬送ローラに到達する。シートは表面に画像を形成されたときと同様にして、画像形成手段によって裏面に画像が記録される。その後、両面に画像が記録されたシートは排出ローラによって排出トレイに排出される。
また、当該両面画像形成装置は、シートを収納するシートカセットの上方に設けられ、所定の回転軸を中心に上下方向に回動自在に設けられたアーム(以下、給紙アームと記す。)と、給紙アームの端部に設けられ、回転することによってシートカセットに収納されたシートを送り出すシート供給ローラとを備えている。
上述の両面画像形成装置などのシートの両面に画像を記録することができる画像記録装置においては、再供給搬送路から搬送ローラ又は画像形成手段へ至る経路が湾曲状である。そして、この湾曲状の経路の曲率は、シートの搬送抵抗を減らすために小さくする必要がある。しかし、曲率を小さくすると曲率半径が大きくなるため、画像記録装置の内部において湾曲状の経路が占める領域が大きくなり、画像記録装置が大型化してしまう。
また、画像記録装置が、トレイを当該画像記録装置から挿抜する際に、給紙アームを上方の退避領域に回動する必要がある構成である場合、給紙アームと給紙アームの上方に位置する再供給搬送路との間に退避領域を設ける必要があり、画像記録装置が大型化してしまう。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送経路の小さな曲率と給紙アームの退避領域を確保しつつも、装置の大型化を防止することのできる画像記録装置を提供することにある。
本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、前記記録部の下方に設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、前記トレイから給送されるシートを前記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガイド部材と、前記記録部と前記トレイとの間に設けられ、先端側が前記トレイに接近する第1姿勢と、前記トレイの引き抜きに応じて先端側が前記トレイから離間する第2姿勢と、の間で回動するアームと、当該アームの先端側に設けられ、前記トレイに載置されたシートを前記第1搬送路へ供給する第1ローラと、を有する給紙部と、前記記録部と前記アームとの間に設けられ、画像記録済のシートを前記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成第2ガイド部材と、を備え、前記アームは、前記第2搬送路の搬送方向と直交する幅方向において前記第2ガイド部材の中央部に位置し、前記第2ガイド部材は、前記アームが前記第2姿勢をとるための領域と重なっており、前記アームが前記第2姿勢をとるときに、前記給紙部の少なくとも一部を収容する孔が形成されている。
上述の構成においては、画像記録装置においてシートが搬送されるとき、アームは、トレイに載置されたシートを第1搬送路へ供給するために第1姿勢をとる。トレイが画像記録装置に対して挿抜されるとき、アームは第2姿勢に回動する。そして、第2ガイド部材の領域はアームが第2姿勢をとるための領域と重なっており、アームが第2姿勢をとるときに、給紙部は第2ガイド部材の孔に少なくとも一部が収容される。これにより、第2ガイド部材は、アームの回動領域内に位置できる。
本発明においては、第2搬送路の曲率を小さくして搬送路の曲率半径を大きくすることと、アームが第1姿勢と第2姿勢との回動する領域を確保することとを両立しつつも、装置の大型化を防ぐことができる。
図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3は、給紙カセット78と支持部材43の斜視図である。
図4は、給紙カセット78の斜視図である。
図5は、回動ガイド部材70の斜視図であり、(A)には回動ガイド部材70を斜め下から見た状態が示されており、(B)には回動ガイド部材70を斜め上から見た状態が示されている。
図6は、プリンタ部11の内部構造を示す縦断面図であり、(A)には回動ガイド部材70が搬送姿勢の状態が示されており、(B)には回動ガイド部材70が退避姿勢の状態が示されている。
図7は、搬送姿勢よりも記録部24と離間する姿勢の回動ガイド部材70の縦断面図である。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形
態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
図1に示されるように、複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリント機能としては、記録用紙の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。なお、プリント機能以外の機能の有無は任意である。プリンタ部11は、正面に開口13が形成されたケーシング(筐体)14を有し、各種サイズの記録用紙(本発明のシートの一例)を載置可能なトレイ20(本発明のトレイの一例)を備えた給紙カセット78(図2参照)が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。複合機10の正面上部には、操作パネル17が設けられている。操作パネル17は、プリンタ部11を操作するための装置である。複合機10は、操作パネル17からの操作入力に基づいて動作する。
[プリンタ部11の構成]
次に、図2が参照されながら、プリンタ部11の構成が説明される。なお、図2では、給紙カセット78の前方側(紙面右側)の図示が省略されている。給紙カセット78は、各種サイズの記録用紙を載置可能なトレイ20と、画像が記録されて複合機10から排出された記録用紙が保持される排紙保持部79を備えている。
プリンタ部11は、トレイ20から記録用紙をピックアップして給紙(給送)する給紙部15と、給紙部15によって給紙された記録用紙にインク滴を吐出して記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)と、経路切換部41などを備えている。なお、記録部24はインクジェット方式に限られず、電子写真方式などの種々の記録方式のものが適用可能である。
[搬送路65]
プリンタ部11の内部には、トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙保持部79に至る搬送路65が形成されている。搬送路65は、トレイ20の先端から記録部24に至る間に形成された湾曲路65A(本発明の第1搬送路の一例)と、記録部24から排紙保持部79に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。
湾曲路65Aは、トレイ20に設けられた分離傾斜板22の上端付近から記録部24に渡って延設された湾曲状の通路である。湾曲路65Aは、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。トレイ20から給送される記録用紙は、湾曲路65Aを介して、記録部24へ案内される。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって区画されている。つまり、外側ガイド部材18と内側ガイド部材19は、本発明の第1ガイド部材の一例である。なお、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19、更に後述する上側ガイド部材82、下側ガイド部材83、上側傾斜ガイド部材32、下側傾斜ガイド部材33、及び支持部材43(本発明の支持部材の一例)は、いずれも、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている。
湾曲路65Aには、搬送コロ64(本発明の第5ガイド部材の一例)が設けられている。搬送コロ64は、外側ガイド部材18又は内側ガイド部材19からローラ面を露出するようにして、湾曲路65Aの幅方向を軸方向として回転自在に設けられている。搬送コロ64は、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19において、湾曲路65Aと直交する向きに複数個が並んで一列に配置されている。また、搬送コロ64は、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19において、記録用紙の搬送方向の上流側から下流側に渡って複数列配置されている。搬送コロ64によって、湾曲路65Aが曲がっている箇所においてガイド面に接触する記録用紙の搬送が円滑となる。つまり、搬送コロ64は、湾曲路65Aに設けられ、記録用紙の湾曲路65Aの搬送を補助する。なお、本発明の第5ガイド部材は、回転自在なコロに限らず、例えば、駆動源から駆動伝達で回転するローラや、外側ガイド部材18又は内側ガイド部材19から湾曲路65A側へ突出するリブであってもよい。
排紙路65Bは、記録部24よりも第1搬送向きの下流側から排紙保持部79に渡って延設された直線上の通路である。ここで、第1搬送向きとは、記録用紙が搬送路65を搬送される向き(図2において矢印付きの一点鎖線で示される向き)を指す。排紙路65Bの上流側は、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材82と下側ガイド部材83とによって区画されている。
記録部24よりも第1搬送向きの下流側に分岐口36が形成されている。両面画像記録の際には、排紙路65Bを搬送される記録用紙は、分岐口36の下流側でスイッチバックされ、後述する反転搬送路67(本発明の第2搬送路の一例)へ向けて搬送される。
[記録部24]
記録部24は、トレイ20の上方に配置されている。記録部24は、図2の紙面垂直方向(主走査方向)に往復動する。記録部24の下方には記録用紙を水平に保持するためのプラテン42が設けられている。記録部24は、主走査方向への往復移動過程において、図示しないインクカートリッジから供給されたインクをノズル39からプラテン42上を搬送される記録用紙に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。
外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19の前端と記録部24との間には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61が設けられている。ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60の下方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、湾曲路65Aを搬送してきた記録用紙を狭持してプラテン42上へ送る。
また、記録部24と上側ガイド部材82及び下側ガイド部材83の後端との間には、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。これらも対をなしている。ピンチローラ61と同様、拍車ローラ63は第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63は、記録部24によって画像を記録された記録用紙を狭持して第1搬送向きの下流側(排紙保持部79側)へ搬送する。
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正回転方向或いは逆回転方向のいずれに回転されても、記録用紙を一方向(図2の右側)へ搬送させるべく、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62を一回転方向へ回転させる。なお、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、画像記録時に間欠駆動される。そのため、記録用紙は所定の改行幅で送られながら画像が記録される。
[給紙部15]
給紙部15は、トレイ20に収容された記録用紙を湾曲路65Aへ向けて搬送するためのものであり、給紙ローラ25(本発明の第1ローラの一例)と、給紙アーム26(本発明のアームの一例)と、駆動伝達機構27とを備えている。
給紙ローラ25は、トレイ20に載置されている記録用紙のうちの最も上側に載置されている記録用紙をピックアップして湾曲路65Aへ給紙するものであり、給紙アーム26の先端に回転自在に軸支されている。給紙ローラ25は、搬送用モータとは異なる駆動源のASF(Auto Sheet Feed)モータ(不図示)から駆動伝達機構27を介して回転力が伝
達されると回転駆動される。駆動伝達機構27は給紙アーム26に軸支されており、概ね直線状に並ぶ複数のギヤで構成されている。ASFモータは、正転又は逆転の一方に回転され、給紙ローラ25は、ASFモータの回転により、記録用紙を湾曲路65Aへ給紙する向きに回転する。
トレイ20の上方であって記録部24の下方に基軸28が設けられている。給紙アーム26は、その基端部が基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回動可能である。このため、給紙アーム26は、トレイ20に対して接離可能に上下動することができる。また、給紙アーム26には、自重により又はバネ等の弾性部材による弾性力により、図2の矢印29の方向へ力が作用している。このため、給紙ローラ25は、トレイ20に収容された記録用紙の上面に圧接可能である。つまり、給紙ローラ25が記録用紙の上面に圧接している状態における給紙アーム26は、先端側(給紙ローラ25の側)がトレイ20に接近している接近姿勢(本発明の第1姿勢に相当)をとる。
図5(A)に示されるように、給紙アーム26は、駆動伝達機構27(図2参照)を覆う筐体として構成されている。また、給紙アーム26の下面23(本発明の底板の一例)は、駆動伝達機構27に加えて、基軸28の左右方向9の中央から右側部分も覆っている。以下に説明するように、給紙アーム26の下面23の右端部23Aが後述するトレイ20の側板55に設けられたカム部57と当接可能である。
給紙アーム26の下面23の右端部23Aは、トレイ20がプリンタ部11から引き抜かれる際に、トレイ20の側板55(本発明の側板の一例)に設けられたカム部57に押される。これにより、給紙アーム26は上方へ回動される。カム部57によって押し上げられている状態の給紙アーム26は、先端側(給紙ローラ25の側)がトレイ20から離間してトレイ20の挿抜領域から退避する離間姿勢(本発明の第2姿勢に相当)をとる。以上より、給紙アーム26は、接近姿勢と離間姿勢との間で回動する。そして、給紙アーム26の下面23の右端部23Aが側板55のカム部57によって押される向きは、給紙アーム26が接近姿勢から離間姿勢へ回動される向きである。
給紙アーム26の下面23の反対側には、給紙アーム26を構成する筐体の一部としての給紙アーム26の上面21(本発明の第1当接部の一例、図6(A)参照)がもうけられている。上面21は、給紙アーム26が接近姿勢から回動姿勢へ回動される際に後述する回動ガイド部材70と当接する。
[給紙カセット78]
給紙カセット78は、給紙部15の下方に設けられている。図3及び図4に示されるように、本実施形態において、給紙カセット78は、各種サイズの記録用紙を載置可能なトレイ20と、画像が記録されて複合機10から排出された記録用紙が保持される排紙保持部79を備えている。トレイ20及び排紙保持部79は、排紙保持部79をトレイ20の上側として上下2段に配置されている。給紙カセット78が開口13から挿抜されると、トレイ20に加えて排紙保持部79も挿抜される。なお、排紙保持部79は給紙カセット78と別個に構成されていてもよい。
トレイ20は、記録用紙が載置される底板54(本発明の載置面の一例)と、底板54の左右方向9(本発明の第2方向に相当)の両端部から立設され、記録用紙が給送される前後方向8(本発明の第1方向の相当)に沿って配置された側板55,56と、底板54
の後方側の端部に立設され、左右方向9に沿って配置された分離傾斜板22とを備えている。トレイ20は、上面が開放された概ね矩形箱状に構成されている。
右側の側板55の上面には、カム部57が設けられている。カム部57は、前方側が後方側より高い第1傾斜面571、第1傾斜面571の後方に第1傾斜面571と連続して設けられ、後方側が前方側より高い第2傾斜面572、及び第2傾斜面572の後方に第2傾斜面572と連続して設けられた水平面573を有する。水平面573は、側板55のほぼ後端まで形成されており、分離傾斜板22の上端と同程度の高さである。以上より、カム部57は、底板54からの高さが前後方向8に沿って変化する。
トレイ20がプリンタ部11に対して挿入される際、またはトレイ20がプリンタ部11から引き抜かれる際、カム部57は給紙アーム26の下面23と当接する。トレイ20の挿抜によってカム部57は前後にスライドされる。この際、給紙アーム26がカム部57のいずれの面571、572、573と当接しているかによって、給紙アーム26の高さは変化する。
分離傾斜板22は、記録用紙を円滑に給紙可能なように後方側へ傾倒している。上述したとおり、記録用紙は、トレイ20の後方側の端部から、当該端部の後方且つ上方の湾曲路65Aへ搬送される。
トレイ20の底板54には、前後方向8に沿って一対のサイドガイド77(本発明の第4ガイド部材の一例)が立設されている。サイドガイド77のうちいずれか一方が左右方向9のいずれかの向きへ底板54に沿ってスライドされる。これに連動して、サイドガイド77のうちの他方が上記いずれかの向きと相反する向きへスライドされる。このため、底板54に載置された記録用紙の幅が2つのサイドガイド77の離間距離よりも狭い場合は、一方のサイドガイド77を記録用紙へ向けてスライドさせることにより、他方のサイドガイド77が同時に移動される。これにより、記録用紙の幅方向(左右方向9)の中央位置がトレイ20の幅方向の中央に略一致する。つまり、サイドガイド77は底板54に載置された記録用紙の端に当接可能である。サイドガイド77がスライドされることによって、側板55,56間の左右方向9の距離を最大サイズとして、種々のサイズの記録用紙が底板54に載置可能である。
なお、トレイ20の底板54に設けられるサイドガイド77は一つであってもよい。この場合、サイドガイド77と側板55,56のいずれかの間の左右方向9の距離に相当するサイズの記録用紙が、底板54に載置可能である。
排紙保持部79は、側板55、56に回転可能に支持された軸91を軸方向としてトレイ20の上方へ回動可能に構成されている。つまり、排紙保持部79は、トレイ20の開閉自在な蓋として構成されている。給紙カセット78が複合機1から抜かれた状態において、ユーザによって排紙保持部79が上向きに開かれると、トレイ20の前方側の上面が開放されて底板54が露出される。これにより、記録用紙が前方側からトレイ20に載置されることが可能となる。
[経路切換部41]
図2に示されるように、経路切換部41は、搬送路65における分岐口36付近に配置されている。経路切換部41は、第3搬送ローラ45と、拍車ローラ46と、フラップ49で構成されている。
第3搬送ローラ45は、下側ガイド部材83よりも下流側に設けられている。第3搬送ローラ45と下側ガイド部材83との間に分岐口36が形成されている。第3搬送ローラ
45は、プリンタ部11のフレームなどに回転可能に支持されている。拍車ローラ46は、第3搬送ローラ45の上方に配置されており、自重若しくはバネなどの付勢力によって第3搬送ローラ45のローラ面に圧接される向きに力が作用されている。拍車ローラ46は、上側ガイド部材82の下流側端部に回転可能に支持されている。第3搬送ローラ45は、搬送用モータから正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正回転方向又は逆回転方向に回転駆動される。例えば、片面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45は正回転方向へ回転される。これにより、記録用紙は第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46に挟持されて下流側へ搬送され、排紙保持部79に排紙される。一方、両面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46が記録用紙の後端部を挟持した状態で、第3搬送ローラ45の回転方向が正回転方向から逆回転方向へ切り換えられる。
プリンタ部11のフレームなどに、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延びる支軸87が設けられている。フラップ49は、支軸87から概ね下流側へ延出されている。フラップ49は、支軸87に回動可能に軸支されている。フラップ49には、その延出方向に隔てられた補助ローラ47及び補助ローラ48が軸支されている。これらの補助ローラ47,48のローラ面は、記録用紙の記録面に当接されるので、拍車ローラ63及び拍車ローラ46と同様に拍車状に形成されている。
フラップ49は、姿勢変化可能に構成されており、下側ガイド部材83よりも上方に位置する排出姿勢(図2に破線で示される姿勢)と、延出端部49Aが分岐口36よりも下方へ進入する反転姿勢(図2に実線で示される姿勢)との間で回動する。記録部24を通過した記録用紙は、フラップ49が排出姿勢の場合、更に第1搬送向きの下流側へ搬送され、フラップ49が反転姿勢の場合、反転搬送路67へスイッチバック搬送される。
[反転搬送路67]
反転搬送路67は、搬送路65における記録部24より第1搬送向きの下流側から搬送路65における第1搬送ローラ60より第1搬送向きの上流側へ記録用紙を案内する。反転搬送路67は、分岐口36で排紙路65Bから分岐され、記録部24の下側であって給紙アーム27の上側を通って、記録部24よりも第1搬送向きの上流側の合流部37で湾曲路65Aと合流する。記録用紙は、反転搬送路67を第2搬送向きに搬送される。ここで、第2搬送向きとは、図2における矢印付きの二点鎖線で示される向きを指す。以上より、反転搬送路67は、記録部24によって少なくとも一方の面に画像が記録された記録用紙を湾曲路65Aへ案内するための経路である。
反転搬送路67は、第1経路67Aと第2経路67Bとに区分される。第1経路67Aは、分岐口36から後方斜め下向きに傾斜する傾斜面を有する上側傾斜ガイド部材32と下側傾斜ガイド部材33とによって区画されている。上側傾斜ガイド部材32は、下側ガイド部材83と一体に形成されている。これらの上側傾斜ガイド部材32と下側傾斜ガイド部材33は、記録用紙が通過可能な所定間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。上側傾斜ガイド部材32は,下側傾斜ガイド部材33よりも上方に配置されている。
第2経路67Bは、第1経路67Aの終端付近から後方へ向けて概ね下向きに湾曲状に延びた後、合流部37の直前へ上向きに湾曲している。第2経路67Bは、図2の矢印68の方向へ回動可能に支持された回動ガイド部材70(本発明の第2ガイド部材の一例)と、プリンタ部11のフレームに取り付けられており、回動ガイド部材70の上方に配置され、記録部24を支持している支持部材43とによって区画されている。後述するように、回動ガイド部材70は、反転搬送路67の一部を形成する搬送姿勢(本発明の第3姿勢に相当)をとることが可能である。そして、搬送姿勢の回動ガイド部材70と支持部材43は、記録用紙が通過可能な所定間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。
[回動ガイド部材70]
回動ガイド部材70は、記録部24と給紙部15の間、つまり記録部24の下側であって給紙部15の上側に設けられている。
図5(A)、(B)に示されるように、回動ガイド部材70は、上下方向7の寸法が前後方向8及び左右方向9の寸法よりも短い概ね薄型の平板矩形状の部材である。回動ガイド部材70は、第1板状部材71と、第1板状部材71の先端(後方側の端部)に一体に取り付けられている第2板状部材72とを備えている。本実施形態においては、第1板状部材71及び第2板状部材72には、薄型であることによる剛性の弱さを補完するために、前後方向8及び左右方向9にリブ73が設けられている。なお、回動ガイド部材70は、リブ73が設けられていない構成であってもよい。
第1板状部材71及び第2板状部材72は、前後方向8において、第2板状部材72が第1板状部材71より上を向くように所定の角をなして取り付けられている。これにより、図2及び図6(A)に示されるように、第1板状部材71、第2板状部材72及び湾曲路65Aが略円弧状の経路を構成するようになり、反転搬送路67を搬送される記録用紙は湾曲路65Aに円滑に導かれる。
第1板状部材71は、その基端部(前方側の端部)が給紙部15の基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回動可能である。つまり、回動ガイド部材70の回動軸は、給紙部15の給紙アーム26の回動軸と同一である。基軸28に支持されることにより、回動ガイド部材70は、記録部24に対して接近及び離間可能に上下動することができる。これにより、回動ガイド部材70は、回動することによって、反転搬送路67の少なくとも一部を形成する搬送姿勢と、先端側が搬送姿勢よりも記録部24側へ接近する退避姿勢(本発明の第4姿勢に相当)とをとることが可能である。搬送姿勢は、図2における実線及び図6(A)に示されるように、回動ガイド部材70の上面が、支持部材43と記録用紙が通過可能な所定の間隔を保持する姿勢である。また、本実施形態において第1板状部材71は、上記円弧状の経路の曲率をできるだけ小さくするために、後端から先端の向きにおいて少し下側へ傾斜している。退避姿勢は、図2における破線及び図6(B)に示されるように、回動ガイド部材70の上面が、支持部材43の近傍まで接近する姿勢である。なお、本実施形態においては、回動ガイド部材70の回動軸は、給紙部15の給紙アーム26の回動軸と同一であるが、回動ガイド部材70と給紙アーム26の回動軸は個別に設けられていてもよい。
[孔90]
回動ガイド部材70の記録用紙が搬送される面には、給紙ローラ25と対向する位置に孔90(本発明の開口部の一例)が設けられている。詳細には、図2及び図5(B)に示されるように、給紙アーム26が離間姿勢をとっている場合に、給紙ローラ25の少なくとも一部(例えば、給紙ローラ25の給紙アーム26よりも上側のローラ表面)が配置される回動ガイド部材70の位置に、孔90が設けられている。
[回動ガイド部材70及び給紙部15の回動]
回動ガイド部材70は、給紙アーム26の離間姿勢への回動に連動して退避姿勢へ回動される。回動ガイド部材70は、離間姿勢へ回動される給紙アーム26の上面21に上方へ押されることによって、退避姿勢へ回動される。給紙アーム26の上面21は、第1板状部材71における記録用紙が搬送される面と反対側、つまり第1板状部材71の下面74(本発明の第2当接部の一例、図5(A)参照)に当接可能である。第1板状部材71の下面74は、給紙アーム26が接近姿勢から離間姿勢へ回動される際に、給紙アーム26の上面21と当接する。下面74は、上面21によって、回動ガイド部材70が搬送姿勢から退避姿勢へ回動される向きに押される。その結果、回動ガイド部材70は、給紙アーム26が離間姿勢をとるときに退避姿勢をとる。また、回動ガイド部材70は、トレイ20が複合機10から抜かれた状態において、先端側が搬送姿勢よりも記録部24と離間する第5姿勢(本発明の第5姿勢に相当)へ回動する
以下に詳述する。図5(A)に示されるように、回動ガイド部材70の下側には、給紙ローラ25及び給紙アーム26、つまり給紙部15が設けられている。図6(A)においては、給紙部15は接近姿勢をとっており、回動ガイド部材70は搬送姿勢をとっている。
このとき、給紙ローラ25が記録用紙の上面または底板54に当接した状態である。給紙アーム26の下面23は、トレイ20のカム部57より上方に存在している。具体的には、下面23は、第1傾斜面571及び第2傾斜面572で形成される凹みの上方であって、水平面573より低い位置に存在している。つまり、下面23は、カム部57と離間した状態である。
この状態においてトレイ20が前方に引き出されると、下面23が第2傾斜面572に当接し、そのまま第2傾斜面572に沿って上方へ変動する。これにより、給紙アーム26が上方へ回動され、給紙ローラ25が持ち上げられる。つまり、給紙部15が接近姿勢から離間姿勢へ姿勢変化を開始する。
給紙部15が所定量だけ上方へ回動すると、給紙アーム26の上面21が回動ガイド部材70の第1板状部材71の下面74と当接する。このとき、給紙ローラ25の少なくとも一部は、回動ガイド部材70の孔90に収容されるため、給紙ローラ25と回動ガイド部材70が接触することはない。
この状態において、トレイ20が更に前方へ引き出されると、下面23の変動による給紙部15の上方への回動によって、給紙部15と回動ガイド部材70は一体に上方へ回動する。つまり、回動ガイド部材70が搬送姿勢から退避姿勢へ姿勢変化を開始する。この回動は、下面23が、第2傾斜面572を上がりきって、水平面573と当接するまで継続される(図6(B)参照)。下面23が水平面573と当接している状態において、給紙部15は離間姿勢をとっており、回動ガイド部材70は退避姿勢をとっている。
つまり、給紙アーム26は、回動ガイド部材70を上方へ押すことによって、それまで搬送姿勢をとっていた回動ガイド部材70が存在していた領域で離間姿勢をとる。すなわち、給紙アーム26が離間姿勢をとるための領域と、回動ガイド部材70が搬送姿勢をとるための領域とは重なっている。
この状態において、トレイ20が更に前方へ引き出されても、下面23が水平面573に当接している間、給紙部15は離間姿勢を維持する。
この状態からトレイ20が更に前方へ引き出され、水平面573が下面23の前方へ抜け出ると、給紙ローラ25は下降される。給紙アーム26が図2の矢印29の方向へ回動付勢されているからである。これにより、給紙部15は離間姿勢から、接近姿勢よりも下方へ回動された姿勢へ姿勢変化する。
そして、給紙部15が離間姿勢から接近姿勢よりも下方へ回動された姿勢へ姿勢変化すると、回動ガイド部材70も追随して第5姿勢へ回動される(図7参照)。回動ガイド部材70は、後述するようにトレイ20によって支持されているが、トレイ20が複合機10から引き出されたことによって、トレイ20によって支持されなくなるからである。
なお、以上の説明においては、回動ガイド部材70は、離間姿勢へ回動される給紙アーム26の上面に上方へ押されることによって、退避姿勢へ回動される場合について説明したが、回動ガイド部材70がトレイ20の挿抜に連動して回動するならば、このような構成に限らない。
例えば、給紙アーム26及び回動ガイド部材70は、駆動源(上述した搬送用モータ、ASFモータ、またはこれら以外のモータ)から駆動伝達されることで回動されてもよい。なお、回動ガイド部材70及び給紙アーム26の駆動源は、同一であっても異なっていてもよい。
以下に本例について詳述する。本例の場合、給紙アーム26及び回動ガイド部材70への駆動力の伝達が、トレイ20の挿抜に連動される。複合機10に装着されている状態のトレイ20が、複合機10から抜かれるために前方へ移動を開始すると、給紙アーム26及び回動ガイド部材70は駆動源から駆動伝達され回動を開始する。そして、給紙アーム26は接近姿勢から離間姿勢へ回動され、回動ガイド部材70は搬送姿勢から退避姿勢へ回動される。回動が完了すると駆動源からの駆動伝達は停止される。本例では、トレイ20が複合機10から抜かれても、給紙アーム26は離間姿勢を保持し、回動ガイド部材70は退避姿勢を保持しているものとする。この状態において、複合機10から抜かれている状態のトレイ20が、複合機10に挿入され、その後、当該挿入が完了すると、給紙アーム26及び回動ガイド部材70は駆動源から駆動伝達され回動を開始する。そして、給紙アーム26は離間姿勢から接近姿勢へ回動され、回動ガイド部材70は退避姿勢から搬送姿勢へ回動される。
[回動ガイド部材70の支持]
回動ガイド部材70が搬送姿勢をとっている場合、回動ガイド部材70はトレイ20によって支持されている。例えば、図5(A)、(B)に示されるように、回動ガイド部材70の第1板状部材71は、左右方向9の両端に凸部711、712(本発明の第4当接部の一例)を備えている。また、上述したように、給紙カセット78のトレイ20の右側の側板55の上端には、水平面573が設けられている。また、トレイ20の左側の側板56の上端にも、水平面574が設けられている(図4参照)。そして、回動ガイド部材70が搬送姿勢をとっている場合、凸部711の下面と水平面573の上面、及び凸部712の下面と水平面574の上面が夫々当接することにより、図6(A)に示されるように、回動ガイド部材70はトレイ20によって支持される。
また、回動ガイド部材70は、搬送姿勢において、所定量撓むとサイドガイド77によって支持される。例えば、通常、搬送姿勢をとっている回動ガイド部材70は、サイドガイド77よりも上方に位置している。この場合において、回動ガイド部材70の左右方向9の中央部が両端部よりも所定量だけ下方へ位置する、つまり所定量の撓みが生じると、サイドガイド77の上端771(図4参照)と、リブ73のうち左右方向9に設けられたリブ73A(本発明の第3当接部の一例)とが当接する。これにより、回動ガイド部材70が所定量より大きく撓むことが防止される。
[誘導部材75]
図2及び図6に示されるように、複合機10には、回動ガイド部材70の上方に回動ガイド部材70に向かって凸設された誘導部材75(本発明の第3ガイド部材の一例)が備えられている。誘導部材75は、支持部材43の下面であって、回動ガイド部材70の第1板状部材71の前後方向の中央付近の上面に対向する位置に設けられている。誘導部材75は、搬送姿勢の回動ガイド部材70の上面と上下方向7において略平行となる平行面751(図2参照)を有している。これにより、経路切換部41によって反転搬送路67
に搬送されてきた記録用紙は、回動ガイド部材70の上面近傍に沿って搬送されるようになる。また、誘導部材75は、左右方向9に並んで四箇所に設けられている。つまり、反転搬送路67の両端付近の二箇所と中央付近の二箇所である。
なお、誘導部材75は、回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向における中央部に対向する位置に配置されることが好ましいが、中央部以外に配置されていてもよい。また、誘導部材75は、本実施形態で左右方向9に4個配置されているように、回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向に直交する方向において、複数個配置されることが好ましいが、1個だけ配置されていてもよいし、4個以外であってもよい。
なお、誘導部材75の下端付近にはコロ752(図7参照)が設けられていてもよい。コロ752は、誘導部材75の下側からローラ面を露出するようにして、左右方向9を軸方向として回転自在に設けられている。コロ752の左右方向9の位置は、給紙アーム25または駆動伝達機構27が設けられている位置以外であれば任意である。また、コロ752は、一つでもよいし、複数が左右方向9に並べられていてもよい。また、コロ752は、拍車状に形成されていてもよい。コロ752のローラ面は、記録用紙の記録面に当接されるからである。コロ752を設けることによって、コロ752に接触する記録用紙の搬送が円滑となる。
図5(B)に示されるように、回動ガイド部材70は、誘導部材75に対向する位置に、誘導部材75と相対する形状の第1凹部76(本発明の第1収容部の一例)を備えている。第1凹部76は、誘導部材75が収容可能なように、誘導部材75よりも少し大きい凹みとして構成されている。本実施形態において、第1凹部76は、左右方向9において誘導部材75と対向する位置、つまり回動ガイド部材70の両端付近の二箇所と中央付近の二箇所に設けられている。なお、第1凹部76は、貫通孔であっても良い。
誘導部材75及び第1凹部76が以上のように構成されることにより、図6(B)に示されるように、回動ガイド部材70が退避姿勢に回動した状態において、回動ガイド部材70は第1凹部76に収容される。
[緩衝部材80]
図2に示されるように、支持部材43における回動ガイド部材70の上面に対向する位置には、緩衝部材80(本発明の緩衝部材の一例)が設けられている。緩衝部材80は、スポンジなどの吸収材、ダンパー、もしくは板バネ、樹脂バネ部材などのバネで構成されている。緩衝部材80は、支持部材43の下面であって、回動ガイド部材70の第1板状部材71の先端(後方側の端部)付近の上面に対向する位置に取り付けられている。なお、緩衝部材80は、シートの搬送方向に直交する方向において、シートの搬送経路よりも外側に配置されていても良い。
[第2凹部81]
図2に示されるように、回動ガイド部材70の第2板状部材72の記録用紙が搬送される面、つまり回動ガイド部材70の反転搬送路67の下流側の端部には、搬送コロ64と相対する形状の第2凹部81(本発明の第2収容部の一例)が設けられている。第2凹部81の左右方向9の位置は、搬送コロ64に対向する位置である。当該搬送コロ64は、外側ガイド部材18又は内側ガイド部材19に複数設けられた搬送コロ64のうち、回動ガイド部材70が退避姿勢をとった場合に回動ガイド部材70と接触する位置にある搬送コロ64Aである。なお、搬送コロ64Aと対向する位置が第1板状部材71である場合、第2凹部81は第1板状部材71に設けられる。第2凹部81が設けられることにより、回動ガイド部材70が退避姿勢をとった状態において、搬送コロ64Aが第2凹部81に収容される。
[搬送補助ローラ84]
回動ガイド部材70には、記録用紙の搬送方向の下流側の位置に搬送補助ローラ84(本発明の第2ローラの一例)が設けられている。搬送補助ロー84は、回動ガイド部材70における記録用紙の搬送面からローラ面を露出するようにして、当該搬送面と直交する左右方向9を軸方向として回転可能に設けられている。なお、搬送補助ローラ84は、駆動源から駆動伝達を受けず回転自在であってもよいし、駆動源からの駆動伝達で回転してもよい。
[実施形態の効果]
上述の実施形態においては、複合機10において記録用紙が搬送されるとき、給紙アーム26は、トレイ20に載置された記録用紙を湾曲路65Aへ供給するために接近姿勢をとる。このとき、回動ガイド部材70は、反転搬送路67の一部を形成するために搬送姿勢をとる。トレイ20が複合機10に対して挿抜されるとき、給紙アーム26は離間姿勢に回動してトレイ20の挿抜領域から退避する。そして、回動ガイド部材70が搬送姿勢をとるための領域は給紙アーム26が離間姿勢をとるための領域と重なっており、給紙アーム26が離間姿勢をとるときに回動ガイド部材70は退避姿勢をとる。これにより、回動ガイド部材70の搬送姿勢は、給紙アーム26の回動領域内に位置できる。
また、上述の実施形態においては、給紙アーム26の回動軸と回動ガイド部材70の回動軸とを同一にすることで、回動軸を設けるための領域を共通にすることができる。さらに、給紙アーム26の回動領域と回動ガイド部材70の回動領域とを共通にすることができるため、複合機10の大型化を防ぐことができる。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70は、退避姿勢より下方の搬送姿勢において反転搬送路67の一部を形成している。このとき、誘導部材75を設けない場合、回動ガイド部材70によって形成される反転搬送路67は、上下方向7の幅が大きくなる。すると、搬送される記録用紙が反転搬送路67において上下方向に振れて、ジャムが発生してしまうおそれがある。しかし、上述の実施形態によれば、誘導部材75によって反転搬送路67の上下方向の幅が小さくなるため、反転搬送路67における記録用紙のジャムを防止できる。
また、上述の実施形態においては、誘導部材75が、回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向における中央部にあることで、回動ガイド部材70上を搬送される記録用紙が確実に回動ガイド部材70の上面に沿うように搬送される。
また、上述の実施形態においては、例えば、誘導部材75が、回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向における端部に配置されることにより、大きいサイズのシートに対して対応可能である。また、中央付近に配置されることにより、小さいサイズのシートに対して対応可能である。つまり、上述の構成により、回動ガイド部材70は種々のサイズのシートに対して対応可能となる。
また、上述の実施形態においては、給紙アーム26の下面23がトレイ20の側板55に押されることによって、給紙アーム26が離間姿勢へ回動される。そのため、給紙アーム26を離間姿勢へ回動させるための部材を新たに設ける必要がない。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70の下面74が給紙アーム26の上面21に押されることによって、回動ガイド部材70が退避姿勢へ回動される。そのため、回動ガイド部材70を退避姿勢へ回動させるための部材を新たに設ける必要がない。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70が薄板形状である。この場合、回動ガイド部材70における左右方向9の中央部分が、回動ガイド部材70の自重や記録用紙の搬送抵抗により、下方へ撓んでしまうおそれがある。しかし、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70の下方への撓みがサイドガイド77によって規制されるため、記録用紙の搬送が安定する。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70がトレイ20によって支持される。これにより、回動ガイド部材70の位置を安定させることができ、反転搬送路67における記録用紙の搬送が安定する。また、給紙アーム26に回動ガイド部材70の荷重がかからないため、給紙ローラ25による記録用紙の給送に影響を及ぼすことがない。
また、上述の実施形態においては、支持部材43に緩衝部材80が設けられている。仮に、緩衝部材80が設けられていない場合、以下の問題が生じるおそれがある。つまり、トレイ20が複合機10に対して挿抜されるときや、複合機10が輸送されるときなどにおいて、回動ガイド部材70は、その回動により上方の記録部24を支持する支持部材43に衝突するおそれがある。上述の実施形態においては、支持部材43に緩衝部材80が設けられているため、上述のような衝突が発生した場合であっても、回動ガイド部材70の破損を防止可能である。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70が搬送姿勢よりも記録部24と離間する姿勢をとった場合、反転搬送路67が開放される。したがって、反転搬送路67において記録用紙が詰まった場合であっても、記録用紙を容易に取り除くことができる。
また、上述の実施形態においては、給紙アーム26は、より上方において離間姿勢をとることができる。これにより、複合機10の大型化を防ぐことができる。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70が退避姿勢に位置するときに、回動ガイド部材70に設けられた第2凹部81により、湾曲路65Aに設けられた搬送コロ64を退避することができる。これにより、回動ガイド部材70の先端を、湾曲路65Aに向けてより延出させることができるため、反転搬送路67を搬送された記録用紙が湾曲路65Aに搬送される際の搬送が安定化する。また、回動ガイド部材70が退避姿勢に位置するときに、回動ガイド部材70に設けられた第1凹部76により、誘導部材75を退避することができる。これにより、回動ガイド部材70の可動範囲を大きくでき、複合機10を薄型化できる。
また、上述の実施形態においては、回動ガイド部材70上を搬送される記録用紙が湾曲路65Aに突入したとき、記録用紙には特に大きな抵抗が生じる。そのため、記録用紙は回動ガイド部材70の記録用紙の搬送方向における下流側の上面に当接する。したがって、記録用紙が当接する位置に搬送補助ローラを配置することにより搬送抵抗を緩和し、記録用紙の搬送をスムーズに行うことができる。
[実施形態の変形例]
図2に示されるように、回動ガイド部材70を下向きへ付勢する2つのコイルバネ86(本発明の弾性部材の一例)がさらに備えられていてもよい。コイルバネ86の一方の端が回動ガイド部材70の凸部711または凸部712にそれぞれ取り付けられ、他方の端が支持部43の下面にそれぞれ取り付けられる。コイルバネ86の取付方向は上下方向8である。コイルバネ86は、その全長が回動ガイド部材70の凸部711または凸部712と支持部材43との間の長さよりも長い圧縮バネである。これにより、コイルバネ86は給紙カセット78の挿抜の状態に関係なく、回動ガイド部材70を下向きに付勢する。なお、コイルバネ86は1つであってもよい。また、コイルバネ86の他方の端は、複合機10の底面のフレームに取り付けられていてもよい。この場合には、コイルバネ86は、その全長が回動ガイド部材70の凸部711または凸部712と複合機10の底面のフレームとの間の長さよりも短い伸張バネである。これにより、コイルバネ86は給紙カセット78の挿抜の状態に関係なく、回動ガイド部材70を下向きに付勢する。
上述の実施形態においては、回動ガイド部材70は、トレイ20による支持に加えて、コイルバネによって下向きへ付勢されている。このため、回動ガイド部材70の位置が、より安定可能である。
10:複合機
20:トレイ
24:記録部
25:給紙ローラ
26:給紙アーム
43:支持部材
70:回動ガイド部材
75:誘導部材
76:第1凹部
77:サイドガイド
80:緩衝部材